WO2010116669A1 - 腫瘍免疫誘導剤 - Google Patents

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  • 293 cells in the logarithmic growth phase cultured in 25 ml (15 cm dish) of 10% FCS-added DMEM (high glucose) culture solution were used. Wash twice with 5 ml of PBS, add 2 ml of trypsin solution, react for about 3-5 minutes in a CO 2 incubator, neutralize trypsin by adding 10 volumes of 10% FCS-added DMEM (high glucose), and dish The number of 293 cells detached from the cells was calculated using a leukocyte counter. 293 cells were diluted with a culture solution, 4000 cells / 100 ⁇ l were seeded in each well of a 96-well plate, and statically cultured overnight in a CO 2 incubator.
  • the A549 cells in the 100 ⁇ l stock solution dispensed for the activity assay were centrifuged at 5000 rpm ⁇ 5 minutes in a tabletop centrifuge, the supernatant was transferred to another tube, and the stock solution supernatant (extracellular virus) and did.
  • FCS-free DMEM (high glucose) solution was placed in a 100 ⁇ l pellet containing A549 cells, stirred gently, frozen in liquid nitrogen for 5 minutes, thawed in a 37 ° C. water bath, and this was repeated a total of 3 times. . After completion, the mixture was sufficiently stirred and then centrifuged at 5000 rpm ⁇ 5 minutes, and this supernatant was used as a cell supernatant (intracellular virus).
  • Each solution of the preservation solution supernatant (extracellular virus) and the cell supernatant (intracellular virus) is used as a virus solution, and diluted 40 times with 10 ⁇ l of the virus solution and 390 ⁇ l of FCS-free DMEM (high glucose) culture solution.
  • FCS-free DMEM high glucose

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Abstract

 新規な腫瘍免疫誘導剤を提供する。詳しくは、腫瘍ワクチンの効果を有効に増強しうる腫瘍ワクチン用アジュバントと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤を提供する。また、当該腫瘍免疫誘導剤の製造方法を提供し、さらには上記腫瘍免疫誘導剤を用いる悪性腫瘍の治療方法を提供する。アデノウイルスを、腫瘍ワクチンとして機能しうる腫瘍ワクチン細胞に導入することで、腫瘍免疫誘導剤を構築することができた。本発明の腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍免疫誘導効果により、腫瘍重量の減少及び組織における腫瘍面積を低減化させうる。

Description

腫瘍免疫誘導剤
 本発明は、腫瘍ワクチンの効果を有効に増強しうる腫瘍ワクチン用アジュバントと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤に関する。また、本発明は当該腫瘍免疫誘導剤の製造方法に関し、さらには上記腫瘍免疫誘導剤を用いる悪性腫瘍の治療方法に関する。
 本出願は、参照によりここに援用されるところの日本出願特願2009-094873号優先権を請求する。
 腫瘍ワクチン療法は、体内における免疫機能、なかでも細胞性免疫反応の中心的役割をはたすキラーリンパ球、特に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を含む適応免疫系を活性化して、正常細胞を傷害することなく腫瘍細胞を特異的に殺し、腫瘍の再発を防止し、転移を阻害し、あるいは既存腫瘍の治癒を期待する療法である。腫瘍ワクチンについては、多種類が開発されている (非特許文献1、特許文献1)。大まかに分類すれば、(1)すでに性状が明らかになっている腫瘍抗原ペプチドを用いるもの;(2)未同定の腫瘍抗原ペプチドが含まれる腫瘍組織の抽出液を用いるもの;(3)これらを抗原提示細胞、特に強力な抗原提示機能がある樹状細胞に結合させたもの (非特許文献2);(4)樹状細胞に腫瘍抗原タンパクを取り込ませ負荷したもの;(5)樹状細胞と腫瘍細胞を融合させたもの;(6)腫瘍抗原をリポソームに結合させ、リポソームごと取り込ませるもの(非特許文献3);(7)腫瘍細胞そのものを放射線や固定剤で不活性化処理して投与するもの;(8)遺伝子治療法で、抗原提示細胞刺激効果あるいはリンパ球刺激効果があるサイトカイン遺伝子を腫瘍細胞に導入し、それをワクチンとして投与するもの、又は腫瘍抗原遺伝子を適切な細胞に導入し、その遺伝子を発現している腫瘍細胞をワクチンとして投与するもの;(9)腫瘍抗原遺伝子をウイルス又は細菌に組み込み患者に感染させるもの;(10)生きている腫瘍細胞、腫瘍抗原ペプチド又は腫瘍細胞抽出液を投与し、別途、サイトカインを大量投与するか(非特許文献4)、あるいはサイトカインを徐放性に製剤化して投与するもの(非特許文献5)などがある。
