JPWO2019220769A1 - フロー電池 - Google Patents

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Abstract

本開示によるフロー電池は、負極および正極を具備する。正極は、第1電極(210)、第1液体(110)、第1活物質(310)、および第1循環機構(510)を具備する。第1液体は、第1活物質および第1電極に接触している。第1循環機構は、第1液体を、第1電極および第1活物質の間で循環させる。第1液体は、ペリレンまたはその誘導体を含有する。

Description

本開示は、フロー電池に関する。
特許文献1は、レドックスメディエータを含有するエネルギー貯蔵器を有しているレドックスフロー電池システムを開示している。特許文献2は、酸化還元種を用いたフロー電池を開示している。
特表2014−524124号公報 国際公開第2016/208123号
本開示の目的は、高電位固体正極活物質を用いた高い放電電位を有するフロー電池を提供することである。
本開示によるフロー電池は、
負極、および
正極を具備し、
ここで、
前記正極は、第1電極、第1液体、第1活物質、および第1循環機構を具備し、
前記第1液体は、前記第1活物質および前記第1電極に接触しており、
前記第1循環機構は、前記第1液体を、前記第1電極および前記第1活物質の間で循環させ、かつ
前記第1液体は、ペリレンまたはその誘導体を含有する。
本開示は、高電位正極活物質を用いたフロー電池を提供する。
図1は、第1実施形態におけるフロー電池のブロック図を示す。 図2は、第2実施形態におけるフロー電池の模式図を示す。 図3は、第3実施形態におけるフロー電池のブロック図を示す。 図4は、第4実施形態におけるフロー電池の模式図を示す。 図5は、実施例1における、ペリレンのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフである。 図6は、比較例1における、ナフタレンのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフである。 図7は、比較例2における、アントラセンのサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフである。
以下、本開示の実施形態が、図面を参照しながら、説明される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるフロー電池1000のブロック図を示す。
第1実施形態におけるフロー電池1000は、負極および正極を具備する。正極は、第1液体110と、第1電極210と、第1活物質310と、第1循環機構510と、を備える。
第1液体110は、第1電極メディエータ111が溶解した液体である。第1液体110は、第1活物質310および第1電極210に接触している。
第1電極210は、第1液体110に浸漬される電極である。
第1活物質310は、第1液体110に浸漬される活物質である。
第1循環機構510は、第1電極210と第1活物質310との間で第1液体110を循環させる。
第1電極メディエータ111は、ペリレンまたはその誘導体である。ペリレン誘導体とは、水素原子以外の原子あるいは置換基を一つ以上含むペリレン分子を意味する。
後述されるように、ぺリレンまたはその誘導体は、おおよそ3.85ボルト以上3.91ボルト以下の酸化還元電位を有する。したがって、ぺリレンまたはその誘導体は、おおよそ3.85ボルト以下の酸化還元電位を有する固体活物質(例えば、LiNiOまたはLiMn)と組み合わされて用いられる場合、ぺリレンまたはその誘導体は充電メディエータとして機能する。一方、ぺリレンまたはその誘導体は、おおよそ3.95ボルト以上の酸化還元電位を有する固体活物質(例えば、LiMn、LiCoO、またはLiNi0.5Mn1.5)と組み合わされて用いられる場合、ぺリレンまたはその誘導体は放電メディエータとして機能する。
したがって、平衡電位が高い活物質を第1活物質310として用いることが可能になり、より高い放電電位を有するフロー電池を実現できる。平衡電位が高い活物質は、例えば、3.8以上4.5以下V vs. Li/Li+程度の活物質であってもよい。
第1電極メディエータ111がペリレンまたはその誘導体であるので、活物質を利用しながら、活物質そのものは循環させないフロー電池を実現できる。このため、第1活物質310として、例えば、充放電反応に高容量な粉末活物質を、使用できる。これにより、高いエネルギー密度および高い容量を実現できる。
第1電極メディエータ111がペリレンまたはその誘導体であるので、粉末活物質そのものは循環させずに、第1電極メディエータ111が溶解した第1液体110のみを循環させることができる。このため、粉末活物質による配管などの詰まり等の発生を抑制できる。したがって、サイクル寿命が長いフロー電池を実現できる。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、ペリレン誘導体は、下記一般式(1)
Figure 2019220769


(式中、X1〜X12は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X1〜X12がすべて同時に水素原子である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、ニトロ基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つである。)で示される。
一般式(1)で示されるペリレン誘導体を含むフロー電池100においては、高電位固体正極活物質を用いることができるので、高い放電電圧を有するフロー電池を実現できる。鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、および環状不飽和炭化水素基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、および珪素原子からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。
ペリレン誘導体は、下記一般式(2)により表されるペリレン誘導体であってもよい。
Figure 2019220769


(式中、X1、X3、X4、X6、X7、X9、X10、およびX12は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X1、X3、X4、X6、X7、X9、X10、およびX12がすべて同時に水素である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
ペリレン誘導体は、下記一般式(3)により表されるペリレン誘導体であってもよい。
Figure 2019220769


(式中、X2〜X5およびX8〜X11は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X2〜X5およびX8〜X11がすべて同時に水素原子である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
ペリレン誘導体は、下記一般式(4)により表されるペリレン誘導体であってもよい。
Figure 2019220769


(式中、X3、X4、X9、およびX10は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X3、X4、X9、およびX10がすべて同時に水素である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1電極メディエータ111は、下記式(5)
Figure 2019220769


で示されるペリレンであってもよい。
第1電極メディエータ111がペリレンまたはその誘導体であるので、3.5ボルト以上の放電電位(vs. Li/Li+)を有するフロー電池を実現できる。
第1実施形態におけるフロー電池1000の放電電位を高めるために、一般式(1)で表されるペリレン誘導体において、X1〜X12は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、それらの組み合わせ、COR1、およびN(R22からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
ただし、X1〜X12がすべて同時に水素原子である場合を除く。
1およびR2は、ホウ素、窒素、酸素、弗素、珪素、燐、硫黄、塩素、臭素、およびヨウ素からなる群より選ばれる少なくとも1つの元素(すなわち、非金属元素)を含んでもよい。
鎖状飽和炭化水素基としては、炭素原子数が1以上10以下の鎖状飽和炭化水素基であってもよい。
炭素原子数が1以上10以下の鎖状の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。
鎖状不飽和炭化水素基としては、炭素原子数が2以上6以下の鎖状不飽和炭化水素基であってもよい。
炭素原子数が2以上6以下の鎖状不飽和炭化水素基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチル−1−エテニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−n−プロピルエテニル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、1−i−プロピルエテニル基、1,2−ジメチル−1−プロペニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基などが挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、炭素原子数が5以上12以下の環状の飽和炭化水素基であってもよい。
炭素原子数が5以上12以下の環状飽和炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキチル基、シクロヘプチル基、シクロオクタン、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基などが挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、炭素原子数が5以上12以下の環状の不飽和炭化水素基であってもよい。
炭素原子数が5以上12以下の環状不飽和炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロウンデシニル基、シクロドデシニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクタジエニル基、シクロドデカジエニル基、シクロドデカトリエニル基等の側鎖を有する若しくは有しない脂肪族環状不飽和炭化水素基;トルエン、キシレン等の側鎖を有する芳香族炭化水素基が挙げられる。
鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、および環状不飽和炭化水素基は、エーテル結合を含んでいてもよい。
第1実施形態におけるフロー電池1000の放電電位を高めるために、ペリレン誘導体は、一般式(2)〜(4)で示されるペリレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
下記表1は、第1電極メディエータ111として用いられるペリレンの電位の測定結果を示す。図5も参照せよ。
Figure 2019220769

