以下、本願が開示する制御装置、通信装置及び通信システムの実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により開示の技術が限定されるものではない。また、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
[通信システム1]
図1は、実施例1にかかる通信システム1の一例を示す図である。通信システム1は、コアネットワーク10と、コアネットワーク10と通信するgNB20と、gNB20と無線通信するUE(User Equipment)30とを備える。
gNB20は、複数のCUと複数のDU23とを有する。それぞれのCUはCU−CP21とCU−UP22とを有する。CU−CP21は、コアネットワーク10内のAMF(Access and Mobility management Function)110およびSMF(Session Management Function)111と通信する。また、CU−UP22は、コアネットワーク10内のUPF(User Plane Function)112と通信する。CU−CP21は、CU−UP22とDU23との間を伝送するユーザデータのフロー制御(伝送制御)を行う。
gNB20において、CU−UP22とCU−CP21はそれぞれ複数存在し、1つのCU−UP22に対し複数のCU−CP21が接続される。また、1つのCU−CP21は、複数のCU−UP22に接続される。さらに、CU−CP21およびCU−UP22は、それぞれ複数のDU23に接続される。なお、図1に例示されたgNB20には、CU−CP21が3個設けられているが、gNB20内に設けられるCU−CP21の数は、2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、図1に例示されたgNB20には、CU−UP22が3個設けられているが、gNB20内に設けられるCU−UP22の数は、2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、図1に例示されたgNB20には、DU23が2個設けられているが、gNB20内に設けられるDU23の数は、1個であってもよく、3個以上であってもよい。
CU−CP21とCU−UP22とは、E1インターフェイスを介して互いに通信する。CU−CP21とDU23とは、F1−Cインターフェイスを介して互いに通信する。CU−UP22とDU23とは、F1−Uインターフェイスを介して互いに通信する。
それぞれのCU−CP21は、制御部210および通信部211を有する。それぞれのCU−UP22は、制御部220および通信部221を有する。それぞれのDU23は、制御部230および通信部231を有する。各CU−UP22の制御部220は、DU23など他の通信装置との間のデータの伝送を制御する伝送制御部の機能を有する。また、各DU23の制御部230は、CU−UP22やUE30など他の通信装置との間のデータの伝送を制御する伝送制御部の機能を有する。各伝送制御部は、各CU−CP21からのユーザデータに関する制御情報に基づいて伝送制御を行う。
UE30は、各DU23との間で電波を送受信することにより、通信範囲のDU23との間で無線通信を行う。UE30は、DU23から無線送信されたダウンリンクの信号をアンテナ31を介して受信する。そして、UE30は、受信した信号に対して復調および復号等の処理を行い、ダウンリンクのユーザデータを再生する。また、UE30は、生成したアップリンクのユーザデータに対して、符号化および変調等の処理を行い、その処理後の信号を、アンテナ31を介してDU23に無線送信する。各DU23は、バッファ23Bに対しUE30毎又はUE30の論理チャネル毎に個別バッファを設定し(割り当て)、各個別バッファを使用して対応するUE30とユーザデータの無線伝送を行う。
本願が開示する「通信システム」は、複数のCU−CP21と、CU−UP22と、DU23と、UE30とを含むものである。CU−CP21は「制御装置」の一例である。ダウンリンクのユーザデータにおいて、CU−UP22は「第1の通信装置」の一例であり、DU23は「第2の通信装置」の一例である。また、アップリンクのユーザデータにおいて、CU−UP22は「第2の通信装置」の一例であり、DU23は「第1の通信装置」の一例である。UE30は「端末装置」の一例である。
続いて、gNB20の各装置(CU−CP21、CU−UP22、およびDU23)の構成について具体的に説明する。なお、CU−CP21がCU−UP22とDU23に対して行うフロー制御は、ダウンリンクでもアップリンクでも同様に適用することができる。そこで、以下では一例としてダウンリンクの場合のフロー制御について説明する。以下に示すユーザデータは、特に説明がない限りダウンリンクのユーザデータを示す。
図2は、CU−CP21、CU−UP22、およびDU23の各制御部210、220、230の機能ブロックの構成の一例を示す図である。ここでは、一部の伝送制御部についての機能は図示を省略しており、主にバッファ設定に関する機能を示している。
例えば図2に示されるように、CU−CP21の制御部210は、送信指示部212、取得部213、第1の判定部214、第2の判定部215、および第3の判定部216を有する。
送信指示部212は、DU23に対するメッセージ(例えばバッファ設定に関する「通知要求」や「変更要求」など)の送信を通信部211(図1参照)に指示する。取得部213は、DU23から送信されたメッセージ(例えば「通知要求」や「変更要求」や要求に対して返信される情報など)を通信部211(図1参照)を介して取得する。
第1の判定部214は、DU23が有するバッファ23B内の領域の中で、自装置に割り当てられたバッファ(個別バッファ)の空き容量が所定量未満かを判定する。第2の判定部215は、DU23が有するバッファの中で、他のCU−CP21に割り当てられたバッファ(個別バッファ)に所定量以上の空き容量が存在するか否かを判定する。第3の判定部216は、自装置に割り当てられたバッファ(個別バッファ)の設定の変更を要求する変更要求をDU23から受信した場合に、自装置に割り当てられたバッファ(個別バッファ)の設定の変更を許可するか否かを判定する。なお、個別バッファとは、バッファ23Bの中で各CU−CP21に割り当てられたバッファを指す。以下においても、バッファ23Bの中で各CU−CP21に割り当ているバッファは個別バッファのことを指すものとする。
CU−UP22の制御部220は、送信指示部222、取得部223、およびフロー処理部224を有する。送信指示部222は、CU−CP21に対するメッセージの送信を通信部221(図1参照)に指示する。取得部223は、CU−CP21からのメッセージ(制御情報など)を通信部221(図1参照)から取得する。フロー処理部224は、CU−CP21からのフロー制御に従って、通信部221(図1参照)を介してDU23へ伝送されるユーザデータのフローを処理する。
