WO2016136441A1 - 画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の主な目的は、自動的に画像処理を施して作成された画像の一部を、ユーザーが容易に修正可能な画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することにある。
1.標本内の細胞を撮影した画像から関心画像を作成する画像処理装置において、
前記画像を入力する細胞画像入力手段と、
前記画像内に一又は複数の対象画像を設定する設定手段と、
前記対象画像のそれぞれに対して、所定のパラメーターを用いた画像処理を施して複数の候補画像を作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された前記複数の候補画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
前記判断手段により前記特徴量の偏りが所定の基準よりも大きいと判断された場合、前記設定手段は前記特徴量に基づいて複数の前記対象画像を設定する
ことを特徴とする第1項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第1項から第3項の何れか一項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第1項から第4項の何れか一項に記載の画像処理装置。
前記表示手段は、各次元軸に相異なるパラメーターを設定し、設定されたパラメーターの値に対応する位置に前記候補画像を配置して表示する
ことを特徴とする第1項から第5項の何れか一項に記載の画像処理装置。
前記表示手段は、前記パラメーターの値が互いに異なる複数の前記候補画像を表示する際、前記評価値に基づいて複数の前記候補画像の配置を決定して表示する
ことを特徴とする第1項から第6項の何れか一項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第1項から第6項の何れか一項に記載の画像処理装置。
前記作成手段は、前記指定手段によって同一群に指定された前記対象画像に対して、同一の値のパラメーターを用いた画像処理を施す
ことを特徴とする第1項から第8項の何れか一項に記載の画像処理装置。
前記特定の生体物質の位置を前記蛍光粒子の蛍光に基づく蛍光輝点で表す、前記画像と同一視野範囲の蛍光画像を入力する蛍光画像入力手段を備え、
前記蛍光画像における前記蛍光輝点の位置を抽出する蛍光輝点抽出手段を備え、
前記作成手段は、前記候補画像と前記蛍光輝点の位置に基づいた前記パラメーターを用いて画像処理を施す
ことを特徴とする第1項から第9項の何れか一項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第10項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第1項から第11項の何れか一項に記載の画像処理装置。
ことを特徴とする第12項に記載の画像処理装置。
前記画像を入力する細胞画像入力工程と、
前記画像内に一又は複数の対象画像を設定する設定工程と、
前記対象画像のそれぞれに対して、所定のパラメーターを用いた画像処理を施して複数の候補画像を作成する作成工程と、
前記作成工程によって作成された前記複数の候補画像を表示する表示工程と、
ユーザー操作を介して前記複数の候補画像の一つを選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された一つの候補画像を関心画像として確定する確定工程を備える
ことを特徴とする画像処理方法。
前記画像を入力する細胞画像入力手段、
前記画像内に一又は複数の対象画像を設定する設定手段、
前記対象画像のそれぞれに対して、所定のパラメーターを用いた画像処理を施して複数の候補画像を作成する作成手段、
前記作成手段によって作成された前記複数の候補画像を表示する表示手段、
ユーザー操作を介して前記複数の候補画像の一つを選択する選択手段、
前記選択手段により選択された一つの候補画像を関心画像として確定する確定手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
図1に、本発明の画像処理装置を備えた病理診断支援システム10の全体構成例を示す。
病理診断支援システム10は、所定の染色試薬で染色された人体の組織切片の顕微鏡画像を取得し、取得された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織切片における特定の生体物質の発現を定量的に表す特徴量を出力するシステムである。
顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2Aとの接続方式は特に限定されない。たとえば、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2AはLAN(Local Area Network)により接続されることとしてもよいし、無線により接続される構成としてもよい。
