明細書
細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする
トランスジエニック非ヒト哺乳動物
技術分野
本発明は、 トランスジエニック非ヒト哺乳動物に関する。 さらに詳細には、 本 発明は、 薬理評価動物として有用な、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモ 二夕一する外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする D N Aを 1以上の組織または 器官で発現するトランスジエニック非ヒト哺乳動物に関する。 本発明はまた、 上 記トランスジエニック非ヒト哺乳動物の作製方法、 上記方法により作製した動物 の利用方法、 上記方法に用いるプロモーター活性を有する D N A及びその利用方 法にも関する。
背景技術
生体は多くの細胞から構成されており、 それら細胞が密接に連絡を取りながら 生命活動を営んでいる。その密接な細胞間の連絡には、ホルモン、神経伝達物質、 細胞増殖因子などの生理活性物質が関与しているが、 これら生理活性物質の中に は、 細胞内のカルシウムイオンの濃度を変化させることで情報伝達を行っている ものが多く存在する。
細胞内情報伝達物質としてのカルシウムイオンの役割は、 1 9 6 0年代に Ebashiらにより骨格筋において示された (Ann. Rev. Physiol., 38, 293, 1976 )。 その後、 Ozawaらにより、 カルシウムイオンは筋収縮に関与するだけではなく 、 その他の酵素反応にも関与することが示され (J. Biochem. , 61, 531, 1967)、 今日では、 神経の興奮 (Ann. Rev. Physiol . , 60, 327, 1998) 、 分泌腺からの生 理活性物質の分泌 (Cell Calcium. , 24> 367, 1998) 、 細胞増殖あるいは分化 ( Cellular Signalling, 9, 483, 1997) を含む様々な生理現象に関与していること が明らかにされている。 細胞質内へのカルシウムイオン導入のメカニズムに関し
ては、 Michellによりホスファチジルイノシトール代謝回転が細胞質内における力 ルシゥムイオンの濃度を変化させるのに重要な働きを担っていることが示唆され た後 (Biochim. Biophys. Acta, 415, 81, 1975) 、 カルシウムイオンの細胞内プ ールである小胞体にィノシトール 1 , 4 , 5 —トリリン酸 ( I P 3 ) の受容体が 存在し、 この受容体を介したカルシウムイオンの放出の機構が明らかにされ、 力 ルシゥムイオンがセカンドメッセンジャーと呼ばれる細胞内情報伝達物質の一つ であることが示された (Nature, 342, 32, 1989) 。
このように、 細胞内でのカルシウムイオンの動態変化は多くの生理現象に関与 しており、 生体においてカルシウムイオンの濃度変化を正確に測定しモニターす ることは医療分野や医薬開発において非常に重要である。
細胞内のカルシウムイオン濃度を測定する方法としては、 1 ) f u r a— 2や i n d o— 1等のカルシウム指示薬を用いる方法 (Nature, 290, 527, 1981 ; J. Cell . Biol. , , 325, 1982) 、 2 ) カルシウム二価イオン感受性微少電極を用 いる方法 Detection and Measurement of Free Ca2+ in cells (Elsevier, North-Holland, Amsterdajn, 1979 )〕 、 3 ) 蛍光のエネルギー移動 (fluorescence resonance energy transfer; FRET) を利用する方法、 4 ) カルシウムイオン感受 性発光蛋白質ェクオリンを用いる方法(Biochem. Biophys. Res. Co匪 un., 29, 229, 1967) などが挙げられる。
カルシウム指示薬を用いる測定法は最も広く用いられているが、 これら指示薬 は蛍光物質であるために測定において励起光を照射する必要があり、 そのことに 起因する問題がある。 すなわち、 生体試料中には血清成分を始めとする自家蛍光 物質が含まれているため、 これら物質の蛍光の影響を考慮する必要がある (J. Biol. Chem. , 260, 3440, 1985) 。 また、 細胞内の N A D Hや N A D P Hも自家 蛍光を発することが知られている (細胞工学, 17, 584, 1998) 。 さらに、 励起光 を照射できない複雑な構造体を有する生体試料 (例えば、 器官や組織をそのまま 培養した状態の試料) では細胞内カルシウムイオンの測定は困難である。
カルシウム二価イオン感受性微少電極を用いた方法でも、 測定するためには細
胞内に電極を挿入する必要があるという本質的な制約がある。
蛍光のエネルギー移動を利用した方法としては、 二種類の蛍光蛋白質をカルモ ジュリンと M 1 3ぺプチドで連結させたキメラ蛋白質 Came 1 e o nを用いる 方法 (Nature, 388, 882, 1997) が開発されているが、 測定においては励起光の 照射が必要であり、 カルシウム指示薬を用いて測定する場合と同様の問題点が指 摘されている (細胞工学, II, 584, 1998)。
次にカルシウムイオン感受性発光蛋白質ェクオリンを用いた方法について説明 する。 ェクオリンは発光ォワンクラゲ (Aeguorea victoria) の傘周辺に存在する 生物発光タンパク質複合体であり、 1962年に Shimomuraらにより精製された (J. Cell Comp. Physiol., 59, 223, 1962; Methods in Enzymol., 57, 271,1978)。 ェクオリンは、 タンパク質部分のアポェクオリン、 発光基質であるセレンテラジ ンおよび分子状酸素からなる複合体であり、 カルシウムイオンとの結合により発 光するタンパク質複合体である(Pharmacol. Rev., 28, 1, 1976; Biochem. Biophys. Res. Comm., 211, 359, 1995 )。 1985年には Charbonneauらがアポェクオリンの アミノ酸配列を決定し (Biochemistry, 2Λ, 6762, 1985)、 Cormierら (Biochem. Biophys. Res. Comm., 1265 1259, 1985;特閧昭 61-224989号) および Inouyeら (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 3154, 1985;特開昭 61-135586号) がアポェ クオリン遺伝子をクローニングし、 その塩基配列を明らかにした。 その後、 より 強く発光する変異体 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86> 80, 1989; 米国特許第 5, 541, 309号) 、 カルシウムイオン感受性を高めた変異体 (Biochemical Journal, 228, 745, 1985)、 熱や凍結乾燥に対する安定性を高めた変異体(特開平 9- 278796 号)、 小胞体に局在するように改変した変異体 (EMBO J., 14, 5467, 1995) が作 製されている。
ェクオリンはカルシウムイオンとの結合により発光を生じることから、 カルシ ゥムイオン濃度の測定に用いられており、 例えば、 アポェクオリン蛋白質を直接 細胞内にインジェクションする方法 (Biochem. J., 248, 313, 1987) や、 培養細 胞でアポェクオリン遺伝子を発現させる方法 (J. Biol. Chem., 270, 9896, 1995
) が用いられている。 しかしながら、 これらの方法では、 カルシウムイオン濃度 の測定の対象となる試料は一定期間 in liimで培養できる細胞に限定される。 ま た、 蛋白質あるいは遺伝子の導入効率が限られるため、 培養に供している生体試 料の全ての細胞にアポェクオリンをィンジェクシヨンまたは発現させることは困 難である。 特に、 培養状態の器官や組織からなる生体試料へのアポェクオリンの 導入は困難である。
また、 生体内で生体の一部を構成している状態の細胞と、 生体から単離し in ziimで培養している状態の細胞とでは、生理的機能や外部からの刺激に対する応 答が異なることが知られている(Biochem. Biophys. Res. Co腿 unリ 161> 385, 1989 ) 。 従って、 細胞の本来の機能は生体を構成している状態の細胞を用いて評価す ることが望ましく、 より生体に近い状態を反映した環境において、 細胞の機能を 調べることができる方法の開発が求められている。
上記課題を解決する一つの手段として、 トランスジヱニック個体の作製が試み られてきた。 例えば、 アポェクオリンを導入したハエを用いて神経ペプチドの作 用機構が解析されている (J. Cell Sci., 110, 1683, 1997) 。 植物では、 カリフ ラヮ一モザイクウィルスの 3 5 Sプロモー夕一の下流にアポェクオリン遺伝子を 結合させた遺伝子を導入したトランスジエニック植物が作製され、 接触や低温シ ョヅクによる細胞内のカルシウムイオン濃度の変化が観察されている (Nature, 352, 524, 1991) 。 哺乳動物においては、 神経細胞特異的プロモー夕一、 すなわ ち、 エノラーゼプロモーターの下流にアポェクオリン遺伝子を結合させた遺伝子 を導入したトランスジエニックマウスが作製され、 薬物応答による神経細胞での 細胞内カルシウムイオンの濃度変動の測定が可能であることが示されている (米 国特許第 5,714,666号) o
トランスジヱニック個体を作製する場合、 導入遺伝子は該個体の染色体上にラ ンダムに挿入されるため、 導入遺伝子の発現効率や発現分布に個体差が生じる。 例えば、 ハウスキーピング遺伝子として各細胞で構成的に発現していると考えら れる ?ァクチン遺伝子のプロモータ一を用いて遺伝子導入を行っても、 導入遺伝
子を発現しない細胞が観察されることが報告されている (Development,巡, 37, 1989) 。 より強力なプロモー夕一活性を示すことが知られているヒトサイ トメガ ロウィルスの I E ( i腿 ediate early)遺伝子のェンハンサ一とニヮト、) βァゥチ ンプロモ一夕一を融合させたプロモ一夕一 (以下、 C A Gプロモーターと称する ) を用いて遺伝子導入を行っても、 臓器での発現は個体間で必ずしも一致しない
(Develop. Growth Differ. , 37, 455, 1995; FEBS Letters, 407, 313, 1997 ) 。 また、 哺乳動物において神経以外の生体組織にアポェクオリンを長期に発現 させた場合に生ずる毒性や生理機能障害についての知見は報告されていない。 ト ランスジエニック動物を作製する際には、 導入遺伝子の挿入位置に存在する既存 遺伝子の破壊の影響も考慮する必要があり、 導入遺伝子の染色体上の挿入位置が 異なる個体は遺伝的背景が異なる別の系統として扱われる。 候補医薬を薬理評価 する場合には、 遺伝的背景が均一な近交系動物がモデルとして用いられることが 多い。 したがって、 より多くの組織や器官で導入遺伝子が安定的に発現している トランスジェニック動物を作製することができれば、遺伝的背景が同一で、かつ、 細胞内カルシウムイオンの濃度変化を測定する目的に有用な多様な組織、 器官あ るいは細胞を供給することが可能となる。
トランスジヱニック動物の作製方法に関しては様々な報告がある。
1980年、 Gordonらによって、 受精卵へ直接 D N Aをインジェクションすること によってトランスジエニックマウスが作製されて以来 (Pro atl. Acad. Sci . USA, L, 7380, 1980) 、 同様の方法を用いてトランスジエニックゼブラフイツシ ュ(Development,崖, 577, 1990)、 トランスジエニックニヮトリ(Bio/Technology, 12, 60, 1994) 、 トランスジエニックラヅ ト (Nature, 344, 541, 1990) 、 トラ ンスジエニックゥサギ (Nature, 315, 680, 1985) 、 トランスジエニックブ夕 ( Immunol . I腿 unopathol . , 17, 303, 1987) の作製が報告されており、 受精卵へ直 接 D N Aをィンジェクシヨンすることによってトランスジエニック動物を作製す る方法は汎用性の高い方法であることが示されている。
また、マウス胚性幹細胞が樹立されて以来(Nature, 292, 154, 1981; Proc. Natl .
Acad. Sci. USA, 78, 7634, 1981) 、 効率的な胚性幹細胞の樹立方法、 例えば非 マウスにおける胚性幹細胞の樹立法 (米国特許第 5,453, 357号;米国特許第
5,670,372号) などが研究され、 ラット (Dev. Biol . , 163> 288, 1994) 、 ニヮト リ (米国特許第 5, 340, 740号;米国特許第 5, 656, 479号) 、 ブ夕 (Reprod. Fertil . Dev. , 6, 563, 1994) 、 サル (Proc. Natl. Acad. Sci . USA, 92, 7844, 1996) 、 ヒト (Science, 282> 1145, 1998; Proc. Natl. Acad. Sci . USA, 955 13726, 1998 ) の胚性幹細胞が樹立されている。 これら胚性幹細胞への遺伝子導入は、 通常の 培養細胞への遺伝子導入の場合と同様に行うことができ、 目的遺伝子を導入後、 集合キメラ法や注入キメラ法等の手法により トランスジエニック動物を作製でき る Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press ( 1994) (以下、 マニピユレ一ティング ·マウス •ェンブリオ第 2版と略す); Gene Targeting, A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press( 1993) ;バイオマニュアルシリーズ 8 ジーン夕一ゲ ッティング, E S細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社 (1995) ; 発生工学実験 マニュアル, トランスジエニック'マウスの作り方, 講談社 (1987)〕 。
さらに、 1997年、 Wil腿 tらによって哺乳動物ではじめて、 体細胞の核由来のク ローン個体である羊ドリーが作製されて以来 (Nature, 3853 810, 1997) 、 胎児 細胞の核を用いたクローンゥシ (Science, 280, 1256, 1998) 、 皮膚、 筋肉、 耳 殻、 卵管、 卵丘細胞の核を用いたクローンゥシ (蛋白核酸酵素, , 892, 1999 ) 、 クロ一ンャギ (Nature Biotechnology, 17, 456, 1999) 、 卵丘細胞の核を用 いたクローンマウス (Nature, 394, 369, 1998) 、 雄の尾の細胞を用いたクロー ンマウス (Nature Genetics, 22, 127, 1999) の作製が報告されている。 体細胞 ゃ胚由来細胞への遺伝子導入は、 通常の培養細胞への遺伝子導入の場合と同様に 行うことができ、 目的遺伝子を導入した核を脱核した卵へ移植することによって トランスジエニック動物が作製されている (Science, , 1256, 1998; Science, 278, 2130, 1997) 。
さらにまた、 顕微受精技術の進歩は、 本来受精能を有していない精細胞にも受
精能があることを明らかにし、 マウス精母細胞 (Biol . Reprod. , 53, 855, 1995 ) 、 マウス精子細胞 (Proc. Natl . Acad. Sci . USA, 91 , 7460, 1994) 、 ゥサギ 精子細胞 (J. Assist. Reprod. Genet. , 11 , 335, 1994) 、 ゥシ精子細胞 (Hum. Reprod. , 11 , 824, 1996) 、 ヒト精子細胞 (New Eng. J. Medリ 333, 525, 1995 ) を雄配偶子とした個体が得られている。 さらに、 凍結乾燥あるいは凍結融解し た精子と外来遺伝子とを混合した後に顕微受精することで、 目的とする外来遺伝 子を染色体上に導入したトランスジヱニックマウスが作製されている (Science, 284> Π80, 1999) 。
卵細胞においては、 8細胞期の胚にレトロウィルスを感染させることでトラン スジエニック動物を作製する方法 (マニピユレ一ティング ·マウス ·ェンブリオ 第 2版) が一般的であるが、 第二減数分裂中期の未受精卵にレトロウイルスを用 いて遺伝子導入を行うことで、 従来より効率良く トランスジヱニックゥシを作製 できることが報告されている (Pro Natl . Acad. Sci . USA, %, 14028, 1998
) o
また、 胚性幹細胞から各種細胞への分化に関しても様々な報告がある。 胚性幹 細胞を胚性幹細胞と同系の個体の皮下に移植すると様々な組織が混じりあった奇 形腫瘍テラトーマが誘導される (マニピユレ一ティング ·マウス ·ェンブリオ第 2版) 。 胚性幹細胞の m 培養においても、 内胚葉細胞、 外胚葉細胞、 中胚 葉細胞、 血液細胞、 内皮細胞、 軟骨細胞、 骨格筋細胞、 平滑筋細胞、 心筋細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 上皮細胞、 メラノサイ ト、 ケラチノサイ トに誘導された ことが報告されている (Reprod. Fertil . Dev. , 10, 31, 1998) 。
上記したようにトランスジヱニック動物の作製方法は幾つか知られているが、 細胞内の力ルシゥムィォンの濃度変化をモニタ一するための外来性のレポ一夕一 蛋白質をコードする D NAを有し、 当該レポ一夕一蛋白質を神経以外の,組織で発 現するトランスジヱニック動物の作製はこれまでのところ報告されていない。 発明の閧¾
本発明は、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一する外来性のレポ 一夕一蛋白質をコードする D NAを有し、 当該レポーター蛋白質を 1以上の組織 または器官で発現するトランスジエニック非ヒト哺乳動物を提供することを解決 すべき課題とした。 本発明はまた、 上記トランスジエニック非ヒト哺乳動物の作 製方法、 上記トランスジヱニック非ヒト哺乳動物を用いて細胞内カルシウムィォ ンの濃度変化を検出する方法、 上記作製方法に用いるプロモーター活性を有する D NA、 並びにその D NAの利用方法を提供することを解決すべき課題とした。 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物は、 様々な生理活性物質の薬理評 価に有用と考えられ、 特に、 生理機能を保ったまま m Ιϋί ^で培養することが難 しい細胞や、 複雑な細胞間ネットワークを持つ組織あるいは器官における薬物応 答等を調べる際に有用と考えられる。
本発明者らは、 様々な組織および器官において導入遺伝子の高い発現を促すプ 口モー夕一活性を有する D N Α配列を探索し、 該 D N A配列に連結した細胞内の カルシウムイオンの濃度変化をモニターするレポ一夕一蛋白質をコードする D N Aを哺乳類卵あるいは胚性幹細胞に導入することによってトランスジヱニック非 ヒト哺乳動物を作製した。 さらに、 本発明者らは、 作製したトランスジエニック 非ヒト哺乳動物の各種組織および器官における導入遺伝子産物の発現を鋭意検討 した結果、 少なくとも 1以上の非神経細胞 (例えば、 上皮組織、 結合組織、 脂肪 組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リン パ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 脬臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌器 官、 感覚器、 および爪の各組織および各器官の細胞) で目的とする導入遺伝子を 発現するトランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製することに成功し、 本発明を 完成するに至った。
即ち、 本発明は、 以下の ( 1 )〜(6 1 ) に関する。
( 1 ) 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一するための外来性の レポ一夕一蛋白質をコードする D NAを有し、 当該レポ一夕一蛋白質を 1種類以 上の非神経細胞で発現するトランスジエニック非ヒト哺乳動物。
( 2 ) 非神経細胞が、 上皮組織、 結合組織、 脂肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リンパ性器官、 歯、 消化管、 肝 臓、 胆嚢、 滕臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌器官、 感覚器、 および爪から なる群から選ばれる部位を構成する細胞である、 (1)記載のトランスジェニッ ク非ヒト哺乳動物。
(3) 外来性のレポーター蛋白質をコードする DNAが、 以下の (a)、 ( b)、 (c)および (d) からなる群から選ばれる DNAである、 (1) または (2)記載のトランスジヱニヅク非ヒト哺乳動物。
(a) アポェクオリンをコードする DNA;
(b) アポェクオリンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠 失、 置換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結 合により発光する機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(c) アポェクオリンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するァ ミノ酸配列からなり、 かつカルシウムィォンとの結合により発光する機能を有す る蛋白質をコードする DNA;
(d) (a) 〜 (c) のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件下でハ イブリダィズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により発光する機 能を有する蛋白質をコードする DNA;
(e) カメレオンをコードする DNA;
(f ) カメレオンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合によ り蛍光のエネルギー移動 (FRET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(g) カメレオンが有するアミノ酸配列と 50 %以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合により蛍光のエネルギー移動 (F RET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(h) (e) 〜 (g)のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件でハイ
ブリダィズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により蛍光のェネル ギ一移動 (FRET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(4) 外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNAが、 該 DNAの上流に 存在するプロモー夕一活性を有する DN Aと連結されていることを特徴とする、
(1) 〜 (3)のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物。
(5) プロモ一夕一活性を有する DNAが、 以下の (a) 〜 (i) のいずれ かに記載の DNAである、 (4)記載のトランスジヱニック非ヒト哺乳動物。
(a) SEプロモ一夕一配列を有する DNA;
(b) CAGプロモー夕一配列を有する DNA;
(c) PGKプロモーター配列を有する DNA;
(d) 2種類のプロモーターの間に hp r t遺伝子の挿入された配列を有する DNA;
( e) 1οχΡ、 プロモーター、 hprt遺伝子、 1οχΡ、 プロモーターの 順に連結された DNA;
(f )配列番号 1に示される塩基配列を有する DNA;
(g) (a) ~ (f) のいずれか 1つの DNAの有する塩基配列において、 1以 上の塩基が欠失、 置換または付加された塩基配列からなり、 かつプロモー夕一活 性を有する DNA;
(h) (a)〜 (f) のいずれか 1つの DNAの有する塩基配列と 50%以上の 相同性を有する塩基配列からなり、 かつプロモーター活性を有する DNA;
( i) (a)〜 (f) のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件下でハ イブリダィズすることができ、 かつプロモーター活性を有する DNA;
(6) 非ヒト哺乳動物が、 マウス、 ラット、 モルモット、 ハムスター、 ゥサ ギ、 ィヌ、 ネコ、 ヒッジ、 ブ夕、 ャギ、 ゥシおよびサルからなる群から選ばれる 非ヒト哺乳動物である、 (1) 〜 (5) のいずれかに記載のトランスジエニック 非ヒト哺乳動物。
(7) 非ヒト哺乳動物が、 染色体上に変異遺伝子を有する非ヒト哺乳動物で
ある、 (1) 〜 (6) のいずれかに記載のトランスジェニヅク非ヒト哺乳動物。
(8) 外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DN Aとその上流に位置する プロモーター活性を有する DN Aとを含有する導入遺伝子を構築し、 該導入遺伝 子を非ヒト哺乳動物の受精卵にマイクロインジェクシヨンし、 得られた卵を偽妊 娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管あるいは子宮に移植した後、 該移植された動物を飼 育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有する個体を選択する工程を含む、 (1) 〜( 7)のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製する方法。
(9) 外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNAとその上流に位置する プロモー夕一活性を有する DN Aとを含有する導入遺伝子を構築し、 該導入遺伝 子を非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞に導入し、 該胚性幹細胞を非ヒト哺乳動物の受 精卵に導入し、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管または子宮に移植 し、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有する個体を選 択する工程を含む、 (1)〜 (7) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒ ト哺乳動物を作製する方法。
(10) 外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNAとその上流に位置す るプロモーター活性を有する D N Aとを含有する導入遺伝子を構築し、 該導入遺 伝子を非ヒト哺乳動物の細胞に導入し、 該細胞の核を、 脱核した哺乳動物の未受 精卵に導入し、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管または子宮に移植 し、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有する個体を選 択する工程を含む、 (1) 〜 (7)のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒ ト哺乳動物を作製する方法。
(11) 外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNAとその上流に位置す るプロモーター活性を有する DN Aとを含有する導入遺伝子を構築し、 該導入遺 伝子を非ヒト哺乳動物の精子に取り込ませ、 該精子を未受精卵と受精させ、 得ら れた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管または子宮に移植し、 該移植された動 物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有する個体を選択する工程を含む、
