JPWO2020059554A1 - プレート - Google Patents
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Abstract
Description
従来、細胞や生体組織の培養においては、寒天等の培地を形成した培養ディッシュや培養プレートなどの培養容器が使用されている。このような培養容器を使用した細胞培養は、二次元(平面)の環境で行われるため、細胞外微小環境を再現することが困難である。このような事情から、三次元(立体)の環境で細胞培養が可能なマイクロ流路を有するプレート(バイオチップ、マイクロチップ)が提案されている(特許文献1参照)。
このプレート80においては、注入口82から注入された液体試料が、マイクロ流路86を流通した後、排出口83から排出される。そして、液体試料がマイクロ流路86を流通する際に、当該液体試料中の細胞等の状態を、顕微鏡によって拡大して観察することができる。
マイクロ流路を流通する液体試料中の細胞等を、顕微鏡によって拡大して観察する最中に、マイクロ流路内におけるどの個所を観察しているかが判らなくなることがある。
また、顕微鏡による視野を、マイクロ流路における或る領域から他の領域に移動させたときには、元の領域に正確に戻すことが困難である。
また、マイクロ流路を全長にわたって撮影する場合には、マイクロ流路を長手方向に分割して撮影した後、得られる画像を繋ぎ合わせることが行われるが、画像同士を正確に位置合わせして繋ぎ合わせることが困難である。
前記マイクロ流路を流れる試料を観察するときの補助となる観察補助マークが、当該マイクロ流路に沿って形成されていることを特徴とする。
また、前記合成樹脂がシクロオレフィン樹脂であることが好ましい。
また、前記観察補助マークは、前記第1の基板における前記第2の基板と接合される面および/または前記第2の基板における前記第1の基板と接合される面に形成されていることが好ましい。
例えば観察補助マークとして、複数の線分がマイクロ流路に沿って等間隔で並ぶよう配置されたスケールを形成することにより、マイクロ流路を流通する液体試料中の細胞等を、顕微鏡によって拡大して観察する最中に、マイクロ流路内におけるどの個所を観察しているかを容易に特定することができる。また、顕微鏡によって観察している最中に、当該顕微鏡の視野を、マイクロ流路における或る領域から他の領域に移動させたときにも、スケールにおける線分を基準として、元の領域に正確に戻すことができる。また、スケールによって、マイクロ流路を流通する液体試料中の細胞等の成長度合いを確認することができる。
〈第1の実施形態〉
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプレートの構成を示す平面図である。図2は、図1に示すプレートにおけるA−A断面図である。図3は、図1に示すプレートにおけるB−B断面図である。
このプレート10は、透明な第1の基板11と第2の基板15とが積層されて一体的に接合された板状体によって構成されている。この例のプレート10は、その内部に複数(図示の例では3つ)の直線状のマイクロ流路16を有する。これらのマイクロ流路16は、互いに連通することなく独立して形成され、かつ、平行に並ぶよう配列されている。
観察補助マーク20を構成するスケールにおいて、隣接する線分21の間隔は例えば1μmである。
第2の基板11を構成する材料としては、合成樹脂を用いることができ、その具体例としては、第1の基板11を構成する合成樹脂と同様のものが挙げられる。
第1の基板11および第2の基板15の各々の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば0.5〜7mmである。マイクロ流路16の幅は、例えば0.1〜3mmである。マイクロ流路16の高さ(流路形成用溝12の深さ)は、例えば0.05〜1mmである。
先ず、図3に示すように、それぞれ樹脂よりなる第1の基板11および第2の基板15を製造する。第1の基板11には、その表面に流路形成用溝12が形成されていると共に、流路形成用溝12の両端位置に、当該第1の基板11を厚み方向に貫通する注入口13および排出口14(図2参照)が形成されている。一方、第2の基板15の表面は、平坦面とされている。
第1の基板11および第2の基板15を製造する方法としては、射出成形法、注型法などの樹脂成形法を、用いられる樹脂に応じて適宜選択することができる。
次いで、第1の基板11および第2の基板15の各々における接合面となる面に対して、表面活性化処理を行う。この表面活性化処理としては、波長200nm以下の真空紫外線を照射する紫外線照射処理、大気圧プラズマ装置からの大気圧プラズマを接触させるプラズマ処理を利用することができる。
第1の基板11および第2の基板15の各々の表面に照射される真空紫外線の照度は、例えば10〜500mW/cm2 である。
また、第1の基板11および第2の基板15の各々の表面に対する真空紫外線の照射時間は、第1の基板11および第2の基板15を構成する樹脂に応じて適宜設定されるが、例えば5〜6秒間である。
プラズマ処理に用いられる大気圧プラズマ装置の動作条件としては、例えば周波数が20〜70kHz、電圧が5〜15kVp−p、電力値が0.5〜2kWである。
また、大気圧プラズマによる処理時間は、例えば5〜100秒間である。
以上において、加圧および加熱の具体的な条件は、第1の基板11および第2の基板15を構成する材料に応じて適宜設定される。
具体的な条件を挙げると、加圧力が例えば0.1〜10MPaで、加熱温度が例えば40〜130℃である。
また、顕微鏡によって観察している最中に、当該顕微鏡の視野を、マイクロ流路16における或る領域から他の領域に移動させたときにも、スケールにおける線分21を基準として、元の領域に正確に戻すことができる。
