JP2012017047A - 鋼板製構造部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面に取り付けた中リブの形状とフランジ接合方法に工夫を凝らすことによって、軽量、かつ安価で、曲げ方向の衝撃吸収特性と剛性に優れた鋼板製の構造部材を提供する。
【解決手段】ハット形状に曲げ加工されたハット型部材とクロージングプレートを重ね合わせ、フランジの重ね合わせ部分を連続接合したハット型断面構造を有する構造部材であって、前記ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面に、フランジ付き逆V断面形状の中リブを溶融接合する。
ハット型部材フランジの重ね合わせ部分の接合方法は、レーザ溶接法、もしくは接着剤とスポット溶接法を併用した工法でなされる。中リブのフランジ接合方法は、スポット溶接法もしくはレーザ溶接法の溶融接合でなされる。
【選択図】図3
【解決手段】ハット形状に曲げ加工されたハット型部材とクロージングプレートを重ね合わせ、フランジの重ね合わせ部分を連続接合したハット型断面構造を有する構造部材であって、前記ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面に、フランジ付き逆V断面形状の中リブを溶融接合する。
ハット型部材フランジの重ね合わせ部分の接合方法は、レーザ溶接法、もしくは接着剤とスポット溶接法を併用した工法でなされる。中リブのフランジ接合方法は、スポット溶接法もしくはレーザ溶接法の溶融接合でなされる。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車車体のサイドシル(もしくはロッカ)、ルーフサイドレール、センターピラなど、曲げ方向の衝撃吸収特性と剛性に優れた鋼板製構造部材に関する。
近年、自動車では燃費性能や衝突時の安全性のより一層の向上に対する要求の高まりに伴って、車体軽量化と車体での衝撃吸収特性の両立が、従来にも増して強く要求されており、かかる要求に対して様々な手法・対策が検討されている。
その一つとして、高張力鋼板の車体構造部材への適用があり、実車への採用が年々増加する傾向にある。例えば図1に示すような、いずれも鋼板からなるハット形状に曲げ加工されたハット型部材にクロージングプレートをスポット溶接法によって接合して形作った構造部材が衝撃吸収部材として用いられている。
この高張力鋼板を車体構造部材に適用することにより、比較的薄肉構造で衝突時の衝撃吸収特性を高めることができる。しかしながら、その一方で、構造部材の剛性も確保する必要があることから、あまり板厚を薄くすることはできない。
その一つとして、高張力鋼板の車体構造部材への適用があり、実車への採用が年々増加する傾向にある。例えば図1に示すような、いずれも鋼板からなるハット形状に曲げ加工されたハット型部材にクロージングプレートをスポット溶接法によって接合して形作った構造部材が衝撃吸収部材として用いられている。
この高張力鋼板を車体構造部材に適用することにより、比較的薄肉構造で衝突時の衝撃吸収特性を高めることができる。しかしながら、その一方で、構造部材の剛性も確保する必要があることから、あまり板厚を薄くすることはできない。
構造部材の剛性は材料のヤング率や構造部材自体の断面形状等によって一元的に決まり、材料自体の高剛性化が現状では実用化が難しいことから、部材断面の拡大や形状最適化に依らざるをえないのが実情である。すなわち、車体の軽量化と衝撃吸収特性、並びに剛性の三者をバランス良く実現することは、非常に難しいという問題がある。
このような検討対象の自動車車体用構造部材としては、例えばサイドシル(ロッカ)、ルーフサイドレール、センターピラ等が挙げられる。
このような検討対象の自動車車体用構造部材としては、例えばサイドシル(ロッカ)、ルーフサイドレール、センターピラ等が挙げられる。
