明細書 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤およびその使用 関連出願の参照
本出願は、 2 0 0 2年 2月 4日に提出された仮出願 6 0 Z 3 5 3 , 1 7 2の利 益を享受する。 技術分野
本発明は、 骨修復を必要とする症状の治療または予防のための手段に関する。 詳細には、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤、 および当該製剤を 投与することによる、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加方法に関する。 背景技術
骨粗鬆症は、 低骨量と骨組織の微小構造の破綻とによつて特徵づけられる疾患 であり、 骨の脆弱性進行と骨折危険率の増大とに結びつく疾患である。 前記 「低 骨量」 とは、 骨量または骨密度が低い状態をいう。 前記骨粗鬆症においては、 骨 量または骨密度が低くなることにより、 骨の微小構造が分断される等の破綻がも たらされ、 骨の脆弱化が亢進、 すなわち、 力学的に弱くなつて骨折しやすくなる 骨粗鬆症の患者には、 骨折の危険性が増しているが、 まだ骨折を発症していな い人と、 すでに骨折を発症している人とが含まれる。
骨粗鬆症に関連して発症する骨折において、 臨床的に発症頻度が高い骨折部位 として、 例えば、 大腿骨頸部、 橈骨末端、 上腕骨近位端等が挙げられる。 なかで も、 大腿骨頸部骨折は、 患者の日常活動性を著しく制限し、 寝たきりにつながり やすいため、 大腿骨頸部骨折を予防することが重要な課題となっている。
米国において、 大腿骨頸部骨折は、 年間 250, 000症例の発生があり、 高 齢者で最も一般的な骨折である [Praemer et aし Musculoskeletal Conditions in the United States, American Academy of Orthopaedic Surgeons, Park Rid ge, IL (1992)]。 また、 日本において、 大腿骨頸部骨折は、 1 987年の全国調 査では年間約 5 3, 000人、 1 9 92年では約 76, 600人、 1 9 9 7年で は約 92, 4 00人 (厚生省、 骨粗鬆症予防のための危険因子に関する研究班) と急速に増加している。
したがって、 骨粗鬆症における骨折を治療または予防することは、 医療におい て重要であり、 該骨粗鬆症における骨折の治療または予防のための有効な薬剤の 開発はきわめて重要な課題である。
骨粗鬆症における骨折に関連して、 活性物質として骨形成タンパク質 (b o n e mo r ph o g e n e t i c p r o t e i n : BMP) と、 担体としてコ ラーゲンゲルとを含有した注射可能な製剤、 すなわち、 BMPを保持したコラー ゲンゲルを骨組織部位に投与することにより、 骨折の重症度および,または発生 率を低下できることが知られている 〔国際公開第 98 /3 1 788号パンフレツ 卜〕 o
しかしながら、 担体としてコラーゲンゲルを用いた場合、 該コラーゲンゲルは 流動性が高いため、 BMPを保持したコラーゲンゲルを個体に投与した後に、 該 コラーゲンゲルを投与部位に確実に保持させておくことが困難である。 このため 、 BMPを含有したコラーゲンゲルが、 例えば、 治療の目的とする投与部位以外 の個所、 例えば、 筋肉内にこぼれ出た場合、 その個所で異所性の骨を形成する場 合がある。 また、 投与部位において、 長期に BMPの作用を持続させることを目 的として、 コラーゲンゲルを担体として用いた場合、 コラーゲンゲルは、 投与部 位に長期間留まることなく周辺に広く拡散、 あるいは消失する性質を有する。 し たがって、 前記コラーゲンゲルに含有されている BMPも短期に拡散する場合が ある。 すなわち、 コラーゲンゲルを担体として用いた場合では、 投与部位におい
て B M Pを必要に応じて高濃度でとどめることは困難であると考えられる。 また、 前記国際公開第 9 8 / 3 1 7 8 8号パンフレツトには、 架橋したコラー ゲンの使用についても開示されている。 しかしながら、 架橋したコラーゲンを使 用した場合、 多少の B M Pの滞留性を向上させることが期待されるものの、 架橋 度によりコラーゲンの流動性が変動し、 コラーゲンからの B M Pの放出性が変化 するため、 高度な品質管理が必要となる。
一方、 有効成分を含有したコラーゲンを担体とした製剤で、 酸性物質を含有す ることで有効成分の放出をコントロールすることを特徴とした製剤が知られてい る 〔日本国特許 2 6 4 1 7 5 5号特許掲載公報〕 。 前記日本国特許 2 6 4 1 7 5 5号特許掲載公報には、 有効成分として、 イン夕一ロイキン、 インターフヱロン 、 コロニー刺激因子をはじめとして、 非常に広範な生物活性なタンパク質、 ぺプ チド等に対しての適用の可能性について開示されており、 B M Pについてもその ようなタンパク質の一例として例示されている。
しかしながら、 前記製剤によれば、 製剤からの有効成分の放出について、 酸性 物質により該有効成分の放出をコントロールできることが示されているものの、 骨折治療または骨折予防についての有効性は不明である。 さらに、 治療または予 防を目的とする部位に、 有効成分を必要に応じて高濃度でとどめることによる治 療効果、 および投与部位近傍のみで骨形成反応を示すことにより異所性骨の発生 を軽減し得るという効果は不明である。
したがって、 骨粗鬆症における骨折治療または骨密度増加についての重要性が 高まっており、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加に適し、 使いやすく、 治 療効果の高い製剤が望まれている。 発明の開示
本発明は、
( 1 ) B M Pとコラーゲンとを含有した注射可能な固形製剤を、 骨内に投与する
ことで、 骨密度を増加させうる;
(2)前記 (1) に記載された固形製剤に、 特定の有機酸性物質および Zまたは ポリサッカライドを添加することにより生体内への BMPの供給形態を変化させ うる ;
(3)前記 (1) に記載された固形製剤に、 ポリサッカライドを添加することに より、 生体内への BMPの供給形態を変化させ、 さらに、 形状の優れた固形製剤 を製造しうる、
(4)前記 (1) または (2) に記載された固形製剤に中性アミノ酸、 単糖およ び二糖からなる群より選ばれた少なくとも 1種の化合物を添加することにより形 状の優れた固形製剤を製造しうる;ならびに
(5)卵巣を摘出した骨粗鬆症モデル動物で、 BMPとコラーゲンとを含有した 投与、 特に注射可能な固形製剤により骨密度を増加させうる ;
という本発明者らの検討により見出された驚くべき知見に基づく。
本発明の製剤としては、 (a) コラーゲンからなる担体に、 (b) BMPと、 (c) 中性アミノ酸、 単糖、 二糖、 有機酸性物質およびポリサッカライドとから なる群より選ばれた少なくとも 1種の化合物 〔以下、 前記 (c)成分を 「中性ァ ミノ酸等」 と略称する場合がある〕 とを含有し、 かつ投与、 特に注射可能な固形 製剤 (例えば、 投与、 特に注射可能な形状を有した固形製剤等) である、 骨折治 療、 骨欠損治療または骨密度増加に適した性質を有する製剤 (すなわち、 骨折治 療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤) が挙げられる。 本発明の製剤は、 B MPとコラーゲンとが均一に分散した固体であるため、 該製剤によれば、 コラ一 ゲンゲルのように投与部位から流動することなく、 投与した箇所にとどめること が可能となる。 したがって、 望ましくない異所性骨の形成を抑制することが可能 である。 また、 本発明の製剤によれば、 BMPとコラーゲンとが一体となって投 与部位に留まるか、 あるいは、 投与部位近傍のみに拡散するため、 狙った投与局 所において、 BMP濃度を高い濃度に維持することができる。 このため、 コラー
ゲンゲルに比較して、 BMPの作用を長期間維持させることも可能である。 本発 明の製剤は、 有機酸性物質またはポリサッカライドを含有するため、 該製剤から の BMPの放出を制御する、 すなわち、 該製剤から生体への BMPの供給を調整 することができる製剤であり、 該製剤に、 中性アミノ酸、 単糖類、 二糖類、 また はボリサッカライドをさらに含有させることにより、 良好な形状を呈する固形製 剤も含む。
本発明の他の態様は、 (a) コラーゲンからなる担体に、 (b) BMPと、 ( c) 中性アミノ酸等と、 骨の形成に有効な成長因子である塩基性繊維芽細胞成長 因子 (bFGF) とを含有し、 かつ投与、 特に注射可能な固形製剤である。 骨折 治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤である。
本発明の他の態様は、 前記製剤を骨内または骨近傍に投与することにより、 投 与部位周辺の骨密度を増加させる方法である。
すなわち、 本発明の要旨は、
〔1〕 下記 ( a:) 〜 ( c ) :
(a) コラーゲンからなる担体、
(b)骨形成タンパク質 (BMP)、 ならびに
(c) 中性アミノ酸、 単糖、 二糖、 有機酸性物質およびボリサッカライドからな る群より選ばれた少なくとも 1種の化合物
を含有してなり、 かつ注射可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療または 骨密度増加用の製剤、
〔2〕 形状が、 円柱状である、 前記 〔1〕 記載の製剤、
〔 3〕 形状が、 粒子状である、 前記 〔 1〕 記載の製剤、
〔4〕 該 BMPが、 BMP— 2である、 前記 〔 1〕 記載の製剤、
〔5〕 該コラーゲンが、 ァテロコラーゲンである、 前記 (1〕 記載の製剤、 〔6〕 該 BMPが、 BMP— 2であり、 かつ該コラ一ゲンがァテロコラーゲン である、 前記 〔1〕 記載の製剤、
〔7〕 中性アミノ酸、 単糖および二糖からなる群より選ばれた少なくとも 1種 の化合物と有機酸性物質とを含有してなる、 前記 〔 1:) 〜 〔6〕 いずれか 1項に 記載の製剤、
〔8〕 塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFGF) をさらに含有してなる、 前記 〔 1〕 〜 〔6〕 いずれか 1項に記載の製剤、
〔9〕 塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFGF) をさらに含有してなる、 前記 〔 7〕 記載の製剤、
〔1 0〕 多層構造を有する、 前記 〔8〕 記載の製剤、
〔1 1〕 多層構造を有する、 前記 〔9〕 記載の製剤、 ならびに
