JPWO2019106940A1 - 3dパラメータ推定装置、3dパラメータ推定プログラム及び3dパラメータ推定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、前記2D測定の実測値から前記3Dパラメータを正しく予測することには、困難性を伴う。
例えば、1つの粒子の断面は、図1(a)に示すように切断位置によって様々な形となる。したがって、前記2D測定の測定値がバラつきを持つ頻度分布で表され、前記3Dパラメータの真値を1つに定めることが困難な状況となる。また、多数の粒子からなる粒子群を対象として、前記粒子の前記3Dパラメータの真値の頻度分布を取得しようとすると、図1(b)に示すように、図1(a)に示した個々の前記粒子における前記2D測定の測定値のバラつきが複合的に作用するため、前記2D測定の測定値から前記3Dパラメータの真値の頻度分布を1つに定めることが困難な状況となる。
なお、図1(a)は、1つの粒子を対象として、2D測定の測定値から3Dパラメータの真値を1つに定めることが困難な状況となることを説明するための説明図であり、図1(b)は、粒子群を対象として、2D測定の測定値から3Dパラメータの真値の頻度分布を1つに定めることが困難な状況となることを説明するための説明図である。また、これらの図中に示すグラフは、縦軸が頻度を表し、横軸が体積、面積等の指標を表している。
また、この変換表を用いた提案について、前記球形粒子に代えて、全粒子が均一な回転楕円体形状を持つ粒子群を対象とした改良手法も提案されている(非特許文献2参照)。この改良手法では、粒子の形状が均一(回転楕円体)でサイズが分布を持つ粒子群を対象とした前記3Dサイズ分布の推定が行われる。
また、アスペクト比(長軸長と短軸長の比)が異なる回転楕円体形状を持ち、サイズが分布を持つ粒子群を対象として、幾何学的に計算した2D断面のアスペクト比分布及び長軸長と3Dのアスペクト比及び長軸長の関係式を用いて、計測した2D断面のアスペクト比分布及び長軸長から3Dのアスペクト比及び長軸長を推定する手法が提案されている(非特許文献3参照)。この提案では、粒子の形状が規則的な回転楕円体形状が被推定対象とされる。
また、2Dの粒子断面形状をフーリエ級数を用いた形状指標でフィッティングして、前記形状指標を基に3Dのモデル粒子を作成することで3D形状を推定する手法が提案されている(非特許文献4参照)。この3D形状の推定手法では、前記粒子の形状及びサイズが均一で、粒子断面が前記粒子の中心点を通る断面であることを前提として、前記3D形状の推定が行われる。
しかしながら、前記3Dパラメータの推定は、様々な場面で求められ、このような前提を満たす場面は、むしろ希であるといえ、多くの場面において、前記粒子の前記3Dパラメータを推定することができない問題がある。加えて、推定される前記3Dパラメータも特定の指標に限られ、ユーザが求めに応じて、任意に選択することができない問題がある。
形状(及びサイズ)が不均一である歪な粒子を含む、あらゆる離散体を対象とすることができ、前記2Dパラメータも取扱い易い指標を選択して特定可能で、かつ、任意の前記3Dパラメータを選択して推定可能であれば、ユーザにとって最良の3Dパラメータ推定ツールとなり得る。
<1> 1つの離散体の2次元的特徴を指標する2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度情報に基づく登録2D頻度情報と前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの前記離散体の3次元的特徴を指標する3Dパラメータの値情報を持つ登録3Dパラメータ情報とで一対の変換情報をなす2D−3D変換情報の群が記憶される2D−3D変換情報データベースと、1つ又は複数の前記離散体を被推定対象とし、前記被推定対象について測定された前記2Dパラメータの測定値の情報が前記クラス毎の頻度の形式で表された入力頻度情報を入力として、同種類の前記2Dパラメータについて前記入力頻度情報と前記登録2D頻度情報に基づく対比情報との差分を評価することで、前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付け、関連付けられた前記2D−3D変換情報の前記登録3Dパラメータ情報に基づき前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定可能とされる3Dパラメータ推定手段と、を有することを特徴とする3Dパラメータ推定装置。
<2> 入力頻度情報が、複数の離散体を被推定対象の集合体とし、2Dパラメータの各測定値に応じて前記各離散体をクラス分けしたときの前記集合体における前記離散体の前記クラス毎の存在割合に基づく集合体頻度情報とされ、対比情報が、前記集合体頻度情報と同種類の前記2Dパラメータについて個々の2D−3D変換情報が持つ登録2D頻度情報を複数の前記2D−3D変換情報を対象として積算した推定頻度情報に基づく情報とされる前記<1>に記載の3Dパラメータ推定装置。
<3> 3Dパラメータ推定手段が、集合体を構成する離散体の頻度情報と対応する登録2D頻度情報を持つ前記2D−3D変換情報が2D−3D変換情報データベース中に存在する存在割合を評価する前記2D−3D変換情報毎の評価値に基づいて入力頻度情報と対比情報との差分を評価する目的関数を用い、前記目的関数の値が最大又は最小となる条件での前記評価値を最適値として前記目的関数を解き、前記最適値を前記集合体に対して前記2D−3D変換情報が適用される適用割合として、前記適用割合に応じて前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付けるように構成とされる前記<2>に記載の3Dパラメータ推定装置。
<4> 2D−3D変換情報データベースが、離散体に基づき作成される2D−3D変換情報の一次群と、前記離散体と相似形で大きさが異なるとともに、1つの前記離散体に対し複数設定される前記離散体のサイズ変更体に基づき作成される前記2D−3D変換情報の2次群とを記録して構成され、3Dパラメータ推定手段が、前記一次群を対象として目的関数を解くことで最適値を与える暫定解としての一次解を算出する一次解算出処理と、前記一次解に基づき、前記二次群を対象として前記目的関数を解くことで前記最適値を与える最適解としての二次解を算出する二次解算出処理とを実行可能とされる前記<3>に記載の3Dパラメータ装置。
<5> 目的関数の最適解が遺伝アルゴリズム解析により算出可能とされる前記<3>から<4>のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置。
<6> 1つの2D−3D変換情報が、種類の異なる2Dパラメータに基づく複数の登録2D頻度情報を有し、3Dパラメータ推定手段が、複数の前記登録2D頻度情報のうち入力頻度情報と同種類の前記2Dパラメータに基づく前記登録2D頻度情報を対象として、被推定対象の3Dパラメータを推定可能とされる前記<1>から<5>のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置。
