JPWO2020070968A1 - 鋼管用ねじ継手 - Google Patents

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Abstract

焼き付きを抑制しかつ内圧及び外圧シール性能に優れるねじ継手を提供する。ねじ継手1はピン10及びボックス20を備える。ピン10は、ピンリップ11、ピンメタルシール13、円筒状内切削面14を含む。ピンメタルシール13は、ピンシールテーパ面16及びピンシール曲率面17を含む。ボックス20は、ピンシールテーパ面16と平行なボックスメタルシール22を含む。ピンメタルシール13は、シールポイントSPでボックスメタルシール22とシール接触する。ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。Lはピンリップ11の長さ、Lmはピンの先端APから円筒状内切削面14の終端までの長さ、Lsはピン10の先端APとシールポイントSPとの間の距離、tbは締結時のシールポイントSPにおけるボックス20の肉厚、tpはシールポイントSPにおけるピン10の肉厚である。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)

Description

本開示は、鋼管用ねじ継手に関し、より具体的には、2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手に関する。
例えば、油井や天然ガス井等(以下、総称して「油井」ともいう)の試掘又は生産、オイルサンドやシェールガス等の非在来型資源の開発、二酸化炭素の回収や貯留(CCS(Carbon dioxide Capture and Storage))、地熱発電、あるいは温泉等では、油井管と呼ばれる鋼管が用いられる。鋼管同士の連結には、ねじ継手が用いられる。
この種の鋼管用ねじ継手の形式は、カップリング型とインテグラル型とに大別される。カップリング型の場合、連結対象の一対の管材のうち、一方の管材が鋼管であり、他方の管材がカップリングである。この場合、鋼管の両端部の外周に雄ねじが形成され、カップリングの両端部の内周に雌ねじが形成される。そして、鋼管の雄ねじがカップリングの雌ねじにねじ込まれ、これにより両者が締結されて連結される。インテグラル型の場合、連結対象の一対の管材がともに鋼管であり、別個のカップリングを用いない。この場合、鋼管の一端部の外周に雄ねじが形成され、他端部の内周に雌ねじが形成される。そして、一方の鋼管の雄ねじが他方の鋼管の雌ねじにねじ込まれ、これにより両者が締結されて連結される。
一般に、雄ねじが形成された管端部の継手部分は、雌ねじに挿入される要素を含むことから、「ピン」と称される。一方、雌ねじが形成された管端部の継手部分は、雄ねじを受け入れる要素を含むことから、「ボックス」と称される。これらのピン及びボックスは、管材の端部であるため、いずれも管状である。
油井は、掘削中に坑壁が崩れないように、油井管で坑壁を補強しながら掘り進むため、結果的に油井管が多重に配置された構造になる。近年、油井の高深度化及び超深海化がますます進展しているが、このような環境では、効率よく油井を開発するため、油井管の接続に、継手部の内径及び外径が鋼管の内径及び外径と同程度であるねじ継手が多用される。このようなねじ継手を用いることで、多重に配置される油井管同士の隙間を極力小さくすることができ、深くても井戸の径があまり大きくならず効率的に油井を開発できる。このような内径及び外径の制約の下で、ねじ継手には、内部からの流体圧力(以下、「内圧」ともいう)及び外部からの流体圧力(以下、「外圧」ともいう)に対し、優れたシール性能が要求される。一般に、内圧に対するシール性能は「内圧シール性能」と呼ばれ、外圧に対するシール性能は「外圧シール性能」と呼ばれる。
シール性能を確保するためのねじ継手として、メタル−メタル接触によるシール(以下、「メタルシール」という。)を有するものが知られている。メタルシールとは、ピンのシール面の径がボックスのシール面の径よりも僅かに大きく(この径の差を「シール干渉量」と呼ぶ)、ねじ継手を締結してシール面同士が嵌め合わされると、シール干渉量によりピンのシール面が縮径し、ボックスのシール面が拡径し、それぞれのシール面が元の径に戻ろうとする弾性回復力によってシール面に接触圧力が発生して全周密着し、シール性能を発揮する構造である。
特開2012−247028号公報(特許文献1)は、ピンの偏芯偏肉が解消して安定したシール性を確保しうる鋼管用ねじ継手を開示する(段落[0010]参照)。このねじ継手では、ピン側のノーズ部外周面が外側に凸の曲面形状である。ボックス側のノーズ部内周面がテーパ形状である。ピンは、その外径側及び内径側を切削されてなる。内径側の切削された軸方向長さ範囲である内削長さ範囲の長さが、ピンノーズ先端から、ねじ結合の際にボックス側のノーズ部内周面と最初に接触するピン側のノーズ部外周面上の部位であるシールポイントまでの軸方向長さ以上の長さである。内削長さ範囲内のピンは、同一断面内において偏肉率(=(円周方向最大肉厚-円周方向最小肉厚)/円周方向平均肉厚*100(%))が6%以下である。また、内削長さ範囲の長さが、ピンノーズ先端から、シール部のねじ部側の端であるシール部後端までの軸方向長さ以下の長さである(段落[0011]及び図1参照)。
