明 細 書 移行式プラ ズマ ト ー チ [技術分野 ]
こ の発明 は、 プラ ズマ ア ー ク を発生 さ せて加熱 · 溶解 に 用 い ら れ る 移行式 プ ラ ズ マ ト ー チ に 関す る も の で あ る o
[背景技術 ]
熱プラ ズマ は超高温、 高工ネ ルギ源 と し て加熱 · 溶解 を は じ め、 反応や表面処理な どに広 く 応用 さ れてい る 。 特に、 エネ ルギ密度が高い ので設備がコ ンパ ク ト に な り ま た雰囲気を プラ ズマ作動ガス に よ っ て 自 由 に制御で き る こ と 、 電流 と プラ ズマ長 さ を制御す る こ と に よ り 投入 電力を 自 在 にかつ応答よ く 調整で き る 特徴があ る 。 これ ら の特徴を活か し て近年製鋼プ ロ セ ス に お い て は、 レ ー ドルや 夕 ン ディ ッ シ ュ の 中の溶鋼を プラ ズマ に よ っ て加 熱 し溶網温度を制御 し た り 、 精練反応を行 う こ と が検討 さ れてい る 。
プラ ズマ ト ー チ の基本型式 と し て、 移行式 と 非移行式 と があ る 。 移行式は プラ ズマ ト ー チ 内部の電極 と 加熱対 象物 と の 間 に電圧を印加 し 、 こ の間 に プラ ズマ を発生 さ せ る も ので、 一般に は 6 0〜 8 0 % の加熱効率が得 ら れ る 。 一方、 非移行式はプラ ズマ ト ー チ 内部 に陰極 と 陽極の両
電極を持ち 、 こ の 間に プラ ズマ を発生 さ せ高温ガス を燃 焼バー ナー の よ う に加熱対象物に吹き 付け る も の で、 加 熱効率は 2 Q〜 40 %.であ る。 加熱対象物が金属の よ う に導 電性の場合に は、 加熱効率の点か ら移行式プラ ズマ ト ー チが用 い ら れ る 。
従来の移行式プラ ズマ ト ー チの典型的な構成を第 1 図 に示す。 図において、 ( 1 ) はプラ ズマ ト ー チ、 ( 2 ) は電 極、 ( 3 ) は ノ ズルであ る。 電極( 2 ) に は一般に タ ン ダス テ ンが用 い ら れ、 これを ノ ズル(3 ) が囲んでい る 。 ノ ズ ル (3 ) は水冷鋦製ゃセ ラ ミ ッ ク ス製であ る こ と が多い。
(4) はア ル ゴ ンや水素な どの プラ ズマ作動ガスであ り 、 電極 (2 ) と ノ ズル (3 ) の 間に流さ れる 。 (5 ) は加熱対象 物、 ( 6 ) はプラ ズマ アー ク 、 ( 7 ) は絶縁スぺー サ、 ( 8 ) は冷却水、 ( 9 ) は電気端子であ る。 そ し て、 プラ ズマ は 電極 (2 ) の先端 と 加熱対象物(5 ) と の 間に発生す る が、 ノ ズル(3 ) で絞 ら れた プラ ズマ作動ガス (4 ) に よ っ て電 極 (2 ) の近傍では強い軸方向の指向性を持つ た安定な プ ラ ズマ ア ー ク (6 ) が形成 さ れる 。
従来の プラ ズマ ト ー チ (1 ) においては、 上記の よ う に プラ ズマア ー ク (B ) の指向性 · 安定性を高め る べ く 、 電 極 (2 ) や ノ ズル (3 ) の形状や配置お よ びプラ ズマ作動ガ ス (4 ) の流 し方を決めて き た。 こ の た めに、 電極( 2 ) の 先端を鋭角 に尖 らせて、 プラ ズマが電極 (2 ) と接す る プ ラ ズマ ス ポ ッ ト 部での プラ ズマ 自 身の電流に よ る ビ ン チ 力で引 き 起 こ さ れ る磁気ポ ン プ効果で軸方向 に沿 っ た プ
ラ ズマ ア ー ク (6 ) を形成す る か、 ま た は ノ ズル (3 ) と 電 極 (2 ) と の 間の ギ ャ ッ プを数 mm以下に し て プラ ズマ作動 ガス (4 ) の流速を高めて、 軸方向 に安定な プラ ズマ ァ ー ク (6 ) を維持す る よ う に し て い る 。
以上の よ う に、 従来の移行式の プラズマ ト ー チ (1 ) は、 プラズマ ア ー ク ( 6 ) の指向性や安定性の み に 目 が向 け ら れ、 プラ ズマ ア ー ク (6 ) を不安定にす る こ と は考え ら れ なか っ た。 ま た、 従来の設計ではプラ ズマ ア ー ク ( 6 ) が 不安定に な る と 、 ノ ズル ( 3 ) と 電極 ( 2 ) と の 間 に プラ ズ マが発生 し て ノ ズル ( 3 ) を焼損す る 恐れがあ る た め、 安 定化が重視 さ れて き た。
従来の移行式プラ ズマ ト ー チ (1 ) は、 安定で軸方向 に 指向性の強い プラ ズマ ア ー ク (6 ) を発生 さ せ る よ う に作 ら れて き た。 こ の よ う に安定な プラ ズマ ア ー ク (6 ) は、 当然の こ と な力 ら ア ー ク の広が り が小さ い ので、 加熱対 象物 (5 ) を局所的に加熱す る こ と に な る 。 こ の た め、 例 え ば溶铜を加熱す る 場合、 局所的な温度上昇や溶鋼の蒸 発を招 き 、 温度の不均一性 と 加熱効率や歩留 ま り の低下 な どの 問題を生 じ る 。 ま た 、 窒素や水素の溶網への混入 を防止す る た め に、 プラ ズマ作動ガス (4 ) に不活性な ァ ル ゴ ン を用 い、 ま た、 加熱室内 も ア ル ゴ ン雰囲気に保つ 場合があ る 。 こ の時、 ア ルゴ ン は次頁の表 1 に示すよ う に、 プラ ズマ単位長 さ 当 り にかか る 電圧が他の ガス に比 ベて低い た め、 投入電力が低下す る こ と に な る 。
例え ば、 高温のア ル ゴ ン雰囲気では プラ ズマ の 印加電
圧は 0,1 〜 0.2V/ 職 と低い の で、 ブ ラ ズマ長 さ 力 500 mm で も 100 〜 150 V程度に し かな ら な い。 投入電力 は電圧 と 電流の積であ る か ら 、 大電力を投入す る に は電流を増す かプラ ズマ ト ー チ (1) の数を増加す る し かな い。 特に、 電流を増加す る と電極(2) の消耗が電流の ほぼ 2 乗で増 加す る と共に、 電源お よ び給電回路の設備費が高 く な つ て し ま う と い う 問題があ る。 ま た、 電圧を高 く す る た め に プラ ズマ を長 く す る と 、 加熱効率が低下す る 。 他方、 設備制約上、 プラ ズマの長 さ に も 限界があ る 。 こ の よ う な点か ら 、 プラ ズマ単位長さ 当 り にかか る電圧が、 で き る だけ高 く な る こ と が望ま れ る 。
さ ら に、 プラ ズマ ト ー チ (1) の構造か ら は、 電極 (2) を尖 ら せア ー ク を形成 し てい る場合に は、 電極 (2) が消 耗 し そ の先端形状が崩れる と プラ ズマ ア ー ク (6) の指向
性が失われ、 ノ ズル (3 ) に プラ ズマが飛んで ノ ズル (3 ) を焼損す る 。 ま た 、 ノ ズル (3 ) の構造 も ア ー ク の安定化 の た め に、 電極 (2 ) と の間隔を数 mm と し 、 かつ電極 (2 ) と ノ ズル (3 ) の 中心軸が一致す る よ う に調整す る こ と が 必要で あ る 。 こ の よ う に 微妙 な 構造で あ る の で、 電極 ( 2 ) の形状の変化や外部磁場に よ る プラ ズマ ア ー ク (6 ) の偏向 な どに よ っ て、 ノ ズル (3 ) の損傷を招 き 易い と い う 問題があ っ た。
[発明の開示 ]
こ の発明の 目 的 は、 エネ ルギー密度を増大 さ せた移行 式プラ ズマ ト ー チ を提供す る こ と に あ る 。
こ の発明の他の 目 的は、 加熱対象物を広範囲に加熱で き る 移行式プラ ズマ ト ー チ を提供す る こ と に あ る 。
