WO2013061675A1

WO2013061675A1 - シガレット類包装製品

Info

Publication number: WO2013061675A1
Application number: PCT/JP2012/070999
Authority: WO
Inventors: 善之山田
Original assignee: 日本たばこ産業株式会社
Priority date: 2011-10-26
Filing date: 2012-08-20
Publication date: 2013-05-02
Also published as: JP2015013647A; TW201325480A

Abstract

　シガレット類包装製品は、包装体と、前記包装体内に収納され、少なくとも内面側に吸着材料を含む内包紙と、前記内包紙内に収納される揮発性香料を含むシガレット類とを備える。

Description

シガレット類包装製品

　本発明は、シガレット類包装製品に関する。

　シガレット類包装製品は、揮発性香料（例えばメンソール）を含むシガレットを包装体（例えば紙製パッケージ）に収納した構造を有する。このようなシガレット類包装製品の蔵置において、揮発性香料の結晶がシガレットに付着してその外観性を損なう。揮発性香料の結晶化は、主に紙製パッケージが置かれた環境温度の低下により生じる。すなわち、シガレット類に含まれる揮発性香料はパッケージ内に一定温度で蔵置すると、揮発性香料が放出して蒸気の状態で飽和する。飽和した揮発性香料蒸気は、温度低下に伴って飽和蒸気圧が低下する。このため、一部蒸気として存在できなくなって余剰物を発生する。余剰物は、パッケージ内壁、パッケージとシガレットの間に存在する紙などに吸収される場合、結晶として析出しない。しかし、余剰物がなんらかの要因で吸収されきらなかった場合、結晶として析出する。このとき、結晶がシガレットに析出すると、シガレットの外観性を損なう。

　米国特許第５９７５２８８号明細書には、液体吸収体要素を含む湿度改造デバイスを内部に備え、タバコ製品を収納、保存する間に内部の湿度を制御するタバコ貯蔵箱が開示されている。

　米国特許第４９３４５２４号明細書は、湿気をたっぷり含んだ製品、例えばシガレットを貯蔵するパッケージの発明に関する。この文献には、シガレットの包装のように長い期間に亘って貯蔵される製品において、適切な含水率を保持することが記載されている。このパッケージは、低透湿度率を有する上包み層と、容器と、上包み層に分散された水分制御媒体とを備える。

　特開平２－１０９８７９号公報には、容器とこの容器内に配置された調湿器とを備え、前記調湿器が湿潤剤を保持する吸収層を有するパッケージが開示されている。

　しかしながら、前記３つの文献はシガレット等のたばこ製品を湿潤することを目的とし、シガレット類に含まれる揮発性香料の結晶化の抑制に寄与しない。

　一方、シガレット類自体、例えばフィルタに吸着剤を配することが知られている。フィルタに配された吸着剤は、主流煙中の成分吸着による成分低減、または喫味制御を目的としているが、揮発性香料の結晶化抑制に有効である。しかしながら、吸着剤をフィルタに配していない銘柄製品のフィルタに結晶化の抑制を目的として吸着剤を配すると、喫味への影響が大きくなる。

　本発明は、包装体内でのシガレット類の揮発性香料に起因する結晶の析出を防止することが可能なシガレット類包装製品を提供することを目的とする。

　上記の課題を解決するために、本発明の第１側面によると、包装体と、前記包装体内に収納され、少なくとも内面側に吸着材料を含む内包紙と、前記内包紙内に収納される揮発性香料を含むシガレット類とを備えたシガレット類包装製品が提供される。

　本発明の第２側面によると、包装体と、前記包装体内に収納された揮発性香料を含むシガレット類と、前記包装体内に前記シガレット類と共に収納され、少なくとも前記シガレット類側に吸着材料を含むインサータとを備えたシガレット類包装製品が提供される。

図１は、本発明の第１実施形態に係るシガレット包装製品（蓋を開けた直後状態）を示す斜視図である。図２は、図１のシガレット包装製品の蓋を開け、内包紙の折込みを展開した状態を示す斜視図である。図３は、図１のシガレット包装製品の内包紙を示す斜視図である。図４は、図１のシガレット包装製品の内包紙から取り除いた内包紙片を示す斜視図である。図５は、本発明の第２実施形態に係るシガレット包装製品を示す斜視図である。図６は、図５のシガレット包装製品の蓋を開け、内包紙の折込みを展開した状態を示す部分切欠斜視図である。図７は、比較例３の試作品間の喫味比較、比較例３の試作品と実施例５の試作品間の喫味比較、比較例３の試作品と実施例７の試作品間の喫味比較の評価を行った結果を示す図である。

　以下、本発明の実施形態に係るシガレット類包装製品を詳細に説明する。

　（第１実施形態）
　第１実施形態に係るシガレット類包装製品は、包装体と、この包装体内に収納され、少なくとも内面側に吸着材料を含む内包紙と、この内包紙内に収納される揮発性香料を含むシガレット類とを備える。

　包装体は、例えば紙製パッケージ（ソフトパッケージ、ハードパッケージ）または缶が挙げられる。

　包装体内に収納される複数のシガレット類は、それぞれ、通常のシガレットまたはシガリロである。シガレットは、たばこ刻等のたばこ充填材のロッドと、このロッドの外周を包む巻紙からなるシガレットロッドを備える。シガレットロッドの一端には、チップペーパーによりフィルタを取り付けることができる。フィルタは、例えばセルロースアセテート繊維のトウをフィルタ素材として含む、いわゆるセルロースアセテートフィルタであり得る。