<7> 1つの2D−3D変換情報が、種類の異なる3Dパラメータに基づく複数の登録3Dパラメータ情報を有し、3Dパラメータ推定手段が、前記2D−3D変換情報が有する複数の前記登録3Dパラメータ情報と同種類の被推定対象の前記3Dパラメータを同時に推定可能とされる前記<1>から<6>のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置。
<8> コンピュータを前記<1>から<7>のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置として機能させることを特徴とする3Dパラメータ推定プログラム。
<9> 1つの離散体の2次元的特徴を指標する2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度情報に基づく登録2D頻度情報と前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの前記離散体の3次元的特徴を指標する3Dパラメータの値情報を持つ登録3Dパラメータ情報とで一対の変換情報をなす2D−3D変換情報の群が記憶される2D−3D変換情報データベースに対し、1つ又は複数の前記離散体を被推定対象とし、前記被推定対象について測定された前記2Dパラメータの測定値の情報が前記クラス毎の頻度の形式で表された入力頻度情報を入力として、同種類の前記2Dパラメータについて前記入力頻度情報と前記登録2D頻度情報に基づく対比情報との差分を評価することで、前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付け、関連付けられた前記2D−3D変換情報の前記登録3Dパラメータ情報に基づき前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定する3Dパラメータ推定工程を実施することを特徴とする3Dパラメータ推定方法。
本発明の3Dパラメータ推定装置の構成例を図2に基づき説明する。なお、図2は、3Dパラメータ推定装置の構成例を示すブロック図である。
具体的には、演算部4では、入力部2から入力されるデータや指示に基づき、記憶部3から所定のプログラムを読出し、処理を実行する。また、演算部4では、処理結果を記憶部3に保存させるとともに出力部5に出力させる。
2D−3D変換情報データベース31は、1つの離散体の2次元的特徴を指標する2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度情報に基づく登録2D頻度情報と前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの前記離散体の3次元的特徴を指標する3Dパラメータの値情報を持つ登録3Dパラメータ情報とで一対の変換情報をなす2D−3D変換情報の群が記憶されて構成される。
前記2Dパラメータ及び前記3Dパラメータの選択肢としては、様々なものがあるため、以下では、一部の例示として、形状に関する単一物理量の大きさにより与えられる指標、軸長比により与えられる指標、形状を基準として与えられる指標、フラクタル次元の算出により与えられる指標、前記フーリエ係数又は前記フーリエ係数を用いた指標及びその他の指標についての説明を行う。
等面積円径として、前記離散体の断面又は投影図(以下、単に「断面等」)の面積と等しい円の直径が挙げられる。前記離散体の形状が円以外の形状に近い場合は、円に代えて楕円、長方形、多角形等を用い、それぞれの代表長さとすることもできる。
Feret径として、前記断面等を挟む2つの平行な直線間の距離が挙げられる。最大のFeret径を長軸、長軸と直交するFeret径を短軸とする。各軸の長さをそれぞれ長軸長(a)、短軸長(c)とする。
慣性行列の固有値として、前記断面等のデジタルデータを解析する際に主に用いられ、前記断面等に僅かな厚みを与えた3次元データについて、前記離散体の2次中心モーメントによって構成される慣性行列の1番目及び2番目に大きい固有値をそれぞれ、長軸長(a’)、短軸長(c’)とするものが挙げられる。
前記断面等の面積が挙げられる。
等体積球径として、前記離散体の体積と等しい球の直径が挙げられる。前記離散体の形状が球以外の形状に近い場合は、球に代えて、楕円体、直方体、多角形体、円筒体等を用い、それぞれの代表長さとすることもできる。
Calliper径として、前記離散体を挟む2つの平行な平面間の距離が挙げられる。最大のCalliper径を長軸、長軸と直交する中で最小のCalliper径を短軸、長軸及び短軸と直交する軸を中軸とする。各軸の長さをそれぞれ、長軸長(a)、中軸長(b)、短軸長(c)とする。
慣性行列の固有値が挙げられる。この指標は、前記離散体のデジタルデータを解析する際に主に用いられ、前記離散体の2次中心モーメントによって構成される慣性行列の1番目、2番目及び3番目に大きい固有値をそれぞれ、長軸長(a’)、中軸長(b’)、短軸長(c’)とする。
表面積が挙げられる。
体積が挙げられる。
なお、以下の指標では、先のa,b,cをa’,b’,c’と置き換えて表すこと、逆に、先のa’,b’,c’をa,b,cと置き換えて表すこともできる。
長軸長/短軸長比として、a/cが挙げられる。
異方性指標として、a/cの正の平方根が挙げられる。
長軸長/短軸長比として、a/cが挙げられる。
長軸長/中軸長比として、a/bが挙げられる。
中軸長/短軸長比として、b/cが挙げられる。
Ziggの指標として、ac/b2が挙げられる。
体積空間充足率として、abc/Vが挙げられる。ただし、Vは、前記離散体の体積を示す。
Schulzの指標として、na2b−100が挙げられる。ただし、nは、100/Vを示す。
円形度(1)として、Lc/Lが挙げられる。ただし、Lcは、πDHを示し、DHは、4Aπの正の正方根を示し、Aは、前記離散体の前記断面等の面積を示し、Lは、前記離散体の周長を示す。
円形度(2)として、DR −/DLが挙げられる。ただし、DR −は、∫DR(θ)dθ/πを示し、DR(θ)は、前記離散体の二次元像輪郭を像の重心等を原点として極座標表示したときの前記離散体の直径を示し、θは、前記二次元像輪郭を像の重心等を原点として極座標表示したときの前記直径の角度を示し、DLは、L/πを示す。
円形度(3)として、DR −/DHが挙げられる。
円形度(4)として、DF −/DHが挙げられる。ただし、DF −は、∫DF(θ)dθ/πを示し、DFは、aと同義である。
円形度(5)として、DR −/DFが挙げられる。
表面指数として、a/φHL 2が挙げられる。ただし、φHLは、前記円形度(1)として、Lc/Lと同義である。
円形度(6)として、DR(θmax)/DR(θmax+π/2)が挙げられる。ただし、θmaxは、DR(θ)が最大となるときのθを示す。