こ の発明の他の 目 的 は、 電極の消耗を抑制 し てそ の寿 命を長 く す る こ と を可能に し た移行式プラ ズマ ト ー チ を 提供す る こ と に あ る 。
こ の発明 の他の 目 的 は、 プラ ズマ ア ー ク につ い て の高 い制御性が得 ら れ る 移行式プラ ズマ ト ー チ を提供す る こ と に あ 。
更に、 こ の発明の他の 目 的は、 プラ ズマ ト ー チ の小型 化及び運転費の低減を可能に し た移行式プラ ズマ ト ー チ を提供す る こ と に あ る。
こ の発明の一つ の態様に従え ば移行式プラ ズマ ト ー チ は、 プラ ズマ の本来持 っ てい る磁気不安定性を利用 し 、
プラ ズマ ア ー ク を流体的に不安定に し 问 ¾S 旋回 させ かつ ブラ ズマ ト ー チ の電極か ら放射状に発生さ せ る 。 こ れに よ り 、 従来の安定な プラ ズマァ — ク に比べ、 印加電 圧が増加す る と と も に加熱面積が広がる 。
第 2 図 に示す よ う に、 プラ ズマ柱 (P) は一旦曲が り を 生 じ る と 、 凹側でブラ ズマ電流の作る磁場が強 く な る一 方、 凸側で は弱ま り 、 こ の た め磁気圧 に よ っ てプラ ズマ 柱 (P) の 曲が り が さ ら に助長 さ れ る o こ の よ う な プラ ズ マ柱 (P) の磁気的不安定性はキ ン ク 不安定と 呼ばれてい る 。 こ の時の一方の端を固定端 と し他方の端を 自 由端 と す る と 、 他方の端が前述の磁場の生 じ る電磁力 F に よ り 振 ら れ る。 図では二次元で説明 し たが、 三次元空間で は 同様の磁気不安定に よ り 電極軸の周 り 方向 ( 0 方向) の 電磁力 F が発生 し ブラ ズマ柱 (P) は旋回運動を起 こ す。
キ ン ク 不安定に よ る変形力 は、 次の (1) 式で表 さ れ る
I 2 λ
0
F d 1 og … (1)
4 π R R c こ こ で、 F d は単位長さ 当た り の変形力、 Q は真空 中の透磁率、 I は電流、 λ は乱れの波長、 R は変形の 曲 率半径、 R c はプラ ズマ柱 (Ρ) の半径であ る 。 一方、 こ れを矯正する に はプラ ズマ柱 (P) の軸方向の流速を上げ て、 (2) 式で表さ れ る矯正力を必要 とす る 。
F c ( I / R ) P V 2 d S … (2)
こ こ で、 F c は単位長 さ 当 た り の矯正力、 p は プラ ズ マ の密度、 V は プラ ズマ ア ー ク の軸方向の速度、 S は プ ラ ズマ柱 (P ) の断面積であ る 。
従来の プラ ズマ ト ー チ (1 ) は矯正力 F c を強め る た め 軸方向の速度 V を大 き く し てい る。 こ れに対 し本発明 は F d > F c と な る よ う に し て プラ ズマ ア ー ク に磁気的不 安定 ( キ ン ク 不安定) を引 き起 こ す。 さ ら に放射状の プ ラ ズマ ア ー ク を発生 さ せ る た め に、 プラ ズマ ト ー チ側の プラ ズマ の端部が固定端 と な る よ う 、 安定な 陰極点を形 成す る 熱電子放出型陰極を用 い る 。 熱電子放出型陰極材 の代表的な も の は タ ン グ ス テ ン や カ ー ボ ンが挙げ ら れ る 。 ま た、 溶鋼な どは陽極 と し た場合に は 自 由端 と な る ので、 プラ ズマ ア ー ク はキ ン ク 不安定に よ っ て溶鋼表面を高速 に動 き廻 る こ と 力 で き る 。
以上の よ う に本発明 に よ る プラ ズマ ト ー チで は、 熱電 子放出型陰極を用 い、 変形力 と 矯正力 と を
F d > F c に選んで軸方向の プラ ズマ作動ガス の速度を 低下 さ せ、 0 方向の運動を生ず る よ う に し てい る 。 こ れ に よ り プラ ズマ ア ー ク は 0 方向 に高速に旋回 し 、 かつ陰 極よ り 放射状 に広が っ た も の と な る 。
従来の安定な プラ ズマ ア ー ク (6 ) と本発明 に よ る 不安 定な プラ ズマ ア ー ク (1 8 )の形状を第 3 a 図及び第 3 b 図 に 比較 し て示す。 両 図 か ら わ か る よ う に、 加熱対象物 ( 1 5 )上の プラ ズマ ア ー ク (1 6 )の広力《 り は従来の プラ ズマ ア ー ク (6 ) よ り 1 0倍以上に大 き く な つ てお り 、 大面積加
熱が可能にな っ てい る。 ま た、 第 4 図に は、 プラズマ ト — チ (1) 及び (11)と加熱対象物 (5) 及び (15)と の 間隔
( L ) を変え た場合の、 プラ ズマ ア ー ク (6) 及び(16)に 印加 さ れる 電圧 ( V ) の変化を示す。 安定な プラ ズマ ァ ー ク (6) の時の ( V I ) に比べ 1.5 〜 2倍の電圧 ( V II) が印加 さ れてい る こ とがわ力、 る。 こ れは、 一つ はプラ ズ マ ア ー ク (16)が捩れ曲が っ てい る た め実質的な経路が長 い こ と 、 さ ら に、 高速に旋回運動 し てい る た め プラ ズマ ア ー ク (16)か ら の放熱が増加す る た め に、 こ れに平衝す る よ う に投入エネ ルギが増加 してい る こ とが原因であ る。 し たが っ て従来の プラ ズマ ト ー チ に比べ、 同 じ距離 ( L ) であ り なが ら 1.5 〜 2倍の投入電力 ( V II) が得 られェ ネ ルギー密度の 向上 と 大容量化が達成で き る。
更に、 加熱対象物 (15)は広い範囲で、 し か も均一に効 率よ く 加熱 さ れてい る の で、 従来の局所加熱に よ る蒸発 が多力、 つ た も の が減少 し 、 歩留 り が良 く な る と共に、 加 熱効率が向上す る。 ま た、 電極の先端形状が尖頭状にな つ て い る 必要がな い ので形状が変 っ て も 、 プラ ズマ ァ — ク 力《ノ ズルに飛ぶよ う な こ とがな く 、 電極の寿命が長 く な る 。 ま た、 電極の先端形状や ノ ズルと のギャ ッ プに対 す る 管理が容易であ る 。
ま た、 こ の本発明の他の態様に従えば、 移行式プラ ズ マ ト ー チ はプラ ズマ作動ガス を旋回流と し て ノ ズル と電 極間に流す こ と によ り プラ ズマ ジ ッ ッ ト の軸方向の速度 を低減 し てい る。 こ れに よ り F d の大き さ を増大さ せて
い る
ま た、 こ の発明 の他の態様に従え ば、 移行式プラ ズマ ト ー チ は、 陰極を シー ル し て酸化消耗を抑制す る ガス の 流れ と 、 プラ ズマ ア ー ク を高速旋回 さ せ る ガス の流れと の 2 つ の ガス流を組み合わせている。 こ の た め 、 移行式 プラ ズマ ト ー チ は電極の周 り に シ ー ルガス を軸方向 に流 し 、 更に例え ばそ の外側に半径方向の流れの成分を含ん だブラ ズマ作動ガス を供給す る 供耠ノ ズルを備え てい る 電極の周 り に は シ ー ルガスが軸方向 に流れ、 そ の外側 に半径方向の流れの成分を含ん だプラ ズマ作動ガスが供 給 ノ ズル力、 ら吹き 出 さ れ る 。 こ の結果、 電極力 シ 一 ルガ ス の ガス カ ー テ ンで囲ま れて シ ー ル さ れなが ら 、 外側の 供給ノ ズルか ら 吹 き 出 さ れた プラ ズマ作動ガス に よ っ て 電極か ら 離れ る に し たが っ て旋回半径が拡大 さ れ る よ う な高速旋回す る プラ ズマ ア ー ク が形成 さ れ る 。 こ の た め . 発生電圧が大 き く 加熱面積を拡大 さ せ る に も かかわ ら ず , 電極の酸化消耗を少な く す る こ と がで き る 。
