以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.システムの構成
2.本技術のマルチキャスト配信方式
(1)第1の配信方式:放送アプリケーションがマルチキャスト参加を促す方式
(2)第2の配信方式:放送シグナリングがマルチキャスト参加を促す方式
(3)第3の配信方式:全チャンネルを事前予約する方式
(4)第4の配信方式:ブロードバンド配信シグナリングがマルチキャスト配信される場合に、放送アプリケーションがマルチキャスト参加を促す方式
(5)第5の配信方式:ブロードバンド配信シグナリングがユニキャスト配信される場合に、放送アプリケーションがマルチキャスト参加を促す方式
(6)第6の配信方式:ブロードバンド配信シグナリングがユニキャスト配信される場合に、放送シグナリングがマルチキャスト参加を促す方式
(7)第7の配信方式:ブロードバンドコンテンツの配信形式を、ユニキャスト配信からマルチキャスト配信に切り替える方式
3.本技術のプロトコルスタック構成
4.変形例
5.コンピュータの構成
<1.システムの構成>
(コンテンツ配信システムの構成例)
図1は、本技術を適用したコンテンツ配信システムの構成例を示す図である。
図1のコンテンツ配信システム1は、地上波放送等の放送に同期したブロードバンドネットワーク経由で、コンテンツを配信するためのシステムである。
図1において、コンテンツ配信システム1は、放送コンテンツマネジメントシステム10、地上波放送向けストリームサーバ20、地上波放送サーバ30、ブロードバンド向けストリームサーバ40、ブロードバンドサーバ50、放送受信デバイス60、及びマルチキャスト終端デバイス70から構成される。
また、図1において、地上波放送サーバ30と放送受信デバイス60とは、地上波放送ネットワーク2を介して、一方向でデータの伝送が行われる。また、ブロードバンドサーバ50とマルチキャスト終端デバイス70とは、ブロードバンドネットワーク3を介して、双方向でデータの伝送が行われる。
ブロードバンドネットワーク3内には、マルチキャスト中継ルータ80−1乃至80−5等の複数のルータが設けられる。これらの複数のルータは、ルーティングテーブルに基づき、ブロードバンドネットワーク3を構成する異なるネットワーク間で、データを中継する。
なお、ブロードバンドネットワーク3としては、例えば、固定電話や携帯電話の通信キャリアにより提供されるNGN(Next Generation Network)等の通信網(通信回線)を用いることができる。
放送コンテンツマネジメントシステム10は、コンテンツを生成し、地上波放送向けストリームサーバ20及びブロードバンド向けストリームサーバ40に提供する。ここで、コンテンツとしては、例えば、マルチキャストでの併用番組配信可能な放送番組と、そのマルチキャスト併用配信番組の元となる番組が生成される。
また、放送コンテンツマネジメントシステム10は、放送アプリケーションやシグナリング等のデータを生成し、地上波放送向けストリームサーバ20に提供する。
ここで、放送アプリケーションは、放送経由で配信されるアプリケーションであって、例えば、HTML5(HyperText Markup Language 5)等のマークアップ言語やJavaScript(登録商標)等のスクリプト言語で開発することができる。例えば、放送アプリケーションは、ハイブリッドキャストアプリケーション等のウェブアプリケーションとすることができる。また、シグナリングは、放送受信デバイス60側で処理される制御情報である。
地上波放送向けストリームサーバ20は、放送コンテンツマネジメントシステム10から提供されるコンテンツを処理(例えば、エンコード等の処理)して、放送配信ストリームを生成し、地上波放送サーバ30に提供する。
地上波放送サーバ30は、地上波放送向けストリームサーバ20から提供される放送配信ストリームと、放送コンテンツマネジメントシステム10から提供される放送アプリケーションやシグナリングのデータを処理(例えば、多重化等の処理)する。地上波放送サーバ30は、処理の結果得られる多重化ストリーム(地上波放送トランスポート)を送信する。
地上波放送サーバ30から送信された多重化ストリームは、送信所や中継所等の地上波放送ネットワーク2を介して、放送波として、放送受信デバイス60により受信される。
なお、地上波放送サーバ30は、専用線などの所定の回線を介して、送信所に設置される送出設備に接続されている。この送信所内の送出設備が、地上波放送サーバ30からのデータに対し、必要な処理(例えば、変調等の処理)を施すことで、その結果得られる放送波(放送信号)が、地上波放送ネットワーク2を介して送信される。以下の説明では、説明の簡略化のため、送信所内の送出設備により行われる処理については省略する。
放送受信デバイス60は、例えば、テレビ受像機やセットトップボックス(STB:Set Top Box)、パーソナルコンピュータ、ゲーム機などの固定受信機、あるいは、スマートフォンや携帯電話機、タブレット型コンピュータなどのモバイル受信機として構成される。
また、放送受信デバイス60は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)などのウェアラブルコンピュータであってもよい。さらに、放送受信デバイス60は、例えば車載テレビなどの自動車に搭載される機器であってもよい。このように、放送受信デバイス60は、コンテンツの再生や録画が可能な機器であれば、いずれの機器であってもよい。
放送受信デバイス60は、地上波放送ネットワーク2を介して送信されてくる放送波を受信して、処理(例えば、復調や多重分離、デコード等の処理)することで、地上波コンテンツを再生し、その映像と音声を出力する。ここでは、地上波コンテンツ(放送コンテンツ)として、例えば、マルチキャストでの併用番組配信可能な放送番組を再生することができる。
また、放送受信デバイス60は、放送波から得られる多重化ストリームに含まれる放送アプリケーションを取得し、実行することができる。
一方で、ブロードバンド向けストリームサーバ40は、放送コンテンツマネジメントシステム10から提供されるコンテンツを処理(例えば、エンコード等の処理)して、ブロードバンド配信ストリームを生成し、ブロードバンドサーバ50に提供する。
ブロードバンドサーバ50は、ブロードバンド向けストリームサーバ40から提供されるブロードバンド配信ストリームを処理(例えば、パケット化等の処理)する。ブロードバンドサーバ50は、処理の結果得られるIPストリームを、マルチキャスト配信する。
なお、ここでは、ブロードバンドサーバ50がマルチキャスト配信を行う場合を説明するが、ブロードバンドサーバ50は、ユニキャスト配信を行うことも可能である。
ブロードバンドサーバ50からマルチキャスト配信されたIPマルチキャストストリームは、ブロードバンドネットワーク3内の複数のマルチキャスト中継ルータ80を経由して、マルチキャスト終端デバイス70により受信される。
マルチキャスト終端デバイス70は、例えば、ブロードバンドルータやゲートウェイ、専用のサーバ、テレビ受像機、セットトップボックス(STB)、ネットワークストレージ、ゲーム機などとして構成される。
マルチキャスト終端デバイス70は、ブロードバンドネットワーク3内の複数のマルチキャスト中継ルータ80を経由して受信されるIPマルチキャストストリームを処理し、放送受信デバイス60に転送する。
なお、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70は、例えば、エンドユーザ宅に構築された家庭内LAN(Local Area Network)等の双方向ネットワークを介して相互に接続されている。
放送受信デバイス60は、マルチキャスト終端デバイス70から転送されてくるIPマルチキャストストリームを受信して、処理(例えば、デパケット化やデコード等の処理)することで、ブロードバンドコンテンツを再生し、その映像と音声を出力する。ここでは、ブロードバンドコンテンツ(通信コンテンツ)として、例えば、マルチキャスト併用配信番組を再生することができる。
ここで、放送受信デバイス60においては、放送経由で配信された地上波コンテンツと、通信経由で配信(マルチキャスト配信)されたブロードバンドコンテンツを再生可能であるが、これらのコンテンツは、例えば、図2に示すような方法で切り替えられる。
すなわち、図2に示した放送受信デバイス60において、図2のAには、地上波コンテンツ(マルチキャストでの併用番組配信可能な放送番組)の再生時の様子を模式的に表している一方で、図2のBには、ブロードバンドコンテンツ(マルチキャスト併用配信番組)の再生時の様子を模式的に表している。
図2のAにおいて、地上波コンテンツの映像には、放送アプリケーションによって表示される画像61Aが重畳されており、この画像61Aの内容を確認したエンドユーザが、リモートコントローラ等を操作することで、放送受信デバイス60では、再生対象のコンテンツが、例えば、2K解像度の地上波コンテンツ(図2のA)から、4K解像度のブロードバンドコンテンツ(図2のB)に切り替えられる。
一方で、図2のBにおいて、ブロードバンドコンテンツの映像には、放送アプリケーションによって表示される画像61Bが重畳されており、この画像61Bの内容を確認したエンドユーザが、リモートコントローラ等を操作することで、放送受信デバイス60では、再生対象のコンテンツが、例えば、4K解像度のブロードバンドコンテンツ(図2のB)から、2K解像度の地上波コンテンツ(図2のA)に切り替えられる。
このように、放送受信デバイス60においては、放送アプリケーションによって、エンドユーザの意向に基づき、放送経由で配信されるストリーミングか、通信経由で配信されるストリーミングかの遷移を制御することになる。
以上のように構成されるコンテンツ配信システム1で行われる配信処理をまとめると、次のようになる。
すなわち、まず、放送コンテンツマネジメントシステム10からの放送番組が、所定の編成情報に基づき送出される。この放送番組は、地上波放送向けストリームサーバ20によって、地上波放送向けにエンコードされ、ブロードバンド向けストリームサーバ40によって、ブロードバンド向けにエンコードされる。
ここでは、地上波放送向けの放送配信ストリームと、ブロードバンド向けのブロードバンド配信ストリームにおいて、画面解像度等のエンコードパラメタに相違がある場合、すなわち、例えば、地上波放送向けの配信では、2K解像度(2K-MPEG2)となり、ブロードバンド向けの配信では、4K解像度(4K-HEVC)となる場合などに対応するために、異なる方式でエンコードされる。
このようにしてエンコードされた番組は、地上波放送サーバ30によって、地上波放送トランスポートプロトコルに従い、地上波放送ネットワーク2に送出されるとともに、ブロードバンドサーバ50によって、ブロードバンドユニキャスト/マルチキャストトランスポートプロトコルに従い、ブロードバンドネットワーク3に送出される。
例えば、地上波放送トランスポートプロトコルとしては、MPEG2-TS/PHYフレームの場合には、MP4/MMT/UDP/IP/TLV/PHYフレームや、MP4/DASH/ROUTE(FLUTE)/UDP/IP/MPEG2-TS/PHYフレームなどが適用可能である。
また、例えば、ブロードバンドユニキャストプロトコルとしては、MP4/DASH/HTTP/TCP/IPなどが適用可能であり、ブロードバンドマルチキャストプロトコルとしては、MP4/DASH/ROUTE(FLUTE)/UDP/IPなどが適用可能である。
なお、"/"は、プロトコルスタックの階層構造における階層の区切りを意味し、"/"を挟んで左側の階層が、右側の階層よりも上位の階層であることを表している。
また、MMTはMPEG Media Transport,UDPはUser Datagram Protocol,IPはInternet Protocol,TLVはType Length Valueの略語である。また、DASHはDynamic Adaptive Streaming over HTTP,ROUTEはReal-time Object Delivery over Unidirectional Transport,FLUTEはFile Delivery over Unidirectional Transportの略語である。
これらのプロトコルスタックの詳細な構成は、図31乃至図42を参照して後述する。
なお、図1のコンテンツ配信システム1においては、説明を簡単にするために、1台の地上波放送サーバ30と、1台のブロードバンドサーバ50が設けられた場合を図示しているが、地上波放送サーバ30とブロードバンドサーバ50としては、例えば、放送局等の事業者ごとに、複数台のサーバを設けることができる。
また、図1のコンテンツ配信システム1では、1台の放送受信デバイス60と、1台のマルチキャスト終端デバイス70が設けられた場合を図示しているが、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70としては、例えば、エンドユーザ宅ごとに、複数台のデバイスを設けることができる。
さらにまた、図1には、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70が別々の機器として構成される場合を図示したが、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された機器(以下、同梱型デバイスともいう)として構成されるようにしてもよい。
例えば、マルチキャスト終端デバイス70をマルチキャスト終端モジュールとして提供して、放送受信デバイス60の機能に含めることで、同梱型デバイスとして構成することができる。なお、この同梱型デバイスでは、例えば家庭内LAN等を介して相互に通信を行う必要はない。
また、上述した図1の説明では、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70が、エンドユーザ宅内に配置されるとして説明したが、マルチキャスト終端デバイス70は、エンドユーザ宅に限らず、例えば、ケーブルオペレータのヘッドエンドや、モバイル網の基地局などに設置されるようにして、より広範囲な領域をカバーできるようにしてもよい。
すなわち、例えば、マルチキャスト終端デバイス70が、ケーブルオペレータのヘッドエンドに設置される場合、放送受信デバイス60は、同一のエンドユーザ宅ではなく、ケーブルテレビのサービスを契約している各エンドユーザ宅内に設置されることになる。
また、例えば、マルチキャスト終端デバイス70が、モバイル網の基地局に設置される場合、放送受信デバイス60は、モバイルサービスを契約しているエンドユーザが、屋内又は屋外で所持しているデバイス(モバイル受信機)となる。
さらに、上述した図1の説明では、放送コンテンツの放送方式として、地上波放送を説明したが、例えば、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)や通信衛星(CS:Communications Satellite)を利用した衛星放送、あるいは、ケーブルを用いた有線放送(CATV:Common Antenna TeleVision)等の放送方式によって、放送コンテンツや放送アプリケーション等が配信されるようにしてもよい。
(放送受信デバイスの構成例)
図3は、図1の放送受信デバイス60の構成例を示すブロック図である。
図3において、放送受信デバイス60は、処理部101、入力部102、記憶部103、チューナ104、放送ミドルウェア105、DASHクライアント106、レンダラ107、出力部108、ブラウザ109、及び通信I/F110から構成される。
処理部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等から構成される。処理部101は、各種の演算処理や、各部の動作制御など、放送受信デバイス60における中心的な処理装置として動作する。処理部101は、放送受信デバイス60内の各部との間で、各種のデータをやりとりすることができる。
入力部102は、例えば、物理的なボタン等であり、エンドユーザの操作に応じた操作信号を、処理部101に供給する。処理部101は、入力部102から供給される操作信号に基づいて、各部の動作を制御する。
記憶部103は、例えば、半導体メモリやハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)等から構成される。記憶部103は、処理部101からの制御に従い、各種のデータを記憶する。
チューナ104は、アンテナ121を介して、地上波放送ネットワーク2からの放送波を受信して処理し、その結果得られるデータを、放送ミドルウェア105に供給する。
放送ミドルウェア105は、チューナ104から供給されるデータを処理し、その結果得られるデータの種別に応じて、処理部101、DASHクライアント106、又はブラウザ109に供給する。
ここで、処理対象のデータのうち、地上波コンテンツのストリームデータ(DASHセグメント)は、DASHクライアント106に供給され、放送アプリケーションのデータは、ブラウザ109に供給される。また、シグナリングは、処理部101に供給される。
DASHクライアント106は、放送ミドルウェア105から供給されるDASHセグメントを処理し、その結果得られるビデオとオーディオのデータを、レンダラ107に供給される。なお、ここでは説明を省略しているが、このDASHセグメントを処理して得られるビデオとオーディオのデータは、デコーダによりデコードされた後に、レンダラ107に供給されることになる。
レンダラ107は、DASHクライアント106から供給されるビデオとオーディオのデータに対し、レンダリング処理を行い、その結果得られるデータを、出力部108に供給する。
