WO2013132595A1 - レンズ位置調整装置およびそれを備えた映像機器 - Google Patents

Abstract

　構成が簡単で、かつ無段階の位置調整が可能で微調整が行えるレンズ位置調整装置を提供する。　レンズ位置調整装置が、筐体（エンジンカバー２）と、エンジンカバー２に保持されている調整用部材（シム５）と、シム５に取り付けられている、レンズ３を保持するレンズホルダー４と、を含む。レンズホルダー４はシム５と摺動可能に取り付けられ、その取り付け位置に応じて、保持しているレンズ３とエンジンカバー２との距離が連続的に変化する。

Description

レンズ位置調整装置およびそれを備えた映像機器

　本発明は、レンズ位置調整装置と、それを備えたプロジェクタ等の映像機器に関する。

　プロジェクタ等の映像機器には、内蔵されているレンズを所定の位置に精度良く配置するためにレンズ位置調整装置が設けられている（特許文献１～３参照）。レンズ位置調整装置の一例を図１１～１３に示している。図１１，１２に示すように、レンズ１１はレンズホルダー１２に溶着されて固定されている。レンズホルダー１２の係合部１２ａが、１つまたは複数のシム１３（図１３参照）を介して、筐体の一部であるエンジンカバー１４に係合している。係合部１２ａに設けられている、レンズ１１の光軸に直交する方向の長穴１２ｂと、シム１３の切り欠き部１３ａ（図１３参照）とを貫通するネジ１５が、エンジンカバー１４にねじ込まれて、レンズホルダー１２がエンジンカバー１４に固定されている。このレンズ位置調整装置では、レンズ１１はレンズホルダー１２に溶着されているため、レンズホルダー１２の移動可能な範囲内でレンズ１１の位置が調整可能である。レンズ１１とエンジンカバー１４との距離が変化しないような方向、すなわち、レンズ１１の光軸に直交しエンジンカバー１４の表面に平行な方向（左右方向）には、ネジ１５が長穴１２ｂ内で移動可能な範囲内で、レンズ１１およびレンズホルダー１２の位置を連続的に調整可能である。一方、レンズ１１とエンジンカバー１４との距離が変化する、レンズ１１の光軸とエンジンカバー１４の表面とに直交する方向（上下方向）における、レンズ１１およびレンズホルダー１２の位置調整は、レンズホルダー１２とエンジンカバー１４の間に位置するシム１３の数を変えることによって行われる。

特開２００９－２５１２０７号公報 特開２００２－１８９２４９号公報 特開２０００－３３０１９４号公報

　前記した図１１～１３に示すレンズ調整装置では、使用するシム１３の数によってレンズ１１およびレンズホルダー１２の上下方向の位置調整を行うため、段階的な調整しか行えず微調整ができない。また、シム１３を抜差ししなければならないため、作業が複雑になり調整時間が長いという問題がある。

　このように、プロジェクタ等の映像機器のレンズ位置調整装置は、レンズの光軸とエンジンカバー１４の表面とに直交する上下方向の調整部や、左右方向の調整部等の複数の調整部を備えているため、構成が複雑である。また、特に上下方向の調整部は、段階的な調整しか行えず微調整ができないものがある。

　そこで本発明の目的は、前記した問題を解決し、構成が簡単で、かつ無段階の位置調整が可能で微調整が行えるレンズ位置調整装置と、それを備えた映像機器を提供することにある。

　本発明のレンズ位置調整装置は、筐体と、筐体に保持されている調整用部材と、調整用部材に取り付けられている、レンズを保持するレンズホルダーと、を含む。レンズホルダーは調整用部材と摺動可能に取り付けられ、その取り付け位置に応じて、保持しているレンズと筐体との距離が連続的に変化する。

　本発明によると、映像機器に内蔵されているレンズを、容易かつ無段階に位置調整可能であって微調整が可能であり、構成が簡単なレンズ位置調整装置と、それを備えた映像機器が実現する。

