JPWO2019240028A1 - ガス吸収精製装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書において、被吸収ガス中の特定のガス成分を吸収液に化学反応により吸収する方法を化学吸収法といい、被吸収ガス中の特定のガス成分を吸収液に物理的に溶解させて吸収させる方法を物理吸収法という。
また、化学吸収法、物理吸収法のいずれの場合においても、原液の吸収液に被吸収ガス中の特定のガス成分を吸収させることで原液の濃度が相対的に薄くなった状態を希吸収液といい、希吸収液から被吸収ガス中の特定のガス成分を分離することで希吸収液よりも原液の濃度が相対的に濃くなった状態を濃吸収液という。
特許文献1に開示された「二酸化炭素回収システム」では、吸収塔において二酸化炭素を含む処理対象ガスを吸収液と接触させて吸収し、吸収塔から排出された吸収液をリッチ液ポンプによって再生塔に移送し、再生塔にて当該溶液を加熱することにより二酸化炭素を放散するようにしている。
また、特定のガス成分を吸収した後の残ガスがある場合には、この残ガスについても、その後のプロセスに移送するための機器(ブロワーやコンプレッサ)および動力を要する。
本発明はかかる知見に基づくものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
本実施の形態に係るガス吸収精製装置1は、図1に示すように、被吸収ガスと濃吸収液を接触させて被吸収ガス中の特定のガス成分を前記濃吸収液に化学的に反応させて吸収させて希吸収液とし、該希吸収液と残ガスを昇圧するインジェクタ3と、インジェクタ3で昇圧された希吸収液及び残ガスの供給を受けて気液分離する気液分離器5と、気液分離器5で分離された希吸収液の供給を受けて該希吸収液を加熱して被吸収ガス中の特定のガス成分を分離することにより濃吸収液に再生する再生塔7と、再生塔7で再生された濃吸収液をインジェクタ3に供給する濃吸収液供給ライン9と、濃吸収液供給ライン9に設けられて供給する濃吸収液の流量を調整する流量調整弁11とを備えてなるものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
被吸収ガスは、例えば火力発電所や製鉄所などで発生するプロセス排ガス等であり、特定のガス成分として二酸化炭素を含むガスである。以下、特定のガス成分として二酸化炭素を例に挙げて説明する。
モノエタノールアミン(monoethanolamin)やジエタノールアミン(diethanolamin)などのアミン系水溶液、アルカリ性水溶液、イオン液体やその水溶液などであるが、これらに限定されるものではない。
インジェクタ3は、被吸収ガスと濃吸収液を接触させて被吸収ガス中の特定のガス成分を前記濃吸収液に化学的に反応させて吸収させて希吸収液とすると共に希吸収液と残ガスを昇圧する機能を有している。
インジェクタ3の基本構成と作動原理を、図2に基づいて説明する。
また、インジェクタ3の起動時に内部の流体を流出しやすくするために、スロート部19またはその上流側にドレン管22を設け、ドレン管22にインジェクタ3から流出する方向のみに流体を流すような開閉弁、例えば逆止弁24を設けるようにしてもよい。このようにすることで、インジェクタ3の起動を容易にする効果が得られる。
気液分離器5は、インジェクタ3で昇圧された希吸収液及び残ガスの供給を受けて、残ガスと希吸収液とに気液分離する。
再生塔7は、導入された希吸収液を加熱装置25によって加熱することにより、希吸収液中に化学的に反応させて吸収している大部分の二酸化炭素を蒸発放散させて、希吸収液から二酸化炭素を分離する。
再生塔7は、その上部から、放散された二酸化炭素を含む再生ガスを排出し、その下部から、希吸収液から二酸化炭素が放散されて再生された濃吸収液を排出する。
濃吸収液供給ライン9は、再生塔7で再生された濃吸収液をインジェクタ3に供給するラインである。
流量調整弁11は、濃吸収液供給ライン9に設けられてインジェクタ3に供給する濃吸収液の流量を調整する。インジェクタ3の作動には、濃吸収液で被吸収ガス中の二酸化炭素を吸収させることが前提となるため、濃吸収液と被吸収ガスの流量条件が重要となる。この点、本実施の形態では、濃吸収液供給ライン9に流量調整弁11を設けると共に、残ガス中の二酸化炭素濃度を計測する特定ガス濃度計27を設け、特定ガス濃度計27の計測値を制御装置29に入力して、制御装置29によって流量調整弁11を調整して、供給する濃吸収液の量を適切な量に調整するようにしている。例えば、気液分離器5から排出される残ガス中の二酸化炭素濃度を計測し、その濃度が一定値以下となるようにインジェクタ3に供給する濃吸収液の流量を流量調整弁11により調整するとよい。