出力部108は、レンダラ107から供給されるビデオとオーディオのデータを出力する。これにより、放送受信デバイス60では、マルチキャストでの併用番組配信可能な放送番組等の地上波コンテンツが再生され、その映像や音声が出力される。
ブラウザ109は、例えばHTML5やJavaScript(登録商標)に対応したブラウザである。ブラウザ109は、放送ミドルウェア105から供給される放送アプリケーションのデータ(例えばHTML形式ファイルや画像ファイル)を処理し、その結果得られるデータを、出力部108に供給する。これにより、放送受信デバイス60では、放送アプリケーションの画像(映像)が表示される。
通信I/F110は、通信インターフェース回路等から構成される。通信I/F110は、家庭内LAN等の双方向ネットワークを介してマルチキャスト終端デバイス70と各種のデータのやりとりを行う。
ここで、受信対象のデータのうち、ブロードバンドコンテンツのストリームデータ(DASHセグメント)は、DASHクライアント106に供給される。なお、シグナリングやアプリケーションが通信経由で配信される場合には、シグナリングは、処理部101に供給され、アプリケーションは、ブラウザ109に供給される。
なお、これらの通信経由で取得されたデータに対する処理は、上述した放送経由で取得されたデータに対する処理と同様であるため、ここでは、その説明は省略するが、通信経由で取得されたブロードバンドコンテンツのストリームデータを処理することで、放送受信デバイス60では、マルチキャスト併用配信番組等のブロードバンドコンテンツが再生され、その映像や音声が出力される。
なお、地上波コンテンツやブロードバンドコンテンツは、録画されるようにしてもよい。また、映像を表示するディスプレイや、音声を出力するスピーカは、放送受信デバイス60の内部に設けるほか、外部に設けて出力部108からのデータが供給されるようにしてもよい。
放送受信デバイス60は、以上のように構成される。
(処理部の構成)
図4は、図3の処理部101の構成の詳細を示すブロック図である。
図4において、処理部101は、放送制御部131、通信制御部132、ネット配信予約準備処理部133、及びシグナリング処理部134から構成される。
放送制御部131は、放送受信デバイス60内の各部で行われる、放送経由で取得されるデータに対する処理を制御する。例えば、放送制御部131は、チューナ104、放送ミドルウェア105、DASHクライアント106、レンダラ107、及び出力部108を制御して、地上波コンテンツが再生されるようにする。
通信制御部132は、放送受信デバイス60内の各部で行われる、通信経由で取得されるデータに対する処理を制御する。例えば、通信制御部132は、通信I/F110、DASHクライアント106、レンダラ107、及び出力部108を制御して、ブロードバンドコンテンツが再生されるようにする。
ネット配信予約準備処理部133は、放送アプリケーション又はシグナリングの解析結果に応じて、マルチキャスト終端デバイス70に対し、ブロードバンドコンテンツのマルチキャストセッションの開始を要求する。
シグナリング処理部134は、放送ミドルウェア105が取得したシグナリングを処理し、その処理結果を放送制御部131に供給する。放送制御部131は、シグナリング処理部134からのシグナリングの処理結果に基づき、各部の動作を制御する。
(マルチキャスト終端デバイスの構成例)
図5は、図1のマルチキャスト終端デバイス70の構成例を示すブロック図である。
図5において、マルチキャスト終端デバイス70は、処理部201、通信I/F202、及び通信I/F202から構成される。
処理部201は、例えば、CPUやマイクロプロセッサ等から構成される。処理部201は、各種の演算処理や、各部の動作制御など、マルチキャスト終端デバイス70における中心的な処理装置として動作する。
処理部201は、マルチキャストミドルウェア231、ウェブサーバ232、及びシグナリング処理部233から構成される。
マルチキャストミドルウェア231は、ブロードバンドコンテンツのマルチキャスト配信に関する処理を行う。
例えば、マルチキャストミドルウェア231は、放送受信デバイス60からの要求に応じて、ブロードキャストコンテンツのマルチキャストセッションを事前に予約し(マルチキャストに参加し)、当該ブロードバンドコンテンツが要求されたとき、参加しているマルチキャストセッションを利用して配信されるブロードキャストコンテンツを、要求元の放送受信デバイス60に転送する。
ここで、ウェブサーバ232上では、マルチキャスト終端モジュールがサーバサイドスクリプトとして稼働している。マルチキャストミドルウェア231は、マルチキャスト終端モジュールとの間で、各種のデータをやりとりする。
シグナリング処理部233は、ブロードバンドネットワーク3を経由して配信されるシグナリング(ブロードバンド配信シグナリング)を取得して解析する。このシグナリングの解析結果は、マルチキャストミドルウェア231に供給される。マルチキャストミドルウェア231は、シグナリングの解析結果に基づき、マルチキャストセッションの予約を行う。
通信I/F202は、例えば、通信インターフェース回路等から構成される。通信I/F202は、双方向ネットワーク(例えば、家庭内LAN等)を介して、放送受信デバイス60との間で、各種のデータをやりとりする。
通信I/F203は、例えば、通信インターフェース回路等から構成され、ブロードバンドネットワーク3(のマルチキャスト中継ルータ80)を介して、ブロードバンドサーバ50との間で、各種のデータをやりとりする。
なお、説明の都合上、図5のマルチキャスト終端デバイス70においては、通信I/F202と、通信I/F203の2つの通信I/Fを設けた構成を示しているが、それらの通信I/Fは一体となって、1つの通信I/Fから構成されるようにしてもよい。
マルチキャスト終端デバイス70は、以上のように構成される。
<2.本技術のマルチキャスト配信方式>
ところで、ネットマルチキャスト地上波放送の実現を検討するにあたり、その典型的なユースケースの検討が始まっている。主なユースケースとしては、地上波放送が行われている最中に、同一の番組(地上波コンテンツ)よりも高画質のブロードバンドコンテンツのストリームが、ブロードバンドネットワーク3経由で配信されるケースが想定される。
このユースケースでは、一般のインターネットではなく、固定電話や携帯電話の通信キャリアが提供するCDN(Content Delivery Network)上のサーバを経由して、ブロードバンドコンテンツが配信される場合に、放送受信デバイス60では、地上波放送ネットワーク2経由で、地上波コンテンツと同時に配信される放送アプリケーションを起動して、エンドユーザに対し、ブロードバンドコンテンツを視聴するかしないかを選択させる。
そして、エンドユーザが、ブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合には、放送アプリケーションが、例えば、DASHプレイヤ(図3のDASHクライアント106)を起動して、当該DASHプレイヤが、マルチキャスト終端デバイス70(例えば、ブロードバンドルータ等)を介して、HTTP等のユニキャストプロトコルによって、高画質のブロードバンドコンテンツをストリーミング再生する。
このとき、通信キャリアのCDN内で、マルチキャストプロトコルの利用が前提となる場合に、マルチキャスト終端デバイス70(例えば、ブロードバンドルータ等)が、CDN内で使用されるマルチキャストプロトコルを終端しなければならないが、その実現方法が検討される予定である。
本技術では、その1つの実現方法として、放送受信デバイス60で実行される放送アプリケーションが、マルチキャスト終端デバイス70(例えば、ブロードバンドルータ等)に対して、マルチキャストセッションの開始を依頼する方式を提案する。
なお、放送アプリケーションが、マルチキャストセッションの開始を依頼するタイミングは、エンドユーザが、ブロードバンドネットワーク3経由でのブロードバンドコンテンツの視聴を選択するとき、あるいは、マルチキャストセッション確立手順(例えば、マルチキャスト予約など)のプロトコルオーバヘッドを軽減するため、エンドユーザが選択するか否かにかかわらずマルチキャストセッション開始を依頼するなどのバリエーションがある。
以下、本技術が提案する方式の具体的な実施の形態として、第1の配信方式乃至第7の配信方式の7つの配信方式について説明する。
(1)第1の配信方式
第1の配信方式は、放送受信デバイス60で実行される放送アプリケーションが、マルチキャスト終端デバイス70(で稼働するマルチキャスト終端モジュール)に対して、マルチキャストセッションの開始を依頼する方式である。
すなわち、第1の配信方式では、放送受信デバイス60において、マルチキャスト併用番組配信可能な放送番組のオンエア中に、地上波放送ネットワーク2を介してMPEG2-TS若しくはMMT上で転送されるか、又はブロードバンドネットワーク3を介して取得されるAIT(Application Information Table)により起動される放送アプリケーションが、API(Application Programming Interface)を介して、マルチキャスト終端モジュールのURL(Uniform Resource Locator)に、当該放送番組のマルチキャストアドレスの制御情報を通知する。
なお、マルチキャスト終端モジュールは、サーバサイドスクリプトとして、マルチキャスト終端デバイス70のウェブサーバ232上で稼働している。
AITは、マルチキャスト併用番組配信可能な放送番組が開始されると同時か、あるいは放送番組の開始の少し前に放送開始され、放送番組の終わりに放送終了される。AITを受信した放送受信デバイス60は、AITから得られる情報に基づき、放送アプリケーションを起動する。
この放送アプリケーションは、自身が起動すると同時に、マルチキャスト終端デバイス70で稼働するマルチキャスト終端モジュールに対して、例えば、URLの後のクエリ文字列を付加して、対象のマルチキャストアドレスの制御情報、又はその制御情報が格納されたファイルのURLを渡すようにする。
例えば、マルチキャスト終端デバイス70で稼働するモジュールのサーバサイドスクリプトのURLが、"http://localgateway/nmcm"である場合に、図6に示すようなnmc.sdpファイルの中身をhttp-postすることができる。なお、このURLで、"localgateway"は、"192.168.0.1:8080"のような、IPアドレスとポート番号の組に解決される文字列である。
また、ここでは、nmc.sdpファイルの中身をhttp-postする方法に限らず、例えば、nmc.sdpファイルのURLをhttp-postしたり、あるいは、http-getのURLのクエリ文字列のパラメタとして、同様の内容を渡したりしてもよい。なお、http-postとhttp-getは、HTTPで定義されているメソッドのうち、POSTメソッドとGETメソッドで実行される動作に相当するものである。
ここで、nmc.sdpファイルの内容は、例えば、放送アプリケーションが、HTML5やJavaScript(登録商標)等の言語で開発されている場合に、スクリプトの中にハードコードで、その内容を記述したり、あるいは、放送アプリケーションのリソースファイルの中の1つのファイルとして、nmc.sdpファイルを含めて転送したりすることで、放送受信デバイス60に通知される。
図6は、nmc.sdpファイルの内容の例を示す図である。
なお、SDP(Session Description Protocol)は、セッション記述プロトコルであるため、nmc.sdpファイルは、セッション記述情報であるとも言える。
図6に示すように、nmc.sdpファイルには、送出サーバのIPアドレス、マルチキャストセッション内のチャネル数、各マルチキャストセッション内の各チャネルの宛先マルチキャストIPアドレスとUDPポート番号、FLUTEのTSI(Transport Session Identifier)、マルチキャストセッションの開始・終了時刻、プロトコルID、メディアの種類、データレート、FEC(Forward Error Correction)属性情報、及びサービス言語属性が含まれる。
マルチキャスト終端デバイス70は、このnmc.sdpファイルの内容に基づいて、例えば、NGN(Next Generation Network)等のインターフェースを介して、QoS(Quality of Service)が保証されたCDN(Content Delivery Network)網側のプロトコルによって、マルチキャストセッション予約を行う。
図7は、SDPの記述例を示す図である。
図7においては、必須のプロトコルバージョン(v=)として、"0"が記述され、必須のセッションのオーナ情報(o=)として、"user123 2890844526 2890842807 IN IP6 2201:056D::112E:144A:1E24"が記述されている。
また、必須のセッション名(s=)として、"File delivery session example"が記述され、必須のセッション有効期間開始/終了時刻(t=)として、"2873397496 2873404696"が記述され、セッションレベルFEC属性(a=)として、"FEC-declaration:0 encoding-id=1"が記述されている。
また、IPアドレス(a=)として、" source-filter: incl IN IP6 * 2001:210:1:2:240:96FF:FE25:8EC9"が記述されている。ここでは、ソースIPアドレスとして、"2001:210:1:2:240:96FF:FE25:8EC9"を持ち、任意の宛先マルチキャストIPアドレスが指定される。
また、FLUTEのTSI(a=)として、"flute-tsi:3"が記述され、FLUTEセッションの属性(メディア種別、UDPのポート番号、プロトコル種)(m=)として、"application 12345 FLUTE/UDP 0"が記述され、宛先マルチキャストIPアドレス(c=)として、"IN IP6 FF1E:03AD::7F2E:172A:1E24/1"が記述される。
また、ビットレート(b=)として、"8000"が記述され、サービス言語属性(a=)として、"lang:EN(English)"が記述され、メディアレベルFEC属性(a=)として、"FEC:0"が指定される。
なお、図7の記述例では、セッション記述情報を、SDP形式で記述した場合の例を示したが、セッション記述情報は、例えば、XML(Extensible Markup Language)形式やJSON(JavaScript Object Notation)形式など、他の形式で記述するようにしてもよい。また、セッション記述情報は、テキスト形式の情報に限らず、バイナリ形式の情報であってもよい。
放送受信デバイス60から、マルチキャスト終端デバイス70に送られるメッセージとしては、例えば、図8又は図9に示すようなメッセージを送ることができる。
図8は、nmc.sdpファイルの内容をhttp-postで送る場合のメッセージの例を示す図である。
図8に示したメッセージは、HTTPリクエストであって、1行目のリクエスト行で、POSTメソッドが指定され、2行目のメッセージヘッダに、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャスト終端モジュールのURLのホスト名(Host: localgateway)が記述される。
また、空白行を挟んで、メッセージボディとして、nmc.sdpファイルの内容が、直接記述される。
図9は、nmc.sdpファイルのURLをhttp-postで送る場合のメッセージの例を示す図である。
図9に示したメッセージは、HTTPリクエストであって、1行目のリクエスト行と2行目のメッセージヘッダの記述は、図8のメッセージと同様である。
また、空白行を挟んで、メッセージボディとして、nmc.sdpファイルのURLが記述される。例えば、このURLとしては、"http://a.com/nmc.sdp"が指定される。
マルチキャスト終端デバイス70は、"http://a.com/nmc.sdp"であるURLに基づき、所定のサーバ等にアクセスすることで、nmc.sdpファイルを取得することができる。すなわち、nmc.sdpファイルのURLを送る場合には、いわば間接的にnmc.sdpファイルの内容が取得されることになる。
そして、マルチキャスト終端デバイス70は、放送受信デバイス60から送られてくるメッセージ、例えば、図8又は図9に示したメッセージに基づき、直接又は間接にnmc.sdpファイルの内容を取得して、マルチキャストセッション予約を行うことになる。
なお、nmc.sdpファイルの内容を、http-getのURLのクエリ文字列のパラメタとして通知する場合には、当該パラメタとして、例えば、図10に示した内容を指定すればよい。
ここでは、URLの末尾に、"?"であるマークを付け、それに続けて「名前 = 値」の形式で記述するが、この名前として、図10に示すような、"owner","sessionName","time","fecAttribute","address","tsi","sessionAttribute","destinationAddress","bitRate","language","mediaFecAttribute"が、その値とともに記述される。ただし、複数の値は、"&"であるマークで区切られる。
(第1の配信方式の処理)
次に、図11及び図12のフローチャートを参照して、第1の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
なお、図11及び図12においては、説明の都合上、1台のマルチキャスト中継ルータ80により行われる処理を示しているが、実際には、ブロードバンドネットワーク3内では、複数のマルチキャスト中継ルータ80が多段に設置され、それらのマルチキャスト中継ルータ80によって、データの中継が行われる。
