JPWO2020045545A1 - 抗体半分子、および抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法 - Google Patents

抗体半分子、および抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗体半分子、および抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法に関する。

Description

本発明は、抗体半分子、および抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法に関する。
特許文献1には、Fc領域の二量体形成を阻害するアミノ酸置換であって、Fc領域のCH3領域界面内またはその近傍における1つ以上のアミノ酸置換を有する変異型Fc領域を含むモノマー(単量体)ポリペプチドが、診断または治療目的に使われることが記載されている。
国際公開第2012/020096号
本発明は、抗体半分子の製造において、当該抗体半分子がホモダイマー(ホモ二量体)を形成しにくく、より簡便に得られる改変および方法の提供を目的とする。
本発明者らは、2つの抗体半分子のヒンジ領域間にジスルフィド結合が形成されない改変、および2つの抗体半分子のCH3領域間の相互作用が減弱されるようその界面を不安定化する改変に加えて、CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基をアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基に改変することにより、抗体半分子のホモダイマー形成を抑制できることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明の一態様として、以下の[1]〜[21]が例示される。
[1]ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含み、前記ヒンジ領域における少なくとも一つのシステイン残基が他のアミノ酸残基に置換されており、前記CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基がアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基であり、前記CH3領域における立体構造上の界面が不安定化されている、抗体半分子。
[2]ホモ二量体形成が抑制されている、[1]に記載の抗体半分子。
[3]EUナンバリングシステムでの334位の前記アミノ酸残基が、ヒスチジン残基、システイン残基、フェニルアラニン残基、グリシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、アスパラギン残基、プロリン残基、グルタミン残基、セリン残基、トレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、アラニン残基、ロイシン残基、バリン残基、アスパラギン酸残基、およびグルタミン酸残基からなる群から選択される、[1]または[2]に記載の抗体半分子。
[4]前記の少なくとも一つのシステイン残基が、EUナンバリングシステムでの226位および229位のいずれか一方または両方である、[1]〜[3]のいずれかに記載の抗体半分子。
[5]前記CH3領域における立体構造上の前記界面が、EUナンバリングシステムでの397位および409位のいずれか一方または両方のアミノ酸残基の置換により不安定化されている、[1]〜[4]のいずれかに記載の抗体半分子。
[6]さらにH鎖の抗原結合領域を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の抗体半分子。
[7]さらにCH1領域を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の抗体半分子。
[8]前記CH1領域、前記ヒンジ領域、前記CH2領域および前記CH3領域からなる群から選択される少なくとも1つがヒトIgG由来である、[7]に記載の抗体半分子。
[9]単一ドメイン抗体の抗体半分子である、[1]〜[8]のいずれかに記載の抗体半分子。
[10]さらに抗体のL鎖を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の抗体半分子。
[11]前記L鎖がヒトIgG由来である、[10]に記載の抗体半分子。
[12]以下の(a)、(b)および(c)を含む、抗体半分子の製造におけるヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含む抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法。
(a) 前記ヒンジ領域における少なくとも一つのシステイン残基の他のアミノ酸への置換
(b) 前記CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基のアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基への置換
(c) 前記CH3領域における立体構造上の界面の不安定化
[13]前記(b)が、EUナンバリングシステムでの334位の前記アミノ酸残基のヒスチジン残基、システイン残基、フェニルアラニン残基、グリシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、アスパラギン残基、プロリン残基、グルタミン残基、セリン残基、トレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、アラニン残基、ロイシン残基、バリン残基、アスパラギン酸残基、およびグルタミン酸残基からなる群から選択されるいずれかのアミノ酸残基への置換である、[12]に記載の方法。
[14]前記(a)における前記の少なくとも一つのシステイン残基が、EUナンバリングシステムでの226位および229位のいずれか一方または両方である、[12]または[13]に記載の方法。
[15]前記(c)が、EUナンバリングシステムでの397位および409位のいずれか一方または両方のアミノ酸残基の置換により行われる、[12]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]前記抗体半分子がさらにH鎖の抗原結合領域を含む、[12]〜[15]のいずれかに記載の方法。
[17]前記抗体半分子がさらにCH1領域を含む、[12]〜[16]のいずれかに記載の方法。
[18]前記CH1領域、前記ヒンジ領域、前記CH2領域および前記CH3領域から選択される少なくとも1つがヒトIgG由来である、[17]に記載の方法。
[19]前記抗体半分子が単一ドメイン抗体である、[12]〜[18]のいずれかに記載の方法。
[20]前記抗体半分子がさらに抗体のL鎖を含む、[12]〜[18]のいずれかに記載の方法。
[21]前記L鎖がヒトIgG由来である、[20]に記載の方法。
本発明によれば、抗体半分子の製造において、当該抗体半分子がダイマーを形成しにくく、より簡便に得られる。
サイズ排除クロマトグラフィーにより、抗体半分子が二量体(whole抗体)を形成するか否かを確認した結果を示した図である。Wはwhole抗体、Hは抗体半分子の溶出位置をそれぞれ示す。 サイズ排除クロマトグラフィーにより、抗体半分子が二量体(whole抗体)を形成するか否かを確認した結果を示した図である。Wはwhole抗体、Hは抗体半分子の溶出位置をそれぞれ示す。 図2−1の続きを示す図である。 図2−2の続きを示す図である。 図2−3の続きを示す図である。
1.定義
本明細書において「ポリペプチド」は、複数のアミノ酸がペプチド結合したペプチドすべてを包含する。本明細書においては、ポリペプチドを「ペプチド」または「タンパク質」と呼ぶことがある。
本明細書において「抗原結合領域」は、抗原に結合する活性を有する化合物を意味する。抗原結合領域は、ペプチド性であってもよく、非ペプチド性であってもよい。
本明細書において、「CH1」は、抗体のCH1領域の1鎖のポリペプチドを意味する。具体的には、CH1領域は、EUナンバリングシステムでのH鎖118〜215位のアミノ酸残基で示される領域であり、本明細書では野生型のほか、野生型においてアミノ酸残基の置換、付加、または欠失させた改変体も包含する。
本明細書において、「CH2」は、抗体のCH2領域の1鎖のポリペプチドを意味する。具体的には、CH2領域は、EUナンバリングシステムでのH鎖231〜340位のアミノ酸残基で示される領域であり、本明細書では野生型のほか、野生型においてアミノ酸残基の置換、付加、または欠失させた改変体も包含する。