　シガレットは、揮発性香料を含有する。揮発性香料には、例えばアセトアニソール、アセトフェノン、アセチルピラジン、２－アセチルチアゾール、アルファルファエキストラクト、アミルアルコール、酪酸アミル、トランス－アネトール、スターアニス油、リンゴ果汁、ペルーバルサム油、ミツロウアブソリュート、ベンズアルデヒド、ベンゾインレジノイド、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、２，３－ブタンジオン、２－ブタノール、酪酸ブチル、酪酸、カラメル、カルダモン油、キャロブアブソリュート、β－カロテン、ニンジンジュース、Ｌ－カルボン、β－カリオフィレン、カシア樹皮油、シダーウッド油、セロリーシード油、カモミル油、シンナムアルデヒド、ケイ皮酸、シンナミルアルコール、ケイ皮酸シンナミル、シトロネラ油、ＤＬ－シトロネロール、クラリセージエキストラクト、ココア、コーヒー、コニャック油、コリアンダー油、クミンアルデヒド、ダバナ油、δ－デカラクトン、γ－デカラクトン、デカン酸、ディルハーブ油、３，４－ジメチル－１，２－シクロペンタンジオン、４，５－ジメチル－３－ヒドロキシ－２，５－ジヒドロフラン－２－オン、３，７－ジメチル－６－オクテン酸、２，３－ジメチルピラジン、２，５－ジメチルピラジン、２，６－ジメチルピラジン、２－メチル酪酸エチル、酢酸エチル、酪酸エチル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ラウリン酸エチル、レブリン酸エチル、エチルマルトール、オクタン酸エチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ステアリン酸エチル、吉草酸エチル、エチルバニリン、エチルバニリングルコシド、２－エチル－３，（５または６）－ジメチルピラジン、５－エチル－３－ヒドロキシ－４－メチル－２（５Ｈ）－フラノン、２－エチル－３－メチルピラジン、ユーカリプトール、フェネグリークアブソリュート、ジェネアブソリュート、リンドウ根インフュージョン、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ブドウ果汁、グアヤコール、グァバエキストラクト、γ－ヘプタラクトン、γ－ヘキサラクトン、ヘキサン酸、シス－３－ヘキセン－１－オール、酢酸ヘキシル、ヘキシルアルコール、フェニル酢酸ヘキシル、ハチミツ、４－ヒドロキシ－３－ペンテン酸ラクトン、４－ヒドロキシ－４－（３－ヒドロキシ－１－ブテニル）－３，５，５－トリメチル－２－シクロヘキセン－１－オン、４－（パラ－ヒドロキシフェニル）－２－ブタノン、４－ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム、インモルテルアブソリュート、β－イオノン、酢酸イソアミル、酪酸イソアミル、フェニル酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソブチル、ジャスミンアブソリュート、コーラナッツティンクチャー、ラブダナム油、レモンテルペンレス油、カンゾウエキストラクト、リナロール、酢酸リナリル、ロベージ根油、マルトール、メープルシロップ、Ｌ－メンソール、メントン、酢酸Ｌ－メンチル、パラメトキシベンズアルデヒド、メチル－２－ピロリルケトン、アントラニル酸メチル、フェニル酢酸メチル、サリチル酸メチル、４’－メチルアセトフェノン、メチルシクロペンテノロン、３－メチル吉草酸、ミモザアブソリュート、トウミツ、ミリスチン酸、ネロール、ネロリドール、γ－ノナラクトン、ナツメグ油、δ－オクタラクトン、オクタナール、オクタン酸、オレンジフラワー油、オレンジ油、オリス根油、パルミチン酸、ω－ペンタデカラクトン、ペパーミント油、プチグレインパラグアイ油、フェネチルアルコール、フェニル酢酸フェネチル、フェニル酢酸、ピペロナール、プラムエキストラクト、プロペニルグアエトール、酢酸プロピル、３－プロピリデンフタリド、プルーン果汁、ピルビン酸、レーズンエキストラクト、ローズ油、ラム酒、セージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スチラックスアブソリュート、マリーゴールド油、ティーディスティレート、α－テルピネオール、酢酸テルピニル、５，６，７，８－テトラヒドロキノキサリン、１，５，５，９－テトラメチル－１３－オキサシクロ（８．３．０．０（４．９））トリデカン、２，３，５，６－テトラメチルピラジン、タイム油、トマトエキストラクト、２－トリデカノン、クエン酸トリエチル、４－（２，６，６－トリメチル－１－シクロヘキセニル）２－ブテン－４－オン、２，６，６－トリメチル－２－シクロヘキセン－１，４－ジオン、４－（２，６，６－トリメチル－１，３－シクロヘキサジエニル）２－ブテン－４－オン、２，３，５－トリメチルピラジン、γ－ウンデカラクトン、γ－バレロラクトン、バニラエキストラクト、バニリン、ベラトルアルデヒド、バイオレットリーフアブソリュートが含まれる。なお、１本のシガレットに多量添加されることが多い揮発性香料はメンソールである。揮発性香料は、例えばたばこ充填材、フィルタまたはその両者に添加され得る。