ステップS101において、放送コンテンツマネジメントシステム10は、番組等のコンテンツを生成する。ステップS101の処理で生成されたコンテンツは、放送向けストリームサーバ20と、ブロードバンド向けストリームサーバ40に送信される(S102)。
ステップS111において、放送向けストリームサーバ20は、放送コンテンツマネジメントシステム10から送信されてくるコンテンツを処理し、放送配信ストリームを生成する。ステップS111の処理で生成された放送配信ストリームは、地上波放送サーバ30に送信される(S112)。
ステップS121において、ブロードバンド向けストリームサーバ40は、放送コンテンツマネジメントシステム10から送信されてくるコンテンツを処理し、ブロードバンド配信ストリームを生成する。ステップS121の処理で生成されたブロードバンド配信ストリームは、ブロードバンドサーバ50に送信される(S122)。
ステップS103において、放送コンテンツマネジメントシステム10は、放送アプリケーションを生成する。ステップS103の処理で生成された放送アプリケーションは、地上波放送サーバ30に送信される(S104)。
地上波放送サーバ30においては、放送向けストリームサーバ20からの放送配信ストリームと、放送コンテンツマネジメントシステム10からの放送アプリケーションが受信される。
ステップS131において、地上波放送サーバ30は、受信された放送配信ストリームと、放送アプリケーションを処理(例えば、多重化等の処理)して、放送配信を行う。これにより、放送配信ストリームと放送アプリケーションの多重化ストリームを含む放送波が、地上波放送ネットワーク2を介して伝送される。
そして、地上波放送ネットワーク2を伝送された放送波は、放送受信デバイス60において、アンテナ121を介してチューナ104によって受信され、その後段の放送ミドルウェア105やDASHクライアント106、ブラウザ109等によって処理される。
一方で、ブロードバンドサーバ50においては、ブロードバンド向けストリームサーバ40からのブロードバンド配信ストリームが受信される。
ステップS141において、ブロードバンドサーバ50は、受信されたブロードバンド配信ストリームを処理(例えば、パケット化等の処理)して、マルチキャスト配信を行う。これにより、IPマルチキャストストリームが、ブロードバンドネットワーク3を介して伝送される。
ここで、ブロードバンドサーバ50からマルチキャスト配信されたIPマルチキャストストリームを構成するマルチキャストパケット(IPパケット)は、ブロードバンドネットワーク3内で、ネットワーク間を相互に接続するマルチキャスト中継ルータ80により受信され、複数のマルチキャスト中継ルータ80の間で転送される。
図12のステップS181において、放送受信デバイス60の放送ミドルウェア105及びDASHクライアント106は、地上波放送ネットワーク2を介して受信された多重化ストリームを処理することで、地上波コンテンツを再生する。そして、放送受信デバイス60では、レンダラ107によって、レンダリング処理が行われることで、マルチキャスト併用番組配信可能な放送番組としての地上波コンテンツの映像と音声が出力される。
ステップS182において、ブラウザ109は、AITに基づいて、放送ミドルウェア105により処理されたストリームから得られる放送アプリケーションを取得して起動する。なお、AITは、アプリケーション制御情報の一例であって、放送経由又は通信経由で取得される。
このようにして起動される放送アプリケーションが、ネット配信予約準備処理部133からの制御に従い、マルチキャスト終端デバイス70で稼働するマルチキャスト終端モジュールに対し、ネット配信予約準備を通知する(S183)。
このネット配信予約準備通知では、放送受信デバイス60において、ブラウザ109により実行される放送アプリケーションが、APIとして提供されるマルチキャスト予約通知関数(図13の第1の引数)を利用して、マルチキャスト終端モジュールに対し、nmc.sdpファイルを通知することで、マルチキャストの予約指示がなされる。
ここで、図13を参照して、マルチキャスト予約通知関数について説明する。
multicastJoin()は、マルチキャストセッション参加を依頼するためのマルチキャスト予約通知関数であって、その第1の引数として、マルチキャストセッション記述(例えば、nmc.sdpファイル)が渡される。また、その戻り値として、第1の引数で渡したマルチキャストセッション記述が返された場合には、処理が成功したことを意味し、nullが返された場合には、処理が失敗したことを意味する。
このように、マルチキャスト予約通知関数は、第1の引数で渡すマルチキャストセッション記述(例えば、nmc.sdpファイル)の内容を、マルチキャスト終端デバイス70に渡して、マルチキャストセッション予約を依頼する関数である。
なお、この第1の配信方式では、multicastJoin()の引数として、第1の引数を渡すことになるが、第2の引数としてのサービス識別子を渡すようにしてもよい。第2の引数を渡した場合、その戻り値として、第2の引数で渡したサービス識別子が返されたときには、処理が成功したことを意味し、nullが返されたときには、処理が失敗したことを意味する。
このように、マルチキャスト予約通知関数は、第2の引数で渡すサービス識別子を、マルチキャスト終端デバイス70に渡して、マルチキャストセッション予約を依頼する関数である。なお、マルチキャスト予約通知関数を利用する際に、引数として第2の引数(サービス識別子)を渡す配信方式としては、例えば、後述する第4の配信方式や第5の配信方式が想定される。
図12の説明に戻り、マルチキャスト終端デバイス70においては、放送受信デバイス60から通知されるnmc.sdpファイルが受信される。なお、ここでは、図8乃至図10に示したように、nmc.sdpファイルの内容や、URLをhttp-postで送る方法、http-getのURLのクエリ文字列のパラメタに指定する方法などを用いることができる。
ステップS161において、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231は、nmc.sdpファイルの内容に基づいて、ブロードバンドネットワーク3内のマルチキャスト中継ルータ80に対し、マルチキャストの予約を行うことで、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加する。
マルチキャスト中継ルータ80においては、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加する場合、ステップS151の処理が実行される。すなわち、ステップS151において、マルチキャスト中継ルータ80は、ブロードバンドサーバ50からマルチキャスト配信されたIPマルチキャストストリームを、マルチキャスト終端デバイス70に転送する。
このようにして、マルチキャスト中継ルータ80ではマルチキャスト転送が開始され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト終端デバイス70により受信される。
すなわち、マルチキャスト中継ルータ80では、IPマルチキャストストリームの中継を行う場合、複数のマルチキャスト中継ルータ80の間のマルチキャストツリー(経路情報)が動的に生成されるが、第1の配信方式では、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
これにより、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
言うなれば、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、ブロードバンドネットワーク3内で多段に構成されるマルチキャスト中継ルータ80によって、IPマルチキャストストリームがせき止めてられているとも言える。
すなわち、このようにしてIPマルチキャストストリームをせき止めるのは、ブロードバンドネットワーク3内で、データの中継を行う複数のマルチキャスト中継ルータ80のうち、いずれかのマルチキャスト中継ルータ80であって、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
ただし、IPマルチキャストストリームをせき止めるのは、マルチキャスト中継ルータ80に限らず、ブロードバンドサーバ50であってもよく、この場合には、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加したときに、ブロードバンドサーバ50によって、マルチキャスト配信が開始されることになる。
また、このようにして確定されるIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、放送受信デバイス60(の放送アプリケーション)からのネット配信予約準備通知に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
ここで、放送受信デバイス60において、ブロードバンドコンテンツの要求がなされた場合、そのリクエストが通知され(S184)、マルチキャスト終端デバイス70により受信される。
ここでは、例えば、図2に示したように、放送アプリケーションが、エンドユーザに対し、ブロードバンドコンテンツを視聴するかどうかを選択させるための表示を行い、エンドユーザが、ブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合に、ブロードバンドコンテンツの要求がなされる。
ステップS162において、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231は、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送されたIPマルチキャストストリームに含まれるブロードバンドコンテンツを、放送受信デバイス60に転送する。
放送受信デバイス60においては、通信I/F110によって、マルチキャスト終端デバイス70からのブロードバンドコンテンツ(を含むIPマルチキャストストリーム)が受信される。
ステップS185において、DASHクライアント106は、ブロードバンドネットワーク3を介して受信されたIPマルチキャストストリームを処理することで、ブロードバンドコンテンツを再生する。そして、放送受信デバイス60では、レンダラ107によって、レンダリング処理が行われることで、マルチキャスト併用配信番組としてのブロードバンドコンテンツの映像と音声が出力される。
なお、このとき、DASHクライアント106は、マルチキャスト終端デバイス70からMPD(Media Presentation Description)を必要に応じて取得し、IPマルチキャストストリームから得られるDASHセグメントを処理して、ブロードバンドコンテンツが再生されるようにしてもよい。ここで、MPDは、MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)に準拠したストリーミング配信を行うために用いられるビデオやオーディオのファイルの制御情報である。
その後、ブロードバンドコンテンツの再生を終了する場合には、放送アプリケーションが、マルチキャスト終端デバイス70に対し、ネット配信予約解除を通知する(S186)。
このネット配信予約解除では、放送受信デバイス60において、ブラウザ109により実行される放送アプリケーションが、APIとして提供されるマルチキャスト解除通知関数を利用して、マルチキャスト終端デバイス70で稼働しているマルチキャスト終端モジュールに対し、nmc.sdpファイルを通知することで、マルチキャストの離脱指示がなされる。
ここで、図14を参照して、マルチキャスト解除通知関数について説明する。
multicastLeave()は、マルチキャストセッション離脱を依頼するためのマルチキャスト解除通知関数であって、その第1の引数として、マルチキャストセッション記述(例えば、nmc.sdpファイル)が渡される。また、その戻り値として、第1の引数で渡したマルチキャストセッション記述が返された場合には、処理が成功したことを意味し、nullが返された場合には、処理が失敗したことを意味する。
このように、マルチキャスト解除通知関数は、第1の引数で渡すマルチキャストセッション記述(例えば、nmc.sdpファイル)の内容を、マルチキャスト終端デバイス70に渡して、マルチキャストセッション離脱を依頼する関数である。
なお、この第1の配信方式では、multicastLeave()の引数として、第1の引数を渡すことになるが、第2の引数としてのサービス識別子を渡すようにしてもよい。第2の引数を渡した場合、その戻り値として、第2の引数で渡したサービス識別子が返されたときには、処理が成功したことを意味し、nullが返されたときには、処理が失敗したことを意味する。
このように、マルチキャスト解除通知関数は、第2の引数で渡すサービス識別子を、マルチキャスト終端デバイス70に渡して、マルチキャストセッション離脱を依頼する関数である。なお、マルチキャスト解除通知関数を利用する際に、引数として第2の引数(サービス識別子)を渡す配信方式としては、例えば、後述する第4の配信方式や第5の配信方式が想定される。
図12の説明に戻り、マルチキャスト終端デバイス70においては、放送受信デバイス60からのnmc.sdpファイルが受信される。なお、ここでは、図8乃至図10に示したように、nmc.sdpファイルの内容や、URLをhttp-postで送る方法、http-getのURLのクエリ文字列のパラメタに指定する方法などを用いることができる。
ステップS163において、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231は、nmc.sdpファイルの内容に基づいて、ブロードバンドネットワーク3内のマルチキャスト中継ルータ80に対し、マルチキャストの参加を取り消すことで、マルチキャストから離脱する。
マルチキャスト中継ルータ80においては、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストから離脱する場合、ステップS152の処理が実行される。すなわち、ステップS152において、マルチキャスト中継ルータ80は、ブロードバンドサーバ50からマルチキャスト配信されたIPマルチキャストストリームを、マルチキャスト終端デバイス70に転送するのを停止する。
一方で、放送受信デバイス60においては、地上波放送ネットワーク2を介して、地上波放送サーバ30から放送配信された多重化ストリームが受信され、地上波コンテンツの再生が再開される(S132,S187)。
すなわち、マルチキャスト終端デバイス70が、参加していたマルチキャストから離脱すると、放送受信デバイス60では、ブロードバンド配信ストリームが受信できなくなるが、放送配信ストリームの受信が再開されるため、再生対象のコンテンツが、ブロードバンドコンテンツから地上波コンテンツに切り替えられる。
ここで、上述したステップS161,S151,S162の処理、すなわち、ブロードバンドネットワーク3において、複数のマルチキャスト中継ルータ80によって行われるデータの中継処理は、次のように行われる。
すなわち、本技術では、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加することで(S161)、マルチキャストの優先予約を行っているが、この優先予約が必要となる理由は次の通りである。
一般的なIPTV(Internet Protocol TV)によるIP放送方式として、マルチキャストプロトコルが利用されているが、IPマルチキャストプロトコルをサポートするマルチキャストルータ(例えば、マルチキャスト中継ルータ80)では、自身に接続されたネットワークセグメント上に、個々のマルチキャストグループに参加しているクライアント装置(例えば、放送受信デバイス60)が存在するか否かを管理するために、IGMP(Internet Group Management Protocol)等のマルチキャストグループマネジメントプロトコルを利用する。
マルチキャスト配信を受信するクライアント装置は、所望のマルチキャストが行われるマルチキャストアドレスを指定して、マルチキャストルータに対し、マルチキャストグループマネジメントプロトコルによって、マルチキャストグループへの参加を宣言する。
マルチキャストルータは、マルチキャストツリーを構成する上位のルータから、マルチキャストパケットを受け取ると、自身に接続されたネットワークセグメント上に、そのマルチキャストグループに参加しているクライアント装置がある場合にのみ、そのマルチキャストパケットを、当該ネットワークセグメントへ送出する。また、クライアント装置は、マルチキャスト配信の受信を止める場合には、マルチキャストルータに対して、マルチキャストグループからの離脱を宣言する。
ここで、マルチキャストルータが、ホームネットワークとアクセスネットワークとの境界に位置し、ホームネットワークセグメント上に、クライアント装置が接続されているものとする。このクライアント装置において、IPマルチキャストストリームの選択や切り替え(チャンネルの選択や切り替え)が行われると、その都度、マルチキャストルータに対し、当該マルチキャストへの参加又は離脱が行われる。
一般に、マルチキャストの参加又は離脱の処理は、時間がかかるため、選択や切り替えの度に、画面が途絶える場合があって、例えば、アナログテレビで頻繁なチャンネル切り替え(いわゆるチャンネルザッピング)に慣れ親しんだエンドユーザにとっては、レスポンスの悪さが耐えられないことも想定される。
