明細書
C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合物のスクリーニング方法 技術分野 本発明は、 新規作用機序で C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する 化合物のスク リーニング方法及び同定方法に関する。 本発明はまた、 このスクリ 一二ング方法または同定方法により得られ得る、 HCVの細胞感染を阻害する化 合物を含有してなる該ウイルスの細胞感染阻害剤に関する。 背景技術
1 9 8 9年、 輸血後の非 A非 B型肝炎の主要な原因ウィルスが発見され、 C型 肝炎ウィルス (HCV) と名付けられた。 現在では、 A型、 B型、 C型の他、 数 種の肝炎ウィルスが発見されており、 HCVにより引き起こされる肝炎が C型肝 炎と呼ばれている。 HCV感染患者は、 全世界の人口の数%にも及ぶと推定され ており、 その感染は長期慢性化する特徴を有する。 C型肝炎はまた、 我が国の国 民病でもあり、 キャリアの発症予防やウィルスの生体からの積極的な排除法の確 立が強く望まれている。
HCVは、 エンベロープを有する RNAウィルスであり、 そのゲノムは一本鎖 プラス鎖 RN Aで、 フラビウィルス科の Hepacivirus属に分類される
Unternational Union of Microbiological Societiesの The International Committee on Taxonomy of Viruses ίこより分類される)。 同じ fff炎ゥイノレスであ つても、 例えば、 DNAウィルスである B型肝炎ウィルス (HBV) は、 免疫能 の未熟な新生児、 乳幼児期以外では、 多くの場合、 免疫機構により排除され、 一 部の人が急性肝炎を発症する。 これに対して、 HCVは、 未だ明らかではない原 因により宿主の免疫機構を回避するために、 免疫機構の発達した大人が感染した
場合でも、 持続感染に移行することが多い。
HCVの持続感染に伴い慢性肝炎が引き起こされると、 その後、 高い確率で、 肝硬変、 肝ガンへと進行し、 手術でガンを摘出できたとしても、 非ガン部で引き 続き起こる炎症のために肝ガンを再発する患者も多いことが知られている。また、 HCV感染が慢性蓴麻疹、 扁平苔癬、 クリオグロブリン血症性紫斑等の皮膚疾患 に関与するとの報告もある (南ら, 皮会誌, vol.111(7), pp.1075-81, 2001を 参照)。
HCVのエンベロープにはウィルス由来の構造タンパク質である E 1および E 2が存在し、 これら E 1および E 2タンパク質は HCVの細胞への感染、 すなわ ち H C Vの細胞表面への接着から細胞内への侵入に至る経路における H C V側の 介在分子と考えられている (K. Watashi ら, Cancer Science, vol.94(11), pp.937-943, 2003を参照)。
一方、 細胞側では、 低比重リポタンパク質レセプター (LD LR (low density lipoprotein receptorノリ、ス力べンンャ ^ "レセ タ B I S R B I (scavenger receptor class B type I))、 樹状細胞特異的細胞接着分子一 3捕捉性ノンィンテ グジン (Dし一 S I GN dendritic cell-specific intercellular adhesion molecule-3-grabbing nonintegrin) ; CD 20 9とも ヽう)、 月干臓又 fまリンノヽ0節特 異的細胞接着分子— 3捕捉性ノンインテグリン (L— S I GN (liver or lymph node-specific intercellular adhesion molecule - 3 - grabbing nonintegrin) ; C D 2 0 9 Lともいう) およびテトラスパニン CD 8 1力 それぞれ HCVのェン ベロープタンパク質と結合することが報告され、 これらのタンパク質が HCVの 感染において細胞側のレセプターとしての機能を果たす可能性が示唆されている (例えば、 V. Racanelli ら, Trends in Immunology, vol.24(8), pp.456-464, 2003 年; P. Pileri ら, Science, vol.282, pp. 938-941, 1998を参照)。 しかし、 上 記以外のレセプター蛋白質の存在や HCVの細胞感染 (細胞接着および細胞内侵 入) メカニズムについてはよく知られていない。
線維芽細胞成長因子レセプター (FGF R) は、 これまでに 2 3種が見つかつ
ている線維芽細胞成長因子 (FG F) リガンドと共同して、 初期発生や臓器形成 を始めとした多彩な生体現象に関与すると言われている(例えば、 X. Coumoul ら, Birth Defects Research, (part C), vol.69, pp.286 - 304, 2003; B. Reuss ら、 Cell and Tissue Research, vol.313, pp.139-157, 2003を参照)。 肝臓における FGFおよび FGF Rの機能に関する知見としては、 初期発生過程での関連を示 唆するものが種々存在し、 例えば、 心性中胚葉と前腸とを共培養させて誘導され る前腸から肝前駆細胞への分化において中胚葉から産生される FGF— 1および FGF— 2が分化誘導のシグナル分子として働くことや、 マウス初期胚の発生途 上の肝においてリン酸化 FG FRが存在することが報告されている (例えば、 J. Jungら、 Science, vol.284, pp.1998-2003, 1999; GJ. Darlington, Current
Opinion in Cell Biology, vol.11, pp.678-682, 1999; SS. Sekhonら、 American Journal of Pathology, vol.164(6), pp.2229-2240, 2004を参照)。 また、 FG FR— 4は、 成熟した肝細胞において発現しており、 この FG FR— 4を発現さ せないようにすると、 胆嚢の枯渴、 ならびに胆汁酸の蓄積および分泌増大に代表 される肝機能障害等が起こるとの報告もある (例えば、 X. Coumoul ら, Birth Defects Research, (part C) , vol.69, pp.286-304, 2003を参照)。 しかしなが ら、 FGF Rが HCVの細胞感染に関与するとの報告は今まで全くなされていな かった。
現在、 C型肝炎の有効な治療方法の確立が望まれており、 その中でも、 抗炎症 剤により炎症を抑える対症療法とは別に、 炎症を引き起こさない程度に HCVを 減らす或いは HCVを根絶させる薬剤の開発が強く望まれている。 そのような状 況下にあって、 HCVの細胞への感染を阻害する作用を有する薬剤は、 宿主細胞 に対して感染、 複製、 出芽を経て再び感染を繰り返す HCVが、 結果として増殖 するのを抑制できることから、有望な薬剤となり得ると期待されている。しかし、 これまで HCVの細胞培養系がなかったことから、 信頼のできる細胞培養系の確 立が HCV研究における最重要課題であった。
本発明者らは、 HCVの細胞感染の初期過程を解析するために、 HCVのェン
ベロープタンパク質で粒子表面が被包され、 且つ細胞に感染するとレポーター遺 伝子を発現するように設計されたシユードタイプ HCVを作製して、 高感度な細 胞感染アツセィ系を構築した (Y. Matsuuraら, Virology, vol.286, pp. 263-275, 2001を参照)。 さらに、 このアツセィ系を用いて、 HCVが細胞のレセプタータ ンパク質を介したエンドサイ ト一シスにより細胞内に侵入すること、 細胞感染に は HCVの 2つのエンベロープダンパク質が必須であることを見出した (同上)。 発明の開示 従って、 本発明は、 HCVの細胞感染に必要な新規膜レセプタータンパク質お よび該タンパク質を介した細胞感染メカニズムを解明し、 新規作用機序で HC V の細胞感染を阻害し得る医薬を開発するために有用なスクリーニング方法及び同 定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、 HCVの細胞感染メカニズムについて、 HCVのシユードタイ プウィルスを用いて鋭意研究する中で、 ( i )線維芽細胞成長因子レセプター(F GFR) を強制発現させた細胞において HCVのシユードタイプウィルスの感染 性が増大すること、 ( i i ) FGFRを強制発現させた細胞において、線維芽細胞 成長因子(FGF)がウィルスの細胞感染に対して阻害作用を示すことを見出し、 HCVの細胞への接着から細胞内への侵入に至る初期感染過程において、 FGF Rが HCVレセプターとして機能していることを発見した。
さらに本発明者らは、 鋭意研究を続ける中で、 FG F Rファミ リーのメンバー の中で、 ( i ) FGFR— 4力 主に、 HCVウィルスの表面タンパク質との結合 に関与すること、 ( i i ) FGFR— 5力 S、 主に、 HCVの細胞内への取り込みに 関与することを示唆する結果を得た。
以上の知見より、 本発明者は、 FGFRと HCVとの間の相互作用を阻害する ことによって HCVの細胞感染を阻害し得る、 新規作用機序の医薬を開発するた めに、 FG F Rを標的タンパク質として化合物のスクリ一ユングまたは同定に利
用することを着想し、 FGFRを発現する細胞、 その膜画分若しくは可溶化させ た FGFRを用いた、 FGFRと親和性を有する化合物または FGFRと HCV との結合に対する遮断能を有する化合物の選択または判定、 および該化合物の存 在下における HCVのシユードタイプウィルスの細胞内取り込みの検出を逐次も しくは同時に行うことによる、 スクリ一二ングまたは同定のためのアツセィ系を 構築して、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 以下の通りである :
(A 1) 線維芽細胞成長因子レセプター(FGFR) との親和性を指標として、 試験化合物をスクリ一二ングする工程を有することを特徴とする、 C型肝炎ウイ ルス (HCV) の細胞感染を阻害し得る化合物のスク リーニング方法。
(A 2) 前記 FGFR力 HCVの表面タンパク質との結合能を有する、 (A 1 ) に記載の方法。
(A3) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 (A2) に記載の方法。
(A4) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (A2) に記載の方法。
(A 5) 前記 FGF Rが、 HCVの細胞取り込み能を有する、 (A 1 ) に記載の 方法。
(A 6) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (A5) に記載の方法。
(A 7) FGFRを有する細胞の膜画分を用いる、 (A 1 ) 乃至 (A 6 ) のいず れかに記載の方法。
(A8) FGFRを強制発現させた細胞を用いる、 (A 1) 乃至 (A6) のいず れかに記載の方法。
(A 9) 可溶化させた FGFRを用いる、 (A 1 ) 乃至 (A6) のいずれかに記 載の方法。
(A 1 0) 以下の工程を包含する、 (A 1) 乃至 (A 6) のいずれかに記載の方 法:
(a) FGFRとの親和性を指標として、 試験化合物をスク リーニングするェ 程;および
(b) 工程 (a) においてスクリーニングされた、 FGFRと親和性を有する 化合物の存在下で、 HCVの細胞感染の程度を評価する工程。
(A l l) HCVの細胞感染の程度を、 HCVのシユードタイプウィルスを用 いて評価する、 (A 10) に記載の方法。
(A 1 2) 前記親和性が、 FGFRの FGF結合部位と、 試験化合物との結合 性である、 (A 1) 乃至 (A6) のいずれかに記載の方法。
(A 1 3) FGFRを含有する脂質二重膜および または FGFRを発現する 細胞、 並びに HCVのシユードタイプウィルスを含んでなる、 HCVの細胞感染 を阻害し得る化合物のスクリ一ユング用キット。
(A 14) FGFRと親和性を有する化合物を含有してなる HCVの細胞感染 阻害剤。
(A 1 5) 前記親和性が、 FGFRの FGF結合部位と、 化合物との結合性で ある、 (A 14) に記載の阻害剤。
(A 1 6) 可溶化させた FGF Rを含有してなる HCVの細胞感染阻害剤。
(A 1 7) 前記可溶化させた FGFRが、 可溶化させた FGFR— 4である、 (A 1 6) に記載の HCVの細胞感染阻害剤。
(A 1 8) 前記可溶化させた FGFRが、 可溶化させた FGFR— 5である、 . (A 1 6) に記載の HCVの細胞感染阻害剤。 (1) (a) HCVの表面タンパク質との結合能及び 又は HCVの細胞取り込 み能を有する線維芽細胞成長因子レセプター (FGFR) と試験化合物との親和 _ 性を測定する工程;並びに
(b) 該親和性を有する試験化合物を選択する工程
を含む、 C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合物のスクリー二 ング方法。
(2) 更に、
(c) 該選択された試験化合物の存在下及び非存在下で HCVの細胞感染
の程度を測定する工程;並びに
(d) 両測定値を比較する工程
を含む、 (1) に記載の方法。
(3) HCVの細胞感染の程度を、 HCVのシユードタイプウィルスを用いて 測定する、 (2) に記載の方法。
(4) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 (1) 乃至 (3) のいずれかに記 載の方法。
(5) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (1) 乃至 (3) のいずれかに記 載の方法。
(6) FGFRを有する細胞の膜画分を用いる、 ( 1) 乃至 (5) のいずれかに 記載の方法。
(7) FGFRを強制発現させた細胞を用いる、 ( 1) 乃至 (5) のいずれかに 記載の方法。
(8) 可溶化させた FGFRを用いる、 ( 1) 乃至 (5) のいずれかに記載の方 法。
(9) 前記親和性が、 FGFRの FGF結合部位と試験化合物との結合性であ る、 ( 1) 乃至 (5) のいずれかに記載の方法。.
(10) (a) HCVの表面タンパク質との結合能を有する線維芽細胞成長因子 レセプター (FGFR) と HCVとの結合に対する、 試験化合物の遮断能を測定 する工程;並びに
(b) 該遮断能を有する試験化合物を選択する工程
を含む、 C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合物のスクリー二 ング方法。
(1 1) 更に、
(c) 該選択された試験化合物の存在下及び非存在下で HCVの細胞感 染の程度を測定する工程;並びに
(d) 両測定値を比較する工程
を含む、 (1 0) に記載の方法。
(1 2) HCVの細胞感染の程度を、 HCVのシユードタイプウィルスを用い て測定する、 ( 1 1) に記載の方法。
(1 3) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 ( 10) 乃至 (1 2) のいずれ かに記載の方法。
(14) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (10) 乃至 (1 2) のいずれ かに記載の方法。
(1 5) FGFRを有する細胞の膜画分を用いる、 ( 1 0) 乃至 ( 14) のいず れかに記載の方法。
(16) FGFRを強制発現させた細胞を用いる、 (1 0) 乃至 ( 14) のいず れかに記載の方法。
(1 7) 可溶化させた FGFRを用いる、 (1 0) 乃至 ( 14) のいずれかに記 載の方法。
(1 8) 前記遮断能が、 FGFRの FGF結合部位と HCVとの結合に対する 試験化合物の遮断能である、 (1 0) 乃至 ( 14) のいずれかに記載の方法。
(1 9) FGFRを含有する脂質二重膜および/または FGFRを発現する細 胞、 並びに HCVのシユードタイプウィルスを含んでなる、 HCVの細胞感染を 阻害する化合物のスクリ一ユング用キット。
(20) (a) HCVの表面タンパク質との結合能及び Z又は HCVの細胞取り 込み能を有する線維芽細胞成長因子レセプター (FGFR) と試験化合物との親 和性を測定する工程;並びに
(b) 該親和性を有する試験化合物を判定する工程
を含む、 C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合物の同定方法。 (2 1) 更に、
(c) 該判定された試験化合物の存在下及び非存在下で HCVの細胞感 染の程度を測定する工程;並びに
(d) 両測定値を比較する工程
を含む、 (20) に記載の方法。
(22) HCVの細胞感染の程度を、 HCVのシユードタイプウィルスを用い て測定する、 (2 1) に記載の方法。
(23) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 (20) 乃至 (22) のいずれ かに記載の方法。
(24) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (20) 乃至 (22) のいずれ かに記載の方法。
(25) FGF Rを有する細胞の膜画分を用いる、 (20) 乃至 (24) のいず れかに記載の方法。
(26) FGFRを強制発現させた細胞を用いる、 (20) 乃至 (24) のいず れかに記載の方法。
(27) 可溶化させた FGFRを用いる、 (20) 乃至 (24) のいずれかに記 載の方法。
(28) 前記親和性が、 FGFRの FGF結合部位と試験化合物との結合性で ある、 (20) 乃至 (24) のいずれかに記載の方法。
(29) (a) HCVの表面タンパク質との結合能を有する線維芽細胞成長因子 レセプター (FGFR) と HCVとの結合に対する、 試験化合物の遮断能を測定 する工程;並びに
(b) 該遮断能を有する試験化合物を判定する工程
を含む、 C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合物の同定方法。 (30) 更に、
(c) 該判定された試験化合物の存在下及び非存在下で HCVの細胞感 染の程度を測定する工程;並びに
(d) 両測定値を比較する工程
を含む、 (29) に記載の方法。
(3 1) HCVの細胞感染の程度を、 HCVのシユードタイプウィルスを用い て測定する、 (30) に記載の方法。
(32) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 (29) 乃至 (3 1) のいずれ かに記載の方法。
(33) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (29) 乃至 (3 1) のいずれ かに記載の方法。
(34) FGFRを有する細胞の膜画分を用いる、 (29) 乃至 (33) のいず れかに記載の方法。
(35) FGFRを強制発現させた細胞を用いる、 (29) 乃至 (33) のいず れかに記載の方法。
(36) 可溶化させた FGFRを用いる、 (29) 乃至 ( 33) のいずれかに記 載の方法。
(37) 前記遮断能が、 FGFRの FGF結合部位と HCVとの結合に対する 試験化合物の遮断能である、 (29) 乃至 (33) のいずれかに記載の方法。
(38) FGFRを含有する脂質二重膜および または FGFRを発現する細 胞、 並びに HCVのシユードタイプウィルスを含有してなる、 HCVの細胞感染 を阻害する化合物の同定用キット。
(39) HCVの表面タンパク質との結合能及び 又は HCVの細胞取り込み 能を有する FGFRとの親和性を有する化合物を含有してなる、 HCVの細胞感 染阻害剤。
(40) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 (39) に記載の阻害剤。 (4 1) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (39) に記載の阻害剁。
(42) 前記化合物が、 低分子化合物である、 (3 9) 乃至 (4 1) のいずれか に記載の阻害剤。
(43) 前記化合物が、 FGFRに対するリガンドである、 (39) 乃至 (4 1) のいずれかに記載の阻害剤。
(44) 前記 FG FRに対するリガンドが、 FGF又はそのフラグメントであ る、 (43) に記載の阻害剤。
(45) 前記 FGFRに対するリガンドが、 FGFR— 4に対する抗体である、
(43) に記載の阻害剤。
(46) 前記 FGFRに対するリガンドが、 FG FR— 5に対する抗体である、 (43) に記載の阻害剤。
(47) 前記親和性が、 FGFRの FGF結合部位と化合物との結合性である、 (39) 乃至 (4 1) のいずれかに記載の阻害剤。
(48) HCVの表面タンパク質との結合能及びノ又は HCVの細胞取り込み 能を有する FGFRに基づく可溶化させた FGFRを含有してなる、 HCVの細 胞感染阻害剤。
