JPWO2020045342A1 - 前処理試薬、並びに、ナノ粒子の分析及び回収方法 - Google Patents
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Abstract
前処理試薬は、電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬であって、前記ナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を含有する。ナノ粒子の分析及び回収方法は、前記前処理試薬を用いて、ナノ粒子を前処理した後、電気泳動に供する方法である。
Description
本発明は、電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬、並びに、該前処理試薬を用いたナノ粒子の分析及び回収方法に関する。本願は、2018年8月28日に、日本に出願された特願2018−159640号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
エクソソームは、細胞が分泌するナノ粒子の一種であり、体液中に安定且つ豊富に存在し、分泌元の細胞に由来するタンパク質やmiRNAを含む。そのため、がんをはじめとする難治疾患の早期検出や治療効果の判定に利用できる疾病マーカー候補として注目されており、さらに、核酸医薬の薬物送達システム(DDS)、間葉系幹細胞由来のエクソソームによる再生医療等、治療応用への期待も高まりつつある。しかしながら、エクソソームは、平均粒径が30nm以上100nm以下程度であり、且つ、不均質な粒子集団を形成しているため、分析及び同定することが困難である。
従来のエクソソームの分析法又は分離法としては、例えば、超遠心分離法、蛍光フローサイトメトリー(例えば、非特許文献1参照)等が知られている。
また、本発明者らは、これまでエクソソーム等の生体から抽出された試料を表面電位によって分離及び精製する、フリーフロー電気泳動法を用いた電気泳動デバイスを開発している(例えば、特許文献1、非特許文献2参照)。
van der Vlist EJ et al., "Fluorescent labeling of nano-sized vesicles released by cells and subsequent quantitative and qualitative analysis by high-resolution flow cytometry.", Nat Protoc., Vol. 7, No. 7, p1311-1326, 2012.
Akagi T et al., "On-chip immunoelectrophoresis of extracellular vesicles released from human breast cancer cells.", PLOS ONE, Vol. 10, No. 4, DOI:10.1371/journal.pone.0123603, 2015.
Matsumoto A et al., "Heterocyclic boronic acids display sialic acid selective binding in a hypoxic tumor relevant acidic environment.", Chem Sci., Vol. 8, Issue 9, p6165-6170, 2017.
しかしながら、超遠心分離法では、サイズ及び密度の類似した粒子が混在し、同一種の表面タンパク質を発現しているエクソソームのみを分離することは困難である。また、蛍光フローサイトメトリーでは、ナノ粒子の散乱光は微弱で検出が難しく、100nm以下の粒子を分離できない。
さらに、特許文献1に記載の電気泳動デバイスでは、表面電位によってナノ粒子を分離及び精製できるが、微小な電位の違いでは電気泳動度に差が生じにくいため、より分離能を高める技術が求められている。
さらに、特許文献1に記載の電気泳動デバイスでは、表面電位によってナノ粒子を分離及び精製できるが、微小な電位の違いでは電気泳動度に差が生じにくいため、より分離能を高める技術が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電気泳動に供されるナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向に顕著にシフトさせる前処理試薬、並びに、該前処理試薬を用いたナノ粒子の分析及び回収方法を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を用いて、ナノ粒子を前処理した後、電気泳動を行うことで、特定のナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向に顕著にシフトさせることができ、これにより、特定のナノ粒子とその他のナノ粒子との泳動速度の差を顕著に拡げ、特定のナノ粒子をその他の粒子を含む夾雑物から容易に回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る前処理試薬は、電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬であって、前記ナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を含有する。
前記イオン性ポリマーは、前記ナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に10mV以上シフトさせるものであってもよい。
前記イオン性ポリマーがポリペプチド、ポリアミン、多糖類、DNA、RNA、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸及びポリメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記ポリペプチドが、ポリリシン又はポリアスパラギン酸であってもよい。
前記特異的結合分子が抗体、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、レクチン及び低分子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記ナノ粒子が、表面にシアル酸を有する粒子であり、且つ、前記特異的結合分子がボロン酸誘導体であってもよい。
前記ボロン酸誘導体が下記一般式(I)で表される化合物であってもよい。
本発明の第1態様に係る前処理試薬は、電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬であって、前記ナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を含有する。
前記イオン性ポリマーは、前記ナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に10mV以上シフトさせるものであってもよい。
前記イオン性ポリマーがポリペプチド、ポリアミン、多糖類、DNA、RNA、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸及びポリメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記ポリペプチドが、ポリリシン又はポリアスパラギン酸であってもよい。
前記特異的結合分子が抗体、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、レクチン及び低分子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記ナノ粒子が、表面にシアル酸を有する粒子であり、且つ、前記特異的結合分子がボロン酸誘導体であってもよい。
前記ボロン酸誘導体が下記一般式(I)で表される化合物であってもよい。
(一般式(I)中、A11及びA12はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子である。Y11はカルボニル基、イミノ基、エステル結合、エーテル結合、アミド結合又はウレタン結合である。R11は水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基又は置換基を有してもよい複素環式基である。)
前記A11及び前記A12のうち少なくともいずれか一方が窒素原子であってもよい。
前記A11が炭素原子であり、前記A12が窒素原子であり、Y11がエステル結合又はアミド結合であってもよい。
前記ボロン酸誘導体が下記式(I−1−3)で表される化合物、下記式(I−2−1)で表される化合物及び下記式(I−2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であってもよい。
前記A11が炭素原子であり、前記A12が窒素原子であり、Y11がエステル結合又はアミド結合であってもよい。
前記ボロン酸誘導体が下記式(I−1−3)で表される化合物、下記式(I−2−1)で表される化合物及び下記式(I−2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であってもよい。
前記複合体が、ポリリシンと、前記式(I−1−3)で表される化合物と、コハク酸と、を反応させてなる複合体であり、且つ、下記式(IV)で表される構造を有してもよい。
(式(IV)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
前記複合体が、ポリアスパラギン酸と、前記式(I−1−3)で表される化合物と、を反応させてなる複合体であり、且つ、下記式(V)で表される構造を有してもよい。
(式(V)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
前記複合体が、ポリリシンと、前記式(I−2−1)で表される化合物と、を反応させてなる複合体であり、且つ、下記式(VI)で表される構造を有してもよい。
(式(VI)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
前記複合体が、ポリアスパラギン酸と、前記式(I−2−1)で表される化合物と、エチレンジアミンと、を反応させてなる複合体であり、且つ、下記式(VII)で表される構造を有してもよい。
(式(VII)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
前記ナノ粒子がエクソソームであってもよい。
前記ナノ粒子ががん細胞由来のエクソソームであってもよい。
前記ナノ粒子ががん細胞由来のエクソソームであってもよい。
本発明の第2態様に係るナノ粒子の分析及び回収方法は、上記第1態様に係る前処理試薬を用いて、ナノ粒子を前処理した後、電気泳動に供する方法である。
本発明の第3態様に係る複合体は、ポリリシンと、下記式(I−1−3)で表される化合物と、コハク酸と、を反応させてなる複合体であって、下記式(IV)で表される構造を有する。
(式(IV)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
本発明の第4態様に係る複合体は、ポリアスパラギン酸と、下記式(I−1−3)で表される化合物と、を反応させてなる複合体であって、下記式(V)で表される構造を有する。
(式(V)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
本発明の第5態様に係る複合体は、ポリリシンと、下記式(I−2−1)で表される化合物と、を反応させてなる複合体であって、下記式(VI)で表される構造を有する。