 また、上述のような腫瘍ワクチンは、アジュバントとともに使用するのが好ましいが、そのようなアジュバントとしては、例えば、Freund Complete Adjuvant、Freund Imcomplete Adjuvant、BCG等の細菌製剤、ツベルクリン等の細菌成分製剤、keyhole limpet hemocyanineや酵母マンナン等の天然高分子物質、Alum、TiterMax Gold等の合成アジュバント製剤等が挙げられる(特許文献1)。他のアジュバントの例として、(a)可溶性タンパク;及び(b)ムコ多糖(ただし上記(a)の可溶性タンパクとコアセルベーションにより沈殿を生成するムコ多糖である)のコアセルベーションによる沈殿を含み、さらに該沈殿とともに共沈殿した(c)ツベルクリンに含有される可溶性タンパクを含むことを特徴とするものも報告されている(特許文献2)。さらに、他のアジュバントの例として、効率よくペプチド特異的なCTLを誘導することができるCpGモチーフを含むISS-ODN、細胞傷害性T細胞を刺激するQS21、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、油性エマルジョン、サポニン、ビタミンE溶解物等が報告されている(特許文献3)。
 生体内の細胞ならびに疾病治療に用いられる培養細胞に遺伝子を導入する遺伝子治療法において、高効率な遺伝子導入を達成するベクターとして組換え型アデノウイルスが広く用いられている。組換え型アデノウイルスを用いた遺伝子治療法、特に生体内の細胞に組換え型アデノウイルスを投与する場合における最大の問題点は、時に重篤な全身性炎症反応を引き起こす自然免疫系の活性化である。一方、貪食細胞(マクロファージ、好中球、および樹状細胞)、NK(ナチュラルキラー)細胞などが関与する自然免疫系の活性化は腫瘍ワクチンの目的である適応免疫系の活性化に重要な役割を果たす。
特開2002-212099号公報 特開2003-306444号公報 特許第3536039号公報
Nature Med. 4(5 Suppl): pp.525-531 (1998) Nature Med. 4: pp.328-332 (1998) Biochem. Biophys. Res. Comm. 240: pp.793-797 (1997) Nature Med. 4: pp.321-327 (1998) Cancer Res. 53: pp.5841-5844 (1993)
 本発明は、新規な腫瘍免疫誘導剤を提供することを課題とする。詳しくは、腫瘍ワクチンの効果を有効に増強しうる腫瘍ワクチン用アジュバントと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤を提供することを課題とする。また、本発明は当該腫瘍免疫誘導剤の製造方法を提供することを課題とし、さらには上記腫瘍免疫誘導剤を用いる悪性腫瘍の治療方法を提供することを課題とする。
 本発明者らは、アデノウイルスを用いた遺伝子治療法などで、特に生体内の細胞にアデノウイルスを投与する場合は、時に重篤な全身性炎症反応を引き起こす自然免疫系の活性化が問題となることに着目し、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アデノウイルスそのものが腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうることを初めて見出し、本発明を完成した。またアデノウイルスを、腫瘍ワクチンとして機能しうる腫瘍ワクチン細胞に導入することで、腫瘍免疫誘導剤を構築することに成功し、本発明を完成した。
 すなわち本発明は、以下よりなる。
1.腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスと腫瘍ワクチンとを含む腫瘍免疫誘導剤。
2.アデノウイルスが、非増殖型アデノウイルスである、前項1に記載の腫瘍免疫誘導剤。
3.腫瘍ワクチンが、腫瘍細胞由来物である前項1又は2に記載の腫瘍免疫誘導剤。
4.腫瘍細胞由来物が、自家腫瘍細胞由来物又は他家腫瘍細胞由来物である、前項3に記載の腫瘍免疫誘導剤。
5.他家腫瘍細胞がA549細胞、PC-3細胞、LNCap細胞、HT-3細胞、COLO679細胞、Caki-1細胞、KE39細胞、KB細胞から選択されるいずれかの樹立腫瘍細胞株由来物である、前項4に記載の腫瘍免疫誘導剤。
6.前項1~5のいずれか1に記載の腫瘍免疫誘導剤を含む癌治療剤。
7.腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物に、アデノウイルスを導入する工程を含む、腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
8.アデノウイルスを腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物に導入する工程が、アデノウイルスを腫瘍細胞由来物に感染させる工程である、前項7に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
9.アデノウイルスが、非増殖型アデノウイルスである前項7又は8に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