(1) 〜 (7) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製す
る方法。
(12) 外来性のレポーター蛋白質をコードする DNAとその上流に位置す るプロモーター活性を有する DN Aとを含有する導入遺伝子を構築し、 該導入遺 伝子をレトロウィルスベクターに組み込み、 該レトロウィルスベクターを含むゥ ィルスを卵細胞に感染させ、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管また は子宮に移植し、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有 する個体を選択する工程を含む、 (1) 〜 (7) のいずれかに記載のトランスジ エニック非ヒト哺乳動物を作製する方法。
(13) (1) 〜 (7)のいずれかに記載のトランスジヱニック非ヒト哺乳 動物の作製に用いる、 外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNAを導入した 非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞。
(14) ( 1)〜 (7) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳 動物の細胞。
(15) 細胞が、 胚性幹細胞、 卵および精子からなる群から選ばれる細胞で ある、 (14)記載の細胞。
(16) (13) 〜 (15) のいずれかに記載の細胞の核。
(17) 外来性のレポ一夕一蛋白質を発現する、 (1) 〜 (7)のいずれか に記載のトランスジヱニック非ヒト哺乳動物、 あるいは該動物の組織、 器官また は細胞を用い、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃度変化を、 該外来性のレポ —夕一蛋白質を利用して検出する方法。
(18) トランスジエニック非ヒト哺乳動物が、 生きているトランスジェニ ック非ヒト哺乳動物である、 (17)記載の方法。
(19) ( 13 ) または ( 15 ) に記載の胚性幹細胞を分化誘導し、 該分化 誘導によって得られる細胞の細胞内カルシウムイオンの濃度変化を、 胚性幹細胞 に導入した外来性のレポ一夕一蛋白質を利用して検出する方法。
(20) 被検物質と、 外来性のレポーター蛋白質を発現する、 (1) 〜 (7 ) のいずれかに記載のトランスジヱニック非ヒト哺乳動物、 あるいは該動物の組
織、 器官または細胞とを接触させ、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃度変化 を、 該外来性のレポーター蛋白質を利用して検出し、 細胞内におけるカルシウム イオンの濃度調節に関する物質をスクリーニングする方法。
(21) (14) または (15)記載の細胞を用いることを特徴とする、 ト ランスジエニック非ヒト哺乳動物の作製方法。
(22) (16)記載の細胞の核を用いることを特徴とする、 クロ一ン非ヒ ト哺乳動物の作製方法。
(23) (21) または (22)記載の方法により作製されるトランスジェ ニックまたはクローン非ヒト哺乳動物。
(24) (1)〜 (7) のいずれかに記載のトランスジヱニック非ヒト哺乳 動物と同種他系統の動物とを交配させることを特徴とする、 遺伝子改変哺乳動物 の製造法。
(25) (24) に記載の方法により取得される遺伝子改変哺乳動物。 (26) 外来性のレポーター蛋白質を発現する、 (23) または (25) に 記載の哺乳動物、 あるいは該動物の組織、 器官または細胞を用い、 細胞内におけ るカルシウムイオンの濃度変化を、 該外来性のレポ一夕一蛋白質を利用して検出 する方法。
(27) 哺乳動物が、 生きている哺乳動物である、 (26) に記載の方法。 (28) 被検物質と、 外来性のレポ一夕一蛋白質を発現する、 (23) また は (25) に記載の哺乳動物、 あるいは該動物の組織、 器官または細胞とを接触 させ、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃度変化を、 該外来性のレポ一夕ー蛋 白質を利用して検出し、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃度調節に関する物 質をスクリーニングする方法。
(29) 以下の (a) 〜 (f ) より選ばれる DNA。
(a) 2種類のプロモ一夕一の間に hp r t遺伝子の揷入された配列を有する DNA;
(b) 1οχΡ、 プロモ一夕一、 hprt遺伝子、 1οχΡ、 プロモ一夕一の
順に連結された DN A;
(c)配列番号 1に示される塩基配列を有する DNA;
(d) (a) 〜 (c)のいずれか 1つの DNAの有する塩基配列において、 1以 上の塩基が欠失、 置換または付加された塩基配列からなり、 かつプロモー夕一活 性を有する DN A;
(e) (a) 〜 (c) のいずれか 1つの DNAの有する塩基配列と 50%以上の 相同性を有する塩基配列からなり、 かつプロモ一夕一活性を有する DNA;
(f ) (a) 〜 (c) のいずれか 1つの DNAとストリンジェントな条件下でハ イブリダィズすることができ、 かつプロモー夕一活性を有する DN A;
(30) 2種類のプロモー夕一の間に hp r t遺伝子の揷入された配列を有 する DNAが、 PGKプロモータ一および CAGプロモー夕一の間に hp r t遺 伝子の挿入された配列を有する DNAである、 (29) に記載の DNA。
(31) 1οχΡ、 プロモーター、 hprt遺伝子、 1οχΡ、 プロモー夕 一の順に連結された DN Aが、 1 oxP、 PGKプロモ一夕一、 hp r t遺伝子、 1οχΡ、 CAGプロモーターの順に連結された DNAである、 ( 29 ) に記載 の DNA。
(32) 哺乳類動物の染色体上に組み込まれたとき、 DNAを構成するlo xP、 プロモ一夕一、 hp r t遺伝子がそれそれ、 単独で有するプロモー夕一活 性より高いプロモー夕一活性を有する、 (29) 〜 (31) のいずれかに記載の DNA。
(33) 上皮組織、 結合組織、 脂肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔 内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リンパ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 膝 臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌器、 感覚器及び爪からなる群から選ばれる 部位を構成する細胞において、 哺乳類動物の染色体上に組み込まれたとき、 DN Aを構成する 1οχΡ、 プロモー夕一、 hp r t遺伝子がそれそれ、 単独で有す るプロモー夕一活性より高いプロモー夕一活性を有する、 (32) に記載の DN A。
(34) (29) - (33) のいずれかに記載の DN Aの下流に、 外来性の 蛋白質をコ一ドする DN Aが連結されている DN Aを有する、 トランスジェニヅ ク非ヒト哺乳動物。
(35) 外来性の蛋白質をコードする DNAが、 以下の (a) または (b) から選ばれる DNAである、 (34) に記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動 物。
(a)細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一するための外来性のレポ 一夕一蛋白質をコードする DNA;
(b)細胞を標識するための外来性のレポ一夕一蛋白質をコ一ドする DNA。
(36) 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一するための外来性 のレポ—夕一蛋白質をコードする DNAが、 以下の (a)、 (b)、 (c) 、 ( d)、 (e)、 (f)、 (g)及び(h)からなる群から選ばれる DNAである、 (35) に記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物。
(a) アポェクオリンをコードする DNA;
(b)アポェクオリンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたァミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合に より発光する機能を有する蛋白質をコ一ドする DNA;
(c) アポェクオリンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するアミ ノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合により発光する機能を有する 蛋白質をコードする DNA;
(d) (a) 〜 (c) のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件でハイ ブリダィズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により発光する機能 を有する蛋白質をコードする DN A;
(e) カメレオンをコードする DNA;
(f ) カメレオンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合によ り蛍光のエネルギー移動 (FRET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする
DNA;
(g) カメレオンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合により蛍光のエネルギー移動 (F RET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(h) (e) 〜 (g)のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件でハイ ブリダィズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により蛍光のェネル ギー移動 (FRET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(37) 細胞を標識するための外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DN Aが、 以下の (a) または (b) から選ばれる DNAである、 (35) に記載の トランスジヱニック非ヒト哺乳動物。
(a) 蛍光蛋白質をコードする DNA;
(b)発光あるいは発色蛋白質をコードする DNA。
(38) 蛍光蛋白質をコードする DNAが、 以下の (a)、 (b)、 (c)、 (d)及び (e) からなる群から選ばれる DNAである、 (37) に記載のトラ ンスジエニック非ヒト哺乳動物。
(a) クラゲの緑色蛍光蛋白質 (GFP) をコードする DN A;
(b) イソギンチヤクの赤色蛍光蛋白質 (DsRed) をコードする DNA ;
(c) (a) または (b) に記載の蛍光蛋白質が有するアミノ酸配列において、
1以上のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ蛍 光を発する機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(d) (a) または (b) に記載の蛍光蛋白質が有するアミノ酸配列と 50%以 上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ蛍光を発する機能を有する蛋白 質をコードする DNA;
(e) (a) 〜 (d)のいずれか 1つの DNAとストリンジェントな条件でハイ ブリダィズすることができ、 かつ蛍光を発する機能を有する蛋白質をコードする DNA。
(39) 発光あるいは発色蛋白質をコードする DNAが、以下の(a)、 (b)、
(c) 、 (d)、 (e) 、 (f) 、 (g) 及び (h) からなる群から選ばれる D NAである、 (37) に記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物。
(a) ホタルのルシフェラ一ゼをコードする DNA;
(b) ゥミシィタケのルシフェラ一ゼをコードする DNA;
(c) アルカリホスファターゼをコードする DNA;
(d) 一ガラクトシダ一ゼをコードする DNA;
( e) クロラムフエニコ一ルァセチルトランスフェラ一ゼをコ一ドする DNA;
(f ) (a) 〜 (e) のいずれか 1項に記載の発光あるいは発色蛋白質が有する アミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたァミノ 酸配列からなり、 かつ任意の基質に作用して発光あるいは発色を触媒する機能を 有する蛋白質をコードする DNA;
(g) (a) 〜 (e) のいずれか 1項に記載の発光あるいは発色蛋白質が有する アミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ任意の 基質に作用して発光あるいは発色を触媒する機能を有する蛋白質をコードする D NA;
(h) (a) 〜 (g) のいずれか 1つの DNAとストリンジェントな条件でハイ ブリダイズすることができ、 かつ任意の基質に作用して発光あるいは発色を触媒 する機能を有する蛋白質をコードする DNA。
(40) 非ヒト哺乳動物が、 マウス、 ラット、 モルモット、 ハムス夕一、 ゥ サギ、 ィヌ、 ネコ、 ヒッジ、 ブ夕、 ャギ、 ゥシ及びサルからなる群から選ばれる 非ヒト哺乳動物である、 (34) 〜 (39) のいずれかに記載のトランスジェニ ック非ヒト哺乳動物。
(41) 非ヒト哺乳動物が、 染色体上に変異遺伝子を有する非ヒト哺乳動物 である、 (34) 〜 (40) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳 動物。
(42 ) (29) 〜 (33) のいずれかに記載の DN Aの下流に、 外来性の 蛋白質をコードする DN Aが連結されている DN Aを含有する導入遺伝子を構築
し、 該導入遺伝子を非ヒト哺乳動物の受精卵にマイクロインジヱクシヨンし、 得 られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管あるいは子宮に移植した後、 該移植 された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有する個体を選択する工程 を含む、 (34) 〜 (41) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳 動物を作製する方法。
(43) (29) 〜 (33) のいずれかに記載の DN Aの下流に、 外来性の 蛋白質をコードする DN Aが連結されている DN Aを含有する導入遺伝子を構築 し、 該導入遺伝子を非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞に導入し、 該胚性幹細胞を非ヒ ト哺乳動物の受精卵に導入し、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管あ るいは子宮に移植した後、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺 伝子を有する個体を選択する工程を含む、 (34) 〜 (41) のいずれかに記載 のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製する方法。
(44) (29) 〜 (33)のいずれかに記載の DN Aの下流に、 外来性の 蛋白質をコードする DN Aが連結されている DN Aを含有する導入遺伝子を構築 し、 該導入遺伝子を非ヒト哺乳動物の細胞に導入し、 該細胞の核を、 脱核した哺 乳動物の未受精卵に導入し、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管ある いは子宮に移植した後、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝 子を有する個体を選択する工程を含む、 (34) 〜 (41) のいずれかに記載の トランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製する方法。
(45) (29) 〜 (33)のいずれかに記載の DN Aの下流に、 外来性の 蛋白質をコードする DN Aが連結されている DN Aを含有する導入遺伝子を構築 し、 該導入遺伝子を非ヒト哺乳動物の精子に取り込ませ、 該精子を未受精卵と受 精させ、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動物の卵管あるいは子宮に移植した 後、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔から、 導入遺伝子を有する個体を選 択する工程を含む、 (34) 〜 (41) のいずれかに記載のトランスジエニック 非ヒト哺乳動物を作製する方法。
(46) (29) 〜 (33) のいずれかに記載の DN Aの下流に、 外来性の
蛋白質をコードする DN Aが連結されている DN Aを含有する導入遺伝子を構築 し、 該導入遺伝子をレトロウイルスベクターに組み込み、 該レトロウイルスべク 夕一を含むウィルスを卵細胞に感染させ、 得られた卵を偽妊娠雌性非ヒト哺乳動 物の卵管あるいは子宮に移植した後、 該移植された動物を飼育し、 産まれた仔か ら、 導入遺伝子を有する個体を選択する工程を含む、 (34) 〜 (41) のいず れかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製する方法。
(47) (34) 〜 (41) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト 哺乳動物の作製に用いる、 外来性の蛋白質をコードする DNAを導入した非ヒト 哺乳動物の胚性幹細胞。
(48) (34) 〜 (41) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト 哺乳動物の細胞。
(49) 細胞が、 胚性幹細胞、 卵および精子からなる群から選ばれる細胞で ある、 (48) に記載の細胞。
(50) (47) 〜 (49) のいずれかに記載の細胞の核。
(51) 外来性のレポ一夕一蛋白質を発現する、 (35) 、 (36) 、 (4 0) 、 (41) のいずれかに記載のトランスジ: πニック非ヒト哺乳動物、 あるい は該動物の組織、 器官または細胞を用い、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃 度変化を、 該外来性のレポーター蛋白質を利用して検出する方法。
(52) トランスジエニック非ヒト哺乳動物が、 生きているトランスジェニ ック非ヒト哺乳動物である、 (51) に記載の方法。
(53) ( 47 ) または ( 49 ) に記載の胚性幹細胞を分化誘導し、 該分化 誘導によって得られる細胞のカルシウムイオンの濃度変化を、 胚性幹細胞に導入 した外来性のレポーター蛋白質を利用して検出する方法。
(54) 被検物質と、 外来性のレポーター蛋白質を発現する、 (35) 、 ( 36) 、 (40) 、 (41) に記載のトランスジ Xニック非ヒト哺乳動物、 ある いは該動物の組織、 器官または細胞とを接触させ、 細胞内におけカルシウムィォ ンの濃度変化を、 該外来性のレポ一夕一蛋白質を利用して検出し、 細胞内におけ
るカルシウムイオンの濃度調節に関する物質をスクリーニングする方法。
(55) 外来性のレポ一夕一蛋白質を発現する、 (34) 〜 (4 1) のいず れかに記載のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の組織、 器官または細胞を、 免 疫的に拒絶されない別の個体に移植し、 移植した該組織、 器官または細胞の生理 的変化を、 該外来性のレポーター蛋白質を利用して検出する方法。
( 56 ) ( 47 ) または ( 49 ) に記載の胚性幹細胞または該胚性幹細胞を 分化誘導した細胞を、 免疫的に拒絶されない別の個体に移植し、 移植した該細胞 の生理的変化を、 胚性幹細胞に導入した外来性のレポ一ター蛋白質を利用して検 出する方法。
(57) (48) または (49) に記載の細胞を用いることを特徴とする、 トランスジエニック非ヒト哺乳動物の作製方法。
( 58) ( 50) に記載の核を用いることを特徴とする、 クローン非ヒト哺 乳動物の作製方法。
( 59 ) ( 57) または (58) に記載の方法により作製されるトランスジ エニックまたはクローン非ヒト哺乳動物。
(60) (34) 〜 (4 1) のいずれかに記載のトランスジエニック非ヒト 哺乳動物と同種他系統の動物とを交配させることを特徴とする、 遺伝子改変哺乳 動物の製造法。
(6 1) (60) に記載の方法により取得される遺伝子改変哺乳動物。 図面の簡単な説明
図 1はプラスミ ド pAGE107AEQの構築を示す図である。
図 2はプラスミ ド pBSAEQpAの構築を示す図である。
図 3はプラスミ ド pBSKS( + )CAG promoterの構築を示す図である。
図 4はプラスミ ド pCAG- AEQの構築を示す図である。
図 5はプラスミ ド ploxp#lの構築を示す図である。
図 6はプラスミ ド ploxpの構築を示す図である。
図 7はプラスミ ド ploxpHPRTの構築を示す図である。
図 8はプラスミ ド ploxpHPRT2の構築を示す図である。
図 9はプラスミ ド pCAG- AEQ- pHPRTpの構築を示す図である。
図 10は A 23187刺激によるェクオリンの発光量を指標にして各プラスミ ドのプロモーター活性の比較を行った結果を示す図である。
( 1 ) は pCAG-AEQ、 ( 2 ) は pAGE107AEQ、 ( 3 ) は pBSAEQpAを導入した C H Odhf r (-) DG44細胞を用いた結果を示す。
R L Uは相対虽光 (Relative Luminescence unit)を表す。
図 11はプラスミ ド pCAG-AEQ- pHPRTp形質転換細胞株クロ一ン 21とクローン 21株より hp rt遺伝子の発現ュニヅトを除去した変異株クローン 2 lAhp r tのアポェクオリンの発現量の比較を示す図である。
図 12は本発明のトランスジヱニックマウスから調製した水晶体、頭蓋骨、爪、 歯における導入遺伝子の発現の解析の結果を示す図である。
図 13は本発明のトランスジエニックマウスを用いて生理活性物質の測定を行 つた結果を示す図である。
( 1 )は RPMI 1640、( 2 )はアンジォテンシン IIを終濃度 l〃mo 1/1, (3)はブラジキニンを終濃度 1 θ ίπιο 1/1、 (4) は Α 23187を終濃度 1 /mo 1/1, (5) は Trit onX— 100を終濃度 2 %、 各矢印で示さ れた時間に添加したことを示す。
図 14は本発明のトランスジエニックマウスを用いて生理活性物質の測定を行 つた結果を示す図である。
( 1 )は RPMI 1640、( 2)はカルバコールを終濃度 10〃mo 1/1,(3) はひメテルセ口トニンを終濃度 10〃mo 1/1、 (4)は ATPを終濃度 100 〃mo l/l、 (5) はフエ二レフィ リンを終濃度 20〃mo 1/1、 ( 6 )は A 23187を終濃度 l〃mo 1/1, (7) は Trit onX— 100を終濃度 2%、 各矢印で示された時間に添加したことを示す。
図 15は本発明のトランスジエニックマウスを用いて生理活性物質の測定を行
つた結果を示す図である。
( 1 )は RPM I 1640,(2 )はェンドセリンを終濃度 10 nmo 1/1、(3) はカルシトニンを終濃度 1 Onmo 1/1、 (4)は A 23187を終濃度 1〃m 01/1、 (5) は Tr i t onX- 100を終濃度 2%、 各矢印で示された時 間に添加したことを示す。
図 16は本発明のトランスジエニックマウスを用いて生理活性物質の測定を行 つた結果を示す図である。
( l RPMI 1640、( 2 )はフエ二レフィリンを終濃度 2 O^mo 1/1、 (3)は A 23187を終濃度 l〃mo 1/1、 (4) は Tr i t onX—100 を終濃度 2%、 各矢印で示された時間に添加したことを示す。
図 17は本発明のトランスジエニックマウスから調製した子宮を用いて生理活 性物質の測定を行った結果を示す図である。 RPMI 1640培地、 カルパコー ル (c ar)を終濃度 20 zmo 1/1、 ひメチルセ口 トニン (aMe— 5HT) を終濃度 20〃mo 1/1、 ATPを終濃度 100〃mo 1/1、 フエ二レフィ リン(PE)を終濃度 20〃mo 1/1、 A23187を終濃度 l〃mo 1/1、 Tr i t onX— 100を終濃度 2%で、 順次、 矢印で示された時間に添加した ことを示す。
図 18はプラスミ ド pCAG-GFP- pHPRTpの構築を示す図である。 以下、 本発明の実施態様および実施方法について詳細に説明する。
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物が有する外来性の蛋白質および該 蛋白質をコードする DNAは、 以下の 2つに大別される。
(a) 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一するための外来性のレ ポーター蛋白質および該蛋白質をコードする DN A
(b) 細胞を標識するための外来性のレポーター蛋白質および該蛋白質をコー ドする DNA
本発明において、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターするための
外来性のレポーター蛋白質とは、 細胞内に発現し、 カルシウムイオン依存的に発 光や蛍光、 転写など何らかの機能を発揮することで細胞の外に細胞内のカルシゥ ムイオン濃度の情報を伝えうるレポ一夕一蛋白質を包含する。 その例としては、 アポェクオリン、 カメレオンまたはそれらの変異体が挙げられる。
アポェクオリン遺伝子の DNA配列は、 Cormier ら (Biochem. Biophys. Res. Comm. , , 1259, 1985;特開昭 61-224989号公報)および Inouyeら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 3154, 1985;特開昭 6卜 135586 号公報) により報告されて おり、既知である。カメレオン遺伝子の DN A配列は、 Miyawakiら(Nature, 388, 882, 1997) により報告されており、 既知である。
アポェクオリン蛋白質の変異体をコ一ドする DNAとしては、 元のアポェクオ リン遺伝子の DN A塩基配列に変異 (例えば、 突然変異など) が生じたものが挙 げられる。 アポェクオリン蛋白質またはその変異体をコードする DN Aとしては、 具体的には以下のものが挙げられる。
(a) アポェクオリンをコードする DNA;
(b) アポェクオリンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠 失、 置換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結 合により発光する機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(c) アポェクオリンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するァ ミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合により発光する機能を有す る蛋白質をコードする DNA;
(d) (a) 〜 (c) のいずれか 1つの DNAとストリンジェントな条件下でハ イブリダィズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により発光する機 能を有する蛋白質をコードする DNA;
