JPWO2018181858A1 - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、電気配線を有する電極材料を目的とする部位に安全に装着する方法を提供することである。前記課題は、本発明の基材(1)と、前記基材(1)上に設けられた多孔質体(2)と、前記基材(1)表面から始端し前記多孔質体(2)内部に伸びるポリマー(3)と、を含む複合材料であって、前記基材(1)が絶縁性基材又は導電性基材であり、そして前記基材(1)に接触する磁性粒子を含む絶縁性基材パッド(4)を有することを特徴とする複合材料によって解決することができる。

Description

本発明は、複合材料及び複合材料の製造方法に関する。本発明によれば、複合電極体を生体内の局部に戴置した後に電気配線を容易に設置することができる。
医療における診断及び治療の手法として、各種機器を用いた心電、筋電、又は脳電等の生体が発する電気信号の計測、及び通電(電気刺激)による生体機能の制御が、一般的に行われている。このような手法においては、機器の一部である電極が、機器と生体とのインターフェースとなっている。最近、電極材料と、生体親和性に優れるハイドロゲルを基板に用いた複合電極体が報告されている(特許文献1及び非特許文献1)。これらの複合電極体では、電極材料及びハイドロゲル(多孔質体)を接触させた界面において、電極材料表面からゲル内部への導電性高分子をグラフト重合させることによって、接着層を形成させている。そして、ハイドロゲルを構成する高分子鎖と導電性高分子とが相互に絡み合うことにより、電極材料とハイドロゲルとが強固に接着することが報告されている。
しかしながら、これらの電極材料の生体内の内視鏡下の限られた閉鎖空間内での使用を考えた場合、長い電気配線を直接引き出すことは狭い作業空間内で他の道具と絡みあってしまう危険性がある。
国際公開第2014/157550号
「アドバンスト・ヘルスケア・マテリアルズ(Advanced Healthcare Materials)」(ドイツ)2014年、第3巻、p1919−1927
従って、本発明の目的は、電気配線を有する電極材料を目的とする部位に安全に装着する方法を提供することである。
本発明者らは、電気配線を有する電極材料を目的とする部位に安全に装着する方法について鋭意検討した結果、電極材料を目的の部位に戴置し、その後に電気配線を接続させることで、問題を解決できることを見出した。具体的には、電極材料に磁性粒子を含む絶縁性基材部を設け、電極材料を目的の部位に戴置した後に、導電性磁石を有する配線を電極材料の磁性粒子を含む絶縁性基材部に接着させることによって、電気配線を安全に装着できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]基材と、前記基材上に設けられた多孔質体と、前記基材表面から始端し前記多孔質体内部に伸びるポリマーと、を含む複合材料であって、前記基材が絶縁性基材又は導電性基材であり、そして前記基材に接触する、磁性粒子を含む絶縁性基材パッドを有することを特徴とする複合材料、
[2]前記基材が絶縁性基材である場合に、前記ポリマーが絶縁性ポリマー及び/又は導電性ポリマーであり、前記絶縁性基材に接触する導電性基材を更に有する、[1]に記載の複合材料、
[3]前記絶縁性基材及び磁性粒子を含む絶縁性基材パッドが一緒になって、磁性粒子含有絶縁性基材を構成する、[1]又は[2]に記載の複合材料、
[4]前記基材が導電性基材である場合に、前記ポリマーが導電性ポリマー及び/又は絶縁性ポリマーである、[1]に記載の複合材料、
[5]前記磁性粒子が、鉄、鉄酸化物、窒化鉄、炭化鉄、ニッケル、コバルト、又はネオジムである、[1]〜[4]のいずれかに記載の複合材料、
[6]前記絶縁性基材が、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)共重合体、ポリジオキサノン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンアクリレート共重合体、ポリブタジエン、ビスマレイミドトリアジン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、サイクリックブチルテレフタレート、クレゾールホルムアルデヒド、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドリンゴム、セルロースプロピオネート、塩素化塩化ビニル、クロロプレンゴム、カゼイン、セルローストリアセテート、ジアリルフタレート、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレンジアミン四酢酸、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンメタクリル酸、エポキシ樹脂、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチルビニルエーテル共重合体、パーフルオロゴム、ポリエチレン、ポリスチレン、ブチルゴム、イソプレンゴム、ジフェニルメタンイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、ニトリルゴム、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイソブチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン、及びSiOからなる群から選択される、[1]〜[5]のいずれかに記載の複合材料、
[7]前記複合材料が複合電極体である、[1]〜[6]のいずれかに記載の被覆複合材料、
[8](A)磁性粒子を含む絶縁性基材パッドを調製する工程、(B)前記磁性粒子含有絶縁性基材パッドに接触するように磁性粒子を含まない絶縁性基材を形成し、絶縁性基材層を得る工程、(C)絶縁性基材層の表面に重合開始部を導入する重合開始部導入工程、(D)前記絶縁性基材層の重合開始部が導入された表面の反対側の面に接触して導電性基材層を作製する工程、(E)多孔質体中にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程、(F)前記重合開始部を重合開始点として前記モノマーの重合反応を行う、重合工程、を含むことを特徴とする複合材料の製造方法、
