WO2017051479A1 - 除染方法 - Google Patents

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Abstract

例えば、水を0.8MPa以上に加圧処理することで特殊処理水を取得し、取得した当該特殊処理水に除染の対象となる汚染物を浸漬させることにより、放射線を放出する放射性元素により汚染された汚染物の除染を行う。汚染物としては、原子力発電所の事故などにおいて放出されるトリチウム3やセシウム134、セシウム137、あるいは、ストロンチウム90などの元素に汚染された物が想定される。

Description

除染方法
 本発明は、放射性元素により汚染された物体を除染する技術に関する。
 放射性元素から照射される放射線の人体への悪影響は広く認識されている。したがって、原子力発電所の事故のように、外部環境に放射性元素が放出されたときに、これを回収する技術として、従来より、様々な技術が提案されている。
 一方で、放射性元素により汚染された物体(以下、単に「汚染物」と称する。)からの放射線対策としては、回収した汚染物を、鉛や鉄、コンクリートなどで囲う遮蔽処理が一般的である。すなわち、汚染物を遮蔽した施設に保管するか、あるいは、土中深くに埋設するなどの方法が採用されている。
 汚染物を遮蔽して保管する場合、放射性核種からの放射線の放出が止まる(少なくとも人体への影響が問題視されない程度に減少する)まで安全に保管する必要がある。しかし、放射性元素の半減期は、例えば、セシウム137では約30年、ストロンチウム90では約29年である。すなわち、汚染物が無害とみなせる状態となるまでの保管期間は長く、保管費用が増大する。
 これを解決するためには、放射性核種の壊変を早め、放射能の発生期間を短くすることが必要不可欠である。このような技術としては、例えば、ベリリウム(Be)をコバルト60(Co60)の籠に入れた場合に、ベリリウムの半減期を短縮できたという報告がある(非特許文献1)。
 この非特許文献1に記載された技術は画期的であるものの、その効果としては不十分である。そこで、発明者は、より効果的に汚染物の除染を行える方法を模索してきた。例えば、特許文献1や非特許文献2には、発明者によって提案された除染方法に関する技術が記載されている。
特開2013-113716号公報 T. Ohtsuki, "Enhanced Electron-Capture Decay Rate of 7Be Encapsulated in C60 Cage", Phys. Rev. Letter 93, 112501, September 9, 2004 Sugihara, "Deactivation of Radiation from Radioactive Materials Contaminated in a Nuclear Power Plant Accident", Water Journal Vol.5, P69-85, October 27, 2013
 ところが、特許文献1や非特許文献2に記載されている技術をもってしても、未だ、汚染物の除染にかかる手間や費用の抑制は充分に達成されたわけではなく、さらなる低コスト化、除染期間の短縮化が望まれている。
 請求項1の発明は、放射性元素により汚染された汚染物を除染する除染方法であって、水を含む特殊処理水を取得する工程と、前記特殊処理水に前記汚染物を浸漬させる工程とを有する。
 また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る除染方法であって、前記特殊処理水を取得する工程は、水を0.8MPa以上に加圧することによって前記特殊処理水を生成することにより取得する工程を含む。
 また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る除染方法であって、前記特殊処理水を取得する工程は、好ましくは、水を2MPa以上に加圧する。
 また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る除染方法であって、前記特殊処理水を取得する工程は、3テスラ以上の強磁界の下で水を循環させることによって前記特殊処理水を生成することにより取得する工程を含む。
 また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る除染方法であって、取得された前記特殊処理水にLEDの光線を照射してから前記汚染物を浸漬させる。
 また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る除染方法であって、前記LEDの光線を前記特殊処理水に照射する時間が48時間以上である。