(式(VI)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
本発明の第6態様に係る複合体は、ポリアスパラギン酸と、下記式(I−2−1)で表される化合物と、エチレンジアミンと、を反応させてなる複合体であって、下記式(VII)で表される構造を有する。
(式(VII)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
上記態様の前処理試薬、並びに、上記態様のナノ粒子の分析及び回収方法によれば、電気泳動に供されるナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向に顕著にシフトさせて、夾雑物の中から所望のナノ粒子を容易に回収することができる。
≪前処理試薬≫
本実施形態の前処理試薬は、電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬であって、前記ナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を含有する。本実施形態の前処理試薬は、所望のナノ粒子と、当該ナノ粒子に対する特異的結合分子を介して、イオン性ポリマーと、を結合させることで、所望のナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向に顕著にシフトさせることができる。これにより、所望のナノ粒子の電気泳動度と、その他の物質の電気泳動度との差が顕著に拡がるため、夾雑物中から所望のナノ粒子を容易に分離及び回収することができる。
本実施形態の前処理試薬は、電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬であって、前記ナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を含有する。本実施形態の前処理試薬は、所望のナノ粒子と、当該ナノ粒子に対する特異的結合分子を介して、イオン性ポリマーと、を結合させることで、所望のナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向に顕著にシフトさせることができる。これにより、所望のナノ粒子の電気泳動度と、その他の物質の電気泳動度との差が顕著に拡がるため、夾雑物中から所望のナノ粒子を容易に分離及び回収することができる。
本明細書において、ナノ粒子は、その平均粒径が1nm以上1000nm未満であり、1nm以上500nm以下が好ましく、1nm以上300nm以下がより好ましく、5nm以上150nm以下がさらに好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
ナノ粒子の粒径分布は、特別な限定はないが、例えば、非特許文献2に記載の方法、具体的には、ナノ粒子追跡分析(nanoparticle tracking analysis;NTA)システムを用いて測定することができる。具体的には、各ナノ粒子のブラウン運動を光散乱法で追跡し、30秒間程度記録した後、得られたデータからストークス−アインシュタインの式を用いて、平均粒径を計算することができる。
また、ナノ粒子は、少なくともその表面が、タンパク質、脂質、糖及び核酸からなる群より選ばれる1種以上の成分で構成されている。ナノ粒子としては、生体由来のものであってもよく、合成されたものであってもよい。ナノ粒子として具体的には、例えば、細胞内小器官、細胞外小胞体、高分子ミセル等が挙げられる。細胞内小器官としては、例えば、核、小胞体、リボソーム、ゴルジ体、ミトコンドリア、中心体、リソソーム等が挙げられる。細胞外小胞体(Extracellular Vesicle;EV)としては、例えば、エクソソーム(エキソソーム)(Exosome)、アポトーシス小体(Apoptotic Body)、微小小胞体(Microvesicle;MV)等が挙げられる。中でも、ナノ粒子としては、エクソソームが好ましい。
エクソソームは、平均粒径が30nm以上100nm以下程度の脂質小胞であり、エンドソームと細胞膜との融合体として、腫瘍細胞、樹状細胞、T細胞、B細胞等、種々の細胞から、血液、尿、唾液等の体液中に分泌される。生体内に存在する癌細胞等の異常細胞は、その細胞膜に特有のタンパク質を発現している。エクソソームは細胞の分泌物であり、その表面に分泌源の細胞由来のタンパク質を発現している。
そこで、エクソソームの表面に発現しているタンパク質を分析することで、分泌源の細胞の異常を検出することができる。ここで、エクソソームの表面とは、細胞から分泌される脂質小胞の膜の外表面であって、分泌されたエクソソームが生体内の環境と接する部分をいう。
エクソソームは、生体内で循環している血液中で検出されるため、エクソソームを分析することで、バイオプシー検査をしなくとも、生体内の異常を検出することができる。
分析対象となるエクソソームを回収する際に、本実施形態の前処理試薬を用いてエクソソームを前処理した後、電気泳動を行うことで、より簡便に所望のエクソソームを分離及び精製することができる。
特に、がん細胞由来のエクソソームでは正常細胞由来エクソソームに比較して、表面に存在する糖鎖(例えば、シアル酸等)の量が多いことが知られている。そのため、糖鎖(特に、シアル酸)に対する特異的結合分子(例えば、後述するボロン酸誘導体等)を備える複合体を用いることで、がん細胞由来のエクソソームを選択的に回収することができる。
そこで、エクソソームの表面に発現しているタンパク質を分析することで、分泌源の細胞の異常を検出することができる。ここで、エクソソームの表面とは、細胞から分泌される脂質小胞の膜の外表面であって、分泌されたエクソソームが生体内の環境と接する部分をいう。
エクソソームは、生体内で循環している血液中で検出されるため、エクソソームを分析することで、バイオプシー検査をしなくとも、生体内の異常を検出することができる。
分析対象となるエクソソームを回収する際に、本実施形態の前処理試薬を用いてエクソソームを前処理した後、電気泳動を行うことで、より簡便に所望のエクソソームを分離及び精製することができる。
特に、がん細胞由来のエクソソームでは正常細胞由来エクソソームに比較して、表面に存在する糖鎖(例えば、シアル酸等)の量が多いことが知られている。そのため、糖鎖(特に、シアル酸)に対する特異的結合分子(例えば、後述するボロン酸誘導体等)を備える複合体を用いることで、がん細胞由来のエクソソームを選択的に回収することができる。
次いで、本実施形態の前処理試薬に含まれる各構成成分について、以下の詳細を説明する。
<複合体>
複合体は、特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合したものである。特異的結合分子とイオン性ポリマーとが間接的に結合している場合には、特異的結合分子とイオン性ポリマーとの間にリンカー分子が存在してもよい。特異的結合分子とイオン性ポリマーとの結合は、電気泳動中に特異的結合分子とイオン性ポリマーとの結合が保持されるものであればよく、物理的な結合であってもよく、化学的な結合であってもよい。具体的には配位結合、共有結合、水素結合、疎水性相互作用、物理吸着であってよく、公知の結合方法を用いてこれらの結合を形成させることができる。
複合体は、1種単独で用いてもよく、所望のナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に同程度シフトさせるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
複合体は、特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合したものである。特異的結合分子とイオン性ポリマーとが間接的に結合している場合には、特異的結合分子とイオン性ポリマーとの間にリンカー分子が存在してもよい。特異的結合分子とイオン性ポリマーとの結合は、電気泳動中に特異的結合分子とイオン性ポリマーとの結合が保持されるものであればよく、物理的な結合であってもよく、化学的な結合であってもよい。具体的には配位結合、共有結合、水素結合、疎水性相互作用、物理吸着であってよく、公知の結合方法を用いてこれらの結合を形成させることができる。
複合体は、1種単独で用いてもよく、所望のナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に同程度シフトさせるものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
[イオン性ポリマー]
イオン性ポリマーとしては、カチオン性官能基又はアニオン性官能基を有するポリマーであればよく、特別な限定はない。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、ホスフィン基等が挙げられる。アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基等が挙げられる。
また、イオン性ポリマーとしては、所望のナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に顕著にシフトさせるものであればよく、具体的には、ナノ粒子のゼータ電位を平均で10mV以上シフトさせるものが好ましく、15mV以上シフトさせるものがより好ましく、20mV以上シフトさせるものがさらに好ましい。一方で、正方向又は負方向にシフトされる所望のナノ粒子のゼータ電位の上限としては、特別な限定はなく、例えば500mVとすることができ、例えば300mVとすることができ、例えば100mVとすることができる。なお、ここでいう、正方向又は負方向にシフトされる所望のナノ粒子のゼータ電位の数値は、絶対値で表わされる。ナノ粒子のゼータ電位の測定方法については、後述する。
イオン性ポリマーとしては、カチオン性官能基又はアニオン性官能基を有するポリマーであればよく、特別な限定はない。カチオン性官能基としては、例えば、アミノ基、ホスフィン基等が挙げられる。アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基等が挙げられる。
また、イオン性ポリマーとしては、所望のナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に顕著にシフトさせるものであればよく、具体的には、ナノ粒子のゼータ電位を平均で10mV以上シフトさせるものが好ましく、15mV以上シフトさせるものがより好ましく、20mV以上シフトさせるものがさらに好ましい。一方で、正方向又は負方向にシフトされる所望のナノ粒子のゼータ電位の上限としては、特別な限定はなく、例えば500mVとすることができ、例えば300mVとすることができ、例えば100mVとすることができる。なお、ここでいう、正方向又は負方向にシフトされる所望のナノ粒子のゼータ電位の数値は、絶対値で表わされる。ナノ粒子のゼータ電位の測定方法については、後述する。
イオン性ポリマーは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。分岐鎖状である場合、その形態としては、限定されるものではないが、例えば、星形、デンドリマー(デンドロン)、櫛形、ブラシ型、網目型等が挙げられる。イオン性ポリマーは、1種の単量体を重合させてなる重合体であってもよく、2種以上の単量体を組み合わせて重合させてなる共重合体であってもよい。イオン性ポリマーが共重合体である場合には、その形態としては、例えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。