このような問題に対処するために、インテリジェントなマルチキャストルータにおいては、あらかじめ自身に接続されているホームネットワーク上のクライアント装置を使用するエンドユーザが選択しえる複数のチャンネルに対応するマルチキャストグループに参加(例えば、あらかじめ数十チャンネルに対応するマルチキャストグループに参加)しておき、当該マルチキャストルータよりも上位のマルチキャストツリーの切り替えのオーバーヘッドを低減させる方法が考えられる。
しかしながら、このような方法を採用した場合、アクセスネットワークに接続されるマルチキャストルータが増加するにつれ、あらかじめ参加しておかなければならないマルチキャストグループの数が増加して、アクセスネットワーク上に非常に多くのIPマルチキャストストリームが流れることになる。その結果、ネットワークに多大な負荷がかかって、キャパシティオーバーフローが起こり、逆にレスポンスが悪化してしまう。
なお、異なるマルチキャストルータから同一のマルチキャストアドレスに対する参加が行われ、複数のマルチキャストルータで共有されるIPマルチキャストストリームがあるにせよ、あらかじめ参加しておかなければならないマルチキャストグループの数が増加することに変わりはない。
そのため、このアクセスネットワーク上に常時流れるIPマルチキャストストリームの数を抑え、かつ、チャンネルザッピングのオーバーヘッドを極力抑えるためには、個々のマルチキャストルータが参加しておくマルチキャストグループに優先度をつけて、あらかじめエンドユーザが選択しそうなマルチキャストグループを取捨選択して、参加しておく必要がある。
そこで、第1の配信方式では、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したときに、マルチキャストツリーが生成されるようにすることで、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、放送受信デバイス60(の放送アプリケーション)からのネット配信予約準備通知に応じたマルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、このIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、放送受信デバイス60(の放送アプリケーション)からのネット配信予約準備通知に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択されたものとなるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
以上、第1の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
(2)第2の配信方式
第2の配信方式は、nmc.sdpファイル又はそれと等価な内容を格納したマルチキャスト情報テーブル(以下、MIT(Multicast Information Table)ともいう)を利用して、マルチキャスト終端デバイス70(で稼働するマルチキャスト終端モジュール)に対して、マルチキャストセッションの開始を依頼する方式である。
図15は、MITの構造の例を示す図である。
MITは、例えば、PSI/SI(Program Specific Information / Service Information)に含まれ、セクション形式で伝送される。
また、図16に示すように、MITのテーブルを伝送するTSパケットのパケット識別子(PID)は、PMT(Program Map Table)による間接指定とされる。PMTは、あるプログラムに含まれる画像や音声等の各PIDを格納したテーブルである。
図15において、Multicast_information_section()は、8ビットのtable_id,1ビットのsection_syntax_indicator,1ビットのreserved_future_use,2ビットのreserved,12ビットのsection_length,12ビットのdescriptors_loop_length,ディスクリプタループ内のdescriptor(),32ビットのCRC_32のフィールドから構成される。
table_idは、テーブルを識別するためのテーブルIDの8ビットのフィールドである。例えば、図17に示すように、MITのテーブルIDとして、"0x76"が設定される。
ディスクリプタループ内のdescriptor()には、マルチキャストセッション記述子が配置される。
図18は、マルチキャストセッション記述子の構造の例を示す図である。
図18において、Multicast_session_descriptor()は、8ビットのdescriptor_tag,8ビットのdescriptor_length,8ビットのtext_charのフィールドから構成される。
descriptor_tagは、記述子を識別するためのタグ値の8ビットのフィールドである。例えば、図19に示すように、マルチキャストセッション記述子のタグ値として、"0xE5"が設定される。
text_charは、8ビットのフィールドであって、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が含まれる。なお、このnmc.sdpファイルには、例えば、図6に示した内容が含まれる。
放送受信デバイス60では、このようなMITを放送経由で取得したとき、このMITに含まれるnmc.sdpファイル又はそれと等価な内容に基づき、マルチキャスト終端デバイス70(で稼働するマルチキャスト終端モジュール)に対して、マルチキャストセッションの開始を依頼することになる。
(第2の配信方式の処理)
次に、図20及び図21のフローチャートを参照して、第2の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
ステップS201乃至S202においては、図11のステップS101乃至S102と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、番組等のコンテンツが生成される。
ステップS211乃至S212においては、図11のステップS111乃至S112と同様に、放送向けストリームサーバ20によって、放送配信ストリームが生成される。
ステップS221乃至S222においては、図11のステップS121乃至S122と同様に、ブロードバンド向けストリームサーバ40によって、ブロードバンド配信ストリームが生成される。
ステップS203乃至S204においては、図11のステップS103乃至S104と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、放送アプリケーションが生成される。
ステップS205において、放送コンテンツマネジメントシステム10は、MITを生成する。ステップS206で生成されたMITは、地上波放送サーバ30に送信される(S206)。
地上波放送サーバ30においては、放送コンテンツマネジメントシステム10からの放送アプリケーション及びMITと、放送向けストリームサーバ20からの放送配信ストリームが受信される。
ステップS231において、地上波放送サーバ30は、受信された放送配信ストリームと、放送アプリケーションと、MITを処理(例えば、多重化等の処理)して、放送配信を行う。これにより、放送配信ストリームと放送アプリケーションとMITの多重化ストリームを含む放送波が、地上波放送ネットワーク2を介して伝送される。
そして、地上波放送ネットワーク2を伝送された放送波は、放送受信デバイス60において、アンテナ121を介してチューナ104によって受信され、その後段の放送ミドルウェア105やDASHクライアント106、ブラウザ109等によって処理される。
ステップS241において、ブロードバンドサーバ50は、ブロードバンド向けストリームサーバ40からのブロードバンド配信ストリームを処理(例えば、パケット化等の処理)して、マルチキャスト配信を行う。これにより、IPマルチキャストストリームが、ブロードバンドネットワーク3を介して伝送される。
ここで、ブロードバンドサーバ50からマルチキャスト配信されたIPマルチキャストストリームを構成するマルチキャストパケット(IPパケット)は、ブロードバンドネットワーク3内で、ネットワーク間を相互に接続するマルチキャスト中継ルータ80により受信され、複数のマルチキャスト中継ルータ80の間で転送される。
図21のステップS281において、放送受信デバイス60の放送ミドルウェア105は、地上波放送ネットワーク2を介して受信された多重化ストリームを処理することで、MITを取得する。このMITは、図15に示した構造を有し、ディスクリプタループ内に配置されるマルチキャストセッション記述子(図18)には、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が含まれる。
ステップS282において、放送ミドルウェア105(又はネット配信予約準備処理部133)は、ステップS281の処理で得られたMITに基づいて、マルチキャスト終端デバイス70で稼働しているマルチキャスト終端モジュールに対し、ネット配信予約準備を通知する。
このネット配信予約準備通知では、放送受信デバイス60において、放送ミドルウェア105(又はネット配信予約準備処理部133)が、マルチキャスト終端モジュールに対し、ステップS281の処理で取得したMITから得られるnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を通知することで、マルチキャストの予約指示がなされる。
マルチキャスト終端デバイス70においては、放送受信デバイス60からのnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が受信される。なお、ここでは、図8乃至図10に示したように、http-postやhttp-getのメッセージを利用することができる。
ステップS261及びS251においては、図12のステップS161及びS151と同様に、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231によって、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を用いて、マルチキャストに参加することになる。そして、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送されるIPマルチキャストストリームの受信が開始される。
すなわち、第2の配信方式では、上述した第1の配信方式と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、マルチキャスト中継ルータ80又はブロードバンドサーバ50によって、IPマルチキャストストリームがせき止めてられるが、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
そして、このようにして確定されるIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、MITを受信した放送受信デバイス60からのネット配信予約準備通知に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
一方で、放送受信デバイス60においては、放送ミドルウェア105やDASHクライアント106等が、地上波放送ネットワーク2を介して受信されたストリームを処理することで、地上波コンテンツを再生する(S283)。そして、放送受信デバイス60では、レンダラ107によって、レンダリング処理が行われることで、マルチキャスト併用番組配信可能な放送番組としての地上波コンテンツの映像と音声が出力される。
また、放送受信デバイス60においては、ブラウザ109が、AITに基づいて、放送ミドルウェア105により処理された多重化ストリームから得られる放送アプリケーションを取得して起動する(S284)。そして、この放送アプリケーションが、ブロードバンドコンテンツを視聴するかどうかを選択させるための表示を行い、エンドユーザが、所望のブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合に、当該ブロードバンドコンテンツの要求がなされる(S285)。
ステップS285,S262,S286においては、図12のステップS184,S162,S185と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、放送受信デバイス60からの要求に応じて、IPマルチキャストストリームを転送することで、放送受信デバイス60では、マルチキャスト併用配信番組としてのブロードバンドコンテンツが再生される。
なお、図21のフローチャートでは、記載を省略しているが、図12のステップS186,S163,S152,S132,S187と同様の処理が行われるようにすることで、マルチキャストの離脱が行われ、放送受信デバイス60での再生対象のコンテンツが、ブロードバンドコンテンツから地上波コンテンツに切り替えられるようにしてもよい。
以上、第2の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
(3)第3の配信方式
第3の配信方式は、その時点で放送配信されている全チャンネルのMITを取得して、マルチキャスト終端デバイス70(で稼働するマルチキャスト終端モジュール)に対し、事前にマルチキャスト予約をかける方式である。
ただし、この方式では、全チャンネルを選局する必要があるため、放送受信デバイス60においては、例えば、チューナ104として、マルチチューナが実装されている必要がある。
(第3の配信方式の処理)
次に、図22のフローチャートを参照して、第3の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
なお、第3の配信方式の前段の処理は、上述した第2の配信方式の前段の処理と同様であるため、その説明は省略する。すなわち、第3の配信方式の前段の処理は、上述した図20のフローチャートに示した処理と同様であり、図22に示した第3の配信方式の後段の処理は、図20のフローチャートに示した処理に続いて実行される処理とされる。
ステップS381において、放送受信デバイス60のチューナ104(マルチチューナ)は、全チャンネルを選局(チューン)し、地上波放送ネットワーク2を介して受信された多重化ストリームで同時並行転送されている全てのMITが、放送ミドルウェア105により取得されるようにする。
ステップS382において、放送ミドルウェア105(又はネット配信予約準備処理部133)は、ステップS381の処理で得られた全てのMITに基づいて、マルチキャスト終端デバイス70で稼働しているマルチキャスト終端モジュールに対し、全ネット配信予約準備を通知する。
この全ネット配信予約準備通知では、放送受信デバイス60において、放送ミドルウェア105(又はネット配信予約準備処理部133)が、マルチキャスト終端モジュールに対し、ステップS381の処理で取得した全てのMITから得られる、全チャンネル分のnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を通知することで、マルチキャストの予約指示がなされる。
マルチキャスト終端デバイス70においては、放送受信デバイス60からのnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が受信される。なお、ここでは、図8乃至図10に示したように、http-postやhttp-getのメッセージを利用することができる。
ステップS361及びS351においては、図21のステップS261及びS251と同様に、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231によって、全チャンネル分のnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を用いて、マルチキャストに参加することになる。そして、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送される、全チャンネル分のIPマルチキャストストリームの受信が開始される。
すなわち、第3の配信方式では、上述した第2の配信方式等と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、全チャンネル分のIPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60から所望のチャンネルのブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、全チャンネルの中から、所望のチャンネルのIPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、マルチキャスト中継ルータ80又はブロードバンドサーバ50によって、全チャンネル分のIPマルチキャストストリームがせき止めてられるが、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象の全チャンネル分のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
そして、このようにして確定される全チャンネル分のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、MITを受信した放送受信デバイス60からの全ネット配信予約準備通知に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
