WO2004045776A1 - 静電塗装用高電圧発生器 - Google Patents

Abstract

外部帯電方式の静電塗装の場合は、より高い電圧の使用とこれに対する危険性への配慮、スプレーガンとしての小形化、使用するにあたっての操作性の改善が必要で、そのためにスプレーガンに内蔵する高電圧発生器の小形軽量化を図る。そのため、噴霧化装置を備え、該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは離開し、噴霧化装置の外側に設けた荷電電極を備えた外部帯電方式の静電塗装スプレーガンに使用される直流の高電圧発生器であって、昇圧トランスと多段倍電圧整流回路を重ねて配置し、複数の抵抗体を長手方向に束ね、且つ、直列に接続して100～400MΩの保護用高抵抗を構成し、これらの昇圧トランスと多段倍電圧整流回路と抵抗体を絶縁性樹脂で一体に成形するようにした。これによって、スプレーガン自体を小型軽量化でき、操作性の向上を図ることができる。

Description

明細書

静電塗装用高電圧発生器

技 術 分 野

本発明は、 静電塗装に用いられる直流の高電圧発生器に関する ものであり、 詳しくは、 外部帯電方式の静電塗装用スプレーガン に内蔵される多段倍電圧整流回路を備えた一 9 0 k V程度の静電 塗装用直流高電圧発生器に関するものである。

背 景 技 術

静電塗装では、 塗料に帯電させる方式と して、 塗料に直接荷電す る直接帯電方式の他に、 塗料には直接荷電せずに、 噴霧域の外部 に設置した外部電極に高電圧を印加することにより、 被塗装物等 の接地電位側に放電させて電界を形成し、 この放電域を通過する 塗料粒子に帯電させると共に、 被塗装物に向かう電気力線に乗せ て塗着させる外部帯電方式の静電塗装装置が知られている。

又、 静電塗装に用いられる塗料は、 作用効果の関係で、 電気的 に抵抗値の大きい溶剤型塗料と、 電気抵抗値の低い水系若しくは メタリ ック系塗料等の高導電性塗料に大別され、 その塗装方法や 装置が大きく異なっている。

更に、 揮発性有機化合物を含む溶剤型塗料は、 近年の環境問題 から使用の削減がもとめられ、 水系塗料への移行が必要とされて きている。 しかし、 噴霧される塗料に直接帯電させて静電塗着効 果を高めよう とした場合、 水系塗料の場合は、 荷電された高電圧 が塗料を通じて接地された塗料供給源に流れ、 静電効果が得られ ないだけでなく、 塗料供給系に高電圧が流れ危険性が生ずる。 こ のため、 塗料供給系を接地側から絶縁し、 高電圧を維持しながら 静電塗装を行う装置が採用されるが、 膨大となる塗料供給系の帯 電量から危険性の増加は避けられず、 又、 連続的に塗装作業を行 い効率を上げるには大掛かりな装置を必要とする等の理由で、 水 系塗料等の静電塗装は普及せず、 環境対策の遅れの原因になって いた。

上述のように、 商業塗装に使用して効果が得られる静電塗装用 スプレーガンと しては、 前記した直接帯電方式と外部帯電方式の スプレーガンがある。 このうち、 主に溶剤型塗料に使用される直 接帯電方式の場合、 電極への荷電電圧は _ 3 0 k Vから一 7 0 k V程度で、 電位差があるほど、 塗料の塗着効率の向上等の静電効 果が得られるが、 高電圧による火花放電や電撃放電の危険性の増 加と、 装置の耐電圧強度等からは、 荷電電圧はなるべく低いこと が要求されている。 従って、 電極への荷電電圧は一 5 0 k V前後 で使用されることが多くなつている。 これに対し、 水系塗料等の 高導電性塗料を用いた静電塗装に適する外部帯電方式の場合は、 実用的効果を得るためにこれより高い電位差 （_ 7 0 k V前後） で荷電されるのが一般的となっている。

又、 電流値は直接帯電方式の場合は 3 0 A程度であるが、 外 部帯電方式の場合は 1 0 0〜 1 2 0 / A程度に高められる。 この ため外部帯電方式のスプレーガンに内蔵される高電圧発生器は、 直接帯電方式のスプレーガンの高電圧発生器に比べ大型化が避け られない。

尚、 直接帯電方式及び外部帯電方式のスプレーガンにあって、 高電圧発生装置の回路構成と しては高周波を多段倍電圧整流回路 で整流し、 高電圧構成部品については、 合成樹脂絶縁材でモール ドし一体化するなどして構成している。

例えば、 特開平 1 0— 1 2 8 1 6 8には一 6 0 k V程度、即ち、 直接帯電方式に用いられる程度の静電塗装用直流高電圧発生装置 が記載されており、 スプレーガン本体に内蔵するため高電圧発生 部 （高電圧発生器） の小形軽量化が具体的に提案されている。 一方、 外部帯電方式の場合の高電圧発生器については特開平 7 - 2 1 3 9 5 8等に記載されるよう、 その多くが自動塗装装置に 付帯させて駆動される自動スプレーガン用と して提案されている。 しかし、 自動スプレーガン用であるが故に、 手持ち式のスプレ 一ガンに比べ小形軽量化の必要性が低く、 従って、 課題の追求が 不十分で改善の余地がある。