イオン性ポリマーとして具体的には、例えば、ポリペプチド、ポリアミン、多糖類、DNA、RNA、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド等が挙げられる。これらにアニオン性官能基又はカチオン性官能基をさらに導入してもよい。また、上記例示された成分を1種単独で、又は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
カチオン性のポリペプチドとしては、例えば、ポリリシン、ポリオルニチン等が挙げられ、ポリリシンが好ましい。
アニオン性のポリペプチドとしては、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等が挙げられ、ポリアスパラギン酸が好ましい。
アニオン性のポリペプチドとしては、例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等が挙げられ、ポリアスパラギン酸が好ましい。
ポリアミンとしては、例えば、ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等が挙げられる。
多糖類としては、例えば、アルギン酸、セルロース、デキストラン、プルラン、グリコサミノグリカン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。セルロースとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、セルローススルフェートナトリウム塩等が挙げられる。グリコサミノグリカンとしては、例えば、ヒアルロン酸(ヒアルロナン)、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸等が挙げられる。
ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸及びポリメタクリルアミドは、それぞれ、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリル酸及びメタクリルアミドを単量体として用いた重合体である。これら重合体の誘導体を用いてもよく、当該誘導体としては、例えば、以下に示す単量体を重合させてなる重合体や、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリル酸又はメタクリルアミドと、以下に示す単量体とを組み合わせて反応させてなる共重合体等が挙げられる。
1)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体;
2)マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体;
3)N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和アミド単量体
1)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体;
2)マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体;
3)N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和アミド単量体
イオン性ポリマーの分子量としては、例えば100以上1,000,000以下とすることができ、1000以上100,000以下が好ましい。分子量が上記下限値以上であることにより、ナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向により効果的にシフトさせることができ、一方、上記上限値以下であることにより、イオン性ポリマーの水溶性を保ちながら、電気泳動の分離能への影響をより効果的に抑制することができる。
[特異的結合分子]
特異的結合分子としては、所望のナノ粒子に特異的に結合するものであればよく、具体的には、例えば、抗体、アプタマー、レクチン、低分子化合物等が挙げられる。
特異的結合分子としては、所望のナノ粒子に特異的に結合するものであればよく、具体的には、例えば、抗体、アプタマー、レクチン、低分子化合物等が挙げられる。
抗体としては、IgG、IgA、IgD、IgE、IgM等が挙げられる。IgGとしては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4等が挙げられる。IgAとしては、IgA1、IgA2等が挙げられる。IgMとしては、IgM1、IgM2等が挙げられる。
また、抗体は、抗体断片及び改変抗体であってもよい。抗体断片及び改変抗体としては、例えば、Fv、Fab、F(ab’)2、scFv等が挙げられる。
また、抗体は、抗体断片及び改変抗体であってもよい。抗体断片及び改変抗体としては、例えば、Fv、Fab、F(ab’)2、scFv等が挙げられる。
アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。所望のナノ粒子に対する特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。所望のナノ粒子に対する特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば、酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
一般に、「レクチン」とは、植物、動物、微生物等に存在するタンパク質又は糖タンパク質のうち、糖に対する特異的結合活性を持つ物質の総称である。レクチンは天然由来のものであってもよく、人工的に合成されたものであってもよい。
低分子化合物は、分子量が10,000以下の化合物であって、上記抗体、アプタマー及びレクチンに分類されるもの以外のものである。ナノ粒子に対する特異的結合能を有する低分子化合物としては、ナノ粒子が細胞内小器官や細胞外小胞体である場合には、それらの表面に存在するタンパク質や糖鎖等に特異的に結合する低分子化合物を用いることができる。例えば、表面にシアル酸が存在するナノ粒子を分析及び回収する場合には、低分子化合物として、ボロン酸誘導体を用いることができる。また、例えば、表面にアビジン(又はストレプトアビジン)が存在するナノ粒子を分析及び回収する場合には、低分子化合物として、ビオチンを用いることができる。
(ボロン酸誘導体)
ボロン酸は、糖及び糖タンパク質中のジオール基と可逆的に相互作用することが知られており、本発明者らは、これまでに、シアル酸(N−アセチルノイラミン酸)に対して非常に強い親和性及び選択性を有すボロン酸誘導体を見出した(非特許文献3、参照)。また、注目すべきことに、シアル酸とボロン酸誘導体との相互作用は、低酸素腫瘍微小環境に関連する弱酸性pH条件下で強化される。
ボロン酸は、糖及び糖タンパク質中のジオール基と可逆的に相互作用することが知られており、本発明者らは、これまでに、シアル酸(N−アセチルノイラミン酸)に対して非常に強い親和性及び選択性を有すボロン酸誘導体を見出した(非特許文献3、参照)。また、注目すべきことに、シアル酸とボロン酸誘導体との相互作用は、低酸素腫瘍微小環境に関連する弱酸性pH条件下で強化される。
ボロン酸誘導体は、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と称する場合がある)である。
一般式(I)中、A11及びA12はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子である。Y11はカルボニル基(−C(=O)−)、イミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)、エーテル結合(−O−)、アミド結合(−CONH−)又はウレタン結合(−NHCOO−)である。R11は水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基又は置換基を有してもよい複素環式基である。
・A11及びA12
A11及びA12はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子である。A11及びA12は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
中でも、A11及びA12が共に炭素原子である、又は、A11及びA12のうち少なくともいずれか一方が窒素原子であることが好ましく、A11が炭素原子であって、A12が窒素原子であることがより好ましい。
A11及びA12はそれぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子である。A11及びA12は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
中でも、A11及びA12が共に炭素原子である、又は、A11及びA12のうち少なくともいずれか一方が窒素原子であることが好ましく、A11が炭素原子であって、A12が窒素原子であることがより好ましい。
・Y11
Y11はカルボニル基(−C(=O)−)、イミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)、エーテル結合(−O−)、アミド結合(−CONH−)又はウレタン結合(−NHCOO−)である。中でも、Y11はイミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)が好ましく、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)がより好ましい。
Y11はカルボニル基(−C(=O)−)、イミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)、エーテル結合(−O−)、アミド結合(−CONH−)又はウレタン結合(−NHCOO−)である。中でも、Y11はイミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)が好ましく、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)がより好ましい。
・R11
R11は水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基又は置換基を有してもよい複素環式基である。
R11は水素原子、置換基を有してもよい炭化水素基又は置換基を有してもよい複素環式基である。
R11における炭化水素基としては、飽和又は不飽和の鎖状又は環状の炭化水素基であるが、飽和の鎖状の炭化水素基であることが好ましい。飽和の鎖状の炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、R11における炭化水素基の炭素数は限定されるものではないが、例えば、1以上20以下である。以下、炭化水素基において、例えば、炭素数1以上20以下であることを「C1−20」と表記する。炭素数がその他の範囲である場合についても、上記に倣って表記する。
R11における炭化水素基として具体的には、例えば、C1−20アルキル基、C2−20アルケニル基、C2−20アルキニル基、C4−20アルキルジエニル基、C6−20アリール基、C3−20シクロアルキル基、C3−20シクロアルケニル基等が挙げられる。
R11における炭化水素基として具体的には、例えば、C1−20アルキル基、C2−20アルケニル基、C2−20アルキニル基、C4−20アルキルジエニル基、C6−20アリール基、C3−20シクロアルキル基、C3−20シクロアルケニル基等が挙げられる。
C1−20アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
C2−20アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチルアリル基、2−ブテニル基等が挙げられる。
