JPWO2019188841A1 - 多層樹脂延伸フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、印刷性がより一層優れた多層樹脂延伸フィルムを提供することを目的とする。本発明は、多孔質基材層、溶剤吸収層(厚みY)及び微粒子含有層(厚みX)をこの順に含み、前記多孔質基材層が、オレフィン系樹脂を20〜90質量%、並びに、有機微細粉末及び/又は無機微細粉末を合計で10〜80質量%含み、前記溶剤吸収層が、SP値10以下である溶剤吸収性樹脂を15〜100質量%含み、かつ前記厚みX/前記厚みYで表される比が1.3〜40である多層樹脂延伸フィルムに関する。

Description

本発明は多層樹脂延伸フィルムに関し、より詳細には、オフセット印刷に好適に用いられる多層樹脂延伸フィルムに関する。
通常、オフセット印刷、いわゆるリソグラフは、多色印刷が容易にできるので、紙(天然パルプ抄造紙)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、塗工紙等の印刷に使用されている。
天然パルプ抄造紙に代わって、無機微細粉末を5〜40質量%含有するポリプロピレンの二軸延伸フィルムを基材層とし、この表裏面に無機微細粉末を8〜65質量%含有するポリプロピレンの一軸延伸フィルムを紙状層として形成した合成紙が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1〜4参照)。これら合成紙はポスター用紙、包装紙、ラベル等の素材として有用である
これに対し、特に汎用の乾燥型オフセットインキは、例えば図1及び表1の組成により構成されている。図1に記載されるビヒクルは、印刷インキを構成する成分のうち液体の成分で、顔料を分散させてインキに流動性を与え、印刷機上で、インキ壺から各ローラー、版、ブランケットを経て被印刷面へと円滑に移動させることと、印刷後に固体に変化して、顔料を印刷面に固着させる役割を果たすものである。特に、近年では、印刷速度を向上させるために、オフセットインキの乾燥時間を短縮することが要求されているので、該インキのビヒクルとして乾性油に樹脂と鉱油(高沸点石油系溶剤)を配合した速乾性インキが使用されている。
Figure 2019188841
しかしながら、これら速乾型のオフセットインキを用いて、ポリオレフィンフィルムやポリオレフィンに無機微細粉末を含有させたフィルムの延伸物よりなる合成紙に印刷を施すと、速乾型オフセットインキに用いられているオフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)によってポリオレフィン自体が膨潤されて、印刷したフィルムの表面に部分的に凹凸を生じたり、カールしたりするので、実際に使用するのは困難であった。従って、ポリオレフィンフィルム用のオフセット用インキとして、速乾性を犠牲にした鉱油の配合されていない特殊なオフセットインキが使用されている。
しかし、かかるポリオレフィンフィルム用の特殊なオフセットインキは、乾燥時間が長いことと、印刷所やインキ製造メーカーが限られるため、汎用の酸化重合型(乾燥油型)のオフセットインキを使用することができるポリオレフィンフィルムの出現が望まれていた。
すなわち、一般の印刷会社では、上質紙、コート紙等のパルプ系紙に一般に市販されている速乾性インキを用いてオフセット印刷しているため、上記ポリオレフィンフィルム或いは合成紙を印刷しようとすれば、その時だけ特殊な非吸収性素材用オフセットインキに切り替えて印刷をしなければならなかった。このインキの切り替えには多大な時間と人手がかかることから、一般の印刷会社では合成紙などのポリオレフィン系フィルムの印刷を積極的に行うことはせず、このことがポリオレフィンフィルム或いはポリオレフィン系合成紙のオフセット印刷用への普及を妨げる一つの要因になっていた。
一方、ポリオレフィン系樹脂に非晶性樹脂を添加して多層フィルムの一部に使用する試みが、これまでにもなされている(特許文献5参照)。しかしながら、オフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)が基材層に到達しフィルム全体が膨潤してしまう問題(以下「溶剤アタック」と称する場合がある。)を解決するには至っていなかった。
そこで、汎用の速乾性のオフセットインキを使用してオフセット印刷を施しても表面に凹凸が生じたり、フィルム全体にカールが発生しにくい印刷性に優れた多層樹脂延伸フィルムとして、ポリオレフィン系樹脂40〜90質量%及び無機又は有機微細粉末10〜60質量%を含有する基材層(A)の少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂0〜85質量%及び非晶性樹脂15〜100質量%を含有する表面層(B)を有し、かつ表面層(B)の空孔率が5%以下であることを特徴とする多層樹脂延伸フィルムが提案されている(特許文献6参照)。
米国特許第418950号明細書 日本国特公昭46−40794号公報 日本国特公昭60−36173号公報 日本国特公昭62−35412号公報 日本国特開平8−333466号公報 日本国特許第4063175号公報
これに対し、油性オフセット印刷時に発生する溶剤アタックに対する更なる改善が求められており、本発明では、印刷性(溶剤アタックの防止及びインキ乾燥性)により一層優れた多層樹脂延伸フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、オレフィン系樹脂を含む多孔質基材層と、特定範囲の溶解パラメータ(SP値)を有する溶剤吸収性樹脂を含む溶剤吸収層と、微粒子含有層とを用い、微粒子含有層と溶剤吸収層の厚みの比を特定の範囲内とすることにより、溶剤アタックが改善され、溶剤吸収層を薄くしても、フィルムの凹凸が防止され、さらにはインキ乾燥性にも優れており、印刷性が非常に良好となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の<1>〜<7>を特徴とする。
<1> 多孔質基材層、溶剤吸収層及び微粒子含有層をこの順に含む多層樹脂延伸フィルムであって、
前記多孔質基材層が、オレフィン系樹脂を20〜90質量%、並びに、有機微細粉末及び無機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で10〜80質量%含み、
前記溶剤吸収層が、溶解パラメータ(SP値)が10以下である溶剤吸収性樹脂を15〜100質量%含み、かつ
前記微粒子含有層の厚みX(μm)と前記溶剤吸収層の厚みY(μm)との比(X/Y)が1.3〜40である多層樹脂延伸フィルム。
<2> 前記微粒子含有層の厚みXが1〜20μmであり、前記比(X/Y)が1.3〜30である前記<1>に記載の多層樹脂延伸フィルム。
<3> 前記微粒子含有層が、バインダー成分として、酢酸ビニル系樹脂、エステル系樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む前記<1>又は<2>に記載の多層樹脂延伸フィルム。
<4> 前記溶剤吸収性樹脂が、非晶性プロピレン系共重合体樹脂、環状オレフィン系樹脂、石油樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタアクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む前記<1>〜<3>のいずれか1に記載の多層樹脂延伸フィルム。
<5> 前記溶剤吸収層が、前記溶剤吸収性樹脂として、溶解パラメータ(SP値)が8以下である溶剤吸収性樹脂を15〜80質量%含む前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の多層樹脂延伸フィルム。
<6> 前記多孔質基材層が、前記オレフィン系樹脂としてエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方を合計で20〜50質量%、並びに、前記無機微細粉末及び有機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で50〜80質量%含み、かつ一軸延伸された層である前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の多層樹脂延伸フィルム。
<7> 前記多孔質基材層が、前記オレフィン系樹脂としてエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方を合計で55〜90質量%、並びに、前記無機微細粉末及び有機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で10〜45質量%含み、かつ二軸延伸された層である前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の多層樹脂延伸フィルム。
