JPWO2018235821A1 - Led反射板用ポリエステル組成物、該組成物からなるled反射板及び該反射板を備える発光装置 - Google Patents

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Abstract

ポリエステル(A)及び表面被覆酸化チタン(B)を含有し、該ポリエステル(A)における、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位であり、かつジオール単位の50モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位であり、該酸化チタン(B)の強熱減量が0.50〜1.20質量%であり、該酸化チタン(B)の含有量が、該ポリエステル(A)100質量部に対して10〜90質量部である、LED反射板用ポリエステル組成物、該組成物からなるLED反射板、及び該反射板を備える発光装置である。

Description

本発明は、LED反射板用ポリエステル組成物、該組成物からなるLED反射板及び該反射板を備える発光装置に関する。
発光ダイオード(以下、「LED」とも称する)は、従来の白色灯や蛍光灯と比較して、低消費電力で長寿命といった多くの利点を有するため、様々な分野に応用され、携帯電話ディスプレイ、パソコンや液晶テレビ等の液晶パネル用のバックライト等の比較的小型の電気電子製品に用いられてきた。
LEDパッケージは、一般にLED、リードフレーム、ハウジングを兼ねた反射板、半導体発光素子を封止する封止部材から構成され、LED反射板として、従来のセラミックに代わる材料として高分子材料を用いる試みがなされ、開発されてきた。
しかしながら、高分子材料を用いた反射板においては、LEDパッケージの製造工程における熱による光反射率の低下、紫外線照射等の使用環境に起因する光反射率の低下といった問題がある。
このような問題に対して、例えば特許文献1には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を含むジカルボン酸単位と炭素数4〜18の脂肪族ジアミン単位を含むジアミン単位を有するポリアミド組成物を用いたLED反射板が開示され、長期間に亘ってLED光照射を行った後においても、高い反射率と白色度を維持することが記載されている。
しかしながら、近年、LEDは、低価格化に伴い、電気電子製品だけではなく、照明器具等としての用途が広がりつつある。LEDを照明器具等として用いる場合、従来の電気電子製品等で用いられてきた反射板と比べて、LEDパッケージの製造工程や使用環境のため、より高い耐熱性、並びに高い光反射率、及び熱や紫外線等の光による光反射率の低下の抑制が求められる。このような要求に対して、反射板の材料として、ポリアミドに代えてより高い耐熱性を有するポリエステルを用いる試みがなされている。
例えば特許文献2には、二酸化チタンを含有するポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)組成物を含む発光ダイオードアセンブリハウジングが開示され、良好な光反射率、良好な耐紫外線性を示し、熱に対する色安定性を有することが記載されている。
国際公開第2011/027562号 特表2009−507990号公報
しかしながら、ポリエステルは、加水分解が生じやすい樹脂であるため、加水分解による分子量低下に伴う成形性及び光反射率の低下が起こりやすい。そのため、優れた成形性と、LEDパッケージの製造工程や使用環境における熱や光に晒された後においても高い光反射率を維持することが求められる。
本発明は、優れた成形性を有し、かつ熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持するLED反射板用ポリエステル組成物、該組成物からなるLED反射板及び該反射板を備える発光装置を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、ポリエステル組成物が、特定の表面被覆酸化チタンを特定の比率で含有することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]〜[8]に関する。
[1] LED反射板用ポリエステル組成物であって、
該ポリエステル組成物がポリエステル(A)及び表面被覆酸化チタン(B)を含有し、
該ポリエステル(A)における、ジカルボン酸に由来する構成単位の50モル%以上がテレフタル酸に由来する構成単位であり、かつジオールに由来する構成単位の50モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位であり、
該酸化チタン(B)を120℃で2時間予備加熱処理し、550℃で2時間本加熱処理した際における該本加熱による強熱減量が0.50〜1.20質量%であり、
該酸化チタン(B)の含有量が、該ポリエステル(A)100質量部に対して、10〜90質量部である、LED反射板用ポリエステル組成物。
[2] ポリエステル(A)が、ジカルボン酸に由来する構成単位の75〜100モル%がテレフタル酸に由来する構成単位であり、かつジオールに由来する構成単位の75〜100モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位であるポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである、前記[1]のLED反射板用ポリエステル組成物。
[3] さらに、強化材(C)を、ポリエステル(A)100質量部に対して、5〜50質量部含有する、前記[1]又は[2]のLED反射板用ポリエステル組成物。
[4] 強化材(C)がガラス繊維である、前記[3]のLED反射板用ポリエステル組成物。
[5] さらに、酸化防止剤(D)を、ポリエステル(A)100質量部に対して、0.10〜1.0質量部含有する、前記[1]〜[4]のいずれかのLED反射板用ポリエステル組成物。
[6] さらに、光安定剤(E)を含有する、前記[1]〜[5]のいずれかのLED反射板用ポリエステル組成物。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかのLED反射板用ポリエステル組成物からなる、LED反射板。
[8] 前記[7]のLED反射板を備える、発光装置。
本発明によれば、優れた成形性を有し、かつ熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持するLED反射板用ポリエステル組成物、該組成物からなるLED反射板及び該反射板を備える発光装置を提供することができる。
本発明の発光装置の構成の一例を模式的に示した図である。 本発明の発光装置の構成の一例を模式的に示した図である。 本発明の発光装置の構成の一例を模式的に示した図である。
[LED反射板用ポリエステル組成物]
本発明のLED反射板用ポリエステル組成物(以下、「ポリエステル組成物」とも称する)は、ポリエステル(A)及び表面被覆酸化チタン(B)を含有し、該ポリエステル(A)における、ジカルボン酸に由来する構成単位(以下、単に「ジカルボン酸単位」とも称する)の50モル%以上がテレフタル酸に由来する構成単位(以下、単に「テレフタル酸単位」とも称する)であり、かつジオールに由来する構成単位(以下、単に「ジオール単位」とも称する)の50モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位(以下、単に「1,4−シクロヘキサンジメタノール単位」とも称する)であり、該酸化チタン(B)を120℃で2時間予備加熱処理し、550℃で2時間本加熱処理した際における該本加熱による強熱減量(以下、単に「強熱減量」とも称する)が0.50〜1.20質量%であり、該酸化チタン(B)の含有量が、該ポリエステル(A)100質量部に対して、10〜90質量部である。
なお、本発明のポリエステル組成物からなるLED反射板を単に「反射板」とも称する。