C2−20アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
C4−20アルキルジエニル基としては、例えば、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
C6−20アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、インデニル基、ビフェニリル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
C2−20アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチルアリル基、2−ブテニル基等が挙げられる。
C2−20アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
C4−20アルキルジエニル基としては、例えば、1,3−ブタジエニル基等が挙げられる。
C6−20アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、インデニル基、ビフェニリル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。
C3−20シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
C3−20シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
C3−20シクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
R11における複素環式基としては、例えば、ピロリドン基、スクシンイミジル基、フラン基、ピリジル基、モルホリノ基、エポキシ基、プリン−イル基、ピリミジン−イル基等が挙げられる。
R11における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基、シリル基、トリメチルシリル基、トリメトキシシリル基、メタンスルホニル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、C1−6アルコキシ基、C2−7アシル基、C2−7アルコキシカルボニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
C1−6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。
C2−7アシル基としては、例えば、ホルミル基(メタノイル基)、アセチル基(エタノイル基)、プロピオニル基(プロパノイル基)等が挙げられる。
C2−7アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
C1−6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。
C2−7アシル基としては、例えば、ホルミル基(メタノイル基)、アセチル基(エタノイル基)、プロピオニル基(プロパノイル基)等が挙げられる。
C2−7アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、2−メトキシエトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
R11が置換基としてアルキル基を有するアリール基である場合、すなわち、アルキルアリール基である場合、その炭素数は、例えば7以上20以下である。C7−20アルキルアリール基としては、例えば、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,5−キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、メシチル基等が挙げられる。
R11が置換基としてアリール基を有するアルキル基である場合、すなわち、アリールアルキル基である場合、その炭素数は、例えば、7以上20以下である。C7−20アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基、ジエチルベンジル基等が挙げられる。
R11が置換基としてアリール基を有するアルキル基である場合、すなわち、アリールアルキル基である場合、その炭素数は、例えば、7以上20以下である。C7−20アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基、ジエチルベンジル基等が挙げられる。
中でも、R11としては、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましい。
好ましい化合物(I)としては、例えば、A11及びA12が共に炭素原子、又は、A11及びA12のうち少なくともいずれか一方が窒素原子であり、Y11がイミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R11が水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい化合物(I)としては、例えば、A11が炭素原子であって、A12が窒素原子であり、Y11がエステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R11が水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい化合物(I)としては、例えば、A11が炭素原子であって、A12が窒素原子であり、Y11がエステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R11が水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であるもの等が挙げられる。
好ましい化合物(I)として具体的には、例えば、下記一般式(I−1)で表される化合物(以下、「化合物(I−1)」と称する場合がある)、下記一般式(I−2)で表される化合物(以下、「化合物(I−2)」と称する場合がある)、下記一般式(I−3)で表される化合物(以下、「化合物(I−3)」と称する場合がある)等が挙げられる。これら化合物は、好ましい化合物(I)の一例であって、好ましい化合物(I)はこれらに限定されない。
(一般式(I−1)中、Y111は上記Y11と同じである。R111は上記R11と同じである。
一般式(I−1)中、Y121は上記Y11と同じである。R121は上記R11と同じである。
一般式(I−1)中、Y131は上記Y11と同じである。R131は上記R11と同じである。)
一般式(I−1)中、Y121は上記Y11と同じである。R121は上記R11と同じである。
一般式(I−1)中、Y131は上記Y11と同じである。R131は上記R11と同じである。)
・Y111、Y121及びY131
Y111、Y121及びY131は、それぞれ独立に、上記Y11と同じである。中でも、Y111、Y121及びY131としては、イミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)が好ましく、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)がより好ましい。
Y111、Y121及びY131は、それぞれ独立に、上記Y11と同じである。中でも、Y111、Y121及びY131としては、イミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)が好ましく、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)がより好ましい。
・R111、R121及びR131
R111、R121及びR131は、それぞれ独立に、上記R11と同じである。中でも、R111、R121及びR131としては、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましい。
R111、R121及びR131は、それぞれ独立に、上記R11と同じである。中でも、R111、R121及びR131としては、水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましい。
好ましい(I−1)としては、例えば、Y111がイミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R111が水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい(I−1)としては、例えば、Y111がイミノ基(−NH−)であり、且つ、R111が水素原子であるもの等が挙げられる。
より好ましい(I−1)としては、例えば、Y111がイミノ基(−NH−)であり、且つ、R111が水素原子であるもの等が挙げられる。
好ましい(I−2)としては、例えば、Y121がイミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R121が水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい(I−2)としては、例えば、Y121がエステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R121が水素原子又はエチル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい(I−2)としては、例えば、Y121がエステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R121が水素原子又はエチル基であるもの等が挙げられる。
好ましい(I−3)としては、例えば、Y131がイミノ基(−NH−)、エステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R131が水素原子又は炭素数1以上6以下のアルキル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい(I−3)としては、例えば、Y131がエステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R131が水素原子又はエチル基であるもの等が挙げられる。
より好ましい(I−3)としては、例えば、Y131がエステル結合(−C(=O)O−)又はアミド結合(−CONH−)であり、且つ、R131が水素原子又はエチル基であるもの等が挙げられる。
好ましい化合物(I−1)として具体的には、例えば、下記式(I−1−1)で表される化合物(以下、「化合物(I−1−1)」と称する場合がある)、下記式(I−1−2)で表される化合物(以下、「化合物(I−1−2)」と称する場合がある)、下記式(I−1−3)で表される化合物(以下、「化合物(I−1−3)」と称する場合がある)等が挙げられる。これら化合物は、好ましい化合物(I−1)の一例であって、好ましい化合物(I−1)はこれらに限定されない。
好ましい化合物(I−2)として具体的には、例えば、下記式(I−2−1)で表される化合物(以下、「化合物(I−2−1)」と称する場合がある)、下記式(I−2−2)で表される化合物(以下、「化合物(I−2−2)」と称する場合がある)、下記式(I−2−3)で表される化合物(以下、「化合物(I−2−3)」と称する場合がある)等が挙げられる。これら化合物は、好ましい化合物(I−2)の一例であって、好ましい化合物(I−2)はこれらに限定されない。