(49) 前記可溶化させた FGFR力 S、可溶化させた FGFR— 4である、 (4 8) に記載の HCVの細胞感染阻害剤。
(50) 前記可溶化させた FGFR力 可溶化させた FGFR— 5である、 (4 8) に記載の HCVの細胞感染阻害剤。
(5 1) HCVの表面タンパク質との結合能を有する FGFRと HCVとの結 合に対する遮断能を有する化合物を含有してなる、 HCVの細胞感染阻害剤。
(52) 前記 FGFRが、 FGFR— 4である、 (5 1) に記載の阻害剤。 (53) 前記 FGFRが、 FGFR— 5である、 (5 1) に記載の阻害剤。 (54) 前記化合物が、 低分子化合物である、 (5 1) 乃至 (53) のいずれか に記載の阻害剤。
(55) 前記化合物が、 FGFRに対するリガンドである、 (5 1) 乃至(5 3) のいずれかに記載の阻害剤。
(56) 前記 FGFRに対するリガンドが、 FGF又はそのフラグメントであ る、 (55) に記載の阻害剤。
(57) 前記 FGFRに対するリガンドが、 FGFR— 4に対する抗体である、
(55) に記載の阻害剤。
( 58 ) 前記 FGFRに対するリガンドが、 FGFR— 5に対する抗体である、
(55) に記載の阻害剤。
(59) 前記化合物が、 可溶化させた FGFRである、 (5 1) 乃至 (5 3) の
いずれかに記載の阻害剤。
(60) 前記可溶化させた FGFR力 S、可溶化させた FGFR— 4である、 (5 9) に記載の阻害剤。
(6 1) 前記可溶化させた FGFR力 可溶化させた FGFR— 5である、 (5 9) に記載の阻害剤。
(62) 前記遮断能が、 FGFRの FGF結合部位と HCVとの結合に対する 化合物の遮断能である、 (5 1) 乃至 (53) のいずれかに記載の阻害剤。
(63) HCVの細胞感染阻害を必要とする患者に、 HCVの表面タンパク質 との結合能及び/又は H C Vの細胞取り込み能を有する F G F Rと親和性を有す る化合物の治療的有効量を投与することを含む、 HCVの細胞感染阻害方法。
(64) HCVの細胞感染阻害を必要とする患者に、 HCVの表面タンパク質 との結合能及び Z又は H C Vの細胞取り込み能を有する F G F Rに基づく可溶化 させた F G F Rの治療的有効量を投与することを含む、 H C Vの細胞感染阻害方 法。
(65) HCVの細胞感染阻害を必要とする患者に、 HCVの表面タンパク質 との結合能を有する FGFRと HCVとの結合に対する遮断能を有する化合物の 治療的有効量を投与することを含む、 HC Vの細胞感染阻害方法。
(66) HCVの細胞感染阻害剤を製造するための、 HCVの表面タンパク質 との結合能及び 又は H C Vの細胞取り込み能を有する F G F Rと親和性を有す る化合物の使用。
(67) HCVの細胞感染阻害剤を製造するための、 HCVの表面タンパク質 との結合能及び 又は H C Vの細胞取り込み能を有する FGFRに基づく可溶化 させた FGFRの使用。
(68) HCVの細胞感染阻害剤を製造するための、 HCVの表面タンパク質 との結合能を有する FG FRと HCVとの結合に対する遮断能を有する化合物の 使用。
本発明のスクリーニング方法及び同定方法は、 線維芽細胞成長因子レセプター (FGFR) と C型肝炎ウィルス (HCV) との間の相互作用を阻害することに よって HCVの細胞感染を阻害し得る、 新規作用機序の医薬を開発するために有 用である。 図面の簡単な説明 図 1は、 ?0?1^強制発現じ 10— 1: 1細胞に対する AG/SEAP/HCV E1E2の感 染性を示す。図中、横軸の「R 4」 は FQFR-4強制発現 CHO— K 1細胞、 「R 5」 は FGFR- 5強制発現 C HO— K 1細胞、 「p c DNA3. 1」 は、 空の p c DNA 3. 1ベクターでトランスフエクシヨンした CHO— K 1細胞を表し、縦軸 は、生来の CHO— K 1細胞の細胞培養上清中の S E A P活性の相対値(Relative Light Units: RLU) を 1 00 %とする各トランスフエクシヨン細胞の相対 S E A P活性 (%) を表す。 ロバ一は、 AG/SEAP/HCVE1E2を接種した結果、 画バーは、 AG/SEAP/VSV Gを接種した結果を表す。
図 2は、 FGFR- 4強制発現 CHO— K 1細胞および FGFR— 5強制発現 C HO— K 1細胞に対する HC V— L Pの結合能を示す。 図中、 横軸の 「ControlJ は生来の CHO— K 1細胞、 「R4」 は FGFR— 4強制発現 CHO— K 1細胞、 「R 5」 は FG F R— 5強制発現 CHO— K 1細胞を表し、 縦軸は、 細胞に吸着 した HC V— L Pコアタンパク質の量 (pg/ml) を表す。
図 3は、 FGF R強制発現 CHO— K 1細胞に対する H C Vの結合能を示す。 図中、 横軸の 「Control」 は生来の C H O _ K 1細胞、 「R4」 は FGFR-4強制 発現 CHO— K 1細胞、 「R 5」は FGFR- 5強制発現 CHO— K 1細胞を表し、 縦軸は、 1ゥェルあたりの HC Vゲノムのコピー数を表す。
図 4は、 FGFRを s i R N Aによりノックダウンした H u h 7細胞に対する、 厶 G/GFP/HCVE1E2の感染性を示す。 図中、 横軸の 「C o n t r o 1—」 は FGF Rをノックダウンしないように設計した s i RNAを用いた非ノックダウン Hu
h 7細胞、 「R4—」 は FGFR— 4ノックダウン Hu h 7細胞、 「R 5—」 は F GFR— 5ノックダウン Hu h 7細胞を表し、 濃度はトランスフエクションに用 いた s i RN Aの量を表す。 縦軸は、 s i RNA非トランスフエクシヨン H u h 7細胞の感染量を 1 00%とする各 s i RNA処理細胞の相対感染率 (%) を表 す。 ロバ一は、 AG/GFP/HCV E1E2を接種した結果、 画バーは、 Δ G/GFP/VSV- Gを 接種した結果を表す。
図 5は、 H e p G 2細胞への AG/SEAP/HCV E1E2の感染性に対する、 種々の F GFR/F cの影響を示す。 図中、横軸は、用いた FGFR/F cを表し、縦軸は、 厶 G/SEAP/HCVE1E2のみを接種した細胞の感染量を 1 00%とする各 FGFR/F c処理細胞の相対感染率 (%) を表す。 ロバ一は、 AG/SEAP/HCV E1E2を接種し た結果、 國バ一は、 AG/SEAP/VSV Gを接種した結果を表す。
図 6は、 H e p G 2細胞への AG/SEAP/HCV E1E2の感染性に対する、 FGFR - 5/F cの影響を示す。 A: P r e (― 1 h r ) は、 ウィルスの細胞への接種の 1時間前に FG F R— 5/F cとウィルスを混合した結果; B : C o (0 h r ) は、 FGFR— 5/F cとウィルスの混合と同時に細胞へ接種した結果、 そして C : P o s t (l h r) は、 ウィルスの細胞への接種の 1時間後に、 FGFR— 5/F cをウィルス接種した細胞に添加した結果を示す。 図中の各グラフにおい て、 横軸は F G F R— 5/F cの濃度を表す。 「―參一 HCV」 は AG/SEAP/HCV E1E2の細胞への感染の阻害率 (%)、 および、 「―〇一 VSV」 はコントロールゥ ィルスである AG/SEAP/VSVGの細胞への感染の阻害率 (%) を、 それぞれ、 平均 値士 S.D.にて表す。
図 7は、 H e p G 2細胞への AG/SEAP/HCV E1E2の感染性に対する、 抗マウス FGFR— 5ポリクローナル抗体の影響を示す。 グラフの横軸は、 抗マウス FG FR— 5ポリクロ一ナル抗体の濃度を表す。 「—秦― HCV」 は AG/SEAP/HCV E1E2の細胞への感染の阻害率 (%)、 および、 「―〇— VSV」 はコントロールゥ ィルスである AG/SEAP/VSVGの細胞への感染の阻害率 (%) を、 それぞれ、 平均 値土 S. D. にて表す。
図 8は、 可溶化させた FGFR— 5の、 患者血漿中の HCVの細胞への結合能 に対する影響を示す。図の左側のグラフは、 H e p G 2細胞における結果を示す。 図の右側のグラフは、 Hu h 7細胞における結果を示す。 横軸は、 可溶化させた FGFR- 5 (FGFR-5/Fc) の濃度を表す。 縦軸は、 細胞に結合した H C Vの R N A量を表す。
図 9は、 可溶化させた FGFR— 5の、 HCVのシユードタイプウィルスの初 代培養ヒ ト肝細胞への感染性に対する影響を示す。 横軸は、 可溶化させた FGF R- 5 (FGFR-5/Fc) の濃度を表す。 縦軸は、 AG/SEAP/HCV E1E2のみを接種した 細胞の感染量を 100%とする相対感染率(%) を表す。 画バーは、 AG/SEAP/HCV E1E2を接種した結果を表し、 ロバ一は、 AG/SEAP/VSV Gを接種した結果を表す。 図 1 0は、 抗 FG F R— 5モノクローナル抗体の、 HCVシユードタイプウイ ルスの H e p G 2細胞への感染性に対する影響を示す。 横軸は、 抗 FGFR— 5 モノクローナル抗体の濃度を表す。 縦軸は、 感染阻害率 (%) を表す。 「一 ·一」 は、 AG/SEAP/HCV E1E2を接種した結果を表し、 「一〇一」 は、 AG/SEAP/VSV G を接種した結果を表す。 (A) は、抗 FGFR— 5モノクロ ナル抗体 R 5 C 7_ 10の結果を示す。 (B) は、抗 FGFR— 5モノクローナル抗体 R 5 D 14— 1 9の結果を示す。 (C)は、 R 5 C 7— 10と R 5 D 14 _ 1 9との混合物の結果 を示す。
図 1 1は、 抗 F G F R— 5モノクローナル抗体の、 HCVのシユードタイプゥ ィルスの初代培養ヒ ト肝細胞への感染性に対する影響を示す。 横軸は、 抗 FGF
R_ 5モノクローナル抗体の濃度を表す。 縦軸は、 AG/SEAP/HCV E1E2のみを接 ― 種した細胞の感染量を 1 00%とする相対感染率 (%) を表す。 園バーは、 厶 G/SEAP/HCV E1E2を接種した結果を表し、 ロバ一は、 AG/SEAP/VSV Gを接種した 結果を表す。
図 1 2は、 本実施例に基づいて作製した種々の抗 FGFR— 5モノクローナル 抗体の各々が認識する FGFR 5のェピトープを示す模式図である。
発明を実施するための最良の形態 本発明は、線維芽細胞成長因子レセプター(F G F R) との親和性を測定して、 試験化合物を選択する、 C型肝炎ウィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合 物のスクリーニング方法に関する。
別の局面において、 本発明は、 線維芽細胞成長因子レセプター (FGFR) と HCVとの結合に対する遮断能を測定して、 試験化合物を選択する、 C型肝炎ゥ ィルス (HCV) の細胞感染を阻害する化合物のスク リーニング方法に関する。 更に別の局面において、 本発明は、 上記スクリーニング方法に準じ、 上記の測 定のいずれかを試験化合物の判定に使用する、 C型肝炎ウィルス (HCV) の細 胞感染を阻害する化合物の同定方法に関する。
本発明において、 「スクリーニング」 及び 「スクリーニングする」 とは、 複数の 化合物からなる集団の中から特定の性質を有する化合物を選別する操作を表す。 かかる操作において、比較的初期の過程で得られた性質の有無を示す結果を基に、 最終的に選別する過程のことを、 「選択」 または 「選択する」 という。
一方、 「同定」 及び「同定する」 とは、 ある 1つの化合物または複数の化合物の それぞれについて特定の性質を有するか否かを判別する操作を表す。 かかる操作 において、 比較的初期の過程で得られた性質の有無を示す結果を基に、 最終的に 判断する過程のことを 「判定」 または 「判定する」 という。 かかる操作を複数の 化合物に対して行う場合には、 それらを個別的に行っても同時並行的に行っても よい。 したがって、 「同定」 は上記「スクリーニング」 を、 「同定する」 は上記 Γス クリーニングする」 を、 それぞれ包含する。
本明細書中で用いられる 「線維芽細胞成長因子レセプター」 又は 「FGFRJ とは、 線維芽細胞成長因子 (FGF) をリガンドとし細胞内シグナル伝達を活性 化する受容体として同定された、 膜貫通型チロシンキナーゼのファミリーを意味 する。 このファミ リーのメンバーは、 相互に高い相同性を有し、 これまでに、 F GFR— 1〜FGFR_4の 4種が知られていたが、 さらに最近、 これらの 4種
と高い相同性を有しながら細胞内チロシンキナーゼドメインを欠く新たな FGF Rのファミ リーのメンバーと して、 FGFR— 5 (FGFRL 1) が報告されて レヽる (Biochemica et Biophysics Acta Vol.1518, pp.152-156, 2001; Genomics Vol.69, pp.275-279, 2000を参照)。 これらの FGFRは、 本明細書中に示すと おり、 HCVの細胞感染において細胞側のレセプターとしての機能を果たす介在 分子である。 したがって、 FGFをリガンドとする受容体は、 未だ同定されてい ないものも含め全て、 HCVのレセプターとなり得る。 すなわち、 本明細書中で 用いられる 「線維芽細胞成長因子レセプター」 又は 「FGFR」 には、 上記の通 り既知の F G FR—:!〜 FGFR— 5のみならず、 F G Fをリガンドとする未知 の受容体をも包含される。
本発明において、 スクリ一ユングまたは同定に際しての標的タンパク質として 用いる FGFRは、 ヒ ト由来の FGFRもしくはそれと実質的に同一のタンパク 質を意味する。 ここで 「実質的に同一」 とは、 ヒ ト由来の FGFRのアミノ酸配 列と約 60%以上、 好ましくは約 70%以上、 より好ましくは約 80%以上、特に好ましく は約 90%以上、最も好ましくは約 95%以上の相同性を有するアミノ酸配列であって、 該ァミノ酸配列を有するタンパク質がヒ ト由来の F G F Rと実質的に同質の活性 を有するような配列をいう。 ここで 「相同性」 とは、 当該技術分野において公知 . の数学的アルゴリズムを用いて 2つのァミノ酸配列をァラインさせた場合の、 最 適なアラインメント (好ましくは、 該アルゴリズムは最適なアラインメントのた めに配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである) にお ける、 オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸および類似アミ _ ノ酸残基の割合 (%) を意味する。 「類似アミノ酸」 とは物理化学的性質において 類似したアミノ酸を意味し、 例えば、 芳香族アミノ酸 (Phe、 Trp、 Tyr)、 脂肪族 アミノ酸(Ala、 Leu, Ile、 Val)、極性ァミノ酸(Gln、 Asn)、塩基性ァミノ酸(Lys、 Arg、 His), 酸性アミノ酸 (Glu、 Asp)、 水酸基を有するアミノ酸 (Ser、 Thr)、 側 鎖の小さいアミノ酸 (Gly、 Ala、 Ser、 Thr、 Met) などの同じグループに分類され るアミノ酸が挙げられる。 このような類似アミノ酸による置換は、 タンパク質の
表現型に変化をもたらさない (即ち、 保存的アミノ酸置換である) ことが予測さ れる。 保存的アミノ酸置換の具体例は当該技術分野で周知であり、 種々の文献に 記載されている (例えば、 Bowieら, Science, 247: 1306-1310 (1990)を参照)。 ァミノ酸配列の相同性を決定するためのアルゴリズムとしては、例えば、 Karlin ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90 : 5873-5877 (1993)に記載のァノレゴリズム [該アルゴリズムは NBLASTおよび XBLASTプログラム (version 2.0) に組み込まれ ている (Altschulら, Nucleic Acids Res. , 25 : 3389-3402 (1997))]、 Needle瞧 ら, J. ol. Biol. , 48 : 444-453 (1970)に記載のアルゴリズム [該ァルゴリズ ムは GCGソフトウェアパッケージ中の GAPプログラムに組み込まれている]、 Myers および Miller, CABI0S, 4: 11-17 (1988)に記載のアルゴリズム [該アルゴリズム は CGC配列ァラインメントソフトウエアパッケージの一部である ALIGNプログラム (version 2.0) (こ組み込まれてレヽる]、 Pearsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載のアルゴリズム [該アルゴリズムは GCGソフトウエア パッケージ中の FASTAプログラムに組み込まれている]等が挙げられるが、それら に限定されない。
FGFRの型は、 特に限定はされないが、 好ましくは、 FGFR_4またはF GFR— 5が用いられ、 より好ましくは、 FGFR— 5が用いられる。 後述の実 施例より示唆される通り、 FGFR— 4は特に 「HC Vの表面タンパク質との結 合能」 を有し、 HCVの細胞感染における細胞接着に主に関与し得る。 一方、 F GFR— 5は「HC Vの表面タンパク質との結合能」 を有する上、 「HCVの細胞 取り込み能」 をも併せ持ち、 HCVの細胞感染における細胞接着と細胞内侵入の 両方に関与し得る。
「HCVの表面タンパク質との結合能」 とは、 「HC Vの表面タンパク質」 と結 合する能力を意味する。 ここで 「HC Vの表面タンパク質」 とは、 HCVのェン ベロープに存在するタンパク質を指し、 その代表的なものとしては、 HCVのゥ ィルス由来の構造タンパク質で、 H C Vの細胞への感染における H C V側の介在 分子と考えられている、 E 1および E 2タンパク質が挙げられる(K. Watashiら,
Cancer Science, vol.94(11), pp.937-943, 2003を参照)。
「HC Vの細胞取り込み能」 とは、 HCVと細胞との融合能、 即ち、 細胞表面 に接着した HCVを細胞内に取り込む能力を意味する。
FGFR— 4および FGFR— 5にはいくつかのスプライスバリアントが知ら れているが、 いずれのものを用いてもよい。 したがって、 本明細書における FG FRとしては、 好ましくは、 GenBank登録番号: NP— 002002で示されるアミノ酸配 列 (即ち、 ヒ ト FGFR— 4の全長 OR Fからなるアミノ酸配列) または GenBank 登録番号: NP_068742で示されるアミノ酸配列 (即ち、 ヒ ト FGFR— 5の全長 O RFからなるアミノ酸配列) と約 60%以上、 好ましくは約 70%以上、 より好ましく は約 80%以上、特に好ましくは約 90%以上、最も好ましくは約 95%以上の相同性を有 するアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。
実質的に同質の活性としては、 例えば、 HCVの細胞接着促進活性、 細胞内侵 入促進活性などが挙げられる。 「実質的に同質」 とは、 それらの性質が定性的に (例:生理学的または薬理学的に) 同等であることを意味する。 したがって、 上 記の活性の程度といった量的要素については同等であることが好ましいが、 異な つていてもよい (例えば、 約 0.01〜約 100倍、 好ましくは約 0.1〜約 10倍、 より好 ましくは約 0.5〜約 2倍) 。
FGFRの上記活性の測定は、 FGFR発現細胞による HCVのシユードタイ プウィルス (後述のように細胞に感染するとリポーター遺伝子を発現し得る) の 取り込み活性をリポーター遺伝子 (例えば、 緑色蛍光タンパク質 (GF P) 、 ァ ルカリホスファターゼ、 ルシフェラ一ゼ、 ベータガラク トシダーゼ等) の発現を 指標として測定する方法、 FGFR発現細胞と結合する HCV— L P (詳細な説 明は後述のとおり) を例えば HC V— L Pの構成成分を認識する抗体を用いた E L I S Aテス ト等により定量化する方法、 FGFR (例えば、 無傷 FGFR発現 細胞、 該細胞の膜画分、 後述する可溶化させた FGFR等) と上記シユードタイ プウィルスとの結合度を、 標識した F G Fとの競合結合試験により測定する方法 などが挙げられるが、 それらに限定されない。
また、 本発明で用いられるヒ ト由来の FGFRと実質的に同一のタンパク質と しては、 ヒ ト FGFRのアミノ酸配列、 例えば、 (l)GenBank登録番号: NP_002002 に示されるヒ ト FGFR— 4のアミノ酸配列もしくは GenBank登録番号:
NP_068742に示されるヒ ト FGFR— 5のアミノ酸配列中の 1または 2個以上(好 ましくは、 1〜30個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) の アミノ酸が欠失したアミノ酸配列、 (2)GenBank登録番号:NP_002002に示されるヒ ト FGFR— 4のアミノ酸配列もしくは GenBank登録番号: NP—068742に示される ヒ ト FGFR— 5のアミノ酸配列に 1または 2個以上(好ましくは、 1〜30個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸が付加したアミ ノ酸配列、 (3)GenBank登録番号: NP_002002に示されるヒ ト FGFR— 4のァミノ 酸配列もしくは GenBank登録番号: NP_068742に示されるヒ ト FGFR— 5のアミ ノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 好ましくは 1〜10個程 度、さらに好ましくは 1~5個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(4) GenBank 登録番号: NP_002002に示されるヒ ト FGFR— 4のァミノ酸配列もしくは GenBank登録番号: NP_068742に示されるヒ ト FGFR— 5のアミノ酸配列中の 1 または 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、 好ましくは 1〜10個程度、 さらに好 ましくは 1〜5個) のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、 または (5)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質であって、ヒ ト FG FR— 4もしくはヒ ト FGFR— 5と実質的に同質の活性を有するタンパク質等 も含まれる。 ここで 「実質的に同質の活性」 とは上記と同義である。 また、 「実質 的に同質の活性」 の測定は、 上記と同様にして行うことができる。
上記のようにアミノ酸配列が、 欠失、 付加、 揷入または置換されている場合、 その欠失、 付加、 挿入または置換の位置は、 当該タンパク質の活性を損なわない 限り、 特に限定されない。
本明細書においてアミノ酸配列により特定されるタンパク質は、 ぺプチド標記 の慣例に従って、 左端が N末端 (ァミノ末端) 、 右端が C末端 (カルボキシル末 端) である。 GenBank登録番号: NP— 002002に示されるヒ ト FG F R— 4もしくは
GenBank登録番号: NP_068742に示されるヒ ト F G F R _ 5をはじめとする、 本発 明で用いられる F G F Rは、 C末端がカルボキシル基 (- C00H) 、 カルボキシレー ト(- C00-) 、 アミ ド (- C0NH2) またはエステル (- C00R) の何れであってもよい。 ここで、 エステルにおける Rとしては、 例えば、 メチル、 ェチル、 n-プロピル、 イソプロピノレ、 n_ブチルなどの C1-6アルキル基、 例えば、 シクロペンチル、 シクロ へキシルなどの C3_8シク口アルキル基、例えば、フエ二ノレ、 α—ナフチノレなどの C6-12 ァリール基、 例えば、 ベンジル、 フエネチルなどのフエニル一 _2アルキル基もし くは α —ナフチルメチルなどの α —ナフチル一 -2アルキル基などの (:7-14ァラル キル基、 ビバロイルォキシメチル基などが用いられる。
本発明で用いられるタンパク質が C末端以外にカルボキシル基 (またはカルボ キシレート) を有している場合、 カルボキシル基がアミ ド化またはエステル化さ れているものも本発明で用いられるタンパク質に含まれる。 この場合のエステル としては、 例えば上記した C末端のエステルなどが用いられる。
さらに、 本発明で用いられるタンパク質には、 Ν末端のアミノ酸残基 (例: メ チォニン残基) のァミノ基が保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基などの C1-6 アルカノィルなどの _6ァシル基など) で保護されているもの、生体内で切断され て生成する N末端のグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、 分子内のァ ミノ酸の側鎖上の置換基 (例えば- 0H、 -SH、 アミノ基、 イミダゾール基、 インド ール基、 グァニジノ基など) が適当な保護基 (例えば、 ホルミル基、 ァセチル基 などの C1-6アルカノィル基などの Cl-6ァシル基など) で保護されているもの、 ある いは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。 _
F G F Rは C末端側の細胞内領域にチロシンキナーゼドメインを有する(但し、 F G F R - 5はそのようなチロシンキナーゼドメィンを欠失している) 1回膜貫 通型タンパク質であり、 細胞外因子との結合、 相互作用には主として N末端側の 細胞外領域が重要な役割を担うと考えられる。 従って、 試験化合物の F G F Rに 対する親和性を測定するための F G F Rは全長タンパク質である必要は必ずしも なく、 その部分ペプチド断片であってもよい。
本発明で用いられる F G F Rの部分べプチドとしては、 ヒ ト由来の FGFRの アミノ酸配列、 例えば、 GenBank登録番号: NP— 002002に示されるヒ ト FGFR— 4のアミノ酸配列もしくは GenBank登録番号: NP— 068742に示されるヒ ト FGFR 一 5のアミノ酸配列の部分アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸 配列を有するペプチドであって、 前記した本発明で用いられる FGFRと実質的 に同質の活性を有するものであればいずれのものでもよい。 ここで 「実質的に同 質の活性」 とは上記と同義である。 また、 「実質的に同質の活性」 の測定は、 上記 と同様にして行うことができる。
具体的には、 該部分ペプチドとしては、 本発明で用いられる FGFRの構成ァ ミノ酸配列のうち少なく とも 200個以上、 好ましくは 300個以上、 より好ましくは 400個以上のァミノ酸配列を有するぺプチドなどが用いられる。 また、該部分ぺプ チドは、 FGFRの細胞外領域の全部もしくは一部、 例えば、 FGFとの結合に 関与する領域を少なくとも含む部分であることが望ましい。
また、本発明で用いられる FGFRの部分べプチドは、 (1)そのアミノ酸配列中 の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のァ ミノ酸が欠失し、または、(2)そのァミノ酸配列に 1または 2個以上(好ましくは、 1〜20個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のァミノ 酸が付加し、 または、 (3)そのアミノ酸配列に 1または 2個以上 (好ましくは、 1 〜20個程度、 より好ましくは 1〜10個程度、 さらに好ましくは 1〜5個) のアミノ酸 が挿入され、 または、 (4)そのアミノ酸配列中の 1または 2個以上 (好ましくは、 1〜10個程度、 より好ましくは 1〜5個) のァミノ酸が他のァミノ酸で置換されてい てもよく、 あるいは(5)それらが組み合わされていてもよい。
本発明で用いられる F G F Rの部分べプチドは、 C末端がカルボキシル基 (-C00H) 、 カルボキシレート (- C00-) 、 アミ ド (_C0NH2) またはエステル (-C00R) の何れであってもよい。 ここで、 エステルにおける Rとしては、 FGFRについて 上記したと同様のものが挙げられる。 また、 該部分ペプチドが C末端以外にカル ボキシル基 (またはカルボキシレート) を有している場合、 該カルボキシル基が
ァミ ド化またはエステル化されているものも本発明で用いられる FGF Rの部分 ペプチドに含まれる。 この場合のエステルとしては、 C末端のエステルと同様の ものが例示される。 さらに、 該部分ペプチドには、 FGFRの場合と同様に、 N 末端のアミノ酸残基 (例: メチォニン残基) のァミノ基が保護基で保護されてい るもの、 N端側が生体内で切断され生成したグルタミン残基がピログルタミン酸 化したもの、 分子内のァミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されてい るもの、 あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ぺプチドなどの複合べプチドなども 含まれる。
さらには、 試験化合物の FGF Rに対する親和性または FG FRと HC Vとの 結合に対する試験化合物の遮断能を測定するために用いられる FGFRは、 上記 の 「ヒ ト由来の FGFRもしくはそれと実質的に同一のタンパク質」 または 「F GFRの部分ペプチド」 の C末端に、 必要に応じ任意のペプチドリンカ一を介し て、 他のタンパク質またはその部分ペプチドを付加させた、 融合タンパク質であ つてもよレヽ。
このような融合タンパク質としては、 例えば、 本来膜貫通型タンパク質である FGF Rを可溶化させる目的で、 「他のタンパク質またはその部分べプチド Jとし て 「可溶性の他のタンパク質またはその部分ペプチド」 を有する、 いわゆる 「可 溶化させた FGFR」 が挙げられる。
「可溶化させた FGFR」 としては、 FGFRの N末端側の細胞外領域の全部 または一部、例えば、 FGFとの結合に関与する領域を少なくとも含む部分を「F GFRの部分ペプチド」 として利用するのが好ましい。 また、 「可溶性の他のタン パク質またはその部分ペプチド」 の例としては、 免疫グロプリン H鎖の F c部分 が挙げられる。 (なお、 「FG F Rの部分ペプチド」 として FGFRの N末端側の 細胞外領域の全部または一部を少なく とも含み、且つ、 「可溶性の他のタンパク質 またはその部分ペプチド」 として免疫グロブリン H鎖の F c部分を利用する 「可 溶化させた FGFR」 は、 一般に、 「可溶性 FGFR」 と呼ばれる。)
このような 「可溶化させた FGFR」 は、 FGFRと試験化合物との親和性ま
たは F G F Rと H C Vとの結合に対する試験化合物の遮断能を測定するために使 用できるのは勿論であるが、 それ自体が H C V表面タンパク質と結合することに より、 細胞表面にある F G F Rとの相互作用を阻害する可能性があるため、 H C Vの細胞感染を阻害し得る医薬そのものとしても期待できる。
本発明で用いられる F G F Rもしくは F G F Rの部分ペプチド、 またはその融 合タンパク質の塩としては、 生理学的に許容される酸 (例:無機酸、 有機酸) や 塩基 (例: アルカリ金属塩) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容さ れる酸付加塩が好ましい。 この様な塩としては、例えば、 無機酸(例えば、塩酸、 リン酸、 臭化水素酸、 硫酸) との塩、 あるいは有機酸 (例えば、 酢酸、 ギ酸、 プ ロピオン酸、 フマノレ酸、 マレイン酸、 コハク酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸、 蓚酸、 安息香酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスルホン酸) との塩などが用いら れる。
本発明で用いられる F G F Rまたはその塩は、 ヒ トの細胞 [例えば、 肝細胞、 脾細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 膝臓 3細胞、 骨髄細胞、 メサンギゥム細胞、 ラ ンゲルハンス細胞、 表皮細胞、 上皮細胞、 杯細胞、 内皮細胞、 平滑筋細胞、 繊維 芽細胞、 繊維細胞、 筋細胞、 脂肪細胞、 免疫細胞 (例:マクロファージ、 T細胞、 B細胞、 ナチュラルキラー細胞、 肥満細胞、 好中球、 好塩基球、 好酸球、 単球) 、 巨核球、 滑膜細胞、 軟骨細胞、 骨細胞、 骨芽細胞、 破骨細胞、 乳腺細胞、 肝細胞 もしくは間質細胞、 またはこれら細胞の前駆細胞、 幹細胞もしくは癌細胞など] またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織もしくは器官 [例えば、 脳、 脳の各 部位 (例:嗅球、 扁桃核、 大脳基底球、 海馬、 視床、 視床下部、 大脳皮質、 延髄、 小脳) 、 脊髄、 下垂体、 胃、 膝臓、 腎臓、 肝臓、 生殖腺、 甲状腺、 胆嚢、 骨髄、 副腎、 皮膚、 筋肉、 肺、 消化管 (例:大腸、 小腸) 、 血管、 心臓、 胸腺、 脾臓、 顎下腺、 末梢血、 前立腺、 睾丸、 卵巣、 胎盤、 子宮、 骨、 関節、 脂肪組織 (例: 褐色脂肪組織、 白色脂肪組織)、 骨格筋など] から公知のタンパク質の精製方法に よって調製することができる。 具体的には、 該動物の組織または細胞をホモジナ ィズした後、 酸などで抽出を行い、 該抽出液を逆相クロマトグラフィー、 イオン
交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより単 離 ·精製することができる。
本発明で用いられる F G F Rもしくは F G F Rの部分べプチド、 またはその融 合タンパク質、 あるいはそれらの塩 (以下、 単に 「F G F R」 と略記する場合が ある) は、 公知のペプチド合成法に従って製造することもできる。
ぺプチド合成法は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれであってもよい。 本発明のタンパク質を構成し得る部分ぺプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを 縮合し、 生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的とする タンパク質を製造することができる。 ここで、 縮合や保護基の脱離は、 自体公知 の方法、 例えば、 以下の(1)〜(5)に記載された方法に従って行われる。
リ M. Bodanszky およひ M. A. 0ndetti、 Pept ide synthesi s, Interscience Publ i shers, New York ( 1966)
(2) Schroederおよび Luebke、 The Pept ide, Academic Press, New York (1965)
(3) 泉屋信夫ら、 ペプチド合成の基礎と実験、 丸善 (株) (1975)
(4)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学 IV、 205、 (1977)
(5) 矢島治明監修、 続医薬品の開発、 第 14巻、 ペプチド合成、 広川書店
本発明の F G F Rの合成には、 通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いること ができる。 そのような樹脂としては、 例えば、 クロロメチル樹脂、 ヒ ドロキシメ チル樹脂、 ベンズヒ ドリルァミン樹脂、 アミノメチル樹脂、 4-ベンジルォキシべ ンジルアルコール樹脂、 4-メチルベンズヒ ドリルァミン樹脂、 P A M樹脂、 4-ヒ ― ドロキシメチルメチルフエニルァセトアミ ドメチル樹脂、 ポリアクリルアミ ド樹 月旨、 4- (2 ' , 4 ' -ジメ トキシフエ二ルーヒ ドロキシメチノレ)フエノキシ樹脂、
4 -(2 ' , 4' -ジメ トキシフエエル- Fmocアミノエチル)フエノキシ樹脂などを挙げ ることができる。 このような樹脂を用い、 α—ァミノ基と側鎖官能基を適当に保 護したアミノ酸を、 目的とするタンパク質等の配列通りに、 自体公知の各種縮合 方法に従い、 樹脂上で縮合させる。 反応の最後に樹脂からタンパク質または部分
ぺプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、 さらに高希釈溶液中で分子内 ジスルフィ ド結合形成反応を実施し、 目的のタンパク質もしくは部分ペプチドま たはそれらのアミ ド体を取得する。
上記した保護ァミノ酸の縮合に関しては、 タンパク質合成に使用できる各種活 性化試薬を用いることができるが、 特に、 カルポジイミ ド類がよい。 カルボジィ ミ ド類としては、 DCC、 Ν, Ν' -ジィソプロピルカルボジィミ ド、 Ν-ェチル -N' - (3 - ジメチルァミノプロピル)カルボジィミ ドなどが用いられる。これらによる活性化 にはラセミ化抑制添加剤 (例えば、 HOBt, HOOBt) とともに保護アミノ酸を直接榭 脂に添加するかまたは、対称酸無水物または HOBtェステルあるいは HOOBtェステル としてあらかじめ保護ァミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することがで さる。
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、 タンパク質 縮合反応に使用し得ることが知られている溶媒から適宜選択され得る。 例えば、 N,N-ジメチルホルムアミ ド, Ν, Ν-ジメチルァセトアミ ド, Ν-メチルピロリ ドンな どの酸アミ ド類、 塩化メチレン, クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素類、 ト リフルォロエタノールなどのアルコール類、 ジメチルスルホキシドなどのスルホ キシド類、 ピリジン, ジォキサン, テトラヒ ドロフランなどのエーテル類、 ァセ . トニトリル, プロピオ二トリルなどの二トリル類、 醉酸メチル, 酢酸ェチルなど のエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。 反応温度はタン パク質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、 通常約- 20°C〜50°Cの範囲から適宜選択される。活性化されたァミノ酸誘導体は通 _ 常 1. 5〜4倍過剰で用いられる。 ニンヒ ドリン反応を用いたテス トの結果、 縮合が 不十分な場合には保護基の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより 十分な縮合を行なうことができる。 反応を繰り返しても十分な縮合が得られない ときには、 無水酢酸またはァセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をァセ チル化することによって、 後の反応に影響を与えないようにすることができる。 原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、 およびその保護
基の脱離、 反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から 適宜選択し得る。
原料のァミノ基の保護基としては、 例えば、 Z、 Boc、 t-ペンチルォキシカルボ ニル、 イソボルニルォキシカルボニル、 4-メ トキシベンジルォキシカルボニル、 Cl-Z、 Br-Z、 ァダマンチノレオキシカルボニル、 トリフルォロアセチル、 フタロイ ノレ、ホノレミノレ、 2-二ト口フエニノレスノレフエ二ノレ、ジフエ二ノレホスフィノチオイノレ、 Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、 例えば、 アルキルエステル化 (例えば、 メチル、 ェチル、 プロピル、 ブチル、 t-ブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロへプチ ル、 シクロォクチル、 2-ァダマンチルなどの直鎖状、 分枝状もしくは環状アルキ ノレエステル化) 、 ァラルキルエステル化 (例えば、 ベンジルエステル、 4-ニトロ ベンジノレエステノレ、 4-メ トキシベンジノレエステノレ、 4-クロ口べンジノレエステノレ、 ベンズヒ ドリノレエステノレ化) 、 フエナシノレエステノレ化、 ペンジノレオキシカノレポ二 ルヒ ドラジド化、 t-ブトキシカルボニルヒ ドラジド化、 トリチルヒ ドラジド化な どによって保護することができる。
セリンの水酸基は、 例えば、 エステル化またはエーテル化によって保護するこ とができる。 このエステル化に適する基としては、 例えば、 ァセチル基などの低 級 ( _6) アルカノィル基、 ベンゾィル基などのァロイル基、 ベンジルォキシカル ボニル基、ェトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。 また、 エーテル化に適する基としては、 例えば、 ベンジル基、 テトラヒ ドロビラ ニル基、 t-プチル基などである。
チロシンのフエノール性水酸基の保護基としては、 例えば、 Bzl、 Cl2- Bzl、 2- ニトロベンジル、 Br- Z、 t-ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのィミダゾールの保護基としては、例えば、 Tos、 4-メ トキシ- 2, 3, 6- トリメチルベンゼンスルホニル、 DNP、 ベンジルォキシメチル、 Bum, Boc、 Trt、 Fmocなどが用いられる。
保護基の除去 (脱離) 方法としては、 例えば、 Pd-黒あるいは Pd-炭素などの触
