WO2007100028A1 - 粉体圧縮成形物の強度を検査又は測定する方法 - Google Patents

粉体圧縮成形物の強度を検査又は測定する方法 Download PDF

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Abstract

 本発明は、粉体圧縮成形物(特に錠剤)の特性を非破壊的に検査又は測定する方法を提供する。より詳細には、錠剤の割れ、破損、摩損などを招く総合的な粉体圧縮成形物強度を非破壊的に検査又は測定する方法を提供する。  本発明は、粉体圧縮成形物の表面硬度を非破壊的に測定し、粉体圧縮成形物の物理的強度を検査又は測定する方法、及び粉体圧縮成形物の物理的強度を評価する方法に関する。より詳細には、本発明は、粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点における表面硬度を非破壊的に測定する工程、及び測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較する工程を含む、粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する方法、当該方法を含んでなる粉体圧縮成形物の製造方法、及び当該方法により、錠剤の壊れ易さを評価する方法に関する。

Description

明 細 書
粉体圧縮成形物の強度を検査又は測定する方法
技術分野
[0001] 本発明は、非破壊的な方法により粉体圧縮成形物の物理的強度を検査又は測定 する方法、及び粉体圧縮成形物の物理的強度を評価する方法に関する。より詳細に は、本発明は、粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点における表面硬度を非破壊 的に測定する工程、及び測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較する工程を 含む、粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する方法、当該方法を含んでなる粉体 圧縮成形物の製造方法、及び当該方法により、粉体圧縮成形物の壊れ易さを評価 する方法に関する。
背景技術
[0002] 錠剤は粉末や顆粒を圧縮して成形した粉体圧縮成形物の一種であり、コンパクトで し力もひとつひとつの重量を一定化させることができるために、医薬品の製剤化、食 品の成形、工業材料や廃棄物のコンパクトィ匕などに広く応用されている。錠剤は、そ れが使用されるまでは形状を維持するだけの力学的な強度を保っていなくてはなら ないが、使用時には速やかに崩壊して均一な分散体又は溶液となり、錠剤中に含ま れる各成分の機能や作用が発現しやすいようにならなくてはいけない。このために、 錠剤は適度な硬さと、適度な崩壊性を有するように調製される必要がある。
原料粉体を圧縮成形し錠剤を製造する工程、即ち打錠は、上杵と下杵を有する打 錠機により行われ、通常は、顆粒を圧縮成形することが多いが、粉体を圧縮成形する こともある。打錠の成否は、原料粉体の付着力や体積圧縮率などの特性値、打錠の 際の圧力、圧縮速度、臼の内壁との摩擦係数などの様々なパラメーターに依存して おり、これらのパラメーターを適正に制御しないと、成形性が不十分となり、キヤッピン グ、ラミネーシヨン、チッビング又はコーティング等の処理を施すにあたり錠剤の破損 が起こり品質が低下することなどの様々なトラブルが発生し、使用に耐え得る錠剤の 成形が困難になる。例えば、錠剤が横に割れるキヤッビングや錠剤が二層又はそれ 以上の層に分裂するラミネーシヨンは、原料粉体の過度な乾燥や圧縮速度が速すぎ る場合に起こり、錠剤の端が欠けるチッビングは過大な圧縮により発生すると言われ ている。また、成形工程でのトラブルのみならず、不十分な成形のために次工程で錠 剤の破損等により、品質が低下することがある。この例としては、打錠工程に続ぐコ 一ティング工程において錠剤の摩損や面擦れなどにより外観不良等が挙げられる。 これらのトラブルは、打錠の際の打錠条件や原料粉体の特性値等の様々な要因によ つて誘起されるため、錠剤としての品質を維持する上で、原料粉体の特性によって打 錠条件を適正に設定するとともに、錠剤が適正に成形されたか否かを正確に検查及 び測定し、打錠障害の有無や適度な強度が保たれているか否力、を評価又は予測す ることが重要である。
[0003] このような成形性不足に起因する打錠のトラブルを防止するために、種々の方策が 採られてきている。例えば、打錠の際のキヤッビング、ステイツキング及びバインディ ング等を防止するために平均粒径が 20 μ m未満である硬化油脂を含有する打錠用 滑沢剤を用いる方法(特許文献 1参照)、打錠の際のキヤツビング、ステイツキング等 の打錠障害を防止するために融点が 145〜: 165°Cであり、平均粒径が:!〜 20 μ mで ある脂肪酸金属塩力 なる錠剤用滑沢剤を用いる方法 (特許文献 2参照)、得られる 錠剤の硬度、衝撃に対する耐久性及びキヤッビング性を改善するためにキシリトール 含有量が 90重量%を超え、かつ、 1つ以上の他のポリオール含有量が 10重量%未 滴であって、噴霧乾燥又は流動床造粒によって製造されることを特徴とする、直接圧 縮可能な錠剤化助剤を用いる方法 (特許文献 3参照)、ステイツキング、キヤッビング 等の打錠障害を防止するために打錠用調製顆粒中にビタミン Eなどの油脂類を 30 %以下で含有させる方法 (特許文献 4参照)などが報告されている。