本発明に係る多層樹脂延伸フィルムによれば、オフセット印刷を施したときにオフセットインキ中のビヒクルによりフィルムが凹凸になることを有効に防ぐことができ、また、インキ乾燥性にも優れる。さらには、従来よりも薄くても、従来と同等かそれ以上の溶剤吸収性を有する。このため、多層樹脂延伸フィルムとして印刷性が極めて優れており、ポスター用紙、包装紙、ラベル等をはじめとする広範な印刷用シートとして非常に有用である。
図1は、オフセット印刷インキの基本組成を示す系統樹である。 図2は、多層樹脂延伸フィルムの構成の一例を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<多層樹脂延伸フィルム>
本発明に係る多層樹脂延伸フィルムは、多孔質基材層、溶剤吸収層及び微粒子含有層をこの順に含み、前記多孔質基材層が、オレフィン系樹脂を20〜90質量%、並びに、有機微細粉末及び無機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で10〜80質量%含み、前記溶剤吸収層が、溶解パラメータ(SP値)が10以下である溶剤吸収性樹脂を15〜100質量%含み、かつ前記微粒子含有層の厚みX(μm)と前記溶剤吸収層の厚みY(μm)との比(X/Y)が1.3〜40であることを特徴とする。
(多孔質基材層)
多孔質基材層はオレフィン系樹脂を20〜90質量%、並びに、無機微細粉末及び有機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で10〜80質量%含む。
オレフィン系樹脂の種類は特に制限されない。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、及びこれらのα−オレフィン2〜5種の共重合体を用いることができる。共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
具体的には密度が0.89〜0.97g/cm、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が1〜10g/10分の分枝ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン;メルトフローレート(230℃,2.16kg荷重)が0.2〜10g/10分のプロピレン単独重合体、(4−メチル−1−ペンテン)単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、プロピレン・エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体などが挙げられる。これらの中でも、エチレンを原料モノマーとして含むエチレン系樹脂及びプロピレンを原料モノマーとして含むプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方を含むことが好ましく、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、高密度ポリエチレンが、安価で成形加工性が良好であるためより好ましい。
オレフィン系樹脂としては、融点(DSC曲線のピーク温度)が130〜210℃であるものがより好ましい。中でも、融点(DSC曲線のピーク温度)が155〜174℃であり、メルトフローレート(JIS K7210:2014年)が0.5〜10g/10分であり、結晶化度が45〜70%であるプロピレン単独重合体を好ましく使用することができる。なお、多孔質基材層には、上記オレフィン系樹脂の中から1種類を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。
多孔質基材層に使用する無機微細粉末及び/又は有機微細粉末は、平均粒径が0.01〜10μmであるものが好ましく、中でも0.05〜8μmであるものがより好ましい。
無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレー、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、珪藻土等を例示することができる。中でも重質炭酸カルシウム、クレー、珪藻土が、安価で延伸時の空孔形成性がよいために好ましい。
有機微細粉末としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、メラミン樹脂、ポリエチレンサルファイト、ポリイミド、ポリエチルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイト等を例示することができる。中でも、使用するオレフィン系樹脂よりも融点が高くて非相溶性の微細粉末が空孔形成の点から好ましい。
多孔質基材層には、上記の微細粉末の中から1種を選択してこれを単独で使用してもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有機微細粉末と無機微細粉末を混合して使用してもよい。
多孔質基材層におけるオレフィン系樹脂と無機微細粉末及び/又は有機微細粉末の配合割合は、オレフィン系樹脂が20〜90質量%であり、無機微細粉末及び/又は有機微細粉末が合計で10〜80質量%である。
多孔質基材層を一軸延伸させた層とする場合には、ポリオレフィン系樹脂がエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方であることが好ましく、エチレン系樹脂及び/又はプロピレン系樹脂の合計の含有量が20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましい。一方、当該合計の含有量は50質量%以下がより好ましい。この時、無機微細粉末及び/又は有機微細粉末は合計で50質量%以上が好ましく、また、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
この際、微粒子含有層を微粒子含有コート層とすることがより好ましいが、微粒子含有層については後述する。
多孔質基材層を二軸延伸させた層とする場合には、ポリオレフィン系樹脂がエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方であることが好ましく、エチレン系樹脂及び/又はプロピレン系樹脂の合計の含有量が55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、65質量%以上がよりさらに好ましい。一方、当該合計の含有量は90質量%以下がより好ましい。この時、無機微細粉末及び/又は有機微細粉末は合計で10質量%以上が好ましく、また、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
この際、微粒子含有層を微粒子含有コート層とすることがより好ましいが、微粒子含有層については後述する。
また、微粒子含有層を微粒子含有コート層とせずに、多孔質基材層を溶剤吸収層及び微粒子含有層と共に、共押出し成形により多層樹脂延伸フィルムを形成する場合には、オレフィン系樹脂の含有量は60〜90質量%が好ましく、65質量%以上がより好ましい。また、無機微細粉末及び/又は有機微細粉末の合計の含有量は10〜40質量%が好ましく、35質量%以下がより好ましい。
多孔質基材層はボイド(孔)を多数含有しているものであるのが好ましい。空孔率は不透明化や軽量化の観点から1%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。一方、延伸成形時の安定性の観点から、空孔率は60%以下が好ましく、55%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましく、40%以下がよりさら好ましい。多孔質基材層の空孔率とは、多層樹脂延伸フィルムの任意の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めた、多孔質基材層の空孔の面積割合を意味する。
このようにボイドを多数有している多孔質基材層を用いれば、多層樹脂延伸フィルムの軽量化にも役立つ。ボイドは延伸によって形成されるが、延伸方法は一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。多孔質基材層の厚みは30μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましい。一方、当該厚みは150μm以下が好ましく、130μm以下がより好ましい。
(溶剤吸収層)
溶剤吸収層は多孔質基材層の片面又は両面に設けられ、例えばオフセット印刷時のオフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)を吸収することで多孔質基材層への当該ビヒクルの到達を防ぎ、多層樹脂延伸フィルム全体の膨潤を抑制するための層である。
