JPWO2019203357A1 - 光照射装置およびセンサー - Google Patents

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Abstract

薄く、かつ、光学パターンを投影できる光照射装置、および、この光照射装置を用いるセンサーの提供を課題とする。面内に複数の光射出部を有する発光素子と、液晶光学素子とを有し、液晶光学素子は液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を備え、光学異方性層は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、1周期の長さが異なる領域を有する光照射装置により、課題を解決する。

Description

本発明は、光源から射出された光の方向を制御する光学素子を用いる光照射装置、および、この光照射装置を用いるセンサーに関する。
光学パターンの投影は光学3次元(3D)マッピングのように広く用いられている。
例えば、スマートフォンなどのモバイル電子機器では、光学パターンの投影によって、照射の顔認証を行っている。具体的には、使用者の顔に多数の点光源から射出した光ビーム光学パターンを投影して、顔からの反射光を受光素子で受光する。受光素子が受光して得られた光学像を処理して、投影した光学パターンと比較することにより、使用者の顔を認証する。
このような光学パターンを投影するセンサーには、検出する物体に光を照射するために、小型の光照射装置が利用されている。
特許文献1に示されるように、小型の光照射装置は、一例として、面内に複数の光射出部を備えた光源から射出した光を、レンズで異なる方向へ配光し、光学パターンを形成している。形成した光学パターンを回折光学素子で異なる方向に複製することにより、広い範囲に光学パターンを投影する。
ところで、特許文献1では、光照射装置を小型化するために、一例として、複数の光射出部を備える面光源に、VCSEL(Vertical-cavity surface-emitting laser、垂直共振器面発光レーザー)を用いている。
しかしながら、スマートフォンなどのモバイル電子機器はさらなる薄型化が望まれている。
この問題を解決するために、特許文献2に記載される光学式光ガイド素子が知られている。特許文献2に記載される光学式光ガイド素子では、入射した光を、光の入射方向に対し、約45°の角度で配置された第1の反射面で反射し、光の進行方向を入射方向と直交する方向に変換し、さらに第1の反射面と平行に配置された第2の反射面で光を反射して、光学式光ガイド素子から光を出力する構成により、薄型化を図っている。
米国特許出願公開第2014/0376092号明細書 特表2018−500589号公報
このように、従来の小型の光照射装置では、装置の薄型化を図るために、例えば、反射面を約45°の角度で平行に配置する光ガイドを構成する必要がある。そのため、装置の構成が複雑になってしまい、さらに薄型化も十分ではない。
また、従来の小型の光照射装置では、異なる方向へ光を配光するレンズの厚さが厚いため、薄型化を妨げる要因の一つとなっている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、薄く、かつ、光学パターンを投影できる光照射装置、および、この光照射装置を用いるセンサーを提供することにある。
この課題を解決するために、本発明の光学素子は、以下の構成を有する。
[1] 面内に複数の光射出部を有する発光素子と、
液晶光学素子と、を有する光照射装置であって、
液晶光学素子は液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を有し、
光学異方性層は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、液晶配向パターンにおける1周期の長さが異なる領域を有する、光照射装置。
[2] 液晶配向パターンにおける液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向に向かって、液晶配向パターンの1周期が、漸次、短くなる、[1]に記載の光照射装置。
[3] 液晶光学素子が、入射した光を屈折して透過させる透過型の光学素子である、[1]または[2]に記載の光照射装置。
[4] 光学異方性層の液晶配向パターンが、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、[3]に記載の光照射装置。
[5] 光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、一方向に向かう液晶化合物由来の光学軸の向きの回転方向が、全ての一方向で同方向である、[3]または[4]に記載の光照射装置。
[6] 光学異方性層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である、[1]または[2]に記載の光照射装置。
[7] 液晶配向パターンにおける液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する方向が、一方向である、[6]に記載の光照射装置。
[8] 発光素子の各光射出部から射出され、液晶光学素子のコレステリック液晶層で反射された複数の光を、コレステリック液晶層の面方向の中心から外方向に向かって発散させる、または、コレステリック液晶層の面方向の中心に集束させる、レンズ素子を有する、[6]または[7]に記載の光照射装置。
[9] 発光素子と液晶光学素子との間に、レンズ機能を有する小領域を二次元的に配列したレンズアレイを有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の光照射装置。
[10] レンズアレイにおける1つの小領域が、発光素子の1つの光射出部に対応する、[9]に記載の光照射装置。
[11] レンズアレイの小領域が、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成され、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、液晶配向パターンは、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンであり、
レンズアレイは、同心円状のパターンを有する小領域を、二次元的に配列した液晶レンズアレイである、[9]または[10]に記載の光照射装置。
[12] 発光素子と、液晶光学素子との間に、位相差板を有する、[1]〜[11]のいずれかに記載の光照射装置。
[13] 位相差板がλ/4板である、[12]に記載の光照射装置。
[14] 光の進行方向の位相差板よりも上流に、偏光子を有する、[12]または[13]に記載の光照射装置。
[15] 発光素子が赤外線を射出する、[1]〜[14]のいずれかに記載の光照射装置。
[16] 発光素子が垂直共振器面発光レーザである、[1]〜[15]のいずれかに記載の光照射装置。
[17] 発光素子がフォトニック結晶レーザである、[1]〜[15]のいずれかに記載の光照射装置。
[18] 発光素子の光射出部が、ビーム広がり角が3°以内の光を射出する、[1]〜[17]のいずれかに記載の光照射装置。
[19] 光の進行方向の液晶光学素子よりも下流に、回折光学素子を有する、[1]〜[18]のいずれかに記載の光照射装置。
[20] 回折光学素子が、回折方向が異なる複数の回折素子を有する、[19]に記載の光照射装置。
[21] 回折光学素子が、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成され、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する液晶回折素子を有する、[19]または[20]に記載の光照射装置。
[22] 回折光学素子が、液晶回折素子と位相差板とを有する、[21]に記載の光照射装置。
[23] 位相差板がλ/4板である、[22]に記載の光照射装置。
[24] [1]〜[23]のいずれかに記載の光照射装置と、受光素子と、を有するセンサー。
本発明の光照射装置は、薄く、かつ、目的とする光学パターンを投影することができる。また、この光照射装置を用いる本発明のセンサーは、薄型かつ装置構成が簡易である。
図1は、本発明の光照射装置の一例を概念的に示す図である。 図2は、液晶光学素子の一例を概念的に示す図である。 図3は、図2に示す液晶光学素子の光学異方性層を概念的に示す図である。 図4は、図2に示す液晶光学素子の光学異方性層の平面図である。 図5は、図2に示す液晶光学素子の光学異方性層の作用を示す概念図である。 図6は、図2に示す液晶光学素子の光学異方性層の作用を示す概念図である。 図7は、図2に示す液晶光学素子の配向膜を露光する露光装置の一例を概念的に示す図である。 図8は、液晶光学素子の光学異方性層の別の例の平面図である。 図9は、図8に示す光学異方性層を形成する配向膜を露光する露光装置の一例を概念的に示す図である。 図10は、液晶光学素子の光学異方性層の別の例の平面図である。 図11は、発光素子の一例を示す平面図である。 図12は、発光素子の別の例の平面図である。 図13は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図14は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図15は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図16は、レンズアレイの一例を示す図である。 図17は、レンズアレイの別の例を示す図である。 図18は、レンズアレイと発光素子の配置の一例を示す平面図である。 図19は、液晶レンズアレイの一例を示す図である。 図20は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図21は、本発明の光照射装置の作用を示す概念図である。 図22は、本発明の光照射装置の作用を示す概念図である。 図23は、本発明の光照射装置の作用を示す概念図である。 図24は、本発明のセンサーの一例を示す図である。 図25は、光学異方性層の別の例を概念的に示す図である。 図26は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図27は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図28は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図29は、本発明の光照射装置の別の例を示す図である。 図30は、コレステリック液晶層の作用を説明するための概念図である。
以下、本発明の光照射装置およびセンサーについて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、「同一」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」および「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、420〜490nmの波長域の光は青色光であり、495〜570nmの波長域の光は緑色光であり、620〜750nmの波長域の光は赤色光である。さらに、これに限定されるものではないが、非可視光のうち、紫外線(紫外光)とは、380nm未満で200nm以上の波長域の光であり、赤外線(赤外光)とは780nm超で12000nm以下の波長域の光である。
本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のレタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本明細書において、Re(λ)は、AxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
本発明の光照射装置は、面内に複数の光射出部を有する発光素子と、液晶光学素子と、を有し、液晶光学素子は液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を備え、光学異方性層は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。
また、本発明の液晶光学素子は、光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、液晶配向パターンにおける1周期の長さが異なる領域を有する。
本発明の光照射装置において、液晶光学素子は、1の態様では光を屈折して透過し、第2の態様では所定の光を反射する。後に詳述するが、本発明の光照射装置は、液晶光学素子の光学異方性層が、このような液晶配向パターンを有することにより、第1の態様では、入射して透過する光の角度を面内で変えることができる。また、第2の態様では、入射して反射する光を、鏡面反射とは異なる角度で反射できる。
[光照射装置の第1の態様]
図1に、本発明の光照射装置の第1の態様の一例を概念的に示す。
図示例の第1の態様の光照射装置100は、液晶光学素子10と、発光素子110とを有する。
光照射装置100において、液晶光学素子10は、図1に示すように、発光素子110の光の射出側に配置される。
図1に示す光照射装置100では、発光素子110と液晶光学素子10との間は、空間(空気層)になっている。なお、この際には、発光素子110と液晶光学素子10との間の空間は、液晶光学素子10が、発光素子110が射出する光の角度から外れないようにするのが好ましい。
しかしながら、本発明の光照射装置は、これに制限はされず、発光素子110と液晶光学素子10とは、間に設けられた貼合層によって固定してもよい。本発明において、貼合層は、貼り合わせの対象となる物同士を貼り合わせられる層であれば、公知の各種の材料からなるものが利用可能である。従って、貼合層は、貼り合わせる際には流動性を有し、その後、固体になる、接着剤からなる層でも、貼り合わせる際にゲル状(ゴム状)の柔らかい固体で、その後もゲル状の状態が変化しない、粘着剤からなる層でも、接着剤と粘着剤との両方の特徴を持った材料からなる層でもよい。すなわち、貼合層は、光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))、光学透明両面テープ、ならびに、紫外線硬化型樹脂等の、光学装置および光学素子等でシート状物の貼り合わせに用いられる公知のものを用いればよい。あるいは、貼合層で貼り合わせるのではなく、枠体または治具等で保持して、本発明の光照射装置を構成してもよい。
<液晶光学素子>
図2に、本発明の液晶光学素子の一例を概念的に示す。
図示例の液晶光学素子10は、支持体20、配向膜24および光学異方性層26を有する。
上述のように、液晶光学素子10は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、液晶化合物由来の光学軸が回転する所定の液晶配向パターンを有する。図示例の液晶光学素子10は、光学異方性層26が、液晶化合物を含む組成物を用いて形成され、この液晶配向パターンを有する。