ま た、 こ の発明の他の態様に従え ば、 移行式プラ ズマ ト ー チ は ノ ズルに プラ ズマ ア ー ク を制御す る た めの電磁 コ ィ ノレを備え て い る。 電磁 コ イ ル と し て例え ばノ ズルの 軸方向 に 直流磁界を発生 さ せ る 電磁 コ イ ルを装着 し 、 プ ラ ズマ ア ー ク の偏向を抑制す る と 共に電磁力 に よ る 回転 力を発生 さ せ、 こ の プラ ズマ ア ー ク が旋回 し て加熱対象 物に 向 っ て広力《 る よ う に し てい る 。
プラ ズマ ア ー ク の 内部 に は陽極か ら 陰極に向か っ て電
流が流れてい る 。 電磁コ イ ルに直流電流を流す こ と に よ り 、 一方の コ ィ ル端か ら 出て他方の コ ィ ル端に入 る磁束 の 直流磁界が発生 し 、 こ の直流磁界はプラ ズマ ア ー ク の 電流 と 鎖交す る 。 こ の結果、 プラ ズマ ア ー ク の軸を中心 に回転す る方向に電磁力が発生 し、 プラ ズマア ー ク が回 転す る 。 印加 し てい る 外部磁場を弱め る と 、 プラ ズマ作 動ガス の軸方向の流れに よ っ て矯正力が働 き旋回プラ ズ マ力、 ら安定 し た直線状の プラ ズマ に移 る 。 こ の よ う に し て、 外部磁場の強弱を調節す る こ と に よ っ て、 旋回ブラ ズマ と 安定プラ ズマ の切換えや旋回速度等を制御す る こ と がで き る 。
ま た、 こ の発明 の他の態様に従えば、 移行式プラ ズマ ト ー チ は、 ノ ズルの外側又は本体内にそ の軸方向 に交流 磁界を発生 さ せる電磁コ イ ルを装着 し、 プラ ズマ ア ー ク の偏向を抑制す る と 共に電磁力 に よ る 回転力 を発生さ せ、 こ の プラ ズマ ア ー ク が旋回 して加熱対象物に向か っ て広 がる よ う に し てい る 。 そ し て、 交流磁界の周波数を 0 . 5 - 8 0 0 H z の範囲に設定 してい る 。
こ の移行プラ ズマ ト ー チ においてはプラ ズマ ア ー ク を 旋回す る のではな く 、 反転あ る い は振動 さ せ る こ と に よ り 中心部分が負圧に な る こ と を防止 し てい る 。 即ち 、 プ ラ ズマ柱に外部よ り 交流磁場を印加 し 、 プラ ズマ柱を流 れ る電流と の鎖交に よ っ てプラ ズマ柱内 に ト ー チ軸を中 心に交流磁場に等 し い周期で反転す る電磁力を形成 さ せ、 プラ ズマ 自 身を反転 さ せ、 磁気的不安定性を引 き起 こ し 、
かつ プラ ズマ柱内 に圧力の低い部分が生 じ な い よ う に し て い る 。
交流磁場 は ト ー チ の周 囲 に コ イ ルを巻 き 、 交流電流を 流す こ と に よ って発生 し 、 プラ ズマ柱内電流 と 鎖交 さ せ る 。 電.磁力の大 き さ 及び周期はそれぞれ、 コ イ ル電流の 大 き さ 、 周波数を調整す る こ と に よ っ て操作す る こ と が で き る 。
一般に コ イ ル電流が小 さ い と 安定な プラ ズマが形成さ れ、 コ イ ル電流を増すにつれて電磁力 に よ る 反転を開始 し 、 流体的 に不安定な プラ ズマ、 即 ち広力 り の大 き な発 生電圧の高い プラ ズマが形成 さ れ る 。 ま た、 周波数を変 ィ匕 さ せ る こ と に よ っ てプラ ズマ を変化 さ せ る こ と も可能 で、 特に、 外気の巻 き込みを防止 し、 効率 よ く 発生電力 の高い、 広力 り の大 き な プラ ズマ を発生 さ せ る た め に は、
0 . 5 〜 3 0 0 H z の範囲内で運転する と 効果が大 き い。 最適 な周波数は コ イ ル電流に よ っ て異な る ので、 コ イ ル の消 費電力が小 さ く な る よ う に、 コ イ ル電流 と 周波数をバラ ン ス よ ぐ調節す る こ と に よ り 決定さ れ る 。
ま た、 こ の発明の他の態様に従え ば、 移行式プラ ズマ ト ー チ は、 プラ ズマ柱に回転磁界を印加す る電磁 コ イ ル を傭え て い る 。 こ の電磁コ ィ ノレは、 ノ ズルの外周 り に例 え ば誘導機内の 固定子巻線の如 き コ イ ルの組を設置す る 。 こ の コ イ ルの組に電流を流す こ と に よ っ て、 回転磁界を 得る 。 こ の 回転磁界は、 前記プラ ズマ電流 と 略直交す る よ う に鎖交 し 、 プラ ズマ柱を曲 げ る 方向の電磁力を生ぜ
し め る 。 こ の電磁力 は、 回転磁界が時間 と と も に変化す る 為め、 プラ ズマ柱の軸を中心に 回転 し つつ働 く 、 プラ ズマ柱は、 軸対称形か ら僅かで もずれる と 、 それ自 体の キ ン ク 不安定性 と上記電磁力 と の重畳効果に よ り 、 流体 的 に不安定な状態と な る 。
こ の よ う な流体的 に不安定な プラ ズマ は、 コ イ ル電流 及び周波数の調節に よ り 、 そ の形状及び発生電圧がいか よ う に も変化する。 こ の性質を利用すれば、 第 3 a 図に 示すよ う な安定プラ ズマ状態か ら 、 第 3 b 図に示すよ う な流体的に不安定な プラ ズマ状態、 即ち プラ ズマ ア ー ク が高速に旋回 し かつ加熱対象物に向か っ て放射状に広が つ た状態に ま で運転条件に応 じ た制御が可能に な る 。 ト ー チ軸 に対 し て軸対称形の旋回プラ ズマ にす る こ と も容 易であ る。 しか も 、 プラ ズマ作動ガス を少な く 一定に保 つ た運転が実現でき る 。
ま た、 回転磁界はプラ ズマ電流に略直交す る よ う に作 用す る ので、 コ イ ル電流が小 さ く て も或い は コ イ ルの巻 数が少な く と も十分に プラ ズマ柱の流体的不安定化に資 す る こ と ができ る。
つ ま り 、 電磁力の形成効率が向上 し、 磁気発生部の小 型化ひい て はプラ ズマ ト ー チ の小型化が可能 と な る 。 そ し て、 消費電力の低下に よ り 、 総合熱効率の 向上、 周辺 設備の大型化防止、 或は設置箇所等の物理的問題の解消 が可能と な り 、 ひいては経済性の向上が可能 と な る 。
更に、 こ の発明の他の態様に従え ば、 移行式プラ ズマ
ト ー チ は、 電磁 コ イ ルの内側及び外側の少な く と も一方 に磁性材料製部材を配置 し て、 磁界がプラ ズマ柱に効果 的 に鎖交す る よ う.に し てお り 、 ま た、 陰極先端を こ の磁 性材料製部材よ り 後退 し た位置 に配置 し て、 陰極点の磁 場に よ る 影響を軽減 さ せ る よ う に し た。
電磁 コ ィ ルに磁性材料製部材を配置す る と ノ ズルの先 端部の磁界が強め ら れ、 プラ ズマ電流 と鎖交す る 磁束数 が増加す る 。 即ち 、 磁性材料製部材を配置す る こ と に よ り コ イ ルの巻数及びコ イ ル電流を大幅に減 ら す こ と が可 能 に な る 。
ま た、 陰極点を磁性材料製部材よ り 後退 し た位置に設 置す る と 安定 し た陰極点が形成 さ れ、 陰極付近の プラ ズ マ柱 も 安定 し て形成 さ れ る た め、 外気を巻 き込み に く く 陰極の酸化防止に も有効であ る。
[図面の簡単な説明 ]
第 1 図は従来の プラ ズマ ト ー チ の構成図であ る 。
第 2 図はキ ン ク 不安定の原理図であ る 。
第 3 a 図及び第 3 b 図 は プラ ズマ ア ー ク の挙動 · 形状 の説明図であ る 。
