WO2017134946A1 - ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
WO2017134946A1
WO2017134946A1 PCT/JP2016/087554 JP2016087554W WO2017134946A1 WO 2017134946 A1 WO2017134946 A1 WO 2017134946A1 JP 2016087554 W JP2016087554 W JP 2016087554W WO 2017134946 A1 WO2017134946 A1 WO 2017134946A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
polyamide resin
dicarboxylic acid
calcium
aminomethyl
cyclohexane
Prior art date
Application number
PCT/JP2016/087554
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
葉月 小黒
加藤 智則
Original Assignee
三菱瓦斯化学株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三菱瓦斯化学株式会社 filed Critical 三菱瓦斯化学株式会社
Priority to CN201680080359.1A priority Critical patent/CN108602951B/zh
Priority to JP2017565426A priority patent/JP6806095B2/ja
Priority to KR1020187023216A priority patent/KR102653709B1/ko
Priority to EP16889429.3A priority patent/EP3412705B1/en
Priority to US16/074,341 priority patent/US11225552B2/en
Publication of WO2017134946A1 publication Critical patent/WO2017134946A1/ja

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G69/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
    • C08G69/02Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/26Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids derived from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/265Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids derived from polyamines and polycarboxylic acids from at least two different diamines or at least two different dicarboxylic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G69/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
    • C08G69/02Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/26Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids derived from polyamines and polycarboxylic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G69/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
    • C08G69/02Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/26Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids derived from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/28Preparatory processes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/32Phosphorus-containing compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L77/00Compositions of polyamides obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L77/06Polyamides derived from polyamines and polycarboxylic acids

Definitions

  • the polyamide resin of the present invention can be used as a molded product formed by molding a composition containing a polyamide resin.
  • the composition may consist of only one or more of the polyamide resins of the present invention, and may contain other components.
  • Other components include polyamide resins other than the polyamide resin of the present invention, thermoplastic resins other than polyamide resins, lubricants, fillers, matting agents, heat stabilizers, weathering stabilizers, ultraviolet absorbers, plasticizers, Additives such as flame retardants, antistatic agents, anti-coloring agents and anti-gelling agents can be added as necessary.
  • Each of these additives may be one kind or two or more kinds.
  • the said composition can be set as the structure which does not contain a calcium containing compound substantially as an additive.

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polyamides (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

低い吸水率を維持しつつ、成形品としたときの外観に優れ、かつ、はんだリフロー性に優れるポリアミド樹脂、ならびに、成形品およびアミド樹脂の製造方法の提供。ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランス比が、35:65~0:100であり、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂であって、リン原子を20~100質量ppmの割合で含み、カルシウム原子をリン原子:カルシウム原子のモル比が1:0.3~0.7となる割合で含む、ポリアミド樹脂。