なお、図示例の液晶光学素子10は、支持体20を有しているが、本発明の液晶光学素子は、支持体20を有さなくてもよい。例えば、図2に示す構成から、支持体20を剥離して、配向膜24および光学異方性層26のみで液晶光学素子を構成してもよい。さらに、図2に示す構成から、支持体20および配向膜24を剥離して、光学異方性層26のみで、液晶光学素子を構成してもよい。
本発明の光照射装置は、後述する第2の態様も含めて、複数の液晶光学素子を有しても良い。本発明の光照射装置が、複数の液晶光学素子を積層する場合には、支持体20および/または配向膜24を有する液晶光学素子と、支持体20および/または配向膜24を有さない液晶光学素子とが、混在してもよい。
すなわち、本発明の光照射装置100において、液晶光学素子は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成された光学異方性層を有し、光学異方性層が、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、液晶配向パターンにおける1周期の長さが異なる領域を有するものであれば、各種の層構成が利用可能である。
<<支持体>>
上述のように、液晶光学素子10は、支持体20、配向膜24および光学異方性層26を有する。
液晶光学素子10において、支持体20は、配向膜24および光学異方性層26を支持するものである。
支持体20は、配向膜24および光学異方性層26を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
支持体20としては、透明支持体が好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、および、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。シクロオレフィンポリマー系フィルムとしては、一例として、JSR社製の商品名「アートン」、および、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」等が例示される。
支持体は、可撓性のフィルムに限らず、ガラス基板等の非可撓性の基板であってもよい。
支持体20の厚さには、制限はなく、液晶光学素子10の用途および支持体20の形成材料等に応じて、配向膜24および光学異方性層26を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体20の厚さは、1〜1000μmが好ましく、3〜250μmがより好ましく、5〜150μmがさらに好ましい。
支持体20には、紫外線吸収剤などの添加剤を加える手もよい。支持体20に紫外線吸収剤として加えることで、液晶光学素子10の耐光性を向上できる点で好ましい。
<<配向膜>>
液晶光学素子10において、支持体20の表面には配向膜24が形成される。
配向膜24は、液晶光学素子10の光学異方性層26を形成する際に、液晶化合物30を所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜である。
後述するが、液晶光学素子10において、光学異方性層26は、液晶化合物30に由来する光学軸30A(図4参照)の向きが、面内の一方向(後述する矢印X方向)に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。従って、液晶光学素子10の配向膜24は、光学異方性層26が、この液晶配向パターンを形成できるように形成される。
以下の説明では、『光学軸30Aの向きが回転』を単に『光学軸30Aが回転』とも言う。
配向膜24は、公知の各種のものが利用可能である。
例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等が例示される。
ラビング処理による配向膜は、ポリマー層の表面を紙または布で一定方向に数回こすることにより形成できる。
配向膜に使用する材料としては、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005−97377号公報、特開2005−99228号公報、および、特開2005−128503号公報記載の配向膜等の形成に用いられる材料が好ましく例示される。
液晶光学素子10において、配向膜24は、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、本発明の液晶光学素子10においては、配向膜として、支持体20上に、光配向材料を塗布して形成した光配向膜が、好適に利用される。
偏光の照射は、光配向膜に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、光配向膜に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な光配向膜に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−76839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−94071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報および特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性エステル、ならびに、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013−177561号公報および特開2014−12823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性エステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
配向膜24の厚さには、制限はなく、配向膜24の形成材料に応じて、必要な配向機能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
配向膜24の厚さは、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
配向膜の形成方法には、制限はなく、配向膜の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、配向膜を支持体20の表面に塗布して乾燥させた後、配向膜をレーザ光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
図7に、配向膜24を露光して、上述した配向パターンを形成する露光装置の一例を、概念的に示す。
図7に示す露光装置60は、レーザ62を備えた光源64と、レーザ62が射出したレーザ光Mを光線MAおよびMBの2つに分離するビームスプリッター68と、分離された2つの光線MAおよびMBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70Aおよび70Bと、λ/4板72Aおよび72Bと、を備える。
なお、図示は省略するが、光源64は直線偏光P0を射出する。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜24を有する支持体20が露光部に配置され、2つの光線MAと光線MBとを配向膜24上において交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜24に照射して露光する。
この際の干渉により、配向膜24に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向膜24において、配向状態が周期的に変化する配向パターンが得られる。
露光装置60においては、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンの周期を調節できる。すなわち、露光装置60においては、交差角αを調節することにより、液晶化合物30に由来する光学軸30Aが一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸30Aが回転する1方向における、光学軸30Aが180°回転する1周期の長さ(後述する1周期Λ)を調節できる。
このような配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜上に、光学異方性層を形成することにより、後述するように、液晶化合物30に由来する光学軸30Aが一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する、光学異方性層26を形成できる。
また、λ/4板72Aおよび72Bの光学軸を各々90°回転することにより、光学軸30Aの回転方向を逆にすることができる。
なお、本発明の液晶光学素子において、配向膜は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体20をラビング処理する方法、支持体20をレーザ光等で加工する方法等によって、支持体20に配向パターンを形成することにより、光学異方性層26等が、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。
<<光学異方性層>>
液晶光学素子10において、配向膜24の表面には、光学異方性層26が形成される。
なお、図2(および、後述する図5〜図6)においては、図面を簡略化して液晶光学素子10の構成を明確に示すために、光学異方性層26は、配向膜の表面の液晶化合物30(液晶化合物分子)のみを示している。しかしながら、光学異方性層26は、図3に概念的に示すように、通常の液晶化合物を含む組成物を用いて形成された光学異方性層と同様に、配向された液晶化合物30が厚さ方向に積み重ねられた構造を有する。
上述のように、液晶光学素子10において、光学異方性層26は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成されたものである。光学異方性層26は、面内レタデーションの値をλ/2に設定した場合に、一般的なλ/2板としての機能、すなわち、光学異方性層に入射した光に含まれる互いに直交する2つの直線偏光成分に半波長すなわち180°の位相差を与える機能を有している。
光学異方性層26は、面内において、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが、矢印Xで示す一方向に連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
なお、液晶化合物30に由来する光学軸30Aとは、液晶化合物30において屈折率が最も高くなる軸、いわゆる遅相軸である。例えば、液晶化合物30が棒状液晶化合物である場合には、光学軸30Aは、棒形状の長軸方向に沿っている。
以下の説明では、『矢印Xで示す一方向』を単に『矢印X方向』とも言う。また、以下の説明では、液晶化合物30に由来する光学軸30Aを、『液晶化合物30の光学軸30A』または『光学軸30A』とも言う。
光学異方性層26において、液晶化合物30は、それぞれ、矢印X方向と、この矢印X方向と直交するY方向とに平行な面内に二次元的に配列している。なお、図2、図3、後述する図5〜図6では、Y方向は、紙面に直交する方向となる。
図4に、光学異方性層26の平面図を概念的に示す。
なお、平面図とは、図2において、液晶光学素子10を上方から見た図であり、すなわち、液晶光学素子10を厚さ方向(=各層(膜)の積層方向)から見た図である。言い換えれば、光学異方性層26を主面と直交する方向から見た図である。
また、図4では、本発明の液晶光学素子10の構成を明確に示すために、図2と同様、液晶化合物30は配向膜24の表面の液晶化合物30のみを示している。しかしながら、光学異方性層26は、厚さ方向には、図3に示されるように、この配向膜24の表面の液晶化合物30から、液晶化合物30が積み重ねられた構造を有するのは、上述のとおりである。
光学異方性層26は、面内において、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが、矢印X方向に沿って連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
液晶化合物30の光学軸30Aの向きが矢印X方向(所定の一方向)に連続的に回転しながら変化しているとは、具体的には、矢印X方向に沿って配列されている液晶化合物30の光学軸30Aと、矢印X方向とが成す角度が、矢印X方向の位置によって異なっており、矢印X方向に沿って、光学軸30Aと矢印X方向とが成す角度がθからθ+180°あるいはθ−180°まで、順次、変化していることを意味する。
なお、矢印X方向に互いに隣接する液晶化合物30の光学軸30Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、15°以下であるのがより好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
一方、光学異方性層26を形成する液晶化合物30は、矢印X方向と直交するY方向、すなわち、光学軸30Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸30Aの向きが等しい液晶化合物30が等間隔で配列されている。
言い換えれば、光学異方性層26を形成する液晶化合物30において、Y方向に配列される液晶化合物30同士では、光学軸30Aの向きと矢印X方向とが成す角度が等しい。
このような光学異方性層26の液晶化合物30の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸30Aの向きが連続的に回転して変化する矢印X方向における、液晶化合物30の光学軸30Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。以下の説明では、この1周期の長さΛを、1周期Λともいう。言い換えれば、液晶配向パターンにおける1周期Λは、液晶化合物30の光学軸30Aと矢印X方向とのなす角度がθからθ+180°となるまでの距離により定義される。
すなわち、矢印X方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期Λとする。具体的には、図3に示すように、矢印X方向と光学軸30Aの方向とが一致する2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期Λとする。
本発明の液晶光学素子10において、光学異方性層の液晶配向パターンは、この1周期Λを、矢印X方向すなわち光学軸30Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
上述のように光学異方性層において、Y方向に配列される液晶化合物は、光学軸30Aと矢印X方向(液晶化合物30の光学軸の向きが回転する1方向)とが成す角度が等しい。この光学軸30Aと矢印X方向とが成す角度が等しい液晶化合物30が、Y方向に配置された領域を、領域Rとする。