溶剤吸収層は、溶解パラメータ(SP値)が10以下である溶剤吸収性樹脂を15〜100質量%含む。溶解パラメータ(SP値)とは、Smallにより提唱された算出方法で計算される値であり、液体のモル蒸発熱をΔH、モル体積をVとするとき、
δ=(ΔH/V)1/2=ρ×(ΣFi)/M
により定義される量δ(cal/cm1/2)を意味する。
式中、ρは密度(g/cm)、Fiはモル吸引力((cal/cm1/2/mol)、Mは繰返し単位分子量(g/mol)をそれぞれ意味する。
なお、Fiで表されるモル吸引力は例えば、−CH;214、−CH−;133、−CH=;28、=C=;−93、−C;735、−Cl;270、=C=O;275である。
溶解パラメータ(SP値)が10以下である溶剤吸収性樹脂の溶剤吸収層における含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。また当該含有量は、99質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
また溶解パラメータ(SP値)は石油系溶剤の吸収性の観点から、9.5以下が好ましく、9以下がより好ましく、8以下がさらに好ましい。またSP値は、6.5以上が好ましく、7以上がより好ましい。
熱可塑性樹脂の溶解パラメータ(SP値)の値は、例えば、非晶性プロピレン系共重合体樹脂(7.6)、環状オレフィン系樹脂(7.2)、石油樹脂(7.0)、ポリスチレン樹脂(8.6〜9.7)、ポリメチルメタアクリレート樹脂(9.2)、ポリエチレン(7.9〜8.1)、結晶性ポリプロピレン樹脂(8.1)、ポリプロピレンの完全結晶部(8.5)、ポリ塩化ビニル(9.6)、ポリカーボネート(9.6〜10)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(10.7)、ナイロン6(11.0)(括弧内の数値はいずれもSP値を意味する。)である。
また、石油系溶剤の溶解パラメータ(SP値)の値は、例えば、n−オクタン(≒ガソリン、6.7)、n−ヘキサン(7.3)、流動パラフィン(7.8)、トルエン・キシレン(8.8)、酢酸エチル(9.0)、ベンゼン(9.2)(括弧内の数値はいずれもSP値を意味する。)である。
これらの中でも、溶剤吸収性樹脂が非晶性プロピレン系共重合体樹脂、環状オレフィン系樹脂、石油樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタアクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましく、環状オレフィン系樹脂、石油樹脂及びポリスチレン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことがより好ましい。これら溶剤吸収性樹脂は1種を用いても、2種以上の混合物を用いてもよい。
また、溶解パラメータ(SP値)が8以下である溶剤吸収性樹脂を合計で15質量%以上含むことも好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、溶解パラメータ(SP値)が8以下である溶剤吸収性樹脂を合計で99質量%以下含むことが好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
溶解パラメータ(SP値)が8以下である溶剤吸収性樹脂と共に、例えば結晶性ポリプロピレン樹脂を1〜85質量%含むことが好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、結晶性ポリプロピレン樹脂は80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば下記式(1)で表される環状オレフィン系モノマーから誘導される開環重合体、該重合体あるいは共重合体の水素化物、及び式(1)で表される環状オレフィン系モノマーとエチレンの付加重合体からなる群から選択されるものであるのが好ましい。このような環状オレフィン系樹脂は、インキ中の鉱油のSP値に近いSP値を有するものであり、鉱油との親和性が高く、その樹脂分子中に鉱油を取り込みやすい一方、体積膨潤はしにくいために、溶剤アタックを抑制しやすい。
Figure 2019188841
一般式(1)において、nは0又は正の整数であり、R〜R12はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子及び炭化水素基からなる群から選択される原子もしくは基を表し、R〜R12は互いに結合して単環又は多環の基を形成していてもよく、かつ、該単環又は多環の基は二重結合を有していてもよく、また、RとR10、又はR11とR12は一緒になってアルキリデン基を形成してもよい。
このような環状オレフィン系モノマーとしては、例えば、日本国特開平2−227424号公報、日本国特開平2−276842号公報、日本国特開平5−97719号公報、日本国特開平7−41550号公報、日本国特開平8−72210号公報などに開示されている公知のモノマーを使用することができる。
具体的には、以下のような環状オレフィン系モノマーを挙げることができる。
例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体、ヘプタシクロ「8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17」−5−ヘンエイコセン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−5−ヘキサコセン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、及びシクロペンタジエン−アセナフチレン付加物などが挙げられる。
より具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、などのビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、などのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体;
ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、1,6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、などのヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘導体;
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、15−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、などのオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン誘導体;
ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、などのペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘導体;
ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、などのヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体あるいはヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体;
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、などのトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン誘導体;
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、などのトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、14,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、などのペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン誘導体;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,10−ペンタデカジエン、などのジエン化合物;ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、メチル置換ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、などのペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体;