10.腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物が、自家腫瘍細胞由来物又は他家腫瘍細胞由来物である、前項7~9のいずれか1に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
11.他家腫瘍細胞がA549細胞、PC-3細胞、LNCap細胞、HT-3細胞、COLO679細胞、Caki-1細胞、KE39細胞、KB細胞から選択されるいずれかの樹立腫瘍細胞株由来物である、前項10に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
12.前項6に記載の癌治療剤を含む皮下注射用製剤。
13.前項6に記載の癌治療剤を投与することによる腫瘍免疫誘導方法。
14.癌治療剤の投与が、皮下注射による投与である前項13に記載の腫瘍免疫誘導方法。
15.前項1~5のいずれか1に記載の腫瘍免疫誘導剤を投与することによる悪性腫瘍の治療方法。
 本発明の腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうるアデノウイルスと腫瘍ワクチンとを含む腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍ワクチンによる腫瘍免疫を効果的に増強させうる。即ち、本発明の腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍免疫誘導効果により、腫瘍重量の減少及び組織における腫瘍面積を低減化させうる。本発明のアデノウイルスと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤は、皮下投与又は静脈内投与することで、全身においてより確実に免疫能を増強させることができ、癌の転移などについても効果的に作用しうる。さらに前記腫瘍免疫誘導剤を用いた本発明の悪性腫瘍の治療方法により、優れた効果を奏する。
 なお、腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうるアデノウイルスが、増殖型アデノウイルスの場合には、腫瘍ワクチン細胞内でのウイルス活性が、ロットごとにばらつく傾向を示し、腫瘍免疫誘導剤としてロットごとに一定の品質を維持することは困難である。一方、腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうるアデノウイルスが、遺伝子改変により増殖が不可能となった非増殖型アデノウイルスの場合には、腫瘍ワクチン細胞にアデノウイルスが感染しても、アデノウイルスが複製、増殖せず、アデノウイルスタンパクが腫瘍ワクチン細胞に提示されるのみで、細胞内のウイルス活性がロットごとにばらつくこともない。
DBA/2マウスモデルを用いた腫瘍免疫確認のための各種投与スケジュールを示す図である。(実施例1) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織を示す写真図である。(実験例1-1) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織における腫瘍重量を示す図である。(実験例1-2) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織の組織切片における腫瘍部位を示す写真図である。(実験例1-3) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織の組織切片における腫瘍面積の割合を示す図である。(実験例1-3) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織の組織切片におけるHE染色像の強拡像を示す写真図である。(実験例1-3) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織の組織切片における抗CD45R抗体での免疫染色結果を示す写真図である。(実験例1-4) KLN205細胞の静脈内投与後26日目に摘出した肺組織の組織切片における抗CD3抗体での免疫染色結果を示す写真図である。(実験例1-4) 非増殖型アデノウイルスを含むKLN205細胞の皮下投与後0、5、10、15、20及び26日目に摘出した肺組織における腫瘍重量を示す図である。(実施例2) 3ロットについて、制限増殖型アデノウイルスをA549細胞(非小細胞性肺癌細胞株)に同条件で感染させたときの、A549細胞内外でのアデノウイルス活性を確認した図である。(参考例)
 本発明は、腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤に関する。本発明の腫瘍ワクチン用アジュバントはアデノウイルスからなる。本発明のアデノウイルスは、標的とする腫瘍細胞に感染しうるものであれば、非増殖型アデノウイルス又は増殖型アデノウイルスであってもよい。増殖型アデノウイルスの場合は、天然型であってもよいし、制限増殖型アデノウイルスであってもよい。腫瘍ワクチン細胞にアデノウイルスを感染させた腫瘍免疫誘導剤を作製する場合は、品質安定性の観点からは、非増殖型アデノウイルスが好ましい。また、腫瘍ワクチン細胞内で制限的に増殖しうる制限増殖型アデノウイルスを用いてもよい。この場合の制限増殖型アデノウイルスは、治療対象の標的とする腫瘍細胞、ならびに本発明の腫瘍ワクチン細胞において特異的に増殖するようウイルス遺伝子を改変し、標的細胞を融解・殺傷するcell lysis作用を有するものであってもよい。
 本発明のアデノウイルスが組換え型の場合には、遺伝子組換えによって増殖能を持たない非増殖型アデノウイルス又は腫瘍細胞内で特異的に増殖する制限増殖型アデノウイルスが用いられる。非増殖型アデノウイルスは、アデノウイルスの増殖に必須の遺伝子である初期遺伝子E1AならびにE1Bを欠損させることにより構築することができ、制限増殖型アデノウイルスは、初期遺伝子E1Aの上流に以下の各種プロモーターを挿入するか、あるいはE1AまたはE1Bの一部分を欠損させることにより構築することができる。