また、インジェクタ3にドレン管22が備えられている場合には、インジェクタ3から流出する方向のみに開く逆止弁24を介して、その流出端をインジェクタ3の吐出側配管に接続するようにする。
インジェクタ3から排出される希吸収液及び残ガスは高圧であるため、気液分離器5は内圧が高く、この内圧によって残ガス及び希吸収液の後工程への送り出しが可能となり、送液ポンプやブロア等を省略又は削減することができる。
したがって、圧力が上昇すると、化学反応は圧力上昇を打ち消す方向、すなわちガス吸収を促進させる方向に反応が進む。このため、本実施の形態のように、ガス吸収装置としてインジェクタを用いることで、インジェクタの昇圧作用にはポンプ動力の低減の他、ガス吸収量を増大させる効果も期待できる。
なお、本技術で化学吸収の対象となる特定のガス成分は、二酸化炭素に限定されるわけではなく、例えばアンモニアやH2Sなど硫黄化合物などが特定のガス成分である場合にも本技術は適用可能である。従って、被吸収ガスについても例示したプロセス排ガスに限定されるものではない。また、吸収液もその特定のガス成分の特性に合わせて選定されることになり、例えばH2Sの場合はアミン系水溶液などが吸収液として選定可能である。
実施の形態1においては、濃吸収液を用いて被吸収ガス中の特定のガス成分を化学反応により吸収する化学吸収法にインジェクタを用いる例を示したが、本実施の形態は、被吸収ガス中の特定のガス成分を濃吸収液に吸収する方法として、濃吸収液を用いて被吸収ガス中の特定のガス成分を濃吸収液に物理的に溶解させて吸収させる物理吸収法にインジェクタを用いるものである。
また、混合ガスと吸収液の接触方法は、混合ガス中に吸収液を分散させる方法と吸収液中に混合ガスを分散させる方法とが知られているが、前者は混合器での気液接触の効率が低いため大型化しやすく、後者は、混合器はコンパクトになるものの、気液二相流を形成する流れ領域の圧力損失が大きくなるため、混合ガスや吸収液のより大きな昇圧が必要となり、エネルギー消費が大きくなる。
本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、濃吸収液が被吸収ガス中の特定のガス成分を物理吸収するものであること、再生塔7に希吸収液を導入するラインに減圧弁33を設けている点、及び再生塔において実施の形態1で必要とされた加熱装置25が不要である点、さらに濃吸収液供給ライン9に濃吸収液の供給量を調整する流量調整装置としてポンプ35を設けている点である。
以下、本実施の形態に係るガス吸収精製装置32について、実施の形態1と異なる点を主として説明する。なお、本実施の形態においても実施の形態1と同様に特定のガス成分として二酸化炭素を例に挙げて説明する。
本実施の形態の濃吸収液は、例えばイオン液体(イミダゾリウム系、ジグライム系など)、アルコール類(メタノール、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなど)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
物理吸収は、高圧で二酸化炭素を吸収し、減圧して二酸化炭素を回収するものであり、被吸収ガスが高圧である場合(例:ガス田自噴ガス、発電所排ガス)に有利である。
また、物理吸収の場合、濃吸収液から二酸化炭素を取り出す際に、化学吸収のように加熱する必要がなく、消費エネルギーの低減効果がある。
例えば濃吸収液がジグライムの場合、二酸化炭素圧力6MPaのときにジグライム1L当たり10molの二酸化炭素が溶解し、圧力2MPaのときにジグライム1L当たり3molの二酸化炭素が溶解する。
従って、6MPaで二酸化炭素を溶解し2MPaまで減圧して二酸化炭素を分離回収するシステムでは、ジグライム1L当たり7molの二酸化炭素が分離回収することができる。
上述したように、インジェクタ3は、蒸気を水との直接接触により凝縮しつつ、蒸気の保有するエネルギーで混合水(水と蒸気復水)を水の圧力より昇圧して吐出することができる装置である。
物理吸収で用いられる濃吸収液(イオン液体等)の溶解度は、被吸収ガスの圧力に比例する特性がある。このため、従来では、被吸収ガスおよび濃吸収液をそれぞれ個別に昇圧した後、混合器や吸収塔で両者を接触させていた。
この点、本実施の形態では、インジェクタ3を混合器(吸収器)として適用することにより、被吸収ガスと濃吸収液を低圧でインジェクタ3に導入し、インジェクタ3内部の作用により被吸収ガスと濃吸収液をインジェクタ流入部から昇圧させ、濃吸収液に被吸収ガス中の二酸化炭素を溶解させることができる。