[9]前記モノマーの重合反応は、ラジカル重合反応である、[8]に記載の複合材料の製造方法、及び
[10]前記モノマーの重合は、熱反応、光反応、及び酸化還元反応からなる群より選択される少なくとも1つにより開始される、[8]又は[9]に記載の複合材料の製造方法、
に関する。
本発明の複合材料によれば、電極材料及びその電気配線を目的とする部位に安全に装着することができる。本発明の複合材料は、磁性粒子を含む磁性粒子含有絶縁性基材パッド、又は磁性粒子含有絶縁性基材を有しているが、十分な柔軟性を示し生体内の電気刺激用の電極、又は計測制御の電極に用いることができる。本発明の複合材料は、伸縮性を有しているため、電極の変形が発生する箇所で使用しても、電極の断線が発生しない。例えば、本発明の多孔質基板電極体は、体表に貼って用いる診断治療器具の電極としても適している。
本発明の複合材料の実施態様を例示した図である。 本発明の複合材料の実施態様を例示した図である。 本発明の複合材料の製造方法を模式的に示した図である。 複合材料(複合電極体)の生体内への設置方法を示した図である。 実施例で作製したハイドロゲル基板電極の図及び写真を示したものである。 複合材料(複合電極体)の磁性パッドへの導電性磁石の接触で電気回路が形成される様子を連続写真で示した写真である。
[1]複合材料
本発明の複合材料は、基材と、前記基材上に設けられた多孔質体と、前記基材表面から始端し前記多孔質体内部に伸びるポリマーと、を含む複合材料であって、前記基材が絶縁性基材又は導電性基材であり、そして前記基材に接触する、磁性粒子を含む絶縁性基材パッド(以下、「磁性パッド」と称することがある)を有する。
以下、図1及び図2を参照して、本発明の複合材料の実施態様について、詳細に例示説明する。
本発明の複合材料は、図1(a)に示すように、絶縁性基材1、基材上に設けられた多孔質体2、基材表面から始端し前記多孔質体内部に伸びるポリマー3を含み、磁性粒子を含む絶縁性基材パッド4(磁性パッド)を含むことを特徴とする。前記ポリマー3は、多孔質体内部に伸び、基材及び多孔質体を強固に接着させている。換言すると、ポリマー及びポリマーが伸びた多孔質体部分は、基材と多孔質体とを結合させる接着層7を形成している。前記基材が絶縁性基材である場合、前記ポリマーは絶縁性ポリマー、導電性ポリマー又はそれらの組み合わせでもよい。
本発明の複合材料は、図1(c)に示すように、好ましくは絶縁性基材1に接触する導電性基材5を有する。絶縁性基材を有することにより、複合材料を複合電極体として用いた場合に、抵抗を低下させることができる。
本発明の複合材料は、図1(b)又は(d)に示すように、前記絶縁性基材及び磁性パッドが一緒になって、磁性粒子含有絶縁性基材6(以下、「磁性絶縁性基材」と称することがある)を構成してもよい。磁性パッドは、複合電極体(複合材料)と、例えば配線を有する導電性磁石、あるいは導電性磁石を内包又は被覆した金属配線とを磁力により接続させる役割を担うものである。複合電極体と、導電性磁石等との接続する部位を制御するためには、磁性粒子を含む磁性パッドは、一定の大きさであることが好ましい。しかしながら、絶縁性基材のすべてに磁性粒子を含む磁性絶縁性基材を用いても、本発明の効果を得ることができる。すなわち、磁性パッド及び磁性絶縁性基材の大きさ及び位置は、複合電極体の使用形態に従って、適宜決定することができる。
本発明の複合材料は、図2(a)及び(b)に示すように、導電性基材5、基材上に設けられた多孔質体2、基材表面から始端し前記多孔質体内部に伸びるポリマー3を含み、磁性粒子を含む絶縁性基材パッド4(磁性パッド)を含むものでもよい。前記基材が導電性基材である場合、前記ポリマーは絶縁性ポリマー、導電性ポリマー又はそれらの組み合わせでもよい。また、磁性パッドの位置は、図2(a)に示すように、多孔質体に接触する位置でもよく、図2(b)に示すように、多孔質体に接触しない位置でもよい。磁性パッドが多孔質体に接触する場合、導電性基材及び磁性パッドから多孔質体にポリマーが伸びている。この場合もポリマーは絶縁性ポリマー、導電性ポリマー又はそれらの組み合わせでもよい。
前記図1及び図2に、本発明の複合材料の実施態様を記載したが、絶縁性基材1、多孔質体2、ポリマー3、磁性パッド4、導電性基材5、磁性粒子含有絶縁性基材6、接着層7の位置及び大きさは、本発明の効果が得られる限りにおいて、複合材料(複合電極体)の使用形態に従って、適宜変更して製造することができる。
《基材》
前記基材は、その表面に重合開始部となる基を付与することができる限り、特に限定されることなく、絶縁性基材1としてもよく、導電性基材5としてもよい。
(絶縁性基材)
絶縁性基材としては、一般的な樹脂や該樹脂を含む樹脂組成物を用いることができる。樹脂としては、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)共重合体、ポリジオキサノン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンアクリレート共重合体、ポリブタジエン、ビスマレイミドトリアジン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、サイクリックブチルテレフタレート、クレゾールホルムアルデヒド、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドリンゴム、セルロースプロピオネート、塩素化塩化ビニル、クロロプレンゴム、カゼイン、セルローストリアセテート、ジアリルフタレート、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレンジアミン四酢酸、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンメタクリル酸、エポキシ樹脂、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチルビニルエーテル共重合体、パーフルオロゴム、ポリエチレン、ポリスチレン、ブチルゴム、イソプレンゴム、ジフェニルメタンイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、ニトリルゴム、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイソブチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン、SiO等が挙げられ、特に、生体親和性、安定性の観点から、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、シリコーン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。これらの絶縁性材料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(導電性基材)