 制限増殖型アデノウイルスは、腫瘍特異的プロモーターを有し、腫瘍細胞特異的に増殖しうる。具体的には、アデノウイルスの増殖に必須であるE1遺伝子を腫瘍特異的プロモーターで制御する。腫瘍特異的プロモーターとしては、特に限定されないが、例えば1A1.3Bプロモーター(IAI.3Bプロモーター)、ミッドカインプロモーター、β―HCGプロモーター、SCCA1プロモーター、cox-2プロモーター、PSAプロモーター、又はその他の腫瘍特異的プロモーターが挙げられる。また、制限増殖型アデノウイルスは、使用する腫瘍ワクチン細胞において増殖可能であれば、例えばONYX社のE1B遺伝子欠失型の制限増殖型アデノウイルス、あるいはE1A遺伝子の一部欠損型のAd5-△24アデノウイルスなど腫瘍特異的プロモーターを有しないものであってもよい。
 非増殖型アデノウイルスは、アデノウイルスの増殖に必須であるE1遺伝子を欠損させたヒトアデノウイルス5型に、治療遺伝子とそれを制御するプロモーターを人為的に組み込んだ組換え型アデノウイルスとすることができる。人為的に組み込む治療遺伝子は、特に限定されないが、例えばp53腫瘍抑制遺伝子あるいはHSV-TK遺伝子が挙げられる。当該治療遺伝子を制御するプロモーターについても、そのような機能を有するプロモーターであればよく、特に限定されないが、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウスサルコーマウイルス(RSV)プロモーター、又はオステオカルシン(Osteocalcin:OC)プロモーターが挙げられる。非増殖型アデノウイルスとして具体的にはAd-CMV-p53、Ad-RSV-HSV-TK、又はAd-OC-HSV-TKなどの組換え型アデノウイルスが挙げられる。
 使用する各プロモーター配列の長さ等については、腫瘍特異的プロモーター活性が得られる限りにおいて特に限定されるものではない。上記1A1.3Bプロモーターは、国際公開第03/025190号パンフレットやCancer Research 63, 2506-2512(2003)の記載にしたがって設計・調製し、ウイルスゲノムに挿入することができる。上記のミッドカインプロモーター、β―HCGプロモーター、SCCA1プロモーターについては、それぞれ、国際公開第02/10368号パンフレット、国際公開第01/90344号パンフレット、国際公開第00/60068号パンフレットの記載にしたがって設計・調製し、ウイルスゲノムに挿入することができる。その他のプロモーターについても自体公知の方法にしたがって設計・調製し、ウイルスゲノムに挿入することができる。
 本発明の制限増殖型アデノウイルスに、腫瘍特異的プロモーターを組み込ませる場合は、例えば治療対象となる癌の種類や腫瘍ワクチンに使用する細胞の種類に応じて、以下のプロモーターを選択することができる。例えば、卵巣癌に対しては1A1.3Bプロモーター、脳腫瘍、悪性グリオーマなどに対してはミッドカインプロモーター、精巣癌に対してはβ―HCGプロモーター、扁平上皮癌に対してはSCCA1プロモーター及びSCCA2プロモーター、大腸癌に対してはCEAプロモーター、前立腺癌に対してはPSAプロモーター、肝癌に対してはAFPプロモーター、を使用することができる。勿論、他の公知の腫瘍特異的プロモーター、例えば、種々の悪性腫瘍に対してプロモーター活性を発揮し、広い作用スペクトラムを有するcox-2プロモーターや、その他オステオカルシンプロモーター等の各種癌特異性プロモーターを選択してもよい。上記ミッドカインプロモーターについては、脳腫瘍、悪性グリオーマのほか種々の悪性腫瘍に対して使用可能であり、この点においてcox-2プロモーターと同様に広い作用スペクトラムを有する。
 本発明の腫瘍ワクチン用アジュバントは、上述のアデノウイルスに、例えば、GM-CSF(granulocyte-macrophage colony stimulating factor:顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子)、IL-2(インターロイキン-2)などの免疫活性化物質の遺伝子をさらに組み込んだ組換え型アデノウイルスであってもよい。
 本発明における腫瘍ワクチンは、ワクチン機能を有する腫瘍細胞由来物であり、アデノウイルスが感染可能な細胞であれば良く特に制限されないが、ワクチネーション(腫瘍免疫)に使用する腫瘍細胞としては、自家腫瘍細胞が望ましく、それと類似した抗原を提示すると考えられる一般に入手可能な他家腫瘍細胞を使用してもよい。具体的には、自家腫瘍細胞のほか、他家腫瘍細胞の例として、例えば他患者由来の樹立腫瘍細胞株、A549細胞(非小細胞性肺癌細胞株)PC-3細胞(前立腺癌細胞株)、LNCap細胞(前立腺癌細胞株)、HT-3細胞(子宮頚部扁平上皮癌細胞株)、COLO679細胞(悪性黒色腫細胞株)、Caki-1細胞(腎細胞癌株)、KE39細胞(胃癌細胞株)、KB細胞(頭頸部癌細胞株)等が挙げられる。本発明において、腫瘍ワクチンとして使用する腫瘍細胞由来物を、以下、「腫瘍ワクチン細胞」という場合もある。腫瘍ワクチン細胞は、細胞の増殖性をなくすために、自体公知の方法、又は今後開発される方法により、予め不活化処理しておくことが好ましく、そのような処理法として放射線照射処理やエタノール処理、ホルマリン処理等が挙げられる。前記腫瘍細胞への放射線の照射量は、いわゆる当業者が適宜決定することができ、例えば120Gy以上600Gy以下、好ましくは200Gy以上500Gy以下程度に設定することができる。
 本発明の、腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍ワクチン細胞である腫瘍細胞に、上記アデノウイルスが感染していることを要する。本発明の腫瘍免疫誘導剤の保存は、例えば液体窒素中あるいは-150℃程度の温度にて保存することができる。一方、腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスは、例えば-80℃程度の温度にて保存することができる。