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、などのヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体;
ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、トリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン、などのノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導体;
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、11−メチルペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、11−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、10,11−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−5−ヘキサデセン、などのペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体;
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、15−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、トリメチル−ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、などのヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン誘導体;
ノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン、などのノナシクロ[10.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン誘導体;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、トリメチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3−ペンタデセン、ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、トリメチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、テトラメチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.110,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3,7−デカジエン(すなわち、ジシクロペンタジエン)、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(すなわち、5−フェニル−2−ノルボルネン)、5−メチル−5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(α−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、6−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(ビフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(2−ノルボルネン−5−イル)−カルバゾール、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン類;
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−クロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン等の1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン類;
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロジベンゾフラン類;
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール等の1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール類;
1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどの1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン類;
7,10−メタノ−6b,7,10,10a−テトラヒドロフルオランセン類;
シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物にシクロペンタジエンをさらに付加した化合物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、14,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物などが挙げられる。
これらの環状オレフィン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状オレフィンの開環重合体の水素化物は、例えば、日本国特開昭60−26024号公報、日本国特開昭63−218727号公報、日本国特開昭63−23201号公報に記載されているように、金属化合物からなる重合触媒などを用い、環状オレフィンを重合させ、オレフィン化合物の水素化に際して一般的に用いられる重合触媒等を使用して公知の手法で水素化する方法等により得ることができる。
エチレンとのランダム共重合体の製造方法としては、例えば、日本国特開昭60−168708号公報に記載されているように、バナジウム化合物及びハロゲン含有有機アルミニウム化合物からなる触媒を使用し重合する方法等がある。この場合エチレンの分率は40〜90%が望ましい。
石油樹脂としては、ナフサなどの高温熱分解油中に存在する高級不飽和炭化水素化合物、例えば分解油中から必要な留分を採取した残りの留分のうち主にC5またはC9留分、具体的にはブタジエン、ピペリレン、イソプレン、ジシクロペンタジエン、テルペン、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、およびこれらの混合物等を原料とし、酸性触媒により重合させて得られる不飽和炭化水素樹脂、および該不飽和炭化水素樹脂を水素化して得られる飽和炭化水素樹脂が挙げられる。
石油樹脂の類型としては、例えば脂肪族系石油樹脂(C5系石油樹脂)、芳香族系石油樹脂(C9系石油樹脂)、脂肪族/芳香族又は脂肪族/脂環族共重合系石油樹脂(C5系/C9系石油樹脂)、シクロペンタジエン系石油樹脂(DCPD系石油樹脂)、およびこれらを水添した水添系石油樹脂が挙げられる。
これらの中でも、結晶性ポリプロピレン樹脂と併用する場合の相溶性や、多層樹脂延伸フィルムへの柔軟性付与等の観点から、主にC9留分を重合させて得られる芳香族系石油樹脂を更に水素化して得られる脂環族系飽和炭化水素樹脂が好ましい。このような脂環族系飽和炭化水素樹脂の市販品の例としては、荒川化学工業社製の商品名「アルコン」、ヤスハラケミカル社製の商品名「クリアロン」、東燃ゼネラル石油社製の商品名「T−REZ」、出光興産社製の商品名「アイマーブ」、エクソンモービル社製の商品名「オペラ」などを挙げることができる。このような石油樹脂は、インキ中の鉱油のSP値に近いSP値を有するものであり、鉱油との親和性が高く、その樹脂分子中に鉱油を取り込みやすい一方、体積膨潤はしにくいために、溶剤アタックを抑制しやすい。
スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレングラフト−ポリエチレン共重合樹脂、スチレングラフト−ポリプロピレン共重合樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、インキ中の鉱油のSP値により近いSP値を有し、鉱油との親和性が高める目的や、また結晶性ポリプロピレン樹脂と併用する場合の相溶性を高める目的から、スチレンにゴム成分を共重合したハイインパクトポリスチレンや、ポリオレフィンとグラフト重合したスチレングラフト−ポリエチレン共重合樹脂、スチレングラフト−ポリプロピレン共重合樹脂が好ましい。
溶剤吸収層には、溶解パラメータ(SP値)が10以下である溶剤吸収性樹脂の他に、不透明性向上等の観点から、例えば無機微細粉末や有機微細粉末を含有していてもよい。
