JPWO2018110145A1 - 自動分析装置及び自動分析方法 - Google Patents

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Abstract

自動分析装置の洗浄機構に関して、反応容器の洗浄範囲のばらつき等を抑制でき、ブランク値測定等への影響を抑制できる技術を提供する。自動分析装置は、光学測定及び洗浄を含むシーケンスを制御し、反応容器2内に液体を吐出するための吐出ノズル(システム水吐出ノズル44)を含む吐出機構と、反応容器2内の液体の溢れ分を吸引するための溢れ吸引ノズル54を含む溢れ吸引機構とを有する。自動分析装置は、洗浄工程のうち、洗剤を用いた工程よりも後で、ブランク値測定工程よりも前にある液体吐出工程(工程S8)において、吐出ノズルの下端を反応容器内の高さ方向の下部の第1位置(Z1)に配置し、かつ、溢れ吸引ノズルの下端を反応容器内の上部の第2位置(Z2)に配置した第1状態で、吐出ノズルからの液体の吐出、及び溢れ吸引ノズルからの溢れ分の吸引を行うように制御する。

Description

本発明は、血液や尿等を含む試料中の目的成分の濃度や活性値等の光学値を測定する自動分析装置の技術に関する。本発明は、特に、測定に用いる試料や試薬等を格納する反応容器を洗浄する技術に関する。
自動分析装置は、血液、尿、髄液等の多成分を含む生体試料を分析する。自動分析装置は、試料用や試薬用のノズルが付いた分注機構を用いて、試料や試薬を各保存容器から反応容器内へ分注し、試料及び試薬の混合液を攪拌して反応溶液とする。その後、自動分析装置は、反応溶液の色調変化を、光度計を用いて測定し、その測定データから試料内の目的物質を定量して結果を出力する。自動分析装置において、分析終了後の反応容器は、反応容器洗浄機構(以下、洗浄機構と記載する場合がある)により洗剤や洗浄液等を用いて洗浄が行われ、次回以降の分析に繰り返し使用される。
自動分析装置は、分析対象の反応溶液の色調変化を取得する光学測定の際には、反応容器の持つ元々の色調、一般には反応容器に水を入れた状態の吸光度を、ブランク吸光度(ブランク値等と記載する場合がある)として、予め測定し取得しておく。そして、自動分析装置は、実測の吸光度からブランク吸光度を差し引く計算を行うことで、反応溶液の色調を評価する。一般に、ブランク吸光度は、反応容器の使用頻度等によって変動し得る。そのため、原則的に、反応容器の洗浄後、その反応容器を用いた分析開始前に、毎回、ブランク吸光度が取得される。自動分析装置は、洗浄、濯ぎ、ブランク値測定、光学測定を含む分析、といった工程を含むシーケンスを制御する。
自動分析装置の洗浄機構に関する先行技術例としては、特開2015−81827号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1には、分析データ精度向上を図る旨や、以下の旨が記載されている。その自動分析装置は、鉛直方向に対して傾斜面を有するように設けられた反応容器と、一端に液体を吸引して吐出するための開口を有し、その開口から鉛直下方向に液体を、反応容器の開口を経て傾斜面に向けて吐出する分注プローブと、を有する。
特開2015−81827号公報
自動分析装置の反応容器洗浄機構及びその洗浄機能は、毎回の反応溶液の成分を次回の測定に持ち越さないように、洗浄効果、洗浄性能が十分に確保されている必要がある。そのためには、例えば洗剤や洗浄液による反応容器内の洗浄範囲の制御が重要である。
自動分析装置は、ブランク値測定の際、洗浄機構のノズルを用いて反応容器内へ液体を分注する。その反応容器内が汚染されている場合、ブランク値を正しく測定できない。その場合、分析時に反応溶液の色調変化を正しく測定できない。上記のように、自動分析装置において、反応容器内を清浄にする洗浄性能、及びブランク値の正しい測定は、分析結果の信頼性を維持する上で不可欠な要素である。
従来の自動分析装置は、反応容器洗浄機構として、反応容器の上面に近い位置に吐出ノズル等の下端を配置した状態で反応容器内に対する液体の吐き出しや吸引を行う方式がある。その方式では、吐き出しの際、反応容器内の液面に揺れや波立ちが生じ、反応容器の高さ方向の上部における洗浄範囲にばらつきが生じる。その結果、その反応容器を用いたブランク値測定等に影響を及ぼす恐れがある。また、反応容器の上面から液体が溢れ出す可能性もある。また、洗剤を用いた工程の後に、洗浄液を用いて洗浄及び濯ぎを行う工程がある。その工程で、反応容器の上面に近い位置の吐出ノズルから洗浄液が吐出されることで、反応容器内の液体に気泡が発生しやすい。反応容器内に気泡が残存する場合、ブランク値測定等に影響を及ぼす恐れがある。
上記のように、従来の自動分析装置は、洗浄工程や分析工程を含む一連のシーケンスに関して、反応容器の洗浄性能、及びブランク値測定性能に関して課題があり、改善余地がある。
本発明の目的は、自動分析装置の洗浄機構に関して、反応容器の洗浄範囲のばらつき等を抑制でき、ブランク値測定等への影響を抑制でき、洗浄性能及びブランク値測定性能を維持または高めることができる技術を提供することである。
本発明のうち代表的な実施の形態は、自動分析装置であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