本発明のポリエステル組成物は、上記構成により、表面被覆酸化チタンの強熱減量が特定の範囲であり、該酸化チタンを特定の比率で含有するため、該ポリエステル組成物が優れた成形性を有し、かつ熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持できるという本発明の効果が得られる。
このような効果が得られる理由については定かではないが、以下のように推測される。
酸化チタンは、その表面活性がLED反射板の耐候性、耐光性等の特性に影響するため、通常表面処理剤で被覆されて用いられる。酸化チタンの表面処理量が少ないと、酸化チタンの表面活性の低下効果が少なく、耐候性及び耐光性が十分に改善されない。また、酸化チタンの表面処理量が多すぎると、ポリエステル組成物の混合時やLEDパッケージの製造工程における射出成形時、あるいは使用環境における熱や光に晒された際に、アルミナやシリカといった表面処理剤に含まれる結晶水等が揮発してポリエステルの加水分解が進行し、分子量の低下に伴って成形性及び光学特性の低下が生じると考えられる。
そこで、表面被覆酸化チタンの表面被覆に由来する水分量の指標として該酸化チタンの強熱減量に着目し、該強熱減量を特定の範囲とし、該酸化チタンの含有量を特定の範囲とすることにより、表面処理剤に含まれる結晶水等の揮発に伴うポリエステルの加水分解の進行が抑制され、その結果、本発明のポリエステル組成物は優れた成形性を有し、かつ熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持できると考えられる。
<ポリエステル(A)>
本発明のポリエステル組成物は、ポリエステル(A)を含有し、該ポリエステル(A)における、ジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位であり、かつジオール単位の50モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位である。ポリエステル(A)を含有することにより、高い耐熱性を有しつつ、熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持する反射板を得ることができる。
ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸単位とジオール単位との合計含有量は、耐熱性向上の観点から、ポリエステル(A)を構成する全構成単位のモル数に基づいて、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上である。以下、ポリエステル(A)についてより詳細に説明する。
ポリエステル(A)は、これを構成するジカルボン酸単位の50モル%以上がテレフタル酸単位である。これにより、得られる反射板の耐熱性が向上する。前記ジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の含有率は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
ポリエステル(A)を構成するジカルボン酸単位は、50モル%以下の範囲で、テレフタル酸以外の他のジカルボン酸に由来する構成単位を含んでもよい。かかる他のジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等のテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸などを挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を含むことができる。かかる他のジカルボン酸としては、イソフタル酸が好適である。前記ジカルボン酸単位中のこれらの他のジカルボン酸に由来する構成単位の含有率は、好ましくは25モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
さらに、ポリエステル(A)は、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸に由来する構成単位を溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
ポリエステル(A)は、これを構成するジオール単位の50モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位である。これにより、反射板への成形性及び耐熱性が向上し、かつ熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持する反射板を得ることができる。前記ジオール単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノール単位の含有率は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは75モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下である。
耐熱性の観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス異性体比率は高いことが好ましい。トランス異性体の比率は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%である。
ポリエステル(A)を構成するジオール単位は、50モル%以下の範囲で、1,4−シクロヘキサンジメタノール以外の他のジオールに由来する構成単位を含んでもよい。かかる他のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、及びそれらの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド(平均付加モル数2以上12以下)付加物等の1,4−シクロヘキサンジメタノール以外の脂環式ジオール;ヒドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等の芳香族ジオールなどを挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を含むことができる。前記ジオール単位中のこれらの他のジオールに由来する構成単位の含有率は、好ましくは25モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
さらに、ポリエステル(A)は、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールに由来する構成単位を溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
ポリエステル(A)は、ジカルボン酸に由来する構成単位の75〜100モル%がテレフタル酸に由来する構成単位であり、かつジオールに由来する構成単位の75〜100モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位であるポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートであることが好ましい。これにより、高い耐熱性を有し、熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持する反射板を得ることができる。
本発明に用いるポリエステル(A)は、ポリエステルを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造できる。例えば、必要に応じてチタン化合物、無機リン化合物等の触媒、分子量調整剤等を添加し、ジカルボン酸成分とジオール成分とを縮重合反応させることにより製造することができる。
縮重合反応に供されるジカルボン酸成分とジオール成分とのモル比(ジカルボン酸成分/ジオール成分)は、好ましくは0.80〜0.99であり、より好ましくは0.83〜0.98であり、更に好ましくは0.85〜0.97である。
