JPWO2021080000A1 - 新規食材と加工復元法 - Google Patents

新規食材と加工復元法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2021080000A1
JPWO2021080000A1 JP2021536803A JP2021536803A JPWO2021080000A1 JP WO2021080000 A1 JPWO2021080000 A1 JP WO2021080000A1 JP 2021536803 A JP2021536803 A JP 2021536803A JP 2021536803 A JP2021536803 A JP 2021536803A JP WO2021080000 A1 JPWO2021080000 A1 JP WO2021080000A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food
drink
information
powder
paste
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021536803A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7136512B2 (ja
Inventor
博司 岡留
明子 伊東
充啓 杉山
敏郎 大谷
潤一 中川
プウォンケオ ルハタイオパット,
力生 渡慶次
隆浩 川村
豊 石川
真珠子 小堀
裕子 日下部
かおる 神山
健 徳安
大介 根井
泰雅 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Agriculture and Food Research Organization filed Critical National Agriculture and Food Research Organization
Publication of JPWO2021080000A1 publication Critical patent/JPWO2021080000A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7136512B2 publication Critical patent/JP7136512B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L5/00Preparation or treatment of foods or foodstuffs, in general; Food or foodstuffs obtained thereby; Materials therefor
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23PSHAPING OR WORKING OF FOODSTUFFS, NOT FULLY COVERED BY A SINGLE OTHER SUBCLASS
    • A23P30/00Shaping or working of foodstuffs characterised by the process or apparatus

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Formation And Processing Of Food Products (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • General Factory Administration (AREA)

Abstract

本開示は、(A)飲食品構成要素の原料、またはその粉化した粉体を提供する工程、および(B)該原料または粉体から、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉体を1または複数のカートリッジに配置する工程を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法を提供する。