複合材料に用いる導電性基材は、導電性を有する限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば金属、炭素材料、導電性ポリマー材料、伸縮性材料、若しくは半導体等の導電性材料、又はそれらの複合材料を挙げることができる。基材として、導電性材料を用いることにより、本発明の複合材料を効果的に複合電極体として用いることができる。
金属としては、金、白金、銀、チタン、アルミニウム、タングステン、銅、鉄、又はパラジウムを挙げることができる。炭素材料としては、カーボンナノチューブ、ケッチェンブラック、グラッシーカーボン、グラフェン、フラーレン、カーボンファイバ、カーボンファブリック、又はカーボンエアロゲルを挙げることができる。導電性ポリマー材料としては、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチオフェン、又はポリ(p−フェニレンスルフィド)を挙げることができる。伸縮性材料としては、ウレタン、シリコーンゴム、又はフッ素ゴムを挙げることができる。半導体としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化チタン、酸化銅、又は酸化銀を挙げることができる。導電性基材としては、特に、電子伝導性、安定性、及び生体親和性の観点から、炭素材料各種、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロール、金、白金が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
更に、前記導電性材料と、前記絶縁性材料とを混合した複合材料を導電性基材として用いることもできる。前記複合材料における導電性材料及び絶縁性材料との混合比は、導電性が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、導電性材料及び絶縁性材料との重量比は、好ましくは20:80〜80:20であり、より好ましくは30:70〜60:40である。
《多孔質体》
本発明の複合材料に含まれる多孔質体は、柔軟性を有するものである限りにおいて、限定されるものではないが、生体親和性に優れたものが好ましく、例えばハイドロゲル、油性ゲルを挙げることができ、特にはハイドロゲルが好ましい。
具体的には、ハイドロゲルを形成する材料としては、寒天、ゼラチン、アガロース、キサンタンガム、ジェランガム、スクレロチウガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、セルロースガム、タマリンドガム、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、キトサン、カラギーナン、クインスシード、ガラクタン、マンナン、デンプン、デキストリン、カードラン、カゼイン、ペクチン、コラーゲン、フィブリン、ペプチド、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のコンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸(ムコ多糖類)及びヒアルロン酸ナトリウム等のヒアルロン酸塩、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩、並びにこれらの誘導体等の天然高分子;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体及びこれらの塩;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー、等のポリ(メタ)アクリル酸類及びこれらの塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合体(PPEGDA、PPEGDM)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物)とポリエチレングリコールとの架橋体、ポリエチレングリコール架橋体、N−ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体、デンプン・アクリル酸塩グラフトコポリマー架橋物等の合成高分子;シリコーン;相互侵入網目構造ハイドロゲル及びセミ相互侵入網目構造ハイドロゲル(DNハイドロゲル)を挙げることができる。
これらの中でも、生体親和性及び成型容易性を得る観点、機械的強度を高める(脆性を低減する)観点から、コラーゲン、グルコマンナン、フィブリン、アルギン酸、ポリビニルアルコール、PPEGDA、PPEGDM、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、シリコーン、DNハイドロゲル、これらの2種以上の混合物が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
多孔質体の含水率は、特に限定されるものではないが、60〜99.5質量%が好ましく、より好ましくは70〜99質量%であり、更に好ましくは80〜99質量%である。
《ポリマー》
前記基材と多孔質体とは、基材から多孔質体に伸びるポリマーによって基材と多孔質体とが結合している。前記基材と多孔質体とを結合させるポリマーは、特に限定されるものではないが、絶縁性ポリマー又は導電性ポリマーを挙げることができる。絶縁性ポリマー又は導電性ポリマーが基材から重合により多孔質体の内部に伸長することにより、前記基材と多孔質体とを強固に結合させることができる。