 上記アデノウイルスを、腫瘍ワクチン細胞に感染させる方法は、常法に従って行えばよく特に限定されるものではないが、例えば前記腫瘍ワクチン細胞をディッシュに播き、これにアデノウイルスを感染可能な量、具体的には1,000~100,000vp/cellを添加し、95%O、5%CO、37℃、牛胎児血清FCS(-)、RPMI培地等、腫瘍ワクチン細胞を培養しうる培養液の条件下で、6~36時間程度、好ましくは12~33時間程度培養し、感染させる方法が簡便である。なお、3~6時間感染の場合は、FCS(-)の条件で、それ以上の時間感染させる場合は、3~6時間まではFCS(-)の状態におき、後にFCSを10%加えるとよい。アデノウイルスの感染量及び感染時間は、治療対象の腫瘍の大きさ・種類、腫瘍ワクチン細胞の種類、投与量、使用する腫瘍ワクチン用アジュバントを構成するアデノウイルスの種類、投与方法などに応じて適宜決定することができる。また、腫瘍ワクチン細胞を培養する培養液や、培養に必要な結成等の条件については、腫瘍ワクチン細胞の種類に応じて、適宜選択し、改変することができる。
 本発明の腫瘍免疫誘導剤は、少なくとも腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスと腫瘍ワクチン細胞を構含む腫瘍免疫誘導剤調製用キットから製造することができる。本発明の腫瘍免疫誘導剤を必要とする場合に、当該腫瘍免疫誘導剤調製用キットに含まれるアデノウイルスと腫瘍ワクチン細胞を用い、予め当該腫瘍ワクチン細胞に当該アデノウイルスが感染しうる日数を考慮して、必要時に当該腫瘍免疫誘導剤が得られるように製造することができる。
 本発明は、腫瘍免疫誘導剤の製造方法にも及ぶ。腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物、即ち腫瘍ワクチン細胞に腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスを感染させる工程を含む方法により製造することができる。具体的には、腫瘍ワクチン細胞の培養処理を含み、適宜上述の腫瘍ワクチン細胞の不活化処理などの処理を行い、腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスを当該腫瘍ワクチン用細胞に感染させる工程を含む方法によることができる。アデノウイルスを感染させる方法は、例えば、上述の方法により行うことができる。
 本発明は当該腫瘍免疫誘導剤を含む癌治療剤にも及ぶ。本発明の腫瘍免疫誘導剤を含む癌治療剤は、既存の腫瘍ワクチンと同様の投与方法により腫瘍内局所投与、皮内投与、あるいは皮下投与などにより投与することができる。また、特に腫瘍免疫誘導剤は静脈内投与により全身投与することができる。このような投与方法に用いられる注射剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に生理食塩水、細胞培養液等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えてもよい。投与量は、腫瘍の大きさ・種類、症状の程度、患者の年齢、体重などに応じて適宜決定することができる。本発明の癌治療剤は、数回にわたり患者に投与してもよいし、複数回のクールに分け、一クール当たりの投与回数、投与間隔などを任意に設定してもよい。
 本発明の癌治療剤は、ほぼ全ての悪性腫瘍に適用することができ、治療対象となる癌の種類は、卵巣癌、扁平上皮癌(子宮頚部癌、皮膚癌、頭頚部癌、食道癌、肺癌等)、消化器癌(大腸癌、膵癌、肝癌、胃癌等)、神経芽細胞腫、脳腫瘍、乳癌、精巣癌、前立腺癌などが例示される。
 本発明は、腫瘍免疫誘導方法及び悪性腫瘍の治療方法にも及ぶ。具体的には、上述のいずれかの悪性腫瘍の治療及び/又は予防のために、本発明の腫瘍免疫誘導剤を有効量投与することによる腫瘍免疫誘導方法治療方法に及ぶ。投与方法としては、上述したように、本発明の腫瘍免疫誘導剤を含む癌治療剤を、既存の腫瘍ワクチンと同様に、腫瘍内局所投与、皮内投与、あるいは皮下投与などによることができ、特に本発明の腫瘍免疫誘導剤は静脈内投与により全身投与することができる。治療のための投与量は、腫瘍の大きさ・種類、症状の程度、患者の年齢、体重などに応じて適宜決定することができる。本発明の癌治療剤は、数回にわたり患者に投与してもよいし、複数回のクールに分け、一クール当たりの投与回数、投与間隔などを任意に設定してもよい。この治療方法は、自体公知の治療方法、例えば化学療法、抗体などによる生物学的製剤療法及び/又は放射線療法等と併用して行なってもよい。
 以下、本発明の理解を深めるために実施例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではないことはいうまでもない。
(実施例1)マウスモデルにおける腫瘍免疫(1)
 本実施例では、腫瘍ワクチン細胞にアジュバントとしての制限増殖型アデノウイルスを加えることによるマウスモデルでの腫瘍免疫惹起の増強効果を確認した。本実施例で用いた癌治療剤は、制限増殖型アデノウイルスを腫瘍ワクチン細胞に予め感染させた腫瘍免疫誘導剤である。
1)材料
 腫瘍ワクチン細胞として、A549細胞(非小細胞性肺癌細胞株)を用いた(Int. J. Cancer 17(1): 62-70 (1976)参照)。腫瘍ワクチン細胞は、A549細胞に400Gyの放射線を照射して作製した。
 アジュバントとしての制限増殖型アデノウイルスとして、E1A遺伝子及びE3遺伝子を有し、かつ、E1A遺伝子の上流に腫瘍特異的プロモーターとして癌特異的IAI.3Bプロモーター(IAI.3Bプロモーター)を有するアデノウイルス(AdE3-IAI.3B)を用いた。AdE3-IAI.3Bは、Cancer Res. 63(10):2506-12 (2003)に基づいて作製した。