媒の存在下での水素気流中での接触還元や、 また、 無水フッ化水素、 メタンスル ホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸、 トリフルォロ酢酸あるいはこれらの混 合液などによる酸処理や、 ジイソプロピルェチルァミン、 トリェチルァミン、 ピ ペリジン、 ピぺラジンなどによる塩基処理、 また液体アンモニア中ナトリウムに よる還元なども用いられる。 上記酸処理による脱離反応は、一般に約- 20°C〜40°C の温度で行なわれるが、 酸処理においては、 例えば、 ァニソール、 フエノール、 チオア二ソーノレ、 メタクレゾ一ノレ、 パラクレゾーノレ、 ジメチノレスノレフイ ド、 1, 4- ブタンジチオール、 1, 2-エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が 有効である。 また、 ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる 2, 4 -ジニ トロフエニル基はチォフエノール処理により除去され、 トリプトファンのインド ール保護基として用いられるホルミル基は上記の 1, 2 -エタンジチオール、 1, 4-ブ タンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、 希水酸化ナトリウム 溶液、 希アンモニアなどによるアル力リ処理によっても除去される。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、 例えば、 対応する酸無水 物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフエノール、 2, 4, 5- トリクロ口フエノーノレ、 2, 4—ジニ ト ロフエノーノレ、 シァノメチノレアノレコ一ノレ、 ノヽ。 ラニトロフエノール、 H0NB、 N-ヒ ドロキシスクシミ ド、 N-ヒ ドロキシフタノレイミ ド、 HOBt) とのエステル〕 などが用いられる。 原料のァミノ基の活性化されたも のとしては、 例えば、 対応するリン酸アミ ドが用いられる。
タンパク質または部分ペプチドのアミ ド体を得る別の方法としては、 例えば、 まず、カルボキシ末端アミノ酸の α—カルボキシル基をアミ ド化して保護した後、 _ アミノ基側にペプチド (タンパク質) 鎖を所望の鎖長まで延ばした後、 該ぺプチ ド鎖の Ν末端の α—ァミノ基の保護基のみを除いたタンパク質または部分べプチ ドと C末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタンパク質または部分ぺプ チドとを製造し、 これらのタンパク質またはペプチドを上記したような混合溶媒 中で縮合させる。 縮合反応の詳細については上記と同様である。 縮合により得ら れた保護タンパク質またはべプチドを精製した後、 上記方法によりすベての保護
基を除去し、 所望の粗タンパク質またはペプチドを得ることができる。 この粗タ ンパク質またはべプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、 主要画分を凍 結乾燥することで所望のタンパク質またはべプチドのアミ ド体を得ることができ る。
タンパク質またはペプチドのエステル体を得るには、 例えば、 カルボキシ末端 アミノ酸の c —カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステル とした後、 タンパク質またはペプチドのアミ ド体と同様にして、 所望のタンパク 質またはぺプチドのエステル体を得ることができる。
本発明で用いられる FGFRの部分べプチドまたはその塩は、 上述もしくは後 述のいずれかの方法により得られる FGFRまたはその塩を、 適当なぺプチダー ゼで切断することによつても製造することができる。
このようにして得られた FGF Rは、 公知の精製法により精製単離することが できる。 ここで、 精製法としては、 例えば、 溶媒抽出、 蒸留、 カラムクロマトグ ラフィー、 液体クロマトグラフィー、 再結晶、 これらの組み合わせなどが挙げら れる。
上記方法で得られるタンパク質または部分ぺプチドが遊離体である場合には、 該遊離体を公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換するこ とができるし、 逆にタンパク質が塩として得られた場合には、 該塩を公知の方法 あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
FGFRはまた、 公知の方法に従って、 FGFRをコードする核酸、 好ましく は DNAを含有する発現ベクターを宿主細胞に導入して、 FGFRを強制発現さ せることにより取得することもできる。
FGFRまたはその部分ペプチドをコードする DNAは、 ゲノム DNA、 前記 したヒ トの細胞または組織'器官由来の c DNA、合成 DNAなどが挙げられる。 FGFRまたはその部分ぺプチドをコ一ドするゲノム DNAおよび c DNAは、 上記した細胞 ·組織より調製したゲノム DN A画分および全 RN Aもしくは mR NA画分をそれぞれ铸型として用い、 Polymerase Chain Reaction (以下、 「PCR
法」 と略称する) および Reverse Transcriptase - PCR (以下、 「RT_PCR法」 と略称 する) によって直接増幅することもできる。 あるいは、 FGFRまたはその部分 ぺプチドをコ一ドするゲノム DNAおよび c DNAは、 上記した細胞 ·組織より 調製したゲノム DNAおよび全 RNAもしくは mRN Aの断片を適当なベタター 中に挿入して調製されるゲノム DN Aライブラリーおよび c DN Aライブラリ一 から、コロニーもしくはプラークハイブリダィゼーション法または PCR法などによ り、 それぞれクローユングすることもできる。 ライプラリーに使用するベクター は、 バクテリオファージ、 プラスミ ド、 コスミ ド、 ファージミ ドなどいずれであ つてもよレヽ。
FG F Rをコードする DNAとしては、 例えば、 GenBank登録番号:■— 002011に示 されるヒ ト FGFR— 4の全コード領域の塩基配列もしくは GenBank登録番号: ML021923に示されるヒ ト F G F R— 5の全コード領域の塩基配列を含有する D NA、 あるいは該 DNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする 塩基配列を含有し、 前記した GenBank登録番号: NP— 002002に示される F G F R— 4のァミノ酸配列もしくは GenBank登録番号: NP_068742に示される F G F R— 5 のアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性 (例えば、 HCVの 細胞接着促進活性、 細胞内侵入促進活性など) を有するタンパク質、 部分べプチ ドもしくは融合タンパク質をコードする DNAなどが挙げられる。
GenBank登録番号: NM_002011または GenBank登録番号: NM_021923に示される塩 基配列とハイストリンジェントな条件下でハイプリダイズできる DN Aとしては、 例えば、 GenBank登録番号: N— 002011または GenBank登録番号:翻— 021923に示さ れる塩基配列と約 60%以上、 好ましくは約 70%以上、 さらに好ましくは約 80%以上、 特に好ましくは約 90%以上の相同性を有する塩基配列を含有する DN Aなどが用 いられる。
本明細書における塩基配列の相同性は、 相同性計算アルゴリズム NCBI BLAST (National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool) を用い、 以下の条件 (期待値 =10; ギャップを許す; フィルタリング =0N;
マッチスコア =1; ミスマッチスコア =-3) にて計算することができる。 塩基配列の 相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、 上記したアミノ酸配列の相 同性計算アルゴリズムが同様に好ましく例示される。
ハイブリダィゼーシヨンは、 自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、 例え ば、 モレキユラ一 クローニング (Molecular Cloning) 第 2版 (J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989) に記載の方法などに従って行なう ことができる。 また、 市販のライブラリーを使用する場合、 ハイプリダイゼーシ ヨンは、 添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。 ハイプリ ダイゼーシヨンは、 好ましくは、 ハイストリンジェントな条件に従って行なうこ とができる。
ハイス トリンジェン卜な条件としては、 例えば、 ナトリウム塩濃度が約 19〜約 40mM、好ましくは約 19〜約 20mMで、温度が約 50〜約 70°C、好ましくは約 60〜約 65°C の条件等が挙げられる。 特に、 ナトリウム塩濃度が約 19mMで温度が約 65°Cの場合 が好ましい。 当業者は、 ハイプリダイゼーシヨン溶液の塩濃度、 ハイブリダィゼ ーシヨン反応の温度、 プローブ濃度、 プローブの長さ、 ミスマッチの数、 ハイブ リダィゼーシヨン反応の時間、 洗浄液の塩濃度、 洗浄の温度等を適宜変更するこ とにより、 所望のス トリ ンジエンシーに容易に調節することができる。
クローン化された DNAは、 目的によりそのまま、 または所望により制限酵素 で消化する力 リンカーを付加した後に、使用することができる。該 DNAはその 5 ' 末端側に翻訳開始コ ドンとしての ATGを有し、 また 3' 末端側には翻訳終止コ ドンとしての TAA、 TGAまたは TAGを有していてもよい。 これらの翻訳開 _ 始コドンや翻訳終止コドンは、 適当な合成 DN Aアダプターを用いて付加するこ とができる。
FGFRまたはその部分べプチドをコ一ドする DNAを含む発現ベクターは、 例えば、 FGFRをコードする DNAから目的とする DNA断片を切り出し、 該 DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより 製造することができる。
発現ベクターとしては、 レトロウイルス、 ワクシニアウィルスなどの動物ウイ ルス ; pAl- 11、 pXTl、 pRc/CMV、 pRc/RSV、 pcDNAI/Neo、 pME18Sなどが用いられる。 プロモーターとしては、 遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモー ターであればいかなるものでもよく、 例えば、 SR aプロモーター、 SV40プロモー ター、 LTRプロモーター、 CMV (サイ トメガロウィルス) プロモーター、 HSV-TKプ 口モーターなどが用いられる。
発現ベクターとしては、 上記の他に、 所望によりェンハンサー、 スプライシン グシグナル、ポリ A付加シグナル、選択マーカー、 SV 複製オリジン(以下、 SV40ori と略称する場合がある) などを含有しているものを用いることができる。 選択マ 一力一としては、 例えば、 ジヒ ドロ葉酸還元酵素 (以下、 dhfrと略称する場合が ある) 遺伝子 〔メソトレキセ一ト (MTX) 耐性〕、 アンピシリン耐性遺伝子 (以下、 Amp1"と略称する場合がある)、 ネオマイシン耐性遺伝子 (以下、 Neo1"と略称する場 合がある、 G418耐性) 等が挙げられる。 特に、 dhfr遺伝子欠損チャイニーズハム スター細胞を用い、 dhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、 目的遺伝子 をチミジンを含まない培地によって選択することもできる。
宿主細胞への遺伝子導入は、 例えば、 細胞工学別冊 8 新細胞工学実験プロ ト コール. 263-267 (1995) (秀潤社発行) ; Virology, vol. 52, 456 (1973) に記載 の方法に従って行うことができる。
細胞を培養する培地としては、 例えば、 約 5〜20%の胎仔ゥシ血清 (F B S ) を 含む M E M培地 [Science, vol. 122, 501 (1952)〕, DMEM培地 [Virology, vol. 8, 396 (1959)〕, RPMI 1640培地 [The Journal of the American Medical Association, vol. 199, 519 (1967)〕, 199培地 [Proceeding of the Society for the Biological Medicine, vol. 73, 1 (1950) ] などが用いられる。 培地の pHは、 好ましくは約 6 〜8である。 培養は、 通常約 30°C〜40°Cで、 約 15〜60時間行なわれる。 必要に応じ て通気や撹拌を行ってもよい。
F G F Rは、 試験化合物との 「親和性」 または 「H C Vとの結合」 に対する試 験化合物の 「遮断能」 を測定し得る限り、 いかなる形態で提供されてもよい。
「親和性」 とは、 FGFRと試験化合物との結合性 (即ち、 特異的に結合し得 る能力) を意味し、 結合する部位は特に制限はないが、 好ましくは、 親和性を有 する化合物は FGF Rの細胞外領域と結合性を有し、 より好ましくは FGF の FGF結合部位と結合性を有する。 かかる親和性 (結合性) の結果として、 該化 合物は FGFRに対して HC Vと拮抗的に作用し、 F G F Rを介した H C Vの細 胞接着 '細胞内侵入を阻害し得る。
「HCVとの結合」 とは、 FGFRと HCVとの結合を意味し、 FGFRが上 記 「HCVの表面タンパク質との結合能」 を発揮した結果生じる両者の結合に代 表される。 したがって、 「HCVとの結合」に対する試験化合物の「遮断能」とは、 試験化合物がかかる結合を阻害する能力を意味し、 その阻害様式は特に制限はな いが、 例えば、 上記 FGFRとの 「親和性」 を有する化合物は、 HCVと拮抗的 に作用してかかる結合を阻害するので、 結果的に 「遮断能」 を有する化合物とな る。 「遮断能」 を有する化合物の別の例としては、 HC Vに対して FGF Rと拮抗 的に作用することにより、 FGFRと HCVとの結合を阻害する化合物が挙げら れる。 そのような化合物として好ましい例は、 上記 「可溶化させた FGFR」 で ある。
例えば、 本発明のスクリーニング方法および同定方法において、 FGFRは、 生来 F G F Rを発現している細胞 (例えば、 He pG 2、 Hu h 7、 F LC 4、 HEK29 3、 A549等)、 F G F Rをコードする核酸、好ましくは DN Aを含 有する発現ベクターを導入して FGFRを強制発現させた細胞 (例えば、 上記細 胞の他、 He L a細胞、 C H O細胞等の F G F R非発現細胞を宿主細胞とするも ― のも含まれる)、上記いずれかの細胞の膜画分、単離された FGFRを人工脂質二 重膜に包埋してなるプロテオリボソーム、 上記細胞やそれの由来する組織 ·臓器 から完全もしくは不完全精製した FGFRタンパク質自体、 可溶化させた FGF Rを含む FGF Rの融合タンパク質などの形態で提供され得るが、 それらに限定 されない。
FG F Rを発現する細胞を FG F Rとの親和性を評価するのに用いる場合は、
親和性を確認後、 もしくは親和性の評価と同時に HCVの細胞感染の程度を評価 することができる。 全く同様に、 FGFRを発現する細胞を HCVとの結合に対 する遮断能を評価するのに用いる場合も、 遮断能を確認後、 もしくは遮断能の評 価と同時に HCVの細胞感染の程度を評価することができる。 生来 FGFRを発 現する細胞の中には、 発現量が少ないものもあり得るので、 1つの好ましい実施 形態では、 本発明は、 FGFRの供給源として、 任意の型の FGFRを強制発現 させた細胞を用い得る。
本発明において、 FGFRを有する細胞を用いる場合、 スク リーニング方法ま たは同定方法によって FGFRとの親和性または FGFRと HCVとの結合に対 する遮断能を有する化合物が発見されれば、 引き続いて、 HCVもしくは HCV の初期感染過程を擬似化するシユードタイプのウィルスを加えて、 HC Vの細胞 への感染力に対するこの化合物の阻害効果を評価することができる。
別の実施形態では、 本発明は、 FGFRの供給源として、 任意の型の FGFR を有する細胞の膜画分を用い得る。
FGFRを有する細胞の膜画分を用いる場合、 FG F Rを有する細胞を用いる 場合よりも、 より簡便にスクリーニングを行うことができるので、 大量の試験化 合物を一次 (予備) スク リーニングする場合などに有用であり得る。 膜画分は、 . 例えば、 FGFRを有する細胞を、 種々のタンパク質分解酵素阻害剤の存在下に 適切な緩衝溶液中でホモゲナイズするか、 ポリ トロン等の細胞破壊装置で懸濁化 するか、 低浸透圧ショックにより破壊する力 または超音波処理により細胞膜を 破壊した後、 種々の媒体を用いた密度勾配遠心法にて調製され得る (例えば、 細 _ 胞ホモジネートを約 1 , 0 0 0 X g程度で遠心して上清を回収した後、約 1 00 , 000 X g程度で密度勾配遠心して沈渣を回収すること等により、 調製すること ができる)。
本発明のさらに別の実施形態においては、 FGFRは、 精製した FGFRタン パク質を、 人工脂質二重膜中に再生させたものを使用することができる。 FGF Rは、 例えば、 上記 FGFRを有する細胞の膜画分より、 後述の抗 FGFR抗体
を用いたァフィ二ティークロマトグラフィ一等により精製することができる。 あ るいは、 FGFRは、 それをコードする DNAを含む発現ベクターを導入された 上記のような組換え細胞から、 抗 FGFR抗体や、 His-tag、 GST-tag等を用いた ァフィ二ティークロマトグラフィ一等により精製することもできる。
人工脂質二重膜を構成する脂質としては、 ホスファチジルコリン (PC)、 ホス ファチジノレセリン (P S)、 コレステロ一ノレ (Ch)、 ホスファチジ^^イノシトー ル (P I )、 ホスファチジルエタノールァミン (PE) 等が挙げられ、 これら 1種 または 2種以上を適当な比率で混合したものが好ましく使用される。
例えば、 FGFRを組み込んだ人工脂質二重膜 (プロテオリボソーム) は、 以 下の方法により調製することができる。 即ち、 まず、 PC : P I : C h = 1 2 : 1 2 : 1の混合脂質クロ口ホルム溶液を適当量ガラスチューブに分取し、 窒素ガ ス蒸気でクロ口ホルムを蒸発させて脂質をフィルム状に乾燥させた後、 適当な緩 衝液を加えて懸濁、 次いで超音波処理により均一に分散させ、 コール酸ナトリウ ム等の界面活性剤を含む緩衝液をさらに加えて脂質を完全に懸濁する。 ここに、 精製した FGFRを適量添加し、 水中で時々攪拌しながら 20〜 30分間程度ィ ンキュベートした後、 適当な緩衝液に対して透析する。 約 1 00, O O O X gで
30〜 60分間遠心して沈渣を回収することにより、 所望のプロテオリボソーム . を得ることができる。
本発明のさらに別の実施形態においては、 FGFRとして、 可溶化させた FG FRを使用することができる。
可溶化させた FGFRを用いる場合、 FGFRを有する細胞の膜画分やプロテ _ ォリボソームを用いる場合に比べてさらに簡便にスクリーユングを行うことがで きる。 可溶化させた FGFRは、 例えば、 それをコードする DN Aを含む発現べ クタ一を導入された組換え細胞から公知の可溶性タンパク質精製法に従って取得 することができる他、 市販のもの (例えば、 Sigma社より市販されている FGF RZF cキメラ等) を用いることができる。
本発明に用いられる 「試験化合物」 は、 いかなる公知化合物でも新規化合物で
もよく、 これらとしては、 特に制限はされないが、 例えば、 核酸、 糖質、 脂質、 タンパク質、 ペプチド、 抗体、 有機もしくは無機の低分子化合物、 有機もしくは 無機の高分子化合物、 コンビナトリァルケミストリー技術を用いて作製された化 合物ライブラリー、 固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダ ムペプチドライブラリー、 あるいは微生物、 動植物等由来の天然成分等が挙げら れる。
かかる試験化合物としては、 既に FGFRのアンタゴニス トとして作用するこ とが知られている化合物が含まれる。 このような化合物としては、 例えば、 以下 が挙げられる : T r o p o n i n 1 ,
Mct'To/soozdf/xad 989ΪΪ0/900Ζ ΟΛ\
あるいは、 試験化合物として、 FG F Rとの親和性を有することが既知である リガンドを用いてもよい。
本発明において 「リガンド」 とは、 FGFRが受容する任意の物質を意味し、 FGF Rを発現している生体が本来有している内在性リガンドおよび人工的に調 製された人工物質のいずれをも包含する。 FGFRに対するリガンドとしては、 下記に例示されるような物質が潜在的な候補として挙げられる。
「線維芽細胞成長因子 (FGF)」 は、 線維芽細胞に強い増殖性を有するポリべ プチドのファミリーであり、 FGFRに対する公知のリガンドである。