DU23の制御部230は、送信指示部232、取得部233、処理部234、およびバッファ23Bを有する。送信指示部(通知部)232は、CU−CP21に対するメッセージの送信を通信部231(図1参照)に指示する。取得部233は、CU−CP21から送信されたメッセージを通信部231(図1参照)を介して取得する。処理部(バッファ制御部)234は、バッファ23Bを管理する。処理部234は、初期設定部234−1および変更部234−2を有する。初期設定部234−1は、CU−CP21からの制御に従って、バッファ23Bの初期バッファ割り当てを行う。変更部234−2は、CU−CP21からの制御に従って、バッファ23Bの割り当てを変更する。
図3は、CU−CP21、CU−UP22、およびDU23のそれぞれの通信部211、221、231のレイヤの構成の一例を示す図である。図3には、HLS(High Layer Split)のOption2の場合の構成が示されている。
図3に示す構成において、CU−CP21の通信部211は、RRC(Radio Resource Control)251およびPDCP−C(Packet Data Convergence Protocol-C-plane)252を有する。RRC251は、RRCレイヤの信号を処理する。PDCP−C252は、C−Planeの信号に対して、秘匿、正当性確認、順序整列、およびヘッダ圧縮等の処理を行う。
CU−UP22の通信部221は、PDCP−U(Packet Data Convergence Protocol-U-plane)261を有する。PDCP−U261は、U−Planeの信号に対して、秘匿、正当性確認、順序整列、およびヘッダ圧縮等の処理を行う。
DU23の通信部231は、RLC(Radio Link Control)271、MAC(Media Access Control)272、およびPhy(PHYsical)273有する。RLC271は、再送制御等のRLCレイヤの処理を行う。MAC272は、無線リソースへのデータのマッピング等のMACレイヤの処理を行う。Phy273は、データから無線信号への変換、または、無線信号からデータへの変換等の物理レイヤの処理を行う。
図4は、CU−CP21、CU−UP22、およびDU23のそれぞれの通信部211、221、231のレイヤの構成の他の例を示す図である。図4には、LLS(Low Layer Split)における構成を示している。図4(a)は、Option6におけるレイヤの構成を示し、図4(b)は、Option7−1、7−2、または7−3におけるレイヤの構成を示している。図4のレイヤの構成は、図3のレイヤの組み合わせを変えたものである。
図5は、通信システム1におけるダウンリンクのユーザデータのフロー制御の一態様を示す図である。図5には、1つのCU−UP22に2つのCU−CP21(第1のCU−CP21aと第2のCU−CP21b)が対応する構成のフロー制御の態様が示されている。図5において、実線矢印はユーザデータのフローを示しており、実線矢印の太さはデータ量の違いを示している。また、破線矢印は、要求や応答などのメッセージのフローを示している。なお、以下においてメッセージに含める情報として「容量」という記載があるが、メッセージに含める容量は、容量を示す実際の数値に限らず、容量を離散値にしたものや、容量の範囲が規定されたIndexなど、容量に関する情報であれば、何れを採用してもよい。
図5に示す第1のCU−CP21aは、第1のUE30aに送信されるユーザデータのフローを制御し、第2のCU−CP21bは、第2のUE30bに送信されるユーザデータのフローを制御する。なお、図5の例では、UE30とCU−CP21とが1対1で対応する構成をとっているが、UE30とCU−CP21とを1対1対応とする構成に限定されない。例えば、第1のCU−CP21aと第2のCU−CP21bとが同一のUE30のユーザデータのフローをサービス別に制御する構成としてもよい。
図5に示す構成おいて、UPF112からCU−UP22に送信される第1のUE30aのユーザデータのフローは、第1のCU−CP21aからの制御情報に基づいてフロー制御される。CU−UP22は、UPF112から受信したユーザデータを、第1のCU−CP21aからの制御情報に基づいて、DU23に送信する。DU23は、第1のCU−CP21aからの制御情報に基づいてCU−UP22から送信されたユーザデータを、第1のCU−CP21aに割り当てられたバッファ23B内の領域に一時的に保持する。そして、DU23は、バッファ23B内の領域に一時的に保持されたユーザデータを第1のUE30aへ無線送信する。
また、UPF112からCU−UP22に送信される第2のUE30bのユーザデータのフローは、第2のCU−CP21bからの制御情報に基づいてフロー制御される。CU−UP22は、UPF112から受信したユーザデータを、第2のCU−CP21bからの制御情報に基づいて、DU23に送信する。DU23は、第2のCU−CP21bからの制御情報に基づいてCU−UP22から送信されたユーザデータを、第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファ23B内の領域に一時的に保持する。そして、DU23は、バッファ23B内の領域に一時的に保持されたユーザデータを第2のUE30bへ送信する。
図6〜図9は、DU23においてユーザデータによるバッファ溢れを抑制するための制御の一例を示す図である。図6は、DU23のバッファ23Bの初期設定制御の一例を示す図である。初期設定制御では、第1のCU−CP21aがDU23に対し、自装置(第1のCU−CP21a)のバッファ設定の初期設定を要求する。当該要求は、応答としてDU23からバッファ23Bの容量に関する情報を通知させるための「通知要求」の一例である。第1のCU−CP21aから送信される初期設定の要求には、DU23内のバッファ23Bの領域の中で、自装置への割り当てを要求する領域の容量が含まれる。DU23は、初期設定の要求を受信すると、DU23のバッファ23B内に、当該初期設定で要求される容量分の空きがあれば、当該初期設定の要求元の第1のCU−CP21aに対して、バッファ23B内に当該容量分の領域を割り当てる。そして、DU23は、初期設定の完了を示すメッセージを要求元の第1のCU−CP21aへ送信する。初期設定の完了を示すメッセージには、DU23のバッファ23Bの総容量を示す情報が含まれる。なお、バッファ23B内に、初期設定で要求される容量分の空きがなければ、DU23は、割当拒否を示すメッセージを初期設定の要求元の第1のCU−CP21aへ返信する。あるいは、DU23は、割り当て可能な分の容量を当該初期設定の要求元の第1のCU−CP21aに対して割り当ててもよい。以下では、DU23のバッファ23B内において、それぞれのCU−CPに割り当てられたバッファの領域の容量を「個別容量」と呼ぶ。