 本発明の腫瘍免疫誘導剤(ハイブリッド型腫瘍ワクチン:CBOVS1)は、A549細胞にAdE3-IAI.3B(4,000 v.p./cell)を33時間感染させ、その後400Gyの放射線を照射して作製した。
 肺転移モデルとして、DBA/2マウス(12週齢)に、以下に示す方法でKLN205細胞(マウス肺扁平上皮癌細胞株)を静脈内投与したモデルを作製した(In Vitro. 16(10):884-92 (1980))。
2)方法
 ヒト成人の半数以上がアデノウイルスに感染していることから、予めマウスにアデノウイルスへの免疫を付加するため、Ad-β-gal(非増殖型アデノウイルス)をマウスの大腿へ1×1011 v.p./マウスの投与量で筋肉注射(i.m.)にて感作した。
 その26日後、肺の多発転移巣を作製する目的で、DBA/2マウスにKLN205細胞、5×105 個/マウスを静脈内投与(i.v.)した(Day0)。KLN205細胞の静脈内投与後11日より、本発明の腫瘍免疫誘導剤(CBOVS1)を5日間隔で3回静脈内投与し、KLN205細胞の静脈内投与後26日目における転移癌の増殖抑制効果及び腫瘍免疫増強効果を確認した。比較対照として、AdE3-IAI.3B(アデノウイルス)、A549細胞ワクチン(腫瘍ワクチン)又はPBSを、同様に5日間隔で3回静脈内投与し、KLN205細胞の静脈内投与後26日目における転移癌の増殖抑制効果及び腫瘍免疫増強効果を確認した。本発明の腫瘍免疫誘導剤又は比較対照の投与量は表1に示し、投与スケジュールは図1に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(試験例1-1)肉眼所見
 実施例1に記載の方法でマウスモデルに各種投与した後、KLN205細胞の静脈内投与後26日目に各マウスから肺を摘出し、肉眼で観察した。その結果、CBOVS1投与群では他の3群に比較して腫瘍の増殖抑制が確認された。またA549細胞ワクチン投与群でもAdE3-IAI.3B投与群及びに無治療群(コントロール群)に比較して腫瘍の増殖抑制が確認された(図2)。
(試験例1-2)腫瘍重量
 試験例1-1と同様に、KLN205細胞の静脈内投与後26日目に各マウスから肺を摘出し、肺重量を測定した。その結果、CBOVS1投与群及びA549細胞ワクチン投与群では、他の2群に比較して腫瘍増殖による肺重量の増加の抑制が確認された(図3)。
(試験例1-3)腫瘍面積
 試験例1-1と同様に、KLN205細胞の静脈内投与後26日目に各マウスから肺を摘出し、10%中性ホルマリンにて固定し、パラフィン包埋切片を作製した後、HE(ヘマトキシリン・エオジン)染色した。その後、HE染色像をコンピューター解析し、肺組織における腫瘍の占める面積を計算した。その結果、CBOVS1投与群及びA549細胞ワクチン投与群では、他の2群に比較して腫瘍面積の減少を認めた。CBOVS1投与群では腫瘍面積のさらなる減少を認めた(図4、5)。またHE染色像の強拡像ではCBOVS1投与群において腫瘍の崩壊所見が認められた(図6)。
(試験例1-4)免疫染色
 試験例1-1と同様に、KLN205細胞の静脈内投与後26日目に各マウスから肺を摘出し、CD45R及びCD3を免疫染色し、肺組織を観察した。ここで、CD45R染色ではB細胞を検出し、CD3染色ではT細胞を検出しうる。
 摘出した肺試料を、10%中性ホルマリンにて固定した後、パラフィン包埋切片を作製した。該パラフィン包埋切片をクエン酸バッファー(pH6.0)内でオートクレーブし、抗原賦活化処理を行った。CD45R抗原の賦活化のために120℃で10分間処理し、CD3抗原賦活化のために120℃で15分間処理した。各組織切片を室温で15分間、3%過酸化水素/メタノール処理し、内因性ペルオキシダーゼを不活性化処理した。さらに、8%スキムミルクにて37℃30分間ブロッキング処理後、一次抗体で各抗原と抗原抗体反応させ、常法により洗浄操作後、二次抗体で標識した。一次抗体では、抗CD45R抗体として抗CD45Rラットモノクローナル抗体(550286、BD Pharmingen社製、100倍希釈)、抗CD3抗体として抗CD3εヤギポリクローナル抗体(sc-1127、Santa Cruz社製、50倍希釈)を用いた。一次抗体は4℃でオーバーナイト反応させた。二次抗体としては、各々抗ラットIgG HRP標識二次抗体(sc-2020, Santa Cruz 社製、500倍希釈)、及び抗ヤギIgG HRP標識二次抗体(sc-2006, Santa cruz 社製、50倍希釈)を用い、室温で40分反応させた。
 上記の結果、CBOVS1投与群においてのみ腫瘍巣へのB細胞(抗CD45R抗体陽性)ならびにT細胞(抗CD3抗体陽性)の誘導、浸潤が確認された。以上のことよりA549を用いた腫瘍ワクチン細胞にアジュバント剤としての制限増殖型アデノウイルスを加え、感染させることにより、腫瘍細胞に対する適応免疫系を活性化しワクチン効果を高めることができ、腫瘍免疫誘導剤となりうることが明確となった(図7、8)。
(実施例2)マウスモデルにおける腫瘍免疫(2)
 本実施例では、腫瘍ワクチン細胞にアジュバントとしての非増殖型アデノウイルスを加えることによるマウスモデルでの腫瘍免疫惹起の増強効果を確認した。
1)材料
 皮下腫瘍モデル作製用の腫瘍細胞及び腫瘍ワクチン作製用の細胞として、いずれもKLN205細胞(マウス肺扁平上皮癌細胞株)(In Vitro. 16(10):884-92 (1980))を使用した。腫瘍ワクチン細胞は、KLN205細胞に200Gyの放射線を照射して作製し、IR-KLN205とした。
 本発明の腫瘍免疫増強剤は、以下の方法で作製した。アジュバントとしてAd-β-gal(非増殖型ウイルス)を使用した。1×105 cellsのKLN205細胞に、1×1010 vpのAd-β-galを12時間感染させ、その後200Gyの放射線を照射し、本発明の腫瘍免疫増強剤を作製した。
2)方法
