JPWO2020054053A1 - 人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム - Google Patents

人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム Download PDF

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Abstract

【課題】キク科植物の水耕栽培システムにおいて、人工知能を搭載した水耕栽培システムを提供することを目的とする。
【解決手段】キク30が植栽される複数の栽培棚10a、10b、10cと、栽培棚10に供給する養液40を貯留する養液タンク12と、養液タンク12に液肥を供給する液肥タンク16と、養液タンク内の養液に供給する液肥を貯留する液肥タンクと、廃液を濾過する濾過装置18を備えたことを特徴とするキク科植物の水耕栽培システム1であって、栽培条件や不具合発生時の対策を人工知能により制御する、人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システムにより解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、人工知能を搭載したキク科植物を対象とした水耕栽培システムに関する。
水耕栽培は、これまでレタス等の葉菜類を対象に行われてきたが、近年、より収益性単価の高い作物を対象とした水耕栽培が提案されている。
例えば、特開2008−154512号公報には、外形を略長方形の升状に形成した箱であって、その底板全面に排水用切欠きを形成し、前記底板上に培体を形成すると共に、苺苗の根部を内部の培体に収納し、かつ、表面に複数の開口部を有する単数又は複数の苺栽培筒を正面側板上部から前記砂礫層内に略水平に着脱自在に延在して設けた苺栽培容器の複数個を機枠の受け桟を介して上下に複数段に配設すると共に、養水を最上段の前記苺栽培容器の最上部から滴下又は散水流入させて複数段の前記苺栽培容器を順次経由して最下段の前記苺栽培容器の最下部から流出させる循環養水供給装置を設けたものであって、前記苺栽培容器の各々が水平方向に引き出し可能に受け桟上に設けた苺の水耕栽培装置が開示されている(特許文献1)。
また、特開2011−24475号公報には、トマト20等の植物を栽培するための水耕栽培槽11と、この水耕栽培槽11に供給される養液を貯えておく貯留槽12と、上記水耕栽培槽11と貯留槽12との間に配置され、微生物によって自然有機物を分解し、これを貯留槽12内の養液に加える養液生成槽13とから構成し、養液を貯留槽12、栽培槽11、養分生成槽13に循環させながら、栽培槽11で植物を育成栽培するトマトの水耕栽培装置及び水耕栽培方法が開示されている(特許文献2)。
特開2008−154512号公報 特開2011−24475号公報
我が国において重要な作物の一つにキクがある。キクは、日本列島や中国などの東アジアが原産の多年草である。キク科植物の水耕栽培は、国内のみならずオランダなどの海外においても導入事例が極めて少ない。その理由として、システムの導入にかかる費用と栽培技術が確立されていないことにある。
一方、各産業分野において人工知能の利用が注目されている。人工知能(Artificial Intelligence:AI)とは、コンピュータを使って、学習・推論・判断など人間の知能のはたらきを人工的に実現したものをいう。従来のキク栽培では、農家の知識と経験と勘で、栽培条件の各種設定を行っていたため、例えばキク栽培を数十年の経験を有する農家と、新規就農者とでは、キクの品質のばらつきが多かった。それに加え、キク科植物の水耕栽培は、温度、湿度、照明、水温、溶存酸素、液肥等の条件を、キク科植物の種類ごと、品種ごと、成長段階ごとに制御しなければならず、非常に複雑な制御が求められるが、このような複雑な制御を人工知能により実施することができれば、キク科植物の水耕栽培の普及が大きく進展することが期待される。
そこで本発明は、キク科植物の水耕栽培システムにおいて、人工知能を搭載した水耕栽培システムを提供することを目的とする。