第2のCU−CP21bについても第1のCU−CP21aと同様に、第2のCU−CP21bがDU23に対し、自装置(第2のCU−CP21b)に対応するバッファ領域の初期設定を要求する。DU23は、初期設定の要求を受信すると、DU23のバッファ23B内に、当該初期設定の要求元の第2のCU−CP21bに対して、当該初期設定で要求される容量に対応する領域を割り当てる。そして、DU23は、初期設定の完了を示すメッセージを要求元の第2のCU−CP21bへ送信する。
初期設定制御により、第1のCU−CP21aと第2のCU−CP21bとにおいて、図6に吹き出しで示されるように、DU23のバッファ23Bの総量量と、初期設定した個別容量とが取得される。吹き出しは、第1のCU−CP21aと第2のCU−CP21bとに示す2点鎖線の吹き出しであり、以下においても同様とする。
図7は、DU23のバッファ23Bのバッファ溢れの検出制御の一例を示す図である。図7に示されるように、第1のCU−CP21aはCU−UP22からキャパシティ要求があると、DU23に対し、バッファ滞留量の測定を要求する。当該要求は、応答としてバッファ23Bの滞留量を通知させるための「通知要求」の一例である。DU23は、バッファ滞留量の測定の要求があると、バッファ23Bの滞留量を測定し、要求元の第1のCU−CP21aに測定結果を通知する。
本実施例において、当該測定結果には、バッファ23B内に滞留しているユーザデータの総量である総滞留量と、要求元の第1のCU−CP21aに割り当てられたバッファの領域内に滞留しているユーザデータの滞留量(「個別滞留量」と呼ぶ)とが含まれる。なお、DU23は、バッファ23Bに割り当てられている第1のCU−CP21aのバッファの空き容量が所定量未満かどうかを、第1のCU−CP21aにおいて判定できる情報を通知する。ここでは、一例として総滞留量と個別滞留量としているが、個別滞留量が含まれていなくてもよい。この場合、CU−CP21aは、例えば、ユーザデータの流入量と流出量とから個別滞留量を推定するようにすればよい。
また、DU23は、測定結果から算出した情報を通知してもよい。この場合、例えば、要求元の第1のCU−CP21aの個別容量(個別に割り当てられた容量)とその個別バッファにおける個別滞留量とから算出した個別バッファに関する情報、および総容量と総滞留量とから算出した総バッファに関する情報を通知する。ここで、個別バッファに関する情報とは、例えば個別バッファの空き容量を示す情報のことを指す。また、総バッファに関する情報とは、例えば総バッファの空き容量を示す情報のことを指す。
第2のCU−CP21bについても第1のCU−CP21aと同様である。つまり、第2のCU−CP21bはCU−UP22からキャパシティ要求があると、DU23に対し、バッファ滞留量の測定を要求する。DU23は、バッファ滞留量の測定の要求があると、バッファ23Bの滞留量を測定し、要求元の第2のCU−CP21bに測定結果を通知する。測定結果には、総滞留量と、要求元の第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファの領域内に滞留しているユーザデータの個別滞留量とが含まれる。この測定結果も、第1のCU−CP21aと同様な変形が可能である。
本実施例では、第1のCU−CP21aは、図7に吹き出しで示されたように、DU23のバッファ23Bの総容量および総滞留量と、第1のCU−CP21aに割り当てられたバッファ23Bの領域の個別容量および個別滞留量とを取得する。また、第2のCU−CP21bは、図7に吹き出しで示されたように、DU23のバッファ23Bの総容量および総滞留量と、第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファ23Bの領域の個別容量および個別滞留量とを取得する。なお、DU23に対し通知要求により要求する情報は、これら送信総容量、総滞留量、個別容量、および個別滞留量のうちの少なくとも1つであってよい。
次に、第1のCU−CP21aの第1の判定部214は、第1のCU−CP21aに割り当てられたバッファ23B内の個別容量と、DU23への測定要求によりDU23から通知された個別滞留量とに基づき、自装置がバッファ溢れかを判定する。例えば、第1のCU−CP21aの第1の判定部214は、個別容量から個別滞留量を差し引くことにより算出された空き容量(上記「個別バッファに関する情報」に相当)が所定量未満の場合にバッファ溢れと判定する。
また、第1のCU−CP21aの第2の判定部215は、DU23から通知された総容量と総滞留量とに基づき、他のCU−CP21(図7の例では、第2のCU−CP21b)に割り当てられたバッファに所定量以上の空きがあるかを判定する。第2の判定部215は、例えば総容量から総滞留量を引くことによりDU23内のバッファ23Bの空き容量(上記「総バッファに関する情報」に相当)を算出する。そして、第2の判定部215は、算出された空き容量から、第1のCU−CP21aに割り当てられたバッファ23Bの空き容量を引くことにより、第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファ23Bの空き容量を算出することができる。
図8および図9は、第1のCU−CP21aについてのDU23の容量拡張制御の一例を示す図である。図8に示すように、第1のCU−CP21aの送信指示部212は、自装置がバッファ溢れで、その他のバッファに所定以上の空き容量がある場合に、DU23に自装置に割り当てられたバッファの領域の容量変更(拡張変更)を要求する変更要求を送信する。当該変更要求には、「バッファ設定に関する制御情報」に相当する、第2のCU−CP21bから第1のCU−CP21aに割り当てを変更する容量(拡張が必要な容量)を示す情報が含まれる。
なお、バッファ溢れで説明しているが、例えば、バッファに余裕がある場合に、削減しても良いことを示す情報を含む信号を送信しても良い。例えば、第1のCU−CP21aの第1の判定部214は、自装置に割り当てられているバッファの個別容量と個別滞留量とから、削減してもよい空き容量があるかを判定する。第1のCU−CP21aの送信指示部212は、削減してもよい空き容量が有る場合に、DU23に自装置に割り当てられたバッファの領域の容量変更(削減変更)を要求する。また、第2の判定部215が、バッファ23Bにおいて他のCU−CP21に割り当てられたバッファに所定量以上の空きがないことを判定してもよい。第1のCU−CP21aの送信指示部212は、自装置のバッファに削減してもよい空き領域があり、その他のバッファに所定以上の空き容量がない場合に、DU23に自装置に割り当てられたバッファの領域の容量変更(削減変更)を要求してもよい。このように、バッファの容量を削減する場合だけでなく、増加させる場合も含めることができる。このようにバッファの容量の削減と増加の要求を可能にすることにより、DU23内の各CU−CP21のバッファの優先度等に応じて設定変更が可能になる。