表1より、ペリレンは、3.85ボルト以上3.91ボルト(vs. Li/Li+)に酸化還元電位を有する。そのため、平衡電位が充電電位である第1酸化電位より低い平衡電位を有する正極固体活物質に対する充電メディエータとして用いることができる。第1酸化電位と、充電電位である第1還元電位の間に平衡電位を有する正極固体活物質に対しては1種で充放電メディエータとして用いることができる。この場合、1段階目の酸化電位(第1酸化電位:E1ox(V vs. Li/Li+))がメディエータの充電電位となり、1段階目の還元電位(第1還元電位:E1red(V vs. Li/Li+))は、メディエータの放電電位となる。
上記のように、ペリレンは、3.85ボルト以上3.91ボルト(vs. Li/Li+)に酸化還元電位を有する。したがって、ペリレン誘導体は、3.50ボルト以上4.50ボルト以下(vs. Li/Li+)に酸化還元電位を有するであろう。
図6および図7は、それぞれ、後述される比較例1および比較例2において得られたナフタレンおよびアントラセンのサイクリックボルタンメトリーのグラフを示す。これら2つのグラフに示されるように、ナフタレンおよびアントラセンの正の電流密度は負の電流密度よりも著しく大きい。このことから、ナフタレンおよびアントラセンの酸化還元反応の可逆性は低いことがわかる。
図5は、後述される実施例1において得られたペリレンのサイクリックボルタンメトリーのグラフを示す。このグラフに示されるように、ペリレンの正の電流密度は負の電流密度とほぼ等しい。このことから、ペリレンの酸化還元反応の可逆性は高いことがわかる。したがって、ナフタレンおよびアントラセンと比較して、ペリレンおよびその誘導体は、フロー電池のメディエータとして適している。
ペリレンは、テトラチアフルバレンまたは従来の正極放電メディエータと比較して、第1酸化還元電位がおよそ0.5V高い。
フロー電池の放電電位は、正極側の放電メディエータの電位により決まる。このため、高電位側に放電電位を有する、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体であれば、より高い放電電位を有するフロー電池を実現できる。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1電極メディエータ111は、第1実施形態における1種のペリレンまたはその誘導体のみを含んでもよい。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1電極メディエータ111は、第1実施形態における2種以上のペリレンまたはその誘導体を含んでもよい。
上述のように、第1実施形態におけるペリレン誘導体は、第1酸化電位E1oxと第1還元電位E1redとを有する。
このとき、第1活物質310の平衡電位(V vs. Li/Li+)は、第1酸化電位E1oxより低くてもよく、かつ、第1還元電位E1redより高くてもよい。
第1還元電位E1redより高い平衡電位を有する活物質を第1活物質310として用いることで、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体を放電メディエータとして機能させることができる。言い換えれば、第1還元電位E1redより貴な電位を示す活物質を第1活物質310として用いることで、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体を放電メディエータとして機能させることができる。第1酸化電位E1oxより低い平衡電位を有する活物質を第1活物質310として用いることで、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体を充電メディエータとして機能させることができる。言い換えれば、第1酸化電位E1oxより卑な電位を示す活物質を第1活物質310として用いることで、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体を充電メディエータとして機能させることができる。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1活物質310は、Lixy2で表される金属酸化物であってもよい。ここで、Mは、Ni、Mn、およびCoからなる群より選ばれる少なくとも1つである。xおよびyは、任意の値である。当該金属酸化物は、3.8ボルト以上4.4以下に平衡電位を有する。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1活物質310は、LiFePO4、LiMnO2、LiMn24、およびLiCoO2からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
ここで、LiCoO2の平衡電位は、3.9V vs. Li/Li+である。このとき、LiCoO2の平衡電位より貴な電位に放電電位を有し、かつ、LiCoO2の平衡電位より卑な電位に充電電位を有する化合物を、充放電メディエータである第1電極メディエータ111として使用すれば、LiCoO2を活物質としたメディエータ型の正極が得られる。このとき、LiCoO2の平衡電位と第1電極メディエータ111の充放電位との電位差がより少ないほうが、充放電エネルギー効率に優れる。例えば、第1電極メディエータ111の放電電位がLiCoO2の平衡電位より低く、かつ、LiCoO2の平衡電位により近い場合には、フロー電池の放電電位はより高くなる。一方で、1種のメディエータのみで条件を満たせない場合には充放電を行うために2種以上のメディエータを用いる必要がある。
したがって、第1活物質310としてLiCoO2を用いる場合、第1電極メディエータ111の充電メディエータとして、少なくとも一種のペリレンまたはその誘導体を用い、かつ放電メディエータとして、3.78V vs. Li/Li+で可逆に一段階以上の酸化還元反応を行う複素芳香環類およびシクロペンタジエニル化合物を用いることでフロー電池の放電電位をより高くできる。充電メディエータは、ペリレン、一般式(1)で示されるペリレン誘導体、一般式(2)で示されるペリレン誘導体、一般式(3)で示されるペリレン誘導体、または一般式(4)で示されるペリレン誘導体などであってもよい。放電メディエータとしてのシクロペンタジエニル化合物は、1,1’−ジブロモフェロセンなどであってもよい。この場合、正極固体活物質として3.5V付近に放電電位を有するLiFePO4を用いる場合と比較して、およそ0.4ボルト以上0.5ボルト以下程度、放電電位を高めることができる。
ペリレンまたはペリレン誘導体は、充電メディエータとして、用いられてもよい。この場合、正極固体活物質の平衡電位より卑な酸化還元電位を有するメディエータ種が、放電メディエータとして、用いられてもよい。
すなわち、第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1液体110には、放電メディエータが、さらに溶解していてもよい。言い換えれば、第1電極メディエータは、放電メディエータをさらに含んでもよい。以下、放電メディエータを第1電極側放電メディエータという。
このとき、第1活物質310の平衡電位は、ペリレンまたはその誘導体の酸化電位Eoxより低くてもよい。
さらに、第1活物質310の平衡電位は、第1電極側放電メディエータの平衡電位より高くてもよい。
ペリレンまたはその誘導体の酸化電位Eoxより低い平衡電位を有する活物質を第1活物質310として用いることで、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体を充電メディエータとして機能させることができる。言い換えれば、酸化電位Eoxより卑な電位を示す活物質を第1活物質310として用いることで、第1実施形態におけるペリレンまたはその誘導体を充電メディエータとして機能させることができる。第1電極側放電メディエータの平衡電位より高い平衡電位を有する活物質を第1活物質310として用いることで、第1電極側放電メディエータを放電メディエータとして機能させることができる。言い換えれば、第1電極側放電メディエータの平衡電位より貴な電位を示す活物質を第1活物質310として用いることで、第1電極側放電メディエータを放電メディエータとして機能させることができる。
第1電極側放電メディエータとしては、テトラチアフルバレンやトリフェニルアミンなどを複素芳香環類および/または、フェロセンなどをはじめとするシクロペンタジエニル化合物などでもよい。
ペリレンまたはその誘導体は、放電メディエータとして用いられてもよい。この場合は、正極固体活物質の平衡電位より貴な酸化還元電位を有するメディエータ種が、充電メディエータとして、用いられてもよい。
第1活物質310として、固体の活物質が用いられてもよい。固体の活物質は、例えば、粉末状の活物質であってもよい。第1活物質310を加工無しの粉末状態でタンクに充填する場合には、製造を簡便化でき、かつ、製造コストを低減できる。
第1活物質310として、ペレット状の活物質が用いられてもよい。ペレット状の活物質は、例えば、粉末をペレット成型した状態の活物質であってもよい。第1活物質310をペレット状でタンクに充填する場合には、製造を簡便化でき、かつ、製造コストを低減できる。
第1活物質310として、公知のバインダーによりペレット状に固められた活物質が用いられてもよい。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、などであってもよい。
第1活物質310は、第1液体110に不溶性の物質であってもよい。これにより、第1液体110とともに第1電極メディエータ111は循環されるが、第1活物質310は循環されないフロー電池を実現できる。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1液体110は、プロピレンカーボネート(以下、「PC」という)、エチレンカーボネート(以下「EC」という)、γ−ブチロラクトンジメチルカーボネート(以下、「DMC」という)、エチルメチルカーボネート(以下、「EMC」という)、フルオロエチレンカーボネート(以下、「FEC」という)、およびジエチルカーボネート(以下、「DEC」という)からなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。第1液体110は、エーテル溶媒であってもよい。エーテル溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という)、2−メチルテトラヒドロフラン(以下、「2MeTHF」という)、ジメトキシエタン(以下、「DME」という)、1,3−ジオキサン(以下、「1,3DO」という)、4−メチル−1,3−ジオキサン(以下、「4Me1,3DO」という)であってもよい。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1液体110は、第1液体110の材料を溶媒とした、電解質を含む電解液であってもよい。当該電解質(すなわち、電解質塩)は、LiBF4、LiPF6、およびLiN(CF3SO22からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。当該溶媒は、その誘電率が高く、かつ、Liイオンとの反応性が低く、かつ、その電位窓が4V付近までであってもよい。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、第1電極210は正極電極であり、かつ、第2電極220は負極電極であってもよい。
第1実施形態におけるフロー電池1000においては、例えば、第1液体110が第1電極210に接触することにより、第1電極メディエータ111は、第1電極210により、酸化または還元される。
第1電極210は、第1電極メディエータ111の反応場として作用する表面を有する電極であってもよい。
この場合、第1電極210として、第1液体110に対して安定な材料が用いられうる。第1液体110に対して安定な材料は、例えば、第1液体110に不溶性の材料であってもよい。さらに、第1電極210として、電極反応である電気化学反応に対して安定な材料が用いられうる。例えば、第1電極210として、金属、カーボン、など、が用いられうる。金属は、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅、ニッケル、などであってもよい。
第1電極210は、その表面積を増大させた構造を有するものであってもよい。表面積を増大させた構造を有するものは、例えば、メッシュ、不織布、表面粗化処理板、焼結多孔体、などであってもよい。これによれば、第1電極210の比表面積が大きくなる。これにより、第1電極メディエータ111の酸化反応または還元反応を、より進行し易くできる。
第2電極220は、集電体と、集電体上に設けられた活物質と、を備えていてもよい。これにより、高容量な活物質を用いることができる。第2電極220の活物質としては、リチウムイオンを可逆に吸蔵および放出する特性を有する化合物が用いられうる。
第2電極220は、リチウム金属から形成されていてよい。第2電極220として、リチウム金属を用いた場合、金属正極としての溶解析出の制御が容易となり、かつ、高容量を実現できる。
第1実施形態におけるフロー電池1000は、隔離部400をさらに備えてもよい。
隔離部400は、第1電極210および第1液体110と第2電極220との間を隔離する。
隔離部400は、公知の二次電池に用いられる、微多孔膜および/または多孔体であってもよい。
隔離部400は、ガラス繊維を不織布に織り込んだガラスペーパーなどの多孔膜であってもよい。