〔 1 2〕 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加を必要とする個体に、 前記 〔
1〕 記載の製剤を有効量投与することを含む、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密 度増加方法、
に関する。 図面の簡単な説明
第 1図は、 固形製剤 1、 固形製剤 2、 固形製剤 3、 固形製剤 4、 固形製剤 5、 固形製剤 6および固形製剤 7の in vitro放出挙動を示す。 縦軸は、 BMPの累積 放出量を試験開始前の固形製剤中の BMP量に対する百分率 ( ) として示し、 横軸は、 試験時間 (日) を示す。
第 2図は、 固形製剤 8、 固形製剤 9および固形製剤 1 0それぞれの in vitro放 出挙動を示す。 縦軸および横軸は、 第 1図と同様である。
第 3図は、 固形製剤 1 2および固形製剤 1 3それぞれの in vitro放出挙動を示 す。 縦軸および横軸は、 第 1図と同様である。
第 4図は、 固形製剤 1、 固形製剤 2、 固形製剤 3、 固形製剤 4、 固形製剤 5、 固形製剤 6および固形製剤 7それぞれのマウス皮下に投与後の固形製剤中の BM P量の経時的変化を示す。 縦軸は、 固形製剤に残存する BMP量を試験開始前の
固形製剤中の BMP量に対する百分率 (%) として示し、 横軸は、 試験時間 (曰 ) を示す。
第 5図は、 固形製剤 8、 固形製剤 9および固形製剤 1 0それぞれのマウス皮下 に投与後の固形製剤中の BMP量の経時的変化を示す。 縦軸および横軸は、 第 4 図と同様である。
第 6図は、 固形製剤 1 2および固形製剤 1 3それぞれのマウス皮下に投与後の 固形製剤中の BMP量の経時的変化を示す。 縦軸および横軸は、 第 4図と同様で のる。
第 7図は、 固形製剤 52、 固形製剤 53、 固形製剤 54のマウス皮下に投与後 の固形製剤中の BMP量の経時的変化を示す。 縦軸および横軸は、 第 4図と同様 である。
第 8図は、 対照製剤 2および固形製剤 6それぞれをマウス皮下に投与し、 1 ケ 月後の投与部位における異所性骨形成反応を示す図である。 図中、 パネル Aは、 対照製剤 2、 パネル Bは、 固形製剤 6の図であり、 それぞれの左パネル 〔 (a) 〕 は、 投与部位周辺を示す図であり、 それぞれの中央パネル 〔 (b) 〕 は、 軟 X 線像を示す図であり、 それぞれの右パネル 〔 (c) 〕 は、 HE染色像を示す。 第 9図は、 固形製剤 1 4、 固形製剤 1 5、 固形製剤 1 6のそれぞれをマウス皮 下に投与した後の投与部位における異所性骨形成反応を示す図である。 図中、 パ ネル Aは、 固形製剤 1 4、 パネル Bは、 固形製剤 1 5、 パネル Cは、 固形製剤 1 6の図である。 パネル A〜Cのそれぞれにおいて、 左バネル 〔 (a) 〕 は、 投与 部位周辺を示す図であり、 右パネル 〔 (b) 〕 は、 軟 X線像を示す図である。 第 1 0図は、 BMP水溶液 A ( 1 50 0 zgZm l )、 BMP水溶液 B (30 0 iL g/m 1 ) および BMP水溶液 C (60 ^ g/m 1 ) のそれぞれをマウス皮 下に投与した後の投与部位における異所性骨形成反応を示す図である。 パネル A は、 BMP水溶液 Aの投与における図、 バネル Bは、 BMP水溶液 Bの投与にお ける図、 パネル Cは、 BMP水溶液 Cの投与における図を示す。 パネル A〜Cの
各パネルにおいて、 左パネル 〔 (a ) 〕 は、 投与部位周辺を示す図であり、 右パ ネル 〔 (b ) 〕 は、 軟 X線像を示す図である。
第 1 1図は、 固形製剤 1、 固形製剤 1 2、 固形製剤 1 3、 対照製剤 1、 対照製 剤 3のそれぞれをマウス皮下に投与し、 3週間後の投与部位における異所性骨形 成反応を示す図である。 図中、 バネル Aは、 固形製剤 1、 パネル Bは、 固形製剤 1 2、 パネル Cは、 固形製剤 1 3、 パネル Dは、 対照製剤 1、 パネル Eは、 対照 製剤 3の図である。 バネル A〜Eのそれぞれにおいて、 左パネル 〔 (a ) 〕 は、 投与部位周辺を示す図であり、 右パネル ( (b ) 〕 は、 軟 X線像を示す図である o
第 1 2図は、 固形製剤 9 (パネル A) 、 固形製剤 6 0 (パネル B ) 、 固形製剤 6 1 (パネル C ) 、 固形製剤 6 3 (パネル D ) 、 固形製剤 7 4 (パネル E ) 、 固 形製剤 7 5 (パネル F ) 、 固形製剤 7 7 (パネル G ) 、 固形製剤 4 (パネル H) 、 固形製剤 5 4 (パネル I ) の切断前の固形製剤の形状を示す図である。
第 1 3図は、 表 2に示す内容による正常な雄の力二クイザルへの固形製剤の骨 内投与における投与後の各投与部位近傍の骨密度の時間的推移を示す。 縦軸は、 P Q C Tにより測定した骨密度の固形製剤投与前の骨密度に対する変化率 (% ) として示し、 横軸は、 試験時間 (月) を示す。
第 1 4図は、 固形製剤 1 1または対照製剤 3を、 卵巣を摘出後 3年を経過した 力二クイザル (骨粗鬆症モデル) の近位大腿骨に投与後、 投与 6力月後の各組織 像を示す図である。 パネル Aは、 対照製剤 3の投与における組織像を示し、 パネ ル Bは、 固形製剤 1 1の投与における組織像を示す。 左バネル 〔 (a ) 〕 は、 転 子組織を示し、 中央パネル 〔 (b ) 〕 は、 頸部組織を示し、 右パネル 〔 (c ) 〕 は、 頭部組織を示す。
第 1 5図は、 固形製剤 7 6、 固形製剤 7 7、 固形製剤 7 8、 固形製剤 7 9、 固 形製剤 8 0、 固形製剤 8 1、 固形製剤 8 2、 固形製剤 8 3、 対照製剤 1、 対照製 剤 3の各製剤をマウス (B A L B / c、 雄) の背部皮下に投与後、 3週間後に生
成したカルシウム量 (mg) を示す (平均値土 S. D. )。
第 1 6図は、 製剤径の細い、 固形製剤 84 a、 固形製剤 84 b、 固形製剤 85 a、 固形製剤 85b、 固形製剤 86 a、 固形製剤 86 bの各製剤をマウス (BA LB/c, 雄) の背部皮下に投与後、 3週間後に生成したカルシウム量を示す図 である (平均値土 S. D. )。 発明を実施するための最良の形態
本発明の製剤は、 下記成分 (a:) 〜 (c) :
(a) コラーゲンからなる担体、
(b) BMP. ならびに
(c) 中性アミノ酸等
を含有し、 かつ投与、 特に注射可能な固形製剤であり、 骨折治療、 骨欠損治療ま たは骨密度増加用の固形製剤である製剤である。
本発明の製剤によれば、 骨折治療、 骨欠損治療または骨折予防の目的とする部 位へ、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加に必要な BMPを送達することが でき、 また、 投与局所において、 BMP濃度を高い濃度に維持することができる という優れた効果を発揮する。
本発明で用いられる骨形成タンパク質 Cbone mor phogene t i c p r o t e i n ; BMP〕 は、 未分化な間葉系細胞を、 軟骨細胞や骨芽細胞 へと分化誘導すること、 または軟骨や骨芽細胞の前駆細胞(0 s t e 0 p r 0 g e n i t o r ) の分裂増殖を促進して、 in vivoの局所において軟骨または骨の 形成を促進すること等の生物活性を有する。
本発明に用いられる BMPとしては、 BMP— 2、 BMP— 4、 BMP— 5、 BMP— 6、 BMP— 7、 BMP- 1 0、 BMP— 12、 BMP- 1 3が挙げら れ、 なかでも BMP— 2が好ましい。 本発明の製剤中における BMPの量につい ては、 治療または予防対象である骨疾患によって、 他の含有物質とともに設定す
るが、 製剤の製造上の観点から、 全製剤重量に占める B M Pの重量の割合として 、 8 0 w,w96以下、 好ましくは 5 0 w/w%以下、 さらに好ましくは 3 0 wZ w%以下がよい。
なお、 本発明の製剤において、 前記生物活性を呈するものであれば、 前記 B M Pは、 複合体 (または塩) を形成していてもよい。
本発明に用いられるコラーゲンは、 可溶性コラーゲンまたは可溶化コラーゲン が望ましい。
「可溶性コラーゲン」 としては、 例えば、 酸性あるいは中性の水または塩を含 有した水に可溶であるコラーゲン等が挙げられる。 「可溶化コラーゲン」 として は、 例えば、 酵素により可溶化される酵素可溶化コラーゲン、 アルカリにより可 溶化されるアル力リ可溶化コラーゲン等が挙げられる。
これらのコラーゲンは、 孔サイズが 1マイクロメートルのメンブレンフィル夕 —を通過できるものであることが望ましい。
本発明に用いられるコラーゲンは、 例えば、 好ましくは、 3量体以下であり、 より好ましくは 2量体以下であることが望ましい。
コラーゲンの分子量は、 例えば、 好ましくは、 約 3 0万から約 9 0万であり、 より好ましくは、 約 3 0万から約 6 0万であることが望ましい。
前記コラーゲンは、 任意の動物種から抽出された天然のコラーゲンであっても よく、 遺伝子工学的に生産されたコラーゲンであってもよい。 前記コラーゲンと しては、 好ましくは、 脊椎動物から抽出された天然のコラーゲンまたは遺伝子ェ 学的に生産された遺伝子組換コラーゲン、 より好ましくは、 哺乳動物、 鳥類、 魚 類から抽出された天然のコラーゲンまたは遺伝子工学的に生産された遺伝子組換 コラーゲンが望ましい。 また、 前記コラーゲンは、 いかなるタイプであってもよ く、 天然の I〜V型コラーゲン、 遺伝子工学的に生産された遺伝子組換 I〜V型 コラーゲン;および前記天然または遺伝子組換 I〜V型コラーゲンの少なくとも 2種の混合物が望ましい。
具体的には、 例えば、 哺乳動物の真皮から酸抽出した I型コラーゲン;該 I型 コラーゲンと哺乳動物の真皮から酸抽出した II I 型コラーゲンとの混合物;遺伝 子工学的に生産された遣伝子組換 I型コラーゲン;該遣伝子組換 I型コラーゲン と遺伝子工学的に生産された遺伝子組換 111 型コラーゲンとの混合物等が挙げら れる。 より好ましくは、 例えば、 仔牛の真皮から酸抽出した I型コラーゲン;遺 伝子工学的に生産された遺伝子組換 I型コラーゲン等が挙げられる。 遺伝子工学 的に生産された遺伝子組換 I型コラーゲンとしては、 仔牛の真皮由来またはヒト の真皮由来のものが好ましい。
また、 安全性の面から、 抗原性の高いテロペプチドを除去したァテロコラーゲ ンまたは遺伝子工学的に生産された遺伝子組換ァテ口コラーゲンが望ましく、 好 ましくは、 1分子あたりチロシン残基が 3以下であるァテロコラーゲンが望まし い。