本発明に係る人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システムは、キク科植物が植栽される栽培棚と、前記栽培棚に供給する養液を貯留する養液タンクと、前記養液タンク内の養液に供給する液肥を貯留する液肥タンクと、を備えたことを特徴とするキク科植物の水耕栽培システムであって、前記キク科植物の育成条件を設定する育成条件設定部と、前記育成条件設定部によって設定される育成条件に基づいて駆動せしめられる環境制御手段と、前記環境制御手段の作動状況を入力する入力手段と、前記キク科植物の不具合を含む育成状況を入力する入力手段と、前記キク科植物の育成状況に対する各環境制御手段の駆動条件等の知識を記憶する記憶ベースと、前記入力手段によって入力された育成状況、前記検出手段によって検出された環境状態及び前記知識ベースの記憶内容に基づき、前記入力手段との間で質疑応答を繰り返しつつ最適な駆動条件を推論する推論手段と、前記推論手段で推論された対策に対応して前記育成条件設定部に対する各種制御信号を形成し出力する制御信号発生手段とを備えたことを特徴とする。
本発明に係るキク科植物の水耕栽培システムは、空気をマイクロレベルまたはナノレベルまで微小泡化するマイクロバブル発生装置を備えることが好ましい。
本発明に係るキク科植物の水耕栽培システムは、前記養液タンク内に、前記マイクロバブル発生装置が設けられることが好ましい。
本発明に係るキク科植物の水耕栽培システムは、前記栽培棚から排出された溶液を濾過する濾過装置を備えることが好ましい。
本発明に係るキク科植物の水耕栽培システムは、前記栽培棚が、キク科植物の生育段階に応じて複数設置されてなることが好ましい。
本発明に係るキク科植物の水耕栽培システムは、前記キク科植物に光を供給する照明装置を備えることが好ましい。
本発明に係るキク科植物の水耕栽培システムは、前記照明装置が、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。
本発明によれば、人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システムにより、従来困難とされていたキク科植物の水耕栽培を実現することができ、かつ、栽培期間を、従来の土耕栽培と比較して1/2〜1/3に短縮することができる。
本発明のキク科植物の水耕栽培システムの実施形態を示す概略構成図である。 本実施形態の水耕栽培システムのブロック図である。 本実施形態の水耕栽培システムの動作フローチャート図である。 優先度付け過程のフローチャート図である。 不具合−対策苗を示す図である。 対策案の検討フローチャート図である。 不具合の優先度付けのフローチャート図である。 原因の優先度付けのフローチャート図である。 対応策の優先度付けのフローチャート図である。
図1は、本発明のキク科植物の水耕栽培システムの実施形態を示す概略構成図である。本実施形態のキク科植物の水耕栽培システム1は、栽培棚10と、養液タンク12と、マイクロバブル発生装置14と、液肥タンク16と、濾過滅菌装置18と、照明装置20から概略構成されている。また、簡略化して示しているが、本実施形態の水耕栽培システム1は閉鎖空間内に設置され、外部からの害虫の侵入を防止できるようになっている。そして、インターフェースを通じて、有線又は無線で後述する人工知能に接続されている。
栽培棚10a、10b、10cは、その上面側に、水耕栽培システム1によって栽培されるキク30a、30b、30cを植栽するための部位が設けられている。また、栽培棚10a、10b、10cは、その内部に、養液タンク12から供給された養液40を溜めるための空間が設けられている。
栽培棚10は1つの栽培棚に成長段階の異なるキク科植物を植栽してもよいが、複数の栽培棚10a、10b、10cを設置し、キク科植物の成長段階ごとに複数設置されてなることが好ましい。
養液タンク12は、栽培棚10に供給する養液40を貯留するためのものである。養液タンク12は、養液供給路42を介して栽培棚10と連結されている。そして、養液供給路42を介して、養液タンク12から栽培棚10へ養液40が供給される。なお、養液タンク12は、内部に攪拌翼(図示せず)を設置し、養液40が均一に撹拌されるように構成されていてもよい。
また、養液供給路42の途中には、養液供給ポンプ50が設けられ、このポンプ50によって、養液タンク12から栽培棚10へ養液40が供給される。なお、養液ポンプ50は同時に作動させることも、各栽培棚10a、10b、10cごとに、個別に作動させることもできる。
また、養液タンク12には、空気(Air)をマイクロレベルまたはナノレベルまで微小泡化するためのマイクロバブル発生装置14が設けられている。すなわち、マイクロバブル発生装置14は、養液40中にマイクロまたはナノレベルの微小泡で供給可能としている。
