以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態、実施例とも称する)について説明する。以下に示す実施形態の構成は、本発明の技術思想を具体化するための一例を示したものであり、本発明をこの実施形態の構成に限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも等しく適用し得るものである。例えば、PDCP、RLC、MAC等の種々のレイヤの名称については、今後の第五世代移動通信システムの仕様策定において、名称が変更され得ることも考えられる。以下の開示では、無線通信のプロトコルスタックにおけるレイヤの一例として、PDCP、RLC、MAC等のレイヤの名称を用いるが、これらのレイヤに限定する意図ではないことに留意されたい。
[問題の所在]
まず、各実施形態を説明する前に、従来技術における問題の所在を説明する。この問題は、本願発明者が従来技術を仔細に検討した結果として新たに見出したものであり、従来は知られていなかったものであることに注意されたい。
図1は、本願の各実施形態の前提となる無線通信システムにおける第二層のサブレイヤのデータフローを例示する図である。図1に示すデータフローは、5Gシステムの送信装置におけるPDCPレイヤからMACレイヤまでのデータの流れを示す。なお、ここでの送信装置は原則としては無線基地局が想定されるが、送信装置が無線端末である場合でも本願発明は本質的には適用可能である。送信装置が無線基地局である場合、受信装置は無線端末となり、ダウンリンクのデータ通信が対象となる。一方、送信装置が無線端末である場合、受信装置は無線基地局となり、アップリンクのデータ通信が対象となる。
上述した通り、5Gシステムの仕様策定に向けた作業部会(TSG−RAN WG2)では、RLCレイヤにおいてデータ連結に関する処理を省略することが検討されている。図1に示すデータフローは、5Gシステムの仕様策定に向けた議論の動向を踏まえた一例であり、RLCレイヤにおいて複数のPDCP−PDU(RLC−SDU)を一個のRLC−PDUに連結する処理は実行されない。
図1に示すデータフローにおいて、A1〜A4のそれぞれは、PDCP−PDUを示している。PDCPレイヤは、上位レイヤから受け付けたPDCP−SDUの前方にPDCPヘッダを付加し、PDCP−PDUを生成する。PDCPレイヤにおいてはPDCP−PDUに対するナンバリングが行われ、PDCPヘッダにはPDCPレイヤにおける通し番号であるシーケンス番号(SN:Sequence Number)が格納される。なお、PDCPレイヤのことをPDCPエンティティと言い換えても構わない。
図1においては、一例として、PDCP−PDU(1〜4)のそれぞれに対し、シーケンス番号が1〜4であるPDCPヘッダがそれぞれ付加され、4つのPDCP−PDU(A1〜A4)が生成されている。PDCPレイヤにおけるシーケンス番号によって、受信装置は例えばPDCP−PDUを正しい順番に並び替えたり(リオーダリング)、PDCP−PDUの重複受信の検出等を行うことが可能となる。
なお、PDCP−PDU(A1〜A4)は、論理チャネルID(LCID:Logical Channel IDentifier)がLCID=1のPDUであるものとする。ここで、PDCPレイヤのシーケンス番号は、論理チャネルごとに管理される。すなわち、複数のLCIDの間では、シーケンス番号は独立となっている。これ以降の説明においては、説明の単純化のために論理チャネルが一つの場合について説明するが、本願の各実施形態は論理チャネルが複数の場合であっても同様に適用可能であることは言うまでもない。
次に、図1において、B1〜B4のそれぞれは、RLC−PDUを示している。A1〜A4はPDCPレイヤにおいてはPDU(すなわちPDCP−PDU)として取り扱われるが、これらはRLCレイヤにおいてはSDU(すなわちRLC−SDU)として取り扱われることに留意されたい。なお、RLCレイヤをRLCエンティティと言い換えても構わない。RLCレイヤは、PDCPレイヤから受け付けたPDCP−PDU(A1〜A4)の前方にRLCヘッダを付加し、RLC−PDU(B1〜B4)を生成する。RLCレイヤにおいてはRLC−PDUに対するナンバリングが行われ、RLCヘッダにはRLCレイヤにおける通し番号であるシーケンス番号(SN)が付与される。
図1においては、一例として、PDCP−PDU(A1〜A4)のそれぞれに対し、シーケンス番号が1〜4であるRLCヘッダがそれぞれ付加され、4つのRLC−PDU(B1〜B4)が生成されている。RLCレイヤにおけるシーケンス番号によって、受信装置は例えばRLC−PDUを正しい順番に並び替えたり(リオーダリング)、無線上で欠落したRLC−PDUの検出等を行うことが可能となる。
なお、PDCPレイヤにおけるシーケンス番号と同様に、RLCレイヤにおけるシーケンス番号も論理チャネルごとに管理される。また、PDCPレイヤにおけるシーケンス番号は、RLCレイヤにおけるシーケンス番号とは独立していることに留意されたい。すなわち、図1ではRLC−PDUのPDCPレイヤのシーケンス番号とRLCレイヤのシーケンス番号が揃っているが、これは話の単純化のために過ぎない。例えば、RLCレイヤが備える分割機能によって1つのPDCP−PDUが複数に分割される場合等において、PDCPレイヤにおけるシーケンス番号とRLCレイヤにおけるシーケンス番号との間に「ずれ」が生じることになる。
次に、図1において、C1〜C4のそれぞれは、MAC−サブPDUを示している。B1〜B4はRLCレイヤにおいてはPDU(すなわちRLC−PDU)として取り扱われるが、これらはMACレイヤにおいてはSDU(すなわちMAC−SDU)として取り扱われる。なお、MACレイヤをMACエンティティと言い換えても構わない。MACレイヤは、RLCレイヤから受け付けたRLC−PDU(B1〜B4)の前方にMACサブヘッダを付加する。このようなMACサブヘッダが付与されたMAC−SDUを、本願では説明の便宜上「MAC−サブPDU」と称することとする。MACサブヘッダには論理チャネルの識別子であるLCIDが格納される。上述したように、PDCP−PDU(A1〜A4)はLCID=1のPDUであることから、MAC−サブPDU(C1〜C4)におけるMACサブヘッダのLCIDはそれぞれ1と設定される。MACレイヤは、生成されたMAC−サブPDU(C1〜C4)を一旦メモリに格納する。
ここで、4Gシステムの送信装置においては、上述したように、RLCレイヤにおけるデータの連結処理が行われ得るところ、連結処理の要否はスケジューラによって判断される。そのため、4Gシステムの送信装置においては、上位層からPDCP−SDUを受け付けてからRLC−PDUが生成されるまでにはある程度の時間が経過し得る。これに対し、5Gシステムの送信装置においては、上述したように、RLCレイヤにおけるデータの連結処理は行われない。そのため、5Gシステムの送信装置においては、上位層から受け付けたPDCP−SDUに基づいて速やかにRLC−PDUが生成される。
これにより、5Gシステムの送信装置においては、データ(PDCP−SDU)を上位レイヤから受け付けると、MAC−サブPDU(C1〜C4)の生成・格納までの各レイヤの処理を予め行ってしまうことが可能となる。これらの処理は、データを送信するための無線リソースの割り当てを待つことなく行われ、プリプロセッシングと呼ばれることがある。そして、スケジューラから無線リソースが割り当てられると、MACレイヤは、格納しておいたMAC−サブPDUの結合を行って1つのMAC−PDU(D1)を生成する。なお、複数の論理チャネルが存在する場合であっても、複数の論理チャネルにおいて生成されたMAC−サブPDUが結合されて1つのMAC−PDUが生成される。最後にMACレイヤは、割り当てられた無線リソースを用いてMAC−PDUを送信するために、当該MAC−PDUを物理レイヤに転送する(渡す)。
5Gシステムにおいては、MACサブPDU生成までのプリプロセッシングを予め行っておくことができるため、リソースの割当てを受けた際のMAC−PDUの生成処理を簡略化できるとともに、その分だけ処理遅延を短縮することができる。これにより、5Gシステムに対する超低遅延の要求に応えることが可能となる。
なお、図1に示されるMAC−PDU(D1)の生成においては、TAC(Timing Advance Command)等のMAC−CE(Control Element)と呼ばれる情報要素が結合されてもよい。また、MAC−PDUのデータ構造は、図1に示す例に限定されるものではなく、例えば、MAC−SDUとMACサブヘッダとの配置を図1に示す例とは異なる配置にアレンジしてもよい。一例としては、各MACサブPDUのMACサブヘッダをMAC−PDUの先頭に纏めて配置し、その後に、MACサブヘッダの並びに整合した順序でMAC−SDUを配置することもできる。
さて、4Gシステムにおいては、送信装置において、一旦生成されたデータ(PDCP−PDU)が廃棄される場合がある。この廃棄は、PDCPレイヤにおける所定のタイマの経過に応じて行われ、滞留時間の抑制を目的としている。5Gシステムにおいても4Gシステムと同様のデータ廃棄機能が規定されることが想定されることから、本願発明者は、5Gにおけるデータ廃棄について独自に考察を行った。以下ではこの発明者による考察について説明する。
図2は、図1に示すデータフローにおいて、データの一部が廃棄対象とされた場合の一例を示す図である。図2に示す例では、PDCP−PDU(A2)がRLCレイヤを介してMACレイヤへ転送された後に廃棄対象とされた場合のデータフローの一例が示される。なお、図2は、複数のPDCP−PDU(A1〜A4)のうち1つのPDCP−PDUのみ(A1)が廃棄される場合を例示しているが、複数のPDCP−PDUが廃棄される場合もこれと同様に考えることができる。
図2においては、PDCP−PDU(A2)につき、MACサブPDU(C2)がバッファに格納されるまでのデータフローは、図2に示す例と同様である。しかし、図2の例において、MACレイヤは、リソース割り当てを受けたことに応じてPDCP−PDU(A2)に相当するMACサブPDUをバッファから取得するよりも前の時点で、PDCP−PDU(A2)を対象とした廃棄指示を、例えばPDCPレイヤ等の上位レイヤから通知される。MACレイヤは、上位レイヤからの廃棄指示を、RLCレイヤを介して受けることができる。
図2に示す例において、MACレイヤは、上位レイヤからの廃棄指示を受けた後の動作として、廃棄対象となったPDCP−PDU(A2)に対応するMACサブPDU(C2)を除外し、それ以外のMACサブPDU(C1、C3、C4)を結合してMAC−PDU(D11)を生成する。これにより、廃棄対象となったPDCP−PDU(A2)が送信装置から受信装置に送信されなくなり、無線リソースの浪費を抑制することができる。
