発明者は、断面がハット形状の部材(以降、ハット部材という)と、ハット部材に接合されるクロージングプレートと、で形成される管状部すなわち閉断面構造材に、補強部材を配置した構造部材の衝撃に対する挙動について調べた。図1Aは、ハット部材とクロージングプレートで形成される閉断面構造材55と、補強部材45とを含む構造部材5の例を示す図である。図1Aでは、閉断面構造材55の長手方向の両端部が台60に支持される。閉断面構造材55の長手方向中央に補強部材45が配置される。このように、構造部材5は、長手方向の両端部が支持された状態で、構造物(例えば、車両、建物又は容器等)の一部を構成することが多い。
そこで、発明者は、両端部が支持された構造部材の長手方向中央に、長手方向に垂直な方向(図1Aの例では、矢印y1の方向)の衝撃を加えた場合の構造部材の変形挙動を調べた。図1Bは、図1Aに示す構造部材5に矢印y1の方向の衝撃を加えた場合の変形の様子を示す図である。図1Bに示す例では、閉断面構造材55において、補強部材45の両端付近RTで、折れが発生している。このように、閉断面構造材55に補強部材45を配置した場合、補強部材45の際で折れやすくなる。この補強部材45の両端付近の折れによって、構造部材5の衝撃方向における変形による突出度合いが大きくなる傾向があることがわかった。
発明者は、補強部材の両端の部分の折れを抑えるための構成について検討した。検討の中で、閉断面構造材55の強度分布を変えることを思い付いた。そこで、発明者は、構造部材の強度分布を変化させることで、補強部材の周辺における折れ変形を抑えることをさらに検討した。
発明者は、構造部材の材料強度及び強度分布について、鋭意検討した結果、構造部材の側壁に、降伏強度が500MPa以上の高強度部と、高強度部より強度が低い低強度部を長手方向に並べて配置する構成に想到した。この構成において、側壁の高強度部に対応する位置に補強部材を配置し、補強部材と低強度部との距離を適切に設定することで、補強部材の端部付近における折れ変形が抑えられることを見出した。この知見に基づき、下記実施形態の構造部材に想到した。
(構造1)
本発明の実施形態における構造1の構造部材は、閉断面構造材と、前記閉断面構造材に取り付けられる補強部材とを備える。前記閉断面構造材は、少なくとも1枚のクロージングプレートと、ハット部材とを有する。前記ハット部材は、頂面部と、前記頂面部の両端部にある2つの第1の稜線と、それぞれが前記クロージングプレートに接合された2つのフランジと、前記2つのフランジの端部にある2つの第2の稜線と、前記2つの第1の稜線と前記2つの第2の稜線の間にそれぞれ位置する2つの側壁を有する。前記2つの側壁の前記頂面部に垂直な方向における高さは、それぞれH1、H2である。前記2つの側壁のそれぞれは、高強度部と低強度部を有する。前記高強度部の降伏強度は、500MPa以上である。前記低強度部は、前記高強度部と前記第1の稜線の延在方向において隣り合って配置される。前記低強度部の降伏強度は、前記高強度部の降伏強度の60〜85%である。前記補強部材は、前記ハット部材の前記頂面部の少なくとも一部に隣接して設けられる。前記第1の稜線の延在方向において、前記補強部材の両端は、前記側壁の前記高強度部と重なる位置に配置される。前記補強部材の両端のうち少なくとも一方の端から前記第1の稜線の延在方向に前記補強部材から離れる方向に向かって前記H1の1/3〜3/2倍離間した領域と前記H2の1/3〜3/2倍離間した領域との重複した範囲に前記高強度部と前記低強度部の境界が配置される。
上記構造1において、前記頂面部に垂直な方向における前記側壁の長さH1、H2は、前記頂面部に垂直な方向における各側壁の前記第1の稜線と前記第2の稜線との間の距離と定義する。なお、2つのフランジは、第2の稜線に垂直な面における断面において、第2の稜線のそれぞれから互いに離れる方向へ延びる。また、頂面部に垂直な方向は、頂面部の表面に垂直な方向、すなわち、頂面に垂直な方向である。構造1では、頂面部に垂直な方向を、側壁の高さ方向と定義する。
上記構造1では、ハット部材の2つの側壁のそれぞれにおいて、高強度部と低強度部が、第1の稜線の延在方向に並んで配置される。また、第1の稜線の延在方向において、補強部材の両端は、側壁の高強度部と重なる。ここでは、2つの側壁の高強度部のいずれもが補強部材の両端と重なるものとする。このように、補強部材は、側壁の高強度部に対応する位置に配置される。さらに、第1の稜線の延在方向において、補強部材の両端の少なくとも一方から、(H1)/3〜3(H1)/2かつ(H2)/3〜3(H2)/2の範囲に高強度部と低強度部の境界が配置される。これにより、構造部材の補強部材が配置された部分において、頂面部側から頂面部に垂直な方向に衝撃が加わった場合、補強部材の両端の少なくとも一方の付近における側壁の変形を、早期に低強度部へ分散することができる。その結果、補強部材の周辺における衝撃方向の折れの度合いが抑制される。すなわち、構造1の構造部材は、ハット材の頂面部から加えられた衝撃に対して変形度合いが小さい。
(構造2)
本発明の実施形態における構造2の構造部材は、閉断面構造材と、前記閉断面構造材に取り付けられる補強部材とを備える。前記閉断面構造材は、少なくとも1枚のクロージングプレートと、ハット部材とを有する。前記ハット部材は、頂面部と、前記頂面部の両端部にある2つの第1の稜線と、それぞれが前記クロージングプレートに接合された2つのフランジと、前記2つのフランジの端部にある2つの第2の稜線と、前記2つの第1の稜線と前記2つの第2の稜線の間にそれぞれ位置する2つの側壁を有する。前記2つの側壁の前記クロージングプレートに垂直な方向における高さは、それぞれH1、H2である。前記2つの側壁のそれぞれは、高強度部と低強度部を有する。前記高強度部の降伏強度は、500MPa以上である。前記低強度部は、前記高強度部と前記第1の稜線の延在方向において隣り合って配置される。前記低強度部の降伏強度は、前記高強度部の降伏強度の60〜85%である。前記補強部材は、前記クロージングプレートの少なくとも一部又は、前記ハット部材の前記2つの側壁の少なくとも一部に隣接して設けられる。前記第1の稜線の延在方向において、前記補強部材の両端は、前記側壁の前記高強度部と重なる位置に配置される。前記補強部材の両端のうち少なくとも一方の端から前記第1の稜線の延在方向に前記補強部材から離れる方向に向かって前記H1の1/3〜3/2倍離間した領域と前記H2の1/3〜3/2倍離間した領域との重複した範囲に前記高強度部と前記低強度部の境界が配置される。
上記構造2において、前記クロージングプレートに垂直な方向における前記側壁の長さH1、H2は、前記クロージングプレートに垂直な方向における各側壁の前記第1の稜線と前記第2の稜線との距離と定義する。なお、2つのフランジは、第2の稜線に垂直な面における断面において、第2の稜線のそれぞれから互いに離れる方向へ延びる。また、クロージングプレートに垂直な方向は、クロージングプレートの表面に垂直な方向である。構造2では、クロージングプレートに垂直な方向を、側壁の高さ方向と定義する。
構造2では、ハット部材の2つの側壁のそれぞれにおいて、高強度部と低強度部が、第1の稜線の延在方向に並んで配置される。また、第1の稜線の延在方向において、補強部材の両端は、側壁の高強度部と重なる。さらに、第1の稜線の延在方向において、補強部材の両端の少なくとも一方から、H1/3〜3H1/2かつH2/3〜3H2/2の範囲に高強度部と低強度部の境界が配置される。これにより、構造部材の補強部材が配置された部分において、クロージングプレート側からクロージグプレートに垂直な方向に衝撃が加わった場合、補強部材の両端の少なくとも一方の付近における側壁の変形を、早期に低強度部へ分散することができる。その結果、補強部材の周辺における衝撃方向の折れの度合いが抑制される。すなわち、構造2の構造部材は、クロージングプレートから加えられた衝撃に対して変形度合いが小さい。
上記構造2において、補強部材が、クロージングプレートの少なくとも一部に隣接される形態には、補強部材がクロージングプレートの少なくとも一部に接する形態の他、補強部材とクロージングプレートの少なくとも一部との距離が、フランジと側壁の間の湾曲部の高さ以下である形態も含む。補強部材が2つの側壁の少なくとも一部に隣接される形態には、補強部材が2つの側壁の少なくとも一部に接する形態の他、補強部材と2つの側壁の少なくとも一部との距離が、フランジと側壁の間の湾曲部の高さ以下である形態も含む。補強部材が配置された部分は、クロージングプレートから加えられた衝撃に対してより変形度合いが小さくなる。なお、構造2において、湾曲部の高さは、クロージングプレートに垂直な方向における高さとする。
上記構造2における補強部材は、例えば、2つの側壁の少なくとも一部から第2の稜線を経てフランジに至るまでの領域に隣接して設けられてもよい。また、補強部材は、2つの側壁において、第2の稜線から第1の距離の範囲の領域に隣接してもよい。ここで、第1の距離は、フランジと側壁の間の湾曲部の曲率半径である。
また、上記構造2における補強部材は、クロージングプレートと側壁の双方に隣接してもよい。一例として、クロージングプレートが閉断面構造材の内側へ凹む凹部を有してもよい。この場合、補強部材を、閉断面構造材の内部において、クロージングプレートの凹部と2つ側壁の双方に隣接するよう設けてもよい。この構成において、凹部のクロージングプレートに垂直な方向の深さは、2つの側壁の第1の稜線と第2の稜線の間の長さのうち短い方の2/5すなわち40%以下とする。
(構造3)
本発明の実施形態における構造3の構造部材は、閉断面構造材と、前記閉断面構造材に取り付けられる補強部材とを備える。前記閉断面構造材は、少なくとも1枚のクロージングプレートと、溝型部材とを有する。前記溝型部材は、頂面部と、前記頂面部の両端部にある2つの第1の稜線と、それぞれが前記クロージングプレートに接合される2つの接合部と、前記2つの第1の稜線と前記2つの接合部との間に、それぞれ位置する2つの側壁を有する。前記2つの側壁の前記頂面部に垂直な方向における高さは、それぞれH1、H2である。前記2つの側壁のそれぞれは、高強度部と低強度部を有する。前記高強度部の降伏強度は、500MPa以上である。前記低強度部は、前記高強度部と前記第1の稜線の延在方向において隣り合って配置される。前記低強度部の降伏強度は、前記高強度部の降伏強度の60〜85%である。前記補強部材は、前記ハット部材の前記頂面部の少なくとも一部に隣接して設けられる。前記第1の稜線の延在方向において、前記補強部材の両端は、前記側壁の前記高強度部と重なる位置に配置される。前記補強部材の両端のうちすくなくとも一方の端から前記第1の稜線の延在方向に前記補強部材から離れる方向に向かって前記H1の1/3〜3/2倍離間した領域と前記H2の1/3〜3/2倍離間した領域との重複した範囲に前記高強度部と前記低強度部の境界が配置される。
上記構造3において、前記頂面部に垂直な方向における前記側壁の長さH1、H2は、前記頂面部に垂直な方向における各側壁の前記第1の稜線と、前記接合部を前記第1稜線の延在方向に結ぶ接合線(仮想線)との距離と定義する。構造3では、頂面部に垂直な方向を、側壁の高さ方向と定義する。
構造3の構造部材は、フランジが無い点が構造1と相違する。すなわち、構造1のハット材が、構造3の溝型材に対応する。構造3の構造部材も、構造1の構造部材と同様に、溝型材の頂面部から加えられた衝撃に対して変形度合いが小さい。
(構造4)