好ましい化合物(I−3)として具体的には、例えば、下記式(I−3−1)で表される化合物(以下、「化合物(I−3−1)」と称する場合がある)、下記式(I−3−2)で表される化合物(以下、「化合物(I−3−2)」と称する場合がある)、下記式(I−3−3)で表される化合物(以下、「化合物(I−3−3)」と称する場合がある)等が挙げられる。これら化合物は、好ましい化合物(I−3)の一例であって、好ましい化合物(I−3)はこれらに限定されない。
中でも、ボロン酸誘導体としては、化合物(I−1−3)、化合物(I−2−1)又は化合物(I−2−2)が好ましい。
(ボロン酸誘導体の製造方法)
ボロン酸誘導体は、市販のものを購入して用いてもよく、又は、フェニルボロン酸、ピリジン−3−ボロン酸又は5−ピリミジン−5−ボロン酸を出発物質として、ベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環に、公知の方法を用いて、所望の官能基を導入することで、合成することができる。
ボロン酸誘導体は、市販のものを購入して用いてもよく、又は、フェニルボロン酸、ピリジン−3−ボロン酸又は5−ピリミジン−5−ボロン酸を出発物質として、ベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環に、公知の方法を用いて、所望の官能基を導入することで、合成することができる。
化合物(I−1−1)、化合物(I−2−1)又は化合物(I−3−1)の製造方法としては、例えば、まず、フェニルボロン酸、ピリジン−3−ボロン酸又は5−ピリミジン−5−ボロン酸と、クロロメタン等のハロゲン化メタンとを、無水塩化鉄(III)や塩化アルミニウム等のルイス酸触媒を用いて反応させることで、ベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環に、メチル基を求電子的に導入する(フリーデル−クラフツ反応)。次いで、過マンガン酸カリウム等の酸化剤を用いて、ベンゼン環、ピリジン環又はピリミジン環に導入されたメチル基をカルボキシ基に酸化させることで、化合物(I−1−1)、化合物(I−2−1)又は化合物(I−3−1)を製造することができる。
化合物(I−1−2)、化合物(I−2−2)又は化合物(I−3−2)の製造方法としては、例えば、化合物(I−1−1)、化合物(I−2−1)又は化合物(I−3−1)とプロピルアミンとを脱水縮合させてアミド結合を形成させることで、化合物(I−1−2)、化合物(I−2−2)又は化合物(I−3−2)を製造することができる。
アミド化反応時に、脱水縮合剤を用いてもよい。脱水縮合剤としては、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2―イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(4-(4,6-Dimethoxy-1,3,5-triazin-2-yl)-4-methylmorpholinium Chloride;DMT-MM)等が挙げられる。
アミド化反応時に、脱水縮合剤を用いてもよい。脱水縮合剤としては、例えば、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2―イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(4-(4,6-Dimethoxy-1,3,5-triazin-2-yl)-4-methylmorpholinium Chloride;DMT-MM)等が挙げられる。
また、アミド化反応は、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide;DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)等が挙げられる。
化合物(I−1−3)、化合物(I−2−3)又は化合物(I−3−3)の製造方法としては、例えば、フェニルボロン酸、ピリジン−3−ボロン酸又は5−ピリミジン−5−ボロン酸を、濃硝酸及び濃硫酸を用いてニトロ化した後、還元剤等を用いてニトロ基をアミノ基に還元させることで製造させることができる。
[複合体の好ましい例]
所望のナノ粒子が表面にシアル酸を有する粒子である場合、本実施形態の前処理試薬に含まれる好ましい複合体としては、以下に示すものが例示される。
1)ポリリシンと、下記式(I−1−3)で表される化合物と、コハク酸と、を反応させてなる複合体であって、下記式(IV)で表される構造(以下、「構造(IV)」と称する場合がある)を有する複合体;
所望のナノ粒子が表面にシアル酸を有する粒子である場合、本実施形態の前処理試薬に含まれる好ましい複合体としては、以下に示すものが例示される。
1)ポリリシンと、下記式(I−1−3)で表される化合物と、コハク酸と、を反応させてなる複合体であって、下記式(IV)で表される構造(以下、「構造(IV)」と称する場合がある)を有する複合体;
(式(IV)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
上記1)の複合体として具体的には、例えば、下記式(II−1)で表される化合物等が挙げられる。
(式(II−1)中、n21は1以上3500以下の整数である。)
2)ポリアスパラギン酸と、下記式(I−1−3)で表される化合物と、を反応させてなる複合体であって、下記式(V)で表される構造(以下、「構造(V)」と称する場合がある)を有する複合体;
(式(V)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
上記2)の複合体として具体的には、例えば、下記式(III−1)で表される化合物等が挙げられる。
(式(III−1)中、n31は1以上4000以下の整数である。)
3)ポリリシンと、下記式(I−2−1)で表される化合物と、を反応させてなる複合体であって、下記式(VI)で表される構造(以下、「構造(VI)」と称する場合がある)を有する複合体;
(式(VI)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
上記3)の複合体として具体的には、例えば、下記式(II−2)で表される化合物等が挙げられる。
(式(II−2)中、n22は1以上3500以下の整数である。)
4)ポリアスパラギン酸と、下記式(I−2−1)で表される化合物と、エチレンジアミンと、を反応させてなる複合体であって、下記式(VII)で表される構造(以下、「構造(VII)」と称する場合がある)を有する複合体;
(式(VII)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
上記4)の複合体として具体的には、例えば、下記式(III−2)で表される化合物等が挙げられる。
(式(III−2)中、n32は1以上4000以下の整数である。)
上記複合体1)〜4)において、上記構造(IV)〜(VII)はそれぞれ、ポリリシン又はポリアスパラギン酸の側鎖と各ボロン酸誘導体とが直接的又はリンカー分子を介して間接的に結合した構造であり、上記構造(IV)〜(VII)中のアスタリスクで示された結合点は、ポリリシン又はポリアスパラギン酸中のアミド結合間に存在する炭素に結合している。よって、複合体1)〜4)は、ポリリシン又はポリアスパラギン酸の側鎖の少なくとも一部が上記構造(IV)〜(VII)に置換されている。
[複合体の製造方法]
本実施形態の前処理試薬に含まれる複合体は、特異的結合分子とイオン性ポリマーとを直接的又は間接的に結合させることで製造することができる。
本実施形態の前処理試薬に含まれる複合体は、特異的結合分子とイオン性ポリマーとを直接的又は間接的に結合させることで製造することができる。
特異的結合分子が抗体、ペプチドアプタマー又はレクチンである場合には、例えば、抗体の定常領域を構成するアミノ酸、又は、ペプチドアプタマー及びレクチンの特異的結合能を有する領域以外の部位を構成するアミノ酸のアミノ基、カルボキシ基又はチオール基と、イオン性ポリマーが有する上記アニオン性官能基、上記カチオン性官能基等の官能基と、を反応させて共有結合を形成させることで、抗体、ペプチドアプタマー又はレクチンとイオン性ポリマーとの複合体を製造することができる。
特異的結合分子が核酸アプタマーである場合には、例えば、核酸アプタマーの特異的結合能を有する領域以外の部位を構成する塩基のリン酸基又は水酸基と、イオン性ポリマーが有する上記アニオン性官能基、上記カチオン性官能基等の官能基と、を反応させて共有結合を形成させることで、核酸アプタマーとイオン性ポリマーとの複合体を製造することができる。
特異的結合分子が低分子化合物である場合には、例えば、低分子化合物が有する特異的結合能を有する領域以外の部位に存在する官能基と、イオン性ポリマーが有する上記アニオン性官能基、上記カチオン性官能基等の官能基と、を反応させて共有結合を形成させることで、低分子化合物とイオン性ポリマーとの複合体を製造することができる。
例えば、低分子化合物が上記ボロン酸誘導体である場合には、上記化合物(I)中のR11と、イオン性ポリマーが有する上記アニオン性官能基、上記カチオン性官能基等の官能基と、を反応させて、アミド結合又はエステル結合等を形成させることで、ボロン酸誘導体とイオン性ポリマーとの複合体を製造することができる。
より具体的には、例えば、上記複合体1)の製造方法としては、まず、化合物(I−1−3)のアミノ基と、コハク酸のカルボキシ基とを、脱水縮合させて、アミド結合を形成させることで、3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸が得られる。このとき、脱水縮合剤を用いてもよい。脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、脱水縮合反応は、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
次いで、3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸のカルボキシ基と、ポリリシンの側鎖に存在するアミノ基とを、脱水縮合させることで、複合体1)が得られる。脱水縮合反応は、塩基存在下で行ってもよい。塩基しては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の弱塩基;ナトリウム tert−ブトキシド、カリウム tert−ブトキシド等の強塩基;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムテトラメチルピペリジン等の超塩基等が挙げられる。また、溶媒存在下で行ってもよく、脱水縮合剤を用いてもよい。溶媒及び脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
次いで、3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸のカルボキシ基と、ポリリシンの側鎖に存在するアミノ基とを、脱水縮合させることで、複合体1)が得られる。脱水縮合反応は、塩基存在下で行ってもよい。塩基しては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の弱塩基;ナトリウム tert−ブトキシド、カリウム tert−ブトキシド等の強塩基;リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムテトラメチルピペリジン等の超塩基等が挙げられる。また、溶媒存在下で行ってもよく、脱水縮合剤を用いてもよい。溶媒及び脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