Description

ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法
 本発明は、新規なポリアミド樹脂、およびこれを用いた成形品、ならびに、ポリアミド樹脂の製造方法に関する。
 従来から、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとセバシン酸を重縮合してなるポリアミド樹脂が知られている。例えば、特許文献1の実施例には、次亜リン酸ナトリウム水和物の存在下で、ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとセバシン酸を重縮合させてポリアミド樹脂を得ることが記載されている。
特許第5120518号公報
 上述のようなポリアミド樹脂は、吸水率が低いことから、成形して、各種用途に用いられている。また、ポリアミド樹脂を成形してなる成形品について、より良好な外観が求められる傾向にある。さらに、ポリアミド樹脂を成形してなる成形品について、はんだ付けをする場合、はんだリフロー性が求められる。
 本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、低い吸水率を維持しつつ、成形品としたときの外観に優れ、かつ、はんだリフロー性に優れるポリアミド樹脂、ならびに、成形品およびアミド樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
 上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、下記<1>により、好ましくは<2>~<9>により、上記課題は解決された。
<1>ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランスのモル比が、35:65~0:100であり、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂であって、リン原子を20~100質量ppmの割合で含み、カルシウム原子をリン原子:カルシウム原子のモル比が1:0.3~0.7となる割合で含む、ポリアミド樹脂。
<2>下記式で示されるX線回析法により算出した結晶化度が30%を超え60%以下である、<1>に記載のポリアミド樹脂;
結晶化度(%)=[結晶性ピークの面積/(結晶性ピークの面積+非晶性ピークの面積)]×100。
<3>炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸が、セバシン酸である、<1>または<2>に記載のポリアミド樹脂。
<4>前記ポリアミド樹脂の融点が230℃以上である、<1>~<3>のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
<5>前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランス比が、30:70~0:100である、<1>~<4>のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
<6>前記カルシウム原子が、次亜リン酸カルシウムに由来する、<1>~<5>のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
<7><1>~<6>のいずれかに記載のポリアミド樹脂を含む組成物を成形してなる成形品。
<8>ジアミンとジカルボン酸を次亜リン酸カルシウムの存在下で重縮合することを含み、前記ジアミンの70モル%以上が1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランス比が、50:50~0:100であり、前記ジカルボン酸の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸である、ポリアミド樹脂の製造方法。
<9>次亜リン酸カルシウムを、ポリアミド樹脂に含まれるリン原子濃度が20~100質量ppmとなる割合で添加する、<8>に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
 本発明により、低い吸水率を維持しつつ、成形品としたときの外観に優れ、かつ、はんだリフロー性に優れるポリアミド樹脂、ならびに、成形品およびアミド樹脂の製造方法を提供可能になった。
 以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
 本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(以下、「1,4-BAC」ということがある)に由来し、前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランスのモル比が、35:65~0:100であり、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂であって、リン原子を20~100質量ppmの割合で含み、カルシウム原子をリン原子:カルシウム原子のモル比が1:0.3~0.7となる割合で含むことを特徴とする。
 このような構成とすることにより、低い吸水率を維持しつつ、成形品としたときの外観に優れ、かつ、はんだリフロー性に優れた成形品が得られる。本発明では、原料1,4-BACのトランスのモル比を高くすることによって、得られるポリアミド樹脂の結晶化度を高くすることに成功し、優れたリフロー性を達成している。
 ここで、上記特許文献1(特許第5120518号公報)では、酸化防止剤(リン含有化合物)として、次亜リン酸ナトリウムを用いている。ここで、原料モノマーである、1,4-BACのトランス体のモル比が高くなると、高融点となり、合成中に次亜リン酸ナトリウムが分解しやすくなってしまう。実験室レベルでは、反応温度や次亜リン酸ナトリウムの量を慎重に制御して合成することができるが、工業生産することを考慮すると、酸化防止剤(リン含有化合物)として、次亜リン酸ナトリウム以外の化合物を用いることができれば有益である。
 かかる状況のもと、本発明者が検討を行った結果、酸化防止剤(リン含有化合物)として、次亜リン酸カルシウムを用いると、上記問題点を解決しうることを見出した。しかしながら、次亜リン酸カルシウムのようなカルシウム塩は、炭素数4~20のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に対する溶解性が低く、カルシウム塩の添加量が多くなると白色の異物が発生し、成形品の外観が劣ることが分かった。本発明は、以上の知見に基づき、リン原子とカルシウム原子の割合を上記のように設定することにより、成形品としたときの外観に優れ、かつ、はんだリフロー性に優れるポリアミド樹脂の提供に成功したものである。
 さらに、本発明のポリアミド樹脂は、高い透明性を達成している。特に、加熱処理後および結晶化度を高めた後にも高い透明性を維持することができる。
 本発明では、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来する。ジアミン由来の構成単位は、好ましくは71モル%以上、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上、特に一層好ましくは98モル%以上、より特に一層好ましくは99モル%以上が、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来する。

 1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン以外のジアミンとしては、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、パラフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等が例示される。これらの他のジアミンは、1種のみでも2種以上であってもよい。
 ポリアミド樹脂の原料ジアミンである1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、シス体とトランス体があるが、本発明において、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランスのモル比は、35:65~0:100であり、好ましくは45:55~0:100であり、より好ましくは40:60~0:100であり、さらに好ましくは30:70~0:100であり、一層好ましくは、20:80~0:100であり、より一層好ましくは、17:83~0:100であり、さらに10:90~0:100であってもよい。このような範囲とすることにより、結晶化度が高く、高い融点のポリアミド樹脂が得られる。
 本発明では、ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。ジカルボン酸由来の構成単位は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、一層好ましくは98モル%以上、より一層好ましくは99モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。

 炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,
1481772713745_0
-デカンジカルボン酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。このようなポリアミド樹脂を用いることにより、ポリアミド樹脂の吸水率がより低くなる傾向にあり好ましい。

 炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸以外に用いることができるジカルボン酸としては、炭素数7以下の脂肪族ジカルボン酸、炭素数6~12の脂環式ジカルボン酸等が例示される。これらの具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸等が例示される。但し、本発明のポリアミド樹脂におけるイソフタル酸の配合割合は、10モル%未満である。
 さらに、本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン成分およびジカルボン酸成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲でε-カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。しかしながら、本発明のポリアミド樹脂は、通常、全構成単位の90モル%以上がジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上、一層好ましくは99モル%以上、より一層好ましくは実質的に100モル%がジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成される。
 本発明のポリアミド樹脂の各種熱物性および結晶化度は、以下の通りであることが好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。また、以下に述べる熱物性の測定方法は、実施例に記載の方法に従って測定される。但し、実施例で用いている測定機器が廃版等の理由による入手困難な場合は、他の同等の性能を有する機器を用いて測定した値とする。
 本発明のポリアミド樹脂は、融点(Tm)が230℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましく、256℃以上であることが一層好ましく、260℃以上であることがより一層好ましく、270℃以上であることがさらに一層好ましく、280℃以上であることが特に一層好ましい。融点の上限値については、特に定めるものではないが、例えば、320℃以下、さらには300℃以下であってもよい。
 本発明のポリアミド樹脂は、融点が1つであっても、2つ以上有していてもよい。融点を2つ以上有する場合、上記融点の好ましい範囲の下限値は、2つ以上の融点のうち、最も低い融点を意味し、上記融点の好ましい範囲の上限値は、2つ以上の融点のうち、最も高い融点を意味する。
 本発明のポリアミド樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることが好ましく、85℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましく、94℃以上であってもよい。ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、150℃以下、さらには130℃以下、特には120℃以下、より特には、110℃以下でもよい。
 本発明のポリアミド樹脂は、加熱結晶化温度(Tch)が160℃以下であることが好ましく、150℃以下がより好ましい。加熱結晶化温度の下限値は、115℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、122℃以上がさらに好ましい。
 本発明のポリアミド樹脂は、冷却結晶化温度(Tcc)が180℃以上であることが好ましい。冷却結晶化温度の上限値は、280℃以下であることが好ましく、275℃以下であることがより好ましく、260℃以下であってもよく、255℃以下であってもよい。
 本発明で用いるポリアミド樹脂(1,4-BAC10)は、下記式で示されるX線回析法により算出した結晶化度が30%を超えることが好ましく、31%以上がより好ましく、33%以上がさらに好ましく、35%以上が一層好ましく、38%以上がより一層好ましく、40%以上であってもよい。結晶化度の上限値は、特に定めるものではないが、60%以下であることが好ましく、55%以下であることがより好ましく、50%以下とすることもでき、さらには47%以下とすることもできる。
このような範囲とすることにより、はんだリフロー性に優れたポリアミド樹脂が得られる。
結晶化度(%)=[結晶性ピークの面積/(結晶性ピークの面積+非晶性ピークの面積)]×100
 本発明では、上記Tm、Tg、Tch、Tccおよび結晶化度の好ましい範囲について、いずれか2つ以上を組み合わせて満たすことがより好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
 本発明のポリアミド樹脂は、40℃、相対湿度90%の条件で測定した吸水率を3.5%以下とすることができ、さらには3.0%以下とすることができ、特には2.8%以下とすることもできる。水分率の下限値については、特に定めるものではないが、例えば、1.0%以上、さらには、1.5%以上でも、十分な実用レベルである。
 本発明のポリアミド樹脂は、リン原子を20~100質量ppmの割合で含み、カルシウム原子をリン原子:カルシウム原子のモル比が1:0.3~0.7となる割合で含む。このような範囲とすることにより、本発明のポリアミド樹脂由来の成形品の外観が向上し、かつ、はんだリフロー性が向上する。
 本発明のポリアミド樹脂におけるリン原子濃度は、下限値は、25質量ppm以上が好ましく、30質量ppm以上がより好ましい。リン原子濃度の上限値は、80質量ppm以下が好ましく、60質量ppm以下がより好ましい。