ところで、図2に示す例では、廃棄対象となったデータの前後において、シーケンス番号(SN)における欠番(番号の抜け)が生じうる、という側面を有する。例えば、図2においては、PDCP−PDU(A2)が廃棄されることによってPDCPレイヤにおけるシーケンス番号(2)が欠番となる。また、図2においては、PDCP−PDU(A2)に対応するRLC−PDU(B2)が廃棄されることによってRLCレイヤにおけるシーケンス番号(2)も欠番となる。
シーケンス番号においてこのような欠番が生じた場合、欠番に対応するデータが無線ネットワーク上でたまたま欠落(いわゆる送信エラー)したのか、当該データが送信装置内において意図的に廃棄されたのか、受信側において区別することができない。これにより、受信側において、シーケンス番号に基づいてデータを正しく並び替えるリオーダリングの処理が無駄に発生しうる。このような無駄なリオーダリングは、通信遅延の原因となりうるため、未然に回避するのが望ましい。
上述した4Gシステムにおいては、このような無駄なリオーダリングを、シーケンス番号の振り直し(リナンバリング)によって解決している。例えばシーケンス番号が1〜3のPDCP−PDUが生成された後にシーケンス番号が2のPDCP−PDUが廃棄された場合、3番目のPDCP−PDUのシーケンス番号が3から2に振り直される。これにより、4Gシステムにおいては、シーケンス番号の欠番が修正され、その結果前述した無駄なリオーダリングを未然に回避できる。
しかしながら、5Gシステムの要件を踏まえると、シーケンス番号の振り直し(リナンバリング)は現実的ではないと考えられる。すなわち、仮にシーケンス番号の振り直しを行う場合、プリプロセッシングにより一旦生成されたMAC−サブPDUの再生成が必要となり得るため、ある程度の遅延が発生することが見込まれる。ここで、上述したように、5Gシステムにおいては基本的な機能要件として超高信頼・低遅延通信が掲げられているところ、シーケンス番号の振り直しに伴う遅延はこの要件の実現に向けて大きな障害となり得る。したがって、5Gシステムにおいてシーケンス番号の振り直しを採用するのは現実的には困難であるものと考えらえる。
以上をまとめると、5Gシステムの送信装置においては、プリプロセッシング後にデータが廃棄されることによるシーケンス番号の欠番に伴い、受信側において無駄なリオーダリング処理が発生しうる。この不都合への対処の一案としては、送信装置におけるシーケンス番号の振り直し(リナンバリング)も考えられるが、5Gシステムに要求される低遅延通信の障害となるため、採用は現実的ではない。上述したように、この知見は発明者による独自の考察によって得られたものである。
なお、上記の説明は5Gシステムに基づいて行ってきたが、所定の条件が揃えば、この説明は他の無線通信システムにも当てはまるものであることを付け加えておく。
以下では、この問題を解決する各実施形態を順に説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態は、複数のデータ(例えば複数のPDCP−PDUやRLC−PDU)にナンバリング(例えばPDCPレイヤやRLCレイヤにおけるシーケンス番号の付与)を行って他無線通信装置(例えば無線端末)に送信する無線通信装置(例えば無線基地局)であって、前記複数のデータにおける特定データが前記ナンバリングの後であって前記送信の前に廃棄された場合、前記廃棄後の前記複数のデータをリナンバリングすることなく前記他無線通信装置に送信するとともに、前記廃棄を通知する廃棄通知情報を前記他無線通信装置に送信する制御部を備える無線通信装置に基づく。
第1実施形態の技術的意義を説明する。上述したように、例えば5Gシステムにおいては、複数のデータにナンバリングを行って受信装置(上記の他無線通信装置に対応)に送信する送信装置(上記の無線通信装置に対応)において、前記複数のデータにおける特定データが前記ナンバリングの後であって前記送信の前に廃棄された場合、シーケンス番号の欠番が発生し、受信装置において複数のデータのリオーダリング処理(シーケンス番号に基づいてデータを正しく並び替えること)が無駄に発生し、その結果、通信遅延が引き起こされ得る。この不都合に対しては、送信装置がリナンバリング(シーケンス番号を振り直す)を行うことによって、一応は解決できるという側面もある。しかしながら、送信装置におけるリナンバリングには一定の処理遅延を伴うことから、低遅延が要求される無線通信システム(例えば5Gシステム)においてはこれを採用することは現実的ではない。
そこで、第1の実施形態においては、複数のデータのうちの特定データにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置のリオーダリング処理に関する不都合の解消を図ることとする。
具体的には、図3に示されるように、第1実施形態に係る送信装置100は、複数のデータが発生(S101)し、それらにナンバリング(S102)を行った後に、特定データの廃棄が発生(S103)した場合であっても、前記廃棄後の前記複数のデータをリナンバリングすることなく受信装置200に送信する(S104)。すなわち、送信装置100は、廃棄された前記特定パケットを除く前記複数のパケットを、前記特定パケットの廃棄に伴って生ずるナンバリングの欠番を解消することなく、受信装置200に送信する。
さらに第1の実施形態に係る送信装置100は、前記特定データの廃棄を通知する廃棄通知情報を受信装置200に送信する(S104)。このとき、前記廃棄通知情報をインバンドで(データベアラで)受信装置200に送信してもよい。これに対し、第1の実施形態に係る受信装置200は、この廃棄通知情報に基づいて、前記複数のデータに対するリオーダリング処理の対象から、前記特定データを除外する(S105)。すなわち、受信装置200は、前記特定データに対するリオーダリング処理をスキップする。
第1実施形態は上記の構成を採用することにより、送信装置100においては、データの廃棄が発生した場合であってもシーケンス番号の振り直し(リナンバリング)を行う必要が無い。そのため、シーケンス番号の振り直しに伴う処理遅延を回避することができる。一方、受信装置200においては、前記廃棄通知情報によって、送信装置100におけるデータの廃棄を認識することができる。そのため、送信装置100で廃棄されたデータを受信装置200がリオーダリングの対象から除外することができ、無駄なリオーダリングの発生を回避することが可能となる。
したがって、以上説明した第1実施形態によれば、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第1実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、本願発明を5Gシステムに具体的に適用した実施形態の一例である。
第2実施形態において、基本的な処理フロー等は第1実施形態と同様である。そこで、以下では第1実施形態とは異なる部分を中心に詳しく説明する。
図4は、第2実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。なお、図4は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。
図4においては、図2と同様に、PDCP−PDU(A2)がRLCレイヤを介してMACレイヤへ転送された後に廃棄対象とされた場合のデータフローの一例が示されている。このとき、第2実施形態に係る送信装置100は、第1実施形態と同様に、データが廃棄されたことを示す廃棄通知情報(すなわち、廃棄されたデータを特定可能な廃棄通知情報)を受信装置200に通知する。
第2実施形態においては、この廃棄通知情報として、MAC CE(Control Element)を用いる。図4に示されるように、PDCP−PDU(A2)が廃棄されたことを受け、MACレイヤはMAC CEを生成するとともに、当該MAC CEにMACサブヘッダを付加し、MAC−サブPDU(C21)を生成する。
ここで、前述したようにMACサブヘッダには5ビットのLCIDが設定される。上述したようにLCIDは通常はデータが属する論理チャネルの識別子を示すが、MAC CEに付加されるMACヘッダにおけるLCIDについては、MAC CEの種類毎に予め規定された値が設定される。例えば、本願出願時の4Gシステムにおいては、MAC CE用のLCIDとして11000〜11110が既に使用されており、01011〜10111が予約値(reserved)となっている。したがって、一例としては、第2実施形態における廃棄通知情報であるMAC CEに対して、予約値の中の最大値を採用し、LCID=10111を使用することができる(なお、図4においては紙面の都合によりLCID=Xとしている。他の図においても同様)。
図5Bに、第2実施形態に係る廃棄通知情報であるMAC CEの一例を示す。図5Bに示されるMAC CEは2オクテット(2バイトと読み替えても良い。以下同様)の情報であり、この2オクテットにFMS(First Missing SN)というフィールドが設定される。
図5Bに示されるFMSには、廃棄されたデータのRLCレイヤにおけるシーケンス番号を設定する。RLCレイヤのシーケンス番号のサイズは2オクテットであることから、図5BにおけるFMSのサイズもこれに合わせて2オクテットとなっている。例えば図4においては、一例としてRLCレイヤのシーケンス番号(2)のデータが廃棄されていることから、この場合のFMSは2(2オクテットで示すと0000000000000010)が設定される。図5Bに示される廃棄通知情報によれば、1つのRLC PDUの廃棄に対応することができる。図5Bに示される廃棄通知情報を、便宜上「ショート(型)」と称してもよい。
さて、図5Aについて説明する前に、図6に基づいて、第2実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの他の一例を示す。図6においては、図4とは異なり、連続する複数のPDCP−PDU(A2〜A3)がRLCレイヤを介してMACレイヤへ転送された後に廃棄対象とされた場合のデータフローの一例が示されている。
図5Aに、第2実施形態に係る廃棄通知情報であるMAC CEの他の一例を示す。図5Aに示すMAC CEは4オクテットの情報であり、前半の2オクテットにFMSが設定され、後半の2オクテットにLMS(Last Missing SN)というフィールドが格納される。