DU23の変更部234−2は、第1のCU−CP21aから変更要求を受信した場合、第2のCU−CP21bに対し、バッファの容量変更を要求する変更要求を送信する。当該変更要求は、拡張要求や削減要求である。DU23は、第1のCU−CP21aから拡張要求を受けた場合、第2のCU−CP21bに削除要求を送信する。また、DU23は、第1のCU−CP21aから削減要求を受けた場合、第2のCU−CP21bに拡張要求を送信する。第2のCU−CP21bに対する変更要求にはバッファの容量に関する情報が含まれる。例えば、削減要求の場合には、個別容量から削減される容量を示す情報が含まれる。以下では、一例として第1のCU−CP21aから拡張要求を受けた場合について示すが、削減要求を受けた場合も手順は同様である。
第2のCU−CP21bの第3の判定部216は、削減要求をDU23から受信した場合、第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファ23B内の個別容量の削減を許可するか否かを判定する。個別容量の削減が許可される場合、第2のCU−CP21bの送信指示部212は、個別容量の削減を許可する削減許可をDU23へ送信する。個別容量の削減が許可されない場合、送信指示部212は、個別容量の削減を拒否する削減拒否をDU23へ送信する。なお、削減要求に含まれる容量のうち、一部の容量の削減が許可される場合、削減許可には、許可される一部の容量を示す情報が含まれる。
そして、図9に示すように、DU23は、第2のCU−CP21bから削減許可の応答があると、第1のCU−CP21aに変更許可を応答する。そして、DU23は、バッファ23Bに割り当てられた第2のCU−CP21bの個別領域に含まれる所定量の空き容量の割り当てを、第1のCU−CP21aの個別領域に変更する。
なお、図8および図9には、第1のCU−CP21aの容量拡張を行う容量拡張制御について示されているが、第2のCU−CP21bが容量拡張を行う容量拡張制御においても同様に実施することができる。
図10〜図12は、図5に示す一態様の各装置間のフロー制御にかかる処理のシーケンスの一例を示す図である。以下の説明において、第1のCU−CP21aおよび第2のCU−CP21bはCU−UP22との間でインターフェイスE1が設定されているものとする。
図10は、第1のCU−CP21aの初期フロー制御にかかる処理のシーケンスの一例を示す図である。先ず、第1のCU−CP21aおよび第2のCU−CP21bが、DU23との間でF1−Cインターフェイスを設定し、CU−UP22が、DU23との間でF1−Uインターフェイスを設定する(S1)。
続いて、第1のCU−CP21aがDU23に対し、第1のCU−CP21aに対応するバッファ領域の初期設定を要求する(S2)。
DU23は、初期設定の要求を受信すると、当該初期設定の要求において要求元の第1のCU−CP21aが要求する容量をDU23のバッファ23B内に割り当てる初期バッファ設定を行う(S3)。DU23は、CU−CP毎にバッファ23Bに割り当てられた領域を管理テーブルなどにより管理する。ここで、管理とは、バッファ23Bの総容量や、割り当て情報、その後の変更、バッファ23Bの使用状況などの管理を含む。
DU23は、初期バッファ設定を行うと、バッファ23Bの総容量を初期バッファ設定の完了を示すメッセージに含めて要求元の第1のCU−CP21aに通知する(S4)。
次に、第1のCU−CP21aは初期フロー制御を開始し(S5)、CU−UP22に対し、フロー制御のための制御情報としてDU23が初期バッファ設定した容量を通知する(S6)。
次に、CU−UP22は、第1のCU−CP21aから送信された制御情報に基づいて、UPF112から送信されたダウンリンクのユーザデータを、DU23へ伝送する(S7)。
次に、CU−UP22は、第1のCU−CP21aに対し制御情報であるキャパシティ要求を行う(S8)。ステップS8以降のシーケンスは、所定時間間隔や所定の信号入力があったときなどのタイミングで繰り返される。
第1のCU−CP21aは、CU−UP22からキャパシティ要求を受信すると、DU23に対し、バッファ滞留量の測定を要求する(S9)。
DU23は、第1のCU−CP21aからバッファ滞留量の測定要求を受信すると、その時点のバッファ滞留量(総滞留量、要求元の個別滞留量)を測定し、測定結果を要求元の第1のCU−CP21aに通知する(S10)。なお、バッファ滞留量は、第1のCU−CP21aによってフロー制御されるユーザデータの通信が発生してから定期的に測定され、バッファ滞留量の測定要求を受信した場合に、最新の測定結果が通知されるようにしてもよい。
図11は、第2のCU−CP21bの初期フロー制御にかかる処理のシーケンスの一例を示す図である。図11に示されるシーケンスは、図10に示されたシーケンスにおけるステップS1の後に行われる。
先ず、第2のCU−CP21bがDU23に対し、第2のCU−CP21bに対応するバッファ領域の初期設定を要求する(S21)。
DU23は、初期設定の要求を受信すると、当該初期設定の要求において要求元の第2のCU−CP21bが要求する容量をDU23のバッファ23B内に割り当てる初期バッファ設定を行う(S22)。
DU23は、初期バッファ設定を行うと、バッファ23Bの総容量を初期バッファ設定の完了を示すメッセージに含めて要求元の第2のCU−CP21bに通知する(S23)。
次に、第2のCU−CP21bは初期フロー制御を開始し(S24)、CU−UP22に対し、フロー制御のための制御情報としてDU23が初期バッファ設定した容量を通知する(S25)。
次に、CU−UP22は、第2のCU−CP21bから送信された制御情報に基づいて、UPF112から送信されたダウンリンクのユーザデータをDU23へ伝送する(S26)。
次に、CU−UP22は、第2のCU−CP21bに対し制御情報であるキャパシティ要求を行う(S27)。ステップS8以降のシーケンスは、所定時間間隔や所定の信号入力があったときなどのタイミングで繰り返される。
第2のCU−CP21bは、CU−UP22からキャパシティ要求を受信すると、DU23に対し、バッファ滞留量の測定を要求する(S28)。
DU23は、第2のCU−CP21bからバッファ滞留量の測定要求を受信すると、その時点のバッファ滞留量(総滞留量、要求元の個別滞留量)を測定し、測定結果を要求元の第2のCU−CP21bに通知する(S29)。
図12は、DU23のバッファ溢れを抑制する制御のシーケンスの一例を示す図である。図12に示すシーケンスは、図10および図11に示す第1のCU−CP21aおよび第2のCU−CP21bの初期フロー制御にかかる処理(ステップS1〜S10およびステップS21〜S29)の後に条件に応じて行われる。図12には、一例として、第1のCU−CP21aのバッファ溢れを抑制するシーケンスを示している。他方の第2のCU−CP21bがバッファ溢れを抑制するシーケンスについては第2のCU−CP21bが第1のCU−CP21aのような手順を同様に行うシーケンスであるため、図示および説明を省略する。以下、第1のCU−CP21aのバッファ溢れを抑制するシーケンスについて説明する。