丸み度として、Σρ/NRmaxが挙げられる。ただし、ρは、前記離散体の輪郭を円弧近似した局所的曲率半径を示し、Nは、前記離散体の近似円弧数を示し、Rmaxは、前記離散体の最大内接円半径を示す。
カサ指数として、A/A’が挙げられる。ただし、A’は、前記断面等の最小外接矩形面積を示す。
球形度として、SSP/Sが挙げられる。ただし、Sは、前記離散体の表面積を示し、SSPは、4π(6V/π)2/3を示す。
・Wadellの球形度として、DH/Dminが挙げられる。ただし、Dminは、前記離散体の投影像の最小外接円直径を示す。
前記フラクタル次元の算出方法としては、前記2Dパラメータと前記3Dパラメータとで、例えば、次の算出方法を挙げることができる。
前記断面等の外周を一定の長さの線分(前記分割要素)の集合で近似して、前記離散体の周長を計算することに基づく方法(Structured walk method)が挙げられる。
前記断面等の外周を正方格子(分割要素)の集合で近似して、前記離散体の周長を計算することに基づく方法(Grid counting method)が挙げられる。
前記離散体の表面を一定の面積の面(前記分割要素)の集合で近似して、前記離散体の表面積を計算することに基づく方法が挙げられる。
前記離散体の表面を立方格子(前記分割要素)の集合で近似して、前記離散体の表面積を計算することに基づく方法が挙げられる。
フーリエ係数の関数として、Ck=∫Fexp(−jkθ)dθ/2πが挙げられる。ただし、jは、−1の正の平方根を示し、kは、1以上の整数を示し、Fは、動径関数、偏角関数及び動径ベクトルのいずれかを示す。
正規化フーリエ係数の関数として、Ak/A0が挙げられる。ただし、Akは、|Ck|に等しく、A0は、|C0|に等しい。
フーリエ係数の関数として、(DH/2A0)2が挙げられる。
k次指標の関数として、μk/A0 kが挙げられる。ただし、μkは、∫[r(θ)−A0]kdθ/2πを示し、r(θ)は、動径関数を示す。
次式で表される円磨度が挙げられる。
角張度として、前記離散体の全ての角の角度を合計した値が挙げられる。
断面積/周長比として、A/L2が挙げられる。
凹凸係数として、4πA/L2が挙げられる。
バルキネスとして、4πR1R2/Aが挙げられる。ただし、R1は、a/Aの正の平方根を示し、R2は、c/Aの正の平方根を示す。
凹みの指数として、DF −/DLの正の平方根を示す。
展開径の変動係数として、∫[DR(θ)−DR −]2dθ/DR 2の正の平方根が挙げられる。
Feret径の変動係数として、∫[DF(θ)−DF −]2dθ/DF 2の正の平方根が挙げられる。
周長/面積比として、L/Aが挙げられる。
表面積形状係数として、S/DP 2が挙げられる。ただし、Sは、前記離散体の表面積を示し、DPは、前記等体積球径、前記Calliper径及び前記慣性行列の固有値として与えられる各種の粒径を示す。
体積形状係数として、V/DP 3が挙げられる。
比表面積形状係数として、(S/V)DPが挙げられる。
Carmanの形状係数として、6/φSVが挙げられる。ただし、φSVは、前記比表面積形状係数と同義である。
例えば、前記2Dパラメータとして前記断面等の面積を用い、前記登録2D頻度情報が前記断面等の面積の前記頻度情報であるとき、前記2D−3D変換情報は、前記登録2D頻度情報と、この頻度情報を持つ前記離散体の前記3Dパラメータの値である前記登録3Dパラメータとで一対の変換情報をなすように構成される。
この時、前記2Dパラメータとしては、任意性があり、取扱い易さの観点から、前記断面等の面積に代えて前記長軸長/短軸長比などの他の指標を用いることができる。
また、前記登録3Dパラメータとしても、ユーザが把握したい任意の指標を選択することができる。
この場合、3Dパラメータ推定手段32としては、複数の登録2D頻度情報のうち入力頻度情報と同種類の前記2Dパラメータに基づく前記登録2D頻度情報を対象として、前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定することができる。
したがって、2D−3D変換情報データベース31に複数の前記登録2D頻度情報に基づく前記2D−3D変換情報を登録しておけば、ユーザが種類の異なる前記2Dパラメータの中から任意の前記2Dパラメータを適宜選択して前記3Dパラメータの推定を行うことができる。
この場合、3Dパラメータ推定手段32としては、前記2D−3D変換情報が有する複数の前記登録3Dパラメータ情報を同時に推定することができる。
したがって、2D−3D変換情報データベース31に複数の前記登録3Dパラメータ情報に基づく前記2D−3D変換情報を登録しておけば、ユーザの求めに応じて、種類の異なる複数の前記3Dパラメータを同時に推定することができる。
3Dパラメータ推定手段32は、1つ又は複数の前記離散体を被推定対象とし、前記被推定対象について測定された前記2Dパラメータの測定値の情報が前記クラス毎の頻度の形式で表された入力頻度情報を入力として、同種類の前記2Dパラメータについて前記入力頻度情報と前記登録2D頻度情報に基づく対比情報との差分を評価することで、前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付け、関連付けられた前記2D−3D変換情報の登録3Dパラメータ情報に基づき前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定可能とされる。
また、前記入力頻度情報として複数の前記離散体を前記被推定対象の集合体とし、前記2Dパラメータの各測定値に応じて前記各離散体をクラス分けしたときの前記集合体における前記離散体の前記クラス毎の存在割合に基づく集合体頻度情報を用い、前記対比情報として前記集合体頻度情報と同種類の前記2Dパラメータについて個々の前記2D−3D変換情報が持つ前記登録2D頻度情報を複数の前記2D−3D変換情報を対象として積算した推定頻度情報に基づく情報を用いて、前記集合体についての前記3Dパラメータを推定する手段として構成することができる。
後者では、多数の前記離散体を被推定対象とする場合に、前記離散体毎に入力及び解析結果(出力)の取扱いを行う必要がなく、また、1つの前記離散体について1つの前記2Dパラメータを測定し、前記集合体について1つの前記入力頻度情報を付与するため、前記離散体毎に前記頻度情報を取得する必要がなく、利便性に優れた前記3Dパラメータ推定装置とすることができる。
しかしながら、前者の処理では、一致しない場合に推定処理が行うことができないことから、膨大な量の前記2D−3D変換情報を2D−3D変換情報データベース31に登録する必要があること、また、後者の処理では、推定結果が不安定となり易いことから、次の目的関数を用いた評価により前記関連付け処理を行うことが好ましい。