Description

本開示は、新規食材と加工復元法(いわゆる、食材丸ごとソリューション)に関する。本開示はまた、スマートフードバリューチェーンを実現するための技術に関する。
現代社会では、フードバリューチェーン全体の問題、例えば、情報・生産・物流の連携不足によるフードロスや、食品ロス(産地での廃棄(過剰生産、規格外、天候不良))、流通・小売での廃棄(過剰な消費・賞味期限の設定)、外食・家庭(過剰なストック)、食物連鎖ロス(動物タンパク質生産に必要な植物タンパク量など)等が問題となっている。例えば、日本では、摂取カロリーベースの食料自給率38%となっており、このほか、市町村におけるゴミ処理費の増大や、世界の9人に1人が栄養不足であり、世界人口推計76億人(2017年)が98億人(2050年)に増加することが予測されるなど、フードバリューチェーン全体について、課題が多い。
本開示は、自然界に存在する生物をそのまま、あるいは高収量、高品質、病害抵抗性などの付与を目的として育成された品種として栽培、養殖、収穫、狩猟し、食料として利用する際、実際の消費は特定の部位のみ(子実、塊茎、果実、葉、家畜・魚肉など)に限られ、その他の部位(茎、根、皮、骨など)は廃棄されるという状況を解決する手段を提供する。
本開示は、農畜産物など、は収穫後に直ちに劣化が始まるため、長期の品質保持のため貯蔵や加工が必要なものについての解決手段を提供する。例えば、飲食品はその種類によって、保存できる温度帯および期間が異なり、保存専用の設備・機器が必要であり得るが、本開示はこれを解決し、貯蔵のための冷凍・冷蔵等によるエネルギーロス、貯蔵施設の不備による食品の莫大なロス(腐敗等)、収穫後の農産物の廃棄ロス低減なども解決し得る。本開示はまた、人口構成の高齢化に伴う変化、すなわち多様な栄養状態に対応する食品や嚥下困難食、災害食など、個人の嗜好・ニーズに合わせた新食材・飲食品を提供する。本開示はまた、伝統的かつ多様な食文化を維持するためにも新たな食品加工・利用技術を提供し、その位置実施形態として3Dプリンタ等食品の加工への利用を最適化・高精度化する技術も提供する。
本開示を利用することにより、持続可能な開発目標(SDGs)およびターゲットの達成に寄与することができる。
したがって、本開示は、以下を提供する。
(項目Y1)
(A)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに
(B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法。
(項目Y2)
(X)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する工程、
(A)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに
(B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法。
(項目Y3)
(BB)該規格化加工のための規格情報をコードする識別子を該カートリッジに付与する工程をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y4)
前記飲食品構成要素は、飲食品、味成分、香り成分、機能性成分、栄養成分、微生物、および酵素から選択される少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y5)
(C)所望の規格に適合した、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの1または複数のカートリッジを提供する工程、
(D)飲食品の情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する工程、ならびに
(E)該飲食品の情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する工程
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造方法。
(項目Y6)
前記カートリッジは規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y7)
前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y8)
前記(X)の規格化加工工程が、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性を、所望の値になるよう加工することを含むか、または(C)のカートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y9)
前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y10)
前記飲食品構成要素を加工する工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y11)
前記飲食品構成要素の加工は発酵、乾燥、粉砕、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応および混合からなる群より選択される少なくとも1つの単位操作を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y12)
前記飲食品の製造は、加工調理器および/または3Dプリンタを用いることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y13)
前記加工調理器および/または3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y14)
前記加工調理器および/または3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストおよび流体で飲食品を再構成することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y15)
前記粒体は、液体および/または気体を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y16)
前記液体は水を含み、および/または前記気体はファインバブルを含む、項目上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y17)
前記3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体および流体の添加のタイミングを最適に制御することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y18)
前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y19)
前記加工調理器および/または3Dプリンタは、
(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
(b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感、味および/または香りを適切に制御し、
(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラムをクラウド上からダウンロードして3Dプリンタおよび/または加工調理器に組み込むこと
の少なくとも1つの機能を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y20)
前記カートリッジは、前記粉粒体もしくはペーストを含むことを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y21)
前記粉粒体は、乾燥もしくは水分が少ないことを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y22)
前記飲食品の情報は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報に関する情報、および既存の料理に関する情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y23)
前記被提供対象の情報は、該被提供対象の嗜好および健康情報(ヒトの嚥下障害やテクスチュアー認知情報をも含む)の少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y24)
前記レシピ情報は、前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関する情報を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y25)
前記粉粒体の粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y26)
前記粉粒体は、表面が化学修飾されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y27)
前記原料または粉粒体もしくはペーストは、高度に精製された原料を使用して得ることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y28)
前記原料または粉粒体もしくはペーストは、天然由来の原料を使用して得ることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y29)
前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y30)
前記被提供対象は、ヒトまたは動物を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目Y31)
(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステム。
(項目Y32)
(V)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する、規格化加工部と、
(X)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステム。
(項目Y33)
(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、
(Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、
(W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部と
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システム。
(項目Y34)
(V)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する、規格化加工部と、
(X)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、
(Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、
(W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部と
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システム。
(項目Y35)
前記カートリッジは規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y36)
(Z)該規格化加工のための規格情報をコードする識別子を該カートリッジに付与する付与部をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y37)
前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y38)
前記(V)の規格化加工部が、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性を、所望の値になるよう加工する加工部を含むか、または前記カートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工する加工部を含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y39)
前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y40)
前記飲食品構成要素を加工する構成要素加工部をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y41)
前記構成要素加工部は発酵、乾燥、粉砕、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応、混合等単位操作からなる群より選択される少なくとも1つ機能を備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y42)
前記飲食品製造部は、加工調理器および/または3Dプリンタを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y43)
前記3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y44)
前記3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体もしくはペーストおよび流体の添加のタイミングを最適に制御する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y45)
前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成する機能をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y46)
前記加工調理器および/または3Dプリンタは、
(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
(b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感、味、香り等を適切に制御し、
(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラムをクラウド上からダウンロードして3Dプリンタおよび/または加工調理器に組み込むこと
を実現する少なくとも1つの機能をさらに有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y47)
粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御する機能および/または化学修飾する機能を有する粉粒体改変部をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y48)
前記飲食品製造部は、前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y49)
前記情報提供部は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報に関する情報、既存の料理に関する情報、飲食品に関する情報、該被提供対象の嗜好および健康情報の少なくとも1つを含む被提供対象、ならびに前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関するレシピ情報の少なくとも1つを提供する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目Y50)
飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジであって、該原料および/またはその粉粒体もしくはペーストは、所望の規格に適合したものである、飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y51)
前記カートリッジは規格ならびに原料および/またはその粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y52)
前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y53)
前記識別子は、農産物の製造プロセス情報、前記原料および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性、前記原料および/またはその粉粒体もしくはペーストのそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y54)
前記原料および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性は、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y55)
前記識別子は、融点、密度、粒度および粘度の少なくとも1つを含み、前記識別子は該融点、密度、粒度および粘度に基づいて、加工されるべき調理加工に関する情報をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y56)
前記識別子に格納される情報は、規格化されている、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y57)
前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y58)
前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、所望の値になるよう加工されているか、または前記カートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工されている、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目Y59)
飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリであって、該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択される、飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリ。
(項目Y60)
前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである、上記項目のいずれか一項に記載のライブラリ。
(項目Y61)
前記カートリッジに含まれる前記粉粒体またはペースト中の粒子は粒径および粒径分布が所望の値に制御され、および/または表面化学修飾されたものである、上記項目のいずれか一項に記載のライブラリ。
(項目Y62)
前記ライブラリは、所望の飲食品のレシピに適合した粒径、粒径分布および表面化学修飾の少なくとも1つについて所望の値のものを含む、上記項目のいずれか一項に記載のライブラリ。
(項目Y63)
(a)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリと
(b)3Dプリンタと
を備える、自動調理器であって、
該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択され、
該3Dプリンタは、飲食品の製造レシピに関する情報を備え、
該所望の規格は該飲食品の製造レシピと連携して規定される、
自動調理器。
(項目Y64)
前記製造レシピは、
a)粉粒体またはペースト、および流体の組み合わせで、飲食品を再構成し、
b)該粉粒体またはペーストおよび該流体の組み合わせおよび添加量、タイミングを最適に制御し、
c)ノズルからの吐出積層、表面張力やスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散、等を組み合わせ、飲食品を再構成し、
d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら飲食品を喫食可能な大きさの組織へ再構成することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
(項目Y65)
前記飲食品は、食品である、上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
(項目Y66)
前記カートリッジは規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
(項目Y67)
前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
(項目Y68)
前記規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報は、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの製造プロセス情報、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特定ならびに/または粉粒体・ペーストそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報を含む、上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
(項目Y69)
前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの製造プロセス情報が、ブランチング、凍結、粉砕および乾燥からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
(項目Y70)
前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法、加工特性、物性値、栄養度および機能性からなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
したがって、本開示は、以下をさらに提供する。
(項目X1)
(A)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに
(B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法。
(項目X2)
前記飲食品構成要素は、飲食品、味成分、香り成分、機能性成分、栄養成分、微生物、および酵素から選択される少なくとも1つを含む、項目X1に記載の方法。
(項目X3)
(C)所望の規格に適合した、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの1または複数のカートリッジを提供する工程、
(D)飲食品の情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する工程、ならびに
(E)該飲食品の情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する工程
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造方法。
(項目X4)
前記飲食品構成要素を加工する工程をさらに包含する、項目X1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(項目X5)
前記飲食品構成要素の加工は発酵、乾燥、粉砕、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応および混合からなる群より選択される少なくとも1つの単位操作を含む、項目X4に記載の方法。
(項目X6)
前記飲食品の製造は、加工調理装置および/または3Dプリンタを用いることを含む、項目X3に記載の方法。
(項目X7)
前記加工調理装置および/または3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、項目X6に記載の方法。
(項目X8)
前記加工調理器および/または3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストおよび流体で飲食品を再構成することを特徴とする、項目X6または7に記載の方法。
(項目X9)
前記粒体は、液体および/または気体を含む、項目X8に記載の方法。
(項目X10)
前記液体は水を含み、および/または前記気体はファインバブルを含む、項目X9に記載の方法。
(項目X11)
前記3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体および流体の添加のタイミングを最適に制御することを特徴とする、項目X3〜10のいずれか一項に記載の方法。
(項目X12)
前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成することを特徴とする、項目X3〜11のいずれか一項に記載の方法。
(項目X13)
前記3Dプリンタは、
(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
(b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感、味および/または香りを適切に制御し、
(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラムをクラウド上からダウンロードして3Dプリンタや加工調理器に組み込むこと
の少なくとも1つの機能を含む、項目X3〜10のいずれか一項に記載の方法。
(項目X14)
前記カートリッジは、前記粉粒体もしくはペーストを含むことを特徴とする、項目X1〜13のいずれか一項に記載の方法。
(項目X15)
前記粉粒体は、乾燥もしくは水分が少ないことを特徴とする、項目X1〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目X16)
前記飲食品の情報は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報に関する情報、および既存の料理に関する情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む、項目X1〜15のいずれか一項に記載の方法。
(項目X17)
前記被提供対象の情報は、該被提供対象の嗜好および健康情報(ヒトの嚥下障害やテクスチュアー認知情報をも含む)の少なくとも1つを含む、項目X1〜16のいずれか一項に記載の方法。
(項目X18)
前記レシピ情報は、前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関する情報を含む、項目X1〜17のいずれか一項に記載の方法。
(項目X19)
前記粉化は、粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御することを特徴とする、項目X1〜18のいずれか一項に記載の方法。
(項目X20)
前記粉体は、表面が化学修飾されることを特徴とする、項目X1〜19のいずれか一項に記載の方法。
(項目X21)
前記原料または粉粒体もしくはペーストは、高度に精製された原料を使用して得ることを特徴とする、項目X1〜20のいずれか一項に記載の方法。
(項目X22)
前記原料または粉粒体もしくはペーストは、天然由来の原料を使用して得ることを特徴とする、項目X1〜21のいずれか一項に記載の方法。
(項目X23)
前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力することを特徴とする、項目X3〜22のいずれか一項に記載の方法。
(項目X24)
前記被提供対象は、ヒトまたは動物を含む、項目X1〜23のいずれか一項に記載の方法。
(項目X25)
(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステム。
(項目X26)
(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、
(Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、
(W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部と
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システム。
(項目X27)
前記飲食品構成要素を加工する構成要素加工部をさらに備える、項目X25または26に記載のシステム。
(項目X28)
前記構成要素加工部は発酵、乾燥、粉砕、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応、混合等単位操作からなる群より選択される少なくとも1つ機能を備える、項目X27に記載のシステム。
(項目X29)
前記飲食品製造部は、3Dプリンタを含む、項目X26に記載のシステム。
(項目X30)
前記3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、項目X29に記載のシステム。
(項目X31)
前記3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体もしくはペーストおよび流体の添加のタイミングを最適に制御する機能を有する、項目X29または30に記載のシステム。
(項目X32)
前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成する機能をさらに備える、項目X29〜31のいずれか一項に記載のシステム。
(項目X33)
前記3Dプリンタは、
(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
(b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感、味、香り等を適切に制御し、
(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラムをクラウド上からダウンロードして3Dプリンタや加工調理器に組み込むこと
を実現する少なくとも1つの機能をさらに有する、項目X29〜32のいずれか一項に記載のシステム。
(項目X34)
粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御する機能および/または化学修飾する機能を有する粉粒体改変部をさらに備える、項目X25〜33のいずれか一項に記載のシステム。
(項目X35)
前記飲食品製造部は、前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力する機能を有する、項目X25〜34のいずれか一項に記載のシステム。
(項目X36)
前記情報提供部は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報に関する情報、既存の料理に関する情報、飲食品に関する情報、該被提供対象の嗜好および健康情報の少なくとも1つを含む被提供対象、ならびに前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関するレシピ情報の少なくとも1つを提供する、項目X25〜35のいずれか一項に記載のシステム。
(項目X37)
飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジであって、該要素または粉体もしくはペーストは、所望の規格に適合したものである、飲食品構成要素カートリッジ。
(項目X38)
前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである、項目X37に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(項目X39)
飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリであって、該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択される、飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリ。
(項目X40)
前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである、項目X39に記載のライブラリ。
(項目X41)
前記カートリッジに含まれる前記粉粒体またはペースト中の粒子は粒径および粒径分布が所望の値に制御され、および/または表面化学修飾されたものである、項目X40に記載のライブラリ。
(項目X42)
前記ライブラリは、所望の飲食品のレシピに適合した粒径、粒径分布および表面化学修飾の少なくとも1つについて所望の値のものを含む、項目X41に記載のライブラリ。
(項目X43)
(a)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリと
(b)3Dプリンタと
を備える、自動調理器であって、
該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択され、
該3Dプリンタは、飲食品の製造レシピに関する情報を備え、
該所望の規格は該飲食品の製造レシピと連携して規定される、
自動調理器。
(項目X44)
前記製造レシピは、
a)粉粒体またはペースト、および流体の組み合わせで、飲食品を再構成し、
b)該粉粒体またはペーストおよび該流体の組み合わせおよび添加量、タイミングを最適に制御し、