絶縁性ポリマーとしては、光反応、熱反応、酸化還元反応による重合開始により重合することが可能なものが好ましく、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー等のポリ(メタ)アクリル酸類及びこれらの塩;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートの重合体(PPEGDA、PPEGDM)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物)とポリエチレングリコールとの架橋体、ポリエチレングリコール架橋体、N−ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体、デンプン・アクリル酸塩グラフトコポリマー架橋物等の合成高分子;シリコーン;等が挙げられ、特に、周辺環境に応じた変形が無い(温度やpH等で膨潤度が変化しない)ことから、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、PPEGDA、PPEGDMが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
絶縁性ポリマーの導電率は、1mS/cm未満としてよく、0.1mS/cm未満であることが好ましい。多孔質体が高分子ハイドロゲルであり、絶縁性ポリマーがハイドロゲル材料である場合、本実施形態の複合材料1は、電子伝導性(導電性)を備えないものともし得るが、例えば、ハイドロゲル中に電解質を含めること等によって、イオン伝導性を備えるものともすることができる。
導電性ポリマーは、モノマーを電解重合によって重合させて得ることもできるが、光反応、熱反応、酸化還元反応による重合開始によりモノマーを重合させることによっても得ることができる。導電性ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOTと称することがある)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリビチオフェン、ポリイソチオフェン、ポリドデシルチオフェン、ポリイソナイトチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリアニリン、ポリイソチアナフテン、ポリチアジル、ポリフェニレン、ポリフルオレン、ポリジアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレスルフィド、又はその2つ以上の混合物を挙げることができ、好ましくはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、又はポリピロールである。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の複合材料では、絶縁性ポリマー及び/又は導電性ポリマーは、その一端で基材表面に導入された重合開始部と共有結合していることが好ましい。また、絶縁性ポリマー及び/又は導電性ポリマーは、図1に示すように、基材と多孔質体との接着性を高める観点から、多孔質体の厚さ方向一方側から他方側に向かって侵入するように伸びることが好ましい。更に、絶縁性ポリマー及び/又は導電性ポリマーは、基材と多孔質体との接着性を高める観点から、多孔質体をなす材料と相互に絡み合っていることが好ましい。
《接着層》
ポリマーが伸びた多孔質体部分及びポリマーは強固に絡まり、基材と多孔質体とを結合させる接着層を形成している。
接着層の厚さは、接着層が存在する各箇所において、接着強度を高める観点から、5μm以上としてよく、10μm以上であることが好ましく、100μm以上であることが更に好ましく、500μm以上であることが特に好ましく、より大きいほど一層好ましい。なおここで、接着層の厚さとは、当該接着層の最大厚さをいうものとする。
絶縁性ポリマー及び導電性ポリマーそれぞれの数平均分子量(Mn)としては、接着強度を高める観点から、100以上としてよく、1000以上であることが好ましく、10 以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましく、より大きいほど好ましい。
基材表面に導入された光反応、熱反応、酸化還元反応による重合開始(基)の単位面積当たりの個数は、接着強度を高める観点から、1011〜1015個/mmとしてよく、1012〜1015個/mmであることが好ましい。
《磁性粒子含有絶縁性パッド》
本発明の複合材料は、磁性粒子含有絶縁性パッド(磁性パッド)を含む。磁性パッドの基材としては、前記絶縁性基材に用いる材料を制限なく用いることができる。前記絶縁性基材に磁性粒子を含ませることによって、磁性パッドを得ることができる。
(磁性粒子)
磁性粒子は、好ましくは磁性材料、強磁性、反強磁性、フェリ磁性、反フェリ磁性又は超常磁性の材料から構成され、鉄、鉄酸化物(特に超常磁性の鉄酸化物)、酸化物層を備えた純鉄、又は一般式M(II)Fe(MはCo、Ni、Mn、Zn、Cu、Cd、Baまたは他のフェライトである)で表される材料、窒化鉄、炭化鉄、ニッケル、コバルト、又はネオジムから構成され、磁力の強さの観点からより好ましくは鉄、ネオジムから構成される。
磁性粒子の粒子径は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。すなわち、粒子径の大小に係わらず、磁性粒子が含まれた磁性パッドは、導電性磁石等に接続できると考えられるが、磁性パッドを製造する観点から、磁性粒子の粒子径は、好ましくは1nm〜10μmである。
粒子形状も特に限定されるものではないが、球状、ロッド状、又は不定形などの粒子を用いることができる。
磁性パッドに含まれる磁性粒子の含有量は、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜30g/cmであり、より好ましくは1〜20g/cmであり、更に好ましくは5〜10g/cmである。