図5Aに示されるFMSには、廃棄された複数のデータのRLCレイヤにおける最初のシーケンス番号を設定する。また、LMSには、廃棄された複数のデータのRLCレイヤにおける最後のシーケンス番号を設定する。例えば図6においては、一例としてRLCレイヤのシーケンス番号(2〜3)のデータが廃棄されていることから、この場合のFMSは2(2オクテットで示すと0000000000000010)が設定され、LMSには3(2オクテットで示すと0000000000000011)が設定される。図5Aに示される廃棄通知情報によれば、連続する複数のRLC PDUの廃棄に対応することができる。図5Aに示される廃棄通知情報を、便宜上「ロング(型)」と称してもよい。
第2実施形態に係る無線通信システムにおいては、図5A〜図5Bに示されるショート型またはロング型の廃棄通知情報を適宜使い分けることができる。ここで、ショート型またはロング型の切り替えは、例えばMACサブヘッダにおけるLフィールドを用いて行うことができる。MACサブヘッダのLフィールドは、当該サブヘッダが付加されたMAC−SDUまたはMAC CEのサイズ(オクテット単位)を示すフィールドである。これにより、Lフィールドの値を2とすることでショート型を明示することができ、4とすることでロング型を明示することができる。
送信装置100のMACレイヤは、図4に示されるように、廃棄通知情報であるMAC CEに基づくMAC−サブPDU(C21)を生成すると、これを他のMAC−サブPDU(C1、C3、C4)と連結し、1つのMAC−PDU(D21)を生成する。この連結において、図4では一例として、MAC−サブPDUがC1、C21、C3、C4の順に連結されている。しかしながら、これは一例に過ぎず、例えば廃棄通知情報に対応するMAC CE(C21)を前方に付加し、C21、C1、C3、C4の順に連結することも可能である。なお、図6についても図4と同様に説明されるため、ここでは説明を省略する。
第2実施形態に係る送信装置100は、第1実施形態と同様に、データの廃棄が発生した場合であっても、シーケンス番号の振り直し(リナンバリング)を行わないことを前提としていることに留意されたい。例えば、図4において、PDCP−PDU(A2)が廃棄されているが、PDCPレイヤやRLCレイヤのシーケンス番号の振り直しは行わない。これにより、PDCPレイヤやRLCレイヤのシーケンス番号には欠番が生じることになる。そこで、第2実施形態に係る送信装置100は、上述したような廃棄通知情報を受信装置200に送信する。これにより、第2実施形態に係る受信装置200は、データのシーケンス番号における欠番が、送信装置100におけるデータの廃棄に基づくものであることを明示的に認識することが可能となる。これにより、受信装置200のRLCレイヤやPDCPレイヤにおける無駄なリオーダリングを回避することができる。この作用・効果は、以降の各実施形態においても同様に説明できる。
以上説明した第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第2実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[第3実施形態]
第3実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適用した実施形態の一例である。
第3実施形態において、基本的な処理フロー等は第1〜第2実施形態と同様である。そこで、以下ではこれらの実施形態とは異なる部分を中心に詳しく説明する。
第3実施形態においては、第2実施形態と同様に、廃棄通知情報としてMAC CEを用いる。図7Aに、第3実施形態に係る廃棄通知情報であるMAC CEの一例を示す。
図7Aに示されるMAC CEは、図5Aに示されるMAC CEと類似しており、FMSとLMSとを含んでいる。ただし、図5Aに示されるFMSやLMSは16ビット(2オクテット)であるのに対し、図7Aに示されるFMSやLMSは15ビットとなっている。これは、図7AのFMSやLMSにおいては、RLCレイヤのシーケンス番号ではなく、PDCPレイヤのシーケンス番号を格納することを想定しているためである。PDCPレイヤにおけるシーケンス番号のサイズは最大15ビットであることから、図7AのFMSやLMSのサイズもこれに合わせて15ビットとしているのである。なお、図7Aにおいて、第1オクテットおよび第3オクテットの第1ビット(R)は予約フィールドであることを示している。
図7AのMAC CEによれば、FMSとLMSとによって一続きの廃棄データ群(廃棄PDCP−PDU群)を明示することができるが、FMSとLMSの値を同じに設定することにより、単一のデータの廃棄に対応することもできる。
次に、図7Bに、第3実施形態に係る廃棄通知情報であるMAC CEの他の例を示す。図7BのMAC CEは、図7AのMAC CEの変形例に相当する。
図7Bに示されるMAC CEは、図7Aに示されるMAC CEと類似しているが、第3オクテットの第1ビットが予約フィールド(R)ではなくEフィールドとなっている。ここで、例えばEフィールドの値を0とすることで、MAC CEの後半の2オクテットを無効化できるものとする。すなわち、FMSとLMSの値が異なる場合、これらをそれぞれ設定するとともに、Eフィールドの値を1とする。これに対し、FMSとLMSの値が同じである場合、これをFMSとして設定するとともに、Eフィールドの値を0とする。これにより、単一のデータの廃棄については、廃棄通知情報のサイズを小さくすることができる。
受信装置200のMAC例や賀状術したような廃棄通知情報を受信するとRLC例やに配送することができる。そして、RLC、例やは、当該廃棄通知情報をPDCPレイヤに配送する。そして、PDCPレイヤは当該廃棄通知情報を受信すると、該当するPDCP PDUについてはリオーダリングを実施しないように制御することができる。なお、当該廃棄通知情報が適切にPDCPレイヤに回送されるためには、RLC李や二とっては、通常のRLC PDUとして取り扱われることが望ましい。
以上説明した第3実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第3実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[第4実施形態]
第4実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適用した実施形態の一例である。
第4実施形態において、基本的な処理フロー等は第1〜第2実施形態と同様である。そこで、以下ではこれらの実施形態とは異なる部分を中心に詳しく説明する。
図8は、第4実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。なお、図8は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。
図8においては、2つのPDCP−PDU(A2とA4)がRLCレイヤを介してMACレイヤへ転送された後に廃棄対象とされた場合のデータフローの一例が示されている。このとき、第4実施形態に係る送信装置100は、第1実施形態と同様に、データが廃棄されたことを示す廃棄通知情報を受信装置200に通知する。
第4実施形態においては、第2〜第3実施形態と同様に、この廃棄通知情報としてMAC CEを用いる。図8に示されるように、PDCP−PDU(A2とA4)が廃棄されたことを受け、MACレイヤはMAC CEを生成するとともに、当該MAC CEにMACサブヘッダを付加し、MAC−サブPDU(C41)を生成する。
図9に、第4実施形態に係る廃棄通知情報であるMAC CEの一例を示す。図9に示されるMAC CEは可変長であり、Nオクテットの情報である。図9に示されるように、このNオクテットにはビットマップが設定される。なお、MAC CEの長さは、第2実施形態と同様にして、MACサブヘッダにおけるLフィールドによって明示することができる。
図9に示されるビットマップによって、例えばRLCレイヤにおける各シーケンス番号に対応するデータの廃棄の有無が明示される。ここで、例えば、廃棄されたデータのシーケンス番号に対応するビットには「0」が設定され、廃棄されなかったデータのシーケンス番号に対応するビットには「1」が設定されることができる。一例として、図4においてはRLCレイヤのシーケンス番号(2、4)のデータが廃棄されていることから、この場合のビットマップの最初の4ビットには「1010」が設定される(ビットマップの最上位ビットから順に、シーケンス番号1、2、3、4のデータの廃棄の有無を示している)。図9に示される廃棄通知情報によれば、不連続な(ランダムに分散された)データの廃棄に効率的に対応することができる。
第4実施形態に係る送信装置100のMACレイヤは、図8に示されるように、廃棄通知情報であるMAC CEに基づくMAC−サブPDU(C41)を生成すると、これを他のMAC−サブPDC(C1、C3、C4)と連結し、1つのMAC−PDU(D41)を生成する。この連結において、図8では一例として、廃棄通知情報に対応するMAC CE(C41)を前方に付加し、C41、C1、C3、C4の順に連結している。これにより、第4実施形態に係る受信装置200は、廃棄通知情報に対応するMAC CE(C41)を最初に受信できるため、その後のリオーダリングの処理を遅滞なく行うことが可能となる。
以上説明した第4実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第4実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[第5実施形態]
第5実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適用した実施形態の一例である。
まず、第5実施形態について説明する前に、第5実施形態の背景及び意義について説明する。上述した第2〜第4実施形態においては、廃棄通知情報としてMACレイヤの制御情報であるMAC CEを用いている。ここで、廃棄通知情報においては、上述したように、RLCレイヤやPDCPレイヤのシーケンス番号を用いて廃棄されたデータの明示を行っている。
そのため、第2〜第4実施形態においては、送信装置100のMACレイヤが、RLCレイヤやPDCPレイヤの情報(シーケンス番号)を取り扱うことになる。この場合、送信装置100のMACレイヤが、RLCレイヤやPDCPレイヤから情報を教えてもらう必要が生じる。そうしなければ、MACレイヤはMAC CEにRLCレイヤやPDCPレイヤの情報を埋め込むことができないためである。一方、第2〜第4実施形態においては、受信装置200のMACレイヤも、RLCレイヤやPDCPレイヤの情報(シーケンス番号)を取り扱うことになる。この場合、受信装置200のMACレイヤが、RLCレイヤやPDCPレイヤに情報を教える必要が生じる。そうしなければ、RLCレイヤやPDCPレイヤは、廃棄通知情報に基づいてリオーダリングのスキップを行うことができないためである。