本発明に用いるポリエステル(A)の融点は、耐熱性向上の観点から、好ましくは260℃以上、より好ましくは270℃以上、更に好ましくは280℃以上であり、そして、LED反射板への成形性向上の観点から、好ましくは320℃以下、より好ましくは310℃以下、更に好ましくは300℃以下である。なお、融点の測定は、具体的には実施例に記載した方法による。
本発明に用いるポリエステル(A)の重量平均分子量(M)は、好ましくは3,000〜12,000、より好ましくは4,000〜10,000、更に好ましくは4,000〜9,000である。重量平均分子量が3,000以上であるとポリエステル(A)による靭性効果が十分に発揮され、また、12,000以下であると、流動性が低下することなく良好な成形性を得ることができる。なお、重量平均分子量は、後述するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができ、標準ポリメタクリル酸メチル換算で算出した値である。重量平均分子量の測定は、具体的には実施例に記載した方法による。
<表面被覆酸化チタン(B)>
本発明のポリエステル組成物は、表面被覆酸化チタン(B)(以下、単に「酸化チタン(B)」とも称する)を含有し、酸化チタン(B)を120℃で2時間予備加熱処理し、550℃で2時間本加熱処理した際における該本加熱による強熱減量が0.50〜1.20質量%である。
酸化チタン(B)は、得られる反射板に対して光反射性を付与するものであり、該酸化チタン(B)を含むことにより、該反射板の熱伝導性及び耐熱性が向上し、熱や光に晒された後においても光反射率の低下を抑制し、高い光反射率を維持することができる。
酸化チタン(B)としては、酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti)、二酸化チタン(TiO)等が挙げられ、これらのいずれを用いてもよいが、二酸化チタンが好ましい。二酸化チタンとしては、ルチル型又はアナターゼ型の結晶構造を有するものが好ましく、ルチル型の結晶構造を有するものがより好ましい。
酸化チタン(B)は、ポリエステル組成物中への分散性、隠蔽性、耐候性及び耐光性を高める観点から、表面処理剤により表面被覆されたものを用いる。該表面処理としては、無機処理及び有機処理が挙げられる。
無機処理に用いる表面処理剤としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、スズ、チタニウム、アンチモン、亜鉛、コバルト、マンガン等の金属の酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。
有機処理に用いる表面処理剤としては、オルガノシラン、シランカップリング剤、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物;チタンカップリング剤等の有機チタン化合物;有機酸、ポリオール、アルカノールアミン、シリコーンオイル等の有機物などが挙げられる。
オルガノシランとしては、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類;3−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリルシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等のビニルシラン類;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類などが挙げられる。
オルガノポリシロキサンとしては、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等が挙げられる。
有機酸としては、アジピン酸、テレフタル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、サリチル酸、リンゴ酸、マレイン酸等、又はこれらの金属塩などが挙げられる。
ポリオールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等が挙げられる。
表面処理としては、酸化チタンの凝集を抑制し、分散性を向上させる観点からは、無機処理が好ましい。無機処理に用いる表面処理剤としては、アルミニウム、ケイ素及びジルコニウムから選ばれる1種以上の金属の酸化物が好ましく、アルミナ及びシリカから選ばれる1種以上がより好ましく、分散性向上の観点からはアルミナが更に好ましく、耐候性を向上させる観点からはシリカが更に好ましい。
また、酸化チタンの濡れ性を向上させ、分散性を向上させる観点からは、有機処理が好ましく、酸化チタンへの水分吸着を抑制しつつ、親水性を付与する観点からは、ポリオールがより好ましく、易分散性を向上させつつ、疎水性を付与する観点からは、オルガノポリシロキサンがより好ましい。
酸化チタン(B)の表面処理量は、分散性を向上させる観点から、酸化チタン(B)100質量%中、好ましくは0.10〜30質量%、より好ましくは1.0〜20質量%、更に好ましくは2.0〜15質量%である。
なお、表面処理剤は、単独で又は二種以上を併用して用いてもよい。
本発明において、酸化チタン(B)の強熱減量は0.50〜1.20質量%である。
強熱減量は、120℃で2時間予備加熱処理した後、550℃で2時間本加熱処理した際の、該本加熱前後における質量減少により算出される。このような加熱条件であれば、表面処理剤は残存させつつ、吸着する結晶水等を脱離させることができる。強熱減量は0.50質量%以上であると、良好な分散性を付与することができ、1.20質量%以下であると、酸化チタンの表面被覆に由来する水分によるポリエステルの加水分解の進行を抑制し、分子量の低下を抑制すると共に、成形性及び光反射率を向上させることができる。これらの観点から、強熱減量は、好ましくは0.55〜1.15質量%、より好ましくは0.60〜1.10質量%、更に好ましくは0.65〜1.05質量%、より更に好ましくは0.70〜1.00質量%、より更に好ましくは0.70〜0.90質量%、より更に好ましくは0.70〜0.80質量%である。強熱減量の測定は、具体的には実施例に記載した方法による。
酸化チタン(B)の平均粒径は、好ましくは0.23〜0.60μmである。該平均粒径が0.23μm以上であると、ポリエステル組成物中におけるポリエステルとの接触面積を小さくし、酸化チタンの表面被覆に由来する水分によるポリエステルの加水分解を抑制することができ、0.60μm以下であると、光の散乱を抑制し、光反射率を向上させることができる。これらの観点から、より好ましくは0.23〜0.50μm、更に好ましくは0.25〜0.40μm、より更に好ましくは0.25〜0.35μm、より更に好ましくは0.25〜0.31μmである。
酸化チタン(B)の平均粒径は、電子顕微鏡法を用いた画像解析により求めることができる。具体的には、透過型電子顕微鏡を用いて撮影した酸化チタン粒子1,000個以上について長径と短径を測定し、その重量平均値を平均粒径とする。
酸化チタン(B)の形状は、特に限定されないが、その凝集形状は不定形であることが好ましい。不定形の酸化チタン(B)を用いた場合には、得られる反射板の寸法変化率及び寸法変化率の異方性が小さく、LEDパッケージ製造時の封止部材との剥離を抑制することができる。
<強化材(C)>
本発明のポリエステル組成物は、さらに強化材(C)を含有することが好ましい。強化材(C)を含むことにより、得られる反射板の成形性及び機械的強度を向上させることができる。