磁性粒子の含有量が前記範囲であることにより、磁性パッドの伸縮性、屈曲性、及び変形性を得ることができ、複合材料を生体内で使用した場合に、生体の局所において、臓器等と密着させることができる。磁性粒子の含有量が多すぎると、磁性パッドが固くなり、最適な伸縮性、屈曲性、及び変形性が得られないことがある。また、磁性粒子の含有量が少なすぎると、複合材料を複合電極体として用いた場合に、導電性磁石との接続が弱くなることがある。
磁性パッドの大きさも、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。すなわち、複合材料を複合電極体として用いた場合に、導電性磁石と接続できる限りにおいて限定されるものではなく、複合電極体が適用される生体の局所に応じて、適宜決定することができる。
《磁性粒子含有絶縁性基材》
本発明の複合材料は、絶縁性基材及び磁性粒子を含む絶縁性基材パッドが一緒になって、磁性粒子含有絶縁性基材を構成してもよい。磁性粒子含有絶縁性基材の基材は、絶縁性基材に用いる材料を制限なく用いることができる。前記絶縁性基材に磁性粒子を含ませることによって、磁性粒子含有絶縁性基材を得ることができる。
磁性粒子含有絶縁性基材における磁性粒子は、前記の「磁性粒子含有絶縁性パッド」の項に記載の磁性粒子を制限なく用いることができる。また、磁性粒子含有絶縁性基材に含まれる磁性粒子の含有量も磁性パッドに含まれる磁性粒子の含有量と同じでよい。従って、磁性パッドと、磁性粒子含有絶縁性基材とは、大きさ以外の物性は同じでよい。
[2]複合材料の製造方法
本発明の複合材料の製造方法は、(A)磁性粒子を含む絶縁性基材パッドを調製する工程、(B)前記磁性粒子含有絶縁性基材パッドに接触するように磁性粒子を含まない絶縁性基材を形成し、絶縁性基材層を得る工程、(C)絶縁性基材層の表面に重合開始部を導入する重合開始部導入工程、(D)前記絶縁性基材層の重合開始部が導入された表面の反対側の面に接触して導電性基材層を作製する工程、(E)多孔質体中にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程、(F)前記重合開始部を重合開始点として前記モノマーの重合反応を行う、重合工程、を含む。前記各工程により、磁性粒子を含む絶縁性基材パッドを有する本発明の複合材料を製造することが可能になる。本実施形態の複合材料の製造方法におけるモノマーの重合反応の種類としては、特に限定されないが、ラジカル重合反応であることが好ましい。基材としては、絶縁性基材、導電性基材、又はその組み合わせを用いることができる。
(A)磁性パッド調製工程
本工程では、磁性粒子を含む絶縁性基材を調製する。具体的には、絶縁性基材の調製用の溶液に磁性粒子を添加して、絶縁性基材を調製することによって、磁性パッドを得ることができる。絶縁性基材の材料及び磁性粒子は、前記「[1]複合材料」の項に記載のものを用いることができる。磁性粒子を絶縁性基材の調製用の溶液に添加することを除いては、絶縁性の成形体を作製する通常の方法に従って、磁性粒子を含む絶縁性基材を製造することができる。
磁性粒子の添加量は、最終的に得られる磁性パッドの磁性粒子の含有量が、好ましくは0.1〜30g/cm、より好ましくは1〜20g/cm、更に好ましくは5〜10g/cmとなるように添加する。磁性パッドの面積は、安定した接続に十分な磁力を得る観点から1mm〜1cmが好ましい。磁性パッドの体積も、限定されるものではないが、好ましくは0.001mm〜100mmが好ましい。
(B)絶縁性基材層作製工程
本工程では、前記磁性粒子含有絶縁性基材パッドに接触するように磁性粒子を含まない絶縁性基材を形成し、絶縁性基材層を作製する。磁性粒子を添加しないことを除いては、前記磁性パッド調製工程と同じ手法で、絶縁性基材層を作製することができる。
(C)重合開始部導入工程
本工程では、基材表面に重合開始部を導入する。重合開始部としては、(Irgacure(登録商標)シリーズの)アルキルフェノンタイプ、アシルフォスフィンオキサイドタイプ、分子内水素引き抜きタイプ、オキシムエステル等のその他のタイプ、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル等のベンゾインエーテルタイプ、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のベンジルケタールタイプ、ベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン等のケトンタイプ等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合開始部の導入においては、オゾン処理(カルボキシル基の導入)、酸素プラズマ処理、コロナ放電処理、UV処理(例えば、ベンゾフェノンの導入)、シランカップリング剤による処理、チオール化合物による処理等を用いてよく、また、重合開始部は、上記基材表面の処理により、直接的に導入してもよく、重合開始部は、上記処理後に、例えば、エステル結合やアミド結合等を介して、更に結合させてもよい。具体的には、重合開始部導入工程では、例えば、平板上に置かれた前述の基材(例えば、ポリウレタン)にオゾンを照射して、基材表面にカルボキシル基を導入し、次いで、このカルボキシル基に、ヒドロキシル基を備えるα−ヒドロキシアルキルフェノンを、縮合剤を用いて結合させることができる。
また、例えば、平板上に置かれた前述の基材(例えば、ポリプロピレン)の表面にベンゾフェノンを塗布させ、次いで、塗布後の基材に紫外線を照射して、基材表面にベンゾフェノン部分を導入することができる。
(D)導電性基材層作製工程
本工程において、前記絶縁性基材層の重合開始部が導入された表面の反対側の面に接触して導電性基材層を作製する。導電性基材層の製造は、本分野における通常の手法によって行うことができる。導電性材料としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、PEDOTと称することがある)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリビチオフェン、ポリイソチオフェン、ポリドデシルチオフェン、ポリイソナイトチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリアニリン、ポリイソチアナフテン、ポリチアジル、ポリフェニレン、ポリフルオレン、ポリジアセチレン、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレスルフィド、又はその2つ以上の混合物を挙げることができ、好ましくはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリピロールである。
