JPWO2020110974A1 - 線維芽細胞増殖因子受容体阻害剤と内分泌療法との併用による内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び予防方法 - Google Patents

線維芽細胞増殖因子受容体阻害剤と内分泌療法との併用による内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び予防方法 Download PDF

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Abstract

FGFR阻害剤(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を用いた、内分泌療法が適用される癌腫瘍の新規な治療方法を提供する。さらに、内分泌療法と併用することを特徴とする、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のための前記化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物、並びに関連する化合物、使用、方法、組み合わせを提供する。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年11月26日に出願された、日本国特許出願第2018−220046号明細書(その開示全体が参照により本明細書中に援用される)に基づく優先権を主張する。本開示は、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び予防に関する。
線維芽細胞増殖因子(FGF;fibroblast growth factor)は幅広い組織で発現が見られ細胞の増殖分化を司る増殖因子の一つである。FGFの生理学的活性は、特異的な細胞表面受容体である線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR;fibroblast growth factor receptor)によって媒介される。FGFRは、受容体型のタンパク質チロシンキナーゼファミリーに属し、細胞外リガンド結合ドメイン、1回膜貫通ドメイン及び細胞内チロシンキナーゼドメインから構成されており、これまでに4種類のFGFRが同定されている(FGFR1、FGFR2、FGFR3及びFGFR4)。FGFRは、FGFの結合によって二量体を形成し、リン酸化により活性化される。受容体の活性化は、下流の特定のシグナル伝達分子の動員及び活性化を誘導し、生理機能を発現する。FGF/FGFRシグナル伝達の異常は、ヒトの各種腫瘍との関連性について報告がある。ヒトの腫瘍におけるFGF/FGFRシグナルの異常な活性化は、FGFRの過剰発現及び/又は遺伝子増幅、遺伝子変異、染色体転座・挿入・逆位、遺伝子融合又はリガンドであるFGFの過剰産生によるオートクリン又はパラクリン機構に起因するとされている(非特許文献1、2、3及び4)。
乳腺、前立腺等のホルモン応答する組織における腫瘍では、その組織を標的とするホルモン刺激が腫瘍増殖に促進的に働くタイプが存在する。これに着目し、腫瘍へのホルモン刺激を制御することによる治療法が、内分泌療法(ホルモン療法とも呼ばれる)として知られている。例えばエストロゲン受容体陽性乳腫瘍においては、エストロゲン産生器官である卵巣機能の抑制(外科的手法、放射線学的手法又は薬剤投与による)、エストロゲン生成酵素(アロマターゼ)阻害剤及びエストロゲン受容体阻害剤(抗エストロゲン薬)等の内分泌療法の適用が考慮される。また前立腺腫瘍においても、アンドロゲン依存性を有する前立腺腫瘍に対して、テストステロン分泌抑制(産生器官である精巣摘除術又はLH−RHアゴニスト、LH−RHアンタゴニストもしくはエストロゲン剤等の薬剤投与)、及び抗アンドロゲン薬投与等の内分泌療法が知られている。また良性前立腺肥大(Benign Prostate Hyperplasia:BPH)に対しても、抗アンドロゲン薬が用いられる。また卵巣癌に対しても、LH−RHアゴニストが用いられる例がある。
これらホルモン応答組織における腫瘍においてもFGF/FGFRシグナルの異常が見いだされており、腫瘍との関連性が報告されている。ER陽性乳癌患者においては、FGFR1増幅と予後不良の相関が報告されている(非特許文献5)。前立腺癌においては、FGF/FGFR系の異常発現により、複数の下流シグナルが構造的に活性化され癌の進展に関与している(非特許文献6)。また良性前立腺肥大においても間質細胞に局在するFGFR1の過剰発現が報告されている(非特許文献7)。また卵巣癌においても、例えばFGFR1遺伝子の増幅が報告されている(非特許文献1)。
さらにホルモン応答組織癌への内分泌療法については、施行当初は増悪に抑制的な応答を示しても、後にそのような応答を示さなくなる、内分泌療法への耐性と呼ばれる現象が知られており、FGF/FGFR系はこのような内分泌療法耐性への関与について報告されている。例えば乳癌におけるFGFR1遺伝子増幅は、FGFR1過剰発現を生じさせ、リガンド依存及び非依存的にFGFR1下流シグナルを活性化し(非特許文献4)、エストロゲン刺激欠如下でもエストロゲン受容体下流の遺伝子発現を昂進させ、内分泌療法への耐性を生じさせる(非特許文献8)。また前立腺癌においては、アンドロゲン遮断療法に対し、アンドロゲン受容体を発現せずに神経内分泌腫瘍様の分化を伴う耐性化が見られることがあるが、さらにアンドロゲン受容体も発現せず神経内分泌腫瘍の特徴も呈さない表現型(ダブルネガティブ)も見られ、FGF及び下流のシグナル伝達経路の構成的活性化によりアンドロゲン受容体依存性を回避していることが報告されている(非特許文献9)。これらの内分泌療法への耐性への出現に際しては、共通してFGFRシグナル伝達経路の下流のMAPK等の活性化が見いだされている(非特許文献4;非特許文献9)。
内分泌療法が適用される癌において、いくつかのFGFR阻害剤がホルモン剤との併用を対象に臨床開発されている。乳癌について、FGFRキナーゼを含むマルチキナーゼ阻害剤ドビチニブと抗エストロゲン薬であるフルベストラントを併用した第二相試験において、FGF経路が増強された患者小集団において、平均無増悪生存期間(PFS)の中間値は併用群においてはフルベストラント単剤群に比べ有意に改善していた(10.9対5.5ヶ月)(非特許文献10)。また乳癌では、汎FGFR阻害剤AZD4547についてフルベストラントないしアロマターゼ阻害剤エキゼメスタンとの併用群及びフルベストラント及びプラセボ投与群での第二相試験が行われている(NCT01202591)(非特許文献11)。前立腺癌では、ドビチニブとアンドロゲン除去療法との併用の第II相試験(NCT02065323)及びドビチニブとアンドロゲン合成酵素阻害剤アビラテロンとの併用の第II相試験(NCT01994590)が行われている。
FGFR阻害効果を有する二置換ベンゼンアルキニル化合物が報告されており(特許文献1)、これらの化合物が特定のFGFR2変異を持つ癌に有効であること(特許文献2)、投与スケジュールとして間歇投与が有用であり得ること(特許文献3)、抗腫瘍剤との併用により癌治療を行いうること(特許文献4)も報告されている。
国際公開WO2013/108809パンフレット 国際公開WO2015/008844パンフレット 国際公開WO2015/008839パンフレット 国際公開WO2017/150725パンフレット