強化材(C)としては、繊維状、平板状、針状、粉末状、クロス状等の各種形状を有するものを使用することができる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、液晶ポリマー(LCP)繊維、金属繊維等の繊維状強化材;マイカ、タルク等の平板状強化材;チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー等の針状強化材;シリカ、アルミナ、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタン酸カリウム、ケイ酸アルミニウム(カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム(アタパルジャイト)、ホウ酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、アスベスト、ガラスビーズ、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、炭化ケイ素、セリサイト、ハイドロタルサイト、二硫化モリブデン、フェノール樹脂粒子、架橋スチレン系樹脂粒子、架橋アクリル系樹脂粒子等の粉末状強化材;ガラスクロス等のクロス状強化材などが挙げられる。これらの強化材は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの強化材は、ポリエステル組成物中への分散性を高める観点から、及びポリエステル(A)との接着性を高める観点から、表面処理を施したものを用いてもよい。表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子化合物、又はその他低分子化合物等が挙げられる。
本発明に用いる強化材(C)は、前記強化材の中でも、コスト抑制の観点、及び機械的強度向上の観点からは、繊維状強化材及び針状強化材から選ばれる1種以上が好ましい。コスト抑制の観点、及び機械的強度向上の観点からは、繊維状強化材がより好ましく、ガラス繊維が更に好ましい。また、表面平滑性の高い反射板を得る観点からは、針状強化材がより好ましい。特に、反射板の白色度を保持する観点からは、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、及びホウ酸アルミニウムウィスカーから選ばれる1種以上が好ましく、ガラス繊維及びワラストナイトから選ばれる1種以上がより好ましく、ガラス繊維が更に好ましい。
ガラス繊維の平均繊維長は、好ましくは1.0〜10mm、より好ましくは1.0〜7.0mm、更に好ましくは2.0〜4.0mmである。
なお、上記平均繊維長は、ポリエステル組成物へ混合する前のものである。
ポリエステル組成物中、又は該組成物を成形してなるLED反射板中における、ガラス繊維の平均繊維長は、好ましくは50〜500μm、より好ましくは80〜400μm、更に好ましくは100〜300μmである。
また、ガラス繊維の断面形状は特に限定されないが、生産性及び機械的強度の観点から、異形断面又は円形断面が好ましく、コスト抑制の観点から、円形断面がより好ましい。
ここで、異形断面を有するガラス繊維とは、繊維の長さ方向に垂直な断面において、その断面の外周の長さが、同じ断面積の真円形断面を有するガラス繊維断面の外周の長さに対して、1.05倍〜1.7倍である断面形状を有するガラス繊維をいう。断面形状としては、特に断面の長手方向の中央部がくびれたまゆ形、断面の重心に対して対称の位置に略平行である部分を有する長円形又は楕円形が好ましい。
ガラス繊維の平均繊維径は、機械的強度向上の観点から、好ましくは6〜20μm、より好ましくは7〜16μm、更に好ましくは8〜14μm、より更に好ましくは9〜12μmである。
ガラス繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、電子顕微鏡法を用いた画像解析により任意に選択した400本のガラス繊維のそれぞれ繊維長及び繊維径を測定し、それぞれの重量平均値により求めることができる。
また、ポリエステル組成物中、又は該組成物を成形してなるLED反射板中における、ガラス繊維の平均繊維長及び平均繊維径は、例えばヘキサフルオロイソプロパノール中でポリエステル組成物又はLED反射板を溶解させ、ガラス繊維を抽出し、上記と同様に電子顕微鏡法を用いた画像解析により求めることができる。
<酸化防止剤(D)>
本発明のポリエステル組成物は、酸化防止剤(D)を含有することが好ましい。酸化防止剤(D)としては、フェノール系酸化防止剤(D−1)及びリン系酸化防止剤(D−2)から選ばれる1種以上が好ましく、フェノール系酸化防止剤(D−1)とリン系酸化防止剤(D−2)とを併用することがより好ましい。
酸化防止剤(D)を含有することにより、熱や光により発生したラジカルを捕捉し、得られる反射板の光反射率の低下を抑制することができる。
フェノール系酸化防止剤(D−1)(以下、「(D−1)成分」とも称する)としては、セミヒンダードタイプ又はフルヒンダードタイプのフェノール系酸化防止剤から選ばれる1種以上が好ましい。これにより、熱や光により発生したラジカルを捕捉後生成するフェノキシラジカルの安定性が向上し、光反射率の低下を抑制することができる。
セミヒンダードタイプのフェノール系酸化防止剤としては、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:Sumilizer GA−80、住友化学(株)製)等が挙げられる。
フルヒンダードタイプのフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及びN,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]等が挙げられる。市販のものでは、例えば、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」(商品名、いずれもBASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
これらの中でも、光反射率の向上及び光反射率の低下を抑制する観点から、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer GA−80)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1035)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076)、及びN,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](IRGANOX1098)から選ばれる1種以上が好ましく、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer GA−80)及びペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)から選ばれる1種以上がより好ましい。
これらのフェノール系酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
リン系酸化防止剤(D−2)(以下、「(D−2)成分」とも称する)としては、光反射率の低下を抑制する観点から、亜リン酸エステル及び亜ホスホン酸エステルから選ばれる1種以上が好ましい。
リン系酸化防止剤(D−2)を含有することにより、熱や光により発生した過酸化物を分解して光反射率の低下を抑制することができ、さらにフェノール系酸化防止剤(D−1)と併用する場合には、高い光反射性を有し、熱や光に晒された後でも光反射率の低下が少ない反射板が得られる。
亜リン酸エステルタイプのリン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(オクタデシロキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト等が挙げられる。市販のものでは、例えば、「IRGAFOS168」(商品名、BASFジャパン(株)製)、「アデカスタブ(ADK STAB) PEP−36」(商品名、(株)ADEKA製)、「アデカスタブ(ADK STAB) PEP−8」(商品名、(株)ADEKA製)、「アデカスタブ(ADK STAB) PEP−24」(商品名、(株)ADEKA製)、「アデカスタブ(ADK STAB) HP−10」(商品名、(株)ADEKA製)等が挙げられる。
亜ホスホン酸エステルタイプのリン系酸化防止剤としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、光反射率の向上、及び光反射率の低下を抑制する観点から、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。市販のものでは、例えば、「Hostanox P−EPQ」(商品名、クラリアントジャパン(株)製)、「GSY−P101」(商品名、堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
