JPWO2018174035A1 - 傾斜車両 - Google Patents
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Abstract
傾斜姿勢で旋回する傾斜車両において、さらなる軽量化を図れるような構成を得る。傾斜車両は、左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する車体を備える。車体は、炭素繊維強化樹脂を含む材料からなる壁部21aを備えたモノコック構造を有し、且つ、車体の少なくとも一部を構成するモノコック部25と、車両1の左右方向においてモノコック部25から車両1の外方に向かって突出し、且つ、モノコック部25と一体に形成された左突出部31及び右突出部32とを有する。車両1の左右方向においてモノコック部25から車両1の外方に向かって突出した左突出部31及び右突出部32の強度は、モノコック部25の強度に比べて低い。
Description
本発明は、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両に関する。
傾斜姿勢で旋回する傾斜車両として、例えば特許文献1に開示される自動二輪車のフレーム構造体が知られている。この特許文献1に開示されているフレーム構造体は、カーボン繊維を用いた繊維強化樹脂によって、それぞれ一体形成された上側フレーム及び下側フレームを有する。上側フレーム及び下側フレームは、該上側フレームに設けられた上側ヘッドパイプと前記下側フレームに設けられた下側ヘッドパイプとが結合されるように、組み合わせられる。
前記特許文献1に開示されている構成では、自動二輪車のフレームを、カーボン繊維を用いた繊維強化樹脂によって構成することにより、軽量且つ高強度なフレームが得られる。
ところで、上述の特許文献1に開示されている自動二輪車のフレーム構造体では、フレームに金属を用いた場合に比べて、車両の軽量化を図れるものの、さらなる車体の軽量化を図りたいという要求がある。
本発明は、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両において、さらなる軽量化を図れるような構成を得ることを目的とする。
上述の特許文献1に開示されるように、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両において、金属製フレームの代わりに、カーボン繊維を用いた繊維強化樹脂によって構成されたフレームを有する車両が知られている。本発明者らは、この構成よりもさらに車体を軽量化する構成について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、車体に、飛行機で採用されているようなモノコック構造を採用することにより、前記車体のさらなる軽量化を実現できると考えた。
しかしながら、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両は、停車状態で左右方向に転倒する特性を有する。そのため、前記傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒すると、前記傾斜車両の車体に衝撃が加わりやすい。繊維強化樹脂によって構成された車体は、衝撃が加わると、繊維強化樹脂によって構成された部位の内部で、樹脂及び繊維の構造が変化する場合がある。
したがって、上述のように傾斜姿勢で旋回する傾斜車両において、車体を、繊維強化樹脂によって構成されたモノコック構造にすると、前記車体に衝撃が加わった場合、繊維強化樹脂によって構成された部位の内部で、樹脂及び繊維の構造が変化する場合がある。そのため、上述のように傾斜姿勢で旋回する傾斜車両では、停車状態での転倒の可能性を考慮すると、繊維強化樹脂によって構成された車体は、モノコック構造ではなく、フレーム構造が好ましい。
ところで、上述のように傾斜姿勢で旋回する傾斜車両は停車状態で左右方向に転倒する特性を有するため、衝撃を受ける部位の特定が可能である。よって、前記傾斜車両において、停車状態で左右方向に転倒した際に衝撃を受ける部位を、車両設計時に予測できるとともに、繊維強化樹脂によって構成された部位の内部で、前記衝撃によって、樹脂及び繊維の構造が変化することを予めコントロールすることが可能である。
以上の点を考慮して、本発明者らは、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両において、該傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒した際に車体が衝撃を受ける部分を予測して、その部分を除いて車体をモノコック構造にすることにより、前記車体が衝撃を受けて繊維強化樹脂によって構成された部位の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することを防止できる点を見出した。
上述のような検討結果に基づいて、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
本発明の一実施形態に係る傾斜車両は、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両である。この傾斜車両は、左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する車体を備える。前記車体は、繊維強化樹脂を含む材料からなる壁部を備えたモノコック構造を有し、且つ、前記車体の少なくとも一部を構成するモノコック部と、前記モノコック部から前記傾斜車両の左方向に突出し、且つ、外表面が前記モノコック部の外表面と連続するように前記モノコック部と一体に形成され、前記モノコック部の強度に比べて低い強度を有する左突出部と、前記モノコック部から前記傾斜車両の右方向に突出し、且つ、外表面が前記モノコック部の外表面と連続するように前記モノコック部と一体に形成され、前記モノコック部の強度に比べて低い強度を有する右突出部とを有する。