Nat.Rev.Cancer 10:116−129(2010) J. Clin. Oncol. 24, 3664−3671 (2006) Mol. Cancer Res. 3, 655−667 (2005) Cancer Res.70, 2085−2094 (2010) Breast Cancer Res 2007;9:R23 Clin Cancer Res 19:5856−5866(2013) Eur J Endocrinol 145:303−310(2001) Clin Cancer Res 23:6138−6150(2017) Cancer Cell 32:474−489(2017) Breast Cancer Research.19,18(2017) The Breast.37,126−133(2018) Oncotarget. 8:16052−16074(2017)
開示の概要
解決しようとする課題
本開示は、顕著に優れた抗腫瘍効果を示す、FGFR阻害剤を用いた、内分泌療法が適用される腫瘍の新規な治療方法を提供することを課題とする。
本開示においては、内分泌療法が適用される腫瘍に対して、FGFR阻害剤(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与と内分泌療法の併用について検討したところ、同投与又は内分泌療法を単独で用いる場合と比較して、抗腫瘍効果が顕著に増強することが見出された。
すなわち本開示は、ある態様では、次の[A1]〜[A16]、[B1]〜[B14]、[C1]〜[C14]、[D1]〜[D14]、及び[E1]〜[E14]を提供するものである。
[A1]
内分泌療法と併用して投与されることを特徴とする、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を含む、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のために用いられる医薬組成物。
[A2]
腫瘍が、FGFRを発現している腫瘍である、[A1]に記載の医薬組成物。
[A3]
腫瘍が、FGFRシグナルが活性化している腫瘍である、[A1]又は[A2]に記載の医薬組成物。
[A4]
腫瘍が、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍である、[A1]〜[A3]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A5]
内分泌療法が適用される腫瘍が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び良性前立腺肥大からなる群から選択される、[A1]〜[A4]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A6]
腫瘍が、内分泌療法に対して耐性である腫瘍である、[A1]〜[A5]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A7]
腫瘍が、FGFR1を発現している乳癌である、[A1]〜[A6]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A8]
腫瘍が、FGFR1遺伝子の増幅を有している乳癌である、[A1]〜[A7]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A9]
内分泌療法が適用される腫瘍が乳癌であり、内分泌療法が、卵巣機能抑制、アロマターゼ阻害剤投与、抗エストロゲン薬投与、及び黄体ホルモン剤投与からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[A1]〜[A8]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A10]
内分泌療法が抗エストロゲン薬投与である、[A9]に記載の医薬組成物。
[A11]
抗エストロゲン薬がタモキシフェンもしくはフルベストラント又はそれらの塩もしくは誘導体である、[A10]に記載の医薬組成物。
[A12]
内分泌療法、及び(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物の投与が、同時に、別々に、又は連続して行われることを特徴とする、[A1]〜[A11]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A13]
内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、[A1]〜[A12]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[A14]
[A1]〜[A13]のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、当該医薬組成物の投与後に内分泌療法が行われる腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、医薬組成物。
[A15]
内分泌療法と併用して、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を有効量、患者に投与することを含む、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防の方法。[A16]
内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防に用いるための、内分泌療法と、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与の組み合わせ。
[B1]
内分泌療法と併用して投与されることを特徴とする、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防における使用のための、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩。
[B2]
腫瘍が、FGFRを発現している腫瘍である、[B1]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B3]
腫瘍が、FGFRシグナルが活性化している腫瘍である、[B1]又は[B2]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B4]
腫瘍が、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍である、[B1]〜[B3]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B5]
内分泌療法が適用される腫瘍が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び良性前立腺肥大からなる群から選択される、[B1]〜[B4]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B6]
腫瘍が、内分泌療法に対して耐性である腫瘍である、[B1]〜[B5]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B7]
腫瘍が、FGFR1を発現している乳癌である、[B1]〜[B6]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B8]
腫瘍が、FGFR1遺伝子の増幅を有している乳癌である、[B1]〜[B7]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B9]
内分泌療法が適用される腫瘍が乳癌であり、内分泌療法が、卵巣機能抑制、アロマターゼ阻害剤投与、抗エストロゲン薬投与、及び黄体ホルモン剤投与からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[B1]〜[B8]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B10]