 請求項1ないし6に記載の発明は、水を含む特殊処理水を取得する工程と、当該特殊処理水に汚染物を浸漬させる工程とを有し、これにより、通常の半減期による場合に比べて、放射線量を減衰させることができる。したがって、放射性元素により汚染された汚染物の除染を簡易かつ安価に達成することができる。
第1の実施の形態における除染方法を示す流れ図である。 第1の実験例の結果を示す図である。 第2の実験例の結果を示す図である。 第3の実験例の結果を示す図である。 第5の実験例の結果を示す図である。 第2の実施の形態における除染方法を示す流れ図である。 第6の実験例の結果を示す図である。
 以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
 なお、以下の説明において、「汚染物」とは、放射性元素(放射性核種)により汚染(内包、付着、混濁など)された物体であって、無機物(土砂や瓦礫、コンクリート材、プラスチック製品、機械製品、あるいは、生活用品など)であるか有機物(植物、有機性腐敗物、あるいは、木材など)であるか、あるいは、それらの混合物であるかを問わないものとする。
 また、放射性元素は、放射線を放出しつつ、ベーター崩壊あるいはガンマー崩壊する元素であって、例えば、トリチウム、セシウム134、セシウム137、ストロンチウムSr90などである。
 また、汚染物とは、放射性元素のうちの1種類の元素により汚染された物体のみならず、複数種類の元素により汚染された物体をも含む。
 さらに、「除染」とは、汚染物から放出される放射線量を、当該放射線を放出している元素の半減期から予想される減少を超えて減少させることを言うものとし、汚染物(汚染している放射性元素を含む。)に生じた物理現象をその他の意味として何ら特定するものではない。
 図1は、第1の実施の形態における除染方法を示す流れ図である。なお、図1に示す工程が開始されるまでに、除染の対象となる汚染物は、すでに特定(回収)されているものとする。
 図1に示すように、除染方法では、まず、特殊処理水を取得する(ステップS1)。
 なお、ステップS1における「特殊処理水」は、含まれる水において、当該水の水素結合をしているプロトンの結合が緩み、プロトンがイオンでも原子でもない、プロトンと電子がいわゆる粒子状<H~e>p/eの状態となっていると推定されるものを言う。
 通常の水とは物理的特性の異なる特殊処理水は、従来より、その存在が知られている。特殊処理水は、NMR、アイソトープ(H)分析、SQUIDによる磁気モーメントのヒステリシス分析、FTIRスペクトル分析などの結果が、通常の水とは異なることによりその存在を確かめることができる。ただし、特殊処理水において、「プロトンのイオンでも原子でもない粒子としての性質が強化されているという状態」は、直接的にその状態が確認されたものではなく、上記各種の分析結果から導かれる推定である。
 第1の実施の形態におけるステップS1では、水を2MPa以上で加圧することにより特殊処理水を生成(調整)して取得する。少なくとも、水を0.8MPa以上で加圧することにより、水の物理的特性が変化し、特殊処理水が生成されることはすでに確認されている現象である。このような加圧処理により、当該水におけるプロトンの水素結合が弱まり、当該プロトンにおけるイオンでも原子でもない粒子としての性質を強めるのではないかと考えられるが、これも推定である。
 特殊処理水を取得すると、当該取得した特殊処理水に汚染物を浸漬させる(ステップS2)。ここでは、例えば、特殊処理水を所定の容器に取り、当該容器内の特殊処理水に汚染物を浸漬させ、静置させる。
 次に、所定期間が経過したか否かを判定し(ステップS3)、所定期間が経過していない場合は、特殊処理水に汚染物を浸漬させた状態を維持する。なお、ステップS2,S3が継続される間(汚染物を特殊処理水に浸漬させる間)、当該特殊処理水を加圧しておく必要はない。また、その間の温度も、特に限定されない。また、所定期間とは、後述する検査を行う間隔を決定する時間であり、任意に決定しておくことができる。また、図1では説明の都合上、「所定期間」は固定された同一の時間のように図示しているが、この所定期間は、固定された一定の時間間隔である必要はなく、ある程度の時間間隔であればよい。あるいは、随時、放射線強度を測定しておき、汚染状況を監視してもよい。
 一方、所定期間が経過している場合(ステップS3においてYes)、汚染物に対する検査を実行し(ステップS4)、当該検査によって、汚染物の汚染状況(例えば、放射線強度)が安全とみなせる程度であるか否かを判定する(ステップS5)。