傾斜車両の車体の少なくとも一部を、炭素繊維強化樹脂を含む材料からなる壁部を備えたモノコック構造であるモノコック部によって構成する。これにより、剛性を確保しつつ、従来の構成に比べて車体の軽量化を図れる。
傾斜姿勢で旋回する傾斜車両は、停車状態で左右方向に転倒する特性を有する。そのため、前記傾斜車両に前記モノコック部から左右方向に突出する左突出部及び右突出部を設けることにより、前記傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒した場合、前記左突出部または前記右突出部が衝撃を受ける。前記左突出部及び前記右突出部の強度は、前記モノコック部の強度よりも低い。これにより、前記傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒した際に、モノコック部の壁部の内部で樹脂及び繊維の構造が変化する前に、前記左突出部または前記右突出部が変形を生じる。よって、前記モノコック部が受ける衝撃を、前記左突出部または前記右突出部によって吸収することができる。したがって、傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒した場合に、前記モノコック部の壁部の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することを防止できる。
他の観点によれば、本発明の傾斜車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左突出部及び前記右突出部は、それぞれ、前記車体の外表面の一部を構成する外壁と、前記外壁の内方に位置する空間部とを有する。
これにより、傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒した場合、衝撃を受けた左突出部または右突出部がより容易に変形する。よって、モノコック部の壁部の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
他の観点によれば、本発明の傾斜車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左突出部及び前記右突出部は、それぞれ、前記車体の外表面の一部を構成する外壁と、前記外壁の内方に位置する衝撃吸収部材とを有する。
傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒した際に、左突出部または右突出部内の衝撃吸収部材によって衝撃をより効果的に吸収することができる。よって、モノコック部の壁部の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
他の観点によれば、本発明の傾斜車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記モノコック部は、前記壁部のうち前記左突出部との接続部分における壁部の厚みが、前記左突出部における前記外壁の厚みよりも大きく、前記壁部のうち前記右突出部との接続部分における壁部の厚みが、前記右突出部における前記外壁の厚みよりも大きい。
これにより、モノコック部と左突出部との接続部分における強度が、前記左突出部の強度よりも高くなるとともに、前記モノコック部と右突出部との接続部分における強度が、前記右突出部の強度よりも高くなる。よって、停車状態で傾斜車両が左右方向に転倒して前記左突出部または前記右突出部が変形を生じた際に、前記モノコック部の壁部の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
他の観点によれば、本発明の傾斜車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記モノコック部の前記壁部は、前記傾斜車両の上下方向に延びる縦壁部を含み、前記左突出部及び前記右突出部は、前記傾斜車両の左右方向において、それぞれ、前記モノコック部の前記縦壁部から前記傾斜車両の外方に向かって突出する。
これにより、モノコック部の剛性を向上できるとともに、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒し、左突出部または右突出部が変形を生じた場合でも、前記モノコック部に与える影響を極力抑えることができる。
他の観点によれば、本発明の傾斜車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左突出部及び前記右突出部は、前記傾斜車両の前後方向において、前記左突出部及び前記右突出部の中央が前記モノコック部の中央よりも後方に位置するように設けられている。
傾斜姿勢で旋回する傾斜車両が停車状態で左右方向に転倒すると、前記傾斜車両の後部が路面等に接触して衝撃を受けやすい。そのため、左突出部及び右突出部を、前記傾斜車両の前後方向において、左突出部及び右突出部の中央がモノコック部の中央よりも後方に位置するように設けることにより、前記傾斜車両が左右方向に転倒した際に、前記左突出部または前記右突出部によって、より確実に衝撃を吸収することができる。
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの一つまたは複数を含むことができる。
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、"直接的及び間接的な"取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の一つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