一方で、放送受信デバイス60においては、地上波コンテンツの再生が行われ(S383)、さらに、放送アプリケーションが起動される(S384)。そして、この放送アプリケーションが、ブロードバンドコンテンツを視聴するかどうかを選択させるための表示を行い、エンドユーザが、所望のチャンネルのブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合に、当該ブロードバンドコンテンツの要求がなされる(S385)。
ステップS385,S362,S386においては、図21のステップS285,S262,S286と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、放送受信デバイス60からの要求に応じて、IPマルチキャストストリームを転送することになるが、マルチキャスト中継ルータ80から、全チャンネル分のブロードバンドコンテンツが転送されているため、次の点が異なっている。
すなわち、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送される全チャンネル分のブロードバンドコンテンツの中から、エンドユーザにより選択された所望のチャンネルのブロードバンドコンテンツを選択して、放送受信デバイス60に転送する。これにより、放送受信デバイス60では、所望のチャンネルのブロードバンドコンテンツが再生される。
なお、図22のフローチャートでは、記載を省略しているが、図12のステップS186,S163,S152,S132,S187と同様の処理が行われるようにすることで、マルチキャストの離脱が行われ、放送受信デバイス60での再生対象のコンテンツが、ブロードバンドコンテンツから地上波コンテンツに切り替えられるようにしてもよい。
以上、第3の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
(4)第4の配信方式
第4の配信方式は、ブロードバンド配信シグナリングがマルチキャスト配信される場合に、放送アプリケーションが、サービス識別子を通知してマルチキャスト参加を促す方式である。
(第4の配信方式の処理)
次に、図23及び図24のフローチャートを参照して、第4の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
ステップS401乃至S402においては、図20のステップS201乃至S202と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、番組等のコンテンツが生成される。
ステップS403乃至S404においては、図20のステップS203乃至S204と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、放送アプリケーションが生成される。
ステップS405乃至S406においては、図20のステップS205乃至S206と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、MITが生成される。このMITは、ブロードバンド向けストリームサーバ40に送信される。
ステップS411乃至S412においては、図20のステップS211乃至S212と同様に、放送向けストリームサーバ20によって、放送配信ストリームが生成される。
ステップS421において、ブロードバンド向けストリームサーバ40は、ブロードバンド配信シグナリングを生成する。ここでは、例えば、ブロードバンド配信シグナリングとして、放送コンテンツマネジメントシステム10から受信したMITに基づき、SLT(Service List Table)やSLS(Service Layer Signaling)等のシグナリングが生成される。
なお、MITは、図15に示した構造を有し、ディスクリプタループ内に配置されるマルチキャストセッション記述子(図18)には、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が含まれる。つまり、SLTやSLS等のシグナリングに対し、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が含められる。
また、SLTやSLSは、次世代地上放送規格の1つであるATSC(Advanced Television Systems Committee)3.0で規定されているシグナリングである。なお、SLTやSLSの詳細な内容は、下記の非特許文献1に記載されている。SLTやSLSは、XML形式のファイルとして提供される。
非特許文献1:ATSC Candidate Standard:Signaling, Delivery, Synchronization, and Error Protection(A/331)
ステップS423乃至S424においては、図20のステップS221乃至S222と同様に、ブロードバンド向けストリームサーバ40によって、ブロードバンド配信ストリームが生成される。
ステップS431においては、図20のステップS231と同様に、地上波放送サーバ30によって、放送配信が行われる。地上波放送サーバ30からの放送波は、地上波放送ネットワーク2を介して、放送受信デバイス60により受信される。
ステップS441においては、図20のステップS241と同様に、ブロードバンドサーバ50によって、マルチキャスト配信が行われる。ブロードバンドサーバ50からのIPマルチキャストストリームは、ブロードバンドネットワーク3内のマルチキャスト中継ルータ80により受信される。
ただし、このIPマルチキャストストリームには、ブロードバンド配信ストリームとともに、ブロードバンド配信シグナリングが含まれる。
図24のステップS461において、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231は、マルチキャスト中継ルータ80に対し、所定の手続を行うことで、ブロードバンド配信シグナリングマルチキャストに参加する。
ここで、ブロードバンド配信シグナリングマルチキャストとは、ブロードバンド配信シグナリング(例えばSLTやSLSのファイル)を転送するマルチキャストであって、このマルチキャストに参加することで、マルチキャスト配信されるシグナリング(例えばSLTやSLSのファイル)を取得することができる。
マルチキャスト中継ルータ80においては、マルチキャスト終端デバイス70がブロードバンド配信シグナリングマルチキャストに参加する場合、ステップS451の処理が実行される。すなわち、ステップS451において、マルチキャスト中継ルータ80は、ブロードバンドサーバ50からマルチキャスト配信されたシグナリングを、マルチキャスト終端デバイス70に転送する。
このようにして、マルチキャスト中継ルータ80ではシグナリングマルチキャスト転送が開始され、ブロードバンド配信シグナリングが、マルチキャスト終端デバイス70により受信される。
ステップS462において、マルチキャスト終端デバイス70のシグナリング処理部233は、受信されたシグナリングを解析する。この解析結果によって、SLTやSLS等のシグナリングから、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が得られる。
一方で、放送受信デバイス60においては、地上波コンテンツの再生が行われ(S481)、さらに、放送アプリケーションが起動される(S482)。そして、起動された放送アプリケーションが、マルチキャスト終端デバイス70で稼働するマルチキャスト終端モジュールに対し、ネット配信予約準備を通知する(S483)。
このネット配信予約準備通知では、放送アプリケーションが、マルチキャスト予約通知関数(図13の第2の引数)を利用して、再生中の地上波コンテンツを提供するサービス(チャンネル)を識別するサービス識別子を指定してマルチキャストへの参加指示がなされる。このサービス識別子は、マルチキャスト終端デバイス70により受信される。
ステップS463及びS452においては、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231によって、サービス識別子及びnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が処理され、マルチキャストに参加することになる。
より具体的には、SLTやSLS等のシグナリングの解析結果から、サービス識別子に関連付けられたnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が取得されることで、サービス識別子により識別されるブロードバンドコンテンツのマルチキャストに参加するために必要なパラメタが取得される。例えば、サービス識別子は、SLTのグローバスサービスID(globalServiceID)等に紐付けられる。
これにより、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送されるIPマルチキャストストリームの受信が開始される。
すなわち、第4の配信方式では、上述した第1の配信方式等と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、マルチキャスト中継ルータ80又はブロードバンドサーバ50によって、IPマルチキャストストリームがせき止めてられるが、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象のサービス(チャンネル)のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
そして、このようにして確定されるIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、サービス識別子を用いたシグナリングの解析結果に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
一方で、放送受信デバイス60においては、放送アプリケーションが、ブロードバンドコンテンツを視聴するかどうかを選択させるための表示を行い、エンドユーザが、再生中の地上波コンテンツのサービス識別子により識別されるブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合に、当該ブロードバンドコンテンツの要求がなされる(S484)。
ステップS484,S464,S485においては、図12のステップS184,S162,S185と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、放送受信デバイス60からの要求に応じて、IPマルチキャストストリームを転送することで、放送受信デバイス60では、ブロードバンドコンテンツが再生される。
なお、図24のフローチャートでは、記載を省略しているが、図12のステップS186,S163,S152,S132,S187と同様の処理が行われるようにすることで、マルチキャストの離脱が行われ、放送受信デバイス60での再生対象のコンテンツが、ブロードバンドコンテンツから地上波コンテンツに切り替えられるようにしてもよい。ただし、ここでは、マルチキャスト解除通知関数を利用する際に、第2の引数(図14の第2の引数)によって、サービス識別子が渡される。
以上、第4の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
(5)第5の配信方式
第5の配信方式は、ブロードバンド配信シグナリングがユニキャスト配信される場合に、放送アプリケーションが、サービス識別子を通知してマルチキャスト参加を促す方式である。
この第5の配信方式は、上述した第4の配信方式のバリエーションで、ブロードバンドマルチキャストサービスにおいて、その時点で放送されているサービスについてのシグナリングを一度に取得できる環境で利用可能なシナリオとなる。
(第5の配信方式の処理)
次に、図25及び図26のフローチャートを参照して、第5の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
なお、図25及び図26においては、ブロードバンドサーバ50として、マルチキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Aの処理と、ユニキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Bの処理をそれぞれ示している。
また、図25及び図26においては、説明の都合上、放送向けストリームサーバ20の処理と、地上波放送サーバ30の処理を省略しているが、地上波放送ネットワーク2を介して、地上波コンテンツや放送アプリケーションの配信も可能である。
ステップS501乃至S502においては、図23のステップS401乃至S402と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、番組等のコンテンツが生成される。
ステップS503乃至S504においては、図23のステップS405乃至S406と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、MITが生成される。
ステップS521乃至S522においては、図23のステップS421乃至S422と同様に、ブロードバンド配信シグナリングが生成される。このブロードバンド配信シグナリングは、SLTやSLS等の、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が含められたシグナリングであって、ブロードバンドサーバ50Bに送信される。
ステップS523乃至S524においては、図23のステップS423乃至S424と同様に、ブロードバンド配信ストリームが生成される。このブロードバンド配信ストリームは、ブロードバンドサーバ50Aに送信される。
ステップS546においては、図23のステップS441と同様に、ブロードバンドサーバ50Aによって、ブロードバンド配信ストリームのマルチキャスト配信が行われる。ブロードバンドサーバ50AからのIPマルチキャストストリームは、ブロードバンドネットワーク3内のマルチキャスト中継ルータ80により受信される。
ステップS561において、マルチキャスト終端デバイス70のシグナリング処理部233は、ブロードバンドネットワーク3を介して、ブロードバンドサーバ50Bに対し、ブロードバンド配信シグナリングを要求する。
ステップS541において、ブロードバンドサーバ50Bは、マルチキャスト終端デバイス70からの要求に応じて、ブロードバンドネットワーク3を介して、ブロードバンド配信シグナリングを返信する。
マルチキャスト終端デバイス70においては、通信I/F203によって、ブロードバンドサーバ50Bからのブロードバンド配信シグナリングが受信される。
図26のステップS562において、マルチキャスト終端デバイス70のシグナリング処理部233は、受信されたブロードバンド配信シグナリングを解析する。この解析結果によって、SLTやSLS等のシグナリングから、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が得られる。
一方で、放送受信デバイス60においては、地上波コンテンツの再生が行われ(S581)、さらに、放送アプリケーションが起動される(S582)。そして、起動された放送アプリケーションが、マルチキャスト終端デバイス70で稼働するマルチキャスト終端モジュールに対し、ネット配信予約準備を通知する(S583)。
このネット配信予約準備通知では、放送アプリケーションが、マルチキャスト予約通知関数(図13の第2の引数)を利用して、再生中の地上波コンテンツを提供するサービス(チャンネル)を識別するサービス識別子を指定してマルチキャストへの参加指示がなされる。
ステップS563及びS551においては、図24のステップS463及びS452と同様に、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231によって、サービス識別子及びnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が処理され、マルチキャストに参加することになる。
より具体的には、SLTやSLS等のシグナリングの解析結果から、サービス識別子に関連付けられたnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が取得されることで、サービス識別子により識別されるブロードバンドコンテンツのマルチキャストに参加するために必要なパラメタが取得される。
これにより、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送されるIPマルチキャストストリームの受信が開始される。
すなわち、第5の配信方式では、上述した第4の配信方式等と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、マルチキャスト中継ルータ80又はブロードバンドサーバ50によって、IPマルチキャストストリームがせき止めてられるが、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象のサービス(チャンネル)のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
そして、このようにして確定されるIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、サービス識別子を用いたシグナリングの解析結果に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