上記において、 「アポェクオリンが有するアミノ酸配列において、 1以上のァ ミノ酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列」 とは、 野生型アポェクオリ ン蛋白質のアミノ酸配列において、 例えば 1〜20個、 好ましくは 1〜15個、 より好ましくは 1〜 10個、 さらに好ましくは 1〜 5個の任意の数のァミノ酸が
欠失、 置換または付加 (本明細書で付加という場合には、 配列の内部に挿入され る場合または配列の外部に付加される場合の両方が含まれる) されたアミノ酸配 列を意味する。
上記において、 「アポェクオリンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性 を有する」とは、 B L AS T(J.Mol.Biol., ^, 403, 1990)や F A S T A(Methods in Enzymology, 183, 63-69, 1990) 等の解析ソフトを用いて計算したときに、 野生型アポェクオリン蛋白質に対するアミノ酸レベルでの配列同一性として少 なくとも 50%以上、 好ましくは 60%以上、 より好ましくは 70%以上、 さら に好ましくは 80 %以上、 さらに好ましくは 85 %以上、 さらに好ましくは 9 0%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以上を示すことを 意口 ¾o
上記において、 「ストリンジ工ントな条件下でハイブリダィズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により発光する機能を有する蛋白質をコードす る DNA」 とは、 野生型アポェクオリンをコードする DNAをプローブとして、 コロニー ·ハイブリダィゼ一シヨン法、 プラーク .ハイブリダィゼ一シヨン法あ るいはサザンプロットハイプリダイゼーシヨン法等を用いることにより得られ る DNAを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DNAを固定 化したフィル夕一を用いて、 0.7〜: L . Omo 1/1の塩化ナトリゥム存在下、 42〜68°Cでハイブリダィゼ一シヨンを行った後、 0. 1〜2倍濃度の33〇 溶液 ( 1倍濃度の SSC溶液の組成は、 15 Ommo 1/1塩化ナトリウム、 1 5mmo 1/1クェン酸ナトリゥムよりなる) を用い、 42〜68°C条件下でフ ィル夕一を洗浄することにより同定できる DN Aをあげることができる。 ハイブ リダイゼ一シヨン法は、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) (以下、 モレキュラー · クローニング第 2版と略す) 、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997) (以下、 カレント 'プロトコ一ルズ 'イン ·モレキュ ラー ·バイオロジーと略す) 、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical
Approach, Second Edition, Oxford University ( 1995)等に記載されている方法 に準じて行うことができる。 該ハイブリダィズ可能な D N Aとして具体的には、 B L A S T, F A S T等を用いて計算したときに、 野生型アポェクオリンをコ一 ドする D N Aの有する塩基配列と少なくとも 5 0 %以上、 好ましくは 6 0 %以上、 より好ましくは 7 0 %以上、 さらに好ましくは 8 0 %以上、 さらに好ましくは 8 5 %以上、 さらに好ましくは 9 0 %以上、 特に好ましくは 9 5 %以上、 最も好ま しくは 9 8 %以上の相同性を有する D N Aをあげることができる。
上記において、 「カルシウムイオンとの結合によって発光する機能を有する蛋 白質」 とは、 野生型アポェクオリン蛋白質と同様に、 発光基質であるセレンテラ ジンの存在下においてカルシウムイオンとの結合により発光しうる蛋白質を意 味する。
アポェクオリン変異遺伝子を得る方法としては、化学合成、遺伝子工学的手法、 突然変異誘発などの当分野で既知の任意の方法を用いることができる。 例えば、 野生型アポェクオリン遺伝子を得て、 これを基にしてアポェクオリン変異遺伝子 の D NAを得ることができる。
野生型アポェクオリンをコ一ドする遺伝子への変異導入は多くの方法により 行うことができる。 なお、 変異導入はサブクロ一ニングした野生型アポェクオリ ン遺伝子フラグメントに対して行ってもよいし、 野生型アポェクオリン遺伝子全 長に対して行ってもよい。 例えば、 野生型アポェクオリン遺伝子または野生型ァ ポェクオリン遺伝子を含む組み換え D N Aに対し、 変異原となる薬剤と接触作用 させる方法、 紫外線を照射する方法、 遺伝子工学的手法等を用いて行うことがで きる。
遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の 変異を導入できる手法であることから有用であり、 モレキュラー ·クロ一ニング 第 2版、カレント 'プロトコ一ルズ 'ィン 'モレキュラー'バイオロジー、 Nucleic Acids Research, 10, 6487, 1982、 Nucleic Acids Research, 12, 9441, 1984、 Nucleic Acids Research, 13, 4431, 1985、 Nucleic Acids Research, 13, 8749,
1985s Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409, 1982、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488, 1985、 Gene, 34, 315, 1985、 Gene, 102, 67, 1991等に記載の方 法に準じて行うことができる。
野生型アポェクオリン遺伝子の一部のフラグメン卜に対し変異を導入した場 合には、 その後、 他のフラグメントと連結し、 全長のアポェクオリン変異遺伝子 とすることが好ましい。得られたアポェクオリン変異遺伝子は DN Aシークェン シング法によってその塩基配列を確認できる。
既に本明細書中で上記した通り、 アポェクオリン変異体としては、 より強く発 光する変異体 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86» 80, 1989;米国特許第 5, 541, 309 号) 、 カルシウムイオン感受性を高めた変異体 (Biochemical Journal, 228, 745, 1985) 、 熱や凍結乾燥に対する安定性を高めた変異体 (特開平 9- 278796号) 、 小 胞体に局在するように改変した変異体 (EMB0 J., 14, 5467, 1995) などが報告さ れているが、 本発明ではこのような変異体をコードする遺伝子を用いることもで きる。
カメレオン蛋白質の変異体をコ一ドする DNAとしては、 元のカメレオン遺伝 子の D N A塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたものが挙げられる。 カメレオン蛋白質またはその変異体をコ一ドする DN Aとしては、 具体的には以 下のものが挙げられる。
(e) カメレオンをコードする DNA;
(f ) カメレオンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合によ り蛍光のエネルギー移動 (FRET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(g) カメレオンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつカルシウムイオンとの結合により蛍光のエネルギー移動 (F RET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(h) (e)〜(g) のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件でハイ
ブリダイズすることができ、 かつカルシウムイオンとの結合により蛍光のェネル ギ一移動 (FRET) を起こす機能を有する蛋白質をコードする DNA;
上記において、「カメレオンが有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸 が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列」とは、元のカメレオン蛋白質のアミ ノ酸配列において、 例えば 1〜20個、 好ましくは 1〜15個、 より好ましくは
1〜10個、 さらに好ましくは 1〜5個の任意の数のアミノ酸が欠失、 置換また は付加されたアミノ酸配列を意味する。
上記において、「カメレオンが有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有す る」とは、 BLAST (J. Mol. Biol ·, , 403, 1990) や FAS T A (Metods in
Enzymology, 183, 63-69, 1990)等の解析ソフトを用いて計算したときに、 元の カメレオン蛋白質に対するアミノ酸レベルでの配列同一性として少なくとも 5
0%以上、 好ましくは 60%以上、 より好ましくは 70%以上、 さらに好ましく は 80%以上、 さらに好ましくは 85%以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特 に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以上示すことを意味する。
上記において、「ストリンジェントな条件でハイブリダィズすることができ、 か つカルシウムイオンとの結合により蛍光のエネルギー移動 (FRET) を起こす 機能を有する蛋白質をコ一ドする DNA」とは、元のカメレオンをコ一ドする DN
Aをプローブとして、 コロニ一'ハイブリダィゼーシヨン法、 プラーク 'ハイブリ ダイゼーシヨン法等を用いることにより得られる DN Aを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DN Aを固定化したフィルターを用いて、 0.
7〜1. 0 mo 1/1の塩化ナトリウム存在下、 42~68°Cでハイブリダィゼ
—シヨンを行った後、 0. 1〜2倍濃度の SSC溶液 ( 1倍濃度の S SC溶液の 組成は、 15 Ommo 1/1塩化ナトリウム、 15 mmo 1/ 1クェン酸ナトリ ゥムよりなる) を用い、 42〜68°C条件下でフィル夕一を洗浄することにより 同定できる DNAをあげることができる。 ハイブリダィゼーシヨンは、 モレキュ ラー ·クローニング第 2版、 カレント ·プロトコ一ルズ 'イン .モレキュラー . ノ、'ィォロジ一、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second
Edition, Oxford University (1995)等に記載されている方法に準じて行うことが できる。 該ハイブリダィズ可能な DNAとして具体的には、 BLAST、 FAS T等を用いて計算したときに、 元のカメレオンをコ一ドする DNAの有する塩基 配列と少なくとも 50%以上、 好ましくは 60%以上、 より好ましくは 70%以 上、 さらに好ましくは 80%以上、 さらに好ましくは 85%以上、 さらに好まし くは 90%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以上の相同 性を有する DN Αをあげることができる。
上記において、「カルシウムイオンとの結合により蛍光のエネルギー移動(FR ET)を起こす機能を有する蛋白質」とは、 元のカメレオン蛋白質と同様に、 カル シゥムイオンとの結合により立体構造が変化し、 蛍光のエネルギー移動を起こし うる蛋白質を意味する。
上記したようなカメレオン蛋白質の変異体の遺伝子配列は、 アポェクオリン変 異遺伝子を得る場合と同様に、 化学合成、 遺伝子工学的手法、 突然変異誘発など の当分野で既知の任意の方法を用いて作製することができる。
また、 本発明において、 細胞を標識するためのレポ一夕一蛋白質とは、 細胞内 に発現し、 蛍光、 あるいは任意の基質に作用して発色や発光を触媒するなど何ら かの機能を発揮することで、 標識された細胞の識別の情報を伝えうるレポ一夕一 蛋白質を包含する。 その例としては、 蛍光蛋白質、 発光あるいは発色蛋白質、 ま たはそれら変異体が挙げられる。
蛍光蛋白質をコードする DNAとしては、 例えば、 Clontech社より市販されて いるォワンクラゲ(Aequorea victoria)由来の緑色蛍光蛋白質 G F P、 E GF P、 EBFP、 EYFP、 GFPuv、 イソギンチヤク (Discosoma striata) 由来の 赤色蛍光蛋白質 D s R e d、 Aurora B iosc i ences社の G F P Emerald、 G F P Topaz, GFPSapphire, GFPS65T、 または Nature Biotech., 18, 313, (2000)若しく は Nature Cell Biol., 2, 25, (2000)に記載の蛍光蛋白質などが挙げられる。 発光あるいは発色蛋白質をコードする DNAとしては、 例えば、 Promega社よ り市販されているホ夕ル (Photinus pyralis) 由来のルシフェラ一ゼ、 ゥミシィ
タケ (Renilareniformis) 由来のルシフェラ一ゼ、 クロラムフエニコ一ルァセチ ルトランスフェラ一ゼ、 Clontech社より市販されているヒト胎盤由来のアルカリ ホスファタ一ゼ SEAP、 ?一ガラクトシダ一ゼなどが挙げられる。
蛍光蛋白質の変異体をコ一ドする D N Aとしては、 元の蛍光蛋白質の遺伝子の DNA塩基配列に変異 (例えば、 突然変異など) が生じたものが挙げられる。 蛍 光蛋白質またはその変異体をコードする DN Aとしては、具体的には以下の(a) 〜 (e) のものが挙げられる。
(a) クラゲの緑色蛍光蛋白質 (GFP) をコードする DNA ;
(b) イソギンチヤクの赤色蛍光蛋白質 (DsRed) をコードする DNA;
(c) (a) または (b) に記載の蛍光蛋白質が有するアミノ酸配列において、
1以上のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ蛍 光を発する機能を有する蛋白質をコードする DNA;
(d) (a) または (b) に記載の蛍光蛋白質が有するアミノ酸配列と 50%以 上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ蛍光を発する機能を有する蛋白 質をコードする DNA ;
(e) (a) 〜 (d) のいずれか 1つの DNAとストリンジェントな条 -でハイ ブリダィズすることができ、 かつ蛍光を発する機能を有する蛋白質をコードする DNA;
上記において、「蛍光蛋白質が有するアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸 が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列」とは、元の蛍光蛋白質のアミノ酸配 列において、 例えば 1〜20個、 好ましくは 1〜15個、 より好ましくは 1〜1 0個、 さらに好ましくは 1〜5個の任意の数のアミノ酸が欠失、 置換または付加 されたァミノ酸配列を意味する。
上記において、「蛍光蛋白質が有するアミノ酸配列と 50%以上の相同性を有す る」とは、 BLAST (J. Mol. Biol., 215, 403, 1990) や FAST A (Metods in Enzymology, 183, 63-69, 1990)等の解析ソフトを用いて計算したときに、 元の 蛍光蛋白質に対するアミノ酸レベルでの配列同一性として少なくとも 50%以上、
好ましくは 60%以上、 より好ましくは 70%以上、 さらに好ましくは 80%以 上、 さらに好ましくは 85%以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特に好ましく は 95%以上、 最も好ましくは 98%以上示すことを意味する。
上記において、「ストリンジェン卜な条件でハイブリダィズすることができ、か つ蛍光を発する機能を有する蛋白質をコ一ドする DNA」とは、元の蛍光蛋白質を コードする DN Aをプローブとして、コロニ一'ハイブリダィゼーシヨン法、 プラ 一ク*ハイブリダィゼーシヨン法等を用いることにより得られる DN Aを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DN Aを固定化したフィルターを 用いて、 0. 7〜1. 0 mo 1/1の塩化ナトリウム存在下、 42〜68。Cでハ イブリダィゼ一シヨンを行った後、 0. 1〜2倍濃度の SSC溶液 (1倍濃度の SSC溶液の組成は、 15 Ommo 1/1塩化ナトリウム、 15mm o 1/1ク ェン酸ナトリウムよりなる) を用い、 42〜68°C条件下でフィルターを洗浄す ることにより同定できる DNAをあげることができる。 ハイブリダィゼ一シヨン は、 モレキュラー 'クロ一ニング第 2版、 カレント 'プロトコ一ルズ 'イン 'モ レキユラ一 ·ノ イォロジ一、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University (1995)等に記載されている方法 に準じて行うことができる。 該ハイプリダイズ可能な D N Aとして具体的には、 BLAST, FAST等を用いて計算したときに、 元の蛍光蛋白質をコードする DN Aの有する塩基配列と少なくとも 50%以上、 好ましくは 60%以上、 より 好ましくは 70 %以上、 さらに好ましくは 80 %以上、 さらに好ましくは 85 % 以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましく は 98%以上の相同性を有する DN Aをあげることができる。
上記において、 「蛍光を発する機能を有する蛋白質」とは、 元の蛍光蛋白質と同 様に、 励起光を受けることで蛍光を発しうる蛋白質を意味する。
上記したような蛍光蛋白質の変異体の遺伝子配列は、 アポェクオリン変異遺伝 子を得る場合と同様に、 化学合成、 遺伝子工学的手法、 突然変異誘発などの当分 野で既知の任意の方法を用いて作製することができる。
発光あるいは発色蛋白質の変異体をコードする DN Aとしては、 元の発光ある いは発色蛋白質の遺伝子の DN A塩基配列に変異 (例えば、 突然変異など) が生 じたものが挙げられる。 発光あるいは発色蛋白質、 またはその変異体をコードす る DNAとしては、 具体的には以下の (a) 〜 (h)のものが挙げられる。
(a) ホタルのルシフェラ一ゼをコードする DNA;
(b) ゥミシィタケのルシフェラーゼをコードする DNA;
(c) アルカリホスファターゼをコードする DNA;
(d) ?一ガラクトシダ一ゼをコードする DNA;
( e) クロラムフエニコ一ルァセチルトランスフェラーゼをコ一ドする DNA;
(f ) (a) 〜 (e)のいずれか 1項に記載の発光あるいは発色蛋白質が有する アミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換または付加されたァミノ 酸配列からなり、 かつ任意の基質に作用して発光あるいは発色を触媒する機能を 有する蛋白質をコードする DNA;
(g) (a) 〜 (e)のいずれか 1項に記載の発光あるいは発色蛋白質が有する アミノ酸配列と 50%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ任意の 基質に作用して発光あるいは発色を触媒する機能を有する蛋白質をコードする D NA;
(h) (a) 〜 (g)のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件でハイ プリダイズすることができ、 かつ任意の基質に作用して発光あるいは発色を触媒 する機能を有する蛋白質をコードする DNA。
上記において、「発光あるいは発色蛋白質が有するアミノ酸配列において、 1以 上のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列」とは、元の発光あるい は発色蛋白質のアミノ酸配列において、 例えば 1〜20個、 好ましくは 1〜15 個、 より好ましくは 1〜10個、 さらに好ましくは 1〜5個の任意の数のアミノ 酸が欠失、 置換または付加されたアミノ酸配列を意味する。
上記において、「発光あるいは発色蛋白質が有するアミノ酸配列と 50%以上の 相同性を有する」とは、 BLAST (J. Mol. Biol., 215, 403, 1990) や FAS
TA (Metods in Enzymology, 183, 63-69, 1990)等の解析ソフトを用いて計算 したときに、 元の発光あるいは発色蛋白質に対するアミノ酸レベルでの配列同一 性として少なくとも 50 %以上、 好ましくは 60 %以上、 より好ましくは 70 % 以上、 さらに好ましくは 80%以上、 さらに好ましくは 85%以上、 さらに好ま しくは 90%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以上示す ことを意味する。
上記において、「ストリンジェントな条件でハイブリダィズすることができ、か つ任意の基質に作用して発光あるいは発色を触媒する機能を有する蛋白質」とは、 元の発光あるいは発色蛋白質をコードする DN Aをプローブとして、 コロニー' ハイプリダイゼーシヨン法、プラーク'ハイプリダイゼーシヨン法等を用いること により得られる DNAを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DNAを固定化したフィル夕一を用いて、 0. 7〜1. Omo l/1の塩化ナト リウム存在下、 42〜 68 °Cでハイブリダィゼ一シヨンを行った後、 0. 1〜2 倍濃度の S S C溶液 ( 1倍濃度の S S C溶液の組成は、 150 mm o 1 / 1塩化 ナトリウム、 15mmo 1/1クェン酸ナトリウムよりなる) を用い、 42〜6 8°C条件下でフィル夕一を洗浄することにより同定できる DN Aをあげることが できる。 ハイブリダィゼーシヨンは、 モレキュラー 'クロ一ニング第 2版、 カレ ント 'プロトコ一ルズ 'イン 'モレキュラー'バイオロジー、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University (199D 等に記載されている方法に準じて行うことができる。 該ハイブリダィズ可能な D NAとして具体的には、 BLAST、 FAS T A等を用いて計算したときに、 元 の発光あるいは発色蛋白質をコードする DNAの有する塩基配列と少なくとも 5 0%以上、 好ましくは 60%以上、 より好ましくは 70%以上、 さらに好ましく は 80%以上、 さらに好ましくは 85%以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特 に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98 %以上の相同性を有する DN Aを あげることができる。
上記したような発光あるいは発色蛋白質の変異体の遺伝子配列は、 アポェクオ
リン変異遺伝子を得る場合と同様に、 化学合成、 遺伝子工学的手法、 突然変異誘 発などの当分野で既知の任意の方法を用いて作製することができる。
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物は、 細胞内のカルシウムイオンの 濃度変化をモニターするための外来性のレポーター蛋白質をコードする D N Aを 1種類以上の非神経細胞において発現し、 好ましくは、 上皮組織、 結合組織、 脂 肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リ ンパ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 膝臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌 器官、 感覚器、 および爪から成る群から選択される 1以上、 好ましくは 2以上、 より好ましくは 3以上、 さらに好ましくは 5以上、 さらに好ましくは 1 0以上、 特に好ましくは 1 5以上、 最も好ましくは全ての組織または器官で発現する。 本明細書において、 「上皮組織、 結合組織、 脂肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋 組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リンパ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 膝臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌器官、 感覚器、 および爪」 の各用 語は、 それらの用語が有する最も広い意味を示すものとし、 上皮組織の中には皮 膚、 毛根などが含まれ、 結合組織の中には皮膚、 尾などが含まれ、 骨組織の中に は頭蓋骨などが含まれ、 筋組織の中には腹筋、 横隔膜などが含まれ、 口腔内組織 の中には舌などが含まれ、 血液組織の中には血液などが含まれ、 循環器の中には 血管、 心臓などが含まれ、 リンパ性器官の中には胸腺、 脾臓などが含まれ、 消化 管の中には食道、 胃、小腸、大腸などが含まれ、呼吸器の中には肺などが含まれ、 泌尿器の中には腎臓、 膀胱などが含まれ、 生殖器の中には精巣、 精嚢、 陰茎、 卵 巣、 子宮、 卵管などが含まれ、 内分泌器官の中には甲状腺、 副腎などが含まれ、 感覚器の中には耳、水晶体などが含まれるが、これらに限定されるわけではない。 目的とする D N Aを対象動物で発現させるプロモー夕一配列とは、 当該 D N A を対象動物の少なくとも 1以上の非神経細胞 (例えば、 上皮組織、 結合組織、 脂 肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リ ンパ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 滕臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌 器官、 感覚器、 および爪から成る群から選択される 1以上の組織または器官の細
胞) で発現させうるプロモーター配列を包含する。
本発明で用いるプロモーターとしては、 例えば、 ウィルス (サイ トメガロウイ ルス、 モロニ一白血病ウィルス、 J Cウィルス、 乳癌ウィルス、 シミアンウィル ス、 レトロウイルスなど) 由来遺伝子のプロモーター、 各種哺乳動物 (ヒト、 ゥ サギ、 ィヌ、 ネコ、 モルモット、 ハムスター、 ラット、 マウスなど) および鳥類 (ニヮトリなど) 由来遺伝子 〔例えば、 アルブミン、 インスリン II、 エリスロボ ェチン、 エンドセリン、 ォステオカルシン、 筋クレアチンキナーゼ、 血小板由来 成長因子/?、 ケラチン K 1 ,Κ 10および K 14、 コラーゲン I型および II型、 心房ナトリウム利尿性因子、 ドーパミン/?-水酸化酵素、内皮レセプ夕一チロシン キナーゼ (一般に T i e 2と略される) 、 ナトリゥムカリウムアデノシン 3リン 酸化酵素(一般に Na,K— ATPa s eと略される)、 ニューロフィラメント軽 鎖、 メタ口チォネイン Iおよび I I A、 メタ口プロティナーゼ 1組織インヒビ夕 ―、 MHCクラス I抗原 (一般に H— 2 Lと略される)、 平滑筋ひァクチン、 ポ リペプチド鎖延長因子 1ひ (EF— 1ひ) 、 ?ァクチン、 ひおよび/?ミオシン重 鎖、 ミオシン軽鎖 1および 2、 ミエリン基礎タンパク、 血清アミロイ ド Pコンポ —ネンド、 ミオグロビン、 レニン、 解糖系酵素、 ヒートショック蛋白質などの遺 伝子〕 のプロモーター、 各種遺伝子のェンハンサー配列やプロモー夕一配列を融 合させたプロモ一夕一 (例えば、 SRo;プロモ一夕一、 CAGプロモーターなど の遺伝子) などが挙げられる。
本発明においては、 サイ トメガロウィルスプロモー夕一、 ヒトおよびニヮトリ ^ァクチンプロモータ一などを用いることが好ましく、 ヒトサイ トメガロウィル スの I E (immediate early)遺伝子のェンハンサーを上記各プロモ一夕一と共に 用いた融合プロモーターを用いることが特に好ましい。
本発明で用いるプロモ一夕一配列の好ましい具体例としては、 以下の (a)〜 (i) が挙げられる。
(a) SEプロモー夕一配列を有する DNA;