図12に示すように、第1のCU−CP21aは、DU23に割り当てられている第1のCU−CP21aのバッファの容量を変更するか否かを判定する(S31)。例えば、第1のCU−CP21aの第1の判定部214は、DU23のバッファ23Bに割り当てられている第1のCU−CP21aの個別容量と個別滞留量とに基づいて、第1のCU−CP21aに割り当てられた領域の空き容量が所定量未満かを判定する。空き容量が所定量未満の場合に、さらに第2の判定部215は、バッファ23Bの総容量と総滞留量とに基づいて、他のCU−CP21に割り当てられたバッファの領域に所定量以上の空きがあるか否かを判定する。そして、第2の判定部215は、バッファに所定量以上の空きが有ると判定した場合に、DU23に割り当てられている第1のCU−CP21aのバッファの領域の容量を変更すると判定する。
送信指示部212は、第2の判定部215によってバッファの容量を変更すると判定された場合、DU23に対し、第1のCU−CP21aのバッファの容量拡張を要求する容量拡張要求を送信する(S32)。容量拡張要求には、拡張を要求する容量の情報が含まれる。
DU23は、第1のCU−CP21aから容量拡張要求を受信すると、第2のCU−CP21bに対し、DU23のバッファ23Bにおいて第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファの一部の容量の削減を要求する削減要求を送信する(S33)。この削減要求には、DU23のバッファ23Bにおいて第2のCU−CP21bに割り当てられている領域の容量の中で、削減される容量の情報が含まれる。削減される容量は、第1のCU−CP21aによって拡張が要求された容量に対応している。
第2のCU−CP21bは、DU23から削減要求を受信すると、DU23のバッファ23Bにおいて第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファの領域の容量の削減を許可するか否かを判定する。そして、第2のCU−CP21bは、判定結果を含む削減可否応答をDU23へ送信する(S34)。そして、第2のCU−CP21bは、第2のCU−CP21b内で管理している、第2のCU−CP21bの個別容量から削減を許可した容量を減算する。
次に、DU23は、第2のCU−CP21bから削減可否応答を受信すると、受信した削減可否応答が、個別容量の削減許可を示すか否かを判定する。削減可否応答が個別容量の削減許可を示す場合、DU23は、削減対象の容量の割り当てを、第2のCU−CP21bから第1のCU−CP21aに変更する(S35)。
次に、DU23は、第1のCU−CP21aに変更通知を送信する(S36)。この変更通知には、ステップS32において要求された容量の拡張が許可されたか否かを示す情報が含まれる。第1のCU−CP21aは、第1のCU−CP21aで管理している、第1のCU−CP21aの個別容量を更新する。
次に、第1のCU−CP21aは、CU−UP22に対し、フロー制御のための制御情報として更新後の個別容量を通知する(S37)。
以降、CU−UP22は、第1のCU−CP21aから送信された制御情報に基づいて、ダウンリンクのユーザデータの伝送を行う。
本実施例では、一例として、通信システム1のダウンリンクの説明を行ったが、アップリンクでも同様に動作する。アップリンクでは、DU23(図2参照)の各種機能をCU−UP22(図2参照)において実現する。具体的には、送信指示部232(図2参照)と、取得部233(図2参照)と、処理部234(図2参照)とをCU−UP22の制御部220(図2参照)において実現し、CU−UP22が有するバッファにおいて容量変更等のバッファ設定を行う。この場合、CU−UP22はDU23(図2参照)からUE30(図1参照)のユーザデータを受信する。なお、CU−UP22におけるDU23の各機能部の動作も、DU23とCU−UP22の説明を入れ替えることにより略説明することができる。よって、これ以上の説明については重複説明となるため省略する。
[実施例1の効果]
本実施例の制御装置(21)は、第1の通信装置(22または23)から第2の通信装置(23または22)へ伝送されるユーザデータの伝送制御を行うものである。当該制御装置は、送信部(212、211)と受信部(213、211)とを有する。送信部は、バッファの総容量、総滞留量、バッファにおいて自装置に個別に割り当てられた容量、および自装置に個別に割り当てられたバッファに滞留するユーザデータの滞留量、の少なくとも1つの通知を要求する通知要求を第2の通信装置へ送信する。総容量は、第2の通信装置のバッファの総容量であり、総滞留量は、バッファ内に滞留しているユーザデータの総滞留量である。受信部は、第2の通信装置から、総容量、総滞留量、個別に割り当てられた容量、および個別に割り当てられたバッファに滞留するユーザデータの滞留量、の少なくとも1つを受信する。これにより個別に割り当てられた容量と滞留量とに基づく個別バッファに関する情報や、総容量と総滞留量とに基づく総バッファに関する情報を算出することができる。よって、算出結果から、自装置に個別に割り当てられたバッファがバッファ溢れであるか、それとも空き領域があるかを判定することができる。また、バッファ溢れであった場合、その他の装置に割り当てられているバッファに空き容量があるかも判定することができるので、バッファ溢れを抑制することができる。
本実施例の制御装置は、受信部により、個別に割り当てられた容量と滞留量とから算出された個別バッファに関する情報と、総容量と総滞留量とから算出された総バッファに関する情報とを受信するようにすることもできる。このようにした場合には、制御装置側において個別バッファに関する情報と総バッファに関する情報との算出処理を省略することができる。
本実施例の制御装置は、送信部により、個別バッファに関する情報と総バッファに関する情報とを基に、個別バッファの変更要求を第2の通信装置に送信することができる。変更要求にはバッファ設定に関する制御情報を含ませることもできる。この変更要求により、制御装置は第2の通信装置に対して、例えばバッファ溢れの可能性がある自装置の個別バッファの容量の変更を要求することができる。例えば、バッファ設定に関する制御情報として他の制御装置から自装置に割り当てを変更する容量を示す情報を含めたとする。その場合、第2の通信装置は、他の制御装置に割り当てられているバッファの空き容量から、変更が要求された容量を、自装置(当該制御装置)の割り当てに変更する。