第 4 図は プ ラ ズマ の電気特性を示す線図であ る。
第 5 図は こ の発明 の一実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ の構成図であ る 。
第 6 図 は他の実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ の要部の 構成図であ る 。
第 7 図は第 5 図の移行式プラ ズマ ト ー チ の絶縁スぺー ザの構成図でめ る 。
第 8図は絶縁スぺー サの他の例を示す構成図であ る。 第 9 図 は こ の発明の他の実施例の移行式プズマ ト ー チ の構成図であ る O
第 10図は第 9 図の移行式プラ ズマ ト ー チ の絶緣スぺ一 ザの構成図でめ 0
第 11図、 第 12A 図及び第 12B 図はそれぞれ こ の発明の 他の実施例の移行式プラ ズマ ト ー チの要部の構成図であ O
第 1 S図 は こ の発明の他の実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ の構成図でめ る 。
第 14a 図及び第 14b 図 は安定プラ ズマ と 旋回プラ ズマ の説明図であ る o
第 15図 は こ の発明の他の実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ の構成図でめ る 。
第 16a 図及び第 16b 図は鉄製の導管がな い場合及びあ る場合の コ ィ ルに よ る 磁界の コ イ ル軸上にお け る 磁界分 布図であ る。
第 17図は こ の発明の他の実施例に係 る移行式プラ ズマ ト ー チ の構成図であ る 。
第 18a 図及び第 18b 図 は第 17図の移行式プラ ズマ ト ー チ の動作説明図であ る 。
第 19図 は こ の発明 の他の実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ の構成図で る o
第 20図 は こ の発明の一実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ の構成図であ る 。
第 21図は こ の第 20図の実施例に おけ る 回転磁界発生用 の コ ィ ルの組の配置を示す平面断面図であ る 。
第 22a 図及び第 22b 図並びに第 23a 図及び第 23b 図 は それぞれ回転磁界発生部の配置 と それに対応す る 回転磁 界の発生方法の具体例を示す図であ る 。
[発明 を実施す る た めの最良の形態 ] 第 5 図及第 6 図 に示 さ れる 実施例の移行式プラ ズマ ト 一チ は第 1 図の従来装置 と 構成が幾分異な り 、 作用及び 効果 も相違す る ので、 各構成素子に 1 位を共通に し て 10 位に 1 を付加 し た 2 桁の符号が付さ れて い る 。 こ れ ら の 実施例 に は、 1 K Aの移行式プラ ズマ ト ー チ ( 11 )が示 さ れ て い る 。
第 5 図及び第 6 図 に示 さ れ る 実施例の電極 (12)の材料 は、 熱電子放出型陰極の 1 つであ る タ ン グ ス テ ン が用 い ら れてい る 。 電極 (12)の直径は 20ra と し 、 先端を半球状 に し てプラ ズマ の磁気ボ ン プ効果に よ る ア ー ク の形成を 弱めてい る 。 第 6 図では電極 (12)はそ の 直径を それよ り やや小さ く し て、 断面蒲鋅状に形成 して い る 。 ま た、 ノ ズル (13)は従来の安定の プラ ズマ ア ー ク (8) を形成 さ せ る プラ ズマ ト ー チ (1) に見 ら れ る よ う に、 プラ ズマ作動 ガス (4) を収束 さ せ軸方向の速度を上げ る 構造で は な い o こ の ノ ズル ( 13 )の主 な 目 的 は、 夕 ン グス テ ン の電極 ( 12 )
を酸化消耗か ら保護す る た め に、 不活性ガス の アルゴ ン が電極 ( 12 )の 周 囲 を 包む こ と に あ る 。 こ の た め、 電極 ( 12 )の先端 と ノ ズル ( 13 )と の 間隔は、 広 く な っ て い る 。 そ し て、 電極 (12)の先端 と ノ ズル (13)と の間 に流すブラ ズマ作動ガス (14)を 20〜 /rain の流量で供給 し なが ら 、 プラ ズマ ト ー チ (11)の軸を中心に 円周方向 ( 6 方向) に旋回 さ せてい る 。
プラ ズマ作動ガス (14)をプラ ズマ ト ー チ (11)の軸を中 心に旋回 させ る た め に、 絶縁スぺー サ ( 20 )は第 7 図に示 すよ う にガス を通過 さ せ る孔 (20a) を図示の よ う に ブラ ズマ ト ― チ (11)の軸に対 し てス キ ュ ー さ せてい る 。 こ の よ う に孔 (17a) をス キ ュ ー さ せ る こ と に よ り ガス流を斜 め に導い て、 プラ ズマ作動ガス (14)に旋回動作を与えて い る 。 プラ ズマ作動ガス (14)を旋回動作を与え る に は、 他の構成で も よ く 例えば第 8 図に示すよ う に、 プラ ズマ 作動ガス (14)を絶縁スぺーサ (20)のへ ッ ダー (2 Ob) に直 接供給 し、 それか ら スキ ュ ー さ れた孔(20a) に導 く よ う に し て も良い。
以上の よ う に し て、 プラ ズマ ト ー チ (11)の軸方向の プ ラ ズマ ア ー ク (16)の速度成分を抑制す る 一方、 プラ ズマ 作動ガス (14)に 0 方向の速度成分を与え、 プラ ズマ ァ ー グ (16)の磁気的な不安定を引 き 起 こ し 、 高速に旋回す る プラ ズマ ア ー ク (16)を形成 さ せてい る 。 ま た、 陰極を構 成す る 電極 (12)に熱電子放出型陰極を用 い る こ と によ り 、 陰極点が安定に形成 さ れ、 こ の結果、 加熱対象物 (15)に
向 け て放射状に広が っ た プラ ズマ ア ー ク (16)を発生 さ せ る こ と がで き た。
ま た、 電極(12)の先端と ノ ズル(13)と の間隔が開い て い る た め、 プラ ズマ ア ー ク ( 16 )が不安定であ っ て も 、 プ ラ ズマ ア ー ク ( 18 )力 ノ ズル ( 13 )に飛ぶ こ と も な か つ た。
そ し て、 こ の プラ ズマ ト ー チ (11)に よ っ て発生 さ れた ブラ ズマ アー ク ( 16 )の加熱対象物 ( 15 )への広が り は、 プ ラ ズマ ト ー チ ( 11 )の高 さ が 200 mmの時に約 200 mm ø と 広 く 、 ま た従来の安定な プラ ズマ ア ー ク (6) では 170 V し か電圧が印加 さ れなか っ た の に対 し 、 300 V以上に増加 し た。 ま た、 プラ ズマ ア ー ク (16)は流体的に は不安定で あ る が、 電圧変動は小 さ く 実用上問題 に はな ら な い こ と が確認で き た。
な お、 上述の実施例で は電極 (12)に タ ン グス テ ン を用 い た場合につ い て説明 し たが、 カ ー ボ ン の よ う な熱電子 放出型陰極を利用す る よ う に し て も良い。
第 9 図に示 さ れ る 実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ に お い て は、 絶縁スぺ一 サ ( 22 )の孔 ( 22 a) は第 10図 に示 さ れ る よ う に プラ ズマ ト ー チ (11)の軸 に平行であ り 、 プラ ズ マ作動ガス (4) は旋回 さ せた り 障害物で乱れを起 こ さ ず、 従来の も の と 同様に、 プラ ズマ ト ー チ ( 1 ) の軸方向 に流 さ れ る 。 更に こ の実施例に お いては、 ノ ズル ( 13 )の先端 付近に更に旋回用 の も う 1 つ の ノ ズル (24)が取 り 付け ら れて い る。 外側の ノ ズル (24)は環状に作 られ、 噴出 ロ カ 円周方向で下に 向か っ て内側に傾斜 し ていて、 噴出流が