隔離部400は、リチウムイオン伝導性などのイオン伝導性を有する隔膜であってもよい。例えば、隔離部400は、イオン交換樹脂膜、または、固体電解質膜、などであってもよい。イオン交換樹脂膜は、例えば、カチオン交換膜、アニオン交換膜などであってもよい。
第1循環機構510は、第1電極210と第1活物質310との間で、第1液体110を循環させる。
第1循環機構510を用いて、第1液体110とともに第1電極メディエータ111を、第1電極210と第1活物質310との間で、循環させることができる。これにより、各材料間の酸化反応および還元反応を、より効率的に、行うことができる。
第1循環機構510は、例えば、配管、タンク、ポンプ、バルブ、などを備える機構であってもよい。
第1循環機構510の具体的な例は、第2実施形態において後述される。
<充放電プロセスの説明>
第1実施形態におけるフロー電池1000の充放電プロセスが、以下の動作例に基づいて、説明される。
本動作例では、第1電極210は、正極電極であり、カーボンブラックから形成される。
本動作例では、第1液体110は、第1電極メディエータ111が溶解したエーテル溶液である。
本動作例では、第1電極メディエータ111は、ペリレンまたはその誘導体(以下、Peryleneと表記される)である。
本動作例では、第1活物質310は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)である。
本動作例では、第2電極220は、負極電極であり、リチウム金属から形成される。
[充電プロセスの説明]
まず、充電反応が、説明される。
第1電極210と第2電極220との間に、電圧が印加されることにより、充電が行われる。
(負極側の反応)
電圧の印加により、負極に含まれる第2電極220にフロー電池の外部から電子が供給される。これにより、負極に含まれる第2電極220では、還元反応が起こる。すなわち、負極は、充電状態となる。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Li+ + e- → Li
(正極側の反応)
電圧の印加により、正極に含まれる第1電極210では、第1電極メディエータ111の酸化反応が起こる。すなわち、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が酸化される。これにより、第1電極210からフロー電池の外部に電子が放出される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene → Perylene+ + e-
第1循環機構510により、第1電極210上で酸化された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1電極210上で酸化された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に供給される。
このとき、第1電極210上において酸化された第1電極メディエータ111は、第1活物質310により還元される。すなわち、第1活物質310は、第1電極メディエータ111によって、酸化される。これにより、第1活物質310はリチウムイオンを放出する。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
LiCoO2 + Perylene+ → CoO2 + Li+ + Perylene
第1循環機構510により、第1活物質310により還元された第1電極メディエータ111が、第1電極210に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1活物質310により還元された第1電極メディエータ111が、第1電極210に供給される。
このとき、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が酸化される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene → Perylene+ + e-
第1活物質310から発生したリチウムイオン(Li+)の一部は、隔離部400を通じて、第2電極220側に移動しうる。
以上のように、第1電極メディエータ111は、循環を含めたトータル反応で見ると、変化していない。
一方で、第1電極210と離れて位置する第1活物質310が、充電状態となる。
以上のように、第1電極210側においては、Perylene+が第1電極側充電メディエータとして充電メディエータの役割を果たす。
完全充電状態では、第1液体110にはPerylene+が存在し、第1活物質310はCoO2となる。このとき、充電電位は、Perylene+への酸化電位で決定される。
以上の充電反応は、第1活物質310が完全充電状態となる、または、第2電極220が完全充電状態となる、のどちらかに到達するまで、進行しうる。
[放電プロセスの説明]
次に、満充電からの放電反応が、説明される。
満充電では、第1活物質310と第2電極220とは、充電状態となっている。
放電反応では、第1電極210と第2電極220との間から、電力が取り出される。
(負極側の反応)
負極である第2電極220では、酸化反応が起こる。すなわち、負極は、放電状態となる。
これにより、第2電極220からフロー電池の外部に電子が放出される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Li → Li+ + e-
(正極側の反応)
電池の放電により、正極に含まれる第1電極210にフロー電池の外部から電子が供給される。
これにより、第1電極210上では、第1電極メディエータ111の還元反応が起こる。
すなわち、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が還元される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene+ + e- → Perylene
第1循環機構510により、第1電極210上で還元された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1電極210上で還元された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に供給される。
このとき、第1電極210上において還元された第1電極メディエータ111は、第1活物質310により、酸化される。すなわち、第1活物質310は、第1電極メディエータ111により、還元される。これにより、第1活物質310は、リチウムを吸蔵する。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
CoO2 + Li+ + Perylene→ LiCoO2 + Perylene+
第1循環機構510により、第1活物質310により酸化された第1電極メディエータ111が、第1電極210に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1活物質310により酸化された第1電極メディエータ111が、第1電極210に供給される。
このとき、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が還元される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene+ + e- → Perylene
リチウムイオン(Li+)の一部は、隔離部400を通じて、第2電極220側から供給されうる。
以上のように、第1電極メディエータ111は、循環を含めたトータル反応で見ると、変化していない。
一方で、第1電極210と離れて位置する第1活物質310が、放電状態となる。
以上のように、第1電極210側においては、Peryleneが第1電極側放電メディエータとして放電メディエータの役割を果たす。
完全放電状態では、第1液体110にはPeryleneが存在し、第1活物質310はLiCoO2となる。このとき、放電電位はPeryleneへの還元電位で決定される。
以上の放電反応は、第1活物質310が完全放電状態となるか、または、第2電極220が完全放電状態となるか、のどちらかに到達するまで、進行しうる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態が説明される。第1実施形態と重複する説明は、適宜、省略される。
図2は、第2実施形態におけるフロー電池2000の模式図を示す。
第2実施形態におけるフロー電池2000は、第1実施形態におけるフロー電池1000だけでなく、電気化学反応部600を具備する。
電気化学反応部600を備え、当該電気化学反応部600は正極室610と負極室620を備える。正極は、さらに第1収容部511を具備し、正極室610はその内部に第1電極210を具備し、第1収容部511はその内部に第1活物質310を具備している。負極は、負極室620を具備している。
第1活物質310は、第1収容部511に収容される。第1液体110の一部は、第1収容部511に収容される。
第1循環機構510は、正極室620と第1収容部511との間で、第1液体110を循環させる。
第1収容部511において第1活物質310と第1液体110とが接触することにより、第1活物質310による第1電極メディエータ111の酸化反応と還元反応とのうちのいずれか一方が行われる。
第1収容部511において、第1液体110と第1活物質310とを、接触させることができるので、第1液体110と第1活物質310との接触面積を、より大きくできる。第1液体110と第1活物質310との接触時間を、より長くできる。このため、第1活物質310による第1電極メディエータ111の酸化反応および還元反応を、より効率的に行うことができる。
第2実施形態においては、第1収容部511は、例えば、タンクであってもよい。
第1収容部511は、例えば、充填された第1活物質310の隙間に、第1電極メディエータ111が溶解した第1液体110を、収容していてもよい。
第1収容部511は、例えば、充填された第1活物質310の隙間に、第1電極メディエータ111が溶解した第1液体110を、収容していてもよい。
図2に示されるように、第2実施形態におけるフロー電池2000は、電気化学反応部600と、正極端子211と、負極端子221と、をさらに備えてもよい。
電気化学反応部600は、隔離部400により、正極室610と負極室620とに、分離されている。
正極室610には、正極電極が、配置される。図2では、正極室610には、第1電極210が、配置される。
正極端子211は、正極電極に、接続される。
負極室620には、負極電極が、配置される。図2では、負極室620には、第2電極220が、配置される。
負極端子221は、負極電極に、接続される。
正極端子211と負極端子221とは、例えば、充放電装置に接続される。充放電装置により、正極端子211と負極端子221との間に電圧が印加される。または、正極端子211と負極端子221との間から電力が取り出される。
図2に示されるように、第2実施形態におけるフロー電池2000においては、第1循環機構510は、配管513と、配管514と、ポンプ515と、を備えてもよい。配管を区別するために、配管513および配管514は、それぞれ、第1配管および第2配管と呼ばれ得る。
配管513の一端は、第1収容部511における第1液体110の流出口に接続される。
配管513の別の一端は、正極室610と負極室620とのうち、第1電極210が配置される方に、接続される。図2では、配管513の別の一端は、正極室610に接続される。
配管514の一端は、正極室610と負極室620とのうち、第1電極210が配置される方に、接続される。図2では、配管514の一端は、正極室610に、接続される。
配管514の別の一端は、第1収容部511における第1液体110の流入口に接続される。
ポンプ515は、例えば、配管514に設けられる。または、ポンプ515は、配管513に設けられてもよい。
第2実施形態におけるフロー電池2000においては、第1循環機構510は、第1フィルタ512を備えてもよい。
第1フィルタ512は、第1活物質310の透過を抑制する。
第1フィルタ512は、第1液体110が第1収容部511から第1電極210に流出する経路に設けられる。図2では、第1フィルタ512は、配管513に設けられる。
第1フィルタ512を用いて、第1活物質310が第1収容部511以外(例えば、第1電極210側)へ流出することを抑制できる。すなわち、第1活物質310は、第1収容部511に留まる。これにより、第1活物質310そのものは循環させないフロー電池を実現できる。このため、第1循環機構510の部材の内部の第1活物質310による目詰まりを防止できる。第1循環機構510の部材は、例えば、配管であってもよい。第1活物質310が第1電極210側に流出することによる抵抗損失の発生を防止できる。
第1フィルタ512は、例えば、第1収容部511と配管513との接合部に設けられてもよい。
第1フィルタ512は、例えば、第1活物質310を濾過するフィルタであってもよい。このとき、フィルタは、第1活物質310の粒子の最小粒径より小さい孔を有する部材であってもよい。フィルタの材料としては、第1活物質310および第1液体110などと反応しない材料が用いられうる。フィルタは、例えば、ガラス繊維濾紙、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布、金属リチウムと反応しない金属メッシュ、など、であってもよい。
第1フィルタ512が用いられるので、第1収容部511の内部において、第1液体110の流動とともに、第1活物質310の流動が生じても、第1活物質310が第1収容部511から流出することを防止できる。
図2では、第1収容部511に収容されている第1液体110は、第1フィルタ512と配管513とを通過して、正極室610に、供給される。