これらの中でも、光反射率の低下を抑制する観点から、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(「IRGAFOS168」)及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(「Hostanox P−EPQ」)から選ばれる1種以上が好ましく、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(「Hostanox P−EPQ」)がより好ましい。
これらのリン系酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール系酸化防止剤(D−1)とリン系酸化防止剤(D−2)とを併用する場合、好適な組合せとしては、光反射率の向上、及び光反射率の低下を抑制する観点から、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer GA−80)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1035)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1076)、及びN,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](IRGANOX1098)から選ばれる1種以上と、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(IRGAFOS168)及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(Hostanox P−EPQ)から選ばれる1種以上の組合せが好ましく、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer GA−80)及びペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010)から選ばれる1種以上と、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(Hostanox P−EPQ)との組み合わせがより好ましい。
<光安定剤(E)>
本発明のポリエステル組成物は、得られる反射板の変色を防止し、光反射率の低下を抑制する観点から、さらに光安定剤(E)を含有することが好ましい。
光安定剤(E)としては、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アクリロニトリル系化合物、その他の共役系化合物等の紫外線吸収効果のある化合物、ヒンダードアミン系化合物等のラジカル捕捉能力のある化合物等が挙げられる。特に、ポリエステル(A)との親和性が高く、耐熱性向上の観点から、その分子中にアミド結合を有する化合物が好ましい。また、より高い安定化効果が得る観点から、紫外線吸収効果のある化合物とラジカル捕捉能力のある化合物を併用することが好ましい。これらの光安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔その他の成分〕
本発明のポリエステル組成物は、ニグロシンやその他有機系又は無機系の着色剤;帯電防止剤;タルク等の結晶核剤;可塑剤;ポリオレフィンワックス、高級脂肪酸エステル等のワックス類;シリコーンオイル等の離型剤;滑剤などの他の成分をさらに含有(配合)することもできる。
本発明のポリエステル組成物に他の成分を含有(配合)する場合、ポリエステル(A)100質量部に対して、その他の成分の各含有量は5質量部以下であることが好ましい。
〔ポリエステル組成物中の各成分の含有量〕
本発明に用いるポリエステル(A)の含有量は、LED反射板への成形性及び耐熱性向上の観点から、ポリエステル組成物中、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、得られる反射板の機械的強度や高い光反射率を得る観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
本発明に用いる酸化チタン(B)の含有量は、高い光反射率を得る観点から、ポリエステル(A)100質量部に対して、10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、そして、LED反射板への成形性及び耐熱性向上の観点から、90質量部以下であり、好ましくは85質量部以下、より好ましくは80質量部以下である。
本発明のポリエステル組成物中のポリエステル(A)及び酸化チタン(B)の合計含有量は、LED反射板への成形性、光反射率の向上及び光反射率の低下を抑制する観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
本発明に用いる強化材(C)の含有量は、耐熱性及び機械的強度向上の観点から、ポリエステル(A)100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、そして、高い光反射率を得る観点、及び光反射率の低下を抑制する観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
本発明に用いる酸化防止剤(D)の含有量は、高い光反射率を得る観点、及び光反射率の低下を抑制する観点から、ポリエステル(A)100質量部に対して、好ましくは0.10質量部以上、より好ましくは0.20質量部以上、更に好ましくは0.30質量部以上であり、そして、成形時に発生するガスによるガス焼け等の不良に伴う光反射率の低下を抑制する観点から、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下、更に好ましくは0.80質量部以下、より更に好ましくは0.60質量部以下、より更に好ましくは0.40質量部以下である。
本発明において、前記リン系酸化防止剤(D−2)に対する前記フェノール系酸化防止剤(D−1)の質量比[(D−1)成分/(D−2)成分]は、下記式(I)を満たすことが好ましい。
0.20≦質量比[(D−1)成分/(D−2)成分]≦5.00 (I)
前記質量比[(D−1)成分/(D−2)成分]は、高い光反射率を得る観点、及び光反射率の低下を抑制する観点から、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.70以上であり、そして、成形時に発生するガスによるガス焼け等の不良に伴う光反射率の低下を抑制する観点から、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.00以下、更に好ましくは1.50以下、より更に好ましくは1.00以下である。
本発明に用いる光安定剤(E)の含有量は、得られる反射板の変色を防止し、光反射率の低下を抑制する観点から、ポリエステル(A)100質量部に対して、好ましくは0.10質量部以上、より好ましくは0.15質量部以上であり、そして、コスト抑制の観点から、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.2質量部以下、更に好ましくは0.8質量部以下である。
本発明のポリエステル組成物は、上記した各成分を、公知の方法に従って混合することによって調製することができる。例えば、ポリエステル(A)の縮重合反応時に各成分を添加する方法、ポリエステル(A)とその他の成分をドライブレンドする方法、押出機を用いて各成分を溶融混錬する方法等が挙げられる。これらの中でも操作が容易であること、均一な組成物が得られることなどから、押出機を用いて各成分を溶融混錬する方法が好ましい。この際に用いられる押出機は2軸スクリュー型のものが好ましく、溶融混錬温度としてはポリエステル(A)の融点より5℃高い温度以上350℃以下の範囲内であることが好ましい。