c)ノズルからの吐出積層、表面張力やスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散、等を組み合わせ、飲食品を再構成し、
d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら飲食品を喫食可能な大きさの組織へ再構成することを特徴とする、
項目X43に記載の自動調理器。
本開示はまた、以下をも提供し得る。
(1)(A)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体を提供する工程、ならびに
(B)該原料および/または粉粒体から、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体を1または複数のカートリッジに配置する工程
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法。
(2)前記飲食品構成要素は、飲食品、味成分、香り成分、機能性成分、栄養成分、微生物(例えば、酵母や納豆菌等)、および酵素(蛋白合成酵素等)から選択される少なくとも1つを含む、項目1に記載の方法。
(3)(C)所望の規格に適合した、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体の1または複数のカートリッジを提供する工程、
(D)飲食品の情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する工程、ならびに
(E)該飲食品の情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する工程
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造方法。
(4)前記飲食品構成要素を加工する工程をさらに包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(5)前記飲食品構成要素の加工は発酵、乾燥、粉砕(粗粉砕)、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応および混合からなる群より選択される少なくとも1つの単位操作を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(6)前記飲食品の製造は、加工調理装置および/または3Dプリンタを用いることを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(7)前記加工調理装置および/または3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(8)前記加工調理器および/または3Dプリンタは、前記粉粒体および流体で飲食品を再構成することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(9)前記粒体は、液体および/または気体を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(10)前記液体は水を含み、および/または前記気体はファインバブルを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(11)前記3Dプリンタは、前記粉粒体の組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体および流体の添加のタイミングを最適に制御することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(12)前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(13)前記3Dプリンタは、
(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
(b)前記原料または粉粒体に流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感(気泡の大きさ・分散、水分の分布状態)、味、香り等を巧みにまたは適切に制御し、
(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラム(加工装置の型式ごとに専用ドライバーあり)をクラウド上からダウンロードして3Dプリンタや加工調理器に組み込むこと
の少なくとも1つの機能を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(14)前記カートリッジは、前記粉粒体を含むことを特徴とする上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(15)前記粉粒体は、乾燥もしくは水分が少ないことを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(16)前記飲食品の情報は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報(健康被害防止)に関する情報、および既存の料理に関する情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(17)前記被提供対象の情報は、該被提供対象の嗜好および健康情報(ヒトの嚥下障害やテクスチュアー認知情報をも含む)の少なくとも1つを含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(18)前記レシピ情報は、前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関する情報を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(19)前記粉化は、粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(20)前記粉体は、表面が化学修飾されることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(21)前記原料または粉粒体は、高度に精製された原料を使用して得ることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(22)前記原料または粉粒体は、天然由来の原料を使用して得ることを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(23)前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体の情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象(主観・客観)情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力することを特徴とする、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(24)前記被提供対象は、ヒトまたは動物を含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(25)(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体を提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体から、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉体を1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステム。
(26)(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体を提供する原料・粉粒体提供部と、
(Y)該原料または粉粒体から、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体を1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、
(Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、
(W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部と
を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システム。
(27)前記飲食品構成要素を加工する構成要素加工部をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(28)前記構成要素加工部は発酵、乾燥、粉砕(粗粉砕)、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応、混合等単位操作からなる群より選択される少なくとも1つ機能を備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(29)前記飲食品製造部は、3Dプリンタを含む、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(30)前記3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(31)前記3Dプリンタは、前記粉粒体の組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体および流体の添加のタイミングを最適に制御する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(32)前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成する機能をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(33)前記3Dプリンタは、
(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
(b)前記原料または粉粒体に流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感(気泡の大きさ・分散、水分の分布状態)、味、香り等を巧みにまたは適切に制御し、
(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラム(加工装置の型式ごとに専用ドライバーあり)をクラウド上からダウンロードして3Dプリンタや加工調理器に組み込むこと
を実現する少なくとも1つの機能をさらに有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(34)粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御する機能および/または化学修飾する機能を有する粉粒体改変部をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(35)前記飲食品製造部は、前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体の情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象(主観・客観)情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力する機能を有する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(36)前記情報提供部は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報(健康被害防止)に関する情報、既存の料理に関する情報、飲食品に関する情報、該被提供対象の嗜好および健康情報の少なくとも1つを含む被提供対象、ならびに前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関するレシピ情報の少なくとも1つを提供する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(37)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体を含む飲食品構成要素カートリッジであって、該要素または粉体は、所望の規格に適合したものである、飲食品構成要素カートリッジ。
(38)前記カートリッジの内容物は前記粉粒体である、上記項目のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
(39)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体を含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリであって、該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択される、飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリ。
(40)前記カートリッジの内容物は前記粉粒体である、上記項目のいずれか一項に記載のライブラリ。
(41)前記カートリッジに含まれる前記粉粒体は粒径および粒径分布が所望の値に制御され、および/または表面化学修飾されたものである、上記項目のいずれか一項に記載のライブラリ。
(42)前記ライブラリは、所望の飲食品のレシピに適合した粒径、粒径分布および表面化学修飾の少なくとも1つについて所望の値のものを含む、上記項目のいずれか一項に記載のライブラリ。
(43)(a)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体を含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリと
(b)3Dプリンタと
を備える、自動調理器であって、
該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択され、
該3Dプリンタは、飲食品の製造レシピに関する情報を備え、
該所望の規格は該飲食品の製造レシピと連携して規定される、
自動調理器。
(44)前記製造レシピは、
a)粉粒体、および流体の組み合わせで、飲食品を再構成し、
b)該粉粒体および該流体の組み合わせおよび添加量、タイミングを最適に制御し、
c)ノズルからの吐出積層、表面張力やスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散、等を組み合わせ、飲食品を再構成し、
d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら飲食品を喫食可能な大きさの組織へ再構成することを特徴とする、
上記項目のいずれか一項に記載の自動調理器。
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本開示は、農畜産・水産物は、食用に適さない葉や茎、根、皮や骨などの割合が高く、利用率が低く、変敗や加工、調理等によるロス等を解消するという効果を奏する。本開示はまた、食品を長期保存するための、設備(冷凍・冷蔵庫)を不要または最小化する効果も奏する。本開示はまた、個々人の高齢化の対応や健康維持のための、多様な栄養状態や嗜好に合わせた食品の提供を可能にする。
本開示はまた、3D復元加工技術を用い、懐かしの味、おふくろの味など個人の嗜好性や個人の健康情報を反映した栄養バランスのとれたパーソナライズ食品の再構築を可能とする。人工合成技術の高度化により、生物資源(ウナギ、マグロなど)への過度の負担が軽減されることが期待される。また、その素材となる農畜水産物はほぼ全ての部位の利用が可能になるため、フードロスゼロ社会の実現に大きく貢献することができる。さらに、これら農畜水産物を乾燥粉粒体とすることで、常温で長期保存が可能となり、今まで懸念されていた収穫あるいは加工後における劣化の問題が解決され、廃棄食品ゼロの実現が可能になるとともに、冷凍冷蔵庫の利用が減少することで、エネルギーの削減、さらには(温室効果ガス(例えば、CO)削減に貢献できる。
本開示の3D復元可能技術は、最終的に家庭でも使用できるコンパクトな3D復元装置を目指しており、家電製品としての普及を目指すことができる。
図1は、カートリッジの模式図を示す。農産物、特に多水分計の青果物や残渣は腐敗しやすい。しかし、乾燥、粉末化により減容化と長期常温保存が可能になる。ペーストの場合には、レトルト殺菌やPH調整等による常温での長期保存、あるいは冷凍により長期保存が可能となる。 図2は、本開示の実施例であるこだわりの厚揚げに関する再現イメージを示す。表面はぱりぱり触感補保持するために可食性撥水剤を塗布して水分移動抑制を行う。また、断面部分に示すように、ファインバブルの粒径、配列制御により好みの触感を実現する。ゆずの香りを均等に配置し、必要に応じて減塩薄口しょうゆを均等に配置することで好みの食感を再現することができる。 図3は、本開示の食材丸ごとソリューションの処理フローを示す。各々のステップは、必ずしもすべてが必須のステップであるというわけではなく、本開示の趣旨に従って適宜取捨選択し得ることが理解される。 図4は、本開示の食材丸ごとソリューションを実現する統合システム例を示す。 図5は、農林産物とその加工品について、栄養成分、機能性成分、ヒトでの機能性エビデンス、安全性に関する情報を収集・統合化するDBの概要を説明する図である。 図6は、本開示の自動調理器100の構成の一例を示す図である。
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本開示は、従来ある農畜水産物をそのまま利用するにとどまらず、それら食材を“新たな食材を生み出すための材料”として活用し、食材の無駄を極小に抑える社会を構築することを目指す。そのための手段として、ゲノム編集等最先端の育種技術により、葉や茎、根、皮や骨などまで食用を可能とする品種を開発するとともに、当該部位の栄養成分の含有量の増強や、新たな成分の蓄積により、より価値を高める改良を行う技術を提供する。
本開示はまた、農畜水産物(観賞植物など従来食材として考慮されてこなかった産物も含む)を、様々な粒径や成分(タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル、機能性成分、香り。単独または組み合わせ)を持つ乾燥粉粒体またはペーストとする技術により、常温貯蔵を可能にするものである。粉粒体やペーストの原料としては、多量の香り成分や機能性成分を含むハーブ・薬用作物が含まれ得る。
本開示はまた、飲食品として、食材の成分情報や個人の嗜好データを用いて、既存のエクストルーダー、3Dプリンタの技術を応用した3D復元加工技術(積層・培養・反応・自己組織化等)やVR(バーチャルリアリティ)技術を組合せることにより、個人に合わせた食品(生、調理を含む)をその場で再構成し、嗜好性が高く、かつ安全な生食用及び加熱用の飲食品を提供する。
本開示である「新規食材と加工復元装置」は、同日付で提出される、「オンサイト需給システム」および「IoT-AI物流ソリューション」とともに、必要に応じて組み合わせて利用されることで強靱かつしなやかなフードバリューチェーンシステムを提供することができ、これらの出願は、本明細書において参考として援用されることが理解される。
持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットとしては以下が挙げられる(「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(外務省仮訳)より)。
目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4. すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
本開示を利用することにより、目標1〜3、7、12および15の達成に特に寄与することができる。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および/または基本的技術内容を適宜説明する。なお、複数の用語が使用される場合があるが、下記定義にあるように、それらの用語は交換可能なものとして使用されることがあることを当業者は理解する。
(用語の定義)
本明細書において「飲食品」とは、最も広義に用いられ、動物(ヒトを含む)が生命維持に必要とする摂食可能な任意の物体であって、動物が摂食する際の状態をさす。飲食品としては、食材、食品、飲物、飼料、餌などのすべての概念を包含する。「食品」と互換可能に使用され、本明細書において「食品」といった場合、「飲食品」と同義である。
本明細書において「飲食品構成要素」とは、飲食品を構成する任意の成分を含み、例えば、6大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン、食物繊維)、味成分、香り成分、機能性成分(例えば、βグルカン等生体調整機能)等の味香機能成分等を含み、飲食品自体も(100%という意味で)飲食品構成要素に包含される。
本明細書において「栄養成分」とは、6大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン、食物繊維)を含むことが理解される。必要に応じて栄養成分の中で、それらのうちの1つ、2つ、3つ、4つについて分析してもよい(例えば、タンパク質、炭水化物、脂質を解析してもよいがこれに限定されない。)。
本明細書において使用される飲食品、飲食品構成要素の情報は、例えば、機能性表示食品データベース検索(https://db.plusaid.jp/foods)、食品成分データベース(https://fooddb.mext.go.jp/)、健康食品の安全性・有効性情報サイト(https://hfnet.nibiohn.go.jp/)等を参酌することができ、これらの情報も参考にしながら規格化されたカートリッジを構築することができる。
本明細書において「味香機能成分」とは、味成分、香り成分、機能性成分を含む。
本明細書において「味成分」とは、味覚に関する任意の成分を言う。ここでの「味覚」は広義の味覚で基本味の甘、苦、塩、酸、うま味の五味と、基本味に含まれない一部の口腔感覚、すなわち辛味、渋味、えぐ味、脂肪味、コク味、温度感覚を含む。甘味の主な呈味成分として、ショ糖や果糖、ブドウ糖などがあり、塩味の主な呈味成分として食塩があり、酸味の主な呈味成分として、酢酸(酢)やリンゴ酸(りんご)、クエン酸(柑橘類)、乳酸(ヨーグルト)があり、苦味の主な呈味成分として、カフェイン、リモネイドなどがあり、うま味の主な呈味成分として、グルタミン酸(こんぶなど)、イノシン酸(かつお節、煮干し)、グアニル酸(干ししいたけ、きのこ類)などがある。辛味の主な成分としてはカプサイシン(唐辛子)、ジンゲロール(ショウガ)などがあり、渋味は、タンニン(緑茶)、シブオール(渋柿)があり、えぐ味はホモゲンチジン酸(タケノコ)、シュウ酸(ホウレンソウ)などがある。また、脂肪味、コク味、温度感覚は味や香りの増強・抑制や清涼感など嗜好性に関与し、脂肪味の主な成分としては脂肪酸、コク味としてはメーラード反応生成物、温度感覚としてはカプサイシン(唐辛子)、メントール(ハッカ)などがある。調味成分ともいう。
本明細書において「香り成分」とは、嗅覚に訴える任意の成分をいう。
本明細書において「機能成分」または「機能性成分」とは、栄養素(栄養成分)以外の成分であって、老化防止、発ガンの抑制、高血圧の予防、免疫力の向上等に効果のある任意の成分を指し、例えば、食物繊維、ポリフェノール類、アミノ酸類、オリゴ糖、レシチン、キシリトール、アスコルビン酸、カロテノイド、硫黄化合物などを挙げることができる。機能成分は、一部栄養成分と重複することがあるが、本開示の目的においてその相違は本質的なものではない。本明細書において栄養成分または栄養素としては、炭水化物(糖質)、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルが包含される。
本明細書において「原料」とは、当該分野において通常の意味に用いられ、製造される物体に対して、そのもととなる任意の材料を指す。通常、飲食品または飲食品構成要素の原料といった場合、飲食品または飲食品構成要素とする際に加工を行うことが多いことから、原料は、加工後のものと異なることが多いが、加工を行わない場合や加工しても変化しない場合もあることから、飲食品または飲食品構成要素の原料は飲食品または飲食品構成要素と同一であり得、したがって、本明細書では、飲食品または飲食品構成要素の原料は、飲食品または飲食品構成要素を包含することが理解される。本明細書において「飲食品原料」と互換可能に使用される。
本明細書において「粉化」とは、当該分野で通常の意味で用いられ、粉末化とも称されるものであり、ある物質を粉体とするプロセスを指す。粉化としては、通常の粉砕技術(例えば、臼式粉砕機、ロール式粉砕機、衝撃式粉砕機、気流式粉砕機、ビーズ式粉砕機等)等を挙げることができる。粉化の際に、種々の前処理(凍結、乾燥)、微粉砕、分級、造粒等の技術で粉体素材の粒径を制御することができる。粉化を工夫することによって、同じ素材の粉体でも粒径によって物性(食感、味、香り等の強弱調製)、加工適性(粘性、分散性、融点等)、体内挙動(栄養成分の吸収性等)等を可変に制御できる可能性がある。前処理は粉砕しやすいように処理する工程をいい、例えば、青果物を一度凍結して解凍すれば細胞は部分的に破壊されるので、乾燥が早く、粉砕性も向上する。あるいは凍結粉砕後に乾燥するパターンもある。いずれにしても凍結処理を行うことで、乾燥・粉砕コストの削減を期することができる。
本明細書において「乾燥」および「水分が少ない」とは、飲食品について用いられるとき、常温での長期保存ができる程度に水分量が少ないことをいう。具体的には、約20%以下、好ましくは約15%以下、さらに好ましくは約10%以下、の粉粒体を挙げることができる。
本明細書において「粉粒体」とは、「粉体」および「粒体」を含む。通常、粉(体)は粒(体)より小さく、粒(体)は肉眼でその姿形を識別できる程度の大きさのものを言う。一部に液体および/または気体を含んでもよい。
本明細書において「粉体」とは、当該分野で使用される通常の意味で用いられ、10-mから10-mの粒径を持つものとを称する。
本明細書において、「粒体」とは、「粉体」より大きなものをいい、通常、10-mから10-mの大きさのものをいう。粉末を顆粒状に加工したものである「造粒物」も通常粒体の範囲に包含される。
本明細書において「食材ユニット」とは、3Dフードプリンタによって製造されるプリント飲食品の材料となる食材であって、単位を観念できるものをいい、代表的に、カートリッジ、カートリッジに充填される液体、粉体、粉粒体、またはペーストを含む飲食品原料または内容物、及び当該飲食品原料または内容物の材料となる飲食品そのものを含む。
本明細書において「カートリッジ」とは、機器・部品で差し替えが自由にできるものと定義され、本明細書では、規格化された内容物(例えば、飲食品構成要素の原料またはその粉体もしくはペースト)を収容する任意の収容体をいう。形態はとわないが、例えば、プリンタのカートリッジが想定されるがこれに限定されず、例えば、通常の袋状のようなものであってもよい。カートリッジには、内容物に関する情報が付される。そのような情報はラベルとして貼付されてもよく、QRコード(登録商標)などにより間接的に調査可能とするものであってもよい。「カートリッジ」は、内容物を含む場合と含まない場合があり、特に区別する必要がない場合、本明細書では両者を包含することが意図され、狭義には、内容物を含まない収容体のみをさすことがあり、当業者は、文脈によっていずれかまたは両方を指すのかを理解することができる。「カートリッジ」に内容物が入っていることを特に意図する場合は「内容物入りカートリッジ」ということがあり、含まないものを意図する場合、「内容物なしカートリッジ」ということがある。本明細書において「フードカートリッジ」と互換可能に使用される。
本開示のカートリッジはその内部に液体、粉体、粉粒体、またはペーストを含む飲食品原料または内容物を充填することができ、プリント飲食品を製造するための3Dフードプリンタにセットされてプリント飲食品の材料となる粉体、粉粒体、またはペーストを含む飲食品原料を射出する。本開示のカートリッジは、飲食品ごと、及び/またはその形状(粉体、粉粒体、またはペースト)ごとに個別に製造することができ、プリント飲食品を製造する際には、3Dフードプリンタにセットされた各種カートリッジから必要な飲食品原料が射出される。
本明細書において「カートリッジ」または「食材ユニット」の「ライブラリ」とは2以上の異なるカートリッジまたは食材ユニットから構成される集合物であり、カートリッジの場合、カートリッジに関する「所望の規格」に関して、その一定の範囲について、それらの複数があることで充足するセットをいう。
カートリッジの機能は、飲食品の材料(代表的には、粉体素材またはペースト)を標準化・規格化することで、あらゆる3Dプリンタや家電調理等での製造が容易とすることである。粉体またはペーストの規格情報に加え、食材本来の立体構造・成分分布情報、健康・嗜好情報、レシピ情報等のビッグデータをAI解析アプリにより個人のニーズに合った3D設計図等に変換し、そのデータを3Dプリンタ等を含む自動調理器にダウンロードして再構築することができる。そのためカートリッジには任意にこれらの情報を直接または間接に付してもよい。
本明細書において、カートリッジに関する「所望の規格」とは、カートリッジの用途(例えば、飲食品の製造、餌の製造等)に基づき、必要となる情報のことをいう。規格の対象となるパラメータとしては、例えば、飲食品構成要素(栄養成分、機能成分等、例えば、βグルカン)の規格、水分の規格、安全性(例えば、菌数)の規格、粒度の規格、粒度分布の規格、融点の規格、消費期限の規格等の種々の規格あるいは規格値の幅が想定される。カートリッジに含まれる内容物が、飲食品またはその原料である場合は、飲食品構成要素の表示は定性的であり得る。これらの規格は、QRコード(登録商標)やバーコード等のラベルとして表示されてもよい。粒径や粒径分布によって、粉体またはペーストの性質(流動性、吸水性、加工性、他素材との混合性等)が大きく変わるため、粉体の粒径と粒径分布の制御は最重要。さらに、粉体表面を化学的に修飾することでも粉体またはペーストの性質は大きく変わるので、表面化学修飾との組み合わせも好ましくは考慮され得る。
本明細書において「飲食品構成要素」の「加工」は広義に解釈され、例えば、飲食品構成要素の発酵、乾燥、粉砕等を含む。本開示の技術が粉体またはペーストを用いる場合、粉体またはペーストとするために必要なプロセスを含み得る。
本明細書において「被提供対象」とは、飲食品が提供される対象をいい、たとえば、狭義の飲食品であれば、ヒト(個人など)が対象であり、飼料、餌の場合はペット、畜産用動物等が対象となり得る。
本明細書において「飲食品の構造情報」とは、飲食品の構成に関する任意の情報を言い、例えば、成分含量、成分組成、三次元構造、成分分布、各部分構造(その中の成分組成や三次元構造なども含む)等を含む。飲食品の構造情報は、3D食品の再現調理加工のために必要となる情報であり、例えば、MRI等高度先端技術を用いて、ある特定の食品(例えば、生の果実や加熱加工した厚揚げ等)の3次元構造や成分分布情報がビッグデータ化され、また栄養成分・機能性成分等の栄養あるいは生体調節機能等についてもマウス、コホート、ヒト介入試験等を通じて論文化され、それらのデータが電子化されている。
1つの例示的な例では、例えば、粉から生のリンゴやレタスを再現するには元の素材の立体構造や成分分布あるいは種の位置等に関する計測データがないことには再現できない。また加工品でも豆腐、こんにゃくなどは均一な組織構造なので3次元でなくても、2次元のスライス画像が何枚かあれば3次元構築はある程度可能である。また生でも加熱調理でも食するような食材は、両方の情報が必要となる(例えば、大根サラダとおでんにした大根、サンマの刺身と塩焼き、アルゼンチンエビの刺身と天ぷらでは調理形態で組織構造が変わる)。
飲食品の成分情報は食品成分データベース等で入手可能である。しかし、MRI等高度分析機器で計測したリアル立体構造や成分分布については一部の食材について論文等で一部公表されている程度で、今後において計測技術が進化し、食材ごとのビッグデータがクラウド上に集まれば4K解像度並の情報が入手可能であり得る。通例は、食材・加工品の外観あるいは断面等の写真画像等から計算したシミュレーション画像が3Dの生食材再現や加工品調理のレシピとして使用され得るが、これに限定されない。
本明細書において「被提供対象」に関する情報は、被提供対象に関する任意の情報を含み、主観的な情報(すなわち、好き嫌いといった嗜好に関する情報)と、客観的な情報(例えば、疾患罹患状態に関する情報等の健康に関する情報)とを含む。被提供対象の健康情報としては、例えば、糖尿病予備群、個人のランク等も含まれ、被提供対象の嗜好情報としては、例えば、懐かしの味が含まれる。これらを総合すると、塩分量、糖質量など糖尿病予備群および健康に影響がある成分量の情報として抽出することもできる。例えば、糖尿病予備群の場合、当該予備軍に効果の期待できる食材の選択(本出願人が作成中の機能性農産物データベースを参照してもよい。)してもよい。
被提供対象が家畜の場合、主観的な情報は、飼育者の観察記録などから入手してもよい。主観的な情報には、生活情報など(ストレス度、起床時間や睡眠時間等を含む。)を含んでいてもよい。
被提供対象の客観的な情報には、当該対象が居住する環境(湿度や温度)、疾病、ワクチン使用歴などのデータを含んでいてもよい。