顕微鏡画像取得装置1Aは、照射手段、結像手段、撮像手段、通信I/Fなどを備えて構成されている。照射手段は、光源、フィルターなどにより構成され、スライド固定ステージに載置されたスライド上の組織切片に光を照射する。結像手段は、接眼レンズ、対物レンズなどにより構成され、照射した光によりスライド上の組織切片から発せられる透過光、反射光、または蛍光を結像する。撮像手段は、CCD(Charge Coupled Device)センサーなどを備え、結像手段により結像面に結像される像を撮像して顕微鏡画像のデジタル画像データを生成する顕微鏡設置カメラである。通信I/Fは、生成された顕微鏡画像の画像データを画像処理装置2Aに送信する。
顕微鏡画像取得装置1Aでは、明視野観察に適した照射手段および結像手段を組み合わせた明視野ユニット、蛍光観察に適した照射手段および結像手段を組み合わせた蛍光ユニットが備えられており、ユニットを切り替えることにより明視野/蛍光を切り替えることが可能である。
図2に、画像処理装置2Aの機能構成例を示す。
図2に示すように、画像処理装置2Aは、制御部21、操作部22、表示部23、通信I/F24、記憶部25などを備えて構成され、各部はバス26を介して接続されている。
たとえば、制御部21は、記憶部25に記憶されている画像処理プログラムとの協働により画像解析処理(図3参照)を実行し、設定手段、作成手段、選択手段、確定手段、判断手段、評価手段、表示候補画像選択手段、指定手段、及び蛍光輝点抽出手段としての機能を実現する。
その他、画像処理装置2Aは、LANアダプターやルーターなどを備え、LANなどの通信ネットワークを介して外部機器と接続される構成としてもよい。
「明視野画像」とは、ヘマトキシリン染色試薬(H染色試薬)、ヘマトキシリン-エオジン染色試薬(HE染色試薬)を用いて染色された組織切片を、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて明視野で拡大結像および撮影することにより得られる顕微鏡画像であって、当該組織切片における細胞の形態を表す細胞形態画像である。ヘマトキシリン(H)は青紫色の色素であり、細胞核、骨組織、軟骨組織の一部、漿液成分など(好塩基性の組織など)を染色する。エオジン(E)は赤~ピンク色の色素であり、細胞質、軟部組織の結合組織、赤血球、線維素、内分泌顆粒など(好酸性の組織など)を染色する。
「蛍光画像」とは、蛍光染色試薬を用いて染色された組織切片に対し、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて所定波長の励起光を照射して蛍光発光させ、この蛍光を拡大結像および撮影することにより得られる顕微鏡画像である。
「蛍光染色試薬」とは、特定の生体物質と特異的に結合および/または反応する生体物質認識部位が結合した蛍光物質内包ナノ粒子を含む染色試薬であり、「蛍光物質内包ナノ粒子」とは蛍光物質を内包したナノ粒子である(以下、蛍光粒子)。
蛍光画像に現れる蛍光は、蛍光染色試薬の蛍光物質内包ナノ粒子(蛍光物質)が励起して発光したものであり、組織切片における、生体物質認識部位に対応する特定の生体物質の発現を示すものである。
蛍光染色試薬や当該蛍光染色試薬を用いた組織切片の染色方法について説明する。
蛍光染色試薬に用いられる蛍光物質としては、蛍光有機色素および量子ドット(半導体粒子)を挙げることができる。200~700nmの範囲内の波長の紫外~近赤外光により励起されたときに、400~1100nmの範囲内の波長の可視~近赤外光の発光を示すことが好ましい。
具体的には、5-カルボキシ-フルオレセイン、6-カルボキシ-フルオレセイン、5,6-ジカルボキシ-フルオレセイン、6-カルボキシ-2’,4,4’,5’,7,7’-ヘキサクロロフルオレセイン、6-カルボキシ-2’,4,7,7’-テトラクロロフルオレセイン、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5-カルボキシ-ローダミン、6-カルボキシ-ローダミン、5,6-ジカルボキシ-ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X-ローダミン、およびAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7などを挙げることができる。これら蛍光有機色素は単独で使用されてもよいし、複数種を混合して使用されてもよい。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
たとえば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnSなどを用いることができるが、これらに限定されない。
「蛍光物質内包ナノ粒子」とは、上記のとおり蛍光物質を内包したナノ粒子であって、詳しくは蛍光物質をナノ粒子の内部に分散させたものをいい、蛍光物質とナノ粒子自体とが化学的に結合していてもよいし、結合していなくてもよい。
ナノ粒子を構成する素材は特に限定されるものではなく、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、メラミンなどを挙げることができる。