前記テロペプチドは、 コラーゲンの主要な抗原決定基である。 また、 前記ァテ 口コラーゲンは、 コラーゲンを酵素 (例えば、 ペプシン) 処理等により、 そのテ 口ペプチドを除去することにより得られる物質であり、 安全性上、 抗原性が、 ほ とんど問題にならないレベルであるとされている。
本発明の製剤に用いられるコラーゲンは、 例えば、 コラーゲンを產生する初代 培養細胞または株化細胞を培養し、 得られた培養物 (培養上清、 培養細胞) から 目的のコラーゲンを分離精製することにより得られる。 また、 遺伝子工学的手法 により、 コラーゲンをコードする核酸を適切なベクターに組み込み、 これを適切 な宿主に導入して形質転換し、 この形質転換体の培養上清から、 目的とする組換 えコラーゲンを得ることもできる。 前記宿主細胞としては、 例えば、 従来から遺 伝子工学的手法で用いられている各種の宿主細胞が挙げられ、 具体的には、 例え ば、 大腸菌、 枯草菌、 酵母、 植物紬胞または動物細胞を用いることができる。 なお、 本発明の製剤において、 前記生物活性を呈するものであれば、 前記コラ 一ゲンは、 複合体 (または塩) を形成していてもよい。
本発明の製剤の形状は、 注射可能な形状であればよく、 該製剤の形状としては 、 例えば、 柱状、 針状、 粒子状等が挙げられる。 前記柱状としては、 通常用いら れている注射針を使用できることから、 円柱状が好ましい。
本発明の製剤の大きさは、 例えば、 円柱状の製剤の場合、 注射可能である範囲 であればよく、 直径 0 . 3 mm〜 2 mm、 好ましくは、 0 . 5 mm〜l . 2 mm であり、 長さは、 3 mm〜3 0 mm、 好ましくは、 5 mm〜 1 5 mmであること が望ましい。 また、 粒子状の製剤の場合、 粒子径で最も大きな部分が、 好ましく は、 5 0 0 m以下であることが望ましく、 注射用溶媒あるいは注射可能な油性 溶液に懸濁し、 通常の注射針を用いて投与することが有用である。
本発明の製剤は、 公知の方法により投与されうる。 本発明の製剤を骨の近傍ま たは骨欠損部に投与する際、 例えば、 注射針と、 この注射針を挿着するためのノ ズルを有するバレルと、 このバレルに揷着される移動自在なプランジャとを含ん だ固形製剤投与具 (特公平 5— 8 6 2 3 8号公報) を用いることができる。 ここ で、 前記 「骨の近傍」 としては、 骨から約 5 mm以内の部分が好ましい。 骨内へ の投与については、 斜めの先端を有する中空針とトロカールまたはスタイレツト とを用いる。 スタイレットを針の内部に挿入配置し、 かつ針の斜めの先端から外 に部分的に延在させて、 ついで、 この針とトロカールとの組み立て体を骨に押し 通し、 皮質を貫通させ、 針とトロカールの先端を進める。 次にトロカールを引き 抜き、 針の開口端を目的とする投与部に位置させ、 針の生体外の部分から本発明 の製剤を挿入し、 押し込むことで投与することができる。 さらに、 骨内への投与 については骨内注射針 (特公平 6— 6 1 6 2号公報) を用いることにより、 本発 明の製剤を容易に投与することもできる。
本発明の製剤を、 骨内、 骨近傍または骨欠損部に投与することにより、 投与部 位周 5?の骨密度を増加または新生骨の形成を行なうことができることから、 骨修 復を必要とする症状に対する治療、 あるいは骨修復を必要とする症状に対する予 防を行なうことができる。
本発明の製剤により適用しうる症状として、 骨折が挙げられ、 治療しうる骨折 としては、 例えば、 骨粗鬆症に伴う骨折、 骨軟化症に伴う骨折、 悪性腫瘍に伴う 骨折、 多発性骨髄腫に伴う骨折、 先天性骨形成不全に伴う骨折、 骨襄胞症に伴う 骨折、 化膿性骨髄炎に伴う骨折、 大理石病に伴う骨折、 栄養障害に伴う骨折等の 何らかの病気に伴う骨折や、 外傷性骨折、 疲労骨折が含まれる。 本発明の製剤に より治療しうる骨折として上記の骨折が挙げられ、 本発明の製剤を、 骨折部位の 近傍または骨折部位間に投与することで治療を効果的に行なうことができる。 また、 本発明の製剤により骨密度を増加させることで予防されうる骨折として 、 上記の何らかの病気に伴う骨折、 すなわち、 骨粗鬆症に伴う骨折、 骨軟化症に 伴う骨折、 悪性腫瘍に伴う骨折、 多発性骨髄腫に伴う骨折、 先天性骨形成不全に 伴う骨折、 骨囊胞症に伴う骨折、 化膿性骨髄炎に伴う骨折、 大理石病に伴う骨折 、 栄養障害に伴う骨折等が挙げられ、 特に骨粗鬆症の個体における骨折の予防に 有用である。
本発明の製剤を、 骨折を予防しょうとする部位の近傍または骨内に投与するこ とにより骨密度を増加させ、 それにより骨折を予防することができる。 本発明の 製剤を投与する部位として、 脊椎、 大腿骨頸部、 橈骨末端、 上腕骨近位端が挙げ られる。 特に、 大腿骨頸部への投与は骨粗鬆症の個体における骨折に対して、 予 防する対象として重要な部位である。
なお、 本明細書において、 「骨折の予防」 とは、 骨折の重症度および/または 発生率を低下させることを意味する。
さらに、 本発明の製剤を、 骨欠損部またはその近傍に投与することにより、 骨 形成を促進し、 それにより骨欠損部の修復を行なうことができる。 骨欠損には、 腫瘍摘出に伴う欠損、 外傷性の欠損、 骨延長術における骨切片間隙等が挙げられ る。
本発明の 1つの態様は、 コラーゲンからなる担体に、 B M Pと有機酸性物質と を含有し、 かつ注射可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度
増加用の製剤である (固形製剤 a)。 本発明の製剤に用いられる有機酸性物質は 、 その塩であってもよい。
本発明の製剤は、 有機酸性物質またはその塩を含有するため、 該製剤からの B MPの放出を制御することができる、 すなわち、 該製剤から生体への BMPの供 給を調節することできるという優れた効果を発揮する。
本明細書において、 前記有機酸性物質またはその塩を含有した製剤における B MPの放出制御は、 該有機酸性物質またはその塩の添加により、 BMPの溶解性 および Zまたは該製剤の崩壊を制御することによるものをも含む。
前記有機酸性物質とは、 有機化合物であって、 水に溶解したときの pHが 7以 下であり、 かつ薬学上許容される化合物をいい、 例えば、 グルタミン酸、 ァスパ ラギン酸、 クェン酸、 酒石酸、 コハク酸およびそれらの塩が挙げられる。
本発明の製剤中における前記有機酸性物質の含有量は、 治療や予防の計画に対 応して適宜設定することができるが、 好ましくは、 全製剤重量の 1〜 30 wZw %、 より好ましくは、 1〜2 Ow/w%の範囲で含有量を設定することが望まし い。
なお、 本発明の製剤において、 前記生物活性を呈するものであれば、 前記有機 酸性物質は、 複合体 (または塩) を形成していてもよい。
本明細書において、 「BMPの放出」 とは、 製剤から、 BMPまたは BMPと 添加剤との複合体が溶出し、 遊離すること ;製剤自体が崩壊、 拡散や溶解するこ とにより、 BMPまたは BMPと添加剤との複合体が遊離することを意味する。 すなわち、 前記 「BMPの放出」 は、 インビトロ放出試験においては、 放出試験 液への BMPの溶出または放出試験液への BMPと添加剤との複合体の溶出であ り、 動物への製剤の投与実験においては、 製剤から生体への BMPの供給または 製剤から生体への BMPと添加剤との複合体の供給を意味する。
本明細書における 「添加剤」 とは、 製剤に添加されうる物質であって、 BMP およびコラーゲン以外の物質をいい、 例えば、 前記中性アミノ酸等が挙げられる
本発明の 1つの態様は、 コラーゲンからなる担体に、 BMPとポリサッカライ ドとを含有し、 かつ投与、 特に注射可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治 療または骨密度増加用の製剤である (固形製剤 b ) 。 本発明の製剤に用いられる ポリサッカライドは、 その塩であってもよい。
本発明の製剤は、 ポリサッカライド (またはその塩) を含有するため、 該製剤 からの BMPの放出を制御することができる、 すなわち、 該製剤から生体への B M Pの供給を調節することができるという優れた効果を発揮する。
前記ポリサッカライドとは、 数個以上の単糖が脱水縮合して生じた糖質をいう 。 ボリサッカライドは種々の方法で分類されており、 例えば、 単純多糖、 複合多 糖や、 酸性多糖、 中性多糖、 従来ムコ多糖とよばれた一群の多糖等が挙げられる 。 前記ポリサッカライドのなかでも、 特にコンドロイチン硫酸ナトリウム、 カル ボキシメチルセルロース、 ヒドロキシプロピルセルロース等が好ましい。 ポリサ ッカライドを含有した製剤では生体への投与後、 製剤自体が崩壊することが多く 、 かかる崩壊の速度および程度が、 製剤からの BMPの放出に寄与する。 また、 B MPとコラーゲンとを含有した、 投与、 特に注射可能な形状を有した製剤にボ リサッカライドまたはその塩を含有させることにより、 上記のように該製剤から の B M Pの放出を制御することができるだけでなく、 さらに製剤の形伏を良好に することができるという優れた効果を発揮する。 なお、 前記有機酸性物質と前記 ポリサッカライドとは、 併用されてもよい。 前記ボリサッカライドは、 製剤から の BMPの放出を制御し、 製剤の形状を良好にするものであれば、 複合体 (また は塩) を形成していてもよい。
本発明の 1つの態様は、 コラーゲンからなる担体に、 B MPと 「中性アミノ酸 、 単糖、 二糖および糖アルコールからなる群より選ばれた少なくとも 1種の化合 物 J とを含有し、 かつ注射可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療または 骨密度増加用の製剤である (固形製剤 c ) 。 本発明の製剤に用いられる 「中性ァ
ミノ酸、 単糖、 二糖および糖アルコールからなる群より選ばれた少なくとも 1種 の化合物」 は、 その塩であってもよい。 本発明の製剤は、 「中性アミノ酸、 単糖
、 二糖および糖アルコールからなる群より選ばれた少なくとも 1種の化合物」 ま たはその塩を含有するため、 該製剤の形状を良好にすることができるという優れ た効果を発揮する。 すなわち、 注射に適した形状の製剤を提供することができる o
例えば、 B M Pとコラーゲンとのみからなる製剤の形状が良好でないのに比較 して、 「中性アミノ酸、 単糖、 二糖および糖アルコールからなる群より選ばれた 少なくとも 1種の化合物 J をさらに添加することにより、 非常に良好な形状の製 剂を提供することができるという驚くべき効果を発揮する。