本明細書では、本発明に係る傾斜車両について説明する。
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
本発明の適用対象は、自動二輪車に限らない。本発明は、自動二輪車以外の傾斜車両に適用してもよい。傾斜車両とは、右旋回時に車両の右方に傾斜し、左旋回時に車両の左方に傾斜する車体フレームを有する車両である。
本発明の一実施形態に係る傾斜車両によれば、さらなる軽量化を図れるような構成が得られる。
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
以下、図中の矢印Fは、車両の前方向を示す。図中の矢印Uは、車両の上方向を示す。図中の矢印Rは、車両の右方向を示す。図中の矢印Lは、車両の左方向を示す。なお、前後左右の方向は、それぞれ、車両1を運転する乗員から見た場合の前後左右の方向を意味する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両1(傾斜車両)の全体構成の概略を示す側面図である。車両1は、例えば、自動二輪車であり、車体2と、前輪3と、後輪4とを備える。車両1は、傾斜姿勢で旋回する車両である。すなわち、車両1は、車両1の左右方向において、左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する車体2を備える。
図1は、実施形態1に係る車両1(傾斜車両)の全体構成の概略を示す側面図である。車両1は、例えば、自動二輪車であり、車体2と、前輪3と、後輪4とを備える。車両1は、傾斜姿勢で旋回する車両である。すなわち、車両1は、車両1の左右方向において、左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する車体2を備える。
車体2は、車体カバー5、ハンドル6、シート7及びパワーユニット8等の各構成部品を支持する。本実施形態では、車体2は、フレーム10と、リア構造体20とを含む。すなわち、車体2は、フレーム10及びリア構造体20を含み、且つ、車両1の各構成部品を支持する構造体である。
フレーム10は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12とを有する。ヘッドパイプ11は、車両1の前部に位置し、ハンドル6に接続されたステアリングシャフト6aを回転可能に支持する。メインフレーム12は、ヘッドパイプ11から車両後方に向かって延びるように、ヘッドパイプ11に接続されている。メインフレーム12には、パワーユニット8等が支持されている。なお、フレーム10は、車体カバー5によって覆われている。
フレーム10は、金属材料によって構成されていてもよいし、炭素などの繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む材料によって構成されていてもよい。
リア構造体20は、リア構造体20によって支持する構成部品の荷重及びリア構造体20に入力される力を、壁部21a(図4参照)によって負担する、いわゆる応力外皮構造を有する。リア構造体20は、車体2の外表面を構成する。すなわち、リア構造体20は、前記荷重及び力を負担する構造部材としての機能と、車体2の外表面を構成するカバー部材としての機能とを有する。
図2は、リア構造体20の概略構成を示す斜視図である。図3は、リア構造体20を車両1の上方から見た平面図である。本実施形態では、リア構造体20は、車両1のリアフレームとして機能するとともに、車両1のリアカバーとしても機能する。
リア構造体20は、炭素繊維によって樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなど)が強化された炭素繊維強化樹脂を含む材料によって構成されている。前記炭素繊維は、繊維同士が編まれていてもよいし、編まれていない状態であってもよい。また、前記炭素繊維は、所定長さ(例えば1mm)以上、連続した繊維であってもよいし、不連続繊維であってもよい。前記炭素繊維として、連続した繊維及び不連続繊維を用いてもよい。
リア構造体20は、車両の前後方向に長い形状を有する。図3に示すように、リア構造体20は、車両1の前後方向の中央よりも後方の部分において、車両1の左右方向の寸法が、前部における左右方向の寸法よりも大きい。すなわち、リア構造体20は、車両1を上方から見て、車両1の前後方向における中央よりも後方の部分の一部が、リア構造体20の左右方向に最も突出している。リア構造体20において車両1の左方向に最も突出した部分は、後述する左突出部31である。リア構造体20において車両1の右方向に最も突出した部分は、後述する右突出部32である。
詳しくは、リア構造体20は、構造体本体21と、一対の接続部22とを有する。図4に、構造体本体21を車両1の左右方向に切断した場合の断面(以下、単に、車両1の左右方向の断面という)を示す。構造体本体21は、図4に示すように、車両1の左右方向の断面で見て、壁部21aによって囲まれた閉断面を有する。すなわち、構造体本体21は、内方に空間部20aを有する。図2に示すように、車両1の前後方向において、構造体本体21の前部には、シート7を配置するための切り欠き部23が設けられている。
一対の接続部22は、構造体本体21から車両1の下方に向かって延びている。一対の接続部22は、構造体本体21の下部に、対向して設けられている。一対の接続部22は、構造体本体21と一体で形成されている。一対の接続部22は、フレーム10に接続される。