また、観察補助マーク20を構成するスケールによって、マイクロ流路16を流通する液体試料中の細胞等の成長度合いを確認することができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るプレートの構成を示す平面図である。このプレート10は、第1の実施形態に係るプレート10と同様に、流路形成用溝12、注入口13および排出口14が形成された、透明な第1の基板11と、第2の基板15(図2参照)とが積層されて一体的に接合された板状体によって構成されている。プレート10の内部には、複数(図示の例では3つ)の直線状のマイクロ流路16が、互いに連通することなく独立して形成され、かつ、平行に並ぶよう配列されている。
第2の実施形態に係るプレート10におけるその他の構成は、第1の実施形態に係るプレート10と同様である。
また、マイクロ流路16を全長にわたって撮影する場合には、マイクロ流路16を長手方向に分割して撮影した複数の画像同士を、正確に位置合わせして繋ぎ合わせることができる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るプレートの構成を示す平面図である。このプレート10は、第1の実施形態に係るプレート10と同様に、流路形成用溝12、注入口13および排出口14が形成された、透明な第1の基板11と、第2の基板15(図2参照)とが積層されて一体的に接合された板状体によって構成されている。プレート10の内部には、複数(図示の例では3つ)の直線状のマイクロ流路16が、互いに連通することなく独立して形成され、かつ、平行に並ぶよう配列されている。
第3の実施形態に係るプレート10におけるその他の構成は、第1の実施形態に係るプレート10と同様である。
また、方眼罫によって、マイクロ流路16を流通する液体試料中の細胞等の成長度合いを確認することができる。
(1)本発明のプレートにおいて、観察補助マークは、視覚的に認識することが可能で、マイクロ流路を流れる試料を観察するときの補助となるものであれば、第1の実施形態乃至第3の実施形態のものに限定されない。
(2)第1の実施形態に係るプレート10において、複数の線分21のうち、長さまたは太さが異なる線分21を例えば10本置きに配置してもよい。
(3)第2の実施形態に係るプレート10において、観察補助マーク20を構成する微細図形22は、円形のものに限定されず、例えば十字形のものや、その他の形状のものであってもよい。
(4)本発明のプレート10において、第2の基板15が透明なものであることは必須ではなく、半透明または不透明なものであってもよい。
プレート10においては、培養すべき細胞が、マイクロ流路16内における底面すなわち第2の基板15の上面に付着される。このため、細胞の観察作業は、第2の基板15の上面位置に顕微鏡の焦点を合わせて行われる。而して、観察補助マーク20が、第1の基板11における第2の基板15と接合される面および/または第2の基板15における第1の基板11と接合される面に形成されていることにより、観察対象である細胞に合わせた焦点を変更することなしに、観察補助マーク20を確認することができる。
また、マイクロ流路16内における底面から一定の高さの位置を定点観察する場合には、観察補助マーク20を基準として顕微鏡の焦点を調整することが可能である。すなわち、顕微鏡の焦点を観察補助マーク20に合わせた後、所要の高さに調整することにより、観察作業を行うことができる。
また、顕微鏡で拡大して観察するときでも、マイクロ流路16内における観察対象である細胞の絶対位置を特定することができるため、細胞の位置や動きの定量評価が可能となる。
11 第1の基板
12 流路形成用溝
13 注入口
14 排出口
15 第2の基板
16 マイクロ流路
20 観察補助マーク
21 線分
22 微細図形
23,24 罫線
80 プレート
81 第1の基板
82 注入口
83 排出口
85 第2の基板
86 マイクロ流路
Claims (7)
- 内部にマイクロ流路を有するプレートであって、
前記マイクロ流路を流れる試料を観察するときの補助となる観察補助マークが、当該マイクロ流路に沿って形成されていることを特徴とするプレート。 - 前記観察補助マークは、複数の線分が前記マイクロ流路に沿って等間隔で並ぶよう配置されたスケールよりなることを特徴とする請求項1に記載のプレート。
- 前記観察補助マークは、複数の微小図形が前記マイクロ流路に沿って等間隔で並ぶよう配置された撮影用アライメントマークよりなることを特徴とする請求項1に記載のプレート。
- 前記観察補助マークは、方眼罫よりなり、平面視したときに前記マイクロ流路と重なる部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレート。
- 前記マイクロ流路を形成するための流路形成用溝が形成された第1の基板と、この第1の基板に積層された第2の基板とが接合されてなり、前記第1の基板は、透明な合成樹脂よりなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプレート。
- 前記合成樹脂がシクロオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項5に記載のプレート。
- 前記観察補助マークは、前記第1の基板における前記第2の基板と接合される面および/または前記第2の基板における前記第1の基板と接合される面に形成されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のプレート。
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