このように打錠障害や成形性不足を防止するための方策は多々報告されている。 しかしながら、打錠障害の発生頻度や成形性及びそれに関連する錠剤強度を検査 及び測定し、適正に成形されたか否力、を正確に評価又は予測する方法は報告され ていない。
[0004] また、錠剤の物理的強度の評価には従来、圧縮破断方式硬度測定試験や摩損度 試験が用いられてきた力 これらの試験はいずれも破壊測定であるため、測定後の 錠剤を使用することができないという不都合があった。このために錠剤を破壊すること なく錠剤の物理的強度を測定しょうという試みもなされてきている。例えば、錠剤の近 赤外線吸収率の積分値と当該錠剤全体の硬度に一定の相関があり、近赤外線の吸 収率により非破壊的に 1錠剤の全体の硬度を測定する方法が提案されている(特許 文献 5参照)。また、超音波硬度計(ヤング率計)を用いることにより測定したヤング率 とモンサント硬度計を用いて測定した硬度との間に相関性があり、ヤング率の測定に より錠剤の硬度を非破壊的に測定することができるという報告もある(非特許文献 1)。
[0005] 特許文献 1 :特開 2005— 126397号公報
特許文献 2 :特開 2004— 131398号公報
特許文献 3:特表 2001— 519378号公報
特許文献 4:特開平 11一 178895号公報
特許文献 5:特表平 10— 509796号公報
非特許文献 1 :第 22回 製剤と粒子設計シンポジウム講演要旨集 2005 P.74-76 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、粉体圧縮成形物 (典型的には錠剤)の特性を非破壊的に検査又は測定 する方法を提供する。より詳細には、錠剤の割れ、破損、摩損などを招く総合的な錠 剤強度を非破壊的に検査又は測定する方法を提供する。
課題を解決するための手段
[0007] 従来、錠剤の物理的強度の検査及び測定は錠剤全体の硬度や摩損度に主眼が 置かれ、圧縮破断方式硬度測定試験や摩損度試験が用いられてきた。また、非破壊 試験においても単に錠剤の表面硬度のみが測定されてきた。
本発明者らは、錠剤の表面硬度の測定を行ってきたが、意外なことに錠剤によって は表面硬度が一定ではなぐ錠剤の測定位置により表面硬度が異なる場合があるこ とを見出した。そして、さらに検討を進めて来た結果、錠剤の上の面と、その反対側 の下の面における表面硬度に差がある場合には、錠剤の割れや破損が起こりやすく 、錠剤の成形性に関連があり,特に打錠時にキヤッビングが起こる可能性が高いとい うことが分かった。
このような 2点以上の表面硬度の測定は、錠剤の非破壊試験により初めて達成する ことができたものであり、従来の破壊試験では錠剤全体の硬度を測定することができ たとしても、錠剤の複数個所の部分的な強度を測定し、各部分の硬度の差を比較す ることはできなかったのである。また、報告されてきている非破壊試験においても、 1 錠剤の全体の硬度のみを測定できることが開示されているに過ぎなレ、。 1錠剤の全体 の硬度は、圧縮力に対する抵抗性や摩損度に関係しているとしても、衝撃に対する 割れ'破損の発生頻度、また、打錠時のキヤッビングの発生頻度と関連する指標とは 必ずしも成り得なかった。
即ち、本発明者らは、錠剤の割れや擦れ,破損の有無、特に打錠時のキヤッビング 発生の有無と関連する総合的な物理的強度の指標を見出し、その検査方法及び測 定方法を見出した。
より詳細には、本発明者らは、打錠時のキヤッビング発生の有無の評価方法につい て鋭意研究を行い、その結果、超音波硬度計によって錠剤表面の 2点の表面硬度を 測定し、その測定値に基づけば錠剤の強度をより正確に評価できることを見出し、本 発明を完成した。
更に、本発明は、錠剤のみならず、例えば、入浴剤などの固形剤や医薬品や食品 分野の中間工程で製造されるスラッグ錠やペレット、及びコーティング錠の核となる素 錠のような粉体成形物にも適用できると考えられる。
即ち、本発明は、粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点、即ち 2点又はそれ以上 の点における表面硬度を非破壊的に測定する工程、及び測定された粉体圧縮成形 物の表面硬度を比較する工程を含む、粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する方 法に関する。
また、本発明は、粉体を圧縮することにより成形された粉体圧縮成形物の表面の任 意の複数の点における硬度を非破壊的に測定し、測定された粉体圧縮成形物の表 面硬度を比較して粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程を有していることを 特徴とする粉体圧縮成形物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点における表面硬度を非 破壊的に測定する工程、及び測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較するェ 程を含む、粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する方法により、粉体圧縮成形物 の壊れ易さを評価する方法に関する。
本発明をより詳細に説明すれば、以下の(1)乃至(18)となる。