内分泌療法が抗エストロゲン薬投与である、[B9]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B11]
抗エストロゲン薬がタモキシフェンもしくはフルベストラント又はそれらの塩もしくは誘導体である、[B10]に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B12]
内分泌療法、及び(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与が、同時に、別々に、又は連続して行われることを特徴とする、[B1]〜[B11]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B13]
内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、[B1]〜[B12]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
[B14]
[B1]〜[B13]のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩であって、当該化合物又はその薬学的に許容される塩の投与後に内分泌療法が行われる腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、化合物又はその薬学的に許容される塩。
[C1]
内分泌療法と併用して投与されることを特徴とする、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のために用いられる医薬の製造のための、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の使用。
[C2]
腫瘍が、FGFRを発現している腫瘍である、[C1]に記載の使用。
[C3]
腫瘍が、FGFRシグナルが活性化している腫瘍である、[C1]又は[C2]に記載の使用。
[C4]
腫瘍が、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍である、[C1又は請求項2に記載の使用。
[C5]
内分泌療法が適用される腫瘍が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び良性前立腺肥大からなる群から選択される、[C1又は請求項2に記載の使用。
[C6]
腫瘍が、内分泌療法に対して耐性である腫瘍である、[C1又は請求項2に記載の使用。
[C7]
腫瘍が、FGFR1を発現している乳癌である、[C1又は請求項2に記載の使用。
[C8]
腫瘍が、FGFR1遺伝子の増幅を有している乳癌である、[C1又は請求項2に記載の使用。
[C9]
内分泌療法が適用される腫瘍が乳癌であり、内分泌療法が、卵巣機能抑制、アロマターゼ阻害剤投与、抗エストロゲン薬投与、及び黄体ホルモン剤投与からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[C1又は請求項2に記載の使用。
[C10]
内分泌療法が抗エストロゲン薬投与である、[C9]に記載の使用。
[C11]
抗エストロゲン薬がタモキシフェンもしくはフルベストラント又はそれらの塩もしくは誘導体である、[C10]に記載の使用。
[C12]
内分泌療法、及び(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を含む医薬の投与が、同時に、別々に、又は連続して行われることを特徴とする、[C1]〜[C11]のいずれか1項に記載の使用。
[C13]
内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、[C1]〜[C12]のいずれか1項に記載の使用。
[C14]
[C1]〜[C13]のいずれか1項に記載の使用であって、当該医薬の投与後に内分泌療法が行われる腫瘍患者に対して当該医薬が投与されることを特徴とする、使用。
[D1]
内分泌療法と併用して、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を有効量、患者に投与することを含む、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防の方法。
[D2]
腫瘍が、FGFRを発現している腫瘍である、[D1]に記載の方法。
[D3]
腫瘍が、FGFRシグナルが活性化している腫瘍である、[D1]又は[D2]に記載の方法。
[D4]
腫瘍が、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍である、[D1]〜[D3]のいずれか1項に記載の方法。
[D5]
内分泌療法が適用される腫瘍が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び良性前立腺肥大からなる群から選択される、[D1]〜[D4]のいずれか1項に記載の方法。
[D6]
腫瘍が、内分泌療法に対して耐性である腫瘍である、[D1]〜[D5]のいずれか1項に記載の方法。
[D7]
腫瘍が、FGFR1を発現している乳癌である、[D1]〜[D6]のいずれか1項に記載の方法。
[D8]
腫瘍が、FGFR1遺伝子の増幅を有している乳癌である、[D1]〜[D7]のいずれか1項に記載の方法。
[D9]
内分泌療法が適用される腫瘍が乳癌であり、内分泌療法が、卵巣機能抑制、アロマターゼ阻害剤投与、抗エストロゲン薬投与、及び黄体ホルモン剤投与からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[D1]〜[D8]のいずれか1項に記載の方法。
[D10]
内分泌療法が抗エストロゲン薬投与である、[D9]に記載の方法。
[D11]
抗エストロゲン薬がタモキシフェンもしくはフルベストラント又はそれらの塩もしくは誘導体である、[D10]に記載の方法。
[D12]
内分泌療法、及び(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与が、同時に、別々に、又は連続して行われることを特徴とする、[D1]〜[D11]のいずれか1項に記載の方法。
[D13]
内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、[D1]〜[D12]のいずれか1項に記載の方法。
[D14]
[D1]〜[D13]のいずれか1項に記載の方法であって、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与後に内分泌療法が行われる腫瘍患者に対して当該化合物又はその薬学的に許容される塩が投与されることを特徴とする、方法。
[E1]
内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防に用いるための、内分泌療法と、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与の組み合わせ。
[E2]
腫瘍が、FGFRを発現している腫瘍である、[E1]に記載の組み合わせ。
[E3]
腫瘍が、FGFRシグナルが活性化している腫瘍である、[E1]又は[E2]に記載の組み合わせ。
[E4]
腫瘍が、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍である、[E1]〜[E3]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E5]
内分泌療法が適用される腫瘍が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び良性前立腺肥大からなる群から選択される、[E1]〜[E4]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E6]