　内面側に吸着材料を含む内包紙は、好ましくはガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムにおけるシガレット類側に位置する表面に形成された層とを備えた積層構造を有し、前記層は少なくとも内面側（シガレット類側）に吸着材料を含有する。好ましい内包紙の形態を以下に示す。

　（１）ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムにおけるシガレット類側に位置する表面に形成されたシート状基材とを備える積層構造を有する内包紙で、前記シート状基材は内面（シガレット類側の面）の一部または全体に粒状もしくは粉末状の吸着材料が添着される。

　前記シート状基材は、例えば紙または不織布を用いることができる。粒状もしくは粉末状の吸着材料の添着は、添着すべきシート状基材の表面箇所（シガレット類に隣接する表面箇所）に例えばカルボキシメチルセルロース等の糊剤をコートし、前記吸着材料を糊剤のコート層に固定することにより行うことができる。

　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、例えば平均粒径１０～５００μｍの活性炭、シリカ系吸着剤（シリカゲル含む）、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維（カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン含む）、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される。メタクリル系合成吸着剤は、例えば日本錬水株式会社製のダイヤイオンＨＰ１ＭＧ、ＨＰ２ＭＧ等を用いることができる。スチレン系合成吸着剤は、例えば日本錬水株式会社製のダイヤイオンＨＰ２０、ＨＰ２１等を用いることができる。

　シート状基材に吸着材料を一部添着する場合、その添着箇所はシガレット類（例えば揮発性香料が含有されたフィルタ付シガレット）のフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。

　（２）ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムにおけるシガレット類側に位置する表面に形成されたシート状基材と、このシート状基材の一部または全体の面に形成された吸着材料層とを備える積層構造を有する内包紙。

　前記シート状基材は、例えば紙または不織布を用いることができる。

　前記吸着材料層は、例えば炭素繊維不織布または前述した活性炭等の粒状もしくは粉末状の吸着材料とバインダとの混合物を成形したシートを挙げることができる。バインダは、例えばアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。

　シート状基材に吸着材料層を一部形成する場合、その箇所はシガレット類（例えば揮発性香料が含有されたフィルタ付シガレット）のフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。

　（３）ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムにおけるシガレット類側に位置する表面に形成したシート状基材と、このシート状基材表面に形成した粒状もしくは粉末状の吸着材料の層を内包する気体透過性シートとを備える積層構造を有する内包紙。吸着材料の層は、シート状基材表面に多数の粒状もしくは粉末状の吸着材料を散在させることによって形成される。気体透過性シートに内包される吸着材料の層は、シート状基材表面の一部または全体に位置させることができる。

　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、例えば平均粒径１０～５００μｍの活性炭、シリカ系吸着剤（シリカゲル含む）、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維（カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン含む）、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される。

　前記気体透過性シートは、例えば薄く、高い気体透過性を有するポリスチレンフィルム、不織布シート等を用いることができる。

　（４）ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムにおけるシガレット類側に位置する表面に形成されたシート状基材とを備える積層構造を有する内包紙で、前記シート状基材は一部または全面に吸着材料を含有する。

　前記吸着材料は、例えば平均粒径１０～５００μｍの活性炭、シリカ系吸着剤（シリカゲル含む）、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維（カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン含む）、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤、またはイオン交換樹脂から選択される。

　前記シート状基材表面の一部に粒状もしくは粉末状の吸着材料の層を位置させる場合、その箇所はシガレット類（例えば揮発性香料が含有されたフィルタ付シガレット）のフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。

　前記（１）～（４）の内包紙に用いるガスバリア性フィルムは、各種のガスおよび水蒸気を遮断する機能を持つフィルムであり、例えばアルミニウム箔、アルミニウム蒸着紙、パーチメント紙、ロウ紙等を挙げることができる。

　内包紙に含まれる吸着材料は、その量があまりに多いとシガレットを乾燥する等の喫味に影響を及ぼすおそれがある。このため、内包紙に含まれる吸着材料の量は、２０本のシガレット類が収納された包装体あたり４００ｍｇ以下にすることが好ましい。

　次に、第１実施形態に係るシガレット類包装製品を図１を参照して具体的に説明する。図１は、本発明の第１実施形態に係るシガレット包装製品（蓋を開けた直後状態）を示す斜視図、図２は、図１のシガレット包装製品の蓋を開け、内包紙の折込みを展開した状態を示す斜視図である。

　包装体であるヒンジ蓋型シガレットボックス１０は、図示しない外包フィルムで覆われている。シガレットボックス１０は、外側のボックス本体１２と、これにピボット的に連設され、ボックス本体１２の開口端を開閉する蓋（ヒンジ蓋）１４を備える。ボックス本体１２は、前面壁１２１、後面壁１２２、側面壁１２３および１２４並びに底壁１２５を有する。ボックス本体１２の前面壁１２１は、上方端から部分的に切欠された切欠部１２１ａを有する。蓋１４は、ボックス本体１２の後面壁１２２に、図示しないヒンジを介して接続されている。蓋１４は、前面壁１４１、後面壁１４２、側面壁１４３および１４４並びに頂面壁１４５を有する。