(1)粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点における表面硬度を非破壊的に測定す る工程、及び測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較する工程を含む、粉体 圧縮成形物強度を検査又は測定する方法。
(2)粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点が、粉体圧縮成形物の反対面からそれ ぞれ選ばれる点である、前記(1)に記載された方法。
(3)粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点が 2点である、前記(1)又は(2)に記載 された方法。
(4)粉体圧縮成形物表面の任意の 2点の片方が粉体圧縮成形物の上面の中央付近 の 1点であり、他の 1点が反対面の中央付近の 1点である、前記(3)に記載された方 法。
(5)測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較する工程が、測定された粉体圧 縮成形物の表面硬度の最大値と最小値とを比較する工程である、前記(1)乃至 (4) のいずれか 1つに記載された方法。
(6)粉体圧縮成形物強度の検査又は測定が、錠剤の成形性を評価するためのもの である、前記(1)乃至(5)のレ、ずれ力 1つに記載された方法。
(7)粉体圧縮成形物強度の検査又は測定が、錠剤のキヤッビング性を評価するため のものである、前記(1)乃至(6)のいずれか 1つに記載された方法。
(8)粉体圧縮成形物の表面硬度の非破壊的な測定が、超音波硬度計 (ヤング率計) を用いて測定されるものである、前記(1)乃至(7)のレ、ずれか 1つに記載された方法
(9)粉体圧縮成形物が錠剤である、前記(1)乃至(8)のいずれか 1つに記載された 方法。
(10)錠剤が医薬組成物である、前記(9)に記載された方法。
(11)粉体を圧縮することにより成形された粉体圧縮成形物の表面の任意の複数の 点における硬度を非破壊的に測定し、測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比 較して粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程を有していることを特徴とする 粉体圧縮成形物の製造方法。
(12)粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点の少なくとも 1点が、粉体圧縮成形物 の上面の中央付近の 1点であり、他の点が反対面の中央付近の 1点である、前記(1 1)に記載された方法。
(13)粉体圧縮成形物の表面硬度の非破壊的な測定が、超音波硬度計 (ヤング率計 )を用いて測定されるものである、前記(11)又は(12)に記載された方法。
(14)粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程が、粉体を圧縮することにより成 形した粉体圧縮成形物の全数を検查又は測定する工程である、前記(11)乃至(13
)のいずれか 1つに記載された方法。
(15)粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程で異常が見られなかった粉体 圧縮成形物のみを選別し、選別された粉体圧縮成形物を修飾する工程を含む、前 記(11)乃至(14)のレ、ずれか 1つに記載された方法。
(16)粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程で異常が見られなかった粉体 圧縮成形物のみを選別し、選別された粉体圧縮成形物をコーティングする工程を含 む、前記(11)乃至(15)のいずれか 1つに記載された方法。
(17)粉体圧縮成形物が錠剤である、前記(11)乃至(16)のいずれ力 1つに記載さ れた方法。
(18)測定される錠剤が医薬組成物である、前記(17)に記載された方法。
本発明は、粉体を圧縮することにより成形された粉体圧縮成形物(特に錠剤)にお ける力学的なアンバランスに着目して、粉体圧縮成形物強度を検査、測定又は評価 する新しレ、指標を提供するものである。
従来は、錠剤の強度の測定法としては、圧縮破断方式硬度測定試験や摩損度試 験が用いられてきたが、これらの試験法は錠剤を破壊して調べる方法であり、また、 錠剤全体としての強度が測定されるだけであり、ひとつの錠剤における力学的なアン バランス (偏り)を調べることはできなかった。また、錠剤の割れ、擦れ,破損や、打錠 時の障害を防止する目的で原料の有効破壊包絡線を測定する方法も考案されてい るが、測定が煩雑であるば力 でなぐ数種類の原料物質を混合して使用する場合の 予測性は極めて乏しかった。このようなこと力 、打錠された錠剤における力学的なァ ンバランス (偏り)を従来の測定法で測定することは困難であるとされていたし、そもそ も打錠された錠剤における力学的なアンバランス (偏り)が存在してことを予測するこ ともなされてレ、なかった。さらに、本発明が提供する方法により錠剤の強度を評価で きることも予測されてレ、なかった。
また、従来の圧縮破断方式硬度測定試験や摩損度試験で得られる物性値 (硬度 や摩損性)とキヤッビング発生頻度には必ずしも相関性が無ぐこれらの物性値から 打錠時のキヤッビングの有無を正確に予測することは極めて困難であった。