たとえば、蛍光有機色素を内包したシリカナノ粒子は、ラングミュア 8巻 2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカ粒子の合成を参考に合成することができる。FITCの代わりに所望の蛍光有機色素を用いることで種々の蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を合成することができる。
量子ドットを内包したシリカナノ粒子は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー 33巻 561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考に合成することができる。
蛍光有機色素を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への蛍光有機色素の含浸法を用いて作製することができる。
量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数の粒子について断面積を計測し、各計測値を円の面積としたときの円の直径を粒径として求めた値である。本実施形態では、1000個の粒子の粒径の算術平均を平均粒径とする。変動係数も、1000個の粒子の粒径分布から算出した値とする。
「生体物質認識部位」とは、特定の生体物質と特異的に結合および/または反応する部位である。
特定の生体物質としては、それと特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではないが、代表的にはタンパク質(ペプチド)および核酸(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)などが挙げられる。
したがって、生体物質認識部位としては、前記タンパク質を抗原として認識する抗体やその抗体に特異的に結合する他のタンパク質など、および前記核酸にハイブリタイズする塩基配列を有する核酸などが挙げられる。
具体的な生体物質認識部位としては、細胞表面に存在するタンパク質であるHER2に特異的に結合する抗HER2抗体、細胞核に存在するエストロゲン受容体(ER)に特異的に結合する抗ER抗体、細胞骨格を形成するアクチンに特異的に結合する抗アクチン抗体などが挙げられる。
中でも、抗HER2抗体および抗ER抗体を蛍光物質内包ナノ粒子に結合させたもの(蛍光染色試薬)は、乳癌の投薬選定に用いることができ、好ましい。
たとえば、無機物と有機物を結合させるために広く用いられている化合物であるシランカップリング剤を用いることができる。このシランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるアルコキシシリル基を有し、他端に、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基などの官能基を有する化合物であり、上記シラノール基の酸素原子を介して無機物と結合する。
具体的には、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリエチレングリコール鎖をもつシランカップリング剤(たとえば、Gelest社製PEG-silane no.SIM6492.7)などが挙げられる。
シランカップリング剤を用いる場合、2種以上を併用してもよい。
たとえば、得られた蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を純水中に分散させ、アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、室温で12時間反応させる。反応終了後、遠心分離またはろ過により表面がアミノプロピル基で修飾された蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を得ることができる。続いてアミノ基と抗体中のカルボキシル基とを反応させることで、アミド結合を介し抗体を蛍光有機色素内包シリカナノ粒子と結合させることができる。必要に応じて、EDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride:Pierce(登録商標)社製)のような縮合剤を用いることもできる。
下記染色方法は病理組織切片に限定せず、培養細胞にも適用可能である。
組織切片の作製方法は特に限定されず、公知の方法により作製されたものを用いることができる。
キシレンを入れた容器に組織切片を浸漬させ、パラフィンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。
次いで、エタノールを入れた容器に組織切片を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。
次いで、水を入れた容器に組織切片を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