しかしながら、これらのような構成は、標準化におけるクロスレイヤデザインの思想を踏まえると、必ずしも望ましいものとは言えないという側面もあるようにも思われる。すなわち、クロスレイヤデザインの思想によれば、各レイヤが独立して動作することが基本となるが、上記の構成はレイヤ間の独立性が一部で確保されていないようにも思われるためである。したがって、クロスレイヤデザインの思想を踏まえた実施形態も望まれるところである。
一方、5Gシステムの標準化に関する最新の議論によれば、ダウンリンク通信について、受信装置200である無線端末のRLCレイヤにおけるリオーダリング機能をオンまたはオフすることが検討されている。ここで、RLCレイヤにおけるリオーダリング機能のオンまたはオフは、基地局から無線端末に対して、例えばRRCシグナリングを用いて明示的に指示されることが想定されている。
ここで、仮にRLCレイヤのリオーダリング機能がオンされている場合、受信装置200のRLCレイヤにおいてはリオーダリングが行なわれる。そのため、RLCレイヤのシーケンス番号に欠番が生じていると、上述したリオーダリングにおける不備がRLCレイヤにおいて生じるものと考えられる。さらに、リオーダリングは受信装置200のPDCPレイヤにおいても行われる。そのため、PDCPレイヤのシーケンス番号に欠番が生じていると、上述したリオーダリングにおける不備がPDCPレイヤにおいても生じるものと考えられる。
これに対し、仮にRLCレイヤのリオーダリング機能がオフされている場合、受信装置200のRLCレイヤにおいてはリオーダリングを行わない。そのため、RLCレイヤのシーケンス番号に欠番が生じていても、RLCレイヤにおいて特段の支障は生じないものと考えられる。一方、仮にRLCレイヤのリオーダリング機能がオフされた場合であっても、PDCPレイヤにおけるリオーダリングまでが不要となるわけではない。そのため、PDCPレイヤのシーケンス番号に欠番が生じていると、上述したリオーダリングにおける不備がPDCPレイヤにおいて生じるものと考えられる。
以上を踏まえ、以下では第5実施形態として、RLCレイヤのリオーダリング機能がオンされている場合とオフされている場合とのそれぞれについて、クロスレイヤデザインの思想に沿うような廃棄通知情報を説明する。
第5実施形態において、基本的な処理フロー等は第1〜第2実施形態と同様である。そこで、以下ではこれらの実施形態とは異なる部分を中心に詳しく説明する。
図10は、第5実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。図10は、上述したRLCレイヤにおけるリオーダリングがオンされている場合のデータフローに相当する。なお、図10は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。
図10においては、2つのPDCP−PDU(A2〜A3)がRLCレイヤを介してMACレイヤへ転送された後に廃棄対象とされた場合のデータフローの一例が示されている。このとき、第5実施形態に係る送信装置100は、第1実施形態と同様に、データが廃棄されたことを示す廃棄通知情報を受信装置200に通知する。
図10においては、第2〜第4実施形態とは異なり、この廃棄通知情報として、PDCPレイヤにおける制御PDUおよびRLCレイヤにおける制御PDUを用いる。図10に示されるように、PDCP−PDU(A2〜A3)が廃棄されたことを受け、送信装置100のPDCPレイヤは、第1の廃棄通知情報に対応するPDCPレイヤにおける制御PDU(A51)を生成する。PDCPレイヤにおける制御PDUは本来的にヘッダとペイロードが一体となっているが、図10においてはヘッダとペイロードとをそれぞれ「PDCP HDR」「PDCP CTRL」と表記している。第1の廃棄通知情報であるPDCPレイヤにおける制御PDU(A51)のフォーマットについては後述する。
図10において、送信装置100のRLCレイヤは、PDCPレイヤにおける制御PDU(A51)にRLCヘッダを付加し、RLC−PDU(B51)を生成する。なお、図10においてはRLCヘッダを「RLC HDR」と表現している。そして、送信装置100のMACレイヤは、RLC−PDU(B51)にMACサブヘッダを付加し、MAC−サブPDU(C51)を生成する。このMACサブヘッダにおいては、LCIDとして、廃棄されたデータが所属する論理チャネルの識別子である「1」が設定される。
図10においては、さらに、PDCP−PDU(A2〜A3)が廃棄されたことを受け、送信装置100のRLCレイヤは、第2の廃棄通知情報に対応するRLCレイヤにおける制御PDU(B52)を生成する。RLCレイヤにおける制御PDUも本来的にヘッダとペイロードが一体となっているが、図10においてはヘッダとペイロードとをそれぞれ「RLC HDR」「RLC CTRL」と表記している。第2の廃棄通知情報であるRLCレイヤにおける制御PDU(B52)のフォーマットについては後述する。
図10において、送信装置100のMACレイヤは、RLC−PDU(B52)にMACサブヘッダを付加し、MAC−サブPDU(C52)を生成する。このMACサブヘッダにおいても、LCIDとして、廃棄されたデータが所属する論理チャネルの識別子である「1」が設定される。
図11Aに、第5実施形態における第1の廃棄情報であるPDCPレイヤにおける制御PDU(A51)のフォーマットの一例を示す。図11Aは、いわゆるロング型の第1の廃棄情報に相当し、5オクテットの情報となっている。図11Aに示される制御PDUは、D/Cフィールド、PDU Typeフィールド、FMSフィールド、Eフィールド、LMSフィールド、パディング(Padding)をそれぞれ含む。
図11Aに示されるPDCPレイヤにおける制御PDUの各フィールドを説明する。D/Cフィールドは、データPDUであるか制御PDUであるかを示す1ビットのフィールドであり、例えば制御PDUの場合は0とすることができる。PDU Typeフィールドは、制御PDUの種別を示す3ビットのフィールドである。本願出願時において、PDU Typeフィールドの値としては「000」「001」「010」のみが既に使用されていることから、図11Aに示す第1の廃棄情報におけるPDU Typeフィールドの値は例えば「011」とすることができる。FMSフィールドは、上述した第3実施形態におけるFMSフィールドと同様に、廃棄された一続きのPDCP−PDU群における最初のシーケンス番号を示す15ビットのフィールドである。Eフィールドは、後ろに情報が続くか否かを示す1ビットのフィールドである。図11Aにおいては、Eフィールドの値として、後に情報が続くことを示す「1」を設定できる。LMSフィールドは、上述した第3実施形態におけるLMSフィールドと同様に、廃棄された一続きのPDCP−PDU群における最後のシーケンス番号を示す15ビットのフィールドである。パディングは5ビットから成る。
図11Bに、第5実施形態における第1の廃棄情報であるPDCPレイヤにおける制御PDU(A51)のフォーマットの他の一例を示す。図11Bは、いわゆるショート型の第1の廃棄情報に相当し、3オクテットの情報となっている。図11Bに示される制御PDUは、D/Cフィールド、PDU Typeフィールド、FMSフィールド、Eフィールド、パディングをそれぞれ含む。
図11Bに示されるPDCPレイヤにおける制御PDUの各フィールドを説明する。D/Cフィールド、PDU Typeフィールド、FMSフィールドについては、図11Aと同様である。図11BにおけるEフィールドの値については、後に情報が続かないことを示す「0」を設定できる。パディングは4ビットから成る。すなわち、Eフィールドの値に応じて、図11Aと図11Bのフォーマットを切り替えることができる。なお、図11BにおいてLMSフィールドが無いのは、図11Bに示される制御PDUはFMS=LMSの場合に使用されることが想定されているためである。
図12Aに、第5実施形態における第2の廃棄情報であるRLCレイヤにおける制御PDU(B52)のフォーマットの一例を示す。図12Aは、いわゆるロング型の第2の廃棄情報に相当し、5オクテットの情報となっている。図12Aに示される制御PDUは、D/Cフィールド、CPT(Control PDU Type)フィールド、FMSフィールド、Eフィールド、LMSフィールド、パディングをそれぞれ含む。
図12Aに示されるRLCレイヤにおける制御PDUの各フィールドを説明する。D/Cフィールドは、データPDUであるか制御PDUであるかを示す1ビットのフィールドであり、例えば制御PDUの場合は0とすることができる。CPTフィールドは、制御PDUの種別を示す3ビットのフィールドである。本願出願時において、CPTフィールドの値としては「000」のみが既に使用されていることから、図12Aに示す第1の廃棄情報におけるCPTフィールドの値は例えば「001」とすることができる。FMSフィールドは、上述した第2実施形態におけるFMSフィールドと同様に、廃棄された一続きのPDCP−PDU群に対応する一続きのRLC−PDU群における最初のシーケンス番号を示す16ビットのフィールドである。Eフィールドは、後ろに情報が続くか否かを示す1ビットのフィールドである。図12Aにおいては、Eフィールドの値として、後に情報が続くことを示す「1」を設定できる。LMSフィールドは、上述した第2実施形態におけるLMSフィールドと同様に、廃棄された一続きのPDCP−PDU群に対応する一続きのRLC−PDU群における最後のシーケンス番号を示す16ビットのフィールドである。パディングは3ビットから成る。
図12Bに、第5実施形態における第2の廃棄情報であるRLCレイヤにおける制御PDU(B52)のフォーマットの他の一例を示す。図12Bは、いわゆるショート型の第2の廃棄情報に相当し、3オクテットの情報となっている。図12Bに示される制御PDUは、D/Cフィールド、CPTフィールド、FMSフィールド、Eフィールド、パディングをそれぞれ含む。
図12Bに示されるRLCレイヤにおける制御PDUの各フィールドを説明する。D/Cフィールド、CPTフィールド、FMSフィールドについては、図12Aと同様である。図12BにおけるEフィールドの値については、後に情報が続かないことを示す「0」を設定できる。パディングは3ビットから成る。すなわち、Eフィールドの値に応じて、図12Aと図12Bのフォーマットを切り替えることができる。なお、図12BにおいてLMSフィールドが無いのは、図12Bに示される制御PDUはFMS=LMSの場合に使用されることが想定されているためである。