この場合に、それぞれの領域Rにおける面内レタデーション(Re)の値は、半波長すなわちλ/2であるのが好ましい。これらの面内レタデーションは、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと光学異方性層の厚さとの積により算出される。ここで、光学異方性層における領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Rの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光学軸30Aの方向の液晶化合物30の屈折率と、領域Rの面内において光学軸30Aに垂直な方向の液晶化合物30の屈折率との差に等しい。つまり、上記屈折率差Δnは、液晶化合物の屈折率差に等しい。
このような光学異方性層26に円偏光が入射すると、光は、屈折され、かつ、円偏光の方向が変換される。
この作用を、図5に概念的に示す。なお、光学異方性層26は、液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2であるとする。
図5に示すように、光学異方性層26の液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2の場合に、光学異方性層26に左円偏光である入射光L1が入射すると、入射光L1は、光学異方性層26を通過することにより180°の位相差が与えられて、透過光L2は、右円偏光に変換される。
また、入射光L1は、光学異方性層26を通過する際に、それぞれの液晶化合物30の光学軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸30Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸30Aの向きに応じて、入射光L1の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性層26に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層26を通過した入射光L1には、図5に示すように、それぞれの光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q1が与えられる。これにより、矢印X方向に対して逆の方向に傾いた等位相面E1が形成される。
そのため、透過光L2は、等位相面E1に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光の入射光L1は、入射方向に対して矢印X方向に一定の角度だけ傾いた、右円偏光の透過光L2に変換される。
一方、図6に概念的に示すように、光学異方性層26の液晶化合物の屈折率差と光学異方性層の厚さとの積の値がλ/2のとき、光学異方性層26に右円偏光の入射光L4が入射すると、入射光L4は、光学異方性層26を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光の透過光L5に変換される。
また、入射光L4は、光学異方性層26を通過する際に、それぞれの液晶化合物30の光学軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸30Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸30Aの向きに応じて、入射光L4の絶対位相の変化量が異なる。さらに、光学異方性層26に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、光学異方性層26を通過した入射光L4は、図6に示すように、それぞれの光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2が与えられる。
ここで、入射光L4は、右円偏光であるので、光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2は、左円偏光である入射光L1とは逆になる。その結果、入射光L4では、入射光L1とは逆に矢印X方向に傾斜した等位相面E2が形成される。
そのため、入射光L4は、等位相面E2に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L4の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、入射光L4は、入射方向に対して矢印X方向とは逆の方向に一定の角度だけ傾いた左円偏光の透過光L5に変換される。
光学異方性層26において、複数の領域Rの面内レタデーションの値は、半波長であるのが好ましい。特に、波長がλnmである入射光に対する光学異方性層26の複数の領域Rの面内レタデーションRe(λ)=Δnλ×dが下記式(1)に規定される範囲内であるのが好ましい。ここで、Δnλは、入射光の波長がλnmである場合の、領域Rの屈折率異方性に伴う屈折率差であり、dは、光学異方性層26の厚さである。
0.7×(λ/2)nm≦Δnλ×d≦1.3×(λ/2)nm・・・(1)
すなわち、光学異方性層26の複数の領域Rの面内レタデーションRe(λ)=Δnλ×dが式(1)を満たしていれば、光学異方性層26に入射した光の十分な量の円偏光成分を、矢印X方向に対して順方向または逆方向に傾いた方向に進行する円偏光に変換することができる。
面内レタデーションRe(λ)=Δnλ×dは、0.8×(λ/2)nm≦Δnλ×d≦1.2×(λ/2)nmがより好ましく、0.9×(λ/2)nm≦Δnλ×d≦1.1×(λ/2)nmがさらに好ましい。
また、光学異方性層26における、複数の領域Rの面内レタデーションの値は、上記式(1)の範囲外で用いることもできる。具体的には、Δnλ×d<0.7×(λ/2)nmまたは1.3×(λ/2)<Δnλ×dとすることで、入射光の進行方向と同一の方向に進行する光と、入射光の進行方向とは異なる方向に進行する光に分けることができる。Δnλ×dが0nmまたはλnmに近づくと入射光の進行方向と同一の方向に進行する光の成分は増加し、入射光の進行方向とは異なる方向に進行する光の成分は減少する。
ここで、光学異方性層26に形成された液晶配向パターンの1周期Λを変化させることにより、透過光L2およびL5の屈折の角度を調節できる。具体的には、液晶配向パターンの1周期Λが短いほど、互いに隣接した液晶化合物30を通過した光同士が強く干渉するため、透過光L2およびL5を大きく屈折させることができる。
さらに、矢印X方向に沿って回転する、液晶化合物30の光学軸30Aの回転方向を逆方向にすることにより、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。
光学異方性層26は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物を硬化してなるものであり、棒状液晶化合物の光学軸または円盤状液晶化合物の光学軸が、上述のように配向された液晶配向パターンを有している。
支持体20上に配向膜24を形成し、配向膜24上に液晶組成物を塗布、硬化することにより、液晶組成物の硬化層からなる光学異方性層26を得ることができる。なお、いわゆるλ/2板として機能するのは光学異方性層26であるが、本発明は、支持体20および配向膜24を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
また、光学異方性層26を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
光学異方性層26は、入射光の波長に対して広帯域であるのが好ましく、複屈折率が逆分散となる液晶材料を用いて構成されているのが好ましい。
また、液晶組成物に捩れ成分を付与することにより、および/または、異なる位相差板を積層することにより、入射光の波長に対して光学異方性層を実質的に広帯域にするのも好ましい。例えば、光学異方性層において、捩れ方向が異なる2層の液晶を積層することによって広帯域のパターン化されたλ/2板を実現する方法が特開2014−089476号公報等に示されており、本発明において好ましく使用することができる。
―棒状液晶化合物―
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物を重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、および、特願2001−64627号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報および特開2007−279688号公報に記載のものも好ましく用いることができる。
―円盤状液晶化合物―
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報および特開2010−244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
なお、光学異方性層に円盤状液晶化合物を用いた場合には、光学異方性層において、液晶化合物30は厚さ方向に立ち上がっており、液晶化合物に由来する光学軸30Aは、円盤面に垂直な軸、いわゆる進相軸として定義される(図25参照)。
液晶光学素子10において、光学異方性層26の膜厚には制限はないが、光照射装置100の薄型化の観点から、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。
図2〜図6に示す液晶光学素子は、光学異方性層の液晶配向パターンにおける液晶化合物30の光学軸30Aは、矢印X方向のみに沿って、連続して回転している。
しかしながら、本発明は、これに制限はされず、光学異方性層において、液晶化合物30の光学軸30Aが少なくとも一方向に沿って連続して回転するものであれば、各種の構成が利用可能である。
一例として、図8の平面図に概念的に示すような、液晶配向パターンが例示される。図8に示す液晶配向パターンは、液晶化合物30の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、光学異方性層34が例示される。
言い換えれば、図8に示す光学異方性層34の液晶配向パターンは、液晶化合物30の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向が、光学異方性層34の中心から放射状に設けられた液晶配向パターンである。
なお、図8においても、図4と同様、配向膜の表面の液晶化合物30のみを示すが、光学異方性層34においては、図3に示されるように、この配向膜の表面の液晶化合物30から、液晶化合物30が積み重ねられた構造を有するのは、上述のとおりである。
また、図8では、図面を簡略化するために、液晶化合物30のみを示している。図8に示す例では、液晶化合物30は棒状液晶化合物であり、光学軸の方向は、液晶化合物30の長手方向に一致する。
光学異方性層34では、液晶化合物30の光学軸の向きは、光学異方性層34の中心から外側に向かう多数の方向、例えば、矢印A1で示す方向、矢印A2で示す方向、矢印A3で示す方向、矢印A4で示す方向…に沿って、連続的に回転しながら変化している。
この液晶配向パターンを有する光学異方性層34に入射した円偏光は、液晶化合物30の光学軸の向きが異なる個々の局所的な領域において、それぞれ、絶対位相が変化する。この際に、それぞれの絶対位相の変化量は、円偏光が入射した液晶化合物30の光学軸の向きに応じて異なる。
光学異方性層34において、液晶化合物30の光学軸の回転方向は、全ての方向(一方向)で同じ方向である。図示例では、矢印A1で示す方向、矢印A2で示す方向、矢印A3で示す方向、および、矢印A4で示す方向の全ての方向で、液晶化合物30の光学軸の回転方向は、反時計回りである。
すなわち、矢印A1と矢印A4とを1本の直線と見なすと、この直線上では、光学異方性層34の中心で、液晶化合物30の光学軸の回転方向が逆転する。一例として、矢印A1と矢印A4とが成す直線が、図中右方向(矢印A1方向)に向かうとする。この場合には、液晶化合物30の光学軸は、最初は、光学異方性層34の外方向から中心に向かって時計回りに回転し、光学異方性層34の中心で回転方向が逆転し、その後は、光学異方性層34の中心から外方向に向かって反時計回りに回転する。
上述のように、液晶化合物30の光学軸の向きが、一方向に向かって連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層(液晶光学素子)では、透過する光の屈折方向は、液晶化合物30の光学軸の回転方向に依存する。すなわち、この液晶配向パターンでは、液晶化合物30の光学軸の回転方向が逆の場合には、透過する光の屈折方向は、光学軸が回転する一方向に対して逆方向になる。
従って、このような同心円状の液晶配向パターン、すなわち、放射状に光学軸が連続的に回転して変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層34は、液晶化合物30の光学軸の回転方向および入射する円偏光の旋回方向に応じて、複数の入射光(光ビーム)を、発散または集束して透過できる。
すなわち、光学異方性層の液晶配向パターンを同心円状とすることにより、液晶光学素子10は、例えば、凸レンズまたは凹レンズとして機能を発現する。
ここで、光学異方性層の液晶配向パターンを同心円状として、液晶光学素子を凸レンズとして作用させる場合には、液晶配向パターンにおいて光学軸が180°回転する1周期Λを、光学異方性層34の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、短くするのが好ましい。
上述のように、入射方向に対する光の屈折の角度は、液晶配向パターンにおける1周期Λが短いほど、大きくなる。従って、液晶配向パターンにおける1周期Λを、光学異方性層34の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、短くすることにより、光学異方性層34による光の集束力を、より向上でき、凸レンズとしての性能を、向上できる。
光学異方性層の液晶配向パターンを同心円状として、液晶光学素子を凹レンズとして作用させる場合にも、同様に、液晶配向パターンにおいて光学軸が180°回転する1周期Λを、光学異方性層34の中心から、光学軸が連続的に回転する方向を逆方向に回転させ、1方向の外方向に向かって、漸次、短くするのが好ましい。
上述のように、入射方向に対する光の屈折の角度は、液晶配向パターンにおける1周期Λが短いほど、大きくなる。従って、液晶配向パターンにおける1周期Λを、光学異方性層34の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、短くすることにより、光学異方性層34による光の発散力を、より向上でき、凹レンズとしての性能を、向上できる。
なお、液晶化合物30の光学軸の向きが、一方向に向かって連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する光学異方性層では、光学軸が回転する一方向に対する透過光の屈折方向は、入射する円偏光の旋回方向で逆になる。
従って、同心円状の液晶配向パターンの光学異方性層34を有する液晶光学素子は、入射する円偏光の旋回方向を選択することにより、液晶光学素子を、凸レンズとしても凹レンズとしても作用させることができる。