本発明の映像機器の要部をなす筐体を示す斜視図である。 本発明の第１の実施形態のレンズ位置調整装置を示す斜視図である。 図２に示すレンズ位置調整装置の断面図である。 図１，２に示すレンズ位置調整装置のシムを示す拡大斜視図である。 本発明の第２の実施形態のレンズ位置調整装置を示す斜視図である。 図５に示すレンズ位置調整装置の断面図である。 図５，６に示すレンズ位置調整装置の調整台を示す拡大斜視図である。 図５，６に示すレンズ位置調整装置のレンズホルダーを示す拡大斜視図である。 図８に示すレンズホルダーのヒンジ部のリブが、図７に示す調整台の立ち上げ方向長穴から脱出した状態を示す断面図である。 図８に示すレンズホルダーのヒンジ部のリブが、図７に示す調整台の立ち上げ方向長穴に挿入された状態を示す斜視図である。 関連技術のレンズ位置調整装置を示す斜視図である。 図１１に示すレンズ位置調整装置の断面図である。 図１１，１２に示すレンズ位置調整装置のシムを示す拡大斜視図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。

　図１に、本発明の映像機器の一例であるプロジェクタの要部であるエンジンが示されており、このエンジンは、エンジンシャーシ１とエンジンカバー２とから構成された筐体と、この筐体に内蔵または付属している光源（図示せず）と、液晶素子等の画像形成素子（図示せず）と、複数のレンズやプリズム等の光学素子とを含む。光学素子のうちの１つのレンズ３を保持しているレンズ位置調整装置が、図２，３に示されている。図２，３に示すレンズ位置調整装置では、筐体の一部であるエンジンカバー２に、調整用部材の一例であるシム５が移動可能に保持され、シム５にレンズホルダー４が取り付けられている。そして、ネジ８，９によって、シム５およびレンズホルダー４がエンジンカバー２に固定されている。レンズホルダー４にはレンズ３が保持されている。

　図４に拡大して示すように、本実施形態のシム５は、高さが連続的に変化する傾斜面５ａと、高さが一定であり傾斜面５ａの最も板厚の厚い部分よりも板厚が薄い平坦面５ｂとを有している。傾斜面５ａには、ネジ８が挿通可能な移動方向長穴５ｃが設けられ、平坦面５ａには、ネジ９が挿通可能な移動方向長穴５ｄが設けられている。移動方向長穴５ｃと移動方向長穴５ｄは、同じ方向に延びており、この方向は、レンズホルダー４が取り付けられた状態でレンズ３の光軸方向（厚さ方向）に平行であるとともに、傾斜面５ａの高さが変化する方向に平行な方向である。シム５の裏面側（図３の下側）は平坦であり、エンジンカバー２の平坦な表面上に置かれる。シム５は、傾斜面５ａの、後述するレンズホルダー４の係合部４ｂの当接部である対応傾斜面４ｃと当接する位置を変えるように、レンズホルダー４に対して移動可能に、エンジンカバー２上に保持されている。

　レンズホルダー４は、レンズ３を保持するレンズ保持部４ａと、レンズ保持部４ａから実質的に直角に屈曲して形成されており、シム５を介してエンジンカバー２に係合する係合部４ｂとを有している。そして、係合部４ｂの裏面側には、シム５の傾斜面５ａに当接する当接部である対応傾斜面４ｃが設けられている。シム５の傾斜面５ａの移動方向長穴５ｄの一部と対向するとともに、移動方向長穴５ｃ，５ｄの延びる方向およびレンズ３の光軸方向に直交する方向に延びており、ネジ８が挿通可能なホルダー側長穴４ｄが、係合部４ｂに形成されている。