又、 特開昭 5 3— 3 0 6 4 6のように、 手持ち式の外部帯電方 式の静電塗装用スプレーガンと しての提案も見られるが、 実用的 レベルにおいて、先端に突き出す電極が操作性を悪く していたり、 高電圧の供給をスプレーガンの外部より行なうため、 高電圧ケー ブルの重さの負担から作業者を解放することができていない等、 スプレーガンに内蔵されることを考慮した高電圧発生器の小形軽 量化については言及されていない。

前述したように、 外部帯電方式の場合は直接帯電方式の場合よ りもより高い高電圧を印加するため、 必然的に高電圧発生器自体 が大形化し、 スプレーガンの操作性を損なうことからその小形軽 量化が求められている。

発 明 の 開 示

本発明は、 外部帯電方式の静電塗装機の直流高電圧発生器にお いて、簡素な構成で小形軽量の絶縁構造を得ることを課題とする。 本発明は、 噴霧化装置を備え、 該噴霧化装置に供給される塗料 の経路とは離開し、 噴霧化装置の外側に設けた荷電電極を備えた 外部帯電方式の静電塗装用スプレーガンに使用される直流の高電 圧発生器であって、 昇圧トランスと多段倍電圧整流回路を重ねて 配置し、 複数の抵抗体を長手方向に束ね、 直列に接続して 1 0 0 〜4 0 0 Μ Ωの制限抵抗を構成し、 これらの昇圧トランスと多段 倍電圧整流回路と抵抗体を絶縁性樹脂で一体に成形したものであ る。

上記の方法によれば、 昇圧トランスと多段倍電圧整流回路を重 ねて配置することにより、 長手方向の長さを短くすることができ る。 又、 外部帯電方式では高電圧を印加するために複数の高抵抗 が必要になるのが一般的で、 これらの高抵抗を長手方向に束ねる ことで、 前記と同様に長手方向の長さを短くすることができる。 又、 本発明では、 昇圧トランスと多段倍電圧整流回路と抵抗体 を所定の樹脂ケース内に収容させ、 絶縁性樹脂を充填し、 モール ドし一体化される。 よって、 高電圧発生器は、 一体化による組立 の容易化が図れ、 無駄肉のないコンパク トな形状とすることがで さる。

又、 本発明は、 前記抵抗体が円筒形であることを特徴とする。 これにより抵抗体を割り箸や薪を束ねるように一方向に簡単に揃 えることができ、長手方向の長さを最小限の大きさに集約できる。

図面の簡単な説明

第 1図は、 本発明を用いた静電塗装用スプレーガンの断面図 第 2図は、 本発明の一実施例を示す構成図 - 第 3図は、 本発明の一実施例を示す回路図

第 4図は、 本発明の一実施例を示す外観図

第 5図は、 本発明を用いた静電塗装用スプレーガンの先端部の平 面図

発明を実施するための最良の形態

以下、 本発明の好適な実施例を第 1図乃至第 5図に基づき説明 する。

第 1図及び第 5図は、 外部帯電方式の静電塗装用スプレーガン を示し、 該スプレーガン 1は、 手持ち式のスプレーガンの例を示 し、 ハン ドル 2、 引金 3をもって操作される。 銃身部 4は、 先端 に設けた噴霧化装置 5より噴出する塗料を制御すると共に、 銃身 部 4の上部に高電圧発生器 6が内蔵され、 スプレーガン 1の外側 に設けた外部電極 7の先端電極 7 1に高電圧を供給している。 この実施例の場合、 噴霧化装置 5は圧縮空気で塗料を霧化する エアースプレーガンが示されており、 塗料ノズル 5 2の周囲に空 気キャップ 5 1が配置され、 所望の噴霧パターンが、 この空気キ ヤップ 5 1により形成されて被塗装物の塗装を行う。 これらの構 成は広く知られたスプレーガンの構造が採用されているが、 静電 塗装においては銃身部 4を含め電気的絶縁材料で形成されている。 又、 塗料経路はアース側電位と接続されるため、 塗料ノズル 5 2内のニー ドル弁 5 3は金属性で、 後部に位置する前記ハンドル 2と電気的に接続されている。 通常の静電スプレーガンと同様、 ハン ドルは導電性であり、 この実施例の場合は半導電性の樹脂を 使用して、 作業者が手で操作する場合にアース側電位になるよう にしている。

第 2図は本発明の一実施例の高電圧発生器 6が示されており、 昇圧トランス 6 1、 コッククロフ ト ウォルトン多段倍電圧整流回 路 6 2、 保護用高抵抗 6 3が絶縁性樹脂 6 4で鎊込まれ樹脂ケー ス 6 5に収納されている。 又、 高電圧発生器 6は低電圧の供給側 に入力端子 6 6を、 高電圧出力側に出力端子 6 7を露出している 他は電気的に絶縁強度が維持されている。