例えば、上記複合体2)の製造方法としては、ポリアスパラギン酸の側鎖に存在するカルボキシ基と、化合物(I−1−3)のアミノ基とを、脱水縮合させて、アミド結合を形成させることで、複合体2)が得られる。脱水縮合反応は、塩基存在下で行ってもよい。塩基しては、上記「複合体1)の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、溶媒存在下で行ってもよく、脱水縮合剤を用いてもよい。溶媒及び脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
例えば、上記複合体3)の製造方法としては、ポリリシンの側鎖に存在するアミノ基と、化合物(I−2−1)のカルボキシ基とを、脱水縮合させて、アミド結合を形成させることで、複合体3)が得られる。脱水縮合反応は、塩基存在下で行ってもよい。塩基しては、上記「複合体1)の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、溶媒存在下で行ってもよく、脱水縮合剤を用いてもよい。溶媒及び脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
例えば、上記複合体4)の製造方法としては、まず、化合物(I−2−1)のカルボキシ基と、エチレンジアミンのアミノ基とを、脱水縮合させて、アミド結合を形成させることで、6−(アミノエチルアミド)ピリミジン−3−ボロン酸が得られる。このとき、脱水縮合剤を用いてもよい。脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、脱水縮合反応は、溶媒存在下で行ってもよい。溶媒としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
次いで、6−(アミノエチルアミド)ピリミジン−3−ボロン酸のアミノ基と、ポリアスパラギン酸の側鎖に存在するカルボキシ基とを、脱水縮合させることで、複合体4)が得られる。脱水縮合反応は、塩基存在下で行ってもよい。塩基しては、上記「複合体1)の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、溶媒存在下で行ってもよく、脱水縮合剤を用いてもよい。溶媒及び脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
次いで、6−(アミノエチルアミド)ピリミジン−3−ボロン酸のアミノ基と、ポリアスパラギン酸の側鎖に存在するカルボキシ基とを、脱水縮合させることで、複合体4)が得られる。脱水縮合反応は、塩基存在下で行ってもよい。塩基しては、上記「複合体1)の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。また、溶媒存在下で行ってもよく、脱水縮合剤を用いてもよい。溶媒及び脱水縮合剤としては、上記「ボロン酸誘導体の製造方法」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、特異的結合分子とイオン性ポリマーとの結合において、特異的結合分子との結合部位として、イオン性ポリマーが有する上記アニオン性官能基又は上記カチオン性官能基等のイオン性官能基を用いる場合には、結合に用いられるイオン性ポリマー中のイオン性官能基の割合の上限値は、イオン性ポリマー中のイオン性官能基の総モル量に対して、50モル%が好ましく、45モル%がより好ましい。結合に用いられるイオン性官能基の割合が上記上限値以下であることにより、イオン性ポリマーが有する電荷をより十分に発揮することができる。一方、結合に用いられるイオン性官能基の割合の下限値は、イオン性ポリマー中のイオン性官能基の総モル量に対して、例えば10モル%とすることができ、20モル%が好ましく、30モル%がより好ましい。結合に用いられるイオン性官能基の割合が上記下限値以上であることにより、イオン性ポリマーと結合している特異的結合分子の量をより十分な量とすることができ、所望のナノ粒子をより効果的に捕捉することができる。
<その他構成成分>
本実施形態の前処理試薬は、上記複合体に加えて、緩衝液等を含んでいてもよい。緩衝液としては、複合体中のイオン性ポリマーの電荷、及び、特異的結合分子が有する特異的結合能に影響を与えないものであれば、特別な限定はない。緩衝液としては、例えば、生理食塩水、緩衝効果のある生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline;PBS)、トリス緩衝生理食塩水(Tris buffered saline;TBS)、HEPES緩衝生理食塩水等)等が挙げられる。
本実施形態の前処理試薬は、上記複合体に加えて、緩衝液等を含んでいてもよい。緩衝液としては、複合体中のイオン性ポリマーの電荷、及び、特異的結合分子が有する特異的結合能に影響を与えないものであれば、特別な限定はない。緩衝液としては、例えば、生理食塩水、緩衝効果のある生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline;PBS)、トリス緩衝生理食塩水(Tris buffered saline;TBS)、HEPES緩衝生理食塩水等)等が挙げられる。
<ナノ粒子の分析及び回収方法>
本実施形態の前処理試薬は、フリーフロー電気泳動法によるナノ粒子の分析及び回収に好適に用いられる。すなわち、本実施形態のナノ粒子の分析及び回収方法は、前記前処理試薬を用いて、ナノ粒子を前処理した後、電気泳動に供する方法である。
本実施形態のナノ粒子の分析及び回収方法について、以下に詳細を説明する。
本実施形態の前処理試薬は、フリーフロー電気泳動法によるナノ粒子の分析及び回収に好適に用いられる。すなわち、本実施形態のナノ粒子の分析及び回収方法は、前記前処理試薬を用いて、ナノ粒子を前処理した後、電気泳動に供する方法である。
本実施形態のナノ粒子の分析及び回収方法について、以下に詳細を説明する。
まず、ナノ粒子を準備する。分析及び回収方法に用いられるナノ粒子がエクソソームである場合には、エクソソームを含有する試料から該エクソソームを精製する。試料としては、目的に応じて、血液、尿、母乳、気管支肺胞洗浄液、羊水、悪性滲出液、唾液、細胞培養液等が挙げられる。中でも、血液及び尿からは、エクソソームを精製しやすい。
次いで、本実施形態の前処理試薬を用いて、ナノ粒子を前処理する。これにより、所望のナノ粒子の表面に存在する標的分子に、複合体中の当該標的分子に対する特異的結合分子が結合するため、所望のナノ粒子に正又は負の電荷を付与することができ、ナノ粒子のゼータ電位を変化させることができる。ゼータ電位とは、溶液中のナノ粒子の表面電荷である。ゼータ電位は、後述する電気泳動デバイスを用いて測定することができる。ゼータ電位の測定方法については、後述する。
また、ナノ粒子がエクソソーム等の細胞外小胞体である場合、特異的結合分子を適切に選択することにより、例えば、癌、肥満、糖尿病、神経変性疾患等の疾患に関連する異常を検出することができる。
ナノ粒子が生体由来のものである場合、前処理条件としては、例えば、4℃以上10℃以下程度の温度で、10分以上12時間以下程度の時間、前処理試薬とナノ粒子とをインキュベートすることができる。
また、ナノ粒子がエクソソーム等の細胞外小胞体である場合、特異的結合分子を適切に選択することにより、例えば、癌、肥満、糖尿病、神経変性疾患等の疾患に関連する異常を検出することができる。
ナノ粒子が生体由来のものである場合、前処理条件としては、例えば、4℃以上10℃以下程度の温度で、10分以上12時間以下程度の時間、前処理試薬とナノ粒子とをインキュベートすることができる。
次いで、ナノ粒子と前処理試薬とを含む試料をフリーフロー電気泳動デバイスに導入する。ナノ粒子の分析及び回収方法に用いられるフリーフロー電気泳動デバイスとしては、例えば、特許文献1に記載のものを用いることができる。具体的には、フリーフロー電気泳動デバイスの一例を図1に示す。
電気泳動デバイスDVは、緩衝液導入口C、試料導入口D、緩衝液導入流路E、試料導入流路F、分離槽G、電極槽H、試料回収部J、試料回収流路K、第2緩衝液導入口(図示せず)、第2緩衝液回収口(図示せず)、電極(図示せず)を備えている。
電気泳動デバイスDVは、緩衝液導入口C、試料導入口D、緩衝液導入流路E、試料導入流路F、分離槽G、電極槽H、試料回収部J、試料回収流路K、第2緩衝液導入口(図示せず)、第2緩衝液回収口(図示せず)、電極(図示せず)を備えている。
試料導入口Dから、ナノ粒子と前処理試薬とを含む試料を導入する。その際、緩衝液導入口Cから例えばHEPES緩衝生理食塩水等の緩衝液を導入し、試料の流れを整える。試料の流速は、例えば、1μL/分以上10μL/分以下程度とすることができる。一方、緩衝液の流速は、例えば、25μL/分以上100μL/分以下とすることができる。
次いで、電極に対して、0以上100V以下程度の電圧を印加する。その際、第2緩衝液導入口から例えばHEPES緩衝生理食塩水等の緩衝液を導入し、第2緩衝液回収口から当該緩衝液を回収する。
電圧を印加することで、分離槽Gを横切る方向に電界が形成される。このとき、複合体が結合したナノ粒子の泳動挙動を図2に示す。所望のナノ粒子100は、その表面に分子X(1a)が存在する。そのため、上述した前処理において、分子X(1a)に対する特異的結合分子2が分子X(1a)に結合することで、所望のナノ粒子100は、アニオン性ポリマー3を有するアニオン性複合体10、又は、カチオン性ポリマー4を有するカチオン性複合体20で標識される。一方、その他のナノ粒子200は、その表面に分子X(1a)の代わりに、分子Y(1b)を有するため、アニオン性複合体10及びカチオン性複合体20により標識されない。よって、その他のナノ粒子200の正極側への移動量に対して、アニオン性複合体10が結合したナノ粒子100Aの正極側への移動量は大きい。一方、その他のナノ粒子200の正極側への移動量に対して、カチオン性複合体10が結合したナノ粒子100Bの正極側への移動量は小さい。これにより、アニオン性複合体10が結合したナノ粒子100Aは、正極側に移動しつつ下流側に流動する。一方、カチオン性複合体10が結合したナノ粒子100Bは、負極側に移動しつつ下流側に流動する。また、イオン性ポリマーを有する複合体が結合していないナノ粒子は、当該ナノ粒子表面が有するゼータ電位に応じて多少正極側又は負極側に移動しつつ(図2では正極側に移動する場合を例示している)下流側に流動する。このように、ナノ粒子をイオン性ポリマーによって電荷標識(チャージラベル)することで、泳動速度の差を増幅し、泳動挙動を制御することができる。その結果、カチオン性複合体10が結合したナノ粒子100Bは、図1に示す試料回収部K1〜K3のうち少なくともいずれか1つの試料回収部にて回収することができる。一方、アニオン性複合体10が結合したナノ粒子100Aは、図1に示す試料回収部K3〜K5のうち少なくともいずれか1つの試料回収部にて回収することができる。また、その他のナノ粒子200は、図1に示す試料回収部K2〜K4のうち少なくともいずれか1つの試料回収部にて回収することができる。ナノ粒子に付加する電荷量や、印加電圧、印加時間等を適宜調整することで、分離能を高めることができ、所望のナノ粒子をより効率的に分析及び回収することができる。
次いで、電極に対して、0以上100V以下程度の電圧を印加する。その際、第2緩衝液導入口から例えばHEPES緩衝生理食塩水等の緩衝液を導入し、第2緩衝液回収口から当該緩衝液を回収する。