本明細書において、「CH3」は、抗体のCH3領域の1鎖のポリペプチドを意味する。具体的には、CH3領域は、EUナンバリングシステムでのH鎖341位からC末端までのアミノ酸残基で示される領域であり、本明細書では野生型のほか、野生型においてアミノ酸残基の置換、付加、または欠失させた改変体も包含する。
本明細書において、「CL」は、抗体のCL領域の1鎖のポリペプチドを意味する。具体的には、CL領域は、EUナンバリングシステムでのL鎖108位からC末端までのアミノ酸残基で示される領域であり、本明細書では野生型のほか、野生型においてアミノ酸残基の置換、付加、または欠失させた改変体も包含する。
本明細書における「ヒンジ領域」は、抗体におけるCH1領域とCH2領域の間に位置する領域である。具体的には、ヒンジ領域は、EUナンバリングシステムでの216〜230位のアミノ酸残基で示される領域であり、本明細書では野生型のほか、野生型においてアミノ酸残基の置換、付加、または欠失させた改変体も包含する。本明細書において「抗体半分子におけるヒンジ領域部分」とは、H鎖1鎖におけるヒンジ領域部分を意味し、1鎖のポリペプチドからなるものをいう。
本明細書における「抗体半分子」は、抗体におけるH鎖間の結合を解離させた場合の一分子およびその断片を意味する。抗体がIgGの場合の抗体半分子としては、例えば、H鎖1鎖とL鎖1鎖からなる複合体が挙げられる。抗体半分子には、ラクダ科等の抗体で見られるH鎖2本からなる抗体、いわゆる重鎖(H鎖)抗体(heavy-chain antibody)(VHH(VH originating from heavy-chain antibody)抗体とも呼ばれる。)のH鎖間の結合を解離させた、H鎖1鎖からなる分子(これらを「単一ドメイン抗体」と総称する)が包含される。
一態様において、抗体半分子は、キメラ抗体やヒト化抗体に由来するものを包含する。
一態様において、抗体半分子は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEなどの各種アイソタイプに由来するものを包含する。
本明細書において、「定常領域」とは、抗体におけるCH1領域、CH2領域、CH3領域、およびヒンジ領域を含む領域(H鎖定常領域)、ならびに/またはCL領域を含む領域(L鎖定常領域)である。「抗体半分子における定常領域部分」は、抗体半分子におけるH鎖定常領域部分およびL鎖定常領域のいずれか一方または両方を含む。限定されるものではないが、抗体半分子における定常領域部分として、配列番号:29で表されるヒトIgG1のH鎖の定常領域部分、配列番号:30で表されるヒトIgG2のH鎖の定常領域部分、配列番号:31で表されるヒトIgG3のH鎖の定常領域部分、配列番号:32で表されるヒトIgG4のH鎖の定常領域部分が例示される。
本明細書で用語「Fc領域」は、少なくとも定常領域の一部分を含む免疫グロブリンH鎖のC末端領域を定義するために用いられる。この用語は、天然型配列のFc領域および変異体Fc領域を含む。一態様において、ヒトIgGのH鎖Fc領域はCys226から、またはPro230から、H鎖のカルボキシル末端まで延びる。ただし、Fc領域のC末端のリジン (Lys447) またはグリシン‐リジン(Gly446-Lys447)は、存在していてもしていなくてもよい。本明細書では別段特定しない限り、Fc領域または定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD 1991 に記載の、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)にしたがう。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体のことをいう。いくつかの態様において、FcRは、天然型ヒトFcRである。いくつかの態様において、FcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスの受容体を、これらの受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシングによる形態を含めて、含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは主としてその細胞質ドメインにおいて相違する類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ (immunoreceptor tyrosine-based activation motif: ITAM) を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン阻害モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif: ITIM)を含む。(例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997) を参照のこと。)FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994);およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med 126:330-41 (1995)において総説されている。将来同定されるものを含む他のFcRも、本明細書の用語「FcR」に包含される。
本明細書における「共有結合」は、一般に知られているあらゆるものが包含される。共有結合は、例えば、ジスルフィド結合および炭素−炭素結合が挙げられる。
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に起因する、抗体のアイソタイプによって異なる生物学的活性のことをいう。抗体のエフェクター機能の例には次のものが含まれる:C1q結合および補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity:CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity: ADCC);貪食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;および、B細胞活性化。
2.抗体半分子
一局面において、本発明の抗体半分子は、ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含む。抗体半分子は、遺伝子改変が加えられていない生体内のB細胞から産生される抗体(以下「天然抗体」という)には存在しない。抗体半分子は、天然抗体のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域のアミノ酸配列中には保存されていない少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。
他の局面において、抗体半分子は、ホモ二量体形成が抑制されている。ホモ二量体とは、2つの同じ抗体半分子が何らかの化学結合によって互いに結合した二量体を意味する。ホモ二量体は、例えば、精製した1種の抗体半分子の調製品を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行った際の結果を、横軸を保持時間、横軸を吸光度で表した検出データにおいて、該抗体半分子の単量体の分子量と推定される分布よりも高い分子量の分布(保持時間が単量体に比較して短い分布)が示されるものをいう。サイズ排除クロマトグラフィーの具体的な材料および方法については、実施例におけるものが参照される。
一態様において、「ホモ二量体形成が抑制されている」とは、精製した抗体半分子の調製品を用いてサイズ排除クロマトグラフィーを行った場合の上記検出データにおいて、該抗体半分子の単量体の分子量と推定される分布よりも高い分子量の分布の縦軸方向のピークの高さが、該抗体半分子の単量体の分子量と推定される分布の高さに比べて低いことをいう。特定の態様において、該抗体半分子の単量体の分子量と推定される分布よりも高い分子量の分布の該高さは、該抗体半分子の単量体の分子量と推定される分布の50%以下であり、40%以下であり、30%以下であり、20%以下であり、10%以下であり、5%以下であり、2%以下であり、または1%以下である。この割合の上限が小さいほど、ホモ二量体形成がより抑制されていることを意味する。
一態様において、抗体半分子は、単一ドメイン抗体の抗体半分子であってもよく、L鎖を含む抗体半分子であってもよい。単一ドメイン抗体は、上述の「1.定義」で定義したとおりである。抗体半分子に含まれるL鎖については後述する。
a.ヒンジ領域
一局面において、ヒンジ領域において、少なくとも一つのシステイン残基が他のアミノ酸残基に置換されている。当該システイン残基のEUナンバリングシステムでの位置は、当該置換によってH鎖間のジスルフィド結合の形成を抑制できるものであればヒンジ領域内のいずれのシステイン残基でもよい。