(b) CAGプロモー夕一配列を有する DNA;
(c) PGKプロモー夕一配列を有する DNA ;
(d) 2種類のプロモーターの間に hp r t遺伝子の挿入された配列を有する DNA;
( e) 1οχΡ、 プロモーター、 hprt遺伝子、 1οχΡ、 プロモーターの 順に連結された DNA;
(f )配列番号 1に示される塩基配列を有する DNA;
(g) (a) 〜 (f) のいずれか 1つの DNAの有する塩基配列において、 1以 上の塩基が欠失、 置換または付加された塩基配列からなり、 かつプロモーター活 性を有する DNA;
(h) (a) 〜 (f) のいずれか 1つの DNAの有する塩基配列と 50%以上の 相同性を有する塩基配列からなり、 かつプロモーター活性を有する DNA;
( i) (a) 〜 (f) のいずれか 1つの DNAとストリンジェン卜な条件下でハ イブリダィズすることができ、 かつプロモ一夕一活性を有する DNA;
上記 (g) において、 「塩基配列において、 1以上の塩基が欠失、 置換または 付加された塩基配列」 とは、 該塩基配列において、 例えば 1〜20個、 好ましく は 1〜 15個、 より好ましくは 1〜 10個、 さらに好ましくは 1〜 5個の任意の 数の塩基が欠失、 置換または付加された塩基配列を意味する。
上記において、 「塩基配列と 50%以上の相同性を有する塩基配列」 とは、 B LAST, FASTA等を用いて計算したときに、 該塩基配列に対する D N Aレ ペルでの配列同一性として少なくとも 50%以上、 好ましくは 60%以上、 より 好ましくは 70 %以上、 さらに好ましくは 80 %以上、 さらに好ましくは 85 % 以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましく は 98%以上を有する塩基配列を意味する。
上記において、 「ストリンジェントな条件下でハイブリダィズすることができ、 かつプロモー夕一活性を有する DNA」 とは、 配列番号 1の塩基配列を有する D N Aをプローブとして、 コロニー 'ハイブリダィゼ一シヨン法、 プラーク 'ハイ ブリダイゼ一シヨン法あるいはサザンブロッ トハイプリダイゼーシヨン法等を
用いることにより得られる DNAを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはブラ —ク由来の DNAを固定化したフィルタ一を用いて、 0. 7〜1. Omo l/1 の塩化ナトリウム存在下、 42〜68 °Cでハイブリダィゼ一シヨンを行った後、 0. 1〜2倍濃度の SSC溶液 (1倍濃度の SSC溶液の組成は、 150mmo 1/1塩化ナトリウム、 15mmo 1/1クェン酸ナトリウムよりなる)を用い、 42〜68°C条件下でフィルターを洗浄することにより同定できる DNAをあ げることができる。 ハイブリダィゼ一シヨンは、 モレキュラー ·クローニング第 2版、カレント 'プロトコールズ 'ィン 'モレキュラー'バイオロジー、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University (1995)等に記載されている方法に準じて行うことができる。 該ハイブリダィズ可 能な DN Aとして具体的には、 FAST A等を用いて計算したときに、 配列番号 1の塩基配列と少なくとも 50%以上、 好ましくは 60%以上、 より好ましくは 70%以上、 さらに好ましくは 80%以上、 さらに好ましくは 85%以上、 さら に好ましくは 90%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以 上の相同性を有する DN Aをあげることができる。
上記したような配列番号 1の配列の変異体の配列は、 アポェクオリン変異遺伝 子を得る場合と同様に、 化学合成、 遺伝子工学的手法、 突然変異誘発などの当分 野で既知の任意の方法を用いて作製することができる。
上記 (d)、 (e) において記載されたプロモーターとしては、 プロモーター 活性を有するものであればいずれも用いることができる。 好ましい例としては、 P GKプロモーターと C AGプロモ一夕一の二種類のプロモーターを用いた組 み合わせのものを挙げることができる。
本発明のトランスジエニック動物は、 未受精卵、 受精卵、 精子およびその始原 生殖細胞を含む胚芽細胞などに対して、 好ましくは、 非ヒト哺乳動物の発生にお ける胚発生の段階 (さらに好ましくは、 単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一 般に 8細胞期以前) において、 リン酸カルシウム法、 電気パルス法、 リボフェク シヨン法、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーティクルガン法、 DEA
E—デキストラン法、 ウィルスベクター法などにより目的とする遺伝子を導入す ることにより作製される。 また、 該遺伝子導入方法により、 胚性幹細胞に目的と する細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一する外来性のレポ一夕一 蛋白質をコードする D N Aを導入し、 該胚性幹細胞と非ヒト哺乳動物の受精卵と を用いて、 集合キメラ法、 注入キメラ法などにより目的とする遺伝子を導入した 生殖系列キメラ個体を作製することでトランスジエニック動物を作製すること もできる。 さらに、 目的とする細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニター する外来性のレポ一夕一蛋白質をコ一ドする D N Aをリン酸カルシウム法、 電気 パルス法、 リポフエクシヨン法、 凝集法、 マイクロインジェクション法、 パーテ ィクルガン法、 D E A E—デキストラン法、 ウィルスベクター法などにより細胞 に導入し、 該細胞の核を非ヒト哺乳動物の脱核した未受精卵にマイクロマニュピ レー夕一などの装置を用いて移植し、 クローン個体を得ることでトランスジェニ ック動物を作製することもできる。
本明細書で言う 「非ヒト哺乳動物」 の具体例としては、 マウス、 ラット、 モル モット、 ハムスター、 ゥサギ、 ィヌ、 ネコ、 ヒッジ、 ブ夕、 ャギ、 ゥシまたはサ ルなどが挙げられ、 好ましくは、 マウス、 ラット、 モルモット、 ハムスター、 ゥ サギなどのげつ歯類動物であり、 最も好ましくは、 マウスである。
また、 本明細書で言う 「非ヒ ト哺乳動物」 は、 種々の疾患モデル動物のような 染色体上に変異遺伝子を有する非ヒト哺乳動物であっても構わない。 以下、 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の作製方法と利用方法につ いて詳細に説明する。
1 . 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の作製方法
( 1 ) 導入遺伝子の調製
細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性のレポ一夕一蛋白 質をコードする D NAを対象動物に導入する際には、 導入の対象動物の細胞内で 当該 D N Aを発現させうるプロモー夕一の下流に当該 D N Aを連結した遺伝子構
築物を用いるのが一般に有利である。 導入させる遺伝子は、 モレキュラー 'クロ
—ニング第 2版やカレント ·プロトコ一ルズ 'イン 'モレキュラー 'バイオロジ 一等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により調製することができる。 導入させる遺伝子の全長相補 D N Aをもとにして、 必要に応じて、 該蛋白質を コードする部分を含む適当な長さの D NA断片を調製し、 次いで該 D N A断片、 または全長相補 D N Aを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入するこ とにより、 組換えベクターを作製する。
動物へ導入させる遺伝子の発現べクタ一としては、 大腸菌由来のプラスミ ド、 枯草菌由来のプラスミ ド、 酵母由来のプラスミ ド、 人ファージなどのバクテリオ ファージ、 モロニ一白血病ウィルスなどのレトロウイルス、 ワクシニアウィルス またはバキュロウィルスなどの動物ウィルスなどが用いられる。これらの中でも、 大腸菌由来のプラスミ ド、 枯草菌由来のプラスミ ドまたは酵母由来のプラスミ ド などが好ましく、 大腸菌由来のプラスミ ドが特に好ましい。
本発明で用いるプロモー夕一の具体例は本明細書中上記した通りである。
本発明で用いる発現べクタ一は、 トランスジエニック哺乳動物において目的と する mR N Aの転写を終結する配列 (一般に夕一ミネ夕一と呼ばれる) を有して いることが好ましく、 例えば、 ウィルス由来、 各種哺乳動物および鳥類由来の各 遺伝子に含まれる同機能を有する配列を用いて遺伝子発現を操作することができ る。 好ましくは、 シミアンウィルスの S V 4 0夕一ミネ夕一などがよく用いられ る。 その他、 目的遺伝子をさらに高発現させる目的で、 各遺伝子のスプライシン グシグナル、 ェンハンサ一領域、 真核生物遺伝子のイントロンの一部をプロモ一 夕一領域の 5 ' 上流、 プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の 3 ' 下 流 に連結することも目的により可能である。
細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一する外来性のレポ一夕一蛋白 質をコードする D NA (例えば、 アポェクオリン遺伝子) は、 市販のもの (例え ば、 Molecular Probes社製)を用いてもよいし、以下のごとく生体組織〔例えば、 発光ォワンクラゲ (Aeguorea victoria) 〕 から調製してもよい。
公知の方法により生体組織から R N Aを調製し相補 D N Aを作製する。
生体組織から全 RNAを調製する方法としては、 チォシアン酸グァニジン一ト リフルォロ酢酸セシウム法 (Methods in Enzymology, 154, 3, 1987) 、 酸性チォ シアン酸グァニジン 'フエノール 'クロ口ホルム (AG PC) 法 (Analytical Biochemistry, 162, 156, 1987;実験医学, 9, 1937, 1991) などが挙げられる。 また、 全 RN Aから po l y (A) + RNAとして mRN Aを調製する方法とし ては、 オリゴ (dT) 固定化セルロースカラム法 (モレキュラー ·クローニング 第 2版) 等が挙げられる。 さらに、 Fast Track mMA Isolation Kit (Invitrogen 社製) 、 Quick Prep mMA Purification Kit (Pharmacia社製) などのキットを用 いることにより mRN Aを調製することができる。 相補 DN Aを合成する方法と してはモレキュラー ·クローニング第 2版、 カレント 'プロトコールズ 'イン ' モレキュラー ·バイオロジー、 等に記載された方法、 あるいは市販のキット、 例 えば Superscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning ^ Life Technologies社製) 、 ZAP- cDNA Synthesis Kit (STRATAGENE社製) を用いる 方法などが挙げられる。 取得した相補 D N Aを铸型としてポリメラーゼ連鎖反応 (P CR) 法 〔PCR Protocols, Academic Press (1990)〕 を用いて DNAの増幅 を行うことにより目的とする翻訳領域を含む遺伝子を取得することができる。 取 得した遺伝子の塩基配列の決定は、 通常用いられる塩基配列解析法、 例えばサン ガ一 (Sanger) らのジデォキシ法 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5463, 1977 ) あるいは A B I PR I SM377 DNAシークェンサ一 (PE Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより決定できる。 また、 上記の組 織より得られた蛋白質の翻訳領域を、 Nucleic Acids Research, 10, 6487, 1982、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409, 1982、 Gene, 34, 315, 1985、 Nucleic Acids Research, 13, 4431, 1985、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488, 1985等に記 載の部位特異的変異誘発法などにより変異した翻訳領域を作製することができる これらはいずれもトランスジエニック動物に利用可能な材料である。 該翻訳領域 はトランスジヱニック動物において発現しうる遺伝子構築物として前記のプロモ
一夕一下流 (好ましくは、 転写終結部位の上流) に連結させる通常の遺伝子工学 的手法により細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性のレポ 一夕一蛋白質をコードする D N Aを組み込んだ D N Aを作製することができる。 ( 2 ) トランスジヱニック非ヒト哺乳動物の作製
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物は、 細胞内のカルシウムイオンの 濃度変化をモニタ一するための外来性のレポーター蛋白質をコードする D N Aを 対象動物に導入することによって作製できる。 具体的には、 該遺伝子を対象とな る非ヒト哺乳動物の受精卵、 胚性幹細胞、 体細胞、 精子、 未受精卵へ導入するこ とによって、 目的とする細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一する外 来性のレポーター蛋白質をコードする D N Aが胚芽細胞を含むすべての細胞の染 色体上に組み込まれたトランスジエニック非ヒト哺乳動物を得、 それら個体の中 から、 少なくとも 1以上の非神経細胞に該導入遺伝子産物が存在しているものを 選択することによって作製できる。 受精卵、 胚性幹細胞、 体細胞、 精子、 未受精 卵における該遺伝子の導入は、 対象非ヒト哺乳動物の胚芽細胞および体細胞を含 む全ての細胞の染色体上に存在するように確保されなくてはならない。 遺伝子導 入後の作製動物の胚芽細胞において該導入遺伝子が存在することは、 作製動物の 子孫がその胚芽細胞および体細胞の全てに該導入遺伝子を有することを意味する c 個体の選択は、 少なくとも 1以上の非神経細胞における該導入遺伝子産物の発 現を蛋白質あるいは mR N Aレベルで確認することによって行われる。 選択され た個体の遺伝子を受け継いだこの種の動物の子孫は、 少なくとも 1以上の非神経 細胞に該導入遺伝子産物を有する。 導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザ ィゴート動物を取得し、 この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該 遺伝子を安定に保持し、 また、 該遺伝子を有することを確認して、 通常の飼育環 境で繁殖継代することができる。
受精卵あるいは胚性幹細胞への遺伝子導入によるトランスジエニック動物の作 製は、 マニピユレ一ティング 'マウス 'ェンブリオ第 2版、 Gene Targeting, A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press ( 1993)、 ノ、'ィォマ
ニュアルシリーズ 8, ジーン夕一ゲッティング, E S細胞を用いた変異マウスの 作製, 羊土社 (1995)、 発生工学実験マニュアル, トランスジヱニック'マウスの 作り方,講談社 (1987)等に記載された方法を用い、哺乳類動物細胞への遺伝子導 入と核移植によるトランスジエニック動物の作製は、 Cibelliら (Science, 280, 1256, 1998) 、 Schniekeら (Science, 278, 2130, 1997)、 Baguisiら (Nature Biotechnology, 17, 456, 1999) 等によって報告された方法を用い、 精子への遺 伝子導入によるトランスジエニック動物の作製は、 Perryら (Science,墜, 1180, 1999) や Wakayamaら (Nature Biotechnology, 16, 639, 1998)によって報告され た方法を用い、 未受精卵への遺伝子導入と体外受精によるトランスジエニック動 物の作製は、 Chanら (Proc. Natl . Acad. Sci . USA, 95, 14028, 1998) によって 報告された方法を用い、 例えば以下の方法により作製することができる。
( a ) 受精卵への遺伝子導入によるトランスジヱニック動物の作製
トランスジエニック対象動物が有する内在性の遺伝子とは異なる遺伝子である 外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一する外 来性のレポ一夕一蛋白質をコ一ドする D N A) を対象非ヒト哺乳動物またはその 先祖の受精卵に転移する際に用いられる受精卵は、 同種の雄非ヒト哺乳動物 (好 ましくはマウスゃラットなど、 特に好ましくは近交系の雄マウスや Wistar 系統 の雄ラットなど) と雌非ヒト哺乳動物 (好ましくは雌マウスや雌ラットなど、 特 に好ましくは近交系の雌マウスや Wistar 系統の雌ラットなど) を交配させるこ とによって得られる。 受精卵は自然交配によっても得られるが、 雌非ヒト哺乳動 物 (好ましくは雌マウスや雌ラッ トなど、 特に好ましくは近交系の雌マウスや Wistar系統の雌ラットなど)の性周期を人工的に調節した後、 雄非ヒト哺乳動物
(好ましくは雌マウスゃ雌ラッ トなど、 特に好ましくは近交系の雄マウスや Wistar系統の雄ラットなど) と交配させる方法が好ましい。雌非ヒト哺乳動物の 性周期を人工的に調節する方法としては、 例えば初めに卵胞刺激ホルモン (妊馬 血清性性腺刺激ホルモン、 一般に P M S Gと略する) 、 次いで黄体形成ホルモン
(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、 一般に h C Gと略する) を例えば腹腔注射など
により投与する方法が好ましいが、 好ましいホルモンの投与量、 投与間隔は非ヒ ト哺乳動物の種類によりそれそれ異なる。 また、 近交系のマウスや Wister 系統 のラヅトを用いる場合は、 約 1 2時間明期条件 (例えば 7 : 0 0 - 1 9 : 0 0 ) で約 1週間飼育した 8週齢以上のものが好ましい。非ヒト哺乳動物が雌マウス(好 ましくは近系統の雌マウス) の場合は、 通常、 卵胞刺激ホルモン投与後、 約 4 8 時間後に黄体形成ホルモンを投与し、 雄マウスと交配させることにより受精卵を 得る方法が好ましく、 卵胞刺激ホルモンの投与量は約 2〜約 2 0 I U/個体、 好 ましくは約 5 I U/個体、黄体形成ホルモンの投与量は約 0〜約 1 0 I UZ個体、 好ましくは約 5 I U/個体である。 非ヒ ト哺乳動物が雌ラヅ ト (好ましくは Wistar系統の雌ラット) の場合は、 通常、 卵胞刺激ホルモン投与後、 約 4 8時間 後に黄体形成ホルモンを投与し、 雄ラッ卜と交配させることにより受精卵を得る 方法が好ましく、 卵胞刺激ホルモンの投与量は約 2 0〜約 5 0 I U/個体、 好ま しくは約 3 0 I U/個体、黄体形成ホルモンの投与量は約 0〜約 1 0 I U/個体、 好ましくは約 5 I U/個体である。
得られた受精卵にマイクロインジェクシヨン法ゃレトロウィルスを用いた方法 等により外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ —する外来性のレポーター蛋白質をコードする D N A) が導入された後、 該受精 卵を雌非ヒト哺乳動物に人工的に移植および着床させることによって導入した外 来性遺伝子を組み込んだ D N Aを有する非ヒト哺乳動物が得られる。 マイクロイ ンジェクシヨン法により遺伝子を導入する場合には、 受精後約 1 2〜約 2 4時間 の雄性前核が出現している受精卵を用いることが好ましい。 マイクロインジェク シヨンで導入される外来遺伝子は、 環状化状態、 直線化状態いずれでも用いるこ とができるが、 発現させたい構造遺伝子および発現調節遺伝子部分を破壊しない 形で直線化し導入することが好ましい。 レトロウィルスを用いた方法により遺伝 子を導入する場合には、 収縮桑実胚以前 (一般には、 8細胞期以前) の発生段階 の受精卵を用いることが好ましい。 雌非ヒト哺乳動物へ受精卵を移植する場合に は、 精管結紮雄非ヒト哺乳動物と交配させることにより、 受精能を誘起された偽
妊娠雌非ヒト哺乳動物に得られた受精卵を人工的に移植および着床させる方法が 好ましい。 偽妊娠雌非ヒト哺乳動物は自然交配によっても得られるが、 黄体形成 ホルモン放出ホルモン(以下、 LHRHと略する)あるいはその類縁体を投与後、 雄非ヒト哺乳動物と交配させることにより、 受精能を誘起された偽妊娠雌非ヒト 哺乳動物を得ることもできる。 LHRHあるいはその類縁体の投与量ならびにそ の投与後に雄非ヒト哺乳動物と交配させる時期は非ヒト哺乳動物の種類によりそ れそれ異なる。非ヒト哺乳動物が雌ラット (好ましくは Wistar系統の雌ラット) の場合は、 通常、 LHRHあるいはその類縁体 (例えば、 [3,5- Dil- Tyr5]-LH- RH, [Gln8]-LH-RH, [D - Ala6 ]-LH-RH, des-Gly10, [D- His(Bzl)6 ]-LH-RH) Ethylamide など) 投与後、 約 4日目に雄ラットと交配させることが好ましく、 LHRHある いはその類縁体の投与量は、 通常、約 10〜60 g/個体、 好ましくは約 40〃 g/個体である。
(b)胚性幹細胞への遺伝子導入によるトランスジヱニック動物の作製
非ヒト哺乳動物 (例えば、 マウス、 ラット、 ブ夕、 サルなど) の胚性幹細胞の 染色体上に外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニ 夕一する外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNA) を導入後、 得られた胚 性幹細胞を集合キメラ法または注入キメラ法を用いて非ヒト哺乳動物の受精卵に 取り込ませ、 該受精卵を雌非ヒト哺乳動物に人工的に移植および着床させること によって導入した外来性遺伝子を組み込んだ DN Aを有する非ヒト哺乳キメラ動 物が得られる。 胚性幹細胞への外来性遺伝子の導入には、 公知の遺伝子導入の手 法(例えば、 リン酸カルシウム法、電気パルス法、 リボフヱクシヨン法、凝集法、 マイクロインジェクシヨン法 一ティクルガン法、 D EAE—デキストラン法、 ウィルスベクター法等) を用いることができる。 導入される外来遺伝子は、 環状 化状態、 直線化状態いずれでも用いることができるが、 発現させたい構造遺伝子 および発現調節遺伝子部分を破壊しない形で直線化し導入することが好ましい。 胚性幹細胞を集合キメラ法を用いて非ヒト哺乳動物の受精卵に取り込ませる場合 には、 一般に 8細胞期以前の発生段階の受精卵を用いることが好ましい。 胚性幹
細胞を注入キメラ法を用いて非ヒト哺乳動物の受精卵に取り込ませる場合には、 一般に 8細胞期から胚盤胞の発生段階の受精卵を用いることが好ましい。 雌非ヒ ト哺乳動物へ受精卵を移植する場合には、 精管結紮雄非ヒト哺乳動物と交配させ ることにより、 受精能を誘起された偽妊娠雌非ヒト哺乳動物に得られた受精卵を 人工的に移植および着床させる方法が好ましく、 偽妊娠雌非ヒト哺乳動物は、 前 記した公知の方法を用いることで得られる。
外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする 外来性のレポーター蛋白質をコードする D N A) を組み込んだ D N Aを有する非 ヒト哺乳キメラ動物のうちキメラ率の高い個体 (好ましくは雄) と非ヒト哺乳動 物の個体 (好ましくは雌) を交配することによって、 全身の細胞の染色体上に導 入した外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニター する外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする D N A) を有する個体を得ることが でき、 さらにその個体の雄雌どうしを交配することにより相同染色体の双方に導 入した外来性遺伝子が入つたホモザィゴートのトランスジエニック非ヒト哺乳動 物を得ることができる。
また、 C r e— Ι ο χ Ρ系との組合せにより、 より積極的に導入した外来性遺 伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一する外来性のレ ポーター蛋白質をコードする D N A) の発現時期や発現量等を制御することも可 能である。 このような例として、 脳のある特定の領域で発現されるプロモー夕を 利用して、 その領域でのみ目的遺伝子を欠失させた例 (Cell, 87, 1317, 1996) や C r eを発現するアデノウイルスを用いて、 目的の時期に、 臓器特異的に目的 遺伝子を欠失させた例 (Science, 278, 5335, 1997) が知られている。 従って、 染色体上の外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニ 夕一する外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする D N A) についても、 このよう に任意の時期における発現やその量の制御ができる。
( c ) 哺乳類動物細胞への遺伝子導入と核移植によるトランスジエニック動物の 作製
非ヒト哺乳動物 (好ましくは、 マウス、 ヒッジ、 ャギ、 ゥシなど) の細胞の染 色体上に外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ
—する外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする D N A) を導入後、 得られた細胞 の核を初期化 (核を再び発生を繰り返すことができるような状態に戻す操作)し、 除核した非ヒト哺乳動物の未受精卵に注入する方法を用いて発生を開始させ、 発 生を開始した卵を雌非ヒト哺乳動物に人工的に移植および着床させることによつ て導入した外来性遺伝子を組み込んだ D N Aを有する非ヒト哺乳動物が得られる c 細胞への外来性遺伝子の導入には、 公知の遺伝子導入の手法 (例えば、 リン酸力 ルシゥム法、 電気パルス法、 リボフヱクシヨン法、 凝集法、 マイクロインジェク シヨン法、 パーティクルガン法、 D E A E—デキストラン法、 ウィルスベクター 法等) を用いることができる。 導入される外来遺伝子は、 環状化状態、 直線化状 態いずれでも用いることができるが、 発現させた t、構造遺伝子および発現調節遺 伝子部分を破壊しない形で直線ィヒし導入することが好ましい。 細胞の核を初期化 する方法は、 非ヒト哺乳動物の種類によりそれそれ異なる。 非ヒト哺乳動物がヒ ッジ、 ャギ、 ゥシなどの場合は、 外来性遺伝子を導入した細胞を 5〜3 0 %、 好 ましくは 1 0 %の仔ゥシ胎児血清を含む培地 (例えば、 M 2培地) から 3〜1 0 日、 好ましくは 5日間、 0〜1 %、 好ましくは 0 . 5 %の仔ゥシ胎児血清を含む貧 栄養培地で培養することで細胞周期を休止期状態 (0 0期もしくは0 1期) に誘 導し初期化することが好ましい。 非ヒト哺乳動物がマウスなどの場合は、 同種の 非ヒト哺乳動物の除核した未受精卵に、 外来性遺伝子を導入した細胞の核を注入 し数時間、 好ましくは約 1〜 6時間培養することで初期化することが好ましい。 初期化された核は除核された未受精卵中で発生を開始することが可能となる。 初 期化された核を除核された未受精卵中で発生を開始させる方法は、 非ヒト哺乳動 物の種類によりそれそれ異なる。 非ヒト哺乳動物がヒッジ、 ャギ、 ゥシなどの場 合は、細胞周期を休止期状態(G 0期もしくは G 1期)に誘導し初期化した核を、 電気融合法などによって同種の非ヒト哺乳動物の除核した未受精卵に移植するこ とで卵子を活性化し発生を開始させることが好ましい。 非ヒト哺乳動物がマウス