 汚染物における汚染状況が、人体に対して安全とみなせる程度でない場合(ステップS5においてNo。)、ステップS3に戻って、処理を継続する。すなわち、特殊処理水に汚染物を浸漬させた状態を維持する。
 一方、汚染物における汚染状況が、人体に対して安全とみなせる程度である場合(ステップS5においてYes。)、除染が完了したとみなして、除染方法を終了する。
 以上が、第1の実施の形態における除染方法を構成する各工程の説明である。次に、当該除染方法による実証実験の結果について説明する。
 図2は、第1の実験例の結果を示す図である。なお、第1の実験例では、2011年6月(福島第2原子力発電所の事故後)に、福島県浪江町の農地で採取した汚染土壌50[g](無機物試料)を除染の対象となる汚染物としたものである。また、図2には示していないが、比較対象として、特殊処理水の代わりに水道水に同様の汚染物を浸漬させたものを準備した。
 まず、特殊処理水および水道水に浸漬前の汚染物のセシウム134およびセシウム137のガンマー線強度を室温にて検出した。試料におけるガンマー線強度の検出には、高純度ゲルマニウム検出器(HPGe, GC3019, Camberra, Industries Meriden, CT, U.S.A.)を用いた。以下、他の実験において、検出器を特定しない限り、上記検出器による検出結果であるものとする。
 図2に示すように、汚染物のセシウム134によるガンマー線強度は、320,516[Bq/kg]であった。また、汚染物のセシウム137によるカンマー線強度は、354,834[Bq/kg]であった。
 次に、特殊処理水を汚染物(土壌)の容積量以上の容積量加えることにより、当該汚染物を特殊処理水に浸漬して、室温にて静置した。比較の水道水についても同様の処理を施した。
 そして、図2に示すように、約3年の間に、4回のガンマー線強度測定を行った。なお、浸漬後の測定に際しては、まず、汚染物を浸漬させた容器ごと100℃で乾燥させ、乾燥させた状態で室温にてガンマー線強度を測定した。また、測定後は、特殊処理水(または水道水)を、汚染物の容積量以上の容積量加えることにより、浸漬状態に戻して静置した。すなわち、4回(最初を含めると5回)の測定は、いずれも同じそれぞれの試料について行ったものである。
 図2に示すように、セシウム134およびセシウム137から放出される放射線強度(ガンマー線強度)は、当初、600,000[Bq/kg]を超えていた。しかし、約3年後の2014年3月には、74,829[Bq/kg]となっており、約89%も減少している。これは、これらの元素の半減期から想定される減少を明らかに超えており、本発明に係る除染方法がいかに有効であるかを示すものである。
 一方、図2に図示していないが、水道水に浸漬させた汚染物のガンマー線強度については、セシウム134およびセシウム137のいずれについても、それぞれの半減期から予想される範囲内での減少となった。
 図3は、第2の実験例の結果を示す図である。なお、第2の実験例では、放射性元素に汚染されたキノコ(有機試料)についての実験である。
 まず、825[g]のキノコを乾燥させ、重量における乾燥度86%で砕き、116[g]の微塊状試料とし、これを汚染物として採用した。
 次に、特殊処理水を加えて汚染物を浸漬させてから3週間経過後(21日後)に、汚染物を乾燥させ、セシウム134およびセシウム137によるガンマー線強度を、NaI(T1)シンチレーションカウンターで、それぞれ測定した。測定時の重量における乾燥度は85%であった。
 第2の実験例の結果は、図3に示すように、セシウム134およびセシウム137のいずれにおいても減少しており、例えば、合計値では、約69%の減少である。これは、これらの元素の半減期から想定される減少を明らかに超えており、本発明に係る除染方法がいかに有効であるかを示すものである。
 図4は、第3の実験例の結果を示す図である。なお、第3の実験例では、放射性元素に汚染された玄米(有機試料)を汚染物とし、炊飯前に、特殊処理水に浸漬させた場合と、水道水に浸漬させた場合とを炊飯後に比較する実験である。
 まず、放射性元素に汚染された1[kg]の玄米(生米)について、セシウム134およびセシウム137によるガンマー線強度をそれぞれ測定した。次に、当該玄米(汚染物)を特殊処理水に90分間浸漬した後に炊飯し、再び、セシウム134およびセシウム137によるガンマー線強度をそれぞれ測定した。
 炊飯後の玄米は、給水しているため、第3の実験例において、炊飯の前後における直接の比較はできない。すなわち、玄米(生米)についてのセシウム134およびセシウム137によるガンマー線強度は参考値である。しかし、図4に示すように、炊飯前に特殊処理水に90分浸漬させた場合と水道水に浸漬させた場合とを比較すると、特殊処理水を用いた場合の方が約40%も放射線(ガンマー線)が少ないことがわかる。これにより、本発明に係る除染方法が水道水に比べて有効であることがわかる。