一実施の形態の自動分析装置は、光学測定及び反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置であって、前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、前記反応容器内に液体を吐出するための吐出ノズルを含み、前記吐出ノズルを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吐出する、吐出機構と、前記反応容器内の前記液体の溢れ分を吸引するための溢れ吸引ノズルを含み、前記溢れ吸引ノズルを鉛直方向上下に移動させて前記溢れ分を吸引する、溢れ吸引機構と、を有し、前記制御装置は、前記光学測定の工程の前に設けられた前記洗浄の工程のうち、洗剤を用いた工程よりも後で、ブランク値測定工程よりも前にある液体吐出工程において、前記吐出機構の下降動作によって、前記吐出ノズルの下端を、前記反応容器内の高さ方向の下部の第1位置に配置し、かつ、前記溢れ吸引機構の下降動作によって、前記溢れ吸引ノズルの下端を、前記反応容器内の高さ方向の上部の第2位置に配置した第1状態で、前記吐出ノズルからの前記液体の吐出、及び前記溢れ吸引ノズルからの前記溢れ分の吸引、を行うように制御する。
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、自動分析装置の洗浄機構に関して、反応容器の上部の洗浄範囲のばらつき及びブランク値測定等への影響を抑制でき、洗浄性能及びブランク値測定性能を維持または高めることができる。
本発明の実施の形態1の自動分析装置の構成を示す図である。 実施の形態1の自動分析装置で、反応容器洗浄機構を用いた洗浄工程を含むシーケンスの概要構成を示す図である。 実施の形態1の自動分析装置で、洗浄工程の各工程に係わるノズル等の構成を示す図である。 実施の形態1の自動分析装置で、工程S8のシステム水吐出機構の構成を示す図である。 実施の形態1の自動分析装置で、洗浄工程の各工程に係わるノズル等の高さ位置関係を示す図である。 実施の形態1の自動分析装置で、洗浄工程に係わる反応溶液成分と洗剤成分の濃度推移の例を示す図である。 実施の形態1に対する比較例の自動分析装置で、工程S8のシステム水の吐出に関する課題等を示す説明図である。 実施の形態1の自動分析装置で、工程S8のシステム水の吐出に関する状態を示す説明図である。 実施の形態1の変形例の自動分析装置で、下降動作の制御例を示す説明図である。 実施の形態1の変形例の自動分析装置で、上昇動作の制御例を示す第1説明図である。 実施の形態1の変形例の自動分析装置で、上昇動作の制御例を示す第2説明図である。 実施の形態1の変形例の自動分析装置で、溢れ吸引ノズルの制御例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、説明上の方向及び座標系として(X,Y,Z)を有する。第1方向であるX方向は、水平方向のうちの一方向であり、第2方向であるY方向は、水平方向のうちのX方向に直交する方向である。第3方向であるZ方向は、X方向及びY方向に垂直な鉛直方向である。
[課題等]
前述の課題等についてより詳しく補足説明する。自動分析装置における反応容器の洗浄は、装置で設定可能な最大反応溶液量での汚染範囲だけでなく、試料や試薬の吐出時や攪拌時の反応溶液の飛散による汚染も考慮しなければならない。つまり、洗浄機構では、飛散等を含めた広い範囲の汚染を考慮して、反応容器内の洗剤や洗浄液の到達範囲に対応付けられた洗浄範囲を設定しなければならない。洗浄液は、装置から供給されるシステム水等の液体である。一般的に言えば、反応容器の内壁高さの上限付近まで洗浄液の高さを到達させて、洗浄範囲を可能な限り広く確保することが望ましい。しかし、洗浄範囲を容器内壁上限付近までに広げると、洗浄液が容器上面から溢れ出す可能性がある。そのため、自動分析装置では、洗浄範囲を十分広くしつつ、容器上面からの洗浄液の溢れ出しが無いように、設定及び制御しなければならない。
自動分析装置の洗浄機構のうちの洗浄液吐出機構は、吐出ノズル、チューブ、電磁弁等の流路開閉部、流量調整部、送液ポンプ、等で構成されている。また、洗浄機構は、工程や用途毎に使い分けるために、複数の種類の複数のノズル、例えば吐出ノズルや吸引ノズル等を備えている。洗浄機構において、複数の各工程の機構は、相互に接続されており、一部を共有する構成である。例えば、複数の吐出ノズルは、送液ポンプ等を共有する構成である。自動分析装置の洗浄機構は、設置面積(小型化)や装置価格(低価格化)の利点から、上記のように一部要素を共有する構成を採ることが多い。
各々の吐出ノズルの流路に配置される電磁弁は、個々のタイミングで開閉が制御される。各瞬間に各々の吐出ノズルに掛かる送液ポンプからの圧力には、ばらつきが生じ得る。また、個々の反応容器の容積にも微小にばらつきが生じ得る。そのため、個々の反応容器の洗浄範囲のばらつきを抑制するように、個々の吐出ノズルの洗浄液の吐出量を正確に制御する等の工夫が必要である。とりわけ、高処理能力を持つ自動分析装置、例えば反応ディスクの回転周期が短く反応容器の停止時間が短い装置の場合、その工夫は重要である。
洗浄範囲のばらつき等を解消するための一手段として、洗浄液の吐出ノズルの吐出位置近傍に、溢れ(オーバーフロー)の防止用の吸引ノズル(溢れ吸引ノズルと記載する場合がある)を設ける方式の採用が挙げられる。この方式では、反応容器の上面付近に洗浄液が達した場合に、溢れ出しが生じないように、溢れ吸引ノズルによって洗浄液の溢れ分を吸引させる。これにより、反応容器の高さ方向の上部における洗浄液の到達高さや洗浄範囲が、溢れ吸引ノズルの位置までになるように制御される。
しかしながら、上記方式でも、洗浄液の吐出時の液面の揺れや波立ちによって、洗浄液高さが溢れ吸引ノズルの位置を瞬間的に超過する場合がある。特に、反応容器の上面に近い位置に配置された吐出ノズル先端から洗浄液を吐き出す方式の場合、吐出された洗浄液が反応容器内壁に当たって飛散等が生じやすい。液面の揺れ等によって、反応容器の上部における洗浄範囲にはばらつきが生じる。洗浄範囲のばらつきがある場合、ブランク値測定に影響を及ぼす恐れがある。そのため、反応容器の上面から洗浄液が溢れ出さないように、高さ方向である程度の尤度を確保するように、吐出ノズル及び溢れ吸引ノズル等の高さを設計する必要がある。即ち、反応容器の上面からある程度下方の位置にノズル下端が配置されるので、その分、高さ方向の洗浄範囲が狭くなってしまう。