無機微細粉末及び/又は有機微細粉末を含む場合、溶剤吸収層中に85質量%以下含むことが好ましく、50質量%以下がより好ましく、また、3質量%以上含むことが好ましい。
無機微細粉末及び有機微細粉末はそれぞれ、例えば、前記(多孔質基材層)に記載された無機微細粉末及び有機微細粉末と同様のものを好適に使用することができる。
溶剤吸収層の空孔率は5%以下が好ましく、より好ましくは空孔率は3%以下である。溶剤吸収層の空孔率とは、多層樹脂延伸フィルムの任意の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより求めた、溶剤吸収層の空孔の面積割合をいう。空孔率を5%以下とすることにより、オフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油等の高沸点石油系溶剤)がボイドを通過して多孔質基材層に到達して生じる、溶剤アタックを防ぐことができ、フィルム全体が膨潤することを抑制することができる。
溶剤吸収層の厚みYは、溶剤アタック抑制の点から、0.5μm以上とすることが好ましく、1μm以上がより好ましい。また、過剰に厚いとカールバランスの調整が出来なくなるおそれがあることから、厚みYは10μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましい。
(微粒子含有層)
微粒子含有層は溶剤吸収層上に設けられる層であり、多層樹脂延伸フィルムのオフセット印刷適性をより向上させるための層であり、微粒子含有層の厚みX(μm)と前記溶剤吸収層の厚みY(μm)との比(X/Y)を1.3〜40とする。
前記比を1.3以上とすることにより、微粒子含有層がオフセットインキ中のビヒクル(特に鉱油)を十分吸収し、溶剤吸収層の厚みYを従来より薄くしても、多孔質基材層までビヒクルが到達することなく、溶剤アタックを防ぐことができる。前記比は1.5以上が好ましく、2以上がより好ましい。一方、上記効果を得るためには当該比は40以下であれば十分であり、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。
微粒子含有層の厚みXは1μm以上がインキ乾燥性の点から好ましく、2μm以上がより好ましく、4μm以上が更に好ましい。また、厚みXは20μm以下が微粒子含有層の成形性の点から好ましく、15μm以下がより好ましい。
微粒子含有層はバインダー成分と充填材(ピグメント)とを含むことが好ましい。
バインダー成分としては、酢酸ビニル系樹脂、エステル系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、SBR(スチレン・ブタジエン共重合体ラバー)、MBR(メタクリレート・ブタジエン共重合体ラバー)等のラテックス、アクリル系エマルジョン、澱粉、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、メチルセルロース等が挙げられ、酢酸ビニル系樹脂、エステル系樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましく、屋外耐候性の観点から、酢酸ビニル系樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂の少なくともいずれか一方を含むことがより好ましく、スチレン−アクリル酸系樹脂を含むことがさらに好ましい。また、微粒子含有層はバインダー成分として1種又は2種以上の樹脂を含むことができる。
充填材としては、無機微細粉末や有機微細粉末が挙げられるが、無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、白土、チタンホワイト、シリカ、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、カオリン、クレー、タルク等が挙げられる。
有機微細粉末としては、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、尿素ホルマリン樹脂粒子、中空樹脂粒子等のプラスチックピグメントが挙げられる。
微粒子含有層における充填材の含有量は、バインダー成分100質量部に対して、15質量部以上がインキ速乾性付与の点から好ましく、25質量部以上がより好ましい。また、当該含有量は450質量部以下が顔料脱落防止の点から好ましく、400質量部以下がより好ましい。
微粒子含有層は、前記バインダー成分や充填材の他に、助剤として紫外性吸収剤や、分散剤、架橋剤、帯電防止剤、蛍光増白剤等を含有していてもよい。これらは従来公知のものを使用することができ、本発明の効果を妨げなければ特に限定されない。
分散剤としては、例えばアクリル酸・アクリル酸ソーダ共重合体等の特殊ポリカルボン酸ナトリウム等を挙げることができる。
架橋剤としては、例えばポリアミド尿素系樹脂等を挙げることができる。
助剤の含有量はバインダー成分100質量部に対して合計で1〜50質量部が好ましい。また、分散剤の含有量はバインダー成分100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。
(多層樹脂延伸フィルムの製造方法)
本発明に係る多層樹脂延伸フィルムの製造方法は特に制限されず、いかなる方法により製造されたものであっても、本発明の要件を満たすものである限り本発明の範囲に包含される。
以下に、本発明に係る多層樹脂延伸フィルムの好ましい製造方法について説明する。
本発明の多層樹脂延伸フィルムは、予め多孔質基材層の樹脂組成物を溶融混練し、これをシート状に押し出し、ロール群の周速差を利用して縦方向に4〜7倍延伸する。次いで、この縦延伸フィルムの少なくとも片面に、溶剤吸収層となる樹脂組成物を溶融混練し、これをシート状にラミネートし、横方向にテンターを用い、多孔質基材層のオレフィン系樹脂の融点より5〜35℃低い温度で4〜12倍延伸する。次いで熱処理し、冷却することにより、多孔質基材層及び溶剤吸収層からなるシートを製造することができる。
別の態様として、多孔質基材層用の樹脂組成物と溶剤吸収層となる樹脂組成物を別々に溶融混練し、溶剤吸収層が外側になるようにシート状に共押し出し、ロール群の周速差を利用して非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で縦方向に4〜7倍延伸する。次いで、これを横方向にテンターを用い、多孔質基材層のオレフィン系樹脂の融点より5〜35℃低く、非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で4〜12倍延伸し、ついで熱処理し、冷却することにより、多孔質基材層及び溶剤吸収層からなるシートを製造することもできる。
さらに別の態様として、多孔質基材層用の樹脂組成物と溶剤吸収層となる樹脂組成物を別々に溶融混練し、溶剤吸収層が外側になるようにシート状に共押し出し、ロール群の周速差を利用して非晶性樹脂のガラス転移温度より10℃以上高い温度で縦方向に4〜7倍延伸する。次いで熱処理し、冷却することにより、多孔質基材層及び溶剤吸収層からなるシートを製造することもできる。
上記で得られたシートに対し、溶剤吸収層上に微粒子含有層を塗工により形成することで、微粒子含有コート層が形成された多層樹脂延伸フィルムを形成することができる。
微粒子含有層を微粒子含有コート層とする場合に用いられる塗工剤は、一般に15〜70質量%の固形分濃度である水溶性の塗工剤であり、当該固形分濃度は20質量%以上が液粘度付与の点から好ましく、25質量%以上がより好ましい。また液展開性付与の点から固形分濃度は65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
塗工剤におけるフィラー濃度は、液粘度付与の点から30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。また、フィラー分散性付与の点からフィラー濃度は70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。なお、フィラー濃度とは、水溶性の塗工剤中に含まれる固形成分のうち、無機微細粉末及び有機微細粉末の占める割合を意味する。
塗工剤を多層樹脂延伸フィルムに塗工する手段としては、具体的には、グラビア塗工、メイヤーバー塗工、ロール塗工、ブレード塗工、サイズプレス塗工等の塗工手段を採用することができる。また、ドライ塗工量は一般的には0.1〜20g/m、好ましくは0.5〜15g/mとすることができる。
また、微粒子含有層を塗工による微粒子含有コート層としない場合には、例えば以下の方法により多層樹脂延伸フィルムを製造することができる。