本発明の実施形態における構造4の構造部材は、閉断面構造材と、前記閉断面構造材に取り付けられる補強部材とを備える。前記閉断面構造材は、少なくとも1枚のクロージングプレートと、溝型部材とを有する。前記溝型部材は、1つの頂面部と、前記頂面部の両端部にある2つの第1の稜線と、前記クロージングプレートに接合されたフランジと、前記フランジの端部にある1つの第2の稜線と、前記第1の稜線と前記第2の稜線の間に位置する第1の側壁と、前記クロージングプレートに接合される接合部と、前記第1の稜線と前記接合部との間に位置する第2の側壁とを有する。前記第1の側壁の前記頂面部に垂直な方向における高さは、H1である。前記第2の側壁の前記頂面部に垂直な方向における高さは、H2である。前記第1の側壁及び前記第2の側壁のそれぞれは、高強度部と低強度部を有する。前記高強度部の降伏強度は、500MPa以上である。前記低強度部は、前記高強度部と前記第1の稜線の延在方向において隣り合って配置される。前記低強度部の降伏強度は、前記高強度部の降伏強度の60〜85%である。前記補強部材は、前記ハット部材の前記頂面部の少なくとも一部に隣接して設けられる。前記第1の稜線の延在方向において、前記補強部材の両端は、前記第1の側壁及び前記第2の側壁の前記高強度部と重なる位置に配置される。前記補強部材の両端の少なくとも一方の端から前記第1の稜線の延在方向に前記補強部材から離れる方向に向かって前記H1の1/3〜3/2倍離間した領域と前記H2の1/3〜3/2倍離間した領域との重複した範囲に前記高強度部と前記低強度部の境界が配置される。
上記構造4において、前記側壁の長さH1は、前記頂面部に垂直な方向における前記第1の側壁の前記第1の稜線と前記第2の稜線との距離と定義すれる。前記側壁の長さH2は、前記第2の側壁の前記接合部を前記第1稜線の延在方向に結ぶ接合線(仮想線)と、前記第1の稜線との前記頂面部に垂直な方向における距離と定義する。構造3では、頂面部に垂直な方向を、側壁の高さ方向と定義する。
構造4の構造部材は、構造3の変形例である。構造3は溝型材の両端にフランジが無いのに対して、構造4は溝型材の両端のうち一方の端部にはフランジがあり、他方の端部にフランジがない。構造4の構造部材は、構造1や構造3と同様に、溝型材の頂面部から加えられた衝撃に対して変形度合いが小さい。
上記構造1、3及び4において、補強部材が、頂面部の少なくとも一部に隣接する形態には、補強部材が頂面部の少なくとも一部接する形態の他、補強部材と頂面部の少なくとも一部との距離が、前記頂面部と前記側壁の間の湾曲部の高さ以下である形態も含む。補強部材が配置された部分は、頂面部から加えられた衝撃に対してより変形度合いが小さくなる。構造1、3及び4において、湾曲部の高さは、頂面部に垂直な方向における湾曲部の高さとする。
また、上記構造1、3及び4において、補強部材は、頂面部と側壁の双方に隣接してもよい。一例として、頂面部が閉断面構造材の内側へ凹む凹部を有してもよい。この場合、補強部材を、閉断面構造材の内部において、頂面部の凹部と2つ側壁に隣接するよう設けてもよい。この構成において、頂面部の凹部の頂面部に垂直な方向における深さは、2つの側壁の第1の稜線と第2の稜線の間の長さのうち短い方の2/5すなわち40%以下とする。
(構造5)
次に構造5について説明する。上記構造1〜4のいずれかにおいて、前記第1の稜線の延在方向における前記低強度部の寸法は、H1の3/5倍以上かつ、H2の3/5倍以上であることが好ましい。これにより、さらに、高強度部への衝撃による構造部材の変形度合いをより抑えることができる。
(構造6)
次に構造6について説明する。上記構造1〜5のいずれかにおいて、前記第1の稜線の延在方向において、前記低強度部は前記高強度部の両隣に配置されることが好ましい。構造部材に衝撃が加わった場合、補強部材の両端における側壁の変形を、早期に低強度部へ分散することができる。
上記構造6において、前記補強部材は、前記2つの側壁それぞれにおける高強度部の両隣に配置された前記低強度部の中央と、前記第1の稜線の延在方向において重なる位置に配置されてもよい。
(構造7)
次に構造7について説明する。上記構造1〜6のいずれかにおいて、前記補強部材は、前記閉断面構造材の前記第1の稜線の延在方向における中央に配置されることが好ましい。前記閉断面構造材の第1の稜線の延在方向の中央は、衝撃によるモーメントが大きくなりやすい。構造7のように、第1の稜線の延在方向の中央に高強度部を配置し、その両側に低強度を配置することで、衝撃による構造部材の変形を効率良く抑えることができる。
(構造8)
次に構造8について説明する。上記構造1、3及び4のいずれかにおいて、前記側壁の前記第1の稜線側の一方端と前記第1の稜線と反対側の他方端の間において、前記側壁の前記一方端から前記他方端に向かって、前記側壁の前記一方端と前記他方端の間の長さの1/4の位置までの間の領域に、前記低強度部の前記一方端側の端部があってもよい。前記低強度部の前記一方端から前記他方端に向かう方向の長さは、前記側壁の前記一方端と前記他方端の間の長さの1/5以上である。この場合、前記低強度部の前記一方端側の端部と前記側壁の前記一方端の間の側壁の降伏強度は、500MPa以上かつ前記低強度部より高い。
上記構造8によれば、頂面部への衝撃に対する構造部材の変形を効率良く抑えることができる。
上記構造8において、側壁が第1の稜線と第2の稜線との間に位置する場合は、第1の稜線が側壁の一方端となり、第2の稜線が側壁の他方端となる。そのため、側壁の一方端と他方端の間の長さは、第1の稜線と第2の稜線の間隔(距離)となる。側壁が第1の稜線と接合部の間に位置する場合は、第1の稜線が一方端となり、接合部を第1の稜線の延在方向に結んだ接合線が他方端となる。そのため、側壁の一方端と他方端の間の長さは、第1の稜線と接合線との間隔(距離)で定義する。
(構造9)
次に構造9について説明する。上記構造2において、前記側壁の前記第1の稜線側と反対側の一方端と前記第1の稜線側の他方端の間において、前記側壁の前記一方端から前記他方端に向かって、前記側壁の前記一方端と前記他方端の間の長さの1/4の位置までの間の領域に、前記低強度部の前記一方端側の端部があってもよい。前記低強度部の前記一方端から前記他方端に向かう方向の長さは、前記側壁の前記一方端と前記他方端の間の長さの1/5以上であってもよい。この場合、前記低強度部の前記一方端側の端部と前記側壁の前記一方端の間の側壁の降伏強度は、500MPa以上かつ前記低強度部より高い。
上記構造9によれば、クロージングプレートへの衝撃に対する構造部材の変形を効率良く抑えることができる。
上記構造9において、側壁が第1の稜線と第2の稜線との間に位置する場合は、第2の稜線が側壁の一方端となり、第1の稜線が側壁の他方端となる。そのため、側壁の一方端と他方端の間の長さは、第1の稜線と第2の稜線の間隔(距離)となる。側壁が第1の稜線と接合部の間に位置する場合は、接合部を第1の稜線の延在方向に結んだ接合線が一方端となり、第1の稜線が他方端となる。そのため、側壁の一方端と他方端の間の長さは、第1の稜線と接合線との間隔(距離)と定義する。
(構造10)
次に構造10について説明する。上記構造1、3、4、及び8のいずれかにおいて、前記構造部材は、前記頂面部側に凸となるよう湾曲することが好ましい。これにより、頂面部への衝撃に対して構造部材が変形しにくくなる。
(構造11)
次に構造11について説明する。上記構造2、又は10において、前記構造部材は、前記クロージングプレート側に凸となるよう湾曲することが好ましい。これにより、クロージングプレートへの衝撃に対して構造部材が変形しにくくなる。
(構造12)
次に構造12について説明する。上記構造1〜11のいずれかにおいて、前記第1の稜線の延在方向に垂直な面の断面において、前記クロージングプレートが前記ハット部材又は前記溝側部材と接合される部分を結ぶ仮想線分の少なくとも一部は、前記頂面部と前記クロージングプレートの間にある態様としてもよい。構造12では、前記クロージングプレートは、前記ハット部材又は前記溝型部材と重ねられる一対の重ね合わせ部及び前記一対の重ね合わせ部の間の中間部を含む。この中間部は、前記重ね合わせ部に対して前記ハット部材又は溝型部材から離れる方向へ突出して形成される。
(構造13)
次に構造13について説明する。構造13は、上記構造1〜12のいずれかの構造部材を含む車体構造である。構造13において、前記補強部材は、センターピラーであり、前記閉断面構造材は、ロッカー又はルーフレールである。構造13の車体構造も、本発明の実施形態の一例である。
(構造14)
次に構造14について説明する。構造14は、上記構造1〜12のいずれかの構造部材で形成されるバンパリインフォースメントである。構造14のバンパリインフォースメントも、本発明の実施形態の一例である。
上記構造1〜12のいずれかの構造部材は、例えば、他の部材(例えば、車体を構成する部材)に取り付けられてもよい。この場合、前記頂面部又は前記クロージングプレートは、前記第1の稜線の延在方向に離間した2箇所に設けられる2つの連結部であって、他の部材に連結される2つの連結部を含んでもよい。この場合、2つの連結部の間の前記第1の稜線の延在方向における距離は、H1の6倍以上かつH2の6倍としてもよい。この場合、高強度部は、前記2つの連結部の間の中央に配置されることが好ましい。この場合、補強部材も、前記2つの連結部の間の中央に配置される。これにより、衝撃による構造部材の変形を効率良く抑えることができる。具体的には、2つの連結部の間の長さが、側壁の高さH1の6倍以上かつH2の6倍以上の場合に、1つの連結部の中央の構造部材に衝撃が加わった場合に最もモーメントの負荷が高くなることが発明者によって見出された。上記構造によれば、モーメントの負荷が大きくなる部分を高強度部及び補強部材で補強し、かつ、補強部材周辺の衝撃に対する変形度合いを抑えることができる。
また、構造部材は、閉断面構造材の両端が他の部材に支持された状態で使用されることが多い。そのため、閉断面構造材の第1の稜線の延在方向における長さを、側壁の高さH1の6倍以上かつH2の6倍以上とし、閉断面構造材の第1の稜線の延在方向における中央に、高強度部及び補強部材を配置することが好ましい。これにより、モーメントの負荷が大きくなる部分を高強度部及び補強部材で補強し、かつ、補強部材周辺の衝撃に対する変形度合いを抑えることができる。
上記構造1〜12のいずれかの構造部材において、前記補強部材の両端のうちすくなくとも一方の端から前記第1の稜線の延在方向に前記補強部材から離れる方向に向かって前記H1の1/3〜1倍離間した領域と前記H2の1/3〜1倍離間した領域との重複した範囲に前記高強度部と前記低強度部の境界が配置されることが好ましい。これにより、補強部材の周辺における衝撃方向の折れの度合いがより抑制される。
上記構造1〜12において、補強部材は、閉断面構造材の外部又は内部、もしくは、その両方に配置されてもよい。また、補強部材全体のうち少なくとも両端の部分が、第1の稜線の延在方向において、高強度部と重なっていればよい。例えば、補強部材の両端以外の部分と第1の稜線の延在方向において重なる位置の側壁に、高強度部より降伏強度が低い部分があってもよい。なお、補強部材は、閉断面構造材に固定される。例えば、溶接(スポット溶接、レーザー溶接その他の溶接を含む)、接着剤、又は、ろう付け等により、補強部材が、閉断面構造材に固定される。
上記構造1、3及び4の構造部材は、ハット材の頂面部に加えられた衝撃に対して変形度合いが小さい。そのため、頂面部を衝撃入力面とする構造部材(以下、順ハット部材と称する)に好適に用いられる。上記構造2の構造部材は、クロージングプレートに加えられた衝撃に対して変形度合いが小さい。そのため、クロージングプレートを衝撃入力面とする構造部材(以下、逆ハット部材と称する)に好適に用いられる。
[実施形態]
図2Aは、本実施形態における構造部材10の構成を示す斜視図である。図2Bは、図2Aに示す構造部材10を長手方向(y方向)から見た側面図である。図2Cは、図2Aに示す構造部材10を長手方向に垂直な方向(x方向)から見た側面図である。