なお、 本明細書において、 「良好な形状 j とは、 投与、 特に注射に適した形状 を意味する。
前記中性アミノ酸としては、 ァラニン、 グリシン、 ノくリン、 ロイシン、 イソ口 イシン、 フエ二ルァラニン、 セリン、 トレオニン、 システィン、 シスチン、 ァス バラギン、 グルタミン、 メチォニン、 チロシン、 トリブトファン、 プロリンが挙 げられる。 前記中性アミノ酸は、 製剤の成形性を発揮するものであれば、 複合体 (または塩) を形成してもよい。
また、 前記単糖類としては、 グルコース、 果糖等が挙げられ、 前記二糖類とし ては、 ショ糖、 乳糖、 マルトース等が挙げられ、 前記糖アルコールとしてはキシ リ トール、 ソルビトール、 マンニトール等が挙げられる。 前記単糖類、 二糖類お よび糖アルコールは、 製剤の成形性を発揮するものであれば、 複合体 (または塩 ) を形成してもよレ、0
前記製剤、 すなわち、 コラーゲンからなる担体に、 骨形成タンパク質 (B M P ) と有機酸性物質とを含有し、 かつ投与、 特に注射可能な固形製剤である、 骨折 治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤 (固形製剤 a ) に、 中性アミノ酸、 単糖類、 二糖類および糖アルコールからなる群より選ばれた少なくとも 1種の化
合物を含有させることによって、 製剤の形状を良好にすることができるという優 れた効果を発揮する。 前記固形製剤 aにおいて、 中性アミノ酸、 単糖類、 二糖類 および糖ァルコールからなる群より選ばれた少なくとも 1種の化合物をさらに含 有した製剤 (固形製剤 d ) も本発明の範囲に含まれる。
前記中性アミノ酸、 単糖類、 二糖類、 および糖アルコール等から選ばれた化合 物を、 前記製剤、 特に BMPとコラーゲンと有機酸性物質とを含有した固形製剤 (固形製剤 a ) に含有させることによって、 該製剤からの BMPの放出を制御す ることができ、 かつ形伏が良好な製剤を提供することができる。
例えば、 製剤の形状を改善し、 医療上の使用に適した形状とする観点から、 例 えば、 グルタミン酸塩酸塩 2 0 wZw と BMP 5 w/w%とコラーゲンとを含 有した円柱状の製剤において、 最終含有量として、 コラーゲンの含有量を、 例え ば、 1 O wZw%分に替えて中性アミノ酸としてァラニンが 1 O wZw^iとなる ように含有させることにより、 良好な形状の製剤が得られ、 さらにァラニンの最 終含有量を 2 O wZw%とすることで、 より良好な形状の製剤が得られる。 本発 明においては、 単に BM Pの放出速度をコントロールする方法だけでなく、 製剤 の形状を良くする方法を含む。
本発明によれば、 本発明の製剤を、 治療の対象とする骨疾患部、 すなわち骨折 部位、 骨欠損部位またはそれらの近傍に投与すること、 あるいは骨粗鬆症等にお ける骨折のリスクの高い部位の骨内に投与することにより、 骨折治療、 骨欠損治 療または骨密度増加、 すなわち、 骨折の予防が可能となる。
BMPとコラーゲンと適切な添加剤とを含有した、 投与、 特に注射可能な形伏 を有した製剤に、 塩基性繊維芽細胞成長因子 (b F G F ) をさらに含有させるこ とによって、 高い骨の形成の効果を発揮するため、 骨修復、 例えば、 骨粗鬆症に おける骨折治療および Zまたは骨折予防に非常に優れた効果を発揮する。 すなわ ち、 b F G Fにより間葉系細胞を増殖させ、 BMPにより骨芽細胞へと分化誘導 することで効果的な骨形成の効果が得られる。
本発明の製剤の投与量および投与回数は、 例えば、 対照疾患、 症状、 年齢およ ぴ体重によって異なるが、 通常は、 製剤 1本あたり、 BM Pについて、 例えば、 0 , l〜1 0 0 m g、 b F G Fを含有せしめる場合には、 例えば、 0 . 1〜2 0 m gを含有せしめることができる。 かかる製剤を成人に対し、 1日あたり 1本ま たは複数本 (例えば、 2〜4本) 投与することができる。
本発明の製剤の形態は、 単一構造であっても、 多重構造であってもよい。 前記 単一構造とは、 製剤中に各構成成分が均一に分散した単一の層から構成される製 剤の構造であり、 前記多重構造とは、 二つ以上のマトリックスから構成される成 形体をいう。 前記マトリックスとは、 BMP、 添加剤等のうち一種あるいはそれ 以上がコラーゲン中に均一に分散されている系をいうが、 コラーゲンのみからな る系も含まれる。 したがって、 多重構造をとる製剤とは、 複数のマトリックスか ら構成されている製剤である。 例えば、 この多重構造をとる製剤の形態として、 円柱状で、 同心円の構造をとる製剤を例にすると、 内側の層に有機酸性物質を含 有したコラーゲンからなるマトリックスを成分として、 外側の層に、 BMPと中 性アミノ酸等とを含有したコラーゲンからなるマトリックスを成分として構成さ れる二重構造の製剤が挙げられる。 もちろん内側の層の成分と外側の層の成分が 反対でもよく、 また、 この二重構造のさらに外側に第三のコラーゲンのみからな る成分による層がある三重構造の製剤も一つの例として挙げられる。
本発明の製剤の製造方法は、 限定されるものではないが、 例えば、 BMPとコ ラーゲンと有機酸性物質またはポリサッカライド等の添加剤とを含有した円柱状 の製剤の場合、 例えば、 下記製造工程:
① BMPを含有した水溶液と、 コラーゲンを含有した水溶液と、 前記添加成分 とを含有した水溶液を混合し、 均一な混合溶液とする工程、
② 前記工程①で得られた混合溶液を、 凍結乾燥またはスプレードライ等の方法 により乾燥させる工程、
③ 前記工程②で得られた乾燥物に適量の水を加えて膨潤させ、 十分練合して均
質な練合混合液とする工程、
④ 前記工程③で得られた練合混合液を、 押出成形等により円柱状に成形するェ 程、
⑤ 前記工程④で得られた円柱伏成形物を乾燥させる工程、 および
⑥ 前記工程⑤で得られた乾燥した成形物を適切な長さに切断する工程 により、 本発明の製剤を得ることができる。 また、 前記製造方法はフレキシブル に適宜選択され得、 上記製造工程において、 例えば、 添加剤を水溶液とせず、 粉 体のまま、 コラーゲンと BMPとを含有した混合溶液に添加してもよく、 前記ェ 程③において、 粉体のまま添加し練合してもよい。
粒子状の製剤は、 例えば、 上記の円柱状の製剤を粉砕することで製造されうる 。 また、 前記粒子状の製剤は、 上記の円柱状の製剤の製造方法の例における工程 ②で得られた乾燥物を粉砕すること、 または工程③で得られた練合混合液をその まま乾燥させ、 粉砕することにより製造されうる。 また、 得られた粒子状製剤を 篩過することでその粒子の大きさを一定の範囲のものとすることができる。 多重構造を有する製剤についても、 上記の円柱状の製剤の製造方法に準じて製 造される。 すなわち各層を構成する成分を含有している均質な練合混合液を上記 の円柱状の製剤の場合と同様の方法で各々準備し、 各層に対応する混合液を多重 ノズルを使用して、 押出成形し、 乾燥させることで製造することができる。
bFGFを含有した本発明の製剤において、 二重構造を有する製剤は、 製造ェ 程上、 および放出制御上、 非常に優れた特徴を有する。
前記 bFGFを安定に維持し、 かつ機能を十分に発揮させる観点から、 例えば 、 BMPを含有したマトリックスと bFGFを含有したマトリックスとを別々に 調製し、 押出成形の工程で、 上記の各々の成分を二重構造となるように押出成形 することが有利である。 ここで、 bFGFを含有したマトリックスは、 例えば、 温度は、 1 5°C以下、 好ましくは 1 0°C以下で扱い、 用いられるコラーゲンは、 pH4〜pH7、 好ましくは pH 5〜pH 6で用いることが望ましい。
また、 bFGFは、 間葉系細胞を増殖させ、 BMPは、 その増殖した間葉系細 胞を骨芽細胞へと分化させることから、 二重構造の外層に bFGFを内層に B M Pを含有させ、 bFGFの放出を先に多くし、 BMPの放出を後になるようにコ ントロールすることで、 効果的な薬効を引き出すことができるという優れた効果 を発揮する。 また、 二重構造の内層に bFGFを含有させ、 外層に BMPをそれ ぞれ含有させることで bFGFと BMPとの放出をバランスよくコントロールす ることも可能である。 また、 前記製剤において、 ポリサッカライドや、 有機酸性 物質等の添加剤を含有させることで、 例えば、 崩壊性および分散性を内層と外層 との間で調節することにより b FGFと BMPとの放出をコントロールすること も本発明では可能である。
本発明の製剤によれば、 前記したように、 骨粗鬆症等における骨折治療、 骨欠 損治療または骨密度増加方法が提供されうる。 具体的には、 治療または予防を必 要とする個体に、
1) コラーゲンからなる担体に、 BMPと有機酸性物質とを含有し、 かつ注射 可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤 (固形 製剤 a)、
2) コラーゲンからなる担体に、 BMPとボリサッカライドとを含有し、 かつ 注射可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤 ( 固形製剤 b)、
3) コラーゲンからなる担体に、 BMPと Γ中性アミノ酸、 単糖および二糖か らなる群より選ばれた化合物」 とを含有し、 かつ注射可能な固形製剤である、 骨 折治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤 (固形製剤 c)、
4) コラーゲンからなる担体に、 BMPと、 有機酸性物質と、 「中性アミノ酸 、 単糖および二糖からなる群より選ばれた化合物 j とを含有し、 かつ注射可能な 固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加用の製剤 (固形製剤 d ) 、 および
5) 前記 1 ) 〜4) のいずれかにおいて、 塩基性繊維芽細胞成長因子 (bFG F) をさらに含有し、 かつ注射可能な固形製剤である、 骨折治療、 骨欠損治療ま たは骨密度増加用の製剤、