 本発明のポリアミド樹脂におけるリン原子:カルシウム原子のモル比は1:0.3~0.7となる割合であり、1:0.4~0.6となる割合がより好ましく、1:0.45~0.55となる割合がさらに好ましく、1:0.48~0.52であることが特に好ましい。本発明のポリアミド樹脂に含まれるリン原子およびカルシウム原子は、それぞれ、次亜リン酸カルシウムに由来することが好ましい。
 リン原子濃度およびカルシウム原子濃度の測定方法は、それぞれ、後述する実施例に記載の方法に従う。
 本発明のポリアミド樹脂の数平均分子量は、6,000~30,000であることが好ましく、10,000~25,000であることがより好ましい。
 ポリアミド樹脂の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値より求めることができる。
 より具体的には、カラムとしては、充填剤として、スチレン系ポリマーを充填したものを2本用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウム濃度2mmol/Lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度は40℃、流速0.3mL/分、屈折率検出器(RI)にて測定することができる。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定することができる。
 本発明で用いるポリアミド樹脂は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))が、好ましくは1.8~3.1である。分子量分布は、より好ましくは1.9~3.0、さらに好ましくは2.0~2.9である。分子量分布をこのような範囲とすることにより、機械特性に優れた複合材料が得られやすい傾向にある。
 ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量および反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種のポリアミド樹脂を混合したり、重合後のポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
 本発明のポリアミド樹脂は、透明性の高い樹脂であり、特に、加熱処理後の透明性にも優れる。例えば、150℃で5時間加熱した後のYI値の変化(ΔYI値)を2.0以下とすることができ、1.5以下とすることもできる。前記ΔYI値の下限値は0が理想であるが、1.0以上でも実用レベルである。また、150℃で1時間加熱した後のヘイズ(Haze)を2.0%以下とすることができ、1.5%以下とすることもできる。前記ヘイズの下限値は0%が理想であるが、1.0%以上でも実用レベルである。ΔYI値およびヘイズの測定方法の詳細は、後述する実施例に記載の方法に従う。
 また、一般的にポリアミド樹脂は、結晶化度を高くすると透明性が劣る傾向にあるが、本発明のポリアミド樹脂は、透明性を維持しつつ高い結晶化度を達成することができる。
<ポリアミド樹脂の製造方法>
 次に、本発明のポリアミド樹脂の製造方法の一例について述べる。本発明のポリアミド樹脂は、以下に述べる方法で製造されたポリアミド樹脂であることが好ましいが、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
 本発明のポリアミド樹脂の製造方法は、ジアミンとジカルボン酸を次亜リン酸カルシウムの存在下で重縮合することを含み、前記ジアミンの70モル%以上が1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランスのモル比が、35:65~0:100であり、前記ジカルボン酸の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする。
 このように次亜リン酸カルシウムの存在下で合成することにより、得られるポリアミド樹脂中のリン原子濃度およびカルシウム原子濃度を所定の範囲とすることができる。尚、次亜リン酸カルシウムの一部または全部は、重縮合時や二次加工時の酸化により、亜リン酸カルシウム、リン酸カルシウム、ポリリン酸カルシウム等に変化する。また、その比率は、重縮合条件や重縮合時の酸素濃度等によって変化する。従って、本発明のポリアミド樹脂の製造方法によって得られたポリアミド樹脂に、次亜リン酸カルシウムが全く存在しない場合もあろう。
 重縮合は、通常、溶融重縮合法であり、溶融させた原料ジカルボン酸に原料ジアミンを滴下しつつ加圧下で昇温し、縮合水を除きながら重合させる方法、もしくは、原料ジアミンと原料ジカルボン酸から構成される塩を水の存在下で、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法が好ましい。
 本発明では、次亜リン酸カルシウムを、ポリアミド樹脂に含まれるリン原子濃度が 20質量ppm以上となるように添加することが好ましく、25質量ppm以上となるように添加してもよく、さらには30質量ppm以上となるように添加してもよい。次亜リン酸カルシウムは、また、リン原子濃度の上限値が、100質量ppm以下となるように添加することが好ましく、80質量ppm以下となるように添加することがより好ましく、60質量ppm以下となるように添加することがさらに好ましい。
 また、重縮合時には、次亜リン酸カルシウムと併用して他のアルカリ金属化合物を添加してもよい。アルカリ金属化合物を添加することにより、アミド化反応速度を調整することが可能になる。
 また、固相重合を行ってポリアミド樹脂の分子量を高めることも好ましい。