電極 (12)か ら やや離れた位置で交差 し てい る 。 そ し て、 半径方向の流れの成分を含んだプラ ズマ作動ガス (14)が、 こ の ノ ズル (24)力、 ら吹き 出 さ れる よ う に な っ てい る。
こ の よ う な構成の移行式プラ ズマ ト ー チ (11)において は、 電極 (12〉の先端 と加熱対象物 と の間 に プラ ズマァ ー ク (16)が発生するが、 ノ ズル (24)が塞がれた状態ではプ ラ ズマ作動ガス (14)に よ つ て、 電極 (12)の近傍では強い 軸方向の指向性を持 っ た直線状の安定な プラ ズマ ア ー ク が形成 さ れ る (第 3 a 図図参照) 。
しか し な力《 ら 、 半径方向の流れの成分を含んだプラ ズ マ作動ガス (14)が外側の ノ ズル (24)か ら吹き 出 さ れ る と 、 ノ ズル (24)か ら吹き 出 される旋回ガス の流れが交差位置 付近で、 プラ ズマ ア ー ク (16)に 当た っ て、 そ の磁気的な 不安定性が助長 さ れる。 こ の結果、 こ の付近力、 ら プラ ズ マア ー ク (16)の軸を中心に回転す る方向の旋回流が発生 し て旋回プラ ズマが形成 さ れ る。 こ の と き の状態は、 第 3 b 図 と 同様に な る 。 即ち、 電極 (12)の近 く では周 り を 囲んだ柱状で、 電極 (12)か ら離れる に し たが っ て旋回半 径が拡が る プラ ズマ ア ー ク (16)が生成さ れる 。
こ の よ う に、 ノ ズル (13)か ら電極(12)の周 り を囲んで プラ ズマ作動ガス (14)を流す こ と に よ っ て円筒状の ガス カ ー テ ン がで き 、 電極 (12)が旋回す る プラ ズマ ア ー ク (16)か ら遮蔽 さ れ る。 よ っ て、 譬え旋回す る プラ ズマ ァ ー ク (16)が大気中の酸素を巻 き込んで も 、 電極 (12)の酸 化が発生せずその消耗を抑制す る こ と ができ る 。
第 11図に示 さ れ る 実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ は、 第 9 図で示 し た環状の ノ ズル (24)の代 り に、 先端を半径 方向 に曲 げた 1 本ま た は複数の簡便な チ ュ ー ブでプラ ズ マの乱れを生 じ さ せ る ノ ズル (28)を備え てい る 。
ま た、 第 12A 図及び第 12B 図に示 さ れ る 実施例の移行 式ブラ ズマ ト ー チでは、 電極 ( 12 )の外径 と ノ ズル ( 13 )の 内径 と の 中間の外径を有す る 円筒状の整流器 (28)が、 電 極 (12)の近傍の ブラ ズマ作動ガス (14)の流路に設け ら れ てい る 。 そ し て、 第 7 図に示 さ れた よ う な ス キ ュ ー形式 の絶縁スぺ一 サ ( 20 )に よ り 旋回 し て ノ ズル ( 13 )か ら 流れ る プラ ズマ作動ガス (14)の一部が、 整流器 (28)で整流 さ れて電極 (12)の周 り を囲んで吹 き 出 さ れ る 。 そ し て、 整 流器 (28)で整流 さ れた軸方向の ブラ ズマ作動ガス (14)の 流れが電極 (12)を包囲 し 、 電極 (12)か ら 離れた位置で下 方に 向か っ て拡カ《 る プラ ズマ ア ー ク (16)が形成 さ れ る。
第 13図に示 さ れ る 実施例の移行式プラ ズマ ト ーチ に お いて は、 陰極 (12)の先端付近に磁場が形成 さ れ る よ う に、 ノ ズル ( 13 )の先端に コ イ ル( 30 )を取 り 付け る と 共に、 こ の コ ィ ル (30 )を直流励磁す る コ ィ ル電源 ( 32 )を設けて い る 。
こ の実施例に お い て は、 陰極 (12)の先端 と 加熱対象物 と の間に プラ ズマ ア ー ク (16)が発生す る が、 コ イ ル (30) が非励磁の状態では プラ ズマ作動ガス (14)に よ っ て、 陰 極 (12)の近傍で は強い軸方向 の指向性を持つ た安定な プ ラ ズマ ア ー ク が形成 さ れる (第 3 a 図参照) 。
一方、 プラ ズマア ー ク ( 16 )の 内部に は、 第 14a 図に示 すよ う に、 加熱対象物 (15)か ら 陰極 (12)に 向かっ て電流 が流れてい る。 こ こ で ノ ズル ( 13 )の外周 に巻い た コ イ ル (30)に直流電流 J を流すと 、 プラ ズマア ー ク (16)内の電 流に 直流磁場 B の磁束が鎖交する 。 こ の結果、 プラ ズマ ア ー ク (16)内 に電磁力 Fが発生す る。
F = J X B
な る 電磁力 F は、 プラ ズマ ア ー ク (16)の軸を中心に回転 す る方向 に発生 し、 第 14b 図矢印の よ う に プラ ズマ ァ ー ク ( 16 )の本体が回転を始め る 。 そ して、 電流路が軸対称 形よ り 僮か にずれ る と 、 キ ン ク 不安定性並びに外部磁場 B と プラ ズマ ア ー ク の電流と の鎖交に よ る電磁力 Fが重 畳 し て旋回プラ ズマが形成 さ れる 。 こ の と き の状態は第 3 b 図 と 同様な状態に な る 。
ま た、 印加 し てい る 外部磁場を弱め る と 、 プラ ズマ作 動ガス の軸方向の流れに よ っ て軸方向 に安定 し た プラ ズ マ ア ー ク を形成 し ょ う と す る 矯正力が働いて、 旋回ブラ ズマか ら再び安定 し た プラ ズマ に移行する。
こ の よ う に 、 外部磁場の強弱を調節す る こ と に よ っ て、 プラ ズマ作動ガス の流量や流 し方を変更す る こ と な く 、 旋回プラ ズマ と安定プラ ズマの切換え や旋回速度等を制 御す る こ と がで き る 。
因み に、 陰極 (12)の直径を 2ひ mmに して、 プラ ズマ作動 ガス (14)の流量を 30 / min に設定 し た。 ま た、 コ イ ル (30)の卷数を 300 回、 プラ ズマ電流を D C 900A に選定
し て、 陽極に カ ー ボ ン ブ ロ ッ ク を用 いて、 こ の陽極 (図 示せず) と 陰極 ( 12)と の間隔を 100 〜 200 鲫の範囲 に し て、 実験的に プラ ズマを発生 さ せた。
こ の結果、 コ イ ル (30)の励磁電流が D C 3A以下では、 ス ト レ 一 卜 で安定 な プ ラ ズ マ ア ー ク ( 16 )が形成 さ れ、 D C 4A 以上にす る と 陰極 (12)の近 く か ら 陽極に向か つ て広が り 高速に旋回す る プラ ズマ ア ー ク が形成 さ れた。 ま た 、 電極間隔を 200 mmに し た と き の発生電圧が、 安定 プラ ズマ時に 180 V であ っ た も のが、 旋回プラ ズマで は 340 V に上昇 し た。 ま た、 コ イ ル (30)の励磁電流が D C 3 〜 4 A の間では、 プラ ズマ ア ー ク (16)の下流 (陽極側) の みが広が り 、 旋回の弱い プラ ズマ ア ー ク も形成 さ れた。 こ の よ う に、 連続的 に変化す る コ イ ル ( 30 )の励磁電流を 利用 し て、 旋回プラ ズマ を 自 由 に、 しか も再現性良 く 制 御す る こ とがで き た。 更に、 給電回路等が作 る 外部磁場 に よ る プラ ズマ ア ー ク の偏向が抑制 さ れ る こ と も分か つ な お 、 上述 の 実施例で は ノ ズ ル ( 13 )の外側 に コ イ ル (30)を巻い た場合につ い て説明 し たが、 ノ ズ ル (13)の本 体内 に組み込んで も良い。 ま た、 コ イ ル (30)の取付け位 置 も 陰極 (12)の先端か ら外れて も良 く 、 コ イ ル (30)で作 ら れ る 磁場がプラ ズマ ( 16 )に鎮交で き る 位置に設け た も の であれば良 く 、 陰極 (12)の形状 も 図示の よ う に半球状 であ る 必要 も な い。 要す る に、 ト ー チ軸を中心に配置 し た コ ィ ノレ ( 30 )に よ る 磁束を軸方向 に放射 さ れ る プラ ズマ