からなる群より選ばれた 1種の製剤を有効量投与することを特徴とする方法が挙 げられる。 以下、 実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、 本発明は以下の実施例に 限定されるものではない。 実施例 1 (BMP 5w 処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 22. O gに、 水 4 3m lを添加 して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 2. 4 8mg/m 1 BMP水溶液 1 0. 1m lを添加して、 均一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得ら れた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混 合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径 6mm) から押し出した。 得られ た産物を乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 78mm、 長さ 1 Ommの円 柱状の固形製剤 1 (BMP含有量: 4. 7wZw%) を得た。 実施例 2 (BMP 10w/w¾処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 20. 8 gに、 水 33. 8m lを 添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 2. 4 5mg/m 1 BMP水 溶液 20. 4m lを添加して、 均一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 こ の混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得 られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 84mm、 長さ 1 0m mの円柱状の固形製剤 2 (BMP含有量: 1 0. OwZw%) を得た。
実施例 3 (BMP 20w/w¾処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 8. 5 gに、 水 1 5. 7m lを 添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 2. 45mg/m 1 BMP水 溶液 40. 8m lを添加して、 均一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 こ の混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径 1. 6mm) から押し出した。 得 られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 88mm、 長さ 1 Om mの円柱状の固形製剤 3 (BMP含有量: 20. 5 /w%) を得た。 実施例 4 (BMP 5w/w¾, Ala 5w/w¾処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 20. 8 gに、 水 4 Om l と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 3. 57m 1 とを添加して混合した。 ついで、 得 られた混合物に、 2. 45mg/m 1 BMP水溶液 1 0. 2m lを添加して均 —に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨 潤させ練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノ ズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断する ことにより、 直径 0. 76 mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 4 (BMP含 有量: 5. 3 w/ %) を得た。 実施例 5 (BMP 5w/w¾, Ala 10w/w¾処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 9. 7 gに、 水 35m l と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 1 Om l とを添加して混合した。 ついで、 得られ た混合物に 2. 48mg/ml BMP水溶液 1 0. 1m lを添加して均一に攪 拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (
内径 1. 6 mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することに より、 直径 0. 9 lmm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 5 (BMP含有量: 4. 9wZw%) を得た。 実施例 6 (BMP 5w/w¾, Ala 20w/w¾処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 7. 4 gに、 水 28m l と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 2 Om 1 とを添加して混合した。 ついで、 得られ た混合物に、 2. 4 mg/m 1 BMP水溶液 1 0. 1 m lを添加して均一に 攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤さ せ練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル
(内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断すること により、 直径 0. 88 mm. 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 6 (BMP含有量
: 4. 6w/w%) を得た。 実施例 7 (BMP 5w , Glu 5w 処方)
2. 1 6w/w% ァテロコラーゲン水溶液 20. 8 gに、 水 39m l と 5m g/m 1 L—グルタミン酸塩酸塩水溶液 5. Om 1 とを添加して混合した。 つ いで、 得られた混合物に、 2. 48m g/m 1 BMP水溶液 1 0. 1 m 1を添 加して均一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添 加して膨潤させ練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充 填し、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 77 mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 7 ( BMP含有量: 4. 8wZw%) を得た。 実施例 8 (BMP 5w . クェン酸 10w/w%処方)
2. 1 2w/w% ァテロコラーゲン水溶液 32. l gに、 水 36m l と 5m
g/m 1 クェン酸水溶液 1 6. Om 1とを添加して混合した。 ついで、 得られ た混合物に、 2. 4 7mg/m 1 BMP水溶液 1 6. 2m lを添加して均一に 攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤さ せ練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル
(内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断すること により、 直径 78mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 8 (BMP含有量
: 5. Ow/w%) を得た。 実施例 9 (BMP 5w/w¾, CS 20w/w%処方)
2. 1 2w/ % ァテロコラーゲン水溶液 28. 3 gに、 水 26m l と 5m g/m 1 コンドロイチン硫酸ナトリウム (CS) 水溶液 32. Om lとを添加 して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 2. 8 3m g/m 1 BMP水溶液 1 4. 1m lを添加して均一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られ た産物に、 水を添加して膨潤させ練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶 液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産 物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 84mm、 長さ 1 Ommの円柱 状の固形製剤 9 (BMP含有量: 4. 6wZw%) を得た。 実施例 1 0 [BMP 5w/ ¾, CS 20w (処方):細径]
2. 1 2w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 3. 22に、 水71111と 51118 /m l コンドロイチン硫酸ナトリウム水溶液 1 6. Om lとを添加して混合し た。 ついで、 得られた混合物に 2. 83m g/m 1 BMP水溶液 1 4. 1 m l を添加して均一に攪拌した。 得られた混合物を、 凍結乾燥し、 水を添加して膨潤 させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノ ズル (内径 0. 9mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断する ことにより、 直径 0. 57mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 1 0 (BMP
含有量: 8. gwZw^) を得た。 実施例 1 1 (BMP 20w/ ¾処方)
2. 1 2w/w% ァテロコラーゲン水溶液 56. 6 gに、 水 33m l と 3. 3 3mg/m 1 BMP水溶液 90. 1 m 1 とを添加して均一に攪拌した。 得ら れた混合物を、 凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合して ゲル伏の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径 1. 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直 径 0. 85 mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 1 1 (BMP含有量: 1 7.