これにより、第1液体110に溶解している第1電極メディエータ111は、第1電極210により、酸化または還元される。
その後、酸化または還元された第1電極メディエータ111が溶解した第1液体110は、配管514とポンプ515とを通過して、第1収容部511に、供給される。
これにより、第1液体110に溶解している第1電極メディエータ111に対して、第1活物質310による第1電極メディエータ111の酸化反応と還元反応とのうちの少なくとも一方が行われる。
第1液体110の循環の制御は、例えば、ポンプ515により行われてもよい。すなわち、ポンプ515により、適宜、第1液体110の供給の開始、または、供給の停止、または、供給量などの調整、が行われる。
第1液体110の循環の制御は、ポンプ515以外の他の手段により、行われてもよい。他の手段は、例えば、バルブなどであってもよい。
図2においては、一例として、第1電極210は正極に含まれ、かつ、第2電極220は負極に含まれる。
隔離部400を隔てて、正極室610側と負極室620側とで、それぞれ、異なる組成の電解液および/または溶媒が用いられてもよい。
正極室610側と負極室620側とで、同じ組成の電解液および/または溶媒が用いられてもよい。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態が説明される。第1実施形態または第2実施形態と重複する説明は、適宜、省略される。
第3実施形態では、第1電極側および第2電極側の両方において電解液を循環させる。
図3は、第3実施形態におけるフロー電池3000のブロック図を示す。
第3実施形態におけるフロー電池3000は、第1実施形態におけるフロー電池1000だけでなく、隔離部400をさらに備える。
第3実施形態におけるフロー電池3000の負極は、第2電極220だけでなく、第2液体120と第2活物質320とをさらに備える。
第2液体120は、第2電極側充電メディエータとしての充電メディエータ121と第2電極側放電メディエータとしての放電メディエータ122とが溶解した液体である。第2液体120は、第2活物質320および第2電極220に接触している。
第2電極220は、第2液体120に浸漬される電極である。
第2活物質320は、第2液体120に浸漬される活物質である。
隔離部400は、第1電極210を第2電極220から隔離する。同様に、隔離部400は、第1液体110を第2液体120から隔離する。
充電メディエータ121の平衡電位は、第2活物質320の平衡電位より、低い。
放電メディエータ122の平衡電位は、第2活物質320の平衡電位より、高い。
このようにして、より高い電池電圧と、より高いエネルギー密度と、より長いサイクル寿命と、を有するフロー電池を実現できる。
すなわち、第2活物質320として平衡電位(V vs. Li/Li+)が比較的低い活物質を用いることで、放電メディエータ122として、平衡電位(V vs. Li/Li+)が比較的低い物質を用いることができる。第2活物質320として用いる平衡電位が比較的低い物質は、例えば、黒鉛であってもよい。放電メディエータ122として用いる平衡電位が比較的低い物質は、例えば、芳香族化合物であってもよく、縮合芳香族化合物であってもよい。これにより、より電位の低いフロー電池の負極を実現できる。このため、より高い電池電圧(すなわち、放電電圧)を有するフロー電池を実現できる。
このようにして、活物質を利用しながら、活物質そのものは循環させないフロー電池を実現できる。このため、第2活物質320として、例えば、充放電反応に高容量な粉末活物質を、使用できる。これにより、高いエネルギー密度および高い容量を実現できる。
さらに、粉末活物質そのものは循環させずに、充電メディエータ121と放電メディエータ122とが溶解した第2液体120のみを循環させることができる。このため、粉末活物質による配管などの詰まり等の発生を抑制できる。したがって、サイクル寿命が長いフロー電池を実現できる。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、第2液体120には、リチウムが溶解されてもよい。
第2活物質320は、リチウムを吸蔵および放出する性質を有する物質であってもよい。
フロー電池3000の充電時には、フロー電池3000の外部から第2電極220に電子が供給される。フロー電池3000の充電時においては、充電メディエータ121は第2電極220上において還元される。さらに、フロー電池3000の充電時においては、第2電極220上において還元された充電メディエータ121は第2活物質320により酸化されるとともに第2活物質320はリチウムを吸蔵してもよい。
フロー電池3000の放電時には、第2電極220からフロー電池3000の外部に電子が放出される。フロー電池3000の放電時においては、リチウムを吸蔵した第2活物質320は放電メディエータ122を還元するとともに第2活物質320はリチウムを放出する。さらに、フロー電池3000の放電時においては、第2活物質320により還元された放電メディエータ122は第2電極220上において酸化されてもよい。
第2活物質320として、例えば、リチウムおよび/またはリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する性質を有する活物質を使用できる。これにより、第2活物質320の材料設計が、より容易となる。より高い容量を実現できる。
第3実施形態におけるフロー電池3000の充電時においては、放電メディエータ122は第2電極220上において還元されてもよい。
放電時においては、充電メディエータ121は第2電極220上において酸化されてもよい。
言い換えれば、充電時および放電時において、放電メディエータ122は第2電極220上において、それぞれ、還元および酸化されることにより、より高いエネルギー密度およびより高い容量を実現できる。すなわち、充電時において放電メディエータ122を第2電極220により還元することで、放電時において第2電極220により酸化される放電メディエータ122の量を、増加できる。さらに、放電時において充電メディエータ121を第2電極220により酸化することで、充電時において第2電極220により還元される充電メディエータ121の量を、増加できる。これにより、充放電の容量を増加できる。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、充電メディエータ121と放電メディエータ122とは、芳香族化合物であってもよく、縮合芳香族化合物であってもよい。放電メディエータ122は、例えば、エチレンジアミンなどのアミン化合物であってもよい。
芳香族化合物が溶解した第2液体120は、リチウムから溶媒和電子を放出させ、リチウムをカチオンとして溶解する性質を有する。
充電メディエータ121と放電メディエータ122とは、芳香族化合物であるので、電位的に卑な性質を有する充電メディエータ121および放電メディエータ122を実現できる。芳香族化合物を含む溶液は、例えば、リチウムを溶解する能力を有する。芳香族化合物を含む溶液は、例えば、エーテル溶液であってもよい。リチウムは、電子を離して、カチオンとなり易い。このため、溶液中の芳香族化合物に電子を渡して、カチオンとなり、当該溶液に溶解する。このとき、電子を受け取った芳香族化合物は電子と溶媒和する。電子と溶媒和することで、芳香族化合物は、アニオンとして振る舞う。このため、芳香族化合物を含む溶液そのものがイオン導電性を有する。ここで、芳香族化合物を含む溶液中には、Liカチオンと電子が当量存在する。このため、芳香族化合物を含む溶液自体には、還元性の強い性質、言い換えれば、電位的に卑な性質を持たせることができる。
例えば、芳香族化合物が溶解した第2液体120にリチウムと反応しない電極を浸漬し、リチウム金属との電位を測定すれば、かなり卑な電位が観測される。観測される電位は、芳香族化合物と電子の溶媒和の程度、すなわち、芳香族化合物の種類によって、決定される。卑な電位を生じる芳香族化合物などの化合物としては、フェナントレン、ビフェニル、o−ターフェニル、トリフェニレン、アントラセン、フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、ベンゾフェノン、trans−スチルベン、4,4’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、2,4’−ビピリジル、2,3’−ビピリジル、cis−スチルベン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、エチレンジアミン、などが挙げられる。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、充電メディエータ121は、フェナントレン、ビフェニル、o−ターフェニル、トリフェニレン、およびアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
充電メディエータ121が、上記の群より選ばれる少なくとも1つである場合には、電位的に卑な性質を有する充電メディエータ121を実現できる。より具体的には、特定の第2活物質320の電位(V vs. Li/Li+)より卑な電位(V vs. Li/Li+)を示す充電メディエータを実現できる。第2活物質320は、例えば、黒鉛であってもよい。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、放電メディエータ122は、フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、ベンゾフェノン、trans−スチルベン、4,4’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、2,4’−ビピリジル、2,3’−ビピリジル、cis−スチルベン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、およびエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
放電メディエータ122が、上記の群より選ばれる少なくとも1つである場合には、電位的に貴な性質を有する放電メディエータ122を実現できる。より具体的には、特定の第2活物質320の電位(V vs. Li/Li+)より貴な電位(V vs. Li/Li+)を示す放電メディエータ122を実現できる。第2活物質320は、例えば、黒鉛であってもよい。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、放電メディエータ122は、2,2’−ビピリジル、trans−スチルベン、2,4’−ビピリジル、2,3’−ビピリジル、cis−スチルベン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、およびエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つであってもよい。
放電メディエータ122が、上記の群より選ばれる少なくとも1つである場合には、放電メディエータ122の平衡電位(V vs. Li/Li+)を比較的低くできる。これにより、より電位の低いフロー電池の負極を実現できる。このため、より高い電池電圧を有するフロー電池を実現できる。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、第2液体120は、エーテル溶液であってもよい。
第2液体120はエーテル溶液である場合には、第2液体120として、充電メディエータ121および放電メディエータ122を含んだ電解液を実現できる。すなわち、充電メディエータ121および放電メディエータ122の溶媒が電子導電性を持たないエーテル溶液であるため、当該エーテル溶液自体が電解液としての性質を有することができる。
エーテルとしては、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、1,3−ジオキサン(1,3DO)、4−メチル−1,3−ジオキサン(4Me1,3DO)、などが用いられうる。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、第2活物質320は、黒鉛であってもよい。
第2活物質320が黒鉛である場合には、第2活物質320の平衡電位(V vs. Li/Li+)を比較的低くできる。このため、放電メディエータ122として、平衡電位(V vs. Li/Li+)が比較的低い物質を用いることができる。放電メディエータ122として用いることができる、平衡電位が比較的低い物質は、例えば、芳香族化合物であってもよく、縮合芳香族化合物であってもよい。これにより、より電位の低いフロー電池の負極を実現できる。このため、高い電池電圧を有するフロー電池を実現できる。
第3実施形態においては、第2活物質320として、リチウムを吸蔵した黒鉛、すなわち、充電時に生成される黒鉛層間化合物の組成は、C24Li、C18Li、C12Li、C6Li、のうちの少なくとも1つであってもよい。
第2活物質320として、黒鉛を用いた場合、リチウムと反応して完全に還元されて充電される。すなわち、黒鉛はリチウムを吸蔵してC6Liとなる。このとき、このC6Liの電位は、0.2V vs. Li/Li+程度である。このため、C6Liの電位より卑な電位を示す芳香族化合物を充電メディエータとして使用し、C6Liの電位より貴な電位を示す芳香族化合物を放電メディエータとして使用すれば、メディエータ型の負極を得られる。
表2は、充電メディエータ121として用いられうる縮合芳香族化合物を含む芳香族化合物の電位を示す。
Figure 2019220769