図2から図4に示すように、構造体本体21は、モノコック部25と、左突出部31及び右突出部32とを有する。モノコック部25は、車両1の左右方向において、構造体本体21の中央に位置する。左突出部31は、車両1の左右方向において、モノコック部25に対して左方に設けられている。右突出部32は、車両1の左右方向において、モノコック部25に対して右方に設けられている。すなわち、左突出部31及び右突出部32は、車両1の左右方向において、モノコック部25に対して外方に突出している。これにより、構造体本体21は、モノコック部25の左方に左突出部31を有するとともに、モノコック部25の右方に右突出部32を有する。左突出部31及び右突出部32は、リア構造体20において、左右方向に最も突出している。
図3に示すように、左突出部31及び右突出部32は、車両1の前後方向において、構造体本体21の後部に配置されている。左突出部31及び右突出部32は、車両1の前後方向において、左突出部31及び右突出部32の中央Yがモノコック部25の中央Xよりも後方に位置するように、構造体本体21に設けられている。
図4に示すように、壁部21aは、モノコック部25を構成する壁部21b,21cと、左突出部31及び右突出部32をそれぞれ構成する壁部21d,21e(外壁)とを有する。壁部21bは、モノコック部25の上部を構成する壁部である。壁部21cは、モノコック部25の下部を構成する壁部である。壁部21b,21cは、車両1の左右方向に延びている。壁部21d,21eは、車両1の左右方向の断面で見て、屈曲部を有するU字状である。車両1の左右方向の断面で見て、左突出部31を構成する壁部21dは、屈曲部が左方に位置する。車両1の左右方向の断面で見て、右突出部32を構成する壁部21eは、屈曲部が右方に位置する。壁部21b,21c,21d,21eは、それぞれ、炭素繊維強化樹脂を含む材料によって構成されている。
壁部21b,21c,21d,21eは、一体に形成されている。すなわち、モノコック部25、左突出部31及び右突出部32は、外表面が連続するように一体に形成されている。モノコック部25の内方には、空間部20aの一部を構成する空間部25aが形成されている。左突出部31及び右突出部32の内方には、それぞれ、空間部20aの一部を構成する空間部31a,32aが形成されている。
図4に示すように、左突出部31及び右突出部32は、車両1の上下方向の厚みがモノコック部25に比べて小さい。本実施形態の場合、壁部21dのうち左突出部31の下部を構成する壁部21dは、モノコック部25の下部を構成する壁部21cよりも、上方に位置している。壁部21eのうち右突出部32の下部を構成する壁部21eは、モノコック部25の下部を構成する壁部21cよりも、上方に位置している。これにより、構造体本体21は、車両1の左右方向において、両端部が中央部よりも上方に位置するような形状を有する。すなわち、車両1の上下方向において、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと左突出部31を構成する壁部21dとの間、及び、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと右突出部32を構成する壁部21eとの間には、それぞれ、段差部21f,21gが形成されている。
壁部21bには、モノコック部25の左右の両端部に、他の部分よりも厚みが大きい厚肉部27が設けられている。厚肉部27は、モノコック部25の上部を構成する壁部21bに設けられている。壁部21cには、モノコック部25の左右の両端部に、他の部分よりも厚みが大きい厚肉部28が設けられている。厚肉部28は、モノコック部25の下部を構成する壁部21cに設けられている。
モノコック部25の左端部に位置する厚肉部27,28は、それぞれ、モノコック部25を構成する壁部21b,21cにおいて、左突出部31と隣接する位置に設けられている。すなわち、モノコック部25は、左突出部31との接続部分における壁部21b,21cの厚みが、左突出部31を構成する壁部21dの厚みよりも大きい。
モノコック部25の右端部に位置する厚肉部27,28は、それぞれ、モノコック部25を構成する壁部21b,21cにおいて、右突出部32と隣接する位置に設けられている。すなわち、モノコック部25は、右突出部32との接続部分における壁部21b,21cの厚みが、右突出部32を構成する壁部21eの厚みよりも大きい。
構造体本体21において、厚肉部27,28よりも左方向の外方部分が、左突出部31であり、厚肉部27,28よりも右方向の外方部分が、右突出部32である。なお、厚肉部28は、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと左突出部31を構成する壁部21dとの間に形成された段差部21f、及び、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと右突出部32を構成する壁部21eとの間に形成された段差部21gに、それぞれ設けられている。
厚肉部27,28は、モノコック部25を構成する壁部21b,21cからモノコック部25の内方に向かって突出している。厚肉部27,28は、モノコック部25を補強している。厚肉部27,28も、車体2の構造体の一部を構成する。
なお、図4の例では、厚肉部27,28のうち左突出部31に近い厚肉部27,28は、車両1の左右方向の断面で見て、左突出部31に近い部分の厚みが、左方向外方に向かって徐々に小さくなっている。また、厚肉部27,28のうち右突出部32に近い厚肉部27,28は、車両1の左右方向の断面で見て、右突出部32に近い部分の厚みが、右方向外方に向かって徐々に小さくなっている。
以上のように、モノコック部25の壁部21b,21cに厚肉部27,28が設けられているため、モノコック部25は、左突出部31及び右突出部32に比べて高い強度を有する。すなわち、左突出部31及び右突出部32は、モノコック部25に比べて強度が低い。