予め多孔質基材層用の樹脂組成物を溶融混練し、これをシート状に押し出し、ロール群の周速差を利用して縦方向に4〜7倍延伸する。次いで、この縦延伸フィルム上に、予め溶剤吸収層用の樹脂組成物及び微粒子含有層用の樹脂組成物を別々に溶融混練し、所望の層構成になるように、シート状にラミネートし、これを横方向にテンターを用い、特定の温度で4〜12倍延伸する。そして熱処理、冷却により多層樹脂延伸フィルムを得ることができる。
上記の他に、多孔質基材層用の樹脂組成物、溶剤吸収層用の樹脂組成物、及び微粒子含有層用の樹脂組成物を別々に溶融混練し、所望の層構成になるようにシート状に共押し出し、ロール群の周速差を利用して特定の温度で縦方向に4〜7倍延伸する。次いで、これを横方向にテンターを用いて特定の温度で4〜12倍延伸し、ついで熱処理し、冷却することにより製造することもできる。
または、多孔質基材層用の樹脂組成物、溶剤吸収層用の樹脂組成物、及び微粒子含有層用の樹脂組成物を別々に溶融混練し、所望の層構成になるようにシート状に共押し出し、ロール群の周速差を利用して特定の温度で縦方向に2〜7倍延伸し、ついで熱処理し、冷却することにより製造することもできる。
多層樹脂延伸フィルムは、ポスターやパンフレット等の商業印刷用の原紙、包装紙用の原紙等の裏地として用いる際に、裏側が透けて見えないことが好ましいという観点から、不透明度(JIS P8149:2000年に準拠して測定)は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
不透明度は、多層樹脂延伸フィルムの各層中の無機微細粉末及び/又は有機微細粉末(フィラー)の濃度、多層樹脂延伸フィルム(又は多孔質基材層や溶剤吸収層)の延伸倍率、延伸温度等により調整することができる。
多層樹脂延伸フィルムにおける白色度(JIS L1015:1999年に準拠して測定)は、印刷された印刷内容の視認性を向上させる観点から、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
多層樹脂延伸フィルムの厚みは35〜300μmが一般的である。本発明では、紙的な風合をさらに付加させるために溶剤吸収層と多孔質基材層との間に、例えば無機微細粉末を8〜55質量%含有するプロピレン系樹脂の層等のその他の層をさらに形成してもよい。さらに、このその他の層には、延伸性を良好とするために少量のプロピレン系共重合体、高密度ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体の低融点樹脂等を含有させることもできる。
多層樹脂延伸フィルムは、多孔質基材層の少なくとも片方の表面に、溶剤吸収層及び微粒子含有層をこの順に有していればよく、例えば図2に示すように、多孔質基材層2の両側の表面に溶剤吸収層3及び微粒子含有層4をこの順に有していてもよい。
さらには、多層樹脂延伸フィルムの微粒子含有層の表面に、オフセット印刷性を向上させるためにコロナ放電処理を施したり、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレンイミン−尿素)、ポリアミンポリアミド等のエチレンイミン付加物、ポリアミンポリアミド等のエピクロルヒドリン付加物、三級ないし四級窒素含有アクリル系樹脂からなる群より選ばれた水溶性のプライマーを塗布してもよい。
以下に実施例、比較例及び試験例を記載して本発明をさらに具体的に説明する。以下の例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
また、表2及び3中「−」とは、その原料を含有しないことを意味する。
(実施例1)
工程(I)
表2に記載のポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)40.0質量部、重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)59.5質量部、及び二酸化チタン粒子(商品名:タイペークCR−60、石原産業社製)0.5質量部を混合した樹脂組成物(1)を調製した。
これとは別に、表2に記載のポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FL4、日本ポリプロ社製)48.5質量部、環状オレフィン樹脂(商品名:アペル 6011T、三井化学社製)48.5質量部、及び重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)3.0質量部を混合した樹脂組成物(4)を調製した。
樹脂組成物(1)及び樹脂組成物(4)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で樹脂組成物(1)の両側の表面に樹脂組成物(4)を有する構造{溶剤吸収層(樹脂組成物(4))/多孔質基材層(樹脂組成物(1))/溶剤吸収層(樹脂組成物(4))}となるように、一台のダイより共押出し、この積層シートを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃まで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に4.8倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルム(一軸延伸)を得た。
工程(II)
高周波電源(機器名:AGF−B10、春日電気社製)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、上記で得られた縦延伸樹脂フィルムをライン処理速度25m/分でギャップ間を通過させながら、印加エネルギー密度1800J/m(30W・分/m)の条件で、同フィルムの両表面にコロナ放電処理を行った。
工程(III)
前記工程(I)及び(II)とは別に、表3に記載の水分散ポリエステル樹脂(商品名:バイロナール MD−1100、東洋紡社製)100質量部、沈殿法シリカ粒子(商品名:ニップシール E−170、東ソー・シリカ社製)25質量部、紫外線吸収剤0.2質量部、分散剤1.0質量部、及び蒸留水60.0質量部によって構成される水溶性の塗工剤(A)を調製した。
そして上記で得られたコロナ放電処理後の縦延伸樹脂フィルムの両表面に、ロールコーターを用いて乾燥後の塗膜の固形分が片面当たり10g/mとなるように塗工し、乾燥固化させて微粒子含有コート層とし、塗工剤(A)(厚さ8μm)/樹脂組成物(4)(厚さ3μm)/樹脂組成物(1)(厚さ278μm)/樹脂組成物(4)(厚さ3μm)/塗工剤(A)(厚さ8μm)の積層構造を有する厚さ300μmの多層樹脂延伸フィルムを得た。
なお、微粒子含有コート層の厚みX=8μm、溶剤吸収層の厚みY=3μmであり、その比X/Yは2.67である。また、坪量に換算すると、塗工剤(A)/樹脂組成物(4)/樹脂組成物(1)/樹脂組成物(4)/塗工剤(A)=10/3/325/3/10(g/m)である。
工程(IV)
得られた多層樹脂延伸フィルムは、多数の微細な空孔を内部に有する白色不透明な合成紙であり、その空孔率は23%、不透明度は96%、白色度は95%であった。また、後述する印刷条件にて同多層樹脂延伸フィルムに対して油性オフセット印刷を行った際には、印刷後のフィルムに凹凸は確認されず、インキ乾燥性も良好であった。
(比較例1)
実施例1において、工程(I)の縦延伸樹脂フィルムを成形する際に、溶剤吸収層である樹脂組成物(4)は使用せずに、多孔質基材層である樹脂組成物(1)のみからなる単層シートに変更し、同単層シートの厚みを284μmに変更したこと以外は、実施例1と同様の手順を行って、比較例1の多層樹脂延伸フィルムを得た。
得られた多層樹脂延伸フィルムに対し、後述する印刷条件で油性オフセット印刷を行った際、印刷インキによる溶剤アタックによって、フィルムには大きな凹凸が生じた。
また、坪量に換算すると、塗工剤(A)/樹脂組成物(1)/塗工剤(A)=10/332/10(g/m)である。
(比較例2)
実施例1において、工程(I)の縦延伸樹脂フィルムを成形する際の樹脂組成物(4)の吐出量、及び工程(III)の微粒子含有コート層を形成する際の水溶性の塗工剤(A)の塗工量を変更し、微粒子含有コート層(塗工剤(A))の厚みXを5μm、溶剤吸収層(樹脂組成物(4))の厚みYを6μmに変更したこと以外は、実施例1と同様の手順を行って、比較例2の多層樹脂延伸フィルムを得た。
なお、微粒子含有コート層の厚みXと溶剤吸収層の厚みYとの比X/Yは0.83である。また、坪量に換算すると、塗工剤(A)/樹脂組成物(4)/樹脂組成物(1)/樹脂組成物(4)/塗工剤(A)=6/6/325/6/6(g/m)である。
得られた多層樹脂延伸フィルムに対し、後述する印刷条件で油性オフセット印刷を行った際、フィルムに凹凸は確認されなかったが、インキの乾燥性がやや劣るものであった。
(実施例2)
工程(I)