このファミ リーのメンバーとしては、 FGF 1〜FGF 23が知られており、 市販のもの (例えば、 Pepro Tech社等より市販されている) を用いることができ る。 さらに、 FGFのフラグメントもまた、 FGFRに対する結合部位を有する 限り FGFRに対するリガンドの候補であり得る。
本発明で用いられる FGFの型は、 特に限定はされないが、 好ましくは、 FG F— 2、 FGF— 7、 FGF— 8、 FGF— 1 7であり、 特に好ましくは、 FG F— 2と F G F _ 7である。
FGFRに対する抗体もまた、 FGFRに対するリガンドの候補であり得る。 この抗体は、 ポリクローナル抗体でも、 モノクローナル抗体でもよく、 以下に例 示するような、 当該分野で周知の免疫学的手法により作製することができる。 さらに、 抗 FGFR抗体のフラグメントもまた、 FGFRに対する抗原結合部 位 (CDR) を有する限り、 FGFRに対するリガンドの候補であり得る。 この ような抗体のフラグメントとしては、例えば、 F a b、 F (a b ') 2、 S c F v、 m i n i b o d y等が挙げられる。
ポリクローナル抗体は、 例えば、 FGFRあるいはそのフラグメント (必要に 応じて、 ゥシ血清ァノレブミン、 KLH (Keyhole Limpet Hemocyanin) 等のキヤリ ァタンパク質に架橋した複合体とすることもできる) を抗原として、 市販のアジ ュバント (例えば、 完全または不完全フロイントアジュバント) とともに、 動物 の皮下あるいは腹腔内に 2〜 3週間おきに 2〜4回程度投与し (部分採血した血
清の抗体価を公知の抗原抗体反応により測定し、その上昇を確認しておく)、最終 免疫から約 3〜約 1 0日後に全血を採取して抗血清を精製することにより取得で きる。 抗原を投与する動物としては、 ラッ ト、 マウス、 ゥサギ、 ャギ、 モルモッ ト、 ハムスターなどの哺乳動物が挙げられる。
モノクローナル抗体は、 例えば、 細胞融合法 (例えば、 渡邊武、 細胞融合法の 原理とモノクローナル抗体の作成、谷内昭、高橋利忠編、 「モノクローナル抗体と がん一基礎と臨床一」、 第 2— 1 4頁、 サイエンスフォーラム出版、 1 9 8 5年) により作製することができる。 例えば、 マウスに該因子を市販のアジュバントと 共に 2〜4回皮下あるいは腹腔内に投与し、 最終投与の約 3日後に脾臓あるいは リンパ節を採取し、 白血球を採取する。 この白血球と骨髄腫細胞 (例えば、 N S _ 1、 P 3 X 6 3 A g 8など) を細胞融合して該因子に対するモノクローナル抗 体を産生するハイプリ ドーマを得る。 この細胞融合は、 P E G法 [J. Immunol. Methods, 81 (2) : 223-228 (1985) ] で行ってもよいし、 電圧パルス法 [Hybridoma, 7 (6): 627-633 (1988) ] で行ってもよい。 所望のモノクローナル抗体を産生する ハイブリ ドーマは、 周知の E I Aまたは R I A法等を用いて抗原と特異的に結合 する抗体を、 培養上清中から検出することにより選択できる。 モノクローナル抗 体を産生するハイプリ ドーマの培養は、 インビトロ、 またはマウスもしくはラッ ト、 好ましくはマウス腹水中等のインビボで行うことができ、 抗体はそれぞれハ ィプリ ドーマの培養上清および動物の腹水から取得することができる。
ヒ トにおける治療効果と安全性を考慮すると、 本発明に用いる抗 F G F R抗体 は、 ヒ トと他の動物 (例えば、 マウス等) のキメラ抗体であることが好ましく、 ヒ ト化抗体であることがさらに好ましく、 完全ヒ ト抗体であることが特に好まし レ、。 ここで 「キメラ抗体」 とは免疫動物由来の可変部 (V領域) とヒ ト由来の定 常部 (C領域) を有する抗体のことをいい、 「ヒ ト化抗体」 とは C D Rを除いて他 の領域をすベてヒ ト抗体に置き換えた抗体のことをいう。 キメラ抗体ゃヒ ト化抗 体は、 例えば、 上記と同様の方法により作製したマウスモノクローナル抗体の遺 伝子から V領域もしくは C D Rをコードする配列を切り出し、 ヒ ト骨髄腫由来の
抗体の C領域をコードする DNAと融合したキメラ遺伝子を適当な発現ベクター 中にクローユングし、 これを適当な宿主細胞に導入して該キメラ遺伝子を発現さ せることにより取得することができる。 完全ヒ ト抗体は、 ヒ トーヒ ト (もしくは マウス) ハイプリ ドーマより製造することも可能ではあるが、 大量の抗体を安定 に且つ低コストで提供するためには、ヒ ト抗体産生動物(例:マウス) (例: Abgenix 社製 [商品名: XenoMouose (Nat. Genet. , 15: 146-156, 1997;米国特許第 5, 939, 598 号等を参照)] や Medarex社製 [商品名 : Hu- Mab Mouse (Nat. Biotechnol. , 14: 845-851, 1996; 米国特許第 5, 545, 806号等を参照)]、 キリ ンビール製 [商品名 : KMマウス] 等) またはファージディスプレイ法 (代表的なファージディスプレイ ライブラリ一としては、 CAT社のライブラリー(J. Mol. Biol., 222: 58卜 597, 1991; Nat. Biotechnol. , 14: 309-314, 1996参照)、 MRC社のライブラリー (Annu. Rev. Immunol. , 12: 433-455, 1994参照)、 Dyax社のライブラリー ( Biol. Chem. , 1999 (上述); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 14: 7969-7974, 2000参照)、 Morphosys社 の HuCALライブラリー (J. Mol. Biol. , 296: 57-86, 2000参照)、 Biolnvent社の ライブラリー (Nat. Biotechnol. , 18: 852, 2000参照)、 Crucell社のライブラリ 一 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92: 3938, 1995; J. Immunol. Methods, 272: 219-233, 2003参照) 等がある) を用いて製造することが望ましい。
あるいは、 F G F Rに対する抗体として、 例えば、 R&D Systems社などより巿販 されている抗体を用いることができる。
試験化合物と FGF Rとの間の親和性は、 当該分野で周知のレセプター一リガ ンド相互作用の測定方法を用いて評価することが出来る。 例えば、 FG FRとの 親和性が FGF結合部位との結合性であるような化合物をスクリーニングする場 合、 当該化合物は FGF Rへの結合に関して FG Fと競合的に作用するので、 例 えば、 上記したような遊離 FGFを適当な標識剤 (例えば、放射性同位元素 (例: 〔125 I〕、 〔131 I〕、 〔3H〕、 〔"C〕 など)、 酵素 (例: 一ガラク トシダーゼ、 — ダルコシダーゼ、 アルカリホスファターゼ、 パーォキシダーゼ、 リンゴ酸脱水素 酵素など)、 蛍光物質 (例: フルォレスカミン、 フルォレツセンイソチオシァネー
トなど)、 発光物質 (例:ルミノール、 ルミノール誘導体、 ルシフェリン、 ルシゲ ニンなど) 等が用いられる) で標識し、 該標識 FGF存在下で、 固相化した FG FR (例: ゥュルプレートに吸着させた FGFR発現細胞、 膜画分など) と試験 化合物とを接触させた後、 固液分離により未反応の F G Fを除去して固相に結合 した標識剤の量 (活性) を定量する方法等が挙げられる。
本発明で用いられる C型肝炎ウィルス (HCV) は、 天然に存在するウィルス でもよいし、 HCVの細胞感染を模倣し得る人工的に操作されたウィルス (例え ば、シユードタイプウィルス)、或いは HCVと同様の表面構造を示すがゲノムを 含まない粒子 (例えば、 HCV— LP (hepatitis C virus-like particles)) で もよい。
本明細書において、 HCVのシユードタイプウィルスとは、 HCVの細胞感染 に必須のエンベロープタンパク質の細胞外ドメインをその表面上に有する、 HC Vの細胞感染を再現し得る組換えウィルス、 例えば、 信頼できる細胞培養系が確 立している他のウィルス (例:水疱性口内炎ウィルス (VSV) 等) において、 当該ウィルスのエンベロープタンパク質の少なくとも殻外ドメインを HCVの 2 つのエンベロープタンパク質 (E 1および E 2) の殻外ドメインに置換して得ら れる組換えウィルスであり、 例えば、 ウィルスゲノム上で元のウィルスのェンべ ロープタンパク質に代えて HCVエンベロープタンパク質を組み込んだ組換えゥ ィルスを用いる方法や、 HCVエンベロープタンパク質を発現させた細胞に元の エンベロープタンパク質を欠損させたウィルスを感染させて、 出芽する際にウイ ルスに HCVエンベロープタンパク質を取り込ませる方法(例: Virology Vol.286 pp.263-275, 2001等に記載の方法) 等により作製することができる。
本明細書において、 HCV— L Pとは、 HCVの細胞感染に必須のェンベロー プタンパク質の細胞外ドメィンをその表面上に有するウィルス様粒子、 例えば、 HCVの 2つのエンベロープタンパク質(E 1および E 2) を導入した細胞(例: 昆虫細胞) において、 該エンベロープタンパク質を有する膜で覆われた粒子とし て、 細胞外に分泌されたり、 細胞内で小胞または液胞状に形成されるのを分離精
製して得られるウィルス様粒子であり、例えば、 Journal of Virology Vol.72, No.5 pp.3827-3836, 1998等の記載に基づいて作製することができる。
ウィルスの細胞感染の程度を測定する方法としては、 当該分野で周知の方法を 用いることができる。 例えば、 HCVとして上記のようなシユードタイプのウイ ルスを用いる場合、 同時にレポーター遺伝子として、 例えば、 分泌型アルカリホ スファターゼ (SEAP) 遺伝子、 GF P遺伝子、 ルシフェラーゼ遺伝子、 ベー タガラク トシダーゼ遺伝子などを組み込むことにより、 該ウィルスに感染した細 胞における該レポータ一遺伝子の発現量を指標として H C Vの細胞感染の程度を 測定することができる。
上記のレポーター遺伝子を利用するウィルスの細胞感染の程度の評価は、 市販 のキッ ト (例えば、 T0Y0B0社、 clontech社などから市販されている) を利用する ことができる。
本発明はまた、 上記本発明のスクリ一二ングノ同定方法の実施に適したスクリ 一二ング Z同定用キットを提供する。 当該キッ トは、 FGFRを含有する脂質二 重膜および Zまたは FGFRを発現する細胞、 並びに HCVのシユードタイプゥ ィルスを含んでなる。 ここで脂質二重膜は、 FGFRを有する細胞から調製され る膜画分であってもよく、 あるいは FGFRを人工脂質二重膜中に包埋したプロ テオリボソームであってもよい。
本発明はさらに、 上記スク リーニング Z同定方法により得られ得る、 FGFR と親和性を有する化合物を含有してなる HCVの細胞感染阻害剤に関する。
1つの好ましい実施形態では、 上記 FGFRと親和性を有する化合物は、 FG F Rの F G F結合部位との結合性を有する。
本発明はさらに、 上記スク リーニングノ同定方法により得られ得る、 FGFR と HCVとの結合に対する遮断能を有する化合物を含有してなる HCVの細胞感 染阻害剤に関する。
1つの好ましい実施形態では、 上記 FGFRと HCVとの結合に対する遮断能 を有する化合物は、 上記 FGFRと親和性を有する化合物であり、 別の好ましい
実施形態では、 上記可溶化させた FGFRである。
本発明の製剤 (阻害剤) は、 任意の担体、 例えば、 薬学的に許容され得る担体 を配合してもよい。
ここで 「薬学的に許容され得る担体」 とは、 賦形剤、 希釈剤、 増量剤、 崩壊剤、 安定剤、 保存剤、 緩衝剤、 乳化剤、 芳香剤、 着色剤、 甘味剤、 粘稠剤、 矯味剤、 溶解補助剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。 そのような担体の一つ以上 を用いることにより、 錠剤、 丸剤、 散剤、 顆粒剤、 注射剤、 液剤、 カプセル剤、 トローチ剤、 エリキシル剤、 懸濁剤、 乳剤あるいはシロップ剤等の形態の製剤を 調製することができる。 これらの製剤は、 経口あるいは非経口的に投与すること ができる。
HCVの細胞感染を阻害し得る製剤の投与量は、投与対象の症状、年齢、体重、 投与経路などにより差異はあるが、 経口投与の場合、 例えば、 患者あたり (体重 60kgとして)、 一日につき約 0. 1〜約 1 0, 00 Omg、 好ましくは約 0. 1〜約 3, 00 Omg, より好ましくは約 0. 1〜約 1, 00 Omg程度が挙げられる。 一 方、 非経口的に投与する場合、 例えば注射剤として投与する場合には、 患者あた り (体重 60kgとして)、一日につき約 0. 0 1〜約 5, 00 Omg、好ましくは約 0. 0 1〜約 2, 000mg、 より好ましくは約 0. 0 1〜約 50 Omg程度が挙げられ る。
以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、 実施例は本発明の単な る例示を示すものにすぎず、 本発明の範囲を何ら限定するものではない。 実施例
(製造例 1 : HCVのシユードタイプウィルスの作製)
HCVのシユードタイプウィルスの作製は、 Virology Vol.286, pp.263-275, 2001年に記載されているのと同様の方法に従って行った。まず、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA Vol.92, pp.4477-4481, 1995 年に記載されている方法を基に、 水疱性
口内炎ウィルス (VSV) の、 エンベロープタンパク質 (糖タンパク質) 遺伝子 が分泌型アルカリホスファターゼ (S EAP) または緑色蛍光タンパク質 (GF P) 遺伝子で置換されたゲノムを有し、 V SVの糖タンパク質を被った組換えゥ ィルス (以下、 S EAP遺伝子で置換されたものを AG/SEAP/VSV G、 GF P遺伝 子で置換されたものを AG/GFP/VSVGという) を作製した。 次に、 AG/SEAP/VSVG または AG/GFP/VSV G を V S Vの糖タンパク質を強制発現させた C H O— K 1細 胞に感染させて、 AG/SEAP/VSV Gおよび AG/GFP/VSV Gを大量に調製し、 以下の 実施例におけるコントロールウィルスとして供した。 また、 Δ G/SEAP/VSV Gまた は AG/GFP/VSV G を、 ^1〇 の£ 1、 E 2タンパク質殻外領域と V S Vの糖タン パク質 C末端領域とからなるキメラタンパク質を強制発現させた CHO— K 1細 胞に感染させ、 HCVの E l、 E 2タンパク質を被ったウィルスゲノムに S E A Pまたは G F P遺伝子を有する組換えウィルス (以下、 それぞれ AG/SEAP/HCV E1E2、 AG/GFP/HCVE1E2という) を大量に調製し、 以下の実施例におけるシユー ドタイプウィルスとして供した。
(製造例 2 : H C V— L Pの作製)
HCV— L Pの作製は、 Journal of Virology Vol.72, No.5, pp.3827-3836, 1998 年に記載されているのと同様の方法に従って行った。 バキュロウィルスベクター に組み込む HC Vの c DNAとしては、配列番号 1に示される HCV J1ゲノムの塩 基配列の 3 30番目〜 2849番目 (H C Vポリプロテインの 1〜 836位のァ ミノ酸に相当) を用いた。
(製造例 3 : FGFR- 5/F cの作製)
ヒ ト FGFR— 5の細胞外ドメインの C末端側に、 ヒ ト免疫グロブリンの F c 領域を、 Factor Xa 配列を含むリンカ一ポリペプチド (配列番号 5に示すアミノ 酸配列からなる) を介して結合させたキメラタンパク質である FGFR— 5ZF cを、 可溶化させた FGFR— 5として、 以下の実施例に用いた。 この FGFR
一 5/F cの作製は、 常法に従って以下のように行った。 FGFR— 5/F cを コードする DN A (ヒ ト FGF R— 5の細胞外ドメインをコードする DNA (配 列番号 2) Zリンカ—ポリペプチドをコードする DN A (配列番号 4) Zヒ ト免 疫グロブリンの F c領域をコードする DN A (配列番号 3) からなる) を組み込 んだ発現ベクター p ME 1 8 S (丸山ら、 Medical Immunology, 20(1) pp.27-32 (1990)を参照のこと) を、 HEK 293 F細胞に導入し、 そして、 この細胞を培 養して、 FGFR— 5ZF cタンパク質を大量発現させた。 次いで、 発現産物を 含む培養上清を採集し、 P r o t e i n Aカラムを用いて精製することによつ て、 FGF R_ 5ZF cを取得した。
(実施例 1 :種々の線維芽細胞成長因子 (FGF) ファミリーのメンバーの、 H C Vのシユードタイプウィルスの細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞: H e p G 2
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit- SEAP - (TOYOBO SAK-101 Lot. 316100)、 FGF - 1、 FGF_2、 FGF - 4、 FGF - 5、 FGF_6、 FGF - 7、 FGF-8、 FGF- 9、 FGF-10、 FGF- 16、 FGF- 17、 FGF- 18、 FGF- 19, FGF- 20、 EGF、 HGF (Pepro Tech)
(方法)
He pG 2細胞を、 0. 8 x 1 04 cells/well/ 80 μ 1/96 wpにて播種後、 37°C、 5%C02で一夜 (Ο,Ν) 培養した。 上記のヒ ト由来の各 FGF、 な らびに上皮成長因子(EGF) および肝細胞增殖因子(HGF) を、上記 Reporter Assay Kitのインス トラクションに従い、 1 00 μ gZmlに調製後に P B Sにて階 段希釈を行ったものを 1 0 μ 1添加した。 37°C、 5%C02にて 1時間反応後、 lxlO10 genome/ 10μ 1の AG/SEAP/HCV E1E2または lxlO8 genome/ 10 1の Δ
G/SEAP/VSV Gを添加し、 37 °C、 5 % C O 2にて 24時間培養した。 感染したゥ ィルスから培養上清中に分泌された S E A Pの量を測定するために、 1 Ο μΐの 培地を Corning (登録商標) 96 Well Black Round Bottom Polystyrene Not Treated Microplate, 25 per Bag, without Lid, Non-Sterile (Cat. #3792)·に移し、 上 記 Reporter Assay Kitの阻害液を 10 μ 1加え、 室温 (RT) にて 30分間反応 させた。 次に、 80 /i 1の発光試薬を加え、 37 °Cにて 30分間反応後、 ルミノ メータで測定した。 得られた値から、 いずれの増殖因子も含まない細胞の S E A P量を 100%として、 各 FGFの I C 50値を求めた。 (結果および考察)
本実験の結果、 FGF— 2、 FGF— 7、 FGF— 8、 FGF— 1 7力 厶 G/SEAP/HCV E1E2 の感染を阻害することが明らかとなり、 特に FGF— 2と FG F— 7では、 その阻害が顕著であった (表 1)。 このことから、 FGFRが HCV の細胞感染 (細胞接着および または細胞内取り込み) に関与すること、 並びに そのような FGFRを介する HCVの細胞感染を FGF (特に FGF— 2、 FG F— 7、 FGF— 8および FGF— 1 7 ; 中でも特に FGF— 2および FGF— 7) が阻害することが示唆された。 したがって、 ( i ) 生来 FGFRを発現してい る細胞 (例えば、 He p G 2) と HCVのシユードタイプウィルスとを用いて細 胞感染の程度を評価するアツセィ系は、 FGFRとの親和性または FGFRと H C Vとの結合に対する遮断能を有する化合物のなかで H C Vの細胞感染を阻害し 得るものの選抜または判定に利用でき、 ( i i )当該アツセィ系において FGFと _ の競合度を評価することにより、 FGFRとの親和性または FGFRと HCVと の結合に対する遮断能を有し且つ HCVの細胞感染を阻害し得る化合物をスクリ 一ユングまたは同定することができ、 ( i i i )これらの選抜若しくは判定されま たはスクリーニング若しくは同定された化合物 (FGFを含む) は、 HCVの細 胞感染阻害剤として C型肝炎の予防又は治療に利用できる可能性が示された。
(表 1)
IC 50
厶' G/SEAP/HCV E1E2 AG/SEAP/VSY G human 'FGF'l' (酸性)'.