本実施例の制御装置は、受信部により、自装置に割り当てられているバッファ設定の変更を要求する変更要求(削減要求など)を第2の通信装置から受信することができる。そして、送信部により、変更要求(削減要求など)に対して可否(削減の可否など)を通知することができる。変更要求にはバッファの容量に関する情報を含ませることもできる。この変更要求により、制御装置は、自装置に割り当てられているバッファ設定の変更が第2の通信装置から要求されていることが分かり、その要求に対し第2の通信装置に変更の可否を通知することができる。
本実施例の通信装置(22)は、複数の制御装置(21)のそれぞれによって伝送制御が行われるユーザデータを他の通信装置(23)との間で送受信する。通信装置(22)は、受信部(233、221)と、バッファ制御部(234)と、伝送制御部(220)とを有する。受信部は、制御装置から、ユーザデータの伝送に関する制御情報とバッファ設定に関する制御情報とを受信する。バッファ制御部は、制御装置に対して、ユーザデータを保持するバッファを割り当てる。伝送制御部は、他の通信装置(23)との間のデータの送受信を制御する。これにより、通信装置(22)は、バッファ設定に関する制御情報に基づきアップリンクのユーザデータのバッファ溢れを抑制することができる。
本実施例の通信装置(22)は、制御装置に対して割り当てたバッファの空き容量を制御装置に通知する通知部(232)を有し、バッファ制御部は、バッファの容量を制御する。これにより制御装置は、通信装置(22)から空き領域が通知されるため、自装置に対して割り当てたバッファの空き容量の算出処理を省略することができる。
本実施例の通信装置(23)は、複数の制御装置(21)のそれぞれによって伝送制御が行われるユーザデータを他の通信装置(22)との間で送受信する。通信装置(23)は、受信部(233、231)と、バッファ制御部(234)と、伝送制御部(230)と、無線部(2303、2304)とを有する。受信部は、制御装置から、ユーザデータの伝送に関する制御情報とバッファ設定に関する制御情報とを受信する。バッファ制御部は、制御装置に対して、ユーザデータを保持するバッファを割り当てる。伝送制御部は、他の通信装置(22)との間のデータの送受信を制御する。無線部は、端末装置(30)との間で、端末装置毎に割り当てられたバッファまたは端末装置の論理チャネル毎に割り当てられたバッファを介してユーザデータを送受信する。これにより、通信装置(23)は、バッファ設定に関する制御情報に基づきダウンリンクのユーザデータのバッファ溢れを抑制することができる。
本実施例の通信システム(1)は、第1の通信装置(22)と、第2の通信装置(23)と、端末装置(30)と、第1の制御装置(21a)と、第2の制御装置(21b)とを有する。第1の制御装置は、送信部(212、211)と、受信部(213、211)とを有する。送信部は、バッファの総容量、総滞留量、バッファにおいて自装置に個別に割り当てられた容量、および自装置に個別に割り当てられたバッファに滞留するユーザデータの滞留量、の少なくとも1つの通知を要求する通知要求を第2の通信装置へ送信する。総容量は、第2の通信装置のバッファの総容量であり、総滞留量は、バッファ内に滞留しているユーザデータの総滞留量である。受信部は、第2の通信装置から、総容量、総滞留量、個別に割り当てられた容量、および個別に割り当てられたバッファに滞留するユーザデータの滞留量、の少なくとも1つを受信する。第2の通信装置は、受信部(233、231)と、バッファ制御部(234)と、伝送制御部(230)と、無線部(2303、2304)とを有する。受信部は、第1の制御装置および第2の制御装置から、ユーザデータの伝送に関する制御情報とバッファ設定に関する制御情報とを受信する。バッファ制御部は、第1の制御装置および第2の制御装置に対して、ユーザデータを保持するバッファを割り当てる。伝送制御部は、第1の通信装置との間のデータの送受信を制御する。無線部は、端末装置との間で、端末装置毎に割り当てられたバッファまたは端末装置の論理チャネル毎に割り当てられたバッファを介してユーザデータを送受信する。これにより、個別に割り当てられた容量と滞留量とに基づく個別バッファに関する情報や、総容量と総滞留量とに基づく総バッファに関する情報を第1の制御装置で算出することができる。よって、算出結果から、第1の制御装置は、自装置に個別に割り当てられたバッファがバッファ溢れであるか、それとも空き領域があるかを判定することができる。また、バッファ溢れであった場合、その他の制御装置(第2の制御装置)に割り当てられているバッファに空き容量があるかも判定することができるため、バッファ溢れを抑制することができる。
実施例1では、バッファ溢れを抑制する態様として、CU−CP21が自ら、DU23に割り当てられている自装置(CU−CP21)のバッファのバッファ溢れの危険性を検出し、DU23にバッファの拡張要求を行う構成の一例を示した。実施例2では、バッファ溢れを抑制するその他の態様として、DU23が各CU−CP21に対応するバッファのバッファ溢れの危険性を検出してバッファ溢れを抑制する構成の一例を示す。
なお、以下では、実施例1と同様の箇所には説明を省略し、主に実施例1とは異なる箇所について説明する。また、説明に使用する図において実施例1と共通する箇所には同一の符号を付し、共通箇所についての説明は省略する。
図13は、実施例2にかかる、CU−CP21、CU−UP22、およびDU23の各制御部210、220、230の機能ブロックの構成の一例を示す図である。実施例2では、実施例1の制御部210(図2参照)の第1の判定部214と第2の判定部215に代わるものとして、DU23の制御部230が判定部234−3を有する。
判定部234−3は、CU−CP21毎に、DU23内に割り当てられているバッファの領域の容量である個別容量と、当該領域に滞留しているユーザデータの量である個別滞留量とに基づき、当該個別容量の空き容量が所定量未満か否かを判定する。
変更部234−2は、個別容量の空き容量が所定量未満と判定された場合、該判定を受けたCU−CP21の個別容量に、当該CU−CP21以外のCU−CP21の個別容量の空き容量の一部を割り当てる変更を行う。
実施例2にかかる構成においてバッファ溢れを抑制するための制御は、機能ブロックを用いて説明するよりも各装置間のシーケンスを用いて説明する方が特徴を理解し易い。そこで、実施例2では、機能ブロックを用いずに、各装置間のシーケンスにより説明する。
図14は、実施例2にかかる各装置間のフロー制御にかかる処理のシーケンスの一例を示す図である。図14においてDU23は各CU−CP21の初期バッファの割り当てを終えているものとする。また、実施例2においても、実施例1における初期フロー制御(図10のステップS1〜ステップS9、図11のステップS21〜ステップS28)の処理が同様に行われる。DU23は、所定のタイミングで、各CU−CP21のバッファ容量について変更が必要か否かを判定する(S41)。具体的には、DU23の判定部234−3が、各CU−CP21毎に、DU23のバッファ23Bに割り当てられている個別容量と個別滞留量とに基づいて、個別容量の空き容量が所定量未満か否かを判定する。所定のタイミングとは、例えば、所定の周期や、所定の信号が入力されたときなどである。なお、第1のCU−CP21aからバッファ滞留量測定要求を受けた場合(例えば図10のステップS9参照)なども、当該所定のタイミングに含まれる。