図2が前記構造部材の構成概略を説明する図である。同図に示すように、自動車車体の側面部位を構成する骨格部品であり、センターピラのアッパー側にルーフサイドレール、またアンダー側にサイドシルが、それぞれT形連結されて配置される。これにより、ルーフの支持、リアドアの保持、車体の剛性維持、さらには側面衝突時の際の乗員保護等の点で極めて重要な役割を担っている。
なお、衝撃吸収特性と剛性を兼ね備えた構造部材に関する従来技術としては、例えば特許文献1に、ハット型部材にクロージングプレートをリベット等の固定手段を用いて接合して形作った構造部材の溝内部に複数の波形リブを配置した構造部材が提案されている。
なお、衝撃吸収特性と剛性を兼ね備えた構造部材に関する従来技術としては、例えば特許文献1に、ハット型部材にクロージングプレートをリベット等の固定手段を用いて接合して形作った構造部材の溝内部に複数の波形リブを配置した構造部材が提案されている。
特許文献1で提案された構造部材は、衝撃吸収特性と剛性に優れる反面、複数の波形リブの配置よって材料の使用ボリュームは大幅に増大する。このため、構造部材の軽量化の実現には、比重が鋼の約1/3と小さいアルミニウム合金など、非鉄金属のように高価な材料の使用が避けられないといった欠点がある。
また、波形リブとハット型部材の接合、もしくは波形リブ付きハット型部材と接する他構造部材との接合を溶融溶接で行う際は、その両者が鋼とアルミニウム合金といったような異種金属の場合、脆弱な金属間化合物の生成により接合強度が低下するといった問題が懸念される。
また、波形リブとハット型部材の接合、もしくは波形リブ付きハット型部材と接する他構造部材との接合を溶融溶接で行う際は、その両者が鋼とアルミニウム合金といったような異種金属の場合、脆弱な金属間化合物の生成により接合強度が低下するといった問題が懸念される。
本発明は、これらの現状に鑑みて発明されたものであり、鋼板を材料とした構造部材であって、ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面に取り付けた中リブの形状とフランジ接合方法に工夫を凝らすことによって、軽量、かつ安価で、曲げ方向の衝撃吸収特性と剛性に優れた構造部材を提供することを目的とするものである。
本発明の鋼板製構造部材は、その目的を達成するため、ハット形状に曲げ加工されたハット型部材とクロージングプレートを重ね合わせ、フランジの重ね合わせ部分を連続接合したハット型断面構造を有する構造部材であって、前記ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面に、ハット型部材本体の長手方向長さに対して相対的に短尺で、かつ、フランジ付き逆V断面形状である中リブが溶融接合されていることを特徴とする。
フランジの重ね合わせ部分の連続接合が、レーザ溶接法、もしくは接着剤とスポット溶接法を併用した工法でなされていることが好ましい。
また、フランジ付き逆V断面形状の中リブは、そのフランジ部においてハット型部材のウェブ部裏側の内壁面にスポット溶接法もしくはレーザ溶接法で溶融接合されていることが好ましい。
フランジの重ね合わせ部分の連続接合が、レーザ溶接法、もしくは接着剤とスポット溶接法を併用した工法でなされていることが好ましい。
また、フランジ付き逆V断面形状の中リブは、そのフランジ部においてハット型部材のウェブ部裏側の内壁面にスポット溶接法もしくはレーザ溶接法で溶融接合されていることが好ましい。
本発明によれば、中リブを有するハット型部材において、中リブの形状とフランジ接合方法に工夫を凝らすことによって、部材質量を低減しつつ、曲げ方向の衝撃吸収特性および剛性を、従来の構造部品と同等以上に確保することができる。
したがって、本発明により、軽量、かつ安価な自動車車体の鋼板製構造部材を提供できる。
したがって、本発明により、軽量、かつ安価な自動車車体の鋼板製構造部材を提供できる。
本発明者等は、構造部材に要求される衝撃吸収特性と剛性を高める手段について種々検討を重ねてきた。