電圧を印加することで、分離槽Gを横切る方向に電界が形成される。このとき、複合体が結合したナノ粒子の泳動挙動を図2に示す。所望のナノ粒子100は、その表面に分子X(1a)が存在する。そのため、上述した前処理において、分子X(1a)に対する特異的結合分子2が分子X(1a)に結合することで、所望のナノ粒子100は、アニオン性ポリマー3を有するアニオン性複合体10、又は、カチオン性ポリマー4を有するカチオン性複合体20で標識される。一方、その他のナノ粒子200は、その表面に分子X(1a)の代わりに、分子Y(1b)を有するため、アニオン性複合体10及びカチオン性複合体20により標識されない。よって、その他のナノ粒子200の正極側への移動量に対して、アニオン性複合体10が結合したナノ粒子100Aの正極側への移動量は大きい。一方、その他のナノ粒子200の正極側への移動量に対して、カチオン性複合体10が結合したナノ粒子100Bの正極側への移動量は小さい。これにより、アニオン性複合体10が結合したナノ粒子100Aは、正極側に移動しつつ下流側に流動する。一方、カチオン性複合体10が結合したナノ粒子100Bは、負極側に移動しつつ下流側に流動する。また、イオン性ポリマーを有する複合体が結合していないナノ粒子は、当該ナノ粒子表面が有するゼータ電位に応じて多少正極側又は負極側に移動しつつ(図2では正極側に移動する場合を例示している)下流側に流動する。このように、ナノ粒子をイオン性ポリマーによって電荷標識(チャージラベル)することで、泳動速度の差を増幅し、泳動挙動を制御することができる。その結果、カチオン性複合体10が結合したナノ粒子100Bは、図1に示す試料回収部K1〜K3のうち少なくともいずれか1つの試料回収部にて回収することができる。一方、アニオン性複合体10が結合したナノ粒子100Aは、図1に示す試料回収部K3〜K5のうち少なくともいずれか1つの試料回収部にて回収することができる。また、その他のナノ粒子200は、図1に示す試料回収部K2〜K4のうち少なくともいずれか1つの試料回収部にて回収することができる。ナノ粒子に付加する電荷量や、印加電圧、印加時間等を適宜調整することで、分離能を高めることができ、所望のナノ粒子をより効率的に分析及び回収することができる。
[ゼータ電位の測定方法]
ナノ粒子のゼータ電位は、例えば、電気泳動デバイスのマイクロ流路内で、エクソソームの電気泳動を行い、エクソソームの電気泳動速度Sを光学的に測定し、測定されたエクソソームの電気泳動速度Sに基づいて、以下の式(1)で表されるスモルコフスキー(Smoluchowski)の式を用いて算出することができる。
ナノ粒子のゼータ電位は、例えば、電気泳動デバイスのマイクロ流路内で、エクソソームの電気泳動を行い、エクソソームの電気泳動速度Sを光学的に測定し、測定されたエクソソームの電気泳動速度Sに基づいて、以下の式(1)で表されるスモルコフスキー(Smoluchowski)の式を用いて算出することができる。
U=(ε/η)ζ (1)
式(1)中、Uは測定対象のエクソソームの電気泳動移動度、ε及びηは、それぞれ、試料溶液の誘電率及び粘性係数である。また、電気泳動移動度Uは、電気泳動速度Sをマイクロ流路内の電界強度で除して算出することができる。
エクソソームの電気泳動速度Sは、例えば、ナノ粒子を、電気泳動デバイスのマイクロ流路内で電気泳動させ、例えば、レーザ光を、マイクロ流路内を流れるナノ粒子に照射して、レイリー散乱光による粒子画像を取得することにより、測定することができる。レーザ光としては、例えば、波長488nm、強度50mWのものが挙げられる。
回収されたナノ粒子は、さらに精製を行うことで、複合体が除去されたナノ粒子を得ることができる。例えば、複合体中の特異的結合分子がレクチンである場合、回収された溶液のpHを酸性条件にする、又は、糖を添加し糖置換することにより、ナノ粒子から複合体を解離させて除去することができる。また、複合体中の特異的結合分子がペプチドアプタマー又は核酸アプタマーである場合、タンパク質分解酵素又は核酸分解酵素で処理することで、ナノ粒子から複合体を分解させて除去することができる。複合体中の特異的結合分子がボロン酸である場合、回収された溶液を希釈する、又は、糖を添加し糖置換することにより、ナノ粒子から複合体を解離させて除去することができる。
回収されたナノ粒子が細胞外小胞体である場合には、例えば、癌、肥満、糖尿病、神経変性疾患等の疾患の診断や治療のために使用することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]複合体(II−1)−1の製造
(1)3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸の製造
3−アミノフェニルボロン酸(3-Aminophenylboronic acid;PBA)(和光純薬工業社製):260.5mg(1.40mmol)と、コハク酸(和光純薬工業社製):234.0mg(2.3mmol)とを溶解したDMF(50mL)溶液を室温で、トリエチルアミン和光純薬工業社製):0.32mL(0.2mmol)存在下で一晩攪拌した。次いで、溶媒を除去し、粗生成物を0.1M HCl水溶液に溶解した。次いで、溶解液からロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させた。次いで、得られた固体をアセトン中で攪拌して、白色結晶性沈殿物として3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸(186.0mg、収率83%)を得た。得られた3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸の1H−NMRによる測定結果を図3に示す。
(1)3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸の製造
3−アミノフェニルボロン酸(3-Aminophenylboronic acid;PBA)(和光純薬工業社製):260.5mg(1.40mmol)と、コハク酸(和光純薬工業社製):234.0mg(2.3mmol)とを溶解したDMF(50mL)溶液を室温で、トリエチルアミン和光純薬工業社製):0.32mL(0.2mmol)存在下で一晩攪拌した。次いで、溶媒を除去し、粗生成物を0.1M HCl水溶液に溶解した。次いで、溶解液からロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させた。次いで、得られた固体をアセトン中で攪拌して、白色結晶性沈殿物として3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸(186.0mg、収率83%)を得た。得られた3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸の1H−NMRによる測定結果を図3に示す。
(2)複合体(II−1)−1の製造
次いで、(1)で得られた3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸:20mg(90μmol)と、ポリリシン(ペプチド株式会社製、数平均分子量12,000、重合度94):62.5mg(5.2μmol)とを溶解したDMF(25mL)溶液に、DMT-MM:20mg(72μmol)を添加した。次いで、混合物を一晩攪拌した。次いで、反応溶液をイオン交換水中にて透析し、凍結乾燥することで、複合体(II−1)−1を得た。複合体(II−1)−1は、以下の一般式(II−1)−1で表される化合物である。
次いで、(1)で得られた3−(カルボキシエチルアミド)フェニルボロン酸:20mg(90μmol)と、ポリリシン(ペプチド株式会社製、数平均分子量12,000、重合度94):62.5mg(5.2μmol)とを溶解したDMF(25mL)溶液に、DMT-MM:20mg(72μmol)を添加した。次いで、混合物を一晩攪拌した。次いで、反応溶液をイオン交換水中にて透析し、凍結乾燥することで、複合体(II−1)−1を得た。複合体(II−1)−1は、以下の一般式(II−1)−1で表される化合物である。
(一般式(II−1)−1中、複数存在するR211のうち、R211の総モル量に対して70モル%のR211がアミノブチル基であり、30モル%のR211が下記式(IV)で表される基である。)
(式(IV)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
得られた複合体(II−1)−1の1H−NMRによる測定結果を図4に示す。
[製造例2]複合体(III−1)−1の製造
PBA:58.7mg(315μmol)と、ポリアスパラギン酸(シグマ・アルドリッチ社製、数平均分子量6,500、重合度50):58mg(8.92μmol)とを溶解したDMF(25mL)溶液に、DMT-MM:6mg(22μmol)を添加した。次いで、混合物を一晩攪拌した。次いで、反応溶液をイオン交換水中にて透析し、凍結乾燥することで、複合体(III−1)−1を得た。複合体(III−1)−1は、以下の式(III−1)−1で表される化合物である。
PBA:58.7mg(315μmol)と、ポリアスパラギン酸(シグマ・アルドリッチ社製、数平均分子量6,500、重合度50):58mg(8.92μmol)とを溶解したDMF(25mL)溶液に、DMT-MM:6mg(22μmol)を添加した。次いで、混合物を一晩攪拌した。次いで、反応溶液をイオン交換水中にて透析し、凍結乾燥することで、複合体(III−1)−1を得た。複合体(III−1)−1は、以下の式(III−1)−1で表される化合物である。
(一般式(III−1)−1中、複数存在するR311のうち、R311の総モル量に対して55モル%のR311がカルボキシエチル基であり、45モル%のR311が下記式(V)で表される基である。)
(式(V)中、アスタリスクは、結合点を示す。)
得られた複合体(III−1)−1の1H−NMRによる測定結果を図5に示す。
[実施例1]
<エクソソーム電気泳動解析1>
製造例1で得られた複合体(II−1)−1:500μg(33μmol)、又は、製造例2で得られた複合体(III−1)−1:275μg(33μmol)と、SkBr3細胞由来のEV(ATCC社製)3μLを懸濁したPBS溶液と、を混合し、4℃で30分間インキュベートした。次いで、混合液を試料として用いて、非特許文献2に記載の電気泳動法により、電気泳動を行った。具体的には、以下の電気泳動デバイス及び泳動条件にて、フリーフロー電気泳動を実施した。
<エクソソーム電気泳動解析1>
製造例1で得られた複合体(II−1)−1:500μg(33μmol)、又は、製造例2で得られた複合体(III−1)−1:275μg(33μmol)と、SkBr3細胞由来のEV(ATCC社製)3μLを懸濁したPBS溶液と、を混合し、4℃で30分間インキュベートした。次いで、混合液を試料として用いて、非特許文献2に記載の電気泳動法により、電気泳動を行った。具体的には、以下の電気泳動デバイス及び泳動条件にて、フリーフロー電気泳動を実施した。
(電気泳動デバイスの構成)
・μCEチップ(ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)ベース、ソフトリソグラフィー法により作製)
・一対のプラチナ電極
・DC電極(松定プレシジョン社製、HVL-1.1P(A))
・488nmレーザ光源(メレスグリオ社製、85-BCD-030-053、50mW)
・顕微鏡(ニコン社製、Ti-U)
・電子増倍型電荷結合素子(EM-CCD)カメラ(アンドール社製、iXon3 897)
・非特異的な吸着や電気浸透流(EOF)の発生を抑制するために、マイクロチャンネル(長さ10000μm、幅100μm、高さ50μm)の表面を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)及び3−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン(METESi)を含むリン脂質共重合体でコーティング
・μCEチップ(ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)ベース、ソフトリソグラフィー法により作製)