さて、図10は、上述したように、第5実施形態に係る受信装置200のRLCレイヤにおけるリオーダリングがオンされている場合のデータフローに相当する。すなわち、第5実施形態に係る送信装置100は、受信装置200のRLCレイヤにおけるリオーダリングがオンされている場合、図10に示されるようなデータフローによってデータの処理を行う。これにより、送信装置100においては、図11A〜Bに例示される第1の制御情報に相当するPDCPレイヤの制御PDU(A51)と、図12A〜Bに例示される第2の制御情報に相当するRLCレイヤの制御PDU(B52)とを含むMAC−PDU(D51)が生成され、これが受信装置200に送信される。
一方、第5の実施形態に係る受信装置200は、図10とは反対向きのデータフローによって、データを抽出する。すなわち、受信装置200は、MAC−PDU(D51)を受信すると、MACレイヤでMACサブヘッダの除去等を行い、各RLC−PDU(B1,B51,B52)を抽出する。このとき受信装置200のRLCレイヤはリオーダリングを行うが(図10はRLCレイヤのリオーダリングがオンの場合であることに留意)、第2の制御情報に相当するRLCレイヤの制御PDU(B52)に基づいて、送信装置100が廃棄したデータをRLCレイヤのリオーダリングの対象から適切に除外することができる。
さらに、第5の実施形態に係る受信装置200は、RLCレイヤでRLCサブヘッダの除去等を行い、PDCP−PDU(A1、A51)を抽出する。このとき受信装置200のPDCPレイヤはリオーダリングを行うが、第1の制御情報に相当するPDCPレイヤの制御PDU(A51)に基づいて、送信装置100が廃棄したデータをPDCPレイヤのリオーダリングの対象から適切に除外することができる。
引き続き、図13は、第5実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの他の一例を示す。図13は、上述したRLCレイヤにおけるリオーダリングがオフされている場合のデータフローに相当する。なお、図13は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。
図13は図10と共通点が多いため、ここでは差分のみを説明する。図13においては、第1の廃棄通知情報であるPDCPレイヤにおける制御PDU(A51)については、図10と同様に用いられている。これに対し、図13においては、第2の廃棄通知情報であるRLCレイヤにおける制御PDU(B52)については、図10とは異なり、用いられていない。これは、図13が受信装置200でRLCリオーダリングがオフされている場合に該当するためである。すなわち、受信装置200のRLCレイヤにおいてリオーダリングがそもそも行われず、受信側のRLCレイヤにおいてシーケンス番号の欠番を意識する必要が無いため、第2の廃棄通知情報であるRLCレイヤにおける制御PDU(B52)を用いる必要が無いということである。
ここで、第5実施形態においては、図10に示されるようにRLCレイヤのリオーダリングがオンの場合、RLCレイヤのリオーダリングが、RLCレイヤの制御PDUである第2廃棄通知情報(B52)によって制御されている。また、PDCPレイヤのリオーダリングが、PDCPレイヤの制御PDUである第1廃棄通知情報(A51)によって制御されている。一方、図13に示されるようにRLCレイヤのリオーダリングがオフの場合も、PDCPレイヤのリオーダリングが、PDCPレイヤの制御PDUである第1廃棄通知情報(A51)によって制御されている。したがって、第5実施形態によれば、上述したクロスキャリアデザインの思想に沿っていることが理解できる。
以上説明した第5実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第5実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[第6実施形態]
第6実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適用した実施形態の一例である。
第6実施形態は、第5実施形態の変形例に相当し、第5実施形態と共通点が多い。そこで、以下では第6実施形態につき、第5実施形態との差分を中心に説明する。
図14Aに、第6実施形態における第1の廃棄情報であるPDCPレイヤにおける制御PDU(A51)のフォーマットの一例を示す。図14Aに示される制御PDUは、可変長であり、3+Nオクテットの情報となっている。図14Aに示される制御PDUは、D/Cフィールド、PDU Typeフィールド、Rフィールド、FMSフィールド、ビットマップフィールドをそれぞれ含む。
図14Aに示されるPDCPレイヤにおける制御PDUの各フィールドを説明する。D/Cフィールド、FMSフィールドについては、図11Aと同様である。PDU Typeフィールドについては、一例として、図11Aと同様に「011」と設定することができる。Rフィールドは、いわゆる予約フィールドである。ビットマップは、第4実施形態に係るビットマップと類似しており、これによって、PDCPレイヤにおける各シーケンス番号に対応するデータの廃棄の有無を明示される。ここで、例えば、廃棄されたデータのシーケンス番号に対応するビットには「0」が設定され、廃棄されなかったデータのシーケンス番号に対応するビットには「1」が設定される。また、ビットマップの最上位ビットは、FMSフィールドで示されたシーケンス番号のデータに対応する。例えば図10においては、一例としてPDCPレイヤのシーケンス番号(2、3)のデータが廃棄されていることから、この場合のビットマップの最初の3ビットには「001」が設定される(ビットマップの最上位ビットから順に、シーケンス番号がFMS=2、FMS+1=3、FMS+2=4のデータの廃棄の有無を示している)。図14Aに示される廃棄通知情報によれば、不連続な(ランダムに分散された)データの廃棄に効率的に対応することができる。
なお、図14Aに示されるPDCPレイヤにおける制御PDUのフォーマットに関し、本願出願時の4Gの標準仕様において、形式的には同じ内容のフォーマットが規定されている。その制御PDUはstatus reportと呼ばれており、PDU Typeフィールドの値としては「000」が既に割り当てられている。そのため、図14Aに示される制御PDUにおけるPDU Typeフィールドの値を「000」とすることも考えられる。しかしながら、status reportは、データ受信側が送信側に対して無線上のノイズ等により失われたデータ(いわゆる送信エラー)を通知する制御PDUである。これに対し、図14Aの制御PDUは、データ送信側が受信側に対して自らが廃棄したデータを通知する制御PDUである。このように、これらのPDUはフォーマットが共通するものの、送信方向も用途も異なるものであるため、別の制御PDUとした取り扱う方が好都合という側面もあることに留意されたい。
図14Bに、第6実施形態における第2の廃棄情報であるRLCレイヤにおける制御PDU(B52)のフォーマットの一例を示す。図14Bに示される制御PDUは、可変長であり、2+Nオクテットの情報となっている。図14Bに示される制御PDUは、D/Cフィールド、CPTフィールド、FMSフィールド、ビットマップをそれぞれ含む。
図14Bに示されるRLCレイヤにおける制御PDUの各フィールドを説明する。D/Cフィールド、CPTフィールド、FMSフィールドについては、図12Aと同様である。ビットマップは、第4実施形態に係るビットマップと類似しており、これによって、RLCレイヤにおける各シーケンス番号に対応するデータの廃棄の有無を明示される。ここで、例えば、廃棄されたデータのシーケンス番号に対応するビットには「0」が設定され、廃棄されなかったデータのシーケンス番号に対応するビットには「1」が設定される。また、ビットマップの最上位ビットは、FMSフィールドで示されたシーケンス番号のデータに対応する。例えば図10においては、一例としてRLCレイヤのシーケンス番号(2、3)のデータが廃棄されていることから、この場合のビットマップの最初の3ビットには「001」が設定される(ビットマップの最上位ビットから順に、シーケンス番号がFMS=2、FMS+1=3、FMS+2=4のデータの廃棄の有無を示している)。図14Bに示される廃棄通知情報によれば、不連続な(ランダムに分散された)データの廃棄に効率的に対応することができる。
以上説明した第6実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第6実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[第7実施形態]
第7実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適応した実施形態の一例である。第7実施形態において、基本的な処理フローは、他の実施形態と同様である。そこで、以下では、他の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第1〜第6実施形態では、第2層におけるプリプロセッシングの処理をMACサブPDUの生成まで行っていることを前提に説明した。第7実施形態では、プリプロセッシングをPDCP−PDUの生成まで行う例を説明する。従って、第7実施形態におけるプリプロセッシングは、例えば、PDCPレイヤにおける暗号化やヘッダ圧縮など,PDCPレイヤが有する機能を実施することとなる。
図15は、第7実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。なお、図15は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。
図15においては、PDCP−PDU(A2、A3)が廃棄対象とされ、廃棄対象のPDCP−PDU(A2、A3)が廃棄された後に各サブレイヤに転送された場合のデータフローの一例が示されている。このとき、第7実施形態に係る送信装置100は、他の実施形態と同様に、データが廃棄されたことを示す廃棄通知情報(すなわち、廃棄されたデータを特定可能な廃棄通知情報)を受信装置200に通知する。
第7実施形態においては、この廃棄通知情報として、PDCP−SR(PDCP Status Report)を用いる。なお、PDCP−SRは、例えば、PDCPレイヤの制御PDUとして生成する。図15に示されるように、PDCP−PDU(A2、A3)が廃棄されたことを受け、廃棄したPDCP−PDU(A2、A3)以外のPDCP−PDU(A1、A4)をRLCサブレイヤに転送する。また、廃棄した情報をPDCP−SRとして生成し、RLCレイヤに転送する。RLCレイヤでは、転送されたPDCP−PDU(A1、A4)、PDCP−SR(A5)に対してヘッダ情報を付与して、MACレイヤに転送する。なお、図15の例では、RLCレイヤのヘッダ情報としてシーケンス番号を付与しており、各RLC−PDUのSNは、RLC―PDU(B1)のSN=1、RLC―PDU(B4)のSN=2、RLC−PDU(B5)のSN=3となる。なお、PDCP−SRは、RLCレイヤでは、PDCP−PDUと同様に1つのデータユニットとして処理される。