[0011] 非特許文献 1には、超音波硬度計(ヤング率計)が記載されており、この超音波硬 度計 (ヤング率計)は、圧電セラミック素子 (PZT)が使用されており、振動用の圧電 素子 (振動子)と振動感知用圧電素子 (ピックアップ)を組み合わせて、ピックアップが 感知した振動に基づく出力をフィードバック回路により振動子に戻し、その変化を出 力することにより、被検体のヤング率を測定するものである。そして、非特許文献 1に よれば、錠剤のモンサント硬度と当該超音波硬度計 (ヤング率計)で測定したヤング 率には相関性があり(相関係数は、 0. 86〜0. 99であった。)、錠剤の表面硬度を当 該超音波硬度
計 (ヤング率計)により測定することができることが開示されている。非特許文献 1に記 載されている相関係数はかなり高レ、ものであり、高信頼性で錠剤の表面硬度を当該 超音波硬度計(ヤング率計)で測定することができる。そして、非特許文献 1には、測 定に用いた超音波硬度計 (ヤング率計)の接触圧力は 24gであったが、錠剤の種類 や表面の状態により接触圧力や接触子を変更することにより、さらに幅広い錠剤の硬 さを測定することができる旨が記載されている。
[0012] そこで、本発明者らは、錠剤 Aと錠剤 Bの 2種類の錠剤を作り、これらの錠剤の硬度 とヤング率を測定した。その結果を次の表 1に示す。
[表 1] 表 1 錠剤の硬度とヤング率 (n = 5)
錠剤 A 錠剤 B
ヤング率 (G P a ) 凸面 1 2 . 6 5 4. 8 1
凸面 2 1 . 7 5 3. 9 5
側面 6 . 8 1 9. 8 7
硬度 (k g) 2 . 7 1 1. 4
[0013] 測定はそれぞれ 5個の錠剤を用いた。表 1における「凸面 1」は、錠剤の 2つの凸面 における測定値の大きい方を「凸面 1」としている。
この結果、錠剤の硬度と測定されたヤング率には非特許文献 1に開示されているよ うな相関が見られたが、驚くべきことに錠剤の測定する位置によりヤング率の値が異 なっていることがわかった。例えば、錠剤 Aでは凸面 1と凸面 2のヤング率の差は 0.9 OGPaであり、錠剤 Bでは 0.86GPaであった。また側面での測定では凸面 1の値の 2 倍以上の値を示した。
[0014] 本発明者らは、この差が何によるものかをさらに検討した。そこで各種の錠剤を作 成して調べた結果、これらの相違が錠剤の強度に関連していることが判明した。この ために本発明者らは、衝撃によって破損する可能性のあるいくつかの錠剤 Cを作成 し、作成した錠剤から任意に選んだ 4個の錠剤について摩損度試験において破損ま でに要する時間(分)と測定されたヤング率との関係を検討した。この結果を次の表 2 に示す。
[表 2] 表 2 ヤング率、 並びに破損までに要する時間— (分)
錠剤 C 1 錠剤 C 2 錠剤 C 3 錠剤 C 4
ヤング率(GPa)
凸面 1 (a) 2. 8 3. 1 3 . 1 3 . 7 凸面 2 (b) 1. 0 1. 7 0 . 6 0 . 4 両者の差 ( a - b) 1. 8 1. 4 2 . 5 3 . 3 两者の比 (b/ a ) 0. 3 6 0. 5 5 0 . 1 9 0 . 1 破損までの時間 (分) > 6 0 > 6 0 3 0 3 0 [0015] 表 2中の「> 60」は、 60分時点でも破損しなかったことを示す。なお、「凸面 1」は前 記した表 1と同じ意味である。
この結果、凸面 1と凸面 2の測定値の差が小さい錠剤 Cl、 2は 60分時点でも破損 は起こらな力 た力 その差の大きい錠剤 C3、 4は 30分時点で横割れを起こし、キヤ ッビング様に破損した。
これらのことから、錠剤の複数点の表面硬度の測定値の大きな差は錠剤強度が十 分でないことを示し、表面硬度の測定値の差が錠剤の破損やキヤッビングの有無を 評価及び予測する有用な指標となることが明らかとなった。
[0016] 本発明は、第一に粉体圧縮成形物を非破壊的に測定することを特徴とするもので あり、第二に当該測定を 2点以上の複数の点で行うことを特徴とするものであり、さら に第三にこれらの複数の点における測定値を比較することを特徴とするものであり、 そして、第四に比較された測定値に基づいて粉体圧縮成形物強度を評価することが できることを明らかにしたことを特徴とするものである。
[0017] 本発明における粉体圧縮成形物としては、顆粒や粉体などの不定形な固体を圧縮 して一定の形状に成形されたものであれば特に制限はない。粉体を圧縮することに より粉体圧縮成形物を成形する方法も、乾式法、湿式法、半乾式法、押し出し法、圧 延法などのいずれの方法であってもよい。また、成形される形状にも特に制限はなく 、円板形、レンズ形、楕円形などのいずれの形状であってもよい。本発明における粉 体圧縮成形物としては錠剤が好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、 入浴剤などの固形剤や医薬品や食品分野の中間工程で製造されるスラッグ錠及び ペレット、並びにコーティング錠の核となる素錠であってもよレ、。本発明の錠剤として は、非破壊的に錠剤の表面硬度を測定することから、測定対象となる成分が表面に 露出している錠剤が好ましい。顆粒や粉末を圧縮して成形しただけの素錠が好まし レ、が、これに限定されるものではなレ、。例えば、フィルムコート錠や糖衣錠のコーティ ング状態を測定する場合には、フィルムコート錠や糖衣錠であってもよい。
