明細書
ADAM 1 0または ADAM 1 7タンパク質の機能阻害剤
およびそのスクリーニング方法 技術分野
本発明は、 ADAM 1 0または ADAM 1 7タンパク質の C D 4 4切 断活性を阻害する物質を有効成分として含有する腫瘍細胞の浸潤および /または転移を阻害する作用を有する薬剤、 およびそのような阻害物質 のスク リーニング方法に関する。 背景技術
CD 44は、 I型膜貫通タンパク質であり、 細胞外マ ト リ ックス (E x t r a c e l l u l a r m a t r i : E CM) の構成成分である ヒアルロン酸 (HA) を主なリガンドとする細胞接着分子として機能す る。 CD 4 4は、 リ ンパ球や白血球、 線維芽細胞、 上皮細胞、 腫瘍細胞 など広範な細胞系に発現しており、 リンパ球ホーミング、 リンパ球活性 化、 細胞一細胞間接着及び細胞一基質間接着、 細胞運動、 癌細胞増殖 - 転移などの様々な生理学的事象に関与していることが知られている。
CD 4 4は、 その外部ドメインおよび膜内ドメインが連続的なタンパ ク質分解による切断を受け、 これが癌細胞の移動および転移および種々 の生理学的事象において重要な役割を果すことが報告されている ( 1 )
CD 4 4の外部ドメインの切断は、 膜結合マトリ ツクスであるメタ口 プロティナーゼ (MMP s ) によって仲介され、 多数のシグナル経路 ( 例えば、 細胞外 C a 2 +流入、 プロテインキナーゼ C (P KC)、 R a s オンコプロテイン、 および Sna a l l GT P a s eの R h oファミ リー の活性化) によって調節される (2および 3を参照)。 P KCの活性化 および細胞外 C a 2 +流入によって誘導された CD 4 4の外部ドメイン
の切断は、 それぞれ独立したメカニズムによって調節されることが報告 されている (2)。 ' .
可溶性外部ドメイン (可溶型 CD 4 4) の膜結合 COOH末端フラグ メント (CD 4 4 E XT) からの遊離は、 H A含有基層上での細胞移動 の間における C D 4 4と E CMとの間の相互作用の動的な調節によるも のである。 外部ドメインの切断はまた、 プレセ二リ ン依存性 γセクレタ ーゼによる CD 4 4 Ε ΧΤの膜内切断を誘引し、 これによつて CD 44 細胞内ドメイン (CD 4 4 I CD) が細胞質中へ放出される (4を参照 さらに、 CD 4 4 I CDは、 核へと転位し、 T PA ( 1 2—O— t e t r a d e c a n o y l p h o r b o 1 1 3— a c e t a t e ) 反応 性エレメントによつで仲介される遺伝子転写を活性化する ( 5を参照) 。 外部ドメインの切断事象は、 このようにして、 CD 4 4によって仲介 される細胞内シグナリング経路を開始する。
膜タイプ 1 MMPは、 C D 4 4と複合体を形成し、 移動する細胞の 先端で外部ドメインを切断することが報告されている (6を参照)。 し かしながら、 C a 2+流入は、 前駆体膜タイプ 1 MMPの活性型プロ テアーゼへの変換おょぴ MM P— 2の活性化の両方を阻害する ( 7を参 照)。 したがって、 C a 2'+流入によって誘発される CD 4 4の外部ドメ インの切断は、 他のプロテアーゼによって仲介されているようである。
CD 4 4外部ドメインの切断を低減 終止する HA基質の接着は、 細 胞外 C a 2 +の流入を誘導する細胞の機械的刺激によって顕著に促進さ れる (2を参照)。 カルシウムは、 細胞移動 (例えば、 創傷治癒) に要 求される多くの分子プロセスを調節する (8を参照)。 細胞外 C a 2 +流 入は、 最近、 CD 44だけでなく、 へパリ ン結合表皮成長因子様の成長 因子 (HB— E G F ; 9を参照) および E—カ ドヘリ ン ( 1 0を参照) を含むいくつかの他の膜タンパク質の脱落を促進することが示された。 細胞外 C a 2 +の流入は、 このようにして、 細胞増殖を誘発し、 そして 細胞移動の間の細胞一細胞間および細胞一基質間の接着複合体の分解を
誘発する。 - しかしながら、 C a 2 +の流入によって誘発される膜タンパク質の切 断の正確な分子機構は未知のままである。
リンパ球やある種の癌細胞では培養上清中に可溶型 CD 4 4と呼ばれ る細胞内領域及び膜貫通領域を欠い'た CD 4 4が存在することが知られ ている。 この可溶型 CD 44は実際に癌患者の血清中にも検出され、 胃 癌や乳癌患者では血清可溶型 CD 4 4値と病期との間に相関を認めるこ とが報告されている ( 1 1)。 実験的にも高転移性のメラノーマ細胞株 では培養上清中に大量の可溶型 CD 4 4が検出されるが、 同じ細胞由来 の低転移株では殆ど検出されないことから ( 1 2)、 可溶型 CD 4 4の 増加は癌の進展の指標となり うるのではないかと予想されていた。
近年、 本発明者らほ、 この可溶型 CD 4 4は CD 4 4が細胞外領域に て膜型メタ口プロテアーゼによって切断された後の N端フラグメントで あることを発見した。 さらにこの CD 44切断をメタ口プロテアーゼ阻 害剤によって抑制すると、 CD 44のリガンドであるヒアルロン酸上で の癌細胞運動能が抑制されることから、 CD 4 4切断という現象そのも のが癌細胞運動に大変重要であることが分かった ( 1 3)。 '
(参考文献)
1. 岡本、.外 7名、 「CD 4 4細胞内ドメインのタンパク質分解によ る遊離および C D 4 4シグナリング経路におけるその役割 ( P r o t e o 丄 y t i c r e l e a s e o r C D 4 4 i n t r a c e l 1 u 1 a r d o m a i n a n d i t s r o l e i n t h e C D 4 4 s i g n a l i n g p a t h w a y)」、 ジャーナル ォブ セル バイオ口ジー ( J . C e l l B i o l .) 第 1 5 5卷、 2 0 0 1年、 p . 7 5 5— 7 6 2
2. 岡本、 外 6名、 「プロテインキナーゼじ、 カルシウム流入、 およ び Sm a 1 1 Gプロティンの R h oファミ リ一の制御下での CD 4 4切 断の調節 (R e g u l a t e d CD 4 4 c l e a v a g e u n d e r t h e c o n t r o l o f n r o t e i n k i n a s e
C, c a l c i um i n f l u x, a n d t h e R h o f- a m i l y o f s m a l l G p r o t e i ii s .)」、 ^i^ヤーナ ル ォブ バイオ口ジカル ケミス トリー ( J . B i o l . C h e m.) 、 第 2 7 4卷、 1 9 9 9年、 p . 2 5 5 2 5— 2 5 5 3 4
3. 力ヮノ、 外 6名、 「R a sオンコプロテインは、 ホスホイノシチ ド 3— OHキナーゼおよび Sm a 1 1 Gプロテインの r h oファ 、
■、 y一 を介して C D 44切断を誘導する (R a s o n c o p r o t e i n i n d u c e s C D 4 4 c l e a v a g e t h r o u g h P h o s p h o i n o s i t i d e 3— OH k i n a s e a n d t h e r h o f a m i l y o f s m a l l G P r o t e i n s . )」、 ジャーナノレ ォプ ノ ィォロジカノレ ケミス ト リ ( J . B i o 1 . C h e m.)、 第 2 7 5卷、 2 0 0 0年、 p . 2 9 6 2 8一 2 9 6
3 5
4. 村上、 外 8名、 「プレセニリ ン依存性 γセクレタ -ゼ活性は、 C
D 4 4の膜内切断を仲介する (P r e s e n i 1 i n - d e P e n d e n t g a mm a— s e c r e t a s e a c t i v i t y m e d i a t e s t h e i n t r a m e mb r a n o u s c 1 e a v a g e o f CD 4 4.)」、 O n c o g e n e (オンコジーン)、 第 2 2卷 、 2 0 0 3年、 p . 1 5 1 1 - 1 5 1 6
5. 岡本、 外多数、 「多数のヒ ト腫瘍における C D 4 4接着分子のタ ンパク質分解性切断 (P r o t e o l y t i c c l e a v a g e o I t h e し u 4 4 a d h e s i o n m o l e c u l e i n mu l t i p l e h um a n t um o r s . )」、 アメ リカン ジャ ーナル ォブ ノ ソロジー (Am. J . P a t h o l .)、 第 1 6 0卷、 2 0 0 2年、 p . 44 1 - 44 7
6. カジタ、 外 6名、 「膜型 1マトリ ックスメタ口プロティナーゼは 、 C D 4 4を切断し、 細胞移動を促進する (Me mb r a n e— t y p e 1 m a t r i m e t a l l o p r o t e i n a s e c l e a v e s C D 44 a n d p r o m o t e s c e l l m i g r
a t i o n .)」、 ジャーナル ォブ セノレ バイオ口ジー ( J . C e 1 · 1 B i o l .)、 第 1 5 3巻、 2 0 0 1年、 p . 8 9 3— 9 0 4.
7. ュ (Y u)、 外 4名、 「カルシウム流入は、 MT 1—MMPのプロ セッシングを阻害し、 MMP— 2活性化を遮断する (C a 1 c i um i n f l u x i n h i b i t s MT 1一 MMP p r o c e s s i n g a n d b l o c k s MM P— 2 a c t i v a t i o n . )」 、 エフィービーエス レターズ (F E B S L e t t .)、 第 4 1 2卷、 1 9 9 7年、 p . 5 6 8 - 5 7 2
8. ス ト口メイアー (S t r o hm e i e r ) およびべレイタ1——ハ ーン (B e r e i t e r _H a h n)、 「外部カルシウムによる細胞形状 および転移の制御 (C o n t r o l o f c e l l s h a p e a n d l o c o m o t i o n b y e x t e r n a 1 c a l c i u m. )」、 イクスペリ メ ンタノレ セル リサーチ (E x p . C e 1 1 R e s .)、 第 1 5 4巻、 1 9 8 4年、 ρ ·. 4 1 2— 4 2 0
9. デスレフセン (D e t h 1 e f s e n)、 外 5名、 「細胞外カルシ ゥム流入は、 メタロプロティナーゼ切断およびへパリ ン結合 E G F様成 長因子の分泌をプロティンキナーゼ Cとは独立して刺激する (E X t r a c e 1 1 u 1 a r c a 1 c i u m i n f 1 u X s t i m u 1 a t e s m e t a 1 1 o p r o t e i n a s e c 1 e a V a g e a n d s e e r e t i o n o f h e p a r i n ― b i n d i n g
E G F— 1 i k e g r o w t h f a c t o r i n d e P e n d e n t 1 y o f p r o t e i n k i n a s e C - )」ヽ J rーナル ォブ セノレラー バイオケヽ
ヽス h y一 ( J - C e 1 1 . B i o c h e m
.)、 第 6 9卷、 1 9 9 8、 P 1 4 3一 1 5 3
1 0. 伊藤、 外 8名、 「カルシウム流入は、 E—力 ドへリ ンの細胞外 および細胞質ドメインの連続的タンパク質分解を誘発し、 細胞一細胞間 接触からのベータカテニンの損失を導く (C a l c i um i n f l u x t r i g g e r s t n e s e q u e n t i a l p r o t e o l y s i s o f e x t r a c e l l u l a r a n d c y t o p
l a s m i c d o m a i n s o f E— c a d h e r i n, 1 e a d i n g t o l o s s o f b e t a— e a t e n, i n . f r o m e e l 1 — e e l 1 c o n t a c t s . )」、 オンコジーン (O n c o g e n e )、 第 1 8巻、 1 9 9 9年、 p . 7 0 8 0— 7 0 9 0 1 1. シエーン一チェン (S h e e n— C h e n)、 外 5名、 「乳がん 患者における可溶性血清 CD 44の予後値の評価 (E V a 1 u a t i o n o f t h e p r o g n o s t i c v a l u e o f s e r u m s o 1 u b 1 e C D 4 4 i n p a t i e n t s w i t h b r e a s t c a n c e r .)」 キャンサー インべスティゲーショ ン ( C a n c e r I n v e s t .) 第 1 7卷、 1 9 9 9年、 p . 7 5
5 - 7 6 2
1 2. ゴ一べラー (G o e b e 1 e r )、 外 3名、 「ヒアル口ン酸上で の高度に侵襲性のメラノ一マ細胞の移動は、 C D 4 4 レセプターの機能 的変化、 ターンオーバーの増大、 および脱落に関連している (M i g r a t i o n o I h i g h l y a g g r e s s i v e m e 1 a n o m a c e l l s o n h y a l u r o n i c a c i d i s a s s o c i a t e d w i t h f u n c t i o n a l c h a n g e s, i n c r e a s e d t u r n o v e r a n d s h e d d i n g o f CD 4 4 r e c e p t o r s .;)」、 ジャーナル ォブ セノレ サイエンス ( J C e l l S c i )、 第 1 0 9卷、 1 9 9 6年
、 P . 1 9 5 7 - 1 9 6 4
1 3. 岡本、 外 9名、 「膜結合メタ口プロテアーゼによって誘導され る C D 4 4の切断は、 腫瘍細胞の移動に重要な役割を果す (CD 4 4 c 1 e a V a g e i n d u c e d b y a m e m b r a n e— a s s o c i a t e d m e t a l l o p r o t e a s e p l a y s a c r i t i c a l r o l e i n t um o r c e l l m i g r a t i o n .)」、 オンコジーン (O n c o g e n e )、 第 1 8卷、 1
9 9 9年、 p . 1 4 3 5 - 1 4 4 6
発明の開示 - したがって、 カルシウム流入による C D 4 4の切断の正確な分:子機構 を解明し、 その結果を医療分野の研究に応用することが望まれている。
さらに、 P KCの活性化によって誘導される CD 4 4の切断の正確な 分子機構を解明し、 その結果を医療分野の研究に応用することが望まれ ている。
本発明者らは、 ADAM ( a d i s i n t e g r i n a n d m e t a l l o p r o t e i n a s e d o m a i n) 1 0タンノ ク質力 S 、 細胞外 C a 2+流入によって誘導される CD 44の切断、 ひいては H Aマトリ ックスからの細胞の遊離を担うメタ口プロティナーゼであるこ とを見出し、 ADAM 1 0タンパク質の活性を阻害することによって腫 瘍細胞の浸潤 ·転移を抑制することができるという知見を得た。
さらに、 本発明者らは、 ADAM 1 7タンパク質が、 T P Aによって 誘導される CD 4 4切断、 ひいては H Aマトリ ックスからの細胞の遊離 を担うメタ口プロティナーゼであることを見出し、 ADAM 1 7タンパ ク質の活性を阻害することによって腫瘍細胞の浸潤 ·転移を抑制するこ とができるという知見を得た。
本発明は、 これらの知見によって完成されたものである。
したがって、 本発明は、 以下の薬剤を提供する。
( 1 ) ADAM 1 0タンパク質および ADAM 1 7タンパク質からなる 群から選択される A DAMタンパク質の機能阻害物質を有効成分として 含有する、 腫瘍細胞の浸潤および Zまたは転移を阻害する作用を有する 薬剤。
( 2) 前記 ADAMタンパク質の機能阻害物質が、
( a ) 該 AD AMタンパク質に対してドミナントネガティブの性質を 有する A DAMタンパク質変異体、
( b ) 該 AD AMタンパク質に結合する抗体、 および '
( c ) 該 ADAMタンパク質に結合する低分子化合物
からなる群から選択される化合物を含む、 項 1に記載の薬剤。
( 3 ) ADAM 1 0タンパク質おょぴ A DAM 1 7タンパク質からなる · 群から選択される A DAMタンパク質の発現阻害物質を有効成分として 含有する、 腫瘍細胞の浸潤およぴ /または転移を阻害する作用を有する 薬剤。 .