腫瘍が、内分泌療法に対して耐性である腫瘍である、[E1]〜[E5]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E7]
腫瘍が、FGFR1を発現している乳癌である、[E1]〜[E6]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E8]
腫瘍が、FGFR1遺伝子の増幅を有している乳癌である、[E1]〜[E7]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E9]
内分泌療法が適用される腫瘍が乳癌であり、内分泌療法が、卵巣機能抑制、アロマターゼ阻害剤投与、抗エストロゲン薬投与、及び黄体ホルモン剤投与からなる群から選択される少なくとも一種を含む、[E1]〜[E8]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E10]
内分泌療法が抗エストロゲン薬投与である、[E9]に記載の組み合わせ。
[E11]
抗エストロゲン薬がタモキシフェンもしくはフルベストラント又はそれらの塩もしくは誘導体である、[E10]に記載の組み合わせ。
[E12]
内分泌療法、及び(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与が、同時に、別々に、又は連続して行われることを特徴とする、[E1]〜[E11]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E13]
内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、[E1]〜[E12]のいずれか1項に記載の組み合わせ。
[E14]
[E1]〜[E13]のいずれか1項に記載の組み合わせであって、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与後に内分泌療法が行われる腫瘍患者に対して当該化合物又はその薬学的に許容される塩投与されることを特徴とする、組み合わせ。
本開示の効果
本開示によれば、高い抗腫瘍効果を奏する腫瘍治療を実現しうる。このような効果には、腫瘍縮小効果、増殖遅延効果が含まれ、ひいては、腫瘍患者の病状の進行の抑制、病態の改善及び長期間の生存をもたらすことができる。
MDA−MB−134VI細胞における化合物1と4−ヒドロキシタモキシフェンとの併用時の細胞増殖への影響を示す。 MDA−MB−134VI細胞における化合物1とフルベストラントとの併用時の細胞増殖への影響を示す。
本開示は、実施形態として、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を含有し、内分泌療法と併用することを特徴とする、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のための医薬組成物、並びに関連する化合物、使用、方法、組み合わせを提供する。
(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オンは、下記の構造を有する二置換ベンゼンアルキニル化合物である。本明細書において、上記化合物を簡便のために「化合物1」と記載する。化合物1は、上記特許文献1国際公開WO2013/108809号において実施例化合物2として記載されている。化合物1は、優れたFGFR阻害作用を有し、FGFR1、FGFR3、FGFR4のそれぞれの受容体タンパク質チロシンキナーゼの基質ペプチド配列中チロシンへのリン酸化能を阻害することが報告されている(特許文献1)。
Figure 2020110974
上記の本開示の医薬組成物における化合物1又はその薬学的に許容される塩は、特に限定するものではないが、例えば国際公開WO2013/108809号(特許文献1)に記載の製造方法に基づき合成することができる。
本開示において、化合物1はそのまま、又は薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。化合物1の薬学的に許容される塩としては、特に限定するものではないが、例えば塩酸、硫酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸等の有機酸との付加塩、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩、エチルアミン塩、アルギニン塩等の有機塩基との塩等が挙げられる。
本開示は、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防に用いることができる。内分泌療法が適用される腫瘍には、内分泌療法の適用により何らかの生物学的応答が見られることが予期される腫瘍が含まれる。ここで何らかの生物学的応答には、例えば当該腫瘍の検体における細胞ないし組織レベルでの指標(例えば増殖速度、染色像)の変化、臨床試験における指標(例えば画像上での腫瘍体積縮小、全生存期間(overall survival; OS)、無増悪生存期間(progression free survival;PFS)、奏効率(response rate;RR))の変化が含まれる。内分泌療法が適用される腫瘍には、内分泌療法を行った結果、何らかの生物学的応答が見られた腫瘍が含まれる。また、内分泌療法が適用される腫瘍には、内分泌療法に対して施行当初は生物学的応答を示していたがその後に内分泌療法に対して生物学的応答が減弱又は消失した、すなわち内分泌療法に耐性の生じた腫瘍が含まれる。
内分泌療法が適用される腫瘍には、良性腫瘍、悪性腫瘍(癌)及び境界悪性腫瘍が含まれる。
内分泌療法が適用される腫瘍には、ホルモン標的組織における腫瘍が含まれる。ホルモン標的組織には、乳房(乳腺)、前立腺、卵巣が含まれる。ホルモンには、性ホルモンが含まれる。内分泌療法が適用される腫瘍には、ホルモン依存性腫瘍が含まれる。性ホルモンには、性ステロイドホルモンが含まれる。
内分泌療法が適用される癌には、乳癌及び前立腺癌が含まれる。内分泌療法が適用される癌には、卵巣癌が含まれる。
本開示は、ある態様においては、原発癌、及び転移・再発癌に対して用いられる。
内分泌療法が適用される良性腫瘍には、良性前立腺肥大(BPH)が含まれる。
本開示における治療とは、疾患の治癒もしくは寛解を目的として、又は病勢の進行もしくは再燃の抑制もしくは症状の緩和を目的として行う処置を含む。治療には、外科的処置の前又は後に行う薬剤の投与が含まれる。治療には、術後療法及び術前療法、また、アジュバント療法及びネオアジュバント療法が含まれる。
本開示における予防とは、内分泌療法が適用される癌に到っていない状態であって内分泌療法が適用される癌を発症することを抑制することを含む。予防には、内分泌療法が適用される癌の発症リスクを有する患者についての内分泌療法が適用される癌の発症のリスク低減を含む。
本開示においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩が内分泌療法と併用されることを特徴とする。「内分泌療法」とは「ホルモン療法」とも呼ばれ、腫瘍へのホルモン刺激を直接的に又は間接的に制御することにより腫瘍の進展の抑制を働きかける、予防及び治療方法である。
乳癌においては、エストロゲンの存在により増悪するものが知られており、これらの乳癌には対応してエストロゲン受容体及び/又はプロゲステロン受容体の発現(ER及び/又はPgR陽性)が見られる。乳癌における内分泌療法はこのエストロゲンの存在による悪性腫瘍増悪を抑制する治療ないし予防方法である。
乳癌における主な内分泌療法を大別すると、卵巣機能抑制(ovarian function suppression: OFS)、アロマターゼ阻害剤の投与、抗エストロゲン薬の投与、及び黄体ホルモン剤の投与がある。