本発明において、液晶光学素子を凸レンズまたは凹レンズとして作用させる場合には、下記の式を満たすのが好ましい。
Φ(r)=(π/λ)[(r2+f21/2−f]
ここで、rは同心円の中心からの距離で次式r=(x2+y21/2で表わされる。x、yは面内の位置を表し、(x、y)=(0、0)は同心円の中心を表す。Φ(r)は中心からの距離rにおける光学軸の角度、λは波長、fは目的とする焦点距離を表わす。
なお、本発明においては、逆に、同心円状の液晶配向パターンにおける1周期Λを、光学異方性層34の中心から、光学軸が連続的に回転する1方向の外方向に向かって、漸次、長くしてもよい。
さらに、例えば透過光に光量分布を設けたい場合など、液晶光学素子の用途によって、光学軸が連続的に回転する1方向に向かって、1周期Λを、漸次、変更するのではなく、光学軸が連続的に回転する1方向において、部分的に1周期Λが異なる領域を有する構成も利用可能である。
加えて、本発明の液晶光学素子は、1周期Λが全面的に均一な光学異方性層と、1周期Λが異なる領域を有する光学異方性層とを有してもよい。この点に関しては、図4および後述する図10に示すような、一方向のみに光学軸が連続的に回転する構成でも、同様である。
図9に、配向膜24に、このような同心円状の配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
露光装置80は、レーザ82を備えた光源84と、レーザ82からのレーザ光MをS偏光MSとP偏光MPとに分割する偏光ビームスプリッター86と、P偏光MPの光路に配置されたミラー90AおよびS偏光MSの光路に配置されたミラー90Bと、S偏光MSの光路に配置されたレンズ92と、偏光ビームスプリッター94と、λ/4板96とを有する。
偏光ビームスプリッター86で分割されたP偏光MPは、ミラー90Aによって反射されて、偏光ビームスプリッター94に入射する。他方、偏光ビームスプリッター86で分割されたS偏光MSは、ミラー90Bによって反射され、レンズ92によって集光されて偏光ビームスプリッター94に入射する。
P偏光MPおよびS偏光MSは、偏光ビームスプリッター94で合波されて、λ/4板96によって偏光方向に応じた右円偏光および左円偏光となって、支持体20の上の配向膜24に入射する。
ここで、右円偏光と左円偏光の干渉により、配向膜24に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。同心円の内側から外側に向かうにしたがい、左円偏光と右円偏光の交差角が変化するため、内側から外側に向かってピッチが変化する露光パターンが得られる。これにより、配向膜24において、配向状態が周期的に変化する同心円状の配向パターンが得られる。
この露光装置80において、液晶化合物30の光学軸が一方向に沿って連続的に180°回転する液晶配向パターンの1周期Λは、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)レンズ92の焦点距離、および、レンズ92と配向膜24との距離等を変化させることで、制御できる。
また、レンズ92の屈折力(レンズ92のFナンバー)を調節することによって、光学軸が連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変更できる。
具体的には、平行光と干渉させる、レンズ92で広げる光の広がり角によって、光学軸が連続的に回転する一方向において、液晶配向パターンの1周期の長さΛを変えることができる。より具体的には、レンズ92の屈折力を弱くすると、平行光に近づくため、液晶配向パターンの1周期の長さΛは、内側から外側に向かって緩やかに短くなり、Fナンバーは大きくなる。逆に、レンズ92の屈折力を強めると、液晶配向パターンの1周期の長さΛは、内側から外側に向かって急に短くなり、Fナンバーは小さくなる。
このように、光学軸が連続的に回転する1方向において、光学軸が180°回転する1周期Λを変更する構成は、図2〜6に示す、矢印X方向の一方向のみに液晶化合物30の光学軸30Aが連続的に回転して変化する構成でも、利用可能である。
例えば、液晶配向パターンの1周期Λを、矢印X方向に向かって、漸次、短くすることにより、矢印のX方向にのみ集光するように光を透過する液晶光学素子を得ることができる。また、液晶配向パターンにおいて、矢印X方向に向かう光学軸30Aの回転方向を逆にすることにより、矢印X方向にのみ発散するように光を透過する液晶光学素子を得ることができる。
なお、入射する円偏光の旋回方向を逆にすることでも、矢印X方向にのみ発散するように光を透過する液晶光学素子を得ることができる。
さらに、図10に平面図を概念的に示す光学異方性層36のように、矢印X方向の中心を中心線として、線対称に、液晶配向パターンの1周期Λおよび光学軸30Aの回転方向を変更してもよい。なお、図10においても、液晶化合物30は棒状液晶化合物であり、光学軸の方向は、長手方向に一致する。
例えば、矢印X方向の中心から矢印X方向および矢印X方向とは逆方向に向かって、液晶配向パターンの1周期Λを、漸次、短くし、かつ、中心において、矢印X方向に向かう光学軸の回転方向を逆転する。図示例においては、光学軸の回転方向は、矢印X方向に向かって、図中左側から中心までは時計回りで、中心から図中右側では反時計回りである。すなわち、図10に示す例では、光学軸の回転方向は、中心から矢印X方向に向かって、および、中心から矢印X方向と逆方向に向かってでは、共に、反時計回りである。
このような液晶配向パターンを有する光学異方性層36(液晶光学素子)は、矢印X方向の中心線を対称に、複数の入射光を集束または発散するレンズとして機能を発現する。
さらに、例えば透過光に光量分布を設けたい場合など、液晶光学素子の用途によって、矢印X方向に向かって、1周期Λを漸次、変更するのではなく、矢印X方向において、部分的に1周期Λが異なる領域を有する構成も利用可能である。
なお、光学異方性層において、部分的に1周期Λを変更する方法としては、例えば、図7に示す露光装置60および図9に示す露光装置80において部分的に光線の交差角を変更する光学素子を配置する方法、および、集光したレーザー光の偏光方向を任意に変えながら、光配向膜をスキャン露光してパターニングする方法等を利用することができる。
本発明の光照射装置において、液晶光学素子の光学異方性層の液晶配向パターンにおける1周期Λには、制限はなく、光学素子の用途等に応じて、適宜、設定すればよい。
<発光素子>
図11および図12に、光照射装置100に用いられる発光素子110の一例の平面図を概念的に示す。なお、平面図とは、発光素子110を、発光素子110の光の射出方向から見た図である。光照射装置100においては、図4に示す光学異方性層26の平面図と同じ方向から、発光素子を見た図である。
本発明の光照射装置100において、発光素子110は、面内に複数の光射出部112を有するものである。
面内に複数の光射出部112を有する発光素子110を用いることで、発光素子110が射出した光によって、対象物に多数の光のドットによる光学パターン(光線パターン、(光)ドットパターン)を投影することができる。
面内に複数の光射出部112を有する発光素子110の一例として、VCSEL(Vertical-Cavity Surface-emitting Laser、垂直共振器面発光レーザ)が好適に例示される。
VCSELは小型で、低消費電力で、高出力化が可能な光源として知られている。
VCSELは、基板に対して垂直に光を射出するため、基板面内に複数の光射出部を配置することが可能である。
面内に複数の光射出部を有し、射出する光のビーム広がり角が小さい発光素子として、フォトニック結晶レーザも、好適に例示される。
射出する光のビーム広がり角が小さい発光素子を用いることで、分解能の高い光学パターンを投影することができる。
発光素子110の各光射出部112が射出する光のビーム広がり角には、制限はないが、小さい方が好ましい。光射出部112が射出する光のビーム広がり角が小さい方が、上述したように分解能が高い光学パターンを投影できる。光のビーム広がり角は、射出した光の放射強度最大値から放射強度が最大値の半分になる角度(半値全幅角度)である。
発光素子110の各光射出部112が射出する光のビーム広がり角は、20°以下が好ましく、15°以下がより好ましく、10°以下がさらに好ましく、5°以下が特に好ましく、3°以下が最も好ましい。
本発明の光照射装置100においては、図11の平面図に示すように、発光素子110の面内における複数の光射出部112は、規則的に配列されていてもよい。
あるいは、本発明の光照射装置100においては、図12の平面図に示すように、発光素子110の面内における複数の光射出部112は、不規則に配置されていてもよい。光射出部112を不規則に配置することで、投影する光学パターンが不規則になる。その結果、例えば、本発明の光照射装置100を物体の形状認証用のセンサー等に利用する場合に、認証精度が向上され好ましい。
本発明の光照射装置100において、発光素子110が射出する光の波長には制限はなく、可視光でも、非可視光でもよい。射出光が可視光である場合には、青色光でも、緑色光でも、赤色光でも、複数の色成分が混ざった光でもよく、白色光でもよい。また、射出光が非可視光である場合には、赤外線でも紫外線でもよい。
一例として、本発明の光照射装置を、センサー用の光照射装置として用いる場合、光照射装置100の発光素子110が射出する光は、人間が視認しにくい、または視認できない赤外線が好ましい。
本発明の光照射装置100において、発光素子110(光射出部112)が射出する光の偏光状態に制限はないが、射出する光は偏光であるのが好ましい。中でも、液晶光学素子10(光学異方性層26)に入射した光を効率的に配光(屈折(回折))できる観点で、発光素子110が射出する光は円偏光であるのがより好ましい。
発光素子110が射出する光が直線偏光である場合は、図13に概念的に示すように、発光素子110と液晶光学素子10との間に、λ/4板等の位相差板120を配置するのが好ましい。これにより、発光素子110が射出した直線偏光を円偏光に変換して、液晶光学素子10に入射できる。このように、発光素子110が射出する光の偏光状態に応じて、位相差板120の位相差を調節することで、発光素子110から射出した光を円偏光に変換して用いることができる。
本発明の光照射装置においては、液晶光学素子10と位相差板120とを、および/または、位相差板120と発光素子110とを、貼合層によって固定してもよい。上述のとおり、本発明において、貼合層は、貼り合わせの対象となる物同士を貼り合わせられる層であれば、公知の各種の材料からなるものが利用可能である。あるいは、貼合層で貼り合わせるのではなく、液晶光学素子10、位相差板120および発光素子1100の2以上を、枠体および治具等で保持して、本発明の光照射装置を構成してもよい。
本発明の光照射装置において、発光素子110が射出する光の偏光状態が無偏光の場合は、図14に概念的に示すように、発光素子110と位相差板120との間に、さらに、偏光子130を配置してもよい。これにより、発光素子110が射出した光の直線偏光成分のみを位相差板120に入射して、円偏光を液晶光学素子10に入射できる。
本発明の光照射装置においては、液晶光学素子10と位相差板120とを、および/または、位相差板120と偏光子130とを、および/または、偏光子130と発光素子110とを、貼合層によって固定してもよい。上述のとおり、本発明において、貼合層は、貼り合わせの対象となる物同士を貼り合わせられる層であれば、公知の各種の材料からなるものが利用可能である。あるいは、貼合層で貼り合わせるのではなく、液晶光学素子10、位相差板120、偏光子130および発光素子110の2以上を、枠体または治具等で保持して、本発明の光照射装置を構成してもよい。
本発明の光照射装置100は、光学パターンを投影する機能を維持するものであれば、液晶光学素子と発光素子の間に他の光学部材を配置してもよい。
<レンズアレイ>
本発明の光照射装置100は、一例として、図15に概念的に示すように、発光素子110と液晶光学素子10との間に、凸レンズとしてのレンズ機能を有する小領域を、二次元的に配列したレンズアレイ140を配置してもよい。
発光素子110の光射出部112が射出する光は、ある程度のビーム広がり角を有する場合が多い。これに対し、発光素子110と液晶光学素子10との間に、レンズアレイ140を設けることにより、発光素子110から射出された光のビーム広がり角を小さくして、指向性を高くすることができる。好ましくは、液晶光学素子10に入射する光を、平行光(コリメート光)にできる。
上述したように、発光素子110から射出された光のビーム広がり角を小さくすることで、分解能の高い光学パターンを投影できる。
レンズアレイ140としては、一例として、図16に概念的に示すレンズアレイ140のように、凸レンズとしてのレンズ機能を有する小領域142が二次元的に配列したものが例示される。
各小領域142は、離間して配置してもよく、接していてもよい。この点に関しては、図17および図19に示すレンズアレイも、同様である。
レンズアレイ140の小領域142は、レンズ機能を有数ものであれば、各種のものが利用可能である。
例えば、図17に示すレンズアレイ140のように、フライアイレンズのような、円形のレンズの一部形状を小領域142として二次元的に配列してもよい。
本発明の光照射装置100において、レンズアレイ140は、小領域142が、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層である、液晶レンズアレイであってもよい。液晶レンズアレイの小領域142も、上述した液晶配向パターンを有するのが好ましい。
液晶レンズアレイとしては、具体的には、図19に概念的に示すような、上述した図8に示される光学異方性層34と同様の液晶配向パターンを有する小領域142を、二次元的に配列したレンズアレイ140が例示される。すなわち、この液晶レンズアレイの小領域142は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、液晶配向パターンは、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンを有する。上述したように、この同心円状の液晶配向パターンを有する光学異方性層は、凸レンズまたは凹レンズとして作用する。従って、液晶レンズアレイの小領域142は、図8に示した光学異方性層34と同様のレンズ機能を発現する。
レンズアレイ140として液晶レンズアレイを用いることは、本発明の光照射装置100を薄くする観点で好ましい。
本発明の光照射装置100においては、発光素子110の各光射出部112から射出された光のビーム広がり角を小さくする観点で、図18の平面図に概念的に示すように、レンズアレイ140における1つの小領域142は、発光素子110の1つの光射出部112に対応するのが好ましい。すなわち、レンズアレイ140を有する本発明の光照射装置100においては、レンズアレイ140における1つの小領域142の面内に、発光素子110の光射出部112を1つ配置するのが好ましい。
また、ビーム広がり角を小さくする観点で、レンズアレイ140の面方向において、レンズアレイ140の各小領域142の焦点位置と、発光素子110の光射出部112とが、レンズアレイ140の面方向で一致するように、レンズアレイ140の小領域142を配列するの好ましい。レンズアレイ140の面方向とは、発光素子110の面内方向であり、すなわち、光射出部112の配列方向である。