などの場合は、 外来性遺伝子を導入した細胞の核を注入した未受精卵を、 卵子活 性化物質(例えば、ストロンチウムなど)で刺激し細胞分裂の阻害物質(例えば、 サイ トカラシン Bなど) で処理し第二極体の放出を抑制することで発生を開始さ せることが好ましい。 発生を開始した卵は、 同種の雌非ヒト哺乳動物に公知の方 法で人工的に移植および着床され、 外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウム イオンの濃度変化をモニターする外来性のレポーター蛋白質をコードする DN A ) を組み込んだ DNAを有する非ヒト哺乳動物が得られる。
(d)精子への遺伝子導入によるトランスジヱニック動物の作製
非ヒト哺乳動物 (例えば、 マウスなど) の精子に外来性遺伝子 (例えば、 細胞 内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性のレポ一夕一蛋白質をコ ードする DNA) を取り込ませた後、 得られた精子を顕微受精の方法を用いて未 受精卵に受精させ、 発生を開始した卵を雌非ヒト哺乳動物に人工的に移植および 着床させることによつて精子に取り込ませた外来性遺伝子を染色体上に組み込ん だ DNAを有する非ヒト哺乳動物が得られる。 精子に外来性遺伝子を取り込ませ る場合には、 細胞膜を破壊した精子を、 約 0. 5〜約 100ng/ml (好まし くは、 5〜1 Ong/ml) の濃度の DNAを含む培地 (例えば、 CZB培地や NIM培地など) 中で数分間 (好ましくは、 1分間程度) インキュベーションす る方法を用いることが好ましい。 精子の細胞膜を破壊する方法としては、 低濃度
(例えば、 0. 05%) の界面活性剤 (例えば、 T r i t 0 nX— 100など) で処理する方法、 10%の仔ゥシ胎児血清を含み EDTAを含まない培地 (例え ば、 CZB培地など) 中に懸濁した精子を凍結乾燥する方法 、 該精子懸濁液を凍 結融解する方法のいずれかが好ましい。 このような処理をして細胞膜を破壊した 精子は、 もはや自発的に受精する能力を失っているが、 マイクロマニュビレー夕 一等を用いた顕微受精の方法を用いて受精させることで胚の発生を促す。 顕微受 精を行う場合には、 外来性遺伝子を取り込ませた精子の頭部を減数第二分裂中期 にある同種の雌非ヒト哺乳動物未受精卵の細胞質に注入する方法が好ましい。 発 生を開始した卵は、 同種の雌非ヒト哺乳動物に公知の方法で人工的に移植および
着床され、 外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニ 夕一する外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする D N A) を組み込んだ D NAを 有する非ヒト哺乳動物が得られる。
( e ) 未受精卵への遺伝子導入と体外受精による トランスジエニック動物の作製 非ヒト哺乳動物 (好ましくは、 マウス、 ラット、 ゥシなど) の未受精卵に、 外 来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来 性のレポーター蛋白質をコードする D NA) を組み込んだレトロウィルスを感染 させることで外来性遺伝子を導入し、 得られた卵を体外受精の方法を用いて発生 させ、 発生を開始した受精卵を雌非ヒト哺乳動物に人工的に移植および着床させ ることによって導入した外来性遺伝子を染色体上に組み込んだ D N Aを有する非 ヒト哺乳動物が得られる。 外来性遺伝子を組み込んだレトロウイルスは、 マニピ ユレ一ティング ·マウス ·ェンブリオ第 2版等に記載の方法により調製できる。 組換えレトロウィルスを未受精卵に感染させる場合には、 透明帯を除いた未受精 卵を用いることが好ましい。 未受精卵の透明帯を除去する方法としては、 マイク ロマ二ュピレ一夕一等を用いて物理的に膜を除く方法、 化学物質 (例えば、 酸性 夕イロ一ドなど)を用いて化学的に膜を溶解して除く方法のいずれかが好ましい。 体外受精を行い発生を開始した卵は、 同種の雌非ヒト哺乳動物に公知の方法で人 ェ的に移植および着床され、 外来性遺伝子 (例えば、 細胞内のカルシウムイオン の濃度変化をモニターする外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする D NA) を組 み込んだ D N Aを有する非ヒト哺乳動物が得られる。
2 . 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の利用方法
本発明の細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性のレポ一 夕一蛋白質をコードする D N Aを有する非ヒト哺乳動物は、 該レポーター蛋白質 をコードする D N Aが、 少なくとも 1以上の非神経細胞 (例えば、 上皮組織、 結 合組織、 脂肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リンパ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 脬臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖
器、 内分泌器官、 感覚器、 および爪から成る群から選択される 1以上の組織また は器官における細胞) で高発現されており、 これら組織あるいは器官における生 理活性物質 (例えば、 薬物) や機能未知の新規遺伝子産物などの薬理評価および 活性評価に有用である。
また、 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物に心疾患 (例えば、 急性心 不全、 慢性心不全、 心筋炎など) 、 呼吸器系疾患、 関節疾患 (例えば、 関節リウ マチ、 変形性関節症など) 、 腎疾患 (例えば、 腎不全、 糸球体腎炎、 I g A腎症 など) 、 動脈硬化症、 乾癬症、 高脂血症、 アレルギー疾患 (例えば、 喘息、 ァレ ルギー性鼻炎、 アトピー性皮膚炎など) 、 骨疾患 (例えば、 骨粗鬆症、 くる病、 骨軟化症、 低カルシウム血症など) 、 血液疾患、 脳血管性傷害、 外傷性脳障害、 感染症、 痴呆症および慢性炎症性疾患などを誘発し、 その病態モデル動物におけ る細胞内カルシウム濃度の変動を測定することができ、 これら疾患の病態機序の 解明、 治療方法の検討、 並びに治療薬、 予防薬および診断薬の研究開発を目的と した候補化合物のスクリーニングを行うことが可能である。 その場合、 細胞内の カルシウムイオンの濃度変化を惹起する内在性生理活性物質または (および) そ の受容体の生体内における機能がさらに解明される可能性が考えられ、 それらの 機構を解明する実験モデルとしての利用も期待される。
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の利用方法としては、 例えば以下 のものが挙げられる。
( 1 ) 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を用い、 生体内における細胞 内カルシウムイオンの濃度変化を該哺乳動物を生かしたまま検出する方法および 該方法を用いた薬剤のスクリーニング方法
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を用いることにより、 該哺乳動物 を生かしたまま、 導入したレポ一ター蛋白質をコードする D N Aの発光量を検出 することによって生体内における細胞内カルシウムイオンの濃度変化を測定する ことができる。生体からの発光蛋白質の発光を検出する方法の一例として、 Contag らが I C C Dカメラを用い生きた動物からの発光蛋白質の発光を検出した方法が
挙げられる (Molecular Microbiology, 18, 593, 1995; Nature Medicine, 4, 245, 1998) 。 I C C Dの代わりにより感度の高い冷却 C C Dカメラを用いてもよい。 生体内における細胞内カルシウムイオンの濃度変化を哺乳動物を生かしたまま検 出する該方法によって、 in vivo における生理変化や薬物応答を調べることがで き、 生理活性を有する物質をより生体に近い環境下で評価、 スクリーニングする ことができる。 具体的には、 被験物質を本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳 動物に投与して、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃度変化を、 構成的に発現 している外来性のレポ一夕一蛋白質を利用して検出することにより、 細胞内にお けるカルシウムイオンの濃度調節に関する物質を、 生体環境下で、 評価、 スクリ 一二ングすることができる。
( 2 ) 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物より摘出した組織、 器官、 細 胞を用い、 これら組織、 器官、 細胞における細胞内カルシウムイオンの濃度変化 を検出する方法および該方法を用いた薬剤のスクリーニング方法
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物を用いることにより、 該哺乳動物 から摘出後培養した組織、 器官、 細胞における細胞内カルシウムイオンの濃度変 化を、 導入したレポ一夕一蛋白質に基づく発光量を検出することによって測定す ることができる。 in vitroで組織、 器官、 細胞を培養する方法としては、 動物組 織培養法,モダンバイオロジー ·シリーズ 2 3,共立出版, (1974) 、 細胞培養マ ニュアル,講談社サイエンティフィック, (1982) 、 Use of Isolated Liver Cells and Kidney Tubules in Metabol ic Studies, Elaevier/North-Holland Publishing Co. , New York -Amsterdam- Oxford, (1976) 等に記載の公知の方法が挙げられる。 培養した組織、 器官、 細胞から発光蛋白質の発光を検出する方法としては、 前記 した Contagらの方法、冷却 C C Dカメラを用いた方法、ルミノメーター (例えば、 EG&G BERTH0LD 社製) を用いた方法等が挙げられる。 培養した組織、 器官、 細胞 における細胞内カルシウムイオンの濃度変化を測定する該方法によって、 複雑な 細胞間ネットワークを保った組織や器官、 あるいはより生体の機能を反映しやす いと考えられる初代培養細胞の状態において、 生理活性を有する物質を評価、 ス
クリーニングすることができる。 具体的には、 被験物質を本発明のトランスジェ ニック非ヒト哺乳動物より調製した組織、 器官または細胞と接触させ、 細胞内に おけるカルシウムイオンの濃度変化を、 構成的に発現している外来性のレポ一夕 一蛋白質を利用して検出することにより、 細胞内におけるカルシウムイオンの濃 度調節に関する物質を、 より生体に近い環境下で、 評価、 スクリーニングするこ とができる。
( 3 ) 本発明のトランスジヱニック非ヒト哺乳動物の製造に用いる胚性幹細胞を 用い、 該胚性幹細胞を分化誘導することで得られる細胞の細胞内力ルシゥムィォ ンの濃度変化を検出する方法および該方法を用いた薬剤のスクリーニング方法 本発明のトランスジエニック非ヒ卜哺乳動物の製造に用いる胚性幹細胞を用い ることにより、 該胚性幹細胞を分化誘導することで得られる細胞の細胞内カルシ ゥムイオンの濃度変化を、 導入したレポーター蛋白質に基づく発光量を検出する ことによって測定することができる。 in vitro培養において、 胚性幹細胞から内 胚葉細胞、 外胚葉細胞、 中胚葉細胞、 血液細胞、 内皮細胞、 軟骨細胞、 骨格筋細 胞、 平滑筋細胞、 心筋細胞、 神経細胞、 グリア細胞、 上皮細胞、 メラノサイ ト、 ケラチノサイ トが誘導されることが知られており (P. D. Rathjenら; Reprod. Fertil . Dev. , 10, 31, 1998) 、 該胚性幹細胞を誘導することで分化した細胞を 得る方法としては、 上記 P. D. Rathjenらの文献に記載の方法が挙げられる。 分化 誘導した細胞から発光蛋白質の発光を検出する方法としては、 前記した Contagら の方法、冷却 C C Dカメラを用いた方法、ルミノメ一夕一(例えば、 EG&G BERTH0LD 社製) を用いた方法等が挙げられる。 胚性幹細胞より分化誘導した細胞における 細胞内カルシウムイオンの濃度変化を測定する該方法によって、 生体から摘出し にくい細胞や生体に少数しか存在しない細胞などおいても、 生理活性を有する物 質を評価、 スクリーニングすることができる。
なお、 上記の ( 1 ) 〜 (3 ) に記載した本発明のトランスジエニック非ヒト哺 乳動物の利用方法に関して、 薬剤のスクリーニング方法に供される薬剤の種類は 何らかの生理活性を有する可能性のある物質であれば特に限定されず、 例えば、
サイ トカイン類、 低分子化合物、 ホルモン類、 抗体、 ペプチドまたはペプチド模 倣物またはアンチセンスオリゴヌクレオチドなど任意の物質を挙げることができ る。
( 4 ) 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞、 卵、 精子、 核 を用いた遺伝子改変動物の作製と作製された該遺伝子改変動物の利用
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物の胚性幹細胞、 卵、 精子、 核を用 いることにより、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性の レポーター蛋白質をコードする D N Aを含み、 かつ更なる染色体上の遺伝子の改 変を行った遺伝子改変哺乳動物を得ることができる。 胚性幹細胞、 卵、 精子、 核 を用い遺伝子改変動物を得る方法としては前記した公知の方法が挙げられる。 更 なる染色体上の遺伝子の改変としては、 例えば、 既知でその遺伝子の機能を破壊 することである病態が惹起されることが公知になっている遺伝子を、 相同組み換 え法によるノックァゥ卜の手法や、 ドミナントネガティブ体の遺伝子導入の手法 などによって作製することが挙げられる。 このような遺伝子改変動物は、 細胞内 のカルシウムイオン濃度の変化と該遺伝子改変動物が示す病態との関係の解析に 有用である。 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性のレポ —夕一蛋白質をコードする D N Aを含み、 かつ更なる染色体上の遺伝子の改変を 行った遺伝子改変哺乳動物は、 医療の開発や医薬の開発等に利用できる。
( 5 ) 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物と同種他系統の動物との交配 による遺伝子改変動物の作製と作製された該遺伝子改変動物の利用
本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳動物と同種他系統の動物 (例えば、 ヒ ト疾患モデル動物) とを交配させることにより、 細胞内のカルシウムイオンの濃 度変化をモニターする外来性のレポーター蛋白質をコ一ドする D N Aを含み、 か つある表現系 (例えば、 ヒト病態と類似の症状) を示す遺伝子改変哺乳動物を得 ることができる。 交配の方法としては、 自然交配以外にも公知である体外受精の 方法が挙げられる。 疾患モデル動物としては、 先天性および後天性を疾患を問わ ず多くのモデルが公知である。 このような遺伝子改変動物は、 細胞内のカルシゥ
ムイオン濃度の変化と該遺伝子改変動物が示す表現系 (例えば、 ヒト病態と類似 の症状) との関係の解析に有用である。 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化を モニターする外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DNAを含み、 かつある表 現系 (例えば、 ヒト病態と類似の症状) を示す遺伝子改変哺乳動物は、 医療の開 発や医薬の開発等に利用できる。
3. 本発明の DN Aの作製
本発明の DN Aは、 モレキュラー 'クロ一ニング第 2版、 カレント 'プロトコ —ルズ ·イン ·モレキュラー ·バイオロジー等に記載の通常の遺伝子工学の手法 を用い、 1οχΡ、 プロモーター、 hprt遺伝子、 1οχΡ、 プロモ一夕一の 各 DN A配列を適当なリンカー DN Aにより結合することで作製できる。
リンカ一 DNAは、 任意の制限酵素認識部位を有し、 数 bp〜数 kbp、 好ま しくは 10bp〜: Lkbp、 より好ましくは 10bp〜: 100 bpの長さからな る DNAが望ましい。
プロモーター部分の DNAとしては、 プロモーター活性を有するものであれば いずれも用いることができる。 例えば、 市販のプロモーター DNAや、 プロモー 夕一活性を有する公知の DN A塩基配列に基づいて市販のプロモーター DN Aに 改変を加えた DNAを挙げることができる。 好まし 例としては、 PGKプロモ 一夕一や C AGプロモーターを挙げることができる。
1 oxP部分の塩基配列は、 Cr eリコンビナーゼにより認識され組換えが起 こる配列であればいずれも用いることができ、 例えば、 Nucleic Acids Res., 868, (1997)、 Nucleic Acids Res., 23, 485, (1995)等に記載の塩基配列が挙げ られる。
hp r t遺伝子は、 適当なプロモーターの下流に連結することによって転写' 翻訳され HP RT蛋白質として発現可能な配列であればいずれも用いることがで きる。 hp r t遺伝子の配列は公知であり、 例えば、 Lexicon Genetics社等から 入手できる。
これら本発明を構成する各 DN A配列は、 公知の DN A塩基配列情報に基づい て、ホスフォアミダイ ト法を利用したパーキン 'エルマ一社の DN A合成機 model 392等の D N A合成機で化学合成することにより調製することもできる。
上記方法で得られる本発明の DN Aの塩基配列として、 例えば配列番号 1の塩 基配列が挙げられる。
4. 本発明の DN Aの利用
本発明の DN Aは、 哺乳動物の染色体上に組み込まれた場合、 本発明の DNA を構成する 1οχΡ、 プロモー夕一、 hp r t遺伝子がそれそれ単独で有するプ 口モー夕一活性より高いプロモーター活性を安定に示すことが期待され、 少なく とも 1以上の非神経組織 (例えば、 上皮組織、 結合組織、 脂肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リンパ性器官、 歯、 消 化管、 肝臓、 胆嚢、 滕臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖器、 内分泌器、 感覚器及び爪か らなる群から選ばれる 1以上の組織または器官における細胞) において、 本発明 の DN Aの下流に結合させた遺伝子を高発現させることができる。 このような本 発明の DNAの特性は、 例えば、 薬理評価用の動物の上記組織に外来性のレポ一 夕一蛋白質 (例えば、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニタ一するため の外来性のレポーター蛋白質、細胞を標識するための外来性のレポーター蛋白質、 または任意の蛋白質) を発現させる目的に適しており、 有用である。
本発明の DN Aの下流に、 細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターす る外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DN Aを有するトランスジヱニック非 ヒト哺乳動物は、 3. に記載の方法で作製した本発明の DNAをプロモーターと して用い、 1.に記載の方法に従い作製することができる。具体的な例としては、 アポェクオリンまたはカメレオン蛋白質をコードする DN Aを有するトランスジ エニック非ヒト哺乳動物を挙げることができる。 これらトランスジエニック非ヒ ト哺乳動物の利用方法としては、 2. に記載した利用方法が挙げられる。
本発明の DN Aの下流に、 細胞を標識するための外来性のレポ一夕一蛋白質を
コードする DNAを有するトランスジエニック非ヒト哺乳動物は、 3. に記載の 方法で作製した本発明の DN Aをプロモーターとして用い、 1. に記載の方法に 従い作製することができる。 具体的な例としては、 蛍光蛋白質、 または、 発光あ るいは発色蛋白質をコ一ドする DN Aを有するトランスジエニック非ヒト哺乳動 物を挙げることができる。 蛍光蛋白質として、 例えば、 Clontech社より市販され ているォワンクラゲ (Aeguorea victoria) 由来の緑色蛍光蛋白質 G F P、 EGF P、 EBFP、 EYFP、 GFPuv, イソギンチヤク (Discosoma striata) 由 来の赤色蛍光蛋白質 D s R e d、 Aurora Biosciences社の G F PEmerald、 GF PTopaz、 GFPSapphire、 GFPS65T, または Nature Biotech. , 313, (2000) 若しくは Nature Cell Biol., 2, 25, (2000)に記載の蛍光蛋白質などを用いるこ とができる。また、発光あるいは発色蛋白質をコードする DN Aとして、例えば、 Promega社より市販されているホ夕ル (Photinus pyralis) 由来のルシフェラー ゼ、 ゥミシィ夕ケ (Renilareniformis) 由来のルシフェラ一ゼ、 クロラムフエ二 コ "ルァセチルトランスフェラ一ゼ、 Clontech社より市販されているヒ ト胎盤由 来のアル力リホスファターゼ(SEAP)、 一ガラクトシダ一ゼなどを用いるこ とができる。 これらトランスジヱニック非ヒト哺乳動物の利用方法としては、 外 来性のレポ一夕一蛋白質で標識されたトランスジヱニック非ヒト哺乳動物の組織、 器官または細胞を、 免疫的に拒絶されない別の個体に移植し、 移植した該組織、 器官または細胞の挙動、 分化、 癌化等の生理的変化を、 該外来性のレポーター蛋 白質を利用して検出する方法が挙げられる。 また、 トランスジエニック非ヒト哺 乳動物の作製に用いた胚性幹細胞または該胚性幹細胞を分化誘導した細胞を、 免 疫的に拒絶されない別の個体に移植し、 移植した細胞の挙動、 分化、 癌化等の生 理的変化を、 導入した外来性のレポーター蛋白質を利用して検出する方法も挙げ られる。そのような具体的な例としては、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 14809, (1997)、 Cell Transplant., 5, 131, (1996)、 Exp. Neurol., 149, 28, (1998)、 Science, 285, 754, (1999)等に記載の方法が挙げられる。
また、 本発明の DNAの下流に、 任意の蛋白質をコードする DNAを有するト
ランスジエニック非ヒト哺乳動物を作製することで、 該蛋白質の生理機能を i vivoで効率的に調べることができる。
本発明の DN Aの下流に外来性のレポ一夕一蛋白質をコードする DN Aを有す るトランスジエニック非ヒト哺乳動物の細胞および細胞の核を用いることにより、 該トランスジ Xニック非ヒト哺乳動物のクローンおよび外来性のレポ一夕一蛋白 質をコードする DN Aを含みかつ更なる染色体上の遺伝子の改変を行った遺伝子 改変哺乳動物を作製することができる。 この場合の細胞としては、 例えば、 胚性 幹細胞、 卵、 または精子などがあげられる。 上記のトランスジエニックまたはク ローン非ヒト哺乳動物および遺伝子改変哺乳動物の作製法および利用法の詳細は 2. (4) に記載の通りである。 発明を実施するための最良の形態
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、 本発明は実施例によ つて限定されることはない。
実施例 1 :アポェクオリン発現プラスミ ドの構築
1) SV40初期プロモ一夕一の下流にアポェクオリン遺伝子を有するプラスミ ド PAGE107AEQの構築 (図 1を参照)
プラスミ ド pAGE107 (特開平 3-22979号; Cytotechnology, 3, 133, 1990) 2 〃gを 30〃 1の Universal Buffer M (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Xbalと 10単位の Sac I Iを加えて 37 °Cで 2時間消化反応を行った。 該 反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む 約 4. 6 Kbの DNA断片を QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用 いて回収した(以下、ァガロースゲルからの DN Aの回収にはこの方法を用いる)。 また、 プラスミ ド pAGE107 2〃gを 30〃 1の Universal Buffer H (宝酒造株 式会社製)に溶解し、 10単位の Ps t Iと 10単位の S a c I Iを加えて 37°C で 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 約 1. 7 Kbのゥサギ グロビンのポリ A付加シグナルを含む DN A断片を回収した。
一方、プラスミ ド p AQ2 (Molecular Probes社製) 2〃gを 30〃1の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Xba Iと 10単位の Ps t Iを加えて 37 °Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気 泳動後、 アポェクオリンを含む約 0. 63 Kbの DN A断片を回収した。
上記で得た、 プラスミ ド PAGE107由来の X b a I -S a c I I断片 ( 4. 6 K b) 0. 1〃g、 プラスミ ド pAGE107由来の P s t I -Sac I I断片 · ( 1. 7 K b) 0. l〃g、 プラスミ ド AQ2由来の X b al— Ps t l断片(0. 63 Kb) 0. 1 gを T 4リガーゼ緩衝液 30〃1に溶解し、 T 4 D N Aリガーゼ 100単 位を加え、 12°Cで 16時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 D H 5 (東洋紡社製) をコーェンらの方法 (Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 69, 2110, 1972) (以下、 大腸菌の形質転換にはこ の方法を用いる)によって形質転換し、 アンビシリン耐性(Amp r)株を得た。 この形質転換株から公知の方法 (Nucleic Acids Res., 7, 1513, 1979) (以下、 プラスミ ドの単離方法はこの方法を用いる)に従ってプラスミ ド DNAを単離し た。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵素消化により確認した。 以下、 このブラ スミ ドを pAGE107AEQと称す。
2) アポェクオリン遺伝子を有するプラスミ ド pBSAEQpAの構築 (図 2を参照)
Inouye らの報告 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 3154, 1985; 特開昭 61-135586号) に記載されているアポェクオリン遺伝子 c D N Aの塩基配列から 配列番号 2で示される塩基配列を有する 27マーのプライマ一 1、 および配列番 号 3で示される塩基配列を有する 28マーのプライマ一 2を作製し、 プラスミ ド PAGE107- AEQを材料にして常法により反応液を調製後、 95°Cで 5分間反応させ、 次いで 95°Cで 1分間、 55°Cで 2分間、 72°Cで 4分間のサイクルを 30サイ クル反復し、 最後に 72 °Cで 10分間反応させ、 4°Cで一晩保存する条件で PC Rを行った。 この P CR反応液をフエノール/クロロフオルム抽出処理し、 エタ ノール沈殿法により増幅させた DN A断片を回収した。 回収した DN A断片を 3 0 1の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Xb a
Iと 10単位の E c oR Iを加えて 37 °Cで 2時間消化反応を行った。 該反応液 をァガロースゲル電気泳動後、 アポェクオリンを含む約 0. 65 Kbの DN A断 片を回収した。