図2A〜図2Cに示す構造部材10は、ハット型の断面を有するハット部材1と、ハット部材1に接合されるクロージングプレート2を備える。ハット部材1とクロージングプレート2は、管状の閉断面構造材を形成する。閉断面構造材には、補強部材4が配置される。図2A〜図2Cに示す例では、補強部材4は、ハット部材1に取り付けられる。すなわち、構造部材10は、ハット部材1とクロージングプレート2で形成される閉断面構造材と、補強部材4とを備える。
図2Aに示すように、ハット部材1は、頂面部13と、一対の側壁11,12と、一対のフランジ14を有する。一対の側壁11,12は、頂面部13の両端から延び、互いに対向する。一対のフランジ14は、一対の側壁11,12それぞれにおいて、側壁11,12の頂面部13側の一方端部とは反対側の他方端部から一対の側壁11,12の対向方向外側へ延びる。クロージングプレート2は、一対のフランジ14に接合して設けられる。
頂面部13と一対の側壁11,12との境界部分(肩部)123は、閉断面構造材の長手方向に延びる第1の稜線123を形成する。閉断面構造材の長手方向は、第1の稜線123の延在方向である。フランジ14と一対の側壁11,12との境界部分(肩部)124は、閉断面構造材の長手方向に延びる第2の稜線124を形成する。本例では、閉断面構造材の長手方向は、第2の稜線124の延在方向と同じである。なお、閉断面構造材の長手方向と、第2の稜線124の延在方向は、同じでなくてもよい。
一対の側壁11、12のうち一方の側壁11の高さ及び他方の側壁12の高さはいずれもHである。ここで、側壁11、12の高さは、頂面部13に垂直な方向(z方向)における第1の稜線123と第2の稜線124の間の距離とする。
閉断面構造材(管状部)の長手方向は、管状部の軸方向又は管状部の長さ方向と称することもできる。図2Aに示す例では、閉断面構造材の長手方向は、y方向であり、構造部材10の長手方向と同じである。また、閉断面構造材の長手方向は、管状部の中心軸(軸心)の方向と同じである。
第1の稜線123及び第2の稜線124の延在方向(y方向)における構造部材10の寸法は、一対の側壁11,12が互いに対向する方向(x方向)における構造部材10の寸法より長くなっている。また、ハット部材1とクロージングプレート2で形成される閉断面構造材の長さ(長手方向の全長)LYは、側壁11、12の高さHの6倍以上すなわち6H以上である(LY≧6H)。
一対の側壁11、12のそれぞれは、高強度部11A、12Aと低強度部11B、12Bを備える。側壁11、12のそれぞれにおいて、高強度部11A、12Aと低強度部11B、12Bは、第1の稜線123の延在方向(y方向)に並んで配置される。本例では、側壁11、12それぞれにおいて、第1の稜線123の延在方向(y方向)に並ぶ2つの低強度部11Bの間に高強度部11A、12Aが配置される。
一対の側壁11、12の互いに対向する部分に高強度部11A、12Aが設けられる。すなわち、一対の側壁11、12のうち一方の側壁11の高強度部11Aと、他方の側壁12の高強度部12Aは、互いに対向する位置に設けられる。低強度部11B、12Bも、一対の側壁11、12のそれぞれにおいて、互いに対向する部分に設けられる。すなわち、一方の側壁11の低強度部11Bと、他方の側壁12の低強度部12Bは、互いに対向する部分に設けられる。
補強部材4は、第1の稜線123の延在方向(y方向)において、一対の側壁11、12の高強度部11A、12Aと重なる位置に配置される。補強部材4は、頂面部13と一対の側壁11、12に接するよう設けられる。また、補強部材4は、頂面部13の両端の第1の稜線123にも接していてもよいし、接していなくてもよい。補強部材4は、第1の稜線123と同じ方向の2本の線に沿って屈曲した板で形成される。補強部材4の屈曲部は稜線41となる。すなわち、補強部材4は2つの稜線41を有する。補強部材4の2つの稜線は、ハット部材1の2つの第1の稜線123に接してもよいし、接していなくてもよい。
第1の稜線123の延在方向(y方向)において、補強部材4の両端4aは、側壁11、12の高強度部11A、12Aと重なる。すなわち、補強部材4は、第1の稜線123の延在方向において高強度部11A、12Aと重なる領域に配置される。図2A〜図2Cに示す例では、側壁11、12の表面に垂直な方向(x方向)から見て、補強部材4の両端4aと側壁11、12の高強度部11A、12Aが重なっている。また、側壁11、12の高強度部11A、12Aの一部に、補強部材4の一部が接している。補強部材4は、低強度部11B、12Bに接していない。補強部材4は、例えば、スポット溶接により、閉断面構造材に固定される。
図2Cに示すように、補強部材4の第1の稜線123の延在方向の両端4aから第1の稜線123の延在方向(y方向)に補強部材4から離れる方向に向かってHの1/3倍離間した位置からHの3/2倍離間した位置までの範囲に高強度部11Aと低強度部11Bの境界11ABが配置される。すなわち、補強部材4の両端のそれぞれから、第1の稜線123の延在方向に補強部材4から離れる方向に向かって境界11ABに達するまでの距離Labが、(1/3)H≦Lab≦(3/2)Hとなっている。言い換えれば、補強部材4の縁から閉断面構造材の長手方向に補強部材4の外側に向かって、(1/3)H〜(3/2)Hの距離の範囲に、高強度部11Aと低強度部11Bの境界11ABが配置される。
なお、図2Cには示していない他方の側壁12における高強度部12A及び低強度部12Bの境界の位置も、側壁11と同様に、補強部材4の両端4aから第1の稜線123の方向に補強部材4から(1/3)H〜(3/2)Hの範囲に配置される。
上記のように、補強部材4と、側壁11、12の高強度部11A、12A及び低強度部11B、12Bとを配置することにより、衝撃荷重による変形を補強部材4の両端4a付近に集中させることなく、低強度部11B、12Bに分散させることができる。この場合、高強度部11A、12Aの降伏強度を、500MPa(引張強度の場合は980MPa)以上として、低強度部11B、11Bの高強度部11A、12Aに対する強度比を60〜85%とすることで、高強度部11A、12Aへの衝撃による変形を、早期に、低強度部11B、12Bに分散することができる。その結果、衝撃による構造部材10の折れ変形を抑えることができる。
上記図2Cに示す例において、距離Labを、(1/3)H≦Lab≦Hとすることで、衝撃による構造部材の折れ変形をより抑えることができる。
なお、図2A〜図2Cにおいて、フランジ14の強度と強度の分布については特に制限しない。なぜなら、フランジ14の強度は構造部材10の性能に特に大きな影響を及ぼさないからである。
図2A〜図2Cに示す例では、補強部材4の両端4aの第1の稜線123の延在方向の外側に低強度部11B、12Bが設けられる。すなわち、低強度部11B、12Bは、2つの側壁11、12それぞれにおいて、対になっている。すなわち、2つの側壁のうち一方の側壁11において、一対の低強度部11Bが、高強度部11Aの両側に設けられる。2つの側壁11、12のうち他方の側壁12において、一対の低強度部12Bが、高強度部12Aの両側に設けられる。
低強度部の配置例は、図2A〜図2Cに示す上記例に限られない。例えば、2つの側壁11、12の少なくとも一方において、高強度部11A、12Aの片側に低強度部を配置してもよい。図2Dは、高強度部11Aの片側に低強度部11Bが設けられる場合の例を示す側面図である。図2Dに示すように、補強部材4の両端4aの一方の端から(1/3)H〜(3/2)Hの範囲にのみ低強度部が設けられる構成であってもよい。この場合も、補強部材4の一方の端付近の変形度合いを抑えることができる。
低強度部11B、12Bの降伏強度は、高強度部11A、12Aの降伏強度の60〜85%(60%以上85%以下)である。なお、低強度部11B、12Bの引張強度も、同様に、高強度部11A、12Aの引張強度の60〜85%にすることが好ましい。これにより、変形による強度増加(加工硬化)を加味した場合でも衝撃による変形度合いをより抑えることができる。
高強度部11A、12A及び低強度部11B、12B以外の側壁11、12の部分11C、12Cすなわち、低強度部11B、12Bの第1の稜線123の延在方向(y方向)における外側の部分11C、12Cの降伏強度は、低強度部11B、12B以上である。例えば、これらの部分11C、12Cの降伏強度は、低強度部11B、12Bの降伏強度と同じでもよい。または、これらの部分11C、12Cの降伏強度は、高強度部11A、12Aの降伏強度と同じでよい。本例では、低強度部11B、12Bは、その周りよりも降伏強度が低い部分である。
また、第1の稜線123の延在方向(y方向)において、補強部材4と重なる側壁11、12の部分のうち補強部材4の両端4aの間の部分は、高強度部でなくてもよい。すなわち、閉断面構造材の長手方向(y方向)において、補強部材4の両端4aより内側の中央部分と重なる側壁11、12の部分の降伏強度は、高強度部の降伏強度以下でもよいし、低強度部の降伏強度以下でもよい。
上記構造部材10において、ハット部材1とクロージングプレート2の長手方向(y方向)すなわち第1の稜線123の延在方向における寸法は同じである。また、ハット部材1とクロージングプレート2の長手方向の端部の位置はそろっている。この場合、閉断面構造材の長手方向(y方向)の長さと、構造部材10の長手方向(y方向)の長さは等しい。これに対して、閉断面構造材の長手方向において、ハット部材1の寸法とクロージングプレート2の寸法が異なっていてもよい。また、ハット部材1とクロージングプレート2の長手方向の端部の位置がそろっていなくてもよい。すなわち、閉断面構造材の長手方向における、構造部材10の長さと閉断面構造材の長さは異なっていてもよい。
図3及び図4は、閉断面構造材と補強部材を有する構造部材の長手方向に垂直な方向に圧子を衝突させた場合の変形挙動を説明するための図である。図3に示す構造部材5の閉断面構造材は、一様な強度分布のハット部材とクロージングプレートで形成される。図4に示す構造部材10の閉断面構造材は、図2A〜図2Cに示すような低強度部11B、12Bを有するハット部材とクロージングプレートで形成される。図3及び図4は、圧子の衝突の方向及び閉断面構造材の長手方向に垂直な方向から見た構造部材の側面の変形挙動を示す。
図3に示すように、一様な強度分布のハット部材を持つ構造部材5では、衝撃により、曲げ変形起点Pである補強部材4の端部付近の側壁及び頂面部で発生した変形は、側面視でくさび状になるように進行する。その結果、構造部材5は、曲げ方向(衝撃の方向)に鋭く突出するように折れ曲がる。場合によっては、構造部材5にひびが入ることもある。
図4に示すように、高強度部11Aの両側に低強度部11B(図4ではドットで示される領域)を有する構造部材10では、高強度部11Aの曲げ変形起点Pから内側へ進行する変形は、高強度部11Aと低強度部11Bの境界に達すると、比較的強度の低い横方向(構造部材10の長手方向)に進行しやすくなる。そのため、変形は長手方向に広がり、曲げ方向(衝撃方向)の変形度合いが小さくなる。
なお、図3及び図4に示す変形挙動は、圧子を構造部材に衝突させた場合に限られない。例えば、構造部材を長手方向に圧縮する軸力により曲げ変形する場合や、3点曲げ試験のように、構造部材に圧子を押し付けて長手方向に垂直な方向の力を静的に加えたときの曲げ変形も、同様の変形挙動となり得る。また、構造部材の頂面部に圧子を衝突させた場合及び、クロージングプレートに圧子を衝突させた場合のいずれにおいても、図3及び図4と同様の変形挙動となる。
例えば、構造部材10は、長手方向に離間した2箇所で支持された状態で用いられることもある。この場合、構造部材10は、他の部材に連結される部分である連結部を2つ有する。すなわち、構造部材10は、連結部において他の部材に支持される。連結部は、支持部と称することもある。連結部は、側壁11、12、頂面部13及びクロージングプレート2の少なくとも1つに設けられる。
