JPWO2018155587A1 - 生体由来材料の透明化用試薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、短期間かつ簡易な手順で、脂質膜を保持したまま良好な透明度にて生体由来材料を透明化し得、かつ特定の範囲にpHを調整し得る透明化用試薬、当該試薬を用いる生体由来材料の透明化方法、および当該試薬を含む生体由来材料の透明化用キットを提供する。

Description

本発明は、生体由来材料の透明化用試薬、当該試薬を用いる生体由来材料の透明化方法、および当該試薬を含む生体由来材料の透明化用キットに関する。
ドラッグデリバリーシステムや遺伝子治療法の開発において、導入したキャリアや遺伝子の体内動態、細胞内動態を評価することは、これらの有効性や安全性を担保するうえで重要である。キャリアや遺伝子を導入後、固定した組織を薄切して顕微鏡で観察することにより、組織における分布の評価が可能であるが、得られるのは平面的な情報である。近年では、キャリアや遺伝子を導入後、組織を透明化して顕微鏡で観察することにより、立体的な情報が得られ、組織における空間分布の評価が可能となっている。
組織の透明化は、電気泳動法や試薬を用いる方法により行われる。電気泳動法は、透明化効率は高いが、特殊な装置が必要であり手順が煩雑であるなどの欠点がある。また、脂質が除かれるため、膜の染色や電気泳動中に小分子が除かれるという問題もある。試薬を用いる方法は、試薬を組織に浸潤させることにより透明化するため、特殊な装置を必要とせず、手順が簡易である。組織透明化用の試薬がいくつか開発されており、ホルムアミドを含む試薬(非特許文献1)、フルクトースを含む試薬(非特許文献2)、尿素または尿素誘導体と、さらに界面活性剤およびグリセロールとを含む試薬(特許文献1)などが報告されている。また、透明化の方法として、尿素または尿素誘導体を所定の濃度で含む溶液を生物材料中に浸潤する工程(第一浸潤工程)、および第一浸潤工程で用いた溶液より高濃度で尿素または尿素誘導体を含む溶液を生物材料中に浸潤する工程(第二浸潤工程)といった方法が報告されている(特許文献2)。
さらに、尿素、アミノアルコールおよび界面活性剤を含む透明化試薬を用いてマウスの脳、心臓、肺、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓などやマウスの全身を透明化、イメージングして三次元データとして取得し、サンプル間で定量的に比較するための基盤技術が報告されている(非特許文献3および4)。
WO2011/111876 WO2012/147965
Development, 2013 Mar., 140(6), 1364-8 Nat Neurosci., 2013 Aug., 16(8), 1154-61 Susaki et al., Cell, 2014, Apr., 24, 157(3), 726-39 Tainaka K., et al., Cell, 2014, Nov., 6, 159(4), 911-24 Nat Neurosci., 2015 Oct., 18(10), 1518-29
従来の試薬を用いて組織を透明化する場合、試薬を組織に数日から数週間浸潤させ、途中で異なる組成の試薬に交換するため、時間がかかり、手順が煩雑である。また、界面活性剤を含む透明化試薬を用いて組織を透明化する場合、透明度は高いが、界面活性剤によって脂質膜が変性し、または除去される。一方、界面活性剤を含まない試薬を用いる場合、脂質膜は保持されるが、透明度が低く、より深部の組織の情報が得られない。さらに、pHの調整が可能な試薬は報告されていない。
したがって、本発明は、従来の組織透明化用試薬に付随する上述の問題点を少なくとも部分的に解決できる新規の生体由来材料の透明化用試薬、当該試薬を用いる生体由来材料の組織透明化方法、および当該試薬を含む生体由来材料の透明化用キットなどを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、ポリエチレンイミンに組織を透明化する作用があることを初めて見出した。組織透明化のためにポリエチレンイミンを用いることにより、短期間かつ簡易な手順で透明化が可能であること、脂質膜を保持したまま良好な透明度を実現できること、また、試薬のpHを特定の範囲に調整できることを本発明者らは見出した。本発明者らは、これらの発見に基づいてさらに検討を進め、本発明を完成するに至った。
本発明は即ち、以下を提供する。
[1]ポリエチレンイミンを含む、生体由来材料の透明化用試薬。
[2]ポリエチレンイミンが、変性ポリエチレンイミンを含む、[1]に記載の試薬。
[3]変性ポリエチレンイミンが、プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、オクタデシルイソシアネート変性ポリエチレンイミンおよびエチレンオキサイド変性ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種である、[2]に記載の試薬。
[4]ポリエチレンイミンの数平均分子量が300〜70,000である、[1]〜[3]のいずれかに記載の試薬。
[5]ポリエチレンイミンの数平均分子量が400〜25,000である、[1]〜[3]のいずれかに記載の試薬。
[6]界面活性剤を実質的に含まない、[1]〜[5]のいずれかに記載の試薬。
[7]さらに尿素、ホルムアミド、ラクトアミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の試薬。
[8]さらにグリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の試薬。
[9]pHが4〜12である、[1]〜[8]のいずれかに記載の試薬。
[10]pHが7〜11である、[1]〜[8]のいずれかに記載の試薬。
[11]生体由来材料が、植物または動物由来の材料である、[1]〜[10]のいずれかに記載の試薬。
[12]動物由来の材料が、脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、胃、小腸、大腸および筋肉からなる群から選択される少なくとも1種の器官に由来する、[11]に記載の試薬。