モノコック部25は、壁部21b,21cに上述のような厚肉部27,28を有することにより、車体2の一部を構成可能な強度を有する。すなわち、モノコック部25は、左突出部31及び右突出部32の強度に関係なく、車体2の一部を構成可能な強度を有する。
図5は、車両1が停車状態で左方向に転倒した場合において、リア構造体20の構造体本体21が地面Gと接触する様子を模式的に示した図である。車両1が左右方向に転倒した場合、モノコック部25から左右方向に突出する左突出部31または右突出部32が、地面Gと接触する。なお、図5の例では、左突出部31が地面Gに接触した様子を示している。
上述のとおり、左突出部31及び右突出部32は、モノコック部25に比べて強度が低い。よって、車両1が停車状態で左右方向に転倒した場合、モノコック部25の内部で樹脂及び繊維の構造が変化する前に、左突出部31または右突出部32が変形する。左突出部31及び右突出部32の内方には、それぞれ、空間部31a,32aが形成されている。よって、左突出部31及び右突出部32は、車両1が左右方向に転倒した際の衝撃によって容易に変形する。モノコック部25には、壁部21b,21cに厚肉部27,28が設けられている。よって、厚肉部27,28が設けられたモノコック部25と、左突出部31及び右突出部32との強度差は大きい。これにより、左突出部31及び右突出部32は、車両1の転倒時の衝撃によってより容易に変形する。なお、前記樹脂及び繊維の構造が変化するとは、樹脂が繊維に対して剥離したり、樹脂が割れたりすることを意味する。
しかも、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと左突出部31を構成する壁部21dとの間に形成された段差部21fに厚肉部28が設けられている。また、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと右突出部32を構成する壁部21eとの間に形成された段差部21gに厚肉部28が設けられている。これにより、段差部21f,21gと左突出部31及び右突出部32との強度差は大きい。よって、前記衝撃によって、左突出部31または右突出部32はより容易に変形する。
これにより、上述のように車両1が左右方向に転倒した場合に、リア構造体20が受ける衝撃を、左突出部31または右突出部32によって吸収することができる。したがって、上述のように車両1が停車状態で左右方向に転倒した場合に、リア構造体20のモノコック部25の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することを防止できる。よって、車両1の性能に影響を与えるような車体2の強度低下を防止できる。
本実施形態に係る車両1は、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両である。車両1は、左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する車体2を備える。車体2は、炭素繊維強化樹脂を含む材料からなる壁部21aを備えたモノコック構造を有し、且つ、車体2の少なくとも一部を構成するモノコック部25と、モノコック部25から車両1の左方向に突出し、且つ、モノコック部25と一体に形成され、モノコック部25の強度に比べて低い強度を有する左突出部31と、モノコック部25から車両1の右方向に突出し、且つ、モノコック部25と一体に形成され、モノコック部25の強度に比べて低い強度を有する右突出部32とを有する。
車両1の車体2の少なくとも一部を、炭素繊維強化樹脂を含む材料からなる壁部21b,21cを有するモノコック構造であるモノコック部25によって構成することにより、剛性を確保しつつ、従来の構成に比べて車体2の軽量化を図れる。
傾斜姿勢で旋回する車両1は、停車状態で車両1の左右方向に転倒する特性を有する。そのため、モノコック部25から車両1の左右方向に突出する左突出部31及び右突出部32を設けることにより、停車状態で車両1が左右方向に転倒した際に、左突出部31または右突出部32が衝撃を受ける。しかも、左突出部31及び右突出部32の強度は、モノコック部25の強度よりも低い。これにより、車両1が停車状態で左右方向に転倒した際に、左突出部31または右突出部32が衝撃を受けて容易に変形するため、左突出部31または右突出部32によって前記衝撃を吸収することができる。したがって、車両1が左右方向に転倒した際に、モノコック部25の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することを防止できる。
左突出部31及び右突出部32は、それぞれ、車体2の外表面の一部を構成する壁部21d,21eと、壁部21d,21eの内方に位置する空間部31a及び空間部32aを有する。
これにより、傾斜姿勢で旋回する車両1が、停車状態で左右方向に転倒した際に、左突出部31または右突出部32が衝撃を受けて、より容易に変形する。よって、モノコック部25の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
モノコック部25は、壁部21b,21cのうち左突出部31及び右突出部32との接続部分における壁部21b,21cの厚みが、左突出部31及び右突出部32における壁部21d,21eの厚みよりも大きい。
これにより、モノコック部25と左突出部31及び右突出部32との接続部分における強度が、左突出部31及び右突出部32の強度よりも高くなる。よって、停車状態で車両1が左右方向に転倒して左突出部31または右突出部32が変形を生じた際に、モノコック部25の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