表3は、放電メディエータ122として用いられうる縮合芳香族化合物を含む芳香族化合物およびアミン化合物の電位を示す。
Figure 2019220769
2×2cmの銅箔をポリプロピレン製微多孔性セパレータで包んだものの全体を、多量のリチウム金属箔で包む。これに、銅箔とリチウム金属にタブを取り付ける。その後、これに、ラミネート外装を取り付ける。これに、表2と表3とに示される各モル濃度(mol/L)で各種化合物を溶かした2MeTHFを注液した後、ラミネート外装を熱融着して密閉する。以上により、化合物ごとに電位測定用セルを作製する。表2と表3は、この電位測定用セルを用いてリチウム金属基準で測定される電位(V vs. Li/Li+)を示す。この測定ではエーテルとして2MeTHFが使用されうるが、他のエーテルも同様に使用可能である。
充電メディエータ121の場合は、C6Li中のLiを溶解させる能力がない。一方、放電メディエータ122の場合は、C6Li中のLiを溶解させる能力がある。この能力差は、これらのリチウム金属溶液の電位とC6Liの電位との差から、説明できる。すなわち、C6Liの電位(約0.2V vs. Li/Li+)より貴なものは、C6Li中のLiを溶解させる能力がある。一方で、C6Liの電位より卑なものは、C6Li中のLiを溶解させる能力がない。
したがって、C6Liより電位が卑なものを充電メディエータ121として使用できる。C6Liより電位が貴なものを放電メディエータ122として使用できる。
芳香族化合物としては、第2活物質320との電位差が少ないほうが、充放電エネルギー効率により優れる。したがって、第2活物質320として黒鉛を用いる場合には、充電メディエータ121としては、フェナントレン、トリフェニレンまたはビフェニルを用いてもよい。放電メディエータ122としては、trans−スチルベン、ブチロフェノン、バレロフェノンまたはエチレンジアミンを用いてもよい。これにより、充放電エネルギー効率をより高めることができる。
エーテルとしては、黒鉛にLiイオンとともに共挿入されないエーテルを用いてもよい。これにより、黒鉛にエーテルが共挿入されず、容量密度をより向上できる。
第2活物質320として、固体の活物質が用いられてもよい。固体の活物質は、例えば、粉末状の活物質であってもよい。第2活物質320を加工無しの粉末状態でタンクに充填する場合には、製造を簡便化でき、かつ、製造コストを低減できる。
第2活物質320として、ペレット状の活物質が用いられてもよい。ペレット状の活物質は、例えば、粉末をペレット成型した状態の活物質であってもよい。第2活物質320をペレット状でタンクに充填する場合には、製造を簡便化でき、かつ、製造コストを低減できる。
第2活物質320として、公知のバインダーによりペレット状に固められた活物質が用いられてもよい。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、などであってもよい。
第2活物質320は、第2液体120に不溶性の物質であってもよい。これにより、第2液体120とともに充電メディエータ121と放電メディエータ122とは循環させるが、第2活物質320は循環させないフロー電池を実現できる。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、第2電極220は負極に含まれ、かつ、第1電極210は正極に含まれていてもよい。
第3実施形態におけるフロー電池3000においては、例えば、第2液体120が第2電極220に接触することにより、充電メディエータ121と放電メディエータ122とは、第2電極220により、酸化または還元される。すなわち、例えば、第2液体120が第2活物質320に接触することにより、第2活物質320による放電メディエータ122の還元反応が生じるか、または、第2活物質320による充電メディエータ121の酸化反応が生じる。
第2電極220は、充電メディエータ121と放電メディエータ122の反応場として作用する表面を有する電極であってもよい。
この場合、第2電極220として、第2液体120に対して安定な材料が用いられうる。第2液体120に対して安定な材料は、第2液体120に不溶である材料であってもよい。さらに、第2電極220として、電極反応である電気化学反応に対して安定な材料が用いられうる。例えば、第2電極220として、金属、カーボン、など、が用いられうる。金属は、例えば、ステンレス鋼、鉄、銅、ニッケル、などであってもよい。
第2電極220は、その表面積を増大させた構造を有するものであってもよい。表面積を増大させた構造を有するものは、例えば、メッシュ、不織布、表面粗化処理板、焼結多孔体、などであってもよい。これによれば、第2電極220の比表面積が大きくなる。これにより、充電メディエータ121と放電メディエータ122の酸化反応または還元反応を、より進行し易くできる。
第3実施形態におけるフロー電池3000は、第2循環機構520をさらに備えてもよい。
第2循環機構520は、第2電極220と第2活物質320との間で、第2液体120を循環させる。
第2循環機構520を用いて、第2液体120とともに充電メディエータ121および放電メディエータ122を、第2電極220と第2活物質320との間で、循環させることができる。これにより、各材料間の酸化反応および還元反応を、より効率的に行うことができる。
第2循環機構520は、例えば、配管、タンク、ポンプ、バルブ、などを備えていてもよい。
第2循環機構520の具体的な例は、第4実施形態において後述される。
<充放電プロセスの説明>
第3実施形態におけるフロー電池3000の充放電プロセスが、以下の動作例に基づいて、説明される。
本動作例では、第1電極210は、正極電極であり、カーボンブラックである。
本動作例では、第1液体110は、第1電極メディエータ111が溶解したエーテル溶液である。
本動作例では、第1電極メディエータ111は、ペリレンまたはペリレン誘導体である。
本動作例では、第1活物質310は、リン酸鉄リチウム(LiCoO2)である。
本動作例では、第2電極220は、負極電極であり、ステンレス鋼である。
本動作例では、第2液体120は、充電メディエータ121と放電メディエータ122とが溶解したエーテル溶液である。
本動作例では、第2電極220側の充電メディエータ121は、1種の縮合芳香族化合物(以下、ChMdと表記される)である。
本動作例では、第2電極220側の放電メディエータ122は、1種の縮合芳香族化合物(以下、DchMdと表記される)である。
本動作例では、第2活物質320は、黒鉛である。
本動作例では、隔離部400は、リチウムイオン導電性の固体電解質膜である。
[充電プロセスの説明]
まず、充電反応が、説明される。
第1電極210と第2電極220との間に、電圧が印加されることにより、充電が行われる。
(負極側の反応)
電圧の印加により、負極である第2電極220にフロー電池の外部から電子が供給される。これにより、第2電極220上では、充電メディエータ121と放電メディエータ122との還元反応が起こる。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
ChMd + Li+ + e- → ChMd・Li
DchMd + Li+ + e- → DchMd・Li
第2循環機構520により、第2電極220上で還元された充電メディエータ121が、第2活物質320に移動する。すなわち、第2循環機構520により、第2電極220上で還元された充電メディエータ121が、第2活物質320に供給される。
このとき、第2電極220上において還元された充電メディエータ121は第2活物質320により酸化される。すなわち、第2活物質320は、充電メディエータ121によって、還元される。これにより、第2活物質320はリチウムを吸蔵して、C6Liとなる。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
6C + ChMd・Li → C6Li + ChMd
第2循環機構520により、第2活物質320により酸化された充電メディエータ121が、第2電極220に移動する。すなわち、第2循環機構520により、第2活物質320により酸化された充電メディエータ121が、第2電極220に供給される。
以上のように、充電メディエータ121は、循環を含めたトータル反応で見ると、変化していない。
一方で、第2電極220と離れた場所に位置する第2活物質320は、充電状態となる。
(正極側の反応)
電圧の印加により、正極に含まれる第1電極210では、第1電極メディエータ111の酸化反応が起こる。すなわち、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が酸化される。これにより、第1電極210からフロー電池の外部に電子が放出される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene → Perylene+ + e-
第1循環機構510により、第1電極210上で酸化された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1電極210上で酸化された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に供給される。
このとき、第1電極210上において酸化された第1電極メディエータ111は、第1活物質310により還元される。すなわち、第1活物質310は、第1電極メディエータ111によって、酸化される。これにより、第1活物質310はリチウムを放出する。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
LiCoO2 + Perylene+ → CoO2 + Li+ + Perylene+
第1循環機構510により、第1活物質310により還元された第1電極メディエータ111が、第1電極210に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1活物質310により還元された第1電極メディエータ111が、第1電極210に供給される。
このとき、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が酸化される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene → Perylene+ + e-
発生したリチウムイオン(Li+)の一部は、隔離部400を通じて、第2電極220側に移動しうる。
以上のように、第1電極メディエータ111は、循環を含めたトータル反応で見ると、変化していない。
一方で、第1電極210と離れた場所に位置する第1活物質310が、充電状態となる。
以上のように、第1電極210側においては、Perylene+が第1電極側充電メディエータとして充電メディエータの役割を果たす。
完全充電状態では、第1液体110にはPerylene+が存在し、第1活物質310はLiCoO2となる。このとき、充電電位は、Perylene+への酸化電位で決定される。
以上の充電反応は、第1活物質310が完全充電状態となるか、または、第2活物質320が完全充電状態となるか、のどちらかに到達するまで、進行しうる。
[放電プロセスの説明]
次に、満充電からの放電反応が、説明される。
満充電では、第1活物質310と第2活物質320とは、充電状態となっている。
放電反応では、第1電極210と第2電極220との間から、電力が取り出される。
(負極側の反応)
電池の放電により、負極に含まれる第2電極220上では、充電メディエータ121と放電メディエータ122との酸化反応が起こる。これにより、第2電極220からフロー電池の外部に電子が放出される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
DchMd・Li → DchMd + Li+ + e-
ChMd・Li → ChMd + Li+ + e-
第2循環機構520により、第2電極220上で酸化された放電メディエータ122が、第2活物質320に移動する。すなわち、第2循環機構520により、第2電極220上で酸化された放電メディエータ122が、第2活物質320に供給される。
このとき、第2電極220上において酸化された放電メディエータ122は第2活物質320により還元される。すなわち、第2活物質320は、放電メディエータ122によって、酸化される。これにより、第2活物質320はリチウムを放出する。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
6Li + DchMd → 6C + DchMd・Li
第2循環機構520により、第2活物質320により還元された放電メディエータ122が、第2電極220に移動する。すなわち、第2循環機構520により、第2活物質320により還元された放電メディエータ122が、第2電極220に供給される。
以上のように、放電メディエータ122は、循環を含めたトータル反応で見ると、変化していない。
一方で、第2電極220と離れた場所に位置する第2活物質320が、放電状態となる。
(正極側の反応)
電池の放電により、正極に含まれる第1電極210にフロー電池の外部から電子が供給される。これにより、第1電極210上では、第1電極メディエータ111の還元反応が起こる。すなわち、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が還元される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene+ + e- → Perylene