5 w/w% を得た。 実施例 1 2 (BMP 5w , Glu 20w , Ala 20w 処方)
2. 1 2w/w% ァテロコラーゲン水溶液 38. 9 gに、 SmgZm l L 一グルタミン酸塩酸塩水溶液 60. 0m lと 5mgZm l L—ァラニン水溶液
6 0. 0m lとを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 3. 33mg /m 1 BMP水溶液 22. 5m lを添加して均一に攪拌した。 得られた混合物 を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混合 溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 6mm) から 押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 9 1 mm 、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 1 2 (BMP含有量: 4. 3 w/w%) を得 た。 実施例 1 3 (BMP 5w , Glu lOw , Ala 20w 処方)
2. 1 2 /w% ァテロコラーゲン水溶液 4 6. O gに、 水 2 l m lと 5m g/m 1 L一グルタミン酸塩酸塩水溶液 30. Om l と 5mgZm l L—ァ ラニン水溶液 6 0. 0m l とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に、
3. 33mg/m 1 BMP水溶液 22. 5 m 1を添加して均一に攪拌した。 得 られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合して ゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 9 Omm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 1 3 (BMP含有量: 4. 4 w /w%) を得た。 実施例 1 4 (BMP 5w/w¾, Ala 20w/w¾処方)
1. 88 w/w% ァテロコラーゲン水溶液 20. 0 gに、 水 26m l と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 20. 0m 1とを添加して混合した。 ついで、 得 られた混合物に、 2. 8 6m g/m 1 BMP水溶液 8. 74mlを添加して均 一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨 潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径 6mm) ルから押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断す ることにより、 直径 0. 79 mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 1 4 (BM P含有量: 5. 5wノ w%) を得た。 実施例 1 5 (BMP lw , Ala 20w 処方)
1. 88 w/w% ァテロコラーゲン水溶液 2 1. O gに、 水 32m l と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 20. 0m 1とを添加して混合した。 ついで、 得 られた混合物に 2. 8 6mg/m 1 BMP水溶液 1. 75m lを添加して均一 に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤 させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノ ズル (内径 6mm) から押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断するこ とにより、 直径 0. 8 1 mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 1 5 (BMP含 有量: 0. 77 w/w%) を得た。
実施例 1 6 (BMP 0.2w/w¾, Ala 20w/w¾処方)
1. 8 8 w/w% ァテロコラーゲン水溶液 2 1. 2 gに、 水 33m l と 5m g/m 1 L—ァラニン水溶液 20. Om 1 とを添加して混合した。 ついで、 得 られた混合物に、 2. 86mg/m 1 BMP水溶液 0. 35m lを添加して均 一に攪拌した。 得られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に水を添加して膨潤 させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノ ズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断するこ とにより、 直径 0. 8 8 mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 1 6 (BMP含 有量: 0. 1 7wZw%) を得た。 実施例 1 7〜75 添加剤の異なる種々のサンプル
以下の方法により種々のサンプルを作製した。 ここでの仕込みは、 表 1の記載 のように行なった。
表 1
CS:コン ロイチン硫酸 Na
HPCD:ヒドロキシプロビルシクロテ'キストリン CMC:カルホ'キシメチルセルロース HPC:ヒドロキシプロピルセルロース (*):練合時に粉末として添加
表 1 (続き)
CS:コント 'Πィチン硫酸 Na
HPCD:ヒドロキシフ '口ビルシクロ τキストリン CMC:カルホ'キシメチルセルロース HPC:ヒト'口キシフ。口ピルセルロース (*):練合時に粉末として添加
表 1 (続き)
CS:コンドロイチン硫酸 Na
HPCD:ヒドロキシフ '口ビルシクロ亍'キストリン CMC:カルホキシメチルセルロース HPC:ヒドロキシプロピルセルロース (*):練合時に粉末として添加
ァテロコラーゲン水溶液に、 適量の水と表 1に記載の添加剤水溶液とを添加し て混合した。 ついで、 得られた混合物に、 BMP水溶液を添加して均一に攪拌し た。 得られた混合物を凍結乾燥し、 シリンジ内で水を添加して膨潤させ、 練合し てゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに装着したノズル (内径 1 . 6mm) から押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断することにより、 B MPを含有した種々の円柱状の固形製剤 1 7〜固形製剤 75を得た。 実施例 76 (BMP 20w/w¾処方)
1. 9 lw/w% ァテロコラーゲン水溶液 60. 9 gに、 水 65m l と 5. 52mg/m 1 BMP水溶液 54. 3 m 1とを添加して均一に攪拌した。 得ら れた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲ ル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径 1. 6 mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 87mm、 長さ 1 0mmの円柱状の固形製剤 76 (BMP含有量: 1 9. 4 w/w%) を得た。 実施例 77 (BMP 5w/w¾処方)
1. 97w/w% ァテロコラーゲン水溶液 73. 6 gに、 水 94m lと 5. 52mg/m 1 BMP水溶液 1 3. 6 m 1とを添加して均一に攪拌した。 得ら れた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲ ル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径 1. 6 mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 88mm、 長さ 1 0mmの円柱状の固形製剤 77 (BMP含有量: 4. 6 w w%) を得た。 実施例 78 (BMP 0.5w/w¾処方)
1. 9 Tw/w% ァテロコラーゲン水溶液 25. 3 gに、 水 34m 1と 5. 52mg/m 1 BMP水溶液 0. 453 m 1とを添加して均一に攪拌した。 得 られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合して ゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直 径 0. 90 mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 78 〔 BMP含有量 (理論値 ) : 0. 5 w/w%) を得た。 実施例 79 (BMP 0.05w/w¾処方)
1. 97 w/w% ァテロコラーゲン水溶液 25. 4 gに、 水 35m l と 5. 52m /m 1 BMP水溶液 0. 045 m 1とを添加して均一に攪拌した。 得 られた混合物を凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合して ゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直 径 0. 9 1 mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 79 〔 BMP含有量 (理論値 ) : 0. 05 w/w%) を得た。 実施例 8 0 (BMP 20w/w%. Glu 20w/w¾. Ala 20w/w%処方)
1. 97w/w% ァテロコラーゲン水溶液 30. 5 gに、 5mgZm l L ーグルタミン酸塩酸塩水溶液 60m lと 5mgZm l L—ァラニン水溶液 60 m 1とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 5. 52mg/m 1 BMP水溶液 54. 3m lとを添加して均一に攪拌した。 得られた混合物を、 凍 結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混合溶液 を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 6mm) から押し 出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 85mm、 長さ 1 0mmの円柱状の固形製剤 80 (BMP含有量: 1 7. 9w/w%) を得
た < 実施例 8 1 (BMP 5w/w¾, Glu 20w/w¾, Ala 20w/w¾処方)
1. 9 Tw/w% ァテロコラーゲン水溶液 4 1. 9 gに、 SmgZm l L 一グルタミン酸塩酸塩水溶液 6 Om lと 5mgZm 1 L—ァラニン水溶液 60 m l とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に水 5 m l と 5. 52mg /m 1 BMP水溶液 1 3. 6 m 1 とを添加して均一に攪拌した。 得られた混合 物を、 凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の 混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充埴し、 ノズル (内径 1. 6mm) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 8 6 mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 8 1 (BMP含有量: 4. w/w% ) を得た。 実施例 82 (BMP 0.5w , Glu 20w/w¾, Ala 20w/w¾処方)