 その他の重合条件については、特開2015-098669号公報や国際公開WO2012/140785号パンフレットの記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 また、ジアミン、ジカルボン酸等の詳細は、上述のポリアミド樹脂の所で述べたものと同義であり、好ましい範囲も同様である。
 本発明のポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂を含む組成物を成形してなる成形品として用いることができる。前記組成物は、本発明のポリアミド樹脂の1種または2種以上のみからなってもよいし、他の成分を含んでいても良い。

 他の成分としては、本発明のポリアミド樹脂以外の他のポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂、滑剤、充填剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。これらの添加剤は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
 また、前記組成物は、添加剤として、カルシウム含有化合物を実質的に含まない構成とすることができる。実質的に含まないとは、組成物に含まれる添加剤(ポリアミド樹脂)以外の成分の3質量%以下であることをいい、1質量%以下であることが好ましい。
 他のポリアミド樹脂としては、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6/66(ポリアミド6成分およびポリアミド66成分からなる共重合体)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12が例示される。これらの他のポリアミド樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
 ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を例示できる。これらのポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。

 ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品としては、単層または多層のフィルム、単層または多層のシート、単層または多層の成形品等を含む各種成形品に用いることができる。前記成形品は、薄肉成形品や中空成形品等であってもよい。 成形品の利用分野としては、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、塗料やオイルの容器、防衛および航空宇宙製品等が挙げられる。特に、本発明のポリアミド樹脂は、高い融点を有し、かつ、はんだリフロー性に優れていることから、プリンター転写ベルト等に好ましく用いられる。
 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
 本実施例において、1,4-BAC10は、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとセバシン酸を原料とするポリアミド樹脂を意味し、1,4-BAC6は、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとアジピン酸を原料とするポリアミド樹脂を意味する。
実施例1
<合成例 1,4-BAC10>
 撹拌機、分縮器、全縮器、圧力調整器、温度計、滴下槽およびポンプ、アスピレーター、窒素導入管、底排弁、ストランドダイを備えた内容積50Lの耐圧反応容器に、精怦したセバシン酸(伊藤精油社製)10000g(49.44mol)、次亜リン酸カルシウム(関東化学社製)2.5g(0.015mol)、酢酸ナトリウム(関東化学社製)1.6g(0.02mol)を入れ、十分に窒素置換した後、反応容器内を密閉し、容器内を0.4MPaGに保ちながら撹拌下200℃まで昇温した。200℃に到達後、反応容器内の原料へ滴下槽に貯めた1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(シストランスモル比:シス/トランス=15/85)(三菱ガス化学社製)7010g(49.53mol)の滴下を開始し、容器内を0.4MPaに保ちながら、かつ、生成する縮合水を系外へ除きながら反応槽内を300℃まで昇温した。1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの滴下終了後、反応容器内を徐々に常圧に戻し、次いでアスピレーターを用いて反応槽内を80kPaに減圧して縮合水を除いた。減圧中に撹拌機の撹拌トルクを観察し、所望のトルクに達した時点で撹拌を止め、反応槽内を窒素で加圧し、底排弁を開け、ストランドダイからポリマーを抜き出してストランド化したのち、冷却してペレタイザーによりペレット化することにより、数平均分子量(Mn)12000のポリアミド樹脂を得た。
 得られたポリアミド樹脂について、以下の評価を行った。
<リン原子濃度およびカルシウム原子濃度の測定方法>
 ポリアミド樹脂0.2gと35質量%の濃度の硝酸水溶液8mLを混合し、230℃で30分間、マイクロウエーブ分解を行った。得られた分解液を超純水で定容し、ICP分析測定溶液を調整した。ICP分析装置を用いて、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度およびカルシウム原子濃度を測定した。
 測定に際し、測定試料であるポリアミド樹脂は、上記で得られたペレット状のものを用いた。ポリアミド樹脂と硝酸水溶液は、変性ポリテトラフルオロエチレン製の容器に入れてマイクロウエーブ分解を行った。マイクロウエーブ分解には、マイルストーンゼネラル社製、ETHOS Oneを用いた。ICP分析装置としては、島津製作所社製、ICPE-9000を用いた。
<ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)および結晶化温度(Tch、Tcc)の測定方法>