h manFGF2塩基性) 1.36
human FGF 4
human FGF 5
human FGF 6
human FGF 7 (KGF) 2.32
human FGF 8 8.51
human FGF 9
human FGF 10 >10
human FGF 16
human FG 17 7.41
human FGF 18 >10
human FGF 19
human FGF 20 >10
human EGF
human HGF
(^g/ml)
(実施例 2 : FGFR強制発現細胞に対する、 HCVのシユードタイプウィルス の感染性)
(材料)
細胞: C H O— K 1
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit-SEAP- (T0Y0B0 SAK-101 Lot.316100)、 G418(PAA lab. )
(機材)
FACSCalibur (Becton Dickinson)
(方法)
RT— P CRにてクローニングした GenBank登録番号: NM_002011に示される mRNA配列の 1 5 7番目から 2 56 5番目までに相当するヒ ト由来の FGFR— 4の c DN Aを発現ベクター p c DN A 3. 1 (一) (Invitrogen) の
Hindlll-Xbal siteに、 および GenBank登録番号: NM_021923に示される mRNA配 列の 23番目から 1 53 7番目までに相当する FGFR— 5の c DN Aを発現べ クタ一 ρ E F 1 ZMy c H ί s A (Invitrogen) CD Bam!H- EcoRI siteに、 それぞ れ挿入、 サブクローニングし、 得られた各ベクターで CHO— K 1細胞をトラン スフエクシヨンし、 G4 1 8 (3mg/m 1 ) にて選択維持し、 必要に応じてセ ノレ'ソーターにてさらに選択することにより、各 FGFR強制発現 CHO細胞(C HO/FG F R- 4、 CHO/F G F R— 5) を得た。 これらと、 p c DNA 3. 1を導入した CHO— K 1細胞、 および非トランスフエクシヨン CHO— K 1細 胞を、 8 X 103 cells/well/ 90 μ 1/96 wpにて播種後、 3 7°C、 5 % C O 2 で OZN培養した。 lxlO10 genome/10 μ 1の AG/SEAP/HCV E1E2または lxlO10 genome/10/χ 1の AG/SEAP/VSV Gを感染させ、 37 °C、 5%C02にて 1時間吸着 後、 培地にて 1回洗浄し、 3 7°C、 5 %C02にて 24時間培養した。 培養上清 中の S EAP量を測定するため、 1 0 1の培地を Corning (登録商標) 96Well BiacK Round Bottom Polystyrene Not jreated Microplate, 25 per Bag, without Lid, Non-Sterile (Cat. #3792)に移し、 Reporter Assay Kit (T0Y0B0 SAK-101 Lot.316100)の阻害液を 10 μ 1加え、 室温 (RT) にて 30分間反応させた。 次 に、 80 μ 1の発光試薬を加え、 37 °Cにて 30分間反応後、 S EAP量を、 ル ミノメータで測定した。 得られた値から、 非トランスフエクシヨン細胞の S E A P量を 100として、 各細胞の S E A P量の相対値を算出した。 (結果および考察)
本実験の結果、 図 1に示すように、 CHOノ FGFR— 4では、 AG/SEAP/HCV E1E2の感染性の促進性は僅かであった。 それに対して、 CHOZFGFR— 5の
厶 G/SEAP/HCV E1E2の感染性は、 コントロールに対して、 約 6倍に上昇した。 こ のことから、 FGFR— 5が HCVの細胞内侵入に関与していることが示唆され た。 したがって、 FGFR、 なかでも特に細胞内侵入に関与する FGFR— 5を 強制発現させた細胞 (例えば、 CHO) と HCVのシユードタイプウィルスとを 用いて細胞感染の程度を評価するアツセィ系は、 FG F Rとの親和性または FG F Rと Ή C Vとの結合に対する遮断能を有し且つ H C Vの細胞感染を阻害し得る 化合物のスクリ一二ングまたは同定に利用できる可能性が示された。
(実施例 3 : FGF R強制発現細胞に対する、 HCV— L Pの結合能)
(材料)
細胞: CHO—K 1
ウィルス : HC V— L P
試薬: D-MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 PBS (-) (S研生物)、 G418 (PAA lab. 、 Core EL ISA kit (Ortho— Clinical Diagnostics
(機材)
FACSCalibur (Becton Dickinson)
(方法)
実施例 2と同様の方法により、 FGFR強制発現 CHO細胞 (CHOZFGF R— 4および CHOZFGF R— 5) を得た。 得られた C HOZF G F R— 4お よび CHOZF G F R— 5、 ならびに非トランスフエクシヨン CHO— K 1細胞 を、 5 x l 04 cells/well/280 /i 1/48wpにて播種後、 37°C、 5 % C O 2 にて Ο,Ν培養した。 HCVコアタンパク質 30pg当量/ 20/zlの HCV— L P (ォ ーソ HCV抗原 E L I S Aテス ト (体外診断用医薬品 ;承認番号
21400AMZ00485000) で定量) を接種し、 4 °Cにて 2時間吸着後、 PB Sにて 3回 洗浄し、 細胞を回収した。 回収した細胞に吸着した HCV— L Pの量を、 コアェ ライザキッ トを使用して、 キッ 卜に添付の説明書に従って測定した。
(結果および考察)
本実験の結果、 図 2に示すように、 HCV— L Pは、 CHOZFGFR— 4お よび CHOZFGFR— 5に特異的に結合した。 このことから、 FGFR— 4お よび FGFR— 5が HCVの細胞接着に関与していることが示唆された。 したが つて、 FGFR (特に FGFR— 4または FGFR— 5) を強制発現させた細胞 (例えば、 CHO) と HCV—L Pとを用いて両者の結合能を評価するアツセィ 系は、 FGFRとの親和性または FGFRと HCVとの結合に対する遮断能を有 し且つ HCVの細胞感染を阻害し得る化合物のスクリ一二ングまたは同定に利用 できる可能性が示された。
(実施例 4 : FGFR強制発現細胞に対する、 患者血漿中の HCVの結合能) (材料)
細胞: C H O— K 1
ウィルス:ウィンドウ期 HC V患者血漿(T y p e l a) (BioClinical Partners Inc. )
試薬: D-MEM high glucose (S研生物)、 FBS (CTT)、 PBS (-) (S研生物)、 G418 (PAA lab. )、 TaqMan (Applied Biosystetns)
(機材)
ABI PRISM 7000 (Applied Biosystems) (方法)
実施例 2と同様の方法により、 FG F R強制発現 CHO細胞 (CHO/FGF R— 4および CHOノ FGFR— 5) を得た。 得られた C H 0 F G F R— 4お よび CHO/FGF R— 5、 ならびに非トランスフエクシヨン C H O— K 1細胞 を、 1 X 1 05cells/well/500 /z 1/24wpにて播種後、 37°C、 5%C02で O/N培養した。 HCV患者血漿を、 各細胞に接種し 37°Cで 24時間培養した
後、 PB S (-) にて 3回洗浄した。 各細胞に結合した HC Vの RNA量を、 リ アルタィム P C Rにて定量した。
(結果および考察)
患者血漿中の HCVは、 図 3に示すように、 CHOZFGFR— 4および CH OZFGFR— 5に特異的に結合した。 このことから、 FGFR— 4および FG FR— 5は、 HCVと結合する宿主因子であることが示唆された。 したがって、 FGFR (特に FGFR— 4または FGFR— 5) を強制発現させた細胞 (例え ば、 CHO) と患者由来の HCVとを用いて両者の結合能を評価するアツセィ系 は、 FGFRとの親和性または FGFRと HCVとの結合に対する遮断能を有し 且つ HCVの細胞感染を阻害し得る化合物のスクリーユングまたは同定に利用で きる可能性が示された。
(実施例 5 : FGFRノックダウン細胞に対する、 HCVのシユードタイプウイ ルスの感染性)
(材料)
細胞: H u h 7
ウィルス : AG/GFP/HCV E1E2、 AG/GFP/VSV-G
試薬: D-MEM high glucose (日研生物)、 OPTI- MEM (Invitrogen)、FBS (CTT)、 control siRNA、 FGFR - 4 si腿、 FGFR-5 si RNA (B - Bridge)、 siFECTOR (B - Bridge)
(機材)
FACSCalibur (Becton Dickinson)
(方法)
Hu h 7細胞を、 4 x 1 05cells/well/2ml/6wpにて播種後、 3 7°C、 5 % C02で OZN培養した。 FGFR— 4をノックダウンする s i RNA, FGF R_ 5をノックダウンする s i RNA, およびコントロールとして F G F Rをノ
ックダウンしない s i RNAを、 siFECTORのインストラクションに従い、 最終濃 度 40 nMおよび/または 80 nMに調製し、 培養した Hu h 7細胞をトランス フエクシヨンした。 各トランスフエクシヨン Hu h 7細胞、 およびコントロール として非トランスフエクシヨン Hu h 7細胞を、 3 7°C、 5%じ02にて24時 間培養後、 再播種し 37°C、 5°/。C02にて 24時間培養後、 m. o. i . (感染 多重度) 0. 1で AG/GFP/HCVE1E2、 または AG/GFP/VSV- Gを接種した。 さらに、 37°C、 5%CO2にて 24時間培養し、 GF Pポジティブ細胞を FAC Sにて カウントしてその陽性率を、 非トランスフエクション細胞の GF P量を 1 00% として算出した。
(結果および考察)
本実験の結果、 図 4に示すように、 Hu h 7細胞の FGFR— 4をノックダウ ンすると、 AG/GFP/HCVE1E2の感染性が、 s i R N Aの濃度に依存して阻害され ることが明らかとなった。 また、 FGFR— 5ノックダウン Hu h 7細胞では、 同じ濃度の s i RNAの存在下で、 F G F R— 4ノックダウン細胞よりもより強 い感染阻害が認められた。 このことより、 FGFR— 4は、 HCVの細胞内侵入 には積極的に関与していないが、 細胞接着には一定の役割を担っていることが示 唆された。 また、 FGFR— 5は、 HCVの細胞接着および細胞内侵入に関与し ていることが示唆された。
(実施例 6 :可溶化させた FGFR— 1〜FGFR— 4の、 HCVのシユードタ イブウィルスの細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞: H e p G 2
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit - SEAP- (T0Y0B0 SAK-101 Lot. 316100)、 FGFR-1 a I IIb/Fc、 FGFR-1 β IIIb/Fc, FGFR- 1 a
IIIc/Fc、FGFR- 1 β IIIc/Fc、FGFR-2 a IIIb/Fc、FGFR- 2 ]3 IIIb/Fc、FGFR- 2 a IIIc/Fc、 FGFR- 2 IIc/Fcゝ FGFR- 3 α IIIc/Fc、 FGFR-4/Fc (SIGMA)
(方法)
H e p G 2細胞を、 8 x 1 03 cells/well/ 80 1/ 96 wpにて播種後、 3 7°C、 5%C02で OZN培養した。 可溶化させた FGFRとして各 FGFR/F Cを 上記 Reporter Assay Kitのインストラクションに従い 100 μ g/mlに調製後に P B Sにて階段希釈を行ったもの 10μ 1に、 lxlO9 genome/10 1の Δ G/SEAP/HCV E1E2 または lxlO7 genome/10 / 1の AG/SEAP/VSV Gを添加して、 37°C、 5%C02に て 1時間反応させた。各 FG F R/F c—ウィルス混合液、およびコントロールと して各ウィルスのみを、 培養した He p G 2細胞に接種し、 3 7°C、 5 % C O 2 にて 1時間吸着後、 培養液で 2回洗浄した。 3 7°C、 5%C02にて 24時間培 養後、 培養上清中の S E AP量を測定し、 得られた値から、 AG/SEAP/HCV E1E2 のみを接種した細胞の感染量を 1 00%として、各 FGFR/F c処理細胞の相対 感染率 (%) を算出した。
(結果および考察)
本実験の結果、図 5に示すように、可溶化させた、 FGFR- 1 β IIIb、FGFR-l j3 IIIc、 FGFR- 2]3 IIIb、 FGFR-2 α IIIc、 FGFR- 4により、 Δ G/SEAP/HCV E1E2の感染性は阻 害された。 このことから、 FGFR— 1〜 FGFR— 4 (特に FGFR— 4)
HCVの細胞感染 (少なくとも細胞接着または細胞内侵入) に関与すること、 並 _ びにそのような FGFR— 1 ~FGFR— 4 (特に FGFR— 4) を介する HC Vの細胞感染を可溶化させた FGFR—:!〜 FGFR— 4 (特に FGFR— 4) が阻害することが示唆された。 したがって、 ( i ) 生来 FGFRを発現している細 胞 (例えば、 He pG 2)、 HCVのシユードタイプウィルス及び可溶化させた F GFRを用いて細胞感染に対する可溶化させた F GF Rの競合度を評価するアツ セィ系は、 F G F Rとの親和性または FGFRと HCVとの結合に対する遮断能
を有し且つ HCVの細胞感染を阻害し得る化合物のスクリ一二ングまたは同定に 利用でき、 また、 ( i i ) 可溶化させた F G F R自体は、 HCVの細胞感染阻害剤 として C型肝炎の予防又は治療にも利用できる可能性が示された。 (実施例 7 :可溶化させた F G F R— 5の、 H C Vのシユードタイプウィルスの 細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞: H e p G 2
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D-MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit - SEAP- (T0Y0B0 SAK-101 Lot. 316100)、 FGFR-5/Fc
(方法)
H e p G 2細胞を、 8xl03cells/well/80/ l/96wpにて播種後、 3 7°C、 5 %C O 2で O/N培養した。製造例 3に従って作製した可溶化させた F G F R— 5 (F G F R - 5 /F c ) を 100μ β/πι1に調製後に P B Sにて階段希釈した。 次いで、 希釈によって調製した一連の濃度の F G F R- 5/F cについて、 (A) 10μ 1の FG F R— 5ZFcと、 lxlO9 genome/10 /i 1 の Δ G/SEAP/HCV E1E2 または lxlO7 genome/ΙΟμ 1の AG/SEAP/VSV Gを混合して、 3 7°C、 5 % 02にて 1時間反応 させた後、 各 F G F R- 5/F c _ウィルス混合液を、 培養した H e p G 2細胞に 接種する力 (B) 10 μ 1 の F G F R— 5 F c と、 lxlO9 genome/10 1 の Δ . G/SEAP/HCV E1E2または lxlO7 genome/10 μ 1の Δ G/SEAP/VSV Gとの混合と同時に、 培養した H e p G 2細胞に接種する力、、 あるいは (C) lxlO9 genome/10 1の厶 G/SEAP/HCV E1E2または lxlO7 genome/10 / 1の Δ G/SEAP/VSV Gを培養した H e p G 2細胞に接種して、 3 7°C、 5 %C02にて 1時間培養した後、 10μ 1の F G F R— 5ノ F cを添加した。 コントロールとして各ウィルスのみを、 培養した H e p G 2細胞に接種した。 これらの細胞を 3 7°C、 5 %C 02にて 2 4時間培養後、
Reporter Assay Kitのインストラクションに従って、 培養上清中の S E AP量を 測定し、各濃度の FGF R— 5/F cによるウィルスの細胞感染の阻害率(%)を、 ウィルスのみを接種した細胞の S EAP量を基準として算出した。 (結果および考察)
本実験の結果、図 6に示すように、 FGFR— 5/F cにより、用量依存的に、 厶 G/SEAP/HCV E1E2の H e p G 2細胞への感染は阻害された。 FGFR— 5ZF cは、 実施例 6における FGFR— 4ZF Cを始めとする他の F G F R^F Cよ りも、 ウィルスと混合させた後に細胞に接種させた場合 (上記 (A)) において、 より低い FGFRZF c濃度でより強い感染阻害効果を示した。 また、 FGFR 一 5ZFcは、 ウィルスのみを細胞に接種させた後で添加した場合 (上記 (C)) においては、 ウィルスと混合させた後に細胞に接種させた場合と比べて、 その感 染阻害効果は低下するものの、 依然として有意に、 AG/SEAP/HCV E1E2の H e p G 2細胞への感染を阻害した。 このことにより、 FGFR— 5が HCVの細胞感 染 (特に、 細胞内侵入) に関与すること、 並びにそのような FGFR— 5を介す る HCVの細胞感染を可溶化させた FGFR— 5が強力に阻害することが示唆さ れた。 したがって、 可溶化させた FGFR、 なかでも可溶化させた FG F R— 5 は、 HCVの細胞感染阻害剤として C型肝炎の予防又は治療に利用できる可能性 が示された。
(実施例 8 :抗マウス FGFR— 5ポリクローナル抗体の、 HCVのシユードタ イブウィルスの H e p G 2細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞: H e p G 2
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- EM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit - SEAP - (T0Y0B0 SAK-101 Lot. 316100)、 抗マウス FGFR- 5ポリクローナル抗体 (R&D
Systems Catalog No. AF1899) (方法)