上記課題に加え、反応容器洗浄機構は、一連の洗浄工程の動作において、洗剤成分が残存している工程では、反応容器内の液体に気泡が発生しやすく、その気泡の残存によってブランク値測定に影響を及ぼす恐れがある。即ち、光学測定値の劣化等を招く恐れがある。
反応容器の洗浄工程の動作の一般な流れは以下である。洗浄工程は、(1)反応溶液の吸引、(2)洗剤の吐出と吸引、(3)システム水の吐出と吸引、等の工程がそれぞれ規定回数行われることで、基本的な洗浄及び濯ぎが実現される。更に、洗浄工程は、その洗浄等が終了した反応容器に対し、(4)ブランク用システム水の吐出、(5)ブランク値測定、(6)ブランク用システム水の吸引、(7)チップ吸引、といった工程が順に行われる。システム水とは、自動分析装置の外部から、イオン交換水等の精製水を、流路等を通じて内部に導入して使用する水である。
特に、上記(3)以降の工程では、前の(2)の工程からの洗剤成分(界面活性剤等)が持ち越されて反応容器内に残っている場合、システム水との混合によって、気泡の発生が誘発されやすい。上記(4)でブランク用システム水を反応容器内に分注し、気泡が残っている場合、(5)のブランク値測定の際に影響を及ぼす恐れがある。
反応容器内に液体を吐き出す際に気泡が生じないようにするための一手段としては、特許文献1のような従来技術例がある。特許文献1の方式では、反応容器の軸方向に対してノズルの軸方向が傾いた状態で、反応容器の上方から水を吐き出して反応容器の内壁側面を伝わせる。しかし、このような方式でも、反応容器の上部の洗浄範囲にばらつき等が生じやすく、洗浄範囲の均一化が難しい。また、このような方式で気泡が発生して反応容器に付着した場合、気泡を剥離、除去させることが難しい。
上記のように、反応容器洗浄機構を備える自動分析装置、特に、反応ディスク機構を含む高処理能力を持つ装置では、洗浄性能及びブランク値測定性能に関して課題がある。この自動分析装置では、反応容器に洗浄液を吐出する際の液面揺れ等を安定化させて、反応容器の洗浄範囲を広く確保し、且つ均一に近付けることが望ましい。また、この自動分析装置では、反応容器に洗浄液を吐出する際に、気泡の発生や残存を抑制し、ブランク値測定の際に悪影響を及ぼさないようにすることが望ましい。
(実施の形態1)
図1〜図12を用いて、本発明の実施の形態1の自動分析装置について説明する。実施の形態1の自動分析装置は、特有の洗浄機能を備える。実施の形態1の自動分析方法は、実施の形態1の自動分析装置において実行されるステップを有する方法である。
[自動分析装置(1)]
図1は、実施の形態1の自動分析装置の構成を示す。自動分析装置は、制御装置100、反応ディスク1、反応容器2、試薬ディスク3、試薬ボトル4、試料容器5、ラック6、試料搬送機構7、試薬分注機構8,9,10,11、試料分注機構12,13、試料分注ノズル14,15、試料用ポンプ16、反応容器洗浄機構17、分光光度計18、攪拌機構19,20、送液ポンプ21、真空吸引ポンプ22、洗浄槽23,24,25,26,27,28,29,30を有する。
制御装置100は、反応容器洗浄機構17を含め、自動分析装置の全体を制御し、洗浄や分析の工程を含むシーケンス全体を制御する。反応容器洗浄機構17を含む各機構は、制御装置100と接続されている。制御装置100と各部との間は、それぞれ配線で接続されている。制御装置100と各部との間では、配線を通じて各種の信号が授受される。これにより、洗浄や分析を含む各工程の動作が制御される。制御装置100は、分光光度計18の測定データを用いて反応容器2内の試料を分析する分析部としての機能を有する。
反応ディスク1の円周上には複数の反応容器2が並んで配置されている。反応ディスク5は、回転駆動される。これにより、各反応容器2は、円周上で、シーケンスのサイクル毎の距離で、単位回転移動させられ、移動と停止を繰り返す。
試薬ディスク3の中には、円周上に複数の試薬ボトル4が配置可能である。反応ディスク1と試薬ディスク3との間には、試料容器5を載せたラック6を移動させる試料搬送機構7が設置されている。試料容器5には、血液や尿等の検査試料が含まれ、ラック6に載せられて試料搬送機構7によって運ばれる。
反応ディスク1と試薬ディスク3との間には、試薬分注機構8〜11が設置されている。反応ディスク1と試料搬送機構7との間には、回転及び水平移動及び上下移動が可能な試料分注機構12,13が設置されている。試料分注機構12,13は、試料分注ノズル14,15を備えている。試料分注ノズル14,15には、試料用ポンプ16が接続されている。試料分注ノズル14,15は、回転軸を中心とした回転動作、水平移動レール上を移動する水平動作を行い、試料容器5から反応容器2への試料分注を行う。
反応ディスク1の周囲には、反応容器洗浄機構17、分光光度計18、攪拌機構19、20、試薬ディスク3、試料搬送機構7が配置されている。反応容器洗浄機構17は、反応容器2に関する洗浄機構である。反応容器洗浄機構17には、洗浄用の送液ポンプ21、真空吸引ポンプ22が接続されている。送液ポンプ21は、洗浄に係わる吐出ノズルに対してチューブの流路等を通じて洗浄液を送液する。真空吸引ポンプ22は、吸引に係わる吸引ノズルからチューブの流路等を通じて液体を真空吸引で送液する。
試薬分注機構8〜11、試料分注機構12,13、攪拌機構19,20の動作範囲上には、試料分注ノズル14,15等の各部を洗浄するための洗浄機構を構成するそれぞれの洗浄槽23〜30が設置されている。試薬分注機構8〜11には、試薬用の送液ポンプ31が接続されている。