 示差走査熱量の測定はJIS  K7121およびK7122に準じて行った。示差走査熱量計を用い、上記で得られたポリアミド樹脂ペレットを砕いて示差走査熱量計の測定パンに仕込み、窒素雰囲気下にて昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、その後10℃/分で30℃まで徐冷し前処理を行った後に測定を行った。測定条件は、昇温速度10℃/分で加熱し、300℃で5分保持した後、降温速度-5℃/分で100℃まで冷却して測定を行い、ガラス転移温度(Tg)、加熱結晶化温度(Tch)、冷却結晶化温度(Tcc)および融点(Tm)を求めた。
 示差走査熱量計としては、島津製作所社製「DSC-60」を用いた。
<結晶化度の測定方法>
<<フィルムの製造>>
 上記で得られたポリアミド樹脂ペレットをTダイ付き二軸押し出し機に供給し、Tm+15℃の温度にて溶融混練を行い、Tダイを通じて厚さ200μmのフィルムを得た。
<<結晶化度の測定>>
 ポリアミド樹脂をX線回析装置(XRD)にて測定を行い、得られた結晶性ピークの面積と非晶状態でのピーク面積より以下の計算式に基づき結晶化度を算出した。
結晶化度(%)=[結晶性ピークの面積/(結晶性ピークの面積+非晶性ピークの面積)]×100
 尚、本実施例では、ポリアミド樹脂として、上記で得られたポリアミド樹脂フィルムを用いた。また、X線回析装置として、リガク社製、SmartLabを用いた。
<試験片の製造>
 上記で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、住友重機械工業社製射出成形機、SE130-DUを用いて、シリンダー温度は表1に示す温度とし、金型温度130℃の条件で、ISO引張り試験片(4mm厚)を射出成形した。
<成形品外観>
 得られた試験片(成形品)の外観を目視により観察した。
A:良好な外観の成形品が得られた。
B:成形品に白い濁りが見られた。
C:成形品に異物の存在が確認された。
<吸水率>
 40℃90%相対湿度の環境下に試験片を静置させ、500時間静置した後の質量を測定し、静置前後の質量から吸水率を算出した。
吸水率(%)=[(試験後の試験片の質量-試験前の試験片の質量)/試験前の試験片の質量]×100
<はんだリフロー試験>
 上記試験片をはんだリフロー槽(アンベエスエムティ社製、卓上リフロー炉FT-02)に以下の条件で浸漬させ、外観の様子を目視で観察した。
  試験条件:180℃30秒間加熱後、260℃5分間加熱
A:試験前後で試験片に変化なし。
B:試験後に試験片に膨れが少しあり。
C:試験後に試験片に膨れがあり、実用レベル外である。
<150℃、5時間加熱前後のYI値の差(ΔYI値)>
 上記で得られたペレットについて、150℃で5時間加熱前後の黄色度(YI値)を測定した。150℃で5時間加熱前後の黄色度(YI値)の差(加熱後YI値-加熱前YI値)をΔYI値とした。測定装置は、色彩・濁度測定器(日本電色工業(株)製、製品名:「COH-300A」)を使用した。
<150℃、1時間加熱後のHaze>
 上記で得られたポリアミド樹脂ペレットをTダイ付き二軸押し出し機に供給し、Tm+15℃の温度にて溶融混練を行い、Tダイを通じて厚さ100μmのポリアミド樹脂フィルムを得た。
 上記で得られた厚さ100μmのポリアミド樹脂フィルムについて、150℃で1時間加熱後のヘイズ(HAZE)を測定した。ヘイズの測定は、JIS K7136に準じて行った。測定装置は、色彩・濁度測定器(日本電色工業(株)製、製品名:「COH-300A」)を使用した。
実施例2
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、1,4-BACとして、シス:トランスのモル比が、30:70のものを用い、滴下後反応槽内を275℃まで昇温したこと以外は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
実施例3
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、次亜リン酸カルシウムの量を、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度が20質量ppmとなるように配合し、他は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
実施例4
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、次亜リン酸カルシウムの量を、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度が100質量ppmとなる量に変更し、他は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
実施例5
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、1,4-BACとして、シス:トランスのモル比が、5:95のものを用い、滴下後反応槽内を310℃まで昇温したこと以外は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
実施例6
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、1,4-BACとして、シス:トランスのモル比が、1:99のものを用い、滴下後反応槽内を315℃まで昇温したこと以外は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例1
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、次亜リン酸カルシウムを次亜リン酸ナトリウム1.59g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度40質量ppm)に変更し、他は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例2
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、次亜リン酸カルシウムの量を、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度が5質量ppmとなる量に変更し、他は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例3
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、次亜リン酸カルシウムの量を、ポリアミド樹脂中のリン原子濃度が150質量ppmとなる量に変更し、他は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例4
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、1,4-BACとして、シス:トランスのモル比が、60:40のものを用い、滴下後反応槽内を235℃まで昇温したこと以外は同様に行った、
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例5
<合成例 1,4-BAC6>
 実施例1において、1,4-BACとして、シス:トランスのモル比が、50:50のものを用い、セバシン酸を当モル量のアジピン酸に変更した他は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例6
<合成例 1,4-BAC10>
 実施例1において、1,4-BACとして、シス:トランスのモル比が、38:62のものを用い、滴下後反応槽内を260℃まで昇温したこと以外は同様に行った。
<評価>
 得られたポリアミド樹脂について、実施例1と同様に評価を行った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 上記表から明らかなとおり、本発明のポリアミド樹脂は、結晶化度が高く、成形品外観に優れ、吸水率が低く、はんだリフロー性に優れ、さらに、加熱処理後の透明性にも優れていることが分かった(実施例1~6)。これに対し、次亜リン酸ナトリウムを用い、カルシウム原子濃度が本発明の範囲外の場合(比較例1)、樹脂合成時には十分なリン成分が配合されていたが、次亜リン酸ナトリウムが分解し、リン成分が揮発してしまい、ゲル化が起こり、得られたポリアミド樹脂を用いた成形品の外観が劣っていた。リン原子濃度が本発明の範囲未満の場合(比較例2)、樹脂合成時にゲル化が起こり、得られたポリアミド樹脂を用いた成形品の外観が劣っていた。一方、リン原子濃度が本発明の範囲を超える場合(比較例3)、次亜リン酸カルシウムが溶解せず、リン原子が溶解せず、析出してしまった結果、外観不良となった。また、比較例3は、外観が明らかな実用レベル外であったため、はんだリフロー試験は行わなかった。
 1,4-BACのトランス比が本発明の範囲未満の場合(比較例4、6)、結晶化度が低く、はんだリフロー性が劣っていた。また、吸水率も高かった。さらに、ジカルボン酸として、炭素数6のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸)を用いた場合(比較例5)、吸水率が高かった。また、加熱処理後のYI値も高くなってしまった。