第1循環機構510により、第1電極210上で還元された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1電極210上で還元された第1電極メディエータ111が、第1活物質310に供給される。
このとき、第1電極210上において還元された第1電極メディエータ111は、第1活物質310により、酸化される。すなわち、第1活物質310は、第1電極メディエータ111により、還元される。これにより、第1活物質310は、リチウムを吸蔵する。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
CoO2 + Li+ + Perylene → LiCoO2 + Perylene+
第1循環機構510により、第1活物質310により酸化された第1電極メディエータ111が、第1電極210に移動する。すなわち、第1循環機構510により、第1活物質310により酸化された第1電極メディエータ111が、第1電極210に供給される。
このとき、第1電極210の表面において、第1電極メディエータ111が還元される。
例えば、本動作例では、下記の反応が生じる。
Perylene+ + e- → Perylene
リチウムイオン(Li+)の一部は、隔離部400を通じて、第2電極220側から供給されうる。
以上のように、第1電極メディエータ111は、循環を含めたトータル反応で見ると、変化していない。
一方で、第1電極210と離れた場所に位置する第1活物質310が、放電状態となる。
以上のように、第1電極210側においては、Peryleneが第1電極側放電メディエータとして放電メディエータの役割を果たす。
完全放電状態では、第1液体110にはPeryleneが存在し、第1活物質310はLiCoO2となる。このとき、放電電位は、Peryleneへの還元電位で決定される。
以上の放電反応は、第1活物質310が完全放電状態となるか、または、第2活物質320が完全放電状態となるか、のどちらかに到達するまで、進行しうる。
<エネルギー密度の推算>
第3実施形態におけるフロー電池3000のエネルギー密度の推算結果が、以下に、説明される。
表4は、第3実施形態におけるフロー電池3000のエネルギー密度の推算結果を示す。
Figure 2019220769
表4は、表1に示されるペリレンを第1電極メディエータ111の放電メディエータとして用い、一段階酸化還元反応を示す正極放電メディエータの場合は正極放電メディエータとして1,1’−ジブロモフェロセンなどを用いた場合である。この条件に加えて、第3実施形態におけるフロー電池3000の上述の動作例の条件で、かつ、負極充電メディエータ121がフェナントレンであり、かつ、負極放電メディエータ122がtrans−スチルベンである場合のエネルギー密度の推算結果を示す。表4において、発電要素体積充填率は、比率を表す。例えば、発電要素体積充填率が0.60とは60%であることを意味する。
表4において、第1電極メディエータ111、すなわち、正極充電メディエータとしてテトラチアフルバレンを用いる計算例においては、正極固体活物質はLiFePO4であり、かつ、1,1’−ジブロモフェロセンは用いていない。テトラチアフルバレン(TTF)は正極放電メディエータとしても機能するためである。
表4に示される通り、ペリレンなどを充電メディエータとして、放電メディエータとして1,1’−ジブロモフェロセンのようなシクロペンタジエニル化合物を第1電極メディエータ111として用いた場合にはエネルギー密度が769Wh/L程度のフロー電池を実現できる。
これらに対して、バナジウムを利用する従来のフロー電池の理論エネルギー密度は、38Wh/L程度である。この結果から、従来のフロー電池と比較して、本開示のフロー電池の理論エネルギー密度は、格段に高いことがわかる。
表4に示される通り、テトラチアフルバレンを第1電極メディエータ111として用いる場合には、正極固体活物質としてLiFePO4を用いるためにエネルギー密度が633Wh/L程度のフロー電池となる。この結果から、テトラチアフルバレンまたはその誘導体などを用いる場合と比較して、ペリレン誘導体を用いたフロー電池の理論エネルギー密度は、より高いことがわかる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態が説明される。第1実施形態から第3実施形態のいずれかと重複する説明は、適宜、省略される。
図4は、第4実施形態におけるフロー電池4000の模式図を示す。
第4実施形態におけるフロー電池4000は、第3実施形態におけるフロー電池3000だけでなく、第2実施形態において示された第1循環機構510を備える。
さらに、第4実施形態におけるフロー電池4000は、第2実施形態において示された、電気化学反応部600と、正極端子211と、負極端子221と、を備える。
さらに、第4実施形態におけるフロー電池4000は、第2循環機構520を備える。
負極は、第2収容部521を備える。
第2活物質320は、第2収容部521に収容される。第2液体120の一部は、第2収容部521に収容される。
第2循環機構520は、負極室620と第2収容部521との間で、第2液体120を循環させる。
第2収容部521において第2活物質320と第2液体120とが接触することにより、第2活物質320による充電メディエータ121の酸化反応と、第2活物質320による放電メディエータ122の還元反応と、のうちのいずれかが行われる。
第2収容部521において、第2液体120と第2活物質320とを、接触させることができるので、第2液体120と第2活物質320との接触面積を、より大きくできる。第2液体120と第2活物質320との接触時間を、より長くできる。このため、第2活物質320による充電メディエータ121の酸化反応と、第2活物質320による放電メディエータ122の還元反応を、より効率的に、行うことができる。
第4実施形態においては、第2収容部521は、例えば、タンクであってもよい。
第2収容部521は、例えば、充填された第2活物質320の隙間に、充電メディエータ121と放電メディエータ122とが溶解した第2液体120を、収容していてもよい。
図4に示されるように、第4実施形態におけるフロー電池4000においては、第2循環機構520は、配管523と、配管524と、ポンプ525と、を備えてもよい。配管を区別するために、配管523および配管524は、それぞれ、第3配管523および第4配管524と呼ばれ得る。
配管523の一端は、第2収容部521の第2液体120の流出口側に、接続される。
配管523の別の一端は、正極室610と負極室620とのうち、第2電極220が配置される方に、接続される。図4では、配管523の別の一端は、負極室620に、接続される。
配管524の一端は、正極室610と負極室620とのうち、第2電極220が配置される方に、接続される。図4では、配管524の一端は、負極室620に、接続される。
配管524の別の一端は、第2収容部521の第2液体120の流入口側に、接続される。
ポンプ525は、例えば、配管524に設けられる。または、ポンプ525は、配管523に設けられてもよい。
第4実施形態におけるフロー電池4000においては、第2循環機構520は、第2フィルタ522を備えてもよい。
第2フィルタ522は、第2活物質320の透過を抑制する。
第2フィルタ522は、第2液体120が第2収容部521から第2電極220に流出する経路に、設けられる。図4では、第2フィルタ522は、配管523に、設けられる。
第2フィルタ522を用いて、第2活物質320が第2収容部521以外(例えば、第2電極220側)へ流出することを抑制できる。すなわち、第2活物質320は、第2収容部521に留まる。これにより、第2活物質320そのものは循環させないフロー電池を実現できる。このため、第2循環機構520の部材の内部の第2活物質320による目詰まりを防止できる。第2活物質320が第2電極220側に流出することによる抵抗損失の発生を防止できる。第2循環機構520の部材は、例えば、配管であってもよい。
第2フィルタ522は、例えば、第2収容部521と配管523との接合部に、設けられてもよい。
第2フィルタ522は、例えば、第2活物質320を濾過するフィルタであってもよい。このとき、フィルタは、第2活物質320の粒子の最小粒径より小さい孔を有する部材であってもよい。フィルタの材料としては、第2活物質320および第2液体120などと反応しない材料が用いられうる。フィルタは、例えば、ガラス繊維濾紙、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布、金属リチウムと反応しない金属メッシュ、など、であってもよい。
第2フィルタ522を用いることで、第2収容部521の内部において、第2液体120の流動とともに、第2活物質320の流動が生じても、第2活物質320が第2収容部521から流出することを防止できる。
図4では、第2収容部521に収容されている第2液体120は、第2フィルタ522と配管523とを通過して、負極室620に、供給される。
これにより、第2液体120に溶解している充電メディエータ121と放電メディエータ122とは、第2電極220により、酸化または還元される。
その後、酸化または還元された充電メディエータ121と放電メディエータ122とが溶解した第2液体120は、配管524とポンプ525とを通過して、第2収容部521に、供給される。
これにより、第2液体120に溶解している充電メディエータ121と放電メディエータ122に対して、第2活物質320による充電メディエータ121の酸化反応と、第2活物質320による放電メディエータ122の還元反応と、のうちのどちらか一方が行われる。
第2液体120の循環の制御は、例えば、ポンプ525により行われてもよい。すなわち、ポンプ525により、適宜、第2液体120の供給の開始、または、供給の停止、または、供給量などの調整、が行われる。
第2液体120の循環の制御は、ポンプ525以外の他の手段により、行われてもよい。他の手段は、例えば、バルブなどであってもよい。
図4においては、一例として、第1電極210は正極に含まれ、かつ、第2電極220は負極に含まれる。
本開示のペリレンまたはその誘導体は、従来のテトラチアフルバレン誘導体などをメディエータとして、LiFePO4を正極固体活物質として用いたフロー電池と比較して、より高い放電電位とより高いエネルギー密度とを有するフロー電池を実現できる。
第1実施形態から4のそれぞれに記載の内容は、適宜、互いに、組み合わされてもよい。
(実施例)
次に、実施例を挙げて本開示に係るフロー電池をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
LiBFをプロピレンカーボネートに溶解し、電解液を得た。LiBFは、1mol/Lの濃度を有し、そして電解質として機能した。
当該電解液にペリレンを10mmol/Lの濃度を有するように溶解し、ペリレンを含有する電解液を得た。
ペリレンを含有する電解液に、対極、作用極、および参照極を接触させ、電位測定セルを作製した。
対極は、1x1cmのPt箔であった。
作用極は、グラッシーカーボン電極(直径:6mm)であった。
参照極は、銀線であった。
電気化学アナライザ(ビーエーエス株式会社より入手、商品名:ALS−612E)を用いて、電位測定セルにおいて、Li/Li+に対する電位を3.15ボルト以上4.25ボルト以下の範囲で変化させながら、サイクリックボルタンメトリー法によりペリレンの電流密度を測定した。
電位の走査速度(すなわち、スキャン速度)は、50mV/sであった。
図5は、実施例1におけるサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。図5に示されるように、ペリレンの正の電流密度は負の電流密度とほぼ等しい。このことから、ペリレンの酸化還元反応の可逆性は高いことがわかる。したがって、ペリレンおよびその誘導体は、フロー電池のメディエータとして適している。
(比較例1)
ペリレンに代えて、ナフタレンが用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。図6は、比較例1におけるサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。図6に示されるように、ナフタレンの正の電流密度は負の電流密度よりも著しく大きい。このことから、ナフタレンの酸化還元反応の可逆性は低いことがわかる。したがって、ナフタレンはフロー電池のメディエータとして適していない。
(比較例2)
ペリレンに代えて、アントラセンが用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。図7は、比較例2におけるサイクリックボルタンメトリーの結果を示す。図7に示されるように、アントラセンの正の電流密度は負の電流密度よりも著しく大きい。このことから、アントラセンの酸化還元反応の可逆性は低いことがわかる。したがって、アントラセンはフロー電池のメディエータとして適していない。
本開示のフロー電池は、例えば、蓄電デバイスまたは蓄電システムとして好適に使用できる。
110 第1液体
111 第1電極メディエータ
120 第2液体
121 充電メディエータ
122 放電メディエータ
210 第1電極
211 正極端子
220 第2電極
221 負極端子
310 第1活物質
320 第2活物質
400 隔離部
510 第1循環機構
511 第1収容部
512 第1フィルタ
513、514、523、524 配管
515、525 ポンプ
520 第2循環機構
521 第2収容部
522 第2フィルタ
600 電気化学反応部
610 正極室
620 負極室
1000、2000、3000、4000 フロー電池