また、3Dパラメータ推定手段32が前記集合体についての前記3Dパラメータを推定する手段として構成される場合、前記集合体を構成する前記離散体の前記頻度情報と対応する前記登録2D頻度情報を持つ前記2D−3D変換情報が前記2D−3D変換情報データベース中に存在する存在割合を評価する前記2D−3D変換情報毎の評価値に基づいて前記入力頻度情報と前記対比情報との差分を評価する前記目的関数を用い、前記目的関数の値が最大又は最小となる条件での前記評価値を最適値として前記目的関数を解き、前記最適値を前記集合体に対して前記2D−3D変換情報が適用される適用割合として、前記適用割合に応じて前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付けるように、3Dパラメータ推定手段32を構成することができる。
なお、前記目的関数としては、前記入力頻度情報と前記対比情報との差分を評価可能であれば特に制限はなく、適宜選択することができる。また、前記目的関数としては、前記評価値が極値を持つことで前記最適解又は前記最適値が定まればよく、前記評価値が最大の場合を前記最適解又は前記最適値と評価するものであっても、最小の場合を前記最適解又は前記最適値と評価するものであってもよい。
なお、この点については、後述の実施例において詳述する。
参考文献:Holland, J.H., 1975. Adaptation in Natural and Artificial Systems. Univ. of Michigan Press
バイナリ・コーディング(binary coding)、つまり、前記遺伝子列を実数の2進数又はN進数としてそのままコードする手法が挙げられる。
グレイ・コーディング(Gray coding)、つまり、前記遺伝子列にグレイ・コード(連続する2つの整数値がただ1ビットのみ異なるように割り当てられた数列)を用いる手法が挙げられる。
ルーレット選択(roulette wheel selection)、つまり、個体iの適応度(Ai)と全個体の適応度の総和(B)とを計算し、選択後の個体集合に個体iがAi/Bの確率で含まれるようにする手法が挙げられる。なお、前記ルーレット選択としては、このように適応度に比例した確率を用いる「適応度比例選択」の他、適応度の1次式を確率とする「線形スケーリング」や、適応度に一定の係数をべき算する「べき乗スケーリング」としてもよい。
ランキング選択(ranking selection)、つまり、各個体を適応度によって順位付けし、あらかじめ定めた順位毎の確率に基づいて、選択後の個体集合を決める手法が挙げられる。
トーナメント選択(tournament selection)、つまり、個体集合から適当な数の個体をランダムに抽出し、その中から1つを選択する操作を一定回数繰り返す手法が挙げられる。
エリート戦略(elitism)、つまり、各世代の個体集合の中で最大の適応度を有する個体については、交叉や突然変異の対象とせず、無条件にそのまま次世代に残し、前記ルーレット選択、前記ランキング選択、前記トーナメント選択と併用して利用する手法が挙げられる。
一点交叉(one-point crossover)又は単純交差(simple crossover)、つまり、遺伝子列の中で交叉点を1箇所選んで、交差点の前又は後ろの部分を入れ替える手法が挙げられる。
多点交叉又は複数点交叉(multi-point crossover)、つまり、遺伝子列の中で交叉点を複数箇所選んで、交叉点に挟まれた部分を入れ替える手法が挙げられる。
一様交叉(uniform crossover)、つまり、遺伝子列の各遺伝子に、どちらかの親の遺伝子をランダムに継承する手法が挙げられる。
したがって、前記目的関数の前記最適解又は前記最適値の算出処理としては、このような役割を果たす最適化法であれば、好適に採用することができる。
なお、これらの最適化法を用いなくても、前記目的関数が取り得る全てのパターンを総当り的に解析すれば、前記最適解を見つけ出すことができるが、解析処理が煩雑になる。
前記遺伝アルゴリズム解析以外の前記最適化法の例を以下に示す。
多スタート局所探索法(multi-start local search)、つまり、適当な方法で生成した初期解から近傍(前記初期解に少し変形を行うことで得られる解集合)の局所探査を繰り返し行って、局所最適解(近傍における最適解)を求める手法が挙げられる。
アニーリング法(simulated annealing)、つまり、適当な方法で生成した初期解から近傍を探査するが、その際に、一定の確率で改悪の方向へも遷移することで、広い領域の探査を行う手法が挙げられる。なお、前記確率は、最初は大きく、次第に小さな値になるように設定する。
タブー探索法(tabu search)、つまり、適当な方法で生成した初期解から近傍を探査するが、その際に、前に探索した解を再び選択しないようにする手法が挙げられる。
粒子群最適化法(particle swarm optimization)、つまり、複数の粒子(離散体)で構成された群が、過去の履歴に基づいて調整される速度に従って位置を変えていき、解空間を探索する手法が挙げられる。
進化型計算(evolutionary computation)又は進化的アルゴリズム(evolutionary algorithm)、つまり、生物進化を計算機上で模した最適化計算手法が挙げられる。主たるものに、遺伝的プログラミング(genetic programming)、進化プログラミング(evolutionary programming)、進化戦略(evolution strategy)がある。これらは、前記遺伝アルゴリズム解析と比較して、以下のような特徴を有する。
即ち、前記遺伝的プログラミングでは、前記遺伝アルゴリズム解析の拡張手法であり、木構造を用いた不定長な遺伝子表現を使用する。
また、前記進化プログラミングでは、前記遺伝アルゴリズム解析と同様の個体集合と選択を用いるが、個体の進化には突然変異を用いる。
また、前記進化戦略では、実数値をそのまま用いた個体集合を使用し、選択と突然変異により進化させる。
前記配向について円盤形状をした硬貨を例として説明する。多数の前記硬貨を無重力空間にばら撒き、ある一瞬を観測したと仮定すると、1つ1つの前記硬貨の向きが完全にランダムとなる。一方で、多数の前記硬貨を地上で一定サイズの容器に投入したとすると、多くの前記硬貨がその平面を垂直(鉛直)方向ないしそれに近い方向に向けて積み重ねられ、前記無重力空間での例と比べて、明らかに前記硬貨の向きに偏りが出る。
本明細書において「配向」とは、前記硬貨の向きの偏りの大きさ、つまり、前記離散体の向きの偏りの大きさを意味し、前記3Dパラメータの一種類として扱われる。この配向は、前記離散体が球体であれば発生しないが、非球体であれば発生し得る。