(4) 前記 ADAMタンパク質の発'現阻害物質が、
( a ) AD AM遺伝子の転写産物、 またはその一部に対するアンチセ ンス核酸、
( b) AD AM遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザィム活性 を有する核酸、 および
( c ) ADAM遺伝子の発現を、 RNA i効果により阻害する作用を 有する核酸
からなる群から選択きれる化合物を含む、 項 3に記載の薬剤。
本発明はまた、 以下のスク リーニング方法を提供する。
( 5 ) 腫瘍細胞の浸潤おょぴ Zまたは転移を阻害する候捕化合物のスク リーニング方法であって、
( a ) ADAM 1 0タンパク質および A DAM 1 7タンパク質からな る群から選択される A DAMタンパク質またはその部分べプチドと被検 化合物とを接触させる工程、
( b ) 該 AD AMタンパク質またはその部分べプチドと被検化合物と の結合活性を測定する工程、 および
( c ) 該 A DAMタンパク質またはその部分べプチドと結合する化合 物を選択する工程
を包含する、 スク リーニング方法。
( 6 ) 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を阻害する候補化合物のスク リ一二ング方法であって、
( a ) ADAM 1 0遺伝子および AD AM I 7遺伝子からなる群から 選択される A DAM遺伝子を発現する細胞に、 被検化合物を接触させる . 工程、
( b ) 該 AD AM遺伝子の発現レベルを測定する工程、 および
( c ) 被検化合物を接触させない場合と比較して、 該発現レベルを低- 下させる化合物を選択する工程 ' .
を包含する、 スク リーニング方法。
( 7 ) ADAM 1 0タンパク質および AD AM 1 7タンパク質からなる 群から選択される A DAMタンパク質の CD 4 4切断活性を阻害する候 補化合物をスク リーニングする方法であって、
( a ) C D 4 4と、 該 AD AMタンパク質および被検化合物とを接触 させる工程、
( b ) 該 AD AMタンパク質の CD 4 4を基質とする切断活性を測定 する工程、 および
( c ) 被検化合物の非存在下で測定した場合と比較して、 前記切断活 性を低下させる化合物を選択する工程
を包含する、 スク リーニング方法。
( 8 ) ADAM 1 0タンパク質の CD 4 4切断活性を阻害する候補化合 物をスクリーニングする方法であって、
( a ) 基体上にヒアルロン酸マトリ ッタスの被覆を準備する工程、
( b ) 少なく とも ADAM 1 0遺伝子おょぴ CD 4 4遺伝子を発現す る細胞と該ヒアル口ン酸マト リ ックスとを接触させる工程、
( c ) 該細胞と該ヒアルロン酸マトリ ックスとを接触させる前、 その 間、 または後に、 該細胞を被検化合物で処理する工程、
( d ) 該被検化合物で処理した該細胞を含む該ヒアルロン酸マトリ ツ タスをカルシウムィオノフォアで処理する工程、 および
( e ) カルシウムィオノフォアで処理した後に、 該ヒアルロン酸マト リ ッタスに保持されている細胞の数を計測する工程
を包含する、 スク リーニング方法。
( 9 ) 前記基体は、 複数ゥヱルプレートまたは培養ディッシュである、 項 8に記載の方法。 '
( 1 0) 前記細胞は、 癌細胞である、 項 8に記載の方法。
( 1 1 ) 前記癌細胞は、 U 2 5 1 MG細胞または R E R F— L C— OK
細胞である、 項 1 0に記載の方法。 - ( 1 2) 前記細胞は、 ME F細胞である、 項 8に記載の方法。 .
( 1 3+) 前記カルシウムィオノフォアが、 ィオノマイシンである、 項 8 に記載の方法。
( 1 4) 細胞外マ ト リ ックスからの細胞の遊離を阻害する候補化合物を スク リ一エングするために用いられる、 項 8に記載の'方法。
( 1 5 ) 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を阻害する候補化合物をス クリ一二ングするために用いられる、 項 1 0に記載の方法。
( 1 6 ) カルシウムィオノフォアで処理した後に、 該ヒアルロン酸マト リ ッタスに保持されている細胞数の減少が前記被検化合物で処理してい ないコント口ールょりも少ないほど、 前記被検化合物が ADAM 1 0タ ンパク質の活性を阻害する候補化合物である可能性が高いと判定される 、 項 8に記載の方法。
本発明はまた、 以下のキッ トを提供する。
( 1 7) ADAM 1 0の活性を阻害する候補化合物をスクリーニングす るためのキッ トであって、
( a ) ヒアルロン酸でコートした基体と、
( b ) 少なく とも ADAM 1 0遺伝子おょぴ CD 4 4遺伝子を発現す る細胞と、
( c ) カルシウムィオノフォアと、
を含む、 キッ ト。
( 1 8) 細胞外マトリ ッタスからの細胞の遊離を阻害する候補化合物を スク リ一二ングするために用いられる、 項 1 7に記載のキッ ト。
( 1 9) 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を阻害する候補化合物をス クリ一二ングするために用いられる、 項 1 7に記載のキッ ト。
( 2 0) ADAM 1 0タンパク質おょぴ AD AM 1 7タンパク質からな る群から選択される ADAMタンパク質の機能阻害物質または発現阻害 物質を有効成分として含有する薬剤を患者に投与する工程を包含する、 腫瘍細胞の浸潤および Zまたは転移を阻害する方法。
( 2 1 ) 項 2または 4に記載の薬剤を患者に投与する工程を包含する、 -- 腫瘍細胞の浸潤および Zまたは転移を阻害する方法。 .
( 2 2) 癌患者を処置するための、 項 2 0または 2 1に記載の方法。
( 2 3) 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を阻害する医薬を製造する ための、 AD AM 1 0タンパク質および ADAM 1 7タンパク質からな る群から選択される A DAMタンパク質の機能阻害物質または発現阻害 物質の使用。
( 2 4) 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を阻害する医薬を製造する ための、 項 2または 4に記載の薬剤の使用。
本発明により、 腫瘍細胞の浸潤おょぴノまたは転移を抑制するための 薬剤、 そのような薬剤を患者に投与する方法、 およびそのような薬剤を 製造する方法が提供される。
さらに、 本発明により、 ADAM 1 0および/ または A DAM 1 7の 活性を阻害する候補化合物をスクリ一二ングし得るとともに、 腫瘍細胞 の浸潤 ·転移を抑制し得る阻害剤をスク リーニングし得る。 図面の詳細な説明
図 1は、 C D 4 4の外部ドメイン切断を担うメタ口プロティナーゼの 特徴づけのための免疫プロッ ト分析の結果を表す図である。 (A) にお いて、 矢印は、 全長 CD 4 4およびフラグメント CD 4 4 E XTの位置 を示す。 (B) において、 各レーンの下の棒グラフの棒は、 コントロー ル細胞に対する倍率として表されている。
図 2は、 ADAM 1 0 s i R N Aまたは AD AM 1 7 s i RNA でトランスフエタ トされた U 2 5 I MG細胞 (A)、 ならびにこれらに 対する機械的スクレイビング (B ;左)、 ィオノマイシン処理 (B ;右) 、 T P A処理 (C) 'の効果を示す免疫プロッ ト分析の結果を表す図であ る。 . 図 3は、 異なるシグナルによる CD 44切断の調節を示す図である。 (A) C D 4 4の連続的タンパク質分解プロセッシングの模式図。 (B
) P KCァクチべ一ターである T P Aによる CD 4 4の連続的切断を示' す。 C D 4 4外部ドメイン切断産物 (CD 4 4 EXT) および膜内切断 産物 (CD 4 4 I CD) を、 ヒ ト神経膠腫細胞株 U 2 5 1 MGにおいて 、 細胞を T P A処理したときに、 CD 4 4の C 0〇H末端領域に特異的 な抗体 (抗 C D 4 4 c y t o p A'b ) によって検出した。 (C) 細胞 外 C a 2 +流入を誘導する T Ρ Α処理または機械的スクレイビングによ つて誘導される C D 4 4外部ドメインの切断に対する、 B B 9 4および GF 1 0 9 2 0 3 Xの効果を示す図である。
図 4は、 AD AM 1 0ノックアウ ト ME F ( A D AM 1 0— /_ M E F ) において C a 2+流入によって誘導される C D 4 4の切断が阻害され ることを示す免疫プロッ ト分析の結果を示す図である。
図 5は、 AD AM 1 0および A D AM 1 7の活性化は、 C a 2 +流入 および P KC活性化によってそれぞれ誘導されることを示す免疫プロッ ト分析の結果を示す図である。 .
図 6は、 C a Mと ADAM 1 0 との間の相互作用が CD 4 4外部ドメ ィン切断を調節することを示す免疫プロッ ト分析の結果を示す図である 図 7は、 C a 2 +流入によって誘導される HAマトリ ッタスからの細 胞遊離の、 ADAM1 0の除去による阻害を示す図である。 データは、 3個から 5個の独立した実験からの値の平均士 S EMである。
図 8は、 C a 2 +流入によって誘導される HAからの細胞の遊離は、 ADAM 1 0—ノ ME Fにおいて抑制されることを示す図である。
図 9は、 S m a l l GT P a s e R a c力 S、 T PAによつて誘導 された A D AM 1 7活性化おょぴ C D 4 4切断に関与することを示す免 疫蛍光顕微鏡写真および免疫プロッ トである。
図 1 0は、 R a c'活性化が T P A処理によって誘導され、 U 2 5 1 M G細胞において膜ラフリングを調節することを示す免疫プロッ ト分析お ' よび免疫蛍光顕微鏡分析の結果を示す図である。
図 1 1は、 HA上での R ER F— L C— OK細胞移動に対する ADA
Mの効果を示す図である。
図 1 2は、 s i RN A処理した U 2 5 1 MG細胞おょぴ Β Β 9.4によ り処理した U 2 5 1 MG細胞に対するィオノマイシンの効果を試験した 細胞遊離アツセィの結果を示す図である。 (A) ΜΤΤ法による細胞数 の評価を示すグラフである。 (Β) ィ 'オノマイシンによる細胞遊離の誘 導および A DAM 1 0の s i RN Aによるその阻害を示す位相差顕微鏡 写真である。
図 1 3は、 細胞中の CD 44の存在量に対する トリプシン処理の影響 を示す図である。
図 1 4は、 細胞中の C D 44の局在に対する トリプシン処理の影響を 示す図である。
図 1 5は、 ヒアルロン酸コ一トしていないプラスチックシャーレおよ ぴヒアルロン酸コートしたプラスチックシャーレへの細胞接着に対する ィオノマイシンの細胞遊離誘導効果と、 それに対する ADAM 1 0 s i RNA処理または B B 9 4処理の影響を示す細胞遊離ァッセィの結果 を示す図である。
図 1 6は、 s i RNAにより ADAM 1 0を失わせることにより、 U 2 5 1 MG祌経膠腫細胞のヒアル口ン酸マトリ ツクス上での運動能が著 しく低下することを示す図である。 発明を実施するための最良の形態
(ADAMタンパク質の機能おょぴノまたは発現阻害物質を含有する 薬剤)
本発明は、 1つの態様において、 ADAM 1 0タンパク質および AD AM I 7タンパク質からなる群から選択されるタンパク質 (本明細書中 で、 これを 「AD AMタンパク質」 と呼ぶものとする) の機能阻害物質 を有効成分として含有する、 腫瘍の浸潤および/または転移を阻害する 作用を有する薬剤を提供する。 本発明者らの研究により、 ADAMタン パク質の CD 4 4切断活性を阻害することによって、 該切断の結果生じ
る活性型 CD 4 4によって仲介される事象、 例えば、 細胞移動、 細胞一 · 細胞間接着、 細胞一基質間接着等が抑制されることが示された。 .そのた め、 ADAMタンパク質の機能阻害物質を有効成分として含有する薬剤 は、 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を抑制することができると考え られる。 ·
ここで、 本発明で用いる 「AD AM 1 0タンパク質」 は、 公知のタン パク質であり、 そのアミノ酸配列およびそのタンパク質をコードする遺 伝子の塩基配列は、 G e n B a n kデータベースに、 それぞれ AC C E S S I ON N o . N P 0 0 1 1 0 1 (配列番号: 2 ) および A c c e s s i o n N o . NM 0 0 1 1 1 0 (配列番号: 1 ) として登録 されている。 本発明で用いる ADAM 1 0タンパク質は、 いずれの種由 来のものでもよいが、' 好ましくはヒ ト由来である。 本明細書中、 「AD AM 1 0タンパク質」 とは、 上記ヒ ト ADAM 1 0タンパク質、 及び、 ヒ ト ADAM 1 0タンパク質と同等の活性 (特に、 CD 44切断活性) を保持している、 ヒ ト AD AM 1 0タンパク質のアミノ酸配列に対して 欠失、 置換、 揷入、 及び/または付加が生じたアミノ酸配列からなる変 異蛋白質をいう。 この変異タンパク質における、 アミノ酸の変異部位お よび個数は、 変異タンパク質が ADAM 1 0タンパク質と同等の活性を 保持している限り特に制限はないが、 変異個数は通常 1〜 2 0個、 好ま しくは 1〜 1 0個、 さらに好ましくは 1〜数個 (例えば、 .1〜 個), さらに好ましくは 1〜 2個である。 また、 このような変異タンパク質は 、 ヒ ト ADAM 1 0タンパク質のァミノ酸配列に対して、 好ましくは、 約 6 0 %以上、 約 7 0 %以上、 7 1 %以上、 7 2 %以上、 7 3 %以上、 7 4 %以上、 7 5 %以上、 7 6 %以上、 7 7 %以上、 7 8 %以上、 7 9 %以上、 より好ましくは、 約 8 0 %以上、 8 1 %以上、 8 2 %以上、 8 3 %以上、 8 4 %以上、 8 5 %以上、 8 6 %以上、 8 7 %以上、 8 8 % 以上、 8 9 %以上、 最も好ましくは、 約 9 0 %以上、 9 1 %以上、 9 2 . %以上、 9 3 %以上、 9 4 %以上、 9 5 %以上、 9 6 %以上、 9 7 %以 上、 9 8 %以上、 9 9 %以上、 9 9. 1 %以上、 9 9. 2 %以上、 9 9
. 3 %以上、 9 9. 4 %以上、 9 9. 5 %以上、 9 9. 6 %以上、 9 9-· . 7 %以上、 9 9. 8 %以上、 または 9 9. 9 %以上の同一性を有する ァミノ酸配列を有し、 ヒ ト ADAM 1 0タンパク質と同等の活性 (特に 、 CD 44切断活性) を保持している。 本発明で用いる AD AM 1 0タ ンパク質は、 その蛋白質を発現している細胞や組織から調製することが できる。 また、 このタンパク質は、 公知のペプチド合成機によっても合 成できるし、 原核生物あるいは真核生物から選択される適当な宿主細胞 を用いた組換え方法によっても調製することができる。
また、 本発明で用いる 「AD AM 1 7タンパク質」 は、 公知のタンパ ク質であり、 そのアミノ酸配列およびそのタンパク質をコードする遺伝 子の塩基配列は、 G e n B a n kに、 それぞれ A C C E S S I ON N o . NP 0 0 3 1 7 4 (配列番号: 6 ) およぴ A C C E S S I ON N o . NM 0 0 3 1 8 3 (配列番号: 5 ) として登録されている。 本 発明で用いる ADAM 1 7タンパク質は、.いずれの種由来のものでもよ いが、 好ましくはヒ ト由来である。 本明細書中、 「ADAM 1 7タンパ ク質」 とは、 上記ヒ ト ADAM 1 7タンパク質、 及び、 ヒ ト ADAM 1 7タンパク質と同等の活性 (特に、 CD 4 4切断活性) を保持している 、 ヒ ト ADAM 1 7タンパク質のアミノ酸配列に対して欠失、 置換、 揷 入、 及び Zまたは付加が生じたアミノ酸配列からなる変異蛋白質をいう 。 この変異タンパク質における、 アミノ酸の変異部位おょぴ個数は、 変 異タンパク質が A DAM 1 7タンパク質と同等の活性を保持している限 り特に制限はないが、 変異個数は通常 1〜 2 0個、 好ましくは 1〜 1 0 個、 さらに好ましくは 1〜数個 (例えば、 1〜 6個)、 さらに好ましく は 1〜 2個である。 また、 このような変異タンパク質は、 ヒ ト ADAM 1 7タンパク質のアミノ酸配列に対して、 好ましくは、 約 6 0 %以上、 約 7 0 %以上、 7 1 %以上、 7 2 %以上、 7 3 %以上、 7 4 %以上、 7 5 %以上、 7 6 °/。以上、 7 7 %以上、 7 8 %以上、 7 9 %以上、 より好 . ましくは、 約 8 0 %以上、 8 1。/。以上、 8 2 %以上、 8 3 %以上、 8 4 %以上、 8 5 %以上、 8 6 %以上、 8 7 ° /。以上、 8 8 %以上、 8 9 %以
上、 最も好ましくは、 約 9 0 %以上、 9 1 %以上、 9 2 %以上、 9 3 %. 以上、 9 4 %以上、 9 5 %以上、 ' 9 6 %以上、 9 7 %以上、 9 8%以上 、 9 9 %以上、 9 9. 1 %以上、 9 9. 2 %以上、 9 9. 3 %以上、 9 9. 4 %以上、 9 9. 5 %以上、 9 9. 6 %以上、 9 9. 7 %以上、 9 9. 8 %以上、 または 9 9. 9 %以上の同一性を有するアミノ酸配列を 有し、 ヒ ト ADAM 1 7タンパク質と同等の活性 (特に、 CD 4 4切断 活性) を保持している。 本発明で用いる ADAM 1 7タンパク質は、 そ の蛋白質を発現している細胞や組織から調製することができる。 また、 このタンパク質は、 公知のペプチド合成機によっても合成できるし、 原 核生物あるいは真核生物から選択される適当な宿主細胞を用いた組換え 方法によっても調製することができる。
なお、 アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、 カーリンおよびアルチュ ールによるアルゴリズム B LA S T (P r o c . N a t l . A c a d . S c i . U S A, 8 7, 2 2.6 4 - 2 2 6 8 , 1 9 9 0 ; P r o c . N a t l . A c a d . S c i . U S A, 9 0 , 5 8 7 3, 1 9 9 3 ) を用いて決定できる。 B LAS Tのァルゴ リズムに基づいた B L A S TN B L A S T Xと呼ばれるプログラムが 開発されている (A l t s c h u l S F, e t a 1 : J Mo 1 B i o l 2 1 5 : 4 0 3 , 1 9 9 0)。 B LA S TNを用レヽ て塩基配列を解析する場合は、 パラメータ一は、 例えば s c o r e = 1 0 0、 w o r d l e n g t h = 1 2とする。 また、 B LA S TXを用い てアミノ酸配列を解析する場合は、 パラメータ一は、 例えば s c o r e = 5 0、 w o r d l e n g t h = 3とする。 B LAS Tと G a p p e d B L A S Tプログラムを用いる場合は、 各プログラムのデフォルトパラ メーターを用いる。
本発明の薬剤に含まれる ADAMタンパク質の機能阻害物質は、 例え ば、
( a ) ADAM 1 0タンパク質おょぴ A DAM 1 7タンパク質からなる 群から選択される ADAMタンパク質に対してドミナントネガティブの
性質を有する AD AMタンパク質変異体、 -' ( b ) 該 AD AMタンパク質に結合する抗体、 および ..