　内包紙３０は、ボックス本体１２内にその前面壁１２１、後面壁１２２、側面壁１２３および１２４並びに底壁１２５の内面に当接するように収納されている。すなわち、帯状の内包紙素材の長手方向に沿う両端を垂直に立ち上げ、内包紙素材を立ち上げ部が互に対向し、かつ一部重なるように１８０°屈曲させ、さらに屈曲部で折込むことにより、図３に示す内包紙３０が作製される。内包紙３０は、ボックス本体１２の前面壁１２１、後面壁１２２、側面壁１２３および１２４並びに底壁１２５に沿って前面部１３１、後面部１３２、立ち上げ部が重なった側面部１３３および１３４、並びに底部１３５を有する。底部１３５は、折込んで形成されている。

　このような内包紙３０において、前面部１３１およびこれに繋がる両側の立ち上げ部にはミシン目１３６が穿孔されている。図１のように蓋１４を開け、上端が折り込まれた内包紙３０を図２のように展開した後、前面部１３１の上端を引っ張ることにより、ミシン目１３６から切断されて図４に示す前面部１３１およびこれに繋がる両側に立ち上げ部を有する内包紙片３０ａを取り出しできる。このような内包紙片３０ａを取り出すことにより後述するフィルタ付シガレット２０の束の一部がボックス本体１２の前面壁１２１の切欠部１２１ａから露出する。

　例えば２０本のフィルタ付シガレット２０の束は、内包紙３０により直接包まれてボックス本体１２内に収容されている。各シガレット２０は、たばこ充填材のロッドを図示しない巻紙で包んだシガレットロッド２０１を備え、シガレットロッドの一端には揮発性香料が添着されたフィルタ２０２が取り付けられている。シガレット２０は、例えばメンソールシガレットであり、メンソールは例えばフィルタに添加されている。

　前記内包紙３０は、例えばアルミニウム箔等のガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルム内面、すなわちシガレット２０に隣接するガスバリア性フィルム表面に形成され、吸着材料（例えば粒状活性炭）が添着された紙とを備える積層構造を有する。粒状活性炭は、例えば図３に示すように内包紙３０の前面部１３１における二点鎖線で示す折り曲げ線とミシン目１３６の間に位置する領域１３１ａ、つまりシガレット２０の揮発性香料が含有されたフィルタ２０２を含む部分に隣接する領域、に例えば糊剤で添着されている。

　以上説明した第１実施形態に係るシガレット類包装製品は、揮発性香料を含むシガレット類が収納される内包紙が内面側（シガレット類側）に吸着材料を含む。このため、シガレット類の揮発性香料に起因する結晶化を防止することが可能になる。すなわち、揮発性香料を含むシガレット類を包装体内に一定温度で蔵置すると、揮発性香料が放出して蒸気の状態で飽和する。飽和した揮発性香料蒸気は、温度低下に伴って飽和蒸気圧が低下するため、一部蒸気として存在できなくなって余剰物を発生する。シガレット類が収納される内包紙の内面側（シガレット類側）に吸着材料を含有させることによって、前記余剰物を吸着材料で吸収できるため、揮発性香料の結晶析出を防止できる。その結果、シガレット類への結晶の付着に起因してシガレット類の外観性が損なわれるのを防止できる。したがって、高品位のシガレット類包装製品を得ることができる。

　（第２実施形態）
　第２実施形態に係るシガレット類包装製品は、包装体と、この包装体内に収納された揮発性香料を含むシガレット類と、包装体内に前記シガレット類と共に収納され、少なくともシガレット類側に吸着材料を含むインサータとを備える。

　包装体およびシガレット類は、第１実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。

　内面側に吸着材料を含むインサータは、内面側に吸着材料を含有する層から形成される。好ましいインサータの形態を以下に示す。

　（１）粒状もしくは粉末状の吸着材料が一部または全体に添着されたシート状基材からなるインサータ。

　シート状基材への吸着材料の添着は、添着すべきシート状基材の箇所に例えばカルボキシメチルセルロース等の糊剤をコートすることにより行うことができる。

　前記シート状基材は、例えばプラスチックフィルム、紙または不織布を用いることができる。プラスチックフィルムは、汎用プラスチックフィルムを用いることができ、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム（ＰＥＴフィルム）等を挙げることができる。

　シート状基材に吸着材料を一部添着する場合、その添着箇所はシガレット類（例えば揮発性香料が含有されたフィルタ付シガレット）のフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。また、インサータの長さがシガレット類より短い場合には、吸着材料を一部に添着しても、全面に添着しても、インサータはフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。

　（２）吸着材料層からなるインサータ。前記吸着材料層は、例えば炭素繊維不織布を挙げることができる。

　（３）シート状基材と、シート状基材のシガレット類側に位置する表面に粒状もしくは粉末状の吸着材料の層を内包して形成された気体透過性シートとを備えるインサータ。

　粒状もしくは粉末状の吸着材料の層は、シート状基材表面に多数の粒状もしくは粉末状の吸着材料を散在させることによって形成される。気体透過性シートに内包される粒状もしくは粉末状の吸着材料の層は、シート状基材表面の一部または全体に位置させることができる。

　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、例えば平均粒径１０～５００μｍの活性炭、シリカ系吸着剤（シリカゲル含む）、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維（カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン含む)、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される。

　（４）粒状もしくは粉末状の吸着材料とバインダとの混合物を成形したシートからなるインサータ。

　吸着材料は、シートの一部に分散させても、全体的に分散させてもよい。

　前記バインダは、例えばアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、シリコン樹脂等を用いることができる。