 以上、第1ないし第3の実験例によって、本発明に係る除染方法が、汚染物の放射線を減少させ、除染方法として有効であることが理解できる。
 本発明に係る除染方法は、上記のとおり、放射線を放出している元素の半減期から予想される減少を超えて当該放射線を減少させていることが観測されており、その有効性が証明されている。しかし、その原理は、未だ完全には解明されていない。
 次に、本発明に係る除染方法において、放射線を減少させる原理を推定する実験例(第4の実験例および第5の実験例)を2つ示す。
 第4の実験例は、除染方法を実施する途中において、汚染物に含まれる元素(バリウム137)を分析したものである。汚染物としては、第1の実験例で用いたものと同様のものを用いる。また、元素分析は、ICP-MSによるものである。
 2011年8月(すでに特殊処理水への浸漬を開始している。)に分析したとき、汚染物中のバリウム137の量は、58[μg/L]であり、2011年11月では、114[μg/L]であった。したがって、当該期間中において、バリウム137が時間の経過とともに増加していることは明らかである。
 事故による汚染前の土壌を採取することはすでに不可能なため、事故前の土壌中のバリウム137の量を測定することはできない。しかし、一般的な土壌1[t]あたりのバリウム137の平均含有量は概ね2.2×1015[個]であることが知られている。一方、2011年11月における測定値である114[μg/L]は、約5×1017[個]であり、先述の平均含有量の約200倍となっている。これは、バリウム137が何らかの理由で増加したと推定される。
 ここで、セシウム134およびセシウム137が核崩壊すると、安定核種としてのバリウム137が生成されることは知られている。第4の実験例によって、汚染物においてバリウム137の増加が推定される結果が得られたことは、本発明に係る除染方法によって、セシウム134およびセシウム137の核崩壊が加速促進されたことを強く推認させる。言い換えれば、本発明に係る除染方法は、放射線を吸収したり、遮蔽したり、あるいは、放射性元素そのものをどこかに取り去ったりすることによって汚染物から放出される放射線を減少させるのではないことが推認される。
 図5は、第5の実験例の結果を示す図である。なお、第5の実験例は、水道水のみ、水道水に第1の実験例で用いた汚染物を浸漬させたもの、および、特殊処理水に第1の実験例で用いた汚染物を浸漬させたものについて、一週間後にそれぞれ元素をICP-MSにより分析したものである。水道水のみについてはそのまま、水道水+汚染物および特殊処理水+汚染物については第1の実験例と同様に乾燥させた後に元素分析した。また、第5の実験例を開始する前に、ここで用いた汚染物(土壌)が確かに放射性元素による汚染を受けていることを確認するために、セシウム134+セシウム137のガンマー線強度を測定した。この値は、8ないし15×10[Bq/kg]であった。
 セシウムの核崩壊によれば、バリウム137の他に、ランタン139およびセリウム140が生成されることが知られている。そして、第5の実験例では、汚染物を特殊処理水に浸漬させた場合(本発明に係る除染方法の場合)、バリウム137だけでなく、ランタン139およびセリウム140が検出された。
 核崩壊によって生成される安定核種の割合(遷移確率)は、群論により理論的に求めることができる。例えば、セシウム137では、バリウム52%、ランタン32%、セリウム16%である。また、セシウム134では、バリウム84%、ランタン14%、セリウム0%である。
 図5に示すように、第5の実験例では、汚染物を特殊処理水に浸漬させた場合、バリウム、ランタンおよびセリウムの含有量比は、バリウム70%、ランタン22%、セリウム8%となっている。すなわち、それぞれの値は、群論による理論値の範囲内(バリウム52ないし70%、ランタン14ないし32%、セリウム0ないし16%)に収まっていることがわかる。
 なお、汚染物を水道水に浸漬させた場合については、ランタン139およびセリウム140が検出されていない。汚染物を水道水に浸漬させた場合でも、セシウムの通常の核崩壊は起きていると考えられる。しかし、セシウムの通常の半減期による核崩壊速度は遅く、一週間という短期間に生成されるランタン139およびセリウム140が微量であり、第5の実験例におけるICP-MS分析では、その生成物を捉えることができなかったものと推定される。