卵巣機能抑制には、例えば、卵巣摘出術を含む外科的処置、放射線照射による卵巣機能廃絶を含む放射線処置、及びLH−RHアゴニストの投与が含まれる。LH−RHアゴニストは、卵巣におけるエストロゲンの生合成を促す下垂体のホルモンの働きを抑え、卵巣におけるエストロゲン産生能を低下させる。LH−RHアゴニストには、例えば、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
アロマターゼ阻害剤は、男性ホルモンからエストロゲンを作るアロマターゼを阻害することで、エストロゲン産生能を低下させる。アロマターゼ阻害剤には、例えば、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
抗エストロゲン薬には、例えば、エストロゲンとエストロゲン受容体との結合を阻害する選択的エストロゲン受容体モジュレータ、及び結合阻害とともにエストロゲン受容体分解促進作用を有する選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターが含まれる。例えば、前者にはタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。例えば後者にはフルベストラント及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
黄体ホルモン剤は、乳癌に対し、抗エストロゲン作用を含む種々の作用を通じて抗腫瘍効果を及ぼす。黄体ホルモン剤には、例えば合成黄体ホルモン剤である酢酸メドロキシプロゲステロン及びこの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
本開示は、ある態様においては、閉経前乳癌に対して用いられる。また本開示は、ある態様においては、閉経後乳癌に用いられる。
本開示は、ある態様においては、エストロゲン受容体及び/又はプロゲステロン受容体陽性(ER及び/又はPgRの陽性)乳癌に用いられる。ER及び/又はPgRの陽性とは、例えば免疫組織化学的方法(IHC法)により、陽性細胞の占有率で判定する方法、又は占有率と染色強度を組み合わせる方法によって判定しうる。占有率で判定する場合、陽性細胞が1個でもあること(any positive cell)を指標とすることができる。また、陽性細胞の占有率1%、又は10%をカットオフの指標とすることもできる。また、染色強度も考慮に入れることができる(Arch Pathol Lab Med. 2010;134(7):e48−72)。ER及び/又はPgRの陽性の判定には、前記に例示した方法と科学的に同様の結果を示しうる方法によっても行いうる。ER及び/又はPgRの陽性乳癌とは、原発時に陽性と判定される乳癌のみならず、転移・再発を含めて乳癌の進展の過程のいずれかの時点で1度でもER及び/又はPgRの陽性と判定される乳癌が含まれる。エストロゲンに対する受容体は2つの高度に相同なアイソフォームERα及びERβが存在し、それぞれ異なる遺伝子ESR1及びESR2によりコードされている(Arch Pathol Lab Med., ibid)が、本明細書で単にエストロゲン受容体又はERと呼ぶ場合、ERα(ESR1遺伝子産物)を意味する。
本開示は、ある態様においては、前立腺癌に対して用いられる。
前立腺癌においては、アンドロゲンの存在により増悪するものが知られており、これらの前立腺癌には対応してアンドロゲン受容体の発現(AR陽性)が見られる。前立腺癌における内分泌療法はこのアンドロゲンの存在による悪性腫瘍増悪を抑制する治療ないし予防方法である。
前立腺癌における主な内分泌療法を大別すると、アンドロゲン依存性を有する前立腺癌に対して、アンドロゲンの一種であるテストステロン分泌抑制(産生器官である精巣摘除術又はLH−RHアゴニスト、LH−RHアンタゴニストもしくはエストロゲン剤等の薬剤投与)、及び抗アンドロゲン薬、アンドロゲン合成阻害薬等の投与等の内分泌療法がある。
LH−RHアゴニストは、下垂体に働き、テストステロンの産生を低下させる。LH−RHアゴニストには、例えば、ゴセレリン、リュープロレリン、ブセレリン及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
抗アンドロゲン薬のメカニズムには、アンドロゲン受容体へのリガンド結合抑制、アンドロゲン受容体の核内移行阻害、アンドロゲン受容体のシグナル抑制効果等、いくつかのものが知られている。抗アンドロゲン薬には、例えば、クロルマジノン酢酸エステル、ビカルタミド、フルタミド、エンザルタミド、ニルタミド、国際公開番号WO2015/182712に開示の化合物、及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
また、内分泌療法には、例えば、アンドロゲン合成経路上の酵素を阻害する、アンドロゲン合成阻害薬が含まれる。このようなアンドロゲン合成阻害薬には、例えば、ケトコナゾール、アミノグルテチド、アビラテロン酢酸エステル及びこれらの塩、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
本開示では、ある態様においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のため、内分泌療法として抗アンドロゲン薬である国際公開番号WO2015/182712に開示の化合物の投与と併用して、投与される。本開示では、ある態様においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のため、内分泌療法として国際公開番号WO2015/182712に開示の化合物以外の抗アンドロゲン薬の投与と併用して、投与される。
上記の内分泌療法における外科的処置、放射線処置及び薬剤の投与はそれぞれ知られており、当業者であればこれらの処置について行うことができる。上記の薬剤の作用機序、投与量及び治療適用対象はそれぞれ知られており、薬剤について必要な情報と共に入手することができる。内分泌療法が薬剤の投与によるものである場合、当業者は有効量の薬剤を投与することができる。
本開示は、ある態様においては、卵巣癌に対して用いられる。ある態様においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、LH−RHアゴニストと併用して、卵巣癌に対して用いられる。
本開示は、ある態様においては、良性前立腺肥大(BPH)に対して用いられる。ある態様においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、抗アンドロゲン薬と併用して、良性前立腺肥大(BPH)に対して用いられる。
本開示は、ある態様においては、FGFRを発現している腫瘍に対して用いられる。ある態様では、FGFRは、FGFR1、FGFR2、FGFR3及びFGFR4からなる群から選択される。ある好ましい態様では、FGFRは、FGFR1である。
FGFRの発現の有無は、当業者にとって既知の手法により検出されうる。遺伝子発現及び遺伝子産物タンパク質の検出は、既知の手法、例えば抗体を用いた手法(免疫組織染色、酵素免疫測定法(ELISA)、フローサイトメトリー、イムノブロッティング等)、核酸を用いた手法(in situ hybridization、PCR、ノーザンブロッティング等)、及びこれらに共通の原理の基礎を置く手法によって行いうる。検出デバイスは、既知のデバイス(Genechip、マイクロアレイ等)によって行いうる。
また本開示は、ある態様においては、FGFRシグナルが活性化している腫瘍に対して用いられる。FGFRは、FGFの結合によって二量体を形成し、リン酸化により活性化され、これにより下流の特定のシグナル伝達分子の動員及び活性化を誘導し、生理機能を発現する。