従って、発光素子110の光射出部112が不規則に配置されている場合は、レンズアレイ140の小領域142も不規則に配列されるのが好ましい。
<回折光学素子>
本発明の光照射装置100は、一例として、図20に示すように、発光素子110と、液晶光学素子10と、回折光学素子146とを、この順で有していてもよい。
回折光学素子146は、発光素子110が射出し、液晶光学素子10を透過した射出方向の異なる複数の光からなる光学パターンを、更に広い角度領域に複製して投影するものである。言い換えれば、回折光学素子146は、発光素子110が射出した、複数の光からなる光学パターンにおける、1本の光(1本の光ビーム)を分割することで、光学パターンを複製して配列し、更に広い角度領域に投影できるようにするものである。
光学パターンの複製投影は、光学3次元マッピングとして広く利用されている。
このようなマッピングは、1つの物体の表面の3次元形状をその光学像を処理することにより生成する。投影された光学パターンの所望の特性は一般的にアプリケーションに依存するが、典型的に高コントラスト、高い投影効率、および、光学パターンを構成する光束間の強度分布の高い均一性からなる。
投影方法の均一度が低いと、光学像の処理の精度が落ちるために、均一度を高めることが望ましいことから、回折光学素子が一般によく使用される。
しかし、回折光学素子は、いわゆる0次問題を抱えている。0次光線とは入射光の一部であり、投影により回折せず、従って光学システムを通過して投影空間に到達する光線であり強度が大きい。この0次光線の影響を減らすために、例えば米国特許6,560,019明細書では、第1および第2の格子を有する回折光学素子について記載している。また、米国特許出願公開第2007/0019909号明細書は、回折光学素子および回折光学素子から出力された0次光線が入射しない位置に設けられた第1の表面を有する画像表示装置について記載している。また、特開2014−209237号公報は、複数の回折素子を用いて0次光線の強度を分散して、強度分布の高い均一性を得る方法について記載している。それ以外にも、光学パターンを投影する方法の改良が要望されている。
本発明の光照射装置100では、回折光学素子146は、液晶回折素子を用いて構成するのが好ましい。液晶回折素子は、上述した液晶光学素子10と同様に、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を有する。また、この光学異方性層は、同様に、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有するのが好ましい。
本発明の光照射装置100では、回折光学素子146が、このような液晶回折素子を用いることにより、0次光線および±1次光線の強度を任意に制御することが可能であり、高い強度分布の均一性が得られる。
また、1周期Λが異なる液晶回折素子を重ねることにより、±1次光線の角度を制御できるので、複製投射したパターンが互いに重ならないように、効率的に、広い空間を均一な強度の光で覆うことができる。なお、上述したように、1周期Λとは、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸が180°回転する1周期の長さである。
液晶回折素子は、液晶化合物由来の光学軸が回転する一方向(図2〜図6における矢印X方向)を平行にして重ねてもよく、あるいは、直交させて重ねてもよく、あるいは、斜めに交わるように重ねても良い。すなわち、本発明の光照射装置においては、回折光学素子146は、回折方向が異なる複数の回折素子を有してもよい。
これらの組合せで、3次元空間の広い領域を光学パターンで覆うことができる。
また、本発明において、回折光学素子146が液晶回折素子を有する場合には、回折光学素子146は、液晶回折素子に加え、位相差板を有するのが好ましい。
回折光学素子146が、複数の液晶回折素子を重ねて有する場合には、液晶回折素子の間に、位相差板を有するのが好ましい。また、複数の液晶回折素子を重ねて有する場合には、1つの液晶回折素子に、1つの位相差板を組み合わせて用いるのも好ましい。
位相差板は、回折した円偏光を別の偏光状態に変換する。これにより、位相差板を通過した光が、下流の液晶回折素子に入射するときに、±1次光が同じ強度になるようにすることができる。本発明においては、特に断りが無い場合には、上流および下流とは、発光素子110が射出した光の進行方向における上流および下流である。
位相差板には制限はなく、液晶回折素子の光学異方性に応じて、適宜、選択すればよいが、λ/4板が好ましい。このときには、円偏光が直線偏光に変換されるので、左右偏光の重ね合わせで表現される直線偏光からの液晶回折光の±1次光線が同じ強度にすることができ、光の強度を均一化できる。
上述のように、液晶回折素子は、光学異方性層を有する。光学異方性層においては、液晶配向パターンの1周期Λの長さにより、透過光が屈折する角度を制御できることは上述の通りである。
また、光学異方性層において、液晶配向パターンの1周期Λの長さが異なる領域を有することで、透過光が屈折する角度を面内で変えられることも、上述の通りである。
なお、本発明の光照射装置100において、光を分割する回折光学素子146は、液晶回折素子を用いるものに制限はされない。
すなわち、本発明において、回折光学素子146は、表面レリーフによる回折光学素子、および、回折ホログラムによる回折光学素子等、光学パターンの投影に用いられる公知の回折光学素子(DOE(Diffractive Optical Element))が、各種、利用可能である。また、回折光学素子146は、各種の市販品を用いてもよい。
<光照射装置の作用>
本発明の光照射装置100は、面内に複数の光射出部112を有する発光素子110と、液晶光学素子10と、を有する。
また、液晶光学素子10は、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層26を有する。本発明において、液晶光学素子10の光学異方性層26は、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、かつ、面内で液晶配向パターンにおける1周期Λが異なる領域を有する。1周期Λとは、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物30に由来する光学軸30Aが180°回転する1周期の長さである(図4参照)。
このような本発明の光照射装置100は、装置を薄型化でき、かつ、目的とする物体に対し所望の光学パターンを投影できる。
以下、図21〜図23の概念図を参照して、本発明の光照射装置100の作用を詳細に説明する。
なお、図21〜図23において、光照射装置100を構成する各部材は、光の進行方向に離間して示すが、各部材は、積層して、貼合層等によって固定してもよいのは上述の通りである。
図21に示す光照射装置100は、液晶光学素子10と、発光素子110とを有する。
発光素子110は、面内の異なる位置に配置された複数の光射出部112から、光116を射出する。
発光素子110が射出した光116は液晶光学素子10に入射する。上述のように、液晶光学素子10は、光学異方性層を有する。この光学異方性層は、液晶化合物に由来する光学軸が、少なくとも一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する。上述のように、このような光学異方性層は、入射した円偏光を、光学軸が回転する一方向に向かって屈折して透過させる。従って、液晶光学素子10に入射した光116は、液晶光学素子10面内の入射位置に応じて進行方向を変えて、液晶光学素子10を透過する。
このように、発光素子110の面内の異なる位置から射出された光116を、異なる方向に進行する光に配光することにより、所望の光学パターンを物体に投影することができる。
また、本発明の光照射装置100は、発光素子110に、支持体、配向膜および光学異方性層からなる液晶光学素子10を組み合わせただけの構成であるので、特許文献1および特許文献2に記載されるような、光学パターンを投影する従来の光照射装置に比して、大幅に、装置の薄型化を図ることができる。
上述したように、この液晶配向パターンを有する光学異方性層は、円方向の旋回方向および一方向に向かう光学軸の回転方向によって、光の屈折方向が逆になる。従って、本発明の光照射装置100においては、一例として、図21(a)に示すように、液晶光学素子10を透過した複数の光(光線)116を、外方向に向けて発散してもよいし、図21(b)に一例として示すように、集束してもよい。
また、本発明の光照射装置100において、液晶光学素子10を透過した複数の光は、不規則な方向に進行していてもよい。
本発明の光照射装置100において、液晶光学素子10の光学異方性層は、面内において、液晶配向パターンにおける1周期Λの長さが、異なる領域を有する。上述のように、液晶光学素子10による光の屈折角は、液晶配向パターンにおける1周期Λを短くすることで、大きくできる。
例えば、液晶光学素子10が、図8に示すような同心円状の液晶配向パターンの光学異方性層34を有する場合には、液晶化合物由来の光学軸が回転する一方向(矢印A1方向、矢印A2方向…)において、中心から、外方向に向かって、漸次、1周期Λを短くする。
これにより、液晶光学素子10(光学異方性層34)の面方向において、入射した光116の屈折は、中心部では小さく、中心から外方向に向かって、漸次、大きくなる。すなわち、この構成では、光学異方性層34に入射した光は、中心部では入射方向に近い光路で進行し、周辺部に行くにしたがって、入射方向に対する傾きが大きな光路で進行する。
従って、この場合には、一方向に向かう光学軸の回転方向および入射する円偏光の旋回方向に応じて、液晶光学素子10が、光116を外方向に向かって屈折するようにしておくことで、液晶光学素子10に入射した複数の光(複数の光の光路)を、大きく、外方向に発散させて、光学パターンの投影領域を、広くできる。
本発明の光照射装置100においては、発光素子1102から射出した光を異なる方向に配光して光学パターンを投影する点を考慮すると、液晶光学素子10の光学異方性層は、面内に、液晶配向パターンにおける1周期Λが100μm以下の領域を有するのが好ましく、50μm以下の領域を有するのがより好ましく、30μm以下の領域を有するのがさらに好ましい。
なお、液晶配向パターンの精度等を考慮すると、光学異方性層の液晶配向パターンにおける1周期Λは、0.1μm以上が好ましい。
図22に、本発明の光照射装置の別の例を示す。
図22に示す光照射装置100は、発光素子110と液晶光学素子10との間に、さらに、レンズアレイ140を有する。上述したように、レンズアレイ40は、レンズ機能を有する小領域を、二次元的に配列したものである(図16等参照)。
光照射装置100がレンズアレイ140を備えることにより、発光素子110から射出された光116のビーム広がり角を小さくできる。
発光素子110の面内の異なる位置に配置された複数の光射出部が射出した光116は、レンズアレイ140を透過することで指向性が高い光117となり、その後、液晶光学素子10に入射する。液晶光学素子10に入射した複数の光117は、液晶光学素子10面内の入射位置に応じて進行方向を変えて、液晶光学素子10を透過し、互いに異なる方向に進行する光に配光される。このように、液晶光学素子10に入射する光のビーム広がり角を小さくし、指向性を高めることにより、分解能の高い光学パターンを投影することができる。
図23に、本発明の光照射装置の別の例を示す。
図23に示す光照射装置100は、液晶光学素子10の下流に、さらに、回折光学素子146を有する。上述したように、回折光学素子146は、複数の光からなる光学パターンにおける各光を分割することで、光学パターンを複製して、更に広い角度領域に投影するものである。
図23に示す光照射装置100において、発光素子110の光射出部が射出した光116は、液晶光学素子10に入射して、液晶光学素子10面内の入射位置に応じて進行方向を変えて、液晶光学素子10を透過し、互いに異なる方向に進行する光に配光される。配光された光が回折光学素子146に入射すると、各光が分割されて、すなわち、発光素子110が射出した光116の光学パターンが複製されて、投影される。
本発明の光照射装置100が回折光学素子146を備えることにより、液晶光学素子10を透過した光118(光学パターン)を更に広い角度領域に複製した光119(光学パターン)として投影することができる。
なお、本発明の光照射装置100は、レンズアレイ140および回折光学素子146の一方のみを有する構成に制限はされず、両者を有するものであってもよい。
[光照射装置の第2の態様]
図26に、本発明の第2の態様の光照射装置の一例を概念的に示す。
図26に示す本発明の第2の態様の光照射装置150は、発光素子110と、反射素子170と、液晶光学素子50と、レンズ素子160とを有する。
本発明の第2の態様の光照射装置150において、液晶光学素子50は、上述した液晶光学素子10と同様に、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を有する。
また、液晶光学素子50の光学異方性層も、上述した液晶光学素子10の光学異方性層26と同様の液晶配向パターンを有する。すなわち、液晶光学素子50の光学異方性層も、液晶化合物に由来する光学軸が、少なくとも一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する。さらに、液晶光学素子50の光学異方性層も、液晶配向パターンにおける1周期Λが異なる領域を有する。1周期Λとは、液晶配向パターンにおいて、液晶化合物30に由来する光学軸30Aが180°回転する1周期の長さである(図4参照)。
ここで、上述した本発明の第1の態様の光照射装置100において、液晶光学素子10は、光を透過するものであり、透過する光を屈折させることで、入射した複数の光(複数の光の光路)を発散または集束する。
これに対して、本発明の第2の態様の光照射装置150において、液晶光学素子50の光学異方性層は、コレステリック液晶相を固定してなる、コレステリック液晶層である。従って、光照射装置150の液晶光学素子50は、特定の波長域の特定の旋回方向の円偏光を、選択的に反射する
図30に、光照射装置150の液晶光学素子50の構成を概念的に示す。
液晶光学素子50は、支持体20と、配向膜24と、光学異方性層としてのコレステリック液晶層52とを有する。支持体20および配向膜24は、上述の液晶光学素子10と同様のものである。
<コレステリック液晶層>
コレステリック液晶層52は、厚さ方向に液晶化合物30が螺旋状に旋回して積み重ねられた螺旋構造を有し、液晶化合物30が螺旋状に1回転(360°回転)して積み重ねられた構成を螺旋1ピッチとして、螺旋状に旋回する液晶化合物30が、複数ピッチ、積層された構造を有する。