 汚染物を特殊処理水に一週間浸漬させたときの、バリウム137、ランタン139およびセリウム140の存在量は、本発明に係る除染方法によって、汚染物のセシウム134およびセシウム137の核崩壊が加速促進されたことを強く推認させる。
 すなわち、第4および第5の実験例の結果によれば、本発明に係る除染方法は、汚染物の放射性元素の核崩壊を加速促進させることによって当該汚染物を除染する方法であることを推認させる。ただし、先述のように、この原理は、未だ推定の域を脱しておらず、確証は得られていない。
 以上のように、第1の実施の形態における除染方法は、放射性元素により汚染された汚染物を除染する除染方法であって、水を含む特殊処理水を取得する工程(ステップS1)と、特殊処理水に汚染物を浸漬させる工程(ステップS2)とを有する。これにより、簡易かつ安価な方法で汚染物の除染を行うことができる。
 特に、原子力発電所の事故の場合は、セシウム134およびセシウム137に汚染された汚染物に対する対処が求められる。本発明は、上記に示した実証実験により、セシウム134およびセシウム137に汚染された汚染物に対して有効であることが確かめられている。また、本発明の効果は、原子力発電所の廃炉などの場合にも有効である。
 また、第1の実施の形態において、特殊処理水を取得する工程は、水を0.8MPa以上に加圧することによって特殊処理水を生成することにより取得する工程を含む。特に、水を2MPa以上に加圧することが好ましい。
 第1の実施の形態における除染方法では、取得した特殊処理水に、そのまま汚染物を浸漬させると説明した。しかし、汚染物を浸漬する前に、取得した特殊処理水に、当該特殊処理水としての特性を強化させる処理を施してもよい。
 図6は、第2の実施の形態における除染方法を示す流れ図である。なお、図2に示す工程が開始されるまでに、除染の対象となる汚染物は、すでに特定(回収)されているものとする。
 図6に示すように、第2の実施の形態における除染方法では、まず、特殊処理水を取得する(ステップS11)。
 なお、ステップS11における「特殊処理水」は、ステップS1における「特殊処理水」と同様の特性を有する。
 また、第2の実施の形態におけるステップS11では、第1の実施の形態におけるステップS1と同様に、水を2MPa以上で加圧することにより特殊処理水を生成(調整)して取得する。
 特殊処理水を取得すると、当該特殊処理水にLEDの光線を照射する(ステップS12)。ステップS12において、後述する実験例(第6の実験例)では、特殊処理水を容器に取り、当該容器の上部から7[W]のLEDの光線を3日間照射した。以下の説明では、LEDの光線を照射した特殊処理水を、特に、「強化特殊処理水」と呼んで、区別する場合がある。
 LEDの光線を照射することによって調整される強化特殊処理水は、加圧処理(ステップS11)により生成された特殊処理水における水素結合のプロトンの当該結合がさらに弱まり、当該プロトンのイオンでも原子でもない粒子として性質がさらに強化されると推定される。なお、本実施の形態では、取得した特殊処理水に、LEDの光線を3日間照射して強化特殊処理水を調整する例を説明したが、LEDの光線を照射する期間は3日間に限定されるものではなく、例えば、2日間以上でも効果が認められており、好ましくは3日間以上である。
 このようにして、特殊処理水に対するLEDの光線の照射が終了すると、当該取得した特殊処理水(強化特殊処理水)に汚染物を浸漬させる(ステップS13)。ここでは、例えば、LEDの光線を照射した後の強化特殊処理水を所定の容器に取り、当該容器内の強化特殊処理水に汚染物を浸漬させ、静置させる。
 次に、所定期間が経過したか否かを判定し(ステップS14)、所定期間が経過していない場合は、強化特殊処理水に汚染物を浸漬させた状態を維持する。なお、ステップS13,S14が継続される間(汚染物を特殊処理水に浸漬させる間)、当該強化特殊処理水を加圧しておく必要はない。また、その間の温度も、特に限定されない。
 一方、所定期間が経過している場合(ステップS14においてYes)、汚染物に対する検査を実行し(ステップS15)、当該検査によって、汚染物の汚染状況(例えば、放射線強度)が安全とみなせる程度であるか否かを判定する(ステップS16)。
 汚染物における汚染状況が、人体に対して安全とみなせる程度でない場合(ステップS16においてNo。)、ステップS14に戻って、処理を継続する。すなわち、強化特殊処理水に汚染物を浸漬させた状態を維持する。
 一方、汚染物における汚染状況が、人体に対して安全とみなせる程度である場合(ステップS16においてYes。)、除染が完了したとみなして、除染方法を終了する。
 以上が、第2の実施の形態における除染方法を構成する各工程の説明である。次に、当該除染方法による実証実験の結果について説明する。