本工程において、導電性材料に絶縁性材料を混合させて、導電性基材層を得ることもできる。絶縁性材料としては、前記の絶縁性材料を限定することなく、用いることができる。導電性材料及び絶縁性材料との混合比は、導電性が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、導電性材料及び絶縁性材料との重量比は、好ましくは20:80〜80:20であり、より好ましくは30:70〜60:40である。
(E)モノマー含浸工程
本実施形態では、次いで、多孔質体中にモノマーを含浸させる。ここでは、モノマーとして、重合体となって絶縁性ポリマーとなり得るモノマーを用いている。具体的には、モノマー含浸工程では、例えば、多孔質体がハイドロゲルである場合、ハイドロゲルをモノマー水溶液に含浸することができる。
また、例えば、多孔質体が高分子ハイドロゲルである場合、高分子ハイドロゲルを、一旦、水に含浸させて、重合反応の副生成物や残存モノマー等の共雑物を洗浄(除去)した後に、モノマー水溶液に含浸することができる。モノマーとしては、重合体となって絶縁性ポリマーとなり得るモノマーとしてもよく、重合体となって導電性ポリマーとなり得るモノマーとしてもよい。
絶縁性ポリマーとなり得るモノマーとしては、前述の絶縁性ポリマーを構成する単量体としてよく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸・メタクリル酸アルキル等の(メタ)アクリル酸類及びこれらの塩;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGDA、PEGDM)、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルピロリドン、スチレンスルホン酸、エチレングリコール、無水マレイン酸、アルキレンオキサイド、メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物、N−ビニルアセトアミド、デンプン;シラノール;等が挙げられ、特に、周辺環境に応じた変形が無い(温度やpH等で膨潤度が変化しない)ことから、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、PEGDA、PEGDMが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
導電性ポリマーとなり得るモノマーとしては、前述の導電性ポリマーを構成する単量体としてよく、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、アセチレン、ピロール、チオフェン、ビチオフェン、イソチオフェン、ドデシルチオフェン、イソナイトチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、イソチアナフテン、チアジル、フルオレン、ジアセチレン、アセン、パラフェニレン、チエニレンビニレン、フェニレンスルフィド、アニリン等が挙げられ、特に、電子伝導性及び構造安定性の観点から、3,4−エチレンジオキシチオフェン、ピロールが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(F)重合工程
本実施形態では、更に、重合開始部を重合開始点としてモノマーの重合反応を行う。モノマーの重合の開始反応としては、熱反応、光反応、酸化還元反応が挙げられ、反応制御の容易性から、光反応が好ましい。これらは、1つ単独で用いてもよく、2つ以上組み合わせて用いてもよい。重合開始反応の条件は、重合開始部特性に応じて、適宜定めることができる。重合反応の条件は、モノマーの特性に応じて、適宜定めることができる。
前記工程(A)〜(F)により、図1(c)の複合材料を得ることができる。
前記(D)導電性基材層作製工程を行わずに、工程(A)、(B)、(C)、(E)、及び(F)により図1(a)の複合材料を得ることができる。
前記(A)磁性パッド調製工程により、磁性粒子含有絶縁性基材を製造し、(B)絶縁性基材層作製工程を実施しないことにより、図1(d)の複合材料を得ることができる。
更に、(A)磁性パッド調製工程により、磁性粒子含有絶縁性基材を製造し、(B)絶縁性基材層作製工程及び(D)導電性基材層作製工程を実施しないことにより、図1(b)の複合材料を得ることができる。
前記(B)絶縁性基材層作製工程に代えて(B’)導電性基材層作製工程を行い、(D)導電性基材層作製工程を実施しないことにより、図2(a)及び(b)の複合材料を得ることができる。(B’)導電性基材層作製工程は、本分野における通常の手法によって行うことができる。
また、導電性基材層から、導電性ポリマーを重合させる場合は、(F)重合工程を、(F’)電解重合工程によって行うことができる。(F’)電解重合工程は具体的には、導電性モノマーを溶媒に溶解し、多孔質体のゲルに加え、電極に電位を印加することによって、導電性ポリマーを電解重合することができる。3,4−エチレンジオキシチオフェン、アセチレン、ピロール、チオフェン、ビチオフェン、イソチオフェン、ドデシルチオフェン、イソナイトチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、イソチアナフテン、チアジル、フルオレン、ジアセチレン、アセン、パラフェニレン、チエニレンビニレン、フェニレンスルフィド、アニリンなどの導電性モノマーを溶解し、電解重合を行う。溶媒中のモノマーの濃度は、適宜決定することができるが、例えば1〜500mMで行うことができ、好ましくは10〜100mMである。電解重合で印加する電位も、適宜決定することができるが、好ましくは0.5〜1.5Vである。
以下、図3を参照して、前述の本実施形態の複合材料の製造方法の例を説明する。
図3(a)及び(b)では、前記(A)磁性パッド調製工程を行う。例えば、磁性粒子を添加した絶縁性材料、即ちポリウレタン(PU)をガラス基板にスピンコートすることによって、磁性粒子含有ポリウレタンフィルムを調製できる。磁性粒子含有ポリウレタンフィルムを成形する(図3b)。