その結果、ハット型断面形状の構造部材において、前記ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面にフランジ付き逆V断面形状の中リブを溶融接合することにより、衝撃吸収特性を大幅に向上できると共に、ハット型部材とクロージングプレートが重ね合わされたフランジを連続溶接化ことで剛性をも高めることができることがわかった。
以下、その詳細を説明する。
その結果、ハット型断面形状の構造部材において、前記ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面にフランジ付き逆V断面形状の中リブを溶融接合することにより、衝撃吸収特性を大幅に向上できると共に、ハット型部材とクロージングプレートが重ね合わされたフランジを連続溶接化ことで剛性をも高めることができることがわかった。
以下、その詳細を説明する。
ハット型断面形状の構造部材は、図1に見られるように、ハット形状に曲げ加工されたハット型部材1とクロージングプレート2が重ね合わされたフランジ部3をスポット溶接機やレーザ溶接機を用いて溶融接合し、かつ、長手方向に垂直な断面に対して閉断面構造を有する部材である。
このようなハット型断面形状の構造部材において、図3に示すように、ハット型部材におけるウェブ部4の裏側の内壁面に、ハット型部材本体の長手方向長さに対して相対的に短尺で、かつ、フランジ付き逆V断面形状の補強部材となる中リブ5を溶融接合で取り付けたものである。
このようなハット型断面形状の構造部材において、図3に示すように、ハット型部材におけるウェブ部4の裏側の内壁面に、ハット型部材本体の長手方向長さに対して相対的に短尺で、かつ、フランジ付き逆V断面形状の補強部材となる中リブ5を溶融接合で取り付けたものである。
詳細は実施例の記載に譲るが、このような補強部材を取り付けると、3点曲げによる変形形態が、弾性変形から曲げ折れの発生に至ることなく、両サイドの縦壁部6が外側に張り出すような扁平変形へとスムーズに移行するので、構造部材のより広範囲な領域に一様な塑性変形を促すことが可能となり、衝撃吸収能の大幅な向上に繋がった。前記中リブ5の長さを調整することで、同時に優れた安定性をも兼ね備えることができた。
また、構造部材に対してねじりのような外力が作用するとき、フランジの接合部3を介してハット型部材1とクロージングプレート2との間で拘束力が伝達されるが、連続接合の場合、フランジ部3にスポット溶接法のような長手方向に不連続な接合を施した不完全な閉断面部材に比較すると、フランジ部領域全体でより均等な拘束力が得られるため、優れたねじり剛性をも付与することができた。
なお、ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面へのフランジ付き逆V断面形状の中リブ5の溶融接合方法に関しては、特に制限はないが、接合強度、熱ひずみの大小、フランジ接合の作業時間や簡便さ等を総合的に考慮すると、スポット溶接法、あるいはレーザ溶接法を採用することが好ましい。
なお、ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面へのフランジ付き逆V断面形状の中リブ5の溶融接合方法に関しては、特に制限はないが、接合強度、熱ひずみの大小、フランジ接合の作業時間や簡便さ等を総合的に考慮すると、スポット溶接法、あるいはレーザ溶接法を採用することが好ましい。
素材として980MPa級の引張強さを有する自動車用加工性冷間圧延高張力鋼であって、板厚:1.0mm、1.2mm、1.4mmの鋼板を準備した。
所定の板厚の鋼板を用いて、図4に示す断面形状及び寸法を有するハット型部材を製作した。構造部材の長さは試験方法によって異なり、3点曲げ試験用の840mmと、ねじり試験用の700mmの2タイプとした。
所定の板厚の鋼板を用いて、図4に示す断面形状及び寸法を有するハット型部材を製作した。構造部材の長さは試験方法によって異なり、3点曲げ試験用の840mmと、ねじり試験用の700mmの2タイプとした。