( c ) 該 ADAMタンパク質に結合する低分子化合物、 からなる群から 選択される。
「AD AMタンパク質に対してドミナントネガティブの性質を有する
ADAMタンパク質変異体」 とは、 それをコードする遺伝子を発現させ ることによって、 内在性の野生型タンパク質の活性を消失もしくは低下 させる機能を有するタンパク質を指す。
本明細書における 「抗体」 とはタンパク質の全長又は断片に反応する 抗体を意味する。 ADAMタンパク質に結合する抗体 (抗 ADAM抗体 ) は、 当業者に公知の方法により調製することが可能である。 ポリ クロ ーナル抗体であれば、 例えば、 次のようにして得ることができる。 天然 の ADAMタンパク質、 あるいは G S Tとの融合タンパク質として大腸 菌等の微生物において発現させたリ コンビナント ADAMタンパク質、 またはその部分ペプチドをゥサギ等の小動物に免疫し血清を得る。 これ を、 例えば、 硫安沈殿、 プロテイン A、 プロテイン Gカラム、 D EAE イオン交換ク口マ トグラフィー、 ADAMタンパク質や合成べプチドを カップリングしたァフィ二ティーカラム等により精製することにより調 製する。 .また、 モノクローナル抗体であれば、 例えば、 ADAMタンパ ク質若しくはその部分ペプチドをマウスなどの小動物に免疫を行い、 同 マウスより脾臓を摘出し、 これをすりつぶして細胞を分離し、 該細胞と マウスミエ口ー 細胞とをポリエチレンダリ コール等の試薬を用いて融 合させ、 これによりできた融合細胞 (ハイプリ ドーマ) の中から、 AD AMタンパク質に結合する抗体を産生するクローンを選択する。 次いで 、 得られたハイプリ ドーマをマウス腹腔内に移植し、 同マウスより腹水 を回収し、 得られたモノクローナル抗体を、 例えば、 硫安沈殿、 プロテ イン A、 プロテイン Gカラム、 D EAEイオン交換クロマトグラフィー. 、 A DAMタンパク質や合成べプチドをカップリングしたァフイエティ 一力ラム等により精製することで、 調製することが可能である。
本発明の抗体の形態には、 特に制限はなく、 本発明の A D A Mタンパク質に結合する限り、 上記ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体の ほかに、 ヒ ト抗体、 遺伝子組み換えによるヒ ト型化抗体、 さらにその抗 体断片や抗体修飾物も含まれる。
抗体取得の感作抗原として使用される本発明の A D A Mタンパク質は 、 その由来となる動物種に制限されないが哺乳動物、 例えばマウス、 ヒ ト由来のタンパク質が好ましく、 特にヒ ト由来のタンパク質が好ましい 本発明において、 感作抗原として使用されるタンパク質は、 完全なタ ンパク質あるいはタンパク質の部分ペプチドであってもよい。 タンパク 質の部分ペプチドとしては、 例えば、 タンパク質のアミノ基 (N ) 末端 断片やカルボキシ (C ) 末端断片が挙げられる。
また、 ヒ ト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイプリ ドーマを得る他 に、 ヒ トリンパ球、 例えば E Bウィルスに感染したヒ トリンパ球をイン ビトロでタンパク質、 タンパク質発現細胞又はその溶解物で感作し、 感 作リンパ球をヒ ト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞、 例えば U 2 6 6 と融合させ、 'タンパク質への結合活性を有する所望のヒ ト抗体を 産生するハイプリ ドーマを得ることもできる。
本発明の A D A Mタンパク質に結合する抗体は、 例えば、 腫瘍細胞の 浸潤および/または転移の阻害を目的とした使用が考えられる。 得られ た抗体を人体に投与する目的 (抗体治療) で使用する場合には、 免疫原 性を低下させるため、 ヒ ト抗体ゃヒ ト型抗体が好ましい。
さらに、 本発明は、 A D A Mタンパク質の機能を阻害し得る物質とし て、 A D A Mタンパク質に結合する低分子化合物を含有する、 腫瘍の浸 潤および/または転移を阻害する作用を有する薬剤も提供する。 ここで 、 「低分子化合物」 という用語は、 上記した A D A Mタンパク質変異体 や抗体を除く意味で用いられており、 例えば、 分子量が 1 0 0〜 5 0 , 0 0 0程度、 より具体的には 5 0 0〜 2 0 , 0 0 0程度の天然または人 ェの化合物をさすが、 これに限定されない。 通常、 当業者に公知の方法
を用いることによって製造または取得可能な化合物である。 また本発明- - の化合物は、 後述のスク リーニング方法によって、 取得することが可能 である。 低分子化合物には、 例えば、 低分子プロテアーゼ阻害剤 (例え ば、 B B 9 4 ) が挙げられる。
また、 本発明は、 ADAMタンパク質の発現を阻害する物質を有効成 分として含有する薬剤を提供する。 該薬剤は、 細胞移動、 細胞一細胞間 接着、 細胞一基質間接着等を抑制する薬剤であり、 腫瘍の浸潤および Z または転移を阻害する作用を有すると考えられる。
上記薬剤に含有される A DAMタンパク質の発現阻害物質は、 例えば 、
( a ) ADAM 1 0遺伝子および AD AM I 7遺伝子からなる群から選 択される遺伝子 (本明細書中で、 これを 「ADAM遺伝子」 と呼ぶもの とする) の転写産物、 またはその一部に対するアンチセンス核酸、
( b ) AD AM遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザィム活性を 有する核酸、 および .
( c ) ADAM遺伝子の発現を、 RNA i効果により阻害チる作用を有 する核酸、 からなる群から選択される。
本発明における 「核酸」 とは RN Aまたは DNAを意味する。 特定の 内在性遺伝子の発現を阻害する方法としては、 アンチセンス技術を利用 する方法が当業者によく知られている。
ある対象となる DN A領域の少なく とも一部に相補的なポリヌクレオ チドが存在する場合において、 そのポリヌクレオチドが当該領域の少な く とも一部とハイプリダイズすることができるときは、 上記ポリヌクレ ォチドは、 上記対象 DN A領域に対して 「アンチセンス」 であるという ことができる。 アンチセンス ' ポリヌクレオチド (核酸) は、 2—デォ キシ一 D—リボースを含有しているポリヌクレオチド、 D _リボースを 含有しているポリヌクレオチド、 プリンまたはピリ ミジン塩基の N—グ . リコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、 あるいは非ヌクレ ォチド骨格を有するその他のポリマー (例えば、 市販のタンパク質、 核
酸および合成配列に特異的な核酸ポリマー) または特殊な結合を含有す · るその他のポリマー (但し、 該ポ'リマーは D N Aや R N A中に見.出され るような塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する) な どが挙げられる。 それらは、 二本鎖 D N A、 一本鎖 D N A、 二本鎖 R N A、 一本鎖 R N A、 さらに D N A : R N Aハイブリ ッ ドであることがで き、 さらに非修飾ポリヌクレオチド (または非修飾オリゴヌクレオチド )、'さらには公知の修飾の付加されたもの、 例えば、 当該分野で知られ た標識のあるもの、 キャップの付いたもの、 メチル化されたもの、 1個 以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、 分子内ヌクレオチ ド修飾のされたもの、 例えば、 非荷電結合 (例えば、 メチルホスホネー ト、 ホスホトリエステル、 ホスホルアミデート、 力ルバメートなど) を 持つもの、 電荷を有する結合または硫黄含有結合 (例えば、 ホスホロチ ォエート、 ホッホロジチォエートなど) を持つもの、 例えば、 タンパク 質 (ヌクレアーゼ、 ヌク レアーゼ · インヒビター、 トキシン、 抗体、 シ グナルペプチド、 ポリ一 L—リジンなど) や糖 (例えば、 モノサッカラ イ ドなど) などの側鎖基を有しているもの、 インターカレント化合物 ( 例えば、 ァクリジン、 ソラレンなど) を持つもの、 キレート化合物 (例 えば、 金属、 放射活性をもつ金属、 ホウ素、 酸化性の金属など) を含有 するもの、 アルキル化剤を含有するもの、 修飾された結合を持つもの ( 例えば、 ひ一ァノマー型の核酸など) であってもよい。 ここで、 「ヌク レオシド」、 「ヌクレオチド」 および 「核酸」 とは、 プリンおよびピリ ミ ' ジン塩基を含有するのみでなく、 修飾されたその他の複素環型塩基をも つようなものを含んでいて良い。 こう した修飾物は、 メチル化されたプ リ ンおよびピリ ミジン、 ァシル化されたプリ ンおよびピリ ミジン、 ァシ ル化されたプリンおょぴピリ ミジン、 あるいはその他の複素環を含むも のであって良い。 修飾されたヌクレオシドおよび修飾されたヌクレオチ ドはまた、 糖部分が修飾されていて良く、 例えば、 1個以上の水酸基が . ハロゲンと力 脂肪族基などで置換されていたり、 あるいはエーテル、 ァミンなどの官能基に変換されていてよい。
本発明のアンチセンス核酸は、 RNA、 DNA、 あるいは修飾された- 核酸 (RNA、 DNA) である。 '修飾された核酸の具体例としては、 核 酸の硫黄誘導体ゃチォホスフエ一ト誘導体、 そしてポリヌクレオチドァ ミ ドゃオリゴヌク レオチ ドアミ ドの分解に抵抗性のものが挙げられるが 、 それに限定されるものではない。 本発明のアンチセンス核酸は次のよ うな方針で好ましくは設計され得る。 すなわち、 細胞内でのアンチセン ス核酸をより安定なものにする、 アンチセンス核酸の細胞透過性をより 高める、 目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、 そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものに する。
こう した修飾は当該分野で数多く知られており、 例えば、 J . K a w a k a m i e t a 1 . , P h a r m T e c h J a p a n . V o 1 . 8 , p . 2 4 7 , 1 9 9 2 ; V o 1 . 8, p . 3 9 5 , 1 9 9 2 ; S . T . C r o o k e e t a 丄 ., e d ., An t i s e n s e R e s e a r c h a n d A p p l i c a t i o n s , C R C P r e s s , 1 9 9 3などに開示がある。
アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を阻害する作用としては、 以下 のような複数の要因が存在する。 すなわち、 三重鎖形成による転写開始 阻害、 RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造が作られた 部位とのハイブリ ッ ド形成による転写阻害、 合成の進みつつある RN A とのハイブリ ッ ド形成による転写阻害、 イン トロンとェキソンとの接合 点におけるハイプリ ッ ド形成によるスプライシング阻害、 スプライソソ • ーム形成部位とのハイブリ ッド形成によるスプライシング阻害、 mRN Aとのハイブリ ッ ド形成による核から細胞質への移行阻害、 キヤッピン グ部位やポリ (A) 付加部位とのハイブリ ッ ド形成によるスプライシン グ阻害、 翻訳開始因子結合部位とのハイプリ ッ ド形成による翻訳開始阻 害、 開始コ ドン近傍のリポソーム結合部位とのハイプリ ッド形成による 翻訳阻害、 mRN Aの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイプリ ッド . 形成によるペプチド鎖の伸長阻害、 および核酸とタンパク質との相互作
用部位とのハイプリ ッ ド形成による遺伝子発現阻害などである。 このよ' うにアンチセンス核酸は、 転写、 スプライシングまたは翻訳など:様々'な 過程を阻害することで、 標的遺伝子の発現を阻害する (平島および井上
、 新生化学実験講座 2 核酸 I V遺伝子の複製と発現、 日本生化学会編 、 東京化学同人、 1 9 9 3、 p . 3 '1 9— 3 4 7)。
本発明で用いられるァンチセンス核酸は、 上記のいずれの作用により ADAM遺伝子の発現を阻害してもよい。 一つの態様としては、 ADA M遺伝子の mRNAの 5, 端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス 配列を設計すれば、 遺伝子の翻訳阻害に効果的と考えられる。 また、 コ 一ド領域もしくは 3 ' 側の非翻訳領域に相補的な配列も使用することが できる。 このように、 ADAM遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域 の配列のアンチセンス配列を含む核酸も、,本発明で利用されるアンチセ ンス核酸に含まれる。
使用されるアンチセンス核酸は、 適当なプロモーターの下流に連結さ れ、 好ましくは 3 ' 側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。 こ のようにして調製された核酸は、 公知の方法を用いることで、 所望の動 物へ形質転換できる。 アンチセンス核酸の配列は、 形質転換される動物 が持つ内在性遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好まし いが、 遺伝子の発現を有効に抑制できる限りにおいて、 完全に相捕的で なくてもよい。 転写された RN Aは、 標的遺伝子の転写産物に対して好 ましくは約 9 0 %以上、 最も好ましくは約 9 5 %以上の相補性を有する 。 アンチセンス核酸を用いて標的遺伝子の発現を効果的に抑制するには 、 アンチセンス核酸の長さは少なく とも約 1 5塩基以上であり、 好まし くは約 1 0 0塩基以上であり、 さらに好ましくは約 5 0 0塩基以上であ る。
また、 A DAM遺伝子の発現の阻害は、 リボザィム、 またはリボザィ ムをコ一ドする D N Aを利用して行うことも可能である。 リボザィムと は触媒活性を有する RNA分子を指す。 リボザィムには種々の活性を有 するものが存在するが、 中でも RN Aを切断する酵素としてのリボザィ
ムに焦点を当てた研究により、 RN Aを部位特異的に切断するリボザィ-' ムの設計が可能となった。 リボザィムには、 グループ Iイントロン型ゃ R N a s e Pに含まれる M 1 RNAのように 4 0 0ヌクレオチド以上 の大きさのものもあるが、 ハンマーへッ ド型ゃヘアピン型と呼ばれる 4 0ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある (小泉誠おょぴ 大塚栄子、 タンパク質核酸酵素、 1 9 9 0、 3 5、 p . 2 1 9 1 )。