次に、 プラスミ ド pRL- TK (Promega社製) 2 gを 30〃 1の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Xbalと 10単位の B amH Iを 加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動 後、 約 0. 25 Kbの SV40後期遺伝子のポリ A付加シグナルを含む DNA断 片を回収した。
さらに、 プラスミ ド pBluescriptll SK (-) (Stratagene社製) 2〃gを 30〃 1の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の E c o R I と 10単位の B amH Iを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液 をァガロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む約 2. 9 KbのDNA断片を回収した。
上記で得た、 アポェクオリンを含む DN A断片 (0. 65 Kb) 0. 1〃g、 プ ラスミ ド pRL-TK由来の Xba I—B amH I断片 (0. 25 Kb) 0. 1〃g、 プラスミ ド pBluescriptll SK (-)由来の E c oR I— B amH I断片 ( 2. 9 K b) 0. 1〃gを T 4リガーゼ緩衝液 30〃1に溶解し、 T 4 D N Aリガーゼ 10 0単位を加え、 12°Cで 16時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコ一ェンらの方法によって形 質転換し、 アンビシリン耐性 (Amp 株を得た。 この形質転換株から公知の方法 に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵素消 化により確認した。 また、 DNAシークェンサ一377 (パーキンエルマ一社製) を用い、 常法に従って塩基配列を決定し、 該プラスミ ドには公知のアポェクオリ ン c D N A配列が含まれていることを確認した。 以下、 このプラスミ ドを pBSAEQpAと称す。
3) C AGプロモ一夕一を有するプラスミ ド pBSKS( + )CAGpromoterの構築(図 3 を参照)
コスミ ド pAxCAwt (Nucleic Acids Research, 23, 3817, 1995) 2〃gを 30〃 1の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Sai lと 10単位の C la Iを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァ ガロースゲル電気泳動後、 C AGプロモーターを含む約 1. 7 Kbの DN A断片 を QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用いて回収した。
次に、 プラスミ ド pBluescriptll KS ( + ) (Stratagene社製) 2〃gを 30〃 1 の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Sai lと 1 0単位の C la Iを加えて 37 °Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガ ロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む約 2. 9 Kbの DNA断片を QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用いて回収した。 上記で得た、 コスミ ド pAxCAwt由来の Sai l— Clal断片 (1. 7Kb) 0. l〃gとプラスミ ド pBluescriptll KS( + )由来の S a 1 I -C 1 a I断片( 2.
9 Kb) 0. l〃gを T4リガーゼ緩衝液 30〃1に溶解し、 T 4 D N Aリガーゼ
100単位を加え、 12°Cで 16時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコーェンらの方法によって形 質転換し、 アンピシリン耐性 (Amp11)株を得た。 この形質転換株から公知の 方法に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを pBSKS( + )CAG promoterと称す。 4 ) C AGプロモー夕一の下流にアポェクオリン遺伝子を有するプラスミ ド pCAG-AEQの構築 (図 4を参照)
プラスミ ド pBSKS( + )CAG promoter 2〃 を30〃1の Universal Buffer H (宝 酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Sai lと 10単位の E c oR Iを加えて 37 °Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 C AGプロモ一夕一を含む約 1. 7 Kbの DN A断片を QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用いて回収した。
次に、 プラスミ ド pBSAEQpA 2 ^を30〃1の Universal Buffer H (宝酒造 株式会社製)に溶解し、 10単位の Sai lと 10単位の E c oR Iを加えて 3
7°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 アポ ェクオリン遺伝子を含む約 3. 8 Kbの DN A断片を QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用いて回収した。
上記で得た、 プラスミ ド pBSKS( + )CAG promoter由来の S a l l -E c o R I断 片 ( 1. 7 Kb) 0. 1〃gとプラスミ ド PBSAEQPA由来の Sa i l— E c oR I 断片 (3. 8Kb) 0. l〃gを T4リガーゼ緩衝液 30 j lに溶解し、 T4DN Aリガ一ゼ 100単位を加え、 12°Cで 1 6時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコーェンらの方法によって形 質転換し、 アンビシリン耐性 (Ampr) 株を得た。 この形質転換株から公知の 方法に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを pCAG-AEQと称す。
5) プラスミ ド ploxp#lの構築 (図 5参照)
プラスミ ド pKO (Lexicon Genetics Inc.社製) 2 / を30〃 1の Universal Buffer M (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の Kpn Iと 10単位の Xho Iを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気 泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む約 1. 97KbのDNA断片を 回収した。
次に、 Araki らの報告 (Nucleic Acids Res., 25, 868, 1997) に記載されてい る 1 oxP配列を含む配列番号 4で示される塩基配列を有する 44マーの一本鎖 合成 DNAloxPKpnl/XhoI- A、および配列番号 5で示される塩基配列を有する 52 マーの一本鎖合成 DNAloxPKpnl/XhoI-B を作製し、 アニーリングすることで二 本鎖 DN Aとした。
該ニ本鎖 DNA O . l〃gと、 上記で得たプラスミ ド PKO由来 Kpnl— Xh _0_Ι断片 ( 1. 97Kb) 1. 0〃gとを T4リガ一ゼ緩衝液 30〃1に溶解し、 T4DNAリガ一ゼ 100単位を加え、 12°Cで 16時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコ一ェンらの方法によって形 質転換し、 アンピシリン耐性 (Ampr) 株を得た。 この形質転換株から公知の
方法に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを ploxp#lと称す。
6) プラスミ ド ploxpの構築 (図 6を参照)
プラスミ ド ploxp #1 2 /gを 30〃1の Universal Buffer H (宝酒造株式会社 製)に溶解し、 10単位の B amH Iと 10単位の C 1 a Iを加えて 37°Cで 2時 間消化反応を行った。該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、アンピシリン(A P) 耐性遺伝子を含む約 2. 02Kbの DNA断片を回収した。
次に、 ΙοχΡ配列を含む配列番号 6で示される塩基配列を有する 47マーの一本 鎖合成 DNAloxPBajnHI/ClaI-A、 および配列番号 7で示される塩基配列を有する 45マ一の一本鎖合成 DNAloxPBamHI/Clal-Bを作製し、アニーリングすること で二本鎖 DN Aとした。
該ニ本鎖 DN A 0. 1〃gと、 上記で得たプラスミ ド ploxP#l由来 B amH I 一 C 1 a I断片(2. 02Kb) 1. 0〃gとを T 4リガーゼ緩衝液 30〃1に溶 解し、 T 4DNAリガ一ゼ 100単位を加え、 12 °Cで 16時間結合反応を行つ た。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコ一ェンらの方法によって形 質転換し、 アンピシリン耐性 (Ampr)株を得た。 この形質転換株から公知の 方法に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを ploxpと称す。
7) プラスミ ド ploxpHPRTの構築 (図 7を参照)
プラスミ ド ploxp 2〃gを 30 / 1の NEB Buffer 4(New England Biolabs社製) に溶解し、 10単位の A^_≤_Iを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反 応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む約 2. 07 Kbの DNA断片を回収した。 回収した DNA断片を 30〃 1の Alkaline Phosphatase Buffer (宝酒造株式会社製)に溶解し、 44単位のゥシ小腸 由来のアルカリホスファタ一ゼ (宝酒造株式会社製) を加えて 37°Cで 30分間 反応を行い、 フエノールークロロフオルム抽出後、 エタノール沈殿法により脱リ
ン酸化された約 2. 07 Kbの DNA断片を回収した。
次に、 プラスミ ド pKOselectHPRT (Lexicon Genetics In 社製) 2〃gを 30 〃 1の NEB Buffer 4(New England Biolabs社製)に溶解し、 10単位の As c I を加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳 動後、 ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラ一ゼ (hprt)遺伝子を 含む約 3. 8Kbの DNA断片を回収した。
上記で得た、 プラスミ ド ploxp 由来 As c I断片 (2. 07Kb) 0. 1〃g とプラスミ ド pKOselectHPRT由来 A s c I断片 ( 3. 8Kb) 0. l gを T4 リガーゼ緩衝液 30〃1に溶解し、 T4DNAリガ一ゼ 100単位を加え、 12 °C で 16時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコ一ェンらの方法によって形 質転換し、 アンビシリン耐性 (Ampr)株を得た。 この形質転換株から公知の 方法に従ってプラスミ ド DN Aを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを ploxpHPRTと称す。
8) プラスミ ド ploxpHPRT2の構築 (図 8を参照)
プラスミ ド ploxpHPRT 2 _^を30〃1の Universal Buffer K (宝酒造株式会 社製)に溶解し、 10単位の Hp a Iを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含 む約 2. 07 Kbの DNA断片を回収した。 回収した D N A断片を 30 / 1の Alkaline Phosphatase Buffer (宝酒造株式会社製)に溶解し、 44単位のゥシ小腸 由来のアルカリホスファターゼ (宝酒造株式会社製) を加えて 37°Cで 30分間 反応を行い、 フエノール/クロ口ホルム抽出後、 エタノール沈殿法により脱リン 酸化された約 5. 9 Kbの DNA断片を回収した。
上記で得た、 プラスミ ド ploxpHPRT由来 H 13 a I断片 ( 5. 9 Kb) 0. 1 /g と 8マーの合成リンカ一 pBamHI(8mer) (5, -pd(CGGATCCG)-3' ;宝酒造株式会社 製) 0. 1〃gを T 4リガーゼ緩衝液 30〃1に溶解し、 T 4 D N Aリガーゼ 10 0単位を加え、 12°Cで 16時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコ一ェンらの方法によって形 質転換し、 アンピシリン耐性 (Amp11) 株を得た。 この形質転換株から公知の 方法に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを ploxpHPRT2と称す。
9) PGKプロモーターの下流に hp r t遺伝子を有し、 かっさらに下流に C A Gプロモーターに連結したアポェクオリ ン遺伝子を有するプラスミ ド pCAG-AEQ- pHPRTpの構築 (図 9を参照)
プラスミ ド ploxpHPRT2 2 ^を30 1の Universal Buffer L (宝酒造株式 会社製)に溶解し、 10単位の Kpn lを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った c その後、 の 10倍濃度の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)と 10単 位の S a 1 Iを全体量が 40 /1 になるように添加し 37 °Cでさらに 2時間消化 反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 hp r t遺伝子を含む 約 3. 8 Kbの DNA断片を回収した。
次に、 プラスミ ド pCAG-AEQ 2〃gを 30 z lの Universal Buffer L (宝酒造 株式会社製)に溶解し、 1 0単位の Kpn lを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行 つた。 その後、 4〃1 の 10倍濃度の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製) と 10単位の S a i lを全体量が 4 Ομ.1 になるように添加しさらに 37°Cで 2 時間消化反応を行った。 該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む約 5. 5 Kbの DNA断片を回収した。
上記で得た、 プラスミ ド ploxpHPRT2由来 Kpn I -S a i l I断片( 3. 8 K b) 0. l〃gとプラスミ ド pCAG-AEQ由来 Kpn I -S a l I I断片 ( 5. 5 K b) 0. l /gを T4リガーゼ緩衝液 30〃1 に溶解し、 T 4 DNAリガーゼ 1 00単位を加え、 12°Cで 16時間結合反応を行った。
該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコーェンらの方法によって形 質転換し、 アンピシリン耐性 (Amp1") 株を得た。 この形質転換株から公知の 方法に従ってプラスミ ド DNAを単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵 素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを pCAG- AEQ-pHPRTpと称す。
プラスミ ド pCAG- AEQ- PHPRTPの CAGプロモー夕一を含む Kpn I - E c oR I断片 (5. 8kb) を配列番号 1として示した。 実施例 2 :アポェクオリン発現プラスミ ドの哺乳類細胞への導入とアポェクオリ ン一過性発現量の検討
実施例 1で構築したアポェクオリンをコードする DN Aを含むプラスミ ド pBSAEQpA, pAGE107AEQまたは pCAG-AEQをジヒドロ葉酸リダクターゼ ( d h f r ) 遺伝子を欠損したチャイニーズハムスターの卵巣細胞 (CHOdhf r (-) D G44) (Biochemistry, 36» 10901, 1997; Cell, 33, 405, 1983) に導入させて アポェクオリン遺伝子を一過性に発現させ、 その発現量の比較を行った。
アポェクオリン発現プラスミ ドの CHOdhf r (—) 細胞 DG44への導入 は、 リポフエクシヨン法に準じて行った。 すなわち、 該細胞株を 3 X 105個/穴 になるように、 21111の 10%ゥシ胎児血清を含む I MDM培地(GIBC0BRL社製 ) を用いて、 6穴の組織培養用マイクロプレート (岩城硝子株式会社製;コード 3810-006) に播種し、 37 °C、 5 % C 02の条件で 24時間培養後、 ◦ P T I— MEM培地 (GIBC0 BRL社製) で数回洗浄した。 2 zgのプラスミ ドを含む 100 〃1の OPT I—MEM培地と 6 /1のリボフェクトァミン試薬 (GIBC0 BRL社製) を含む 10 の OPT I—MEM培地を穏やかに混合し室温で 30分間反応 させた後、 全量を OPT I— MEM培地を用いて lmlとし、 洗浄した上記細胞 に加え 4時間培養を行った。 4時間後、 lmlの 20%ゥシ胎児血清を含む IM D M培地を加えさらに 24時間培養することで遺伝子の導入を行った。
次に、 遺伝子を導入した細胞を IMDM培地で一回洗浄し、 10〃mo l/l のセレンテラジン (Molecular Probes社製) を含む 1 m 1の I MDM培地を加え 4時間培養した。 4時間後、 0. 05%のトリプシン溶液を用いて細胞を剥がし、 改変クレプスリンガー緩衝液 〔125mmo l/lのNaC l、 5mmo 1/1 の KC 1、 1 mmo 1/1の Mg S 04、 1 mm o 1/ 1の C a C 12、 1 mmo 1/1の Na2HP04、 5. 5 mmo 1/ 1のグルコースを含む 20 mm o 1/
1の HEPES (pH7. 4) 溶液〕 に 1 x 106個/ m 1となるように懸濁し、 100 /1/穴で 96穴の細胞培養用白色プレー卜 (住友べ一クライ ト株式会社製 ;品番 MS- 8096W)に播種した。マイクロプレートルミノメータ一 LB96P (EG&G BERTH0LD社製) を用いて、 2〃mo 1/1のカルシウムィオノフォア A 2318 7 (Research Biochemical International社製) を含む 100〃 1の改変クレブ スリンガー緩衝液を、 細胞を播種した各穴に添加し、 添加直後から 3秒間毎に発 光量を測定した。
上記の方法により、 プラスミ ド PAGE107- AEQ、 プラスミ ド pCAG- AEQ、 またはブラ スミ ド pBSAEQpAを C H 0 d h f r (—) 細胞 D G 44に導入した細胞の A 231 87刺激によるェクオリンの発光量を指標にして各プラスミ ドのプロモ一夕ー活 性の比較を行った。結果を図 10に示す。 C AGプロモー夕一は、 哺乳動物細胞 での発現に一般的に用いられる S V 40初期遺伝子のプロモ一夕一よりも強い転 写活性を有していることが示された。 実施例 3 :アポェクオリン発現プラスミ ドの哺乳類細胞への導入による安定形質 転換体の取得とアポェクオリン発現量の検討
マウスミエローマ細胞 P 3. X 63/Ag 8. U 1 (以下、 P3U1と略す) (Curr. Top. Microbiol. Immunol., 81, 1, 1978) にプラスミ KpCAG-AEQ-pHPRTp を導入した安定形質転換体を取得し、 さらに該細胞に C r eリコンピナ一ゼをー 過性に発現させることで h p r t遺伝子の発現ュニットを除去した変異体を取得 し、 hp r t発現ュニットの除去前後でのアポェクオリンの発現量の比較を行つ た。
プラスミ ド pCAG- AEQ- pHPRTpの P 3 U 1細胞への導入は、エレクトロボレ一ショ ン法に準じて行った。 すなわち、 該細胞株を 8 X 106個/ mlになるように K — PB S緩衝液( 13711111101/1の1(( 1、 2. 7mmo l/lのNaCl、 8. lmmo 1/1の Na2HP04、 1. 5 mmo 1/1の KH2 P 04、 4mm o l/lの MgCl2) に懸濁し、 この細胞懸濁液 200〃1と l〃g/ zlに調
整したプラスミ ド pCAG-AEQ-pHPRTp 4〃1を融合チャンバ一 Gene Pulser Cuvette
(電極間距離 2聽) (BI0RAD社製;カタログ番号 165-2086)内で混合した。細胞融 合装置ジーンパルサ一 (BI0RAD社製) を用いて、 パルス電圧 0. 25KV、 電気 容量 125〃Fの条件で遺伝子導入し、 10mlの 10 %ゥシ胎児血清を含む R P M I 1640培地 (GIBCO BRL社製) に懸濁後、 37 °C、 5%C 02条件下で 24 時間培養した。 培養後、 HAT-Media Supplement (50x) (Boehringer Mannheim Biochemica社製)を 200〃 1添加しさらに 6日間培養することでアミノブテリン 耐性株を取得した。取得した薬剤耐性株の生細胞数を計測し、 5個/ m 1になるよ うに、 2 %HT-Media Supplement ( 50 X ) (Boenringer Mannheim Biochemica 社製) および 10%ゥシ胎児血清を含む RPMI 1640培地を用いて希釈し、 100〃1 穴で 96穴プレートに播種した。 1週間後単一コロニーを形成した 穴の細胞を取得した。 実施例 4の 3) に記載のサザンハイブリダィゼ一シヨン法 を用い、 導入された遺伝子のコピー数を発生工学実験マニュアル, トランスジェ ニック 'マウスの作り方, 講談社 (1987)に記載された方法に従って測定し、 導入 遺伝子が 1コピー挿入された細胞株を選択した。 以下、 この細胞をクローン 2 1 と称す。
次に、 1. 1 X 107個/ mlになるように PB S緩衝液に懸濁したクローン 2 1細胞および C r eリコンビナーゼ遺伝子を含有する 1 nも I 1に調整したプ ラスミ ド pBS185 (GIBC0BRL社製) 25 / 1を融合チャンバ一 Gene Pulser Cuvette (電極間距離 4mm) (BI0RAD社製;カタログ番号 165- 2088) 内で混合した。 細 胞融合装置ジーンパルサー (BI0RAD社製) を用いて、 パルス電圧 0. 23KV、 電気容量 500 Fの条件で遺伝子導入し、 10mlの 10%ゥシ胎児血清を含 む RPMI 1640培地 (GIBCO BRL社製) に懸濁後、 37°C、 5%C02条件下 で 24時間培養した。 24時間培養後、 6-チォグァニン (
2-amino-6- mercaptopurine; Sigma社製)を 10 j mo lZlになるように添カロし 6日間培養することで 6-チォグァニン耐性株を取得した。以下、 この薬剤耐性株 をクローン 21 Ahp r tと称す。
取得した細胞株を 1 X 106個/ mlとなるように 10〃mo 1/1のセレン テラジンを含む RPMI 1640培地に懸濁し、 4時間培養した。 培養後、 1, 000 X gで 5分間の遠心分離操作により細胞を回収し、 改変クレプスリンガ一 緩衝液を用いて 2回洗浄した後、改変クレプスリンガー緩衝液を用いて 1 X 106 個/ mlとなるように懸濁し、 100 1/穴で 96穴の細胞培養用白色プレート (住友べ一クライ ト株式会社製;品番 MS- 8096W) に播種した。 マイクロプレート ルミノメ一夕一 LB96P (EG&G BERTHOLD社製) を用いて、 2〃mo l/lの力 ルシゥムィオノフォア A 23187 (Research Biochemical International社製 )を含む 100〃1の修正クレプスリンガ一緩衝液を、細胞を播種した各穴に添加 し、 添加直後から 3秒間毎に発光量を測定した。
上記の方法により、プラスミ ド pCAG- AEQ- pHPRTp形質転換細胞株クローン 21と クローン 21株より hp r t遺伝子の発現ュニットを除去した変異株クロ一ン 2 1 Δΐιρ r tのアポェクオリンの発現量の比較を行った。 結果を図 11に示す。 PGKプロモーターの下流に hp r t遺伝子を有した hp r t遺伝子発現ュニヅ トを含むクローン 21株の方が、 hp r t遺伝子発現ュニットを含まないクロ一 ン 2 lAhprtよりもアポェクオリン遺伝子をより高発現していることが示さ れた。 実施例 4: PGKプロモーターの下流に hp r t遺伝子を有し、 かっさらに下流 に C AGプロモーターに連結したアポェクオリン遺伝子を含有するトランスジェ ニックマウスの作製
1)受精卵への DN Aの注入と該受精卵の移植
採卵用としてマウス BDF 1系統を 8週齢で購入し、 8 : 00〜 20 : 00の 12時間明期条件で 1週間飼育した。
飼育後 1日目 17: 00に卵胞刺激ホルモン(妊馬血清性の性腺刺激ホルモン、 以下 PMSGと略する) (5 IU/個体) を腹腔注射した。
3日目の 17 : 00に黄体形成ホルモン (ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、 以下
hCGと略する) (5 IU/個体) を腹腔注射後、雄マウス BDF 1系統 8週齢以 降の個体とつがいで同居させ、 交配させた。
4日目 9 : 00に交配させた雌ラッ トの膣栓確認を行い、 13 : 30から膣栓 確認した個体を屠殺後、 採卵を開始した。 PGKプロモ一夕一に連結した hpr t遺伝子と C A Gプロモー夕一に連結したアポェクオリン遺伝子を含む約 6. 6 KbのDNA断片 (以下トランスジーンと略す) は、 実施例 1の 9) で得られた プラスミ ド pCAG- AEQ-pHPRTpを制限酵素 P vu Iと S a c Iで切断し、 ァガ口一 スゲル電気泳動後 QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用いて 0. 1 mmo 1/1の£0丁八を含む 111111101/1のトリス (pH8. 0) 溶液に回 収し PB S溶液を用いて 10〃g〜 100〃g/mlの濃度に調整したものを 用いた。 受精卵で前核形成卵を選択し、 14: 30から、 調製した該トランスジ —ンの D N A溶液 1〜 2 1を顕微鏡下で観察しながら受精した単細胞期の B D F 1系統マウス卵の雄前核へ注入した。 続いて、 卵細胞を、 公知の改変ウイッテ ン培地で培養した。
5日目 13 : 30に 2細胞期胚を確認してから、 マニピユレ一ティング 'マウ ス ·ェンブリオ第 2版に記載された方法に従って、 該偽妊娠の雌 MCH系統マウ スの卵管に移植し、 着床させた。該偽妊娠の雌 MCH系統マウス ( 10週齢以降) には、 発情期前期から発情期にある雌 M C H系統マゥスを精管結紮雄 M C H系統 マウス 10週以降の個体と 4日目 17:00につがいで同居させ、交配させた後、 5日目 9 : 00に膣栓確認を行ったマウスを用いた。
2)産仔からのトランスジーンの検出
2週齢に達した出産仔の尾から採取したゲノム DNAを用いて、 P CR法によ りアポェクオリン遺伝子を有するマウス個体を選別した。 すなわち、 アポェクオ リン遺伝子 cDN A塩基配列を含む配列番号 2で示される塩基配列を有する 27 マーのプライマ一 1、 および配列番号 3で示される塩基配列を有する 28マーの プライマー 2を用いて P CRを行った。 分析に用いたゲノム DNAは、 マニビュ レーティング ·マウス ·ェンブリオ第 2版に記載された方法により、 尾の約 0.