コレステリック液晶相は、特定の波長において選択反射性を示すことが知られている。選択反射の中心波長(選択反射中心波長)λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、コレステリック液晶相の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、この螺旋構造のピッチを調節することによって、選択反射中心波長を調節することができる。コレステリック液晶相のピッチは、コレステリック液晶層の形成の際、液晶化合物と共に用いるキラル剤の種類、またはその添加濃度に依存するため、これらを調節することによって所望のピッチを得ることができる。
なお、ピッチの調節については富士フイルム研究報告No.50(2005年)p.60−63に詳細な記載がある。螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および、「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
コレステリック液晶相は、特定の波長において左右いずれかの円偏光に対して選択反射性を示す。反射光が右円偏光であるか左円偏光であるかは、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向(センス)による。コレステリック液晶相による円偏光の選択反射は、コレステリック液晶相の螺旋の捩れ方向が右の場合は右円偏光を反射し、螺旋の捩れ方向が左の場合は左円偏光を反射する。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類および/または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相のΔnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、コレステリック液晶層を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。
反射波長領域の半値幅は、例えば光照射装置150の用途に応じて調節され、一例として10〜500nmであればよく、好ましくは20〜300nmであり、より好ましくは30〜100nmである。
コレステリック液晶層52の厚さには、制限はなく、光照射装置150の用途、液晶光学素子50(コレステリック液晶層52)に要求される光の反射率、および、コレステリック液晶層の形成材料等に応じて、必要な光の反射率が得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
コレステリック液晶層52は、図4に示すように、面内において、矢印X方向(所定の一方向)に沿って、液晶化合物30の光学軸が連続的に回転しながら変化する、液晶配向パターンを有する。図30において、液晶化合物30は、棒状液晶化合物であり、光学軸は、液晶化合物30の長手方向に一致する。
コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層は、通常、入射した光(円偏光)を鏡面反射する。
これに対して、上述のような液晶配向パターンを有するコレステリック液晶層52は、入射した光を、鏡面反射に対して矢印X方向に角度を有した方向に反射する。例えば、コレステリック液晶層52は、法線方向から入射した光を、法線方向に反射するのではなく、法線方向に対して矢印Xに傾けて反射する。法線方向から入射した光とは、すなわち正面から入射した光であり、主面に対して垂直に入射した光である。主面とは、コレステリック液晶層52の最大面である。
一例として、右円偏光を選択的に反射するコレステリック液晶層について説明する。
コレステリック液晶層52に入射した右円偏光は、コレステリック液晶層52によって反射される際に、各液晶化合物30の光学軸の向きに応じて絶対位相が変化する。
ここで、コレステリック液晶層52では、液晶化合物30の光学軸が矢印X方向(一方向)に沿って回転しながら変化している。そのため、光学軸の向きによって、入射した右円偏光の絶対位相の変化量が異なる。
さらに、コレステリック液晶層52に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンである。そのため、コレステリック液晶層52に入射した右円偏光には、それぞれの光学軸の向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Qが与えられる。
また、液晶化合物30の光学軸の矢印X方向に対する向きは、矢印X方向と直交するY方向の液晶化合物30の配列では、均一である(図4参照)。
これによりコレステリック液晶層52では、右円偏光に対して、XY面に対して矢印X方向に傾いた等位相面Eが形成される。
そのため、右円偏光は、等位相面Eの法線方向(等位相面Eと直交する方向)に反射され、反射された右円偏光は、XY面(コレステリック液晶層52の主面)に対して矢印X方向に傾いた方向に反射される。
コレステリック液晶層52においても、入射光に対する反射光の角度は、1周期Λによって異なる。具体的には、1周期Λが短いほど、入射光に対する反射光の角度が、鏡面反射に比して大きくなる。
従って、コレステリック液晶層52すなわち液晶光学素子50の光学異方性層が、面内に1周期Λが異なる領域を有することにより、入射した光を、コレステリック液晶層52への入射位置に応じて、異なる角度で反射できる。
コレステリック液晶層52は、一例として、上述した液晶光学素子10の光学異方性層26を形成するための液晶組成物に、キラル剤を添加した液晶組成物を用いて、同様に形成できる。
なお、コレステリック液晶層52を形成する際には、液晶組成物を塗布した後、必要に応じて乾燥および/または加熱され、その後、硬化することで、コレステリック液晶層を形成する。この乾燥および/または加熱の工程で、液晶組成物中の液晶化合物がコレステリック液晶相に配向すればよい。
−−キラル剤(光学活性化合物)−−
キラル剤(カイラル剤)はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル剤は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(twisted nematic)、STN(Super Twisted Nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であるのが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であるのが好ましく、不飽和重合性基であるのがより好ましく、エチレン性不飽和重合性基であるのがさらに好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成することができるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、および、特開2003−313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。
<第2の態様の光照射装置>
上述したように、図26に示す本発明の第2の態様の光照射装置150は、発光素子110と、反射素子170と、液晶光学素子50と、レンズ素子160とを有する。
発光素子110は、面方向に配列された複数の光射出部を有する、上述した発光素子110と同じものである。
反射素子170には、制限はなく、光を鏡面反射(正反射)する公知の光反射部材が利用可能である。一例として、アルミおよび銀などの金属膜を形成した反射素子、ならびに、誘電体多層膜を形成した反射素子等が例示される。
発光素子110が射出した複数の光は、反射素子170によって反射されて、液晶光学素子50に入射する。
上述のように、液晶光学素子50は、コレステリック液晶層52が、液晶化合物に由来する光学軸がX方向に向かって回転する液晶配向パターンを有する。従って、液晶光学素子50は、入射した光を、鏡面反射に対して矢印X方向に傾けて反射する。これにより、液晶光学素子50によって反射された光は、鏡面反射とは異なる方向に配置されたレンズ素子160に、適正に入射できる。すなわち、液晶光学素子50および反射素子170は、発光素子110から射出される光をレンズ素子160に導光する機能を有する。図26に示すように、各素子は間隔を空けて配置してもよい。
ここで、反射素子170から液晶光学素子50への光の入射角度は、液晶光学素子50の位置に応じて異なる。従って、液晶光学素子50への光の入射角度に応じて、適正にレンズ素子160に向かって光を反射できるように、コレステリック液晶層52の面内において、1周期Λが異なる領域を形成する。例えば、コレステリック液晶層52は、矢印X方向に向かって、漸次、1周期Λが長くなるようにする。
レンズ素子160は、入射した複数の光(光ビーム)を、面方向の中心から外方向に向けて発散または集束させるものである。すなわち、レンズ素子160は、光学的には、上述した光照射装置100の液晶光学素子10と同様の作用を発現するものである。
光照射装置150は、レンズ素子160を有することにより、発光素子110の面内の異なる位置から射出された複数の光(複数の光の光路)を、異なる方向に進行する光に配光して発散または集束させて、所望の光学パターンを物体に投影することができる。
従って、レンズ素子160としては、上述した液晶配向パターンの光学異方性層を有する液晶光学素子を用いてもよい。一例として、図8に示すような、液晶化合物30の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状の液晶配向パターンの光学異方性層34を有する液晶光学素子を、レンズ素子160として用いてもよい。レンズ素子160として液晶光学素子を用いることにより、光照射装置を薄型化できる点で好ましい。
なお、レンズ素子160は、液晶光学素子に制限はされず、同様の光学的な作用を発現するものであれば、各種の光学素子が利用可能である。
レンズ素子160としては、一例として、凸レンズおよび凹レンズ等が例示される。
図27に、本発明の光照射装置150の別の例を概念的に示す。
コレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いる光照射装置150は、一例として、図27に示すように、液晶光学素子50、発光素子110、レンズ素子160と複数の反射素子170から構成されていてもよい。
本例においては、発光素子110から射出された光は、図中下方の反射素子170によって反射された後、図中上方の反射素子170によって反射され、その後、同様に、液晶光学素子50に入射して、液晶光学素子50で反射されて、レンズ素子160に入射して、所望の光学パターンを投影できる。
液晶光学素子10および反射素子170は、発光素子110から射出される光をレンズ素子160に導光する機能を有する。図27に示すように、各素子は間隔を空けて配置してもよい。
図28に、本発明の光照射装置150の別の例を概念的に示す。
コレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いる光照射装置150は、一例として、図28に示すように、複数の液晶光学素子50、発光素子110、レンズ素子160を有する構成でもよい。液晶光学素子50は、共に、矢印X方向に向かって、液晶化合物に由来する光学軸が連続して回転する液晶配向パターンを有する。
発光素子110から射出された光は、図中上方の液晶光学素子50に入射する。上述のように、液晶光学素子50は、矢印X方向に向かって、液晶化合物に由来する光学軸が連続して回転する液晶配向パターンを有する。従って、液晶光学素子50によって反射された光は、矢印X方向に傾けて反射され、図中下方の液晶光学素子50に入射する。これ以降は、同様に、光は、図中下方の液晶光学素子50で反射されて、レンズ素子160に入射して、所望の光学パターンを投影できる。
液晶光学素子10は、発光素子110から射出される光をレンズ素子160に導光する機能を有する。図28に示すように、各素子は間隔を空けて配置してもよい。
図26〜図28で示した本発明の光照射装置150は、コレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いるものである。この光照射装置150は、発光素子110から射出された光のビーム広がり角が比較的大きな場合でも、異なる方向に指向性の高い光を配光し、所望の光学パターンを物体に投影することができる。
光のビーム広がり角が比較的大きな場合、発光素子110から射出された光を指向性の高い光にするためには、発光素子110はレンズ素子160の焦点に配置することが好ましい。
また、レンズ素子160から射出する光の指向性を高めるためには、F値(=レンズの焦点距離/有効口径)が大きい、つまり、同一有効口径の場合、焦点距離が長いレンズを用いる方が好ましい。そのため、発光素子110から射出された光を指向性の高い光にするためには、発光素子110とレンズ素子160との間に、ある程度の光路長を設ける必要がある。光を反射する液晶光学素子50を用いる本発明の光照射装置150によれば、光を折り返すように反射させることで、発光素子110とレンズ素子160との間に、十分な光路長を確保できる。
ここで、特許文献2に記載される光学式光ガイド素子では、第1の反射面と平行に配置された第2の反射面で光を反射して、光学式光ガイド素子に入射する光の方向を直交する方向に変換することで薄型化を図っているが、反射面を光の入射方向に対し、約45°の角度で配置するため、薄型化に限界がある。
これに対して、本発明の光照射装置150では、光学軸が一方向に向かって回転する液晶配向パターンを持つコレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いる。このような本発明の光照射装置150では、液晶光学素子50(コレステリック液晶層)によって、正反射方向と異なる方向に光を反射することができる。そのため、本発明の光照射装置150によれば、さらなる薄型化を実現できる。
コレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いる光照射装置150においても、第1の態様の光照射装置100と同様に、回折光学素子146を用いてもよい。
例えば、図29に示すように、図26に示す光照射装置150において、レンズ素子160の下流に回折光学素子146を配置する構成も好ましく用いることができる。
光照射装置150が回折光学素子146を有することにより、レンズ素子160を透過した光166(光学パターン)を更に広い角度領域に複製した光119として投影することができる。
また、コレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いる光照射装置150においても、上述した光照射装置100と同様に、必要に応じて、レンズアレイ140を併用してもよい。
さらに、コレステリック液晶層を有する液晶光学素子50を用いる光照射装置150においても、必要に応じて、図13に示されるように、位相差板120を併用してもよく、図14に示されるように、偏光子130および位相差板120を併用してもよい。
図24に、本発明の光照射装置を用いる本発明のセンサーの一例を概念的に示す。
図24に示すセンサー300は、光学パターンを照射する本発明の光照射装置100と、光学パターンを測光する受光素子200(光学カメラ)と、を有して構成される。