一態様において、ヒンジ領域において他のアミノ酸残基に置換されるシステイン残基の位置は、EUナンバリングシステムでの226位および229位のいずれか一方または両方である。特定の態様において、当該位置は、EUナンバリングシステムでの226位および229位の両方である。
ヒンジ領域においてシステイン残基が置換された場合の当該他のアミノ酸残基は、特に限定されず、当該置換によって2分子の抗体半分子のH鎖間のジスルフィド結合の形成が抑制されるものであればいずれのアミノ酸残基でもよい。特定の態様において、2分子の抗体半分子のH鎖間のジスルフィド結合は実質的に形成されない。
一態様において、当該他のアミノ酸残基としては、通常生体内のタンパク質が生体内においてジスルフィド結合を形成しないものであればいずれのアミノ酸残基でもよく、アラニン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、フェニルアラニン残基、グリシン残基、ヒスチジン残基、イソロイシン残基、リシン残基、ロイシン残基、メチオニン残基、アスパラギン残基、プロリン残基、グルタミン残基、アルギニン残基、セリン残基、トレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、およびバリン残基が例示される。特定の態様において、当該他のアミノ酸残基は、セリン残基である。
他の態様において、ヒンジ領域はEUナンバリングシステムでの226位および229位以外の改変を有していてもよい。この場合、ヒンジ領域のアミノ酸配列は、哺乳類の天然抗体の相当する領域と比較して、70%以上の相同性(配列同一性)、75%以上の相同性、80%以上の相同性、85%以上の相同性、90%以上の相同性、または95%以上の相同性を有する。これらの割合の下限で相同性を有する場合、該ヒンジ領域はその哺乳類の天然抗体に由来している。特定の態様において、該哺乳類としては、げっ歯類、ウサギ、および霊長類が挙げられる。霊長類としては、特にヒトが挙げられる。特定の態様において、該天然抗体としては、IgGが挙げられる。IgGとしては、ヒトIgG、またはマウスIgGが挙げられる。
特定の態様において、ヒンジ領域は、ヒトIgG由来である。ヒンジ領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。ヒトIgGのサブクラスとしては、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4が挙げられる。
b.CH2領域
一局面において、CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基がアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基である。これは334位のアミノ酸を欠失することによっても代替される。当業者は、334位のアミノ酸残基を置換する場合、置換後のアミノ酸残基として、アルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基を任意に選択できる。
上述したヒンジ領域の置換のうち任意の置換、および後述するCH3領域における立体構造上の界面(CH3界面)の不安定化に加えて、CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基がアルギニン残基およびリシン残基以外の任意のアミノ酸残基であることによって、抗体半分子のホモ二量体の形成が抑制される。特に、ヒンジ領域の置換およびCH3領域における立体構造上の界面の不安定化だけでは抗体半分子のホモ二量体の形成が充分に抑制されなかった場合に、CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基をアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基にすることにより、抗体半分子のホモ二量体の形成の抑制が促進される。
アルギニン残基およびリシン残基以外の該アミノ酸残基は、ヒスチジン残基、システイン残基、フェニルアラニン残基、グリシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、アスパラギン残基、プロリン残基、グルタミン残基、セリン残基、トレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、アラニン残基、ロイシン残基、バリン残基、アスパラギン酸残基、およびグルタミン酸残基が例示される。一態様において、該アミノ酸残基は、ヒスチジン残基、システイン残基、フェニルアラニン残基、グリシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、アスパラギン残基、プロリン残基、グルタミン残基、セリン残基、トレオニン残基、トリプトファン残基、およびチロシン残基である。
特定の態様において、該アミノ酸残基は、ヒスチジン残基である。CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基がヒスチジン残基であると、抗体半分子を医薬として生体に投与した場合に、血漿または血液における抗体半分子の半減期の延長が期待される。
他の態様において、CH2領域は、EUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基がアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基である限りにおいて、任意の改変を有していてもよい。この場合、CH2領域のアミノ酸配列は、哺乳類の天然抗体の相当する領域と比較して、70%以上の相同性(配列同一性)、75%以上の相同性、80%以上の相同性、85%以上の相同性、90%以上の相同性、または95%以上の相同性を有する。これらの割合の下限で相同性を有する場合、該CH2領域はその哺乳類の天然抗体に由来している。特定の態様において、該哺乳類としては、げっ歯類、ウサギ、および霊長類が挙げられる。霊長類としては、特にヒトが挙げられる。特定の態様において、該天然抗体としては、IgGが挙げられる。IgGとしては、ヒトIgG、またはマウスIgGが挙げられる。
特定の態様において、CH2領域は、ヒトIgG由来である。CH2領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。ヒトIgGのサブクラスとしては、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4が挙げられる。
c.CH3領域
一局面において、CH3領域における立体構造上の界面が不安定化されている。「CH3領域における立体構造上の界面」は、抗体半分子が高次構造を形成した際の分子の外側面の領域を意味する。一態様において、CH3領域における立体構造上の界面は、抗体半分子の2分子が二量体を形成した場合における両分子のCH3領域における結合領域である。
一態様において、CH3領域における立体構造上の界面を不安定化する改変は、国際公開第2012/020096号等に公知である。具体的には、EUナンバリングシステムでの347位、349位、350位、351位、352位、354位、356位、357位、360位、362位、364位、366位、368位、370位、390位、392位、393位、394位、395位、396位、397位、398位、399位、400位、405位、406位、407位、408位、409位、411位及び439位からなる群から選択される少なくとも1以上の位置におけるアミノ酸残基の置換が例示される。
特定の態様において、CH3領域における立体構造上の前記界面が、EUナンバリングシステムでの397位および409位のいずれか一方または両方のアミノ酸残基の置換により不安定化されている。
他の態様において、CH3領域は、立体構造上の界面が不安定化されている限りにおいて、任意の改変を有していてもよい。この場合、CH3領域のアミノ酸配列は、哺乳類の天然抗体の相当する領域と比較して、70%以上の相同性(配列同一性)、75%以上の相同性、80%以上の相同性、85%以上の相同性、90%以上の相同性、または95%以上の相同性を有する。これらの割合の下限で相同性を有する場合、該CH3領域はその哺乳類の天然抗体に由来している。特定の態様において、該哺乳類としては、げっ歯類、ウサギ、および霊長類が挙げられる。霊長類としては、特にヒトが挙げられる。特定の態様において、該天然抗体としては、IgGが挙げられる。IgGとしては、ヒトIgG、またはマウスIgGが挙げられる。
特定の態様において、CH3領域は、ヒトIgG由来である。CH3領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。ヒトIgGのサブクラスとしては、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4が挙げられる。
d.CH1領域