　吸着材料をシートの一部に分散させる場合、その分散箇所はシガレット類（例えば揮発性香料が含有されたフィルタ付シガレット）のフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。

　（５）粒状もしくは粉末状の吸着材料を内包した気体透過性シートの袋からなるインサータ。

　（６）一部または全面に吸着材料を含有するシート状基材からなるインサータ。

　前記吸着材料は例えば平均粒径１０～５００μｍの活性炭、シリカ系吸着剤（シリカゲル含む）、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維（カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン含む）、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤、またはイオン交換樹脂から選択される。

　前記シート状基材表面の一部に粒状もしくは粉末状の吸着材料層を位置させる場合、その箇所はシガレット類（例えば揮発性香料が含有されたフィルタ付シガレット）のフィルタに隣接する箇所にすることが好ましい。

　次に、第２実施形態に係るシガレット類包装製品を図５、図６を参照して具体的に説明する。なお、図５、図６において、前述した図１、図２と同様な部材は同符号を付して説明を省略する。

　シガレット類包装製品は、ボックス本体１２内のシガレット２０（揮発性香料を含むフィルタを備える）の束と内包紙３０の前面部１３１の間にインサータ４０をボックス本体１２の高さ方向に挿入した構造を有する。

　インサータ４０は、例えばシガレット２０の束に隣接する表面に活性炭のような吸着材料が添着されたプラスチックフィルムからなる。

　以上説明した第２実施形態に係るシガレット類包装製品は、包装体内に揮発性香料を含むシガレット類と共に収納されたインサータがその内面側（シガレット類と隣接する側）に吸着材料を含むため、シガレット類の揮発性香料に起因する結晶化を防止することが可能になる。すなわち、揮発性香料を含むシガレット類を包装体内に一定温度で蔵置すると、揮発性香料が放出して蒸気の状態で飽和する。飽和した揮発性香料蒸気は、温度低下に伴って飽和蒸気圧が低下するため、一部蒸気として存在できなくなって余剰物を発生する。シガレット類と隣接して挿入されるインサータの内面側（シガレット類側）に吸着材料を含有させることによって、前記余剰物を吸着材料で吸収できるため、揮発性香料の結晶析出を防止できる。その結果、シガレットル類への結晶の付着に起因してシガレット類の外観性が損なわれるのを防止できる。したがって、高品位のシガレット類包装製品を得ることができる。

　なお、第２実施形態に係る発明において、シガレット類を内包紙内に包んで包装体内に収納することを許容する。このような形態では、少なくとも内面側に吸着材料を含む前記インサータは内包紙内にシガレット類と隣接して収納される。前記内包紙は、少なくとも内面側に吸着材料を含むものを用いることができる。

　このようにインサータおよび内包紙の両方が少なくとも内面側（シガレット類に隣接する表面側）に吸着材料を含むシガレット類包装製品は、前述した第１、第２の実施形態で説明したのと同様な作用により、揮発性香料の結晶析出をより効果的に防止してシガレットル類への結晶の付着に起因してシガレット類の外観性が損なわれるのを防止できる。したがって、より高品位のシガレット類包装製品を得ることができる。

　内面側に吸着材料を含む内包紙は、第１実施形態で説明した（１）～（４）の内包紙を用いることができる。

　以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。

　（実施例１）
　市販のシガレット（セブンスターカッティングメンソール；日本たばこ産業社製のパック内に１５０ｍｇ／個装体のメンソールを含む）を収納した前述の図１に示すシガレット包装製品を準備し、試験品として用いた。

　試験品は、ヒンジ蓋型シガレットボックス１０の外包フィルムを除去し、蓋（ヒンジ蓋）１４を開いて一旦開封し、ボックス本体１２内の内包紙３０上端の折込部を図２に示すように展開した。その後、内包紙３０の前面部１３１上端を引っ張り、ミシン目１３６から切断することにより、図４に示す前面部１３１およびこれに繋がる両側に立ち上げ部を有する内包紙片３０ａを取り出した。取り出した内包紙片３０ａの前面部１３１における二点鎖線で示す折り曲げ線と切断した下端の間に位置する領域１３１ａの内側面（シガレット２０と接する側の面）にカルボキシメチルセルロースの糊剤をコートし、活性炭（クラレケミカル製のクラレコールＧＧＳ２８／７０）を添着させた。この活性炭の添着量は、ヒンジ蓋型シガレットボックス１０（個装体）あたり１０ｍｇとした。

　次いで、活性炭が添着された内包紙片３０ａをヒンジ蓋型シガレットボックス１０のボックス本体１２の元の位置に挿入して戻し、再び、折込んで内包紙３０でシガレットを包み、蓋１４でボックス本体１２上部を閉じた。この個装体を外包フィルムの代わりの食品用ラップフィルムであるポリビニリデンクロライド（ＰＶＤＣ）フィルムでボックス本体１２および蓋１４を隙間の無いように密封し、さらにチャック付きポリプロピレン（ＰＰ）袋に入れ、極力空気を抜き密閉し、試験品を作製した。