　エンジンカバー２の表面上にシム５が置かれ、ネジ９がシム５の移動方向長穴５ｃを貫通して、エンジンカバー２の図示しないねじ穴にねじ込まれることによって、エンジンカバー２にシム５が固定されている。そして、シム５の傾斜面５ａ上に、レンズホルダー４の係合部４ｂの対応傾斜面４ｃが置かれ、ネジ８が、レンズホルダー４の係合部４ｂのホルダー側長穴４ｄとシム５の傾斜面５ａの移動方向長穴５ｄを貫通して、エンジンカバー２の図示しないねじ穴にねじ込まれることによって、レンズホルダー４がシム５を介してエンジンカバー２に固定されている。

　この構成において、レンズ３とエンジンカバーとの距離が変化しない、レンズ３の光軸方向に直交しエンジンカバー２の表面に平行な左右方向において、レンズ３の位置を調整する場合には、ネジ８を緩めた状態で、レンズホルダー４を左右方向に移動させる。そうすると、ネジ８がホルダー側長穴４ｄ内に保持されつつホルダー側長穴４ｄ内で移動可能な範囲内で、レンズホルダー４がエンジンカバー２に対してホルダー側長穴４ｄの長手方向（左右方向）に沿って移動する。従って、レンズホルダー４に保持されているレンズ３の左右方向の位置調整が行われる。なお、図２に示す例では、エンジンカバー２に設けられた１対のガイドピン２ａが、ネジ８の両側において長穴４ｄ内に挿入されているため、レンズホルダー４の左右方向への移動は、ガイドピン２ａにガイドされて平行移動として行われる。

　また、レンズ３の光軸方向とエンジンカバー２の表面とに直交する上下方向におけるレンズ３の位置を調整する場合には、ネジ８，９を緩めた状態で、ネジ８，９が移動方向長穴５ｃ，５ｄ内に保持されつつ移動方向長穴５ｃ，５ｄ内で移動可能な範囲内で、シム５を長手方向（レンズ３の光軸方向）に移動させる。シム５が移動すると、対応傾斜面４ｃが傾斜面５ａ上を摺動するように、レンズホルダー４がシム５に対して相対移動する。この摺動により、シム５の傾斜面５の、レンズホルダー４の対応傾斜面４ｃに当接する位置（レンズホルダー４のシムに対する取り付け位置）が変わる。すなわち、レンズホルダー４の対応傾斜面４に当接する部分におけるシム５の傾斜面５の高さが変わる。このことは、エンジンカバー２に対するレンズホルダー４の上下方向の位置が連続的に変わり、それに応じて、レンズホルダー４に保持されているレンズ３とエンジンカバー２との距離が連続的に変わることを意味する。このようにして、レンズ３の上下方向の位置調整が行われる。なお、移動方向長穴５ｄ内でのネジ８の摺動と、移動方向長穴５ｃ内でのネジ９の摺動とが同時に行われるため、シム５の移動およびレンズホルダー４の上下方向への移動は平行移動として行われる。

　このようにして左右方向および上下方向の位置調整が完了したら、ネジ８，９を締めて、レンズ３を保持したレンズホルダー４をエンジンカバー２に固定する。

　以上説明したように、本実施形態によると、レンズホルダー４のシム５に対する相対移動による対応傾斜面４ｃの傾斜面５ａ上での摺動および移動方向長穴５ｃ，５ｄ内でのネジ８，９の摺動と、ホルダー側長穴４ｄ内でのネジ８の摺動とによって、左右方向および上下方向のレンズ３の位置調整が行えるため、無段階の位置調整が可能である。シム５の数を変える必要がないためシム５を抜き差しする必要がなく、作業が容易で作業時間が短くて済む。また、主にシム５の移動方向長穴５ｃ，５ｄおよび傾斜面５ａと、レンズホルダー４のホルダー側長穴４ｄおよび対応傾斜面４ｃと、ネジ８，９とによって位置調整装置が構成されているため、構成が非常に簡単である。