DU23は、個別容量の空き容量が所定量未満と判定されたCU−CP21の個別容量に、当該CU−CP21以外のCU−CP21の個別容量の空き容量の一部を割り当てるための制御を行う。
図14に示す例では、DU23は、個別容量の空き容量が所定量未満と判定された第1のCU−CP21a以外のCU−CP21(この例では第2のCU−CP21b)に対し、容量の一部削減を要求する削減要求を送信する(S33)。
第2のCU−CP21bはDU23から削減要求を受信すると、DU23のバッファ23Bにおいて第2のCU−CP21bに割り当てられたバッファの領域の容量の削減を許可するか否かを判定する。そして、第2のCU−CP21bは、判定結果を含む削減可否応答をDU23へ送信する(S34)。そして、第2のCU−CP21bは第2のCU−CP21bで管理している、第2のCU−CP21bの個別容量から削減を許可した容量を減算する。
次に、DU23は、第2のCU−CP21bから削減可否を受信すると、受信した削減可否応答が、個別容量の削減許可を示すか否かを判定する。削減可否応答が個別容量の削減許可を示す場合、DU23は、削減対象の容量の割り当てを、第2のCU−CP21bから第1のCU−CP21aに変更する(S35)。
次に、DU23は、第1のCU−CP21aに変更通知を送信する(S36)。この変更通知には、ステップS32において要求された容量の拡張が許可されたか否かを示す情報が含まれる。第1のCU−CP21aは、第1のCU−CP21aで管理している、第1のCU−CP21aの個別容量を更新する。
次に、第1のCU−CP21aは、CU−UP22に対し、フロー制御のための制御情報として更新後の個別容量を通知する(S37)。
以降、CU−UP22は、第1のCU−CP21aから送信された制御情報に基づいて、ダウンリンクのユーザデータの送信を行う。
なお、本実施例では、2つのCU−CP21(第1のCU−CP21aと第2のCU−CP21b)を有する構成のため、第1のCU−CP21aと第2のCU−CP21bとで互いに割り当て容量を譲り合う例となっている。3つ以上のCU−CP21を有する構成の場合には、容量を削減する対象のCU−CP21の候補が複数になる場合がある。その場合には、候補となる複数のCU−CP21からそれぞれ少しずつ空き容量を取得するようにしてもよい。
また、この例では、削減要求を受けたCU−CP21が要求元のDU23に削減許可を通知する例を示したが、CU−CP21の第3の判定部216が削減拒否を通知してもよい。また、削減要求を受けたCU−CP21は、削減要求を受けた容量の一部の容量を許可する削減許可を要求元のDU23に通知してもよい。
また、DU23は、候補のCU−CP21から削減拒否や一部容量の削減許可を受けた場合、残り分の容量の削減を他の候補のCU−CP21に要求してもよい。
[実施例2の効果]
第2の通信装置(23)がバッファ溢れを検出することにより、バッファ溢れを抑制することができる。
1つのDU23に3つ以上のCU−CP21が対応する構成の場合、容量削減を要求する候補を、容量拡張を行うCU−CP21が選択してもよい。実施例3にかかる構成では、実施例1にかかる構成においてCU−CP21がさらに選択部を有し、当該特定部が他の複数のCU−CPから容量削減を要求する候補を特定してDU23に通知する。
図15は、実施例3にかかるCU−CP21の制御部210の機能ブロックの構成の一例を示す図である。図15に示す実施例3の制御部210は、実施例1の制御部210(図2参照)にさらに選択部217を有する。
選択部217は、他のCU−CP21毎の、バッファの容量および個別滞留量に基づいて、他のCU−CP21のうちから容量削減を要求する候補を選択する。
実施例3の構成では、DU23はCU−CP21からバッファ滞留量の測定要求を受けると、当該バッファ滞留量として、DU23のバッファ23Bの総滞留量と、各CU−CP21に割り当てたバッファの個別滞留量とを測定する。そして、DU23は、各測定結果と、各CU−CP21に割り当てた個別容量とを要求元のCU−CP21に通知する。
また、CU−CP21がDU23に要求する容量拡張要求には、自装置(CU−CP21)に割り当てられたバッファを制御するために制御を行う他のCU−CP21を選択するための情報(つまり選択部217が選択した他のCU−CP21のうちの候補を示す情報)が含まれる。DU23は、要求元のCU−CP21が指定した候補に削減要求を送信する。
図16は、実施例3にかかる各装置間のフロー制御にかかる処理のシーケンスの一例を示す図である。図16においてDU23は各CU−CP21の初期バッファの割り当てを終えているものとする。
CU−CP21は、DU23からバッファ滞留量が通知されると、DU23に割り当てられている自装置(CU−CP21)のバッファの容量を変更するか否かを判定する(S31)。
CU−CP21は、バッファの容量を変更する判定を下した場合、複数のCU−CP21の中から容量削減を要求する候補を選択する(S51)。
そして、CU−CP21は、DU23に対し、自装置(CU−CP21)のバッファの割り当て領域の拡張を要求する容量拡張要求を送信する(S32)。容量拡張要求には、拡張を要求する容量の情報と、当該容量を削減する候補となる他のCU−CP21の情報とが含まれる。
DU23は、CU−CP21から容量拡張要求を受信すると、当該容量拡張要求で指定された他のCU−CP21に対し、容量の一部削減を要求する削減要求を送信する(S33)。
以降の処理は、実施例1において、第1のCU−CP21aをCU−CP21と読み換え、第2のCU−CP21bを他のCU−CP21と読み換えた説明に対応するため、詳細な説明を省略する。
なお、このように3つ以上のCU−CP21を有する構成において、容量を削減する対象のCU−CP21(他のCU−CP21)の候補は、適宜決定してよい。例えば、他のCU−CP21のうち空き容量が最も多いものから順に候補を指定してもよい。また、他のCU−CP21のうちの1つに限らず複数を候補として指定してもよい。複数を候補とする場合、選択部217が各候補から少しずつ空き容量を取得する。
また、本実施例では、CU−CP21がDU23から削減要求を受けると第3の判定部216が要求元のDU23に削減許可を通知する例を示したが、第3の判定部216は要求元のDU23に削減拒否を通知してもよい。この場合、第3の判定部216は、削減要求を受けた容量全てについて削減拒否してもよいし、そのうちの一部の容量を削減拒否してもよい。
また、DU23は、候補のCU−CP21から削減拒否を受けた場合、残り分の容量について、その他の候補に削減要求してもよい。