　（実施例２）
　実施例１と同様な手順で取り出した内包紙片の所定領域に活性炭を個装体あたり２０ｍｇ添着した以外、実施例１と同様な試験品を作製した。

　（実施例３）
　実施例１と同様な手順で取り出した内包紙片の所定領域に活性炭を個装体あたり７ｍｇ添着した以外、実施例１と同様な試験品を作製した。

　（実施例４）
　実施例１と同様な手順で取り出した内包紙片の所定領域に活性炭を個装体あたり３ｍｇ添着した以外、実施例１と同様な試験品を作製した。

　（比較例１）
　実施例１と同様な手順で取り出した内包紙片の所定領域に活性炭を添着しない以外、実施例１と同様な試験品を作製した。

　得られた実施例１～４および比較例１の試験品について、以下のようにメンソールの結晶析出の有無の評価試験を行った。

　＜評価試験＞
　得られた試験品を２２℃の常温蔵置条件で２４時間蔵置し、個装体にメンソール蒸気が満たされるのを待ち、５℃の低温蔵置条件において１２時間蔵置した。なお、低温蔵置条件を５℃に設定した理由は１０℃、５℃、０．５℃での蔵置した結果、５℃が最も多く結晶が析出したためである。

　低温蔵置後の試験品の結晶析出の有無について以下の手順で確認した
　(1) 試験品のＰＰ袋からＰＶＤＣフィルムで密封した個装体を取出し、さらにＰＶＤＣフィルムを除去する。

　(2) 個装体の蓋を開け、内包紙を破らないよう上部折込部を展開し、開いた内包紙からメンソールの結晶析出の有無を確認する。この際シガレットには直接触れない。

　(3) メンソール結晶が認められない場合、上部全面の内包紙をミシン目に沿って切り取って除去し、さらに詳細にシガレットを観察してメンソールの結晶析出の有無を確認する。この際シガレットには直接触れない。

　(4) メンソールの結晶析出が認められない場合、指でシガレット同士の間に隙間を開けメンソールの結晶析出の有無を確認する。

　(5) メンソールの結晶析出が認められない場合、全てのシガレットを取出し、一本一本にメンソールの結晶析出が無いかを確認する。同時に内包紙の内側面（シガレットと接触している側の面）にメンソールの結晶析出がないかを確認する。

　これら確認作業は、５名のパネラーで行ない、裸眼で目視した。

　メンソールの結晶析出の有無は、前記(1)～(5)の手順において結晶が一欠けらでも発見された場合を“有”、一切発見されない場合を“無”とした。

　確認作業は、５℃の恒温恒湿機内で行なった。

　評価試験結果を下記表１に示す。なお、メンソールの結晶析出の有無は５名のパネラー全員の見解が一致した結果である。

　前記表１から明らかなように内包紙に活性炭を添着した実施例１～４のシガレット包装製品はメンソールの結晶析出がなく、高品位であることがわかる。

　（実施例５）
　市販のシガレット（セブンスターカッティングメンソール；日本たばこ産業社製のパック内に１５０ｍｇ／個装体のメンソールを含む）を収納した前述の図５、図６に示すシガレット包装製品を準備し、試験品として用いた。

　試験品は、ヒンジ蓋型シガレットボックス１０の外包フィルムを除去し、蓋（ヒンジ蓋）１４を開いて一旦開封し、ボックス本体１２内の内包紙３０上端の折込部を展開した。その後、活性炭を添着させたフィルム（インサータ４０）をシガレット２０と内包紙３０の前面部１３１との間に挿入した。インサータ４０の挿入位置はボックス本体１２の前面、上端から１ｃｍで、シガレットのフィルタと一部接させた。インサータ４０は、市販の粘着テープ（粘着材を片面に塗布したセロファンフィルム）を３ｃｍ×１．５ｃｍに切り取り、この粘着面に所定量の活性炭（クラレケミカル製のクラレコールＧＧＳ２８／７０）を添着させたものを用いた。この活性炭の添着量は、ヒンジ蓋型シガレットボックス１０（個装体）あたり１０ｍｇとした。

　次いで、内包紙３０を再び、折込んで内包紙３０でシガレットを包み、蓋１４でボックス本体１２上部を閉じた。この個装体を外包フィルムの代わりの食品用ラップフィルムであるポリビニリデンクロライド（ＰＶＤＣ）フィルムでボックス本体１２および蓋１４を隙間の無いように密封し、さらにチャック付きポリプロピレン（ＰＰ）袋に入れ、極力空気を抜き密閉し、試験品を作製した。

　（実施例６）
　実施例５と同様な手順で挿入されるインサータの活性炭量を個装体あたり２０ｍｇとした以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　（比較例２）
　実施例５と同様な手順で挿入されるインサータが活性炭を添着されない以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　得られた実施例５，６および比較例２の試験品について、メンソールの結晶析出の有無の評価試験を実施例１と同様に行った。

　評価試験結果を下記表２に示す。なお、メンソールの結晶析出の有無は５名のパネラー全員の見解が一致した結果である。

　前記表２から明らかなようにインサータに活性炭を添着した実施例５，６のシガレット包装製品はメンソールの結晶析出がなく、高品位であることがわかる。

　（実施例７）
　実施例５と同様な手順で挿入されるインサータの活性炭量を個装体あたり３０ｍｇとした以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　（比較例３）
　実施例５と同様な手順で挿入されるインサータが活性炭を添着されない以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　前述した実施例５および得られた実施例７、比較例３の試作品について、以下のように喫味変動の評価を行った。