一方で、放送受信デバイス60においては、放送アプリケーションが、ブロードバンドコンテンツを視聴するかどうかを選択させるための表示を行い、エンドユーザが、再生中の地上波コンテンツのサービス識別子により識別されるブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合に、当該ブロードバンドコンテンツの要求がなされる(S584)。
ステップS584,S564,S585においては、図24のステップS484,S464,S485と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、放送受信デバイス60からの要求に応じて、IPマルチキャストストリームを転送することで、放送受信デバイス60では、ブロードバンドコンテンツが再生される。
なお、図26のフローチャートでは、記載を省略しているが、図12のステップS186,S163,S152,S132,S187と同様の処理が行われるようにすることで、マルチキャストの離脱が行われ、放送受信デバイス60での再生対象のコンテンツが、ブロードバンドコンテンツから地上波コンテンツに切り替えられるようにしてもよい。ただし、ここでは、マルチキャスト解除通知関数を利用する際に、第2の引数(図14の第2の引数)によって、サービス識別子が渡される。
以上、第5の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
(6)第6の配信方式
第6の配信方式は、ブロードバンド配信シグナリングがユニキャスト配信される場合に、放送シグナリングが、マルチキャスト参加を促す方式である。
この第6の配信方式は、上述した第5の配信方式のバリエーションで、放送アプリケーションの代わりに、MITを取得して、事前にマルチキャスト予約をかけるシナリオとなる。
(第6の配信方式の処理)
次に、図27のフローチャートを参照して、第6の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
なお、第6の配信方式の前段の処理は、上述した第5の配信方式の前段の処理と同様であるため、その説明は省略する。すなわち、第6の配信方式の前段の処理は、上述した図25のフローチャートに示した処理と同様であり、図27に示した第6の配信方式の後段の処理は、図25のフローチャートに示した処理に続いて実行される処理とされる。
なお、図27においては、ブロードバンドサーバ50として、マルチキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Aの処理と、ユニキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Bの処理をそれぞれ示している。また、図27においては、説明の都合上、放送向けストリームサーバ20の処理と、地上波放送サーバ30の処理を省略しているが、地上波放送ネットワーク2を介して、地上波コンテンツや放送アプリケーションの配信も可能である。
ステップS681において、放送受信デバイス60の放送ミドルウェア105は、地上波放送ネットワーク2を介して受信されたストリームを処理することで、MITを取得する。
ステップS682において、放送ミドルウェア105(又はネット配信予約準備処理部133)は、ステップS681の処理でMITが取得されたとき、マルチキャスト終端デバイス70で稼働しているマルチキャスト終端モジュールに対し、ネット配信予約準備を通知する。
ステップS661において、マルチキャスト終端デバイス70のシグナリング処理部233は、ブロードバンドネットワーク3を介して、ブロードバンドサーバ50Bに対し、ブロードバンド配信シグナリングを要求する。
ステップS541において、ブロードバンドサーバ50Bは、マルチキャスト終端デバイス70からの要求に応じて、ブロードバンドネットワーク3を介して、ブロードバンド配信シグナリングを返信する。
ステップS662において、マルチキャスト終端デバイス70のシグナリング処理部233は、ブロードバンドサーバ50Bから受信したブロードバンド配信シグナリングを解析する。この解析結果によって、SLTやSLS等のシグナリングから、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が得られる。
ステップS663,S651においては、マルチキャスト終端デバイス70によって、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が処理され、マルチキャストに参加することになる。
これにより、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送されるIPマルチキャストストリームの受信が開始される。
すなわち、第6の配信方式では、上述した第5の配信方式等と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、マルチキャスト中継ルータ80又はブロードバンドサーバ50によって、IPマルチキャストストリームがせき止めてられるが、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
そして、このようにして確定されるIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、シグナリングの解析結果に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
一方で、放送受信デバイス60においては、地上波コンテンツの再生が行われ(S683)、さらに、放送アプリケーションが起動される(S684)。そして、この放送アプリケーションが、ブロードバンドコンテンツを視聴するかどうかを選択させるための表示を行い、エンドユーザが、所望のブロードバンドコンテンツの視聴を選択した場合に、当該ブロードバンドコンテンツの要求がなされる(S685)。
ステップS685,S664,S686においては、図26のステップS584,S564,S585と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、放送受信デバイス60からの要求に応じて、IPマルチキャストストリームを転送することで、放送受信デバイス60では、ブロードバンドコンテンツが再生される。
なお、図27のフローチャートでは、記載を省略しているが、図12のステップS186,S163,S152,S132,S187と同様の処理が行われるようにすることで、マルチキャストの離脱が行われ、放送受信デバイス60での再生対象のコンテンツが、ブロードバンドコンテンツから地上波コンテンツに切り替えられるようにしてもよい。
また、上述した第6の配信方式の説明では、SLTやSLS等のシグナリングから得られる、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を利用する場合を説明したが、放送受信デバイス60が、MITから得られるnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を、マルチキャスト終端デバイス70に通知して、マルチキャストの参加がなされるようにしてもよい。
以上、第6の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
(7)第7の配信方式
第7の配信方式は、ブロードバンドコンテンツの配信形式を、ユニキャスト配信からマルチキャスト配信に切り替える方式である。第7の配信方式では、例えば、次のようなシナリオが想定される。
ここでは、放送受信デバイス60において、放送アプリケーションによって、通常の通信経由のHTTP(Hypertext Transfer Protocol)のユニキャストで配信されるブロードバンドコンテンツが再生されている場面を想定する。
ただし、このブロードバンドコンテンツは、地上波コンテンツよりも高解像度かつ高音質であって、DASHストリーミングとして配信されているものとする。また、放送受信デバイス60は、マルチキャスト終端デバイス70により転送されてくるブロードバンドコンテンツを再生するが、この場合のマルチキャスト終端デバイス70は、単にプロキシとして機能しているだけで、上述したマルチキャストセッション等に関する機能は実行していない。
ここで、例えば、同一の番組(ブロードバンドコンテンツ)を同時に、ブロードバンドネットワーク3を経由して視聴するクライアント装置(例えば、テレビ受像機等の放送受信デバイス60)が増加して、ブロードバンドネットワーク3が、輻輳し始める場面を想定する。
この輻輳は、ユニキャスト配信を行っているブロードバンドサーバ50により検知され、ブロードバンドコンテンツのマルチキャスト配信での併用配信が指示される。ただし、この輻輳の検知は、ブロードバンドサーバ50に限らず、例えば、ユニキャストトラフィックをモニタリングしている、専用のネットワークトラフィックモニタリングモジュールが行ってもよい。
ブロードバンドサーバ50からの併用配信の指示を受けた放送コンテンツマネジメントシステム10は、新たに放送アプリケーションを生成するか、又は放送アプリケーションに通知するイベントメッセージを生成して、更新された放送アプリケーション又はイベントメッセージが、放送受信デバイス60により受信されるようにする。
更新された放送アプリケーション又はイベントメッセージを受け取った放送受信デバイス60では、放送アプリケーションを起動しなおすか、又はイベントメッセージが、起動中の放送アプリケーションに通知されるようにする。
そして、放送受信デバイス60においては、放送アプリケーションが、マルチキャスト終端デバイス70で稼働するマルチキャスト終端モジュールに対し、マルチキャストセッションの開始を依頼することになる。
これ以降の処理は、上述した第1の配信方式などと同様であって、マルチキャスト終端デバイス70は、ブロードバンドコンテンツの取得先を、ユニキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Bから、マルチキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Aに切り替える。つまり、マルチキャスト終端デバイス70は、プロキシとして機能するのではなく、上述したマルチキャストセッション等に関する機能を実行することになる。
なお、ここでのマルチキャスト系の制御フローは、上述した第1の配信方式のような、直接SDPを利用する場合と、上述した第4の配信方式のような、ATSC3.0のシグナリング系を利用する場合の両方のパターンに適用可能とされる。
(第7の配信方式の処理)
次に、図28乃至図30のフローチャートを参照して、第7の配信方式を採用した場合のコンテンツ配信システム1の各装置で実行される処理の流れを説明する。
なお、図28乃至図30においては、ブロードバンドサーバ50として、マルチキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Aの処理と、ユニキャスト配信を行うブロードバンドサーバ50Bの処理をそれぞれ示している。
ステップS701乃至S702においては、図11のステップS101乃至S102と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、番組等のコンテンツが生成される。
ステップS711乃至S712においては、図11のステップS111乃至S112と同様に、放送向けストリームサーバ20によって、放送配信ストリームが生成される。
ステップS721乃至S722においては、図11のステップS121乃至S122と同様に、ブロードバンド向けストリームサーバ40によって、ユニキャスト配信用のブロードバンド配信ストリームが生成される。
ステップS703乃至S704においては、図11のステップS103乃至S104と同様に、放送コンテンツマネジメントシステム10によって、放送アプリケーションが生成される。
ステップS731においては、図11のステップS131と同様に、地上波放送サーバ30によって、放送配信が行われる。地上波放送サーバ30からの放送波は、地上波放送ネットワーク2を介して、放送受信デバイス60により受信される。
そして、図29に示すように、放送受信デバイス60においては、地上波コンテンツの再生が行われ(S781)、さらに、放送アプリケーションが起動される(S782)。
ステップS783において、処理部101の通信制御部132は、通信I/F110を制御して、マルチキャスト終端デバイス70に対し、ユニキャスト配信のブロードバンドコンテンツを要求する。
この要求を受けたマルチキャスト終端デバイス70では、処理部201が、ブロードバンドネットワーク3を介してブロードバンドサーバ50Bに対し、ユニキャスト配信のブロードバンドコンテンツを要求する(S761)。
そして、ブロードバンドサーバ50Bは、マルチキャスト終端デバイス70からの要求に応じて、ブロードバンドネットワーク3を介してブロードバンドコンテンツを、ユニキャスト配信する(S741)。このIPユニキャストストリームは、ブロードバンドネットワーク3を介して、マルチキャスト終端デバイス70により受信され、放送受信デバイス60に転送される(S762)。
これにより、放送受信デバイス60においては、ユニキャスト配信されたブロードバンドコンテンツの再生が行われる(S784)。
すなわち、このブロードバンドコンテンツは、地上波コンテンツよりも高解像度かつ高音質であって、放送受信デバイス60での再生対象のコンテンツが、例えば、2K解像度の地上波コンテンツから、4K解像度のブロードバンドコンテンツに切り替えられる。
ここで、ブロードバンドサーバ50Bでは、ブロードバンドネットワーク3でのユニキャストトラフィックがモニタされ、ユニキャストトラフィックにおける過負荷検知が行われる(S742)。ステップS742の過負荷検知処理で、ブロードバンドネットワーク3の輻輳が検知された場合、ステップS743の処理が行われる。
すなわち、ブロードバンドサーバ50Bは、放送コンテンツマネジメントシステム10と、ブロードバンド向けストリームサーバ40に対し、ブロードバンドコンテンツのマルチキャスト配信での併用配信を通知(指示)する(S743)。
ステップS705において、放送コンテンツマネジメントシステム10は、ブロードバンドサーバ50Bからの併用配信の指示に応じて、新たに放送アプリケーションを生成して放送アプリケーションを更新するか、又は放送アプリケーションに通知するイベントメッセージ(以下、アプリイベントともいう)を生成する。
ステップS705の処理で得られる更新後の放送アプリケーション又はアプリイベントは、地上波放送サーバ30に送信される。
ステップS732においては、図11のステップS131と同様に、地上波放送サーバ30によって、放送配信が行われる。ここで、地上波放送サーバ30からの放送波には、更新後の放送アプリケーション又はアプリイベントが含まれ、地上波放送ネットワーク2を介して、放送受信デバイス60により受信される。
ステップS723乃至S724においては、図11のステップS121乃至S122と同様に、ブロードバンド向けストリームサーバ40によって、マルチキャスト配信用のブロードバンド配信ストリームが生成される。
ステップS746においては、図11のステップS141と同様に、ブロードバンドサーバ50Aによって、ブロードバンド向けストリームサーバ40からのマルチキャスト配信用のブロードバンド配信ストリームが処理され、マルチキャスト配信が行われる。これにより、IPマルチキャストストリームが、ブロードバンドネットワーク3を介して伝送される。
一方で、放送受信デバイス60においては、放送ミドルウェア105により処理された多重化ストリームから得られるのが、更新後の放送アプリケーションである場合には、図30のステップS785の処理が実行され、アプリイベントである場合には、図30のステップS786の処理が実行される。
すなわち、ステップS785においては、多重化ストリームから得られる更新後の放送アプリケーションが取得され、起動される。一方で、ステップS786においては、多重化ストリームから得られるアプリイベントが、起動中の放送アプリケーションによって検知される。
ステップS785又はS786の処理が終了すると、処理は、ステップS787に進められる。そして、ステップS787においては、更新後の放送アプリケーション、又はアプリイベントを検知した放送アプリケーションによって、マルチキャスト終端デバイス70で稼働しているマルチキャスト終端モジュールに対し、ネット配信予約準備が通知される。
このネット配信予約準備では、放送受信デバイス60において、更新後の放送アプリケーション、又はアプリイベントを検知した放送アプリケーションがが、APIとして提供されるマルチキャスト予約通知関数(図13の第1の引数)を利用して、マルチキャスト終端モジュールに対し、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を通知することで、マルチキャストの予約指示がなされる。
マルチキャスト終端デバイス70においては、放送受信デバイス60からのnmc.sdpファイル又はそれに等価な内容が受信される。
ステップS763及びS751においては、図12のステップS161及びS151と同様に、マルチキャスト終端デバイス70のマルチキャストミドルウェア231によって、nmc.sdpファイル又はそれに等価な内容を用いて、マルチキャストに参加することになる。そして、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト転送されるIPマルチキャストストリームの受信が開始される。
すなわち、第7の配信方式では、上述した第1の配信方式等と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、マルチキャスト(マルチキャストグループ)に参加したとき、マルチキャストツリーが生成されるようにしている。