前記配向を前記3Dパラメータとして推定する場合は、大きさが異なる複数の配向を与えた状態で前記離散体の前記2D登録頻度情報を設定する。例えば、前記離散体の長軸の方向が垂直(鉛直)方向に対して0度、30度、60度、90度に向いた状態とされるときの前記離散体を水平方向から視た前記2Dパラメータの前記各頻度情報と、前記離散体の長軸の方向が垂直(鉛直)方向に対してランダムな方向を向いた状態とされるときの前記離散体を水平方向から視た前記2Dパラメータの前記頻度情報とで、合計5通りの前記2D登録頻度情報を設定する。それらを基にした前記2D−3D変換情報を用いた前記3Dパラメータ(配向以外)の推定を行えば、前記配向についても、0度、30度、60度、90度及びランダムとされる前記5通りのうち、どれが尤もらしいかを推定することができる。
前記配向を与えて前記2D登録頻度情報を設定する際に、前記2D登録頻度情報を設定する際の方向をより細かく設定すれば、より高精度に前記配向を推定することができる。また、全ての前記離散体の長軸方向に対し、同じ方向(例えば、全て垂直(鉛直)方向に対して30度傾斜させた方向)を与えてもよいし、バラつきを持たせて、異なる方向(例えば、垂直(鉛直)方向に対して平均で30度傾斜させた方向で、傾斜角度の標準偏差5度)を与えてもよい。
本発明の3Dパラメータ推定プログラムは、コンピュータを前記3Dパラメータ推定装置として機能させるプログラムである。
前記3Dパラメータ推定プログラムの具体的な内容としては、前記3Dパラメータ推定装置について説明した事項の全てを適用することができ、重複した説明を省略する。
本発明の3Dパラメータ推定方法は、1つの離散体の2次元的特徴を指標する2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度情報に基づく登録2D頻度情報と前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの前記離散体の3次元的特徴を指標する3Dパラメータの値情報を持つ登録3Dパラメータ情報とで一対の変換情報をなす2D−3D変換情報の群が記憶される2D−3D変換情報データベースに対し、1つ又は複数の前記離散体を被推定対象とし、前記被推定対象について測定された前記2Dパラメータの測定値の情報が前記クラス毎の頻度の形式で表された入力頻度情報を入力として、同種類の前記2Dパラメータについての前記入力頻度情報と前記登録2D頻度情報に基づく対比情報との差分を評価することで、前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付け、関連付けられた前記2D−3D変換情報の登録3Dパラメータ情報に基づき前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定する3Dパラメータ推定工程を実施する方法である。
前記3Dパラメータ推定方法の具体的な実施方法としては、前記3Dパラメータ推定装置について説明した事項の全てを適用することができ、重複した説明を省略する。
<3Dモデル粒子>
離散体として球及び楕円体の3Dモデル粒子を考える。球及び楕円体の形状は、互いに直交する長軸、中軸、短軸の長さ比により決まる。
ここでは、50通りの前記3Dモデル粒子を、次の通りコンピュータ上で仮想的に設定した。即ち、長軸長(a)と短軸長(c)の比(a/c)を1から4の間を均等割りした50パターンとし、中軸長(b)は、acの正の平方根(√ac)で与えた。図4にa/c≒3.02の3Dモデル粒子を例示する。
設定した前記3Dモデル粒子の2Dパラメータについて、ここでは任意の断面における、周長/面積比(P1)、長軸長/短軸長比(P2)、面積(P3)及び長軸長(P4)の4種を考える。
前記各3Dモデル粒子(50個)に対してランダムな位置の断面を5,000回取得し、4種の前記各2Dパラメータを設定に応じて算出し、頻度分布としてまとめた。
前記各3Dモデル粒子(50個)に対して5種の前記各3Dパラメータを設定に応じて算出した。
また、前記各3Dパラメータは、それぞれ前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの個々の前記3Dモデル粒子が持つ3Dパラメータの値として登録3Dパラメータ情報を構成し、前記2D−3D変換情報データベースに登録される。
こうして、個々の前記3Dモデル粒子(50個)について、それぞれ前記登録2D頻度情報と前記登録3Dパラメータ情報とが一対の変換情報をなすように関連付けされた2D−3D変換情報を登録することで、50個の前記2D−3D変換情報の群で構成される前記2D−3D変換情報データベースを一次的に構築した。
次に、個々の前記3Dモデル粒子(50個)について、前記2Dパラメータ及び前記3Dパラメータに対し、スケールパラメータ(s)を掛けることで、前記3Dモデル粒子と相似形で大きさが異なる拡張粒子(サイズ変更体)についての前記2D−3D変換情報を設定し、前記2D−3D変換情報データベースを構築した。
前記スケールパラメータ(s)は、前記3Dモデル粒子を標準粒子として、前記拡張粒子と前記標準粒子との寸法比により設定される。ここでは、前記標準粒子のサイズを400(無次元)として、前記スケールパラメータ(s)を0.075,0.568,1.06,1.55,2.05,2.54,3.03,3.52,4.02,4.51,5.00の11通りで設定した。
なお、前記2Dパラメータ及び前記3Dパラメータの種類ごとの前記スケールパラメータ(s)の適用方法は、幾何学的計算手法に基づき、下記表1の通りとなる。例えば、表面積(Q1)の前記3Dパラメータについては、前記標準粒子の表面積(Q1)の値に対し、s2を掛けて前記拡張粒子の表面積(Q1)を設定し、周長/面積(P1)の前記2Dパラメータについては、前記標準粒子の周長/面積(P1)の値に対し、1/sを掛けて前記拡張粒子の周長/面積(P1)を設定する。
二次的に構築される前記2D−3D変換情報データベースは、形状及び大きさが異なる計550通り(50形状パターン×11サイズパターン)の前記2D−3D変換情報の群で構成される。
本実施例では、前記3Dパラメータ推定手段が、前記遺伝アルゴリズム解析(図3参照)により前記目的関数を評価することを通じて、前記被推定対象に係る前記離散体が持つ前記3Dパラメータを推定するように構成される。以下、具体的に説明する。
前記バイナリ・コーディングによる遺伝子列のサイズは、二次的に構築される前記2D−3D変換情報データベース(前記2D−3D変換情報の数が550個)を用いて前記3Dパラメータを推定する条件(以下、これを「1段階GA」と称する)では、3,300ビットとした。
また、一次的に構築される前記2D−3D変換情報データベース(前記2D−3D変換情報の数が50個)と、二次的に構築される前記2D−3D変換情報データベース(前記2D−3D変換情報の数が550個)とを用いて前記3Dパラメータを推定する条件(以下、これを「2段階GA」と称する)では、一次的に構築される前記2D−3D変換情報データベースを用いた一次解算出処理を行う際において、前記遺伝子列のサイズを300ビットとし、二次的に構築される前記2D−3D変換情報データベースを用いた二次解算出処理を行う際において、前記遺伝子列のサイズを3,300ビットとした。