・一対のプラチナ電極
・DC電極(松定プレシジョン社製、HVL-1.1P(A))
・488nmレーザ光源(メレスグリオ社製、85-BCD-030-053、50mW)
・顕微鏡(ニコン社製、Ti-U)
・電子増倍型電荷結合素子(EM-CCD)カメラ(アンドール社製、iXon3 897)
・非特異的な吸着や電気浸透流(EOF)の発生を抑制するために、マイクロチャンネル(長さ10000μm、幅100μm、高さ50μm)の表面を2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)及び3−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン(METESi)を含むリン脂質共重合体でコーティング
(電気泳動条件)
・試料約150μLをμCEチップ上に導入
・μCEチップは、顕微鏡のステージ上に設置
・電極をマイクロチャネルの両端のリザーバーに浸漬させて泳動を開始
・マイクロチャネルに50V/cmの電荷を印加
・各EVの動きをレーザ暗視野イメージングによって視覚化し、それらの移動速度を記録されたビデオから測定
・EVの測定された速度は、マイクロキャピラリー内の緩衝液の電気浸透流(EOF)による影響を受けるため、EVの真の電気泳動速度は、測定されたEVの速度から無電荷ビーズを用いて測定されたEOF速度を差し引いて計算
・EVのゼータ電位は、以下の式(1)−1で表されるスモルコフスキーの式を用いて、EVの測定された電気泳動速度から計算
・試料約150μLをμCEチップ上に導入
・μCEチップは、顕微鏡のステージ上に設置
・電極をマイクロチャネルの両端のリザーバーに浸漬させて泳動を開始
・マイクロチャネルに50V/cmの電荷を印加
・各EVの動きをレーザ暗視野イメージングによって視覚化し、それらの移動速度を記録されたビデオから測定
・EVの測定された速度は、マイクロキャピラリー内の緩衝液の電気浸透流(EOF)による影響を受けるため、EVの真の電気泳動速度は、測定されたEVの速度から無電荷ビーズを用いて測定されたEOF速度を差し引いて計算
・EVのゼータ電位は、以下の式(1)−1で表されるスモルコフスキーの式を用いて、EVの測定された電気泳動速度から計算
式(1)中、UepはEVの真の電気泳動速度、Umは測定されたEVの速度、Ueoは無電荷ビーズを用いて測定されたEOF速度、Eは電界強度、ηは緩衝液の粘性係数、εr、ε0はそれぞれ溶液の比誘電率、真空の誘電率である。
また、対照として、複合体(II−1)−1及び複合体(III−1)−1と混合していないEVについても電気泳動を行った。結果を図6に示す。図6において、「カチオン修飾群」は、複合体(II−1)−1と混合したEVであり、「アニオン修飾群」は、複合体(III−1)−1と混合したEVであり、「対照群」は、複合体(II−1)−1及び複合体(III−1)−1と混合していないEVである。
図6から、対照群と比較して、カチオン修飾群及びアニオン修飾群では、泳動度(ゼータ電位)が顕著に変化することが確認された。
[実施例2]
<エクソソーム電気泳動解析2>
SkBr3細胞由来のEVを3−ピリジンボロン酸と4℃で30分間インキュベートして、EV表面のシアル酸をブロッキングした。次いで、実施例1と同様に、複合体(II−1)−1又は複合体(III−1)−1と混合してインキュベートした後、非特許文献2に記載の電気泳動法により、電気泳動を行った。また、対照として、複合体(II−1)−1及び複合体(III−1)−1と混合していないEVについても電気泳動を行った。結果を図7に示す。図7において、「カチオン修飾群」は、複合体(II−1)−1と混合したEVであり、「アニオン修飾群」は、複合体(III−1)−1と混合したEVであり、「対照群」は、複合体(II−1)−1及び複合体(III−1)−1と混合していないEVである。また、実施例1及び実施例2の結果を比較しやすくするために、実施例1の結果も併せて記載した。
<エクソソーム電気泳動解析2>
SkBr3細胞由来のEVを3−ピリジンボロン酸と4℃で30分間インキュベートして、EV表面のシアル酸をブロッキングした。次いで、実施例1と同様に、複合体(II−1)−1又は複合体(III−1)−1と混合してインキュベートした後、非特許文献2に記載の電気泳動法により、電気泳動を行った。また、対照として、複合体(II−1)−1及び複合体(III−1)−1と混合していないEVについても電気泳動を行った。結果を図7に示す。図7において、「カチオン修飾群」は、複合体(II−1)−1と混合したEVであり、「アニオン修飾群」は、複合体(III−1)−1と混合したEVであり、「対照群」は、複合体(II−1)−1及び複合体(III−1)−1と混合していないEVである。また、実施例1及び実施例2の結果を比較しやすくするために、実施例1の結果も併せて記載した。
図7から、実施例1の結果と比較して、実施例2では、3−ピリジンボロン酸によるEVのブロッキングにより、カチオン修飾群及びアニオン修飾群でのゼータ電位が中性化されたことが確認された。
以上の結果から、ボロン酸とシアル酸との結合により、EVにイオン性複合体が付加されることで、EVの電気泳動度が正方向又は負方向にシフトされることが確かめられた。
[参考製造例1]複合体(VIII−1)−1の製造
5−テトラメチルローダミン(5−TAMRA)の末端のカルボキシ基と、CD63結合ペプチドアプタマー(配列番号1で表されるペプチド)にリンカーとしてPEG12、及び、末端にリシン残基を付加したものの、該末端リシン残基のアミノ基とを反応させてアミド結合を形成させることで、テトラメチルローダミン−CD63結合ペプチドアプタマー複合体(下記、式(VIII−1)−1で表される化合物(以下、「複合体(VIII−1)−1」と称する場合がある))を製造した。なお、CD63はエクソソーム表面に存在するタンパク質である。
5−テトラメチルローダミン(5−TAMRA)の末端のカルボキシ基と、CD63結合ペプチドアプタマー(配列番号1で表されるペプチド)にリンカーとしてPEG12、及び、末端にリシン残基を付加したものの、該末端リシン残基のアミノ基とを反応させてアミド結合を形成させることで、テトラメチルローダミン−CD63結合ペプチドアプタマー複合体(下記、式(VIII−1)−1で表される化合物(以下、「複合体(VIII−1)−1」と称する場合がある))を製造した。なお、CD63はエクソソーム表面に存在するタンパク質である。
[参考例1]
<複合体とエクソソームとの結合試験>
まず、細胞外小胞含有サンプルを調製した。具体的には、Total Exosome Isolation Kit(from plasma)(Thermo Fischer社製)を用いて、ヒト血漿から細胞外小胞を沈殿させ、PBSに再懸濁することで、細胞外小胞含有サンプルを得た。次いで、複合体(VIII−1)−1と細胞外小胞含有サンプルとの結合試験を実施した。具体的には、細胞外小胞含有サンプル50μLと、PBSに懸濁した複合体含有溶液50μL(溶液中の複合体の濃度2μmol/L)を混合し、遮光下、室温で1時間反応させた。次いで、Exosome spin columns(MW3,000)(Thermo Fischer社製)を用いて、未反応ペプチドを除去した後、蛍光顕微鏡で観察した。対照として、細胞外小胞非含有サンプル(PBS)50μLと上記と同様の方法により反応させたものも準備した。結果を図8に示す。
<複合体とエクソソームとの結合試験>
まず、細胞外小胞含有サンプルを調製した。具体的には、Total Exosome Isolation Kit(from plasma)(Thermo Fischer社製)を用いて、ヒト血漿から細胞外小胞を沈殿させ、PBSに再懸濁することで、細胞外小胞含有サンプルを得た。次いで、複合体(VIII−1)−1と細胞外小胞含有サンプルとの結合試験を実施した。具体的には、細胞外小胞含有サンプル50μLと、PBSに懸濁した複合体含有溶液50μL(溶液中の複合体の濃度2μmol/L)を混合し、遮光下、室温で1時間反応させた。次いで、Exosome spin columns(MW3,000)(Thermo Fischer社製)を用いて、未反応ペプチドを除去した後、蛍光顕微鏡で観察した。対照として、細胞外小胞非含有サンプル(PBS)50μLと上記と同様の方法により反応させたものも準備した。結果を図8に示す。
図8から、細胞外小胞含有サンプルにおいてのみ、蛍光が検出され、複合体が結合したエクソソームが確認された。この結果から、複合体(VIII−1)−1中の5−TAMRAをイオン性ポリマーに変えることで、電気泳動時にエクソソームの電気泳動度を正方向又は負方向にシフトできるものと推察される。
本実施形態の前処理試薬、並びに、本実施形態のナノ粒子の分析及び回収方法によれば、電気泳動に供されるナノ粒子の電気泳動度を正方向又は負方向に顕著にシフトさせて、夾雑物中から所望のナノ粒子を容易に回収することができる。
DV…電気泳動デバイス、C…緩衝液導入口、D…試料導入口、E…緩衝液導入流路、F…試料導入流路、G…分離槽、H…電極槽、J…試料回収流路、K,K1,K2,K3,K4,K5…試料回収部、1a…ナノ粒子表面に存在する分子X、1b…ナノ粒子表面に存在する分子Y、2…分子Xに対する特異的結合分子、3…アニオン性ポリマー、4…カチオン性ポリマー、10…アニオン性複合体、20…カチオン性複合体、100…所望のナノ粒子、100A…アニオン性複合体が結合した所望のナノ粒子、100B…カチオン性複合体が結合した所望のナノ粒子、200…その他のナノ粒子
Claims (21)
- 電気泳動に供されるナノ粒子を前処理するための試薬であって、
前記ナノ粒子に対する特異的結合分子とイオン性ポリマーとが直接的又は間接的に結合した複合体を含有する、前処理試薬。 - 前記イオン性ポリマーは、前記ナノ粒子のゼータ電位を正方向又は負方向に10mV以上シフトさせるものである、請求項1に記載の前処理試薬。
- 前記イオン性ポリマーがポリペプチド、ポリアミン、多糖類、DNA、RNA、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸及びポリメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の前処理試薬。
- 前記ポリペプチドが、ポリリシン又はポリアスパラギン酸である、請求項3に記載の前処理試薬。
- 前記特異的結合分子が抗体、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、レクチン及び低分子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の前処理試薬。
- 前記ナノ粒子が、表面にシアル酸を有する粒子であり、且つ、前記特異的結合分子がボロン酸誘導体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の前処理試薬。
- 前記A11及び前記A12のうち少なくともいずれか一方が窒素原子である、請求項7に記載の前処理試薬。
- 前記A11が炭素原子であり、前記A12が窒素原子であり、Y11がエステル結合又はアミド結合である、請求項7又は8に記載の前処理試薬。
- 前記ナノ粒子がエクソソームである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の前処理試薬。
- 前記ナノ粒子ががん細胞由来のエクソソームである、請求項6〜14のいずれか一項に記載の前処理試薬。
- 請求項1〜16のいずれか一項に記載の前処理試薬を用いて、ナノ粒子を前処理した後、電気泳動に供する、ナノ粒子の分析及び回収方法。
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