連結部では、構造部材10は、他の部材に対して固定される。構造部材10の連結部は、例えば、締結部材又は溶接により他の部材と接合される。なお、連結部は、3つ以上であってもよい。
2つの連結部は、構造部材10の長手方向において互いに6H以上離れた位置に配置することもある。すなわち、2つの連結部の間隔KYは、側壁11、12の高さHの6倍以上(KY≧6H)とすることもある。このように、構造部材の衝撃が加わる方向の寸法(図2Aの例では、側壁11の高さH)に対して、2つの連結部の長手方向の寸法KYが、6倍程度以上(KY≧6H)の場合、長手方向中央の部分への衝撃による構造部材の変形度合いが大きくなる事態が発生し得ることが発明者により見出されている。
対策として、高強度部11A、12A及び低強度部11B、12Bは、2つの連結部の間に設けられる。さらに、高強度部11A、12Aと長手方向において重なる部分に補強部材が配置される。この構成により、2つの連結部の間に衝撃が加わった場合に、構造部材10の変形による突出度合いをより小さくすることができる。
構造部材10を車両用構造部材として用いる場合は、例えば、構造部材10は、閉断面構造材の長手方向に離間した少なくとも2つの連結部で支持した状態で車両に取り付けられる。この際、車両の外側に頂面部13を配置し、車両の内側にクロージングプレート2を配置するように、構造部材10を車両が取り付けられる。或いは、車両の外側にクロージングプレートを配置し、車両の内側に頂面部13を配置するように、構造部材10が車両に取り付けられる。何れの場合でも補強部材4は車両の外側にある頂面部13あるいはクロージングプレート2に配置される。これにより、構造部材10が、車両外部からの衝撃を受けた場合に、折れて車両内部へ突出する度合いを小さくすることができる。
連結部の有無にかかわらず、図2A〜図2Cに示す構造部材10において、低強度部11B、12Bの第1の稜線123の延在方向における寸法LBは、(3/5)H以上((3/5)H≦LB)であることが好ましい。これにより、衝撃に対する変形の抑制効果をより高めることができる。低強度部11B、12Bの寸法LBは、構造部材10の強度確保の観点から、2H以下とすることが望ましい。更に好ましくは、低強度部11Bの寸法LBを、H以下とすることが望ましい。
また、連結部の有無にかかわらず、高強度部11A、12A及び補強部材4を閉断面構造材の長手方向における中央に配置する事が好ましい。すなわち、高強度部11A、12Aの少なくとも一部と補強部材4の少なくとも一部が、閉断面構造材の長手方向中央の部分に位置するよう構成することが望ましい。閉断面構造材の長手方向における中央は、構造部材10の折れ易い箇所の一例である。或いは、上記のように、構造部材10を2つの連結部において他の部材と連結する場合、2つの連結部の間の中央に、高強度部11A、12Aを配置することが望ましい。すなわち、高強度部11A、12Aの少なくとも一部が、2つの連結部の間の中央の部分に位置するよう構成することが望ましい。これにより、連結部が有る場合とない場合のいずれの場合においても、構造部材10において、衝撃によるモーメントが最も大きくなり折れ易い箇所(部材中央あるいは連結部間の中間箇所)の折れ変形を効果的に抑えることができる。
なお、補強部材4の両端4aから高強度部11Aと低強度部11Bの境界11ABまでの距離Labと、側壁11の高さHとの関係は、上記の関係、すなわち、((1/3)H≦Lab≦(3/2)H)、より好ましくは、((1/3)H≦Lab≦H)を厳密に満たす場合に限られない。上記関係を満たすと見なせる程度の誤差を含む場合も含まれる。側壁の高さHに対する構造部材10の長さLYも、上記の関係(6H≦LY)を厳密に満たす場合に限られない。側壁の高さHのおよそ6倍程度の構造部材を、上記関係(6H≦LY)を有する構造部材と見なすことができる。例えば、低強度部と高強度部の境界は、閉断面構造材の長手方向に垂直ではなく蛇行していてもよい。この場合、蛇行する境界のうち最も低強度部寄りの位置と最も高強度部寄りの位置の中間を通り上記長手方向に垂直な仮想面内に、低強度部と高強度部の境界が位置するとみなす。
図5Aは、図2Aに示す構造部材10を上(頂面部13、z方向)から見た構成を示す上面図である。図5Aでは、頂面部13を透視して見える側壁11、12の部分を破線で示している。図5Aに示す例では、2つの側壁11、12の互いに対向する高強度部11A、12A及び低強度部11B、12Bは、2つの側壁11、12の対向方向(x方向)から見て完全に重なるよう配置される。すなわち、一方の側壁11における高強度部11Aの全体と他方の側壁12における高強度部12Aの全体は、対向方向から見て重なっている。一方の側壁11における一対の低強度部11Bの全体と他方の側壁12における一対の低強度部12Bの全体は、対向方向から見て重なっている。これにより、衝撃により構造部材10がねじれて折れ曲がるのが抑えられる。なお、図5Aに示す例では、2つの側壁11、12の対向方向は、閉断面構造材の長手方向(すなわち中心軸Y1)に垂直な方向となっている。
図5Aでは、2つの側壁11、12のうち一方の側壁11の強度分布と、他方の側壁12の強度分布とが、互いに鏡像関係にある構成である。すなわち、一対の側壁11、12それぞれの高強度部11A、12A及び低強度部11B、12Bは、一対の側壁11、12の中央仮想面Y1に対して対称に配置される。これにより、一対の側壁11、12のうちどちらか片方が先に潰れてしまう可能性がより低くなる。側壁11、12の中央仮想面Y1は、閉断面構造材の長手方向に垂直な断面における頂面部13の垂直二等分線Aに相当する(図2B参照)。
例えば、図2A〜2C、図5Aに示す例では、一対の側壁11、12は、同じ高さである。側壁11と頂面部13との角度と、側壁12と頂面部13との角度も同じである。そのため、管状部の長手方向に垂直な断面において、頂面部13の垂直二等分線Aを軸として、構造部材10の断面形状は、左右対称となっている。また、構造部材10の上記断面における強度分布も、垂直二等分線Aを軸として左右対称となっている。これにより、衝撃による応力の偏りが少なくなる。
図5Bは、図2Aに示す構造部材10の高強度部11A、12A及び低強度部11B、12Bの配置の変形例を示す図である。図5Bに示す例では、2つの側壁11、12において、一方の側壁11の高強度部11Aの一部と、他方の側壁12の高強度部12Aの全体が、対向方向(x方向)から見て重なるよう配置される。一方の側壁11の低強度部11Bと、他方の側壁12の低強度部12Bは、対向方向(x方向)から見て重ならない位置に配置される。なお、2つの側壁11、12のそれぞれにおいて、高強度部11A、12Aと低強度部11B、12Bの境界11AB、12ABは、補強部材4の両端から第1の稜線123の延在方向に補強部材4から(1/3)H〜(3/2)Hの距離だけ離れた範囲に配置される。なお、一方の側壁11における低強度部11Bの少なくとも一部が、他方の側壁12における低強度部12Bと、対向方向から見て重なるよう配置してもよい。
図5Bに示す例では、一方の側壁11の低強度部11Bの第1の稜線123の延在方向における長さは、他方の側壁12の低強度部12Bの第1の稜線123の延在方向の長さと異なっている。この例の他に、一方の側壁11の低強度部11Bと他方の側壁12の低強度部12Bの第1の稜線123の延在方向における長さは同じであってもよい。
図6Aは、図2Aに示す構造部材10の低強度部11B、12Bの配置の変形例を示す図である。図6Aに示す例では、側壁11の高さ方向(z方向)における一部に、低強度部11Bが設けられる。すなわち、側壁11において、頂面部13側の端部からフランジ14側の端部に至るまでの間の一部に、低強度部11Bが設けられる。低強度部11Bは、側壁11の高さ方向において、側壁11の一方端11a(頂面部13)から距離hの位置から、他方端11b(フランジ14)から距離hbの位置までの間に設けられる。すなわち、低強度部11Bの一方端11aに近い方(一方端側)の端部11Baは、一方端11aから距離hの位置にあり、低強度部11Bの他方端11bに近い方(他方端側)の端部11Bbは、他方端11bから距離hbの位置にある。低強度部11Bは、一方端11a(頂面部13)及び他方端11b(フランジ14)いずれにも接していない。なお、図示しないが、低強度部11Bに対向する側壁12における低強度部12Bも、側壁12の高さ方向の一部に設けられている。すなわち、一対の側壁11、12の各々は、高さ方向の一部に低強度部11B、12Bを有することが許容される。図6Aに示す変形例であっても、衝撃を受けた構造部材10の変形による突出度合いを抑えることができる。
この場合、変形度合いを抑えるために、側壁11の一方端11aから低強度部11Bの一方端11aに近い方の端部11Baまでの側壁11の高さ方向における距離hは、側壁11の一方端11aから他方端11bまでの長さSL(図6Aの例ではSL=H)の1/4以下とすることが望ましい(h≦SL/4)。すなわち、一方端11aから側壁の高さ方向において(1/4)SLの距離の領域に、低強度部11Bの一方端11a側の端部11Baを配置することが望ましい。変形度合いを抑える観点から、距離hを(1/5)SL以下とすることがより望ましい(h≦SL/5)。低強度部11Bの一方端11aに近い方の端部11Baと一方端11aとの間の降伏強度は、500MPa以上かつ低強度部11Bより高い。例えば、側壁11の一方端11aと低強度部11Bの端部11Baとの間の降伏強度を高強度部11A、12Aの降伏強度と同じとしてもよい。
変形度合いを抑えるために、側壁11、12の他方端11bから低強度部11B、12Bまでの側壁11、12の高さ方向における距離hbは、(4/5)SL以下(hb≦4SL/5)とすることが望ましい。更に変形度合いを抑えるために、距離hbは、(1/2)SL以下(hb≦SL/2)とすることが望ましい。
但し、上述したhとhbが許容されるいかなる値をとっても、変形度合いを抑えるために、低強度部11B、12Bの側壁11、12の高さ方向(z方向)の寸法hcは、必ず(1/5)SL以上とすることが必要である((SL/5≦hc)。更に変形度合いを抑えるためには、寸法hcは、(1/4)SL以上とすることが望ましい((SL/4≦hc)。
図6Bは、上述した図6Aにおいて、h=0とした変形例を示す図である。図6Bに示す例では、側壁11の一方端11aが、低強度部11Bの一方端11a側の端部11Baとなっている。
図6Cは、上述した図6Aにおいて、hb=0とした変形例を示す図である。図6Cに示す例では、側壁11の他方端11Bbが、低強度部11Bの他方端11b側の端部11Bbとなっている。
図6A〜図6Cに例示したように、側壁の高さ方向の両端のうち一方端から(1/4)SL迄の領域に、低強度部の一方端側の端部が位置するよう低強度部を形成する。すなわち、側壁の一方端から(1/4)SLの距離だけ離れた側壁上の位置から側壁の一方端に至るまでの領域の少なくとも一部に低強度部が形成される。これにより、側壁の一方端側から衝撃が加わった場合に、構造部材10の変形度合いを小さくすることができる。また、側壁の高さ方向の両端のうち他方端から(4/5)SL迄の領域に低強度部の他方端側の端部が位置するよう、低強度部を形成することが許容される。但し、変形度合いを抑えるために、低強度部の側壁の高さ方向の寸法は、少なくとも1/5SL以上とすることが必要である。