FGFRシグナルの活性化は、当業者にとって既知の手法により検出されうる。シグナル活性化の検出は、例えばFGFRの基質であるFGFの検出、リン酸化酵素であるFGFRの直接的なリン酸化状態又は酵素活性を含む生物学的活性、もしくはFGFRシグナルカスケード下流に存在する細胞内基質及び細胞内タンパク質のリン酸化状態又は酵素活性を含む生物学的活性、の検出によって行いうる。
また本開示は、ある態様においては、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍に対して用いられる。FGFR遺伝子の異常には、遺伝子増幅、遺伝子変異、染色体転座・挿入・逆位、遺伝子融合が含まれる。腫瘍におけるFGFR遺伝子の異常は、既にいくつかが当業者にとって利用可能な文献に報告されている(非特許文献11、非特許文献12)。FGFR1遺伝子の異常は、当業者にとって既知の方法、例えばパイロシークエンス、NGS(次世代シーケンシング)を含むDNAシーケンシング、アレル特異的PCR連鎖反応を含むPCRに基づく方法、マイクロアレイベースの比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、蛍光in situ hybridization法 (FISH)、発色in situ hybridization法(CISH)等によって検出しうる。
本開示は、ある態様においては、FGFR1遺伝子が増幅している乳癌に対して用いられる。FGFR1遺伝子が増幅している乳癌とは、ゲノム上のFGFR1遺伝子のコピー数が正常細胞よりも多い乳癌をいう。FGFR1遺伝子の増幅は、当業者にとって既知の手法、例えばNGS(次世代シーケンシング)を含むDNAシーケンシング、マイクロアレイベースの比較ゲノムハイブリダイゼーション(aCGH)、蛍光in situ hybridization法 (FISH)、発色in situ hybridization法(CISH)等によって検出しうる。
本開示においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与、及び内分泌療法の2つの処置が併用される。併用とは、一連の治療の中でこの2つの処置が同時に、別々に、又は連続して行われることを指す。従って、本開示は、予め内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して化合物1又はその薬学的に許容される塩を投与する態様を含む。また、本開示は内分泌療法と同時に化合物1又はその薬学的に許容される塩を投与する態様を含む。この際、内分泌療法が薬剤の投与により行われる場合、内分泌療法の薬剤と化合物1又はその薬学的に許容される塩とは単一の医薬品製剤又は単一の投与キットとすることができる。また、本開示は、例えば、予め化合物1又はその薬学的に許容される塩を投与された腫瘍患者に対して内分泌療法を行う態様を含む。内分泌療法が薬剤の投与により行われる場合、内分泌療法の薬剤と化合物1又はその薬学的に許容される塩とを別個に投与する場合の投与間隔は特に限定するものではなく、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び他の抗腫瘍効果を有する化合物又はその薬学的に許容される塩のそれぞれの効果、及び併用効果が最適に発揮されるように選択することができる。
本開示においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与、及び内分泌療法の2つの処置が併用されていることに加え、他の抗腫瘍剤の投与その他の処置を行う態様も包含される。本開示においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与と併用される内分泌療法は、単回行われるものであっても、同一又は異なる内分泌療法が複数回行われるものであってもよい。
本開示では、ある態様では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、併用される内分泌療法による抗腫瘍効果を増強する。本開示では、ある態様では、化合物1又はその薬学的に許容される塩を含む、内分泌療法の抗腫瘍効果増強のために用いられる医薬組成物を提供する。本開示では、ある態様では、内分泌療法の抗腫瘍効果の増強における使用のための、化合物1又はその薬学的に許容される塩を提供する。本開示では、ある態様では、内分泌療法の抗腫瘍効果増強のために用いられる医薬の製造のための、化合物1又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。本開示では、ある態様では、化合物1又はその薬学的に許容される塩を有効量、患者に投与することを含む、内分泌療法の抗腫瘍効果増強の方法を提供する。本開示では、ある態様では、内分泌療法の抗腫瘍効果増強のための、内分泌療法と化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与の組み合わせを提供する。
本開示では、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び内分泌療法に用いられる薬剤は、複数の製剤に分けて製剤化しても良いし、単一の製剤にまとめて製剤化しても良い。また、本開示では、化合物1又は薬学的に許容される塩及び他の抗腫瘍効果を有する化合物又はその薬学的に許容される塩以外の有効成分をさらに含有しても良い。
化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び他の内分泌療法に用いられる薬剤を有効成分として製剤中に含有せしめる場合、各有効成分を、それぞれ必要に応じて薬学的担体と配合し、予防又は治療目的に応じて各種の投与形態を採用可能である。投与形態として、例えば、経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤等が挙げられるが、経口剤が好ましい。経口剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、シロップ剤等の形態とすることができ、特に限定するものではない。これらの投与形態は、各々当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。製剤又は医薬組成物には、投与形態によって、また必要に応じて適切な賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤等の担体を添加することができる。
当業者は化合物1又はその薬学的に許容される塩を有効量患者に投与することができる。上記の各投与単位形態中に配合されるべき化合物1又はその薬学的に許容される塩の量は、これを適用すべき患者の症状により、或いはその剤形等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり、経口剤では0.05〜1000mg、注射剤では0.01〜500mg、坐剤では1〜1000mgとするのが望ましい。
また、化合物1又はその薬学的に許容される塩の1日あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり一概には決定できないが、通常成人(体重60kg)1日あたり化合物1又はその薬学的に許容される塩として約1〜1000mgであり、好ましくは1日あたり約10〜500mgであり、より好ましくは1日あたり約20〜300mgである。
なお、化合物1又はその薬学的に許容される塩の1日あたりの投与量を連日投与する場合、その投与量は、例えば、1日あたり化合物1又はその薬学的に許容される塩として約1〜200mgであり、好ましくは1日あたり2〜100mgであり、より好ましくは1日あたり4〜50mgであり、さらに好ましくは1日あたり10〜40mgである。