公知の方法にならい、組織切片の生体物質の賦活化処理を行う。
賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01Mクエン酸緩衝液(pH6.0)、1mMEDTA溶液(pH8.0)、5%尿素、0.1Mトリス塩酸緩衝液などを用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバスなどを用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50-130℃、時間は5-30分で行うことができる。
次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の組織切片を浸漬させ、洗浄を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
蛍光染色試薬のPBS分散液を組織切片に載せ、組織切片の生体物質と反応させる。
蛍光染色試薬の生体物質認識部位を変えることにより、さまざまな生体物質に対応した染色が可能となる。蛍光染色試薬として、数種類の生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いる場合には、それぞれの蛍光物質内包ナノ粒子PBS分散液を予め混合しておいてもよいし、別々に順次組織切片に載せてもよい。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。反応時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。
蛍光染色試薬による染色を行う前に、BSA含有PBSなど、公知のブロッキング剤を滴下することが好ましい。
次いで、PBSを入れた容器に、染色後の組織切片を浸漬させ、未反応の蛍光物質内包ナノ粒子の除去を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。カバーガラスを組織切片に載せ、封入する。必要に応じて市販の封入剤を使用してもよい。
なお、HE染色試薬を用いるHE染色はカバーガラスによる封入前に行う。
染色した組織切片に対し顕微鏡画像取得装置1Aを用いて、広視野の顕微鏡画像(蛍光画像)を取得する。顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、蛍光染色試薬に用いた蛍光物質の吸収極大波長および蛍光波長に対応した励起光源と蛍光検出用光学フィルターとを選択する。
蛍光画像の視野は、3mm2以上であることが好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、300mm2以上であることがさらに好ましい。
以下、病理診断支援システム10において、上記説明した明視野画像および蛍光画像からを取得して本発明の画像処理方法を用いて関心画像を作成する動作について、病理診断情報の生成を行う工程を合わせて説明する。ここでは、特定の生体物質としてHER2タンパクが染色された乳癌組織の組織切片を観察対象とし、細胞の領域を関心領域として抽出した画像を関心画像とする。
その後、顕微鏡画像取得装置1Aを用いて、(a1)~(a5)の手順により明視野画像および蛍光画像を取得する。
(a1)操作者は、HE染色試薬と蛍光染色試薬とにより染色された組織切片をスライドに載置し、そのスライドを顕微鏡画像取得装置1Aのスライド固定ステージに設置する。
(a2)ユニットを明視野ユニットに設定し、撮影倍率、及びピントの調整を行い、組織切片上の観察対象の領域を視野に納める。
(a3)撮像手段で撮影を行って明視野画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
(a4)ユニットを蛍光ユニットに変更する。
(a5)視野および撮影倍率を変えずに撮像手段で撮影を行って蛍光画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
図3に、画像解析処理のフローチャートを示す。
図3に示す画像解析処理は、制御部21と記憶部25に記憶されている画像処理プログラムとの協働により実行され、制御部21はその画像処理プログラムにしたがって下記の処理を実行する。
ステップS2では、図4に示されるとおり、蛍光画像から蛍光輝点の波長に応じた色成分を抽出し(ステップS201)、色成分抽出後の蛍光画像に閾値処理を施して二値画像を生成する(ステップS202)。ステップS201~S202により、蛍光画像から蛍光輝点が抽出された画像(蛍光輝点画像)が生成される。
ステップS201では、たとえば、蛍光粒子の発光波長が550nmである場合には、その波長成分を有する蛍光輝点のみが画像として抽出される。ステップS202の閾値処理の前に、細胞自家蛍光や他の不要信号成分などのノイズを除去する処理が施されてもよい。
制御部21は、まず、明視野画像をモノクロ画像に変換する(ステップS301)。次いで、モノクロ画像に対し、予め定められた閾値で閾値処理を施して各画素の値を二値化し(ステップS302)、二値画像にノイズ処理、膨張処理等の画像処理を実行して、対象画像を設定する(ステップS303)。図8Aは明視野画像の一例であり、設定された対象画像が点線に囲まれて示されている。