　次に、本発明の他の実施形態のレンズ位置調整装置について説明する。

　図５～６に示すレンズ位置調整装置は、調整用部材として、シム５に代えて調整台６（図７参照）が、エンジンカバー２とレンズホルダー７の間に位置している。調整台６は、エンジンカバー２の平坦な表面上に置かれる平面部６ａと、平面部６ａから直角に屈曲して上方に延びる立ち上げ部６ｂとからなるＬ字形状を有している。平面部６ａには、後述する立ち上げ方向に直交するとともにレンズ３の光軸に直交する左右方向に延びてネジ１０が挿通可能な横方向長穴６ｃが設けられている。立ち上げ部６ｂには、立ち上げ方向（上下方向）に延びる立ち上げ方向長穴６ｄが設けられている。

　本実施形態のレンズホルダー７（図８参照）は、リブ７ｂと係止部７ｃを有する変位可能なヒンジ部７ａを有している。ヒンジ部７ａに設けられたリブ７ｂが、調整台６の立ち上げ部６ｂに設けられた立ち上げ方向長穴６ｄ内に挿入される。係止部７ｃが立ち上げ部６ｂの両側辺に係合することによって、レンズホルダー７が調整台６に摺動可能に取り付けられている。

　この構成において、レンズ３とエンジンカバーとの距離が変化しない左右方向におけるレンズ３の位置を調整する場合には、横方向長穴６ｃを貫通するネジ１０を緩めた状態で、レンズホルダー７を左右方向に移動させる。そうすると、ネジ１０が横方向長穴６ｃ内に保持されつつ横方向長穴６ｃ内で移動可能な範囲内で、レンズホルダー７がエンジンカバー２に対して左右方向に移動し、レンズホルダー４に保持されているレンズ３の左右方向の位置調整が行われる。なお、エンジンカバー２に設けられた１対のガイドピン２ａが、ネジ１０の両側において長穴６ｃ内に挿入され、レンズホルダー７の左右方向への移動は、ガイドピン２ａにガイドされて平行移動として行われる。

　上下方向におけるレンズ３の位置を調整する場合には、図９に示すようにヒンジ部７ａのリブ７ｂを調整台６の長穴６ｄから脱出させた状態で、レンズホルダー７を上下方向（立ち上げ方向）に平行に立ち上げ部６ｂに沿って摺動させる。そして、所望の取り付け位置でヒンジ部７ａを変位させて、図５，６，１０に示すようにリブ７ｂを立ち上げ方向長穴６ｄ内に圧入して固定する。爪状の係止部７ｃにより立ち上げ部６ｂを挟んだ状態でリブ７ｂが立ち上げ方向長穴６ｄ内に圧入されることによって、レンズホルダー７が調整台６の所望の位置に固定される。リブ７ｂは立ち上げ方向長穴６ｄのどの部分にも圧入可能であるため、その取り付け位置に応じて、レンズホルダー４に保持されているレンズ３とエンジンカバー２との距離を連続的に変えられる。このようにして、エンジンカバー２に対するレンズホルダー４およびレンズ３の上下方向の位置を規定する。図７，１０に示す例では、１対の立ち上げ方向長穴６ｄと１対のリブ７ｂが設けられているため、レンズホルダー７の上下方向への移動は平行移動として行われる。

　このようにして左右方向および上下方向の位置調整が完了したら、ネジ１０を締めて、レンズ３を保持したレンズホルダー７をエンジンカバー２に固定する。

　本実施形態においては、横方向長穴６ｃ内でのネジ１０の摺動と、レンズホルダー７の立ち上げ部６ｂに沿う摺動およびリブ７ｂの立ち上げ方向長穴６ｄの所望の位置への挿入とによって、左右方向および上下方向のレンズ３の位置調整が行えるため、無段階の位置調整が可能である。レンズ３の位置調整の作業は容易で作業時間が短い。また、主に横方向長穴６ｃおよび立ち上げ方向長穴６ｄを有する調整台６と、レンズホルダー７のリブ７ｂを有するヒンジ部６ａと、ネジ１０とによって位置調整装置が構成されているため、構成が非常に簡単である。