本明細書において「レシピ情報」とは、製造されるべき飲食品の候補となる任意の調合法に関する情報をいう。レシピ情報には、原材料の種類、量、調理手順、3Dプリンタ、加工調理器、自動調理器等を用いる場合の加工情報などの情報が含まれる。レシピ情報は、理論的に可能なもののデータとして保持される他、これをベースとして、提供される飲食品の構造情報やカートリッジに関する情報から、選択されるデータとしても提供され、このような場合、制約条件に基づき利用可能なもののみがレシピ情報として提供されることとなる。
レシピ情報では規格化され市販中のカートリッジについては、自動調理器の種類・型式ごとに標準的なレシピープログラムがクラウド上に保存されており、ダウンロードして使用可能。また家庭で独自に開発したオリジナルのレシピープログラムをクラウド上にも保存でき、他人でも同じ機種を所有していればプログラムをダウンロード(有料あるいは無料)できる仕組みになっている。
本明細書において「3Dプリンタ」とは、「3Dフードプリンタ」とも称され、飲食品を加工製造するための三次元構造を実現するためのプリンタをいう。例えば、コロンビア大のジョナサン・ブルティンガー氏が開発した3Dレーザーフードプリンタ等を本開示において利用することができる。このような3Dプリンタは、小麦やジャガイモや米等の穀類、野菜、果物他色々な混合食品からできたペーストで、これは既に普及し始めている一般的な3Dフードプリンタと同等の機能を実現することができる。このプリンタは、ペーストを押し出して好きな形にプリントされた食材を、そのままレーザー照射で加熱調理するものである。本開示では、ペーストの代わりに、粉体を利用してもよい。本開示のカートリッジは、規格化あるいは「情報付き」である点が一つの特徴であり得る。これによって、カートリッジに付随する情報に基づいて、自在に所望の規格の飲食品を設計して製造することができる。
3Dプリンタは、好ましい実施形態では、粉体またはペーストをカートリッジ化して利用する。この場合、a)粉体・造粒物・ペーストと水等液体、バブル等気体で、食品・食材を再構成し、b) 粉体・造粒物・ペーストの組み合わせや液体、気体の添加量、タイミングを最適に制御し、c)所定の小ノズルからの吐出積層させ、表面張力またはスピンコーティングにより、自己組織化させて薄膜化し、ナノ/マイクロエマルションやファインバブルによる成分を分散させる等の工程を組み合わせ食品・食材を再構成し、d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら食品・食材を喫食可能な大きさの組織へ再構成させる。
本明細書において「自動調理器」とは、ユーザが命令を指令すると、その命令に従って、希望する飲食品が自動的に加工製造される機器をいう。通常、原料提供部と製造加工部とを含んで構成される。本開示では、原料提供部において飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリが提供されあるいは後で提供されることが可能な構造となっており、製造後部では3Dプリンタが提供されることが通常であるが、これに限定されるものではない。
本明細書において「シェフマシン」とは、自動調理器の一形態であって、図6などに説明されるものをいう。
本明細書において「キット」とは、通常2つ以上の区画に分けて、提供されるべき部分(例えば、カートリッジなど)が提供されるユニットをいう。カートリッジが複数提供される場合、このキットとして提供されてもよい。そのようなキットは、好ましくは、提供される部分(例えば、飲食品構成要素)をどのように使用するか、あるいは、3Dプリンタをどのように使用するかを記載する指示書または説明書を備えていることが有利である。
本明細書において「指示書」は、本開示を使用する方法を使用者に対する説明を記載したものである。この指示書は、本開示の使用方法を指示する文言が記載されている。この指示書は、必要な場合は、本開示が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省または農林水産省等、米国であれば食品医薬品局(FDA)、農務省(USDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、紙媒体で提供され得るが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ、電子メール、SNS、簡易メッセージなど)のような形態でも提供され得る。
本明細書において「生産・流通・消費情報」は、生産物またはその加工物もしくは変化物の生産、流通、消費に関連する任意の情報をいう。生産・流通・消費情報には、生産される物の量、生産される物の品質(鮮度情報を含む)、生産される物の価格、生産場所、流通経路、流通の所要時間、流通時の温度、消費量、消費時期などが挙げられる。
本明細書において「ペースト」は、液体中に粒子が懸濁している、糊状物をいう。ペーストは、例えば、生物の一部または全部を粉砕または磨砕することによって得られるほか、液体に生物由来の粒子を懸濁することによっても得られる。
本明細書において「プリント飲食品」とは、3Dフードプリンタによって製造される飲食品をいう。「プリント食品」と互換可能に使用される。
本明細書において「約」とは、他の態様で明示されない限り、示された値の±10%を指す。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
(カートリッジ、その製造および応用)
本開示は、飲食品構成要素のカートリッジおよび飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法、ならびにその利用に関する。
一つの局面において、本開示は、飲食品構成要素の原料、またはその粉化した粉粒体もしくはそのペース化したペーストを含む飲食品構成要素カートリッジであって、該原料または粉粒体もしくはペーストは、所望の規格に適合したものである、飲食品構成要素カートリッジを提供する。
1つの局面において、本開示は、(A)飲食品(養殖魚、ペット、家畜の飼料や餌を含む)、構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに(B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法を提供する。本開示は、カートリッジを利用することで、自在の飲食品設計を可能とするものである。既存の3Dプリンタは、規格が統一された純度や精製度の高い材料を使用することしかできなかったため、ロットや季節等により成分や品質が変動し、物性や加工適性が安定しない規格外・余剰農産物等廃棄食材に由来するカートリッジは使用できないと考えられていた。本開示を利用することにより、カートリッジに、粒度及び粘度などの物性値、栄養度、機能性情報を付与し、規格化することが可能となる。また、規格化加工を行うことにより、任意の残渣から所望の規格のカートリッジを製造することが可能となった。
別の局面において、本開示は、(X)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する工程、
(A)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに
(B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程
を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法を提供する。飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工することで、標的となる加工食品への加工がシステム化され、容易に達成することができる。
好ましい実施形態では、さらに、(BB)該規格化加工のための規格情報をコードする識別子を該カートリッジに付与する工程を含む。
別の局面では、本開示は、(C)所望の規格に適合した、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの1または複数のカートリッジを提供する工程、(D)飲食品の情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する工程、ならびに(E)該飲食品の情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する工程を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造方法を提供する。
1つの実施形態では、前記カートリッジは規格ならびに要素または粉体もしくはペーストの情報を示す識別子を含み、識別子はバーコード、タグ、RFID、二次元コード(例えば、QRコード(登録商標))、URLなどを含み得る。
1つの実施形態では、前記(X)の規格化加工工程が、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性を、所望の値になるよう加工することを含む。あるいは、(C)のカートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工される。
1つの実施形態では、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される。
本開示の実施形態において、飲食品構成要素は、飲食品、味成分、香り成分、機能性成分、栄養成分、微生物(例えば、酵母や納豆菌等)、酵素(蛋白合成酵素等)等の種々の要素を1種または複数種含んでいてもよい。
本開示の実施において、原料または粉粒体もしくはペーストのカートリッジ化は必ずしもインクカートリッジのようなものでなくても良く、通常の包装でも構わない。カートリッジ化の基本原則は原材料(好ましくは、乾燥粉砕もしくは水分の低い粉粒体もしくはその造粒物もしくはペースト。油の場合には液体もあり得る)の標準化・規格化である。例えば、農産物、特に残渣系は同じ素材でもロット、食品工場、家庭等で成分含量、物性等がばらついており、粉化しても品質が安定しない。このため、粉粒体製造工程で例えば、粉砕前後に非破壊検査(近赤外、可視光等)等で成分組成を調べ、一定の品質になるようブレンドする工程や必要に応じて殺菌し、最終的に密封包装(脱酸素剤、窒素充填、真空包装等)される。図1に完成したイメージを示す。粉粒体素材を標準化・規格化することで、あらゆる3Dプリンタや家電調理等での製造が容易となる。粉粒体の規格情報に加え、食材本来の立体構造・成分分布情報、健康・嗜好情報、レシピ情報等のビッグデータをAI解析アプリにより個人のニーズに合った3D設計図等に変換し、そのデータを3Dプリンタ等を含む自動調理器にダウンロードして再構築する。一部の実施形態において、残渣として、余剰生産物、規格外品、生産物の切りくずなどの可食性であるが主に切除されていた部分が挙げられる。本開示を利用することにより、すぐに使わない生産物を粉末などにして長期保存するが可能となる。
好ましい実施形態では、前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはその造粒物もしくはペーストである。
カートリッジには、高度に精製した原料や天然由来の原料の使用等を使用することができる。従って、カートリッジに含まれる内容物は、最も広い概念の一つとしては、原材料そのまま(それに情報が付加され得ることを特徴とする)もあり得る。
一部の実施形態において、カートリッジは規格ならびに要素または粉体もしくはペーストの情報を示す識別子を含み得る。一部に実施形態において、識別子は、農産物の製造プロセス(ブランチング、凍結、粉砕、乾燥等)情報、要素または粉体もしくはペーストの特性(粉体測定方法、加工特性方法、物性値、栄養度、機能性)および粉粒体・ペーストそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む。特定の実施形態において、農産物の製造プロセス(ブランチング、凍結、粉砕、乾燥等)情報として、ブランチング条件(温度、時間)、凍結(凍結装置の種類、緩慢・急速等温度曲線等)、粉砕条件(粉砕機種類:石臼・気流式・ハンマーミル・ジェットミル等、粉砕条件:Wet/Dry、粗粉砕済等材料の状態・クリアランス・フルイ目・回転数・圧力等)、乾燥(乾燥機方法:熱風・過熱水蒸気・フリーズドライ・(凍結)減圧乾燥・マイクロ波(減圧)乾燥・除湿乾燥・露点乾燥等、乾燥条件温度・湿度・乾燥時間)が含まれる。一部の実施形態において、粉粒体・ペーストの特性として、粉体測定方法:粒度分布計等の種類・計測条件(レーザー回折式・フルイ、湿式・乾式計測等)、粉体特性1(粉体そのものの特性):平均粒度、粒度分布、D90粒度、均一度、尖度、歪度、安息角、スパチュラ角、崩壊角、凝集度、分散度、圧縮度、付着力、ゆるめ・固めカサ密度、タップ密度、比表面積、濡れ性、吸水性、澱粉損傷度(澱粉素材の場合)、Carr指数、水分、栄養・機能性等成分含量、色相等が含まれる。一部の実施形態において、加工特性方法として、加工方法の測定機の種類及び測定条件(回転式粘度計:回転速度・温度等)が含まれる。一部の実施形態において、加工特性として、粘度(濃度・加熱温度ごと等)、融点、沸点、付着力、(動的・静的)粘弾性特性、力学特性、応力、凝集性、粘着性、凝固点、沸点、分散性、溶解度、表面張力が挙げられる。一部の実施形態において、粉粒体・ペーストそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報として、成形・加工条件(3DP等の成形条件、材料の濃度・加熱温度等)、およびモデル製品の食感(硬さ粘り等)、味、香り、外観等を数値化(機器測定あるいは官能検査)した情報が含まれる。
一部の実施形態において、規格ならびに要素または粉体もしくはペーストの情報は、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの製造プロセス情報、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特定ならびに/または粉粒体・ペーストそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報を含む。
一部の実施形態において、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの製造プロセス情報が、ブランチング、凍結、粉砕および乾燥からなる群より選択される。
一部の実施形態において、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法、加工特性、物性値、栄養度および機能性からなる群より選択される。
カートリッジが飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストに関する物性値の情報を含むことにより、例えば以下のように規格化が可能となる。
○粒度:粉粒体の粒度を表示することにより、どのタイプの3Dプリンタに適合するかどうか迅速に判定できる。粉粒体カートリッジと粒度データを紐付けし、粒度のデジタル情報をサイバー空間で動かすことにより、3Dプリンタとのマッチングが容易となる。
○融点:粉粒体の融点を表示することにより、加熱機能付きの3Dプリンタで粉粒体を溶かして調理する際、融点情報をダウンロードして自動で加熱温度を設定し、材料を溶かすことができる。
○密度・比重など:粉粒体の密度を示すことにより、カートリッジや3Dプリンタのホッパー等の容量が設計し易くなる。また3Dプリンタのパイプ内で粉粒体を空気搬送等する際、目詰まりしないよう圧力等の自動制御が容易になる。
○粘度:例えば、粉粒体を3Dプリンタ内で水を混合しペースト状にしたもの、あるいはペーストの粘度を示すことにより、装置内での定量供給等ハンドリングに関わる自動制御が容易になる。
さらに、カートリッジに、加工前後の情報(加熱前の粘度、加熱温度・時間・成形物の大きさ、加工後の食感等)を紐付けすることにより、自動調理や学習調理が容易になる。例えば、米粉に水を加えた場合の濃度別の粘度や3Dプリンタで加熱焼成後の硬さ(機器測定や官能検査による)のデータを紐付けすることにより、好みの硬さをリクエストした場合に自動で濃度を判定し、米粉と混合する水の量を計算し、所定の粘度で成形物を造形し、所定の温度と時間で所定の硬さに仕上げるなどが可能となる。
一部の実施形態において、物性値は、粒度および粘度の少なくとも1つを含み、前記識別子は該粒度および粘度に基づいて、加工されるべき調理加工に関する情報をさらに含んでもよい。特定の実施形態において、識別子に格納される情報は、規格化されている。
一部の実施形態において、本開示の識別子は、(1)種類・量・位置・状態等の物理的情報、(2)形・色・鮮度等の品質情報、(3)有機物素材としての繊維質・カロリー・含有元素量や単価の価値情報、(4)特定保存条件における品質と価値の損耗率の損耗情報等、(5)有害物・アレルゲン・細菌等による安全・安心情報、(6)生食不可・加熱調理要等の利用制限やハラル等の宗教上禁忌等の制限情報を含んでもよい。
有害物による劣化情報としては、アレルゲン物質をはじめとした人体に対して有害な物質が混入しているかどうかを表示してもよい。
アレルゲン物質含有の表示は、アレルギー患者への安全・安心対応のものであり、卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かに、いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉といった特定原材料使用しているかどうかを表示してもよい。
細菌等による劣化情報として、例えば、一般生菌数 100,000個/g以下,大腸菌群 陰性、黄色ブドウ球菌 陰性,耐熱性菌:106以下等の情報を表示し、安全性の表示・確保のためのものであってもよい。
従来提供される小麦やジャガイモといった原料からなるペーストを組み合わせるのではなく、原料が、精製された栄養成分(5大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン))や機能性成分、香り成分、味成分等を含み、それらを組み合わせて、料理や加工食品だけはなく、ジャガイモや小麦自体や、生の果実、野菜、魚、肉類等を限りなくオリジナルに近く再構成することが実現されることが本開示の特徴の一つである。
好ましい実施形態では、高度に精製した原料を用いるため、アレルゲンフリー、ハラル等宗教上やビーガン等心情上の忌避食品への対応、さらに、機能性食品、高度な治療用や回復期用病院食等を作ることができる。
好ましい実施形態では、天然由来の原料を、高度に精製し、タンパク質等の特定成分の含有量を一定以上含む原料を使用することができる。本原料の最大の特徴は、高度に精製した原料の使用に比べ安価、元の素材の機能性成分や、味や香りをある程度含有していることにある。精製度が低くなるにつれ安価なる。元の農林水産物を丸ごと原料にする場合も想定されるが、この場合は脂質酸化等の成分変化を防止する必要があり、比較的高価な素材となりうる。
本開示に基づいて、当業者は、高度に精製した原料の素材だけから再構成される食品・食材から、天然由来の原料と高度に精製した原料の最適な組み合わせ、天然由来の原料同士組み合わせ等により、個人の健康やおいしさの好みにあった食品・食材を作製することができる。本開示に基づいて、材料の組み合わせは、個人の健康向上に貢献する食材情報、おいしさを再現するための香りや味情報等、膨大なビッグデータをAI等で解析することで実現することができる。
一つの実施形態では、本開示において使用される飲食品構成要素は、飲食品、味成分、香り成分、機能性成分および栄養成分から選択される少なくとも1つを含む。栄養成分ま
たは栄養成分と味香機能成分との組み合わせが一つの好ましい実施形態である。栄養成分または栄養成分と味香機能成分との組み合わせの場合、実質的にすべての構成要素を制御することができるからである。
本開示の実施形態では、(C)所望の規格に適合した、飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストの1または複数のカートリッジを提供する工程は、(A)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程および(B)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法を実施し入手してもよく、予めこのような手法によって得られたカートリッジを適宜入手してもよい。
本開示の実施形態では、本開示の方法は前記飲食品構成要素を加工する工程をさらに包含する。飲食品構成要素の加工はどのようなものであってもよいが、代表的に、発酵、乾燥、粉砕(粗粉砕)、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応、混合等単位操作を実施してもよい。これらの加工は標準化または規格化を念頭に行ってもよい。例えば、粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御してもよく、および/または粉粒体とした後に、表面を化学修飾してもよい。化学修飾としては、酵素、機能性成分、香気成分等の吸着・マスキングを含むことができるがこれらに限定されない。粉化、ペースト化または粉砕は、粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御、および/または表面を化学修飾しつつ実施してもよい。粒径および粒径分布を制御しおよび/または表面を化学修飾することで、得られる粉粒体またはペーストの規格化、標準化が可能となり、その後に製造される飲食品の種々の制御が可能となる。
1つの実施形態では、本開示において飲食品の製造は、加工調理器および/または3Dプリンタを用いてもよい。本開示で利用される加工調理器および/または3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有していてもよい。加工調理器は、任意の物を本開示において使用し得るが、例えば、加熱、冷却、マイクロ波、圧力、混合等単位操作による金型、押し出し、シート等の成形の少なくとも1つの機能を有し得、例えば、餅つき器、パン焼き器、パスタ製造機などが挙げられる。
特定の実施形態では、加工調理器および/または3Dプリンタは、前記粉粒体および流体のみで飲食品を再構成してもよい。
特定の実施形態では、加工調理器および/または3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体もしくはペーストおよび流体の添加のタイミングを最適に制御してもよい。
特定の実施形態では、3Dプリンタは、は、ノズル(微小ノズルであり得るが、これ以外の種々のノズルを使用し得る)からの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルション(ナノ/マイクロエマルションであり得る)またはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成してもよい。
特定の実施形態では、3Dプリンタは、必要に応じて加熱または冷却を行い、前記原料または粉粒体もしくはペーストを調理または変性させつつ、飲食品を喫食可能なサイズの組織に再構成してもよい。好ましい実施形態では、本開示で使用される3Dプリンタは、(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、(b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感(気泡の大きさ・分散、水分の分布状態)、味、香り等を巧みにまたは適切に制御し、(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラム(加工装置の型式ごとに専用ドライバーあり)をクラウド上からダウンロードして3Dプリンタや加工調理器に組み込むことの少なくとも1つの機能を含み得る。また、各種情報は、いずれかのデータベースに一元的に情報が集約されていてもよく、地域ごとなど分散的に持たせておき、局所最適化を図れる構成にしてもよい。
好ましい実施形態では、前記カートリッジの内容物は前記粉粒体、粒体、粉体またはペーストである。すなわち、この好ましい実施形態では、本開示のカートリッジの内容物は粉粒体として提供される。好ましくは、粉粒体は、乾燥されている。粉粒体として提供される場合、ペースト状原料よりも種々の利点を有する。例えば、ペースト状原料は、長期の貯蔵期間を実現するため、何らかの殺菌工程や冷蔵・冷凍貯蔵が必須になるが粉粒体とする場合これらは不要である。一般に用いられる加熱殺菌や放射線殺菌では、味や香り、色などの品質劣化が避けられず、冷蔵・冷凍貯蔵では貯蔵のために莫大にエネルギーを消費するが、粉粒体原料は、通常、水分量15%以下の乾燥状態にあり、酸素と光を遮断した状態で、常温で数年以上の貯蔵が可能であるという利点も有する。粉粒体の場合はまた、粒径や粒径分布を制御することによって、粉粒体の性質(吸収性、加工性、他素材との混合性等)が大きく変えることができ、さらに、粉粒体表面を化学的に修飾することでも粉粒体の性質を制御することができる。他方で、ペースト原料は、粉粒体を溶媒に分散させた形状であるが、様々な用途に対応するためには莫大に数のペーストを予め用意する必要があるが、粉粒体形状であれば、基本的な性質を持つ粉粒体をカートリッジ化し、組み合わせて使用することが可能であるという利点もあり得る。粉粒体とする場合は、このほか、種々の利点が想定される。例えば、種々の素材を種々の前処理(凍結、乾燥)、微粉砕、分級、造粒等の技術で粉末素材の粒径を巧みにまたは適切に制御することができる。これによって、同じ素材の粉粒体でも粒径によって物性(食感、味、香り等の強弱調製)、加工適性(粘性、分散性、融点等)、体内挙動(栄養成分の吸収性等)等を可変に制御できる。例えば、Md. Sharif Hossen, Itaru Sotome, Kazuko Nanayama, Tomoko Sasaki, and Hiroshi Okadome†.Functional Properties of Submicron-Scale Rice Flour Produced by Wet Media Grinding, Cereal Chemistry 93(1) 53-57 2016年1月;HOSSEN Md. Sharif, SOTOME Itaru, TAKENAKA Makiko, ISOBE Seiichiro, ISOBE Seiichiro, NAKAJIMA Mitsutoshi, NANAJIMA Mitsutoshi, OKADOME Hiroshi (CA)Effect of Particle Size of Different Crop Starches and Their Flours on Pasting Properties 日本食品工学会誌 12(1) 29-35,37 2011年3月 ;HOSSEN Md.Sharif, SOTOME Itaru, TAKENAKA Makiko, ISOBE Seiichiro, NAKAJIMA Mitsutoshi, OKADOME Hiroshi (CA)Starch Damage and Pasting Properties of Rice Flours Produced by Dry Jet Grinding, Cereal Chem 88(1) 6-11 2011等を参照することができる。)。前処理は粉砕しやすいように処理する工程、例えば、青果物を一度凍結して解凍すれば細胞は部分的に破壊されるので、乾燥が早く、粉砕性も向上する。あるいは凍結粉砕後に乾燥するパターンもある。いずれにしても凍結処理を行うことで、乾燥・粉砕コストの削減が期待できる。微粉砕(特にナノスケールの領域)は薬のDDS(ドラックデリバリーシステム)と同じような物性や機能・栄養分の挙動変化が期待できるので、このような特性を3D再現や嗜好性、健康機能の制御に応用することができる。また、粒子間バインダーに100度以上の過熱水蒸気(アクアガス)を適用し、顆粒化の効率を向上するアクアガス造粒法、超音波により発生させた0℃〜100℃までの水蒸気(あるいはバインダー等を混合した液体)を適用する超音波式造粒法、超音波ハイブリッド式造粒法による造粒することができる。
(粉粒化技術)
(吸湿性の問題)
高糖度の果実などでは、乾式粉砕を行った後に吸湿性を示すことから、カートリッジなどの食材ユニットにおける物性が不安定化する。このため、粉砕前あるいは粉砕後に保護剤をコーティングすることにより粒子の吸湿を抑える。保護剤として、例えば、穀物、青果物、畜産物、水産物由来の粉粒体を使用することが可能である。
(分散性の問題)
粉粒体を水などの液体へ溶解させる際、分散性に乏しいと溶けずにダマになりやすい問題が生じる。造粒により粒子径を制御する方法または大気圧非平衡プラズマによる表面処理で材質の親水性を改善する方法を用いて、この問題を解決するが可能である。
(成分損失の問題)
野菜や果実などでは、乾燥時等の熱の影響によりアスコルビン酸のような栄養成分が損失する可能性がある。このため、事前に凍結処理を施し食品内部の水分の移動速度を高めておくことで短時間かつ低温で乾燥を終了させ、栄養成分の損失を抑えることが可能である。その際には、減圧乾燥法を用いることでより低温で処理することが可能であり、かつ酸化反応に起因する品質低下を抑制することも可能である。このとき、マイクロ波等の電磁波を複合的に利用することで、水分の移動速度を高め、乾燥にかかる消費エネルギーを低減することができる。
(粉砕効率化)
青果物などでは、乾燥中の著しい構造収縮により硬化するため、粉砕に多くのエネルギーを要する可能性がある。このため、乾燥前の凍結処理により組織構造を破壊することで、乾燥中の試料内部の圧力勾配を低減し構造収縮を抑えることが可能である。その際には、複合的にマイクロ波を照射することで膨化作用により乾燥試料は多孔質構造化するため、粉砕効率を高めることができる。
(澱粉系食品の高機能化)
(食材の不均質性の問題)
作物が成熟するにつれて、あるいは貯蔵中に澱粉の粒子サイズ、アミロペクチン鎖長分布、アミロース含量、結晶化度などが変化することはよく知られており、その変化に伴って、澱粉の吸水特性、糊化特性などが変化するため、混合物の場合、品質が安定しない。そこで、αアミラーゼ、βアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、グルコアミラーゼ、ネオプルラナーゼ、スターチホスホリラーゼなどの酵素を用いて非晶質部分をトリミングして結晶の割合を高くし、安定した品質を保つ。部分糊化技術や酵素処理技術を組み合わせて用いることで、澱粉粒の結晶化度制御による品質の安定化が可能となる。
(糊化特性の改変技術)
澱粉の糊化によって食品に独特な食感を付与することができる。澱粉の糊化は、吸水、膨潤、水素結合の切断という段階を経るため、吸水を調節することで、澱粉の糊化の程度を任意に変えることができるようになる。穀類粉に撥水性を付与する技術等を用いて、澱粉の吸水特性を調節する方法を導入することで、加工特性の制御幅を拡大できる。また、糊化特性の制御のためには、アミロペクチン鎖長分布の制御が重要となる。部分糊化技術や酵素処理技術を組み合わせることで、鎖長分布の幅を狭めることが可能となる。
(ブランチング時の問題)
ブランチングには高温処理を伴うため、食材中の澱粉が部分的に糊化する可能性があり、素材の不均質化や加工性の低下を招く場合がある。そこで、部分糊化した澱粉の非晶質部分を酵素処理や化学的処理によってトリミングすることで、結晶性の高い均質で品質の安定した素材を確保することが可能となる。
(生澱粉の特性改変)
生澱粉を部分的に酵素処理、化学的処理、物理的処理することで、特定領域のトリミングや、部分構造の変化、微少な空隙形成などを通じて特性改変できる。結晶性の向上、特定成分の流出、空隙を利用した成分の封じ込めや、表面積の向上を起こすことで、加工時の特性の幅を拡げることができる。酵素処理の際には、結晶性を示す生澱粉分解活性の分解活性が高い酵素群や、分解生成物の加工適性が高くなるような酵素群を用いることが望ましい。
(澱粉老化特性の制御)
澱粉は加水加熱することで糊化し、冷却保存することで老化が進行する。望ましい食感の付与、喫食時までの品質変化の抑制等の観点から、老化の制御は重要である。老化速度を場面に応じて一定にコントロールするためには、温度、水分含量、構造特性、添加物などの変化とその組み合わせをコントロールすることが必要となる。糊化澱粉を使用したペーストの場合、澱粉の老化と共にペーストは流動性が失われ、均一な粘度を保つことができない。そのため、保水性の高い各種多糖類と澱粉の組み合わせの最適条件を選択することによって、ペーストの粘度を調節するだけではなく、澱粉の老化およびペースト粘度の経時変化を抑制する効果が得られる。例えば、キサンタンガムのような保水性の高い多糖類では澱粉粒の膨潤を抑制する効果もあり、澱粉老化に対する高い抑制効果が期待できる。また、澱粉老化速度に影響を与えるオリゴ糖を、澱粉や他の多糖などの食品素材中の成分から製造する技術を適用できる。
(難消化性澱粉量の制御)
消化性には、澱粉の構造特性、老化特性、物性、などの要因が関わっている。ペースト殺菌の際に加熱されることによって素材中の澱粉が糊化するが、成形時のゲル化、老化の際に、糊化の程度により難消化性成分の比率を変えることができる。
(難消化澱粉量の制御)
馬鈴薯澱粉を利用したペーストであれば、馬鈴薯澱粉は糊化した状態では急速に消化酵素によって分解されるため、機能性向上の観点から難消化性を付与する新技術が必要である。このため、馬鈴薯澱粉に含まれる負電荷を有するリン酸基を利用し、正電荷をもつキトサン等の多糖類を澱粉粒に吸着させることによって、消化酵素による分解を阻害することが可能である。
(細胞壁構造制御による高機能化)
(ペクチンの影響)
粉粒化された植物細胞壁に含まれるペクチン質は吸湿し高粘性となるため、局所的に団子状になり、ハンドリング性低下を招くことがある。また、ペースト状の植物素材では、ペクチンが部分的に会合・ゲル化が起こり、不均質化を招くことからハンドリング性が低下する。ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ等のペクチン分解酵素の作用により、ペクチン質を低分子化・構造改変することで、吸湿性が低下し、細胞壁成分の物性が均一化することが可能である。