また、本発明の方法は、粉体圧縮成形物強度を測定し、検査し、評価するものであ り、錠剤の使用対照としての用途に限定されるものではなぐ医薬品、農薬、食品、ェ 業材料のあらゆる分野における粉体圧縮成形物に適用することができる。好ましい用 途としては、厳しい規格が要求される錠剤(特に、医薬組成物である錠剤)が挙げら れる力 これに限定されるものではない。
本発明の粉体圧縮成形物強度は、従来法により測定される錠剤の硬度とは異なり 、使用時まで錠剤の一定の形状を維持することができる物理的強度を意味し、錠剤 が割れたり、擦れたり,欠けたり、ひびが入ったりなどして錠剤の一定の形状を維持で きなくなることを防止できるだけの物理的又は力学的な強さを意味する。また、打錠 時におけるキヤッビング及びラミネーシヨン、並びにコーティング工程でおこる錠剤の 擦れなどの指標と成り得る物理的な強度も本発明の粉体圧縮成形物強度に包含さ れるものである。
本発明における粉体圧縮成形物の表面硬度とは、超音波などの非破壊的方法に より測定される錠剤の局部的な部分の硬度であり、「表面硬さ」と表現されることもある 。この表面硬度という表現における「硬度」は、従来から知られているモンサント硬度 計などを用いて測定した硬度などのような「硬度」とは必ずしも一致するものではなぐ 前記した超音波などの非破壊的方法により測定された測定値から導かれる値であつ てもよレ、。したがって、超音波などの非破壊的方法により測定された測定値をそのま ま本発明の表面硬度又は表面硬さとして使用することもできるし、当該測定値を換算 して使用することちでさる。
本発明の方法における粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点としては、 2点以上 であれば特に制限はないが、本発明の方法がひとつの粉体圧縮成形物における力 学的なアンバランス (偏り)を調べることを目的としていることから、測定点としてはでき るだけ異なる位置を選択するのが好ましい。また、測定点としては多いほど好ましい 、測定の煩雑さや測定値の比較の煩雑さなどのことから、少数の効率的な測定点 を選択するのが好ましい。好ましい測定点としては、錠剤の上面とその反対側の下面 のそれぞれの 1点が挙げられる。より好ましくは、錠剤の上面の中央付近(凸面)の 1 点と、反対面の下面の中央付近(凸面)の 1点が挙げられる。また、製造された錠剤が コンベアなどで移動して連続的に製造されている場合には、コンベアの一部に上下 力、ら錠剤の表面を測定可能なようにしておき、連続的に錠剤の上面の一部又は全部 と同時に下面の一部又は全部を連続して測定することもできる。 [0019] 本発明における非破壊的な測定としては、粉体圧縮成形物を破壊することなく粉体 圧縮成形物の表面の物性、好ましくは表面硬度を測定できるものであれば特に制限 はないが、例えば、超音波や近赤外線を粉体圧縮成形物表面に照射して、その吸 収率や反射波により測定するものが挙げられる。非破壊的な測定法としては、非接触 的な方法でも接触的な方法でもどちらでもよい。近赤外線の吸収率による非破壊的 な表面硬度の測定法としては、特許文献 5に記載された方法が挙げられ、また超音 波による非破壊的な表面硬度の測定法としては非特許文献 1に記載されている方法 が挙げられる。これらの文献の記載は参照して本明細書に取り込まれる。
本発明の方法における好ましい非破壊的な測定としては、非特許文献 1に記載さ れている超音波硬度計 (ヤング率計)が挙げられる。そして、この場合には、測定され たヤング率から硬度に変換する必要は無ぐ測定されたヤング率の値をそのまま本発 明における表面硬度のパラメーター値として使用することができる。これは、本発明に ぉレ、ては、測定された測定値の絶対値も粉体圧縮成形物の強度を確認するために 重要ではあるが、同時にこれらの測定値の相対的な関係も重要となるからである。
[0020] 本発明における測定された錠剤の表面硬度を比較する工程としては、測定された 値の差又は商(比)を計算してこの値を標準値と比較することにより行うことができる。 許容限度がどの程度になるかは、測定する粉体圧縮成形物の形状や成分などの種 類、及び測定する位置などにより相違してくるので、特定の粉体圧縮成形物につい て測定位置を決定して、適正な強度を持つ粉体圧縮成形物及び破損する可能性の 有る錠剤を製造して、それぞれの標準的な値 (標準値)を決定し、この標準値から許 容限度を決定することが必要である。例えば前記した表 2の実験結果では、凸面 1と 凸面 2の差によれば、その差が少なくとも 2. 5以上となった場合には、当該錠剤は錠 剤強度が不足しており破損してしまうが(表 2の錠剤 C3参照)、その差が 1. 8では破 損せず十分な錠剤強度を有していると判定される(表 2の錠剤 C1参照)。このように 測定値の差に基づいて比較することもできるし、同様に両者の比に基づいて判定す ることもできる。例えば、表 2の例では、凸面 1と凸面 2の比が、少なくとも 0. 36以上で あれば破損せず十分な錠剤強度を有していると判定される(表 2の錠剤 C1参照)。し かし、その比が 0. 19以下であれば当該錠剤は錠剤強度が不足しており破損するこ とになる(表 2の錠剤 C3参照)。また、このような差及び商(比)を組み合わせて判定 することもできる。どのような方法で判定基準を作成するのかということは、粉体圧縮 成形物の種類や測定位置に応じて適宜実験的に決定することができる。