上記図6A〜図6Cに示す例では、側壁11、12の両端のうち、頂面部13に接している方を一方端とし、フランジ14に接している方を他方端として、距離h、hb、hcを設定した。この場合、上記のように距離h、hb、hcの値を設定することにより、頂面部13に衝撃が加わった場合の構造部材10の変形度合いを小さくすることができる。すなわち、図6A〜図6Cに示す構造部材1は、頂面部を衝撃入力面とする順ハット部材に好適に用いられる。これに対して、側壁11、12の高さ方向の両端のうち、フランジ14に接している方を一方端とし、頂面部13に接している方を他方端として、距離h、hb、hcを設定することもできる。この場合、上記例と同様に、距離h、hb、hcの値を設定することができる。これにより、クロージングプレート2に衝撃が加わった時の構造部材10の変形度合いをより小さくすることができる。この場合、構造部材1は、クロージングプレートを衝撃入力面とする逆ハット部材に好適に用いられる。
図7Aは、上記の構造部材10の断面形状の変形例を示す断面図である。図7Aに示す構造部材10は、形状の異なる一対の側壁11、12を有する。一対の側壁11、12は、フランジ14、14に対する角度及び、高さHR、HLが互いに異なる。そのため、一対のフランジ14、14の高さ方向における位置が異なっている。このように、構造部材10の断面が左右対称でない場合、一対の側壁11、12それぞれの高さH1、H2は、別々に定義する。
図7Aに示す例では、一対の側壁11、12のうち一方の側壁11は、段差を有する。このように、側壁11に段差がある場合も、側壁11の頂面部13側に接する一方端から、フランジ14に接する他方端までの高さ方向の寸法を、側壁11の高さH1とする。すなわち、高さ方向において、側壁11の最も低い位置から最も高い位置までの寸法を、側壁11の高さH1とする。側壁11に、凹凸又は孔がある場合も同様である。この場合、高さ方向は、頂面部13に垂直な方向である。
一対の側壁11、12のうち他方の側壁12と頂面部13の境界部分にR(湾曲部)が形成されている。すなわち、側壁12の一方端に接続される部分は、丸く湾曲した形状となっている。これにより、側壁12と頂面部13との境界の第1の稜線123(肩部)の表面は、曲面になる。このR(湾曲部)は、側壁12の一部であるとして、側壁12の高さH2が決定される。すなわち、R(湾曲部)の頂面部13側の端をR境界(R止まり)とする。このR境界を側壁11の高さ方向の一方の端として側壁の高さHが決定される。
また、図示しないが、側壁12とフランジ14の境界部分にR(湾曲部)が形成されてもよい。この場合、側壁12とフランジ14との境界の第2の稜線124の表面は、曲面になる。この側壁12とフランジ14と間のR(湾曲部)も、側壁12の一部として、側壁12の高さ12が決定される。すなわち、R(湾曲部)のフランジ14側の端をR境界(R止まり)とする。このR境界を側壁11の高さ方向の他方の端として側壁の高さHが決定される。
また、図示しないが、頂面部13、側壁11、12、フランジ14及びクロージングプレート2の少なくとも1つの表面は、平面でなく曲面としてもよい。すなわち、頂面部13、側壁11、12、フランジ14及びクロージングプレート2の少なくとも1つは、湾曲していてもよい。
図7Bは、クロージングプレート2の変形例を示す断面図である。図7Bに示す例では、クロージングプレート2は、ハット部材1から離れる方向に突出する形状を有する。具体的には、クロージングプレート2は、ハット部材1のフランジ14と接合される接合部2bと、接合部の間の中間部2aを含む。中間部2aは、ハット部材1から離れる方向に突出する形状となっている。クロージングプレートの接合部2bを結ぶ仮想線分K1は、頂面部13とクロージングプレート2の間にある。この例では、クロージングプレート2の断面形状がハット型になっている。中間部2aの外面は、接合部2bの外面と略平行となっていてもよい。
このように、クロージングプレート2をハット部材1から離れる方向へ突出させた形状とすることで、構造部材10の高さ方向の寸法を調整することができる。なお、低強度部及び高強度部の配置の基準とする側壁の高さ(H、H1、H2)の値は、クロージングプレート2の高さ方向の寸法によって変わるものではない。また、仮想線分K1の一部が、頂面部13とクロージングプレート2の間に位置するように、ハット部材1及びクロージングプレート2を形成してもよい。
以上、図7A及び図7Bを参照して、ハット部材1の非対称形状、段差、側壁端部のR、クロージングプレート2の形状、等の複数の特徴について説明した。上記複数の特徴の全てを組み合わせた形態(図7A又は図7Bに示す例)の他、上記複数の特徴の少なくとも1つを採用した構造部材10も本発明の実施形態に含まれる。
図8は、頂面部13が傾いている場合の側壁11、12の高さ方向を説明するための図である。図8は、頂面部13に衝撃を受けることが想定された構造部材10の高さ方向を示す図である。図8に示す構造部材10において、ハット部材1の頂面部13と、フランジ14、14は、平行でない。また、一方の側壁11と他方の側壁12のz方向の長さは異なる。頂面部13が衝撃を受けることが想定される場合、側壁11、12の高さ方向は、頂面部13に垂直な方向とする。各側壁11、12の高さH1、H2は、側壁11、12の高さ方向を基準として決められる。なお、クロージングプレート2が衝撃を受けることが想定される場合は、クロージングプレートに垂直な方向を、側壁11、12の高さ方向とする。
図9は、2つの側壁11、12の高さH1、H2が異なる場合(H1≠H2)の高強度部11A、12A、低強度部11B、12B及び補強部材4の配置を説明するための図である。図9は、高さH1、H2が異なる2つの側壁11、12を有する構造部材10を頂面部13側(z方向)から見た図である。図9では、頂面部13を透視して見える側壁11、12の部分を破線で示している。
図9に示す例では、第1の稜線123の延在方向(y方向)において、補強部材4の両端4aは、側壁11、12の高強度部11A、12Bと重なる。補強部材4の両端4aから第1の稜線123の延在方向(y方向)に補強部材4から離れる方向に向かってH1の1/3〜3/2倍離間した領域L1と、H2の1/3〜3/2倍離間した領域L2との重複した範囲に、側壁11、12それぞれの高強度部11A、12Aと低強度部11B、12Bの境界11AB、12ABが配置される。すなわち、補強部材4の両端4aからの第1の稜線123の延在方向における距離Labが、(1/3)H1≦Lab≦(3/2)、且つ、(1/3)H2≦Lab≦(3/2)H2である領域に、側壁11、12それぞれの高強度部11A、12Aと低強度部11B、12Bの境界11AB、12ABが配置される。
図9に示す例では、2つの側壁11、12のそれぞれの低強度部11B、12Bは、いずれも、補強部材4の両端4aから第1の稜線123の延在方向(y方向)に補強部材4から離れる方向に向かってH1の1/3〜3/2倍離間した領域L1と、H2の1/3〜3/2倍離間した領域L2との重複した範囲内に配置される。すなわち、第1の稜線123の延在方向における低強度部11B、12Bの両端のうち補強部材4から遠い方の端は、上記の領域L1、L2の中になる。これに対して、低強度部11B、12Bの一部が、上記の領域L1、L2の外に配置されていてもよい。
図10A〜図10Cは、本実施形態における構造部材の変形例を示す断面図である。図10A〜図10Cは、構造部材の長手方向(y方向)に垂直な面における断面形状を示す。図10A及び図10Bに示す例は、上記構造4の一例である。図10Cに示す例は、上記構造3の一例である。図10Dは、図10Bに示す構造部材をz方向から見た上面図である。
図10A〜図10Cに示す変形例では、2つのフランジを備えるハット部材の代わりに、フランジのない溝型部材又は1つのフランジを含む溝型部材が用いられる。図2A〜図2Cに示す構造部材10は、側壁11の両端の第1の稜線123及び第2の稜線124が、頂面部13に垂直な方向の荷重に対する変形のしにくさ(曲げ剛性)に寄与する構造である。これに対して、図10A〜図10Cに示す変形例では、2つの側壁のうち少なくとも一方では、側壁の両端の第1の稜線及び接合部が曲げ剛性に寄与する構造となっている。
図10A〜図10Cに示す構造部材10g、10h、10iは、いずれも、溝型の溝型部材31と、溝型部材31に接合されるクロージングプレート2と、補強部材4とを備える。図10A〜図10Cに示す溝型部材31は、頂面部13と、頂面部13の両端から延びる2つの側壁11、12と、溝型部材31とクロージングプレート2を接合する2つの接合部3r、3hを備える。2つの側壁11、12は、互いに対向する。2つの接合部3r、3hは、溝型部材31の一部とクロージングプレート2とが重ね合わされた部分に設けられる。接合部3r、3hは、例えば、スポット溶接部又はレーザー溶接部である。接合部が溝型部材31の長手方向(すなわち第1の稜線123の延在方向)に不連続(断続的)に配置されている場合、接合部は不連続な接合部を結んだ位置にあるとみなす。すなわち、断続的に配置される複数の接合部の間を結ぶ線上に接合部があるとみなす。接合部と第1の稜線の間が側壁となる。頂面部13と2つの側壁11、12との間には、それぞれ、第1の稜線123、123がある。例えば、図10Dに示す例では、複数の接合部3hがy方向(第1の稜線123の延在方向)に並んで配置される。複数の接合部を結ぶy方向(第1の稜線123の延在方向)の仮想線300が、接合線となる。
補強部材4は、頂面部13の少なくとも一部に隣接する。図10A〜図10Cに示す例では、補強部材4は、溝型部材31とクロージングプレート2で構成される閉断面構造材の外側に配置される。補強部材4は、閉断面構造材の内側に配置されてもよい。また、補強部材4は、頂面部13の一部に接していてもよいし、接していなくてもよい。
図10A及び図10Bに示す溝型部材31において、2つの側壁11、12は、第1の側壁11と第2の側壁12を含む。第1の側壁11の頂面部13側の一方端部とは反対側の他方端部は屈曲している。この第1の側壁11の他方端部の屈曲部からフランジ14が延びる。フランジ14は、クロージングプレート2と重ね合わされる。フランジ14は、クロージングプレート2と接触する接触面を有する。フランジ14とクロージングプレート2は、接合部3rにおいて互いに接合される。
第1の側壁11は、2つの第1の稜線123、123のうち一方の第1の稜線123とフランジ14との間に位置する。フランジ14と第1の側壁11との間には第2の稜線124がある。第2の稜線124は、フランジ14の端部である。第2の稜線124は、第1の稜線123と同じ方向すなわち溝型部材31の長手方向(y方向)に延在する。
第1の側壁11の高さH1は、頂面部13に垂直な方向における第1の側壁11の高さ、すなわち、第1の稜線123と第2の稜線124との頂面部13に垂直な方向における距離である。
第2の側壁12は、2つの第1の稜線123、123のうち他方の第1の稜線123と接合部3hとの間に位置する。第2の側壁12は、屈曲していない。第2の側壁12の接合部3h側の一部は、クロージングプレート2と重ね合わされる。すなわち、第2の側壁12の接合部3h側の一部は、クロージングプレート2と接触する接触面1dhを有する。第2の側壁12は、接触面1dhと同じ方向に延びる。
第2の側壁12の高さH2は、頂面部13に垂直な方向における第1の稜線123と接合部3hの間の距離である。
図10Cに示す溝型部材31において、2つの側壁11、12は、2つの第1の稜線123、123と、2つの接合部3r、3hとの間に、それぞれ位置する。2つの側壁のうち一方の側壁11の高さH1は、第1の稜線123と接合部3rとの間の頂面部13に垂直な方向における距離である。2つの側壁のうち他方の側壁12の高さH2は、第1の稜線123と接合部3hとの間の頂面部13に垂直な方向における距離である。