ステップS303におけるノイズ処理は、具体的には、二値画像にクロージング処理を施すことにより行うことができる。クロージング処理は、膨張処理を行ってから同じ回数分だけ収縮処理を行う処理である。膨張処理は、注目画素からn×n画素(nは2以上の整数)の範囲内にある画素に1つでも黒が含まれている場合に注目画素を黒に置き換える処理である。収縮処理は、注目画素からn×n画素の範囲内にある画素に1つでも白が含まれている場合に注目画素を白に置き換える処理である。クロージング処理により、ノイズ等の小さい領域を除去することができる。
ステップS301~S303により、明視野画像において細胞を包含する対象画像が設定される。
なお、ステップS2とステップS3との処理は、順番を入れ替えてもよい。
候補画像の作成方法は任意であるが、例えば、対象画像の輝度、色度、又はエッジ等に基づく画像処理を施すことにより作成される。輝度に基づく画像処理を行う場合には、例えば、明視野画像の対象画像中の各画素の輝度値を算出して、閾値をパラメーターとして用いて二値化処理を行い、候補画像を作成する。色度に基づく画像処理を行う場合には、例えば、明視野画像の対象画像中の各画素をRGB分解して、所定の色成分に対して閾値をパラメーターとして用いて二値化処理を行い、候補画像を作成する。エッジに基づく画像処理を行う場合には、細胞のエッジを抽出する画像処理におけるパラメーターを変えて複数の候補画像を作成する。
上記のような各画像処理において用いるパラメーターの値を所定の範囲内で変化させることにより、複数の候補画像が作成される。パラメーターの値の範囲は、組織標本や関心画像の種類、明視野画像の撮影条件、などに基づいて任意に設定され得る。
図8Bは、ステップS5で表示される候補画像の一例であり、具体的には、図8Aの全対象領域に対して同一の画像処理(コントラストと明度の調整及び二値化処理)が施されて作成された二値画像である。候補画像の表示方法は任意であるが、例えば、図8Bに示されるような二値画像を候補画像として表示する場合には、二値画像の黒い領域の輪郭以外の部分を透明化した候補画像と明視野画像を重ね合わせて表示することとすれば、明視野画像と候補画像の比較が容易となる。
なお、ユーザーによる操作は、スライドバーのスライダの操作に限られるものではなく、例えば、マウスのスクロール操作、キーボード操作等、公知の任意の操作方法を用いてよい。
例えば、図7は、膨張の程度を指定するパラメーターX及び円形度を指定するパラメーターYを用いて画像処理を施した複数の候補画像を表示した例を示す。図7では、パラメーターX及びYをそれぞれ横軸及び縦軸とした二次元座標上の、画像処理に用いた各パラメーターの値に対応する位置に候補画像が表示されている。
また、複数のパラメーターを用いた画像処理を行う場合には、まず、何れか一つのパラメーターの値を変化させる画像処理を施した複数の候補画像を、例えば図6Aと同様に表示し、ユーザーが1つの候補画像5を選択すると、選択された候補画像5に対して、さらに別のパラメーターの値を変化させる画像処理を施した複数の候補画像が表示されることとしてもよい。
ユーザーが候補画像5の一つを選択する方法は任意であるが、例えば、複数の候補画像5が図6Aのように表示されている場合には、ユーザーが操作部22(例えば、マウス操作やタッチペンの操作)を介して候補画像5の一つを選択する。また、図6Bのようにスライドバーのスライダ操作等によって表示される候補画像5が変化する場合には、例えば所望の候補画像5が表示されている時に、ユーザーが操作部22を介して所定の動作(例えば、所定のキー操作又はマウスやタッチペンによる操作)を行うことによって、その時点で表示されている候補画像5を選択する。
図8Cは、図8Aの明視野画像から作成された関心画像の一例であり、黒で示された領域が、関心領域である。
制御部21は、明視野画像の全体において、所定の特徴量の分布に偏りがあるか否かを定量的に判断し(判断工程)、偏りが所定の程度より少ない場合には、明視野画像全体を一つの対象画像として設定してもよい。変形例1によれば、明視野画像の全体において特徴量の分布に偏りがない場合には、画像の一部のみに、部分的な調整を行う必要がないとみなすことができるため、画像全体に一括して画像処理を施す従来の画像処理と同様の処理を行うこととなる。
明視野画像の特徴量としては、例えば、コントラスト、グレースケール変換した諧調値、光学濃度平均、テクスチャ、及び色など、公知の任意のものを用いてよい。
本発明の画像処理装置は、上記実施例のステップS3で設定される対象画像をグループ化した対象画像群を指定する指定手段を備えてもよい。
以下、変形例2の画像処理を、図9のフローチャートを用いて具体的に説明する。なお、上述した実施例の画像処理と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については説明を省略する。