PDCPレイヤでMACレイヤは、転送されてきたRLC−PDU(B1、B4、B5)にヘッダを付与してMAC−サブPDU(C21)を生成する。
ここで、前述したようにMACサブヘッダにはLCIDがあり、対応するデータチャネルの“1”が設定される。
そして、各MAC−サブPDU(C1,C4、C5)からMAC−PDU(D71)を生成する。送信装置100は、生成したMAC−PDU(D71)を送信する。
受信装置200は、受信したMAC−PDU(D71)をサブレイヤ毎に処理を行う。なお、PDCPレイヤ以外のサブレイヤでは、廃棄通知情報がないため、リオーダリング(番号順配送)を行う場合は,順次リオーダリングが可能である。また、PDCPレイヤでは、PDCP−SRの情報からPDCP−PDU(A2、A3)が廃棄されていることがわかりPDCP−PDU(A2、A3)を除いてリオーダリングが可能になる。
第7実施形態に係る送信装置100は、他の実施形態と同様に、データの廃棄が発生した場合であっても、シーケンス番号の振り直し(リナンバリング)を行わないことを前提としていることに留意されたい。例えば、図15において、PDCP−PDU(A2、A3)が廃棄されているが、PDCPレイヤやRLCレイヤのシーケンス番号の振り直しは行わない。これにより、PDCPレイヤやRLCレイヤのシーケンス番号には欠番が生じることになる。そこで、第7実施形態に係る送信装置100は、上述したような廃棄通知情報を受信装置200に送信する。これにより、第7実施形態に係る受信装置200は、データのシーケンス番号における欠番が、送信装置100におけるデータの廃棄に基づくものであることを明示的に認識することが可能となる。
以上説明した第7実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第7実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。また、第7実施形態では、クロスレイヤスケジューリングを行わず且つRLCレイヤにおける処理を低減することができる。
[第8実施形態]
第8実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適応した実施形態の一例である。
第8実施形態において、基本的な処理フローは、他の実施形態と同様である。そこで、以下では、他の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第2〜第7実施形態では、1つのチャネル(1つのLCID)の場合の例について説明した。第8実施形態では、複数のチャネルの例として2つのチャネル(2つのLCID)の場合について説明する。なお、第8実施形態では、第1のLCIDに対応する第1のチャネルと第2のLCIDに対応する第2のチャネルとを用いて説明するがこれに限定されるわけではない。
図16は、第8実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。なお、図16は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。また、図16は、第1〜第6実施形態と同様に、第2層におけるプリプロセッシングの処理をMAC−サブPDUの生成まで行っている場合として説明する。なお、第1のチャネルに対応する第2層の各サブレイヤのPDUは、PDCP−PDU(A1−A5)、RLC−PDU(B1−B6)、MACサブPDU(C1−C6)である。また、第2チャネルに対応する第2層の各サブレイヤのPDUは、PDCP−PDU(A7−A9)、RLC−PDU(B7−B10)、MACサブPDU(C7−C10)である。
第8実施形態の送信装置100では、各チャネルにおいて廃棄通知情報に応じてPDCPレイヤでは、PDCP−SR(A5)、PDCP−SR(A9)を生成し、RLCレイヤでは、PDCP−SR(B6)、PDCP−SR(B10)を生成している。
第8実施形態における送信装置100は、第2層の各サブレイヤにおける処理(シーケンスナンバーの付与等)を行い、MAC−PDU(D81)においてチャネル1とチャネル2を連結する。なお、廃棄通知情報は、PDCPレイヤの場合は、PDCP−SRで送信され、RLCレイヤの場合は、RLC−SRで送信される。
受信装置200は、PDCP−SRや、RLC−SRに含まれる廃棄通知情報をもとに各レイヤでの受信処理を行う。
なお、図16では、各チャネルの後ろ(フッター)にPDCP−SRやRLC−SRを付与したがこれに限らない、例えば、チャネルの先頭(ヘッダー)や、廃棄されるSDUの何れかの場所に配置するようにしても良い。
また、廃棄通知情報が含まれるPDCP−SRや、RLC−SRのうち少なくともどちらかのSRについてチャネルに関係なく図17に示す一例のようにMAC−PDUの一部にまとめて配置しても良い。図17Aは、図16のMAC−PDU(D81)の配置に対して、PDCP−SRとRLC−SRに関係する情報を後ろ(フッター)に配置し、それ以外に関する情報を順次配置するMAC−PDU(D81a)の例を示している。なお、PDCP−SRとRLC−SRに関係する情報とは、例えば、PDCP−SRの場合、PDCP−SRに対してRLCレイヤで付与されたRLCSNやMACサブレイヤで付与されたLCIDである。また、RLC−SRに関係する情報とは、例えば、RLC−SRに対してMAC−サブPDUを生成する際に付与されたLCIDである。
図17Bは、PDCP−SRとRLC−SRに関係する情報毎に後ろ(フッター)に配置し、それ以外に関する情報を順次配置するMAC−PDU(D81b)の例を示している。また、図17(C)は、RLC−SRに関係する情報毎に後ろ(フッター)に配置し、それ以外に関する情報を順次配置するMAC−PDU(D81c)の最例を示している。
なお、図17A−17Cでは、MAC−PDUの後ろ(フッター)に配置する例を示したが、MAC−PDUの前(ヘッダー)に配置しても良い。また、PDCP―SRを前(ヘッダー)に配置し、RLC―SRを後ろ(フッター)に配置しても良い。このように各レイヤのSRの情報をMAC−PDUの前(ヘッダー)または、後ろ(フッター)に配置することで、第2層における少なくとも1つのサブレイヤのリオーダリング(番号順配送)の簡易にすることができる。
また、ここまでの第8実施形態において、レイヤごとの処理を前提に説明した。しかし、第2〜第4実施形態のようにクロスレイヤで行う場合は、廃棄通知情報をチャネルに関係なく1つの情報としてまとめて生成し、送信してもよい。その場合は、例えば、第2実施形態等で説明したMAC CEを用いて各レイヤの廃棄通知情報を通知する。
さらに、第5実施形態や第7実施形態で説明したがRLCレイヤではリオーダリングを行わない場合も考えられる。この場合においてもRLCレイヤの廃棄通知情報を受信装置200に送信することにより受信装置200が当該廃棄通知情報を受信することにより受信処理を前進できるというメリットがある。このような場合においては、受信装置200から送信装置100に対してRLCの受信状態報告を行うと、当該廃棄したRLC−PDUに対してNACKを報告するが、送信装置100は当該NACK情報は無視して、RLCレイヤの再送を省略してよい。或いは、受信装置100が当該廃棄したRLC−PDUに対して「処理済である」という意味でACKとして送信装置100に報告してもよい。
なお、第8実施形態において、第7実施形態で説明したPDCP−PDUの生成までのプリプロセッシングの処理を用いて各レイヤで処理を行うことも可能である。
以上説明した第8実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第8実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。また、第8実施形態では、複数のチャネルの場合においても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第9実施形態]
第9実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適応した実施形態の一例である。
第9実施形態において、基本的な処理フローは、他の実施形態と同様である。そこで、以下では、他の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
第2〜第6実施形態及び第8実施形態では、第2層におけるプリプロセッシングの処理をMAC−サブPDUの生成まで行っている例をもとに説明した。また、第7実施形態では、第2層におけるプリプロセッシングの処理をPDCP−PSUの生成まで行っている例をもとに説明した。第9実施形態では、プリプロセッシングの処理のレベル(または、深さ)を複数用いる場合について説明する。
なお、第9実施形態のプリプロセッシングの処理のレベルは、プリプロセッシングがPDCP−PDUの生成までの場合は、レベル1(または、深さ1)とし、MAC−サブPDUの生成までをレベル2(または深さ2)とする。
図18は、第9実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における廃棄処理前の第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。なお、図18は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。
図18では、第1のチャネルに対応する第2層の各サブレイヤのPDUは、PDCP−PDU(A1−A4)、RLC−PDU(B1、B3)、MAC−サブPDU(C1、C3)である。また、第2チャネルに対応する第2層の各サブレイヤのPDUは、PDCP−PDU(A7−A8)、RLC−PDU(B7−B8)、MACサブPDU(C7−C8)である。
また、図18では、PDCP−PDU(A1、A3、A7、A8)に対応するPDUについては、MAC−サブPDUまで(レベル2)のプリプロセッシングをしている、また、PDCP−PDU(A2、A4)に対応するPDUについては、PDCPレイヤ(レベル1)のプリプロセッシングをしている。
図19は、第9実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における廃棄処理後の第二層のサブレイヤのデータフローの一例を示す。なお、図19は、図1〜2等を前提としていることから、必要に応じてそちらの説明も参照されたい。また、図19では、図18に示す各サブレイヤの状態から第1チャネルでは、2つのPDCP−PDU(A2、A3)が廃棄され、第2チャネルでは、2つのPDCP−PDU(A7)が廃棄された場合におけるMAC−PDUを構成するまでのデータフローを示している。なお、PDCP−PDU(A2、A3、A7)の廃棄に伴ってそれぞれのチャネルに対応するPDCP−SR(A5、A9)がPDCPレイヤで生成される。また、RLC−PDUの廃棄に伴って、それぞれのチャネルに対応するRLC−SR(B6、B10)がRLCレイヤで生成される。