図10A〜図10Cに示す溝型部材31において、第1の側壁11及び第22の側壁12それぞれにおいて、高強度部11Aと低強度部11Bが第1の稜線123の延在方向に並んで配置される。第1の稜線123の延在方向において、高強度部11Aと重なる領域に補強部材4が配置される(一例として、図10D参照)。第1の稜線123の延在方向において、補強部材4の両端4aは、第1の側壁11の高強度部11A及び第2の側壁12の高強度部12Aと重なる。補強部材4の両端4aから第1の稜線123の延在方向に第1の側壁11の高さH1の1/3〜3/2倍離間した位置までの領域と、補強部材4の両端4aから第1の稜線123の延在方向に第2の側壁11の高さH2の1/3〜3/2倍離間した位置までの領域との重複した範囲に、高強度部11Aと低強度部11Bの境界11ABが配置される。高強度部11A、12Aの降伏強度は、500MPa以上である。低強度部11B、12Bの降伏強度は、高強度部11A、12Aの60〜85%である。なお、溝型部材31における高強度部及び低強度部は、上記図2、図5、図6、及び図9に示した構造部材の高強度部及び低強度部のいずれかと同様に構成することができる。
図10Aに示す例では、第1の側壁11と第2の側壁12は互いに平行である。これに対して、図10Bに示す例では、第1の側壁11と第2の側壁12は互いに平行ではない。図10Bに示す例では、第1の側壁11と第2の側壁12は、頂面部13から離れるにしたがって、互いの間隔が大きくなるように延びている。この例では、第1の側壁11は頂面部13に垂直な方向に延びる。第2の側壁12は、頂面部13に垂直な軸に対して角度を有する方向に延びる。第1の側壁11のクロージングプレート2側の他方端部からフランジ14が外側に延びる。図10A〜図10Cに示すような断面を有する構造部材は、例えば、Aピラー等の車両用構造部材に適用できる。
図10A及び図10Bに示す例では、クロージングプレート2は面外に屈曲する屈曲部を有する。クロージングプレート2の屈曲部に形成される稜線2abhの延在方向(y方向)は、側壁12におけるクロージングプレート2と接触する接触面1dhとクロージングプレート2と接触しない面との境界線の延在方向と同じである。クロージングプレート2の屈曲部に形成される稜線2abhの延在方向は、第1の稜線123の延在方向と同じとしてもよい。
図10Cに示す例では、2つの側壁11、12は、いずれも、屈曲していない。すなわち、側壁11がクロージングプレート2と接触する接触面1drは、側壁11と同じ方向に延びる。側壁12がクロージングプレート2と接触する接触面1dhは、側壁12と同じ方向に延びる。
クロージングプレート2は、溝型部材31と重ね合わされて接触する2つの接触部分2br、2bhと、2つの接触部分2br、2bhの間の中間部2aを含む。中間部2aと、2つの接触部分2br、2bhの間は、屈曲している。中間部2aと、2つの接触部分2br、2bhの間に形成される稜線2abr、2abhの延在方向は、各側壁11、12におけるクロージングプレート2と接触する接触面1dr、1dhと各側壁11、12におけるクロージングプレート2と接触しない面との境界線の延在方向と同じである。
図10A〜図10Cに示す構造部材10g、10h、10iにおいても、上記の図2A〜図2Cに示す構造部材10と同様の効果が得られる。なお、接合部3r、3hは、溶接部に限らない。例えば、ねじ等の締結具、接着剤、又は、ろう付け等の接着部を接合部としてもよい。また、上記例では、側壁11、12の高さH1、H2の基準とする方向は、頂面部13に垂直な方向である。この場合、構造部材は、頂面部13に衝撃を受ける場合の変形がより抑えられる。なお、図2A〜図2Cに示す構造部材10と同様に、図10A、図10Bに示す構造部材10g、10hにおいても、フランジ14の強度と強度の分布については特に制限しない。また、図10A〜図10Cに示す構造部材10g、10h、10iにおいて溝型部材31の接合部3hより端に近い部分もまた、強度と強度の分布については特に制限しない。この部分はフランジ14に相当し、この部分の強度と強度の分布が構造部材10g、10h、10iの性能に特に大きな影響を及ぼさないからである。
図2A〜図2Cに示す例では、構造部材10は、長手方向に直線状に延びて形成される。これに対して、構造部材10は、湾曲していてもよい。例えば、構造部材10は、頂面部13側又はクロージングプレート2側に凸となるよう湾曲した形状にしてもよい。すなわち、頂面部13の外面又はクロージングプレート2の外面が凸となるように構造部材10を湾曲してもよい。頂面部側に凸となるように湾曲した構造部材は、順ハット部材に好適に用いられる。クロージングプレート側に凸となるように湾曲した構造部材は、逆ハット部材に好適に用いられる。
図11A〜図11Dは、長手方向において湾曲した構造部材10の例を示す側面図である。図11A〜図11Dに示す例では、構造部材10は、頂面部13側に凸となるよう湾曲している。図11Aでは、構造部材10は、長手方向全体にわたって一定の曲率で湾曲している。図11B及び図11Cでは、構造部材10の閉断面構造材の長手方向(第1の両線の延在方向)の位置に応じて曲率が変化している。図11Dでは、構造部材10は、長手方向の一部において湾曲している。図11A及び図11Dに示す例では、構造部材10は、側壁11、12に垂直な方向(x方向)から見て左右対称となるよう湾曲している。図11B、図11C、及び図11Dの構造部材10は、湾曲している部分(湾曲部)と、直線上に延びる部分(直線部)とを有する。図11Cに示す例では、直線部の長手方向両側に湾曲部が配置される。すなわち、湾曲部の間に直線部が配置される。図11Dに示す例では、湾曲部の長手方向両側に直線部が配置される。
このように、構造部材10を湾曲させることで、湾曲の凸方向に対向する向きの衝撃に対する耐衝撃性を向上させることができる。例えば、湾曲した構造部材10の両端部を支持してなる構造部材は、湾曲の凸方向に対向する向きの衝撃に対して、高い耐衝撃性を有する。従って、構造部材10を自動車に適用する場合、凸方向が車体の外側に向かうように構造部材10は配置される。
図11A及び図11Dに示す例では、側壁11における一対の低強度部11Bとその間の高強度部11Aは、いずれも構造部材10の湾曲部に配置される。図11B及び図11Cに示す例では、側壁11における一対の低強度部11Bとその間の高強度部11Aは、いずれも構造部材10の直線部に配置される。低強度部11Bと高強度部11Aを直線部に配置する場合、直線部の中央に高強度部11Aを配置することが望ましい。これにより、衝撃を受けたときのモーメントが高くなる部分に高強度部11Aが配置され、高い耐衝撃性が得られる。
構造部材における補強部材の配置は、上記例に限られない。図12A〜図12Dは、補強部材4の配置の変形例を示す図である。上記の上記図2、図5、図6、及び図9に示した例では、補強部材4は、側壁11、12の高さ方向の一方の端部(第1の稜線123)から他方の端部(第2の稜線124)までの領域の一部に接するよう配置される。これに対して、図12Aに示す例では、補強部材4は、側壁11、12の高さ方向の一方の端部(第1の稜線123)から他方の端部(第2の稜線124)の全体にわたって接するように配置される。また、補強部材4は、例えば、図12Bに示すように、側壁11、12に接し、頂面部13には接しないよう配置されてもよい。図12Aに示す構造部材は、順ハット部材及び逆ハット部材の双方に好適に用いられる。図12Bに示す構造部材は、逆ハット部材に好適に用いられる。また、図12A及び図12Bにおいて、フランジ14にも接するように補強部材4を配置してもよい。すなわち、補強部材4は、側壁11、12及びフランジ14の双方に接してもよい。
上記図2、図5、図6、及び図9に示した構造部材では、補強部材4は、閉断面構造材の外側の面に接するよう配置される。これに対して、例えば、図12Cに示すように、補強部材4を、閉断面構造材の内側の面に接するよう配置してもよい。図12Cに示す例では、補強部材4は、頂面部13の閉断面構造材の内側の面と、側壁11、12の閉断面構造材の内側の面に接するように配置される。この場合、補強部材4は、第1の稜線123と同じ方向の2本の線に沿って屈曲した板で形成される。補強部材4の屈曲部は稜線41となる。すなわち、補強部材4は2つの稜線41を有する。補強部材4の2つの稜線は、ハット部材1の2つの第1の稜線123に接していてもよいし、接していなくてもよい。
例えば、図12Dに示すように、補強部材4は、クロージングプレート2に配置されてもよい。この場合、補強部材4は、クロージングプレート2への衝撃に対する構造部材10の剛性の向上に貢献する。
また、図12Eに示す例のように、補強部材4は、クロージングプレート2及び閉断面構造材の内側に接するように配置してもよい。図12Eは、構造部材10のy方向に垂直な面における断面を示す図である。図12Eに示す例では、クロージングプレート2が貫通孔を有する。クロージングプレート2の貫通孔に補強部材4が挿入される。補強部材4は、クロージングプレート2と、ハット部材1の頂面部13及び側壁11、12に接するよう配置される。この例では、補強部材4の断面は、ハット型である。補強部材4は、頂面部43、2つの側壁41、42、及び2つのフランジ44を有する。2つの側壁41、42は、頂面部43の両端から延びる。2つのフランジ44は、2つの側壁41、42の頂面部43と反対側の端部から互いに離れる方向へ延びる。補強部材4の頂面部43は、ハット部材1の頂面部13に接する。補強部材の側壁41、42は、ハット部材の側壁11、12に接する。補強部材4のフランジ44は、クロージングプレート2に接する。図12に示す例では、補強部材4は、頂面部13への衝撃及びクロージングプレート2の衝撃の双方に対する構造部材10の剛性の向上に貢献する。
図12Fに示す例では、補強部材4は、頂面部13の両端の第1の稜線123の一方における端部に設けられる。具体的には、補強部材4は、閉断面構造材の長手方向(y方向)から見た場合に、頂面部13の中央よりも2つの第1の稜線123のうち一方に近い部分に接した状態で、閉断面構造材に固定される。補強部材4は、頂面部13の第1の稜線123に近い端部から2つの側壁11、12のうち一方の側壁12にわたって延びて形成される。このように、頂面部13の中央よりも2つの第1の稜線123のうち一方に近い部分に接するよう補強部材4を配置することでも、頂面部への衝撃に対する構造部材の剛性が向上する。
図12Gに示す例では、閉断面構造材の内部に、管状の補強部材4が配置される。管状の補強部材4は、2つの側壁11、12の内面に接した状態で、側壁11、12に固定されている。管状の補強部材4の軸方向(長手方向)は、閉断面構造材の長手方向と同じである。図12Gに示す例では、管状の補強部材4は、頂面部13及びクロージングプレート2のいずれにも接していない。さらなる変形例として、管状の補強部材4は、頂面部13及びクロージングプレート2のいずれにも接していてもよい。
図12Hに示す例では、閉断面構造材の内部に、板状の補強部材4が配置される。板状の補強部材4の両端は、2つの側壁11、12の内面に接した状態で、側壁11、12に固定されている。板状の補強部材4は、頂面部13及びクロージングプレート2のいずれにも接していない。板状の補強部材4とクロージングプレート2の距離SAは、距離KA以下である。ここで、距離KAは、側壁11、12とフランジ14との境界における湾曲部(R)のクロージングプレート2に垂直な方向における高さとする。言い換えれば、距離KAは、側壁11、12とフランジ14との境界における湾曲部(R)の側壁11、12側のR境界(R止まり)Rd1と、クロージングプレート2の内面との距離とする。
クロージングプレート2に垂直な方向の荷重に対して、側壁11、12とフランジ14との境界における湾曲部は潰れやすく、側壁11、12の湾曲部以外の部分は耐力が高い。例えば、補強部材4がない構成において、クロージングプレート2に衝撃が入力された場合、湾曲部が潰れて、側壁11、12のR境界から第1の稜線123までの部分で衝撃に耐える構造となりやすい。図12Hに示すように、補強部材4とクロージングプレート2の距離SAを距離KA以下すなわち湾曲部の高さ以下にすることで、衝撃入力時の湾曲部の変形を抑えることができる。その結果、クロージングプレート2への衝撃に対する構造部材の剛性が向上する。