そのため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されるよりも前に、マルチキャストツリーが生成され、IPマルチキャストストリームが、マルチキャスト中継ルータ80からマルチキャスト終端デバイス70にまで転送されているため、放送受信デバイス60からブロードバンドコンテンツが要求されたときには、直ちに、IPマルチキャストストリームを転送することが可能となる。
また、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加するまでは、マルチキャスト中継ルータ80又はブロードバンドサーバ50によって、IPマルチキャストストリームがせき止めてられるが、マルチキャスト終端デバイス70がマルチキャストに参加して、マルチキャストツリーが生成されることで、対象のIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路が確定される。
そして、このようにして確定されるIPマルチキャストストリーム(を構成するマルチキャストパケット)の経路は、放送受信デバイス60からのネット配信予約準備通知に応じたマルチキャストツリーによるものであって、いわば優先度が高いために取捨選択された経路であるため、ブロードバンドネットワーク3への負荷を抑えることができる。
ステップS788,S764,S789においては、図12のステップS184,S162,S185と同様に、マルチキャスト終端デバイス70が、放送受信デバイス60からの要求に応じて、IPマルチキャストストリームを転送することで、放送受信デバイス60では、マルチキャスト配信されたブロードバンドコンテンツが再生される。
すなわち、ブロードバンドネットワーク3の輻輳が検知されたとき、放送受信デバイス60では、再生されるブロードバンドコンテンツが、ユニキャスト配信されたブロードバンドコンテンツから、マルチキャスト配信されたブロードバンドコンテンツに切り替えられることになる。
以上、第7の配信方式を採用した場合の処理の流れを説明した。
<3.本技術のプロトコルスタック構成>
ところで、本技術が提案する方式では、地上波放送トランスポートプロトコル、ブロードバンドユニキャストプロトコルやブロードバンドマルチキャストプロトコルとして、様々なプロトコルを利用することができる。
そこで、以下、本技術が提案する方式に適用可能なプロトコルスタック構成として、第1のスタック構成乃至第12のスタック構成について説明する。
(1)第1のスタック構成
図31は、第1のスタック構成の例を示す図である。
図31の第1のスタック構成においては、図中の右側に、放送受信デバイス60のスタック構成を示し、図中の左側に、マルチキャスト終端デバイス70のスタック構成を示している。
これらのスタック構成においては、その階層構造のうち、最も下位の階層が、物理層やリンク層に対応した第1の階層とされ、さらに第1の階層の1つ上の階層は、ネットワーク層に対応した第2の階層とされる。また、第2の階層の1つ上の階層は、トランスポート層に対応した第3の階層とされ、さらに第3の階層の1つ上の階層は、アプリケーション層に対応した第4の階層とされる。
そして、このような4階層のプロトコルスタックを実装することで、放送受信デバイス60やマルチキャスト終端デバイス70では、各種のミドルウェアやアプリケーションを実装することが可能となる。
放送受信デバイス60は、チューナ104(図3)と通信I/F110(図3)を有して構成され、放送と通信の両方の方式に対応可能であるため、放送系のスタックと通信系のスタックが併記されている。
放送系のスタックとしては、第1の階層が、放送PHYとされ、第2の階層が、MPEG2-TS(Transport Stream)とされ、第3の階層が、PES(Packetized Elementary Stream)又はSectionとされ、第4の階層が、Audio/Video ES(Elementary Stream)又はPSI/SI(Program Specific Information / Service Information)とされる。
なお、AIT(Application Information Table)やMIT(Multicast Information Table)は、PSI/SIに含まれ、セクション形式で伝送される。
通信系のスタックとしては、第1の階層が、Ethernet/Wifiとされ、第2の階層が、IP(Internet Protocol)とされ、第3の階層が、TCP(Transmission Control Protocol)とされ、第4の階層が、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)とされる。
このようなプロトコルスタックが実装されることで、放送受信デバイス60では、放送ミドルウェア105、ネットプレイヤや放送プレイヤとしてのDASHクライアント106(DASHプレイヤ)、又は放送アプリケーションを実行するブラウザ109などが実装される。
一方で、マルチキャスト終端デバイス70は、通信I/F202(図5)と通信I/F203(図5)を有して構成され、2つの通信方式に対応可能であるため、第1の通信系のスタックと、第2の通信系のスタックが併記されている。
第1の通信系のスタックとしては、第1の階層が、Ethernet/Wifiとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、TCPとされ、第4の階層が、HTTPとされる。すなわち、この第1の通信系のスタックは、放送受信デバイス60の通信系のスタックと同様とされる。
第2の通信系のスタックとしては、第1の階層が、Ethernetとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、UDP(User Datagram Protocol)又はTCPとされ、第4の階層が、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)又はHTTPとされる。
このようなプロトコルスタックが実装されることで、マルチキャスト終端デバイス70では、マルチキャストミドルウェア231やウェブサーバ232などが実装される。
なお、図31の第1のスタック構成において、放送受信デバイス60では、放送系のスタックが実装されることで、例えば地上波網や衛星網等の放送網を介して放送波を受信することができる。
また、放送受信デバイス60では、通信系のスタックが実装され、マルチキャスト終端デバイス70では、第1の通信系のスタックが実装されることで、例えば家庭内LAN(Local Area Network)等を介して相互に通信を行うことができる。
さらに、マルチキャスト終端デバイス70では、第2の通信系のスタックが実装されることで、例えば通信キャリアが提供するNGN(Next Generation Network)等を介して相互に通信を行うことができる。
(2)第2のスタック構成
図32は、第2のスタック構成の例を示す図である。
図32の第2のスタック構成においては、上述した第1のスタック構成(図31)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70のスタック構成を示しているが、放送受信デバイス60の放送系のスタックが異なっている。
第2のスタック構成において、放送受信デバイス60の放送系のスタックとしては、第1の階層が、TLV(Type Length Value)/放送PHYとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、MMTP/UDP(MPEG Media Transport Protocol / User Datagram Protocol)とされ、第4の階層が、Audio/Video ES又はPSI/SIとされる。
すなわち、第2のスタック構成の放送系のスタックでは、MPEG2-TS方式ではなく、IP伝送方式を用いて、IPパケットをTLVパケットにカプセル化して、物理層フレーム(放送PHY)に含めるようにしているため、すべてのスタックでIPのプロトコルが使われて共通化されている。
なお、第2のスタック構成において、放送受信デバイス60の通信系のスタックと、マルチキャスト終端デバイス70の第1の通信系のスタック及び第2の通信系のスタックは、上述した第1のスタック構成(図31)と同様であるため、その説明は省略する。
(3)第3のスタック構成
図33は、第3のスタック構成の例を示す図である。
図33の第3のスタック構成においては、上述した第1のスタック構成(図31)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70のスタック構成を示しているが、放送受信デバイス60の放送系のスタックが異なっている。
第3のスタック構成において、放送受信デバイス60の放送系のスタックとしては、第1の階層が、放送PHYとされ、第2の階層が、MPEG2-TSとされ、第3の階層が、Sectionとされ、第4の階層が、IPとされ、第5の階層が、UDPとされ、第6の階層がROUTE(Real-time Object Delivery over Unidirectional Transport)又はFLUTEとされる。また、第4の階層乃至第6の階層が、PSI/SIとされる。
すなわち、第3のスタック構成の放送系のスタックでは、PSI/SIだけでなく、UDPパケットを含むIPパケットについてもセクション形式で伝送される。
なお、第3のスタック構成において、放送受信デバイス60の通信系のスタックと、マルチキャスト終端デバイス70の第1の通信系のスタック及び第2の通信系のスタックは、上述した第1のスタック構成(図31)と同様であるため、その説明は省略する。
(4)第4のスタック構成
図34は、第4のスタック構成の例を示す図である。
図34の第4のスタック構成においては、上述した第1のスタック構成(図31)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70のスタック構成を示しているが、マルチキャスト終端デバイス70の第2の通信系のスタックが異なっている。
第4のスタック構成において、マルチキャスト終端デバイス70の第2の通信系のスタックとしては、第1の階層が、Ethernetとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、UDP又はTCPとされ、第4の階層が、SLT(Service List Table)、ROUTE、又はHTTPとされる。
すなわち、第4のスタック構成の第2の通信系スタックは、上記の非特許文献1に記載されているATSC3.0のプロトコルスタックに対応しているため、マルチキャストミドルウェア231やウェブサーバ232等は、ATSC3.0のミドルウェアと等価な機能を有している。なお、ATSC3.0のプロトコルスタックは、非特許文献1の「Figure 5.1 ATSC 3.0 receiver protocol stack.」に、その詳細が記載されている。
なお、第4のスタック構成において、放送受信デバイス60の放送系のスタック及び通信系のスタックと、マルチキャスト終端デバイス70の第1の通信系のスタックは、上述した第1のスタック構成(図31)と同様であるため、その説明は省略する。
(5)第5のスタック構成
図35は、第5のスタック構成の例を示す図である。
図35の第5のスタック構成においては、上述した第4のスタック構成(図34)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70のスタック構成を示しているが、放送受信デバイス60の放送系のスタックが異なっている。
第5のスタック構成において、放送受信デバイス60の放送系のスタックとしては、第1の階層が、TLV/放送PHYとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、MMTP/UDPとされ、第4の階層が、Audio/Video ES又はPSI/SIとされる。
すなわち、第5のスタック構成の放送系のスタックでは、MPEG2-TS方式ではなく、IP伝送方式を用いて、IPパケットをTLVパケットにカプセル化して、物理層フレーム(放送PHY)に含めるようにしているため、すべてのスタックでIPのプロトコルが使われて共通化されている。
また、第5のスタック構成の第2の通信系のスタックは、第4のスタック構成と同様に、ATSC3.0のプロトコルスタックに対応しているため、マルチキャストミドルウェア231等は、ATSC3.0のミドルウェアと等価な機能を有している。
なお、第5のスタック構成において、放送受信デバイス60の通信系のスタックと、マルチキャスト終端デバイス70の第1の通信系のスタックは、上述した第4のスタック構成(図34)と同様であるため、その説明は省略する。
(6)第6のスタック構成
図36は、第6のスタック構成の例を示す図である。
図36の第6のスタック構成においては、上述した第4のスタック構成(図34)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70のスタック構成を示しているが、放送受信デバイス60の放送系のスタックが異なっている。
第6のスタック構成において、放送受信デバイス60の放送系のスタックとしては、第1の階層が、放送PHYとされ、第2の階層が、MPEG2-TSとされ、第3の階層が、Sectionとされ、第4の階層が、IPとされ、第5の階層が、UDPとされ、第6の階層がROUTE又はFLUTEとされる。また、第4の階層乃至第6の階層が、PSI/SIとされる。
すなわち、第6のスタック構成の放送系のスタックでは、PSI/SIだけでなく、UDPパケットを含むIPパケットについてもセクション形式で伝送される。
また、第6のスタック構成の第2の通信系スタックは、第4のスタック構成と同様に、ATSC3.0のプロトコルスタックに対応しているため、マルチキャストミドルウェア231等は、ATSC3.0のミドルウェアと等価な機能を有している。
なお、第6のスタック構成において、放送受信デバイス60の通信系のスタックと、マルチキャスト終端デバイス70の第1の通信系のスタックは、上述した第4のスタック構成(図34)と同様であるため、その説明は省略する。
(7)第7のスタック構成
図37は、第7のスタック構成の例を示す図である。
図37の第7のスタック構成においては、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された機器(同梱型デバイス)として構成される場合のスタック構成を示している。したがって、この同梱型デバイスでは、例えば家庭内LAN等を介して相互に通信を行う必要がなく、例えばローカルループバック(Local Loopback)によって自身でデータをやり取りすることができる。
一方で、同梱型デバイスでは、チューナ104(図3)と通信I/F203(図5)を有して構成され、放送と通信の両方の方式に対応可能であるため、ローカルループバックのスタックを挟んで、放送系のスタックと通信系のスタックが併記されている。
放送系のスタックとしては、放送PHYとされ、第2の階層が、MPEG2-TSとされ、第3の階層が、PES又はSectionとされ、第4の階層が、Audio/Video ES又はPSI/SIとされる。
通信系のスタックとしては、第1の階層が、Ethernetとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、UDP又はTCPとされ、第4の階層が、FLUTE又はHTTPとされる。
これらのプロトコルスタックが実装されることで、同梱型デバイスでは、放送ミドルウェア105、ネットプレイヤや放送プレイヤとしてのDASHクライアント106(DASHプレイヤ)、若しくは放送アプリケーションを実行するブラウザ109、又はマルチキャストミドルウェア231若しくはウェブサーバ232などが実装される。
なお、図37の第7のスタック構成において、同梱型デバイスでは、放送系のスタックが実装されることで、例えば地上波網や衛星網等の放送網を介して放送波を受信することができる。また、マルチキャスト終端デバイス70では、通信系のスタックが実装されることで、例えば通信キャリアが提供するNGN等を介して相互に通信を行うことができる。
(8)第8のスタック構成
図38は、第8のスタック構成の例を示す図である。
図38の第8のスタック構成においては、上述した第7のスタック構成(図37)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された同梱型デバイスのスタック構成を示しているが、放送系のスタックが異なっている。
第8のスタック構成において、同梱型デバイスの放送系のスタックとしては、第1の階層が、TLV/放送PHYとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、MMTP/UDPとされ、第4の階層が、Audio/Video ES又はPSI/SIとされる。
すなわち、第8のスタック構成の放送系のスタックでは、MPEG2-TS方式ではなく、IP伝送方式を用いて、IPパケットをTLVパケットにカプセル化して、物理層フレーム(放送PHY)に含めるようにしているため、すべてのスタックでIPのプロトコルが使われて共通化されている。
なお、第8のスタック構成において、通信系のスタックは、上述した第7のスタック構成(図37)と同様であるため、その説明は省略する。
(9)第9のスタック構成
図39は、第9のスタック構成の例を示す図である。