図4(a)は、ハット型部材とクロージングプレートを重ね合わせ、フランジの重ね合わせ部分を連続接合した位置、並びにハット型部材のウェブ部裏側の内壁面と中リブのフランジ部を溶融接合した位置を併せて示す。前者の連続接合では、レーザ溶接法、もしくは一液加熱硬化型エポキシ接着剤と50mm間隔のスポット溶接法を併用したウエルドボンド工法により接合した。また、後者の溶融接合は、25mm間隔のスポット溶接法、もしくはレーザ溶接法とした。また、図4(b)に示す従来断面形状のハット型部材におけるフランジ接合は、50mm間隔のスポット溶接法、もしくはレーザ溶接法とした。
構造部材に要求される衝撃吸収特性に関する評価試験は、図2に示すような、側面衝突時における衝撃荷重の力点となるセンターピラや、支点となる2箇所のフロアクロスメンバとそれぞれT形連結されたサイドシルを想定し、3点曲げ試験による評価を実施した。図5で示すように、試験に供した構造部材を支点間距離が700mmの支持治具の上に設置した後、質量90kgの落錘を、衝突初速度が50km/hとなる高さから自由落下させ、構造部材の変形形態の外観観察、構造部材の衝撃吸収エネルギーと荷重変動の測定を行って評価した。衝撃荷重は支持治具と落錘に埋め込んだロードセルで、また構造部材の変位開始以降の落錘変位の出力はレーザ変位計によってそれぞれ計測した。
図6は、前記3点曲げ試験で得られた、荷重−変位曲線を概念的に示したグラフである。試験に供した構造部材の衝撃吸収能は、図中の荷重−変位曲線内に囲まれた面積を、変位ゼロから150mmまで積算した値、すなわち衝撃吸収エネルギーによって評価した。また、衝撃吸収特性の安定性を数値化して表現した荷重変動に関しては、変位ゼロから75mm区間の試験前半における平均荷重と、変位75mmから150mm区間の試験後半における平均荷重との間の差により評価した。
図7に、構造部材に要求される剛性の評価方法を示す。同試験では、試験に供した構造部材の端部の片方を固定し、6°/minで一定速度となるよう、もう一方に対してトルクを負荷してねじり、そのねじれ角度を計測した。試験に供した構造部材のねじり剛性GJ(kN・m2/rad)は、負荷トルクM(kN・m)が0.9kN・mとなる弾性変形領域内でのねじれ角度θ(rad)と、構造部材の長さL(m)を用いて次式により算出した。
GJ = (M×L)÷θ …(1)
GJ = (M×L)÷θ …(1)
前記の3点曲げ試験とねじり試験で得られた試験評価結果を表1にまとめて示す。
3点曲げ試験後の構造部材の外観は、試験番号2〜4の構造部材の場合、例えば試験番号2の結果を示す図8(a)に見られるように、中央部で曲げ折れの発生が認められ、塑性変形領域が非常に狭い。一方、本発明のように中リブを付与した構造部材(試験番号1、5、6)の場合、例えば試験番号1の結果を示す図8(b)に見られるように、曲げ折れを生じることなく、両サイドの縦壁部が外側へ張り出すように潰れる扁平の変形形態を維持しつつ、比較的広範囲にわたって塑性変形が拡がる様相を呈していた。
3点曲げ試験後の構造部材の外観は、試験番号2〜4の構造部材の場合、例えば試験番号2の結果を示す図8(a)に見られるように、中央部で曲げ折れの発生が認められ、塑性変形領域が非常に狭い。一方、本発明のように中リブを付与した構造部材(試験番号1、5、6)の場合、例えば試験番号1の結果を示す図8(b)に見られるように、曲げ折れを生じることなく、両サイドの縦壁部が外側へ張り出すように潰れる扁平の変形形態を維持しつつ、比較的広範囲にわたって塑性変形が拡がる様相を呈していた。
図9に、試験番号2、1の構造部材における荷重−変位曲線を示す。
図9(a)は、中リブ無しの試験番号2の構造部材のものである。荷重は、変位40mm前後で最大値を示した後、単調減少し、100mm以降は低レベルの荷重で推移した。図8(a)で示した曲げ折れの発生時期が初期ピーク荷重の出現に対応し、それ以降、塑性変形がさほど進展せずに短期間で終わったことが、荷重の単調低下に結び付いたものと考えられる。同条件における荷重変動は比較的大きく、+8.51kNであった。