図12Iに示す例では、補強部材4は、閉断面構造の外側において、フランジ14と側壁11、12の双方に接する。補強部材4は、フランジ14及び側壁11、12の双方に固定される。補強部材4は、フランジ14から側壁11、12のクロージングプレート2から距離KA以上離れた領域まで延びて形成される。すなわち、補強部材4は、フランジ14と、側壁11、12のクロージングプレート2から距離KA以上離れた部分とに接し、かつ固定される。距離KAは、側壁11、12とフランジ14との境界における湾曲部(R)のクロージングプレート2に垂直な方向における高さとする。補強部材4の最も第1の稜線123に近い端からクロージングプレート2までの距離KBは、距離KAより長い(KB>KA)。このように、フランジ14及び側壁11、12に接する補強部材4を設けることで、側壁11、12とフランジ14の間の湾曲部(R)が、クロージングプレート2に対する衝撃により変形するのを抑えることができる。その結果、クロージングプレート2への衝撃に対する構造部材の剛性が向上する。
図12Jに示す例では、クロージングプレート2は、2つのフランジ14と接する部分の間において、閉断面構造材の内部へ凹む凹部2dを有する。補強部材4は、閉断面構造材の内部において、凹部2dに接するよう配置される。補強部材4の両端は2つの側壁11、12に接した状態で、2つの側壁11、12に固定される。図12Jに示す補強部材4は、板状である。なお、補強部材4は、管状であってもよい。凹部2dのクロージングプレート2に垂直な方向(z方向)における深さDAは、側壁11、12の第1の稜線123から第2の稜線124までの長さの2/5すなわち40%以下とする。
なお、補強部材4は、凹部2dに接していなくてもよい。この場合、補強部材4と凹部2dとの間のクロージングプレート2に垂直な方向における距離を、距離KA以下とする。ここで、距離KAは、側壁11、12とフランジ14との境界における湾曲部のクロージングプレート2に垂直な方向の高さとする。湾曲部の高さは、クロージングプレート2から側壁11、12側のR止まりRd1までの距離である。補強部材4と凹部2dとの間の距離を距離KA以下とすることで、フランジ14と側壁11、12との境の湾曲部の衝撃による変形を抑えることができる。このように、閉断面構造材の内部において、クロージングプレート2の凹部に隣接するように補強部材4を設けることで、クロージングプレート2への衝撃に対する構造部材の剛性が向上する。
図12Kに示す例では、頂面部13は、閉断面構造材の内部へ凹む凹部13dを有する。補強部材4は、閉断面構造材の内部において、凹部13dに接するよう配置される。補強部材4の両端は2つの側壁11、12に接した状態で、2つの側壁11、12に固定される。図12Kに示す補強部材4は、板状である。なお、補強部材4は、管状であってもよい。補強部材4の両端は2つの側壁11、12に接した状態で、2つの側壁11、12に固定される。凹部13dの頂面部13に垂直な方向(z方向)における深さDBは、側壁11、12の第1の稜線123から第2の稜線124までの長さの2/5すなわち40%以下とする。
なお、補強部材4は、凹部13dに接していなくてもよい。この場合、補強部材4と凹部13dとの間の頂面部13に垂直な方向における距離を、距離KA以下とする。ここで、距離KAは、側壁11、12と頂面部13との境界における湾曲部の頂面部13に垂直な方向の高さとする。頂面部13に垂直な方向の荷重に対して、側壁11、12と頂面部13との境界における湾曲部は潰れやすく、側壁11、12の湾曲部以外の部分は耐力が高い。例えば、補強部材4がない構成において、頂面部13に衝撃が入力された場合、湾曲部が潰れて、側壁11、12のR境界から第2の稜線124までの部分で、衝撃に耐える構造となりやすい。図12Kに示す構成において、補強部材4と頂面部13の凹部13dとの距離を距離KAすなわち湾曲部の高さ以下にすることで、衝撃入力時の湾曲部の変形を抑えることができる。このように、閉断面構造材の内部において、頂面部13の凹部に隣接するように補強部材4を設けることで、頂面部13への衝撃に対する構造部材の剛性が向上する。
[車両への適用例]
上述したように、構造部材10を車両用構造部材として用いる場合、構造部材10を、管状部の長手方向に離間した2つの連結部で支持した状態で車両に取り付けられることがある。構造部材10は、例えば、車体、バンパ又は車両ドアの構造部材として使用される。そのため、構造部材10を備える車体、バンパ又は車両ドアも、本発明の実施形態に含まれる。
2つ連結部で支持された構造部材10の側壁11において、2つの連結部の間に、長手方向に離間した2つの低強度部11Bと、その間の高強度部11Aが配置される。側壁11、12に対向する他方の側壁12にも同様に、高強度部12A及び低強度部12Bが配置される。これにより、構造部材10において、衝撃が加わった場合のモーメントが大きくなる部分を折れにくくすることができる。その結果、耐衝撃性が高い構造部材が得られる。
特に部材の中央部は衝撃が加わった場合にモーメントが大きくなりやすい。そこで、2つの連結部から等しい距離の部分(2つの連結部の間の中央)に高強度部11A、12Aを配置することが望ましい。また、管状部の長手方向中央に高強度部11A、12Aが配置された構造部材10の両端部を支持する構成とすることが望ましい。ここで、両端部を支持する構成には、構造部材10の両端を支持する態様に加え、及び構造部材10の両端の近傍の部分を支持する態様も含まれる。
構造部材10を車両に取り付ける場合、構造部材10の管状部長手方向が車両の外形に沿うよう構造部材10を配置することが多い。すなわち、車両が衝突した場合の衝撃が構造部材10の長手方向に垂直な方向となるように、構造部材10が車両に取り付けられることが多い。また、頂面部13が車両の外側に、クロージングプレート2が車両の内側に配置されるように、構造部材10が車両に取り付けられることがある。この場合、構造部材10の連結部の間の中央に高強度部11Aが配置され、その両側に低強度部11Bが配置される。これにより、構造部材10に車両の外側から衝撃を受けた場合に、構造部材10が車両の内側へ突出する度合が小さくなる。逆にクロージングプレート2が車両の外側に配置されることもある。この場合も、構造部材10の連結部の間の中央に高強度部11Aが配置され、その両側に低強度部11Bが配置される。クロージングプレート2が車両の外側に配置された場合も、構造部材10に車両の外側から衝撃を受けた場合に、構造部材10が車両の内側へ突出する度合が小さくなる。
構造部材10は、上記のように、湾曲していてもよい。この場合、構造部材10は、車両の外側に向かって凸となるよう車両に取り付けられる。これにより、車両の外側から衝撃を受けた場合に、構造部材10をより折れにくくすることができる。
構造部材10は、車体、バンパ又は車両ドアの一部を構成する構造部材とすることができる。例えば、Aピラー、Bピラー、サイドシル、ロッカー、ルーフレール、フロアメンバー、フロントサイドメンバーといった車体を構成する部材に構造部材10を用いることができる。或いは、ドアインパクトビームやバンパリインフォースメントといった車体に取り付けられ、外部からの衝撃から車両内の装置や乗員を守る部材に構造部材10を用いることもできる。
図13は、モノコック構造の車両に配置される構造部材の一例を示す図である。図13に示す例では、Aピラー15、Bピラー16、ロッカー17、ルーフレール18、バンパリインフォースメント19、フロントサイドメンバー20、ドアインパクトビーム21、フロアメンバー22、及び、リアサイドメンバー23が車両用構造部材として用いられる。これらの車両用構造部材の少なくとも1つを、上記の構造部材10で構成することができる。
図14は、構造部材10をバンパリインフォースメント19に適用した場合の構成例を示す図である。図14に示すパンパ−リインフォースメント19は、上述した構造部材10により構成される。構造部材10の側壁11には、高強度部11Aと低強度部11Bが長手方向に並んで配置される。バンパリインフォースメント19に構造部材10を適用する場合、構造部材10の両端部をフロントサイドメンバー20で支持する構成になる。なお、バンパリインフォースメント19とフロントサイドメンバー20の間にクラッシュボックスを設けても良い。この場合、構造部材10の両端部は、クラッシュボックスで支持される構成になる。
すなわち、構造部材10の閉断面構造材は、長手方向に離間した2つの連結部160において、他の部材すなわち支持部材6と連結される。支持部材6は、例えば、フロントサイドメンバー20又はクラッシュボックス等となる。図14に示す例では、車両外側に頂面部13が配置され、車両外側にクロージングプレート2が配置される。補強部材4は、頂面部13の車両外側を覆い、かつ、側壁11の一部を覆う。図14に示す構成では、バンパリインフォースメント19の長手方向中央に衝撃が加わった場合に、荷重のモーメントが最大となる。バンパリインフォースメント19の長手方向中央に高強度部11A、12Aが配置され、その両側に低強度部11B、12Bが配置される。高強度部11Aと長手方向において重なる部分に補強部材4が配置される。これにより、車両外側からバンパリインフォースメント19の中央への衝撃による折れ変形が抑えられる。
図15は、ロッカー17及びルーフレール18それぞれに構造部材10を適用した場合の構成例を示す図である。図15において、矢印Fは、車両の前方向を示している。矢印Bは、車両の後方向を示している。矢印Uは、車両の上方向を示している。矢印Dは、車両の下方向を示している。車両の図15に示す例では、ロッカー17及びルーフレール18は、それぞれ、上述した構造部材10により構成される。これらの構造部材10は、長手方向が車両の前後方向となるように配置される。これらの構造部材10の頂面部13が車両の外側に配置される。これらの構造部材10のクロージングプレート2(図15では図示せず)は、車両の内側に配置される。
ロッカー17及びルーフレール18それぞれの構造部材10の側壁11には、高強度部11Aと低強度部11Bが長手方向に並んで配置される。ロッカー17の高強度部11Aには、Bピラー16の一方端が連結される。ルーフレール18の他方端には、Bピラー16の他方端が連結される。Bピラー16のロッカー17に連結された部分は、ロッカー17を形成する構造部材10の補強部材4となる。Bピラー16のルーフレール18に連結された部分は、ルーフレール18を構成する構造部材10の補強部材4となる。
Bピラー16は、閉断面構造材を含む管状部材で構成される。Bピラー16の一方端は、ロッカー17を構成する構造部材10の頂面部13及び側壁12に連結される。Bピラー16の他方端は、ルーフレール18を構成する構造部材10の頂面部13及び側壁11に連結される。なお、構造部材10の頂面部13の配置は、図15に示す例に限られない。例えば、ロッカー17を構成する構造部材10の頂面部13を車両の上下方向の上側に配置し、クロージングプレート2を車両の上下方向の下側に配置してもよい。ルーフレール18を構成する構造部材10の頂面部13を車両の上下方向の下側に配置し、クロージングプレート2を車両の上下方向の上側に配置してもよい。
図15に示す構成では、ロッカー17及びルーフレール18は、Bピラーが連結された部分に対する車両外側からの衝撃による折れ変形が抑えられる。
車両の構造部材を構成する構造部材10の材料として、引張強度(低強度部11B、12B以外の部分の引張強度)が780MPa以上(降伏強度400Mpa以上)の超高強度鋼を用いると、上記の効果が顕著に現れる。さらには、構造部材10の低強度部11B、12B以外の領域の強度を、引張強度で980MPa以上(降伏強度で500Mpa以上)とすることで、より効果を奏することができる。