　＜喫味評価試験＞
　実施例５，７および比較例３の試作品を２２℃、６０ＲＨ％の環境下に１ヶ月間蔵置した。

　各試作品は、以下のサンプル名を付与したが、試作品とサンプル名の関係の情報はパネラー（１０人）に与えなかった。

　サンプルＡ：比較例３の試作品、
　サンプルＢ：比較例３の試作品、
　サンプルＣ：実施例５の試作品
　サンプルＤ：実施例７の試作品
　パネラーを第１のグループおよび第２のグループ（各グループ数：５名）に分けた。

　＜サンプルＡとＢ，サンプルＡとＣの喫味比較＞
　第１のグループのパネラーにサンプルＡとＢをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。つづいて、同第１のグループのパネラーにサンプルＡとＣをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。

　次いで、第２のグループのパネラーにサンプルＡとＣをそれぞれ一本ずつ渡し、喫味比較を実施した。つづいて、同第２のグループのパネラーにサンプルＡとＢをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。

　グループを２つに分け、喫味比較の順番を変えたのは、喫煙の順番による影響を回避するためである。

　なお、パネラーの希望があった場合は、再度、サンプルを提供した。

　第１、２のグループにおいて、パネラーによるサンプルＡとＢを喫煙したときに両者の間に感じる違いと、パネラーによるサンプルＡとＣを喫煙したときに両者の間に感じる違いとを比較し、どちらの違いが大きいかの回答を集計した。その結果を図７の第１の棒グラフに示す。図７の第１の棒グラフにおいて、白抜き領域はサンプルＡとＢの方を違いが大きいと回答したパネラー数、斜線領域はサンプルＡとＣの方を違いが大きいと回答したパネラー数、をそれぞれ示す。

　＜サンプルＡとＢ，サンプルＡとＤの喫味比較＞
　第１のグループのパネラーにサンプルＡとＢをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。つづいて、同第１のグループのパネラーにサンプルＡとＤをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。

　次いで、第２のグループのパネラーにサンプルＡとＤをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。つづいて、同第２のグループのパネラーにサンプルＡとＢをそれぞれ１本ずつ渡し、喫味比較を実施した。

　第１、２のグループにおいて、パネラーによるサンプルＡとＢを喫煙したときに両者の間に感じる違いと、パネラーによるサンプルＡとＤを喫煙したときに両者の間に感じる違いとを比較し、どちらの違いが大きいかの回答を集計した。その結果を図７の第２の棒グラフに示す。図７の第２の棒グラフにおいて、白抜き領域はサンプルＡとＢの方を違いが大きいと回答したパネラー数、斜線領域はサンプルＡとＤの方を違いが大きいと回答したパネラー数、をそれぞれ示す。

　図７の第１の棒グラフから同一サンプルである比較例３の試作品同士のサンプルＡとＢの間の喫味比較で違いが大きく感じるパネラー数と、異なるサンプルである比較例３の試作品と実施例５の試作品のサンプルＡとＣの間の喫味比較で違いが大きく感じるパネラー数と、は４人対６人である。

　また、第２の棒グラフから同一サンプルである比較例３の試作品同士のサンプルＡとＢの間の喫味比較で違いが大きく感じるパネラー数と、異なるサンプルである比較例３の試作品と実施例７の試作品のサンプルＡとＤの間の喫味比較で違いが大きく感じるパネラー数と、は６人対４人である。

　この結果から、比較例３の試作品と実施例５の試作品の喫味上の違い、および比較例３の試作品と実施例７の試作品の喫味上の違いは比較例３の試作品同士のばらつきの範囲内またはパネラーの誤認の範囲内であることがわかる。すなわち、比較例３の試作品とインサータに活性炭を１０ｍｇ添着した実施例５の試作品およびインサータに活性炭を３０ｍｇ添着した実施例７の試作品との間には喫味上の違いがないことがわかる。

　（実施例８）
　実施例５と同様な手順で挿入されるインサータとして１ｇのシリカゲルを内包したオリエンテッドプロピレンフィルムからなる乾燥剤（鳥繁産業社製：包装用乾燥剤シリカゲル１ｇ）を用いた以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　（比較例４）
　実施例５と同様な手順で挿入されるインサータとしてシリカゲルを内包しないオリエンテッドプロピレンフィルムを用いた以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　得られた実施例８および比較例４の試験品について、メンソールの結晶析出の有無の評価試験を実施例１と同様に行った。

　評価試験結果を下記表３に示す。なお、メンソールの結晶析出の有無は５名のパネラー全員の見解が一致した結果である。

　前記表３から明らかなように結晶化抑制効果は実施例８のように活性炭以外の吸着材料でも得られること、インサータが吸着材料を内包した気体透過性シートの袋から構成しても実施例５，６と同様な効果が得られることがわかる。

　（実施例９）
　実施例５と同様な手順で挿入される、すなわちシガレットと内包紙の間に挿入される、インサータの活性炭量を個装体あたり３ｍｇとした以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　（実施例１０）
　実施例５と同様な手順で挿入される、すなわちシガレットと内包紙の間に挿入される、インサータの活性炭量を個装体あたり７ｍｇとした以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　（比較例５）
　インサータの活性炭量を個装体あたり３ｍｇとし、かつインサータを内包紙とボックス本体の前面壁の間に挿入する以外、実施例５と同様な試験品を作製した。