また、前記トーナメント選択では、25の個体をランダムに抽出して、その中で最良の個体を選択する操作を、個体集合サイズと同じ回数実施した。
また、前記一点交叉では、2つの個体をランダムに抽出し、交叉する遺伝子の位置(交叉点)をランダムに決定し、交叉点より後方の遺伝子を交叉した。
なお、前記遺伝アルゴリズム解析による基本的な解析手法は、前記1段階GAと前記2段階GAとで共通する。以下、詳述する。
即ち、iは、前記2Dパラメータの種類(P1〜P4)を表し、iは、次式、1≦i≦NP 2Dを満たす。ただし、NP 2Dは、解析に使用された前記2Dパラメータの数を意味し、後述の前記1段階GAでは、NP 2D=4、前記2段階GAの前記一次解算出処理では、NP 2D=2、前記二次解算出処理では、NP 2D=4である。
また、kは、前記頻度情報を構成する前記2Dパラメータのクラス番号を表す。前記頻度情報は、前記2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度で表される。ここでは、前記2Dパラメータの種類毎に適当な最大値と最小値とを設定し、これらの範囲を1,000等分することで、1≦k≦1,000とした。
また、jは、個々の前記2D−3D変換情報に割り当てられた番号を表し、jは、1≦j≦NCを満たす。ただし、NCは、解析に使用された前記2D−3D変換情報の数を意味し、後述の前記1段階GAでは、NC=550、前記2段階GAの前記一次解算出処理では、NC=50、前記二次解算出処理では、NC=550である。
よって、fj i kは、j番目の前記2D−3D変換情報のi番目の前記2Dパラメータのk番目の前記クラスにおける頻度を表す。
ここで、前記集合体を構成する前記離散体に対し、前記2D−3D変換情報データベースに記憶された前記2D−3D変換情報の群うち、いずれか1つの前記2D−3D変換情報が必ず適用されることを前提条件とし、この前提条件を満足させるため、gjには、次式の制約を与える。
先ず、0又は1の数字をランダムに3,300個並べた数列を作り、これを3,300ビットの遺伝子列と考える。前記遺伝子列における1つの前記2D−3D変換情報の割り当ては、6ビット(=3,300/550)である。
前記遺伝子列の先頭から6ビットずつ、2進数6桁の数列(例えば、001011)を読み、それを10進法に変換する。この処理を3,300ビット全体に対して行うことで、全ての前記2D−3D変換情報のそれぞれについて、一つの整数が割り当てられる。例えば、2進数6桁の数列が001011であるとき、この数列に対応する前記2D−3D変換情報に対して、11(=1×20+1×21+0×22+1×23+0×24+0×25)が割り当てられる。
j番目の前記2D−3D変換情報に割り当てられた整数をUjとし、次式により算出されるUjの合計値をUSUMとする。
これにより、前記累積推定頻度(Ci k)と前記入力頻度情報(Mi k)との差をDとして、下記式(3)により算出する。
前記頻度情報(fj i k)は、1つの前記離散体についての確定的な情報であるのに対して、前記推定頻度情報(Fi k)は、gjに基づく前記離散体の前記集合体の推定値である。
1つの前記離散体を被推定対象とする場合、前記3Dパラメータの推定を前記離散体毎に前記入力頻度情報を入力して、前記頻度情報(fj i k)との対比を通じた解析を行う必要がある。
このような解析は、被推定対象の前記離散体毎に遂次行うこともできるが、前記離散体の数が多い場合には、入力及び解析結果(出力)の取扱いが煩雑となり得る。
また、被推定対象が鉱石の破砕片の群である場合のように、前記離散体の数が多く、また、1つの前記離散体から複数の断面を逐一取得することが現実的でない、つまり、1つの前記離散体について前記2Dパラメータの前記頻度情報を取得することが現実的でない場合がある。
ここでは、前記集合体に対する前記推定頻度情報(Fi k)(及び前記累積推定頻度(Ci k))を用いて、複数の前記離散体で構成される集合体を1つの単位として解析を行い、前記集合体に属する前記各離散体の解析結果を同時に得ることとする。
即ち、前記集合体に対する測定値である前記入力頻度情報(Mi k)と対比させる前記対比情報として、1つの前記離散体についての前記頻度情報(fj i k)ではなく、前記集合体に対する前記推定頻度情報(Fi k)(及び前記累積推定頻度(Ci k))を用いる。
このような解析手法によれば、前記離散体毎に入力及び解析結果(出力)の取扱いを行う必要がなく、また、1つの前記離散体について1つの前記2Dパラメータを測定し、前記集合体について1つの前記入力頻度情報(Mi k)を付与するため、前記離散体毎に前記頻度情報を取得する必要がなく、利便性に優れた前記3Dパラメータ推定装置とすることができる。
なお、被推定対象の前記離散体の数が少なく、1つの前記離散体について前記2Dパラメータの前記頻度情報を取得し易い場合には、前記離散体毎に解析を行ってもよく、この場合、前記対比情報として前記推定頻度情報(Fi k)に代えて前記頻度情報(fj i k)を用い、前記入力頻度情報(Mi k)を、1つの前記離散体における前記頻度情報、つまり前記登録2D頻度情報に相当する形式の頻度情報に変更し、前記頻度情報(fj i k)と前記登録2D頻度情報に相当する形式の頻度情報との差を用いて解析を行う。
この最適解は、前記集合体(被推定対象)における前記各離散体の前記クラス毎の存在割合を最適に推定する役割を有する。
即ち、前記最適解に基づき、前記集合体(被推定対象)を構成する前記離散体の群に対し、前記2D−3D変換データが適用される適用割合(gj)を決定し、前記各2D−3D変換データが持つ個々の前記登録3Dパラメータ情報を前記2D−3D変換データの前記適用割合に応じて前記クラス毎の頻度情報とすることで、これを前記集合体(被推定対象)が有する前記3Dパラメータ(クラス毎の頻度情報)の推定情報とする。
以下、説明のために簡単な例を示す。
この例では、j=1,2,3の3つの前記2D−3D変換情報で前記2D−3D変換情報データベースが構成され、前記各2D−3D変換情報に登録される前記登録3Dパラメータ情報が体積を前記3Dパラメータとし、体積の値がj=1で0.2、j=2で0.3、j=3で0.5であり、また、前記最適解を構成する前記2D−3D変換データ(j)毎のgjの値がj=1で0.0(g1=0.0)、j=2で0.4(g2=0.4)、j=3で0.6(g3=0.6)と求められたとする。
この場合、前記集合体が持つ前記離散体の体積(3Dパラメータ)についての推定頻度は、体積0.2で0.0、体積0.3で0.4、体積0.5で0.6となり、また、前記推定情報の累積分布は、体積0.2以下が0.0、体積0.3で0.4、体積0.5以上で1.0と表すことができる。また、体積値の間隙、即ち、体積値が0.2を超え0.3未満であるときと、体積値が0.3を超え0.5未満であるときについては、それぞれ、体積値を補間した値とする。前記補間は、線形補間が容易であるが、その他の補間方法でも構わない。前記線形補間の例を挙げると、例えば、体積0.25の累積分布は、0.2(=(0.0+0.4)/((0.3−0.2)/(0.25−0.2)))となる。