左突出部31及び右突出部32は、車両1の前後方向において、左突出部31及び右突出部32の中央がモノコック部25の中央よりも後方に位置するように設けられている。
傾斜姿勢で旋回する車両1が停車状態で左右方向に転倒する際には、車両1の後部が路面等に接触して衝撃を受けやすい。そのため、上述の構成のように、左突出部31及び右突出部32を、車両1の前後方向において、左突出部31及び右突出部32の中央がモノコック部25の中央よりも後方に位置するように設けることにより、車両1が左右方向に転倒した際に、左突出部31または右突出部32によって、より確実に衝撃を吸収することができる。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係る車両のリア構造体120における構造体本体121の概略構成を、車両の左右方向の断面で見た断面図である。この実施形態2におけるリア構造体120の構成は、モノコック部に厚肉部を設ける代わりに、モノコック部125の内方の空間部125bと左突出部131の内方の空間部131bと右突出部132の内方の空間部132bとが区画されている点で、実施形態1におけるリア構造体20の構成とは異なる。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
図6は、実施形態2に係る車両のリア構造体120における構造体本体121の概略構成を、車両の左右方向の断面で見た断面図である。この実施形態2におけるリア構造体120の構成は、モノコック部に厚肉部を設ける代わりに、モノコック部125の内方の空間部125bと左突出部131の内方の空間部131bと右突出部132の内方の空間部132bとが区画されている点で、実施形態1におけるリア構造体20の構成とは異なる。以下では、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
図6に示すように、リア構造体120の構造体本体121は、モノコック部125と、左突出部131と、右突出部132とを有する。モノコック部125は、車両の左右方向において、構造体本体121の中央に配置されている。左突出部131は、車両の左右方向において、モノコック部125に対して左方に配置されている。右突出部132は、車両の左右方向において、モノコック部125に対して右方に配置されている。
モノコック部125、左突出部131、及び右突出部132は、一体に形成されている。モノコック部125、左突出部131、及び右突出部132は、例えば炭素繊維によって樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなど)が強化された炭素繊維強化樹脂を含む材料によって構成されている。前記炭素繊維は、繊維同士が編まれていてもよいし、編まれていない状態であってもよい。また、前記炭素繊維は、所定長さ(例えば1mm)以上、連続した繊維であってもよいし、不連続繊維であってもよい。前記炭素繊維として、連続した繊維及び不連続繊維を用いてもよい。
モノコック部125は、壁部125aによって構成されている。モノコック部125には、壁部125aの内方に空間部125bが形成されている。モノコック部125は、車両の左右方向の断面で見て、壁部125aによって構成された閉断面を有する。具体的には、モノコック部125を構成する壁部125aは、車両の上下方向に延びる縦壁部125cと、車両の左右方向に延びる横壁部125dとを有する。よって、モノコック部125は、車体の一部を構成可能な強度を有する。
左突出部131及び右突出部132は、モノコック部125を構成する壁部125aよりも薄い壁部131a,132a(外壁)によって構成されている。壁部131a,132aは、車両の左右方向の断面で見て、U字状に形成されている。壁部131a,132aは、壁部125aのうち車両の左右方向における両側に位置する縦壁部125cとの間にそれぞれ空間部131b,132bを構成するように、縦壁部125cに対して一体に形成されている。すなわち、左突出部131及び右突出部132は、車両の左右方向において、モノコック部125の縦壁部125cから車両の外方に向かって突出している。左突出部131及び右突出部132には、壁部131a,132aの内方に空間部131b,132bが形成されている。
空間部131b,132b内には、発泡体133,134(衝撃吸収部材)が配置されている。壁部131a,132aは、発泡体133,134を囲むように形成されている。車両が停車状態で左方向に転倒した際に左突出部131に衝撃が加わると、発泡体133は、容易に変形を生じる。一方、車両が停車状態で右方向に転倒した際に右突出部132に衝撃が加わると、発泡体134は、容易に変形を生じる。これにより、前記衝撃が左突出部131または右突出部132に加わった際に、より効果的に前記衝撃を吸収することができる。発泡体133,134は、リア構造体120を一体で成形する際に、左突出部131及び右突出部132を形成するための型としても利用される。
なお、リア構造体120の詳しい製造方法については説明を省略するが、リア構造体120を成形する際には、モノコック部125の空間部125bを形成するための内型、左突出部131及び右突出部132を形成するための発泡材料を、複数の炭素繊維シート(炭素繊維によってシート状に形成された部材)によって覆う。それらをプレス可能な外型内に配置した状態で、該外型内に液体状の樹脂を射出しつつ該外型によって圧力を加えることにより、図4に示すようなリア構造体120の形状が得られる。前記発泡材料は、前記外型内に射出した樹脂の熱等によって発泡して、発泡体133,134になる。