なお、化合物1又はその薬学的に許容される塩の1日あたりの投与量を隔日投与する場合、その投与量は、例えば、1日あたり化合物1又はその薬学的に許容される塩として約2〜1000mgであり、好ましくは1日あたり10〜500mgであり、より好ましくは1日あたり20〜200mgであり、さらに好ましくは1日あたり50〜160mgである。
本開示において、化合物1又はその薬学的に許容される塩を含む製剤及び内分泌療法に用いられる薬剤の投与経路は同じであっても良く、又は異なっていても良い。例えば、化合物1又はその薬学的に許容される塩を含む製剤、及び内分泌療法に用いられる薬剤を、共に経口投与とすることができる。あるいはまた、例えば化合物1又はその薬学的に許容される塩を含む製剤を経口投与とし、内分泌療法に用いられる薬剤を静脈内注射とすることもできる。投与経路は、投与される有効成分に応じて、また患者における悪性腫瘍の進行度、患者の全身状態等を考慮して適宜決定することができる。
本開示においては、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、手術前、及び手術後のいずれでも患者に投与することもができ、手術できない患者においても投与することができる。また、本開示には、さらに抗腫瘍効果を高めるための薬剤の投与を含むことができ、また副作用を軽減するための薬剤の投与を含むことができる。
本開示の一態様として、例えば乳癌の治療のために、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、LH−RHアゴニスト、アロマターゼ阻害剤、抗エストロゲン薬及び/又は黄体ホルモン剤とを併用することができ、両薬剤を有効成分として、あるいは本開示に記載する医薬組成物の有効成分としていずれも経口投与することができる。
本開示の一態様として、例えば前立腺癌の治療のために、化合物1又はその薬学的に許容される塩と、LH−RHアゴニスト、LH−RHアンタゴニスト、エストロゲン剤、抗アンドロゲン薬及び/又はアンドロゲン合成阻害薬とを併用することができ、両薬剤を有効成分として、あるいは本開示に記載する医薬組成物の有効成分としていずれも経口投与することができる。
化合物1又はその薬学的に許容される塩と、内分泌療法に用いられる薬剤との投与若しくは配合割合は、抗腫瘍効果を奏する範囲であれば特に制限されないが、例えば、他の抗腫瘍効果を有する化合物1モルに対して、化合物1又はその薬学的に許容される塩をフリー体として0.001〜1000モル程度、好ましくは0.01〜100モル程度とすればよい。
例えば、他の抗腫瘍効果を有する化合物が抗エストロゲン薬である場合には、抗エストロゲン薬1モルに対して、化合物1又はその薬学的に許容される塩の好適な使用量範囲は0.001〜10モルであり、好ましくは0.001〜1モルであり、さらに好ましくは0.001〜0.1モルである。
本開示は、化合物1又はその薬学的に許容される塩以外のFGFR阻害剤に対して耐性を有する腫瘍に対しても効果的に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明するが、本開示はこれらによって何ら限定されるものではない。本開示は実施例により十分に説明されているが、当業者により種々の変更及び修飾が可能であろうことは理解される。したがって、そのような変更及び修飾が本開示の範囲を逸脱するものでない限り、それらは本開示に包含される。実施例で用いた各種試薬は、特に記載の無い限り市販品を使用した。
[実施例1:インビトロにおける化合物1と4−ヒドロキシタモキシフェンないしフルベストラントとの併用による細胞増殖抑制効果の評価](combination index)
A 材料及び方法
ヒト乳癌細胞株T47D(大日本製薬株式会社)は、British Jounal of Cancer(2006)94,661−671 を参考に、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640培地にて培養した。細胞は、37℃、5% CO条件下で維持し、1週当たり1〜2回、1:5〜1:20の比率で継代維持した。ヒト乳癌細胞株MDA−MB−134VI(アメリカンタイプカルチャーコレクション)は、British Jounal of Cancer(2006)94,661−671を参考に、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640培地にて培養した。細胞は、37℃、5% CO条件下で維持し、1週当たり1〜2回、1:2〜1:3の比率で継代維持した。
細胞生存率アッセイ
細胞生存率の測定は、CellTiter−Glo2.0(プロメガ)を用いて実施した。細胞を常法により回収後、1%ウシ胎仔血清(Chacoal Stripped)、0.5ng/mLエストラジオール及び25ng/mL ヒトFGF2を含むRPMI−1640(フェノールレッドフリー)培地に懸濁し、96ウェルウルトラローアタッチメントプレートに播種した。播種数は1ウェルあたり500個/80μLとした。37℃、5% COで24時間インキュベートしたのち、薬液を含む培地を10μL添加した。薬液は、Vehicle(DMSO)群、化合物1、タモキシフェン及びフルベストラント各単剤の各希釈系列で準備し、実験はVehicle群、化合物1、タモキシフェン及びフルベストラント各単剤群、及びその併用群(化合物1+Vehicle、化合物1+タモキシフェン、化合物1+フルベストラント))の計7群にて実施した。化合物1の濃度は、1μMを最大終濃度とし、10倍希釈系列で5濃度を設定した。4−ヒドロキシタモキシフェン及びフルベストラントは、10μMを最大濃度とする10倍希釈系列を、それぞれ4濃度ずつ設定した。細胞への薬剤添加後、37℃、5% COでさらに120時間インキュベートした。実験は2連(1処理群につき2ウェル)で行った。細胞生存率は、1ウェルあたり100μLのCellTiter−Glo2.0液を添加し、30分間室温でインキュベートしたのち、各ウェルの化学発光量をプレートリーダー(Enspire)で測定することで算出した。薬剤添加時の細胞生存率は、次式に従い、コントロール群を100%とした場合の比率として算出し、2ウェルの各データの平均値を解析に用いた。
細胞生存率(%)=(薬剤添加時の化学発光量)
/(コントロール群の化学発光量)×100
Fa(Fraction of Affect)値は、細胞生存率の100分の1の値を1から減算することにより算出した。
次に、薬剤の各組み合わせ濃度におけるコンビネーションインデックス(CI)値を決定した。2薬剤の併用効果の有無の判定は、CIの値が1を超える場合、1に等しい場合、又は1未満の場合に、それぞれ、拮抗、相加又は相乗作用を示すと判断した(表1、Pharmacol Rev. 2006;58(3):621−81、 BMC Complement Altern Med. 2013;13:212.、Anticancer Res. 2005;25(3B):1909−17.)。
Figure 2020110974
また、T47D細胞及びMDA−MB−134VI細胞において化合物1と4−ヒドロキシタモキシフェンないしフルベストラントの濃度の組み合わせによって算出されたFa値から、Fa=0.5(ED50に対応)、0.75(ED75に対応)、0.9(ED90に対応)となるような両薬剤の濃度の組み合わせを抽出し、CalcuSyn(株式会社ヒューリンクス)による線形曲線フィッティングへ供して、CIを得た。
B 結果
FGFR1を発現するT47D乳癌細胞株及びFGFR1遺伝子増幅を有するMDA−MB−134VI乳癌細胞株において、化合物1と4−ヒドロキシタモキシフェンとの併用は、実施した4濃度比率のいずれの組み合わせにおいても相乗効果が認められた(表2)。下記の表2に、4−ヒドロキシタモキシフェンと化合物1との比率を1:1、10:1、100:1、1000:1とした場合のそれぞれのコンビネーションインデックス値を、併用時の細胞増殖抑制効果が50%、75%及び90%を示した時点(ED50、ED75、及びED90)毎に示す。