(植物細胞壁の改質)
細胞壁分解・修飾酵素であるキシラナーゼ、β―キシロシダーゼ、α―L−アラビノフラノシダーゼ、キシログルカナーゼ、β―マンナナーゼ、α―グルクロニダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、キシログルカナーゼ、β−1,3−1,4−グルカナーゼ、リティック・ポリサッカライド・モノオキシゲナーゼ等のヘミセルロース分解酵素、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ等のペクチン分解酵素や、リグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ等のリグニン分解酵素またはこれらの混合物を植物細胞壁に作用させてセルロースが露出させることにより、セルロース同士の相互作用を強固にする。また、微粉砕処理や化学的処理等の処理と酵素処理との併用により、ヘミセルロース成分やリグニン成分の除去を促進する。また、セルロース繊維と、ペクチン―カルシウムゲル、アルギン酸−カルシウムゲル、キトサン等とを相互作用させることで、加工時における繊維物性が改変できる。さらに、セルロースゲルと疎水性相互作用する多糖、例えば、キシラン、β―グルカン、キシログルカン、キチン、キトサン、ペクチン、カードランなどを混合して相互作用を起こさせることで、セルロースゲルの特性を改変することが可能である。
粉粒体を利用する場合、本開示で提案される「AI自動調理器」にも適切である。AI自動調理器とは、人工知能を少なくとも一部に使用する少なくとも一部の手順が自動化された調理器を言う。すなわち、AI自動調理器は、これらの粉粒体原料と水のみを原料として、3次元で食品や食材を再現する技術にも容易に応用可能である。現状のペーストを適宜混合しながら押しだし、積層し、レーザーで加熱方式の延長では、複雑な食品・食材や生に近い食品・食材の再構成は不可能であるが、本開示であれば、複雑な食品・食材や生に近い食品・食材の再構成も実現可能である。
1つの実施形態では、本開示の技術で提供され得る飲食品の構造情報は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報(健康被害防止)に関する情報、および既存の料理に関する情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含んでいてもよい。例えば、限定されるものではないが、被提供対象の情報は、該被提供対象の嗜好および健康情報の少なくとも1つを含み、レシピ情報は、前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関する情報を含む。ここで、調理環境には災害食を含む。災害食にも対応することができることが本開示の一つの有用な点であり得る。
1つの実施形態では、本開示で使用される原料または粉粒体は、高度に精製された原料を使用してもよい。あるいは、別の実施形態では、本開示で使用される原料または粉粒体もしくはペーストは、天然由来の原料を使用してもよい。
本開示の実施における、飲食品の製造のステップにおいて、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象(主観・客観)情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象(例えば、通常個人とも称される)の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力してもよい。被提供対象の情報としては、被提供対象の嗜好情報および健康情報が含まれ、健康情報には、ヒトの嚥下障害や味認知情報(テクスチャー認知情報、味覚情報など)なども包含されることが理解される。
被提供対象に関する食品に対する被提供者情報の提供がなされると、個人からのリクエストの後、健康情報や嗜好情報に基づき、飲食品構成要素(通常、食材とも称される。)の選択がなされ、飲食品構成要素を使ったレシピ設計がなされ、必要に応じて「AI自動調理器」による再構成して、被提供対象に提供されることとなる。
一例では、被提供対象(通常は、個人)が飲食品(食品・食材)をリクエストすると、その被提供対象の健康情報(例:糖尿病予備群。個人のランク)が提供され、その被提供対象の嗜好情報(例:懐かしの味。塩分量、糖質量など糖尿病予備群および健康に影響がある成分量の情報を提供)も提供される。例えば、この例示でいうなれば、糖尿病予備群に効果の期待できる食材の選択(出願人で作成中の機能性農産物データベースを参照して食材を選択してもよいがこれに限定されない。主要農産物毎に、5大栄養成分の他、食物繊維、ポリフェノール、カロテノイドの含有量、機能性成分毎の関連ヒト介入試験論文等がデータベース化される。)を行うことができる。その中で、効果が期待出来る成分量を反映した食品・食事のレシピ設計がなされ(例えば、出願人が設計したシステムを用いることができる。ここでは、成分量が少ないと効果がない、それまでの食事から摂取した量も考慮されている。)。これに基づいて、レシピを反映してカートリッジの原料を使った「AI自動調理器」による食品・食材の再構成され、被提供対象(例えば、個人)に提供される。
構造情報および該被提供者情報に基づき、飲食品への加工することは、3D食品の再現調理加工法を用いてもよいがこれに限定されない。
例示される3D食品の再現調理加工法では、まず、MRI等高度先端技術を用いて、厚揚げの3次元構造や成分分布情報がビッグデータ化され、また栄養成分・機能性成分等の栄養あるいは生体調節機能等についてもマウス、コホート、ヒト介入試験等を通じて論文化されておりこれらを利用してもよい。これらのデータが電子化されておりこれらを利用してもよい。さらに個人ごとの健康診断、病院のカルテ、あるいは日常のリアルタイム健康情報(携帯腕時計等で血圧、血糖値等を計測)が紐付けされ、健康情報としてサーバーに蓄積されていてもよい。個人の嗜好性の情報も試食アンケートやスマホ等を通じてデータが蓄積されていてもよい。例えば、個人のスマホであれば毎回、食事メニューを画像化し、その食味評価結果を紐付けしたデータ蓄積していてもよい。アンケートであれば販売されている農産物、加工品、中食メニュー、外食メニューと電子タグ・QRコード(登録商標)等を紐付けしてアンケート結果をサーバーに蓄積してもよい。
これらのビックデータをAI解析による3D−CADアプリで、まずは構造、成分分布データを基に再現する食品の3D構造、成分分布等の基本図面を設計し、さらに個人の嗜好や健康情報に合わせてカスタマイズしてもよい。
一つの実施形態では、例示される3D食品再現加工装置は、3Dプリンタのみでなく、シート加工、積層培養加工、従来型の金型成形等の使用やこれらを組み合わせて加工する場合も想定され得る。
図2には、本開示の代表的な例として、「こだわりの厚揚げ」の再現イメージが例示される。素材ごとに様々な粒径の粉粒体もしくはペーストを用意することにより、成分、バブル、香り成分のミクロンオーダー(またはナノオーダーで)での配置や強度の調整等が可能となる。また厚揚げ表面の食感や吸水撥水性も可変に制御できるようになる。ここでは、ぱりぱり触感を保持するような加工も可能であり、科植生撥水罪塗布などにより水分移動制御するような技術を応用してもよい。図2は厚揚げの断面イメージが示される。ここでは、ファインバブルの粒径、配列制御でお好みの触感を実現することができ、必要に応じてゆずの香りを均等配置してもよい、減塩のための減塩薄口しょうゆを均等に配置するなどの工夫を行ってもよい。
この他、粉末から生の果実の再現や植物性の蛋白素材粉末から食肉、魚肉の変換等も想定している。これらの技術の利点は、通常、水分の多い果実や腐敗しやすい肉等は冷蔵、冷凍保存が必要だが、乾燥粉末化により常温保存が可能になり、冷凍・冷蔵による保存エネルギーが低減でき、減容化もできるので輸送性も向上する。また微粉砕・分級・造粒技術を活用し、粉粒体の粒径を調製することで食感、成分分布等を自在に制御することも可能となる。
本開示の被提供対象は、ヒトまたは動物を含む。すなわち、ヒトの調理品のためのものに加え、ペットや畜産業などでも応用可能である。
更なる局面では、本開示は、飲食品構成要素の原料、またはその粉化した粉粒体を含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリであって、該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択される、飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリを提供する。このライブラリは、被提供対象として想定されるレシピに対応した規格を有するように構成することができる。
1つの実施形態では、本開示の飲食品構成要素カートリッジは、カートリッジは規格ならびに要素または粉体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む。
別の実施形態では、カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである。
1つの実施形態では、カートリッジに含まれる識別子は、農産物の製造プロセス情報、前記要素または粉体もしくはペーストの特性、前記要素または粉体もしくはペーストのそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含んでいてもよい。ここで、
要素または粉体もしくはペーストの特性は、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択されてもよい。
1つの実施形態では、識別子は、融点、密度、粒度および粘度の少なくとも1つを含み、前記識別子は該融点、密度、粒度および粘度に基づいて、加工されるべき調理加工に関する情報をさらに含んでいてもよい。
1つの実施形態では、識別子に格納される情報は、規格化されている。規格化された値は、標準値であってもよい。規格化は、規格化の対象となる実体応じて適宜設定することができ、その標準値を定めることができる。本明細書において「標準値」とは、ある規格において、達成する目標として設定される任意の値をいう。標準値は単一の値であってもよく、複数の値の幅として規定されてもよい。標準値が幅の場合は、標準範囲と称することがあるが、本明細書では標準値は標準幅を包含するものとして規定される。
規格化を容易にするために、規格化の対象となるパラメータ(例えば、ニーズ情報、残渣・規格外情報、生産・流通・消費情報など)の間に互換性を持たせることが有利であり得る。互換性を持たせることで、単純な計算による計算を行うことができ、データサイエンスによるデータ処理が容易になり得る。このような互換性は、該互換性の対象となる複数の規格の間の関係式を算出または提供することによって達成される。このような関係式は、あらかじめ標準フォーマットを用意することによって容易に互換性を実現することができる。あるいは、関係式の前提となる種々のデータをもちいて人工知能により学習させて算出されることで、互換性を達成することもできる。これらの複数の手法を組み合わせてもよい。互換性は、例えば、粒度、粘度、密度等物性値についてそれぞれの単位を統一したフォーマットでデータのやり取りを行うことによって達成してもよい。あるいは、それぞれの物性値の母集団データを統計的に標準化(平均値:0,分散:1)して、やり取りをすることによっても達成される。さらに、AIでそれぞれの物性パラメータを自動認識し、自動で標準化して活用する方法によっても達成され得る。
ここで、本開示が採用する規格において、一つの実施形態では、達成されるべき標準値が存在する。このような標準値は、法律で定まっているもの(例えば、食品衛生法など)のほか、研究結果で定まった栄養学的あるいは医学的に適切と思われる量などを挙げることができ、その他、食中毒、アレルギー等食の安全に関わる情報については食品衛生法で定められ基準に従う。この他、粉粒体・3Dプリンタ等の製造事業者が定めた自主基準等の活用も考えられる。事業者が自ら分析したデータ、第三者機関に依頼した分析データ、製造ラインにて非破壊により分析した簡易データ、あるいは論文等で公表されたデータの活用も考えられる。将来的にはこれら分野のプラットフォームが構築され、より利用しやすい形で粉粒体及びその加工適性等の規格化・標準化の実現が期待できる。ここで、好ましい実施形態では、関係式は、前記標準値を達成するように規定される。
一つの好ましい実施形態では、関係式は、飲食品の生産・流通・消費過程におけるロスを最小化するように最適化されるか、または持続可能な開発目標(SDGs)を達成するように設定される。
好ましい実施形態では、本開示のライブラリに使用されるカートリッジの内容物は前記粉粒体である。粉体化することで規格化・標準化が容易となり、対応可能なレシピを増加させることができ、ライブラリとしての価値を高めることができるからである。
好ましくは、カートリッジに含まれる前記粉体は粒径および粒径分布が所望の値に制御され、および/または表面化学修飾されたものである。粒径および粒径分布が所望の値に制御および/または表面化学修飾されることで規格化・標準化が容易となり、対応可能なレシピを増加させることができ、ライブラリとしての価値を高めることができるからである。したがって、予め被提供対象が判明している場合などは、本開示のライブラリは、所望の飲食品のレシピに適合した粒径、粒径分布および表面化学修飾の少なくとも1つについて所望の値のものを含むことが所望される。
自動調理器
本開示の自動調理器は、データベースに格納されたデータを利用して、自動的に飲食品を製造することができる。
図6は、本開示の自動調理器100の構成の一例を示す。
自動調理器100は、プリント飲食品を製造するための3Dフードプリンタ110と、コンピュータ装置120と、データベース130とを備える。
コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110と接続されている。コンピュータ装置120が3Dフードプリンタ110と接続される態様は問わない。コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110と有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。あるいは、コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110とネットワークを介して接続されてもよい。ここで、ネットワークの種類は問わない。ネットワークは、例えば、インターネットであってもよいし、LANであってもよい。
3Dフードプリンタ110は、プリント飲食品を製造するための任意の構成を有し得る。例えば、3Dフードプリンタ110は、プリント飲食品を製造するために、後述する構成を有し得る。
コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110を制御する機能を有している。コンピュータ装置120は、データベース130に格納されたデータに基づいて、3Dフードプリンタ110を制御することができる。コンピュータ装置120は、例えば、人工知能(AI)を搭載し、人工知能により、3Dフードプリンタ110を制御するようにしてもよい。人工知能(AI)は、例えば、大量のデータを予め学習しており、或る入力値に対して或る出力値を出力するように訓練されている。あるいは、これに加えて、人工知能(AI)は、ランタイムで得られたデータも学習するようにしてもよい。
コンピュータ装置120のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
コンピュータ装置120は、データベース部130に接続されている。データベース部130には、プリント飲食品を製造するために利用可能なデータが格納されている。
図6に示される例では、コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110の外部に設けられているが、本開示はこれに限定されない。コンピュータ装置120を3Dフードプリンタ110の内部に設けること(すなわち、スタンドアロン型のシステム)も可能である。このようなスタンドアロン型の3Dフードプリンタ110もまた本開示の範囲内である。
図6に示される例では、データベース130は、コンピュータ装置120の外部に設けられているが、本開示はこれに限定されない。データベース130をコンピュータ装置120の内部に設けることも可能である。このとき、データベース130は、コンピュータ装置120のメモリ部を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ部を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、データベース130は、コンピュータ装置120のための格納部として構成される。データベース130の構成は、特定のハードウェア構成に限定されない。例えば、データベース130は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース130は、コンピュータ装置120の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。
3Dフードプリンタ
本開示の3Dフードプリンタは、プリント飲食品を3次元構造で製造することが可能なように構成されており、代表的に、3Dフードプリンタは、加工台、カートリッジ等の食材ユニット、食材ユニットを保管する補完部、ノズル、制御部およびこれらを収容するハウジングなどから構成され、当業者は、3Dフードプリンタの用途によって適宜これらの構成要件を選択し構成することができる。3Dフードプリンタは、3Dフードプリンタの構成要素(例えば、カートリッジ、ノズル、加工台など)を制御し、ノズルを通して食品原料を加工台上へ射出し、加工台上で3次元的にプリント飲食品を形成(例えば、食品原料を積層)し、これにより、プリント飲食品を3次元構造で製造する。
一実施例では、本開示の3Dフードプリンタ110は、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部と、メモリ部とを備える。
メモリ部には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネットなどのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部にインストールされるようにしてもよい。
プロセッサ部は、3Dフードプリンタ全体の動作を制御する。プロセッサ部は、メモリ部に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、3Dフードプリンタは、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、3Dフードプリンタのプロセッサ部は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
本開示の3Dフードプリンタは、均一粉粒体用ノズル、食感制御用ノズル、および香気制御用ノズルの少なくとも1つをさらに備える。これにより、3Dフードプリンタは、均一な粒径を有する粉粒体、複数の異なる粒径を有する粉粒体、および香気制御された粉粒体のうちの少なくとも1つを提供することが可能である。
本開示の3Dフードプリンタは、均一粉粒体用ノズル、食感制御用ノズル、および香気制御用ノズルのそれぞれに対応する上記の食材ユニットと、加工台とをさらに備え、食材ユニットは、複数の飲食品原料(例えば、粉粒体、ペースト)を収容することが可能である。3Dフードプリンタは、均一粉粒体用ノズル、食感制御用ノズル、および香気制御用ノズルのうちの少なくとも1つを通して加工台に向かって食材ユニット内の飲食品原料を射出/噴射し、加工台上で、噴射された飲食品原料から飲食品を製造することが可能である。
一実施例では、本開示の3Dフードプリンタは、アーム(例えば、関節運動式アーム)をさらに備え、本開示のノズルは、アームに(例えば、関節運動可能なように関節運動式アームに)接続されていてもよい。これにより、本開示の3Dフードプリンタは、より簡単により複雑な構造を有するプリント飲食品を製造することが可能である。
一実施例では、本開示の3Dフードプリンタの加工台は、加工台を3次元的に回転させるためのマニピュレータ(例えば、多軸マニピュレータ)を備えていてもよい。これにより、本開示の3Dフードプリンタは、より簡単により複雑な構造を有するプリント飲食品を製造することが可能である。
また、本開示の3Dフードプリンタは、例えば、飲食品原料および/またはプリント飲食品を加熱するための加熱装置、飲食品原料および/またはプリント飲食品を冷却するための冷却装置、3Dフードプリンタ内で送風するための送風装置、飲食品原料および/またはプリント飲食品の表面とノズルの先端との距離を測定するためのセンサ、飲食品原料および/またはプリント飲食品の表面形状をリアルタイムに測定するためのスキャナ、飲食品原料および/またはプリント飲食品を調理(例えば、茹でる、蒸す、煮込む、炊飯するなど)するための容器、被提供対象からの入力を受信するためのユーザインターフェース(例えば、表示部兼入力部)などをさらに備えていてもよい。3Dフードプリンタが備えることができる装置は、これらに限定されず、3Dフードプリンタの機能を拡張するための任意の装置を含み得る。
コンピュータ装置120
コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110と接続されている。コンピュータ装置120が3Dフードプリンタ110と接続される態様は問わない。コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110と有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。あるいは、コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110とネットワークを介して接続されてもよい。ここで、ネットワークの種類は問わない。ネットワークは、例えば、インターネットであってもよいし、LANであってもよい。
コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110のための処理を実行するように構成されている。コンピュータ装置120は、データベース130に格納されたデータに基づいて、3Dフードプリンタ110のための処理を実行することができる。コンピュータ装置120は、例えば、人工知能(AI)を搭載し、人工知能により、3Dフードプリンタ110のための処理を実行するようにしてもよい。人工知能(AI)は、例えば、大量のデータを予め学習しており、或る入力値に対して或る出力値を出力するように訓練されている。あるいは、これに加えて、人工知能(AI)は、ランタイムで得られたデータも学習するようにしてもよい。
コンピュータ装置120のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
コンピュータ装置120は、データベース部130に接続されている。データベース部130には、プリント飲食品を製造するために利用可能なデータが格納されている。
図6に示される例では、コンピュータ装置120は、3Dフードプリンタ110の外部に設けられているが、本開示はこれに限定されない。コンピュータ装置120を3Dフードプリンタ110の内部に設けること(すなわち、スタンドアロン型のシステム)も可能である。このようなスタンドアロン型の3Dフードプリンタ110もまた本開示の範囲内である。
図6に示される例では、データベース130は、コンピュータ装置120の外部に設けられているが、本開示はこれに限定されない。データベース130をコンピュータ装置120の内部に設けることも可能である。このとき、データベース130は、コンピュータ装置120のメモリ部を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ部を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、データベース130は、コンピュータ装置120のための格納部として構成される。データベース130の構成は、特定のハードウェア構成に限定されない。例えば、データベース130は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース130は、コンピュータ装置120の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。
(システムおよび自動調理器)
1つの局面では、本開示は、(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部とを含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステムを提供する。このシステムで使用される原料・粉粒体提供部およびカートリッジ製造部の詳細な実施形態としては、(カートリッジ、その製造および応用)に記載される任意の特徴の一つまたは複数を組み合わせて採用してもよいことが理解される。
別の局面では、本開示は、(V)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する、規格化加工部と、(X)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部とを含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステムを提供する。
1つの実施形態では、飲食品構成要素の原料、またはその粉化した粉体もしくはそのペースト化したペーストを提供する原料・粉粒体提供部は、飲食品構成要素の原料を粉化する機能を有してもよい。好ましい実施形態では、飲食品構成要素の原料を粉化以外の加工(例えば、発酵、乾燥、粉砕、表面加工、粉化の後の篩化、粒径制御など)する機能を有していてもよい。
1つの実施形態では、カートリッジ製造部は、飲食品構成要素の原料、またはその粉化した粉体もしくはそのペースト化したペーストを内容物として、カートリッジに配置する機能を有する。カートリッジにラベル(例えば、QRコード(登録商標)など)を配置する場合は、その情報を入力し、出力したものを貼付する機能を有していてもよい。
別の局面では、本開示は、(X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、(Y)該原料または粉粒体から、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、(Z)飲食品の構造情報、被提供対象(主観・客観)[家畜も含む]情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、(W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部とを包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システムを提供する。
他の局面では、本開示は、(V)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する、規格化加工部と、(X)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、(Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、(Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、(W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部とを包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システムを提供する。
1つの好ましい実施形態では、本開示のシステムは、前記飲食品構成要素を加工する構成要素加工部をさらに備える。加工機能は、原料・粉粒体提供部が有していてもよく、別の部分として提供されていてもよい。
1つの好ましい実施形態では、本開示のシステムで使用される構成要素加工部は発酵、乾燥、粉砕(粗粉砕)、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応、混合等単位操作の機能を有していてもよい。
1つの実施形態において利用される凍結のメリットは原料の氷結晶が成長することにより細胞が損傷を受け、水分の移動・蒸散が促進されることが期待される。(粗)粉砕のメリットはそのままよりも細胞の損傷や表面積の増大により乾燥速度が高まることが期待される。いずれにしても、原料の種類で乾燥特性が異なるので、原料にあった最適な条件(例えば、同じみかんでも丸ごとと果肉のみでは乾燥速度が変わる。後者の方が早い)で乾燥することが重要となる。
1つの実施形態において利用される乾燥方法は自然乾燥と人工乾燥があるが、後者では常圧下での熱風、噴霧、除湿、露点、電磁波、熱媒体等を用いた乾燥方法がある。真空では真空乾燥、凍結真空乾燥、マイクロ波減圧乾燥法などがある。この他にも加圧式の乾燥法がある。
1つの実施形態において利用される粉砕方法は衝撃式、気流式、臼式、ロール式、媒体式粉砕機等がある。粉砕及びフルイ等分級装置を使って素材を目的の平均粒径あるいは粒度分布に調整することができる。また、粉体の流動性が悪い場合(特に微粉砕した粉末は流動性が小さくなる)には造粒装置等を使って粒径の大きい顆粒状に加工した造粒物を使うことでできる。
一つの実施形態において、上述した実施形態において利用される方法で作成した粉末あるいは造粒物を用いてカートリッジ化することができる。またカートリッジ化は単独の素材や物質の場合もあるが、複数の素材を混合したミックス粉としてカートリッジ化(例えば一食分ずつ個食単位で)することもできる。
1つの実施形態において、粉末から生の果実へ再現する技術や植物性の蛋白素材粉末から食肉、魚肉へと変換する技術の利点は、通常、水分の多い果実や腐敗しやすい肉等は冷蔵、冷凍保存が必要だが、乾燥粉末化により常温保存が可能になり、冷凍・冷蔵による保存エネルギーが低減でき、減容化もできるので輸送性も向上する。また微粉砕・分級・造粒技術を活用し、粉体の粒径を調製することで食感、成分分布等を自在に制御することも可能となる。
1つの実施形態では、本開示のシステムの飲食品製造部は、3Dプリンタを含む。使用される3Dプリンタは飲食品を製造することができる限り任意のものを使用することができる。好ましくは、3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する。3Dプリンタおよび加工調理器の先端部分とは、3Dプリンタおよび加工調理器から材料が噴出される部分、例えば、ノズルの先端をいう。
1つの実施形態では、本開示で使用され得る3Dプリンタは、前記粉体の組合せ、水の添加量、ならびに前記粉体および水の添加のタイミングを最適に制御する機能を有する。本開示のシステムでは、粉体と水とのみから、所望の飲食物を製造し得ることも(非限定の)有利な点の一つであり得るからである。
1つの実施形態では、本開示で使用され得る3Dプリンタは、微小ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、ナノ/マイクロエマルションやおよびファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成する機能を備えていてもよい。別の実施形態では、本開示で使用され得る3Dプリンタは、加熱または冷却を行い、前記原料または粉体を調理または変性させつつ、飲食品を喫食可能なサイズの組織に再構成する機能を有していてもよい。このような3Dプリンタの機能については、当該分野で公知の技術を応用することができ、例えば、境慎司 監修.バイオ3Dプリント関連技術の開発と応用、シーエムシー出版(2019.8.27)を参照することができる。例えば、3Dプリンタは、(a)必要に応じて加熱または冷却を行い、(b)前記原料または粉粒体に流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、(c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、(d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感(気泡の大きさ・分散、水分の分布状態)、味、香り等を巧みにまたは適切に制御し、(e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、(f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラム(加工装置の型式ごとに専用ドライバーあり)をクラウド上からダウンロードして3Dプリンタや加工調理器に組み込むことを実現する少なくとも1つの機能をさらに有する。
別の実施形態では、本開示のシステムは、粉粒体の粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御する機能および/または化学修飾する機能を有する粉体改変部をさらに備えていてもよい。
一つの実施形態では、本開示で使用され得る飲食品製造部は、前記飲食品の製造において、前記原料または粉体の情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象(主観・客観)情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力する機能を有していてもよい。
一つの実施形態では、本開示で使用され得る前記情報提供部は、飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報(健康被害防止)に関する情報、および既存の料理に関する情報、飲食品に関する情報、該被提供対象の嗜好および健康情報の少なくとも1つを含む被提供対象、ならびに前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関するレシピ情報の少なくとも1つを提供していてもよい。