表2に記載のポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP MA3、日本ポリプロ社製)80.0質量部、重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)19.5質量部、及び二酸化チタン粒子(商品名:タイペークCR−60、石原産業社製)0.5質量部を混合し樹脂組成物(2)を調製した。
これとは別に、表2に記載のポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FL4、日本ポリプロ社製)40.0質量部、石油樹脂(商品名:アルコンP−140、荒川化学工業社製)15.0質量部、及び重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)45.0質量部を混合した樹脂組成物(5)を調製した。
樹脂組成物(2)及び樹脂組成物(5)を、270℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で樹脂組成物(2)の両側の表面に樹脂組成物(5)を有する構造{溶剤吸収層(樹脂組成物(5))/多孔質基材層(樹脂組成物(2))/溶剤吸収層(樹脂組成物(5))}となるように、一台のダイより共押出し、この積層シートを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを150℃まで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に4.8倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
工程(II)
工程(I)で得られた縦延伸樹脂フィルムを60℃にまで冷却した後、150℃まで再加熱し、テンターを用いてシート幅方向に9倍延伸し、次いで165℃でアニーリング処理した。その後、再び60℃にまで冷却した後、耳部をスリットして、多孔質基材層及び溶剤吸収層が共に二軸延伸された、厚さ114μm(樹脂組成物(5)/樹脂組成物(2)/樹脂組成物(5)=3μm/108μm/3μm)の三層構造である二軸延伸樹脂フィルムを得た。
工程(III)
高周波電源(機器名:AGF−B10、春日電気社製)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、上記で得られた二軸延伸樹脂フィルムをライン処理速度25m/分でギャップ間を通過させながら、印加エネルギー密度1800J/m(30W・分/m)の条件で、同フィルムの両表面にコロナ放電処理を行った。
工程(IV)
前記工程(I)〜(III)とは別に、表3に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(商品名:スミカフレックス 456HQ、住友化学社製)100質量部、沈殿法シリカ粒子(商品名:ニップシール E−170、東ソー・シリカ社製)45質量部、紫外線吸収剤0.2質量部、分散剤1.0質量部、及び蒸留水105.0質量部によって構成される水溶性の塗工剤(B)を調製した。
そして上記で得られたコロナ放電処理後の二軸延伸樹脂フィルムの両表面に、ロールコーターを用いて乾燥後の塗膜の固形分が片面当たり10g/mとなるように塗工し、乾燥固化させて微粒子含有コート層とし、塗工剤(B)(厚さ8μm)/樹脂組成物(5)(厚さ3μm)/樹脂組成物(2)(厚さ108μm)/樹脂組成物(5)(厚さ3μm)/塗工剤(B)(厚さ8μm)の積層構造を有する厚さ130μmの多層樹脂延伸フィルムを得た。
なお、微粒子含有コート層の厚みX=8μm、溶剤吸収層の厚みY=3μmであり、その比X/Yは2.67である。また、坪量に換算すると、塗工剤(B)/樹脂組成物(5)/樹脂組成物(2)/樹脂組成物(5)/塗工剤(B)=10/3/83/3/10(g/m)である。
工程(V)
得られた多層樹脂延伸フィルムは、多数の微細な空孔を内部に有する白色不透明な合成紙であり、その空孔率は33%、不透明度は97%、白色度は97%であった。また、後述する印刷条件にて同多層樹脂延伸フィルムに対して油性オフセット印刷を行った際には、印刷後のフィルムに凹凸は確認されず、インキ乾燥性も良好であった。
(比較例3)
実施例2において、工程(I)の縦延伸樹脂フィルムを成形する際に、樹脂組成物(5)を、表2に記載のSP値が10.7である樹脂組成物(7)に変更した以外は、実施例2と同様の手順を行って、比較例3の多層樹脂延伸フィルムを得た。
得られた多層樹脂延伸フィルムに対し、後述する印刷条件で油性オフセット印刷を行った際、印刷インキによる溶剤アタックによって、フィルムには凹凸が生じた。
また、坪量に換算すると、塗工剤(B)/樹脂組成物(7)/樹脂組成物(2)/樹脂組成物(7)/塗工剤(B)=10/3/83/3/10(g/m)である。
(実施例3)
工程(I)
表2に記載のポリエチレン樹脂(商品名:ノバテックHD HJ360、日本ポリエチレン社製)80.0質量部、重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)19.5質量部、及び二酸化チタン粒子(商品名:タイペークCR−60、石原産業社製)0.5質量部を混合し樹脂組成物(3)を調製した。
これとは別に、表2に記載のポリプロピレン樹脂(商品名:ノバテックPP FL4、日本ポリプロ社製)48.5質量部、ポリスチレン樹脂(商品名:HIPS 475D、PSジャパン社製)48.5質量部、及び重質炭酸カルシウム粒子(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製)3.0質量部を混合した樹脂組成物(6)を調製した。
樹脂組成物(3)及び樹脂組成物(6)を、230℃に設定した別個の押出機でそれぞれ溶融混練し、ダイ内部で樹脂組成物(3)の両側の表面に樹脂組成物(6)を有する構造{溶剤吸収層(樹脂組成物(6))/多孔質基材層(樹脂組成物(3))/溶剤吸収層(樹脂組成物(6))}となるように、一台のダイより共押出し、この積層シートを冷却ロールにより冷却して、無延伸シートを得た。次いで、この無延伸シートを130℃まで再度加熱した後、ロール間の速度差を利用してシート流れ方向に4.8倍の延伸を行って縦延伸樹脂フィルムを得た。
工程(II)
工程(I)で得られた縦延伸樹脂フィルムを60℃にまで冷却した後、130℃まで再加熱し、テンターを用いてシート幅方向に9倍延伸し、次いで140℃でアニーリング処理した。その後、再び60℃にまで冷却した後、耳部をスリットして、多孔質基材層及び溶剤吸収層が共に二軸延伸された、厚さ114μm(樹脂組成物(6)/樹脂組成物(3)/樹脂組成物(6)=3μm/108μm/3μm)の三層構造である二軸延伸樹脂フィルムを得た。
工程(III)
高周波電源(機器名:AGF−B10、春日電気社製)、長さ0.8mのアルミニウム製電極、及びトリーターロールとしてシリコーン被膜ロールを用い、電極とロールとのギャップを5mmとし、上記で得られた二軸延伸樹脂フィルムをライン処理速度25m/分でギャップ間を通過させながら、印加エネルギー密度1800J/m(30W・分/m)の条件で、同フィルムの両表面にコロナ放電処理を行った。
工程(IV)
前記工程(I)〜(III)とは別に、表3に記載のスチレン−アクリル酸ブチル共重合体水性分散液(商品名:アクロナール S305D、BASF社製)100質量部、沈殿法シリカ粒子(商品名:ニップシール E−170、東ソー・シリカ社製)25質量部、紫外線吸収剤0.2質量部、分散剤1.0質量部、及び蒸留水60.0質量部によって構成される水溶性の塗工剤(C)を調製した。
そして上記で得られたコロナ放電処理後の二軸延伸樹脂フィルムの両表面に、ロールコーターを用いて乾燥後の塗膜の固形分が片面当たり10g/mとなるように塗工し、乾燥固化させて微粒子含有コート層とし、塗工剤(C)(厚さ8μm)/樹脂組成物(6)(厚さ3μm)/樹脂組成物(3)(厚さ108μm)/樹脂組成物(6)(厚さ3μm)/塗工剤(C)(厚さ8μm)の積層構造を有する厚さ130μmの多層樹脂延伸フィルムを得た。
なお、微粒子含有コート層の厚みX=8μm、溶剤吸収層の厚みY=3μmであり、その比X/Yは2.67である。また、坪量に換算すると、塗工剤(C)/樹脂組成物(6)/樹脂組成物(3)/樹脂組成物(6)/塗工剤(C)=10/3/83/3/10(g/m)である。
工程(V)
得られた多層樹脂延伸フィルムは、多数の微細な空孔を内部に有する白色不透明な合成紙であり、その空孔率は33%、不透明度は97%、白色度は97%であった。また、後述する印刷条件にて同多層樹脂延伸フィルムに対して油性オフセット印刷を行った際には、印刷後のフィルムに凹凸は確認されず、インキ乾燥性も良好であった。
Figure 2019188841
Figure 2019188841
<測定条件及び評価方法>
(厚み)
多層樹脂延伸フィルム全体の厚み(μm)は、JIS K7130:1999年「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」に基づき、定圧厚さ測定器(機器名:PG−01J、テクロック社製)を用いて測定した。