例えば、 ハンマーヘッ ド型リボザィムの自己切断ドメインは、 G 1 3 U 1 4 C 1 5 という配列の C 1 5の 3 ' 側を切断するが、 その活性には U 1 4と A 9との塩基対形成が重要とされ、 C 1 5の代わりに A 1 5ま たは U 1 5でも切断され得ることが示されている (K o i z u m i , M . e t a 1 . , F E B S L e t t , 1 9 8 8 , 2 2 8 , p . 2 2 8 ) 。 基質結合部位が標的部位近傍の RNA配列と相補的なリボザィムを設 計すれば、 標的 RNA中の UC、 UUまたは U Aという配列を認識する 制限酵素的な RN A切断リボザィムを作出することができる (K o i z u m i , M. e t a 1 . , F E B S L e t t , 1 9 8 8 , 2 3 9 , p . 2 8 5.、 小泉誠おょぴ大塚栄子, タンパク質核酸酵素, 1 9 9 0 , 3 5, p . 2 1 9 1 ; K o i z um i , M. e t a 1 . , N u c l A c i d s R e s , 1 9 8 9 , 1 7, p . 7 0 5 9)。
また、 ヘアピン型リボザィムも本発明の目的に有用である。 このリボ ザィムは、 例えばタバコリングスポッ トウィルスのサテライ ト R N Aの マイナス鎖に見出される (B u z a y a n, J M. , N a t u r e , 1 9 8 6 , 3 2 3, p . 3 4 9 )。 ヘアピン型リボザィムからも、 標的特 異的な RN A切断リボザィムを作出できることが示されている (K i k u c h i , Y . & S a s a k i, N., N u c l A c i d s R e s , 1 9 9 1 , 1 9 , p . 6 7 5 1 ;菊池洋, ィヒ学と生物, 1 9 9 2, 3 0 , p . 1 1 2)。 このように、 リボザィムを用いて本発明における A D AM 1 0遺伝子の転写産物を特異的に切断することで、 該遺伝子の発 現を阻害することができる。
内在性遺伝子の発現の阻害は、 さらに、 標的遺伝子配列と同一もしく
は類似した配列を有する二本鎖 RN Aを用いた RN A干渉 (RNA i- n t e r f e r a n c e ; RNA' i ) によっても行うことができる。 R N A i とは、 標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有する二重 鎖 RN Aを細胞内に導入すると、 導入した外来遺伝子および標的内在性 遺伝子の発現がいずれも阻害される現象のことを指す。 RNA iの機構 の詳細は明らかではないが、 最初に導入した二本鎖 R N Aが小片に分解 され、 何らかの形で標的遺伝子の指標となることにより、 標的遺伝子が 分解されると考えられている。 RNA i に用いる RNAは、 ADAM 1 0遺伝子もしくは該遺伝子の部分領域と完全に同一である必要はないが 、 完全な相同性を有することが好ましい。 なお、 ここで用いられる RN Aとしては、 例えば、 2 1〜 2 9塩基長の RN A干渉を生ずる二重鎖 R NA、 例えば、 d s RNA ( d o u b l e s t r a n d RNA) 、 s i RNA ( s m a l l i n t e r f e r i n g RNA) 又は s h RNA ( s h o r t h a i r p i n . RNA) が挙げられる。 この ' ような RNAは、 リボソームなどの送達システムにより所望の音 IU立に局 所送達させることも可能であり、 また上記二重鎖 RN Aが生成されるよ うなベクターを用いてこれを局所発現させることができる。 このような 二重鎖 R N A ( d s RNA、 s i RNA又は s h RNA) の調製方法、 使用方法などは、 多くの文献から公知である (特表 2 0 0 2— 5 1 6 0 6 2号公報; 米国公開許第 2 0 0 2 0 8 6 3 5 6 A号; N a t u r e G e n e t i c s , 2 4 ( 2), 1 8 0— 1 8 3, 2 0 0 0 F e b . ; G e n e s i s , 2 6 (4), 2 4 0— 2 4 4,
2 0 0 0 A p r i 1 ; N a t u r e , 4 0 7 : 6 8 0 2 , 3 1
9一 2 0 , 2 0 0 2 S e p . 2 1 ; G e n e s & D e v .
V o 1 . 1 6 , (8), 9 4 8 - 9 5 8 , 2 0 0 2 A p r
- 1 5 , P r o c . N a t 1 . A c a d . S c.i . U S A.
, 9 9 ( 8), 5 5 1 5 - - 5 5 2 0 , 2 0 0 2 A p r . 1 6
, S c i e n c e, 2 9 6 ( 5 5 6 7 ), 5 5 0— 5 5 3, 2
0 0 2 A p r 1 9 ; P r o c N a t l . A c a d . S c
i . U S A, 9 9 : 9, 6 0 4 7 - 6 0 5 2 , 2 0 0 2 A ρ·' r . 3 0 ; N a t u r e B i o t e c h n o l o g y, V o l . 2 0 ( 5), 4 9 7 - 5 0 0 , 2 0 0 2 Ma y ; N a t u r e B i o t e c h n o l o g y, V o l . 2 0 ( 5), 5 0 0 - 5 0 5 , 2 0 0 2 Ma y ; " N u c l e i c A c i d s R e s ., 3 0 : 1 0, e 4 6 , 2 0 0 2 Ma y 1 5等参照)。
(製剤化および製剤の投与方法) .
本発明の薬剤の製剤化にあたっては、 常法に従い、 必要に応じて薬学 的に許容される担体を添加することができる。 例えば、 界面活性剤、 賦 形剤、 着色料、 着香料、 保存料、 安定剤、 緩衝剤、 懸濁剤、 等張化剤、 結合剤、 崩壊剤、 滑沢剤、 流動性促進剤、 矯味剤等が挙げられるが、 こ れらに制限されず、 その他常用の担体を適宜使用することができる。 具 体的には、 軽質無水ケィ酸、 乳糖、 結晶セルロース、 マン- トール、 デ ンプン、 カルメ ロースカノレシゥム、 カノレメ-ロースナ ト リ ウム、 ヒ ドロキ シプロ ピノレセノレロース、 ヒ ドロキシプロ ピ /レメチノレセノレロース、 ポリ ビ 二ルァセタールジェチノレアミ ノアセテー ト、 ポリ ビュルピロ リ ドン、 ゼ ラチン、 中鎖脂肪酸トリダリセライ ド、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ 油 6 0、 白糖、 カルボキシメチルセルロース、 コーンスターチ、 無機塩 類等を挙げることができる。
上記薬剤の剤型の種類としては、 例えば、 経口剤として錠剤、 粉末剤 、 丸剤、 散剤、 顆粒剤、 細粒剤、 軟 ·硬カプセル剤、 フィルムコーティ ング剤、 ペレッ ト剤、 舌下剤、 ペース ト剤等、 非経口剤として注射剤、 坐剤、 経皮剤、 軟膏剤、 硬膏剤、 外用液剤等が挙げられ、 当業者におい ては投与経路や投与対象等に応じた最適の剤型を選ぶことができる。 有 効成分としての ADAMタンパク質の機能 (または発現) 阻害物質は、 製剤中 0. 1から 9 9. 9重量%含有することができる。
本発明の薬剤の投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法など . により差はあるが、 経口投与の場合、 一般的に例えば、 患者 (6 0 k g として) に対して一日につき約 0. l m g〜l, 0 0 0 m g、 好ましく
は約 1. 0〜: L 0 0 m g、 より好ましくは約 1 . 0〜5 0111 §でぁる0 - 非経口的に投与する場合は、 その一回投与量は投与対象、 対象臓 、 症 状、 投与方法などによっても異なるが、 例えば、 注射剤の形では通常例 えば、 患者 (6 0 k gに対して)、 一日につき約 0. 0 1から 3 0 m g 程度、 好ましくは約 0. 1から 2 0'm g程度、 より好ましくは約 0. 1 〜1 O m g程度を静脈注射により投与するのが好都合である。 しかしな がら、 最終的には、 剤型の種類、 投与方法、 患者の年齢や体重、 患者の 症状等を考慮して、 医師または獣医師の判断により適宜決定することが できる。
このようにして得られる製剤は、 例えば、 ヒ トやその他の哺乳動物 ( 例えば、 ラッ ト、 ゥサギ、 ヒッジ、 ブタ、 ゥシ、 ネコ、 ィヌ、 サルなど
) に対して投与する とができる。 ヒ ト以外の動物の場合も、 上記の 6 0 k g当たりに換算した量を投与することができる。
, 本発明の薬剤は、 ADAMタンパク質の機能阻害物質または発現阻害 物質を有効成分として含有しているため、 細胞移動、 細胞一細胞間接着
、 細胞一基質間接着等の生理学的事象を抑制することができ、 腫瘍転移 および Zまたは浸潤の抑制のための医薬 (例えば、 癌転移抑制剤、 抗が ん剤) として使用し得る。 対象となる腫瘍または癌の種類は特定のもの に限定されない。 また、 本発明の薬剤は、 AD AM 1 0タンパク質の機 能阻害物質および ADAM 1 7タンパク質の機能阻害物質の両方を含ん でいても良い。 同様に、 本発明の薬剤は、 AD AM 1 0タンパク質の発 現阻害物質および ADAM 1 7タンパク質の発現阻害物質の両方を含ん でいても良い。
(スクリ一ユング方法)
本発明はまた、 腫瘍の浸潤おょぴ または転移を阻害する候補化合物 のスクリーニング方法を提供する。
一つの態様は、 ADAMタンパク質またはその部分ぺプチドと被検化 合物との結合を指標とする方法である。 通常、 ADAMタンパク質また はその部分べプチドと結合する化合物は、 A DAMタンパク質の機能を
阻害する効果を有することが期待される。 本発明の上記方法においては ·
、 まず、 ADAMタンパク質まだはその部分ペプチドと被検化合物を接 触させる。 ADAMタンパク質またはその部分ペプチドは、 被検化合物 との結合を検出するための指標に応じて、 例えば、 ADAMタンパク質 またはその部分ペプチドの精製され'た形態、 細胞内または細胞外に発現 した形態、 あるいはァフィユティーカラムに結合しだ形態であり得る。 この方法に用いる被検化合物は必要に応じて適宜標識して用いることが できる。 標識としては、 例えば、 放射標識、 蛍光標識等を挙げることが できる。
本方法においては、 次いで、 ADAMタンパク質またはその部分ぺプ チドと被検化合物との結合を検出する。 A DAMタンパク質またはその 部分ペプチドと被検化合物との結合は、 例えば、 A DAMタンパク質ま たはその部分べプチドに結合した被検化合物に付された標識によって検 出することができる。 また、 細胞内または細胞外に発現している ADA Mタンパク質またはその部分ぺプチドへの被検化合物の結合により生じ る AD A'Mタンパク質の活性の変化を指標として検出することもできる 本方法においては、 次いで、 ADAMタンパク質またはその部分ぺプ チドと結合する被検化合物を選択する。
本方法により単離される化合物は、 ADAM.タンパク質による C D 4 4切断を阻害して、 細胞外マトリタスからの細胞の遊離を阻害する作用 を有することが期待され、 例えば、 腫瘍の浸潤およびノまたは転移を阻 害する薬剤として有用である。
本発明のスクリ一二ング方法の他の態様は、 ADAM遺伝子の発現を 指標とする方法である。 ADAM遺伝子の発現量を低下させるような化 合 ¼)は、 腫瘍の浸潤および または転移を抑制するための医薬品に使用 する候補化合物となることが期待される。 ■ 本方法においては、 まず、 ADAM遺伝子を発現する細胞に、 被検化 合物を接触させる。 用いられる 「細胞」 の由来としては、 ヒ ト、 マウス
、 ネコ、 ィヌ、 ゥシ、 ヒッジ、 トリなど、 ペッ ト、 家畜等に由来する細- 胞が挙げられるが、 これら由来に'制限されない。 「ADAM遺伝子を発 現する細胞」 としては、 内因性の ADAM遺伝子を発現している細胞、 または外因性の A DAM遺伝子が導入され、 該遺伝子が発現している細 胞を利用することができる。 外因性の ADAM遺伝子が発現した細胞は 、 通常、 ADAM遺伝子が挿入された発現ベクターを'宿主細胞へ導入す ることにより作製することができる。 該発現べクタ一は、 一般的な遺伝 子工学技術によって作製することができる。
本方法に用いる被検化合物としては、 特に制限はない。 例えば、 天然 化合物、 有機化合物、 無機化合物、 タンパク質、 ペプチドなどの単一化 合物、 並びに、 化合物ライブラリー、 遺伝子ライブラリーの発現産物、 細胞抽出物、 細胞培養上清、 発酵微生物産生物、 海洋生物抽出物、 植物 抽出物等が挙げられるが、 これらに限定されない。
ADAM遺伝子を発現する細胞への被検化合物の 「接触」 は、 通常、 ADAM遺伝子を発現する細胞の培養液に被検化合物を添加することに よって行うが、 この方法に限定されない。 被検化合物がタンパク質等の 場合には、 該タンパク質を発現する DNAベクターを、 該細胞へ導入す ることにより、 「接触」 を行うことができる。
本方法においては、 次いで、 該 ADAM遺伝子の発現レベルを測定す る。 ここで 「遺伝子の発現」 には、 転写おょぴ翻訳の双方が含まれる。 遺伝子の発現レベルの測定は、 当業者に公知の方法によって行うことが できる。 例えば、 ADAM遺伝子を発現する細胞から mRN Aを定法に 従って抽出し、 この mRNAを錶型としたノーザンハイプリダイゼーシ ョン法または R T— P C R法を実施することによって該遺伝子の転写レ ベルの測定を行う.ことができる。 また、 AD AM遺伝子を発現する細胞 からタンパク質画分を回収し、 AD AMタンパク質の発現を S D S— P AGE等の電気泳動法で検出することにより、 遺伝子の翻訳レベルの測 . 定を行うこともできる。 さらに、 ADAMタンパク質に対する抗体を用 いて、 ウェスタンブロッティング法を実施することにより該タンパク質
の発現を検出することにより、 遺伝子の翻訳レベルの測定を行うことも- 可能である。 A DAMタンパク質の検出に用いる抗体としては、 .検出可 能な抗体であれば、 特に制限はないが、 例えばモノクローナル抗体、 ま たはポリクローナル抗体の両方を利用することができる。
本方法においては、 次いで、 被検化合物を接触させない場合 (コント ロール) と比較して、 該発現レベルを低下させる化合物を選択する。 こ のようにして選択された化合物は、 腫瘍細胞の浸潤おょぴ Zまたは転移 の抑制のための医薬品候補化合物となる。
また、 本発明により明らかとなったように、 ADAMタンパク質は、 C D 4 4を基質として切断するプロテアーゼ活性を有する。 したがって 、 A DAMタンパク質の CD 4 4に対する切断活性を指標とすることに より、 ADAMタンハ "ク質プロテアーゼ活性阻害剤のスクリ一二ングを 行うことが可能である。 即ち、 切断活性を低下させるような化合物は、 プロテアーゼ阻害剤となるものと期待される。 本発明は、 以下の ( a ) 〜 ( c ) の工程を含む、 ADAMタンパク質プロテアーゼ活性阻害剤の スクリ一ユング方法を提供する ;