一態様において、抗体半分子は、さらにCH1領域を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
他の態様において、CH1領域は、任意の改変を有していてもよい。この場合、CH1領域のアミノ酸配列は、哺乳類の天然抗体の相当する領域と比較して、70%以上の相同性(配列同一性)、75%以上の相同性、80%以上の相同性、85%以上の相同性、90%以上の相同性、または95%以上の相同性を有する。これらの割合の下限で相同性を有する場合、該CH1領域はその哺乳類の天然抗体に由来している。特定の態様において、該哺乳類としては、げっ歯類、ウサギ、および霊長類が挙げられる。霊長類としては、特にヒトが挙げられる。特定の態様において、該天然抗体としては、IgGが挙げられる。IgGとしては、ヒトIgG、またはマウスIgGが挙げられる。
特定の態様において、CH1領域は、ヒトIgG由来である。CH1領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。ヒトIgGのサブクラスとしては、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4が挙げられる。
本態様において、抗体半分子は定常領域部分を含んでいてもよい。定常領域部分は、Fc領域部分を含んでいる。抗体半分子がFc領域部分または定常領域部分を含むものとした場合、当該Fc領域部分または当該定常領域部分に、それらが本来有するエフェクター機能を向上または低下させる改変をさらに加えてもよい。具体的には、FcγRやFcRnやC1qへの結合力を増強または低下させる改変が挙げられるが、これ限りではない。
e.H鎖の抗原結合領域
一態様において、抗体半分子は、さらにH鎖の抗原結合領域を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。該抗原結合領域は、特定のエピトープに結合するものである。該抗原結合領域は、単一のエピトープに結合するものであってもよく、複数のエピトープに結合するものであってもよい。抗原結合領域が複数のエピトープに結合するものである場合、該複数のエピトープは同じ抗原内の複数の箇所に結合するものであってもよく、違う抗原に結合するものであってもよく、これら両方であってもよい。
他の態様において、H鎖の抗原結合領域は、ヒト由来であってもよく、ヒト以外の動物由来であってもよい。特定の態様において、該抗原結合領域は、ヒトIgG由来である。該抗原結合領域においてヒトIgG由来とは、ヒトIgGのH鎖の抗原結合領域のほか、ヒトIgGのH鎖とヒト以外の動物由来のIgG(例えばマウスIgG)のH鎖との間でキメラ化されたもの、およびヒト以外の動物由来のIgG(例えばマウスIgG)のH鎖からヒト化されたものを包含する。抗原結合領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。
一態様において、H鎖の抗原結合領域が特異的に結合する抗原は、当業者により任意に選択される。該抗原は、例えば、標的細胞に発現するタンパク質が挙げられる。該タンパク質は、好ましくは対象疾患の原因となっている異常細胞に発現している抗原である。異常細胞に発現している該抗原は、好ましくは膜タンパク質である。H鎖の抗原結合領域は、好ましくは該膜タンパク質の細胞外領域に特異的に結合する。
抗原の種類は特に限定されず、どのような抗原でもよい。抗原の例としては、例えば、受容体もしくはその断片、癌抗原、MHC抗原、分化抗原等を挙げることができるが、特にこれらに制限されない。
また、該受容体の例としては、例えば、造血因子受容体ファミリー、サイトカイン受容体ファミリー、チロシンキナーゼ型受容体ファミリー、セリン/スレオニンキナーゼ型受容体ファミリー、TNF受容体ファミリー、Gタンパク質共役型受容体ファミリー、GPIアンカー型受容体ファミリー、チロシンホスファターゼ型受容体ファミリー、接着因子ファミリー、ホルモン受容体ファミリー、等の受容体ファミリーに属する受容体などを挙げることができる。これら受容体ファミリーに属する受容体、及びその特徴に関しては多数の文献が存在し、例えば、Cooke BA., King RJB., van der Molen HJ. ed. New ComprehesiveBiochemistry Vol.18B "Hormones and their Actions Part II"pp.1-46 (1988) Elsevier Science Publishers BV., New York, USA、Patthy L. (1990) Cell, 61: 13-14.、Ullrich A., et al. (1990) Cell, 61: 203-212.、Massagul J. (1992) Cell, 69: 1067-1070.、Miyajima A., et al. (1992) Annu. Rev. Immunol., 10: 295-331.、Taga T. and Kishimoto T. (1992) FASEB J., 7: 3387-3396.、Fantl WI., et al. (1993) Annu. Rev. Biochem., 62: 453-481.、Smith CA., et al. (1994) Cell, 76: 959-962.、Flower DR. (1999) Biochim. Biophys. Acta, 1422: 207-234.、宮坂昌之監修, 細胞工学別冊ハンドブックシリーズ「接着因子ハンドブック」(1994) (秀潤社, 東京, 日本)等が挙げられる。上記受容体ファミリーに属する具体的な受容体としては、例えば、ヒト又はマウスエリスロポエチン(EPO)受容体、ヒト又はマウス顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体、ヒト又はマウストロンボポイエチン(TPO)受容体、ヒト又はマウスインスリン受容体、ヒト又はマウスFlt-3リガンド受容体、ヒト又はマウス血小板由来増殖因子(PDGF)受容体、ヒト又はマウスインターフェロン(IFN)-α、β受容体、ヒト又はマウスレプチン受容体、ヒト又はマウス成長ホルモン(GH)受容体、ヒト又はマウスインターロイキン(IL)-10受容体、ヒト又はマウスインスリン様増殖因子(IGF)-I受容体、ヒト又はマウス白血病抑制因子(LIF)受容体、ヒト又はマウス毛様体神経栄養因子(CNTF)受容体等を例示することができる(hEPOR: Simon, S. et al. (1990) Blood 76, 31-35.; mEPOR: D'Andrea, AD. Et al. (1989) Cell 57, 277-285.; hG-CSFR: Fukunaga, R. et al. (1990) Proc.Natl. Acad. Sci. USA. 87, 8702-8706.; mG-CSFR: Fukunaga, R. et al. (1990) Cell61, 341-350.; hTPOR: Vigon, I. et al. (1992) 89, 5640-5644.; mTPOR: Skoda, RC. Et al. (1993) 12, 2645-2653.; hInsR: Ullrich, A. et al. (1985) Nature 313, 756-761.; hFlt-3: Small, D. et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91, 459-463.; hPDGFR: Gronwald, RGK. Et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85, 3435-3439.; hIFNα/βR: Uze, G. et al. (1990) Cell 60, 225-234.及びNovick, D. et al. (1994) Cell 77, 391-400.)。
癌抗原は細胞の悪性化に伴って発現する抗原であり、腫瘍特異性抗原とも呼ばれる。又、細胞が癌化した際に細胞表面やタンパク質分子上に現れる異常な糖鎖も癌抗原となり、特に癌糖鎖抗原と呼ばれる。癌抗原の例としては、例えば、CA19-9、CA15-3、シリアルSSEA-1(SLX)などを挙げることができる。
MHC抗原は、MHC class I抗原とMHC class II抗原に大別され、MHC class I抗原には、HLA-A,-B,-C,-E,-F,-G,-Hが含まれ、MHC class II抗原には、HLA-DR,-DQ,-DPが含まれる。