 図7は、第6の実験例の結果を示す図である。なお、第6の実験例では、第2の実験例と同様に、放射性元素に汚染されたキノコを試料として用いた。
 まず、採取した試料を重量における乾燥度86%としてから砕き、100[g]の微塊状とし、これを汚染物とした。また、作成した汚染物のセシウム134およびセシウム137によるガンマー線強度を、NaI(T1)シンチレーションカウンタで計測した。
 また、第6の実験例は、第1の実施の形態において取得(生成)した特殊処理水(2MPa以上に加圧した水)に汚染物を浸漬させる場合と、第2の実施の形態に記載したようにLEDの光線を72時間(3日間)照射した強化特殊処理水に汚染物を浸漬させる場合とを比較する。
 また、浸漬時間は、いずれも72時間である。浸漬後のガンマー線強度の測定は、汚染物を乾燥処理(重量における乾燥度85%)した状態で行った。
 図7に示すように、いずれの特殊処理水に浸漬させた場合にも、セシウムのガンマー線強度が減少した。ただし、加圧処理しただけの特殊処理水(第1の実施の形態)の場合は、48ないし56%の減少であったが、加圧処理後にLEDの光線を照射した場合は、約79%の減少が観測された。すなわち、LEDの光線を照射することにより、ガンマー線強度が、さらに27%程度減少したことを示している。
 以上のように、第2の実施の形態における除染方法は、取得された特殊処理水にLEDの光線を照射してから汚染物を浸漬させる。このように、LEDの光線を照射することにより、さらに除染効果を高めることができる。
 以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
 例えば、特殊処理水は、水を含んでいればよく、純水である必要はない。例えば、海水などを採用してもよい。例えば、深海に存在する海水は水圧によって加圧されているので、当該海水をくみ上げれば、特に調整の必要はなく、そのまま特殊処理水として用いることができる。
 また、特殊処理水の生成方法としては、上記に示した加圧処理に限定されるものではない。例えば、3テスラ以上の強磁界の下で水を循環させる方法により生成させることも可能である。すなわち、図1に示すステップS1(または、図6に示すステップS11)は、特殊処理水を取得できるのであれば、どのような工程に置き換えられてもよい。
 また、上記説明では、所定期間間隔で浸漬中の汚染物に対する検査を行って、汚染物に対する汚染状況が安全とみなせる状況となったときに除染方法を終了すると説明した。しかし、予め実験的に検証することにより、汚染物における汚染(放射能)が人体に無害とされるレベルになるまでの時間(汚染の原因となる元素によって異なるものと予想される。)を求めておき、当該時間の経過により、安全になったと見なして、除染方法を終了してもよい。
 また、図1および図6において、本発明に係る除染方法の基本的な除染の流れ図を示したが、除染方法における各工程はこれに限定されるものではない。例えば、汚染物の汚染度が百万[Bq/kg]近くと高い場合には、1回のフローでは除染を完了できない場合があり、特殊処理水を入れ替えて除染フローを繰り返さなければならないケースや、特殊処理水の量を多くするなどのケースもある。すなわち、本発明に係る除染方法は、このような変形が可能である。

Claims (6)

  1.  放射性元素により汚染された汚染物を除染する除染方法であって、
     水を含む特殊処理水を取得する工程と、
     前記特殊処理水に前記汚染物を浸漬させる工程と、
    を有する除染方法。
  2.  請求項1に記載の除染方法であって、
     前記特殊処理水を取得する工程は、水を0.8MPa以上に加圧することによって前記特殊処理水を生成することにより取得する工程を含む除染方法。
  3.  請求項2に記載の除染方法であって、
     前記特殊処理水を取得する工程は、好ましくは、水を2MPa以上に加圧する除染方法。
  4.  請求項1ないし3のいずれかに記載の除染方法であって、
     前記特殊処理水を取得する工程は、3テスラ以上の強磁界の下で水を循環させることによって前記特殊処理水を生成することにより取得する工程を含む除染方法。
  5.  請求項1ないし4のいずれかに記載の除染方法であって、
     取得された前記特殊処理水にLEDの光線を照射してから前記汚染物を浸漬させる除染方法。
  6.  請求項5に記載の除染方法であって、
     前記LEDの光線を前記特殊処理水に照射する期間が48時間以上である除染方法。
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