高電圧発生器 6は、 絶縁材で形成されたスプレーガン 1 の銃身 部 4に設けた装着部 1 1に挿入され、 入力端子 6 6、 出力端子 6 7が装着部 1 1内の所定の部品と電気的に接続される。

本発明の第 1の手段では、 昇圧トランス 6 1 と多段倍電圧整流 回路 6 2 とが第 2図乃至第 3図のように、 二階建て家屋の如く重 ねて配置されているので、 長手方向の長さを短くすることができ る。

スプレーガン 1は手持ち式のため、 前記の如く長手方向の長さ を短くすることはスプレーガンの操作上とても重要なことで、 第 1図の実施例によれば、 高電圧発生器 6は二階建ての家屋のよう な部分 6 aをハンドル 2の真上に位置させている。 即ち、 スプレ 一ガン 1は、 ハンドル 2の真上方向に重心があるので、 高電圧発 生器 6を二階建て構造にしたことによって多少高さ方向が伸びて もスプレーガンの操作性を損なうことがないようにしている。 又、 保護用高抵抗 6 3が、 第 3図乃至は第 4図に示すように、 長手方向に束ねられているのも同様の理由で、 スプレーガンの操 作性を考慮してのことである。 本実施例では第 4図の A部に示す よう、 円筒形の 3本の抵抗体 6 3 aを束ねているが、 製造しやす く、 安価で、 しかも市販性がある等の条件を満足するには、 円筒 形の抵抗体を選択するのが望ましく、 又、 抵抗体 6 3 aを複数本 にすることで一本あたりの負荷を軽減 · 分散させている。

又、 本発明の第 2の手段によれば、 昇圧トランス 6 1 と多段倍 電圧整流回路 6 2と保護用高抵抗 6 3 とを二階建ての家屋のよう な形状と した樹脂ケース 6 5の中に収納するが、 本実施例の樹脂 ケース 6 5の形状は、 高圧発生部の電気的に扱うエネルギーの流 れの大きい根元側 6 5 aから減少する先端側 6 5 bに従い、 順次 断面積が減少する形状であるので、 スプレーガンの小型軽量化を 図る上で合理的かつ経済的である。 又、 同時に、 この形状は機械 的にも安定して堅牢である。 更に樹脂ケース 6 5は根本側 6 5 a を開口し、 重ねて配置される昇圧トランス 6 1 の収容部 6 1 a と 多段倍電圧整流回路 6 2の収容部 6 2 a との間に隔壁 6 5 cを設 けて確実に配置した上で、 絶縁性樹脂 6 4でモールドしてコンパ ク トに一体化されるので、 確実な絶縁と、 スプレーガンへ内蔵す る際の組立や、 分解する際の取り外しが容易に行える等の利点が ある。

尚、 製造時において、 実際に絶縁性樹脂 6 4を流し込む時は、 保護抵抗 6 3側を下にして立て、 出力端子 6 7が通過する穴を塞 ぐと共に、 多段倍電圧整流回路 6 2、 昇圧トランス 6 1を収納し てからモールドする。 モールドの際、 脱泡し易いように多段倍電 圧整流回路 6 2と昇圧トランス 6 1に挟まれる樹脂ケース 6 5内 の隔壁 6 5 cには窓を設け、 樹脂の流れを良くするなどの工夫が なされている。

以上のように、 本発明の高電圧発生器の絶縁構造については、 合理的かつ経済的な構成である。 従って、 外部帯電方式の静電塗 装用スプレーガン用の直流高電圧発生器と しては、 低コス トで確 実に小型軽量にすることができ、 スプレーガンに内蔵した場合に はスプレーガン自体の小型軽量化と操作性の向上を図ることがで さる。

産業上の利用分野

本発明は、 使用される静電塗装の実用的、 商業的な範囲で、 作 業者が使用して安全であり、 小型軽量で使い易く、 且つ生産性、 経済性に効果が得られ、 結果と して環境問題に大きな改善となる 水系塗料の活用普及に貢献できる外部帯電方式の静電塗装用スプ レーガンに役立てることができるものである。

Claims

噴霧化装置を備え、 該噴霧化装置に供給される塗料の経路とは 離開し、 嘖霧化装置の外側に設けた荷電電極を備えた外部帯電方 式の静電塗装用スプレーガンに使用される直流の高電圧発生器で あって、 昇圧トランスと多段倍電圧整流回路を重ねて配置、 複数 の抵抗体を長手方向に束ね、 直列に接続して 1 0 0〜4 0 0 Μ Ω の保護用高抵抗を構成し、 これらの昇圧トランスと多段倍電圧整 流回路と抵抗体を絶縁性榭脂で一体に成形してなる静電塗装用高 電圧発生器。

樹脂ケース内に収容され、 充填される絶縁性樹脂でモールドし 一体化されてなる請求の範囲 1記載の静電塗装用高電圧発生器。 抵抗体は円筒形であることを特徴とする請求の範囲 1記載の静 電塗用高電圧発生器。

訂正された用紙 （規則 91)