[LED反射板]
本発明のLED反射板は、上記本発明のポリエステル組成物からなり、該ポリエステル組成物を成形して得られる。成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形等の一般に熱可塑性樹脂組成物に対して用いる成形方法により反射板を得ることができる。また上記の成形方法を組み合わせた成形方法により反射板を得ることもできる。特に、成形容易性、量産性、コスト抑制の観点から、射出成形が好ましい。また、本発明のLED反射板は、前記ポリエステル組成物と他のポリマーとを複合成形することもでき、さらに、前記ポリエステル組成物を、金属からなる成形体や布帛等と複合化することできる。
本発明のLED反射板は、スペクトロフォトメーターによる波長460nmの光の反射率が、熱や光に晒された後でもその低下が少なく、高いレベルで維持できることを特徴とする。例えばポリエステル(A)100質量部に対し酸化チタン(B)の含有量が33質量部の場合、170℃で5時間にて短期加熱した後における初期反射率からの反射率の低下量は、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下、更に好ましくは2.0%以下である。これにより、LEDパッケージの製造工程において熱に晒された後の光反射率の低下を抑制することができる。
また、120℃で600時間にて長期加熱した後における初期反射率からの反射率の低下量は、好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.5%以下、更に好ましくは3.0%以下、より更に好ましくは2.5%以下である。これにより、反射板を長期使用環境下においても光反射率の低下を抑制することができる。
本発明のLED反射板のスペクトロフォトメーターによる波長460nmの光の初期反射率は、例えばポリエステル(A)100質量部に対し酸化チタン(B)の含有量が33質量部の場合、好ましくは92.0%以上、より好ましくは93.0%以上、更に好ましくは94.0%以上である。
上記各反射率の測定及び低下量の算出は、実施例に記載した方法による。
さらに、本発明のLED反射板は、例えばポリエステル(A)100質量部に対し酸化チタン(B)の含有量が33質量部の場合、50℃で24時間光照射した後に測定するスペクトロフォトメーターによる波長460nmの光の反射率が、好ましくは88.0%以上、より好ましくは88.5%以上、更に好ましくは89.0%以上である。
なお、上記光照射は、空気中で295nm〜780nmの光を透過させるフィルターを通したメタルハライドランプの光を300〜400nmの波長における照度が10mW/cm2となる位置で行ったものである。
上記反射率の測定は、実施例に記載した方法による。
本発明のLED反射板は、特に、LEDパッケージの製造工程や使用環境において熱や光に晒された後でも光反射率の低下が少なく高い光反射率(波長460nm付近の光に対する反射率)を維持する。そのため、本発明のLED反射板は、例えばバックライト光源、照明器具、自動車の各種ランプ等に用いられるLED用の反射板として好適に使用でき、本発明のLED反射板を備える発光装置は高寿命となる。
[発光装置]
本発明の発光装置は、上記本発明のLED反射板を備えることを特徴とする。本発明の発光装置の例としては、バックライト光源、照明用光源、自動車の各種ランプの光源等が挙げられる。
図1に本発明の発光装置の代表的な構成の一例を示す。図1は、SMD(surface mounted device)タイプの発光装置(LED装置)1を模式的に表したものである。発光装置1では基板20とリフレクタ(筐体)30により形成されるパッケージ状部50に半導体発光素子10が配置され、パッケージ状部50には封止部材40(光透過性の樹脂)が充填されている。
以下、本発明の発光装置の各要素を説明する。因みに本発明の発光装置は以下の要素に制限されるものではない。
<半導体発光素子>
半導体発光素子10は、発光ピーク波長を500nm以下の波長領域に有するものを好適に使用できる。単一の発光ピークを有する半導体発光素子に限られず、複数の発光ピークを有する半導体発光素子を用いることもできる。なお、複数の発光ピークを有する場合には、500nmよりも長波長の領域に1つ又は2つ以上の発光ピークを有していてもよい。また、可視光の長波長領域(501nm〜780nm)に発光ピークを有する半導体発光素子も用いることができる。
半導体発光素子10の構成は、上記の波長特性を備えるものであれば特に限定されない。例えばGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものを用いることができる。
また、発光層は任意のドーパントを含有するものであってもよい。
半導体発光素子10は適宜複数個用いることができる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子を2個、青色系及び赤色系が発光可能な発光素子をそれぞれ1個ずつとすることができる。
半導体発光素子10の基板20への接続方法には特に制限はないが、導電性のエポキシあるいはシリコーン接着剤を使用することができる。さらに半導体発光素子から発生する熱を効率良く基板へ伝えるために低融点の金属を使用することができる。例えば、Sn/Ag/Cu(融点220度)、Sn/Au(融点282度)等を例示することができる。
<パッケージ>
パッケージは半導体発光素子10が搭載される部材であり、一部又は全体が上述の本発明のLED反射板により形成される。パッケージは、単一の部材からなるものであっても、複数の部材を組み合わせて構成されるものであってもよい。
パッケージは、好ましくは凹部(カップ状部)を有する。パッケージの1つの例としては、リフレクタ(筐体)と基板を組み合わせたものが挙げられ、例えば、図1では、凹部(カップ状部)が形成されるように、基板20上に所望の形状のリフレクタ(筐体)30を接着させてパッケージが構成されている。基板20及びリフレクタ30は、上述のポリエステル組成物を成形した本発明のLED反射板より形成される。基板20及びリフレクタ30の一方のみが、本発明のLED反射板より形成されてもよい。このように複数の本発明のLED反射板を用いる場合には、ポリエステル組成物の組成を変えてLED反射板を形成することにより得られる異なる特性のLED反射板を組み合わせて用いてもよい。別の例としては、上述のポリエステル組成物を、1つの面側に凹部(カップ状部)が形成されるように成形し、パッケージを1つのLED反射板より形成した構成が挙げられる。さらに別の例として、パッケージとして平板状のLED反射板のみからなるものを用いることもできる。
パッケージに形成される凹部(カップ状部)とは、底部と側面部とを有し、光軸に垂直方向の断面の面積が、該底部から発光装置の光の取り出し方向に向かって連続的又は段階的に増加する形状を有する空間からなる部分をいう。かかる条件を満たす範囲において、底部及び側面部の形状は特に限定されるものではない。
<封止部材>
封止部材40は半導体発光素子10を被覆するように形成される部材であり、主として外部環境から半導体発光素子10を保護する目的で備えられる。
封止部材40には、半導体発光素子10や配線の保護を目的として透明熱硬化性樹脂を使用することができる。透明熱硬化性樹脂としてはエポキシあるいはシリコーンを含む熱硬化性樹脂を例示することができる。シリコーンはパッケージの要求特性に応じて樹脂タイプ、ゴムタイプ、ゲルタイプを使用することができる。また、リフレクタ30と封止部材40との密着性を高めるためにリフレクタ30をアルゴン等の希ガスプラズマで処理することができる。
異なる材料からなる複数の層が半導体発光素子10上に積層して形成されるように封止部材40を設けることもできる。
封止部材40に蛍光体を含有させることもできる。蛍光体を用いることにより、半導体発光素子10からの光の一部を異なる波長の光に変換することができ、発光装置の発光色を変化させ、又は補正することができる。