上述の構成により、車両1が停車状態で左右方向に転倒した際に、左突出部131または右突出部132に衝撃が加わると、衝撃が加わった部分が変形することにより、前記衝撃を吸収する。これにより、車両の車体の一部を構成するモノコック部125の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することを防止できる。
左突出部131及び右突出部132は、壁部131a,132aの内方に発泡体133,134を有する。これにより、傾斜姿勢で旋回する車両が停車状態で左右方向に転倒した際に、左突出部131内の発泡体133または右突出部132内の発泡体134によって衝撃をより効果的に吸収することができる。よって、モノコック部125の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
しかも、モノコック部125は、車両の左右方向の断面で見て、壁部125aによって構成された閉断面を有するため、車体の一部を構成可能な強度を有する。よって、上述のような車両の左右方向の転倒によって左突出部131または右突出部132に衝撃が加わって、衝撃が加わった部分の内部で樹脂及び繊維の構造が変化した場合でも、モノコック部125によって、車体の所定の強度及び性能を確保することができる。
モノコック部125は、壁部125aのうち左突出部131との接続部分における壁部125aの厚みが、左突出部131における壁部131aの厚みよりも大きい。モノコック部125は、壁部125aのうち右突出部132との接続部分における壁部125aの厚みが、右突出部132における壁部132aの厚みよりも大きい。
これにより、モノコック部125と左突出部131との接続部分における強度が、左突出部131の壁部131aの強度よりも高くなる。また、モノコック部125と右突出部132との接続部分における強度が、右突出部132の壁部132aの強度よりも高くなる。よって、車両が左右方向に転倒して左突出部131または右突出部132が変形を生じた場合でも、モノコック部125の内部で樹脂及び繊維の構造が変化することをより確実に防止できる。
モノコック部125の壁部125aは、車両の上下方向に延びる縦壁部125cを含む。左突出部131及び右突出部132は、車両の左右方向において、モノコック部125の縦壁部125cから車両の外方に向かって突出する。
これにより、モノコック部125の剛性を向上できるとともに、傾斜姿勢で旋回する車両が停車状態で左右方向に転倒して左突出部131または右突出部132が壊れた場合でも、モノコック部125に与える影響を極力抑えることができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記各実施形態では、車体2はフレーム10及びリア構造体20,120を含む。しかしながら、車体は、モノコック部のみによって構成されていてもよい。
前記各実施形態では、リアフレームがモノコック構造のリア構造体20,120によって構成されている。しかしながら、車体の他の部品をモノコック構造によって構成してもよい。例えば、リア構造体と同様のモノコック構造を有するフロント構造体を用いて、メインフレームを構成してもよい。
前記各実施形態では、リア構造体20,120は、炭素繊維によって樹脂が強化された炭素繊維強化樹脂を含む材料によって構成されている。しかしながら、リア構造体を、炭素繊維以外の繊維(例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ガラス繊維など)によって樹脂が強化された繊維強化樹脂を含む材料によって構成してもよい。また、前記各実施形態では、リア構造体20,120は、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂によって構成されている。樹脂は、繊維によって強化可能な樹脂であれば、他の種類の樹脂であってもよい。
前記各実施形態では、左突出部31,131及び右突出部32,132は、モノコック部25,125と同じ炭素繊維強化樹脂を含む材料によって構成されている。しかしながら、左突出部及び右突出部は、モノコック部よりも強度が低くなるように、炭素繊維の繊維方向を、モノコック部における炭素繊維の繊維方向と異なる方向にしてもよい。左突出部及び右突出部における炭素繊維の量を、モノコック部における炭素繊維の量よりも少なくしてもよい。左突出部及び右突出部における炭素繊維の長さを、モノコック部における炭素繊維の長さよりも短くしてもよい。左突出部及び右突出部における繊維を、炭素繊維以外の繊維にしてもよい。左突出部及び右突出部は繊維を含まなくてもよい。
前記各実施形態における炭素繊維強化樹脂は、厚み方向に複数、積層された状態で、樹脂によって結合された炭素繊維によって強化されている。しかしながら、前記炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂層と、発泡合成樹脂を含む発泡樹脂層とが厚み方向に積層された複合材料によって構成されていてもよい。この複合材料は、一対の前記炭素繊維強化樹脂層を有し、それらの炭素繊維強化樹脂層の間に、前記発泡樹脂層が配置された材料である。前記複合材料を用いることにより、炭素繊維強化樹脂層のみを用いる場合に比べて、炭素繊維強化樹脂を含む各部材の軽量化を図れるとともに、前記各部材の厚みを容易に変えることができる。なお、前記発泡樹脂層の前記発泡合成樹脂として、振動を吸収可能な樹脂を用いてもよい。
前記各実施形態では、左突出部31,131及び右突出部32,132を構成する壁部21d,21e,131a,132aの厚みは均一である。しかしながら、車両が停車状態で左右方向に転倒した際の衝撃を左突出部または右突出部が容易に吸収可能なように、左突出部及び右突出部を構成する壁部の厚みを、部分的に薄くしてもよい。左突出部及び右突出部に、切り欠きまたは穴などの脆弱部が設けられていてもよい。