図9(b)は、中リブを付与した試験番号1の構造部材のものである。荷重は、変位ゼロから200mmの広範囲にわたって高レベルを維持しており、その荷重変動は−2.52kNと非常に小さい。これは、中リブの付与により、曲げ折れの発生が抑制され、塑性変形の進行を妨げなかったので、高荷重レベルを維持できたものと考えられる。
図9(a)は、中リブ無しの試験番号2の構造部材のものである。荷重は、変位40mm前後で最大値を示した後、単調減少し、100mm以降は低レベルの荷重で推移した。図8(a)で示した曲げ折れの発生時期が初期ピーク荷重の出現に対応し、それ以降、塑性変形がさほど進展せずに短期間で終わったことが、荷重の単調低下に結び付いたものと考えられる。同条件における荷重変動は比較的大きく、+8.51kNであった。
図9(b)は、中リブを付与した試験番号1の構造部材のものである。荷重は、変位ゼロから200mmの広範囲にわたって高レベルを維持しており、その荷重変動は−2.52kNと非常に小さい。これは、中リブの付与により、曲げ折れの発生が抑制され、塑性変形の進行を妨げなかったので、高荷重レベルを維持できたものと考えられる。
図10に、衝撃吸収エネルギーに及ぼす中リブ付与の効果を明らかにするため、試験番号1と2の衝撃吸収エネルギー−変位曲線をまとめて示す。
中リブ無しの試験番号2の構造部材は、変位75mm以降、衝撃吸収エネルギーの増加割合が前半に比べると小さく、失速する傾向が認められるが、中リブを付与した試験番号1の構造部材では、衝撃吸収エネルギーがほとんど変動せずにほぼ一直線に増加し、非常に安定性に優れた特性を有していた。
中リブ無しの試験番号2の構造部材は、変位75mm以降、衝撃吸収エネルギーの増加割合が前半に比べると小さく、失速する傾向が認められるが、中リブを付与した試験番号1の構造部材では、衝撃吸収エネルギーがほとんど変動せずにほぼ一直線に増加し、非常に安定性に優れた特性を有していた。
前記の評価試験で得た各部材の衝撃吸収エネルギーとねじり剛性の関係を図11に示す。フランジ接合がスポット溶接法であり、かつ、中リブ無しの試験番号2の構造部材は、ハット型部材の板厚を1.4mmと厚肉化した効果により、ねじり剛性は60.1kN・m2/radと高い値を示すものの、衝撃吸収エネルギーは、図中に提示した構造部材の中で、中間クラスの位置にとどまった。
試験番号2と同一構造で、板厚のみを1.2mmに変更した試験番号3の構造部材は、ねじり剛性と衝撃吸収エネルギーの値が、図中に提示した構造部材の中で最も低い値を示した。また、板厚1.2mmで、かつ、フランジ部の接合方法を、スポット溶接法からレーザ溶接法による連続接合へと変更した試験番号4の条件は、ねじり剛性のみが大幅に向上したが、衝撃吸収エネルギーに関しては明瞭な変化が認められなかった。
試験番号2と同一構造で、板厚のみを1.2mmに変更した試験番号3の構造部材は、ねじり剛性と衝撃吸収エネルギーの値が、図中に提示した構造部材の中で最も低い値を示した。また、板厚1.2mmで、かつ、フランジ部の接合方法を、スポット溶接法からレーザ溶接法による連続接合へと変更した試験番号4の条件は、ねじり剛性のみが大幅に向上したが、衝撃吸収エネルギーに関しては明瞭な変化が認められなかった。
これに対して、中リブを付与し、かつ、フランジ部の接合方法をレーザ溶接法、もしくは、接着剤とスポット溶接法を併用したウエルドボンド工法により連続接合した試験条件1、5と6の場合、ねじり剛性と衝撃吸収エネルギーが共に最も高い値を示しており、本発明による構造部材は、軽量にもかかわらず、高い剛性と高い衝撃吸収能を発揮しうることを立証できた。
また表2には、本発明で付与した中リブの最適な寸法を明らかにするため、衝撃吸収特性に及ぼす中リブの長さや同板厚の影響を調査した結果を示す。