図3(c)では、(B)絶縁性基材層作製工程を行う。前記磁性粒子含有ポリウレタンフィルム(磁性パッド)にポリウレタン溶液をスピンコートし、ポリウレタンフィルム(絶縁性基材層)を得ることができる。
図3(d)では、(C)重合開始部導入工程を行う。重合開始部として、ポリウレタンフィルムをオゾン処理して、カルボキシル基を導入し、更に例えば光重合開始剤であるIrgacureを固定する。
図3(e)及び(f)では、(D)導電性基材層作製工程を行う。導電性基材層として、ポリウレタン溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンを添加してスピンコートすることにより導電性基材層を得ることができる。得られた導電性基材層に前記重合開始部が導入された絶縁性基材層を接着させる。
図3(g)では、(E)モノマー含浸工程及び(F)重合工程を行う。ポリアクリルアミドゲル(多孔質体)にモノマーを含浸させ、そして光重合により重合開始部よりモノマーを重合させ、本発明の複合材料を得ることができる。
本発明の複合材料(複合電極体)は、図4に示すように生体内に設置することができる。まず、磁性パッドを有する複合材料を内視鏡用ポートなどを通して、生体内の目的の部位に移送し、生体に密着させる。その後に配線を有する導電性磁石を内視鏡ポートなどを介して目的の部位に移送し、導電性磁石と、磁性パッドとを接続させ、通電(電気刺激)又は電気信号の計測を行うことができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
本実施例では、図1(c)に示す態様の複合材料を製造した。以下に、使用した試薬及び材料を示す。
・ポリウレタン顆粒(オカダエンジニアリング)
・テトラヒドロフラン(和光純薬)
・1−ブタノール(和光純薬)
・3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT、Clevious MV2、Heraeus)
・鉄トシラート溶液(pTS・Fe(III)、Clevious C−B40V2、Heraeus)
・鉄粉末(粒径3−5μm、高純度化学研究所)
・アクリルアミド(AAm、和光純薬)
・N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA、和光純薬)
・Irgacure2959(BASF)
・1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC、Dojindo)
・2−Morpholinoethanesulfonic acid、monohydrate(モルホリノエタンスルホン酸、一水和物、MES、Dojindo)
・4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、東京化成工業)
(磁性粒子含有PUフィルムの作製)
4gのポリウレタン顆粒、Fe粉末(終濃度1g/mL)を35mLのテトラヒドロフランに溶解し、磁性粒子含有ポリウレタン(PU)溶液を調製した。スライドガラスに前記磁性粒子含有ポリウレタン(PU)溶液を500rpmで30秒間スピンコートし、その後ホットプレートを用い100℃で10分間加熱することで磁性粒子含有PUフィルムを得た(図3a)。磁性粒子含有PUフィルムを、レーザー加工機(ユニバーサルレーザシステムズ社製)で1cm角に加工し、磁性パッドとした(図3b)。Fe粉末を含まないポリウレタン(PU)溶液を調製し、500rpmで30秒間スピンコートし、ホットプレートを用い100℃で10分間加熱することで、一部のみがFe粉末を含むPUフィルムを得た(図3c)。
(磁性粒子含有PUフィルム表面への光重合開始剤の固定化)
前記PUフィルムを5分間オゾン処理(卓上UVオゾン表面処理装置、PL17−110、強度15mW/cm)し、PUフィルム表面にカルボキシル基を導入した。0.2M WSC(縮合剤)、50mM Irgacure2959(光重合開始剤)、2.5mM DMAP(縮合反応の促進剤)、及び0.1M MESを蒸留水に溶解し、縮合反応溶液を調製した。前記PUフィルムを縮合反応溶液に浸し、室温(25度)、暗所で1晩静置することでIrgacure2959をPUフィルム表面に固定化し、磁性PU−Irgacureフィルムを得た(図3d)。
(導電性高分子PEDOTとPUから成る電極フィルム(PEDOT・PU)の作製)
4gのポリウレタン顆粒を36mLのテトラヒドロフランに溶解し、10wt%ポリウレタン(PU)溶液を調製した。10wt%PU溶液を35mL、1−ブタノールを2mL、EDOT溶液を0.88mL、pTS・Fe(III)を6.5mL水中で混合し、EDOT/PU溶液を調製した。スライドガラスに前記EDOT/PU溶液を750rpmで30秒間スピンコートし、その後ホットプレートを用い100℃で10分間加熱することでPEDOT・PUフィルムを得た。
(PEDOT・PUフィルムと磁性PU−Irgacureフィルムの接着)
PEDOT・PUフィルム表面に磁性PU−Irgacureフィルムを貼り、70℃のオーブンで10分間加熱することで2枚のフィルムを接着しPEDOT・PU/磁性PU−Irgacureフィルムを得た(図3e)。前記PEDOT・PU/磁性PU−Irgacureフィルムをレーザー加工機でカットした(図3f)。
(ポリアクリルアミドハイドロゲルの作製)
モノマーのアクリルアミド(AAm:180mg/mL)、架橋剤のMBAA(0.118mg/mL)を蒸留水と混合し、モノマー溶液を調製した。重合開始剤Irgacure2959(2mg/mL)を前記モノマー溶液に加え、よく混合してAAm重合溶液を調製した。2枚のガラス基板間に1mm厚のシリコンシートスペーサーを挿入し、前記AAm重合溶液を流し込んだ。UV(302nm,8W)を1時間照射し、PAAmハイドロゲルを得た。PAAmハイドロゲルを蒸留水で2日間洗浄し、未反応の物質を除去した。
(光重合法によるハイドロゲルと磁性粒子含有PUフィルムの接着)