前記実施形態1では、モノコック部25を構成する壁部21b,21cに、左突出部31及び右突出部32と隣接する位置に厚肉部27,28が設けられている。しかしながら、モノコック部を構成する壁部全体の厚みを、左突出部及び右突出部を構成する壁部の厚みよりも大きくしてもよい。モノコック部の強度を向上することができるとともに、車両が停車状態で左右方向に転倒した際の衝撃によって左突出部または右突出部を容易に変形可能な位置であれば、モノコック部の壁部のうち少なくとも一方において、厚肉部は、左突出部及び右突出部と隣接する位置以外に設けられていてもよい。
前記実施形態1では、モノコック部25を構成する壁部21b,21cに、モノコック部25の内方に向かって突出するように厚肉部27,28が設けられている。しかしながら、モノコック部の壁部のうち少なくとも一方において、厚肉部は、外方に向かって突出するように設けられていてもよい。
前記実施形態1では、モノコック部25の内方の空間部25aは空洞であるが、空間部内に発泡体等の衝撃吸収部材を配置してもよい。
前記実施形態1では、モノコック部25の下部を構成する壁部21cと左突出部31を構成する壁部21dとの間に段差部21fが設けられている。モノコック部25の下部を構成する壁部21cと右突出部32を構成する壁部21eとの間に段差部21gが設けられている。しかしながら、モノコック部の壁部と左突出部及び右突出部の壁部との間に段差部が設けられていなくてもよい。すなわち、構造体本体は、車両の左右方向の断面で見て、楕円状に形成されていてもよい。実施形態2の構成も同様に、構造体本体は、楕円状に形成されていてもよい。
前記実施形態2では、左突出部131の空間部131b内、及び、右突出部132の空間部132b内に、それぞれ発泡体133,134が配置されている。しかしながら、左突出部の空間部及び右突出部の空間部のうち、一方の突出部の空間部内のみに発泡体を配置してもよい。突出部の空間部内に配置される部材は、突出部が衝撃を受けた際に衝撃を吸収可能な材料からなる部材であれば、発泡体以外の部材であってもよい。突出部の空間部は、その一部または全体が空洞であってもよい。
前記実施形態2では、モノコック部125を構成する壁部125aの厚みは、均一である。しかしながら、モノコック部の強度を向上するために、壁部の厚みを部分的に厚くしてもよい。
前記実施形態では、車両1の例として自動二輪車を説明したが、車両は三輪車など、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両であれば、どのような構成の車両であってもよい。
本発明は、傾斜姿勢で旋回する傾斜車両の車体に適用可能である。
1 車両(傾斜車両)
2 車体
20、120 リア構造体
20a 空間部
21、121 構造体本体
21a、21b、21c、125a 壁部
21d、21e、131a、132a 壁部(外壁)
25、125 モノコック部
25a、31a、32a、125b、131b、132b 空間部
27、28 厚肉部
31、131 左突出部
32、132 右突出部
125c 縦壁部
125d 横壁部
133、134 発泡体
G 地面
2 車体
20、120 リア構造体
20a 空間部
21、121 構造体本体
21a、21b、21c、125a 壁部
21d、21e、131a、132a 壁部(外壁)
25、125 モノコック部
25a、31a、32a、125b、131b、132b 空間部
27、28 厚肉部
31、131 左突出部
32、132 右突出部
125c 縦壁部
125d 横壁部
133、134 発泡体
G 地面
Claims (6)
- 傾斜姿勢で旋回する傾斜車両であって、
左方向に旋回する際に左方向に傾斜し、右方向に旋回する際に右方向に傾斜する車体を備え、
前記車体は、
繊維強化樹脂を含む材料からなる壁部を備えたモノコック構造を有し、且つ、前記車体の少なくとも一部を構成するモノコック部と、
前記モノコック部から前記傾斜車両の左方向に突出し、且つ、外表面が前記モノコック部の外表面と連続するように前記モノコック部と一体に形成され、前記モノコック部の強度に比べて低い強度を有する左突出部と、
前記モノコック部から前記傾斜車両の右方向に突出し、且つ、外表面が前記モノコック部の外表面と連続するように前記モノコック部と一体に形成され、前記モノコック部の強度に比べて低い強度を有する右突出部とを有する、
傾斜車両。 - 請求項1に記載の傾斜車両において、
前記左突出部及び前記右突出部は、それぞれ、前記車体の外表面の一部を構成する外壁と、前記外壁の内方に位置する空間部とを有する、傾斜車両。 - 請求項1に記載の傾斜車両において、
前記左突出部及び前記右突出部は、それぞれ、前記車体の外表面の一部を構成する外壁と、前記外壁の内方に位置する衝撃吸収部材とを有する、傾斜車両。 - 請求項2または3に記載の傾斜車両において、
前記モノコック部は、前記壁部のうち前記左突出部との接続部分における壁部の厚みが、前記左突出部における前記外壁の厚みよりも大きく、前記壁部のうち前記右突出部との接続部分における壁部の厚みが、前記右突出部における前記外壁の厚みよりも大きい、傾斜車両。 - 請求項1から4のいずれか一つに記載の傾斜車両において、
前記モノコック部の前記壁部は、前記傾斜車両の上下方向に延びる縦壁部を含み、
前記左突出部及び前記右突出部は、前記傾斜車両の左右方向において、それぞれ、前記モノコック部の前記縦壁部から前記傾斜車両の外方に向かって突出する、傾斜車両。 - 請求項1から5のいずれか一つに記載の傾斜車両において、
前記左突出部及び前記右突出部は、前記傾斜車両の前後方向において、前記左突出部及び前記右突出部の中央が前記モノコック部の中央よりも後方に位置するように設けられている、傾斜車両。
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