( a ) CD 4 4と、 AD AMタンパク質およぴ被検化合物とを接触させ る jlfe、
( b ) AD AMタンパク質の C D 4 4を基質とする切断活性 (プロテア ーゼ活性) を測定する工程、
( c ) 被検化合物の非存在下において測定した場合と比較して、 前記切 断活性を低下させる化合物を選択する工程。
通常、 ペプチドの切断 (プロテアーゼ活性) を検出することは、 当業 者においては簡便に行い得ることであり、 上記工程 (b ) の切断活性の 測定は、 一般的な方法、 例えば、 アクリルアミ ドゲル電気泳動法、 また は質量分析装置等を'利用した方法により、 適宜、 実施することが可能で ある。
本発明の上記方法によって取得される ADAMタンパク質プロテア一 ゼ活性阻害剤は、 腫瘍細胞の浸潤および Zまたは転移を阻害するための
薬剤となるものと期待される。 従って、 上記工程 (a ) 〜 ( c ) を含む- 腫瘍細胞の浸潤および/または転移を阻害する薬剤の候捕化合物のスク リーユング方法もまた、 本発明に含まれる。
本方法に用いる被検化合物としては、 特に制限はない。 例えば、 天然 化合物、 有機化合物、 無機化合物、 タンパク質、 ペプチドなどの単一化 合物、 並びに、 化合物ライブラリー、 遺伝子ライブラリーの発現産物、 細胞抽出物、 細胞培養上清、 発酵微生物産生物、 海洋生物抽出物、 植物 抽出物等が挙げられるが、 これらに限定されない。
本方法においては、 次いで、 被検化合物を接触させない場合 (対照) と比較して、 該発現レベルを低下させる化合物を選択する。 このように して選択された化合物は、 腫瘍細胞の浸潤およぴノまたは転移の抑制の ための医薬品候補化合物となる。
本発明は、 さらに別の態様において、 A D A M 1 0タンパク質の C D 4 4切断活性を阻害する候補化合物をス久リーニングする方法を提供す る。 このスク リーニング方法は、 ( a ) 基体上にヒアルロン酸マトリ ツ. タスの被覆を準備する工程、 (b ) 少なく とも A D A M 1 0遺伝子およ び C D 4 4遺伝子を発現する細胞と該ヒアル口ン酸マトリ ックスとを接 触させる工程、 ( c ) 該細胞と該ヒアルロン酸マトリ ックスとを接触さ せる前、 その間、 または後に、 該細胞を被検化合物で処理する工程、 ( d ) 該被検化合物で処理した該細胞を含む該ヒアルロン酸マ トリ ックス をカルシウムィオノフォアで処理する工程、 および ( e ) カルシウムィ オノフォアで処理した後に、 該ヒアルロン酸マトリ ツタスに保持されて いる細胞の数を計測する工程を包含する。
上記スク リ一二ング方法で使用されるヒアル口ン酸コ一ティングのた めの基体は、 典型的には、 9 6ゥエルのマイクロプレートなど、 複数ゥ エルの培養プレートであるが、 これらに限定されない。 ヒアルロン酸で コ一ティングし得、 細胞遊離アツセィを行い得る基体であれば、 丸底の プレートでも平底のプレートでもよく、 また、 ゥェルの穴の数、 基体の 形状、 大きさなどは問わない。 また、 基体の素材は、 ヒアルロン酸で被
覆し得るものであれば特に限定されず、 当業者が目的に応じて適宜選択' し得るが、 代表的な例としては、 'ガラスやプラスチックなどが挙.げられ る。 複数ゥェルプレートの他の例としては、 6穴、 1 2穴、 2 4穴、 4 8穴のプレートなどが挙げられる。
ヒアルロン酸での基体のコーティングは、 9 6 ゥエルプレートを被覆 する場合を例にすれば、 以下のようにして行い得る。 9 6ゥェルプレー トに 1 ゥエル当たり約 7 5 1の 5 m g m 1 ヒアルロン酸 (例えば、 S i g m a -A l d r i c h等の当業者に周知の供給業者から入手し得 る) を加え、 4 °Cで 3 2時間処理した後、 同量の 2 %B S Aを加え、 さ らに 1 6時間処理する。 これを DMEM— F 1 2で 3回洗浄したものを 使用す 、P e c k a n d 丄 s a c k e , C u r r . B i o 1 . , 1 9 9 6, 6, p . 8 8 4 - 8 9 0を参照)。 基体のコーティング方法 は、 ここで例示した方法に限定されず、 処理時間、 処理温度等の条件は 適宜許容範囲で変更し得る。 .
ADAM 1 0遺伝子おょぴ CD 4 4遺伝子を発現する細胞としては、 例えば、 U 2 5 1 MG細胞のような癌細胞が挙げられる。 腫瘍細胞の浸 潤および/または転移を抑制し得る阻害剤をスクリ一ユングする目的の ためには、 上記細胞はこのように癌細胞であることが好ましいが、 これ に限定されない。 その他の細胞の例としては、 ME F細胞、 RAW細胞 などが挙げられる。 また、 癌細胞の例としては、 上記 U 2 5 1 MG細胞 の他に、 R E R F— L C—OK細胞などが挙げられるが、 これらに限定 されず、 例えば、 HT 1 0 8 0細胞、 S F 1 2 6細胞、 H C T 1 1 6細 胞、 4' T 1細胞などの他の癌細胞もまた、 本発明の目的のために使用し 得る。
ADAM 1 0遺伝子おょぴ CD 4 4遺伝子を発現する細胞と該ヒアル ロン酸マ トリ ックスとを接触させる工程は、 例えば、 ヒアルロン酸コー ティングした基体上に、 該細胞を撒く ことによって行われる。 細胞とヒ アル口ン酸とを接触させてィンキュベートする時間は、 典型的には 24 時間であるが、 これに限定されるわけではなく、 当業者は、 該時間を、
条件および Zまたは目的に応じて適宜変更し得る。 - この態様のスクリ一二ング方法においてスクリ一二ングされる.候補化 合物は、 特に限定されず、 化合物、 タンパク質、 ペプチド、 核酸なども また候補化合物となり得る。 例えば、 天然化合物、 有機化合物、 無機化 合物、 タンパク質、 ペプチドなどの単一化合物、 並びに、 化合物ライブ ラリー、 遺伝子ライブラリーの発現産物、 細胞抽出物、 細胞培養上清、 発酵微生物産生物、 海洋生物抽出物、 植物抽出物等が挙げられるが、 こ れらに限定されない。
本態様のスクリ一ユング方法において使用されるカルシウムィオノフ オアは、 細胞外 C a 2 +イオンを細胞内へ運搬して、 ヒアルロン酸マト リ ックスからの細胞の遊離を促進する作用を有するものであればよく、 本明細書の実施例で使用したィオノマイシンに限定されず、 他のカルシ ゥムィオノフォア (例えば、 カルシマイシン、 カルシウムィオノフォア I (E TH 1 0 0 1 ) など) も同様に、 本発明の目的のために使用し得 る。
MTT法による細胞数の評価は、 常法により行い得るが、 簡単には、 例えば、 当業者に周知の製造業者であるロシュ · ダイァグノスティ ック スから市販されている XTTキッ トを、 製造業者の指示書に従って使用 して行い得る。 具体的には、 細胞培養液 1 0 0 1 に対して 5 0 / 1 と なるように XTT ( s o d i um 3 ' — [ 1— (p h e n y l a m i n o c a r b o n y l ) 一 3 , 4— t e t r a z o l i um」 一 D 'i s (4— m e t h o x y— 6— n ι t r o ) b e n z e n e s u 1 I o n i c a c i d h y d r a t e ) を与え、 3 7 °Cで 2時間インキ ュベート後に 9 6ゥエルプレートリ一ダーを用いて波長 4 9 0 n m (対 照 6 5 0 nm) で吸光度を測定し、 その値から細胞数を算出する。 また 、 細胞数の評価のために使用される方法は、 MTT法に限定されず、 -他 の細胞数評価法 (例えば、 B r d Uラベリング法あるいは、 蛍光色素標 識 (例えば G F P) した細胞の蛍光強度を指標にした方法など) も使用 し得る。
本態様のスク リーニング方法は、 典型的には、 以下のように行うこと- · ができる。
9 6 ウエノレプレートのような基体をヒアル口ン酸でコーテイングし、 そこに癌細胞を撒いて 2 4時間インキュベートする。 次いで、 評価すベ き被検化合物を加えて適切な時間インキュベートした後、 カルシウムィ オノフォア (例えば、 ィオノマイシン) を加えて適切な時間インキュべ ートする。 上清を捨て、 基体に接着している細胞の数を MTT法により 評価する。 評価の結果、 細胞数の減少がコントロールと比較して少ない ものほど、 候補化合物である可能性が高いと判断する。
このようにして、 AD AM 1 0の活性化を阻害する候補化合物をスク リーユングすることが可能となる。 得られた薬剤には、 メタ口プロティ ナーゼに対する広汎な阻害剤も含まれる可能性は高いが、 ウェスタンブ ロッ ト法による 2次スクリ一二ングによりそれらを除外することができ る。 - 例えば、 メタ口プロテアーゼは、 アミノ酸配列おょぴ構造の違いによ り複数のフ.アミ リーに分類することができる。 また、 各メタ口プロテア ーゼは、 活性型と不活性型との 2形態を有し、 分子量の大きな不活性型 が活性化刺激を受けるどその一部が切断を受け、 分子量のより小さな活 性型へと変ィ する。 このため、 ウ スタンプロッ ト法により不活性型と 活性型とを、 異なる泳動度を有するパンドのシグナルとして区別して検 出することができる。 したがって、 各ファミ リー内の代表的なメタロプ 口テアーゼの抗体を用いて、 ウェスタンプロッ トを行うことで、 候補化 合物が ADAM 1 0の活性化に特異的に働くか否かを調べることが可能 である。
本発明のヒアルロン酸マトリ ックスおよびカルシウムィオノフォアを 利用した ADAM 1 0タンパク質活性阻害化合物のスクリ一二ング方法 は、 細胞遊離ァッセィ ( I t o e t a l ., O n c o g e n e , 1 9 9 9, 1 8 : 7 0 8 0 - 7 0 9 0 ; O k a m o t o e t a 1 . , O n c o g e n e , 1 9 9 9, 1 8 : 1 4 3 5 - 1 4 4 6 ) を応用し
た点に特徴の 1つがある。 「細胞遊離アツセィ」 は、 典型的には、 以下- · のように行い得る。 ヒアル口ン酸をコートしたプレートに U 2 5.1 MG 細胞を撒き、 2 4時間後にカルシウムィオノフォアであるィオノマイシ ン (C a l b i o c h e m) を、 5 ^1となるように DMEM— F 1 2 (D u l b e c c o ' s Mo d i f i e d E a g l e s M e d i u m a n d H a m ' s N u t r i e n t M i x t u r e F 1 2 ) で希釈して細胞に与える。
(キッ ト)
本発明はまた、 ADAM 1 0の活性を阻害する候補化合物をスクリー ニングするためのキッ トを提供し、 このキッ トは、 (a ) ヒアルロン酸 でコートした基体と、 (b ) 少なく とも ADAM 1 0遺伝子おょぴ C D 4 4遺伝子を発現する細胞と、 ( c ) カルシウムィオノフォアとを含ん でいる。
本発明のキッ トのー態様では、 上記成分を収容する 1個または複数個 の容器を含んでいてもよい。 本発明のキッ トはまた、 他の組成物や、 使 用説明書を含んでいてもよい。 本発明のキッ トは、 箱、 ブリスターパッ クなどの包装材料に封入することができる。 包装材料は、 輸送及び貯蔵 中の内容物の無菌性を維持しやすくするために不浸透性カバーでコーテ イングすることができる。 薬剤を収容するための容器はガラスびんが好 ましいが、 びん又は袋の形態の剛性又は可撓性プラスチックなどの任意 の不活性材料で作製することができる。
以下に実施例を示して、 本発明をより具体的に説明するが、 これらは 本発明の範囲を限.定するものではない。 実施例 1
(細胞培養物およ'ぴ試薬)
本発明の実施例で使用した細胞培養物おょぴ試薬は、 以下のように調 製した。 U 2 5 1 MG細胞および R E R F _ L C— O K細胞を、 1 0 % F C Sを補充した DME F 1 2において増殖させた。 ADAM 1 0一
ノーマウスおよび対応する野生型マウスからの ME F細胞株を以前に記 ■ 載されたように生成し、 特徴づけした (H a r t m a n n e t . a 1 ., H u m. M o 1 . G e n e t . , 2 0 0 2, 1 1 : 2 6 1 5 - 2 6 2 4)。 ME Fを 1 0 % F C Sを含有する D M E中で培養した。 C D 4 4の細胞質ドメインに対する p A bである抗 C D 4 4 c y t o p A b を以前に記載されたように生成した (O k a m o t o e t a 1 . , J . B i o l . C h e m. , 1 9 9 9, 2 7 4 : 2 5 5 2 5 - 2 5 5 3 4)。 C D 4 4の外部ドメインェピトープに対する mA b (B U 5 2 ) を、 A n c e 1 1から入手した。 細胞質ドメインに対する抗 AD AM 1 0抗体を、 C a 1 b i 0 c h e mから購入した。 細胞質ドメインに対す る抗 AD AM 1 7抗体を C H EM I C O N I n t e r n a t i o n a 1 , I n c . およぴ C a 1 b i o c h e m力 ら購入した。 抗 AD AM 1 7 (H- 3 0 0 ) を S a n t a C r u z B i o t e c h n o l o g yから購入した。 抗 C a Mおよぴ抗 R a c.を U p s t a t e B i o t e c h n o l o g yから購入した。 抗 HA m A bを 1 2 C A 5細胞か ら調製した。 組み換え h T I M P— 1、 一 2、 および一 3は、 K. I w a t a (D a ι ι c h ι r i n e C h e m i c a l I n d u s t r i e s L t d . , T a k a o k a , J a p a n ) 力、ら提供された。 精製ゥシ脳 C a Mを S i g m a - A 1 d r i c hから購入した。 P A K - 1 P B Dァガロースを、 U p s t a t e B i o t e c h n o l o g yから購入した。 G F 1 0 9 2 0 3 X、 ィオノマイシン、 および T F Pを C a l b i o c h e m力、ら購入した。 B B 9 4 ( b a t i m a s t a t ) は、 W. G . S t e t l e r — S t e v e n s o n 、N a t i o n a 1 I n s t i t u t e s o f H e a l t h , B e t h e s d a , MD) から提供された。 実施例 2
( C D 4 4外部ドメインの切断を担う酵素の特徴付け)
C D 4 4外部ドメインの切断を担う酵素の特徴付けを行うため ί
■ 発明者らは、 まず、 細胞遊離アツセィにおいて、 メタ口プロティナ一- ゼの種々のインヒビターの効果を'試験した。 '.