なお、ステップS104において、例えば明視野画像上に対象画像の輪郭が表示されていることとすれば、明視野画像全体と対象画像を比較が容易であり、特徴量が似ている対象画像を容易に選択してグループ化できるため好ましい。指定工程では、グループ化したい対象画像を、一つ一つ選択して指定しても良いし、又は、グループ化したい対象画像をマウス操作等により囲むことによって指定しても良い。
なお、1つの明視野画像に対して指定される対象画像群の数は任意である。また、グループ化されない対象画像があっても良い。
ステップS109~S111の処理は、実施例のステップS8~S10の処理と同様である。
上記実施例において、ステップS4の工程で作成された各候補画像が正しい関心画像であるか否かを評価する工程を備えても良い。具体的には、制御部21は、例えば、候補画像の特徴量と、予め記憶部25に記憶されている、標準的な関心領域の特徴量に基づいて、候補画像が正しい関心画像であるか否かを評価する。
評価に用いる特徴量は、例えば、各領域の周囲長、面積、モーメント、楕円近似における適合度、長軸の長さ、離心率、又は楕円率(短径と長径の比)、形状、又は各領域に対応する部位の明視野画像のコントラスト、グレースケール変換した諧調値、光学濃度平均、テクスチャ、色、など任意のものが挙げられる。なお、評価の結果を定量化した評価値が算出されることとすれば、以下に説明するように、評価値に基づいて、正しい関心画像である可能性が高い候補画像を容易に選択可能となるため好ましい。
これにより、ユーザーは評価値に基づいて容易に候補画像を選択することができる。
また、候補画像の特徴量と、予め記憶部に記憶されている標準的な関心領域の特徴量に基づいて、表示候補画像選択工程を以下のように行ってもよい。
例えば、標準的な関心領域(ここでは、細胞の領域)の面積に対して、ステップS5で表示された候補画像に表されている関心領域の面積が小さい場合には、図11に示されるように、ステップS5で表示された候補画像4に、さらに統合処理または膨張処理を施した候補画像5をステップS6において表示することが好ましい。また、例えば、標準的な関心領域の面積に対して、ステップS5で表示された候補画像に表されている関心領域の面積が大きい場合には、図6Aに示されるように、ステップS5で表示された候補画像4に対して、さらに分割処理または縮小処理を施した候補画像5を、ステップS6において表示することが好ましい。
ステップS6で表示する候補画像をこのように選択することにより、ステップS6においては、特に正しい関心画像である可能性が高い候補画像のみが表示され、無駄な画像が表示されないため、画像処理の効率が高いという利点がある。
また、上記実施例において、例えば、細胞当たりのHER2タンパクの発現が癌の悪性度の指標となることを利用して、ステップS2で抽出されたHER2タンパクの発現を表す蛍光輝点画像を用いて画像処理を行っても良い。
実施例のステップS5の候補画像の表示工程において蛍光輝点画像を用いる場合、例えば、各蛍光輝点から候補画像に表される関心領域までの最短距離を算出し、その距離の総和が最小となるような候補画像を表示することができる。また、例えば、候補画像に表される関心領域における蛍光輝点の密度を算出し、最も高密度な候補画像を表示しても良い。
また、対象画像の輝度、色度、及びエッジの少なくとも1つをパラメーターとして変化させる画像処理を施して候補画像を作成し、複数のパラメーターを変化させる画像処理を施した場合には、多次元空間において、各次元軸に相異なるパラメーターを設定し、設定されたパラメーターの値に対応する位置に候補画像を表示したり、また、各候補画像が正しい関心画像であるか否かの評価結果に基づいて、候補画像の表示方法、表示する候補画像、等を変えたりすることにより、ユーザーが正しい関心画像である可能性が高い候補画像を容易に選択できる。
例えば、実施例において、ステップS3の対象画像の設定に続けて、ステップS5の工程において候補画像の代わりに対象画像を表示し、ユーザーが対象画像の1つを選択すると、選択された対象画像に対して実施例のステップS4と同様に候補画像を作成の工程を行うこととしても良い。
特定の生体物質の例として乳癌におけるHER2タンパクを挙げたが、これに限定されない。診断対象となる病変(がん)種に応じて、蛍光画像を取得する際の生体物質認識部位を異なるものとすれば、病変種に応じた生体物質の発現を医師に提供することが可能となる。
その他、病理診断支援システム10を構成する各装置の細部構成および細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
2A 画像処理装置
3A ケーブル
10 病理診断支援システム
21 制御部(設定手段、作成手段、表示手段、選択手段、確定手段、判断手段、評価手段、表示候補画像選択手段、指定手段、蛍光輝点抽出手段)
22 操作部
23 表示部
24 通信I/F(細胞画像入力手段、蛍光画像入力手段)
25 記憶部
26 バス
Claims (15)
- 標本内の細胞を撮影した画像から関心画像を作成する画像処理装置において、
前記画像を入力する細胞画像入力手段と、
前記画像内に一又は複数の対象画像を設定する設定手段と、