PAAmハイドロゲルを30重量%AAm、0.06モル%MBAAを含むPBS溶液(接着プレポリマ溶液)に1時間以上浸漬した。加工されたPEDOT・PU/磁性PU−IrgacureフィルムのIrgacure固定面に前記PAAmハイドロゲルを貼り付けた。UV透過性アクリル板をハイドロゲル表面に乗せ、窒素を導入したグローブボックス内(酸素濃度2%以下)に入れた。302nmのUV(強度370μW/cm)を5分間照射し、接着用ポリアクリルアミドをPU基板表面からハイドロゲル内に成長させた(図3g)。アクリル板を外し、PEDOT・PU/磁性粒子含有PU−Irgacureフィルムが接着したハイドロゲルを得た(図3h)。
図5に、作製したハイドロゲル基板電極の写真を示す。図5(b)のPEDOT・PU電極部の端の黒い領域が磁性パッドである。図5(c)は、磁性パッドに磁石を接触した時の写真であり、磁力でハイドロゲル基板電極を持ち上げることが可能な程度の接着力を得ることができた。
図6に磁性パッドへの導電性磁石の接触で電気回路が形成される様子を連続写真で示した。LEDは外部の電源に接続されており、ハイドロゲル基板電極の磁性パッドと、導電性磁石の接触でLEDが点灯するように回路を形成した。導電性磁石を磁性パッドに近接させる(図6a)と、磁性パッドが磁石に吸い寄せられて接触し、LEDが点灯した(図6b)。その後、導電性磁石を遠ざけると徐々に離れていき、LEDは消灯した(図6c)。以上より、磁力による配線接続が可能であることが示された。
本発明の実施形態の複合材料は、心電・筋電・脳電等の生体電気信号の計測、及び通電による生体機能の制御に好適に用いることができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変法や改良は本発明の範囲に含まれる。
1・・・絶縁性基材;
2・・・多孔質体;
3・・・ポリマー;
4・・・磁性粒子を含む絶縁性基材部(磁性パッド);
5・・・導電性基材;
6・・・磁性粒子含有絶縁性基材(磁性絶縁性基材);
7・・・接着層;

Claims (10)

  1. 基材と、前記基材上に設けられた多孔質体と、前記基材表面から始端し前記多孔質体内部に伸びるポリマーと、を含む複合材料であって、
    前記基材が絶縁性基材又は導電性基材であり、そして前記基材に接触する、磁性粒子を含む絶縁性基材パッドを有することを特徴とする複合材料。
  2. 前記基材が絶縁性基材である場合に、前記ポリマーが絶縁性ポリマー及び/又は導電性ポリマーであり、前記絶縁性基材に接触する導電性基材を更に有する、請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記絶縁性基材及び磁性粒子を含む絶縁性基材パッドが一緒になって、磁性粒子含有絶縁性基材を構成する、請求項1又は2に記載の複合材料。
  4. 前記基材が導電性基材である場合に、前記ポリマーが導電性ポリマー及び/又は絶縁性ポリマーである、請求項1に記載の複合材料。
  5. 前記磁性粒子が、鉄、鉄酸化物、窒化鉄、炭化鉄、ニッケル、コバルト、又はネオジムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
  6. 前記絶縁性基材が、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)共重合体、ポリジオキサノン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルスチレンアクリレート共重合体、ポリブタジエン、ビスマレイミドトリアジン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、サイクリックブチルテレフタレート、クレゾールホルムアルデヒド、カルボキシメチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドリンゴム、セルロースプロピオネート、塩素化塩化ビニル、クロロプレンゴム、カゼイン、セルローストリアセテート、ジアリルフタレート、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレンジアミン四酢酸、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンメタクリル酸、エポキシ樹脂、エチレンプロピレンジエン三元共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチルビニルエーテル共重合体、パーフルオロゴム、ポリエチレン、ポリスチレン、ブチルゴム、イソプレンゴム、ジフェニルメタンイソシアネート、メラミンホルムアルデヒド、ニトリルゴム、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイソブチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン、及びSiOからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材料。
  7. 前記複合材料が複合電極体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被覆複合材料。
  8. (A)磁性粒子を含む絶縁性基材パッドを調製する工程、
    (B)前記磁性粒子含有絶縁性基材パッドに接触するように磁性粒子を含まない絶縁性基材を形成し、絶縁性基材層を得る工程、
    (C)絶縁性基材層の表面に重合開始部を導入する重合開始部導入工程、
    (D)前記絶縁性基材層の重合開始部が導入された表面の反対側の面に接触して導電性基材層を作製する工程、
    (E)多孔質体中にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程、
    (F)前記重合開始部を重合開始点として前記モノマーの重合反応を行う、重合工程、
    を含むことを特徴とする複合材料の製造方法。
  9. 前記モノマーの重合反応は、ラジカル重合反応である、請求項8に記載の複合材料の製造方法。
  10. 前記モノマーの重合は、熱反応、光反応、及び酸化還元反応からなる群より選択される少なくとも1つにより開始される、請求項8又は9に記載の複合材料の製造方法。
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