分化抗原には、CD1、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD10、CD11a、CD11b、CD11c、CD13、 CD14、CD15s、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD23、CD25、CD28、CD29、CD30、CD32、CD33、CD34、CD35、CD38、CD40、CD41a、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RO、CD48、CD49a、CD49b、CD49c、CD49d、CD49e、CD49f、CD51、CD54、CD55、CD56、CD57、CD58、CD61、CD62E、CD62L、CD62P、CD64、CD69、CD71、CD73、CD95、CD102、CD106、CD122、CD126、CDw130などが含まれる。
f.L鎖
一態様において、抗体半分子はL鎖を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。該L鎖は、L鎖全体であってもよく、その断片であってもよく、例えば、L鎖の抗原結合領域部分および定常領域部分のいずれか一方または両方を含んでいてよい。
抗体半分子がL鎖の抗原結合領域を含む場合、該抗原結合領域は、特定のエピトープに結合するものである。該抗原結合領域は、単一のエピトープに結合するものであってもよく、複数のエピトープに結合するものであってもよい。抗原結合領域が複数のエピトープに結合するものである場合、該複数のエピトープは同じ抗原内の複数の箇所に結合するものであってもよく、違う抗原に結合するものであってもよく、これら両方であってもよい。
L鎖の抗原結合領域は、ヒト由来であってもよく、ヒト以外の動物由来であってもよい。特定の態様において、該抗原結合領域は、ヒトIgG由来である。該抗原結合領域においてヒトIgG由来とは、ヒトIgGのL鎖の抗原結合領域のほか、ヒトIgGのL鎖とヒト以外の動物由来のIgG(例えばマウスIgG)のL鎖との間でキメラ化されたもの、およびヒト以外の動物由来のIgG(例えばマウスIgG)のL鎖からヒト化されたものを包含する。抗原結合領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。
一態様において、L鎖の抗原結合領域が特異的に結合する抗原は、上述のH鎖の抗原結合領域と同様に、当業者により任意に選択される。該抗原は、例えば、標的細胞に発現するタンパク質が挙げられる。該タンパク質は、好ましくは対象疾患の原因となっている異常細胞に発現している抗原である。異常細胞に発現している該抗原は、好ましくは膜タンパク質である。L鎖の抗原結合領域は、好ましくは該膜タンパク質の細胞外領域に特異的に結合する。
抗原の種類は特に限定されず、どのような抗原でもよい。抗原の例としては、上述のH鎖の抗原結合領域と同様のものが例示される。特定の態様において、抗体半分子がH鎖の抗原結合領域とL鎖の抗原結合領域を含む場合、両方の該抗原結合領域が結合する抗原の種類は一致していてもよく、一致していなくてもよい。
抗体半分子がL鎖の定常領域部分を含む場合、該定常領域は、任意の改変を有していてもよい。この場合、該定常領域のアミノ酸配列は、哺乳類の天然抗体の相当する領域と比較して、70%以上の相同性(配列同一性)、75%以上の相同性、80%以上の相同性、85%以上の相同性、90%以上の相同性、または95%以上の相同性を有する。これらの割合の下限で相同性を有する場合、該定常領域はその哺乳類の天然抗体に由来している。特定の態様において、該哺乳類としては、げっ歯類、ウサギ、および霊長類が挙げられる。霊長類としては、特にヒトが挙げられる。特定の態様において、該天然抗体としては、IgGが挙げられる。IgGとしては、ヒトIgG、またはマウスIgGが挙げられる。
特定の態様において、該定常領域は、ヒトIgG由来である。該定常領域がヒトIgG由来であると、抗体半分子をヒトに対する医薬に用いた場合に、抗抗体の産生を回避しやすい。ヒトIgGのサブクラスとしては、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4が挙げられる。
g.抗体半分子の具体例
一態様において、抗体半分子は、ホモ二量体の形成が抑制されている限り、上述のヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域、ならびに任意に含むCH1領域、H鎖の抗原結合領域、およびL鎖を、1ずつ含んでいてもよく、いずれかを2以上含んでいてもよく、すべてを2以上含んでいてもよい。
抗体半分子において、上述のヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、ならびに任意に含むCH1領域、H鎖の抗原結合領域、およびL鎖は、1本のポリペプチド内に存在していてもよく、複数のポリペプチドに分散して存在していてもよい。これらが複数のポリペプチドに分散して存在している場合、それらのポリペプチドは共有結合等の化学結合により互いに結合している。
一態様において、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域からなる群から選択される少なくとも1つは、ヒトIgG由来である。特定の態様において、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域ヒトIgG由来である。
他の態様において、L鎖はヒトIgG由来である。
さらに他の態様において、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、およびL鎖は、ヒトIgG由来である。
h.用途
抗体半分子は、公知の用途に用いられることができる。例えば、国際公開第2012/020096号に記載の用途が挙げられる。具体的な抗体半分子の用途としては、治療や診断が挙げられる。
一態様において、抗体半分子が治療に使われる場合、抗体半分子が単量体で作用した場合にはエフェクター機能が一部または完全に抑えられているが、その抗体半分子の標的抗原を細胞表面に高発現する異常細胞に対しては、単量体で作用する場合に比べ強いエフェクター機能を奏する用い方が例示される。この用途において、例えば、抗体半分子が単量体で細胞表面に結合している場合にはエフェクター機能を発揮しにくいまたは発揮しないが、抗体半分子がある密度以上で細胞表面の標的抗原に結合している場合にはその抗原を足場にして抗体半分子が二量体を形成し、エフェクター機能を発揮するメカニズムが利用される。
より具体的には、標的抗原が異なる2種の抗体半分子が組合せて用いられる。抗原が互いに異なることにより、抗体半分子の異常細胞への標的特異性が向上される。この場合において、それら抗体半分子は共有結合によって結合しておらず、そして、液中で混合した場合にホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成しやすいことが好ましい。また、それらの抗体半分子の標的抗原のうち両方が異常細胞には発現しているが正常細胞にはいずれか一方が発現していないことが好ましく、両方が異常細胞には発現しているが正常細胞にはいずれも発現していないことがより好ましい。
以下、2種の抗体半分子がそれぞれ第1の抗体半分子および第2の抗体半分子と称され、さらに第1の抗体半分子が特異的に結合する抗原が第1の抗原、第2の抗体半分子が特異的に結合する抗原が第2の抗原と称されて、抗体半分子の用途に関する特定の態様が詳述される。
第1の抗体半分子および第2の抗体半分子は、共有結合によって結合していない。両抗体半分子が同じ組成物に存在する場合、第1の抗体半分子および第2の抗体半分子は、共有結合によって結合していない限り相互作用していてもよい。共有結合によらない該相互作用としては、水素結合および分子間結合などが挙げられる。該相互作用の量は、好ましくは少ない。該量が少ないほど、副作用がより低減される。
一態様において、表面プラズモン共鳴において測定された第1の抗体半分子と第2の抗体半分子の結合量のモル比が、該相互作用の指標として用いられ得る。例えば、表面プラズモン共鳴において1 mm2あたり50 pgの第1の抗体半分子が固定化されたセンサーチップと2.5 mg/mLの第2の抗体半分子を含有する測定液とを用いて両抗体半分子の親和性を測定したときに、該第1の抗体半分子に対する該第2の抗体半分子の結合量は、モル比で1:0.1〜1:0.9の範囲内にある。
当該モル比は、第2の抗体半分子の結合量の上限値として、1:0.9以下であればよく、好ましくは1:0.8以下、より好ましくは1:0.7以下、さらに好ましくは1:0.65以下、最も好ましくは1:0.5以下である。当該上限値がより低いほど、第1の抗原および第2の抗原を発現する細胞が存在しない条件下でヘテロ二量体がより形成されにくく、副作用がより低減される。
一方、当該モル比は、第2の抗体半分子の結合量の下限値として、1:0.1以上であればよく、好ましくは1:0.14以上、より好ましくは1:0.17以上、さらに好ましくは1:0.2以上、最も好ましくは1:0.23以上である。当該下限値がより高いほど、第1の抗原および第2の抗原を発現する細胞の表面で第1の抗体半分子および第2の抗体半分子のヘテロ二量体が形成されやすくなり、そしてエフェクター機能がより高くなる。