蛍光体は半導体発光素子10からの光により励起可能なものであれば任意のものを用いることができる。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物蛍光体、酸窒化物系蛍光体、サイアロン系蛍光体;Eu等のランタノイド系又はMn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩;Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩、あるいはEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機化合物及び有機錯体等から選ばれる1種以上が好ましく用いられる。
また複数種類の蛍光体を組み合わせて封止部材40に含有させることもできる。この場合には、半導体発光素子10からの光により励起されて発光する蛍光体、及び該蛍光体からの光により励起されて発光する蛍光体とを組み合わせて用いることもできる。
封止部材40に二酸化チタンや酸化亜鉛等の光拡散体を含有させることにより、封止部材40内での光の拡散を促進させて発光ムラを減少させることもできる。
図1の発光装置1は、例えば、次のように製造される。まず、本発明のLED反射板である基板20上に本発明のLED反射板であるリフレクタ30を配置する。続いて、半導体発光素子10をマウントし、半導体発光素子10の電極と基板20上の配線パターンとをリードで接続する。続いて、主剤と硬化剤からなる液状のシリコーン封止剤を準備し、カップ状部にポッティングする。この状態で約150℃に加熱してシリコーン封止剤を熱硬化させる。その後、空気中で放熱させる。
図2に他の構成からなる本発明の発光装置2の模式図を示す。図2において、発光装置1と同一の要素には同一の符号を付してある。発光装置2では、基板の代わりにリードフレーム80が用いられ、リードフレーム80の上に半導体発光素子10がマウントされる。その他の構成は、発光装置1と同様である。
図3に他の構成からなる本発明の発光装置3の模式図を示す。図3において、発光装置1と同一の要素には同一の符号を付してある。発光装置3では、本発明のLED反射板である基板70が用いられる。基板70には所望の配線71が施されている。また、筐体(リフレクタ)は用いられず、図示されるように半導体発光素子10をマウントした後、所望の型を用いた型成形により封止部材60を形成することができる。また、予め所望の形状に成形した封止部材60を用意しておき、これを半導体発光素子10を覆うように基板70に接着させてもよい。
以上、本発明の構成例としてSMDタイプの発光装置について説明したが、本発明は、カップ状部を有するリードフレーム上に半導体発光素子がマウントされ、半導体発光素子及びリードフレームの一部を封止部材で被覆してなる、いわゆる砲弾型発光ダイオードにも適用できる。また、半導体発光素子をいわゆるフリップチップの形に基板又はリードフレーム上にマウントしたフリップチップタイプの発光装置にも適用できる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における各評価は、以下に示す方法に従って行った。
(融点)
ポリエステル(A)の融点は、メトラー・トレド(株)製の示差走査熱量分析装置「DSC822」を使用して、窒素雰囲気下で、30℃から350℃へ10℃/minの速度で昇温した時に現れる融解ピークのピーク温度を融点(℃)とした。なお、融解ピークが複数ある場合は最も高温側の融解ピークのピーク温度を融点とした。
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、以下の条件でGPCにより測定した。
カラム:東ソー社製TSKgel Super HM−N 2本
溶離液:ヘキサフルオロイソプロパノール(トリフルオロ酢酸ナトリウム0.085質量%添加)
流量:0.4mL/min
試料:ポリエステル(A)2.5mgをヘキサフルオロイソプロパノール溶液5mL(トリフルオロ酢酸ナトリウム0.085質量%添加)に溶解し、調製した。
カラム温度:40℃
検出器:紫外検出器(測定波長:254nm)
標準物質:ポリメタクリル酸メチル
(強熱減量)
酸化チタン(B)を真空乾燥機内で120℃で2時間予備加熱処理し、表面に物理吸着している付着水分を除去した。次いで真空乾燥機内で真空状態を維持したまま室温(23℃)に降温した後、酸化チタン(B)の質量(以下、「質量α」と称する)を測定した。次いで酸化チタン(B)を真空乾燥機内で常圧下550℃で2時間本加熱処理した後、真空状態にして真空状態を維持したまま室温(23℃)に降温した。この段階の酸化チタン(B)の質量(以下、「質量β」と称する)を測定し、下記式より強熱減量を算出した。
強熱減量(質量%)={(質量α−質量β)/質量α}×100
なお、酸化チタン(B)のサンプリング、上記の質量α及びβの測定及び強熱減量の算出を10回行い、その平均値を強熱減量とした。結果を表1に示す。
(初期反射率)
実施例及び比較例で得られたポリエステル組成物を用い、ポリエステルの融点よりも約10℃高いシリンダー温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、厚さ1mm、幅40mm、長さ100mmの試験片を作製した。この試験片の460nmの波長の光の反射率(初期反射率)を(株)日立製作所製スペクトロフォトメーター(U−4000)により求めた。結果を表1に示す。
(短期加熱後の反射率の低下量(1))
実施例及び比較例で得られたポリエステル組成物を用い、ポリエステルの融点よりも約10℃高いシリンダー温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、厚さ1mm、幅40mm、長さ100mmの試験片を作製した。この試験片を熱風乾燥機中、170℃で5時間加熱処理した。加熱処理後の試験片の460nmの波長の光の反射率(1)を(株)日立製作所製スペクトロフォトメーター(U−4000)により求め、下記式より短期加熱後の光の反射率の低下量(1)を求めた。結果を表1に示す。
低下量(1)(%)=(初期反射率(%))−(反射率(1)(%))
(長期加熱後の反射率の低下量(2))
実施例及び比較例で得られたポリエステル組成物を用い、ポリエステルの融点よりも約10℃高いシリンダー温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、厚さ1mm、幅40mm、長さ100mmの試験片を作製した。この試験片を熱風乾燥機中、120℃で600時間加熱処理した。加熱処理後の試験片の460nmの波長の光の反射率(2)を(株)日立製作所製スペクトロフォトメーター(U−4000)により求め、下記式より長期加熱後の光の反射率の低下量(2)を求めた。結果を表1に示す。
低下量(2)(%)=(初期反射率(%))−(反射率(2)(%))
(光照射後の反射率)
実施例及び比較例で得られたポリエステル組成物を用い、ポリエステルの融点よりも約10℃高いシリンダー温度で射出成形(金型温度:140℃)を行い、厚さ1mm、幅40mm、長さ100mmの試験片を作製した。この試験片を、紫外線照射装置(東芝ライテック株式会社製「トスキュア401」、ランプ:H400L/2)の、上部ランプ照射面から25cmの距離に設置し、50℃、24時間の光照射を行った。光照射後の試験片の460nmの波長の光の反射率を(株)日立製作所製スペクトロフォトメーター(U−4000)により求めた。結果を表1に示す。
(成形性)
実施例及び比較例で得られたポリエステル組成物を、真空乾燥機を用い110℃、5時間乾燥させた後、射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名:SE18DU)の原料供給口に直接投入した。
ポリエステルの融点よりも約10℃高いシリンダー温度で、シリンダー内部で3分間滞留させ、ノズル先端部からのポリエステル組成物の流出状態を観察し、射出成形性を以下の評価基準に基づいて評価した。詳細な温度条件を下記に示す。
〔温度条件〕
成形温度:原料供給口290℃、シリンダー温度300℃、ノズル先端部300℃
金型温度:150℃
〔評価基準〕