１　　　エンジンシャーシ（筐体）
２　　　エンジンカバー（筐体）
３　　　レンズ
４，７　　　レンズホルダー
４ｂ　　係合部
４ｃ　　対応傾斜面（当接部）
４ｄ　　ホルダー側長穴
５　　　シム（調整用部材）
５ａ　　傾斜面
５ｃ，５ｄ　　　移動方向長穴
６　　　調整台（調整用部材）
６ａ　　平面部
６ｂ　　立ち上げ部
６ｃ　　横方向長穴
６ｄ　　立ち上げ方向長穴
７ａ　　ヒンジ部
７ｂ　　リブ
８，９，１０　　　ネジ

Claims (9)

1. 　筐体と、該筐体に保持されている調整用部材と、該調整用部材に取り付けられている、レンズを保持するレンズホルダーと、を含み、
   　前記レンズホルダーは前記調整用部材と摺動可能に取り付けられ、その取り付け位置に応じて、保持している前記レンズと前記筐体との距離が連続的に変化する
   　レンズ位置調整装置。
2. 　前記調整用部材は、高さが連続的に変化する傾斜面を有し、前記筐体上に移動可能に保持されているシムであり、
   　前記レンズホルダーは、前記シムの前記傾斜面の一部に当接する当接部を含む係合部を有し、該係合部が前記シムを介して前記筐体に係合しており、前記シムの前記筐体上での移動によって前記当接部が前記傾斜面上を摺動するように前記シムに対して相対移動可能である
   　請求項１に記載のレンズ位置調整装置。
3. 　前記レンズホルダーの前記当接部は、前記シムの前記傾斜面に対応する対応傾斜面である、請求項２に記載のレンズ位置調整装置。
4. 　前記シムは、前記傾斜面の高さが変化する方向と平行な方向に延びる移動方向長穴を有しており、該移動方向長穴に平行に移動可能であり、
   　前記レンズホルダーには、前記シムの前記移動方向長穴の一部に対向するとともに、前記移動方向長穴に直交するとともに前記レンズの光軸に直交する方向に延びるホルダー側長穴が設けられており、
   　前記シムの前記移動方向長穴と前記レンズホルダーの前記ホルダー側長穴とを貫通して前記筐体にねじ込まれるネジをさらに有する
   　請求項２または３に記載のレンズ位置調整装置。
5. 　前記ネジが緩んだ状態では、前記ネジを前記移動方向長穴内に保持しつつ、前記シムが前記移動方向長穴の長手方向に沿って移動可能であるとともに、前記ネジを前記ホルダー側長穴内に保持しつつ、前記レンズホルダーが前記ホルダー側長穴の長手方向に沿って移動可能である、請求項４に記載のレンズ位置調整装置。
6. 　前記調整用部材は、前記筐体上に置かれる平面部と、前記平面部から屈曲して延びる立ち上げ部とを有し、前記立ち上げ部には立ち上げ方向に延びる立ち上げ方向長穴が設けられている調整台であり、
   　前記レンズホルダーは、前記調整台の前記立ち上げ方向長穴に挿入されるリブを備えた変位可能なヒンジ部を有しており、前記リブが前記調整台の前記立ち上げ方向長穴から脱出した状態では前記立ち上げ方向に平行に前記立ち上げ部に沿って摺動可能である
   　請求項１に記載のレンズ位置調整装置。
7. 　前記調整台の前記平面部には、前記立ち上げ方向に直交するとともに前記レンズの光軸に直交する方向に延びる横方向長穴が設けられており、前記調整台の前記横方向長穴を貫通して、前記筐体にねじ込まれるネジをさらに有する、請求項６に記載のレンズ位置調整装置。
8. 　前記ネジが緩んだ状態では、前記ネジを前記横方向長穴内に保持しつつ、前記調整台が前記横方向長穴の長手方向に沿って移動可能である、請求項６または７に記載のレンズ位置調整装置。
9. 　請求項１から８のいずれか１項に記載のレンズ位置調整装置と、光源と、前記光源と前記レンズとの間に位置する画像形成素子と、を含む映像機器。

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