[13]動物由来の材料が皮膚に由来する、[11]に記載の試薬。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の試薬を生体由来材料に浸潤させる工程を含む、生体由来材料の透明化方法。
[15]前記の浸潤させる工程が1回のみ行われる、[14]に記載の方法。
[16]前記の浸潤させる工程が1時間〜7日間行われる、[14]または[15]に記載の方法。
[17][1]〜[13]のいずれかに記載の試薬を含む、生体由来材料の透明化用キット。
本発明によれば、短期間かつ簡易な手順で、脂質膜を保持したまま良好な透明度にて生体由来材料を透明化し得る試薬、また、特定の範囲にpHを調整し得る試薬が提供される。また、本発明によれば、当該試薬を用いる生体由来材料の透明化方法が提供される。さらに、本発明によれば、当該試薬を含む生体由来材料の透明化用キットが提供される。
図1は、実施例1において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。 図2は、実施例2において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。 図3は、実施例3において透明化したマウスの各組織の明視野像である。 図4は、実施例4において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。 図5は、実施例5において透明化したホウレンソウの葉および茎の明視野像である。上段は葉、下段は茎である。 図6は、実施例6において透明化したマウスの腎臓の血管と遺伝子発現を示した図である。 図7は、実施例7において透明化したマウスの脳の血管および実質を示した図である。 図8は、実施例8において透明化したマウスの肝臓における遺伝子発現と酸化ストレスの発生を示した図である。 図9は、実施例9において本発明の透明化用試薬およびScale A2によるリポソーム膜の保持性をFRET効率により評価した図である。 図10は、実施例10において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。各試薬の結果において、上段は腎臓、下段は肝臓である。 図11は、実施例11において透明化したマウスの肝臓の明視野像である。 図12は、実施例12において各種の透明化用試薬を用いて透明化したマウスの腎臓の明視野像、およびガラス面からの各深さの血管を示した図である。 図13は、実施例13において透明化したマウスの肝臓の明視野像である。 図14は、実施例14において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。 図15は、実施例15において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。 図16は、実施例16において透明化したマウスの各組織の明視野像である。 図17は、実施例17において透明化したマウスの肝臓および腎臓の明視野像である。 図18は、実施例18において透明化したマウスの肝臓におけるドキソルビシン塩酸塩の空間分布を示した図である。
1.生体由来材料の透明化用試薬
本発明は、生体由来材料の透明化用試薬(以下、本発明の試薬ともいう)を提供する。本発明の試薬は、ポリエチレンイミンを含むことを特徴とする。ポリエチレンイミンが生体由来材料を透明化するメカニズムは明らかではないが、ポリエチレンイミンによる脱水作用によるためと推察される。
本発明の試薬に用いられるポリエチレンイミンは、エチレンイミンを重合したポリマーであり、直鎖型または分岐型のいずれであってもよい。直鎖型のポリエチレンイミンは、第2級アミンおよび末端に1つの第1級アミンを含み、線状の構造を有する。分岐型のポリエチレンイミンとしては、例えば、第1、第2および第3級アミンを含む分岐構造を有するポリエチレンイミンや、完全に分岐したデンドリマーなどが挙げられる。
ポリエチレンイミンの数平均分子量は、特に限定されないが、生体由来材料の透明度を高くするという観点から、例えば、下限は300以上、400以上、生体由来材料の変形を防ぐという観点から、例えば、下限は300以上、600以上、1400以上、1800以上が挙げられ、上限は70,000以下、25,000以下が挙げられる。ポリエチレンイミンの数平均分子量の範囲は、例えば、300〜70,000、400〜25,000、500〜12,000、600〜10,000、例えば、10,000が挙げられる。あるいは、数平均分子量の範囲は、例えば、1400〜70,000、1800〜70,000であってもよい。数平均分子量としては、沸点上昇法により測定した分子量を用いることができる。
ポリエチレンイミンは、変性されたポリエチレンイミンであってもよい。変性ポリエチレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミンとイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アクリル化合物、ハロゲン化合物、イソチオシアネート化合物またはNHS(N-Hydroxysuccinimide)エステルなどとの誘導体が挙げられる。イソシアネート化合物としては、例えば、アルキルイソシアネートなどが挙げられ、アルキルイソシアネートとしては、例えば、テトラデシルイソシアネート、ペンタデシルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、ヘプタデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ノナデシルイソシアネートなどが挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、アルキレンオキサイドなどが挙げられ、アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。アクリル化合物としては、例えば、アクリルニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化合物としては、例えば、アルキルハライドなどが挙げられる。イソチオシアネート化合物としては、例えば、ピリジンイソチオシアネート、ヨードフェニルイソチオシアネート、エトキシフェニルイソチオシアネート、クロロエチルイソチオシアネートなどが挙げられる。NHS(N-Hydroxysuccinimide)エステルとしては、メチルポリエチレングリコール-NHSなどが挙げられる。変性ポリエチレンイミンとしては、より具体的には、例えば、ポリエチレンイミンにオクタデシルイソシアネートを付加したオクタデシルイソシアネート変性ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンにエチレンオキサイドを付加したエチレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンにプロピレンオキサイドを付加したプロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
ポリエチレンイミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。一般に、ポリエチレンイミンの分子量が高いほど、透明度は高いが、組織の収縮が起こる傾向があるので、高分子量のポリエチレンイミンと低分子量のポリエチレンイミンを組み合わせることも有効であり得る。この場合、例えば、分子量400〜2,000のポリエチレンイミンと分子量5,000〜25,000のポリエチレンイミンを1:1〜4:1の比で用いた組み合わせ、分子量600のポリエチレンイミンと分子量10,000のポリエチレンイミンを1:1〜4:1の比で用いた組み合わせなどが挙げられる。
試薬中のポリエチレンイミンの含有量は、特に限定されず、通常10〜30 w/v %、15〜25 w/v %の範囲が挙げられ、例えば、20 w/v %が挙げられる。
ポリエチレンイミンは自体公知の方法により製造することができ、あるいは市販のポリエチレンイミンを用いてもよい。市販のポリエチレンイミンとしては、例えば、和光純薬社製、163-17835、166-17825、169-17815、および株式会社日本触媒製、エポミン(登録商標)SP-003、SP-006、SP-012、SP-018、SP-200、P-1000などが挙げられる。また、変性ポリエチレンイミンも市販されており、例えば、株式会社日本触媒製、エポミン(登録商標)RP-20、PP-061などが挙げられる。
本発明の試薬は、さらに尿素、ホルムアミド、ラクトアミド、および/またはこれらの誘導体、好ましくは尿素またはホルムアミド、ラクトアミド、より好ましくは尿素を含んでもよいし、あるいはこれらを含まなくてもよい。これらのアミド化合物を含むことにより、より早く、かつより高い透明度での透明化を可能とし得る。アミド化合物を含むことによる迅速で高い透明度での透明化のメカニズムは明らかではないが、アミド化合物により生体由来材料の屈折率が均一化されるためと推察される。
誘導体としては、尿素の化学式中の4つの水素原子のうちの1つ、2つ、3つ、もしくは4つ、ホルムアミドの化学式中の3つの水素原子のうちの1つ、2つ、もしくは3つ、またはラクトアミドの化学式中の6つの水素原子のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つが、互いに独立に、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、または炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3の炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)に置換されたものが挙げられる。
試薬中の上述したアミド化合物の濃度は、特に限定されないが、通常3〜9Mの範囲が挙げられる。アミド化合物を2種以上用いる場合、合計の濃度を意味する。例えば、尿素を用いる場合、生体由来材料の膨潤を防ぐという観点から3M以上、4M以上、4.5M以上、5M以上、5.5M以上、6M以上が挙げられる。尿素の析出を防ぐという観点から9M以下、8M以下、7.5M以下、7M以下、6.5Mが挙げられる。よって、好ましい尿素の濃度として、例えば4〜9M、より好ましくは4〜8M、よりさらに好ましくは6〜8M、特に好ましくは7〜8Mの範囲が挙げられる。
本発明の試薬は、さらに多価アルコールを含んでもよいし、あるいはこれらを含まなくてもよい。生体由来材料によっては多価アルコールを含むことにより、透明度をさらに高くすることができる。多価アルコールを含むことによる透明度の向上のメカニズムは明らかではないが、多価アルコールによる脱水作用のためと推察される。多価アルコールは、特に限定されず、例えば、2価アルコール、3価アルコールなどが挙げられる。2価アルコール、3価アルコールには、これらの重合体も含まれる。2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど、3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどが挙げられ、好ましくはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンである。ポリエチレングリコールとしては、平均分子量が例えば200〜20,000、好ましくは400〜10,000、より好ましくは400〜8,000のものを用いることができる。平均分子量としては、滴定法により測定した平均分子量を用いることができる。
本発明の試薬における溶媒は、ポリエチレンイミンおよび他の任意の成分が可溶であれば特に限定されず、例えば、水、緩衝液などが挙げられる。緩衝液としては、例えば、PBS緩衝液、HEPES緩衝液、Tris緩衝液などが挙げられる。
本発明の試薬は、pH調整剤、浸透圧調整剤などのさらなる成分を含んでいてもよい。
本発明の試薬のpHは、特に限定されないが、生体由来材料の透明度を高くするという観点から、例えば、pH 4以上、pH 5以上、pH 5.5以上、pH 6以上、pH 7以上、pH 7.5以上が挙げられ、透明化した生体由来材料中の蛍光タンパク質を観察する場合に蛍光タンパク質の褪色を防ぐという観点から、例えば、pH 12以下、pH 11以下、pH 10以下が挙げられる。よって、pHの範囲としては、pH 4〜12、pH 5〜12、pH 5.5〜12、pH 6〜12、pH 7〜12、pH 7.5〜12、pH 8〜12、pH 9〜12、pH 4〜11、pH 5〜11、pH 5.5〜11、pH 6〜11、pH 7〜11、pH 7.5〜11、pH 8〜11、pH 9〜11が挙げられる。あるいは、pHの範囲としては、pH 5〜10、pH 5.5〜10、pH 6〜10、pH 7〜10、pH 7.5〜10、pH 5〜9、pH 5.5〜9、pH 6〜9、pH 7〜9、pH 7.5〜9であってもよい。