He pG 2細胞を、 0.8xl04cells/well/80/z l/96wpにて播種後、 3 7°C, 5 % C02で O/N培養した。 抗マウス FGFR-5ポリクローナル抗体を 300 μ gZml に調製後に P B Sにて階段希釈を行ったものを 1 0 μ 1 添加した。 37°C、 5 %C 02にて 1時間反応後、 lxl01Q genome/10 μ 1 の Δ G/SEAP/HCV E1E2 または lxlO8 genome/10 / 1の AG/SEAP/VSV Gを添加し、 37°C、 5 % C O 2にて 24時間培養 した。 Reporter Assay Kitのインストラクションに従って、 各々の培養上清中の S EAP量を測定し、 抗マウス FGFR-5抗体による、 Δ G/SEAP/HCV E1E2および厶 G/SEAP/VSVGの細胞への感染の阻害率 (%) を、 各ウィルスのみを接種した細胞 の S EAP量を基準として算出した。
(結果および考察)
本実験の結果、 図 7に示すように、 抗マウス FGFR- 5抗体により、 用量依存的 に、 Δ G/SEAP/HCV E1E2の細胞への感染が阻害された。 このことから、 FGFR との親和性または FGFRと HCVとの結合に対する遮断能を有する化合物 (例 えば、 FGFR- 5と親和性を有する抗体) は、 HCVの細胞感染阻害剤として C型肝 炎の予防又は治療に利用できる可能性が示された。
(実施例 9 :可溶化させた FGFR— 5の、 患者血漿中の HCVの細胞への結合 _ 能に対する影響)
(材料)
細胞: H e p G 2及び H u h 7
ウィルス : ウィンドウ期 HC V患者血漿 (T y p e l a) (BioClinical Partne rs, Inc. )
試薬: D-MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 PBS (-) (日研生物)、 TaqMa
n (Applied Biosystems)、 FGFR-5/Fc
(機材)
ABI PRISM 7000 (Applied Biosystems) (方法)
He G 2及び H u h 7細胞をそれぞれ、 1 x 1 05cells/well/ 500 1/ 2 4wp にて播種後、 3 7°C、 5%CO2で O/N培養した。 製造例 3に従って作製 した可溶化させた FGFR— 5 (FGFR- 5/F c) を 100 g/mlに調製後に PB Sにて階段希釈した。 次いで、 希釈によって調製した一連の濃度の FGFR - 5/F c 1 0 μ 1 と、 HC Vゲノム RNA ( 1 X 106コピー /5 / 1) を含有 する HC V患者血漿とを培地中に混合して 500 μ 1 とし、 3 7°C、 5 % C O 2 にて 1時間反応させた。 またコントロールとして HCVゲノム RNA ( 1 x 1 0 6コピー /5 μ 1)を含有する HCV患者血漿のみを含む培地 500 ilを調製した。 各 FGFR— 5ZF c— HCV患者血漿混合液及びコントロールを、 それぞれ培 地を交換することにより各細胞に接種し、 37 °Cで 24時間培養した後、 PB S (一) にて 3回洗浄した。 各細胞に結合した HC Vの RNA量を、 リアルタイム PCRにて定量した。
(結果および考察)
本実験の結果、図 8に示すように、 FGFR— 5ZF cにより、用量依存的に、 患者血漿中の HC Vの H e p G 2および Hu h 7細胞への結合は阻害された。 こ のことにより、 FGFR— 5が HCVの細胞感染 (少なく とも細胞接着) に関与 すること、 並びにそのような FGFR— 5を介する HCVの細胞感染を可溶化さ せた FGF R— 5が強力に阻害することが示唆された。 したがって、 ( i ) 生来 F GFRを発現している細胞 (例えば、 He p G 2や Hu h 7)、 患者由来の HCV 及び可溶化させた F G F Rを用いて細胞感染に対する可溶化させた F G F Rの競 合度を評価するアツセィ系は、 F G F Rとの親和性または FGFRと HCVとの
結合に対する遮断能を有し且つ HCVの細胞感染を阻害し得る化合物のスクリー ユングまたは同定に利用できる可能性、及び、 ( i i ) FGFRと HCVとの結合 に対する遮断能を有し且つ HCVの細胞感染を阻害する化合物 (例えば、 可溶化 させた FGFR、 なかでも可溶化させた FGFR— 5) は、 HCVの細胞感染阻 害剤として C型肝炎の予防又は治療に利用できる可能性が示された。
(実施例 1 0 :可溶化させた FGFR— 5の、 HCVのシユードタイプウィルス の初代培養ヒ ト肝細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞:初代培養ヒ ト肝細胞
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- MEM high glucose (日研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit - SEAP - (T0Y0B0 SAK-101 Lot. 316100)、 FGFR-5/Fc (方法)
初代培養ヒ ト肝細胞を、 8xl03cells/well/80/z l/96wpにて播種後、 3 7°C、 5 % C02で OZN培養した。 製造例 3に従って作製した可溶化させた FGFR— 5
(FGFR- 5/F c) を 100/ g/mlに調製後に P B Sにて階段希釈した。 次い で、 希釈によって調製した一連の濃度の F G F R- 5/F c ΙΟμ 1 と、 lxlO9 g enome/lO/i 1の AG/SEAP/HCV E1E2または lxlO7 genome/10 μ 1の Δ G/SEAP/VSV G を混合して、 3 7°C、 5%C02にて 1時間反応させた。 各 FGF R- 5/F c— ウィルス混合液、 及びコントロールとして各ウィルスのみを、 培養した細胞に接 種した。 これらの細胞を 3 7°C、 5%CO2にて 24時間培養後、 Reporter Assa y Kitのインストラクションに従って、 培養上清中の S E AP量を測定し、 各濃 度の F G F R_ 5/F c処理細胞におけるウィルスの感染率 (%) を、 ウィルスの みを接種した細胞の S EAP量を基準として算出した。
(結果および考察)
本実験の結果、図 9に示すように、 FGF R— 5/F cにより、用量依存的に、 △ G/SEAP/HCV E1E2 の初代培養ヒ ト肝細胞への感染は阻害された。 このことによ り、 FGF R— 5が HCVの細胞感染 (特に、 細胞内侵入) に関与すること、 並 びにそのような FG FR— 5を介する HCVの細胞感染を可溶化させた FG FR 一 5が強力に阻害することが示唆された。 したがって、 ( i ) 生来 FGFRを発現 している細胞 (例えば、 初代培養ヒ ト肝細胞)、 HCVのシユードタイプウィルス 及び可溶化させた FGF Rを用いて細胞感染に対する可溶化させた FGF Rの競 合度を評価するァッセィ系は、 F G F Rとの親和性または F G FRと HCVとの 結合に対する遮断能を有し且つ HCVの細胞感染を阻害し得る化合物のスクリー ユングまたは同定に利用できる可能性、及び、 ( i i ) FGFRと HCVとの結合 に対する遮断能を有し且つ HCVの細胞感染を阻害する化合物 (可溶化させた F GFR、 なかでも可溶化させた FGF R— 5) は、 H C Vの細胞感染阻害剤とし て C型肝炎の予防又は治療に利用できる可能性が示された。
(製造例 4 :抗 FG FR— 5モノクローナル抗体の作製)
( 1) FLAG-FGFR5発現ベクターの構築
(材料)
試薬: pEFl/FGFR5;
プライマー (日本バイオサービス)
1. TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA GAC CCA AGC TGG CTA GTT AAG CTT GGT A (配 列番号 6)
2. TTT ATC GTC ATC GTC TTT GTA GTC CTT TGG GGG GCC TCG GGC GGC GGC G (配 列番号 7)
3. GAC TAC AAA GAC GAT GAC GAT AAA ATG GCG GAC AAG GTG GTC CCA CGG C (配 列番号 8)
4. GCT TGG TAC CGA GCT CGG ATC CGC (配列番号 9 )
*下線部は新たに挿入する FLAG配列;
KOD-plus polymerase (T0Y0B0 Ca#K0D-20l ) ;
GeneAmp PCR System 9600 (Perkin Elmer) ;
QIAquick gel extraction kit (QIAGEN Ca#28704) ;
Klenow fragment (Takara Ca#21 14A) ;
QIAquick nucleot ide removal kit (QIAGEN Ca#28304) ;
BamH I (T0Y0B0) ;
Cla I (Takara) ;
DNA l igation kit (Takara Ca#6022) ;
JM109 (Takara Ca#9052) ;
Endofree Plasmid Maxi kit (QIAGEN Ca#12362)
(方法)
FGFR5 (GenBank登録番号: N _021923;配列番号 2 2及び 2 3 ) の N末端 (シ グナル配列の C末端) に位置する 30番目のリジンと 31番目のメチォニンの間に FLAGを挿入した発現ベクターを作製した。
FGFR5遺伝子の供給源として、 pEFl/mysHisAベクター (Invitrogen) の BamHI 及び EcoRI部位に、全長 FGFR5配列をクローニングして作製した pEFl/FGFR5プラ スミ ドを用いた。
プライマー 1 (Forward) と 2 (Reverse) の組み合わせにより FLAG挿入部より も N末端側の FGFR5の配列、 ならびにプライマー 3 (Forward) と 4 (Reverse) の 組み合わせにより FLAG挿入部よりも C末端側の FGFR5の配列を、プライマー 2 と 3により FLAG配列を付加する形で、 PCRにより増幅した。 PCR反応は、 K0D- plus polymeraseに示されたプロ トコールに従って、 総量 50 tiLの溶液中に、 錄型とし て 40 ngの pEFl/FGFR5プラスミ ド溶液を添加して行った。 反応条件は 94°Cで 1 分間、 50°Cで 1分間、 68°Cで 1分間を 1サイクルとして、 30サイクル繰り返した。 得られた DNA断片を QIAquick gel extract ion ki tにより精製し、 Klenow fragm
entによる平滑末端化、 QIAquick nucleotide removal kitによる再精製を実施し た後に、 得られた 2つの DNA断片、 およびプライマー 1 (Forward) と 4 (Reverse) を用いて、 2回目の PCRを実施した(反応条件などは 1回目の PCRと同様の条件)。 得られた PCR産物および pEFl/FGFR5を、 BamH I と Cla Iにより切り出し、 QIAq uick gel extraction kitによる精製を行うことで FLAG揷入型 FGFR5遺伝子断片 および BamH I と Cla Iによって切断されたプラスミ ド断片を得た。 得られた 2種 類の DNA断片を、 DNA l igation kitを用いて、 添付のプロ トコールに従って、 ラ ィゲーシヨン反応を実施した後に、 JM109への形質転換を実施した。 コロニー PCR により目的の遺伝子を増幅したものに関して、 Endofree Plasmid axi kitを用 いて、 エンドトキシンフリーの形でプラスミ ド溶液の大量調製を実施して、 FLAG 挿入型 FGFR5発現ベクターとした。 また、 得られたベクターは、 シークェンス解 析により、 目的の遺伝子配列を持つことを確認した。 シークェンス解析は常法に 従って行い、 プライマーは FGFR5発現ベクターの構築時と同様のものを用いた。 ( 2 ) FLAG— FGFR5恒常発現 CH0細胞の取得と免疫用抗原の調製
(材料)
試薬: Genejammer Transfection reagent (STRATAGENE Ca#204130-21) ;
D-MEM (High glucose) (Nikken Ca#CM4402) ;
PBS (-) (Nikken Ca#CM6201) ;
FBS (CCT Ca#3008-502) ;
G418 (PAA Ca#P02-012) ;
抗 FLAG抗体 (Sigma) ;
抗マウス Ig-PE標識 2次抗体 (Pharmingen BD) ;
30% BSA (Sigma)
機器: FACSort (BD)
(方法)
上記(1 ) にて調製した FLAG-FGFR5発現ベクター を、前日に 1X106で lOciti ディッシュに播種した CH0細胞に、 Genejammer transfection試薬を用いてメー カーのインス トラクションに従い導入した。 導入の翌日に、 3mg/mLの G418を培 地に加え、 薬剤による選択を行い、 FLAG-FGFR5恒常発現 CH0細胞を調製した。 得られた 3X107個の FLAG-FGFR5恒常発現 CH0細胞を PBS (-)で洗浄後、 5mM EDTA 及び 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いてピペッティングにより、細胞をディッシュから 浮遊させて回収した。回収後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を洗浄し、 5 μ g/mL の抗 FLAG抗体を含む 0. 5%BSA含有 PBS (-)に細胞を懸濁し、 4°Cにて抗体反応を 1 時間行った。 反応後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を 2回洗浄し、 0. 5%BSA 含有 PBS (-)で 400倍に希釈した抗マウス Ig-PE標識 2次抗体と、 4°Cにて抗体反 応を 1時間行った。 反応後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を 2回洗浄し、 FACSortにて細胞の選別を実施した。 この選別作業を 2回繰り返した。
上記により得られた FLAG-FGFR5高発現 CH0細胞を、 1. 0 X 106cel ls/20 ml/15 cm dishで 100枚のディッシュにて 4日間培養し、 PBS (- ) /10 m EDTAを用いて細 胞を回収し、遠心操作によって上清を取り除いた後に、液体窒素により凍結した。 氷上にて凍結した細胞を融解し、プロテアーゼインヒビターを含む緩衝液(0. 25 M Sucrose/ 10 mM MgCl2/ 25 mM HEPES (pH 7. 4) ) に懸濁し、 ポッター式ホモジ ナイザーを用いて、 2000 rpm、50 strokesのホモジナイズを実施した。 1500 rpm、 4°Cで 10分間遠心して上清を回収し、 沈殿に新たな緩衝液を添加し同様の操作を 行った。 2回のホモジナイズにより得られた上清から、 50000 rpm、 4°Cで 1時間 の遠心により沈殿を回収し、 PBS (-) に懸濁することで細胞膜画分とし、 これを 免疫抗原とした。
( 3 ) ハイプリ ドーマの作製と抗体の調製
細胞: PAI mouse myeloma
動物: Balbんマウス 4週齢
試薬: FCA Freund' s Complete Adjuband (CAPPEL Ca#55828) ;
FIA (Freund' s Incomplete Adjuband ; CAPPEL Ca#55829) ;
PEG 1500 (Roche, Ca#783641) ;
KBM培地 (コージンバイオ Ca# 16009600) ;
lx HAT (コスモバイオ, 16213004) ;
lx HT (コスモバイオ, 16214004) ;
lx Penicillin-streptmycin-Glutatnine (GIBCO BRL, Ca#10378-016) ;
10% FCS (PAA, Ultra Low IgG ) ;
1% NEAA (GIBCO BRL, Ca#l 1140-050) ;
1% T-STIM (BD, Ca#354116)
(方法)
上記 (2) において得られた細胞膜画分を、 初回は FCA、 2回目は FIA、 3回目 は膜画分のみを用いて、 マウスのフッ トパッド (foot pad) に片足あたり を免疫した。 3回目の免疫の 2 日後に、 マウスの膝窩、 鼠蹊及び腸骨リンパ節を 回収して洗浄した後、 定法に従い、 PAI細胞との融合を行った。 融合細胞は、 KBM 培地 (Glutamine P/S, NEAA, T STIM, HAT及び UL FBS を含む) に再懸濁し、 96 ゥエルプレートに播種した。 細胞融合後、 約 10 日間の培養を行い、抗 F G F R— 5モノクローナル抗体を含む培養上清を得た。 (実施例 1 1 :抗 F G F R_ 5モノクローナル抗体の、 F G F R— 5との親和性 に基づくスク リ一ユング)
( 1 ) スク リーニング用 FGFR5恒常発現 CH0細胞の取得
(材料)
試薬: pEFl/FGFR5;
FuGENE6 transfection reagent (Roche Ca#l-814-443) ;
Ham' s F12 (GIBCO BRL Ca#l 1765-054) ;
PBS (-) (Nikken Ca#CM6201) ;
FBS (CCT Ca#3008-502) ;
G418 (PAA Ca#P02-012) ;
抗 FLAG抗体 (Sigma) ;
抗マウス Ig-PE標識 2次抗体 (Pharmingen BD) ;
30% BSA (Sigma) ;
抗 FGFR5モノクローナル抗体 R5B1- 21
機器: FACSort
(方法)
実施例 1 0の ( 1 ) にて調製した FLAG- FGFR5 発現ベクター 6 x g を、 前日に 1. 2X106で 10cmディッシュに播種した CH0細胞に、 FuGENE6 transfection reagent 試薬を用いて、 メーカーのインストラクションに従い導入した。 導入の翌日に、 3mg/mLの G418を培地に加え、 薬剤による選択を行い、 FGFR5恒常発現 CH0細胞 を調製した。
得られた 3X107個の FGFR5恒常発現 CH0細胞を PBS (-)で洗浄後、 5mM EDTA及び 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いてピペッティングにより、 細胞をディッシュから浮遊 させて回収した。 回収後、 0. 5%BSA 含有 PBS (-)を用いて細胞を洗浄し、 5 /z g/mL の抗 FGFR5 モノクローナル抗体 R5B卜 21 (製造例 4に従って取得され、 予め FGFR/Fcを用いて FGFR- 5への特異的結合が確認された抗体) を含む 0. 5%BSA含有 PBS (-)に細胞を懸濁し、 4°Cにて抗体反応を 1時間行った。 反応後、 0. 5WSA含有 PBS (-)を用いて細胞を 2回洗浄し、 0. 5%BSA含有 PBS (-)に 400倍希釈した抗マウ ス Ig-PE標識 2次抗体と、 4°Cにて抗体反応を 1時間行った。 反応後、 0. 5%BSA含 有 PBS (-)を用いて細胞を 2回洗浄し、 FACSortにて細胞の選別を実施した。 この 選別作業を 2回繰り返し、 FGFR5恒常発現 CH0細胞を取得し、 これをスクリー二 ング用抗原発現細胞とした。