A:3分間滞留させても、ノズル先端部から溶融したポリエステル組成物が垂れてこない。
B:3分間滞留させると、ノズル先端部から溶融したポリエステル組成物がやや垂れてくる。
C:3分間滞留させると、ノズル先端部からの溶融したポリエステル組成物の垂れが大きく、射出成形が困難である。
なお、実施例及び比較例で用いた各成分は下記のとおりである。
〔ポリエステル(A)〕
・A−1:ジカルボン酸単位の100モル%がテレフタル酸単位であり、かつジオール単位の100モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール単位であるポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス異性体比率:70質量%、融点:290℃、重量平均分子量:7,000)
〔表面被覆酸化チタン(B)〕
・B−1:二酸化チタン(デュポン社製、商品名:R−105、TiO含有量:92質量%、無機処理:アルミナ、シリカ、有機処理:有り)
・B−2:二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:CR−90、TiO含有量:90質量%、無機処理:アルミナ、シリカ)
・B−3:二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:PFC106、TiO含有量:89質量%、無機処理:アルミナ、シリカ、有機処理:有り)
・B−4:二酸化チタン(デュポン社製、商品名:R−960、TiO含有量:89質量%、無機処理:アルミナ、シリカ)
・b−1:二酸化チタン(デュポン社製、商品名:R−350、TiO含有量:95質量%、無機処理:アルミナ、シリカ、有機処理:有り)
・b−2:二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:CR−63、TiO含有量:97質量%、無機処理:アルミナ、シリカ、有機処理:有り)
・b−3:二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:PFC107、TiO含有量:88質量%、無機処理:アルミナ、シリカ、有機処理:有り)
・b−4:二酸化チタン(石原産業(株)製、商品名:PFC105、TiO含有量:87質量%、無機処理:アルミナ、シリカ、ジルコニア、有機処理:有り)
・b−5:二酸化チタン(デュポン社製、商品名:R−931、TiO含有量:80質量%、無機処理:アルミナ、シリカ)
各酸化チタンの平均粒径(カタログ値)は、表1に示す。
〔強化材(C)〕
・ガラス繊維:日本電気硝子(株)製、商品名:「T−176H」、平均繊維径10.5μm、平均繊維長3mm、円形断面
〔酸化防止剤(D)〕
・D−1: N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](BASFジャパン(株)製、商品名:IRGANOX1098)
・D−2:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン(株)製、商品名:IRGAFOS168)
〔光安定剤(E)〕
・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,3−ベンゼンジカルボキサミド(クラリアントジャパン(株)製、商品名:Nylostab S−EED)
〔その他の成分〕
・離型剤:ポリプロピレン分解タイプ(三井化学(株)製、商品名:ハイワックス NP055)
・核剤:タルク(富士タルク工業(株)製、商品名:タルクPKP80)
実施例1〜4及び比較例1〜5
ポリエステル(A−1)100質量部に対して、上記の各酸化チタン(B)33質量部、上記離型剤0.50質量部、上記核剤0.17質量部、及び上記フェノール系酸化防止剤(D−1)0.17質量部、上記リン系酸化防止剤(D−2)0.17質量部、及び上記光安定剤(E)0.17質量部をドライブレンドし、得られた混合物を2軸押出機(スクリュー径:32mm、L/D=30、回転数150rpm)のホッパーからフィードして、同時に、サイドフィーダーより上記強化材(C)33質量部を添加して300℃で溶融混練し、ストランド状に押出した後、ペレタイザにより切断してペレット状のポリエステル組成物を得た。得られたポリエステル組成物を用いて、所定形状の試験片を作製し、評価に用いた。結果を表1に示す。
Figure 2018235821
表1に示したように、実施例1〜4のポリエステル組成物は、比較例1〜5と比較して、成形性に優れ、かつ初期反射率がいずれも高く、加熱処理した後においても波長460nmの光に対する反射率の低下量が小さい。さらに紫外線波長領域の光照射後の波長460nmの光に対する反射率はいずれも88%以上である。これらの結果から、本発明のポリエステル組成物を用いることにより、優れた成形性を有し、LEDパッケージの製造工程や使用環境においても光反射率が低下せず、良好な光学特性を有するLED反射板が得られることがわかる。また、該反射板を備える発光装置、及び該発光装置を備える照明器具は、優れた光学特性及び高寿命を可能とする。
本発明によれば、優れた成形性を有し、かつ熱や光に晒された後においても光反射率の低下が少なく高い光反射率を維持するLED反射板用ポリエステル組成物、該組成物からなるLED反射板、及び該反射板を備える発光装置を提供することができる。本発明のポリエステル組成物は、特に照明器具用のLED反射板に好適である。
1,2,3 発光装置
10 半導体発光素子
20 基板
30 リフレクタ(筐体)
40 封止部材
50 パッケージ状部
60 封止部材
70 基板
71 配線
80 リードフレーム

Claims (8)

  1. LED反射板用ポリエステル組成物であって、
    該ポリエステル組成物がポリエステル(A)及び表面被覆酸化チタン(B)を含有し、
    該ポリエステル(A)における、ジカルボン酸に由来する構成単位の50モル%以上がテレフタル酸に由来する構成単位であり、かつジオールに由来する構成単位の50モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位であり、
    該酸化チタン(B)を120℃で2時間予備加熱処理し、550℃で2時間本加熱処理した際における該本加熱による強熱減量が0.50〜1.20質量%であり、
    該酸化チタン(B)の含有量が、該ポリエステル(A)100質量部に対して、10〜90質量部である、LED反射板用ポリエステル組成物。
  2. ポリエステル(A)が、ジカルボン酸に由来する構成単位の75〜100モル%がテレフタル酸に由来する構成単位であり、かつジオールに由来する構成単位の75〜100モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位であるポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートである、請求項1に記載のLED反射板用ポリエステル組成物。
  3. さらに、強化材(C)を、ポリエステル(A)100質量部に対して、5〜50質量部含有する、請求項1又は2に記載のLED反射板用ポリエステル組成物。
  4. 強化材(C)がガラス繊維である、請求項3に記載のLED反射板用ポリエステル組成物。
  5. さらに、酸化防止剤(D)を、ポリエステル(A)100質量部に対して、0.10〜1.0質量部含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のLED反射板用ポリエステル組成物。
  6. さらに、光安定剤(E)を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED反射板用ポリエステル組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のLED反射板用ポリエステル組成物からなる、LED反射板。
  8. 請求項7に記載のLED反射板を備える、発光装置。
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