pHの調整方法は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンイミン水溶液にpH調整剤を適量添加することによって調整できる。pH調整剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ピロリン酸、硫酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、ホウ酸、乳酸、ケイ酸、ホスホン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
本発明の試薬は、界面活性剤を実質的に含まないものであってもよい。本明細書において、界面活性剤を実質的に含まないとは、界面活性剤を含まないか、含む場合でも0.1 w/v %未満であることを意味し、好ましくは0.05 w/v %未満、より好ましくは0.025 w/v %未満である。
本発明の試薬の調製方法は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンイミンを溶媒に溶解することにより調製できる。さらに、上述したような任意の成分を加えることができる。また、pH調整剤を添加して所望のpHに調整し、必要に応じて任意の成分を添加し、溶媒に溶解することにより調製することができる。
本発明の試薬が透明化の対象とする生体由来材料は特に限定されないが、植物または動物由来の材料が好ましい。生体由来材料は、個体(植物または動物)自体であってもよいし、あるいは器官、組織、細胞であってもよい。動物の器官は特に限定されず、例えば、脳、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、肺、胃、小腸、大腸、皮膚、筋肉、脊髄、眼球、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、消化管、胸腺、顎下腺、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮などが挙げられ、好ましくは脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、胃、小腸、大腸、筋肉、皮膚などである。植物の器官は特に限定されず、例えば、葉、花弁、茎、根、種子などが挙げられる。動物および植物の器官は、器官自体であってもよいし、あるいは、器官のホモジネート、器官を薄切した切片であってもよい。
動物は特に限定されず、無脊椎動物および脊椎動物を包含するが、脊椎動物が好ましい。脊椎動物としては、例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物が挙げられ、好ましくは哺乳動物である。哺乳動物としては、例えば、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)、実験動物(例えば、ウサギなど)、家畜(例えば、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジなど)、ペット(例えば、イヌ、ネコなど)、霊長類(例えば、ヒト、サル、オランウータン、チンパンジーなど)などが挙げられる。
植物は特に限定されず、種子植物および胞子植物を包含する。種子植物としては、被子植物(例えば、双子葉植物、単子葉植物)および裸子植物が挙げられ、具体的には、例えば、ホウレンソウ、イチョウなどが挙げられる。胞子植物としては、例えば、ワラビなどが挙げられる。
生体由来材料は、固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。また、生体由来材料は、蛍光タンパク質を発現させたものであってもよく、蛍光性化学物質、脂溶性カルボシアニン色素、または発色性化学物質などで染色したものであってもよい。
蛍光タンパク質としては、例えば、RFP、GFP、BFP、CFP、YFPなどが挙げられる。蛍光性化学物質としては、例えば、DAPI (4',6-diamidino-2-phenylindole)、フルオレセインなどが挙げられる。脂溶性カルボシアニン色素としては、例えば、DiI (1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarbocyanine perchlorate)、DiD (1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindodicarbocyanine perchlorate)、DiO (3,3'-dioctadecyloxacarbo-cyanine perchlorate)、DiR (1,1'-dioctadecyltetramethyl indotricarbocyanine iodide)などが挙げられる。発色性化学物質としては、例えば、青色色素であるエバンスブルー、緑色色素であるインドシアニングリーン、赤色色素であるオイルレッドOなどや、発色性基質であるX-gal(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-galactopyranoside)、DAB(3,3'-diaminobenzidine)、BCIP(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-phosphate)、NBT(Nitro Blue Tetrazolium Chloride)などが挙げられる。
2. 生体由来材料の透明化方法
本発明はまた、生体由来材料の透明化方法を提供する(以下、本発明の方法ともいう)。本発明の方法は、本発明の試薬を生体由来材料に浸潤させる工程を含むことを特徴とする。