本明細書は、以下の先行技術文献を引用により援用する。
特開2012−247028号公報 WO2019/082612A1 特開平5−87275号公報(米国特許明細書第5137310号公報) 特表2006−526747号公報
開示の概要
本開示の目的は、締結時の焼き付きを抑制するとともに、内圧シール性能及び外圧シール性能に優れる鋼管用ねじ継手を提供することである。
本開示に係るねじ継手は、2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手であって、鋼管のうち一方の鋼管の先端部に形成される管状のピンと、ピンが挿入されてピンと締結される管状のボックスとを備える。ピンは、ピンの先端部に形成されるピンリップと、ピンリップよりもピンの先端から遠い側であってピンの外周に形成される雄ねじと、ピンリップの外周に形成されるピンメタルシールと、ピンの先端から所定の範囲内であってピンリップの内周に形成され、縦断面において鋼管の軸と平行に形成され、一方の鋼管の内径よりも大きい径を有する円筒状内切削面(cylindrical inner machining surface)と、円筒状内切削面と一方の鋼管の内周面との間であってピンリップの内周に形成され、円筒状内切削面及び一方の鋼管の内周面と接続される逃がし面とを含む。ピンメタルシールは、ピンの先端に近づくにつれて徐々に小さくなる径を有するテーパ状のピンシールテーパ面と、ピンシールテーパ面と滑らかに接続され、縦断面において外側に凸状のピンシール曲率面とを含む。ボックスは、雄ねじに対応し、ボックスの内周に形成される雌ねじと、ピンメタルシールに対向し、ボックスの内周に形成されるボックスメタルシールとを含む。ボックスメタルシールは、ピンシールテーパ面に対向し、ボックスの内周に形成され、締結前にピンシールテーパ面と平行でかつピンシールテーパ面よりも所定のシール干渉量だけ小さい径を有するテーパ状のボックスシールテーパ面を含む。ピンメタルシールは、締結時にピンシールテーパ面とピンシール曲率面との境界でボックスメタルシールとシール接触する。ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)
式(1)中、Lは鋼管の軸方向におけるピンリップの長さである。Lmは鋼管の軸方向におけるピンの先端から円筒状内切削面の終端までの長さである。Lsは鋼管の軸方向におけるピンの先端と上記境界との間の距離である。式(2)中、tbは締結完了時に上記境界と接触する位置におけるボックスの肉厚である。tpは上記境界におけるピンの肉厚である。
本開示に係るもう1つのねじ継手は、2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手であって、鋼管のうち一方の鋼管の先端部に形成される管状のピンと、ピンが挿入されてピンと締結される管状のボックスとを備える。ピンは、ピンの先端部に形成されるピンリップと、ピンリップよりもピンの先端から遠い側であってピンの外周に形成される雄ねじと、ピンリップの外周に形成されるピンメタルシールと、ピンの先端から所定の範囲内であってピンリップの内周に形成され、縦断面において鋼管の軸と平行に形成され、一方の鋼管の内径よりも大きい径を有する円筒状内切削面と、円筒状内切削面と一方の鋼管の内周面との間であってピンリップの内周に形成され、円筒状内切削面及び一方の鋼管の内周面と接続される逃がし面とを含む。ピンメタルシールは、ピンの先端に近づくにつれて徐々に小さくなる径を有するテーパ状のピンシールテーパ面を含む。ボックスは、雄ねじに対応し、ボックスの内周に形成される雌ねじと、ピンメタルシールに対向し、ボックスの内周に形成されるボックスメタルシールとを含む。ボックスメタルシールは、ピンシールテーパ面に対向し、ボックスの内周に形成され、締結前にピンシールテーパ面と平行でかつピンシールテーパ面よりも所定のシール干渉量だけ小さい径を有するテーパ状のボックスシールテーパ面と、ボックスシールテーパ面と滑らかに接続され、縦断面において内側に凸状のボックスシール曲率面とを含む。ピンメタルシールは、締結時にボックスシールテーパ面と前記ボックスシール曲率面との境界でボックスメタルシールとシール接触する。ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)
式(1)中、Lは鋼管の軸方向におけるピンリップの長さである。Lmは鋼管の軸方向におけるピンの先端から円筒状内切削面の終端までの長さである。Lsは鋼管の軸方向におけるピンの先端と締結完了時に上記境界に接触する位置との間の距離である。式(2)中、tbは上記境界におけるボックスの肉厚である。tpは締結完了時に上記境界と接触する位置におけるピンの肉厚である。