別の局面において、本開示は、(a)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体を含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリと、(b)3Dプリンタとを備える、自動調理器であって、該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択され、該3Dプリンタは、飲食品の製造レシピに関する情報を備え、該所望の規格は該飲食品の製造レシピと連携して規定される、自動調理器を提供する。この自動調理器では、本節に記載される任意の実施形態の他、(カートリッジ、その製造および応用)に記載される任意の実施形態の一つまたはその組み合わせを利用することができることが理解される。
好ましい実施形態では、前記製造レシピは、a)粉粒体またはペースト、および流体の組み合わせで、飲食品を再構成し、b)該粉粒体またはペーストおよび該流体の組み合わせおよび添加量、タイミングを最適に制御し、c)ノズルからの吐出積層、表面張力やスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散、等を組み合わせ、飲食品を再構成し、d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら飲食品を喫食可能な大きさの組織へ再構成することを特徴とする。
本開示のこの実施形態では、好ましい実施形態では、乾燥した粉末食材を利用する食品加工3Dプリンタのため、ペースト材料から食品を形成するフード3Dプリンタと違い、材料の長期保存、無エネルギー、簡易な取り扱いが可能である。このようにして、食品廃棄物となる茎、根、皮や骨などまでを食用可能とする技術(粉末食材、3D復元加工)により食品を提供することができ、食材成分の明確化や個人の嗜好データによる食材のカスタマイズが可能となる。
(SDGsにおける本開示の利用)
本開示は、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための手段として活用し得る。
本開示を利用することにより、持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットの達成に寄与することができる。持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットとしては以下が挙げられる。
目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、この目標が達成され得る。
目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、この目標が達成され得る。
目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、この目標が達成され得る。
目標4. すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
本開示の技術により、飲食品の最適分配の過程において、適切な学習環境が提供され、この目標が達成され得る。
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
本開示の技術により、飲食品の加工の最適化が達成され、過度に負担が強いられる女性および女児の能力強化に充てる時間やその他のリソースが確保され、この目標が達成され得る。
目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、適切な衛生環境を保ちつつ達成され、この目標が達成され得る。
目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、エネルギー分配も適切になされるようになり、この目標が達成され得る。
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、適切な経済成長の礎が築かれ、この目標が達成され得る。
目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、産業化構造にも変革がもたらされ、この目標が達成され得る。
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、飲食品原料の過度な搾取が平準化されこの目標が達成され得る。
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、都市環境は住環境の劇的な改善がもたらされ、この目標が達成され得る。
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、消費生産最適化が達成されることから持続可能な生産が可能となり、この目標が達成され得る。
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、気候変動による影響を最小化するとともに、最適化に伴い削減化できる温室効果ガスの低減などによっても、この目標が達成され得る。
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、海洋資源の保持もなされ、この目標が達成され得る。
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
本開示の技術により飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、過度の陸域生態系が保全され、生物多様性の損失も最小化されることにより、この目標が達成され得る。
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、健全な社会生活を営むことができることにより啓もうが浸透し司法へのアクセスへのハードルが下がることから、この目標が達成され得る。
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
本開示の技術により、飲食品加工が最適化される結果、飲食品の提供が容易になり、世界的なパートナーシップを結びやすい環境が提供され、この目標が達成され得る。
目標1のターゲットとしては、以下が挙げられる。
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。
目標2のターゲットとしては、以下が挙げられる。
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。
目標3のターゲットとしては、以下が挙げられる。
3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。
3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。
目標4のターゲットとしては、以下が挙げられる。
4.1 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
4.2 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
4.3 2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
4.6 2030年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。
4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
4.a 子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。
4.b 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。
4.c 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。
目標5のターゲットとしては、以下が挙げられる。
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。
目標6のターゲットとしては、以下が挙げられる。
6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b 水と衛生の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。
目標7のターゲットとしては、以下が挙げられる。
7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。
目標8のターゲットとしては、以下が挙げられる。
8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。
8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
8.b 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。
目標9のターゲットとしては、以下が挙げられる。
9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。
目標10のターゲットとしては、以下が挙げられる。
10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。
目標11のターゲットとしては、以下が挙げられる。
11.1 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015−2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
目標12のターゲットとしては、以下が挙げられる。
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。
目標13のターゲットとしては、以下が挙げられる。
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。
13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。
目標14のターゲットとしては、以下が挙げられる。
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する**。
14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。
目標15のターゲットとしては、以下が挙げられる。
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。
目標16のターゲットとしては、以下が挙げられる。
16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
16.2 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
16.8 グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
16.9 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
16.a 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
16.b 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。
目標17のターゲットとしては、以下が挙げられる。
資金
17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15〜0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
技術
17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
能力構築
17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
貿易
17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
体制面 政策・制度的整合性
17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
データ、モニタリング、説明責任
17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。
本開示を利用することにより、すべての目標を達成しうるが、一例として、目標1〜3、7、12および15の達成に寄与することができる。
(注記)
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に実施例を記載する。以下の実施例で用いる生物の取り扱いは、必要な場合、実施期間、監督官庁およびカルタヘナ法において規定される基準を遵守した。試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカーのものも使用可能である。
(実施例1:カートリッジ化の場合1)
農産物やその残渣等から作製した粉末あるいは造粒物を用いてカートリッジ化する。農産物および残渣は成分含量等品質が変動しやすいため(季節・年次変動、残渣品質は工場・家庭の調理加工条件(剥離の程度など)等で大きく変わる)、カートリッジ品質の規格化を行う。このため、カートリッジの規格に合うように粉末や造粒物を調合して充填を行う。カートリッジには内容物を直接表示するか、QRコード(登録商標)等を表示することでスマホ等を介して確認する。単独の素材・物質ごとにカートリッジに充填する場合、複数の粉末素材を混合したミックス粉として充填(例えば、一食分ずつ個食単位で、使い切りカートリッジ)する。カートリッジの形態は通常の印字プリンターの形態または真空パックの形態を用いる。
(実施例2:カートリッジ化の場合2)
ジャガイモを凍結処理した後に、粉砕し、ペーストを得る。得られるペーストをカートリッジに充填することで、ジャガイモペーストカートリッジを得る。
(方法および材料)
ジャガイモ
(処理プロトコル)
(a)ジャガイモを凍結処理する。
(b)当該凍結処理したジャガイモを粉砕し、ペーストを得る。
(c)得られるペーストをカートリッジに充填する。
(d)当該ペーストに関する情報を入手し、QRコード(登録商標)としてラベルする。
(結果)
ジャガイモペーストカートリッジが作製される。
(実施例3:粉体化した場合のカートリッジ化の場合1)
粉砕及びフルイ等分級装置を使って素材を目的の平均粒径あるいは粒度分布に調整する。また、微粉砕により粉体の流動性が悪い場合には、造粒装置等を使って粒径の大きい顆粒状に加工した造粒物を使う。
作成した粉末あるいは造粒物をカートリッジ化する。またカートリッジ化は単独の素材や物質の場合もあるが、複数の素材を混合したミックス粉としてカートリッジ化する。カートリッジ化では一食分ずつ個食単位とする。
(実施例4:粉体化した場合のカートリッジ化の場合2)
ジャガイモを凍結処理した後に、粉砕し、熱風により乾燥させ、粉末を得る。得られる粉末をカートリッジに充填することで、ジャガイモ粉末カートリッジを得る。
(材料および方法)
ジャガイモ
(処理プロセス)
(a)ジャガイモを凍結処理する。
(b)当該凍結処理したジャガイモを粉砕し、熱風により乾燥させ、粉末を得る。
(c)得られる粉末をカートリッジに充填する。
(d)当該粉末に関する情報を入手し、QRコード(登録商標)としてラベルする。
(結果)
ジャガイモ粉末カートリッジが作製される。
上記以外の粉末化手法として以下のものが挙げられる。
(実施例4−2:粉末化)
以下を行うことにより、キャベツの粉末を得た。
芯部を取り除き、葉部を4cm角程度のざく切りにした。沸騰水中にて1分間ブランチングを行い、冷却処理は行わず、しばらく室温で静置した。試料どうしが重ならないように乾燥棚に並べ、60℃に設定した熱風乾燥機にて24時間乾燥後、フードミルで30秒間粉砕処理を行った。
(実施例4−3:粉末化)
以下を行うことにより、ジャガイモの粉末を得た。
洗浄後、皮を剥き、厚さ2mm程度のスライスにした。沸騰水中にて2分間ブランチングを行い、冷却処理は行わず、しばらく室温で静置した。試料どうしが重ならないように乾燥棚に並べ、60℃に設定した熱風乾燥機にて24時間乾燥後、フードミルで30秒間粉砕処理を行った。
(実施例4−4:粉末化)
以下を行うことにより、リンゴの粉末を得た。
皮を剥き、厚さ2mm程度のスライスにした。試料どうしが重ならないように乾燥棚に並べ、60℃に設定した熱風乾燥機にて48時間乾燥後、フードミルで30秒間粉砕処理を行った。
(実施例5:高度に精製した原料の使用の場合1)
市販の、ジャガイモから精製された馬鈴薯澱粉を化学的修飾(リン酸架橋およびアセチル化)により機能を付与する。得られる加工澱粉をカートリッジ化する。
(実施例6:高度に精製した原料の使用の場合2)
ジャガイモを凍結処理した後に、粉砕し、熱風により乾燥させ、粉末を得る。得られる粉末を精製し、5大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン)の純度100%の粉末を得る。
(材料および方法)
材料
(処理プロセス)
(a)ジャガイモを凍結処理する。
(b)当該凍結処理したジャガイモを粉砕し、熱風により乾燥させ、粉末を得る。
(c)得られる粉末を精製し、5大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ミネラル、ビタミン)の純度100%の粉末を得る。
(d)得られる粉末をカートリッジに充填する。
(e)当該粉末に関する情報を入手し、QRコード(登録商標)としてラベルする。
(結果)
5大栄養素の粉末カートリッジを得る。
(実施例7:天然由来の原料の使用の場合1)
農産物及びその残渣等は水分を含み、特に青果物は水分含量が高く腐敗しやすいため、速やかに水分を低下させる。水分低下は、以下のような要素技術を組み合わせた乾燥工程により行う。
1.原料を粗粉砕後に一度凍結してから乾燥させる、および
2.原料を凍結・解凍後に乾燥させる
例えば、粉体化の材料に果実を用いる場合、乾燥および粉砕・破砕を簡略化する一つの方法として、例えば果実の粉質化現象(すなわち、果肉組織における隣接する細胞同士の接着がゆるむ現象)を利用できる。具体的には、農研機構果樹茶部門で開発したリンゴの粉質化DNAマーカー(Moriya S. et al. (2017) Hort. J. 86(2):159−170)を用いて粉質化しやすい果実特性を有する品種を材料に用いたり、薬剤処理により粉質化しやすい硬肉モモ(羽山ら (2009) 日本食品保蔵科学会誌35(5):235−240、Yoshioka et al. (2010) Postharvest Biol. Technol. 55: 1−7)の品種をDNAマーカーにより選抜(Tatsuki M. et al.(2018) Plant J. 96(4):815−827)して活用したりできる。また、カンキツでは、例えば血糖値上昇の抑制、アルツハイマー型認知症の予防、がん細胞の増殖抑制などの効果を持つカンキツに多く含有される機能性成分等は果肉よりも非食部である果皮(外皮)に偏在している(例:カロテノイド類:3〜4倍、ポリメトキシフラボノイド類:10倍〜)。缶詰工場などで一般的な酸・アルカリ処理でカンキツ外皮を除去した場合、除去後の外皮はこれら薬剤に浸漬した状態であり食材への再利用は困難であるが、農研機構果樹茶部門で開発した酵素利用による剥皮法(Noguchi M. et al. (2015) JARQ 49, 313−318)を用いれば、外皮は機能性高含有食材の原料として再利用可能である。
(実施例8:天然由来の原料の使用の場合2)
数種の野菜をそれぞれ凍結処理した後に、粉砕し、熱風により乾燥することで、各種野菜の粉末を得る。
(材料および方法)
数種の野菜
(処理プロセス)
(a)数種の野菜を凍結処理する。
(b)当該凍結処理した数種の野菜を粉砕し、熱風により乾燥させ、粉末を得る。
(c)得られる粉末をカートリッジに充填する。
(d)当該粉末に関する情報を入手し、QRコード(登録商標)としてラベルする。
(結果)
数種の野菜の粉末カートリッジを得る。
(実施例9:AI解析による原料の組み合わせた場合1)
インターネットに繋がっているスマホのアプリで500キロカロリー以下のヘルシーでゆずの香りの強い食事を食べたいと入力すると、アプリが家庭にある3D自動調理器にアクセスし、まず家にあるカートリッジの種類や在庫量を調べ(QRコード(登録商標)等で在庫管理)、クラウド上のレシピサイトに情報を送信する。この在庫量を基にAI解析により提供可能なメニューを提示し、その中からレシピを選択する。植物性の鶏肉を選択すると、今度は食材情報サイトにアクセスし、鶏肉の立体構造や成分情報のデータを基に3D構築設計図面プログラムを自動調理器にダウロードする。次にレシピ-サイトから加熱等調理プログラムを、嗜好性サイトから登録しておいた味、香り、食感、外観等に関する情報をダウンロードする。以上の情報をもとに調理を開始する。
(実施例10:AI解析による原料の組み合わせた場合2)
高度に精製した原料士の組み合わせ、高度に精製した原料および天然由来の原料の最適な組み合わせ、天然由来の原料同士の組み合わせにより、個人の健康やおいしさの好みにあった食品・食材を作製する。材料の組み合わせは、個人の健康向上に貢献する食材情報、おいしさを再現するための香りや味情報等、膨大なビッグデータをAIで解析することで得る。
(材料および方法)
高度に精製した原料
天然由来の原料
(処理プロセス)
AIが個人の健康向上に貢献する食材情報、おいしさを再現するための香りや味情報等、膨大なビッグデータを解析し、高度に精製した原料士の組み合わせ、高度に精製した原料および天然由来の原料の最適な組み合わせ、天然由来の原料同士の組み合わせを得る。
(結果)
個人の健康やおいしさの好みにあった食品・食材を得る。
おいしさの構成要素である味や香りを食材の配合で再現するに当たっては、人の感覚(味覚・嗅覚等)を用いた官能評価の結果を数値化するとともに、香りセンサーや味センサーを援用し、これらのデータと統合して評価できるシステムが効力を発揮するが、農研機構ではこれらを可能とする個別技術の研究が進展中である。
高度な生成により特定成分の比率を高めた食材の原料を製作するに当たり、例えば機能性成分であるリコペン(伊藤、阪中(2019)分析化学、68:513−517、伊藤(2019)日本赤外線学会誌、28:13−22)やβクリプトキサンチン(久永ら(2019)日本食品科学工学会誌、66(3):83−89)については、非破壊で簡便に原材料に含まれる量を測定することができ、再合成の際の適切な配合量の算定に利用できる。
AIにより個人の健康向上に貢献する食材情報を提供するに当たり、農研機構は健康機能性を有する農林水産物のデータベースを構築しており、蓄積データ点数は500点を超えている(2020年3月現在)。また、機能性表示食品制度の食品届出に際し、科学的根拠となる研究レビューをWebページで公開中(https:// www.naro.affrc.go.jp/project/f_foodpro/2016/063236.html)。これらの情報やデータベースを活用し、農林産物とその加工品について、栄養成分、機能性成分、ヒトでの機能性エビデンス、安全性に関する情報を収集・統合化し、健康の維持・増進に有効なメニュー開発が可能なDBシステムを構築し、農研機構のWAGRIに搭載予定である(https://www.naro.affrc.go.jp/project/f_foodpro/subject/c1.html)(図5)。
(実施例11:被提供対象に関する食品に対する被提供対象情報の解析)
以下の工程で被提供対象に関する食品に対する被提供対象情報を解析する。個人の食品・食材のリクエスト。→個人の健康情報(例:糖尿病予備群。個人のランク)。→個人の嗜好情報(例:懐かしの味。塩分量、糖質量など糖尿病予備群および健康に影響がある成分量の情報を提供)。→糖尿病予備群に効果の期待できる食材の選択。→効果が期待出来る成分量を反映した食品・食事のレシピ設計(基本となるシステムは農研機構で開発済み、成分量が少ないと効果がない、それまでの食事から摂取した量も考慮)。→レシピを反映してカートリッジの原料を使った「AI自動調理器」による食品・食材の再構成。→個人へ。
(実施例12:構造情報および該被提供対象情報に基づき、飲食品の加工)
3D食品の再現調理加工法を行う。
まず、MRI等高度先端技術を用いて、厚揚げの3次元構造や成分分布情報がビッグデータ化され、また栄養成分・機能性成分等の栄養あるいは生体調節機能等についてもマウス、コホート、ヒト介入試験等を通じて論文化され、それらのデータが電子化される。さらに個人ごとの健康診断、病院のカルテ、あるいは日常のリアルタイム健康情報(携帯腕時計等で血圧、血糖値等を計測)が紐付けされ、健康情報としてサーバーに蓄積される。個人の嗜好性の情報も試食アンケートやスマホ等を通じてデータが蓄積されていく。個人のスマホで、毎回の食事メニューを画像化し、その食味評価結果を紐付けしたデータ蓄積がする。アンケートで、販売されている農産物、加工品、中食メニュー、外食メニューと電子タグ・QRコード(登録商標)等を紐付けしてアンケート結果をサーバーに蓄積する。
上記のビックデータをAI解析による3D-CADアプリで、まずは構造、成分分布データを基に再現する食品の3D構造、成分分布等の基本図面を設計し、さらに個人の嗜好や健康情報に合わせてカスタマイズする。
飲食品原料の提供の際、例えば各食材の人の胃内での消化のされやすさを評価できる『胃消化シミュレータ』(小林ら「胃モデル装置」特願2013−011949、Kozu H. et al. (2014) Food Sci. Technol. Res. 20(2):225−233)を用いて、原料ごとに消化の難易を数値化しておくことにより、提供対象個人の提供時の健康状態にあわせて配合比率を適正化するなどのカスタマイズが可能となる。またカートリッジ化した食材や3D−AI自動調理器で作製した3D食品の消化性を簡易に評価できる。
飲食品原料の提供の際、例えば塩味増強剤(安室ら「塩味増強剤」特開2016−106547)を用いた低塩分配合や、不快味のマスキング法(開発中)を用いた苦み等低減化食材を用いることにより、『よりおいしく感じる食材』の提供に寄与することができる。
3D食品再現加工装置は、3Dプリントのみでなく、シート加工、積層培養加工、従来型の金型成形等の使用やこれらを組み合わせて加工する。
図2に例示したものが、本実施例での実施例である。
素材ごとに様々な粒径の粉体を用意することにより、成分、バブル、香り成分のミクロンオーダー(将来的にはナノオーダーで)での配置や強度を調整する。また厚揚げ表面の食感や吸水撥水性も可変に制御する。
(実施例13:AI自動調理器)
本実施例では、本開示に基づく3Dフードプリンタでの実施例を記述する。
a)粉体と水のみで、食品・食材を再構成
b)粉体の組み合わせや水の添加量、タイミングを最適に制御
c)微小ノズルからの吐出積層(3Dフードプリンタ)、表面張力やスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、ナノ/マイクロエマルションやファインバブルによる成分の分散、等を組み合わせ、食品・食材を再構成
d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら食品・食材を喫食可能な大きさの組織へ再構成
(実施例14:粉末から生の果実の再現や植物性の蛋白素材粉末から食肉、魚肉の変換の場合1)
インターネットに繋がっているスマホのアプリで酸味の強いリンゴを食べたいと入力すると、アプリが家庭にある3D自動調理器にアクセスし、まず家にあるカートリッジの種類や在庫量を調べ(QRコード(登録商標)等で在庫管理)、クラウド上の食材情報サイトにアクセスし、生のリンゴの立体構造や成分情報のデータを基にAI解析した3D構築設計図面プログラムを自動調理器にダウロードする。嗜好性サイトから登録しておいた好みの酸味情報をダウンロードする。以上の情報をもとに3D構築が開始される。
生の果実の再現に当たっては、リンゴみつ風味を再現するフレーバー(田中ら「リンゴの蜜様香気を表現する香料組成物および香気付与方法」特開2016- 154488)を用いることで新鮮な果実の再現精度向上が可能となる。
(実施例15:食材丸ごとソリューションシステム)
図3に示すシステムの実証例を構築する。
図3に示すものはフローであるが、これを実現するシステムが本実施例で提供される。
(処理プロセス)
本実施例では、以下の手順で食材丸ごとソリューションを実施する。
(a)農産物、余剰品、残渣等を提供する。
(b)必要に応じて、(a)で得たものを適宜発行、乾燥、粉砕などの加工を施す。
(c)必要に応じて,(a)または(b)で得たものの粒径を制御する。
(d)(a)〜(c)のいずれかで得たものをカートリッジ化する。ここでは、素材、成分、ミネラルなどの機能成分、味、香り成分などを規格化する。)
(e)必要に応じて、常温保存する。
(f)その後、3D−AIシステムを用いて再現加工する。ここでは、自己組織化、積層、ドット技術などを適宜利用する。その際、個人の健康嗜好性情報を入手する。ここではいわゆるビッグデータを活用してもよい。また、食材3D成分、構造情報も入手する。ここではいわゆるビッグデータを活用してもよい。
(結果)
パーソナライズド食品を得る。
(実施例16:総合システム)
食材情報サイト:生の果実や完熟の果実、生肉や加熱肉等の3次元の構造や成分分布情報を蓄積
健康情報サイト:一般的な健康に関わる、あるいは個人の健康情報等を蓄積
安全情報サイト:衛生面あるいは健康食品等の健康被害情報を蓄積
嗜好性サイト:一般、あるいは個人の嗜好性(味、香り、食感、外観等)を蓄積
上記のビッグデータを基にAI解析アプリにより解析されたプログラムや情報が自動調理器にダウンロードされ、長期保存が可能なカートリッジを使って各種のテーラーメード型3D食品が構築される。このシステムを活用することで、フードチェーンでのロスを大幅に削減できる。例えば、腐敗しやすい生の青果物でも一旦粉末化して生に再現できる。
(実施例17:総合システム)
(材料および方法)
耕作放棄地および水田を利用して、ゲノム編集により作製した高タンパク質含有イネを栽培する。高タンパク質含有イネを、需要、嗜好性、食材3D情報の予測・把握を行いつつ、加熱、殺菌、成形、乾燥、貯蔵、粉砕、造粒、混合または圧力に供し、単位操作と品質評価によるスマート加工システムを構築する。
(結果)
均一製品を大量生産する。
(実施例18:総合システム)
(材料および方法)
耕作放棄地および水田を利用して、ゲノム編集により作製した高タンパク質含有イネを栽培し、得られるイネおよびその加工残渣を、凍結・乾燥させ、粉砕し、粉砕レベルにより分級し、成分精製後、それぞれの成分をカートリッジに充填し殺菌する。得られるカートリッジをAIフード調理器に供し、生鮮食品(無菌)の3D立体組織構造、香等を再現する。
(結果)
テーラーメード型食品を提供する。
(実施例19:総合システム)
(材料および方法)
香気、味覚、食感、組織を含む嗜好性粉等高度分析ビッグデータならびに高度化・省力化された加工技術を使用し、おいしさが精密制御された食品をAIフードプリンター、自己組織化シートの積層加工等で作製する。
(結果)
ニーズ対応型ミクロンオーダー加工が可能となる。
粉粒体の栄養機能・加工適性・最終加工品品質に関する情報が付与されていることにより、3Dプリンタ等での自動調理が容易になる。例えば、粒度のデジタル情報が付与されていれば、その粒度に適合した3Dプリンタの機種とのマッチングがし易い。粘度については水と粉粒体を混合したときの濃度や混練した時の粘度が予め分かって入れば、プリンタ内で水を混合して所定の粘度を再現でき、さらに粘度が安定することにより装置内での定量供給等ハンドリングが容易となる。融点については、例えば、澱粉を糊状に変換してノズル先端から突出させる場合、澱粉の融点が予め分かっていればそのデータを基にノズル部を自動で所定の温度まで加熱することができる。また加工前とプリンタ等で実際加工したときの情報(加熱前の粘度、加工中の加熱温度履歴、成形物の形状、加工後の食感等)が紐付けされていれば、さらに自動調理や学習調理が容易になる。例えば、粉粒体に水を加えた場合の濃度別の粘度、融点、加熱調理条件、加熱調理後の食感(機器測定や官能検査による)等のデジタルデータが紐付けされていれば、好みの食感をリクエストした場合に自動で混合する水の量を計算して所定の濃度や所定の粘度の生地に成形し、また所定の融点・加熱履歴で所定の食感に仕上げることが可能になる。
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願及び他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本出願は、日本国特許庁に、2019年10月23日に出願された特願2019−192924および2020年9月11日にに出願された特願2020−153014に対する優先権主張を伴うものであり、その内容は、その全体が本願において参考として援用される。
本開示は、パーソナライズド食品の再構築を可能とする。生物資源(ウナギ、マグロなど)への過度の負担が軽減され、その素材となる農畜水産物はほぼ全ての部位の利用が可能になるため、フードロスゼロ社会の実現に大きく貢献することができる。さらに、これら農畜水産物を乾燥粉体とすることで、常温で長期保存が可能となり、今まで懸念されていた収穫あるいは加工後における劣化の問題が解決され、廃棄食品ゼロの実現が可能になるとともに、冷凍冷蔵庫の利用が減少することで、エネルギーの削減、さらには(温室効果ガス(例えば、CO)削減に貢献できる。