次に、光学測定を含む分析の動作について説明する。試料分注機構12,13は、ラック6の試料容器5から試料ノズル14,15によって試料を吸引し、反応容器2に吐出する。また、試薬分注機構8〜11は、試薬ボトル4から試薬ノズル33〜36によって試薬を吸引し、反応容器2に吐出する。同一の反応容器2内に分注された試料と試薬は、撹拌機構19,20によって撹拌、混合されて、混合液である反応溶液が生成される。その反応容器2内の反応溶液は、分光光度計18によって光学測定が行われる。分光光度計18は、分光光度等の光学値を測定する。反応ディスク1は、回転と停止を1サイクルで行う。1サイクルの時間は、例えば、1.8秒であり、反応容器2の停止時間としては1秒である。測定対象となる反応容器2が分光光度計18の前を通過するサイクルの度に定期的に分光光度計18によって光学測定が行われる。一定時間経過後、分光光度計18の測光結果に基づいて、制御装置100は、分析として、試料中の目的成分の濃度または活性値を算出する。
なお、図1の構成では、反応容器洗浄機構17が1つ配置されているが、反応ディスク1等の構成に応じて、反応容器洗浄機構17が複数配置されている形態でもよい。図1の実装構成例に限らず、各種の実装構成が可能である。
[自動分析装置(2)]
実施の形態1の自動分析装置は、以下のような構成を有する。自動分析装置は、複数の反応容器2が反応ディスク1上に配置されて回転する機構を備える。自動分析装置は、反応容器2を繰り返し使用するために反応容器2を洗浄する反応容器洗浄機構17を備える。反応容器洗浄機構17には、反応溶液の吸引、洗浄液の吐出や吸引等を行うための複数の種類の複数のノズルが配置されている。各ノズルは、チューブ等を介して、吐出、吸引の役割毎に、送液ポンプや真空吸引ポンプに接続されている。チューブの流路上、ノズル接続部とポンプ接続部との間には、制御可能な流路開閉機構、例えば電磁弁が配置されている。反応容器洗浄機構17は、反応ディスク1上で移動と停止を繰り返す反応容器2上に対し、各ノズルと共に上下動作を行う。これにより、各反応容器2内に各ノズルが挿入されるようにアクセスする。このように、自動分析装置は、制御装置100により、一連の反応容器2の洗浄動作の洗浄工程を含むシーケンスを制御する。
実施の形態1の自動分析装置は、一連の洗浄工程の動作中で、前述の気泡が発生しやすいタイミング、特に、洗浄及び濯ぎのためにシステム水の吐き出しを行う工程(後述の図2の工程S8)に関して、特有の制御を行う。気泡が発生しやすいタイミングは、洗剤の吐出及び吸引の工程よりも後の工程である。反応容器2内に界面活性剤成分が残存している場合には気泡が発生しやすい。自動分析装置は、その工程で、洗浄機構(図4のシステム水吐出機構400)における、吐出ノズルの高さ方向の下端の位置を、反応容器2の下部の所定の位置に配置し、その位置から下方に洗浄液を吐き出すように制御する。その工程で、吐出ノズルの高さ位置(図4の位置Z1)は、反応容器の内壁の高さに対する所定の比率の範囲(位置Z0〜位置Zb)内の値として規定されている。従来例では、反応容器の上部の比較的高い位置に吐出ノズルの下端が配置されているが、実施の形態1では、反応容器2の下部の位置Z1に吐出ノズルの下端が配置されている。実施の形態1では、従来例よりも、吐出ノズルが洗浄水に浸漬される範囲が広い。
かつ、実施の形態1の自動分析装置は、洗浄機構として、その工程で、反応容器2の内壁の高さに対する所定の洗浄範囲の上限の位置に、溢れ吸引ノズルが配置されている。反応容器の上面の開口に近い位置(図4の位置Z2)に、その溢れ吸引ノズルの下端が配置されている。その溢れ吸引ノズルの位置は、洗浄工程の全工程で最も高い位置にされている。自動分析装置は、吐出ノズルから吐出された洗浄液が、溢れ吸引ノズルの位置に達するように、洗浄液の吐出量を制御する。自動分析装置は、反応容器の底面に近い位置から、上面の溢れ吸引ノズルの位置まで、液面を押し上げるように洗浄液を吐出する。これにより、洗浄液の吐出中の液面の揺れや波立ちが抑制されると共に、気泡の発生が抑制される。また、気泡が発生した場合でも、その気泡が流れに沿って溢れ吸引ノズルによって吸引されることで、気泡の剥離や除去が促進される。
自動分析装置は、吐出ノズルからの洗浄液の吐き出しが終了した後、反応容器内から鉛直方向上への移動によって吐出ノズル等を引き抜く動作を制御する。この際、自動分析装置は、液面の揺れ等をなるべく生じないように、上昇のタイミングや速度等を制御する。自動分析装置は、引き抜きの際の上昇速度等を、吐出ノズル先端が液面内に浸漬されている期間では、相対的に低速とし、吐出ノズル先端が液面から離脱した後の期間では、相対的に高速とする。これにより、吐出ノズルの浸漬範囲が広いことによる洗浄液の落下や飛び散りや落下等を回避し、洗浄範囲を均一にする。
上記のように、実施の形態1の自動分析装置は、洗浄機構における特有の制御により、従来技術例に対し、装置構成をさほど大きく変更する必要無く、洗浄性能及びブランク値測定性能を維持または高めることができる。
[洗浄工程]
図2は、反応容器洗浄機構17を用いた反応容器2の洗浄工程の構成概要を示す。制御装置100からの駆動制御に基づいて、反応ディスク1の回転及び反応容器洗浄機構17の上下移動によって、図2の洗浄工程S20のフロー通りに洗浄動作が実施される。洗浄工程S20は、順に工程S1〜S15を有する。
工程S1は、反応容器2内の反応溶液の吸引を行う工程である。工程S2は、反応容器2内にシステム水の吐出を行う工程である。工程S3は、反応容器2内からシステム水の吸引を行う工程である。工程S4は、反応容器2内に洗剤A(第1洗剤)の吐出を行う工程である。工程S5は、反応容器2内から洗剤Aの吸引を行う工程である。工程S6は、反応容器2内に洗剤B(第2洗剤)の吐出を行う工程である。工程S7は、反応容器2内から洗剤Bの吸引を行う工程である。例えば、洗剤Aはアルカリ性洗剤、洗剤Bは酸性洗剤である。これらの洗剤を用いる工程は、どの洗剤を使用するか、何回繰り返すか等を、分析対象や分析条件等によって選択でき、一方の洗剤を用いる工程しか実施しない場合もある。