なお、図19において、PDCP−SR(A5)は、第1チャネルに対応する2つのPDCP−PDU(A2,A3)の廃棄を示す情報を有する。また、図19において、PDCP−SR(A9)は、第2チャネルに対応する1つのPDCP−PDU(A7)の廃棄を示す情報を有する。
また、図19において、RLC−SR(B6)は、第1チャネルに対応する1つのRLC−PDU(B3)の廃棄を示す情報を有する。また、図19において、RLC−SR(B10)は、第2チャネルに対応する1つのRLC−PDU(B7)の廃棄を示す情報を有する。なお、第9実施形態の送信装置100は、MAC−PDU(D91)を生成するまでに、PDCP−PDU(A4)に対応するRLC−PDU(B4)及びMACサブPDU(C4)を各レイヤで生成する。
第9実施形態のように、プリプロセッシングの処理のレベルを複数用いることで、例えば、要求される遅延量に応じた処理が可能になる。例えば、5Gシステムでは、遅延許容量の異なる複数のユースケースを想定している。想定しているユースケースそれぞれにおいて遅延許容量を最適にすることできる。これは、例えば、全てのPDCP−PDUに対してMACサブPDUまで生成している場合に比べて、RLCサブレイヤにおける廃棄するRLC−PDUを削減することができる。また、例えばURLLCのように超低遅延を要求される場合でもプリプロセッシングの処理レベルを変更して対応することができる。
また、プリプロセッシングの処理のレベルをチャネルのユースケース毎に異ならせても良い。例えば、URLLCに対応するチャネルは、レベル2までプリプロセッシングを行い、他のデータ(例えば、eMMBデータ)に対応するチャネルは、レベル1までプリプロセッシングを行う。そして、MAC−PDUで各データを連結させる際に、レベル2の処理を行っているMAC−サブPDUを優先的に連結させることで低遅延を要求されるURLLCを優先的に送信することもできる。
なお、プリプロセッシングのレベルについては、上記で説明した以外にも、無線品質(例えば、送信状況)、輻輳状態、送信装置100や受信装置200の処理能力を考慮して設定しても良い。なお、受信装置200の処理能力によって設定する際には、例えば、UE Capabilityの情報としてPUCCHで受信装置200から送信装置100が受信する。
また、図20では、第9実施形態に係る無線通信システムの送信装置100における廃棄処理後の第二層のサブレイヤのデータフローの他の例を示す。なお、図20の説明においては、図19と異なる点を説明する。
なお、図20では、図19で説明した内容と同様に図18に示す各サブレイヤの状態から第1チャネルでは、2つのPDCP−PDU(A2、A3)が廃棄され、第2チャネルでは、2つのPDCP−PDU(A7)が廃棄された場合におけるMACPDUを構成するデータフローを示している。
図20では、PDCP SR(A5、A9)を生成し、既に生成していたRLC−PDUをそのまま送信する。要するに、送信装置100は、MACサブPDUを生成していた(レベル2)場合には、廃棄通知情報に関係なく受信装置100に送信する。
受信装置200では、RLCレイヤにおいてシーケンスナンバーに応じて処理を行う。また、PDCPレイヤでは、PDCP−SRが有する廃棄を示す情報とPDCPレイヤにおけるシーケンスナンバーを用いて処理を行う。
図20のようなデータフローの構成をすることでRLCレイヤの負荷を軽減することができる。
なお、第9実施形態では、2つのレベル(深さ)で表現した場合を例に説明するがこれに限定するわけでない。例えば、RLC−PDUの生成までのレベルを追加して3段階で表現しても良いし、プリプロセッシングをしないレベルをさらに追加して、4段階で表現しても良い。
ここで,他の実施形態(例えば、第7実施形態および第8実施形態)で説明したように、RLCレイヤの廃棄通知情報を送信装置から受信装置に通知するメリットは本実施例でも同様である。
また、以上説明した第9実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第9実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。また、図20に示すようにMAC−PDUを生成することで送信装置100のRLCレイヤで割り当てられたシーケンスナンバー(SN)に対応する情報をRLCレイヤにおいて廃棄適応外とすることでRLCレイヤにおける負荷を軽減することができる。
[第10実施形態]
第10実施形態も、本願発明を5Gシステムに具体的に適用した実施形態の一例である。第10実施形態は、第2〜第6実施形態の変形例に相当するため、以下ではこれらとの差分のみを説明する。
上述した図2、図4、図6、図8、図10、図13、図15、図16、図17、図18、図19、図20は、本願各実施形態又はその前提となる無線通信システムの送信装置100におけるデータフローを示している。そして、図2、図4、図6、図8、図10、図13、図16の図において、プリプロセッシング後にPDCP−PDU(A2等)が廃棄されたことに伴い、それに対応するRLC−PDU(B2等)、MAC−サブPDU(C2等)が廃棄されている。また、図15、図20の図においては、プリプロセッシング後にPDCP−PDU(A2等)が廃棄されている。また、図19の図においては、プリプロセッシング後にPDCP−PDU(A2等)が廃棄されている場合とPDCP−PDU(A3等)が廃棄されたことに伴い、それに対応するRLC−PDU(B3等)、MAC−サブPDU(C3等)が廃棄されている。しかしながら、現状の4Gシステムの仕様においては、PDCP−PDUが廃棄された場合であっても、RLCレイヤのシーケンス番号が既に割り当てられている場合には、それに対応するRLC−PDUを廃棄しない旨が規定されている。この4Gシステムの仕様に厳密に従うのであれば、これらの図に基づく本願各実施形態において、RLC−PDU(B2等)及びそれに対応するMAC−サブPDU(C2等)を廃棄しない実装も考えられる。
仮にこのような実装であっても、本願各実施形態の廃棄通知情報を適用することができる。換言すれば、このような実装であっても、本願各実施形態の廃棄通知情報は効果的である。すなわち、送信装置100がPDCP−PDUを廃棄したがそれに対応するRLC−PDUが廃棄されなかった場合、受信装置200側でこれに対するリオーダリングを行うのはやはり無駄であると考えられる。送信装置100が廃棄したPDCP−PDUは、本来は受信装置200で必要とされるべきではないためである。上記のような実装であっても、本願各実施形態の廃棄通知情報を活用することにより、このような無駄なリオーダリングを未然に回避することができる。
以上説明した第10実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、複数のデータにおいて廃棄が発生した場合に、廃棄後のデータにシーケンス番号の振り直しを行うことなく、受信装置200のリオーダリング処理に関する不備を解消することができる。これにより第10実施形態によれば、超高信頼・低遅延通信を実現する上で生じ得る課題を解決することが可能となる。
[各実施形態の無線通信システムのネットワーク構成]
次に図21に基づいて、各実施形態の無線通信システム1のネットワーク構成を説明する。図21に示すように、無線通信システム1は、無線基地局10と、無線端末20とを有する。無線基地局10は、セルC10を形成している。無線端末20はセルC10に存在している。
なお、繰り返しとなるが、上記各実施形態の送信装置100は原則としては無線基地局10が想定されるが、送信装置100が無線端末20である場合でも本願発明は本質的には適用可能である。送信装置100が無線基地局10である場合、受信装置200は無線端末20となり、ダウンリンクのデータ通信が対象となる。一方、送信装置100が無線端末20である場合、受信装置200は無線基地局10となり、アップリンクのデータ通信が対象となる。
無線基地局10は、有線接続を介してネットワーク装置3と接続されており、ネットワーク装置3は、有線接続を介してネットワーク2に接続されている。無線基地局10は、ネットワーク装置3およびネットワーク2を介して、他の無線基地局とデータや制御情報を送受信可能に設けられている。なお、無線基地局10を有線ではなく無線を介してネットワーク装置3に接続してもよい。
無線基地局10は、無線端末20との無線通信機能とデジタル信号処理及び制御機能とを分離して別装置としてもよい。この場合、無線通信機能を備える装置をRRH(Remote Radio Head)、デジタル信号処理及び制御機能を備える装置をBBU(Base Band Unit)と呼ぶ。RRHはBBUから張り出されて設置され、それらの間は光ファイバなどで有線接続されてもよい。あるいは無線接続されてもよい。また、前述のRRHとBBUのようにではなく、例えば、Central UnitとDistributed Unitの2つに分離してもよい。Distributed Unitは、少なくともRF無線回路を含むが、これに加え、無線物理レイヤ(またはレイヤ1)機能、更にはMACレイヤ機能、更にはRLC機能をもたせてもよい。
また、無線基地局10は、マクロ無線基地局、ピコ無線基地局等の小型無線基地局(マイクロ無線基地局、フェムト無線基地局等を含む)の他、様々な規模の無線基地局であってよい。また、無線基地局10と無線端末20との無線通信を中継する中継局が使用される場合、当該中継局(無線端末20との送受信及びその制御)も本願の無線基地局10に含まれることとしてもよい。
一方、無線端末20は、無線通信で無線基地局10と通信を行う。
無線端末20は、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer)、無線通信機能を有する各種装置や機器(センサー装置等)などの無線端末であってよい。また、無線基地局10と無線端末との無線通信を中継する中継局が使用される場合、当該中継局(無線基地局10との送受信及びその制御)も本願の無線端末20に含まれることとしてもよい。
ネットワーク装置3は、例えば通信部と制御部とを備え、これら各構成部分が、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。ネットワーク装置3は、例えばゲートウェイにより実現される。ネットワーク装置3のハードウェア構成としては、例えば通信部はインタフェース回路、制御部はプロセッサとメモリとで実現される。