5 cm断片から抽出した。 得られた核酸ペレツトを 70%エタノール中で 1回洗 浄、 乾燥し、 300〃 1の 200〃gZmlの RNa s e Aおよび lmmo 1/ 1の EDTAを含む 1 Ommo 1/1のトリス (pH8. 0) に再懸濁して尾ゲ ノム DN A調製物とした。 尾ゲノム DNA調製物 を滅菌水で 50倍に希釈 して、 プライマー 1およびプライマ一 2を用いて、 94°C5分間反応させ、 次い で 94°C1分間、 64°C2分間、 72°C3分間のサイクルを 30回反復し、 最後 に 72°C10分間反応させ、 4°C一晩保存する条件で PCRを行い、 該反応物を 1. 0%ァガロース GTC (FMCバイオプロダクト社製) ゲルを通して電気泳 動して、 約 600 bpの大きさの DNAバンドを示すマウスを選別した。 合計 2 1匹の出産仔のうち 5匹から約 600 bpの大きさの DNAバンドが観察された c 以上の結果から トランスジーンを少なくとも尾の細胞に含むマウスは個体番号 98075-02-2 (雌) 、 98075-04-5 (雄) 、 98075-04-6 (雄) 、 98075-04-7 (雌) お よび 98075- 04-9 (雌) の 5個体であることが確認された。
3) 生殖系列トランスジエニックマウスの同定
尾のゲノム D N Aより トランスジーンの存在が確認された 5個体を 8週齢まで 飼育し、 マウス C 57 BL/6 J系統 8週齢以降の個体とつがいで交配させ産仔 を得、 得られた産仔の尾から採取したゲノム DN Aを用いて P CR法によりアポ ェクオリン遺伝子を有するマウス個体を選別した。
ゲノム DNAの調製は、 実施例 4の 2) に記載の方法を用いて行った。 PCR はアポェクオリン遺伝子 cDN A塩基配列を含む 27マ一のプライマ一 1および 28マ一のプライマー 2を用いて行った。 尾ゲノム DNA調製物 1〃1を滅菌水 で 50倍に希釈して、 プライマー 1およびプライマー 2を用いて、 94°C5分間 反応させ、 次いで 94 °C1分間、 64°C2分間、 72°C3分間のサイクルを 30 回反復し、 最後に 72°C10分間反応させ、 4 °C一晩保存する条件で PC Rを行 い、 該反応物を 1. 0%ァガロース GTC (FMCバイオプロダクト社製) ゲル を通して電気泳動して、 約 600 bpの大きさの DN Aバンドがみられるマウス を選別した。
個体番号 98075-02-2 の個体由来の産仔合計 17匹うち 9匹から、 個体番号 98075-04-5の個体由来の産仔合計 15匹うち 9匹から、 個体番号 98075-04-6の 個体由来の産仔合計 18匹うち 13匹から約 600 bpの大きさの DN Aバンド がみられた。 個体番号 98075-04-7の個体および個体番号 98075-04-9の個体由来 の産仔からはバンドは観察されなかった。
次に、 これら PCR陽性 3個体の産仔各一匹について、 尾ゲノム DNA調製物 およびアポェクオリン遺伝子配列を含むラジオァイソトープ標識 DN Aプローブ を用いてサザンハイブリダィゼーシヨンを行なった。 各個体より調製した尾から の DNAを E c oR Iで切断し、得られた断片およびプラスミ ド pBSAEQpA由来の アポェクオリン遺伝子を含む E c oR I— Xb a I断片 (0. 6 Kb) を32 P— dCTP (Deoxycytidine 5' -triphosphate(dCTP),[ひ-32 P] ; NEN社製) で標識 した断片をプロ一ブとして用い、 サザンハイブリダィゼーシヨンを行なった。 標 識には市販の T7QuickPrimeKit (Pharmacia Biotech社製) を用いた。 3匹の P CR陽性個体 DNAそれそれ 10〃gを制限酵素且 nR Iで完全に切断し、 0. 8 %ァガロースゲルを通して電気泳動を行い、 かつ Southern (J.Mol.Biol. , 98, 503, 1975) により記載された方法でナイロンフィルター (HybondTM-N+; Amarsham 社製) へ移した。 このフィル夕一を標識したプローブと一晩ハイブリッドさせ、 2 X S S C, 0. 1%SDSを含有する溶液を用いて、 65 °Cで 5分間の洗浄を 2回、 10分間の洗浄を 1回行なった、 X線フィルム (Kodak Scientific Imaging Film X-0MAT™ AR; Kodak社製) と重ねあわせ— 80 °Cで一晩感光させ、 翌日現像 した。
このサザンハイブリダィゼ一シヨンの結果、 検定した 3匹全てにおいて 4. 8 k bpの位置にシグナルが検出されたので、 これら 3匹は注入されたトランスジ ーンを保持していることが示された。 PCR陽性 3個体由来の産仔についてサザ ンハイブリダイゼ一ションを行った結果、 各個体由来の産仔各一匹計 3匹の個体 でトランスジーンの導入が確認された。 以上の結果から生殖系列トランスジェニ ックマウスは個体番号 98075-02-2 (雌)、 98075-04-5 (雄) および 98075-04-6
(雄) の 3個体であることが確認された。 実施例 5 :作製したトランスジエニックマウスの導入遺伝子の発現解析
生殖系列にトランスジーンの存在が確認された 3個体の産仔それそれから、 組 織および器官を摘出しアポェクオリンの発現を試験した。 産仔を屠殺後、 胸腺、 精巣、 精嚢、 脾臓、 腹筋、 横隔膜、 腎臓、 水晶体、 肺、 脬臓、 脂肪組織、 皮膚、 肝臓、 頭蓋骨、 食道、 血管、 心臓、 毛、 尾、 耳、 血液、 骨髄、 歯、 舌、 胃、 小腸、 大腸、 膀胱、 陰茎、 卵巣、 子宮、 卵管、 爪、 甲状腺、 副腎を摘出した。 摘出した これら臓器 (血液、 骨髄および毛は除く) は、 10単位 Zmlのへパリンナトリ ゥムを含む PB S溶液中で約 1〜2 mm四方の立方体に細断し、 液を交換するこ とでよく洗浄した。 血液は、 眼底より約 0. 5ml採血し、 1. 0mlの 10単 位/ mlのへパリンナトリゥムを含む PB S溶液に懸濁後、 1000 X gで 5分 間遠心分離することにより回収した。骨髄は Dexterらの方法 (J. Cell. Physiol., £1, 335, 1977) により大腿骨より摘出し、 5. 0 m 1の 10単位/ m 1のへパリ ンナトリウムを含む PBS溶液に懸濁後、 100 Oxgで 5分間遠心分離するこ とで回収した。 毛は、 体毛を引き抜き毛根部から約 5mmのところまでを裁断し て回収した。 次に、 1穴に 50 1の 10 mo 1/1のセレンテラジン (Molecular Probes社製) を含む RPMI 1640培地を入れた 96穴の細胞培 養用白色プレート (住友べ一クライ ト株式会社製;品番 MS-8096W)の各穴に、 調 製した各種臓器試料を数個 (血液および骨髄は回収した細胞すベて、 毛は回収し た毛根部を含む部分約 100本) ずつ加え、 37°Cで 5時間培養した。 培養後、 マイクロプレートルミノメータ一 LB 96 P (EG&G BERTH0LD社製) を用いて、 50〃1の 0. 07%Tr i t onX— 100を含む P B S溶液を添加し、 添加 直後から 20秒間の発光を測定した。その結果、個体番号 98075-04-6由来の雄雌 の産仔から調製された、 胸腺、 精巣、 精嚢、 脾臓、 腹筋、 横隔膜、 腎臓、 水晶体、 肺、 脬臓、 脂肪組織、 皮膚、 肝臓、 頭蓋骨、 食道、 血管、 心臓、 毛根、 尾、 耳、 血液、 骨髄、 歯、 舌、 胃、 小腸、 大腸、 膀胱、 陰茎、 卵巣、 子宮、 卵管、 爪、 甲
状腺、 副腎のすべての試料において発光が観察された。 代表として、 水晶体、 頭 蓋骨、 爪、 歯の測定結果を図 12に示す。
また、個体番号 98075-04-6の導入遺伝子を含む産仔に形態的、生理的異常は観 察されず、 さらに、 C 57BL/6 Jと交配させることで、 導入遺伝子を持つ子 孫がメンデルの法則に従って得られたことから、 外来のアポェクオリン導入によ る毒性等の影響はないことが示された。 実施例 6 :作製したトランスジエニックマウスを用いた生理活性物質の測定
個体番号 98075-04-6由来の雄雌の産仔から組織あるいは器官を調製し、生理活 性物質に対する応答性を試験した。 産仔を屠殺後、 胸腺、 脾臓、 血管、 心臓、 子 宫、 脂肪組織、 精巣、 腎臓を摘出した。 摘出したこれら臓器は、 10単位/ ml のへパリンナトリゥムを含む PB S溶液中で約 1〜2 mm四方の立方体に細断し、 液を交換しながら十分に洗浄した。 次に、 200〃1の 10〃mo 1/1のセレ ンテラジン (Molecular Probes社製) を含む RPMI 1640培地を入れた 5 m 1チューブ(Rohren-Tubes;Sarstedt社製 No.55.476)に、調製した各種臓器試料 を 3個づっ加え、 37 °Cで 5時間培養した。 培養後、 RPMI 1640培地に溶 解させた以下に示す各種生理活性物質を順次 200 1づっ添加し、 添加直後か ら 1秒間毎にルミノメ一夕一 Au t o Luma t LB 953 (BERTHOLD社製) を 用いて、 発光を測定した。
RPMI 1640培地、 アンジォテンシン II (終濃度 1〃mo 1/1)、 ブラ ジキニン(終濃度 10 zmo l/l)、 A23187 (終濃度 l〃mo 1/1)、 Tr i t onX— 100 (終濃度 2 %) を副腎、 子宮、 血管、 脾臓の各組織に順 次加えた結果を図 13に示す。
RPMI 1640培地、 カルバコール (終濃度 10 /mo l/l)、 ひメチル セロトニン(終濃度 10 mo l/l)、 ATP (終濃度 100〃mo 1/1)、 フエ二レフィ リン (終濃度 20〃mo 1/1) 、 A23187 (終濃度 1〃mo 1/1) 、 Tr i t onX- 100 (終濃度 2%) を胸腺、 血管、 脾臓の各組織
に順次加えた結果を図 14に示す。
RPMI 1640培地、 エンドセリン (終濃度 1 Onmo 1/1)、 カルシト ニン (終濃度 10nmo l/l) 、 A23187 (終濃度 l〃mo 1/1) 、 T r i t onX- 100 (終濃度 2%) を血管、 心臓の各組織に順次加えた結果を 図 15に示す。
RPM I 1640培地、 フエ二レフイ リン (終濃度 20 zmo 1/1)、 A2 31.87 (終濃度 l〃mo 1/1) 、 Tr i t onX— 100 (終濃度 2%) を 脂肪組織、 精巣、 腎臓の各組織に順次加えた結果を図 16に示す。
なお、 実験に用いたアンジォテンシン II (商品コード A- 151) 、 ブラジキニン (商品コード B-120)、 カルバコール (商品コード C- 107)、 ひメチルセロ トニン (商品コード M-110)、 ATP (商品コード A-141)、 フエ二レフイリン (商品コ 一ド A- 133) 、 A 23187 (商品コード C-161) 、 エンドセリン (商品コ一ド E - 134) 、 カルシ トニン (商品コー ド C-210) は Research Biochemicals International社より購入した。
その結果、 アンジォテンシン 11(終濃度 1〃mo 1/1)添加、 およびブラジキ ニン(終濃度 10〃mo 1/1)添加において、 血管、 子宮、 副腎で強い発光が観 察された (図 13) 。 アドレナリンひ 1受容体のァゴニストであるフエ二レフィ リンを終濃度 20 mo 1/1で添加したところ、 胸腺、 血管、 脂肪組織、 精巣 において強い発光が観察された (図 14、 図 16) 。 ムスカリン受容体のァゴニ ストであるカルバコールを終濃度 10〃mo 1/1で添加したところ、 血管にお いて発光が観察された (図 14) 。 P 2 Y受容体のァゴニストである AT Pを終 濃度 100〃mo 1/1で添加したところ、 胸腺、 血管、 脾臓において強い発光 が観察された (図 14) 。 エンドセリンを終濃度 1 Onmo 1/1で添加したと ころ、 血管において強い発光が観察された (図 15) 。 実施例 7 マウス胚性幹細胞を用いた、 P G Kプロモ一夕一の下流に h P r t遺伝 子を有し、 かっさらに下流に C AGプロモーターに連結したアポェクオリン遺伝
子を含有するトランスジエニックマウスの作製
1) マウス胚性幹細胞の培養
マウス胚性幹細胞 AB 2. 2 (Lexicon Genetics社製;カタログ No. C100、 以下 AB2.2細胞と称す) は 15%ゥシ胎児血清 (Lexicon Genetics社製;カタログ No.BlOO)、 10"4mo 1 / 1のべ一夕メルカプトエタノール(Lexicon Genetics 社製;カタログ No. M260)、 2mmo 1/1の L—グルタミン、 50単位 /mlのペニシリンおよび 5 O zgZmlのストレプトマイシン (Lexicon Genetics社製;カタログ No. M250)を含む DM EM培地(Lexicon Genetics 社製;カタログ No. M205) (以下、 Ml 5培地と称す) を用いて、 フィ一 ダープレート上で 37 °C、 5%C02条件下で培養を行った。 フィーダ一プレー トはゲラチンコート処理を施した細胞培養用ディッシュにマイ トマイシン C処理 マウス胚線維芽細胞 (Lexicon Genetics社製;カタログ No. C 200、 以下 S TO細胞と称す) を培養して作製した。 すなわち 0. 1%ゲラチン溶液(Lexicon Genetics社製;カタログ No. M2 10) で 2時間以上細胞培養用デイツシュの 培養面を覆うことによりゲラチンコート処理を行い、 購入した S TO細胞を融解 後、 7 %のゥシ胎児血清 (Lexicon Genetics社製) および 2mmo l/lの L_ グルタミン (Lexicon Genetics社製) 、 50単位/ m 1のペニシリンおよび 50 〃g/mlのストレプトマイシン (Lexicon Genetics社製) を含む DMEM培地
(Lexicon Genetics社製) (以下 S T 0培地と称す) に 4. 4x 105個/ m 1 になるよう懸濁し、 96穴プレートに 0. 07ml/穴、 3 cmディッシュに 2 ml、 6 cmディッシュに 4 m 1、 8. 5 c mディッシュに 12 m 1、 マルチデ イツシュおよび 24穴プレートに 0. 5mlを播種し、 37°C、 5%C02条件 下で 48時間以上培養したものをフィーダ一プレートとした。 AB 2. 2細胞は Ml 5培地に懸濁した後、 フィーダ一プレートに播種して培養を開始した。 Ml 5培地は 96穴プレートに 0. 1ml/穴、 マルチディッシュおよび 24穴プレ —卜に 0. 5ml、 3 c mディッシュに 2 m 1、 6 c mディッシュに 4 m 1、 8. 5 cmディッシュに 10mlを使用し、細胞がコンフルェントに到達する前に継
代を行った。 継代に先駆け、 2時間前に Ml 5培地を交換した。 PBS緩衝液 ( Lexicon Genetics社製) で 2回洗浄した後、 96穴プレートに 0. 025ml/ 穴、 マルチディッシュおよび 24穴プレートに 0. 25ml、 3 cmディッシュ に lml、 6 cmディッシュに 2 m 1、 8. 5 c mディッシュに 2 m 1の 0. 0 4 % E D T Aを含む 0. 25 %トリプシン溶液 (Lexicon Genetics社製; M220) を添加し、 37°C、 5%C02条件下で 15分間放置した後、 等量の Ml 5培地 を添加し、 プラスチック製ピぺットを用いて 40回激しく攪拌し細胞を分散させ た後、 遠心分離により沈殿させた細胞を Ml 5培地に再び懸濁し、 新しいフィ一 ダ一プレート上に播種することで継代を行った。
2 )マウス胚性幹細胞へのアポェクオリン発現遺伝子 pCAG-AEQ-pHPRTpの導入とァ ポェクオリン高発現株の選別
AB 2.2細胞への pCAG-AEQ- pHPRTpの導入はェレクト口ポレーシヨン法により 行った。購入した AB2. 2細胞 3. 0 X 106個を 6 cmディッシュに播種し、 48時間培養した後、 8.5 cmディヅシュへ継代し、さらに 24時間培養した。 24時間後、 7mlの PBSで 2回洗浄し、 2 m 1のトリプシン溶液 (Lexicon Genetics社製) を添加し、 37°C、 5 % C 02条件下で 15分間放置した後、 2 mlの M 15培地を添加し、 3mlトランスファ一ピペッ ト (ファルコン社製; カタログ No. 7575) を用いて 40回激しくピペッティングしたのち、 遠心分離に より沈殿させた細胞 1.0 X 107個を0.9ml PB S緩衝液(Lexicon Genetics 社製) に懸濁し、 1. l〃gの直鎖状 pCAG- AEQ-pHPRTp22. 7〃1を融合チヤ ンバ一 Gene Pulser Cuvette (電極間距離 4 mm) (BI0RAD社製;カタログ番号 165-2088)内で混合した。直鎖状の pCAG-AEQ- pHPRTpは実施例 1の 9 )で得られた プラスミ ド pCAG- AEQ-pHPRTpを制限酵素 As c Iで切断し、 フエノール'クロロホ ルム抽出後、 エタノール沈殿を行い、 0. lmmo 1/1の EDTAを含む lm mo 1/1のトリス (pH8. 0)溶液に溶解したものを用いた。 細胞融合装置 ジーンパルサ一 (BI0RAD社製) を用いて、 パルス電圧 0. 23KV、 電気容量 5 00 Fの条件で遺伝子導入し、 50mlの M15培地に懸濁後、 10 m 1 /枚
で 5枚の 8. 5 cmフィーダ一プレートに播種し、 24時間培養した。 24時間 後、 HAT Supplement (100x) (GibcoBRL社製;カタログ No. 3992) を 1 x濃度で 含む M 15培地でさらに 8日間培養することで、薬剤耐性コロニ一を出現させた。 これらコロニーは 96穴フィーダ一プレートに 1コロニー/穴で採取し、培養を継 続した後レプリカを作製した。 コロニーは PBS緩衝液 (Lexicon Genetics社製 ) で 2回洗浄した後、 プラスチック製の滅菌チップを用いて、 30〃1のトリプ シン溶液を添加した丸底 96穴プレート (ファルコン社製;カタログ No.3077)へ
1コロニー/穴になるように直接拾いあげて採取した。 続いて 37°C、 5%CO 2条件下で 15分間以上放置した後、 70 /1/穴の Ml 5培地を添加しプラス チック製の滅菌チップで 40回激しくビベッティングを行い分散させた細胞懸濁 液を、 各穴に 100〃 1の M 15培地を添加した 96穴フィーダ一プレートに播 種して 3日間培養を行った。 3日後、 レプリカプレートを作製し、 さらに 3日間 培養した。 レプリカプレートは上記の 96穴プレートを一穴につき 100〃 1の PBS緩衝液で 2回洗浄した後、 25〃 1のトリプシン溶液を添加し、 37°C、 5%(302条件下で15分間以上放置した後、 25〃 1の Ml 5培地を添加し、 プラスチック製の滅菌チップで 40回激しくピベッティングを行い分散させ、 続 いて 20%DMSO (シグマ社製;カタログ No.D2650)、 40%のゥシ胎児血清