再生塔7は、希吸収液を減圧弁33で減圧することにより、希吸収液中に溶解している大部分の二酸化炭素を蒸発放散させて、希吸収液から二酸化炭素を分離する。
減圧弁33は、再生塔7に設けられた圧力計37の検知圧力に基づいてコントローラ39によって再生塔7の内部の圧力が予め設定した一定の圧力になるように調整される。
再生塔7は、実施の形態1と同様に、その上部から、放散された二酸化炭素を含む再生ガスを排出し、その下部から、希吸収液から二酸化炭素が放散されて再生された濃吸収液を排出する。
ポンプ35は、濃吸収液供給ライン9に設けられてインジェクタ3に供給する濃吸収液の流量を調整する流量調整装置として機能する。実施の形態1では、再生塔7の圧力が高いので、濃吸収液をインジェクタ3に供給するために別途ポンプ等を設ける必要がなかったが、本実施の形態では減圧弁33による減圧によって再生塔7の圧力が低下していることから、ポンプ35によって送液するようにしている。
ポンプ35はインバータ制御によって送液量が調整されるものであり、特定ガス濃度計27の計測値を制御装置29に入力して、制御装置29によってインバータ制御され、インジェクタ3へ供給する濃吸収液の量を適切な量に調整するようにしている。
濃吸収液供給部13から濃吸収液を、被吸収ガス供給部15から被吸収ガスを、それぞれ所定の圧力・温度で導入する(図2参照)。
インジェクタ3における混合部17で被吸収ガスは濃吸収液に溶解し、混合部17の圧力が低下する。混合部17の圧力低下により、混合部17に流入する被吸収ガスは音速レベルの高速な流れとなる。
混合部17の圧力において、溶解しきれなかった被吸収ガス中の二酸化炭素は濃吸収液と高速な二相流を形成し、混合部17とディフューザ部21を分けるスロート部19に達する。
しかし、物理吸収の場合には、再生塔7の圧力を調整することで、希吸収液から分離回収される二酸化炭素の量が変わり、濃吸収液の濃度を変えることができる。このため、図6に示すように、特定ガス濃度計27の計測値を制御装置29に入力して、制御装置29によって減圧弁33を調整することで、濃吸収液の濃度を調整し、インジェクタ3への供給量は定流量を送液するポンプ41によって一定流量となるようにしてもよい。
3 インジェクタ
5 気液分離器
7 再生塔
9 濃吸収液供給ライン
11 流量調整弁
13 濃吸収液供給部
15 被吸収ガス供給部
17 混合部
19 スロート部
21 ディフューザ部
22 ドレン管
24 逆止弁
25 加熱装置
27 特定ガス濃度計
29 制御装置
31 熱交換器
32 ガス吸収精製装置(実施の形態2)
33 減圧弁
35 ポンプ
37 圧力計
39 コントローラ
41 定流量ポンプ
Claims (4)
- 被吸収ガスと濃吸収液を接触させると共に昇圧して前記被吸収ガス中の特定のガス成分を前記濃吸収液に吸収させて希吸収液とするインジェクタと、該インジェクタで昇圧された希吸収液及び残ガスの供給を受けて気液分離する気液分離器と、該気液分離器で分離された希吸収液の供給を受けて該希吸収液を加熱して前記特定のガス成分を分離することにより濃吸収液に再生する再生塔と、該再生塔で再生された濃吸収液を前記インジェクタに供給する濃吸収液供給ラインと、該濃吸収液供給ラインに設けられて供給する濃吸収液の流量を調整する流量調整弁とを備えてなることを特徴とするガス吸収精製装置。
- 前記再生塔に供給する前記希吸収液と前記再生塔で再生され前記インジェクタに供給する濃吸収液との間で熱交換して前記濃吸収液を冷却する熱交換器を備えたことを特徴とする請求項1記載のガス吸収精製装置。
- 被吸収ガスと濃吸収液を接触させると共に昇圧して前記被吸収ガス中の特定のガス成分を前記濃吸収液に吸収させて希吸収液とするインジェクタと、該インジェクタで昇圧された希吸収液及び残ガスの供給を受けて気液分離する気液分離器と、該気液分離器で分離された希吸収液の供給を受けて該希吸収液を減圧して前記特定のガス成分を分離することにより濃吸収液に再生する再生塔と、該再生塔で再生された濃吸収液を前記インジェクタに供給する濃吸収液供給ラインと、該濃吸収液供給ラインに設けられて供給する濃吸収液の流量を調整する流量調整装置とを備えてなることを特徴とするガス吸収精製装置。
- 前記インジェクタを並列に複数設置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガス吸収精製装置。
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