工程S8は、反応容器2内にシステム水の吐出を行う工程である。工程S9は、反応容器2内からシステム水の吸引を行う工程である。工程S10は、反応容器2内にシステム水の吐出を行う工程である。工程S11は、反応容器2内からシステム水の吸引を行う工程である。工程S8,S9と、工程S10,S11とは、いずれもシステム水を用いた反応容器2内の洗浄及び濯ぎを行う工程であるが、本例では2回の繰り返しとして設けられている。工程S8,S9では、前の洗剤を用いた工程によって残っている洗剤成分と工程S8で吐出したシステム水とを用いた洗浄及び濯ぎが行われる。工程S10,S11では、工程S10で吐出したシステム水を用いて主に濯ぎが行われる。工程S11の後の状態で、洗剤成分が残っていないことが理想である。なお、工程S8,S9と、工程S10,S11とでは、例えばノズルの高さ位置が異なる(後述の図5)。
工程S12は、反応容器2内にブランク値測定用のシステム水の吐出を行う工程である。工程S13は、反応容器2内にブランク値測定用のシステム水が溜められた状態でブランク値を光学測定する工程である。工程S14は、反応容器2内からブランク値測定用のシステム水の吸引を行う工程である。工程S15は、追加吸引工程、言い換えるとチップ吸引工程であり、反応容器2内のシステム水等の残存液体を完全に除去するために追加吸引を行う工程である。工程S15は、下端に所定の吸引チップ(吸引ブロック)が取り付けられた吸引ノズルを含む機構を用いて行われる。
洗浄工程S20(工程S15)を経由した反応容器2は、洗浄済み状態となっており、次の分析工程(試料分注工程、光学測定工程等を含む)で使用可能である。
[洗浄工程の各ノズル]
図3は、図2の洗浄工程S20の各工程で使用されるノズル等の構成概要を示す。反応容器洗浄機構17には、工程毎の役割を担う、これらの複数の種類の複数のノズル等が配置されている。ノズルの種類として、少なくとも、吸引ノズル、吐出ノズル、溢れ吸引ノズル、等を含む。各種のノズルは、工程毎に役割に応じた専用のものが使用される。図3では、各工程の反応容器2の内壁の底面のZ方向の位置Z0及び上面の位置Zmを同じとして揃えた状態で、反応容器2内にノズル等の一部が挿入されている状態を、XZ平面で示している。
各工程のノズルは、反応ディスク1の円周上の所定の位置に対して配置されており、反応ディスク1の円周上でその位置に回転移動してきた反応容器2に対して上下移動によってアクセスされる。図示しないが、各ノズルのZ方向上端側は、反応容器洗浄機構17内で共通に接続されている。各ノズルのZ方向下端側は所定の位置関係(後述の図5)を持つように設計されている。各ノズルのZ方向上端側は、前述のチューブと接続されており、チューブの流路を通じて、共有部分であるポンプ等と接続されている。ノズルとポンプとの間の流路上には、電磁弁、流量調整部等が設けられている。
工程S1では、反応溶液吸引ノズル37を用いる。工程S2では、システム水吐出ノズル38及び溢れ吸引ノズル51を用いる。工程S3では、洗浄液吸引ノズル39を用いる。工程S4では、洗剤A吐出ノズル40及び溢れ吸引ノズル52を用いる。工程S5では、洗浄液吸引ノズル41を用いる。工程S6では、洗剤B吐出ノズル42及び溢れ吸引ノズル53を用いる。工程S7では、洗浄液吸引ノズル43を用いる。工程S8では、システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54を用いる。工程S9では、洗浄液吸引ノズル45を用いる。工程S10では、システム水吐出ノズル46及び溢れ吸引ノズル55を用いる。工程S11では、洗浄液吸引ノズル47を用いる。工程S12では、ブランク用システム水吐出ノズル48を用いる。工程S13では、分光光度計18を用いてブランク値の光学測定が行われる。工程S14では、ブランク用システム水吸引ノズル49を用いる。工程S15では、吸引チップ56が取り付けられた吸引ノズル50を用いて、チップ吸引が行われる。
液体の吐き出しを行う工程である工程S2,S4,S6,S8,S10に対応する機構では、それぞれ、吐出ノズルと共に溢れ吸引ノズルが設けられている。それらの工程における二種類のノズルである吐出ノズル及び溢れ吸引ノズルは、それぞれ、連結構造となっており、一体的に上下移動が制御される。各工程の吐出ノズルの下端と溢れ吸引ノズルの下端との距離、高さ位置関係が一定に維持される。溢れ吸引ノズルは、反応容器2の上面(位置Zm)からの液体の溢れ出しを防止するために、所定位置から上への液体溢れ分の吸引を行うノズルである。
なお、自動分析装置内には、図示しないが、システム水、洗剤、ブランク用システム水、等の各種類の液体の流量を調整するための流量調整部、及び電磁弁が流路上に設けられている。制御装置100は、電磁弁の開閉制御と共に各液体の流量を制御する。各工程のシステム水吐出ノズル38,44,46は、その流量調整部を共有している。
また、洗浄機構において、各ノズルのZ方向上端側には、図示しないが、緩衝機構が設けられている。緩衝機構は、ノズルのZ方向下方への移動に伴い、ノズル先端が反応容器2の底面に衝突した場合に衝突力を和らげるように緩衝する。そのため、ノズル先端が反応容器2の底に衝突した場合でも問題無いようにされている。
各工程の溢れ吸引ノズルは、基本的には、反応容器洗浄機構17の下降動作時に吸引動作を開始させ、上昇動作時に吸引動作を停止するように制御される。
[工程S8のノズル]