Claims (9)

  1. ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、
    前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに由来し、
    前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランスのモル比が、35:65~0:100であり、
    前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂であって、
    リン原子を20~100質量ppmの割合で含み、カルシウム原子をリン原子:カルシウム原子のモル比が1:0.3~0.7となる割合で含む、ポリアミド樹脂。
  2. 下記式で示されるX線回析法により算出した結晶化度が30%を超え60%以下である、請求項1に記載のポリアミド樹脂;
    結晶化度(%)=[結晶性ピークの面積/(結晶性ピークの面積+非晶性ピークの面積)]×100。
  3. 炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸が、セバシン酸である、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂。
  4. 前記ポリアミド樹脂の融点が230℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
  5. 前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランス比が、30:70~0:100である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
  6. 前記カルシウム原子が、次亜リン酸カルシウムに由来する、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂を含む組成物を成形してなる成形品。
  8. ジアミンとジカルボン酸を次亜リン酸カルシウムの存在下で重縮合することを含み、
    前記ジアミンの70モル%以上が1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンであり、
    前記1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのシス:トランス比が、35:65~0:100であり、
    前記ジカルボン酸の70モル%以上が、炭素数8~12のα,ω-直鎖脂肪族ジカルボン酸である、ポリアミド樹脂の製造方法。
  9. 次亜リン酸カルシウムを、ポリアミド樹脂に含まれるリン原子濃度が20~100質量ppmとなる割合で添加する、請求項8に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
PCT/JP2016/087554 2016-02-02 2016-12-16 ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法 WO2017134946A1 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201680080359.1A CN108602951B (zh) 2016-02-02 2016-12-16 聚酰胺树脂、成型品、聚酰胺树脂的制造方法
JP2017565426A JP6806095B2 (ja) 2016-02-02 2016-12-16 ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法
KR1020187023216A KR102653709B1 (ko) 2016-02-02 2016-12-16 폴리아미드 수지, 성형품, 폴리아미드 수지의 제조방법
EP16889429.3A EP3412705B1 (en) 2016-02-02 2016-12-16 Polyamide resin, molded article, method for producing polyamide resin
US16/074,341 US11225552B2 (en) 2016-02-02 2016-12-16 Polyamide resin, molded article, and method for manufacturing polyamide resin

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016-018080 2016-02-02
JP2016018080 2016-02-02

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2017134946A1 true WO2017134946A1 (ja) 2017-08-10

Family

ID=59500706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2016/087554 WO2017134946A1 (ja) 2016-02-02 2016-12-16 ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US11225552B2 (ja)
EP (1) EP3412705B1 (ja)
JP (1) JP6806095B2 (ja)
KR (1) KR102653709B1 (ja)
CN (1) CN108602951B (ja)
TW (1) TWI711651B (ja)
WO (1) WO2017134946A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3561000A4 (en) * 2016-12-22 2019-12-25 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. POLYAMIDE RESIN COMPOSITION, MOLDED BODY AND METHOD FOR PRODUCING POLYAMIDE RESIN PELLETS
WO2020059748A1 (ja) 2018-09-21 2020-03-26 三菱瓦斯化学株式会社 樹脂組成物、成形体、および、その応用
WO2021070629A1 (ja) 2019-10-08 2021-04-15 三菱瓦斯化学株式会社 多層容器の製造方法