アー ク に鎖交さ せ る も の であれば良 く 、 磁場の強さ は電 極の形状, ガス量及びノ ズルの形状等に基づ く プラ ズマ ア ー ク の軸方向 に発生する 矯正力に打ち勝つ電磁力を生 じ る も の であれば良い。
第 15図に示 さ れ る 実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ は、 第 13図の実施例 と の関係では、 ノ ズル ( 1 S )と コ イ ル ( 30 ) と の 間に鉄製の導管 (34)を介在させ、 陰極 (12)の先端を ノ ズル (13)の先端よ り 後退 さ せた点が相違す る 。
上述の第 13図の実施例 と 同様に、 ノ ズル (13)の外周 に 巻いた コ イ ル (30)に電流を流す と 、 磁場 Bがプラ ズマ電 流 と 鎖交 し、 こ の結果、 電磁力 Fが発生す る 。
F = J X B
こ の電磁力 は プラ ズマ柱が ト ーチ軸を中心に旋回する よ う に機能 し、 こ の電磁力 に よ り プラ ズマ柱が変形す る と 、 電流自身の磁気圧に よ っ て形成 さ れる キ ン ク 不安定 性な ら びに磁場 と プラ ズマ電流に よ り 形成 さ れ る 電磁力 が重畳され、 流体的 に不安定な プラ ズマが形成 される 。
そ し て、 コ イ ル( 30 )の 内側に設置 さ れた磁性材料製部 材であ る導管(34)は コ イ ル (30)に電流を流す こ と に よ り 磁化 され、 導管 (34)の作る 磁束は コ イ ル (30)の磁界を乱 す。 こ の点を更に詳細 に説明す る 。
導管 (34)がな い と き の コ イ ル (30)の磁界分布は第 16b 図 に示 し た特性図の よ う に な り 、 導管(S4)があ る と き の コ イ ル (30)の磁界分布は第 16b 図に示 し た特性図のよ う にな る 。 導管 (S4)力 存在 し な い コ イ ル (30)に電流を流 し
た時は軸上の端点に比べて中央部に生 じ る 磁界の方が大 き く な る が、 コ ィ ル (30)の 内側に導管 (34)が存在す る 場 合に は、 導管 (34)の 内側に は コ ィ ノレ (30)に よ る磁界を打 ち消す方向 に磁界が生 じ る た め、 軸上の端部の方が コ ィ ル ( 30 )の 中心部よ り も磁界が大き く な る 。
従 っ て、 導管 (34)を配置 し た コ イ ル (30)は導管 (34)の な い コ ィ ルに比べて ノ ズル ( 13 )の先端部の磁界が強め ら れ、 プラ ズマ電流 と 鎖交す る 磁束数が増加す る 。 こ の た め、 導管 (34)即 ち磁性材料製部材を配置す る こ と に よ り コ イ ル (30)の巻数及び コ イ ル電流を大幅に減 ら す こ とが 可能に な る 。
ま た、 導管 (34)を コ イ ル (30)の 内側に設置 し た場合に は、 第 16b 図 に も 示すよ う に、 コ イ ル (30)の外側に比べ て磁界が非常に小 さ く な り 、 陰極点が導管 (34)の 内側に あ る 場合 に は安定 し た陰極点が形成さ れ、 陰極付近の プ ラ ズマ柱 も安定 し て形成 さ れ る た め、 外気を巻 き込み に く く 陰極の酸化防止に も有効であ る 。
こ の実施例に おい てそ の動作を以下の とお り 確認す る こ と がで き た。 導管 (34)は厚 さ 2 mm、 長さ 100 删 、 内径 45 maであ り 、 陰極 (12)の先端は ノ ズル (13)の先端よ り 10 咖後退 さ せてい る 。 そ し て コ イ ルの卷数を 1500回、 ト ー チ (11)の先端 と カ ー ボ ン製陽極 と の間隔を lOOmni 、 ブラ ズ マ 電流を D C 900 A 、 プ ラ ズマ作動ガス (14)を流量 100 Q /m inと し てプラ ズマ ア ー ク (16)を発生 さ せた。 先 ず、 コ イ ル ( 30 )に電流を流 さ な い状態では安定な プラ ズ
マが形成 さ れ、 発生電圧は 101 V、 投入電力 は 91 K Wで
—め つ o
次いで、 コ イ ル ( 30 )に電流を流 し て コ イ ル電流を徐々 に上げてい っ た と こ ろ 、 D C 0.3 A で陰極 ( 12 )か ら 陽極 へ向 っ て (従っ て、 加熱対象 ( 15 )に向 っ て) 広が る よ う にプラ ズマが乱れ る のが観察さ れた。 プラ ズマ柱は ノ ズ ル(13)の先端か ら約 10mm陽極側で広が り 始めたが、 陰極 点近傍は常 に安定 し てい た。 こ の時の発生電圧は 185 V 、 投入電力 は 167 K Wであ っ た。 約 2 時間の運転後、 陰極 (12)の表面を観察 し た と こ ろ 、 酸化は確認さ れなか っ た。
次に、 ノ ズル (13)の外側の鉄製の導管 (34)の材質を S U S 3 0 4 (非磁性材料製部材) と取 り 替えて同様の試 験を行 っ た。 安定な プラ ズマ を形成 し た後、 コ イ ル (SO) に電流を流 して コ イ ル電流を徐々 に増加 し てい っ た と こ ろ 、 D C 1.5Aで陰極 (12)か ら 陽極へ向 っ て広が る よ う に プラ ズマが乱れる のが観察さ れた、 こ の時の発生電圧 は 187V 、 投入電力 は であ っ た。 ま た、 約 2 時 間の運転後、 陰極 (12)の表面を観察 し た と こ ろ 、 先端が 激 し く 損耗 し、 黒色に酸化 し て い る のが認め ら れた。
以上の動作確認に よ り 磁性材料製部材を使用す る こ と で、 コ イ ル 0)の消費電力 は第 1 図の実施例の約 1 / 5 と な り 、 高い経済的効果と と も に、 コ イ ルを大幅に小型 化で き る こ と を確認で き た。
な お、 鉄製の導管 (30)即ち磁性材料製部材の設置位置 につ いて は ノ ズル( 13 )の外側であ る必要はな く 、 ノ ズル
( 13 )の 内部或い は内側に設置す る こ と に よ り 、 プラ ズマ 電流に鎮交す る 磁界が強め ら れ、 磁界発生部を さ ら に小 型化す る こ と がで き る 。 特に 、 外気を巻 き 込んで も 酸化 消耗の心配がな い よ う な条件下では、 陰極背面に部材を 設置す る こ と に よ り 磁界発生部の一層の小型化が可能に な る 。 磁性材料製部材は コ ィ ル (30)の外側に配置 し て も ノ ズル先端の磁界を強め る こ とがで き 、 ト ー チ の構造に 応 じ て 自 由 に設置箇所を決定す る こ と がで き る 。
第 17図 に示 さ れ る 実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ に お い て は、 電極 (12)の先端付近に交番磁界が形成 さ れ る よ う に、 ノ ズル ( 13 )の先端に コ イ ル ( 38 )を取 り 付け る と 共 に、 こ の コ イ ル (38)を交流励磁す る コ イ ル電源 (40)を設 けてい る 。