1. 97w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 5. l gに、 5mgZm l L 一グルタミン酸塩酸塩水溶液 20m lと SmgZm 1 L—ァラニン水溶液 20 m 1 とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に水 4m 1と 5. 52mg /m 1 BMP水溶液 0. 453m lとを添加して均一に攪拌した。 得られた混 合物を、 凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状 の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径し 6mm ) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径し 03mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 82 (BMP含有量 (理論値) : 0 . 5w/w% を得た。 実施例 83 (BMP 0.05w/ ¾, Glu 20w , Ala 20w/w¾処方)
1. 97 w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 5. 2 gに、 5mgZm l L
—グル夕ミン酸塩酸塩水溶液 2 Om l と 5mg/m 1 Lーァラニン水溶液 20 m 1とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に水 5m 1と 5. 52mg / 1 BMP水溶液 0. 045 m lとを添加して均一に攪拌した。 得られた混 合物を、 凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状 の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径 1. 6mm ) から押し出した。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径し 06mm、 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 83 〔BMP含有量 (理論値) : 0 . 05 w w^) を得た。 実施例 84 (BMP 5w/w¾処方:钿径、 極細径)
1. 97w/w% ァテロコラーゲン水溶液 24. l gに水 3 Om l と 5. 5 2mg/m 1 BMP水溶液 4. 53m 1とを添加して均一に攪拌した。 得られ た混合物を、 凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲ ル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径 1. 1 mm) から混合溶液の半分量を押し出した (細径) 。 残りの混合溶液は、 シリン ジのノズルを別のノズル (内径 0. 68mm) に付け替えた後、 押し出した (極 細径) 。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 64mm、 長さ 1 Ommの円柱伏の固形製剤 84a (細径) および直径 0. 45mm、 長さ 1 Ommの円柱状の固形製剤 84 b (極細径) を得た。 実施例 85 (BMP 5 , Glu 10w . Ala 20w/w¾処方:細径、 極細径)
1. 97w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 6. 5 gに、 SmgZm l L- グル夕ミン酸塩酸塩水溶液 1 0m lと SmgZm 1 Lーァラニン水溶液 2 Om 1 とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に水 8m 1 と 5. 52 g/ m l BMP水溶液 4. 5 3m l とを添加して均一に攪拌した。 得られた混合物 を、 凍結乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混
合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充填し、 ノズル (内径 1. 1 mm) か ら混合溶液の半分量を押し出した (細径) 。 残りの混合溶液は、 シリンジのノズ ルを別のノズル (内径 0. 68 mm) に付け替えた後、 押し出した (極細径) 。 得られた産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 70 mm, 長さ 1 0 mmの円柱状の固形製剤 85a (細径) および直径 0. 42mm. 長さ 1 Omm の円柱状の固形製剤 85 b (極細径) を得た。 実施例 8 6 (BMP 5w , Glu 20w/w¾, Ala 20w/w¾処方:細径、 極細径)
1. 9 7w/w% ァテロコラーゲン水溶液 1 4. 0 gに、 5mgZm l L 一グルタミン酸塩酸塩水溶液 20m lと 5mg/m 1 Lーァラニン水溶液 20 m l とを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物に、 5. 52mg/m 1 BMP水溶液 4. 53m 1を添加して均一に攪拌した。 得られた混合物を、 凍結 乾燥し、 得られた産物に、 水を添加して膨潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を 得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 1 mm) から混合溶 液の半分量を押し出した (細径) 。 残りの混合溶液は、 シリンジのノズルを別の ノズル (内径 0. 68mm) に付け替えた後、 押し出した (極細径) 。 得られた 産物を、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 62mm、 長さ 1 0mmの円 柱状の固形製剤 8 6a (細径) および直径 0. 39mm, 長さ 1 0mmの円柱伏 の固形製剤 8 6 b (極細径) を得た。 比較例 1 対照製剤 1
1 9. 7w/w% ァテロコラーゲン水溶液 50. 76 gに、 水 6 9m lを加 え、 攪拌し、 得られた混合物を凍結乾燥した。 得られた産物に、 水を添加して膨 潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断する ことにより、 直径 0. 85mm、 長さ 1 0mmの円柱状の製剤 (対照製剤 1 ) を
得た t 比較例 2 対照製剤 2 (Ala 20w/w¾処方)
1. 88 w w% ァテロコラーゲン水溶液 1 4. 2 gに、 水 23m 1 と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 1 3. 3m l とを添加して混合した。 ついで、 得 られた混合物を、 均一に攪拌し、 凍結乾燥した。 得られた産物に、 水を添加して 膨潤させ、 練合してゲル状の混合溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し 、 ノズル (内径し 6mm) から押し出した。 得られた産物を乾燥させ、 切断す ることにより、 直径 0. 8 9mm、 長さ 1 Ommの円柱状の製剤 (対照製剤 2)
¾:得た 比較例 3 対照製剤 3 (Glu 20w , Ala 20w/w¾処方)
2 1. 2w/w96 ァテロコラーゲン水溶液 28. 3 gに、 水 1 2m l と 5m g/m 1 Lーァラニン水溶液 4 Om l と 5mg/m 1 L—グルタミン酸塩酸 塩水溶液 40m lとを添加して混合した。 ついで、 得られた混合物を均一に攪拌 し、 凍結乾燥した。 得られた産物に、 水を添加して膨潤し練合してゲル状の混合 溶液を得た。 この混合溶液をシリンジに充塡し、 ノズル (内径し 6mm) から 押し出した後、 乾燥させ、 切断することにより、 直径 0. 8 9mm. 長さ 1 0m mの円柱状の製剤 (対照製剤 3) を得た。 試験例 1 in vitro放出試験
固形製剤 1、 固形製剤 2、 固形製剤 3、 固形製剤 4、 固形製剤 5、 固形製剤 6 、 固形製剤 7の各製剤を、 放出試験液であるポリエチレングリコール (分子量 4 00) を 5wZw%含有した 0. 3Mリン酸バッファー (pH6. 3) 1 m lに 入れ、 37 'Cで静置した。 試験開始後、 1日、 4日、 7日に放出試験液を全量入 れ替え、 放出試験液中の BMP量を高速液体クロマトグラフィ一で測定すること
で各製剤の in vitro放出プロファイルを求めた。 結果を第 1図に示す。
第 1図に示すように、 BMPとコラーゲンとを含有した固形製剤により、 in V itro放出試験において、 製剤から BMPを長期にわたり放出させることが可能で あることが示された。 試験例 2 in vitro放出試験
固形製剤 8、 固形製剤 9、 固形製剤 10の各製剤を、 放出試験液であるポリェ チレングリコール (分子量 400 )を 5w/w%含有した 0. 3Mリン酸バッフ ァ一 (pH6. 3) 1mlに入れ、 37。Cで静置した。 試験開始後、 1日、 4日 、 7日に放出試験液を全量入れ替え、 放出試験液中の BMP量を高速液体クロマ トグラフィ一で測定することで各製剤の in vitro放出プロファイルを求めた。 結 果を第 2図に示す。 なお、 固形製剤 9、 固形製剤 10の場合の BMPの測定は、 放出試験液をコンドロイチナ一ゼにより処理した後に行なった。
第 2図に示すように、 有機酸性物質またはポリサッカライドと BMPとコラー ゲンとを含有した固形製剤により、 in vitro放出試験において、 BMPが製剤か ら種々の放出速度により放出させることが可能であることが示された。 試験例 3 in vitro放出試験
固形製剤 12、 固形製剤 13の各製剤を、 放出試験液であるポリエチレングリ コール (分子量約 400) を 5w/w%含有した 0. 3Mリン酸バッファー (p H 6. 3) 1mlに入れ、 37 °Cで静置した。 試験開始後、 1日、 4日、 7日に 放出試験液を全量入れ替え、 放出試験液中の BMP量を高速液体クロマトグラフ ィ一で測定することで各製剤の in vitro放出プロファイルを求めた。 結果を第 3 図に示す。
第 3図に示すように、 有機酸性物質、 中性アミノ酸と BMPとコラーゲンとを 含有した固形製剤により、 in vitro放出試験において、 有機酸性物質の添加量を
変化させることで、 製剤から種々の放出速度により B M Pを放出させることが可 能であることが示された。 試験例 4 マゥス皮下に投与後の製剤中 B M P量の経時的変化
固形製剤 1、 固形製剤 2、 固形製剤 3、 固形製剤 4、 固形製剤 5、 固形製剤 6 、 固形製剤 7の各製剤をマウス (BALBZc、 雄) の背部皮下に、 1匹あたり 1本投与し、 投与後 3日後および 7曰後に回収した各々の製剤を溶解後、 溶解液 中の B M P量を高速液体クロマトグラフィーで測定することで、 各製剤のマゥス 皮下に投与後の製剤中 BMP量の経時的変化を調べ、 in vivo放出プロファイル を求めた。 結果を第 4図に示す。