なお、構造部材10を適用できる車両は、図13に示す自動車のような4輪車両に限られない。例えば、二輪車両の構造部材に構造部材10を用いてもよい。また、構造部材10は、モノコック構造の車両のみならず、フレーム構造の車体に適用することもできる。また、構造部材10で構成される構造部材の用途は、車両用に限られない。例えば、耐衝撃性容器、建築物、船舶、又は、航空機等の構造部材として、構造部材10を用いることができる。
また、構造部材10を用いる態様は、構造部材10の両端部を他の部材に連結する態様に限られない。構造部材10の閉断面構造材の長手方向に6H以上離れた任意の2つの位置で、他の部材を連結してもよい。すなわち、2つの連結部は、両端に限らずに、構造部材10の任意の位置に配置してもよい。
[製造工程]
構造部材10は、全体を同一素材で形成してもよい。構造部材10は、例えば、鋼板から形成される。構造部材10の製造工程には、低強度部11B、12B及び高強度部11A、12Aを有するハット部材1を作製する工程と、クロージングプレート2を作製する工程と、ハット部材1とクロージングプレート2を接合する工程と、ハット部材1とクロージングプレート2で形成される閉断面構造材と補強部材を接合する工程が含まれる。閉断面構造材と補強部材4とは、例えば、溶接により接合される。ハット部材1の作製工程では、素材に強度差を与え、低強度領域を形成する工程が含まれる。また、ハット部材1及びクロージングプレート2を湾曲させる工程が製造工程に含まれてもよい。ハット部材1及びクロージングプレート2を湾曲させる場合は、例えば、プレス曲げ、引張り曲げ、圧縮曲げ、ロール曲げ、押し通し曲げ、又は偏心プラグ曲げ等の曲げ加工方法が用いられる。
構造部材10の製造工程には、素材に低強度部を形成する工程が含まれる。低強度部を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、ロールフォーミングにより鋼板を断面ハット型に変形加工し、レーザー又は高周波加熱等の方法で、材料を局所的に加熱、焼き入れを行うことで、硬化領域を含むハット部材1を作り出すことができる。この場合、焼き入れを行わない領域が、相対的に強度が低い低強度部となる。また、調質処理を行ってハット部材1の全体を強化した後に、部分的に焼鈍処理を行って低強度部を形成することもできる。
或いは、熱間プレス(ホットスタンピング)技術を用いて構造部材10を作製することもできる。熱間プレスの工程において、加熱又は冷却の条件を同一素材において部分的に異ならせることで、素材中に低強度領域を形成することができる。例えば、鋼板を用いて、鋼がオーステナイト単相域となる温度(Ac3温度)以上に加熱し、金型を用いて成形を行いつつ焼き入れを行う。この際に、冷却速度に差をつけることにより、急冷部は概ね硬質なマルテンサイト組織とし、緩冷部は、軟質なフェライトとパーライトの混相組織又はベイナイト組織とする。これにより、緩冷部を、低強度領域とすることができる。また、熱間プレスにより部材全体をマルテンサイト組織の高強度部とした後、部分的に焼戻して低強度部を形成してもよい。
なお、構造部材10の製造方法は、上記例に限られない。例えば、テーラードブランク等、その他公知の方法を用いて、低強度部を有する構造部材10を形成してもよい。
上記の構造部材10においては、高強度部11A、12Aの降伏強度の分布が一様でない場合がある。定常域では、降伏強度のばらつきは、±10%以内となることが多い。ここでは、高強度部11A、12Aの降伏強度の最大値Smaxの90%を、高強度部11A、12Aの降伏強度SA(基準強度)と定義する(SA=0.9Smax)。降伏強度が0.85SAより大きく0.9SAより小さい(SAの85%〜90%)領域(遷移域)は、高強度部11A、12Aの一部とみなす。高強度部11A、12Aにおける降伏強度は、0.85SA(SAの85%)より大きい。すなわち、降伏強度が0.85SAより大きい領域が高強度部11A、12Aである。
図16は、低強度部11B、12Bと高強度部11A、12Aの境界を含む部分の降伏強度の分布の一例を示す図である。図16において、縦軸は降伏強度、横軸はy方向の位置を示す。図16に示す例では、高強度部の降伏強度の最大値Smaxの90%(0.9Smax)を、高強度部の降伏強度SAと定義する。高強度部において、降伏強度が0.9SA以上の領域は、定常域と称する。また、降伏強度が0.85SAより大きく0.9SAより小さい領域は、低強度部から高強度部の定常域に至るまでの遷移域である。遷移域は高強度部とみなされ、降伏強度が0.85Aの位置が、低強度部と高強度部との境界となる。すなわち、降伏強度が0.85SAより大きい領域は、高強度部となり、降伏強度が0.85SA以下の領域は、低強度部である。
低強度部の降伏強度は、0.6SA以上0.85SA以下(SAの60〜85%)である。なお、構造部材10の低強度部で囲まれる部分に0.6SA以下の部分が含まれていても、その部分が構造部材10の変形挙動への影響を無視できる程度に小さい場合は、低強度部11B、12Bの一部と見なすことができる。
本実施例では、ハット部材とクロージングプレートで形成される閉断面構造材に補強部材を配置した構造部材に圧子を衝突させた場合の構造部材の変形をシミュレーションで解析した。図17Aは、シミュレーションにおける解析モデルの構成を示す図である。本シミュレーションでは、構造部材100を2つの台30に架け渡した状態で、構造部材100の長手方向の中央部に、圧子(インパクタ)50を、衝突させた場合の変形挙動を解析した。
図17Bは、図17Aに示す構造部材100をy方向から見た構成を示す図である。構造部材100は、ハット部材101と、クロージングプレート102を含む。ハット部材101は、頂面部113、頂面部113の両端から延び互いに対向する一対の側壁111、112、及び側壁111、112の頂面部113とは反対側の端部から対向方向外側に延びるフランジ114を含む。クロージングプレート102は、フランジ114に接合される。ハット部材101の長手方向(y方向)の中央に、補強部材40が配置される。補強部材40は、ハット部材101の頂面部113及び側壁111、112の一部を覆う。図17A及び図17Bに示すモデルにおいて、圧子50が、z方向に移動して頂面部113に衝突する場合と、圧子50がz方向に移動してクロージングプレート102に衝突する場合のシミュレーションを行った。
圧子50の質量は350kgとし、圧子4のY方向の幅WIは160mm、圧子50の衝突面4sの曲率半径R1は150mmとし、圧子50の初速度は、4m/秒とした。摩擦係数は、0.1とした。構造部材100の管状部長手方向(y方向)の長さLYは1000mmとした。台30間の距離LSは400mmとした。台30の高さD1は、145mmとした。構造部材100の断面(図17B参照)において、頂面部113の幅W2を50mm、フランジ114の幅W3を40mmとした。2つのフランジ14の間の幅W4を65mmとした。一対の側壁111、112のそれぞれの高さHを50mmとした。ハット部材101及びクロージングプレート102の板厚tは1.4mm、頂面部113と側壁111、112の間のR(角部の曲率半径すなわちコーナーR)は5mmとした。補強部材40の板厚は、2.0mmとした。高強度部10Aの強度は、YP1200MPa相当とした。低強度部10Bの強度は、YP1000MPa相当とした。補強部材40の強度は、YP1200MPaとした。
一対の側壁111、112に、高強度部10Aを配置し、高強度部10Aのy方向両側に低強度部10Bを配置した。高強度部10Aは、構造部材10の長さ方向中央に配置した。y方向において、高強度部10Aが形成される領域に補強部材40を配置した。補強部材40に覆われた頂面部113に圧子4が衝突する。構造部材100のy方向の長さLYは、側壁111、112の高さHの6倍以上である(LY≧6H)。
図17Cは、図17Aにおける点線で示す領域Sの拡大図である。本解析では、補強部材40の端から高強度部10Aと低強度部10Bの境界までのy方向における寸法Lh及び、低強度部10Bのy方向における寸法Lsを変化させて、衝突シミュレーションを行った。
図18は、シミュレーションにおける解析モデルの他の構成を示す図である。図18に示す例では、構造部材100の両端が2つの台30に接合されている。図18に示す解析モデルのシミュレーションの結果は、図17Aに示す解析モデルのシミュレーションの結果と同様であった。また、頂面部113に圧子4を衝突させるシミュレーションに加えて、クロージングプレート102に圧子4を衝突させるシミュレーションも行った。
下記表1は、上記強度比を0.83(低強度部10Bの降伏強度を、YP1000MPa、高強度部10Aを含むその他の部分の降伏強度を、YP1200MPa)とし、寸法Ls及びLhを変化させた場合のシミュレーション結果から得られる変形挙動を示す。表1において、変形挙動欄のExcellentは非常に良好、Goodは良好、Poorは、不良を示す。これらの変形挙動の評価は、折れが発生する時の圧子の侵入量に基づいて判断した。圧子の侵入量は、インパクタストローク又は圧子変位とも称する。下記表1は、圧子4を頂面部113に衝突させた場合の解析結果である。これに対して、圧子4をクロージングプレート102に衝突させた場合も、下記表1と略同様の解析結果が得られた。
図19は、表1におけるCase1〜10における、折れ曲がり時のインパクタストロークのシミュレーション結果を示すグラフである。図19におけるCase1〜10の寸法Lh、Lsの条件は、表1に示すCase1〜10の寸法Lh、Lsの条件と同じである。
図19に示す結果では、Case3〜7、10では、Case1〜Case3より、折れ曲がり時のインパクタストロークが小さくなっている。これにより、Case3〜7、10の場合には、Case1〜Case3の場合より折れが発生しにくいことがわかった。すなわち、H/3≦Lh≦3H/2の場合に、折れが発生しにくい。H/3≦Lh≦Hの場合、さらに折れが発生しにくくなる。また、低強度部10Bのy方向の寸法Lsが、3H/5≦Lsの場合、折れが発生しにくくなることがわかった。
また、低強度部10Bの強度と、高強度部10Aを含むその他の部分の強度との強度比を変化させて、衝突シミュレーションを行った。図20は、低強度部10Bと、高強度部10Aを含む他の部分の強度比を変えて衝撃荷重を入力した場合の、曲げ変形による変形量を示すグラフである。図20において、縦軸は、衝撃方向(z方向)における構造部材10の侵入量(突出量)を示す。横軸は、低強度部10Bの強度の、高強度部10Aの強度に対する比(強度比=低強度部の強度/高強度部の強度)を示す。
強度比が、0.60〜0.85の区間では、強度比の増加に伴って侵入量は減少している(矢印Y1)。この区間では、構造部材10の変形モードは、断面潰れとなっている。この区間において、低強度部10Bの強度が低い(強度比が0.60以下)場合、断面潰れの変形になるものの、侵入量が大きくなり、強度比が0.85を越える場合の侵入量と略同じとなった。強度比が0.85を超えると、侵入量は、急激に増加した(矢印Y2)。さらに、強度比0.85以上で強度比を増やすと、侵入量は、強度比の増加に応じて大きくなった(矢印Y3)。これは、強度比0.85を境に、変形モードが、断面潰れから、折れに変化したためと考えられる。このように、低強度部10Bの強度が高すぎる(強度比が高い)と折れ曲がって変形し、侵入量が大きくなった。図16の結果により、衝撃による曲げ変形の侵入量を少なくする観点から、強度比は60〜85%が好ましく、強度比は70〜85%がより好ましいことが確認された。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。