図1は、第1実施形態に係るカップリング型ねじ継手の概略構造を示す管軸方向の縦断面図である。 図2は、図1と異なるインテグラル型ねじ継手の概略構造を示す管軸方向の縦断面図である。 図3は、図1又は図2に示されるねじ継手におけるピンの構造を示す管軸方向の縦断面図である。 図4は、図1又は図2に示されるねじ継手におけるボックスの構造を示す管軸方向の縦断面図である。 図5は、図3及び図4に示されるピン及びボックスを締結した時における変形前の形状を示す管軸方向の縦断面図である。 図6は、図3及び図4に示されるピン及びボックスを締結した時における変形後の形状を示す管軸方向の縦断面図である。 図7は、第2実施形態に係るねじ継手におけるピンの構造を示す管軸方向の縦断面図である。 図8は、図7に示される第2実施形態に係るねじ継手におけるボックスの構造を示す管軸方向の縦断面図である。 図9は、図7及び図8に示されるピン及びボックスを締結した時における変形前の形状を示す管軸方向の縦断面図である。 図10は、図7及び図8に示されるピン及びボックスを締結した時における変形後の形状を示す管軸方向の縦断面図である。 ボックス肉厚/ピン肉厚と内圧負荷時のピーク接触圧/締結時のピーク接触圧との関係を示すグラフである。 円筒状内切削面の長さと内圧負荷時のピーク接触圧/締結時のピーク接触圧との関係を示すグラフである。 円筒状内切削面の長さと締結時のピンリップのお辞儀角との関係を示すグラフである。
[焼き付き防止]
ねじ継手のメタルシールにはシール干渉量(嵌め合いしろ)が設けられ、締結中にピンとボックスのシール面同士が高い接触力で接触しながら摺動するとともに、締結完了後も高い接触力を保持し、シール性能を発揮する。耐焼き付き性を左右する因子は、潤滑、表面処理、摺動速度、母相の熱伝導率など多々あるが、なかでも接触摺動中の局所接触圧、つまりシール面のピーク接触圧に大きく左右される。
特殊ねじ継手メーカー各社は、この締結中の局所接触圧をさまざまなデザインの工夫で低減しようとしている。例えば、シール干渉量を低減したり、接触摺動距離を短くするためにシール面の傾き(テーパ面がある場合はそのテーパ角)を大きくしたりするなどである。
しかし、前者は、シール干渉量を小さくしすぎると、締結後の接触力が小さくなりすぎ、シール性能も低下してしまうリスクがある。また後者も、複合荷重下のシール性能、例えば高い圧縮荷重を受けた後に高い引張荷重を受けたときなどにシール接触力の低下量が大きく、シール性能の低下を招くリスクがある。
つまり、シール面の局所接触圧(ピーク接触圧)は、締結中の接触摺動時には低く、締結完了時の摺動を停止した後は高くなるようにすれば、優れた耐焼き付き性とシール性の両立ができると発明者らは考えた。
本発明者らは上記の技術的思想を具現化するシール構造を検討した。その結果、ピンとボックス両方のシール面を同じ傾きを有するテーパ面とし、かつ、ピン及びボックスのいずれか短い方のテーパ面の端部に、当該テーパ面に滑らかに接続する曲率面を配置すれば、締結過程の大半をテーパ面同士が広い幅で接触摺動し、局所接触圧(ピーク接触圧)が低く抑えられて焼き付きが防止できること、締結完了後はピンリップのシール干渉量による「お辞儀変形」で、シールの主接触位置がシールのテーパ面とその端の曲率面との境界に移動し、接触幅が減少することによりピーク接触圧が高くなり、優れたシール性能を得られることを見出した。以下、この締結完了時にシールの主接触位置となる上記境界(シールのテーパ面とその端の曲率面との境界)をシールポイント(SP)と定義する。
上記をより正確にいうと、ピンメタルシールのテーパ面の方がボックスメタルシールのテーパ面よりも短い場合は、ピンメタルシールのテーパ面の端(ピンの先端から遠い側)に、テーパ面と滑らかに接続される曲率面を設ける。反対に、ボックスメタルシールのテーパ面の方がピンメタルシールのテーパ面よりも短い場合は、ボックスメタルシールのテーパ面の端(ボックスの開口に近い側)に、テーパ面と滑らかに接続される曲率面を設ける。
上記のピンリップの「お辞儀変形」とは、シール干渉量により強制的に縮径させられたピンリップが、管軸を含む平面で切断したピンの縦断面において、お辞儀するように内径側に曲げ変形することを指す。
このピンのお辞儀変形のため、ピンメタルシールのテーパ面の角度は、締結前はボックスメタルシールのテーパ面の角度と同じであったとしても、締結過程の特に後半で徐々に角度が大きくなり、締結完了時点ではボックスメタルシールのテーパ面よりも大きな角度になるため、メタルシールのテーパ面とその端の曲率面との境界(シールポイント)で主に接触する。
[外圧シール性能]
メタルシールをピンの雄ねじよりも先端側(ボックスの雌ねじよりも内奥側)に1つ備えるねじ継手に外圧荷重を負荷すると、外圧荷重はねじのすき間を伝って継手内部に侵入するか、又はねじのすき間を埋める潤滑材に作用し、いずれの場合も継手内部のシールポイントのすぐ手前まで外圧荷重の影響が及ぶ。
上記外圧荷重はISO13679やAPI5C5などのねじ継手試験規格では通常、鋼管本体がコラプス変形を生じない大きさに規定されている。しかし、雄ねじやメタルシールなどを設けたピンは通常、鋼管本体よりも肉厚が小さいため、継手内部に侵入した外圧荷重はピン全体を(鋼管本体よりも)大きく縮径させ、最悪はメタルシールが開口してリークが発生する。つまり、高い外圧荷重に対してシール性能を維持するためには、ピンが厚肉であるほどよい。
一方、メタルシールが全周にわたって途切れることなく均一にシール接触するためには、特にピン側のメタルシールにおける肉厚を全周にわたり均一にする必要がある(ボックス側、特にカップリング型のボックス側は通常内外削されるため、円周方向の肉厚のばらつきは小さい)。そのため、特にシームレス鋼管のような内周面の偏心偏肉が大きい鋼管にねじ継手を設ける場合は、ピン先端の内周面を切削し、メタルシールにおける肉厚を均一にする。
しかし、ピン先端の内周面を必要以上に切削してしまうと、外圧シール性能が損なわれるので、ピン先端の内周面の切削には適正な長さが存在すると発明者らは考えた。