なお、1つの前記離散体を前記被推定対象として前記3Dパラメータの推定を行う場合には、前記対比情報としての前記頻度情報(fj i k)と、前記入力頻度情報としての前記登録2D頻度情報に相当する形式の頻度情報との差をDとして、前記式(4)における前記目的関数(O)の値が最大となる、つまり、前記差が最も小さくなる条件を最適解として、前記頻度情報(fj i k)から1つの前記2D−3D変換情報を特定し、この前記2D−3D変換情報が持つ前記登録3Dパラメータ情報自身を前記被推定対象(1つの前記離散体)が持つ前記3Dパラメータの推定結果とすればよい。
また、本実施例では、前記目的関数(O)が前記遺伝アルゴリズム解析で一般に用いられる適応度の概念に準じて設定されるため、前記目的関数(O)の値は、前記適応度と呼称しても問題なく、以下では、「目的関数」との記載を「適応度」と読み替えても同じ意味である。
また、本実施例で用いた前記遺伝アルゴリズム解析の解析パラメータを下記表2に示す。
前述の通り、前記2段階GAの前記2D−3D変換情報は、一次的に構築される前記2D−3D変換情報データベースでは50個、二次的に構築される前記2D−3D変換情報データベースでは550個存在する。
次に、前記二次解算出処理において、前記一次解算出処理の前記一次解(最良の個体)における前記遺伝子列(形状の相違に寄与する)を受け継ぎ、かつ、残りの拡張部分(サイズの相違に寄与する)をランダムに設定することで、前記遺伝子列のサイズを3,300ビットに拡張し、二次的に構築される前記2D−3D変換情報データベース中の全ての前記2D−3D変換情報(550個))を使用し、全ての前記2Dパラメータ(P1〜P4)について、前記遺伝アルゴリズム解析を行った。
ここで、前記遺伝子列の具体的なサイズ拡張(300ビットから3,300ビットへの拡張)方法としては、前記一次解算出処理後の粒子形状に関する前記一次解の情報を失わずに、前記拡張粒子(サイズ変更体)に対してランダム性を確保した個体群を作成して前記二次解算出処理を行うことを目的として、次のように行った。
概要として、前記一次解算出処理において、前記一次解の算出に用いた300ビットの前記遺伝子列に対し、前記遺伝子列を構成する1つの前記2D−3D変換情報に割り当てられた2進数6桁の数列(6ビット)を2進数66桁の数列(66ビット)に変換する拡張処理を行う。つまり、6ビット単位の数列1個に対し、6ビット単位の数列が11個で構成される拡張数列で変換する。
具体的には、前記拡張数列を構成する6ビット単位の数列11個のうち、5個については、前記拡張処理前の2進数6桁の数列(6ビット)と同じ数列に設定し、残りの6個については、0を6個並べた数列とする。また、6ビット単位の数例11個のうち、いずれの数列を、2進数6桁の数列(6ビット)と同じ数列に設定し、0を6個並べた数列に設定するかは、ランダムとされる。
例えば、前記拡張処理前の2進数6桁の数列(6ビット)が「001011」だったとすると、前記拡張処理後の2進数66桁の数列(66ビット)は、「001011,000000,000000,000000,001011,000000,001011,001011,000000,001011,000000」のように設定される。なお、この例示で6桁毎に加えられるカンマは、1つの2進数66桁の数列(66ビット)が11個の2進数6桁の数列(6ビット)で構成されることを説明するためのものである。
この例示では、前記拡張処理後の2進数66桁の数列(66ビット)における、1,5,7,8,10番目に該当する合計5個の2進数6桁の数列(6ビット)が、それぞれ前記拡張処理前の2進数6桁の数列(6ビット)のコピーとされ、2,3,4,6,9,11番目に該当する合計6個の2進数6桁の数列(6ビット)が、それぞれ0を6個並べた数列とされる。なお、ここでは、前記拡張処理後の2進数66桁の数列(66ビット)に対する、前記拡張処理前の2進数6桁の数列(6ビット)のコピー数を5個としたが、5個ではなく4個,6個,7個等としてもよい。
この拡張処理を、前記拡張処理前における300ビットの前記遺伝子列を構成する、50個の2進数6桁の数列(6ビット)のそれぞれに対して行い、50個の2進数66桁の数列(66ビット)、つまり、前記2D−3D変換情報(6ビット)単位では、550個の2進数6桁の数列(6ビット)で構成される3,300ビットの拡張遺伝子列を設定する。
なお、前記二次解算出処理では、この拡張遺伝子列を初期固体として前記アルゴリズム解析を行うことで、前記一次解算出処理と同様の前記目的関数の解析処理を行う。
具体的には、前記拡張遺伝子列の先頭から6ビットずつ、2進数6桁の数列(6ビット)単位で10進数の整数(Uj)に変換する。この処理を3,300ビット全体、つまり、550個の2進数6桁の数列(6ビット)毎に1つの整数(Uj)に変換する計算を行う。また、これら整数(Uj)の合計値(USUM)を計算する。2進数6桁の数列(6ビット)毎に計算された整数(Uj)を前記2D−3D変換情報毎に割り当て、各整数(Uj)を合計値(USUM)で除して正規化することで、前記2D−3D変換情報毎にgjを算出可能とし、前記目的関数の解析処理を行う。
<検証用サンプル粒子>
被推定対象の前記離散体として、コンピュータ上で仮想的に、図5(a),(b)に示す前記2Dパラメータ(長軸長(P4)、長軸長/短軸長比(P2))を持つ検証用サンプル粒子を10,000個作成した。なお、図5(a)は、検証用サンプル粒子の長軸長分布を示す図であり、図5(b)は、検証用サンプル粒子の長軸長/短軸長比分布を示す図である。
また、前記検証用サンプル粒子に対し、前記2D−3D変換情報と同じ、表面積(Q1)、体積(Q2)、長軸長(Q3)、長軸長/中軸長比(Q4)及び長軸長/短軸長比(Q5)の5種の前記3Dパラメータを算出した。
この検証用サンプル粒子が持つ前記3Dパラメータは、本来、被推定対象の前記離散体が持つ前記3Dパラメータとして、前記3Dパラメータ推定装置により推定されるべき事項であるが、ここでは、前記3Dパラメータ推定装置による推定結果を検証する目的で、予め用意するものである。
つまり、前記検証用サンプル粒子が持つ前記3Dパラメータは、“真値”であり、本検証では、この“真値”と、前記検証用サンプル粒子の前記2Dパラメータの情報のみを入力して出力される前記3Dパラメータ推定装置による“推定値”とを比較し、前記3Dパラメータ推定装置の有効性を評価する。
なお、前記検証用サンプル粒子の前記2Dパラメータの情報、つまり、前記入力頻度情報は、前記検証用サンプル粒子における断面をランダムな位置で取得し、前記断面に基づき算出したものである。