表面プラズモン共鳴に用いられる装置としては、例えば、Biacore(登録商標) T200(GEヘルスケア)などが挙げられる。
表面プラズモン共鳴による測定において用いられる測定液としては、例えば、HBS-EP+10X(GEヘルスケア)が使用される。HBS-EP+10Xは10倍の濃度にされた測定液であるから、使用時には10分の1に希釈して使用される。使用時の測定液の具体的な組成は、0.01MのHEPES、0.15MのNaCl、3mMのEDTA、0.05% (v/v)のSurfactantP20、pH 7.4である。測定時の測定液の好ましい温度は25℃である。
一態様において、第1の抗体半分子および第2の抗体半分子は、液中で混合した場合にホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成しやすい。該態様における「ホモ二量体」は、第1の抗体半分子と第1の抗体半分子との、共有結合によらない相互作用により形成された二量体、または、第2の抗体半分子と第2の抗体半分子との、共有結合によらない相互作用による二量体である。また、「ヘテロ二量体」は、第1の抗体半分子と第2の抗体半分子との、共有結合によらない相互作用により形成された二量体である。相互作用としては、水素結合、分子間結合などが挙げられる。
副作用を低減する観点から、第1の抗体半分子および第2の抗体半分子は、好ましくは、液中で相互作用しにくい。しかしながら、第1の抗体半分子および第2の抗体半分子の間の該相互作用は平衡状態にあるため、薬学的組成物中における対象への投与に適した濃度以上に、液中で第1の抗体半分子および第2の抗体半分子の濃度を高めた場合、該相互作用が生じる可能性がある。その場合において、第1の抗体半分子および第2の抗体半分子の濃度を高くすればするほど、相互作用する第1の抗体半分子および第2の抗体半分子の量は増加する。
液中で混合した場合にホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成しやすい第1の抗体半分子および第2の抗体半分子の具体的な態様としては、第1の抗体半分子が第1のCH3領域を含み、第2の抗体半分子が第2のCH3領域を含み、該第1のCH3領域および該第2のCH3領域が、液中で混合した場合にホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成しやすくする改変を有するものが挙げられる。そのような改変の具体例として、以下の(i)から(iii)の少なくとも一の改変が挙げられる。
(i)前記第1のCH3領域および前記第2のCH3領域のいずれか一方が正電荷の領域を有し、他方が負電荷の領域を有し、前記ヘテロ二量体が形成される際に前記正電荷の領域が前記負電荷の領域に相互作用する、改変
(ii)前記第1のCH3領域および前記第2のCH3領域のいずれか一方が凸部を有し、他方が凹部を有し、前記ヘテロ二量体が形成される際に前記凸部が前記凹部に嵌合して相互作用する、改変
(iii)前記第1のCH3領域および前記第2のCH3領域が改変されたIgGのCH3領域であり、前記改変されたIgGのCH3領域はその一部がIgAのCH3領域の一部と置き換えられており、前記ヘテロ二量体が形成される際に前記第1のCH3領域に置き換えられた前記IgAのCH3領域の一部と前記第2のCH3領域に置き換えられた前記IgAのCH3領域の一部とが相互作用する、改変
該(i)の改変としては、例えば、国際公開第2006/106905号、国際公開第2009/089004号、国際公開第2010/129304号、国際公開第2014/084607号に開示されているものが挙げられる。具体的な方法の一例としては、例えば第1の抗原結合活性を有するポリペプチドの重鎖定常領域のアミノ酸配列におけるEUナンバリングシステムでの356位と439位、357位と370位、及び、399位と409位の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせを同一の電荷を有するアミノ酸に改変すること、第2の抗原結合活性を有する又は抗原結合活性を有しないポリペプチドの重鎖定常領域のEUナンバリングシステムでの356位と439位、357位と370位、及び、399位と409位の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせを第1の抗原結合活性を有するポリペプチドとは反対の電荷を有するアミノ酸に改変することが挙げられる。より具体的には、例えば、第1の抗原結合活性を有するポリペプチドと第2の抗原結合活性を有するポリペプチドの重鎖定常領域のアミノ酸配列において、いずれか一方のポリペプチドにEUナンバリングシステムでの356位のGluをLysに置換する変異を導入し、他方のポリペプチドにEUナンバリングシステムでの439位のLysをGluに置換する変異を導入することが挙げられる。
該(ii)の改変としては、例えば、国際公開第96/027011号やMargaret Merchant et al., Nature Biotechnology 1998, 16, 677-681に開示されているものが挙げられる。具体的な方法の一例としては、一方のCH3領域にT366Y,もう一方のCH3領域にY407Aを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にT366W、もう一方のCH3領域にY407Aを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にF405A、もう一方のCH3領域にT394Wを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にY407T、もう一方のCH3領域にT366Yを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にT366Y/F405A、もう一方のCH3領域にT394W/Y407Tを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にT366W/F405W、もう一方のCH3領域にT394S/Y407Aを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にF405W/Y407A、もう一方のCH3領域にT366W/T394Sを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にF405W、もう一方のCH3領域にT394Sを導入する組み合わせ、あるいは一方のCH3領域にT366W、もう一方のCH3領域にT366S/L368A/Y407Vを導入する組み合わせ、が挙げられる。該(ii)の改変は該(i)の改変と組み合わせることも可能である。このような組み合わせとしては、例えば、国際公開第2012/058768号に開示されているものが挙げられる。
該(iii)の改変は、抗体の一方のH鎖のCH3領域の一部をその部分に対応するIgA由来の配列にし、もう一方のH鎖のCH3領域の相補的な部分にその部分に対応するIgA由来の配列を導入したstrand-exchange engineered domain CH3を用いることで、異なる配列を有するポリペプチドの相互作用をCH3領域の相補的な相互作用によって効率的に引き起こす技術である (Protein Engineering Design & Selection, 23; 195-202, 2010)。この公知技術を使っても効率的にヘテロ二量体を形成しやすくできる。(iii)の改変としては、例えば、国際公開第2007/110205号に開示される改変技術が挙げられる。
液中で混合した場合にホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成しやすい第1の抗体半分子および第2の抗体半分子の別の具体的な態様としては、ヒンジ領域部分に加える改変を適用してもよい。このような改変としては、例えば、国際公開第2011/143545号に開示される改変技術が挙げられる。
第1のCH3領域および第2のCH3領域のいずれか一方または両方は、好ましくはEUナンバリングシステムでの357位、397位および409位のアミノ酸残基のうち少なくとも一つの他のアミノ酸残基への置換を有する。このような改変を加えることにより、上述の表面プラズモン共鳴において1 mm2あたり50 pgの第1の抗体半分子が固定化されたセンサーチップと2.5 mg/mLの第2の抗体半分子を含有する測定液とを用いて両抗体半分子の親和性を測定したときに、該第1の抗体半分子に対する該第2の抗体半分子の結合量を、上述のモル比の範囲内に設定しやすくなる。