図4は、システム水吐き出し工程である工程S8で使用するノズルを含むシステム水吐出機構400の構成をXZ平面での断面で示す。図4では、反応容器2内の所定の位置にノズルが配置された状態を示す。反応容器洗浄機構17のうちのシステム水吐出機構400は、システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54を有し、それらのノズルは連結構造である。反応容器2の内壁(液体が充填可能である容積部分)のZ方向の高さをH0とする。反応容器2の内壁のX方向の幅をW0とする。
システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54の内部はZ方向に延在する空洞の流路となっている。システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54のZ方向上端や下端は開口となっている。システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54のZ方向上端側は、それぞれ接続部品を介してチューブ等に接続されている。各チューブ等の先には、電磁弁、流量調整部、ポンプ等が接続部品を介して接続されている。システム水吐出ノズル44は、送液ポンプに対して接続されている。溢れ吸引ノズル54は、真空吸引ポンプに対して接続されている。流量調整部は、吐出や吸引の際に送液される液体の流量を調整する。電磁弁は、開状態では流路の液体の送液が行われ、閉状態では送液が行われない。なお、チューブ、電磁弁、流量調整部、ポンプ、接続部品等は、公知技術で構成できる。
矢印は、吐き出し時の液体の流れの概要を示す。吐出401は、システム水吐出ノズル44のZ方向下端の開口からZ方向下方へのシステム水の吐き出しを示す。吸引402は、溢れ吸引ノズル54のZ方向下端の開口からZ方向上方へのシステム水の溢れ分の吸引を示す。
工程S8で、システム水吐出ノズル44は、Z方向の下端が所定の位置Z1になるように上下移動が制御される。実施の形態1では、システム水吐出ノズル44の下端は、水平面に対して所定の角度(カット角)で傾斜を持つようにカットされている開口410を有する。この傾斜を持つ開口410のうちで最もZ方向下になる位置が位置Z1とされる。開口410の傾斜面の方向は、溢れ吸引ノズル54を向く方向とされている。これにより、システム水吐出ノズル44から溢れ吸引ノズル54へ向かう流れが形成され、溢れ吸引ノズル54による吸引の効率を高めている。なお、変形例として、システム水吐出ノズル44の下端の開口410は、上記構成に限らず、水平面としてもよい。
システム水吐出ノズル44の下端の開口410から吐き出されたシステム水は、反応容器2の内壁の底面に当たって流れの方向が水平方向に変えられ、更に、水平方向から鉛直方向上方への流れに変えられる。システム水の上方への流れのうち、位置Z2に達してその上に超えて溢れる分の液体は、溢れ吸引ノズル54の下端から吸引される。
反応容器2内にシステム水を吐き出す工程S8では、システム水吐出機構400のZ方向下方への移動によって、反応容器2内にシステム水吐出ノズル44の下端を含む部分が挿入される。反応容器2の内壁の底面のZ方向の位置Z0に対し、システム水吐出ノズル44の下端の静止の位置が位置Z1とされる。位置Z1は、工程S8に応じて規定されたZ方向高さとされている。システム水吐出ノズル44の下端(位置Z1)と反応容器2の内壁の底面(位置Z0)との距離は、所定の間隔の距離d1とされる。
また、それと共に、反応容器2内に溢れ吸引ノズル54の下端を含む部分が挿入される。反応容器2の内壁の底面の位置Z0に対し、溢れ吸引ノズル54の下端の静止の位置が位置Z2とされる。位置Z2は、工程S8に応じて規定されたZ方向高さとされており、底面(位置Z0)からの距離は距離d4である。システム水吐出ノズル44の下端の位置Z1に対して、所定の距離d2を持つ。また、位置Z2は、反応容器2の内壁の上面の位置Zmに対して、所定の距離d3を持つ。
システム水吐出ノズル44の中心軸のX方向及びY方向の位置は、反応容器2の開口面のうち任意の位置でよいが、例えば反応容器2の中心軸の付近の位置とする。溢れ吸引ノズル54の中心軸のX方向及びY方向の位置は、システム水吐出ノズル44の中心軸に対して近い位置とすればよい。システム水吐出ノズル44の径W1、及び溢れ吸引ノズル54の径W2は、反応容器2の開口面の径よりも小さい所定の径である。実施の形態1では、他の工程も含め、各ノズルの径は、共通して同じとしている(W1=W2)。この径は、例えば、外径が1.5mm、内径が1.1mmであるが、これに限らなくてもよく、各役割のノズル毎に径が異なっていてもよい。反応容器2の水平方向の断面は、例えば矩形であるが、円形等でもよい。各ノズルの水平方向の断面は、例えば矩形であるが、円形等でもよい。
制御装置100は、システム水の吐き出しを行う工程S8で、システム水吐出機構400を以下のように制御する。制御装置100は、システム水吐出機構400をZ方向で下降させることで、システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54の下端を反応容器2内に挿入し、各ノズルの下端が図4の所定の位置になるようにして静止させた状態とする。制御装置100は、基本的に、その静止の状態で、システム水吐出ノズル44からシステム水を吐き出し、溢れ吸引ノズル54から溢れ分を吸引するように制御する。
制御装置100は、所定のタイミングで、システム水の吐き出しに関して、電磁弁を開状態とし、送液ポンプによって、チューブ等を経由してシステム水吐出ノズル44へ送液して、吐き出しを開始させる。そして、システム水吐出ノズル44の下端からシステム水が吐き出しされる。また、制御装置100は、所定のタイミングで、溢れ吸引に関して、電磁弁を開状態とし、真空吸引ポンプによって、溢れ吸引ノズル54からの吸引を開始させる。溢れ吸引ノズル54から吸引された液体は、チューブ等を経由して送液され、排出される。