 ヒト成人の半数以上がアデノウイルスに感染していることから、DBA/2マウスにアデノウイルスへの免疫を付加するため、Ad-β-gal(1×1010 vp/マウス)を0、7、14、21日の計4回、大腿へ予め筋肉注射(i.m.)し、感作した。DBA/2マウスにAd-β-gal投与後25日目に、当該DBA/2マウス(12週齢)にKLN205細胞(1×105 cells/マウス)を皮下注射し、KLN205細胞による腫瘍マウスモデルを作製した(In Vitro. 16(10):884-92 (1980))。
 次に、上記作製した腫瘍マウスモデルに、30日~66日まで3日おきに計11回、本発明の腫瘍免疫誘導剤を皮下投与した。また、比較対照として、同様にPBS、Ad-β-gal(1×1010 vp)、放射線照射した腫瘍ワクチン細胞(IR-KLN205細胞:1×105 cells)、事前にAd-β-galを感染させないが、Ad-β-gal(1×1010 vp)及びIR-KLN205細胞(1×105 cells)を各腫瘍マウスモデルにそれぞれ皮下注射した。
(試験例2-1)腫瘍の大きさ
 各試験系において、腫瘍の大きさを5日毎に計測した。図9のグラフにおける0日目(Day 0)は、本発明の腫瘍免疫誘導剤を投与した日を示しており、上述のAd-β-galを予め投与した初日から数えて30日目と同じ意味である。
 上記の結果、非増殖型アデノウイルスAd-β-gal単独の皮下注射では腫瘍免疫誘導効果(抗腫瘍効果)を認めなかった。IR-KLN205細胞(腫瘍ワクチン細胞)及びAd-β-gal+IR-KLN205細胞については腫瘍免疫誘導効果を認めたが、KLN205細胞にAd-β-galを感染させずに、KLN205細胞とAd-β-galを加えた系では、腫瘍ワクチン細胞単独投与に較べて、腫瘍免疫誘導効果の違いは殆ど認められなかった。IR-KLN205細胞に対してAd-β-galを感染させた腫瘍免疫誘導剤を投与した場合、腫瘍ワクチン細胞単独と比較して腫瘍増大作用が抑制され、有意な腫瘍免疫誘導効果が確認された(図9)。
(参考例)増殖型アデノウイルスを用いた腫瘍免疫誘導剤の安定性
 腫瘍ワクチン細胞にアデノウイルスタンパク(抗原ペプチド)を発現させるためアデノウイルスをワクチン細胞に感染させた場合、非増殖型アデノウイルスの場合はワクチン細胞内でアデノウイルスが増殖しないので品質管理は比較的容易である。しかしながら増殖型アデノウイルスをワクチン細胞に感染させて腫瘍免疫誘導剤を作製した場合、ワクチン細胞内でアデノウイルスが増殖するので、細胞内のアデノウイルスの力価をロットごとに一定に保つことが非常に困難である。アデノウイルスの力価の異なるロットを同一の薬剤とすることは安全性ならびに有効性に非常に大きな問題があると考えられる。
 本参考例では、以下のように制限増殖型アデノウイルス(AdE3-IAI.3B)を用い、同様の材料及び製造条件で作製した腫瘍免疫誘導剤(3つのロット)において、1ワクチン細胞内のアデノウイルス力価(PFU)を確認した。
1)制限増殖型アデノウイルス(AdE3-IAI.3B)を用いた腫瘍免疫誘導剤の作製
 対数増殖期にあるA549細胞1.5×107 cellを、10%FCS加RPMI培養液25mlを加えた15cmディッシュ(コーニング社)に播種し、一夜培養した。翌日その内1ディッシュをサンプルとして取り出し、培養上清を完全に吸引し、PBSを5ml加え、これを完全に吸引し、この操作を再度行い、FCSを取り除いた。この後、トリプシン溶液2mlを加えて5分程度COインキュベーターに入れ、細胞が剥離したことを確認した。その後、FCS加RPMIを予め20ml入れた50ml容のチューブに、上記トリプシン処理にて15cmディッシュより完全に剥離したA549細胞を加え、1ディッシュあたりの細胞数をカウントした。
 各ディッシュにFCSを加えていないRPMIのみの培養液を12.5ml加え、4000 vp/cellとなるよう制限増殖型アデノウイルス(AdE3-IAI.3B)を各ディッシュに加えた。これを、5%CO、37℃で3時間プレインキュベーションし、全細胞にウイルス感染を成立させた。さらに、20%FCS加RPMIを12.5ml加え、総量25mlの培養液にて感染させた。
 24時間感染後、各15cmディッシュの培養液を完全に吸引し、PBS5mlで洗浄し、吸引し、これを再度繰り返した。トリプシン溶液2mlを加えてCOインキュベーターにて5分程度静置し、細胞を剥離した後、10%FCS加RPMIをあらかじめ20ml入れた50ml容のチューブに前記剥離したA549細胞を加え、1500rpmで5分間遠心処理を行なった。その後、PBSを加えて軽くタッピングすることにより細胞をほぐし、再度1500rpmで5分間遠心処理を行なった後、PBSを加え、軽くタッピングすることにより細胞をほぐし、全細胞数をカウントした。細胞のダメージを防ぐため、ボルテックスは使用しなかった。
 5%アルブミナー(R)(ZLBベーリンガー)95%及びグリセリン5%含む保存液を作製し、上記制限増殖型アデノウイルスが感染したA549細胞(5×107個/ml)を入れ、凍結用バイアルに各々1mlずつ分注した。さらに、100μlずつ別のバイアルに分注し、これを活性検定用とした。活性検定用のバイアルを室温にて400GyでX線照射した。
2)制限増殖型アデノウイルス(AdE3-IAI.3B)のウイルス力価の測定
 ウイルス力価は、PFU(plaque-forming unit )アッセイにより測定した。PFU assayは、Williamsburg Bioprocessing Foundation(WilBio)のホームページ情報(http://www.wilbio.com/)に示す方法に基づいて多少の改良をして行った。PFUアッセイは、アデノウイルスの生物活性を測定する方法として、最も古典的で基本的な方法である。
 10%FCS加DMEM(high glucose)培養液25ml(15cmディッシュ)で培養した対数増殖期にある293細胞を用いた。PBS5mlで2回洗浄し、トリプシン溶液2mlを加え、COインキュベーターで3~5分程度反応させた後、10倍量の10%FCS加DMEM(high glucose)を加えてトリプシンを中和し、ディッシュから剥離した293細胞の細胞数を白血球計算盤にて算定した。293細胞を培養液で希釈し、4000個/100μlを96穴プレートの各ウェルに撒き、COインキュベーター内で一晩静置培養した。