[内圧シール性能]
内圧荷重が負荷されると、ピンの特にメタルシールと雄ねじとの間の内周面に負荷された内圧はピンの当該部分を拡径する働きをし、ピンシール面をボックスシール面により強く押し付け、シール接触力を増幅してシール性能を向上させる効果がある。
一方で、ボックスのメタルシールよりも内奥側の内面(カップリング型の場合は両端の継手のメタルシールに挟まれた内周面)に負荷された内圧は、ボックスの当該部分を拡径する働きをし、ボックスシール面をピンシール面から離そうとし、シール接触力を減少してシール性能を低下させる作用をする。
つまり、内圧荷重による上記ピンシールの押し付け効果と、上記ボックスシールの離れようとする作用のいずれが大きいかによって、内圧負荷下のシール性能が良くなるか悪くなるかが決まる。これらの効果、作用の大きさは、ピンシール周辺、ボックスシール周辺の変形のしにくさ(剛性)、つまり肉厚の比で決まると発明者らは考え、内圧シール性能の維持向上のためには好適なピンシールとボックスシールの肉厚比が存在することを本発明者らは見出した。
[本実施形態の概要]
上記の技術思想を具体化するにあたり、シール干渉量によるピンリップのお辞儀変形と外圧荷重によるピンリップの縮径変形をコントロールするのはピンリップの内周面の切削長さであることに発明者らは気づき、弾塑性有限要素法を用いて好適な範囲を鋭意検討した結果、ピンリップの円筒状内切削面の終端を、ピンシールのシールポイントから雄ねじの始端までの間に設けるのがよいことを見出した。
上記を言い直すと、ピンリップの管軸方向の長さをL、ピンシール面のシールポイントのピン先端からの距離をLs、ピン先端から円筒状内切削面の終端までの長さをLmとすると、この好適範囲はL>Lm>Lsである。
発明者らはさらに内圧シール性能の向上効果が顕著であるシールポイントにおけるピンの肉厚tpとシールポイントにおけるボックスの肉厚tbの比を弾塑性有限要素解析で検討したところ、tb/tp>1.6であれば、優れた内圧シール性能が得られることを見出した。
ピン先端から円筒状内切削面の終端までの長さを上記のようにすることにより、ピンシール面は締結中のほとんどにおいてボックスシール面と幅広に接触摺動して局所接触圧が低く抑えられて耐焼き付き性が向上するとともに、締結完了時にピンリップが十分にお辞儀変形をして主接触位置(シールポイント)がピンシール面とその端の曲率面との境界に移動し、接触幅が狭くなるとともに局所接触圧が高くなり、これによりシール性能が向上する。ねじのすき間を伝ってシールポイントの手前まで浸透した外圧はピン全体を縮径しようとするが、ピンの内切削(inner machining)で薄肉になっているのはねじ部よりも先端側であるので、当該部分が外圧で縮径されようとしても、隣接するねじ部の剛性のお蔭で縮径しろを小さく抑えることができ、外圧シール性能の低下を抑えることができる。ピンシールよりもボックスシールの方が相当に肉厚が大きいので、ピンメタルシールと雄ねじとの間の内面に作用する内圧がピンシール面をボックスシール面に押し付ける効果が、ボックスシール面が内圧で拡径する作用よりも勝り、内圧シール性能も向上する。
以上のような知見に基づき、本発明者らは、以下のねじ継手を発明した。
1つの実施形態に係るねじ継手は、2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手であって、鋼管のうち一方の鋼管の先端部に形成される管状のピンと、ピンが挿入されてピンと締結される管状のボックスとを備える。ピンは、ピンの先端部に形成されるピンリップと、ピンリップよりもピンの先端から遠い側であってピンの外周に形成される雄ねじと、ピンリップの外周に形成されるピンメタルシールと、ピンの先端から所定の範囲内であってピンリップの内周に形成され、縦断面において鋼管の軸と平行に形成され、一方の鋼管の内径よりも大きい径を有する円筒状内切削面と、円筒状内切削面と一方の鋼管の内周面との間であってピンリップの内周に形成され、円筒状内切削面及び一方の鋼管の内周面と接続される逃がし面とを含む。ピンメタルシールは、ピンの先端に近づくにつれて徐々に小さくなる径を有するテーパ状のピンシールテーパ面と、ピンシールテーパ面と滑らかに接続され、縦断面において外側に凸状のピンシール曲率面とを含む。ボックスは、雄ねじに対応し、ボックスの内周に形成される雌ねじと、ピンメタルシールに対向し、ボックスの内周に形成されるボックスメタルシールとを含む。ボックスメタルシールは、ピンシールテーパ面に対向し、ボックスの内周に形成され、締結前にピンシールテーパ面と平行でかつピンシールテーパ面よりも所定のシール干渉量だけ小さい径を有するテーパ状のボックスシールテーパ面を含む。ピンメタルシールは、締結完了時にピンシールテーパ面とピンシール曲率面との境界でボックスメタルシールとシール接触する。ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)
式(1)中、Lは鋼管の軸方向におけるピンリップの長さである。Lmは鋼管の軸方向におけるピンの先端から円筒状内切削面の終端までの長さである。Lsは鋼管の軸方向におけるピンの先端と上記境界との間の距離である。式(2)中、tbは締結完了時に上記境界と接触する位置におけるボックスの肉厚である。tpは上記境界におけるピンの肉厚である。