図 1を参照して、 まず、 実質的な CD 4 4切断活性を保持する U 2 5 1 MGヒ ト神経膠腫細胞から単離した粗製の膜を、 1 0 μMのB B 9 4 、 T I MP— 1、 T I MP— 2、 また.は T I M P— 3 (各々の濃度は 1 0 β g /m 1 ) の非存在下 (一) または存在下で、 L a e m 1 iサンプ ルバッファーとすぐに混合するカ または 3 7°Cで 1 2 0分間インキュ ペートした後に混合した。 次いで、 全てのサンプルを、 CD 4 4の CO OH末端領域に対して特異的な抗体 (抗 C-D 4 4 c y t o p A b ) を 用いて免疫プロッ ト分析 ( I B) に供した。
このインキュベーションは、 膜結合 C O OH末端フラグメント (CD 4 4 E XT ; 図 1 A、'レーン 2) の存在量を増大させ、 外部ドメイン切 断は、 MM Pインヒビターである B B 9 4 ( 1 0 μ M) および C a 2 + キレート剤である E GTA ( 1 0 mM) によってブロックされた (図 1 A、 レーン 3および図 I B、 レーン 4)。 これは、 その反応が、 この細 胞遊離システムにおいて、 MMPによって仲介され、 そして C a 2 +濃 度に感受性であることを示す。 この切断反応は、 メタ口プロティナーゼ の組織ィンヒビター (T I MP) _ 1および T I MP— 3によって阻害 されたが、 T I MP _ 2によっては影響されなかった (図 1 A、 レーン 4〜 6 )。 ·
ADAMファミ リ のタンパク質を除ぐすべての公知の MM Pの触媒 活性が T I MP— 2によって阻害される (N a t h e t a 1 . , J . C e l l S c i . 2 0 0 1, 1 1 4 : 1 2 1 3 - 1 2 2 0) ことを考慮すれば、 本発明者らの結果は、 C D 4 4外部ドメインの C a 2 +依存性切断において未知の MM Pまたは A D A Mプロティナーゼの いずれかが関係していることを意味する。 実施例 3
(ADAM 1 0活性が C D 4 4外部ドメイン切断に関与する)
ADAM 1 0の活性は T I MP - 1または T I MP— 3によって阻害- され (Am o u r e t a 1 .', F E B S L e t t . , 2 0.0 0,
4 7 3 : 2 7 5— 2 7 9)、 そして ADAM 1 7 (TN F—ひ変換酵素 または TAC Eとしても知られる) は T I MP— 3によって阻害される (Am o u r e t a 1 . , F E B S L e t t ., 1 9 9 8 , 4 3
5 : 3 9— 4 4 ; D o e d e n s e t a 1 . , B i o c h e m. B i o p h y s . R e s . C o mm u n . , 2 0 0 3, 3 0 8 : 3 3 1 — 3 3 8 )。 これら 2つの AD AMの活性は、 T I MP— 2によっては阻 害されない。 それゆえ、 本発明者らは、 AD AM 1 0または AD AM 1 7の活性が CD 44外部ドメイン切断を仲介するか否かを試験するため に、 ADAM 1 0または A DAM 1 7を U 2 5 1 MG細胞において RN A干渉を適用することによってノックダウンすることを試みた。
(手順)
s i RNAの調製は、 以下のように行った。 全長 CD 4 4をコードす る c DNAを、 O k a m o t o e t a 1 . , 2 0 0 1 (前出) に 記載のように構築した。 p E F— B O S— ΗΑ— R a c l WT (野生型 R a c l ) 、 R a c 1 V 1 2 (R a c lの構成的活性形態)、 および R a c 1 N 1 7 (R a c lのドミナントネガティブ形態) のプラスミ ドは、 K . K a i b u c h i 、 丄 a g o y a Un i v e r s i t y, N a g o y a , J a p a n ; K u r o d a e t a 1 . , J . B i o l . C h e m, 1 9 9 6, 2 7 1 : 2 3 3 6 3— 2 3 3 6 7) によつ て提供された。 これらの発現プラスミ ドを、 L i p o f e c t AM I N E a n d P LU S R e a g e n t 、: L i f e T e c h n o 1 o g i e s , I n c .) を製造業者の指示に従って使用して、 細胞にトラ ンスフエタ トした。 s i RNAの配列は、 以下の通りである。
ヒ ト ADAM 1 0 :
S e n s e : 5 ' -GACAUUUCAAC CUAC GAAUTT- 3 ' (配列番号: 3)
An t i 一 S e n s e : 5 ' -AUUCGUAGGUUGAAAUG
U C T T— 3, (配列番号: 4 ) ; - ヒ ト AD AM 1 7 :
S e n s e : 5 ' 一 CACAUGUAGAAACACUACUTT— 3 ' (配列番号: 7)
An t i - S e n s e : 5 ' - AG U A G U G U U U C U A C A U G UGTT— 3 ' (配列番号: 8)。
二本鎖 RNA標的化ルシフヱラーゼ (G L— 2) をコン トロールとして 使用した : '
S e n s e : 5 ' - CGUAC G C GGAAUACUUCGATT- 3 ' (配列番号: 9 )
An t i一 S e n s e : 5 ' 一 UC GAAGUAUUC C G C GUA C G T T - 3 ' (配列'番号: 1 0)。
これらは、 2 1 n tキメラ RN A— D Ν Α二重鎖を、 日本バイオサービ ス 、 J a p a n B i o s e r v i c eリ.力、ら入手しに。
アニーリングした s i RNAを 0. 5 Mとなるように O p t i — M E Mに溶角军し、 〇 l i g o f e c t a m i n e (L i f e T e c h n o 1 o g i e s ) を使用して U 2 5 I MG細胞にトランスフエク トし、 3 7 °C、 5 % C O 2で 4 日間培養した。
' 図 2 Aを参照して、 U 2 5 1 MG細胞を、 コン トロール、 ADAM 1 0 s i R N A、 または AD AM 1 7 s i RNAでトランスフエタ ト し、 4 日間培養した。 次いで、 等量の細胞溶解物を、 · ADAM 1 0、 A DAM 1 7 , またはひ 一チュープリンに対する抗体を用いて免疫プロッ ' ト分析に供した。
図 2 Βを参照して、 コン トロール、 ADAM 1 0 s i RN A、 また は ADAM 1 7 s i R N Aでトランスフエタ トした U 2 5 1 M G細胞 を、 機械的スク レイ 'ビング (図 2 B、 左) に供し、 あるいは 5 ィ.ォ ノマイシンで処理し (図 2 Β、 右)、 その後 3 0分間インキュベートし た。 次いで、 細胞溶解物を、 CD 4 4の C OOH末端領域に特異的な抗 体 (抗 CD 4 4 c y t o p A b ) または、 ADAM 1 0に対する抗体
、 ADAM 1 7に対する抗体もしくは α—チューブリンに対する抗体 ぐ 口一ディングコント口ール) を用いて免疫プロッ ト分析に供した。
'図 2 Cを参照して、 コン トロール、 ADAM 1 0 s i RNA、 AD AM 1 7 s i R N Aで トランスフエタ ト した U 2 5 1 MG細胞を、 1 0 0 n g/m l T P Aで 6 0分間'処理した。 次いで、 細胞溶解物を上 記図 2 Aの説明のように免疫プロッ トに供した。
図 1 Bを参照して、 コン ト口ール s i R N Aでトランスフェク トされ た U 2 5 1 MG細胞から調製した膜画分を、 DMS O、 1 0 /z M B B 9 4、 または 1 0 mM E GT Aとともにィンキュベートした。 s i R NAによって ADAM l 0または ADAM l 7が除去された膜画分を、 3 7 °Cで 2時間ィンキュベートし、 抗 CD 4 4 c y t o p A bを用い る免疫プロッ ト分析に供した。 CD 4 4バンドの強度を、 Ma c B A S 2 0 0 0で測定し、 C D 4 4 E X TZ総 C D 4 4の比を算出した。 各レ ーンの下の棒グラフはコン トロール細胞に対する倍率を表わす。
(結果)
免疫ブロッ ト分析の結果は、 ADAM 1 7の発現は A DAM 1 0除去 によって影響されず、 その逆も同様であったことを示した'(図 2 A)。
3 7 °Cでのイ ンキュベーショ ンの後の C D 4 4外部ドメイン切断は、 ADAM 1 0除去細胞から調製し.た膜画分において顕著に阻害された ( 図 1 B、 レーン 6 ) が、 AD AM 1 7除去細胞由来のものにおいては阻 害されなかった (図 1 B、 レーン 8 )。 この結果は、 A DAM 1 0活性 がこの反応を主として仲介することを示唆する。 実施例 4
(ADAM 1 0および AD AM 1 7は異なる刺激に応答して C D 4 4 外部ドメインの切断を調節する)
次いで、 本発明者らは、 生細胞中の CD 4 4外部ドメイン切断におけ' る ADAM 1 0および AD AM I 7の役割を試験した。
図 2 B、 左に示すように、 ADAM 1 0の除去は、 細胞外 C a 2 +流
入を誘導する機械的スクレイビングによって誘導される外部ドメイン σ>. 切断を顕著に阻害したが、 ADAM 1 7の除去はそれを阻害しなかった (図 2 Β、 左)。 C a 2 +ィオノフォアであるィオノマイシンへの曝露に よって誘発される外部ドメインの切断はまた、 ADAM 1 0除去によつ て阻害された (図 2 B、 右)。 これらの結果は、 ADAM 1 0が C a 2 + 流入によって誘導される CD 44外部ドメイン切断を担っていることを 示唆する。
図 3 Cを参照して、 U 2 5 1 MG細胞を、 T PA ( 1 0 0 n g /m 1 ) で 4 0分間処理するか (図 3 C、 左)、 または細胞外 C a 2 +流入を誘 導する機械的スクレイビングで処理した (図 3 C、 右)。 T P A処理お ょぴ機械的スクレイビングによって誘導される外部ドメインの切断は、 両方とも、 広汎な M Pインヒビターである B B 9 4 ( 1 0 / M) での 前処理によって阻害され、 G F 1 0 9 2 0 3 X ( 2. 5 μ M) (P KC の特異的インヒビター) は、 T P Αに誘導される切断を阻害したが、 機 械的スクレイビングによって誘導される切断には影響を及ぼさなかった (図 3 C、 左)。 他方、 C a 2 +キレート剤である E GTA ( 1 0 mM) は、 機械的スクレイビングによって誘導される切断を阻害したが (図 3 C、 右)、 T P Aによって誘導される切断は阻害しなかった。
このよ うに、 C D 4 4外部ドメイン切断は、 C a 2 +流入によっての みでなく、 P KCの活性化によっても誘引され、 これら 2つの刺激は、 別個のシグナリング経路によってその効果を発揮する。 したがって、 本 発明者らは、 A DAM 1 0は、 P K C依存性の C D 4 4外部ドメイン切 断もまた仲介するか否かを試験した。
興味深いことに、 ADAM 1 0の除去は、 T PAによって誘導される CD 4 4 E XTの産生に対してほとんど効果がなかった (図 2 C、 レー. ン 3)。 対照的に、 ADAM 1 7の除去は、 T P Aによって誘導される C D 4 4の切断を顕著に阻害した (図 2 C, レーン 4)。 これは、 フォ ' ルボールエステル PMA (フオルボール 1 2—ミ リステート 1 3—ァセ テート) 力、、 ニューロ トロフィンレセプターである T r k A (D i a z
— R o d r i g u e z e t a l ., Mo l . B i o l . C e l l ., - 2 0 0 2 , 1 3 : 2 0 3 1 — 2 0 4 4) およぴ TNF— αプロ.セッシ ング部位べプチド (D o e d e n s e t a 1 . , 2 0 0 3, 前出 ) の ADAM 1 7依存性のタンパク質分解を誘導するという最近の観察 に関連する。 ·
したがって、 これらの結果は、 C a 2 +流入によって誘導される C D 4 4外部ドメインの切断が、 ADAM 1 0によって仲介されるのに対し て、 P KC活性化によって誘導されるものは、 ADAM 1 7によって仲 介されるということを示唆する。 実施例 5
( C a 2 +流入によって誘導される C D 4 4外部ドメインの切断は、 AD AM 1 0欠損マウス胚線維芽細胞 (ME F) において阻害される) C a 2 +流入によって誘導される C D 4- 4切断における ADAM 1 0 の関与をさらに試験するために、 本発明者らは、 ADAM 1 0欠損 (A DAM 1 0 -/~) ME Fを使用した (図 4 A ; H a r t m a n n e t a 1 . , Hum. Mo 1 . G e n e t ., 2 0 0 2 , 1 1 : 2 6 1 5— 2 6 2 4)。
図 4 Bに示すように、 野生型 (WT) または AD AM 1 0 ノ ME F は、 機械的スクレイビングによって細胞外 C a 2 +流入が誘導された。 1 0 mM E G T Aの存在下または非存在下でのスクレイビングの後、 これらの細胞の S莫画分を回収し、 L a e mm 1 iサンプルバッファーを 用いて溶解した。 その溶解物を、 抗 CD 4 4 c y t o p A bを用いて 免疫プロッ ト分析に供した。
免疫プロッ ト分析は、 野生型 ME Fにおいて、 細胞外 C a 2 +流入に よって全長 CD 44の量が顕著に減少し、 CD 4 4 E XTが増大したこ とを示す (図 4 B ; レーン 3 )。 しかし、 C D 4 4 E XTは、 機械的ス クレイビングによって ADAM 1 0 _/"ME Fにおいてほとんど検出さ れなかった (図 4 B ; レーン 4)。
内因性の C D 4 4の発現レベルは、 ME Fにおいて非常に低いので、 - 本発明者らは、 ADAM 1 0の CD 4 4切断における役割を野生型およ ぴ ADAM 1 0 _ノ ME Fを全長ヒ ト CD 4 4をコードする発現べクタ 一でトランスフエク トすることによつて確認した (図 4 C )。
野生型 (WT)、 ADAM 1 0 +/'—、 または A D AM 1 0 — M E F を、 全長ヒ ト CD 4 4の発現プラスミ ドまたは空のベクター (一) のい ずれかを用いて一過的にトランスフエタ トした。 トランスフエクシヨン の 2 日後、 細胞を機械的スクレイビングに供し、 3 0分間インキュベー トし、 溶解し、 そして抗 CD 4 4 c y t o p A bを用いて免疫ブロッ トした。
外因性ヒ ト C D 4 4の外部ドメイン切断は、 野生型および ADAM 1 0 +/— ME Fにおいて機械的スクレイビングによって誘導されたが、 A D AM 1 0 — Fにおいては誘導されなかった。
さらに、 本発明者らは、 マウス ADAM 1 0発現プラスミ ド (未公表 データ) を ADAM 1 0 _/— ME Fにトランスフエク ドして戻し、 CD 4 4切断を試験した。 具体的には、 AD AM 1 0—ノ ME Fを全長ヒ ト CD 4 4の発現べクターおょぴマウス ADAM 1 0の発現べクターを用 いて同時トランスフェク トした。 トランスフェクショ ンの 2 4時間後に 、 細胞を機械的スクレイビングに.供し、 3 0分間インキュベートし、 溶 解し、 そして抗 C D 4 4 c y t 0 p.A b (図 4 D、 上欄) または抗 A DAM 1 0 (図 4 D、' 下欄) を用いて免疫プロッ トした。