( 2 ) スク リ一ユング方法
(材料)
試薬: Ham' s F12培地 (GIBCO BRL Ca#l 1765- 054) ;
PBS (-) (Nikken Ca#CM6201) ;
FBS (CCT Ca#3008-502) ;
G418 (PAA CattP02-012) ;
Anti-mouse Ig HRP (Amersham Ca#NA9310)
測定機器: Molecular Devices THERMO max micro plate reader
(方法および結果)
上記 (1 ) により取得した FGFR5恒常発現 CH0細胞、 及びコントロールとして 空の発現用ベクターを導入した CH0細胞を、 96ゥヱルプレートの B、 D、 F、 H行、 A、 C、 E、 G行にそれぞれ播種し、 2日若しくは 3日間培養を行った。 培地を除去 した後、 細胞融合後の培養で得られたハイプリ ドーマの培養上清を、 50 /z L/wel l にて各々のゥエルにアプライした。アプライ後、室温で 1時間 30分以上インキュ ベートして、培養上清を除去した後、 1%FBS/PBS (-)を用いてゥエルを 2回洗浄し、 培地で 2000倍に希釈した抗マウス Ig-HRP抗体 (50 /z L/wel l) をアプライした。 その後、 室温で 1時間以上インキュベートし、 2次抗体を除去後、 1%FBS/PBS (-) を用いてゥエルを 3回洗浄した。 洗浄後、 50 L/wel lの TMB試薬を加え、 室温で 10分間反応後、 25 ju L/wel l の IN H2S04を加え、 酵素反応を停止した。 反応停止 後、 450nmにおいて 0Dを測定した。
上記を 1次スクリーニングとし、 抗原反応性が認められた抗体を産生するハイ _ プリ ドーマについて、 抗原反応性を指標にクローユングを行った。 これらの結果 より、 FGFR5に対する反応性を有する、 6つの抗体クローン (R5C7-10; R5D9- 26; R5D10-23; R5D13-24; R5D14- 19; R5D21- 5) を選択した。
(考察)
本実験の結果より、 F G F Rを強制発現させた細胞を用いるアツセィ系は、 F
G F Rと試験化合物との親和性を測定するためのアツセィ系として使用できるこ とが、 明らかとなった。
(実施例 1 2 : F G F R— 5における、 抗 F G F R— 5モノクローナル抗体が結 合する部位 (ェピトープ) の解析)
(概略)
各 loop欠損型 FGFR5発現ベクターを調製し、 これを CH0細胞に一過性発現 を行い、実施例 1 1で得られた抗体(R5C7-10 ; R5D9-26 ; R5D10- 23; R5D13-24; R5D14-19; R5D21-5) の各 Ig loop欠損型 FGFR5への反応性を評価した。 これに より各抗体の反応する Ig loopの確定を行った。 また、 同時に FLAG挿入体への反 応性を評価した結果、 FLAG未挿入体では反応性が見られたが、 FLAG挿入体におい て反応性が消失する抗体が確認された。 このため、 これらの抗体は FLAG挿入部位 近傍に反応性を有すると推定し、これらの抗体のうち反応性の高いもの(R5D10-23、 R5D14-19)及び FLAGの揷入の有無に関わらず 1st loopに反応する抗体(R5C7- 10) についてピオチン化を行い、 ビォチン化抗体に対しての各抗体の結合阻害能を評 価し、 ェピトープについての推定を行った。
(材料)
試薬: pEFl/FGFR5;
primer (日本バイオサービス) ;
(プラスミ ド側配列)
1. TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA GAC CCA AGC TGG CTA GGT AAG CTT GGT A (配 列番号 1 0 )
2. GCT TGG TAC CGA GCT CGG ATC CGC (配列番号 1 1 )
(B type 作製用)
3. CTC CTT CCC TGG GCT AAT GTC ATC TCG GGC GGC GGC GGC CGG TGG GAA (配歹 lj
番号 1 2 )
4. GAT GAC ATT AGC CCA GGG AAG GAG (配列番号 1 3 ) (C type 作製用)
5. TCG TGC CCA CTG CTG GCT GGC GGG TCG GGC GGC GGC GGC CGG TGG GAA (配歹 Ij 番号 1 4 )
6. CCC GCC AGC CAG CAG TGG GCA CGA (配列番号 1 5 ) (D type 作製用)
7. CAC CTT GTA GGT GGC GTT GAT GGC TCG GGC GGC GGC GGC CGG TGG GAA (配列 番号 1 6 )
8. GCC ATC AAC GCC ACC TAC AAG GTG (配列番号 1 7 )
(B, C type FLAG揷入用)
9. TTT ATC GTC ATC GTC TTT GTA GTC CCA CTG CTG GCT GGC GGG (配列番号 1 8 )
10. GAC TAC AAA GAC GAT GAC GAT AAA GCA CGA CCG CGC TTC ACA (配列番号 1 9 )
(D type FLAG挿入用)
11. TTT ATC GTC ATC GTC TTT GTA GTC GAT CAC ATC CAC CTT GTA (配列番号 2 0 ) 12. GAC TAC AAA GAC GAT GAC GAT AAA CAG CGG ACC CGT TCC AAG (配列番号 2 1 )
Ham' s F12 (GIBCO BRL Ca#11765- 054) ;
Penici l l in/streptomyc in (SIGMA Ca#103K2430) ;
PBS (-) (Nikken Ca#CM6201) ;
FBS (CCT Ca請 08-502) ;
抗マウス Ig-PE標識 2次抗体 (Pharmingen BD) ;
Genejammer Transfection reagent (STRATAGENE Ca#204130-2 l) ;
30% BSA (Sigma) ;
Biotin label ing kit (Roche Diagnostics) ;
strept-avidine-PE conjugated (Pharmingen BD)
測定機器: FACSort
(方法)
(欠損型 FGFR5の構築)
FGFR5 (配列番号 2 2及び 2 3 ) から 1 st Ig loop (27番目のグリシンから 117 番目のロイシンまで) を欠損した形 (B type)、 さらに 1 st Ig loopから acidic boxまで (27番目のグリシンから 138番目のァスパラギン酸まで) を欠損した形 (C type) , 1 st Ig loop から 2nd Ig loopまで (27番目のグリシンから 228番 目のグリシンまで) を欠損した形 (D type) の 3種類のコンス トラク トを作製し た。 B type (プライマー 1 と 3;プライマー 2と 4)、 C type (プライマー 1 と 5; プライマー 2と 6)、 D type (プライマー 1 と 7;プライマー 2と 8) の組み合わせ で、 1回目の PCR反応を実施した。反応条件は 94°Cで 1分間、 55°Cで 1分間、 68°C で 1分間を 1サイクルとして、 35サイクル繰り返した。
(FLAG挿入欠損型 FGFR5の構築)
作製したそれぞれのタイプの欠損型 FGFR5 発現プラスミ ドを铸型として FLAG の揷入を実施した。 FLAGタグは、 B type、 C typeでは 144番目のトリプトファン と 145番目のァラニンの間に、 D typeでは 239番目のイソロイシンと 240番目の グルタミンの間に挿入した (アミノ酸の位置に関しては、 配列番号 2 2及び 2 3 を参照のこと)。 B, C type (プライマー 1 と 9、 プライマー 2と 10)、 D type (プ ライマー 1 と 11、 プライマー 2 と 12) の組み合わせで、 1回目の PCR反応を実施 した。 反応条件は 94°Cで 1分間、 55°Cで 1分間、 68°Cで 1分間を 1サイクルとし て、 35サイクル繰り返した。
(CHO細胞への一過性過剰発現)
調製した発現ベクター l ;u gを、 前日に 1. 5X105 cells/6 wel l dishで播種した CHO細胞に、 Genejammer transfection試薬を用い、 メーカーのインス トラクショ ンに従い導入した。
(一過性過剰発現 CH0細胞に対する抗体反応性評価)
得られた欠損型及び FLAG挿入欠損型 FGFR5—過性発現 CH0細胞を、 PBS (-)で洗 浄後、 5mM EDTA及び 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いてピペッティングにより、 細胞を ディッシュから浮遊させて回収した。 回収後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞 を洗浄し、得られた抗 FGFR5モノクローナル抗体 (5 ju g/mL) を含む 0. 5%BSA含有 PBS (-)に細胞を懸濁し、 4°Cにて抗体反応を 1時間行った。 反応後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を 2回洗浄し、 0. 5%BSA含有 PBS (-)で 400倍に希釈した抗マ ウス Ig-PE標識 2次抗体と、 4°Cにて抗体反応を 1時間行った。 反応後、 0. 5%BSA 含有 PBS (-)を用いて細胞を 2回洗浄し、 FACSortにて細胞の有する蛍光強度を評 価した。
(抗体のピオチン化)
上記で選定した抗体を、 メーカーのインストラクションに従い、 ピオチンによ り標識を行った。
(ピオチン化抗体の未標識抗体による結合阻害評価)
FGFR5一過性発現 CH0細胞を PBS (-)で洗浄後、 5mM EDTA及び 0. 5%BSA含有 PBS (-) を用いてピペッティングにより、 細胞をディッシュから浮遊させて回収した。 回 収後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を洗浄し、 得られた抗 FGFR5モノクロ一 ナル抗体 (1 /z g/mL) を含む 0. 5%BSA含有 PBS (-)に細胞を懸濁し、 4°Cにて抗体反 応を 1 時間行った。 反応後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を 2 回洗浄し、 0. 5%BSA含有 PBS (-)で希釈したビォチン化抗 FGFR5抗体(5 g/mL)と、反応を 4°C
にて、 1時間行った。反応後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて、細胞を 2回洗浄し、 0. 5%BSA含有 PBS (-)で 800倍に希釈した strept-avidine- PE conjugatedと、 4°C にて抗体反応を 1時間行った。 反応後、 0. 5%BSA含有 PBS (-)を用いて細胞を 2回 洗浄し、 FACSortにて細胞の有する蛍光強度を評価した。
(結果)
結果を表 2及び表 3に示す。
(表 2 )
欠損型及び FLAG挿入欠損型 FGFR5—過性発現 CH0細胞への反応性
+:反応あり ;一:反応なし。
FLAG挿入により反応性が消失した R5D10- 23及び R5D14- 19を、 FLAG挿入部位近 傍に反応性を有する抗体としてピオチン化した。 また、 1st loopに反応する抗体 として、 R5C7- 10についてもピオチン化を行った。
(表 3 )
ピオチン化抗体の未標識抗体による結合阻害評価
+ + 阻害あり
+ 弱い阻害
阻害なし
上記の結果から、 FLAG 挿入部位を基準と し、 ェピトープの推定を行うと、 R5C7-10は FLAG挿入部位に近い側の 1st loop上; R5D9- 26は、 FLAG挿入部位近 傍の N末側; R5D10- 23は FLAG挿入部位近傍の R5D9-26認識部位よりも C末側; R5D13-24は 1st loop上の R5C7-10より遠位の N末側; R5D14-19は、 FLAG揷入部 位近傍の R5D10-23認識部位よりも C末側;及び R5D21- 5は 1st loop上であるこ とが推定された (図 1 2 )。
(実施例 1 3 :抗 F G F R— 5モノクローナル抗体の、 H C Vのシユードタイプ ウィルスの H e p G 2細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞: H e p G 2
ウィルス : A G/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- EM high glucose (曰研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit - SEAP - (T0Y0B0 SAK-101 Lot. 316100)、 抗 FGFR- 5モノクローナル抗体 R5C7- 10、 抗 F GFR-5モノクローナル抗体 R5D14 - 19
(方法)
He p G 2を、 8xl03cells/well/80/z l/96well plateにて播種後、 3 7°C、 5 % C〇2で OZN培養した。 製造例 4に従って作製した抗 FGFR— 5抗体 R 5 C 7- 1 0および R 5D 1 4— 1 9を PB S中にて終濃度の 10倍に調製した。
調製した一連の濃度の R 5 C 7— 1 0、 R 5D 14_ 1 9、 ならびに R 5 C 7 — 10と R 5D 14— 1 9との混合物 (各々、 図 10 (C) の横軸に示した濃度 であり、 抗体濃度合計としては、 図 1 0 (C) 横軸の 2倍濃度である) を各々 10 μ 1, 細胞に添加し穏やかに混合した後、 細胞と抗体とを 3 7°C、 5%C02にて 1時間反応させた。 またコントロールとして P B S 10 を細胞に添加して、 3 7°C、 5%C02にて 1時間静置した。 その後各細胞に、 lxlO9 genome/10 1の 厶 G/SEAP/HCV E1E2または lxlO7 genome/10 /z 1の AG/SEAP/VSV Gを接種した。 こ れらの細胞を 3 7°C、 5 %C O 2にて 24時間培養後、 Reporter Assay Kitのィ ンストラクシヨンに従って、 培養上清中の S EAP量を測定し、 各濃度の FGF R— 5/F cによるウィルスの細胞感染の阻害率 (%) を、 ウィルスのみを接種し た細胞の S EAP量を基準として算出した。
(結果)
本実験の結果、 図 1 0に示すように、 抗 FG F R— 5抗体 R 5 C 7— 1 0およ び R 5D 14— 1 9により、 用量依存的に、 AG/SEAP/HCV E1E2 の H e p G 2細 胞への感染は阻害された。 R 5 C 7 _ 10及び R 5 D 14— 1 9は、 それぞれ単 独では、 最大約 50%の感染阻害活性を示し、 これら 2つの抗体を混和した場合 - には、 最大で約 70%の感染阻害活性を示した。 このことから、 FGFRとの親 和性を測定して (例えば、 上記実施例 1 1の方法を用いて測定される)、該親和性 を有するものとして選択または判定される化合物 (例えば、 上記実施例 1 1で得 られる抗体) の少なくとも一部は、 HCVの細胞感染を阻害する化合物であるこ とが示された。 また、 FGFRとの親和性または FGFRと HCVとの結合に対 する遮断能を有する化合物 (例えば、 FGFRに対する抗体、 特に FGFR— 5
に対する抗体、 なかでも抗 F G F R— 5モノクローナル抗体) は、 HCVの細胞 感染阻害剤として C型肝炎の予防又は治療に利用できる可能性も示された。
(実施例 14 :抗 FGFR— 5モノクローナル抗体の、 HCVのシユードタイプ ウィルスの初代培養ヒ ト肝細胞への感染性に対する影響)
(材料)
細胞:初代培養ヒ ト肝細胞
ウィルス : AG/SEAP/HCV Ε1Ε2、 Δ G/SEAP/VSV G
試薬: D- MEM high glucose (S研生物)、 FBS (CTT)、 Reporter Assay Kit - SEAP - (T0Y0B0 SAK-101 Lot. 316100)、 抗 FGFR- 5モノクローナル抗体 R5C7- 10
(方法)
初代培養ヒ ト肝細胞を、 8xl03cells/well/80/i l/96wpにて播種後、 3 7°C、 5 % C02で OZN培養した。 製造例 4に従って作製した抗 FGFR— 5抗体 R 5 C 7— 1 0 (R 5 C 7_ 1 0)を P B S中にて終濃度の 1 0倍に調製した。次いで、 調製した一連の濃度の R 5 C 7 - 10 10 i 1を細胞に添加し穏やかに混合した 後、 細胞と抗体とを 3 7°C、 5%C02にて 1時間反応させた。 またコントロー ルとして PB S 10μ 1を細胞に添加して、 37°C、 5 %C02にて 1時間静置し た。 その後各細胞に、 lxlO9 genome/ΙΟμ 1の AG/SEAP/HCV E1E2または lxlO7 ge nome/10/ζ 1の AG/SEAP/VSV Gを接種した。 これらの細胞を 37 °C、 5%C02に て 24時間培養後、 Reporter Assay Kitのィンストラクションに従って、 培養上 _ 清中の S EAP量を測定し、各濃度の FGF R— 5/F c処理細胞におけるウィル スの感染率 (%) を、 ウィルスのみを接種した細胞の S EAP量を基準として算 出した。
(結果および考察)
本実験の結果、 図 1 1に示すように、 抗 FGFR— 5抗体 R 5 C 7 _ 10によ
り、 用量依存的に、 AG/SEAP/HCV E1E2 の初代培養ヒ ト肝細胞への感染は阻害さ れた。 このことから、 FGFRとの親和性を測定して (例えば、 上記実施例 1 1 の方法を用いて測定される)、該親和性を有するとして選択または判定される化合 物(例えば、上記実施例 1 1の方法を用いて得られる抗体)の少なくとも一部は、 HCVの細胞感染を阻害する化合物であることが示された。 また、 FGFRとの 親和性または F G F Rと HC Vとの結合に対する遮断能を有する化合物(例えば、 FGFRに対する抗体、 特に FGFR— 5に対する抗体、 なかでも抗 FGFR— 5モノクローナル抗体) は、 HCVの細胞感染阻害剤として C型肝炎の予防又は 治療に利用できる可能性も示された。 産業上の利用可能性 本発明のスクリーニング方法及び同定方法は、 線維芽細胞成長因子レセプター (FGFR) と C型肝炎ウィルス (HCV) との間の相互作用を阻害することに よって HCVの細胞感染を阻害する、 新規作用機序の医薬を開発するために有用 である。 本出願は、 日本特許出願、 特願 2004— 224741及び特願 2004— 2 90106、 ならびに米国仮特許出願、 US 60Z605, 298及び US 60 /6 18, 238を基礎としており、 その内容は全て本明細書に包含される。