Figure 2020110974
[実施例2:インビトロにおける化合物1と4−ヒドロキシタモキシフェンないしフルベストラントとの併用による細胞増殖抑制効果の評価]
A 材料及び方法
ヒト乳癌細胞株MDA−MB−134VI(アメリカンタイプカルチャーコレクション)は、British Jounal of Cancer(2006)94,661−671を参考に、10%ウシ胎仔血清を含むRPMI−1640培地にて培養した。細胞は、37℃、5% CO条件下で維持し、1週当たり1〜2回、1:2〜1:3の比率で継代維持した。
細胞生存率アッセイ
細胞生存率の測定は、CellTiter−Glo2.0(プロメガ)を用いて実施した。細胞を常法により回収後、1%ウシ胎仔血清(Chacoal Stripped)、0.5ng/mLエストラジオール及び25ng/mL ヒトFGF2を含むRPMI−1640(フェノールレッドフリー)培地に懸濁し、96ウェルウルトラローアタッチメントプレートに播種した。播種数は1ウェルあたり500個/80μLとした。37℃、5% COで24時間インキュベートしたのち、化合物1、4−ヒドロキシタモキシフェンないし、フルベストラント並びに対照としていずれの薬剤も含まないVehicle(DMSO)を含む培地を10μL添加した。化合物1は0.1μM、4−ヒドロキシタモキシフェンは1μM及びフルベストラントは0.1μMを最大濃度として設定した。細胞への薬剤添加後、37℃、5% COでさらに120時間インキュベートした。実験は3連(1処理群につき3ウェル)で行った。細胞生存率は、1ウェルあたり100μLのCellTiter−Glo2.0液を添加し、30分間室温でインキュベートしたのち、各ウェルの化学発光量をプレートリーダー(Enspire)で測定することで算出した。薬剤添加時の細胞生存率は、次式に従い、コントロール群を100%とした場合の比率として算出し、3ウェルの各データの平均値を解析に用いた。
細胞生存率(%)=(薬剤添加時の化学発光量)
/(コントロール群の化学発光量)×100
B 結果
化合物1(0.1μM)、4−ヒドロキシタモキシフェン(1μM)及びフルベストラント(0.1μM)での処理は、MDA−MB−134VI細胞の増殖を各々単独で抑制し、判定日におけるT/C((treated(処理群)/control(対照群))(%)は、35%、65%及び75%であった。これに対して、0.1μMの化合物1と1μMの4−ヒドロキシタモキシフェンの組み合わせでの併用処理、0.1μMの化合物1と0.1μMのフルベストラントの組み合わせでの併用処理は、各薬剤単独での処理に比べ細胞増殖を更に抑制し、それぞれのT/C(%)は7%及び16%であった。
化合物1と4−ヒドロキシタモキシフェン又はフルベストラントを併用した際の細胞増殖抑制効果は、各薬剤を単独で処置した際の効果を指標に計算的に予測(Bliss法、Ann Appl Biol. 1939;26:585−615)された両薬剤の併用効果(T/C=23%及び27%)を上回っていたことから、相乗的な併用効果を示すことが明らかとなった(P<0.05;Student’s t検定)。(図1A及びB)

Claims (18)

  1. 内分泌療法と併用して投与されることを特徴とする、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を含む、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のために用いられる医薬組成物。
  2. 腫瘍が、FGFRを発現している腫瘍である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 腫瘍が、FGFRシグナルが活性化している腫瘍である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 腫瘍が、FGFR遺伝子の異常を有している腫瘍である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 内分泌療法が適用される腫瘍が、乳癌、前立腺癌、卵巣癌及び良性前立腺肥大からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 腫瘍が、内分泌療法に対して耐性である腫瘍である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 腫瘍が、FGFR1を発現している乳癌である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 腫瘍が、FGFR1遺伝子の増幅を有している乳癌である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 内分泌療法が適用される腫瘍が乳癌であり、内分泌療法が、卵巣機能抑制、アロマターゼ阻害剤投与、抗エストロゲン薬投与、及び黄体ホルモン剤投与からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 内分泌療法が抗エストロゲン薬投与である、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 抗エストロゲン薬がタモキシフェンもしくはフルベストラント又はそれらの塩もしくは誘導体である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 内分泌療法、及び(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物の投与が、同時に、別々に、又は連続して行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  13. 内分泌療法が行われた腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、当該医薬組成物の投与後に内分泌療法が行われる腫瘍患者に対して投与されることを特徴とする、医薬組成物。
  15. 内分泌療法と併用して投与されることを特徴とする、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防における使用のための、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩。
  16. 内分泌療法と併用して投与されることを特徴とする、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防のために用いられる医薬の製造のための、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の使用。
  17. 内分泌療法と併用して、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩を有効量、患者に投与することを含む、内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防の方法。
  18. 内分泌療法が適用される腫瘍の治療及び/又は予防に用いるための、内分泌療法と、(S)−1−(3−(4−アミノ−3−((3,5−ジメトキシフェニル)エチニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)ピロリジン−1−イル)プロパ−2−エン−1−オン又はその薬学的に許容される塩の投与の組み合わせ。
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