(Lexicon Genetics社製) を含む DMEM培地 (以下、 2 xフリージング培地と 称す) を 50〃1添カ卩して混合した細胞懸濁液から 100〃1を分取し、 細胞培 養用白色プレート (住友ベークライ ト株式会社製;品番 MS- 8096W) に移すことに より作製した。 上記プレートはあらかじめゲラチンコート処理した後、 一穴につ き 10 の Ml 5を添加したものを使用した。 残りの細胞懸濁液を含むプレ ートはマス夕一プレートとして一 80°Cで凍結保存した。 3日後、 培地を除き、 10 mo 1/1のセレンテラジンを含む M 15培地を 100 / 1/穴で添加し、 4時間培養した。 4時間後、 2 /mo 1/1のカルシウムィオノフォア A231 87 (Research Biochemical International社製) を含む 100 1の修正クレ ブスリンガー緩衝液を各穴に添加し、 直ちに 5秒間の発光量を測定した。 上記の
方法により測定した各薬剤耐性株のアポェクォリン発現量の比較から、 最もアポ ェクオリン発現量の高い細胞株、 AB 2. 2クローン番号 1A7を選別した。 次に AB 2. 2クローン番号 1 A 7のマウス胚盤胞への注入ストックを作製し た。 凍結保存したマス夕一プレートを融解し、 1 A 7を含む細胞懸濁液を 2 m 1 の Ml 5培地を添加した 24穴フィーダ一プレートの一穴に播種し 24時間培養 した後、 培地を交換し、 さらに 3日間培養を行った。 3日後、 24穴フィーダ一 プレートの一穴に継代し、 さらに 2日間培養した後、 3 cmディッシュに継代し た。 24時間後、 継代方法と同様にディッシュより剥離後、 遠心分離により沈殿 させた細胞を 0. 5 mlの M 15培地に懸濁し、 さらに 0. 5mlの 2 xフリー ジング培地を加えて混合した懸濁液を 0. 1mlずつ細胞凍結用チューブに添加 後 — 80°Cで凍結保存し、 マウス胚盤胞への注入ストックとした。
3) マウス胚性幹細胞の胚盤胞への注入および該胚盤胞の移植
樹立したアポェクオリンを高発現した AB 2. 2クローン 1A7は、 マウス胚 盤胞への注入に際し、 マルチディッシュ (Nunc社製;カタログ No. 176740)で培 養を行った。 マウス胚盤胞注入ストックを融解後、 10mlの M 15培地に懸濁 し、 遠心分離して沈殿させた細胞をマルチディッシュに播種し培養を開始した。
24時間後に再びマルチディッシュへ継代し、 さらに 24時間培養後、 PB S (Lexicon Genetics社製) 0. 5 mlで 2回洗浄した後、 0. 25mlのトリプ シン溶液 (Lexicon Genetics社製) を加えて、 37。 5%C02条件下で 15 分間放置した後、 0. 75mlの M 15培地を添加し、 3ml トランスファーピ ぺヅト (ファルコン社製;カタログ No. 7575) を用いて 40回激しくピぺヅティ ングして懸濁したところに、 ゥシ胎児血清 (Lexicon Genetics社製) を加えて混 合し、 該細胞懸濁液をマウス胚盤胞への注入に用いた。 マウス胚盤胞は過排卵処 理を施した雌の C 57B 1/6 Jマウスを同系の雄マウスと自然交配させ、 4日 後に摘出した子宮の内部を M 15培地で灌流することにより取得した。 これらを
37°C、 5%C02条件下で胚盤胞腔が十分に膨らむまで放置した後、 約 4°Cに 冷却した 2 Ommo 1 / 1の H E P E Sを含む M 15培地中に移し、 マイクロイ
ンジヱクタ一(成茂科学社製)およびマイクロマニピュレーター(成茂科学社製) を装備した倒立顕微鏡 (ニコン社製) 下で観察しながら、 注入針を操作し 10〜 15個の AB 2. 2クローン 1A7を胚盤胞腔内へ顕微注入した。 該胚盤胞を 3 7°C、 5 %C02条件下で胚盤胞腔が膨らむまで放置した後、 Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual, Second Edition, Cola Spring Harbor Laboratory Press (1994)に記載された方法に従い、 偽妊娠の雌 MC H系統マウス の卵管側子宮部分に移植後、 着床させた。 偽妊娠の雌 MCH系統マウス ( 10週 齢以降) は、 発情期前期から発情期にある雌 MCH系統マウスを精管結紮雄 MC H系統マウス 10週以降の個体と移植 3日前の 17 : 00に 1 : 1で同居、 交配 させ、 翌朝 9 : 00に膣栓確認を行い、 2日後に上記の目的で使用した。
4) 生殖系列キメラマウスの同定
注入した 1 A 7の寄与で、黒色の被毛の中に茶褐色の被毛が現れたキメラ個体の うち、 キメラ率が 50%を超える雄の個体を 8週齢まで飼育し、 雌の C 57BL / 6 J系統 8週齢以降の個体と 1 : 1で交配させ産仔を得た。 該産仔のうち、 茶 褐色の被毛を有する個体の尾より採取したゲノム DN Aを用いて、実施例 4の 3) に記載の方法を用いて導入遺伝子の有無を試験した。 ゲノム DN Aの調整は、 実 施例 4の 2) に記載の方法を用いて行った。 茶褐色の産仔は雄 6個体のうち 5個 体から得られ、 うち 2個体からは導入遺伝子を有する産仔が得られた。 本結果よ り、 上記の 2個体、 個体名称 「クロ」 および 「リュウ」 は生殖系列キメラマウス であると同定した。
5 ) マウス胚性幹細胞より作製したトランスジヱニックマウスの導入遺伝子の発 現解析と該マウスを用いた生理活性物質の測定
「リュウ」 由来の産仔からそれそれ組織あるいは器官を調整しアポェクオリン の発現を実施例 5に記載した方法で試験した。 その結果、 個体番号 「リュウ」 由 来の雄雌の産仔から調整された、 胸腺、精巣、精嚢、 脾臓、 腹筋、 横隔膜、 腎臓、 水晶体、 肺、 脬臓、 脂肪組織、 皮膚、 肝臓、 頭蓋骨、 食道、 血管、 心臓、 毛根、 尾、 耳、 血液、 骨髄、 歯、 舌、 胃、 小腸、 大腸、 膀胱、 陰茎、 卵巣、 子宮、 卵管、
爪、 甲状腺、 副腎のすべての試料において発光が観察された。
次に実施例 6に記載した方法で該マウス由来の雄雌の産仔から組織あるいは器 官を調整し、 生理活性物質に対する応答性を試験した。 その代表として、 RPM I I 640培地、 カルバコール (終濃度 20〃mo 1/1)、 ひメチルセロト二 ン (終濃度 20〃mo l/l) 、 ATP (終濃度 100〃mom/l)、 フエ二 レフイリン (終濃度 20〃mol/l) 、 A23187 (終濃度 l〃mo 1/1 ) 、 Trit onX— 100 (終濃度 2%) を子宮に順次加えた結果を図 17に 示した。 20〃mo 1/1のカルバコール、 20 mo 1/1のひメチルセロト ニン、 100〃mo 1/1の ATP、 20 /mo 1/ 1のフエ二レフィリンの添 加により強い発光が確認された。 実施例 8 :本発明の DNAの下流にアポェクオリン遺伝子を導入した安定形質転 換体の解析
実施例 3に記載した方法に従い、 マウスミエローマ細胞 P 3 U 1にプラスミ ド pCAG- AEQ-pHPRTpを導入した安定形質転換体を任意に 10株取得し、さらに取得し たこれら細胞に C r eリコンビナ一ゼを一過性に発現させることで hp r t遺伝 子の発現ュニットを除去した変異体を取得し、 hp r t発現ュニットの除去前後 でのアポェクオリンの発現量の比較を行った。
いずれの株においても、 hp r t遺伝子の発現ュニットを除去することにより アポェクオリン発現の低下が観察された。 ほとんどの株では 5〜10倍の発現低 下が観察され、 1株においては、 除去後アポェクオリンの発現がほとんど観察さ れなかった。
また、 実施例 3に記載した方法に従い、 マウスミエローマ細胞 P3U1にブラ スミ ド pCAG- AEQ- pHPRTpまたは pCAG- AEQを導入し 24時間後に、一過性のアポェク オリンの発現量を測定し比較した。 pCAG- AEQを導入した P 3 U 1細胞と
pCAG- AEQ- pHPRTpを導入した P 3 U 1細胞との間で有為な差は観察されなかった。 以上の結果から、 pCAG-AEQ-pHPRTpプラスミ ドが有するアポェクオリン遺伝子の
上流部分、 すなわち配列番号 1で示される 1 oxP、 PGKプロモーター、 hp rt遺伝子、 1 οχΡ、 CAGプロモ一夕一の塩基配列の部分には、 染色体上に おいて、 下流に存在する遺伝子を強く発現させる作用があることが示唆された。 実施例 9 :本発明の DNA下流に GFP遺伝子を結合させた遺伝子を含有するト ランスジエニックマウスの作製
1) PGKプロモーターの下流に hp r t遺伝子を有し、 かっさらに下流に C A Gプロモーターに連結した G F P遺伝子を含有するプラスミ ド pCAG-GFP-pHPRTp の構築 (図 18を参照)
実施例 1— 6) に記載した方法に従い作製したプラスミ ド pCAG-AEQ 3〃gを 2 0 1の Universal Buffer L (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の S a c I を加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 その後、 4〃 1の 1 0倍濃度の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)と 10単位の E c o R Iを全体量が 40 1になるように添加し、 37°Cでさらに 2時間消化反応を行った。 該反応溶液 をァガロースゲル電気泳動後、 アンピシリン (Ap) 耐性遺伝子を含む約 4. 6 Kbの DNA断片を QIAEX II Gel Extraction Kit (QIAGEN社製) を用いて回収 した。
また、 プラスミド pEGFP-1 (クロンテック社製;カタログ No.6086-1) 2 gを
30 /1の NE Buffer l(New England Biolabs社製)に溶解し、 10単位の Ag 1を加えて 25°Cで 2時間消化反応を行った。 その後、 4 /1の 10倍濃度の NE Buffer 3 (New England Biolabs社製)と 10単位の Af 1 I I Iを全体量が
40 /1になるように添加して 37 °Cで 2時間消化反応を行った。 該反応溶液を ァガロースゲル電気泳動後、 約 0. 97Kbの GFP遺伝子と SV40後期遺伝 子のポリ A付加シグナルを含む D N A断片を回収した。
上記で得た、 プラスミ ド PCAG-AEQ由来の E c oR I— S a c I断片 ( 4. 6 K b) 1. 0〃g、 プラスミ ド pEGFP-1由来の Aff e I— Af 1 I I I断片 ( 0. 9 7Kb) 1. 0〃gそれそれを、 DNA Blunting Kit (宝酒造株式会社製;力夕口
グ No.6025)を用い、 添付書に記載された方法で平滑末端化処理を行った。各 DN Aを 9 1のキット添付の反応バッファー (宝酒造株式会社製) に溶解し、 70 °Cで 5分間放置した後、 全体量が 10〃1になるように 1単位の T 4 D N A polymerase (宝酒造株式会社製) を添加し、 37 °Cで 5分間反応を行った。 その 後、 直ちにボルテックスミキサーを用いて激しく攪拌し酵素を失活させて反応を 終了させた。プラスミ ド PEGFP- 1由来の As e I -A 1 I I I断片の反応液は引 き続きフエノール一クロ口ホルム抽出を行った後、 5〃 1を採取し、 2. 5 i 1 の T4 polynucleotide kinase buffer (宝酒造株式会社製) と 10単位の T4 polynucleotide kinase (宝酒造株式会社製) を全体量が 25〃1になるように 加えて、 37°Cで 30分間 DNAの 5' 末端リン酸化処理を行った。 その後 65 °Cで 10分間放置し、 反応を停止させた。 上記の方法で調製したプラスミ ド pCAG- AEQ由来の平滑末端 DNA断片 (4. 6 Kb) 0. 1 gと pEGFP-1由来のリ ン酸化平滑末端 DN A断片 (0. 97Kb) 0. 1〃 gを T4リガ一ゼ緩衝液 30 〃1に溶解し、 T4DNAリガーゼ 100単位を加え、 12 °Cで 16時間結合反 応を行った。 該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製) をコーェンらの方法 によって形質転換し、 アンピシリン耐性 (Ampr)株を得た。 この形質転換株 から公知の方法に従ってプラスミ ド DN Aを単離した。 得られたプラスミ ドの構 造は制限酵素消化により確認した。 以下、 このプラスミ ドを pCAG-GFPと称す。 次に、 実施例 1— 8 ) に記載した方法で作製したプラスミ ド ploxpHPRTnew2〃 gを 30 1の Universal Buff er L (宝酒造株式会社製)に溶解し、 10単位の ϋ _ jllを加えて 37°Cで 2時間消化反応を行った。 その後、 4〃1の 10倍濃度 の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)と 10単位の Sai lを全体量が 4 0 1になるように添加し 37 °Cでさらに 2時間消化反応を行った。 該反応溶液 をァガロースゲル電気泳動後、 hp r t遺伝子を含む約 3. 8 Kbの DN A断片 を回収した。
一方、 プラスミド pCAG- GFP 2 /gを 30 lの Universal Buffer L (宝酒造株 式会社製)に溶解し、 10
を加えて 37°Cで 2時間消化反応を行つ
た。 その後、 4〃 1の 10倍濃度の Universal Buffer H (宝酒造株式会社製)と 10単位の を全体量が 40〃 1になるように添加しさらに 37°Cで 2時 間消化反応を行った。該反応溶液をァガロースゲル電気泳動後、アンピシリン(A P) 耐性遺伝子を含む約 5. 6Kbの DNA断片を回収した。
上記で得た、 プラスミ ド ploxpHPRTnew由来 Kpn I— S a 1 I断片 (3. 8k b) 0. l〃gとプラスミ ド CAG-GFP由来 pn l— S a l l断片(5. 6 kb) 0. 1 gを T 4リガーゼ緩衝液 30 1に溶解し、 T 4 D N Aリガーゼ 100 単位を加え、 1 2°Cで 16時間結合反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌 DH 5 (東洋紡社製)をコ一ェンらの方法によって形質転換し、アンピシリン耐性(A mp r) 株を得た。 この形質転換株から公知の方法に従ってプラスミ ド DNAを 単離した。 得られたプラスミ ドの構造は制限酵素消化により確認した。 以下、 こ のプラスミ ドを pCAG-GFP-pHPRTpと称す。
2) PGKプロモー夕一の下流に hp r t遺伝子を有し、 かっさらに下流に C A Gプロモー夕一に連結した GFP遺伝子を含有するトランスジエニックマウスの 作製
実施例 7に記載した方法に従い、 作製した G F P発現遺伝子 pCAG-GFP-pHPRTp をマウス胚性幹細胞 AB 2. 2へ導入し、 出現した薬剤耐性株の中から GFP高 発現株を選別し、 選別した株をマウス胚盤胞へ注入後、 偽妊娠させた雌マウスの 子宮に移植し、 出産したキメラマウスの中から生殖キメラマウスを同定すること で、 配列番号 1に示された塩基配列に GF P遺伝子が連結した遺伝子を含有する トランスジエニックマウス 3 C 5, を作製した。 作製したトランスジエニックマ ウス 3 C 5' の産仔は、 GFP遺伝子を高発現しているため、 蛍光灯下でも皮膚 が緑に見え、 ゲノム DNAを用いてトランスジーンを検出する必要なく トランス ジエニックか否かの判定ができた。
作製したトランスジエニックマウス 3 C 5 ' の産仔から組織および器官を摘出 し、 GFPの蛍光が観察されるか試験した。 蛍光の検出は富士写真フィルム社製 のルミノイメージアナライザー LAS-1000 を用いて行った。 産仔を屠殺後、 胸腺、
精巣、 精嚢、 脾臓、 腹筋、 横隔膜、 腎臓、 水晶体、 肺、 脬臓、 脂肪組織、 皮膚、 肝臓、 頭蓋骨、 食道、 血管、 心臓、 毛根、 尾、 耳、 血液、 骨髄、 歯、 舌、 胃、 小 腸、 大腸、 膀胱、 陰茎、 卵巣、 子宮、 卵管、 爪、 甲状腺、 副腎を摘出した。 これ ら臓器を暗箱内に設置されたトレーに置き、 臓器の持つ蛍光を冷却 C C Dカメラ で測定した。 励起光源には 4 7 0 nmを中心とした青色光を放つ Blue-SQW- LED (曰亜化学工業製) を使用し、 カメラレンズの前面に蛍光フィル夕一 Y515- Di (富 士写真フィルム社製) を装着して撮影した。 その結果、 摘出したすべての試料に おいて、 G F Pの蛍光が観察された。 産仔を開腹後、 ハンディ紫外線照射装置 ModelUVGL-58 (UVP Inc.社製) を用いて内蔵に U Vを照射したところ、 各臓器か ら緑色の蛍光が発せられているのが肉眼でも確認できた。 産業上の利用の可能性
本発明の細胞内のカルシウムイオンの濃度変化をモニターする外来性のレポ一 夕一蛋白質をコードする D N Aを有する非ヒト哺乳動物は、該 D N Aを上皮組織、 結合組織、 脂肪組織、 軟骨組織、 骨組織、 筋組織、 口腔内組織、 血液組織、 骨髄、 循環器、 リンパ性器官、 歯、 消化管、 肝臓、 胆嚢、 滕臓、 呼吸器、 泌尿器、 生殖 器、 内分泌器官、 感覚器、 および爪から成る群から選択される 1以上の組織また は器官において発現しており、 これら組織あるいは器官における生理活性物質 ( 例えば、 薬物) や機能未知の新規遺伝子産物などの薬理評価および活性評価に利 用することができる。 特に、 生理機能を保ったまま In vitroで培養することが難 しい細胞や、 複雑な細胞間ネットワークを持つ組織あるいは器官における薬物応 答等を調べる目的に利用し得る。 また、 本発明のトランスジエニック非ヒト哺乳 動物に心疾患(例えば、 急性心不全、 慢性心不全、 心筋炎など)、 呼吸器系疾患、 関節疾患 (例えば、 関節リュウマチ、 変形性関節症など) 、 腎疾患 (例えば、 腎 不全、 糸球体腎炎、 I g A腎症など) 、 動脈硬化症、 乾癬症、 高脂血症、 アレル ギー疾患 (例えば、 喘息、 アレルギー性鼻炎、 アトピー性皮膚炎など) 、 骨疾患 (例えば、 骨粗鬆症、 くる病、 骨軟化症、 低カルシウム血症など) 、 血液疾患、
脳血管性傷害、 外傷性脳障害、 感染症、 痴呆症および慢性炎症性疾患などを誘発 し、 その病態モデル動物における細胞内カルシウム濃度の変動を測定することが でき、 これら疾患の病態機序の解明、 治療方法の検討および治療薬研究開発を目 的とした候補化合物スクリーニングを行うことに利用し得る。