また、粉体圧縮成形物の表面硬度が一定値以上の硬度を有していることも勿論重 要である。これは、粉体圧縮成形物が一定値以上の表面硬度を有していないと粉体 圧縮成形物の成形性を維持することができない場合があるからである。例えば、以下 の表 7に示されるように、測定された 2点における表面硬度の差や商だけが好ましレヽ 状態にあつたとしてもその絶対値が小さい場合には、粉体圧縮成形物の成形性を維 持することができなくなるからである。このように、測定値の相対的な関係だけでなぐ 測定値の絶対値も考慮して粉体圧縮成形物の成形性を評価することも重要である。 さらに、実験により判定基準ができれば、これをプログラム化し、測定値を入力して パソコンなどのコンピューターで粉体圧縮成形物の表面硬度を比較させることもでき る。
本発明の方法は、粉体圧縮成形物の表面の 2以上の点における表面硬度を非破 壊的に測定すること、及び測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を評価し、及び/ 又はこれらを比較することを特徴とする粉体圧縮成形物強度を非破壊的に検査又は 測定する方法に関するものであり、当該方法により粉体圧縮成形物の壊れ易さを評 価すること力できる。即ち、粉体圧縮成形物表面の 2以上の点における表面硬度を 非破壊的に測定し、この測定値を評価し、及び/又は比較した結果としての差とか 商 (比)を、粉体圧縮成形物の壊れ易さの指標とすることができる。粉体圧縮成形物 の絶対的な硬度は粉体圧縮成形物の成形性を維持するために必要ではあるが、さら に本発明は、粉体圧縮成形物の全体的な物理的な強度だけではなぐ粉体圧縮成 形物の部分的な物理的な強度のアンバランス (偏り)を錠剤強度の新たな指標とする ことができるという製剤上の新規な概念を提供するものである。
さらに、本発明の方法は非破壊的な方法であり、本発明の方法をそのまま従来の 粉体圧縮成形物の製造工程に組み込むこともできる。したがって、本発明は、本発 明の方法が組み込まれた粉体圧縮成形物の製造方法を提供するものでもある。本発 明の粉体成形物強度の検査又は測定方法は、従来の錠剤の製造方法における任 意の工程の間に設けることができる力 S、打錠して素錠を得る工程の後に組み込むの が好ましレ、。製造された錠剤の連続した流れの一部に本発明の検査又は測定方法 を実施することができる工程を設けることにより、製造された錠剤の全数又はその一 部について錠剤強度を確認することができる。そして、必要に応じて、検查又は測定 された結果に基づいて、錠剤強度が不十分である錠剤を製造ライン力 取り除く工程 を設けることもできる。また、本発明の方法は素錠に限定されるものではなぐフィルム コート錠や糖衣錠表面の表面硬度の偏りを検查又は測定する方法として応用するこ とができる。
更に、フィルムコート錠や糖衣錠を製造する場合には、本発明の検查又は測定方 法を実施する工程を、素錠を得る工程の後に組み込むことにより、素錠を修飾する( 即ち、フィルムコーティングや糖衣をかける)前に、異常が見られなかった錠剤(即ち 、錠剤強度が十分である錠剤)のみを選別することができる。
発明の効果
[0022] 本発明は、錠剤の全体的な物理的な強度だけではなぐ錠剤の部分的な物理的な 強度のアンバランス (偏り)を錠剤強度の新たな指標とすることができるという製剤上 の新規な概念を提供するものであり、非破壊的に錠剤の表面硬度を測定するだけで なぐ錠剤の物理的な強度を検查又は測定することができる。よって、本発明の方法 により錠剤の製品としてのより万全な品質管理を行うことが可能となる。また、本発明 の方法が非破壊的な方法であることにより、無駄な製品の破壊を減らすことができ、 経済的なメリットが生まれる。
更に、本発明の方法は簡便であるだけでなぐ錠剤強度を数値化することができ、 コンピューターによる品質管理が可能であり、より客観的な錠剤強度の指標を提供す るものである。
[0023] 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によ り何ら限定されるものではない。
実施例 1
[0024] (1)試験錠剤 A及び Bの製造
表 3に示す種類及び量の成分を用いて、以下の錠剤 A及び Bを以下の方法で製造 した。
N- (1ーォクチルー 5—カルボキシメチルー 4, 6—ジメチルインドリン 7—ィル) —2, 2 ジメチルプロパンアミド(米国特許第 6063806号。以下「ィ匕合物 A」という)、 乳糖、クロスポビドン、ァスコルビン酸、酒石酸を添加し、高速攪拌造粒機により混合 し、得られた混合物に、流動層造粒機によりヒドロキシプロピルセルロース水溶液をス プレーした。得られた造粒物を流動層乾燥機を用いて乾燥し、乾燥した造粒物を整 粒機を用いてスクリーンを強制的に通過させ、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセ ルロース、ケィ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムをカ卩えて拡散式混合機で混 合させた。
[表 3] 表 3
成分 1錠あたり重量 (mg)
錠剤 A 錠剤 B 化合物 A ― 1 1 1 . 8 乳糖 2 3 5 . 7 5 1 2 3 . 9 5 クロスポビドン 2 0 2 0 ァスコノレビン酸 3 3 酒石酸 1 2 . 5 1 2 . 5 ヒ ドロキシプロピ /レセノレロース 7 . 5 7 . 5 低置換度ヒ ドロキシプロピノレメチノレセノレロー -ス 6 2 . 5 6 2 . 5 ケィ酸カルシウム 7 . 5 7 . 5 ステアリ ン酸マグネシウム 1 1 . 2 5 1 1 . 2 5 o RT 3 6 0 3 6 0 得られた混合物はオープンフィーダ一を装備したロータリー打錠機で錠剤 Aを、攪 拌フィーダ一を装備したロータリー打錠機を用いて錠剤 Bを、それぞれ表 4に示す条 件で打錠した。打錠の際の杵には直径 9. 5mmの二重 R杵を用いた。