図24に示すセンサー300は、光照射装置100から照射した光学パターンを、物体O(測定対象)に入射して、物体Oによって反射された光を、受光素子200に入射するものである。
センサー300においては、光照射装置100が照射した光学パターンと、受光素子200が受光した光学パターンとの違いから、例えば、物体Oの認証等を行う。
以上、本発明の光照射装置およびセンサーについて詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<液晶光学素子の作製>
(支持体、および、支持体の鹸化処理)
支持体として、市販されているトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム社製、Z−TAC)を用意した。
支持体を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させて、支持体の表面温度を40℃に昇温した。その後、支持体の片面に、バーコーターを用いて下記に示すアルカリ溶液を塗布量14mL(リットル)/m2で塗布し、支持体を110℃に加熱し、さらに、スチーム式遠赤外ヒーター(ノリタケカンパニーリミテド社製)の下を、10秒間搬送した。
続いて、同じくバーコーターを用いて、支持体のアルカリ溶液塗布面に、純水を3mL/m2塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗およびエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンを10秒間搬送して乾燥させ、支持体の表面をアルカリ鹸化処理した。
アルカリ溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.70質量部
水 15.80質量部
イソプロパノール 63.70質量部
界面活性剤
SF−1:C1429O(CH2CH2O)2OH 1.0質量部
プロピレングリコール 14.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(下塗り層の形成)
支持体のアルカリけん化処理面に、下記の下塗り層形成用塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗膜が形成された支持体を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、下塗り層を形成した。
下塗り層形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
下記変性ポリビニルアルコール 2.40質量部
イソプロピルアルコール 1.60質量部
メタノール 36.00質量部
水 60.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2019203357
(配向膜の形成)
下塗り層を形成した支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液を#2のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
配向膜形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向用素材A 1.00質量部
水 16.00質量部
ブトキシエタノール 42.00質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
−光配向用素材A−
Figure 2019203357
(配向膜の露光)
図9に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P−1を形成した。
露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を射出するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm2とした。
(光学異方性層の形成)
光学異方性層を形成する液晶組成物として、下記の組成物A−1を調製した。
組成物A−1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L−1 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX−S)
1.00質量部
レベリング剤T−1 0.08質量部
メチルエチルケトン 313.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶化合物L−1
Figure 2019203357
レベリング剤T−1
Figure 2019203357
光学異方性層は、組成物A−1を配向膜P−1上に多層塗布することにより形成した。多層塗布とは、先ず配向膜の上に1層目の組成物A−1を塗布、加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した後、2層目以降はその液晶固定化層に重ね塗りして塗布を行い、同様に加熱、冷却後に紫外線硬化を行うことを繰り返すことを指す。多層塗布により形成することにより、液晶層の総厚が厚くなった時でも配向膜の配向方向が液晶層の下面から上面にわたって反映される。
先ず1層目は、配向膜P−1上に下記の組成物A−1を塗布して、塗膜をホットプレート上で70℃に加熱し、その後、25℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を100mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。この時の1層目の液晶層の膜厚は0.2μmであった。
2層目以降は、この液晶層に重ね塗りして、上と同じ条件で加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した。このようにして、総厚が所望の膜厚になるまで重ね塗りを繰り返し、光学異方性層を形成して、液晶光学素子を作製した。
なお、光学異方性層のリタ―デーション値『Δnλ×d』は、Axometrix 社のAxoScanを用いて目的の波長で測定し、膜厚は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)を用いて測定した。
光学異方性層は、最終的に液晶のΔn940×厚さ(Re(940))が470nmになり、かつ、図8に示すような同心円状(放射状)の周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。なお、この光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期は、中心部の1周期が328μmで、中心から1.0mmの距離での1周期が27μm、中心から2.0mmの距離での1周期が13.5μmであり、外方向に向かって周期が短くなる液晶配向パターンであった。以下、特に記載が無い場合には、『Δn940×d』等の測定は、同様に行った。
<発光素子の作製>
米国特許出願公開第2010/0118123号明細書を参考に、指向性の高い面光源を作製した。光源には波長は940nmのレーザーダイオードを用いた。
また、黒色のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにアルミを蒸着し、直径30μmの円形の穴を複数あけて、発光素子用のマスクを作製した。
<<λ/4板の作製>>
(配向膜P−10の形成)
下塗り層を形成した支持体上に、下記の配向膜P−10形成用塗布液を#2.4のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜P−10形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を80℃のホットプレート上で5分間乾燥し、配向膜P−10を形成した。
配向膜P−10形成用塗布液
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向用素材 重合体A2 4.35質量部
低分子化合物B2 0.80質量部
架橋剤C1 2.20質量部
化合物D1 0.48質量部
化合物D2 1.15質量部
酢酸ブチル 100.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
((重合体A2の合成))
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン100質量部、メチルイソブチルケトン500質量部、および、トリエチルアミン10質量部を仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100質量部を滴下漏斗より30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃で6時間反応させた。反応終了後、有機相を取り出し、0.2質量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、エポキシ含有ポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。
このエポキシ含有ポリオルガノシロキサンについて、1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にオキシラニル基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このエポキシ含有ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量Mwは2,200、エポキシ当量は186g/モルであった。
次に、100mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ含有ポリオルガノシロキサン10.1質量部、アクリル基含有カルボン酸(東亜合成社製、アロニックスM−5300、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン(重合度n≒2))0.5質量部、酢酸ブチル20質量部、特開2015−26050号公報の合成例1の方法で得られた桂皮酸誘導体1.5質量部、および、テトラブチルアンモニウムブロミド0.3質量部を仕込み、90℃で12時間撹拌した。反応終了後、反応溶液と等量(質量)の酢酸ブチルで希釈し、3回水洗した。
この溶液を濃縮し、酢酸ブチルで希釈する操作を2回繰り返し、最終的に、光配向性基を有するポリオルガノシロキサン(下記重合体A2)を含む溶液を得た。この重合体A2の重量平均分子量Mwは9,000であった。また、1H−NMR分析の結果、重合体A
2中のシンナメート基を有する成分は23.7質量%であった。
−重合体A2−
Figure 2019203357
−低分子化合物B2−
下記式で表される低分子化合物B2(日清オリイオ社、ノムコートTAB)を用いた。
Figure 2019203357
−架橋剤C1−
下記式で表わされる架橋剤C1(ナガセケムテックス社製、デナコールEX411)を用いた。
Figure 2019203357
−化合物D1−
下記式で表わされる化合物D1(川研ファインケミカル社製、アルミキレートA(W))を用いた。
Figure 2019203357
−化合物D2−
下記式で表わされる化合物D2(東洋サイエンス社製、トリフェニルシラノール)を用いた。
Figure 2019203357
(配向膜P−10の露光)
得られた配向膜P−10に偏光紫外線を照射(20mJ/cm2、超高圧水銀ランプ使用)することで、配向膜P−10の露光を行った。
<<光学異方性層(λ/4板)の作製>>
光学異方性層は、組成物A−1を配向膜P−10上に塗布することにより形成した。塗布した塗膜をホットプレート上で70℃に加熱し、その後、25℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を500mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化して、光学異方性層を作製した。
得られた光学異方性層のΔn940×d(Re(940))は235nmであった。
面光源、偏光板、λ/4板、および、発光素子用マスクをこの順で配置し、発光素子を作製した。
発光素子から射出する光のビーム広がり角は1°であった。また、発光素子から射出する光は円偏光であった。
発光素子と液晶光学素子とを積層し、光照射装置を作製した。
[実施例2]
面光源と偏光板との間に拡散板を配置して、発光素子から射出する光のビーム広がり角を4°にした以外は実施例1と同様にして、光照射装置を作製した。
[実施例3]
実施例1と同様にして、液晶光学素子を作製した。
実施例2と同様にして、発光素子を作製した。
<レンズアレイの作製>
図9に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P−3を形成した。
露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を射出するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm2とした。
また、四角形状の開口を有するマスクを用い、開口以外の箇所は露光されないようにして露光を実施した。マスクをずらし、隣接箇所を露光する工程を繰り返し、配向膜P−3の露光を行った。なお、2つのレーザ光の干渉により形成されるパターンの回転ピッチはレンズのfナンバー、レンズ有効口径、焦点距離、レンズと配向膜P−3面間の距離を変化させることによって制御した。
配光膜P−3を用いた以外は実施例1の液晶光学素子と同様にして光学異方性層を作製した。
作製光学異方性層は、最終的に液晶のΔn940×厚さ(Re(940))が470nmになり、かつ、図19に示すような同心円状(放射状)の周期的な配向が面内に複数配置された液晶レンズアレイになっていることを偏光顕微鏡で確認した。
発光素子とレンズアレイと液晶光学素子とを、この順で配置し、光照射装置を作製した。なお、レンズアレイの焦点位置に発光素子の光射出部が配置されるようにした。
[実施例4]
実施例1と同様にして、液晶光学素子を作製した。
実施例1の発光素子作製と同様にして面光源、および、発光素子用マスクを作製した。
面光源、偏光板、発光素子用マスクをこの順で配置し、発光素子を作製した。
発光素子から射出する光のビーム広がり角は1°であった。また、発光素子から射出する光は直線偏光であった。
実施例1と同様にしてλ/4板を作製した。
発光素子とλ/4板と液晶光学素子とを、この順で積層し、光照射装置を作製した。
[実施例5]
実施例1と同様にして、液晶光学素子を作製した。
実施例1の発光素子作製と同様にして面光源、および、発光素子用マスクを作製した。
面光源、発光素子用マスクをこの順で配置し、発光素子を作製した。
発光素子から射出する光のビーム広がり角は1°であった。また、発光素子から射出する光は非偏光であった。
実施例1と同様にしてλ/4板を作製した。
発光素子と偏光板とλ/4板と液晶光学素子とをこの順で積層し、光照射装置を作製した。
[実施例6]
実施例1と同様にして、液晶光学素子および発光素子を作製した。