もう1つの実施形態に係るねじ継手は、2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手であって、鋼管のうち一方の鋼管の先端部に形成される管状のピンと、ピンが挿入されてピンと締結される管状のボックスとを備える。ピンは、ピンの先端部に形成されるピンリップと、ピンリップよりもピンの先端から遠い側であってピンの外周に形成される雄ねじと、ピンリップの外周に形成されるピンメタルシールと、ピンの先端から所定の範囲内であってピンリップの内周に形成され、縦断面において鋼管の軸と平行に形成され、一方の鋼管の内径よりも大きい径を有する円筒状内切削面と、円筒状内切削面と一方の鋼管の内周面との間であってピンリップの内周に形成され、円筒状内切削面及び一方の鋼管の内周面と接続される逃がし面とを含む。ピンメタルシールは、ピンの先端に近づくにつれて徐々に小さくなる径を有するテーパ状のピンシールテーパ面を含む。ボックスは、雄ねじに対応し、ボックスの内周に形成される雌ねじと、ピンメタルシールに対向し、ボックスの内周に形成されるボックスメタルシールとを含む。ボックスメタルシールは、ピンシールテーパ面に対向し、ボックスの内周に形成され、締結前にピンシールテーパ面と平行でかつピンシールテーパ面よりも所定のシール干渉量だけ小さい径を有するテーパ状のボックスシールテーパ面と、ボックスシールテーパ面と滑らかに接続され、縦断面において内側に凸状のボックスシール曲率面とを含む。ピンメタルシールは、締結時にボックスシールテーパ面と前記ボックスシール曲率面との境界でボックスメタルシールとシール接触する。ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)
式(1)中、Lは鋼管の軸方向におけるピンリップの長さである。Lmは鋼管の軸方向におけるピンの先端から円筒状内切削面の終端までの長さである。Lsは鋼管の軸方向におけるピンの先端と締結完了時に上記境界と接触する位置との間の距離である。式(2)中、tbは境界におけるボックスの肉厚である。tpは締結完了時に上記境界と接触する位置におけるピンの肉厚である。
好ましくは、ねじ継手は、次の式(3)を満たす。
Lm>Lp (3)
式(3)中、Lpは鋼管の軸方向におけるピンの先端とピンメタルシールの雄ねじ側の端との間の距離である。
ピンはさらに、ピンリップの先端面に形成されるピンショルダを含んでいてもよい。ボックスはさらに、ピンショルダに対向し、締結時にピンショルダと接触するボックスショルダを含んでいてもよい。
ピンシールテーパ面及びボックスシールテーパ面は、締結前に1〜22度のテーパ角を有していてもよい。
ピンシール曲率面又はボックスシール曲率面は、締結前に80mm以下の曲率半径を有していてもよい。
逃がし面は、テーパ状であってもよい。
逃がし面は、締結前に5〜30度のテーパ角を有していてもよい。
以下、鋼管用ねじ継手の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る鋼管用ねじ継手1の概略構成を示す縦断面図である。図1に示されるように、ねじ継手1は、2本の鋼管2を互いに接続するためのものである。ねじ継手1は、管状のピン10と、管状のボックス20とを備える。ピン10は、鋼管2の先端部に形成される。ボックス20は、ピン10が挿入されてピン10と締結される。
図1に示されるねじ継手1はカップリング型であり、カップリング3を備える。カップリング3は、2本の鋼管2を連結する。カップリング3は、2つのボックス20を含む。
ただし、ねじ継手1はインテグラル型でもよい。図2に示されるように、インテグラル型ねじ継手1もまた、2本の鋼管2を互いに接続するためのものであり、ピン10と、ボックス20とを備える。インテグラル型ねじ継手1では、一方の鋼管がピン10を備え、他方の鋼管がボックス20を備える。
図1及び図2において、CLは鋼管2の軸方向(以下、単に「管軸方向」という。)を示す。
図3に示されるように、ピン10は、ピンリップ11と、雄ねじ12と、ピンメタルシール13と、円筒状内切削面14と、逃がし面15とを含む。ピンリップ11は、ピン10の先端部に形成される。雄ねじ12は、ピンリップ11よりもピン10の先端APから遠い側であってピン10の外周に形成される。ピンメタルシール13は、ピンリップ11の外周に形成される。円筒状内切削面14は、ピン10の先端から所定範囲Lm内であってピンリップ11の内周に形成され、縦断面において鋼管2の軸(以下、単に「管軸」という。)と平行に形成され、鋼管2の内径よりも大きい径を有する。逃がし面15は、円筒状内切削面14と鋼管2の内周面18との間であってピンリップ11の内周に形成され、円筒状内切削面14及び鋼管2の内周面18と接続される。
ピンメタルシール13は、ピンシールテーパ面16と、ピンシール曲率面17とを含む。ピンシールテーパ面16は、ピン10の先端APに近づくにつれて徐々に小さくなる径を有し、テーパ状である。ピンシール曲率面17は、ピンシールテーパ面16と滑らかに接続され、縦断面において外側に凸状である。具体的には、ピンシール曲率面17はピンシールテーパ面16と接線方向に接続されていてもよい。より具体的には、接続点において、ピンシール曲率面17の法線とピンシールテーパ面16の法線とが一致するように、ピンシール曲率面17とピンシールテーパ面16とが接続されていてもよい。