一態様において、第1の抗原および第2の抗原を発現する細胞表面でヘテロ二量体を形成した場合における当該ヘテロ二量体のFcγRへの結合活性は、第1の抗体半分子の単量体もしくは第2の抗体半分子の単量体のFcγRへの結合活性、またはホモ二量体を形成した場合におけるホモ二量体のFcγRへの結合活性よりも高い。これは、例えば、薬学的組成物を第1の抗原および第2の抗原を発現する細胞を有する対象に投与したときに、該細胞表面に到達した第1の抗体半分子と第2の抗体半分子によって形成されたヘテロ二量体が、該細胞表面に単に結合した単量体または該細胞表面に形成されたホモ二量体と比べて高いFcγRの活性化を導き、エフェクター機能を奏することを意味する。これにより、副作用がさらに低減される。
本態様においてFcγRは、例えば、げっ歯類および霊長類のFcγRが挙げられ、これらのうちいずれか一のFcγRでよい。本態様においてFcγRは、好ましくはげっ歯類および霊長類のFcγRである。げっ歯類は好ましくはマウスおよびラットである。霊長類は好ましくはカニクイザルおよびヒトである。本態様においてFcγRは、ヒトFcγRと、これと構造的に相同性があり、同様の機能を有するげっ歯類およびヒト以外の霊長類のホモログが挙げられる。
本態様におけるFcγRのサブクラスとしては、ヒトFcγRI、ヒトFcγRIIおよびヒトFcγRIII、ならびにこれらのげっ歯類およびヒト以外の霊長類のホモログが挙げられる。これらの中でも、FcγRは、好ましくはヒトFcγRIIもしくはヒトFcγRIII、またはこれらのげっ歯類およびヒト以外の霊長類のホモログであり、より好ましくはヒトFcγRIIIまたはこのげっ歯類およびヒト以外の霊長類のホモログである。ヒトFcγRは、好ましくはヒトFcγRIIまたはヒトFcγRIIIであり、より好ましくはヒトFcγRIIIである。
本態様におけるヒトFcγRIIは、さらにヒトFcγRIIA、ヒトFcγRIIBおよびヒトFcγRIICに分けられる。これらの中でも、ヒトFcγRIIは、好ましくはヒトFcγRIIBである。ヒトFcγRIIIは、さらにヒトFcγRIIIAおよびヒトFcγRIIIBに分けられる。これらの中でも、ヒトFcγRIIIは、好ましくはヒトFcγRIIIAである。
一態様において、第1の抗原および第2の抗原を発現する細胞が存在する条件下でのエフェクター機能が、第2の抗原を発現せず第1の抗原を発現する細胞または第1の抗原を発現せず第2の抗原を発現する細胞が存在する条件下よりも高い。これにより、副作用がさらに低減される。
エフェクター機能は、好ましくはADCCおよびCDCであり、より好ましくはADCCである。
3.抗体半分子の製造方法
一局面において、本発明は、抗体半分子の製造方法を提供する。
抗体半分子は、タンパク質を得るための一般的な方法により製造される。抗体半分子は、通常、これらをコードする核酸を用いて、宿主細胞に発現させて得られる。宿主細胞で発現した抗体半分子は、通常、宿主細胞から回収され、精製される。以下、具体的な製造方法について述べる。
核酸は、通常、適当なベクターへ担持(挿入)され、宿主細胞へ導入される。該ベクターとしては、挿入した核酸を安定に保持するものであれば特に制限されず、例えば宿主に大腸菌を用いるのであれば、クローニング用ベクターとしてはpBluescriptベクター(Stratagene社製)などが好ましいが、市販の種々のベクターを利用することができる。抗体半分子を生産する目的においてベクターを用いる場合には、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、試験管内、大腸菌内、培養細胞内、生物個体内でポリペプチドを発現するベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)、大腸菌であればpETベクター(Invitrogen社製)、培養細胞であればpME18S-FL3ベクター(GenBank Accession No. AB009864)、生物個体であればpME18Sベクター(Mol Cell Biol. 8:466-472(1988))などが好ましい。ベクターへの本発明のDNAの挿入は、常法により、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる(Current protocols in Molecular Biologyedit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 11.4-11.11)。
上記宿主細胞としては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿主細胞が用いられる。抗体半分子を発現させるための細胞としては、例えば、細菌細胞(例:ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌)、真菌細胞(例:酵母、アスペルギルス)、昆虫細胞(例:ドロソフィラS2、スポドプテラSF9)、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、HEK293、Bowes メラノーマ細胞)および植物細胞を例示することができる。宿主細胞へのベクター導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al.(1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクタミン法(GIBCOBRL社製)、マイクロインジェクション法などの公知の方法で行うことが可能である。
宿主細胞において発現した抗体半分子を小胞体の内腔に、細胞周辺腔に、または細胞外の環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを目的の抗体半分子に組み込むことができる。これらのシグナルは目的の抗体半分子に対して内因性であっても、異種シグナルであってもよい。
上記製造方法における抗体半分子の回収は、抗体半分子が培地に分泌される場合は、培地を回収する。抗体半分子が細胞内に産生される場合は、その細胞をまず溶解し、その後に抗体半分子を回収する。
組換え細胞培養物から抗体半分子を回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法を用いることができる。
4.薬学的組成物
一局面において、本発明は、上述の抗体半分子を含有する薬学的組成物を提供する。
a.その他の成分
薬学的組成物は、抗体半分子以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、薬学的に許容される担体が挙げられる。
薬学的組成物は、当業者に公知の方法で製剤化することが可能である。例えば、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤などと適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は、指示された範囲の適当な容量が得られるように設定する。
注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。
注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウム)を含む等張液が挙げられる。適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO-50等)を併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル及び/またはベンジルアルコールを併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液及び酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン)、安定剤(例えば、ベンジルアルコール及びフェノール)、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填する。
b.剤形
薬学的組成物は、好ましくは非経口投与により投与される。例えば、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型の組成物とすることができる。例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。
c.対象疾患
薬学的組成物の対象疾患は、特に限定されないが、好ましくは2種の抗体半分子のいずれの標的抗原をも発現する病原細胞に起因する疾患である。すなわち、該疾患は、2種の抗体半分子が細胞表面でヘテロ二量体を形成し、エフェクター機能を発揮させることが望ましい疾患である。
具体的な対象疾患としては、例えば、細胞増殖性疾患、免疫亢進性疾患、感染性疾患などが挙げられる。細胞増殖性疾患としては、腫瘍が挙げられる。免疫亢進性疾患としては、自己免疫疾患が挙げられる。感染性疾患としては、細菌感染およびウイルス感染が挙げられる。
薬学的組成物は、対象疾患に対して、当業者による任意の方法で投与される。複数の抗体半分子を治療に用いる場合には、それらを同じ製剤に含有させて投与してもよく、別々の製剤にして同時に投与してもよく、時間をずらして投与してもよい。