[表 4] 打錠条件
打錠圧 本圧 (kN)
予圧 (kN)
攪拌フィーダ一回転速度 (rpm)
ターンテーブル回転速度 (rp—m)
[0026] (2)ヤング率の測定
前記(1)で製造した錠剤 A及び Bのそれぞれから任意に選んだ 5錠、及び前記(2) で製造した錠剤 B5錠のヤング率を、それぞれアクシム社製の超音波硬度計 (ヤング 率計)を用いて測定した。
測定は、錠剤の測定位置が上部になるように錠剤を測定台に固定し、これをスタン ドに固定された超音波硬度計(ヤング率計)のプローブ先端の真下に来るように設置 し、プローブの先端を垂直に押し当てて測定した。それぞれの錠剤について、錠剤 の上下の凸面の 2力所、及び錠剤の側面について測定した。
(3)錠剤の硬度の測定
前記(2)のヤング率の測定を終えた錠剤を圧縮破断式硬度計を用いて通常の方 法で錠剤の硬度を測定した。
(5)結果
錠剤 A及び錠剤 Bの硬度及びヤング率について、それぞれ 5錠ずつ測定し、これら の平均値を算出した。この結果は前記の表 1に示した通りであった。
実施例 2
[0027] (1)試験錠剤 Cの製造
錠剤 Cは表 3に示す錠剤 Aと同一の処方を用いて以下の製法で製造した。 乳糖、クロスポビドン、ァスコルビン酸、酒石酸を添加し、高速攪拌造粒機により混 合し、得られた混合物に、流動層造粒機によりヒドロキシプロピルセルロース水溶液を スプレーした。得られた造粒物を流動層乾燥機を用いて乾燥し、乾燥した造粒物を 整粒機を用いてスクリーンを強制的に通過させ、低置換度ヒドロキシプロピルメチル セルロース、ケィ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムを加えて拡散式混合機で混 合させた。
得られた混合物は攪拌フィーダ一を装備したロータリー打錠機と直径 9. 5mmの二 重 R杵を用いて、表 5に示す打錠条件で打錠した。
[表 5]
Figure imgf000017_0001
[0028] (2)ヤング率の測定
前記(1)で製造した錠剤 Cから任意に選んだ 4錠のヤング率を、それぞれアクシム 社製の超音波硬度計 (ヤング率計)を用いて測定した。
測定は、錠剤の測定位置が上部になるように錠剤を測定台に固定し、これをスタン ドに固定された超音波硬度計 (ヤング率計)のプローブ先端の真下に来るように設置 し、プローブの先端を垂直に押し当てて測定した。それぞれの錠剤について、錠剤 の上下の凸面の 2力所を測定した。
(3)摩損度試験による破損までの時間の測定
前記(2)の測定をおこなった後、錠剤 C1〜C4に関して、それぞれ 1錠ずつを日本 薬局方 (第 14改訂)に記載された方法に準じた方法で摩損度試験を行った。破損ま での時間は、試験開始から 10分毎に 60分まで錠剤が破損しているか否かを観察し 、錠剤の破損が確認されて時間を「摩損度試験による破損までの時間」とした。
(4)結果
錠剤 C1〜C4のそれぞれのヤング率及び摩損度試験による破損までの時間は、前 記の表 2に示した通りであった。
実験例 3
[0029] (1)試製錠剤 Dの製造 錠剤 D1〜D4を次の表 6に示す処方を用いて以下の製法で製造した。
結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケィ酸、ステア リン酸マグネシウム、タルクを拡散式混合機で混合後、攪拌フィーダ一を装備した口 一タリー式打錠機にて、錠剤質量が約 lOOOmgになるように打錠した。得られた錠剤 を整粒機にて解砕して打錠用顆粒を得た。次に、得られた打錠用顆粒を拡散式混合 機で混合後、攪拌フィーダ一を装備したロータリー式打錠機を用いて錠剤質量が 25 Omgになるように直径 8. 5mmの二重 R杵を用いて種々の打錠圧で打錠した。
[表 6] 表 6
成分 1錠あたり重量 (mg)
錠剤 D
結晶セルロース 1 8 0
低置換度ヒ ドロキシプロピルセルロース 5 0
軽質無水ケィ酸 7 . 5
ステアリン酸マグネシウム 5
タルク 7 · 5
合計 2 5 0 (2)ヤング率の測定
前記(1)で製造した錠剤 Dのヤング率を、それぞれアクシム社製の超音波硬度計( ヤング率計)を用いて測定した。
測定は、錠剤の測定位置が上部になるように錠剤を測定台に固定し、これをスタン ドに固定された超音波硬度計(ヤング率計)のプローブ先端の真下に来るように設置 し、プローブの先端を垂直に押し当てて測定した。それぞれの錠剤について、錠剤 の上下の凸面の 2力所を測定した。
(3)摩損した割合の評価
質量を測定した錠剤をプラスチックの筒の中で 250回毎分の速度で 2分間振とう後 、再度質量を測定した。その振とう前後における質量の変化を摩損した割合として算 出しに。
(4)錠剤の擦れの評価 錠剤をパンコーティングに投入し、パンを 20分間回転後、錠剤を取り出し錠剤の擦 れ具合を目視で評価した。
[表 7]
表 7 ヤング率, 磨損した割合、 並びに錠剤の擦れ
錠剤 D 1 錠剤 D 2 錠剤 D 3 錠剤 D 4 ヤング率 (G P a )
凸面 1 1 . 2 1 . 4 2 . 1 3 . 1 凸面 2 1 . 2 1 . 4 1 . 9 3 . 0 磨損した割合 (%) 5 . 9 1 . 3 0 . 7 0 . 6