　得られた実施例９，１０および比較例５の試験品について、メンソールの結晶析出の有無の評価試験を実施例１と同様に行った。

　評価試験結果を下記表４に示す。なお、メンソールの結晶析出の有無は５名のパネラー全員の見解が一致した結果である。

　前記表４から明らかなように活性炭の添着量が個装体あたり３ｍｇ、７ｍｇのインサータを用いた実施例９，１０の試験品においても良好な結晶化抑制効果を発現できることがわかる。これに対し、インサータの挿入位置が内包紙とボックス本体の前面壁の間である比較例５の試作品は、メンソールの結晶析出が起こることがわかる。

　本発明によれば、包装体内でのシガレット類の揮発性香料に起因する結晶の析出を防止し、シガレット類への結晶の付着、外観性の低下を回避した高品位のシガレット類包装製品を提供することができる。

Claims

　包装体と、
　前記包装体内に収納され、少なくとも内面側に吸着材料を含む内包紙と、
　前記内包紙内に収納される揮発性香料を含むシガレット類と
を備えたシガレット類包装製品。
　前記内包紙は、ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムの前記シガレット類側に位置する表面に形成され、粒状もしくは粉末状の吸着材料が一部または全体に添着されたシート状基材とを備える積層構造を有し、
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択され、かつ
　前記シート状基材は紙または不織布である請求項１記載のシガレット類包装製品。
　前記内包紙は、ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムの前記シガレット類側に位置する表面に形成されたシート状基材と、このシート状基材の一部または全体に形成された吸着材料層とを備える積層構造を有し、
　前記吸着材料層は炭素繊維不織布、または粒状もしくは粉末状の吸着材料とバインダとの混合物を成形したシートで構成され、かつ
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される請求項１記載のシガレット類包装製品。
　前記内包紙は、ガスバリア性フィルムと、このガスバリア性フィルムの前記シガレット類側に位置する表面に形成され、一部または全面に吸着材料を含有するシート状基材とを備える積層構造を有し、
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される請求項１記載のシガレット類包装製品。
　前記内包紙は、ガスバリア性フィルムと、前記シガレット類側に位置するガスバリア性フィルム表面に形成したシート状基材と、このシート状基材表面に粒状もしくは粉末状の吸着材料の層を内包して形成された気体透過性シートとを備える積層構造を有し、
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される請求項１記載のシガレット類包装製品。
　前記ガスバリア性フィルムは、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着紙、パーチメント紙、またはロウ紙である請求項２ないし５いずれか１項記載のシガレット類包装製品。
　前記シガレット類は、たばこ充填材のロッドを巻紙で包んだシガレットロッドと、このシガレットロッドの一端に取付けられ揮発性香料含むフィルタとを備え、前記シガレットロッドおよびフィルタの少なくとも１つの部材に前記揮発性香料を含有する請求項１ないし６いずれか１項記載のシガレット類包装製品。
　包装体と、
　前記包装体内に収納された揮発性香料を含むシガレット類と、
　前記包装体内に前記シガレット類と共に収納され、少なくともシガレット類側に吸着材料を含むインサータと
を備えたシガレット類包装製品。
　前記インサータは、粒状もしくは粉末状の吸着材料が一部または全体に添着されたシート状基材からなり、
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択され、かつ
　前記シート状基材はプラスチックフィルム、紙または不織布である請求項８記載のシガレット類包装製品。
　前記インサータは、吸着材料層からなり、前記吸着材料層は炭素繊維不織布である請求項８記載のシガレット類包装製品。
　前記インサータは、シート状基材と、このシート状基材における前記シガレット類側に位置する表面に粒状もしくは粉末状の吸着材料の層を内包して形成された気体透過性シートとを備え、
　前記シート状基材は紙または不織布であり、かつ
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される請求項８記載のシガレット類包装製品。
　前記インサータは、粒状もしくは粉末状の吸着材料とバインダとの混合物を成形したシートであり、
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される請求項８記載のシガレット類包装製品。
　前記インサータは、粒状もしくは粉末状の吸着材料を内包した気体透過性シートの袋からなり、
　前記粒状もしくは粉末状の吸着材料は、活性炭、シリカ系吸着剤、ゼオライト、活性アルミナ、炭素繊維、モレキュラーシーブ、メタクリル系合成吸着剤、スチレン系合成吸着剤またはイオン交換樹脂から選択される請求項８記載のシガレット類包装製品。
　前記インサータは、一部または全面に吸着材料を含有するシート状基材からなる請求項８記載のシガレット類包装製品。
　前記シガレット類は、内包紙内に包まれて前記包装体内に収納され、前記インサータは前記内包紙内に前記シガレット類と隣接して収納される請求項８ないし１４いずれか１項記載のシガレット類包装製品。
　前記内包紙は、少なくとも内面側に吸着材料を含む請求項１５記載のシガレット類包装製品。
　前記シガレット類は、たばこ充填材のロッドを巻紙で包んだシガレットロッドと、このシガレットロッドの一端に取付けられ揮発性香料含むフィルタとを備え、前記シガレットロッドおよびフィルタの少なくとも１つの部材に前記揮発性香料を含有する請求項８ないし１６いずれか１項記載のシガレット類包装製品。