5.抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法
一局面において、本発明は、以下の(a)、(b)および(c)を含む、抗体半分子の製造におけるヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含む抗体半分子のホモ二量体形成を抑制する方法を提供する。
(a) 前記ヒンジ領域における少なくとも一つのシステイン残基の他のアミノ酸への置換
(b) 前記CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基のアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基への置換
(c) 前記CH3領域における立体構造上の界面の不安定化
この方法における、(a)におけるシステイン残基の位置および他のアミノ酸の種類等、(b)におけるアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基の種類等、ならびに(c)における立体構造上の界面の不安定化の詳細は、上述の「2.抗体半分子」におけるものと同じである。
[実施例1]抗体半分子の発現ベクターの作製および抗体半分子の発現と精製
アミノ酸置換の導入はQuikChange Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)、PCRまたはIn fusion Advantage PCR cloning kit (TAKARA)等を用いて当業者公知の方法で行い、発現ベクターを構築した。得られた発現ベクターの塩基配列は当業者公知の方法で決定した。作製したプラスミドをExpi293細胞(Invitrogen)に、一過性に導入し、抗体半分子の発現を行った。得られた培養上清から、MonoSpin(登録商標) ProA 96ウェルプレートタイプ(GLサイエンス)を用いて当業者公知の方法で、抗体半分子を精製した。精製抗体半分子濃度は、分光光度計を用いて280 nmでの吸光度を測定し、得られた値からPACE法により算出された吸光係数を用いて抗体半分子濃度を算出した(Protein Science 1995 ; 4 : 2411-2423)。
[実施例2]二量体化を不安定化させた抗体の作製
抗体の二量体化に関与する領域を不安定させることで半分子抗体が取得できるかどうかを検証するため、ヒンジ領域とCH3界面を不安定化させる改変を導入した。作製した抗体改変体の略称および名称と、導入した改変と、抗体改変体の配列番号を表1に示す。
Figure 2020045545
[実施例3]二量体化を不安定化させた抗体の分子量の評価
二量体化を不安定化させた抗体の分子量の評価をサイズ排除クロマトグラフィーで実施した。測定はHPLCであるACQUITY(登録商標) UPLC H-Class(Waters)、カラムにはSuperSW3000(TOSOH)を用いて当業者公知の方法で分析した。抗体半分子タンパク質濃度は0.1 mg/mLとして、10 μLのインジェクションを行った。
whole抗体のコントロール(図1aのWのピーク)としては国際公開第2009/125825号に開示されているヒトインターロイキン6レセプターに対する抗体を使用した。H鎖可変領域はMRAH(配列番号:1)を用いてH鎖定常領域は天然型IgG1の配列(配列番号:2)を使用した。L鎖可変領域はMRAL(配列番号:3)を使用しL鎖定常領域は天然型κ鎖であるk0(配列番号:4)の配列を使用した。抗体半分子状態のコントロール(図1bのHのピーク)として、H鎖可変領域は国際公開第2013/100120号に記載の抗ヒトエピレグリン抗体のH鎖可変領域部分であるEGLVH(配列番号:5)を使用し、H鎖定常領域部分はLuらの報告(Shan L, Colazet M, Rosenthal KL, Yu XQ, Bee JS, Ferguson A, Damschroder MM, Wu H, Dall'Acqua WF, Tsui P, Oganesyan V. (2016) Generation and Characterization of an IgG4 Monomeric Fc Platform. PLoS One. 2016 Aug 1;11(8))に記載の改変を有するwtIgG4C4(配列番号:6)を使用した。L鎖可変領域は国際公開第2013/100120号に記載の抗ヒトエピレグリン抗体のL鎖可変領域部分であるEGLVL(配列番号:7)を使用し、L鎖定常領域は天然型κ鎖であるk0(配列番号:4)の配列を使用した。また、前記コントロール以外の抗体半分子のH鎖可変領域はMRAH(配列番号:1)を用い、L鎖については全てMRAL-k0(配列番号:8)を用いて測定を実施した。
測定の結果、図1に示すように、ヒンジ領域とCH3界面を不安定化させた改変体では抗体半分子(Hのピーク)とwhole抗体(Wのピーク)の混合物が見られた(図1c)。
[実施例4]334位改変体の分子量の作製
抗体半分子化における334位(EUナンバリング)の寄与を検証するため、実施例2で作製した二量体化を不安定化させた抗体に対し、334位を他のアミノ酸残基に置換する改変を導入した。作製した抗体改変体の略称および名称と、導入した334位の改変と、抗体改変体の配列番号を表2に示す。
Figure 2020045545
[実施例5]334位改変体の分子量の評価
二量体化を不安定化させた抗体の分子量の評価をサイズ排除クロマトグラフィーで実施した。測定はHPLCであるACQUITY(登録商標) UPLC H-Class(Waters)、カラムにはSuperSW3000(TOSOH)を用いて当業者公知の方法で分析した。抗体半分子タンパク質濃度は0.1 mg/mLとして、10 μLのインジェクションを行った。
測定の結果、図2に示すように、334位がRに置換された場合は抗体半分子(Hのピーク)とwhole抗体(Wのピーク)の混合物が見られ(図2n)、それ以外の場合はwhole抗体がほとんどもしくは全く見られなかった。

Claims (11)

  1. ヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域を含み、前記ヒンジ領域における少なくとも一つのシステイン残基が他のアミノ酸残基に置換されており、前記CH2領域におけるEUナンバリングシステムでの334位のアミノ酸残基がアルギニン残基およびリシン残基以外のアミノ酸残基であり、前記CH3領域における立体構造上の界面が不安定化されている、抗体半分子。
  2. ホモ二量体形成が抑制されている、請求項1に記載の抗体半分子。
  3. EUナンバリングシステムでの334位の前記アミノ酸残基が、ヒスチジン残基、システイン残基、フェニルアラニン残基、グリシン残基、イソロイシン残基、メチオニン残基、アスパラギン残基、プロリン残基、グルタミン残基、セリン残基、トレオニン残基、トリプトファン残基、チロシン残基、アラニン残基、ロイシン残基、バリン残基、アスパラギン酸残基、およびグルタミン酸残基からなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体半分子。
  4. 前記の少なくとも一つのシステイン残基が、EUナンバリングシステムでの226位および229位のいずれか一方または両方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体半分子。
  5. 前記CH3領域における立体構造上の前記界面が、EUナンバリングシステムでの397位および409位のいずれか一方または両方のアミノ酸残基の置換により不安定化されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体半分子。
  6. さらにH鎖の抗原結合領域を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体半分子。
  7. さらにCH1領域を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗体半分子。
  8. 前記CH1領域、前記ヒンジ領域、前記CH2領域および前記CH3領域からなる群から選択される少なくとも1つがヒトIgG由来である、請求項7に記載の抗体半分子。
  9. 単一ドメイン抗体の抗体半分子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体半分子。
  10. さらに抗体のL鎖を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体半分子。
  11. 前記L鎖がヒトIgG由来である、請求項10に記載の抗体半分子。
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