図 4 Dに示されるように、 ADAM 1 0の発現は、 C a 2+流入によ つて誘導される C D 4 4外部ドメインの切断を ADAM 1 0 _/— ME F において再構築した。 これら全ての結果は、 AD AM 1 0が細胞外 C a 2 +流入に応答した CD 4 4外部ドメイン切断の候捕切断酵素であるこ と示す。 実施例 6
(ADAM 1 0および AD AM I 7の活性化は
P K C活性化によって、 それぞれ誘導される) -' 本発明者らは、 C a 2 +流入の AD AM 1 0の活性化に対する効果を 、 このプロテアーゼに対する抗体を用いて免疫プロッ ト分析によって試 験した。
(手順) ·
U 2 5 1 MG細胞を、 1 0 mM E G T Aの非存在下または存在下で 、 処理しないか、 または 5 μ Μィオノマイシンとの 1 5分または 3 0分 間のインキュベーションに供した。 次いで、 細胞を溶解し、 そして抗 A D AM 1 0、 抗 AD AM 1 7、' または a—チューブリンとの免疫ブロッ ト分析に供した。 バンドの強度を、 M a c B A S 2 0 0 0 (富士フィル ム) を用いて測定し、 活性型ノ総 ADAM 1 0 (または ADAM 1 7 ) の比を計算した。 各レーンの下の数字は、 コン トロール細胞に対する倍 率で表され、 3つの独立した実験からの平均値として示された。 統計学 的な差違は、 tテス ト ; * ; P < 0. 0 1.で決定した。 結果を図 5 (A ) に示す。
U 2 5 1 MG細胞を、 1 0 0 n g /m l T P Aまたは 2. 5 μ Μ G F 1 0 9 2 0 3 Xの非存在下または存在下で、 1 0 i M B B 9 4を 含有する培地とともに示されている時間ィンキュベートした。 次いで、 細胞溶解物を、 ADAM 1 0 (上欄) または ADAM 1 7 (中欄) に対 する抗体を用いて、 免疫プロッ ト分析に供した。 活性化形態 Z総 ADA M 1 0 (または ADAM 1 7 ) の比を、 上記のように計算した。 各レー ンの下の数字は、 コントロール細胞に対する倍率として表し、 3つの独 立した実験からの平均値として示した。 統計学的な差違は、 tテス ト ; * ; P < 0. 0 1で決定した。 結果を図 5 (B) に示す。
(結果)
ADAM 1 0は、 約 9 7 k Dの不活性の前駆体形態として存在し、.こ れはコンセンサスプロプロテインコンバターゼ切断モチーフでの切断に よって 6 8 k Dの活性な成熟形態に変換する (A n d e r s e t a 1 . , F A S E B J . , 2 0 0 1 , 1 5 : 1 8 3 7 — 1 8 3 9 )。 プロ
ドメインの除去は、 ADAM 1 0活性の前提条件であると考えられる。 -- ィオノマイシンによって誘発されるカルシウム流入は、 U 2 5 1.MG細 胞中での ADAM 1 0の活性形態の量の著しい増大をもたらした (図 5 A ; 図 2 B)。 ィオノマイシンによって誘導されるプロ ADAM 1 0の 活性形態への変換は、 1 0 mM E'GTAの存在下で阻害され、 細胞外 C a 2 +流入は AD AM 1 0を活性化することを示す。 さらに、 本実施 例において、 本発明者らは、 T P A処理がプロ ADAM 1 0の活性化形 態への変換を誘導しないことを見出した (図 5 B、 左上段 ; 図 2 C)。 これらの結果は、 ADAM 1 0が細胞外 C a 2 +流入によつて活性化さ れるが、 P KC活性化によっては活性化されないことを示唆する。
次に、 本発明者らは、 U 2 5 1 MG細胞における ADAM 1 7活性化 に対する T P Aの効臬を試験した。 PMAが ADAM 1 7の酵素活性を 増大させ、 引き続いて A DAM 1 7の活性形態が分解することが最近報 告されている (D o e d e n s e t a l ., 2 0 0 3、 前出)。 実際 、 AD AM 1 7の活性形態は、 B B 9 4の非存在下で、 時間依存的に、 T P A処理によって分解される (未公表のデータ)。 それゆえ、 ADA M 1 7の活性形態を可視化するために、 免疫プロッ ト分析のために調製 されたサンプル中にメタ口プロティナーゼィンヒビターが存在すること が必要である。 B B 9 4の存在下で、 ADAM 1 7の活性形態は、 AD AMI 7の細胞質ドメインに対して惹起された p A bによって検出され 得、 そして 5〜 1 5分以内に T P Aに応答して蓄積され; T PA処理が ADAM 1 7の活性化を誘導したことを示唆する (図 5 B、 左中段)。 しかし、 活性 A DAM 1 7の蓄積は、 G F 1 0 9 2 0 3 Xで予め処理さ れた U 2 5 1 MG細胞において顕著に損なわれた (図 5 B、 右中段)。 さらに、 AD AM 1 7の活性形態は、 ィオノマイシンで処理した細胞に おいて増大せず、 むしろ減少した (図 5 A)。 このように、 これらのデ ータは、 C a 2+流入おょぴ P K C活性化は、 ADAM 1 0および AD ' AM 1 7をそれぞれ別々に活性化することを示唆する。
実施例 7 - ( C a Mィンヒビタ一は、 AD AM 1 0によって仲介される C.D 4 4 切断を誘発する)
C a 2 +流入によって誘導される C D 4 4の切断を担うメカニズムを さらに解明するために、 本発明者らは、 このプロセスに影響を与える能 力について C a 2 +シグナリング分子の種々の細胞透過性ィンヒビター をスクリーユングした。
(手順)
図 6 Aを参照して、 コントロール、 AD AM 1 0 s i R NA、 AD AM 1 7 s i R NAでトランスフエク トした U 2.5 1 MG細胞を、 1 0 0 μ Μ T F P、 C a Mインヒ ビターとともに 3 0分間インキュベー トした後、 細胞溶解物を調製し、 抗 C D 4 4 c y t o p A bまたは A D AM 1 0、 A D AM 1 7、 もしくはひ一チューブリンに対する抗体を 用いて免疫プロッ ト分析に供した。 .
図 6 Bを参照して、 野生型 (WT) または AD AM 1 0— ME Fを 、 1 0 0 μ M T F Ρ有りまたは無しで 3 0分間インキュベートした。 ィンキュベーション後、 これらの細胞の膜画分を、 1 0 / Μ Β Β 9 4 および 1 O mM E G T Aを含有する低張性バッファーを用いて回収し た。 回収した膜画分を L a e mm 1 iサンプルバッファーで溶解し、 抗 C D 4 4 c y t o p A bを用いた免疫プロッ ト分析に供した。
図 6 Cを参照して、 U 2 5 1 MG細胞から単離した膜画分を、 3 7 °C で 2時間、 1 0 M B B 9 4または示された量のゥシ脳 C a Mの存在 下で、 Ι Ο Ο μ Μ T F Ρ有りまたは無しでインキュベートした (レー ン 2〜 8 )。 次いで、 全てのサンプルを抗 C D 4 4 c y t o p A b ( 上段) または抗 C a M抗体 (下段) を用いて免疫プロ ッ ト分析に供した 。 C D 4 4ノ ン ドの強度は、 M a c B A 2 0 0 0で測定し、 C D 4 4 E X Tノ総 C D 4 4比を算出した。 各レーンの下の棒グラフは、 コン ト口 ール細胞に対する倍率として表されている。 ィンビト口での C D 4 4切 断は C a Mによって用量依存的に阻害されたが (レーン 3〜 5 ) 、 T F
Pでの処理によって C a Mの効果が顕著に遮断された (レーン 6〜 8) - · ことに注意すべきである。 ' .
図 6 Dを参照して、 C a Mまたはダルタチオン (G S H ;ネガティブ コントロール) のいずれかと結合体を形成したァガロースビーズを、 0 . 1 μ Μ C a C 1 2の存在下で、 U 2 5 1 MG細胞溶解物とインキュ ペートした。 次いで、 加えた細胞溶解物およびビーズに結合したタンパ ク質を、 ADAM 1 0 (上段)、 ADAM 1 7 (中段)、 または C a M ( 下段) に対する抗体を用いて免疫プロッ ト分析に供した。
(結果)
5 0 i M ΚΝ 9 3 ( C a 2 +および C a Μ依存性プロテインキナー ゼ I I のインヒビター) も、 力ルパインィンヒ ビターである Z 1 1 a 1 ( 5〜 1 0 0 μΜ) も、 機械的スクレイビングによって誘導される CD 4 4外部ドメイン切断に影響を与えなかった (未公表のデータ)。 対照 的に、 C a Mインヒビターである トリフルオペラジン (T F P) は、 細 胞外 C a 2 +流入の非存在下で、 前駆体形態の ADAM 1 0の活性化形 態への変換および CD 4 4外部ドメインの切断の両方を顕著に促進した (図 6 A)。 さらに、 T F Pによって誘導される CD 4 4外部ドメイン 切断は、 U 2 5 1 MG細胞において、 AD AM 1 0の除去によって阻害 されたが、 ADAM 1 7の除去によっては阻害されなかった。 これらの 知異は、 C a Mによって仲介されるシグナルの阻害が ADAM 1 0プロ テアーゼを活性化し、 C D 44の外部ドメイン切断を導くことを示唆す る。 この仮説はまた、 T F P処理が C D 4 4切断を野生型 ME Fで誘導 するが、 ADAM 1 0欠損 ME Fにおいては誘導しないというデータに よっても支持された (図 6 B)。
C a Mによって仲介される C D 4 4外部ドメイン切断の阻害の可能性 をさらに調べるために、 本発明者らは、 図 1 Bに示されるように ADA M l 0の活性によって仲介される CD 4 4切断の細胞遊離アツセィにお いて、 C a Mの効果を試験した。 U 2 5 1 MG細胞の膜画分と精製 C a Mとのィンキュベーシヨンによって、 CD 4 4外部ドメイン切断が有意
に妨害された (図 6 C、 レ^ "ン 4および 5 )。 しかし、 T- F Pとの膜画分のインキュベーシヨンによって、 C D 4 4外部ドメイン の切断は促進され (図 6 C、 レーン 6 )、 さらに、 C a Mによって仲介 される C D 4 4切断の阻害は、 T F Pの存在下で有意に妨害された (図 6 C , レーン 7)。 したがって、 これらの観察により、 ADAM 1 0に よって仲介される CD 4 4外部ドメインの切断の調節における C a Mの 役割が示唆された。 実際、 抗 ADAM 1 0を用いた C a M結合タンパク 質の免疫ブロッ ト分析は、 ADAM 1 0の前駆体形態が低 C a 2 +条件 下 (濃度 : 1 0— 7M) で C a Mと特異的に結合したのに対して (図 6 D)、 ADAM 1 7は、 C a M結合画分中に検出されなかったことを明 らかにした。 これらの知見は、 C a Mが ADAM 1 0の俞駆体形態と相 互作用して、 その活性化を阻害することを示唆する。 さらに、 このイン ビトロでの A D AM 1 0 と C a Mとの相互作用は、 Ι Ο Ο μΜ T F P の存在下で妨害された (未公表データ)。 .これらの観察に基づき、 本発 明者らは、 A DAM 1 0の活性化が、 C a M— AD AM 1 0結合の修飾 を介して調節されることを提唱する。 実施例 8 ·
(C a 2 +流入によって誘導される HAマ ト リ ッタスからの細胞遊離 の、 AD AM 1 0除去による阻害)
C a 2 +流入は、 細胞一基層接着の分解を誘導レ、 移動する細胞の細 胞後方の縁の遊離に必要である (L e e e t a 1 . , N a t u r e , 1 9 9 9, 4 0 0 : 3 8 2— 3 8 6 )。 したがって、 本発明者ら は、 C a 2 +流入によって誘導される AD AM 1 0活性化が、 細胞一基 層接着に影響するか否かを調べた。
(手順)
U 2 5 1 MG細胞 ( 2 X 1 04個) を H Aコートしたディッシュに撒 き、 2 4時間インキュベートした後、 コントロール (図 7 (A))、 AD AM 1 0 s i RNA (図 7 (B))、 ADAM 1 7 s i RNA (図 7
(O) でトランスフエタ トした。 トランスフエクシヨ ンの 4 日後、 細胞を 5 I Μィオノマイシンの存在'下で 3 0分間ィンキュベートし.、 そし て位相差顕微鏡によって検査した。
上記と同様に、 コントロール、 ADAM 1 0 s i RNA, または A D AM 1 7 s i RNAでトランスフエク トした細胞を、 ィオノマイシ ンと共に 3 0分間または 6 0分間、 1 0 zM B B 9 4の非存在下また は存在下でインキュベートし、 その後、 浮遊している細胞を培養培地か ら回収し、 付着している細胞をトリプシンに曝露することによって収集 した。 遊離した細胞および付着していた細胞の両方の数を、 細胞カウン ターで決定し、 遊離した細胞の数を、 総細胞数に対する割合 (%) とし て示した。 データは 3つから 5つの独立した実験から得られた値の平均 値土 S EMである。 結果を図 7 (D) に示す。
なお、 ヒアルロン酸コートした培養ディッシュの調製は、 以下のよう にして行った。 3 5 mmペトリ皿を 5 0 0- 1の S t r e p t o c o c c a 1 h y a l u r o'n a n (ヒアノレロン酸) ( S m gZm l i S i g m a -A l d r i c h) とともに 3 2時間、 4 °Cでインキュベートし た。 等量の 2 % B S Aを添加し、 プレートをさらに 1 6時間ィンキュベ ートした。 次いで、 それらを DMEM . F 1 2で 3回洗浄し、 すぐに使 用した。
(結果)
図 7に示すように、 ィオノマイシンは、 U 2 5 1 MG細胞の HAマト リ ックスから培養培地への迅速な遊離を誘導し、 この効果は、 MMPィ ンヒビターである B B 9 4によって顕著に阻害された (図 7、 Aおよび D)。 このィオノマイシンの効果は、 コントロールまたは ADAM 1 7 s i RNAでトランスフエタ トした U 2 5 1 MG細胞において観察され たが (図 7、 A、 Cおよび D)、 AD AM 1 0除去細胞においては観察 されなかった (図 7、 Bおよび D)。 さらに、 ィオノマイシンによって 誘導される細胞の遊離は、 ADAM 1 0—z ME Fにおいて阻害された 、 野生型および ADAM 1 0 + ME Fにおいては阻害されなかった
(図 8)。 これらのデータは、 ADAM 1 0によって仲介される接着分 子 (C D 4 4を含む) の切断は、'細胞が細胞外 C a 2 +流入に応答して マトリ ツタスから遊離するために必要であることを示す。 実施例 9 '
(S m a l l GT P a s e R a cは、 T PAによって誘導される ADAM 1 7の活性化おょぴ C D 4 4切断に関与する)
T P A処理によって、 新たに形成した膜ラフリング領域への CD 4 4 の再分布が誘導され、 U 2 5 1 MG細胞における CD 4 4外部ドメイン の切断が導かれる (O k a m o t o e t a 1 . , J . B i o l . C h e m. , 1 9 9 9 , 2 7 4 : p . 4 4 2 5— 2 5 5 3 4)。 したが つて、 本発明者らは、 ' T PA処理後の AD AM 1 7の亜細胞局在を調べ た。
(手順) .