こ の実施例に お いて は、 陰極 (12)の先端 と 加熱対象物 と の間 に プラ ズマ ア ー クが発生す る が、 コ イ ル (38)が非 励磁 の 状態で は プ ラ ズ マ 作動ガ ス ( 14 )に よ っ て、 陰極 (12)の近傍では強い軸方向の指向性を持 つ た安定な ブラ ズマ ア ー ク が形成 さ れ る (第 3 a 図) 。
—方、 プラ ズマ ア ー ク (18)の 内部に は、 第 18a 図 に示 すよ う に、 加熱対象物 (15)か ら 陰極 (12)に 向か っ て電流 が流れてい る 。 こ こ でノ ズル ( 13 )の外周 に巻い た コ イ ル (30)に交流電流を流す と 、 プラ ズマ ア ー ク (16)内の電流 J に交流磁場 B の磁束が鎖交す る。 こ の結果、 プラ ズマ ア ー ク (16)内 に電磁力 F が発生する 。
F = J X B
こ の電磁力 はプラ ズマ柱軸を中心に周波数 f で時計回 り 、 反時計回 り に交互に旋回 し、 プラ ズマ柱本体が反転 を始め る 。 そ し て軸対称形よ り わずかにずれ る と 、 電流 自 身の磁気圧に よ っ て形成 さ れる 第 18b 図に示すよ う な キ ン ク 不安定性な ら びに交流磁場 と プラ ズマ電流に よ り 形成 さ れ る電磁力が重畳され、 第 3 b 図に示すよ う な反 転プラ ズマが形成さ れる。
反転プラ ズマ は、 コ イ ル電流及び周波数を調整す る こ と に よ り 、 旋回力及び反転周期を 自在に変え る こ と がで き 、 第 3 a 図に示すよ う に安定プラ ズマか ら第 3 b 図に 示す よ う な反転プラ ズマ ま で、 運転条件に応 じ た制御が プラ ズマ作動ガス を少な く 、 し か も一定に保 っ た状態で 可能にな る 。
以上の よ う な作用 に よ り 形成 された反転プラ ズマでは、 —定方向の渦が形成 されな い た め周 囲に比べて圧力の低 く な る 領域が生 じ に く く 、 外気の巻 き込みを防止でき る。
こ こ で、 上記の移行式プラ ズマ ト ー チ に おいて、 陰極 ( 12 )の直径を 20 mm に し て、 プ ラ ズマ作動ガス ( 14 )に は ァ ルゴ ン を使用 してそ の流量を 30j? /rainに設定 し た。 ま た、 コ イ ル (38)の巻数を 1500回、 プラ ズマ電流を D C 900 A に選定 して、 陽極に 力 一 ボ ン ブロ ッ ク を用 い て、 こ の陽 極 (図示せず) と 陰極 (12)と の間隔を 100 〜 200 mmの範 囲 に設定 し た。
コ イ ル (38)に電流を流さ な い状態では第 3 a 図に示す よ う に、 安定な プラ ズマが形成 さ れ、 発生電圧 は 159 V、
投入電力 は 143 K Wであ っ た。 次に コ イ ル (38)に 50Hzの 交流電流を流す と 、 第 3 b 図 に示すよ う に 、 カ ー ボ ン陽 極付近に お い て陰極か ら 陽極へ向か つ て広が る よ う に プ ラ ズマが乱れ始め る のが観察 さ れた。 プラ ズマ柱が乱れ 始め る 位置 は、 コ イ ル電流を上昇 させ る に従 っ て陰極側 へ移動 し 、 こ れに伴い発生電圧 も上昇 し た。 コ イ ル電流 A C 3.5 A 、 50Hzに お け る発生電力 は 2 4 8 V であ り 、 投 入電圧 は 2 2 3 K W に上昇 し た。
次に、 コ イ ル電流を 3 A に し た時の プラ ズマ発生電圧 の周波数依存性を調べた。 コ イ ル電流の周波数を 10 OHz にす る と 流体的乱れの小 さ な反転プラ ズマが形成 され、 発生電圧 は 185 V であ っ た。 更に、 周波数を下げて行 く と プラ ズマ の乱れが大 き く 成 り 、 35Hzは発生電圧 250 V に達 し た。
以上の よ う に、 コ イ ルの電流及び周波数を適当 に選ぶ こ と に よ り 自 由 に再現性の よ い反転プラ ズマ を形成す る こ と がで き た。 ま た、 電極表面の酸化は観察 さ れず、 電 極消耗防止上極めて有効であ る こ と が確認さ れた。
と こ ろで、 交流磁場の周波数は 0.5Hz 〜 300Hz の範囲 が適当であ る こ と が確認 さ れてい る。 0.5 Hz未满が不適 当 な の は、 周波数に よ っ ては反転速度が遅 く な り 、 外気 を巻 き込み酸化消耗の問題を生 じ る と い う 点に あ る。 ま た、 300 Hz を超え た周波数が不適当 な の は コ ィ ノレの イ ン ピ一 ダ ン ス及び渦電流が大 き ぐ な り す ぎて消費電力が大 き く なる と い う 点に あ る 。
ま た 、 上述 の 実施例で は ノ ズノレ ( 13 )の外側 に コ イ ル (30)を巻い た場合につ い て説明 し たが、 直流 コ イ ル (30) の場合と 同様に ノ ズル (13)の本体内 に組み込んで も良い ま た、 コ イ ル (38)の取付け位置 も 陰極(12)の先端か ら外 れて も良 く 、 コ イ ル ( 38 )で作 ら れる 磁場がプラ ズマ ( 16 ) に鏆交で き る 位置に設けた も のであれば良 く 、 陰極 (12) の形状 も 図示の よ う に半球状であ る必要 も な い。 要す る に、 ト 一 チ軸を中心に配置 し た コ ィ ル (38 )に よ る磁束を 軸方向 に放射 さ れ る プラ ズマ ア ー ク に鱸交さ せ る も の で あれば良 く 、 磁場の強さ は電極の形状、 ガス量及びノ ズ ルの形状等に基づ く プラ ズマ ア ー ク の軸方向 に発生す る 矯正力 に打ち勝つ電磁力を生 じ る も のであれば良い。
第 19図 に示 さ れ る実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ は、 第 17図の実施例 と の関係では、 ノ ズル(13)と コ イ ル (38) と の間 に鉄製の導管 (34)を介在 さ せ、 陰極 (12)の先端を ノ ズル (13)の先端よ り 後退 さ せた点が相違す る。
上述の実施例 と 同様に、 ノ ズル ( 13 )の外周 に巻い た コ ィ ル (38)に電流を流す と 、 磁場 Bがプラ ズマ電流 と 鎖交 し、 こ の結果、 電磁力 Fが発生す る。
F = J X B
こ の電磁力 はプラ ズマ柱が ト ー チ軸を中心に反転す る よ う に機能 し 、 こ の電磁力 に よ り プラ ズマ柱が変形す る と 、 電流 自 身の磁気圧に よ っ て形成 さ れ る キ ン ク 不安定 性な ら びに磁場 と プラ ズマ電流に よ り 形成さ れる 電磁力 が重畳さ れ、 流体的に不安定な プラ ズマが形成さ れ る 。
そ し て、 コ イ ル ( 38 )の 内側 に設置 さ れた磁性材料製部 材であ る 導管 (34)は コ イ ル (38)に電流を流す こ と に よ り 磁化 さ れ、 導管 (34)の作 る 磁束は コ イ ル (38)の磁界を乱 す。 こ の点は第 15図の実施例の場合 と 同様であ り そ の説 明 は省略す る 。