図6(a)〜(e)に検証結果を示す。なお、図6(a)は、表面積(Q1)の3Dパラメータについての検証結果を累積分布で表した図であり、図6(b)は、体積(Q2)の3Dパラメータについての検証結果を累積分布で表した図であり、図6(c)は、長軸長(Q3)の3Dパラメータについての検証結果を累積分布で表した図であり、図6(d)は、長軸長/中軸長比(Q4)の3Dパラメータについての検証結果を累積分布で表した図であり、図6(e)は、長軸長/短軸長比(Q5)の3Dパラメータについての検証結果を累積分布で表した図である。
また、各図中、「GA前」は、“参考値”の前記3Dパラメータの累積分布を示し、「1段階GA後」は、前記1段階GAによる“推定値”の前記3Dパラメータの累積分布を示し、「2段階GA後」は、前記2段階GAによる“推定値”の前記3Dパラメータの累積分布を示す。
したがって、全体としてみれば、前記3Dパラメータ推定装置の有効性が認められるといえる。
したがって、前記1段階GAと前記2段階GAとでは、前記2段階GAの有効性を高く評価することができる。
なお、長軸長(Q3)の前記3Dパラメータに関する図6(c)において、「GA前」及び「2段階GA後」の各プロットが縦軸方向に非連続的となっているが、これは、前記2D−3D変換情報におけるサイズ数が少ない(11個)ことによる。サイズ数を増やせば、より連続的なプロットが得られる。
2 入力部
3 記憶部
4 演算部
5 出力部
31 2D−3D変換情報データベース
32 3Dパラメータ推定手段
Claims (9)
- 1つの離散体の2次元的特徴を指標する2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度情報に基づく登録2D頻度情報と前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの前記離散体の3次元的特徴を指標する3Dパラメータの値情報を持つ登録3Dパラメータ情報とで一対の変換情報をなす2D−3D変換情報の群が記憶される2D−3D変換情報データベースと、
1つ又は複数の前記離散体を被推定対象とし、前記被推定対象について測定された前記2Dパラメータの測定値の情報が前記クラス毎の頻度の形式で表された入力頻度情報を入力として、同種類の前記2Dパラメータについて前記入力頻度情報と前記登録2D頻度情報に基づく対比情報との差分を評価することで、前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付け、関連付けられた前記2D−3D変換情報の前記登録3Dパラメータ情報に基づき前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定可能とされる3Dパラメータ推定手段と、
を有することを特徴とする3Dパラメータ推定装置。 - 入力頻度情報が、複数の離散体を被推定対象の集合体とし、2Dパラメータの各測定値に応じて前記各離散体をクラス分けしたときの前記集合体における前記離散体の前記クラス毎の存在割合に基づく集合体頻度情報とされ、
対比情報が、前記集合体頻度情報と同種類の前記2Dパラメータについて個々の2D−3D変換情報が持つ登録2D頻度情報を複数の前記2D−3D変換情報を対象として積算した推定頻度情報に基づく情報とされる請求項1に記載の3Dパラメータ推定装置。 - 3Dパラメータ推定手段が、集合体を構成する離散体の頻度情報と対応する登録2D頻度情報を持つ前記2D−3D変換情報が2D−3D変換情報データベース中に存在する存在割合を評価する前記2D−3D変換情報毎の評価値に基づいて入力頻度情報と対比情報との差分を評価する目的関数を用い、前記目的関数の値が最大又は最小となる条件での前記評価値を最適値として前記目的関数を解き、前記最適値を前記集合体に対して前記2D−3D変換情報が適用される適用割合として、前記適用割合に応じて前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付けるように構成とされる請求項2に記載の3Dパラメータ推定装置。
- 2D−3D変換情報データベースが、離散体に基づき作成される2D−3D変換情報の一次群と、前記離散体と相似形で大きさが異なるとともに、1つの前記離散体に対し複数設定される前記離散体のサイズ変更体に基づき作成される前記2D−3D変換情報の2次群とを記録して構成され、
3Dパラメータ推定手段が、前記一次群を対象として目的関数を解くことで最適値を与える暫定解としての一次解を算出する一次解算出処理と、前記一次解に基づき、前記二次群を対象として前記目的関数を解くことで前記最適値を与える最適解としての二次解を算出する二次解算出処理とを実行可能とされる請求項3に記載の3Dパラメータ装置。 - 目的関数の最適解が遺伝アルゴリズム解析により算出可能とされる請求項3から4のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置。
- 1つの2D−3D変換情報が、種類の異なる2Dパラメータに基づく複数の登録2D頻度情報を有し、
3Dパラメータ推定手段が、複数の前記登録2D頻度情報のうち入力頻度情報と同種類の前記2Dパラメータに基づく前記登録2D頻度情報を対象として、被推定対象の3Dパラメータを推定可能とされる請求項1から5のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置。 - 1つの2D−3D変換情報が、種類の異なる3Dパラメータに基づく複数の登録3Dパラメータ情報を有し、
3Dパラメータ推定手段が、前記2D−3D変換情報が有する複数の前記登録3Dパラメータ情報と同種類の被推定対象の前記3Dパラメータを同時に推定可能とされる請求項1から6のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置。 - コンピュータを請求項1から7のいずれかに記載の3Dパラメータ推定装置として機能させることを特徴とする3Dパラメータ推定プログラム。
- 1つの離散体の2次元的特徴を指標する2Dパラメータを値に応じてクラス分けしたときの前記クラス毎の頻度情報に基づく登録2D頻度情報と前記頻度情報が前記登録2D頻度情報であるときの前記離散体の3次元的特徴を指標する3Dパラメータの値情報を持つ登録3Dパラメータ情報とで一対の変換情報をなす2D−3D変換情報の群が記憶される2D−3D変換情報データベースに対し、
1つ又は複数の前記離散体を被推定対象とし、前記被推定対象について測定された前記2Dパラメータの測定値の情報が前記クラス毎の頻度の形式で表された入力頻度情報を入力として、同種類の前記2Dパラメータについて前記入力頻度情報と前記登録2D頻度情報に基づく対比情報との差分を評価することで、前記入力頻度情報と前記2D−3D変換情報とを関連付け、関連付けられた前記2D−3D変換情報の前記登録3Dパラメータ情報に基づき前記被推定対象の前記3Dパラメータを推定する3Dパラメータ推定工程を実施することを特徴とする3Dパラメータ推定方法。
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