本発明の試薬を生体由来材料に浸潤させる方法は、特に限定されず、例えば、当該材料を本発明の試薬に浸漬する方法が挙げられる。浸潤させる期間は、特に限定されないが、本発明の試薬を生体由来材料に十分に浸潤させるという観点から、少なくとも1時間以上が好ましい。当該期間は、例えば、1時間〜7日間が好ましく、5時間〜7日間がより好ましく、12時間〜7日間がさらに好ましく、1日〜3日間がよりさらに好ましい。例えば、腎臓および肝臓などの器官の場合、1時間〜3日間、または1時間〜1日間程度であっても良好な透明化を達成し得る。浸潤させる温度は、本発明の試薬が著しく変性しない限り特に限定されない。例えば、本発明の試薬が尿素を含む場合、尿素の析出を防ぐという観点から、例えば、25℃〜45℃が好ましく、30℃〜40℃がより好ましい。
上記の浸潤させる工程の回数は特に限定されないが、本発明の試薬では、濃度を変えた複数の試薬を用いて複数回の浸潤を行うことなく良好な透明度を実現し得るので、1回のみの浸潤とすることができる。
3. 生体由来材料の透明化用キット
本発明はまた、生体由来材料の透明化用キットを提供する(以下、本発明のキットともいう)。本発明のキットは、本発明の試薬を含むことを特徴とする。本発明のキットは、さらに、組織固定液、洗浄用の緩衝液等を含んでいてもよい。
4. 透明化した生体由来材料
本発明の試薬または本発明の方法により透明化した生体由来材料は、蛍光性化学物質、脂溶性カルボシアニン色素、または発色性化学物質などで染色し、実体顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡や多光子励起顕微鏡などで観察することができる。また、組織のホモジネートを透明化処理し、蛍光度計、吸光度計などを用いて、蛍光性化学物質、脂溶性カルボシアニン色素、または発色性化学物質の組織中濃度を定量測定することができる。蛍光性化学物質、脂溶性カルボシアニン色素、および発色性化学物質としては、前記と同様のものが挙げられる。
界面活性剤を実質的に含まない実施形態の本発明の試薬は、脂質膜を保持したまま生体由来材料を透明化し得るので、各種の蛍光プローブや、脂溶性カルボシアニン色素などを用いて膜を染色することができる。また、本発明の試薬は特定の範囲のpHに調整が可能であるため、各種の蛍光プローブに応じてpHを調整した試薬を用いることができる。
透明化した生体由来材料は、薄切せずにそのまま実体顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡や多光子励起顕微鏡などで観察することができる。したがって、例えば、リポソーム製剤などのDDSの空間分布評価、遺伝子導入法における遺伝子発現の空間分布評価、蛍光タンパク質発現トランスジェニックマウスを用いた各種タンパク質の局在評価、脂溶性カルボシアニン色素を用いた血管や実質の可視化、細胞死の可視化、酸化ストレスの可視化などが可能である。遺伝子導入法における遺伝子発現の空間分布評価としては、例えば、蛍光タンパク質をコードする遺伝子を遺伝子導入法(例えば、ハイドロダイナミクス法、組織吸引圧法、バブルリポソームと超音波を用いた方法など)によって対象の動物に導入後、器官を摘出し、本発明の試薬で器官を透明化する方法、前記のように遺伝子導入後、脂溶性カルボシアニン色素(例えば、1,1'- dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarbocyanine perchlorate (DiI)、1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'- tetramethylindodicarbocyanine perchlorate(DiD)、3,3'-dioctadecyloxacarbo-cyanine perchlorate(DiO)、1,1'-dioctadecyltetramethyl indotricarbocyanine iodide(DiR)など)を灌流して血管を染色後、器官を摘出し、本発明の試薬で器官を透明化する方法などが挙げられる。また、脂溶性カルボシアニン色素を用いた血管や実質の可視化の方法としては、対象の動物に対して脂溶性カルボシアニン色素を灌流して血管を染色後、器官を摘出し、本発明の試薬で器官を透明化する方法、脂溶性カルボシアニン色素に器官を浸漬して染色後、本発明の試薬で透明化する方法、前記のように血管を染色後、器官を摘出して脂溶性カルボシアニン色素に浸漬して染色し、本発明の試薬で透明化する方法などが挙げられる。さらに、酸化ストレスの可視化の方法としては、例えば、酸化ストレス可視化用試薬を投与した動物や市販の酸化ストレス可視化マウスを酸化ストレスにさらした後、器官を摘出し、本発明の試薬で透明化する方法などが挙げられる。さらに、マルチカラーディープイメージングによりこれらの複数イベントを同時に可視化することができる。
また、透明化した生体由来材料は、一度透明化試薬を洗浄したのち、薄切して、実体顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡や多光子励起顕微鏡などで観察することができる。例えば、透明化した肝臓を洗浄後、薄切し、得られた切片を抗チューブリン抗体および蛍光標識二次抗体で染色することにより、共焦点レーザー顕微鏡を用いて微小管を観察することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などにより限定されるものではない。
実施例1:ポリエチレンイミンによる肝臓および腎臓の透明化
ポリエチレンイミン水溶液の調製方法
少量の水で溶解したポリエチレンイミン(数平均分子量600:10,000=1:1)のpHを5M塩酸でpH 11に調整後、さらに水を加え、20 w/v % ポリエチレンイミン水溶液を調製した。数平均分子量600のポリエチレンイミンは和光純薬社製、163-17835、数平均分子量10,000のポリエチレンイミンは和光純薬社製、166-17825を用いた。
肝臓および腎臓の透明化
麻酔下のマウスに対し、経心臓的に脂溶性カルボシアニン色素1,1'- dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindocarbocyanine perchlorate (DiI)を灌流した。続いて4%パラホルムアルデヒドを灌流することで組織を固定した。肝臓および腎臓を摘出し、ポリエチレンイミン水溶液に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図1に示す。肝臓および腎臓はいずれも、ポリエチレンイミン水溶液により、1日間の浸漬で3日間の浸漬と同程度に透明化した。
実施例2:尿素による肝臓および腎臓の透明化の促進