第 4図に示すように、 BMPとコラーゲンとを含有した固形製剤により、 動物 の体内における評価試験において、 製剤から BMPを長期にわたり放出させる、 すなわち BMPを長期にわたり生体に供給することが可能であることが示された c
試験例 5 マウス皮下に投与後の製剤中の BMP量の経時的変化
固形製剤 8、 固形製剤 9、 固形製剤 1 0の各製剤をマウス (BALBZc、 雄 ) の背部皮下に 1匹につき 1本を投与し、 投与後 3日後および 7日後に回収した 各々の製剤を溶解後、 溶解液中の BMP量を高速液体クロマトグラフィ一で測定 することで、 各製剤のマウス皮下に投与後の製剤中の B M P量の経時的変化を調 ベ、 in vivo放出プロファイルを求めた。 なお、 固形製剤 9、 固形製剤 1 0の場 合の溶解液中の BMPの測定は、 溶解液をコンドロイチナーゼにより処理した後 に行なった。 結果を第 5図に示す。
第 5図に示すように、 有機酸性物質またはボリサッカライドと BMPとコラー ゲンとを含有した固形製剤により、 動物の体内における評価試験において、 製剤 から種々の放出速度により BMPを放出させる、 すなわち BMPを種々の速度で
生体に供給することが可能であることが示された。 試験例 6 マゥス皮下に投与後の製剤中の BMP量の経時的変化
固形製剤 1 2、 固形製剤 1 3の各製剤をマウス (BALBZc、 雄) の背部皮 下に 1匹につき 1本を投与し、 投与後 3日後および 7日後に回収した各々の製剤 を溶解後、 溶解液中の BMP量を高速液体クロマトグラフィ一で測定することで 、 各製剤のマウス皮下に投与後の製剤中 BMP量の経時的変化を調べ in vivo放 出プロファイルを求めた。 結果を第 6図に示す。
第 6図に示すように、 有機酸性物質と中性アミノ酸と BMPとコラーゲンとを 含有した固形製剤により、 動物の体内における評価試験において、 有機酸性物質 の添加量を変化させることで、 製剤から種々の放出速度により B M Pを放出させ る、 すなわち BMPを種々の速度で生体に供給することが可能であることが示さ れた。 試験例 7 マウス皮下に投与後の製剤中 BMP量の経時的変化
固形製剤 52、 固形製剤 53、 固形製剤 54の各製剤をマウス (BALBZc 、 雄) の背部皮下に 1匹につき 1本を投与し、 投与後 3日後および 7日後に回収 した各々の製剤を溶解後、 溶解液中の BMP量を高速液体クロマトグラフィ一で 測定することで、 各製剤のマウス皮下に投与後の製剤中 BMP量の経時的変化を 調べ、 in vivo放出プロファイルを求めた。 結果を第 7図に示す。
第 7図に示すように、 有機酸性物質と BMPとコラーゲンとを含有した固形製 剤により、 動物の体内における評価試験において、 製剤から種々の放出速度によ り BMPを放出させる、 すなわち BMPを種々の速度で生体に供給することが可 能であることが示された。 試験例 8 マゥス皮下に投与後の投与部位での骨形成反応
固形製剤 6、 対照製剤 2の各製剤をマウス (BALBZc、 雄) の背部皮下に 1匹につき 1本を投与した。 投与 1ヶ月後に投与部位周辺を撮影して、 観察し、 ついで、 皮虜組織を回収した。 得られた皮膚組織を、 1 0%ホルマリンで固定し 、 ついで、 該皮膚組織について、 軟 X線撮影を行なった。 ついで、 前記皮膚組織 を脱灰し、 パラフィン包埋した後、 切片として、 へマトキシリン ·ェォジン (H E) で染色した。 結果を第 8図に示す。
第 8図に示すように、 BMPを含有しなレ、対照製剤では骨形成反応が認められ ないのに対して、 BMPを含有した固形製剤では、 顕著な骨形成反応を示すこと が確認された。 試験例 9 マゥス皮下に投与後の投与部位での骨形成反応
固形製剤 1 4、 固形製剤 1 5、 固形製剤 1 6の各製剤をマウス (BALBZc 、 雄) の背部皮下に 1匹につき 1本を投与 (投与量:固形製剤 1 4 = 1 70 g /p e l l e t/h e a d, 固形製剤 1 5 = 25 g/ e l l e t/h e a d 、 固形製剤 1 6 = 6. 5 ^g/p e 1 1 e t/h e a d) した。 投与 1 ヶ月後に 投与部位周辺を撮影し、 ついで、 皮膚組織を回収した。 得られた皮膚組織を、 1 0%ホルマリンで固定し、 ついで、 該皮盧組織について、 軟 X線撮影を行なった 。 結果を第 9図に示す。
一方、 BMP水溶液 A ( 1 500 // g/m 1 )、 BMP水溶液 B ( 300 z g /m l ) , BMP水溶液 C (60 z g/m 1 ) のそれぞれを、 マウス (BALB Zc、 雄) の背部皮下に 1匹あたり 1 00 1を投与 (投与量; BMP水溶液 A = 1 50〃 g/h e a d、 BMP水溶液 B= 30 g/h e a d、 BMP水溶液 C= 6 zg/h e a d) した。 投与 1ヶ月後に投与部位周辺を撮影し、 ついで、 皮盧組織を回収した。 得られた皮膚組織を、 1 0%ホルマリンで固定し、 該皮虜 組織について、 軟 X線撮影を行なった。 結果を第 1 0図に示す。
第 9図および第 1 0図に示されるように、 本発明の製剤により、 動物で骨形成
反応が確かにおこることが確認され、 また、 それと同投与量の BMPの水溶液に 比較してその反応が顕著であることが確認された。 試験例 1 0 マウス皮下に投与後の投与部位での骨形成反応
固形製剤 1、 固形製剤 1 2、 固形製剤 1 3、 対照製剤 1および対照製剤 3の各 製剤をマウス (BALBZc、 雄) の背部皮下に、 1匹あたり 1本投与した。 3 週間後、 投与部位周辺を撮影し、 ついで、 皮膚組織を回収した。 得られた皮膚組 織を、 1 0% ホルマリンで固定し、 ついで、 該皮膚組織について、 軟 X線撮影 を行なった。 結果を第 1 1図に示す。
第 1 1図に示されるように、 酸性アミノ酸であるグルタミン酸を含有した製剤 では、 含有してない製剤に比較して、 広範に骨形成反応が起こることが確認され た。 広範囲にわたる骨形成反応は、 酸性アミノ酸による BMPの放出促進効果、 すなわち、 BMPの溶解促進または製剤の崩壊のしゃすさの向上による BMPの 放出促進効果に起因するものと考えられる。 また、 BMPを含有しないコラーゲ ンのみからなる対照製剤 1では、 投与 3週間後でも、 製剤の形状が保たれている が、 グルタミン酸を含有した対照製剤 3では、 製剤の崩壊が確認された。 このこ とにより、 グルタミン酸の添加による崩壊のしゃすさに対する効果が示された。 試験例 1 1 成形性
固形製剤 9、 固形製剤 6 0、 固形製剤 6 1、 固形製剤 63、 固形製剤 74、 固 形製剤 75、 固形製剤 77、 固形製剤 4、 固形製剤 4 9それぞれの切断前の製剤 について、 形状の比較を行なった。 結果を第 1 2図に示す。
BMPとコラーゲンとに加えて、 中性アミノ酸を添加することにより、 形状の 優れた製剤が製造できることが示された (パネル Gに対してパネル H)。
BMPとコラーゲンとに加えて、 ポリサッカライドを添加することにより、 形 状の優れた製剤が製造できることが示された (パネル Gに対してパネル A、 E、
F ) o
また、 B M Pとコラーゲンと有機酸性物質とに加えて、 中性アミノ酸を添加す ることにより、 その添加量に応じて形状の優れた製剤が製造できることが示され た (パネル Iに対してパネル B、 C、 D )。
試験例 1 2 正常サルへの骨内投与
正常な雄の力二クイザルに対して、 固形製剤 1、 固形製剤 2、 固形製剤 3およ び対照製剤 1を、 Kワイヤ一および 1 8ゲージの針を用いて骨内投与した。
表 2 動物 遠位大腿骨 近位脛骨
番号 左 (L) 右 (R) 左 (L) 右 (R)
1 対照製剤 1 固形製剤 3
(1. 72mg)
2 固形製剤 3 対照製剤 1
(1. 72mg)
3 固形製剤 1 対照製剤 1
(0. 31mg)
4 対照製剤 1 固形製剤 1
(0. 31mg)
5 固形製剤 2 対照製剤 1
(0. 78mg)
( ) 内は、 各製剤の B M P含有量を表わす。
製剤投与後の各投与部位近傍の骨密度の時間的推移を P Q C Tにより調べた。 表 2に示す部位近傍の骨密度の時間的推移についての結果を第 1 3図に示す。 第 1 3図に示すように、 B M Pとコラーゲンとを含有した固形製剤の正常なサ ルへの骨内投与において、 骨密度の増加が確認された。
試験例 1 3 卵巣摘出サルでの評価
卵巣を摘出後 3年を経過した力二クイザル (骨粗鬆症モデル) の近位大腿骨に 固形製剤 1 1または対照製剤 3を骨内投与した。 投与 6力月後に前記力二クイザ ルを屠殺し、 投与部位周辺の組織学的評価をおこなった。 結果を第 1 4図に示す
0
第 1 4図に示すように、 骨粗鬆症モデルに、 本発明の製剤 (固形製剤) を投与 することにより、 強力な骨密度増加効果が得られた。 このことにより、 本発明の 製剤により、 骨粗鬆症においても骨密度を増加させることが可能であることが示 された。 試験例 1 4 マウス皮下に投与後のカルシウム生成量
固形製剤 76、 固形製剤 77、 固形製剤 78、 固形製剤 79、 固形製剤 8 0、 固形製剤 8 1、 固形製剤 82、 固形製剤 8 3、 対照製剤 1、 対照製剤 3の各製剤 をマウス (BALBZc、 雄) の背部皮下に、 1匹あたり 1本投与し、 投与後 3 週間後に各製剤を回収した。 ついで、 各製剤を 0. 6M塩酸に浸して室温で 5日 間静置した後、 液中のカルシウム濃度を測定することで、 カルシウム生成量を調 ベた (n= 4) 。 結果を第 1 5図に示す。
第 1 5図に示すように、 BMPを含有しない対照製剤では、 カルシウムの生成 が認められないのに対し、 BMPを含有した製剤では、 カルシウムの生成が認め られた。 また、 BMPの含有量が同じである製剤間の比較において、 グルタミン 酸と了ラニンとをさらに含有した製剤は、 含有していない製剤に比較して、 投与 後 3週間後のカルシウム生成量が多いことが示された。 このことより、 酸性アミ ノ酸による BMPの放出促進による、 骨形成、 カルシウム沈着の促進効果が示さ れた。 試験例 1 5 マウス皮下に投与後のカルシウム生成量
製剤径の細い固形製剤、 すなわち、 固形製剤 84 a、 固形製剤 84 b、 固形製
剤 8 5 a、 固形製剤 8 5 b、 固形製剤 8 6 aおよび固形製剤 8 6 bのそれぞれに ついても、 試験例 1 4と同様の方法によりカルシウム生成量を調べた (n = 8 ) o
第 1 6図に示すように、 製剤径が細い固形製剤においても酸性アミノ酸による B M Pの放出促進による、 骨形成、 カルシウム沈着の促進効果が示された。 均等物
本発明は、 その精神または主要な特徴から逸脱することなく、 他の種々の形で 実施することができる。 そのため、 前述の実施例は、 あらゆる点で単なる例示に すぎず、 限定的に解釈してはならない。 本発明の範囲は、 特許請求の範囲によつ て示すものであり、 明細書本文には、 なんら拘束されない。 さらに特許請求の範 囲の均等範囲に属する変形や変更は、 すべて本発明の範囲内である。 産業上の利用の可能性
本発明の製剤によれば、 骨折治療、 骨欠損治療または骨折予防の目的とする部 位へ、 骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加に必要な B M Pを送達することが でき、 また、 投与局所において、 B M P濃度を高い濃度に維持することができる 。 また、 本発明の骨折治療、 骨欠損治療または骨密度増加方法によれば、 骨修復 を必要とする症状に対する治療、 あるいは骨修復を必要とする症伏に対する予防 を行なうことができる。