図4に示されるように、ボックス20は、雌ねじ21と、ボックスメタルシール22とを含む。雌ねじ21は、雄ねじ12に対応し、ボックス20の内周に形成される。ボックスメタルシール22は、ピンメタルシール13に対向し、ボックス20の内周に形成される。
ボックスメタルシール22は、ボックスシールテーパ面23を含む。ボックスシールテーパ面23は、ピンシールテーパ面16に対向し、ボックス20の内周に形成される。図5に示されるように、ボックスシールテーパ面23は、締結前にピンシールテーパ面16と平行でかつピンシールテーパ面16よりも所定干渉量(2×ΔS)だけ小さい直径を有する。
図6に示されるように、ピンメタルシール13は、締結時にピンシールテーパ面16とピンシール曲率面17との境界SPでボックスメタルシール23とシール接触する。
ねじ継手1は、次の式(1)及び(2)を満たす。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)
式(1)中、Lは、管軸方向CLにおけるピンリップ11の長さである。Lmは、管軸方向CLにおけるピン10の先端APから円筒状内切削面14の終端までの長さである。Lsは、管軸方向CLにおけるピン10の先端APと境界SPとの間の距離である。
式(2)中、tbは締結完了時に境界SPと接触する位置におけるボックス20の肉厚である。tpは、境界SPにおけるピン10の肉厚である。
好ましくは、ねじ継手1は、次の式(3)を満たす。
Lm>Lp (3)
式(3)中、Lpは管軸方向CLにおけるピン10の先端APとピンメタルシール13の雄ねじ12側の端EGとの間の距離である。
本実施形態では、ピン10はさらに、ピンショルダ19を含む。ピンショルダ19は、ピンリップ11の先端面に形成される。ボックス20はさらに、ボックスショルダ29を含む。ボックスショルダ29は、ピンショルダ19に対向し、締結時にピンショルダ19と接触する。ピンシールテーパ面16及びボックスシールテーパ面23は、締結前に1〜22度のテーパ角を有する。ピンシール曲率面17は、締結前に80mm以下の曲率半径を有する。逃がし面15は、テーパ状である。逃がし面15は、締結前に5〜30度のテーパ角を有する。
Lm>Lsとした理由:
鋼管用ねじ継手のメタルシールは、シール干渉量により縮径したピンメタルシールと、拡径したボックスメタルシールが元の直径に戻ろうとする弾性回復力によって全周にわたり密着接触することによりシール性能を発揮する。この弾性回復力の大きさはピン及びボックスそれぞれのシールの剛性に強く関係し、肉厚が厚いほど(変形しにくいほど)弾性回復力は大きく、肉厚が薄いほど(変形しやすいほど)弾性回復力は小さくなる。もし円周方向にメタルシールの肉厚にばらつきがあると、シール接触力も円周方向にばらついて強く接触する部分、弱く接触する部分ができ、弱い部分からリークが発生しやすくなり、シール性能が安定しなくなる。シールを全周均一に密着接触させるためには、(ピン及びボックスのシールのうち肉厚が薄い方となる)ピンシール接触部及びピンシール接触部よりも先端側の肉厚が全周均一であることが必要である。
Lm>Lsとしたのは、上記理由によりピンシール及びピンシールよりも先端側の肉厚を全周均一にしてシール性能を安定させるためである。Lm<Lsであると、特にシームレス鋼管において円周方向の肉厚のばらつきの影響がピンシールに及び、全周均一なシール密着が得られず、シール性能が不安定になる。
[第2実施形態]
図7〜図10に示される第2実施形態に係るねじ継手1は、図3〜図6に示される第1実施形態に係るねじ継手1と以下の点で異なる。すなわち、第1実施形態では、ピンシールテーパ面16はボックスシールテーパ面23よりも短いのに対し、第2実施形態では、ボックスシールテーパ面23はピンシールテーパ面16よりも短い。また、第1実施形態では、ピンメタルシール13が、ピンシールテーパ面16と滑らかに接続され、縦断面において外側に凸状のピンシール曲率面17を含むのに対し、第2実施形態では、ボックスメタルシール22が、ボックスシールテーパ面23と滑らかに接続され、縦断面において内側に凸状のボックスシール曲率面27を含む。
第2実施形態に係るねじ継手1も第1実施形態に係るねじ継手1と同様に、次の式(1)及び(2)を満たす。
L>Lm>Ls (1)
tb/tp>1.6 (2)
式(1)中、Lは、管軸方向におけるピンリップ11の長さである。Lmは、管軸方向CLにおけるピン10の先端APから円筒状内切削面14の終端までの長さである。Lsは、管軸方向CLにおけるピン10の先端APから締結完了時に上記境界SPと接触する位置(SP)との間の距離である。
式(2)中、tbは、上記境界SPにおけるボックス20の肉厚である。tpは、締結完了時に上記境界SPと接触する位置におけるピン10の肉厚である。
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態の効果を確認するため、弾塑性有限要素法による数値シミュレーション解析を実施した。
<試験条件>
弾塑性有限要素解析では、図1に示されるカップリング型ねじ継手を使用した。共通の試験条件は、以下の通りである。
鋼管の寸法:9−5/8インチ、53.5#
(外径:244.48mm、肉厚:13.84mm)