図 9 Aを参照して、 U 2 5 1 MG細胞を、 l O O n g m lの T PA 有りまたは無しで 5分間インキュベートし、 細胞を抗 HAまたは抗 AD AM 1 7抗体を用いて二重染色した。 図中のバーは、 2 0 μ πιに相当す る。 矢頭は、 T P Α誘導ラフリング膜領域での C D 4 4および AD AM 1 7の再分布を示す。
図 9 Bを参照して、 U 2 5 1 MG細胞を、 モッタベクター、 HA— R a c 1 V 1 2 (R a c DAと示された R a c 1のドミナントアクティブ 形態)、 または HA— R a c 1 N 1 7 (R a c D Nと示された R a c 1 のドミナントネガティブ形態) でトランスフエタ トした。 トランスフエ クションの 2 4時間後、 細胞を 1 0 0 n g /m 1の T PAとともに 2 0 分間ィンキュベートし、 抗ー CD 4 4 c y t o、 ADAM 1 7、 HA ( 1 2 CA 5 )、 およびひ—チュープリンを用いて免疫プロッ ト分析に供 した。 T P A誘導 C D 4 4切断および AD AM 1 7活性化は、 R a c N 1 7 (DN) の発現によって有意に阻害されたことに注目すべきである (レーン 6 )。 バンドの強度は、 M a c B A S 2 0 0 0で測定し、 活性
形態/総 ADAM 1 7比を算出した。 各レーンの下の数は、 コントロー- ル細胞に対する倍率として表し、 '3つの独立した実験からの平均値とし て表した。 統計学的な差違は、 tテス ト ; * ; P < 0. 0 1で決定した 図 9 Cを参照して、 R a c Ν Γ7 (D N) ( a— c ) または R a c V I 2 (DA) ( d - f ) でトランスフエタ トした細胞を、 トランスフ ヱクシヨンの 2 4時間後に固定し、 抗 H Aおよび抗 A DAM 1 7を用い て二重染色した。 R a c V I 2 (DA) の発現は、 ラフリング膜上で A DAM 1 7の再局在化を誘導した ( d— f 、 矢頭)。
図 9 Dを参照して、 R a c N 1 7 (DN) ( a— c ) または R a c V 1 2 (DA) ( d - f ) でトランスフエタ トした細胞を、 T P Aと とも に 5分間ィンキュベートし、 抗 H Aおよぴ抗 A D AM 1 7で二重染色し た。 ADAM 1 7の T P A誘導膜局在化は、 R a c N 1 7 (DN) の 発現によって阻害されたことに注目すべきである ( a — c )。 矢印は、 R a c V 1 2 (DA) または R a c N 1 7 (DN) 発現細胞を示す。 なお、 免疫蛍光顕微鏡分析は、 以下のように行った。 3 5 mm培養デ イツシュ上で増殖させた U 2 5 1細胞を、 4 %P FAで 1 5分、 次いで P B S中 0. 2 %.T r i t o n X— 1 0 0で 5分間固定した。 P B S で洗浄した後、 細胞を、 0. 2 %B S Aを含有する P B S中で希釈した 一次抗体とともに室温で 6 0分間インキュベートし、 P B S中で 3回洗 浄し、 そして 0. 2 % B S Aを含有する P B S中でフルォレセインイソ チオシァネートおよび C y 5を結合した適切な二次抗体とともに室温で 6 0分間インキュベートした。 P B Sで洗浄した後、 サンプルを 8 0 % グリセロール中にマゥントし、 共焦点顕微鏡 (モデル F 1 u o V i e w ; ォリンパス製) で可視化した。
(結果)
以前に記載されたように (S c h l o n d o r f f および B l o b e ' 1, J . C e l l S c i . , 1 9 9 9 , 1 1 2 ; 3 6 0 3 - 3 6 1 7)、 ADAM l 7は、 未処理の U 2 5 1 MG細胞の核辺縁領域に豊
富に存在する。 しかしながら、 図 9 Aに示すように、 ADAM 1 7は、 - T P A処理によってラフリング領域に再分布し、 1 0分以内に CD 4 4 とともに局在していた。
最近報告されたように (B u r r i d g eおよび W e n n e r b e r g, C e l l , 2 0 0 4 , 1 1 6 ; 1 6 7— 1 7 9 )、 Τ Ρ Α処理によ つて、 5分以内に GT P結合 R a cの増大を誘導したが、 ィオノ マイシン処理によっては誘導されな.かった (図 1 0 A)。 本発明者らは また、 R a cが T P Aによって誘導される CD 4 4切断に関与すること を以前に見出し.(O k a m o t o e t a 1 . , J . B i o l . C h e m. , 1 9 9 9, 2 7 4 : 2 5 5 2 5— 2 5 5 3 4)、 ドミナントネガ ティブ R a cの発現が T P Aによって誘導されるラフリング膜形成およ び C D 4 4の再局在化を阻害したことを確認した (図 1 0 B)。 これら の観察から、 本発明者らは、 R a c活性化は T P A/PKCによって誘 導され ADAM 1 7によつて仲介される C D 4 4の切断に関与するとい う仮説を試験することにした。 免疫プロッ ト分析は、 T P Aに応答して の C D 4 4の外部ドメイン切断が、 R a c 1の ドミナントネガティブ形 態である R a c l N 1 7でトランスフ工ク トされた U 2 5 1 MG細胞で 顕著に阻害されたが (R a c DN ; 図 9 B, レーン 6 )、 R a c lの ド ミナントァクティブ形態である R.a c 1 V 1 2でトランスフエク トされ た細胞では阻害されなかった (R a c DA ; レーン 5) ことを明らかに した。 さらに、 T P A処理後のプロ AD AM 1 7の活性形態への変換は 、 R a c l N 1 7でトランスフエタ トされた細胞において顕著に低減し たが (図 9 B, レーン 6 )、 R a c l V 1 2でトランスフエタ トされた 細胞ではむしろ増強された (レーン 5 )。 これらの結果は、 R a cの活 性化が、 T P Aによって誘導される ADAM 1 7活性化に必要であるこ とを示唆する。
次いで、 本発明者らは、 R a c活性化が ADAM 1 7の局在化に関与 するか否かを分析した。 ドミナントアクティブ R a cの発現は、 ラフリ ング膜への AD AM 1 7の再局在化を誘導し (図 9 C、 d _ f )、 AD
AMI 7の T P Aによって誘導される膜局在化は、 ドミナントネガティ- ブ R a cを発現する細胞において明らかに阻害された (図 9 D, =a - c ;)。 これらのデータは、 R a cの GT P結合形態は、 ADAM 1 7の膜 局在化を促進し、 T P Aによって誘導される CD 4 4切断において重要 な役割を果たすことを示す。 · 実施例 1 0
(HA上での RE R F— L C_ O K細胞の移動に対する A D AM除.去 の効果)
CD 4 4の HAとの相互作用は、 炎症、 創傷治癒、 および癌細胞移動 に対する多くの細胞型の応答に関与する (O k s a 1 a e t a 1 . , J . H i s t o c h e m. C y t o c h e m., 1 9 9 5, 4 3 : 1 2 5— 1 3 5 ; O k a m o t o e t a l ., 1 9 9 9 (前出) ; B o u r g u i g n o n e t a 1 . , . J . B i o l . C h e m., 2 0 0 0 , 2 7 5 : 1 8 2 9 - 1 8 3 8 ; T a mm i e t a 1 . , ( 2 0 0 1 ), J . B i o l . C h e m. 2 7 6 : 3 5 1 1 1— 3 5 1 2 2)。 本発明者らは、 RER F— L C一 OKヒ ト肺腺癌細胞の培養物中 でのインビトロ トランスゥエル移動ァッセィを用いて、 H A上での CD
4 4依存性細胞移動における AD AM 1 0または A DAM 1 7の役割を 調べた。 これらの細胞において、 C D 4 4切断は、 HA上での移動にお いて重要な役割を果すことが以前に示きれている (O k a m o t o e t a 1 ., J . B i o l . C h e m., 1 9 9 9, 2 74 : 2 5 5 2
5— 2 5 5 3 4 )。
メタ口プロティナーゼィンヒビターでの処理は、 HAでコートした膜 を通しての R E R F— L C一 O K細胞移動を有意に減少させ、 HA上で の移動における MMP活性のための必要条件を実証した。 図 1 1に示す ように、 AD AM 1 0または AD AM 1 7の除去は、 HAでコートした 膜を通しての細胞移動を顕著に減少させたが、 細胞移動は、 フイブロネ クチンでコートした膜を使用したときは、 阻害されなかった。 したがつ
て、 これらの結果は、 ADAM 1 0および AD AM 1 7によって仲介さ · れる C D 4 4外部ドメイン切断ば、 H Aマトリ ツクス上で癌細胞の移動 に寄与することを示唆する。 実施例 1 1 ·
(ィオノマイシンによる細胞遊離の誘導および s i R N Aによる阻害
)
9 6 ゥエルプレー トにヒアル口ン酸をコー ト し、 1 ゥェル当たり 2 X 1 04個の U 2 5 1 MG細胞あるいは s i R N A処理した U 2 5 1 MG 細胞を撒き、 3 7 °C、 5 %C 02で 2 4時間インキュベートした。 2 4 時間後に 5 μ Μのィオノマイシンを 3 0分間処理して、 上清を除いた後 、 XT Τキッ ト (ロシュ · ダイァグノステイクス) を製造業者の指示に 従って用いて細胞数を計測した。
(結果) .
ィオノマイシン処理によりほとんどの細胞は遊離し、 これが s i RN Aによって抑制できた (図 1 2 Aおよぴ図 1 2 B)。
なお、 ヒアルロン酸コートした 9 6ゥエルプレー トの調製は、 以下の ようにして行った。 9 6ウエノレプレートに 1 ゥェル当たり 7 5 1の 5 m g /m 1 ヒアノレ口ン酸 (S i g m a —A l d r i c h ) を加え、 4 °C で 3 2時間処理した後、 同量の 2 % B S Aを加え、 さらに 1 6時間処理 した。 これを DMEM— F 1 2で 3回洗浄したものを使用した (P e c k a n d I s a c k e , C u r r . B i o l . , 1 9 9 6 , 6 : 8 8 4 - 8 9 0を参照)。
また、 細胞を撒く際に前培褰した U 2 5 1 MG細胞をトリプシン処理 によりプレートから剥がして 9 6ゥヱルプレートに移し変えるが、 トリ プシン処理により C D 4 4の多くが切断を受けることが分かっている。 そこで、 細胞中の C D 4 4の存在量と細胞中での局在に対する トリプシ' ン処理の影響を調べた。
具体的には、 4 8時間前培養した U 2 5 1 MG細胞を、 0. 5 %トリ
プシン処理した直後、 ゥエルに移し変えた 2時間後、 24時間後、 4 8- 時間後の細胞の細胞溶解物を調製'し、 抗 CD 4 4 c y t o p A.bを用 いて免疫プロッ ト分析に供した。 また、 トリプシン処理直前、 直後、 2 4時間後の細胞に対して抗 C D 4 4 (B U 5 2 ) 抗体で CD 4 4の局在 を調べた。 . ·
結果を図 1 3およぴ図 1 4に示す。
示されるように、 プレート交換して 2 4時間後には細胞当たりの CD 4 4のタンパク質量はほぼトリプシン処理前と同等のレベルまで回復し ており (図 1 3)、 その時の CD 44の細胞内局在も細胞膜である (図 1 4 ) ことを確認した。 実施例 1 2
(メタロプロティナーゼ阻害剤 B B 9 4による細胞遊離の阻害) 9 6 ウエノレプレートにヒアル口ン酸をコ-ートし、 1ゥェノレ当たり 2 X 1 04個の U 2 5 1 MG細胞を撒き、 3 7°C、 5 %じ 02で2 4時間ィ ンキュペートした。 次いで、 メタ口プロティナーゼ阻害剤 B B 9 4を 1 Ο ίί Μとなるように DMEM— F 1 2で希釈して細胞に与え、 3 7 °Cで 3 0分間インキュベートした。 その後、 5 Mのィオノマイシンで 3 0 分間処理して、 上清を除いた後、 XTTキッ ト (ロシュ · ダイァグノス テイクス) を製造業者の指示に従って用いて細胞数を計測した。
(結果)
広汎なメタ口プロティナーゼ阻害剤である B B 9 4により、 U 2 5 1 MG細胞の遊離が一部阻害できた (図 1 2 A)。 実施例 1 3
(ヒアル口ン酸コ一トしていないプレートとの比較)
ヒアルロン酸コ一トした 9 6 ウエノレプレートとヒアノレ口ン酸コ一トせ ずに 2 %B S A処理だけ行ったプレートに対し、 1 ゥエル当たり 2 X 1 04個の U 2 5 1 MG細胞あるいは s i RNAで ADAM 1 0をノ ック
ダウンした U 2 5 I MG細胞を撒き、 3 7°C、 5 %C02で 2 4時間イ - ンキュベートした。 その後、 5 μ'Μのィオノマイシンを 3 0分間処理し て、 上淸を除いた後、 XT Τキッ ト (ロシュ · ダイァグノステイクス) を製造業者の指示に従って用いて細胞数を計測した。
(結果) '
ヒアルロン酸でコートしなかった場合、 コートした場合と比較して A D AM 1 0の影響が少なかった (図 1 5 )。 このことからヒアルロン酸 マトリ ックスにおける細胞とマトリ ックスの接着は CD 44が担い、 通 常のプラスチックプレート上での接着には CD 44の関与が小さいこと が示された。 実施例 1 4
ヒアルロン酸コートしたプレートに 2 X 1 04個の U 2 5 1 MG細胞 を播き、 3 7°C、 5 %C O 2で 2 4時間インキュベートした後、 s i R NAで ADAM l 0をノ ックダウンし、 細胞がコンフルェン トに達する まで 3 7°C、 5 % C〇 2でインキュベートした。 このプレートの中央部 分を 2 0 0 1チップを用いて細胞を削り取り、 約 0. 5 mmの幅の空 隙を作製した。 次いで、 プレートを P B Sを用いて 3回洗浄した後、 1 0 0 !1 871111 の丁? (細胞運動促進剤である) を添加して細胞運動 を誘導した。 T P Aを添加する直前おょぴ添加から 9時間後に、 位相差 顕微鏡により細胞運動を観察した。
(結果)
s i RNAにより ADAM 1 0を失わせることにより、 U 2 5 1 MG 神経膠腫細胞の空隙への浸入が抑制され、 ヒアルロン酸マトリ ックス上 での運動能が著しく低下することが示された (図 1 6)。 産業上の利用可能性
本発明は、 腫瘍細胞の浸潤/転移を抑制することができる薬剤を提供 し得るため、 癌の治療等の医療分野において有用である。