なお、ここでいうマイクロまたはナノレベルの微小泡とは、具体的には、殺菌効果の面で平均直径が50μm以下の泡であることが好ましい。
マイクロバブル発生装置14としては、いかなる方式によってバブルを発生させるものでもよく、例えば、エジェクターに加圧された液体を送り、エジェクター内部に発生する無数の「剥離流」により自吸されるガスを微粒化して気泡を生成するエジェクター方式;キャビテーション構造を有する発生器に加圧された液体を送り、構造部で発生するキャビテーション現象(空洞現象)を利用し液体に含まれる溶存ガスを析出させて気泡を生成するキャビテーション方式;筒状の構造を有する発生器に偏心方向から加圧された液体を送り、円筒中心部に形成される「気柱」により空気を自吸させ、吐出する際の速度差で生じるせん断力により気泡を生成する旋回流方式;圧力下で気体を強制的に溶解させ、減圧(大気開放)により気泡を析出させる加圧溶解方式のいずれを採用してもよく、市販のものを使用することができる。
マイクロバブル発生装置14から発生したマイクロバブル又はマイクロナノバブル60は、養液40中に拡散し、養液40をはじめ、水耕栽培システム1の流路全体のウイルスの不活性化や雑菌などの殺菌を行うことができる。また、栽培棚10に植栽されているキク科植物の根(図示せず)に十分な酸素を供給し、キク科植物の生育を促進する効果もある。このマイクロバブル又はマイクロナノバブル60の効果により、水耕栽培システム1の流路が衛生的に保たれ、健全なキク科植物の栽培が可能になると共に、従来の土耕栽培で90〜120日ほど生育を要したキク科植物の栽培が、30〜60日まで短縮される。
なお、本実施形態では、養液タンク12内にマイクロバブル発生装置14が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、養液タンクの外にマイクロバブル発生装置を設け、養液タンクとマイクロバブル発生装置とをマイクロバブル供給路で連結してもよい。
液肥タンク16は、養液タンク12内の養液40に供給する液体肥料を貯留するためのものである。制御する液肥の種類や数に応じて適宜変更可能であるが、図においては、液肥A16a、液肥B16b、液肥C16cの3種類の液肥が制御できるように構成されているが、3種類に限定されない。これらの液肥A、B、Cはそれぞれ液肥供給ポンプ52と連結されており、この液肥供給ポンプ52を介して、液肥が液肥タンク16から、液肥供給路44を介して、養液タンク12に供給されるように連結されている。そして、キク科植物の成長に合わせ、予め設定された濃度となるように、液肥供給ポンプ52により養液タンク12へ液肥が供給される。
なお、図1においては、液肥タンク16は養液タンクに連結されている例を示したが、これに限定されることはなく、各栽培棚10a、10b、10cに連結し、キク科植物の成長段階に合わせた液肥を供給することもできる。
液肥は、キク30a、30b、30cが成長するために必要な養分を含む肥料を水に溶かして調製したものである。液肥としては、市販のキク用液肥を使用することができる。液肥の濃度は、キク科植物の成長過程に応じて適宜設定される。
養液回収路46は、栽培棚10a、10b、10cから排出された養液40を回収するためのものである。また、養液回収路46の上流又は途中又は下流にはポンプ54が設けられ、このポンプ54によって、栽培棚10a、10b、10cから濾過装置18へ養液40が移送される。
濾過装置18は栽培棚10から排出された養液40を濾過するためのものである。この段階で、栽培途中で脱落した葉や根などの共雑物が除去され、清澄な養液40に再生されて再び養液タンク12に供給される。キク科植物30に吸収されなかった余剰液肥をここで吸着除去してもよい。なお、図示していないが、濾過装置18は共雑物の大きさに応じてフィルターの種類を選択することができ、また、濾過能力の異なる複数のフィルターや限外濾過膜を設置することができる。
本実施形態において、栽培棚10a、10b、10cに植栽されているキク30a、30b、30cに光を供給する照明装置20が設置されている。通常、キク科植物が植栽されている位置の上方に設置されるが、キク科植物に光が供給されれば上方には限定されず、閉鎖空間のいずれかの場所に照明装置が設置されていればよい。