図39の第9のスタック構成においては、上述した第7のスタック構成(図37)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された同梱型デバイスのスタック構成を示しているが、放送系のスタックが異なっている。
第9のスタック構成において、同梱型デバイスの放送系のスタックとしては、第1の階層が、放送PHYとされ、第2の階層が、MPEG2-TSとされ、第3の階層が、Sectionとされ、第4の階層が、IPとされ、第5の階層が、UDPとされ、第6の階層がROUTE又はFLUTEとされる。また、第4の階層乃至第6の階層が、PSI/SIとされる。
すなわち、第9のスタック構成の放送系のスタックでは、PSI/SIだけでなく、UDPパケットを含むIPパケットについてもセクション形式で伝送される。
なお、第9のスタック構成において、通信系のスタックは、上述した第7のスタック構成(図37)と同様であるため、その説明は省略する。
(10)第10のスタック構成
図40は、第10のスタック構成の例を示す図である。
図40の第10のスタック構成においては、上述した第7のスタック構成(図37)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された同梱型デバイスのスタック構成を示しているが、通信系のスタックが異なっている。
第10のスタック構成において、同梱型デバイスの通信系のスタックとしては、第1の階層が、Ethernetとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、UDP又はTCPとされ、第4の階層が、SLT、ROUTE、又はHTTPとされる。
すなわち、第10のスタック構成の通信系スタックは、第4のスタック構成(図34)の第2の通信系のスタックと同様に、ATSC3.0のプロトコルスタックに対応しているため、マルチキャストミドルウェア231等は、ATSC3.0のミドルウェアと等価な機能を有している。
なお、第10のスタック構成において、放送系のスタックは、上述した第7のスタック構成(図37)と同様であるため、その説明は省略する。
(11)第11のスタック構成
図41は、第11のスタック構成の例を示す図である。
図41の第11のスタック構成においては、上述した第10のスタック構成(図40)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された同梱型デバイスのスタック構成を示しているが、放送系のスタックが異なっている。
第11のスタック構成において、同梱型デバイスの放送系のスタックとしては、第1の階層が、TLV/放送PHYとされ、第2の階層が、IPとされ、第3の階層が、MMTP/UDPとされ、第4の階層が、Audio/Video ES又はPSI/SIとされる。
すなわち、第11のスタック構成の放送系のスタックでは、MPEG2-TS方式ではなく、IP伝送方式を用いて、IPパケットをTLVパケットにカプセル化して、物理層フレーム(放送PHY)に含めるようにしているため、すべてのスタックでIPのプロトコルが使われて共通化されている。
また、第11のスタック構成の通信系のスタックは、第10のスタック構成(図40)と同様に、ATSC3.0のプロトコルスタックに対応しているため、マルチキャストミドルウェア231等は、ATSC3.0のミドルウェアと等価な機能を有している。
(12)第12のスタック構成
図42は、第12のスタック構成の例を示す図である。
図42の第12のスタック構成においては、上述した第10のスタック構成(図40)と同様に、放送受信デバイス60とマルチキャスト終端デバイス70とが一体化された同梱型デバイスのスタック構成を示しているが、放送系のスタックが異なっている。
第12のスタック構成において、同梱型デバイスの放送系のスタックとしては、第1の階層が、放送PHYとされ、第2の階層が、MPEG2-TSとされ、第3の階層が、Sectionとされ、第4の階層が、IPとされ、第5の階層が、UDPとされ、第6の階層がROUTE又はFLUTEとされる。また、第4の階層乃至第6の階層が、PSI/SIとされる。
すなわち、第12のスタック構成の放送系のスタックでは、PSI/SIだけでなく、UDPパケットを含むIPパケットについてもセクション形式で伝送される。
また、第12のスタック構成の通信系のスタックは、第10のスタック構成(図40)と同様に、ATSC3.0のプロトコルスタックに対応しているため、マルチキャストミドルウェア231等は、ATSC3.0のミドルウェアと等価な機能を有している。
以上、本技術が提案する方式に適用可能なプロトコルスタック構成について説明した。
<4.変形例>
(本技術が提案する方式の対象)
上述した説明としては、デジタル放送の放送方式として、米国等で採用されている方式であるATSC(特に、ATSC3.0)について説明したが、本技術が提案する方式は、ATSCに限らず、日本等が採用する方式であるISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)や、欧州の各国等が採用する方式であるDVB(Digital Video Broadcasting)等の放送方式に適用するようにしてもよい。
また、本技術が提案する方式は、地上波放送のほか、放送衛星(BS)や通信衛星(CS)等を利用した衛星放送や、ケーブルテレビ(CATV)等の有線放送などの放送方式にも適用することが可能である。さらにまた、本技術が提案する方式は、MPEG2-TS方式やIP伝送方式など、様々な方式のデータ伝送の方式にも適用することが可能である。
また、本技術が提案する方式は、伝送路として、地上波放送等の放送網以外の伝送路、すなわち、例えば、インターネットや電話網等の通信回線(通信網)などを利用することを想定して規定されている所定の規格(デジタル放送の規格以外の規格)などにも適用することができる。
(アプリケーションやコンテンツの他の例)
放送アプリケーションは、HTML5などのマークアップ言語やJavaScript(登録商標)等のスクリプト言語で開発されたアプリケーションに限らず、例えば、Java(登録商標)などのプログラミング言語で開発されたアプリケーションであってもよい。
また、放送アプリケーションは、ブラウザ109(図3)により実行されるアプリケーションに限らず、いわゆるネイティブアプリケーションとして、OS(Operating System)環境(提示制御環境)などで実行されるようにしてもよい。
さらに、上述した説明では、アプリケーションとして、放送経由で配信される放送アプリケーションを説明したが、放送アプリケーションに限らず、ブロードバンドネットワーク3等の通信経由で配信される通信アプリケーションであってもよい。
また、上述した地上波コンテンツやブロードバンドコンテンツ等のコンテンツには、番組やCMなどのほか、例えば、動画や静止画、音楽、電子書籍、ゲーム、広告など、あらゆるコンテンツを含めることができる。
(システムの他の構成)
上述した説明では、図1のコンテンツ配信システム1において、地上波放送向けストリームサーバ20や地上波放送サーバ30、ブロードバンド向けストリームサーバ40やブロードバンドサーバ50など、提供する機能ごとにサーバを設けた構成を示したが、それらの機能の全部又は一部をまとめて、1又は複数のサーバにより提供されるようにしてもよい。
(その他)
また、上述したシグナリングやパケットなどの名称は、一例であって、他の名称が用いられる場合がある。ただし、これらの名称の違いは、形式的な違いであって、対象のシグナリングやパケットなどの実質的な内容が異なるものではない。また、パケットとフレームは同一の意味で用いられる場合がある。
例えば、AIT(Application Information Table)は、AST(Application Signaling Table)などと称される場合がある。また、例えば、TLV(Type Length Value)パケットは、ALP(ATSC Link-Layer Protocol)パケットなどと称される場合がある。さらに、MIT(Multicast Information Table)などについても他の名称が用いられる場合がある。
なお、本明細書において、2K解像度とは、概ね1920×1080ピクセル前後の画面解像度に対応した映像であり、4K解像度とは、概ね4000×2000ピクセル前後の画面解像度に対応した映像である。
また、上述した説明では、高画質のコンテンツとして、4K解像度のコンテンツを説明したが、8K解像度等のさらに高画質のコンテンツであってもよい。ただし、8K解像度とは、概ね7680×4320ピクセル前後の画面解像度に対応した映像である。
<5.コンピュータの構成>
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。
図43は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示す図である。
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。バス1004には、さらに、入出力インターフェース1005が接続されている。入出力インターフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記録部1008、通信部1009、及び、ドライブ1010が接続されている。
入力部1006は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体1011を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、ROM1002や記録部1008に記録されているプログラムを、入出力インターフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブル記録媒体1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インターフェース1005を介して、記録部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線又は無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記録部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記録部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
(1)
放送コンテンツと同時にマルチキャスト配信される通信コンテンツのマルチキャストセッションを事前に予約し、前記通信コンテンツが要求されたとき、前記マルチキャストセッションを利用して配信される前記通信コンテンツを要求元に転送する処理部を備える
情報処理装置。
(2)
前記処理部は、前記放送コンテンツ又は前記通信コンテンツの再生を行う第1の装置から、マルチキャストの予約指示がなされた場合に、前記マルチキャストセッションを確立する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記処理部は、前記第1の装置から通知される、前記マルチキャストセッションを確立するためのセッション記述情報に基づいて、通信ネットワーク内でマルチキャストの中継を行う第2の装置との間で、前記マルチキャストセッションを確立する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記通信ネットワークは、IP(Internet Protocol)ネットワークを含み、
前記セッション記述情報は、前記マルチキャストセッション内の宛先マルチキャスト用のIPアドレスとポート番号を少なくとも含んでいる
前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記第2の装置は、ルータ装置を含み、
前記IPネットワーク内で、前記通信コンテンツのマルチキャスト配信を行う通信サーバからのIPマルチキャストストリームを中継する複数のルータ装置の間の経路情報が、前記マルチキャストセッションが確立されたときに生成される
前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記処理部は、マルチキャスト配信されるシグナリングに含まれる、前記マルチキャストセッションを確立するためのセッション記述情報に基づいて、通信ネットワーク内でマルチキャストの中継を行う第2の装置との間で、前記マルチキャストセッションを確立する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(7)
前記処理部は、ユニキャスト配信されるシグナリングに含まれる、前記マルチキャストセッションを確立するためのセッション記述情報に基づいて、通信ネットワーク内でマルチキャストの中継を行う第2の装置との間で、前記マルチキャストセッションを確立する
前記(2)に記載の情報処理装置。
(8)
通信サーバからマルチキャスト配信される前記通信コンテンツを、通信ネットワークを介して受信する受信部と、
受信された前記通信コンテンツを、前記放送コンテンツ又は前記通信コンテンツの再生を行う第1の装置に送信する送信部と
をさらに備える前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(9)
放送波として送信されてくる前記放送コンテンツを受信する第1の受信部と、
マルチキャスト配信される前記通信コンテンツを、通信ネットワークを介して受信する第2の受信部と、
前記放送コンテンツ又は前記通信コンテンツを再生する再生部と
をさらに備える前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の情報処理装置。
(10)
情報処理装置の情報処理方法において、
前記情報処理装置が、
放送コンテンツと同時にマルチキャスト配信される通信コンテンツのマルチキャストセッションを事前に予約し、前記通信コンテンツが要求されたとき、前記マルチキャストセッションを利用して配信される前記通信コンテンツを要求元に転送する
ステップを含む情報処理方法。
(11)
放送波として送信されてくる放送コンテンツを受信する第1の受信部と、
マルチキャスト配信される通信コンテンツを、通信ネットワークを介して受信する第2の受信部と、
第1のタイミングで、前記放送コンテンツと同時にマルチキャスト配信される前記通信コンテンツのマルチキャストセッションの開始を要求し、前記第1のタイミングよりも時間的に後の第2のタイミングで、前記通信コンテンツを要求する処理部と
を備える受信装置。
(12)
前記第1の受信部は、放送波として送信されてくる放送アプリケーションを受信し、
前記処理部は、前記放送アプリケーションの動作に応じて、前記第1のタイミングで、前記マルチキャストセッションの開始を要求する
前記(11)に記載の受信装置。
(13)
前記第1の受信部は、放送波として送信されてくるシグナリングを受信し、
前記処理部は、前記シグナリングの解析結果に応じて、前記第1のタイミングで、前記マルチキャストセッションの開始を要求する
前記(11)に記載の受信装置。
(14)
前記第1の受信部は、受信可能な全チャンネル分の前記シグナリングを受信し、
前記処理部は、全チャンネル分の前記シグナリングの解析結果に応じて、前記第1のタイミングで、前記マルチキャストセッションの開始を要求する
前記(13)に記載の受信装置。
(15)
前記処理部は、前記第1のタイミングで、前記マルチキャストセッションを確立するためのセッション記述情報を、前記マルチキャストセッションの予約を行う第1の装置に通知することで、前記マルチキャストセッションの開始を要求する
前記(11)に記載の受信装置。
(16)
前記通信ネットワークは、IPネットワークを含み、
前記IPネットワークには、前記通信コンテンツのマルチキャスト配信を行う通信サーバが接続され、
前記IPネットワーク内には、マルチキャストの中継を行う複数のルータ装置が配置され、
前記セッション記述情報は、前記マルチキャストセッション内の宛先マルチキャスト用のIPアドレスとポート番号を少なくとも含んでいる
前記(15)に記載の受信装置。
(17)
前記第2の受信部は、ユニキャスト配信される通信コンテンツを、前記通信ネットワークを介して受信し、
前記第1の受信部は、前記通信ネットワークで輻輳が検知された場合に、放送波として送信されてくる更新後の放送アプリケーション、又は前記放送アプリケーションに対するイベントを受信し、
前記処理部は、
前記更新後の放送アプリケーション、又は前記イベントを検知した前記放送アプリケーションの動作に応じて、前記第1のタイミングで、通信コンテンツのマルチキャストセッションの開始を要求し、
前記第2のタイミングで、マルチキャスト配信される通信コンテンツを要求し、
前記第2の受信部は、マルチキャスト配信される通信コンテンツを、前記通信ネットワークを介して受信する
前記(12)に記載の受信装置。
(18)
前記処理部は、前記放送アプリケーションの動作に応じて、前記第2のタイミングで、前記通信コンテンツを要求する
前記(12)に記載の受信装置。
(19)
前記放送コンテンツ又は前記通信コンテンツを再生する再生部をさらに備える
前記(11)乃至(18)のいずれかに記載の受信装置。
(20)
放送波として送信されてくる放送コンテンツを受信する第1の受信部と、
マルチキャスト配信される通信コンテンツを、通信ネットワークを介して受信する第2の受信部と
を備える受信装置の情報処理方法において、
前記受信装置が、
第1のタイミングで、前記放送コンテンツと同時にマルチキャスト配信される前記通信コンテンツのマルチキャストセッションの開始を要求し、前記第1のタイミングよりも時間的に後の第2のタイミングで、前記通信コンテンツを要求する
ステップを含む情報処理方法。