なお、無線基地局、無線端末の各構成要素の分散・統合の具体的態様は、第1実施形態の態様に限定されず、その全部又は一部を、各種の付加や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、メモリを、無線基地局、無線端末の外部装置としてネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
[各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成]
次に、図22〜図23に基づいて、各実施形態の無線通信システムにおける各装置の機能構成を説明する。
図22は、無線基地局10の構成を示す機能ブロック図である。図22に示すように、無線基地局10は、送信部11と、受信部12と、制御部13とを備える。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、送信部11と受信部12とをまとめて通信部14と称する。
送信部11は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部11は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を送信する。下りのデータチャネルは例えば、物理下り共有チャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を含む。また、下りの制御チャネルは例えば、物理下り制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を含む。送信する信号は例えば、接続状態の無線端末20に制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続状態の無線端末20にデータチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、送信する信号は例えば、同期信号、チャネル推定や下り無線回線品質測定のために用いられるリファレンス信号を含む。
送信部11が送信する信号としては、上記の各実施形態および変形例で無線基地局10が送信するあらゆる信号を含む。
受信部12は、無線端末20から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して第1無線通信で受信する。受信部12は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を受信する。上りのデータチャネルは例えば、物理上り共有チャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を含む。また、上りの制御チャネルは例えば、物理上り制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を含む。受信する信号は例えば、接続状態の無線端末20から制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続状態の無線端末20からデータチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、受信する信号は例えば、チャネル推定や上り無線回線品質測定のために用いられるリファレンス信号を含む。
受信部12が受信する信号としては、上記の各実施形態および変形例で無線基地局10が受信するあらゆる信号を含む。
制御部13は、送信するデータや制御情報を送信部11に出力する。制御部13は、受信されるデータや制御情報を受信部12から入力する。制御部13は、有線接続あるいは無線接続を介して、ネットワーク装置3や他の無線基地局からデータや制御情報を取得する。制御部はこれら以外にも送信部11が送信する各種の送信信号や受信部12が受信する各種の受信信号に関連する種々の制御を行う。
制御部13が制御する処理としては、上記の各実施形態および変形例で無線基地局10が実行するあらゆる処理を含む。
図23は、無線端末20の構成を示す機能構成図である。図23に示すように、無線端末20は、送信部21、受信部22と、制御部23とを備える。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。なお、送信部21と受信部22とをまとめて通信部24と称する。
送信部21は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部21は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を送信する。上りのデータチャネルは例えば、物理上り共有チャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を含む。また、上りの制御チャネルは例えば、物理上り制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を含む。送信する信号は例えば、接続する無線基地局10に制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続する無線基地局10にデータチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、送信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
送信部21が送信する信号としては、上記の各実施形態および変形例で無線端末20が送信するあらゆる信号を含む。
受信部22は、無線基地局10から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。受信部22は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を受信する。下りのデータチャネルは例えば、物理下り共有チャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を含む。また、下りの制御チャネルは例えば、物理下り制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を含む。受信する信号は例えば、接続する無線基地局10から制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続する無線基地局10からデータチャネル上で伝送されるユーザデータ信号やRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、受信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。
受信部22が受信する信号としては、上記の各実施形態および変形例で無線端末20が受信するあらゆる信号を含む。
制御部23は、送信するデータや制御情報を送信部21に出力する。制御部23は、受信されるデータや制御情報を受信部22から入力する。制御部23は、有線接続あるいは無線接続を介して、ネットワーク装置3や他の無線基地局からデータや制御情報を取得する。制御部はこれら以外にも送信部21が送信する各種の送信信号や受信部22が受信する各種の受信信号に関連する種々の制御を行う。
制御部23が制御する処理としては、上記の各実施形態および変形例で無線端末20が実行するあらゆる処理を含む。
なお、前述のPDSCH、PDCCH、PUSCH、PUCCHは、LTEシステムの無線アクセス部で使用される無線物理チャネルの名前であるが、本願の各実施形態はこれらに限定されないことは当然である。すなわち、言うまでもないことではあるが、5Gシステム等における無線物理チャネルの名前はこれらとは異なる可能性があるが、それらを本願の各実施形態に適用することができることに留意されたい。
[各実施形態の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成]
図24〜図25に基づいて、各実施形態および各変形例の無線通信システムにおける各装置のハードウェア構成を説明する。
図24は、無線基地局10のハードウェア構成を示す図である。図24に示すように、無線基地局10は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ31を備えるRF(Radio Frequency)回路32と、CPU(Central Processing Unit)33と、DSP(Digital Signal Processor)34と、メモリ35と、ネットワークIF(Interface)36とを有する。CPUは、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。メモリ35は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。
図22に示す無線基地局10の機能構成と図24に示す無線基地局10のハードウェア構成との対応を説明する。送信部11および受信部12(あるいは通信部14)は、例えばRF回路32、あるいはアンテナ31およびRF回路32により実現される。制御部13は、例えばCPU33、DSP34、メモリ35、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。
なお、無線基地局10において、複数のサブバンドで送信される複数のデータ信号が生成されるが、これらを生成するフィルタが、サブバンド毎に独立して構成されるようにしても良い。
図25は、無線端末20のハードウェア構成を示す図である。図25に示すように、無線端末20は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ41を備えるRF回路42と、CPU43と、メモリ44とを有する。さらに、無線端末20は、CPU43に接続されるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を有してもよい。メモリ44は、例えばSDRAM等のRAM、ROM、およびフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。
図23に示す無線端末20の機能構成と図25に示す無線端末20のハードウェア構成との対応を説明する。送信部21および受信部22(あるいは通信部24)は、例えばRF回路42、あるいはアンテナ41およびRF回路42により実現される。制御部23は、例えばCPU43、メモリ44、不図示のデジタル電子回路等により実現される。デジタル電子回路としては例えば、例えばASIC、FPGA、LSI等が挙げられる。