キク科植物の栽培においては、挿し芽直後(図1における30aの状態)と開花前(図1における30bの状態)とでは光の照射管理を行うことが好ましい。すなわち、挿し芽直後の管理は、初めのうちは光を照射せず、発根に合わせて徐々に日に光の照射時間を長くし、定植から7日程度で遮光が解除されるように調整する。一方、開花前は、夜が一定以上の長さになると開花するため、光の供給を停止してキク科植物に夜が短いと感じさせて花芽分化を抑制し、切り花長の確保や出荷時期の調節を行うことが好ましい。
前記照明装置としては、白熱電球、蛍光灯又は発光ダイオード(LED)のいずれの種類の光源を使用することもできるが、発光ダイオード(LED)を使用することが好ましい。発光ダイオード(LED)を使用すれば、白熱電球と比較して、発光効率が高く、少ない消費電力で白熱電球と同等の照度が得られ、定格寿命が長く、特定の波長域(青、緑、赤又はこれらの組み合わせ)の光を照射することができる。特にキク栽培においては、赤色の発光ダイオードを使用することが好ましい。
本実施形態において、水耕栽培システムの栽培対象となるキク科植物の種類に特に限定はなく、種々のキク科植物が対象となる。キク科植物には数多くの種類があり、分類の仕方もいくつかあるが、花径により、菊花展などに展示され、厚物、管物、一文字などの種類がある大菊、江戸菊、嵯峨菊、伊勢菊、肥後菊などのほか、弔事用に用いられる中菊、盆栽用に仕立てたり、花壇や鉢植え、切花など広く用いられる小菊、欧米で改良され、ポットマム、スプレーマムなどとして日本に導入された洋菊などが挙げられる。
本実施形態において、上述した水耕栽培における各種の制御は、人工知能によって実施される。
図2に示すように、本実施形態の人工知能200はインターフェース201を介してキク科植物の水耕栽培システム1のインターフェース101に接続されており、栽培条件及び不具合状況を含む育成状況を記憶すると共に不具合対策苗、不具合解消ルール、過去の対策記録等の専門的知識を知識獲得部202から獲得してなる知識ベース203と、知識ベース203を有効に利用し推論手続きを行う推論エンジン204と、水耕栽培システム1の各センサの検出値及びオペレータの観察とに基づいて栽培条件及び生育状況を入力するとともに、オペレータとの質問及び応答のやりとりを行うユーザーインターフェース205とを具備しており、生育状況に応じて、水耕栽培システム1の環境設定条件を決定するものである。
また、水耕栽培システム1のシステム構成は、人工知能200に接続しているインターフェース101と、人工知能200からの信号に基づき環境条件を設定する栽培条件設定部102と、水耕栽培システム1の環境条件を検出するセンサ部103と、栽培条件設定部102とセンサ部103との出力を比較し、アクチュエータ104に対して指令信号を送出する信号制御部105とを備え、水耕栽培システム1の環境を制御しつつ、キクを栽培するものである。
センサ部103の構成はセンシングすべき対象に応じて適宜決定されるが、例えば、エア温度センサ、水温センサ、養液センサ、pHセンサ、湿度センサ、光センサなどから構成される。
また、アクチュエータ104は、照明装置、湿度調整器、液肥タンク、マイクロバブル発生装置、ポンプ、pH調節器、ヒーター等の動作を駆動させるものである。
本実施形態にかかる水耕栽培システム1は、生育状況に応じて環境条件を変更する操作と、キク科植物の生育に不具合が発生した場合の対策を立て実行するという操作との2つの操作を行うものであるが、ここでは生育に不具合が生じた場合を例にとって説明する。
図3は、全体のフローチャートを説明するための図である。まず、オペレータは発生した不具合名、使用している苗の品種名等の苗の現状についての情報を、システムの質問に応じて入力する(300)。
次に、システムは、水耕栽培システム1からセンサ部103等を通じて自動入力された現在の栽培条件と、苗の現状についての情報とから対策案の絞り込みを実施する(301)。そして、図4に示すように、発生した不具合が複数の場合は、複数の不具合について内部で対策案の順に優先度をつけ(310)、重要視しなければならないものから順に不具合リスト(Xi,Xi,Xi…)を作成する。
そして、先頭の不具合Xiに対して不具合状況により原因を推定し(320)、優先度順に原因リスト(Yi,Yi,Yi…)を作成する。
さらに、原因リストの先頭の原因Yiについて考えられる対策案に対して最適な対策案を推論し(330)、対策案リスト(Zi,Zi,Zi…)を作成する。