前記対象画像のそれぞれに対して、所定のパラメーターを用いた画像処理を施して複数の候補画像を作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された前記複数の候補画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記画像における所定の特徴量の偏りを定量的に判断する判断手段を備え、
前記判断手段により前記特徴量の偏りが所定の基準よりも大きいと判断された場合、前記設定手段は前記特徴量に基づいて複数の前記対象画像を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記標本において、細胞又は細胞核が染色されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。 - 前記作成手段は、ユーザーによる操作を介して前記パラメーターの値を連続的に変化させた前記候補画像を作成する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記作成手段は、前記対象画像の輝度、色度、及びエッジのうち少なくとも1つを前記パラメーターとして用いた画像処理を施す
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記作成手段は、複数のパラメーターを用いて前記対象画像に画像処理を施し、
前記表示手段は、各次元軸に相異なるパラメーターを設定し、設定されたパラメーターの値に対応する位置に前記候補画像を配置して表示する
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記候補画像の面積、周囲長、円形度、及び楕円率のうち少なくとも1つに基づいて、前記候補画像が前記関心画像であるか否かを評価する評価値を算出して評価する評価手段を備え、
前記表示手段は、前記パラメーターの値が互いに異なる複数の前記候補画像を表示する際、前記評価値に基づいて複数の前記候補画像の配置を決定して表示する
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記表示手段に表示する前記複数の候補画像として、画像処理に用いられた前記パラメーターの値が所定の範囲内である候補画像をユーザー操作により選択する表示候補画像選択手段を備える
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記対象画像に群を指定する指定手段を備え、
前記作成手段は、前記指定手段によって同一群に指定された前記対象画像に対して、同一の値のパラメーターを用いた画像処理を施す
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記標本は、蛍光物質を集積した蛍光粒子によって特定の生体物質が染色された標本であり、
前記特定の生体物質の位置を前記蛍光粒子の蛍光に基づく蛍光輝点で表す、前記画像と同一視野範囲の蛍光画像を入力する蛍光画像入力手段を備え、
前記蛍光画像における前記蛍光輝点の位置を抽出する蛍光輝点抽出手段を備え、
前記作成手段は、前記候補画像と前記蛍光輝点の位置に基づいた前記パラメーターを用いて画像処理を施す
ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記表示手段は、前記蛍光画像の前記対象画像と同一範囲の画像を前記候補画像と重ね合わせて表示する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。 - ユーザー操作を介して前記複数の候補画像の一つを選択する選択手段を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項11の何れか一項に記載の画像処理装置。 - 前記選択手段により選択された候補画像を関心画像として確定する確定手段を備える
ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。 - 標本内の細胞を撮影した画像から関心画像を作成する画像処理方法において、
前記画像を入力する細胞画像入力工程と、
前記画像内に一又は複数の対象画像を設定する設定工程と、
前記対象画像のそれぞれに対して、所定のパラメーターを用いた画像処理を施して複数の候補画像を作成する作成工程と、
前記作成工程によって作成された前記複数の候補画像を表示する表示工程を備える
ことを特徴とする画像処理方法。 - 標本内の細胞を撮影した画像から関心画像を作成するコンピュータを、
前記画像を入力する細胞画像入力手段、
前記画像内に一又は複数の対象画像を設定する設定手段、
前記対象画像のそれぞれに対して、所定のパラメーターを用いた画像処理を施して複数の候補画像を作成する作成手段、
前記作成手段によって作成された前記複数の候補画像を表示する表示手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
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