また、選択部217をDU23に設けてもよい。この場合、CU−CP21は、DU23に対する変更要求(又は制御要求)に、自装置(CU−CP21)に空き容量の割り当てを変更する他のCU−CP21を選択するための情報を含めて送信する。
[実施例3の効果]
本実施例の制御装置(21)は、総容量に、他の制御装置(21)毎に、第2の通信装置(23)のバッファ(23B)に割り当てられている容量が含まれる。個別滞留量には、他の制御装置毎に、他の制御装置に割り当てられている第2の通信装置のバッファに滞留しているユーザデータの個別滞留量が含まれる。変更要求には、自装置に空き容量の割り当てを変更する他の制御装置を選択するための情報が含まれる。これにより、本実施例の制御装置(21)は、変更要求に、自装置に空き容量の割り当てを変更する他の制御装置を選択するための情報を含めることができる。
本実施例の制御装置(21)は、他の制御装置(21)毎のバッファの容量および個別滞留量に基づいて、自装置に空き容量の割り当てを変更する他の制御装置を選択する選択部(217)を有する。これにより、制御装置(21)が第2の通信装置に対し、自装置に空き容量の割り当てを変更する他の制御装置を指定することができる。
[ハードウェア]
上記した各実施例のCU−CP21は、例えば図17に示されるハードウェアにより実現される。図17は、CU−CP21のハードウェア構成の一例を示す図である。図17に示すように、CU−CP21は、プロセッサ2100、メモリ2101、およびインターフェイス回路2102を有する。プロセッサ2100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はDSP(Digital Signal Processor)などを備える。例えば、プロセッサ2100は、メモリ2101から読み出されたプログラムを実行することで、制御部210および通信部211の各機能を実現する。なお、通信部211の一部または全ての機能は、インターフェイス回路2102で実現されてもよい。
メモリ2101は、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)である。メモリ2101は、プロセッサ2100によって実行されるプログラムや、各種処理に用いられる種々の情報を記憶する。
インターフェイス回路2102は、CU−UP22、DU23、またはコアネットワーク11内の装置などの他の装置と通信する回路である。
上記した各実施例のCU−UP22は、例えば図18に示されるハードウェアにより実現される。図18は、CU−UP22のハードウェア構成の一例を示す図である。図18に示すように、CU−UP22は、プロセッサ2200、メモリ2201、およびインターフェイス回路2202を有する。プロセッサ2200は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備える。例えば、プロセッサ2200は、メモリ2201から読み出されたプログラムを実行することで、制御部220および通信部221の各機能を実現する。
メモリ2201は、例えばROMまたはRAMである。メモリ2201は、プロセッサ2200によって実行されるプログラムや、各種処理に用いられる種々の情報を記憶する。また、メモリ2201内の領域には、DU23から送信されたアップリンクのデータが一時的に保持されるバッファの領域が含まれる。
インターフェイス回路2202は、CU−CP21、DU23、またはコアネットワーク11内の装置などの他の装置と通信する回路である。
上記した各実施例のDU23は、例えば図19に示されるハードウェアにより実現される。図19は、DU23のハードウェア構成の一例を示す図である。図19に示すように、DU23は、プロセッサ2300、メモリ2301、インターフェイス回路2302、無線回路2303、およびアンテナ2304を有する。プロセッサ2300は、例えばCPU、FPGA又はDSPなどを備える。例えば、プロセッサ2300は、メモリ2301から読み出されたプログラムを実行することで、制御部230や通信部231などの各機能を実現する。
メモリ2301は、例えばROMまたはRAMである。メモリ2301は、プロセッサ2300によって実行されるプログラムや、各種処理に用いられる種々の情報を記憶する。また、メモリ2301内の領域には、CU−UP22から送信されたダウンリンクのデータが一時的に保持されるバッファ23Bの領域が含まれる。
インターフェイス回路2302は、CU−CP21またはCU−UP22の他の装置と通信する回路である。
無線回路2303は、アンテナ2304を介してUE30と無線通信する回路である。無線回路2303は、UE30に対応するバッファまたはUE30の論理チャネルに対応するバッファを介してUE30との間でユーザデータを送受信する。
なお、プログラム等は、必ずしも全てが最初からメモリ内に記憶されていなくてもよい。例えば、メモリカードなどの可搬型記録媒体にプログラム等が記憶され、各装置においてCPUが可搬型記録媒体などからプログラム等を適宜取得して実行するようにしてもよい。また、プログラム等を記憶させた他のコンピュータまたはサーバ装置などから、無線通信回線、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介して、各装置がプログラム等を適宜取得して実行するようにしてもよい。
また、各実施例では、第1のCU−CP21a、第2のCU−CP21b、CU−UP22、およびDU23のそれぞれを、1つのgNB20が有するものとして説明したが、複数のgNB装置20に跨って構成されていてもよい。
また、各実施例に示す各機能ブロックは、主な処理内容に応じて機能別に区分したものである。機能ブロックの区分方法やその名称によって、開示の技術が制限されることはない。例えば、各実施例に示した各機能ブロックは、処理内容に応じてさらに細かな機能ブロックに細分化することもできるし、複数の機能ブロックを1つに統合することもできる。
各実施例では、一例として、ダウンリンクのフロー制御についての構成を示したが、アップリンクの場合でもダウンリンクで示したDUの役割をCU−UPで実施することにより同様に適用することができる。
また、各実施例では、バッファ23Bのうち何れのCU−CP21にも割り当てられていない領域(未割当領域)についての説明を省略している。しかし、未割当領域がある場合には、未割当領域から優先して拡張容量を取得し、未割当領域が無くなった場合に、他のCU−CP21の割り当て領域を取得するようにしてもよい。
また、各実施例では、CU−CP21とDU23とは、F1−Cインターフェイスを介して直接通信するが、他の例として、CU−CP21は、CU−UP22を介してDU23と通信するようにしてもよい。
[その他]
なお、開示の技術は、上記した実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。