<光学回折素子の作製>
配向膜を露光する露光装置として、図7に示す露光装置を用いた以外は、配向膜P−1と同様にして配向膜P−7を形成した。なお、2つのレーザ光およびの干渉により形成される配向パターンの1周期(液晶化合物由来の光学軸が180°回転する長さ)は、2つの光の交差角(交差角α)を変化させることによって制御した。
組成物A−1を配向膜P−7上に多層塗布し、所望の膜厚とした以外は、実施例1の液晶光学素子と同様にして、光学異方性層を形成して、液晶回折素子を作製した。
光学異方性層は、最終的に液晶のΔn940×厚さ(Re(940))が287nmになり、かつ、図4に示すような周期的な配向表面になっていることを、偏光顕微鏡で確認した。なお、この光学異方性層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸が180°回転する1周期は、6.5μmであった。
なお、液晶回折素子は第1液晶回折素子と第2液晶回折素子を作製した。
実施例1と同様にして、第1のλ/4板、および、第2のλ/4板を作製した。
作製した液晶回折素子とλ/4板とを、第1のλ/4板、第1液晶回折素子、第2のλ/4板、第2液晶回折素子の順で積層して、液晶回折素子およびλ/4板を有する光学回折素子を作製した。なお、第1液晶回折素子および第2液晶回折素子は、光学異方性層において光学軸が回転する一方向(矢印X方向)を、互いに直交させるようにして配置して積層した。
発光素子、液晶光学素子、作製した光学回折素子を積層し、光照射装置を作製した。なお、光学回折素子は第1のλ/4板側が液晶光学素子側となるようにして積層した。
[実施例7]
<液晶光学素子の作製>
(配向膜の露光)
実施例1の配向膜P−1と同様にして配向膜を形成し、集光したレーザー光の偏光方向を任意に変えながら、光配向膜をスキャン露光してパターニングする露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜P−2を形成した。露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を射出するものを用いた。
(光学異方性層の形成)
コレステリック液晶層を形成する液晶組成物として、下記の組成物C−1を調製した。この組成物C−1は、選択反射中心波長が940nmで、右円偏光を反射するコレステリック液晶層(コレステリック液晶相)を形成する、液晶組成物である。
組成物C−1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
棒状液晶化合物L−1 100.00質量部
重合開始剤(BASF製、Irgacure(登録商標)907)
3.00質量部
光増感剤(日本化薬製、KAYACURE DETX−S)
1.00質量部
キラル剤Ch−1 3.11質量部
レベリング剤T−1 0.08質量部
メチルエチルケトン 977.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
キラル剤Ch−1
Figure 2019203357
コレステリック液晶層は、組成物C−1を配向膜P−2上に多層塗布することにより形成した。
先ず1層目は、配向膜P−2上に組成物C−1を塗布して、塗膜をホットプレート上で95℃に加熱し、その後、25℃に冷却した後、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmの紫外線を100mJ/cm2の照射量で塗膜に照射することにより、液晶化合物の配向を固定化した。この時の1層目の液晶層の膜厚は0.2μmであった。
2層目以降は、この液晶層に重ね塗りして、上と同じ条件で加熱、冷却後に紫外線硬化を行って液晶固定化層を作製した。このようにして、総厚が所望の膜厚になるまで重ね塗りを繰り返し、反射コレステリック液晶層を形成した。
反射層の断面をSEMで確認したところ、反射コレステリック液晶層のコレステリック液晶相は8ピッチであった。
コレステリック液晶層は、液晶配向パターンの1周期が、一方向に向かって、漸次、長くなる、周期的な配向になっていることを偏光顕微鏡で確認した。なお、このコレステリック液晶層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物の光学軸が180°回転する1周期は、1.0〜1.2μmであり、一方に向かって周期が長くなる液晶配向パターンであった。
<発光素子の作製>
面光源と偏光板の間に拡散板を配置して、発光素子から射出する光のビーム広がり角を10°にした以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。
<レンズ素子の作製>
実施例1の液晶光学素子と同様にして、液晶光学素子を作製し、レンズ素子として用いた。
銀をコートしたミラーを反射素子として用い、上記で作製した液晶光学素子、発光素子、レンズ素子を用いて、図27に示す構成の光照射装置を作製した。
[実施例8]
実施例6と同様にして、液晶回折素子およびλ/4板を有する光学回折素子を作製した。
実施例7と同様にして光照射装置を作製し、レンズ素子の下流に光学回折素子を配置して、本実施例の光照射装置を作製した。なお、液晶回折素子は第1のλ/4板側がレンズ素子側となるようにして配置した。
[比較例1]
実施例1の光照射装置において、液晶光学素子を除いた以外は同様にして、光照射装置を作製した。
[光学パターンの評価]
作製した光照射装置から投影された光学パターンを評価した。
光照射装置の法線方向に30cmの距離で配置したスクリーンに、光照射装置で光学パターンを投影し、赤外カメラで撮影した画像を評価した。
比較例1の光照射装置は、発光素子が射出した個々の光が異なる角度に配光されておらず、スクリーンに投影された投影像において、投影範囲が拡大されていないため、拡大投影された多数の光のドットからなる光学パターンが観察できなかった。
これに対して、実施例1の光照射装置では、発光素子が射出した個々の光が異なる角度に配光され、スクリーンに、多数の光のドットからなる光学パターンが投影されている様子が観察された。
実施例2の光照射装置は、実施例1の光照射装置に対して、投影された光学パターンのドットが大きくなり、若干、分解能が低下していた。
実施例3の光照射装置は、実施例2の光照射装置に対して、投影された光学パターンのドットが小さくなり、分解能が向上していた。
実施例4および実施例5の光照射装置は、実施例1の光照射装置と同様の光学パターンが観察された。
実施例6の光照射装置は、実施例1の光照射装置における光学パターンが、スクリーンの水平方向と鉛直方向(9領域)に複写投影されている様子が観察された。
実施例7の光照射装置は、発光素子からの光が異なる角度に配光され、スクリーンに光学パターンが投影されている様子が観察された。
実施例8の光照射装置は、実施例7の光照射装置における光学パターンが、スクリーンの水平方向と鉛直方向(9領域)に複写投影されている様子が観察された。
実施例1〜5の発光素子表面からの光照射装置の厚さは、およそ1.5mmであった。また、実施例7において、図27に示す液晶光学素子50、レンズ素子160および反射素子170からなる構成の最厚部の厚さ(矢印Xと直交する方向)は、およそ1.5mmであった。これらの実施例は、スマートフォン等に搭載される光学パターンを投影する光照射装置(光学回折素子を除く)の厚さ、およそ3mmよりも、薄くなっている。
実施例6の発光素子表面からの光照射装置の厚さは、およそ2mmであった。また、実施例8において、図27に示す液晶光学素子50、レンズ素子160および反射素子170からなる構成に光学回折素子を加えた構成の最厚部の厚さ(矢印Xと直交する方向)はおよそ2mmであった。これらの実施例は、スマートフォン等に搭載される光学パターンを投影する光照射装置(光学回折素子を含む)の厚さ、およそ4mmよりも、薄くなっている。
上述のように、面内に複数の光射出部を有する発光素子と、液晶光学素子と、を有する光照射装置であって、液晶光学素子が、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を備え、光学異方性層は、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、液晶配向パターンにおける1周期の長さが異なる領域を有する本発明の光照射装置は、装置が薄く、かつ、好適に光学パターンを投影できる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
センサーなど、光学パターンを投影する各種の用途に好適に利用可能である。
10,50 液晶光学素子
20 支持体
24 配向膜
26,34 光学異方性層
30 液晶化合物
30A 光学軸
52 コレステリック液晶層
60,80 露光装置
62,82 レーザ
64,84 光源
68 ビームスプリッター
70A,70B,90A,90B ミラー
72A,72B,96 λ/4板
86.94 偏光ビームスプリッター
92 レンズ
100,150 光照射装置
110 発光素子
112 光射出部
116,117,118,119,166 光
120 位相差板
130 偏光子
140 レンズアレイ
142 小領域
146 回折光学素子
160 レンズ素子
170 反射素子
200 受光素子
M レーザ光
MA,MB 光線
MP P偏光
MS S偏光
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
Q,Q1,Q2 絶対位相
E,E1,E2 等位相面
O 物体

Claims (24)

  1. 面内に複数の光射出部を有する発光素子と、
    液晶光学素子と、を有する光照射装置であって、
    前記液晶光学素子は液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成された光学異方性層を有し、
    前記光学異方性層は、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内で180°回転する長さを1周期とした際に、前記液晶配向パターンにおける前記1周期の長さが異なる領域を有する、光照射装置。
  2. 前記液晶配向パターンにおける前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向に向かって、前記液晶配向パターンの前記1周期が、漸次、短くなる、請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記液晶光学素子が、入射した光を屈折して透過させる透過型の光学素子である、請求項1または2に記載の光照射装置。
  4. 前記光学異方性層の前記液晶配向パターンが、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンである、請求項3に記載の光照射装置。
  5. 前記光学異方性層の前記液晶配向パターンにおいて、前記一方向に向かう前記液晶化合物由来の光学軸の向きの回転方向が、全ての前記一方向で同方向である、請求項3または4に記載の光照射装置。
  6. 前記光学異方性層が、コレステリック液晶相を固定してなるコレステリック液晶層である、請求項1または2に記載の光照射装置。
  7. 前記液晶配向パターンにおける前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する方向が、一方向である、請求項6に記載の光照射装置。
  8. 前記発光素子の各光射出部から射出され、前記液晶光学素子のコレステリック液晶層で反射された複数の光を、前記コレステリック液晶層の面方向の中心から外方向に向かって発散させる、または、前記コレステリック液晶層の面方向の中心に集束させる、レンズ素子を有する、請求項6または7に記載の光照射装置。
  9. 前記発光素子と前記液晶光学素子との間に、レンズ機能を有する小領域を二次元的に配列したレンズアレイを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光照射装置。
  10. 前記レンズアレイにおける1つの前記小領域が、前記発光素子の1つの前記光射出部に対応する、請求項9に記載の光照射装置。
  11. 前記レンズアレイの前記小領域が、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成され、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有し、前記液晶配向パターンは、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向を、内側から外側に向かう同心円状に有する、同心円状のパターンであり、
    前記レンズアレイは、前記同心円状のパターンを有する前記小領域を、二次元的に配列した液晶レンズアレイである、請求項9または10に記載の光照射装置。
  12. 前記発光素子と、前記液晶光学素子との間に、位相差板を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の光照射装置。
  13. 前記位相差板がλ/4板である、請求項12に記載の光照射装置。
  14. 光の進行方向の前記位相差板よりも上流に、偏光子を有する、請求項12または13に記載の光照射装置。
  15. 前記発光素子が赤外線を射出する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光照射装置。
  16. 前記発光素子が垂直共振器面発光レーザである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の光照射装置。
  17. 前記発光素子がフォトニック結晶レーザである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の光照射装置。
  18. 前記発光素子の前記光射出部が、ビーム広がり角が3°以内の光を射出する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の光照射装置。
  19. 光の進行方向の前記液晶光学素子よりも下流に、回折光学素子を有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の光照射装置。
  20. 前記回折光学素子が、回折方向が異なる複数の回折素子を有する、請求項19に記載の光照射装置。
  21. 前記回折光学素子が、液晶化合物を含む液晶組成物を用いて形成され、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する液晶回折素子を有する、請求項19または20に記載の光照射装置。
  22. 前記回折光学素子が、前記液晶回折素子と位相差板とを有する、請求項21に記載の光照射装置。
  23. 前記位相差板がλ/4板である、請求項22に記載の光照射装置。
  24. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の光照射装置と、受光素子と、を有するセンサー。
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