こ の実施例に お い てそ の動作を以下の と お り 確認す る こ と がで き た。 導管 (34)は厚 さ 2 、 長 さ 100 龍 、 内径 45 MIであ り 、 陰極 (12)の先端は ノ ズル (13)の先端よ り 10 腿後退 さ せて い る 。 そ し て コ イ ルの巻数を 1500回、 ト ー チ (11)の先端 と カ ー ボ ン製陽極 と の 間隔を 100 mm、 ブラ ズ マ 電流 を D C 900 A 、 プ ラ ズマ 作動ガ ス (14)を流量 100 J? /in inと し てプラ ズマ ア ー ク (16)を発生 さ せた。 先 ず、 コ イ ル ( 38 )に電流を流 さ な い状態で は安定な プラ ズ マが形成 さ れ、 発生電圧は 1 0 1 V、 投入電力 は 91 K Wで あ っ た 0
次いで、 コ イ ル ( 38 )に電流を流 し て コ イ ル電流を徐々 に上げて い つ た と こ ろ 、 A C 0.6 A , 50Hz で陰極 (12)力、 ら 陽極へ向力、 つ て (従 っ て、 加熱対象 5)に 向か つ て) 広が る よ う に プラ ズマが乱れる のが観察 さ れた。 プラ ズ マ柱は ノ ズル (13)の先端力、 ら 約 lOrani陽極側で広が り 始め たが、 陰極点近傍は常に安定 し てい た。 こ の時の発生電 圧は 1 8 5V 、 投入電力 は 1 6 7K Wであ っ た。 約 2 時間の 運転後、 陰極 (12)の表面を観察 し た と こ ろ 、 酸化は確認 さ れな 力、 つ た。
次に、 ノ ズル (13)の外側の鉄製の導管 (13)の材質を S
-SOU S 3 0 4 (非磁性材料製部材) と取 り 替えて同様の試 験を行 っ た。 安定な プラ ズマを形成 し た後、 コ イ ル (38) に電流を流 し て コ イ ル電流を徐々 に増加 し て い つ た と こ ろ 、 A C 3. OA で陰極 (12)か ら 陽極へ向かっ て広がる よ う に プラ ズマが乱れ る のが観察 さ れた、 こ の時の発生電 圧は 187 V 、 投入電力 は 168 K Wであ っ た。 ま た、 約 2 時間の運転後、 陰極 (12)の表面を観察 し た と こ ろ 、 先端 が黒色に酸化 し てい る のが認め ら れた。
以上の動作確認に よ り 磁性材料製部材を使用する こ と で、 コ イ ル (38)の消費電力 は第 17図の実施例の約 1 Z 5 と な り 、 高い経済的効果 と と も に、 コ イ ルを大幅に小型 化で き る こ と を確認で き た。 なお、 鉄製の導管 (34)即 ち磁性材料製部材の設置位置につ いて は ノ ズル(13)の外 側であ る必要はな く 、 第 15図の実施例の場合 と 同様に こ の発明の 目 的 に応 じ て適宜変更 し得 る も のであ る。
第 20図 に示さ れる 実施例の移行式プラ ズマ ト ー チ にお い ては、 ノ ズル (13)先端の 内壁に は幅 15mm、 厚ざ 1 mmの 鉄製の導管(34)が全周 に わた り 埋め込ま れてい る 。 陰極
(12)の先端は ノ ズル (13)の先端よ り 5 mm後退さ せてあ る ノ ズル ( 13 )の外側に は、 陰極 ( 12 )の先端か ら カ ー ポ ン プ ロ ッ ク 製陽極 (図示せず) へ向か っ て ト ー チ軸に対称な 回転磁界が得 ら れる よ う に、 複数組の コ イ ル(42)を誘導 機の固定子巻線の如 き構造で分布配置 してあ る 。 即 ち、 複数の コ イ ルの組を ト ー チ軸を中心に配置 し それ ら に位 相差の あ る 電流を流 し 、 プラ ズマ柱に回転磁界を印加す
る 。 こ の実施例で は、 第 21図 に示す よ う に、 三相誘導機 の 固定子巻線の如 き 構造で配置 し 、 各 コ イ ルの卷数は 30 パタ ー ンであ る 。 .な お、 上記の よ う に複数の コ イ ルの組 を配置 し て回転磁界を印加す る 場合、 そ の回転磁界は、 或 る 程度大 き な垂直磁界成分があれば本発明の 目 的を達 し得 る の で、 ト ー チ軸 に対 し て絶対的に垂直であ る 必要 は な い。 回転磁界の 回転速度は、 コ イ ル (42)と 回転磁界 発生用電源 (46)と を介す る ィ ンバ ー 夕 (44)に よ り 制御 さ れ る 。
ト ー チ ( 11 )の先端 と 力 一 ボ ン製陽極 と の 間隔を 200 mm、 プラ ズマ電流を直流 900 A 、 プラ ズマ作動ガス (14)を流 量 / rain の ァ ノレ ゴ ン ガ ス と し て、 プラ ズマ ア ー ク (16)を発生 さ せた。
先ず コ イ ル (42)に電流を流 さ な い状態では、 安定な プ ラ ズ マが形成 さ れ、 発生電圧は 152 V 、 投入電力 は 137 k Wであ っ た。
次いで コ イ ル (42 )の u , V , w端子に三相交流電流を 流 し た と こ ろ 、 陰極〈12)か ら 陽極へ向か っ て (従 っ て、 加熱対象 (15)に 向か っ て) 広が る よ う に プラ ズマが乱れ る の が観察 さ れ た 。 こ の 時 回転磁界の 回転速度 は 1500 rpin であ っ た。 ま た、 プラ ズマ柱が乱れ始め た の は ノ ズ ル (13)の先端か ら約 15mm陽極側であ り 、 そ の時の発生電 圧は 290 V、 投入電力 は 261 k Wであ っ た。 ち な み に、 陰極 (12)の先端位置を ノ ズル 3)の先端位置 と 同 じ に し た場合、 プラ ズマ柱は陰極点近傍で既に乱れ始め た。
更に、 ィ ンバー タ (44)で回転磁界の回転速度を変化 き せた と こ ろ 、 回転速度が増加す る につれて発生電圧は上 昇 し 、 逆に 回転速度が減少す る につれ発生電圧が低下す る 傾向がみ られた。 又、 コ イ ル電流を增加す る につれ発 生電圧が増加 し 、 コ イ ル電流を増加す る につれ発生電圧 が低下 し安定プラ ズマ の形状 と な っ た。
以上の実施例において、 コ イ ル電流やそ の周波数 (数 Hz〜数百 kHz ) を適当 に選択 · 制御す る こ と に よ り 、 自 在に し か も再現性良 く 流体的に不安定な プラ ズマ を形成 す る こ と がで き た。 特に、 ト ー チ軸対称性の高い広が り を有する プラ ズマ ア ー ク が得 ら れ る 。
又、 ノ ズル (13)先端の 内壁に導管 (34)を埋込んだ場合 と そ う でな い場合 と を比較 し た と こ ろ 、 100 時間運転の 後、 後者 と 異な り 前者では陰極表面の酸化は観察さ れず 電極消耗防止の効果 も あ る こ と も確認 さ れた。
回転磁界の採用 に よ り 、 コ イ ル(42)の消費電力 は約 20 W即 ち従来の半分以下 と な り 、 高い経済的効果 と と も に 回転磁界発生部を大幅に小型化で き る こ と を確認で き た な お、 コ イ ル (42)の設置位置につ いて は、 回転磁界が 常に陰極先端付近に生ずる よ う な位置であ る必要はな く プラ ズマ に磁界が鎖交 し得 る 位置であれば同様の効果が 得 ら れる こ と は言 う ま で も な い。 従 っ て、 第 22a 図及び 第 22 b 図 に示すよ う に誘導機の 固定子巻線の如 き 形状で 複数組の コ イ ルを ト ー チ先端近 く の外側に設置 し て も良 い し 、 第 23a 図及び第 2Sb 図 に示すよ う に ト ー チ先端か
ら 外側に磁束が集中す る構造の コ イ ルの組を設置 し て も 良い。 尚、 後者の場合、 プラ ズマ ト ー チ先端側のコ イ ル を陰極側に 向 けて湾曲 さ せ る か傾斜 さ せれば、 回転磁界 がプラ ズマ電流に直交す る 位置を比較的陰極近 く に近ず け る こ と がで き る 。
又、 上記実施例では、 回転磁界を得 る 為に コ イ ルの組 を ノ ズル (1 3 )の外側に配置 さ せてい る が、 ノ ズル (1 3 )本 体內 に組み込んで も 同様の効果が得 ら れ る 。