Claims (18)

  1. フロー電池であって、
    負極、および
    正極を具備し、
    ここで、
    前記正極は、第1電極、第1液体、第1活物質、および第1循環機構を具備し、
    前記第1液体は、前記第1活物質および前記第1電極に接触しており、
    前記第1循環機構は、前記第1液体を、前記第1電極および前記第1活物質の間で循環させ、かつ
    前記第1液体は、ペリレンまたはその誘導体を含有する、
    フロー電池。
  2. 請求項1に記載のフロー電池であって、
    前記第1液体は、ペリレン誘導体を含有し、かつ
    前記ペリレン誘導体は下記一般式(1)で示される、
    フロー電池。
    Figure 2019220769


    (式中、X1〜X12は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X1〜X12がすべて同時に水素である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
  3. 請求項1または2に記載のフロー電池であって、
    前記第1液体は、ペリレン誘導体を含有し、かつ
    前記ペリレン誘導体は、下記一般式(2)で示される、
    フロー電池。
    Figure 2019220769


    (式中、X1、X3、X4、X6、X7、X9、X10、およびX12は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X1、X3、X4、X6、X7、X9、X10、およびX12がすべて同時に水素である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
  4. 請求項1または2に記載のフロー電池であって、
    前記第1液体は、ペリレン誘導体を含有し、かつ
    前記ペリレン誘導体は、下記一般式(3)で示される、
    フロー電池。
    Figure 2019220769