なお、ここで用いられる不具合対策苗は図5に示すように、知識獲得部を介してあらかじめ知識ベースに入力されている。知識獲得部への入力は、機械学習(ニューラルネットワーク、ディープラーニングを含む)でも可能である。
さらに、優先度付けにおいては、過去の対策記録を用いて(302)、推論された対策案の実行により発生するであろう不具合を大小の可能性で予測し(303)、重大な不具合が発生する可能性が大であると、変更幅を小さくするか又はその対策案の優先度を下げる機能を持たせ、失敗を避けるように対策案を変更し、良好な栽培条件に導くことができる。
図6は、この対策案の検討過程のフローチャートである。まず、不具合が発生する可能性が大であるか否かを判断し(600)、否(N)であれば現対策を実行する(601)。
また、不具合の発生する可能性が大である場合(Y)は、重大な不具合であるか否かを判断し(602)、否(N)であれば現対策を実行する(601)。一方、重大が不具合である場合(Y)、条件設定時の変更幅は微小であったか否かを判断し(603)、否(N)であれば変更幅を半分に設定する(604)。また、変更幅が微小であった場合(Y)は、対策案を変更する(605)。
このようにして、発生する不具合の可能性をも考慮し、絞り込まれた対策案リストの先頭の対策(Zi)を第1の対策案とみなし、栽培条件を決定し、人工知能から水耕栽培システムへ制御信号を送る(304)。
そして、アフターケアとして、上記栽培条件で栽培動作を継続しつつ、人工知能からの質問に応じながら観察を行いオペレータが情報を入力するとシステムでは栽培条件の検討を続行していく(305)。
次に、前記各推論過程を順次詳細に説明する。
まず、不具合の優先度付け過程は、図7に示すように、発生している不具合をX、X、X・・・として入力する(311)。
次に、予め知識ベース内に用意された不具合−優先度対応表を用いて、各不具合優先度を決定する(312)。
そして、これらを優先度順に並び変え、不具合リストを作成する。このとき、表から求めた優先度が同じであるときは、入力の早いものを優先する(313)。
このようにして、フィルターを介して検出される葉の色及び葉面積、葉の展開具合等から求めた不具合のXiがシオレであるとする。
この原因の優先度付けのフローチャートを図8に示す。
まず、例えば、シオレの発生場所がエア供給部の近くであるか否か(321)を判定する。そして、エア供給部の近くではないとき(N)は、温度センサが良好であるか否かを判定し(322)、否(N)であれば温度異常Yiであるとする。
また、温度が適正である場合(Y)は湿度が適正であるか否かを判定し(323)、否(N)であれば湿度不足Yiであると判定する。
また、湿度が良好(Y)であれば、養液の量が十分であるか否かを判定し(324)、否(N)であれば養液不足Yiであると判定する。
さらに、養液の量が十分である場合(Y)は、養液のpHが適正であるか否かを判定し(325)、否(N)であれば汚染(コンタミ)が原因である(Yi)と判定する。
また、養液のpHが適正であれば(Y)養液成分に問題がある(Yi)と判定する。
一方、シオレの発生場所がエア供給部の近くである場合(Y)は、供給エア量が適正であるか否かを判定し(326)、否(N)であればエア供給量が過剰である(Yi)と判定する。
また、供給エア量が適正である場合(Y)は、養液のpHが適正であるか否かの判定(313)に進むようにする。
このようにして求められた原因が養液成分不足(Yi)であった場合、図9に示すように対策案の優先度付け過程に入る。
まず知識ベースの不具合対策苗から養液成分不足に対する対策リストを求める(331)。養液成分不足に対する対策リストとしては、生育ステージ(光量積算、気温積算等)に基づき、例えば、Z:硝酸イオンの増加、Z:アンモニウムイオンの増加、Z:リン酸イオンの増加、Z:カリウムイオンの増加、Z:カルシウムイオンの増加、Z:マグネシウムイオンの増加、Z:ホウ素イオンの増加、Z:亜鉛イオンの増加、Z:鉄イオンの増加、Z10:マンガンイオンの増加、Z11:銅イオンの増加、Z12:モリブデンイオンの増加、Z13:コバルトイオンの増加、Z14:アルミニウムイオンの増加、Z15:ニッケルイオンの増加、Z16:ナトリウムイオンの増加とする。
そして、現在の生育ステージに基づいて硝酸イオンの量を増加させてよい段階であるか否かを判断し(332)、否(N)であればZの優先度を下げる(333)。