3点曲げ試験後の構造部材の外観は、中リブの板厚の違いに関わらず、同長さが140mmと短い条件(試験番号13と17)で、中リブ付与の効果が不十分となり、曲げ折れが発生して、荷重変動に関しても−13kN前後で安定性に欠ける結果となった。一方、中リブ長さが180〜245mmの条件(試験番号1、6、11〜12、14〜16、18〜19)では、中リブ付与の効果が有効に作用し、落錘の変位に伴う構造部材の変形形態が、弾性変形から曲げ折れの発生に至ることなく扁平変形へとスムーズに移行し、荷重変動に対しても±10kN以内に収まるといった、優れた衝撃吸収特性を示した。
3点曲げ試験後の構造部材の外観は、中リブの板厚の違いに関わらず、同長さが140mmと短い条件(試験番号13と17)で、中リブ付与の効果が不十分となり、曲げ折れが発生して、荷重変動に関しても−13kN前後で安定性に欠ける結果となった。一方、中リブ長さが180〜245mmの条件(試験番号1、6、11〜12、14〜16、18〜19)では、中リブ付与の効果が有効に作用し、落錘の変位に伴う構造部材の変形形態が、弾性変形から曲げ折れの発生に至ることなく扁平変形へとスムーズに移行し、荷重変動に対しても±10kN以内に収まるといった、優れた衝撃吸収特性を示した。
なお、中リブは長すぎると構造部材が強固になりすぎて塑性変形しにくくなるため、衝撃吸収エネルギーが低下する。逆に、短すぎると曲げ折れのような局部的な塑性変形が発生しやすくなるため、荷重変動の増大(並びに衝撃吸収エネルギーの低下)を招く傾向がある。
図12にも示すように、3点曲げされる構造部材の長さ(支点間距離)が本実施例のように700mmである場合、中リブの長さを200〜220mmの範囲内に更に絞り込んで設計すると、高い衝撃吸収能(高い衝撃吸収エネルギー)および優れた安定性(小さな荷重変動)という必ずしも両立しない2つの性能を兼ね備えた高性能の構造部材を得られる。また、中リブの有効長さに及ぼす中リブのフランジ接合方法の影響をみると、強固な接合となるレーザ溶接法の方が、スポット溶接法に比べて、有効長さが僅かながら短尺側へとシフトする傾向が見られる。
以上の結果より、中リブの有効長さは、構造部材全体の長さ、中リブの接合方法や荷重負荷部位等を考慮して予め求めて設計することが好ましい。
図12にも示すように、3点曲げされる構造部材の長さ(支点間距離)が本実施例のように700mmである場合、中リブの長さを200〜220mmの範囲内に更に絞り込んで設計すると、高い衝撃吸収能(高い衝撃吸収エネルギー)および優れた安定性(小さな荷重変動)という必ずしも両立しない2つの性能を兼ね備えた高性能の構造部材を得られる。また、中リブの有効長さに及ぼす中リブのフランジ接合方法の影響をみると、強固な接合となるレーザ溶接法の方が、スポット溶接法に比べて、有効長さが僅かながら短尺側へとシフトする傾向が見られる。
以上の結果より、中リブの有効長さは、構造部材全体の長さ、中リブの接合方法や荷重負荷部位等を考慮して予め求めて設計することが好ましい。
Claims (3)
- ハット形状に曲げ加工されたハット型部材とクロージングプレートを重ね合わせ、フランジの重ね合わせ部分を連続接合したハット型断面構造を有する構造部材であって、前記ハット型部材のウェブ部裏側の内壁面に、ハット型部材本体の長手方向長さに対して相対的に短尺で、かつ、フランジ付き逆V断面形状である中リブが溶融接合されていることを特徴とする鋼板製構造部材。
- フランジの重ね合わせ部分の連続接合が、レーザ溶接法、もしくは接着剤とスポット溶接法を併用した工法でなされている請求項1に記載の鋼板製構造部材。
- フランジ付き逆V断面形状の中リブは、そのフランジ部においてハット型部材のウェブ部裏側の内壁面にスポット溶接法もしくはレーザ溶接法で溶融接合されている請求項1又は2に記載の鋼板製構造部材。
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