 上記活性検定用に分注しておいた100μl保存液中のA549細胞を、卓上遠心器で5000rpm×5分間遠心し、上清を別のチューブに移し、保存液上清(細胞外ウイルス)とした。FCS不含DMEM(high glucose)液を、A549細胞を含む100μlのペレットに入れて軽く攪拌し、液体窒素にて5分凍結し、37℃のウォーターバスで融解し、これを計3回繰り返した。終了後、十分に攪拌した後、5000rpm×5分間遠心し、この上清を細胞上清(細胞内ウイルス)とした。
 保存液上清(細胞外ウイルス)及び細胞上清(細胞内ウイルス)の各溶液をウイルス液とし、当該ウイルス液10μlとFCS不含DMEM(high glucose)培養液390μlで40倍に希釈し、以後、ウイルス希釈液100μlと培養液300μlで4倍希釈系列を作製した。
 上述の一晩静置培養した293細胞を含む96穴プレートの各ウェルから培養液を吸引し、上記希釈したウイルス液100μl/ウェルずつ加えた。COインキュベーター内で1時間反応させた後、各ウェルに20%FCS加DMEM(high glucose)液を100μlずつ加え、その後、COインキュベーター内で15日間培養した。培養液は5日毎に80μlずつ加えた。培養10日目から15日目まで各ウェルにおける293細胞の細胞変性効果(cytopathic effect; CPE)を確認した。IC50を計算し、ウイルス力価(PFU値)を算定した。
 A549の細胞内外のアデノウイルス力価を確認した結果、図10に示すように、細胞内のウイルス力価にばらつきを生じることが観察された。従って、実用化の際の品質管理上の必須事項である、腫瘍ワクチン細胞内のウイルス力価を安定的に維持するためには、制限増殖型アデノウイルスよりは、非増殖型アデノウイルスの方が好ましいと考えられた。
 以上詳述したように、本発明の腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうるアデノウイルスと腫瘍ワクチンとを含む腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍ワクチンによる腫瘍免疫を効果的に増強させうる。即ち、本発明の腫瘍免疫誘導剤は、腫瘍免疫効果により、腫瘍重量の減少及び組織における腫瘍面積を低減化させうる。本発明のアデノウイルスと腫瘍ワクチンを含む腫瘍免疫誘導剤は、皮下投与又は静脈内投与することで、全身においてより確実に免疫能を増強させることができ、癌の転移などについても効果的に作用しうる。さらに前記腫瘍免疫誘導剤を用いた本発明の悪性腫瘍の治療方法により、優れた効果を奏する。
 なお、腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうるアデノウイルスが、増殖型アデノウイルスの場合には、腫瘍ワクチン細胞内でのウイルス活性が、ロットごとにばらつく傾向を示し、腫瘍免疫誘導剤としてロットごとに一定の品質を維持することは困難である。一方、腫瘍ワクチン用アジュバントとして機能しうるアデノウイルスが、非増殖型アデノウイルスの場合には、腫瘍ワクチン細胞にアデノウイルスが感染しても、アデノウイルスが増殖するわけではないので、腫瘍ワクチン細胞内でのウイルス活性は、ロットごとにばらつくこともない。

Claims (15)

  1. 腫瘍ワクチン用アジュバントとしてのアデノウイルスと腫瘍ワクチンとを含む腫瘍免疫誘導剤。
  2. アデノウイルスが、非増殖型アデノウイルスである、請求項1に記載の腫瘍免疫誘導剤。
  3. 腫瘍ワクチンが、腫瘍細胞由来物である請求項1又は2に記載の腫瘍免疫誘導剤。
  4. 腫瘍細胞由来物が、自家腫瘍細胞由来物又は他家腫瘍細胞由来物である、請求項3に記載の腫瘍免疫誘導剤。
  5. 他家腫瘍細胞がA549細胞、PC-3細胞、LNCap細胞、HT-3細胞、COLO679細胞、Caki-1細胞、KE39細胞、KB細胞から選択されるいずれかの樹立腫瘍細胞株由来物である、請求項4に記載の腫瘍免疫誘導剤。
  6. 請求項1~5のいずれか1に記載の腫瘍免疫誘導剤を含む癌治療剤。
  7. 腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物に、アデノウイルスを導入する工程を含む、腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
  8. アデノウイルスを腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物に導入する工程が、アデノウイルスを腫瘍細胞由来物に感染させる工程である、請求項7に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
  9. アデノウイルスが、非増殖型アデノウイルスである請求項7又は8に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
  10. 腫瘍ワクチンとなりうる腫瘍細胞由来物が、自家腫瘍細胞由来物又は他家腫瘍細胞由来物である、請求項7~9のいずれか1に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
  11. 他家腫瘍細胞がA549細胞、PC-3細胞、LNCap細胞、HT-3細胞、COLO679細胞、Caki-1細胞、KE39細胞、KB細胞から選択されるいずれかの樹立腫瘍細胞株由来物である、請求項10に記載の腫瘍免疫誘導剤の製造方法。
  12. 請求項6に記載の癌治療剤を含む皮下注射用製剤。
  13. 請求項6に記載の癌治療剤を投与することによる腫瘍免疫誘導方法。
  14. 癌治療剤の投与が、皮下注射による投与である請求項13に記載の腫瘍免疫誘導方法。
  15. 請求項1~5のいずれか1に記載の腫瘍免疫誘導剤を投与することによる悪性腫瘍の治療方法。
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