また、多層樹脂延伸フィルムにおける微粒子含有層の厚みX(μm)、溶剤吸収層の厚みY(μm)、及び多孔質基材層の厚み(μm)は、多層樹脂延伸フィルムを液体窒素にて−60℃以下の温度に冷却し、ガラス板上に置いた試料に対してカミソリ刃(商品名:プロラインブレード、シック・ジャパン社製)を直角に当てて切断して断面測定用の試料を作製し、得られた試料を走査型電子顕微鏡(機器名:JSM−6490、日本電子社製)を用いて断面観察を行い、組成外観から各層の境界線を判別して、全体の厚みと観察される層厚み比率を乗算して求めた。
(空孔率)
多孔質基材層(又は微粒子含有層)の空孔率は、電子顕微鏡で観察した多層樹脂延伸フィルムの任意の断面中の多孔質基材層(又は微粒子含有層)の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。
具体的には、測定対象の多層樹脂延伸フィルムの任意の一部を切り取り、エポキシ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて測定対象の多層樹脂延伸フィルムの面方向に垂直に切断し、その切断面が観察面となるように観察試料台に貼り付ける。観察面に金又は金−パラジウム等を蒸着し、走査型電子顕微鏡にて観察しやすい任意の倍率(例えば、500倍〜3000倍の拡大倍率)において多層樹脂延伸フィルムの切断面を観察し、観察した領域を画像データとして取り込む。得られた画像データは画像解析装置にて画像処理を行い、シートの一定領域における空孔部分の面積率(%)を求めて、空孔率(%)とする。このように、任意の10箇所以上の観察における測定値を平均して、多孔質基材層(又は微粒子含有層)の空孔率とすることができる。結果を表4に示す。
(不透明度)
多層樹脂延伸フィルムの不透明度は、JIS P8149:2000年に準拠し、測定背面に、黒色及び白色標準板を当て、光の反射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値として求めることができる。結果を表4に示す。
(白色度)
多層樹脂延伸フィルムの白色度は、JIS L1015:1999年に規定される方法に準拠し、カラーメーターを用いて測定することにより求めることができる。カラーメーターとしては、スガ試験機社製のタッチパネル式カラーコンピューター SM−Tを用いることができる。結果を表4に示す。
(印刷条件及び評価方法)
得られた多層樹脂延伸フィルムの両表面に、以下の方法で油性オフセット印刷を施して、得られた印刷物を以下の方法、及び判定基準により、溶剤アタック評価及びインキ乾燥性評価を行った。
(I)油性オフセット印刷
菊四截寸延び4色オフセット印刷機(機器名:Ryobi524GX、リョービMHIグラフィックテクノロジー社製)、及び油性オフセットインキ(商品名:Fusion−G MK墨、藍、紅、透明黄、DIC社製)を用いて、各実施例及び比較例により得られた多層樹脂延伸フィルムに対して油性オフセット印刷を行った。
印刷条件として、PS版(商品名:XP−F、富士フィルム社製)、ブランケット(商品名:D−3000、T&K TOKA社製)、パウダー(商品名:ニッカリコ AS−100S、ニッカ社製)、湿し水(H液(商品名:アストロマーク3、日研化学研究所製)1.0%及びイソプロピルアルコール(IPA)5.0%添加、水温10℃)を用いた。
また、印刷室内の温度を20〜25℃に、相対湿度を40〜60%に調整し、印刷する絵柄は先刷り用として文字、図形、写真画像及び空白部を含む絵柄を用い、後刷り用としてベタ画像及び平網画像を含む絵柄を用い、色順を墨、藍、紅、黄の順とし、印刷速度は8000枚/hrとした。
各色の転移量が1.5g/mとなるように1000枚連続印刷し、この印刷物を棒積み状態で放置した。
(II)溶剤アタック評価(実機印刷による凹凸評価)
前記(I)の油性オフセット印刷の後24時間放置し、得られた印刷物のインキが乾燥した後に、棒積みの中から印刷サンプルを任意に一枚抜出し、ベタ画像が印刷されている部分に溶剤アタックによる凹凸の有無を目視で評価し、下記の評価基準で判定した。結果を表4に示す。
4(良好):凹凸が認められない
3(可):凹凸が認められるが問題とならない
2(不可):凹凸が認められ問題となる
1(不可):凹凸が顕著に発生している
(III)インキ乾燥性評価
前記(I)の油性オフセット印刷の後、得られた棒積みの中から、1時間毎に印刷サンプルを任意に一枚抜出し、ベタ画像部のインキの乾燥状態を確認した。インキ乾燥性は下記の判定基準で判定した。結果を表4に示す。
4(良好):非常に乾燥が速い(5時間以内で乾燥)
3(可):乾燥が速く、問題とならない(5時間超24時間以内で乾燥)
2(不可):乾燥がやや遅く問題となる(24時間超48時間以内で乾燥)
1(不可):乾燥が非常に遅い(48時間でも乾燥しない)
Figure 2019188841
以上の結果から、本発明に係る多層樹脂延伸フィルムは、白色度及び不透明度が高く、オフセット印刷時の印刷用紙として使用した際に、溶剤アタックを防止することができ、さらにはインキ乾燥性にも優れていることが分かった。
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2018年3月29日出願の日本特許出願(特願2018−065535)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明に係る多層樹脂延伸フィルムは、オフセット印刷したときに、オフセットインキ中のビヒクルによりフィルムが凹凸になるのを防止でき、さらにはインキ乾燥性にも優れる。このため、ポスター用紙、包装紙、ラベル等の素材として非常に有用である。
1 多層樹脂延伸フィルム
2 多孔質基材層
3 溶剤吸収層
4 微粒子含有層

Claims (7)

  1. 多孔質基材層、溶剤吸収層及び微粒子含有層をこの順に含む多層樹脂延伸フィルムであって、
    前記多孔質基材層が、オレフィン系樹脂を20〜90質量%、並びに、無機微細粉末及び有機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で10〜80質量%含み、
    前記溶剤吸収層が、溶解パラメータ(SP値)が10以下である溶剤吸収性樹脂を15〜100質量%含み、かつ
    前記微粒子含有層の厚みX(μm)と前記溶剤吸収層の厚みY(μm)との比(X/Y)が1.3〜40である多層樹脂延伸フィルム。
  2. 前記微粒子含有層の厚みXが1〜20μmであり、前記比(X/Y)が1.3〜30である請求項1に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  3. 前記微粒子含有層が、バインダー成分として、酢酸ビニル系樹脂、エステル系樹脂及びスチレン−アクリル酸系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む請求項1又は2に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  4. 前記溶剤吸収性樹脂が、非晶性プロピレン系共重合体樹脂、環状オレフィン系樹脂、石油樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタアクリレート樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  5. 前記溶剤吸収層が、前記溶剤吸収性樹脂として、溶解パラメータ(SP値)が8以下である溶剤吸収性樹脂を15〜80質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  6. 前記多孔質基材層が、前記オレフィン系樹脂としてエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方を合計で20〜50質量%、並びに、前記無機微細粉末及び有機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で50〜80質量%含み、かつ一軸延伸された層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。
  7. 前記多孔質基材層が、前記オレフィン系樹脂としてエチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の少なくともいずれか一方を合計で55〜90質量%、並びに、前記無機微細粉末及び有機微細粉末の少なくともいずれか一方を合計で10〜45質量%含み、かつ二軸延伸された層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層樹脂延伸フィルム。
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