制御装置100は、反応容器2内に所定量のシステム水を吐出させた後、吐出及び吸引を停止させて、システム水吐出機構400をZ方向で上昇させることで、システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54の下端を反応容器2内及び液面から引き抜く。
図4で、説明上、位置Zcは、底面(位置Z0)からZ方向の高さH0の二分の一の位置を示す。位置Zbは、底面から高さH0の三分の一の位置を示す。位置Zaは、底面から高さH0の四分の一の位置を示す。システム水吐出ノズル44の下端の位置Z1は、位置Z0から位置Zbまでの範囲内の値として規定される。
[各工程のノズルの高さ位置関係(1)]
図5は、反応容器洗浄機構17及び洗浄工程S20の各ノズルの高さ関係を示す。図3と同様に、反応容器2の内壁の底面の位置Z0、上面の位置Zmを共通としてXZ平面で示す。図5に示す各ノズルの高さは、反応容器洗浄機構17が反応容器2内に対する吐出や吸引を行うために下降した際の下限位置を示している。各ノズルのZ方向上端側は共通に接続されている。
各工程の各ノズルのZ方向の下端の位置、即ち反応容器2の内底(位置Z0)と各ノズル下端との距離は、規定された所定の範囲内の値とされている。工程のノズル間で相対的な所定の位置関係を満たす。各工程の各ノズルのZ方向の全長は、上記距離や位置関係を満たす値であれば任意である。例えば、図4の工程S8のシステム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54の場合、所定の位置Z1,Z2や距離d1〜d4が規定されている。
高さh1は、自動分析装置で設定可能である最大反応溶液量に対応する高さである。例えば、反応容器2の内壁の幅W0が3.4mm、光路長が5.6mm、反応容器2の内壁の高さH0が30mmの場合、最大反応溶液量が250μLである。その場合、最大反応溶液量の高さh1は13.1mmとなる。
(1)工程S1の反応溶液の吸引の際には、反応溶液吸引ノズル37を含む反応容器洗浄機構17を反応容器2の内底(位置Z0)に到達するまで下降させながら、反応溶液の吸引が行われる。更に、反応溶液吸引ノズル37の下端が反応容器2の内底に接した状態で一定時間吸引が続けられる。その吸引の終了後、反応溶液吸引ノズル37が上昇されて吸引動作が終了する。なお、反応液吸引ノズル37の詳しい形状としては、反応容器2の内底に接した状態でも吸引のための所定の隙間が形成されるように、先端の開口部が所定の角度(カット角=15度)でカットされている形状である。
(2)工程S2では、高さh1よりも高い液面高さである高さh2(h2>h1)となるように、システム水502が吐出される。例えば、h2≒h1+7mm≒20mmと規定される。工程S2では、システム水吐出ノズル38が下降した際、それに伴い、溢れ吸引ノズル51の下端が、反応容器2の内底から高さh2の距離、即ち20mmの高さ位置に配置される。システム水吐出ノズル38は、溢れ吸引ノズル51よりも先端が長い形状である。例えば、システム水吐出ノズル38の下端は、溢れ吸引ノズル51の下端(位置z2)よりも、2mm長い。即ち、システム水吐出ノズル38の下端は、反応容器2の内底からh2−2mmの高さ位置に配置される。
工程S2のシステム水の吐出量は、所定量に制御される。この吐出量は、最低でも溢れ吸引ノズル51の下端(位置z2)に到達する量であり、例えば381mL以上である。溢れ吸引ノズル51を高さh2の位置z2にするのは、工程S2の段階では反応溶液成分が多く存在し、その成分を反応容器2の内壁の上部(高さh1より上の範囲)に付着させないようにするためである。そのため、高さh2は、高さh1より高く2×h1以下の値に規定される(h1<h2≦2×h1)。また、システム水吐出ノズル38を溢れ吸引ノズル51よりも長くするのは、システム水の吐出の際に、溢れ吸引ノズル51側にシステム水が引かれて飛散するのを避けるためである。更に、システム水吐出ノズル51の下端をシステム水の液面(高さh2)の付近(h2−2mmの位置)に配置するのは、反応溶液成分によってシステム水吐出ノズル51が汚染される範囲を極力小さくするためである。
(3)工程S3のシステム水の吸引は、システム水吸引ノズル39を用いて、工程S1と同様の構成で実施される。
(4)工程S4の洗剤Aの吐出では、高さh2と同じ、もしくは高さh2よりも高い液面高さである高さh3を確保するように、洗剤A吐出ノズル40及び溢れ吸引ノズル52が配置される。洗剤A吐出ノズル40と溢れ吸引ノズル52は、工程S2と同様の位置関係で配置される。例えば、工程S2と工程S4で液体を同量(高さh2)とする場合、溢れ吸引ノズル52は、反応容器2の内底から20mmの位置z2に配置され、洗剤A吐出ノズル40は、h3−2mmの高さ位置に配置される。工程S2よりも工程S4の洗剤Aの吐出の液面高さである高さh3を高くする場合、洗剤A吐出ノズル40と溢れ吸引ノズル52の相対的な位置関係は変えずに、図示のように、それらのノズルの反応容器2の内底からの高さが変更される。ただし、洗剤成分が工程間で持ち越される可能性があるため、高さh3は過度に高い位置にならないように設定される。例えば、高さh3は、h2+3mmを上限とする(h2<h3≦h2+3mm)。図示する例では、洗剤Aの液面高さの位置z3について、h3=h2+3mm≒23mmである。
洗剤Aの吐出量は、所定量に制御される。その吐出量は、溢れ吸引ノズル52の下端に到達する量、例えば、反応容器2の内底から20mmの高さの場合には381mL以上である。
(5)工程S5の洗剤Aの吸引は、洗浄液吸引ノズル41を用いて、工程S1の反応溶液の吸引と同様の構成で実施される。