材料グレード:API(American Petroleum Institute)規格L80鋼
(降伏強度:552N/mm、弾性係数:210kN/mm、ポアソン比:0.3)
ねじの形状及び寸法:APIバットレス型の台形ねじ
(荷重面角度:−3度、挿入面角度:10度、雄ねじ高さ:1.978mm、ねじピッチ:6.35mm(4TPI)、ねじテーパ:1/16)
ピンリップの長さ(L):15mm
ピン及びボックスシールテーパ面のテーパ角:15度
ピン及びボックスシール曲率面の曲率半径:5mm
逃がし面のテーパ角:15度
上記共通の試験条件の下で、次の表1に示されるように、17通りのねじ継手(モデル)を作成した。
Figure 2020070968
<評価方法>
解析(1):
ねじ継手の締結シミュレーション解析
ピン及びボックスの締結に際し、ショルダリングからさらに1/100ターン回転させた。
解析(2):
内圧シール性能評価解析
鋼管の降伏強度100%の単純内圧を継手内面(鋼管内面)からメタルシールまでの全表面に負荷した。
解析(3):
外圧シール性能評価解析
API5C3規格のコラプス圧100%の単純外圧を継手外面(鋼管外面)からメタルシールまでの全表面に負荷した。
解析(1)では、締結中の焼き付き易さを評価した。焼き付き易さの指標としては、ピンリップの外周面の特定位置において、締結過程(ショルダリングから1/100ターンまで)で発生する接触圧の積分量Pintegral(接触圧×摺動距離)を用いた。接触圧の積分量Pintegralは、ピンリップの外周面の特定位置で発生する摩擦熱量の指標であり、その値が小さいほど焼き付きリスクが低いとした。
表1に、各モデルのPintegralの最大値を示した。モデル2を除き、モデル1,3〜17は、シールテーパミスマッチが0度、つまりピンシールテーパ面とボックスシールテーパ面が平行である。モデル1,3〜17はモデル2よりもPintegralが低く、焼き付きリスクがモデル2よりも低いことが判明した。
解析(2)では、内圧シール性能を評価した。図11に示されるように、カップリングの外径のみが異なるモデル1,13,17について、内圧負荷時のピーク接触圧を比較すると、モデル1,13はモデル17よりもピーク接触圧が大きく、内圧シール性能に優れることが判明した。
解析(3)では、外圧シール性能を評価した。図12に示されるように、シールポイントの位置Lsとカップリングの外径(C/P OD)が同じモデルについて、外圧負荷時のピーク接触圧をプロットすると、円筒状内切削面の長さLmがピンリップの長さL(=15mm)よりも長いモデル6,8,10,11,15,16は、外圧シール性能が低いことが判明した。
解析(1)と(3)の結果を総合すると、モデル1,4,7,9,13,14はいずれも、図13に示されるように、シール干渉量によるお辞儀角が十分にあり、かつ、外圧負荷時でも高いピーク接触圧を有するので、優れた耐焼き付き性と外圧シール性を併せ持つことが判明した。さらに、解析(2)の結果より、tb/tp>1.6であれば、内圧シール性能も優れることが判明した。
以上の結果より、モデル1,4,7,9,13,14は、他のモデルに比べ、耐焼き付き性に優れ、かつ、内圧シール性及び外圧シール性ともに優れることが判明した。
1:ねじ継手
2:鋼管
10:ピン
11:ピンリップ
12:雄ねじ
13:ピンメタルシール
14:円筒状内切削面
15:逃がし面
16:ピンシールテーパ面
17:ピンシール曲率面
18:鋼管の内周面
19:ピンショルダ
20:ボックス
21:雌ねじ
22:ボックスメタルシール
23:ボックスシールテーパ面
27:ボックスシール曲率面
29:ボックスショルダ
ΔS:シール干渉量
SP:境界(シールポイント)
L:ピンリップの長さ
Lm:ピンの先端から円筒状内切削面の終端までの長さ
Ls:ピンの先端とシールポイントとの間の距離
tb:シールポイントにおけるボックスの肉厚
tp:シールポイントにおけるピンの肉厚

Claims (8)

  1. 2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手であって、
    前記鋼管のうち一方の鋼管の先端部に形成される管状のピンと、
    前記ピンが挿入されて前記ピンと締結される管状のボックスとを備え、
    前記ピンは、
    前記ピンの先端部に形成されるピンリップと、
    前記ピンリップよりも前記ピンの先端から遠い側であって前記ピンの外周に形成される雄ねじと、
    前記ピンリップの外周に形成されるピンメタルシールと、
    前記ピンの先端から所定の範囲内であって前記ピンリップの内周に形成され、縦断面において前記鋼管の軸と平行に形成され、前記一方の鋼管の内径よりも大きい径を有する円筒状内切削面と、
    前記円筒状内切削面と前記一方の鋼管の内周面との間であって前記ピンリップの内周に形成され、前記円筒状内切削面及び前記一方の鋼管の内周面と接続される逃がし面とを含み、
    前記ピンメタルシールは、
    前記ピンの先端に近づくにつれて徐々に小さくなる径を有するテーパ状のピンシールテーパ面と、
    前記ピンシールテーパ面と滑らかに接続され、縦断面において外側に凸状のピンシール曲率面とを含み、
    前記ボックスは、
    前記雄ねじに対応し、前記ボックスの内周に形成される雌ねじと、
    前記ピンメタルシールに対向し、前記ボックスの内周に形成されるボックスメタルシールとを含み、