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111630122B (zh) 2018-01-23 2023-07-28 伊士曼化工公司 新型聚酯酰胺、其制备方法以及聚酯酰胺组合物
WO2020096284A1 (ko) * 2018-11-05 2020-05-14 주식회사 엘지화학 폴리아미드 수지, 및 이를 이용한 고분자 필름 및 수지 적층체
CN111073269B (zh) * 2019-12-03 2022-06-07 天津金发新材料有限公司 一种阻燃聚酰胺组合物及其制备方法
TWI804978B (zh) * 2020-09-29 2023-06-11 南韓商愛思開邁克沃股份有限公司 聚醯胺系薄膜、該聚醯胺系薄膜之製備方法及包含其之覆蓋窗及顯示裝置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010137703A1 (ja) * 2009-05-28 2010-12-02 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミド樹脂
WO2012014772A1 (ja) * 2010-07-27 2012-02-02 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミド樹脂
JP2014111754A (ja) * 2012-11-12 2014-06-19 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂
JP2014177548A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc ポリアミド樹脂の製造方法
JP2015017178A (ja) * 2013-07-10 2015-01-29 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミド樹脂の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH515253A (de) 1968-07-25 1971-11-15 Ciba Geigy Ag Verfahren zur Herstellung von 2,4-Diamino-6-alkylthio-s-triazinen
RU2015138704A (ru) * 2013-03-14 2017-04-18 Мицубиси Гэс Кемикал Компани, Инк. Способ для получения полиамидной смолы
US10000607B2 (en) 2013-07-10 2018-06-19 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Method for producing polyamide resin
WO2015115148A1 (ja) 2014-01-31 2015-08-06 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミドまたはポリアミド組成物の造粒方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010137703A1 (ja) * 2009-05-28 2010-12-02 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミド樹脂
WO2012014772A1 (ja) * 2010-07-27 2012-02-02 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミド樹脂
JP2014111754A (ja) * 2012-11-12 2014-06-19 Kuraray Co Ltd ポリアミド樹脂
JP2014177548A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc ポリアミド樹脂の製造方法
JP2015017178A (ja) * 2013-07-10 2015-01-29 三菱瓦斯化学株式会社 ポリアミド樹脂の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3561000A4 (en) * 2016-12-22 2019-12-25 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. POLYAMIDE RESIN COMPOSITION, MOLDED BODY AND METHOD FOR PRODUCING POLYAMIDE RESIN PELLETS
WO2020059748A1 (ja) 2018-09-21 2020-03-26 三菱瓦斯化学株式会社 樹脂組成物、成形体、および、その応用
WO2021070629A1 (ja) 2019-10-08 2021-04-15 三菱瓦斯化学株式会社 多層容器の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP3412705A1 (en) 2018-12-12
EP3412705B1 (en) 2023-09-27
JP6806095B2 (ja) 2021-01-06
US20200247949A1 (en) 2020-08-06
EP3412705A4 (en) 2019-09-18
KR20180104304A (ko) 2018-09-20
US11225552B2 (en) 2022-01-18
KR102653709B1 (ko) 2024-04-03
TW201739788A (zh) 2017-11-16
CN108602951B (zh) 2020-10-02
JPWO2017134946A1 (ja) 2018-11-29
CN108602951A (zh) 2018-09-28
TWI711651B (zh) 2020-12-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6819606B2 (ja) ポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法
JP6806095B2 (ja) ポリアミド樹脂、成形品、ポリアミド樹脂の製造方法
JP5920543B2 (ja) ポリアミドの製造方法
WO2016208272A1 (ja) ポリアミド樹脂および成形品
JP7120025B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物、成形品およびポリアミド樹脂ペレットの製造方法
WO2014027651A1 (ja) ポリエーテルポリアミド組成物
JP5929623B2 (ja) ポリエーテルポリアミド組成物
WO2011021633A1 (ja) ポリアミド
JP2011148945A (ja) アニソール類バリア性に優れた包装用材料
JP2014037464A (ja) ポリエーテルポリアミド組成物
JP2017110101A (ja) ポリアミド樹脂および成形品
JP7415920B2 (ja) ポリアミド樹脂、成形品およびポリアミド樹脂の製造方法
JP2011168329A (ja) アニソール類バリア性に優れた包装用材料
JP2014218550A (ja) ポリアミド樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 16889429

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 2017565426

Country of ref document: JP

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 20187023216

Country of ref document: KR

Kind code of ref document: A

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 2016889429

Country of ref document: EP

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2016889429

Country of ref document: EP

Effective date: 20180903