透明化用試薬の調製方法
実施例1のポリエチレンイミン水溶液を調製する際、尿素を添加して、20 w/v % ポリエチレンイミン、8M 尿素の水溶液を調製した。また、ポリエチレンイミン(数平均分子量600)またはポリエチレンイミン(数平均分子量10,000)を用いた点およびpH 9に調整した点を除き、前記と同様の方法により、20 w/v % ポリエチレンイミン、8M 尿素の水溶液を調製した。尿素は和光純薬社製、210-01185を用いた。
肝臓および腎臓の透明化
麻酔下のマウスに対して4%パラホルムアルデヒドを灌流し、組織を固定した。肝臓および腎臓を摘出し、透明化用試薬に浸漬し、1日後に明視野像を取得した。結果を図2に示す。いずれの透明化用試薬も1日間の浸漬で、肝臓および腎臓を高い透明度で透明化した。数平均分子量が10,000のポリエチレンイミンを用いた場合、最も透明度が高かった。また、数平均分子量が600のポリエチレンイミンを用いた場合、組織は収縮しなかった。数平均分子量600:10,000=1:1のポリエチレンイミンを用いた場合、組織は収縮せず、尿素を含まない透明化用試薬を用いた場合(図1)よりも透明化が促進された。
実施例3:透明化用試薬による各組織の透明化
pH以外、実施例2と同様の方法により、透明化用試薬(20 w/v % ポリエチレンイミン、分子量600:10,000=濃度比1:1、尿素8M、pH 11)を調製した。
実施例1と同様の方法により、麻酔下のマウスに対してDiIを灌流し、組織を固定した。脳、肝臓、腎臓、肺、心臓、脾臓、胃、小腸、大腸および筋肉を摘出し、透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に各組織の明視野像を取得した。結果を図3に示す。いずれの組織も透明化用試薬によって高い透明度で透明化した。
実施例4:肝臓および腎臓を透明化用試薬に浸漬後の時間変化
実施例3と同様の方法により、透明化用試薬を調製した。
実施例1と同様の方法により、麻酔下のマウスに対してDiIを灌流し、組織を固定した。肝臓および腎臓を摘出し、透明化用試薬に浸漬し、1時間〜3日後に各組織の明視野像を取得した。結果を図4に示す。1時間後に組織の収縮がみられるものの、組織が透明になることが観察できた。1日後には組織は元の大きさに戻り、充分な透明化効率が得られた。
実施例5:ホウレンソウの葉および茎の透明化
ホウレンソウの葉および茎(未固定)を、実施例3と同じ組成の透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図5に示す(上段は葉、下段は茎である)。葉および茎はいずれも透明化用試薬によって1日間の浸漬で透明化し、3日間の浸漬でさらに透明化した。
実施例6:血管と遺伝子発現の同時可視化
腎臓への遺伝子導入
緑色蛍光タンパク質ZsGreen1をコードしたプラスミドDNAをマウス静脈内に投与後、サクションデバイスを用いて組織に吸引圧をかけ、遺伝子導入を行った。
腎臓の透明化
遺伝子導入の24時間後に、実施例1と同様の方法により、麻酔下のマウスに対してDiIを灌流し、組織を固定した。腎臓を摘出し、透明化用試薬(20 w/v % ポリエチレンイミン、分子量1,800、尿素8M、pH 9)に浸漬し、3日後に共焦点レーザー顕微鏡にて遺伝子発現とDiIによって染色した血管を観察した。結果を図6に示す。透明化用試薬によって血管と遺伝子発現が同時に可視化され、静脈内に投与したプラスミドが血管から漏れ出して血管の外で遺伝子が発現していることが確認できた。
実施例7:脳の血管および実質の可視化
実施例1と同様の方法により、麻酔下のマウスに対してDiIを灌流し、組織を固定した。脳を摘出し、ティシュースライサーで粗切した。切片を1,1'-dioctadecyl-3,3,3',3'-tetramethylindodicarbocyanine perchlorate (DiD)溶液に浸漬して実質を染色後、透明化用試薬(20 w/v % ポリエチレンイミン、分子量600:10,000=濃度比1:1、尿素8M、pH 9)に浸漬し、1日後に共焦点レーザー顕微鏡で血管および実質を観察した。結果を図7に示す。透明化用試薬によって脳の血管および実質が同時に可視化された。
実施例8:tdTomato遺伝子を導入した時の酸化ストレスの発生の可視化
酸化ストレス可視化用試薬CellROX(登録商標)deep redをマウス腹腔内に投与後、赤色蛍光タンパク質tdTomatoをコードしたプラスミドDNAをハイドロダイナミクス法(大容量溶液の急速静脈投与)により肝臓へ導入した。その後、麻酔下のマウスに対し、4%パラホルムアルデヒドを肝臓灌流することで固定した。肝臓を摘出後、実施例7と同様の方法により調製した透明化用試薬に浸漬し、1日後に共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。結果を図8に示す。透明化用試薬によって酸化ストレスの発生が可視化され、導入した遺伝子発現との位置関係を解析できた。
実施例9:FRETリポソームを用いた膜の保持の測定
NBD-DOPE(Avanti Polar Lipids, 810145)およびLissamine rhodamine B-DOPE(Avanti Polar Lipids, 810150)で標識したリポソームを、界面活性剤を0.1 w/v %含有する透明化試薬Scale A2(尿素 4 M、グリセリン 10 w/v %、Triton X-100 0.1 w/v %)または本発明の透明化用試薬と混合し、リポソーム膜の保持性を蛍光共鳴エネルギー(FRET)効率により評価した。透明化用試薬は実施例7と同様の方法により調製したものを用いた。結果を図9に示す。リポソーム膜の保持性は、本発明の試薬を用いた場合は81.3%、界面活性剤を含有する透明化試薬Scale A2を用いた場合は8.27%であり、本発明の試薬は脂質膜を保持したまま生体由来材料を透明化することが確認できた。
実施例10:各pHの試薬を用いた腎臓および肝臓の透明化
透明化用試薬の調製
実施例3に記載の方法に準じてpH 7、9、および11の透明化用試薬を調製した。調製した各試薬、およびコントロールとしてPBSを用い、実施例2と同様の方法により、腎臓および肝臓を透明化した。結果を図10に示す(各試薬の結果において、上段は腎臓、下段は肝臓である)。いずれの透明化用試薬も1日間の浸漬で、肝臓および腎臓を高い透明度で透明化した。また、pHが高いほど透明度が高かった。