Claims (70)

  1. (A)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに
    (B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程
    を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法。
  2. (X)飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する工程、
    (A)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを提供する工程、ならびに
    (B)該原料および/または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料および/または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置する工程
    を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造する方法。
  3. (BB)該規格化加工のための規格情報をコードする識別子を該カートリッジに付与する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記飲食品構成要素は、飲食品、味成分、香り成分、機能性成分、栄養成分、微生物、および酵素から選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. (C)所望の規格に適合した、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの1または複数のカートリッジを提供する工程、
    (D)飲食品の情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する工程、ならびに
    (E)該飲食品の情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する工程
    を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造方法。
  6. 前記カートリッジは規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記(X)の規格化加工工程が、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性を、所望の値になるよう加工することを含むか、または(C)のカートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工される、請求項2〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記飲食品構成要素を加工する工程をさらに包含する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記飲食品構成要素の加工は発酵、乾燥、粉砕、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応および混合からなる群より選択される少なくとも1つの単位操作を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記飲食品の製造は、加工調理器および/または3Dプリンタを用いることを含む、請求項5〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記加工調理器および/または3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記加工調理器および/または3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストおよび流体で飲食品を再構成することを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記粉粒体および/またはペーストは、液体および/または気体を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記液体は水を含み、および/または前記気体はファインバブルを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体および流体の添加のタイミングを最適に制御することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成することを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記加工調理器および/または3Dプリンタは、
    (a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
    (b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
    (c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
    (d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感、味および/または香りを適切に制御し、
    (e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
    (f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラムをクラウド上からダウンロードして3Dプリンタおよび/または加工調理器に組み込むこと
    の少なくとも1つの機能を含む、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記カートリッジは、前記粉粒体もしくはペーストを含むことを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記粉粒体は、乾燥もしくは水分が少ないことを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記飲食品の情報は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報に関する情報、および既存の料理に関する情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記被提供対象の情報は、該被提供対象の嗜好および健康情報(ヒトの嚥下障害やテクスチュアー認知情報をも含む)の少なくとも1つを含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記レシピ情報は、前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関する情報を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記粉粒体の粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御することを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記粉粒体は、表面が化学修飾されることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記原料または粉粒体もしくはペーストは、高度に精製された原料を使用して得ることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記原料または粉粒体もしくはペーストは、天然由来の原料を使用して得ることを特徴とする、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力することを特徴とする、請求項5〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記被提供対象は、ヒトまたは動物を含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. (X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
    (Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と
    を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステム。
  32. (V)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する、規格化加工部と、
    (X)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
    (Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と
    を含む、飲食品構成要素のカートリッジを製造するシステム。
  33. (X)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
    (Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、
    (Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、
    (W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部と
    を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システム。
  34. (V)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを規格化加工する、規格化加工部と、
    (X)該規格化加工された飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを提供する原料・粉粒体提供部と、
    (Y)該原料または粉粒体もしくはペーストから、必要に応じて、所望の規格に適合したものを選択し、該選択した原料または粉粒体もしくはペーストを1または複数のカートリッジに配置するカートリッジ製造部と、
    (Z)飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報からなる群より選択される少なくとも1つを提供する情報提供部と、
    (W)該構造情報、該被提供対象情報および該レシピ情報の少なくとも1つに基づき、飲食品を製造する飲食品製造部と
    を包含する、被提供対象に適した飲食品の製造システム。
  35. 前記カートリッジは規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、請求項31〜34のいずれか一項に記載のシステム。
  36. (Z)該規格化加工のための規格情報をコードする識別子を該カートリッジに付与する付与部をさらに含む、請求項31〜35のいずれか一項に記載のシステム。
  37. 前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、請求項35または36に記載のシステム。
  38. 前記(V)の規格化加工部が、前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性を、所望の値になるよう加工する加工部を含むか、または前記カートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工する加工部を含む、請求項32および34〜37のいずれか一項に記載のシステム。
  39. 前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される、請求項38に記載のシステム。
  40. 前記飲食品構成要素を加工する構成要素加工部をさらに備える、請求項231〜39のいずれか一項に記載のシステム。
  41. 前記構成要素加工部は発酵、乾燥、粉砕、微粉砕、分級、凍結、圧力、加熱、反応、混合等単位操作からなる群より選択される少なくとも1つ機能を備える、請求項40に記載のシステム。
  42. 前記飲食品製造部は、加工調理器および/または3Dプリンタを含む、請求項33または34に記載のシステム。
  43. 前記3Dプリンタは、加圧変成、加熱および混合の少なくとも一つを先端部分で実現する機能を有する、請求項42に記載のシステム。
  44. 前記3Dプリンタは、前記粉粒体もしくはペーストの組合せ、流体の添加量、ならびに前記粉粒体もしくはペーストおよび流体の添加のタイミングを最適に制御する機能を有する、請求項42または43に記載のシステム。
  45. 前記3Dプリンタは、ノズルからの吐出積層、表面張力およびスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散からなる群より選択される事項の少なくとも1つ以上の組み合わせにより、飲食品を再構成する機能をさらに備える、請求項42〜44のいずれか一項に記載のシステム。
  46. 前記加工調理器および/または3Dプリンタは、
    (a)必要に応じて加熱または冷却を行い、
    (b)前記原料または粉粒体もしくはペーストに流体を混合して目的の粘度を有する流動性物質に変換し、
    (c)ノズルから金型等受け皿に充填しながら加熱等により成分を変性・硬化させながら立体構造を構築し、
    (d)必要に応じて、部分的に他の流動性物質や液体・気体等を正確に注入しながら食感、味、香り等を適切に制御し、
    (e)要求される栄養・嗜好特性を有する飲食品を構築し、
    (f)構築に必要とされる、3D食品の食材、栄養、嗜好、安全、健康等の情報に基づいた設計プログラムをクラウド上からダウンロードして3Dプリンタおよび/または加工調理器に組み込むこと
    を実現する少なくとも1つの機能をさらに有する、請求項42〜45のいずれか一項に記載のシステム。
  47. 粒径および粒径分布を所望の値または範囲に制御する機能および/または化学修飾する機能を有する粉粒体改変部をさらに備える、請求項30〜46のいずれか一項に記載のシステム。
  48. 前記飲食品製造部は、前記飲食品の製造において、前記原料または粉粒体もしくはペーストの情報と、前記飲食品の構造情報、被提供対象情報およびレシピ情報とを、必要に応じて人工知能で分析することで、被提供対象の健康または嗜好に適合する飲食品のレシピを出力する機能を有する、請求項32〜47のいずれか一項に記載のシステム。
  49. 前記情報提供部は、該飲食品の立体構造、成分含量、分布情報および/または安全性情報に関する情報、既存の料理に関する情報、飲食品に関する情報、該被提供対象の嗜好および健康情報の少なくとも1つを含む被提供対象、ならびに前記被提供対象が有する調理環境の情報に基づき利用可能なレシピに関するレシピ情報の少なくとも1つを提供する、請求項30〜48のいずれか一項に記載のシステム。
  50. 飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジであって、該原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストは、所望の規格に適合したものである、飲食品構成要素カートリッジ。
  51. 前記カートリッジは規格ならびに原料および/またはその粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、請求項50に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  52. 前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである、請求項50または51に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  53. 前記識別子は、農産物の製造プロセス情報、前記原料および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性、前記原料および/またはその粉粒体もしくはペーストのそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報からなる群より選択される少なくとも1種の情報を含む、請求項50〜53のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  54. 前記原料および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性は、粉体測定方法、加工特性方法および加工特性からなる群より選択される、請求項53に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  55. 前記識別子は、融点、密度、粒度および粘度の少なくとも1つを含み、前記識別子は該融点、密度、粒度および粘度に基づいて、加工されるべき調理加工に関する情報をさらに含む、請求項53または54に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  56. 前記識別子に格納される情報は、規格化されている、請求項53〜55のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  57. 前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、請求項51〜56のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  58. 前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、所望の値になるよう加工されているか、または前記カートリッジに含められる原料、粉粒体またはペーストが所望の値を含むように加工されている、請求項50〜57のいずれか一項に記載の飲食品構成要素カートリッジ。
  59. 飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリであって、該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択される、飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリ。
  60. 前記カートリッジの内容物は前記粉粒体もしくはペーストである、請求項59に記載のライブラリ。
  61. 前記カートリッジに含まれる前記粉粒体またはペースト中の粒子は粒径および粒径分布が所望の値に制御され、および/または表面化学修飾されたものである、請求項60に記載のライブラリ。
  62. 前記ライブラリは、所望の飲食品のレシピに適合した粒径、粒径分布および表面化学修飾の少なくとも1つについて所望の値のものを含む、請求項61に記載のライブラリ。
  63. (a)飲食品構成要素の原料、またはその粉粒体もしくはペーストを含む飲食品構成要素カートリッジの組合せライブラリと
    (b)3Dプリンタと
    を備える、自動調理器であって、
    該ライブラリは、所望の規格に適合したものの範囲を網羅するように、個々のカートリッジが選択され、
    該3Dプリンタは、飲食品の製造レシピに関する情報を備え、
    該所望の規格は該飲食品の製造レシピと連携して規定される、
    自動調理器。
  64. 前記製造レシピは、
    a)粉粒体またはペースト、および流体の組み合わせで、飲食品を再構成し、
    b)該粉粒体またはペーストおよび該流体の組み合わせおよび添加量、タイミングを最適に制御し、
    c)ノズルからの吐出積層、表面張力やスピンコーティング、自己組織化等による薄膜化、エマルションまたはファインバブルによる成分の分散、等を組み合わせ、飲食品を再構成し、
    d)c)の操作段階で必要に応じて加熱・冷却を行い、原料のごく一部を調理・変成させながら飲食品を喫食可能な大きさの組織へ再構成することを特徴とする、
    請求項63に記載の自動調理器。
  65. 前記飲食品は、食品である、請求項63または64に記載の自動調理器。
  66. 前記カートリッジは規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報を示す識別子を含む、請求項63〜65のいずれか一項に記載の自動調理器。
  67. 前記識別子はバーコード、タグ、RFID、QRコード(登録商標)、URLからなる群より選択される、請求項66に記載の自動調理器。
  68. 前記規格ならびに要素または粉粒体もしくはペーストの情報は、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの製造プロセス情報、飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特定ならびに/または粉粒体・ペーストそれぞれを成形・加工したモデル製品の情報を含む、請求項66または67に記載の自動調理器。
  69. 前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの製造プロセス情報が、ブランチング、凍結、粉砕および乾燥からなる群より選択される、請求項68に記載の自動調理器。
  70. 前記飲食品構成要素の原料、および/またはその粉粒体もしくはペーストの特性が、粉体測定方法、加工特性方法、加工特性、物性値、栄養度および機能性からなる群より選択される、請求項68に記載の自動調理器。
JP2021536803A 2019-10-23 2020-10-23 新規食材と加工復元法 Active JP7136512B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019192924 2019-10-23
JP2019192924 2019-10-23
JP2020153014 2020-09-11
JP2020153014 2020-09-11
PCT/JP2020/039955 WO2021080000A1 (ja) 2019-10-23 2020-10-23 新規食材と加工復元法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021080000A1 true JPWO2021080000A1 (ja) 2021-11-25
JP7136512B2 JP7136512B2 (ja) 2022-09-13