錠剤の擦れ ± ± z -
+ :擦れが大きい 一:擦れが小さい
[0031] (4)結果
錠剤 D1〜D4のそれぞれのヤング率、磨損した割合、並びに錠剤の擦れは、前記 の表 7に示した通りであり、両面の表面硬度が高いほど摩損した割合が小さぐ 目視 で確認した錠剤の擦れも小さいことが判明した。したがって、両面の表面硬度を測定 し、その差が小さくかつ値が高いものは、工程のコーティングにおける錠剤の成形性 に起因するトラブルを回避でき、良好な品質の錠剤が得られることがわかった。 産業上の利用可能性
[0032] 本発明は、粉体圧縮成形物(特に錠剤)の全体的な物理的な強度ではなぐ粉体 圧縮成形物の部分的な物理的な強度のアンバランス (偏り)を粉体圧縮成形物強度 の新たな指標とすることができるという製剤上の新規な概念を提供するものであり、粉 体圧縮成形物の製品としてのより万全な品質管理を行うことが可能となる。また、本発 明の方法が非破壊的な方法であることにより、無駄な製品の破壊を減らすことができ 、粉体圧縮成形物 (特に錠剤)を製造する医薬品産業、農薬産業、食品産業などの 幅広い産業分野において極めて有用なものであり、本発明は産業上の利用可能性 を有するものである。

Claims

請求の範囲
[I] 粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点における表面硬度を非破壊的に測定する 工程、及び測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較する工程を含む、粉体圧 縮成形物強度を検査又は測定する方法。
[2] 粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点が、粉体圧縮成形物の反対面からそれぞ れ選ばれる点である、請求の範囲第 1項に記載された方法。
[3] 粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点が 2点である、請求の範囲第 1項又は 2項 に記載された方法。
[4] 粉体圧縮成形物表面の任意の 2点の片方が粉体圧縮成形物の上面の中央付近の 1点であり、他の 1点が反対面の中央付近の 1点である、請求の範囲第 3項に記載さ れた方法。
[5] 測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較する工程が、測定された粉体圧縮 成形物の表面硬度の最大値と最小値とを比較する工程である、請求の範囲第 1項乃 至 4項のレ、ずれか 1項に記載された方法。
[6] 粉体圧縮成形物強度の検査又は測定が、錠剤の成形性を評価するためのもので ある、請求の範囲第 1項乃至 5項のいずれ力 4項に記載された方法。
[7] 粉体圧縮成形物強度の検查又は測定が、錠剤のキヤッビング性を評価するための ものである、請求の範囲第 1項乃至 6項のいずれ力、 1項に記載された方法。
[8] 粉体圧縮成形物の表面硬度の非破壊的な測定が、超音波硬度計 (ヤング率計)を 用いて測定されるものである、請求の範囲第 1項乃至 7項のいずれ力、 1項に記載され た方法。
[9] 粉体圧縮成形物が錠剤である、請求の範囲第 1項乃至 8項のいずれ力 4項に記載 された方法。
[10] 錠剤が医薬組成物である、請求の範囲第 9項に記載された方法。
[II] 粉体を圧縮することにより成形された粉体圧縮成形物の表面の任意の複数の点に おける硬度を非破壊的に測定し、測定された粉体圧縮成形物の表面硬度を比較し て粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程を有していることを特徴とする粉体 圧縮成形物の製造方法。
[12] 粉体圧縮成形物表面の任意の複数の点の少なくとも 1点が、粉体圧縮成形物の上 面の中央付近の 1点であり、他の点が反対面の中央付近の 1点である、請求の範囲 第 10項に記載された方法。
[13] 粉体圧縮成形物の表面硬度の非破壊的な測定が、超音波硬度計 (ヤング率計)を 用いて測定されるものである、請求の範囲第 11項又は 12項に記載された方法。
[14] 粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程が、粉体を圧縮することにより成形 した粉体圧縮成形物の全数又は一部を検查又は測定する工程である、請求の範囲 第 11項乃至 13項のいずれか 1項に記載された方法。
[15] 粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程で異常が見られなかった粉体圧縮 成形物のみを選別し、選別された粉体圧縮成形物を修飾する工程を含む、請求の 範囲第 11項乃至 14項のいずれか 1項に記載された方法。
[16] 粉体圧縮成形物強度を検査又は測定する工程で異常が見られなかった粉体圧縮 成形物のみを選別し、選別された粉体圧縮成形物をコーティングする工程を含む、 請求の範囲第 11項乃至 15項のいずれ力 1項に記載された方法。
[17] 粉体圧縮成形物が錠剤である、請求の範囲第 11項乃至 16項のいずれ力 1項に記 載された方法。
[18] 測定される錠剤が医薬組成物である、請求の範囲第 17項に記載された方法。
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