実施例11:多価アルコールを加えることによる肝臓における透明度の向上
透明化用試薬の調製
低温における析出を避けるため、尿素の濃度を4Mに設定した。ポリエチレンイミン(分子量1,800、和光純薬社製、169-17815)、尿素に対し、グリセリン(ナカライテスク社製、17018-25)を添加して、20 w/v % ポリエチレンイミン、4M 尿素、10 w/v % グリセリン、pH 11の水溶液を調製した。また、グリセリンの代わりにポリエチレングリコール(ナカライテスク社製、28215-95、分子量400)、またはプロピレングリコール(ナカライテスク社製、29218-35)を用いた点を除き、前記と同様の方法により透明化用試薬を調製した。
肝臓の透明化
実施例1と同様の方法により、麻酔下のマウスに対してDiIを灌流し、組織を固定した。肝臓を摘出し、各透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図11に示す。グリセリン、ポリエチレングリコールまたはプロピレングリコールを含む透明化用試薬を用いると、肝臓の透明度が向上した。
実施例12:各種の透明化用試薬を用いた腎臓の透明化
脂質膜保持性およびDiIによる血管染色の観察深度の比較のため、透明化用試薬として、界面活性剤を含有しない透明化試薬ClearT2(非特許文献1)、低濃度(0.2 w/v %)の界面活性剤を含有するScale S(非特許文献5)、高濃度(15 w/v %)の界面活性剤を含有するCUBIC(非特許文献3)、ならびに実施例9と同様の方法により調製したpH 9およびpH 11の透明化用試薬を用いた。また、コントロールとしてPBSを用いた。実施例1と同様の方法により、麻酔下のマウスに対してDiIを灌流し、組織を固定した。腎臓を摘出し、各種の透明化用試薬に浸漬した。本発明の試薬およびPBS以外の透明化用試薬については、各文献に記載の方法に準じて浸漬を行った。ClearT2、本発明の試薬、およびPBSを用いた場合は1日後、Scale Sを用いた場合は3日後、ならびにCUBICを用いた場合は9日後に明視野像を取得し、さらに共焦点レーザー顕微鏡で観察した。結果を図12に示す。本発明の試薬は、1日間の浸漬で、腎臓を高い透明度で透明化した。また、本発明の試薬を用いると、1日間の浸漬で、ガラス面から302μmおよび705μmの深さの血管を観察することができた。pH 11の本発明の試薬を用いると、さらに1000μmの深さの血管を観察することができた。一方でこれに対し、本発明の試薬以外の試薬に1日間以上腎臓を浸漬しても、302μmの深さの血管を観察することができなかった。
実施例13:低分子量および高分子量のポリエチレンイミンを用いた際の肝臓の透明化
透明化用試薬の調製方法
ポリエチレンイミン(数平均分子量300または70,000)を用いた以外、実施例2と同様の方法により、透明化用試薬(20 w/v % ポリエチレンイミン、8M 尿素、pH 11)を調製した。数平均分子量300のポリエチレンイミンは日本触媒社製、SP-003、数平均分子量70,000のポリエチレンイミンは日本触媒社製、P-1000を用いた。
肝臓の透明化
麻酔下のマウスより、肝臓を摘出し、4%パラホルムアルデヒドに浸漬することで組織を固定した。続いて透明化用試薬に浸漬し、1日後に明視野像を取得した。結果を図13に示す。透明化用試薬としてどちらの分子量のポリエチレンイミンを使用しても肝臓が透明になるが、ポリエチレンイミンの分子量300で調製した透明化用試薬では肝臓が膨潤した。
実施例14:pH 5の透明化用試薬を用いた際の肝臓および腎臓の透明化
透明化用試薬の調製方法
pHと尿素濃度以外、実施例2と同様の方法により、透明化用試薬(20 w/v % ポリエチレンイミン、分子量600:10,000=濃度比1:1、尿素6M、pH 5)を調製した。
肝臓および腎臓の透明化
麻酔下のマウスより、肝臓および腎臓を摘出し、4%パラホルムアルデヒドに浸漬することで組織を固定した。続いて透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図14に示す。pH 5でも肝臓および腎臓が透明化された。
実施例15:変性ポリエチレンイミン水溶液を用いた際の各組織の透明化
透明化用試薬の調製方法
プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン(分子量1400)に水を加え、10、20、50 w/v % プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン水溶液(pH未調整(測定値はそれぞれpH 11.2、11.4、11.9))を調製した。数平均分子量1400のプロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンは日本触媒社製、PP-061を用いた。
腎臓および肝臓の透明化
過剰量の麻酔により屠殺したマウスより、腎臓および肝臓を摘出し、4%パラホルムアルデヒドに浸漬することで組織を固定した。続いて透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図15に示す。プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン水溶液によっても組織が透明化された。なお、50%の高濃度においても顕著な収縮は見られなかった。
実施例16:変性ポリエチレンイミンを用いた際の各組織の透明化
透明化用試薬の調製方法
ポリエチレンイミンの代わりにプロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンを用いた点およびpH以外、実施例2と同様の方法により、透明化用試薬(20 w/v % プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、分子量1400、尿素8M、pH 5、7.5または11)を調製した。数平均分子量1400のプロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンは日本触媒社製、PP-061を用いた。
各組織の透明化