Family

ID=75620112

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021536803A Active JP7136512B2 (ja) 2019-10-23 2020-10-23 新規食材と加工復元法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7136512B2 (ja)
WO (1) WO2021080000A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230125616A (ko) * 2022-02-21 2023-08-29 주식회사 탑테이블 식료품을 인쇄하는 3d 프린터의 인쇄 품질을 평가하기 위한 방법 및 장치

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004013331A (ja) * 2002-06-04 2004-01-15 Ajinomoto Co Inc メニュ提案システム、方法、およびプログラム
JP2017163916A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 株式会社電通 食品味覚再現システム、食品味覚再現データ変換装置及び食品味覚再現方法
US20180007949A1 (en) * 2016-07-11 2018-01-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Cartridge assembly, cartridge unit, food forming module, and cooking apparatus
CN108402506A (zh) * 2018-05-11 2018-08-17 上海工程技术大学 一种食品3d打印机的智能热电加热喷头

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004013331A (ja) * 2002-06-04 2004-01-15 Ajinomoto Co Inc メニュ提案システム、方法、およびプログラム
JP2017163916A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 株式会社電通 食品味覚再現システム、食品味覚再現データ変換装置及び食品味覚再現方法
US20180007949A1 (en) * 2016-07-11 2018-01-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Cartridge assembly, cartridge unit, food forming module, and cooking apparatus
CN108402506A (zh) * 2018-05-11 2018-08-17 上海工程技术大学 一种食品3d打印机的智能热电加热喷头

Also Published As

Publication number Publication date
JP7136512B2 (ja) 2022-09-13
WO2021080000A1 (ja) 2021-04-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ferdouse et al. The global status of seaweed production, trade and utilization
Rao et al. Valorized food processing by-products in the EU: Finding the balance between safety, nutrition, and sustainability
Lyu et al. Apple pomace as a functional and healthy ingredient in food products: A review
Das et al. Beyond bird feed: Proso millet for human health and environment
Owino et al. Mango fruit processing: Options for small-scale processors in developing countries
Løvdal et al. Valorization of tomato surplus and waste fractions: A case study using Norway, Belgium, Poland, and Turkey as examples
Valoppi et al. Insight on current advances in food science and technology for feeding the world population
Nath et al. Valorization of food waste as animal feed: a step towards sustainable food waste management and circular bioeconomy
Thurber et al. Adoption of Moringa oleifera to combat under-nutrition viewed through the lens of the “Diffusion of Innovations” theory
Chadare et al. Indigenous knowledge and processing of Adansonia digitata L. food products in Benin
Weerasekara et al. Nutrition transition and traditional food cultural changes in Sri Lanka during colonization and post-colonization
Vogliano et al. Dietary agrobiodiversity for improved nutrition and health outcomes within a transitioning indigenous Solomon Island food system
Nurmilah et al. Strategies to reduce salt content and its effect on food characteristics and acceptance: a review
WO2021079999A1 (ja) IoT-AI物流ソリューション
Akoja et al. Functional properties, nutritional and sensory qualities of maize-based snack (kokoro) supplemented with protein hydrolysate prepared from pigeon pea (Cajanus Cajan) seed
Stévant et al. Landing facilities for processing of cultivated seaweed biomass: a Norwegian perspective with strategic considerations for the European seaweed industry
Martínez et al. Physicochemical, sensory and nutritional properties of foods affected by processing and storage
Ong et al. Ethnobotany of the wild edible plants gathered in Ulleung Island, South Korea
Yi et al. Research and Development Status of Prepared Foods in China: A Review
Bhat Future foods: Global trends, opportunities, and sustainability challenges
WO2021080000A1 (ja) 新規食材と加工復元法
WO2021080001A1 (ja) オンサイト需給システム
Swaminathan Agriculture cannot wait: new horizons in Indian agriculture
Batt Responding to the challenges presented by global megatrends
Lorenzo et al. Sustainable production technology in food

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210623

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210623

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220318

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220530

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220825

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7136512

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04