また、現在の生育ステージに基づいて硝酸イオンの量を増加させてよい段階(Y)であれば、アンモニウムイオンの量を増加させてもよいか否かを判定し(334)、否(N)であればZの優先度を下げる(335)。
さらに、現在の生育ステージに基づいてアンモニウムイオンの量を増加させてもよい場合(Y)は、十分に成長しているか否かを判定し(336)、否(N)であればZの優先度を上げる(337)。
そして、十分に成長している場合は、Z、Z、Z・・・Z16を優先度順に並べ替え、Zi、Zi、Zi・・・Zi16とする(338)。
このようにして、最適な栽培条件を推論しながら決定し、マイクロバブル発生装置14、液肥タンク16、照明装置20、各種ポンプ50、52、54等を駆動してく。
またこのシステムは生育ステージ(定植期、花芽分化期、発蕾期、破蕾期、開花期)に合わせて適切な制御が行われ、かつ、これらの制御を人工知能に学習させることにより、いち早く気象変化や吸収肥料を的確に推定することができる。
この場合、排ガス中のCO濃度を検出することによりキク科植物の光合成能力を検知したり、低湿度ガスを供給し、ハウス内の湿度上昇率から蒸散能を検知するとともに、葉の緑色濃度からキク科植物の生長ステージを推定し、これらをもとに全自動的に栽培を実行することも可能である。
1…キク科植物の水耕栽培システム
10…栽培棚
12…養液タンク
14…マイクロバブル発生装置
16…液肥タンク
16a・・・液肥A
16b・・・液肥B
16c・・・液肥C
18…濾過装置
20…照明装置
30…キク
40…養液
42…養液供給路
44…液肥供給路
46…養液回収路
50…養液供給ポンプ
52…液肥供給ポンプ
54…養液回収ポンプ
60…マイクロバブル又はマイクロナノバブル

Claims (8)

  1. キク科植物が植栽される栽培棚と、
    前記栽培棚に供給する養液を貯留する養液タンクと、
    前記養液タンク内の養液に供給する液肥を貯留する液肥タンクと、
    を備えたことを特徴とするキク科植物の水耕栽培システムであって、
    前記キク科植物の育成条件を設定する育成条件設定部と、
    前記育成条件設定部によって設定される育成条件に基づいて駆動せしめられる環境制御手段と、
    前記環境制御手段の作動状況を入力する入力手段と、
    前記キク科植物の不具合を含む育成状況を入力する入力手段と、
    前記キク科植物の育成状況に対する各環境制御手段の駆動条件等の知識を記憶する記憶ベースと、
    前記入力手段によって入力された育成状況、前記検出手段によって検出された環境状態及び前記知識ベースの記憶内容に基づき、前記入力手段との間で質疑応答を繰り返しつつ最適な駆動条件を推論する推論手段と、
    前記推論手段で推論された対策に対応して前記育成条件設定部に対する各種制御信号を形成し出力する制御信号発生手段と、
    を備えたことを特徴とする、人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  2. 空気をマイクロレベルまたはナノレベルまで微小泡化するマイクロバブル発生装置を備えた、請求項1に記載の人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  3. 前記養液タンク内に、前記マイクロバブル発生装置が設けられた、請求項1又は2に記載の人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  4. 前記栽培棚から排出された溶液を濾過する濾過装置を備えた、請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  5. 前記栽培棚が、キク科植物の生育段階に応じて複数設置されてなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  6. 前記キク科植物に光を供給する照明装置を備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  7. 前記照明装置が、LEDである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工知能を搭載したキク科植物の水耕栽培システム。
  8. 前記LEDが、赤色光を照射するものである、請求項7に記載のキク科植物の水耕栽培システム。



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