過剰量の麻酔により屠殺したマウスより、肝臓、腎臓、肺、脾臓、心臓、筋肉、小腸、大腸および皮膚を摘出し、4%パラホルムアルデヒドに浸漬することで組織を固定した。なお、皮膚についてはバリカンで毛を剃ってから固定した。続いて透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図16に示す。プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンを用いても、ポリエチレンイミンと同様に組織を透明化できることが示された。
実施例17:変性ポリエチレンイミンを用いた際の尿素濃度の影響
透明化用試薬の調製方法
pHおよび尿素濃度以外、実施例16と同様の方法により、透明化用試薬(20 w/v % プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、分子量1400、尿素4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5または8 M、pH 10)を調製した。数平均分子量1400のプロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンは日本触媒社製、PP-061を用いた。
腎臓および肝臓の透明化
過剰量の麻酔により屠殺したマウスより、腎臓および肝臓を摘出し、4%パラホルムアルデヒドに浸漬することで組織を固定した。続いて透明化用試薬に浸漬し、1日後および3日後に明視野像を取得した。結果を図17に示す。尿素濃度が高くなるにつれ透明度が高まるが、6 M以上では顕著な差は見られなかった。
実施例18:ドキソルビシン塩酸塩の肝臓中空間分布の可視化
透明化用試薬の調製方法
pH以外、実施例16と同様の方法により、透明化用試薬(20 w/v % プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、分子量1400、尿素8M、pH 5.5)を調製した。数平均分子量1400のプロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミンは日本触媒社製、PP-061を用いた。
肝臓の透明化
ドキソルビシン塩酸塩(20 mg/kg)をマウス静脈内に投与し、麻酔下、経門脈的にPBS、続いて4%パラホルムアルデヒドを灌流することで肝臓を固定した。肝臓を摘出後、透明化用試薬に浸漬し、1日後に共焦点レーザー顕微鏡で観察した。結果を図18に示す。pHを調整することで、透明化用試薬に浸漬している際のドキソルビシン塩酸塩の肝臓からの漏出を抑制し、ドキソルビシン塩酸塩の肝臓中空間分布を可視化できた。
本出願は、日本でされた特願2017-030702(出願日:2017年2月22日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。
本発明によれば、短期間かつ簡易な手順で、脂質膜を保持したまま良好な透明度にて生体由来材料を透明化し得る試薬、また、特定の範囲にpHを調整し得る試薬が提供される。また、本発明によれば、当該試薬を用いる生体由来材料の透明化方法が提供される。さらに、本発明によれば、当該試薬を含む生体由来材料の透明化用キットが提供される。

Claims (17)

  1. ポリエチレンイミンを含む、生体由来材料の透明化用試薬。
  2. ポリエチレンイミンが、変性ポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の試薬。
  3. 変性ポリエチレンイミンが、プロピレンオキサイド変性ポリエチレンイミン、オクタデシルイソシアネート変性ポリエチレンイミンおよびエチレンオキサイド変性ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の試薬。
  4. ポリエチレンイミンの数平均分子量が300〜70,000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
  5. ポリエチレンイミンの数平均分子量が400〜25,000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
  6. 界面活性剤を実質的に含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬。
  7. さらに尿素、ホルムアミド、ラクトアミド、およびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の試薬。
  8. さらにグリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試薬。
  9. pHが4〜12である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の試薬。
  10. pHが7〜11である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の試薬。
  11. 生体由来材料が、植物または動物由来の材料である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の試薬。
  12. 動物由来の材料が、脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、胃、小腸、大腸および筋肉からなる群から選択される少なくとも1種の器官に由来する、請求項11に記載の試薬。
  13. 動物由来の材料が皮膚に由来する、請求項11に記載の試薬。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の試薬を生体由来材料に浸潤させる工程を含む、生体由来材料の透明化方法。
  15. 前記の浸潤させる工程が1回のみ行われる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記の浸潤させる工程が1時間〜7日間行われる、請求項14または15に記載の方法。
  17. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の試薬を含む、生体由来材料の透明化用キット。
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