    前記ボックスメタルシールは、
    前記ピンシールテーパ面に対向し、前記ボックスの内周に形成され、締結前に前記ピンシールテーパ面と平行でかつ前記ピンシールテーパ面よりも所定のシール干渉量だけ小さい直径を有するテーパ状のボックスシールテーパ面を含み、
    前記ピンメタルシールは、締結完了時に前記ピンシールテーパ面と前記ピンシール曲率面との境界で前記ボックスメタルシールとシール接触し、
    次の式(1)及び(2)を満たす、ねじ継手。
    L>Lm>Ls (1)
    tb/tp>1.6 (2)
    式(1)中、
    Lは前記鋼管の軸方向における前記ピンリップの長さであり、
    Lmは前記鋼管の軸方向における前記ピンの先端から前記円筒状内切削面の終端までの長さであり、
    Lsは前記鋼管の軸方向における前記ピンの先端と前記境界との間の距離であり、
    式(2)中、
    tbは締結完了時に前記境界と接触する位置における前記ボックスの肉厚であり、
    tpは前記境界における前記ピンの肉厚である。
  2. 2本の鋼管を互いに接続するためのねじ継手であって、
    前記鋼管のうち一方の鋼管の先端部に形成される管状のピンと、
    前記ピンが挿入されて前記ピンと締結される管状のボックスとを備え、
    前記ピンは、
    前記ピンの先端部に形成されるピンリップと、
    前記ピンリップよりも前記ピンの先端から遠い側であって前記ピンの外周に形成される雄ねじと、
    前記ピンリップの外周に形成されるピンメタルシールと、
    前記ピンの先端から所定の範囲内であって前記ピンリップの内周に形成され、縦断面において前記鋼管の軸と平行に形成され、前記一方の鋼管の内径よりも大きい径を有する円筒状内切削面と、
    前記円筒状内切削面と前記一方の鋼管の内周面との間であって前記ピンリップの内周に形成され、前記円筒状内切削面及び前記一方の鋼管の内周面と接続される逃がし面とを含み、
    前記ピンメタルシールは、
    前記ピンの先端に近づくにつれて徐々に小さくなる径を有するテーパ状のピンシールテーパ面を含み、
    前記ボックスは、
    前記雄ねじに対応し、前記ボックスの内周に形成される雌ねじと、
    前記ピンメタルシールに対向し、前記ボックスの内周に形成されるボックスメタルシールとを含み、
    前記ボックスメタルシールは、
    前記ピンシールテーパ面に対向し、前記ボックスの内周に形成され、締結前に前記ピンシールテーパ面と平行でかつ前記ピンシールテーパ面よりも所定のシール干渉量だけ小さい直径を有するテーパ状のボックスシールテーパ面と、
    前記ボックスシールテーパ面と滑らかに接続され、縦断面において内側に凸状のボックスシール曲率面とを含み、
    前記ピンメタルシールは、締結完了時に前記ボックスシールテーパ面と前記ボックスシール曲率面との境界で前記ボックスメタルシールとシール接触し、
    次の式(1)及び(2)を満たす、ねじ継手。
    L>Lm>Ls (1)
    tb/tp>1.6 (2)
    式(1)中、
    Lは前記鋼管の軸方向における前記ピンリップの長さであり、
    Lmは前記鋼管の軸方向における前記ピンの先端から前記円筒状内切削面の終端までの長さであり、
    Lsは前記鋼管の軸方向における前記ピンの先端と締結完了時に前記境界と接触する位置との間の距離であり、
    式(2)中、
    tbは前記境界における前記ボックスの肉厚であり、
    tpは締結完了時に前記境界と接触する位置における前記ピンの肉厚である。
  3. 請求項1又は2に記載のねじ継手であって、
    次の式(3)を満たす、ねじ継手。
    Lm>Lp (3)
    式(3)中、
    Lpは前記鋼管の軸方向における前記ピンの先端と前記ピンメタルシールの前記雄ねじ側の端との間の距離である。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のねじ継手であって、
    前記ピンはさらに、
    前記ピンリップの先端面に形成されるピンショルダを含み、
    前記ボックスはさらに、
    前記ピンショルダに対向し、締結時に前記ピンショルダと接触するボックスショルダを含む、ねじ継手。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のねじ継手であって、
    前記ピンシールテーパ面及び前記ボックスシールテーパ面は、締結前に1〜22度のテーパ角を有する、ねじ継手。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のねじ継手であって、
    前記ピンシール曲率面又は前記ボックスシール曲率面は、締結前に80mm以下の曲率半径を有する、ねじ継手。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のねじ継手であって、
    前記逃がし面は、テーパ状である、ねじ継手。
  8. 請求項7に記載のねじ継手であって、
    前記逃がし面は、締結前に5〜30度のテーパ角を有する、ねじ継手。
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