    (式中、X2〜X5およびX8〜X11は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X2〜X5およびX8〜X11がすべて同時に水素原子である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記第1液体は、ペリレン誘導体を含有し、かつ
    前記ペリレン誘導体は、下記一般式(4)で示される、
    フロー電池。
    Figure 2019220769


    (式中、X3、X4、X9、およびX10は、それぞれ独立して、水素原子、弗素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ニトロ基、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、COR1、またはN(R22を表す。ただし、X3、X4、X9、およびX10がすべて同時に水素である場合を除く。R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、シアノ基、またはニトロ基のいずれか1つである。)
  6. 請求項1に記載のフロー電池であって、
    前記第1液体は、ペリレンを含有し、かつ
    前記ペリレンは、下記式(5)で示される、
    フロー電池。
    Figure 2019220769
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記ペリレンまたはその誘導体は、第1酸化還元電位を有し、かつ
    前記第1活物質の平衡電位は、前記第1酸化還元電位より高い、
    フロー電池。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記第1液体は、第1放電メディエータをさらに含み、
    前記ペリレンまたはその誘導体は酸化電位を有し、
    前記第1活物質の平衡電位は、前記ペリレンまたはその誘導体の前記酸化電位より低く、かつ
    前記第1活物質の平衡電位は、前記第1放電メディエータの平衡電位より高い、
    フロー電池。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記正極は、さらに正極室および第1収容部を具備し、
    前記正極室は、その内部に前記第1電極を具備し、
    前記第1収容部は、その内部に前記第1活物質を具備し、
    前記第1収容部における前記第1活物質および前記第1液体の互いの接触により、前記第1活物質および前記ペリレンまたはその誘導体の間で酸化反応または還元反応のいずれか一方が行われる、
    フロー電池。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記第1循環機構は、第1フィルタを備え、かつ
    前記第1フィルタは、前記第1液体が前記第1活物質から前記第1電極に流出する経路に設けられている、
    フロー電池。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    さらに隔離部を具備し、
    前記負極は、第2電極、第2液体、第2活物質、および第2循環機構を具備し、
    前記第2液体は、前記第2活物質および前記第2電極に接触しており、
    前記第2循環機構は、前記第2液体を、前記第1電極および前記第2活物質の間で循環させ、
    前記第2液体は、充電メディエータおよび第2放電メディエータを含有し、
    前記隔離部は、前記第1電極を前記第2電極から隔離し、
    前記隔離部は、前記第1液体を前記第2液体から隔離し、
    前記充電メディエータの平衡電位は、前記第2活物質の平衡電位より低く、かつ
    前記第2放電メディエータの平衡電位は、前記第2活物質の平衡電位より高い、
    フロー電池。
  12. 請求項11に記載のフロー電池であって、
    前記第2液体には、リチウムが溶解されており、
    前記第2活物質は、前記リチウムを吸蔵および放出する性質を有し、
    充電時においては、
    前記充電メディエータは前記第2電極上において還元され、かつ、
    前記第2電極上において還元された前記充電メディエータは前記第2活物質により酸化されるとともに前記第2活物質は前記リチウムを吸蔵し、かつ
    放電時においては、
    前記リチウムを吸蔵した前記第2活物質は前記第2放電メディエータを還元するとともに前記第2活物質は前記リチウムを放出し、かつ、
    前記第2活物質により還元された前記第2放電メディエータは前記第2電極上において酸化される、
    フロー電池。
  13. 請求項12に記載のフロー電池であって、
    前記充電時においては、前記第2放電メディエータは前記第2電極上において還元され、かつ
    前記放電時においては、前記充電メディエータは前記第2電極上において酸化される、
    フロー電池。
  14. 請求項11から13のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記充電メディエータと前記第2放電メディエータとは、芳香族化合物であり、かつ
    前記芳香族化合物が溶解した前記第2液体は、リチウムから溶媒和電子を放出させ、かつ前記リチウムをカチオンとして溶解する性質を有する、
    フロー電池。
  15. 請求項14に記載のフロー電池であって、
    前記充電メディエータは、フェナントレン、ビフェニル、o−ターフェニル、トリフェニレン、およびアントラセンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、
    フロー電池。
  16. 請求項14または15に記載のフロー電池であって、
    前記第2放電メディエータは、フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、ベンゾフェノン、trans−スチルベン、4,4’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、2,4’−ビピリジル、2,3’−ビピリジル、cis−スチルベン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、およびエチレンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1つである、
    フロー電池。
  17. 請求項11から16のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記負極は、さらに負極室および第2収容部を具備し、
    前記負極室は、その内部に前記第2電極を具備し、
    前記第2収容部は、その内部に前記第2活物質を具備し、
    前記第2収容部における前記第2活物質および前記第2液体の互いの接触により、前記第2活物質による前記充電メディエータの酸化反応または前記第2活物質による前記第2放電メディエータの還元反応のいずれか一方が行われる、
    フロー電池。
  18. 請求項12から17のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
    前記第2循環機構は、第2フィルタを備え、かつ、
    前記第2フィルタは、前記第2液体が前記第2活物質から前記第2電極に流出する経路に設けられている、
    フロー電池。
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