(6)工程S6の洗剤Bの吐出は、洗剤B吐出ノズル42を用いて、工程S4の洗剤Aの吐出と同様の構成で実施される。洗剤B吐出ノズル53及び溢れ吸引ノズル53の下端の高さ位置は、工程S4の高さ位置と同等である。
(7)工程S7の洗剤Bの吸引は、洗浄液吸引ノズル43を用いて、工程S1の反応溶液の吸引と同様の構成で実施される。
(8)工程S8では、図4のシステム水吐出機構400を用いて、システム水508の吐き出しがされる。制御装置100は、システム水吐出機構400をZ方向で下降動作させて、反応容器2内の所定の位置まで、システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54の下端を挿入させて静止させる。制御装置100は、その状態でシステム水吐出ノズル44からシステム水508を吐き出すように、かつ、溢れ吸引ノズル54から溢れ分を吸引するように制御する。所定量の吐き出し後、制御装置100は、システム水吐出機構400をZ方向で上昇動作させて反応容器2内から各ノズルを引き抜く。
工程S8のシステム水508の吐出では、図4に示すように、前述の工程S4の洗剤A、または工程S6の洗剤B、もしくはそれら両方の洗剤の界面活性剤成分が比較的多く残っている反応容器2に対して吐出を行う。そのため、工程S8では、気泡が発生しやすい状態となっている。一方、工程S8のシステム水508の吐出は、反応容器2内の洗浄液が届いていない上部の洗浄と、前述の洗剤成分の濯ぎとを兼ねている。そのため、工程S8では、Z方向の洗浄範囲を広くし、できるだけ多量の洗浄液を反応容器2内に分注する必要がある。
[洗浄工程に係わる成分の濃度]
図6は、実施の形態1の自動分析装置で、洗浄工程S20に係わる反応溶液成分と洗剤成分の濃度推移(割合)の例を示す。図6の横軸は、工程に対応した動作番号を示し、縦軸は濃度[%]を示す。推移601は、反応溶液成分の濃度の推移を示し、推移602は、洗剤成分の濃度を示す。図6では、吸引後の反応容器2内の残水を5μLと仮定して計算している。領域611(工程S1〜S3)は、反応溶液成分によるノズルの汚染を避けるべき領域を示す。領域612(工程S4〜S7)は、洗剤成分によるノズルの汚染を避けるべき領域を示す。領域613(工程S8〜S9)は、洗剤成分が比較的多く残る領域を示す。
上記のように、工程S8のシステム水吐出タイミングでは、反応容器2内に気泡が発生しやすくなっている。そのため、比較例の自動分析装置として、工程S8において工程S2,S4,S6のような吐出方式を同様に適用した場合、多量の気泡の発生を招いてしまう。これにより、後の工程S13のブランク値測定までに、その気泡が反応容器2内に残ってしまう可能性が高くなる。工程S13で測光域(光学測定の光が通過する領域)にその気泡が掛かった場合、測定結果のブランク値が劣化や異常値となる恐れがある。
また、工程S2,S4,S6、後述の工程S10の吐出方式では、溢れ吸引ノズル51,52,53,55により、最終的にシステム水や洗剤等の液体が到達する高さ位置を定めることはできる。しかし、厳密に言えば、各液体の吐出中及び吐出直後の液面の揺れや波立ちによって、瞬間的な水位にはばらつきが生じる。即ち、後述の図7に示すように、工程S8のシステム水吐出のような、洗浄範囲をなるべく広くとりたいタイミングで、工程S2等の吐出方式を採用した場合、吐出中や直後に液面の水位にばらつきが生じる。そのため、その水位(水平方向位置に応じた高さ)が、溢れ吸引ノズル54の高さ位置を瞬間的に越えて、反応容器2の上面(位置Zm)から液体(洗浄液)が溢れ出す可能性がある。
[比較例のシステム水吐出工程]
図7は、比較例の自動分析装置において、工程S8に相当するシステム水の吐出を行う際に、工程S2,S4,S6のような従来と同じ吐出方式を採用した場合の課題を示す。図7の(A)は、各ノズルの所定の配置状態で、システム水が吐き出されている途中の状態を示す。反応容器2内のZ方向の上部の上面(位置Zm)に近い位置Zyに溢れ吸引ノズル702の下端が配置されている。位置Zyの少し下の位置Zxにシステム水吐出ノズル701の下端が配置されている。理想的な一定の洗浄範囲710は、溢れ吸引ノズル702の高さの位置Zyに対応した範囲である。(A)の状態では、システム水の中に気泡が発生している。
図7の(B)は、(A)から吐出が続いて、溢れ吸引ノズル702の下端の位置Zyまでシステム水が達した状態を示す。位置Zyに対し、システム水の液面には揺れや波立ちが生じており、Z方向の液面揺れ範囲720を示す。これにより、反応容器2の上面(位置Zm)の開口の一端からシステム水の溢れ出し730が生じている。
また、(A),(B)の状態では、前の工程から持ち越された残存の洗剤成分(界面活性剤成分)とシステム水との混合によって、気泡が発生しやすい。特に、反応容器2の底面に対して離れた上方の位置Zxから吐き出された液体が底面付近の液面に当たるので、気泡が発生しやすい。
図7の(C)は、(B)に対し、液面が到達した高さが異なる例を示し、液面揺れ範囲740を示す。反応容器2の内壁側面において、詳細位置に応じて、液面が到達する高さ及び範囲が異なっており、洗浄ムラとなっている。洗浄ムラ範囲750を示す。例えば、図示する左側面では、液体が到達する範囲が左側洗浄範囲761となっており、右側面では、右側洗浄範囲762となっており、高さ及び範囲が異なっている。即ち、実際の洗浄範囲が、理想の洗浄範囲710に対して、不均一でばらつきが生じている。
図7の(D)は、後のブランク値測定工程の状態を示す。反応容器2内にブランク測定用システム水770が吐出されているが、その中に前の工程からの気泡が残存している。このため、ブランク値測定の際に、その気泡が影響して、測定精度が低下する恐れがある。
図7の(B)の例のような洗浄液の溢れ出しを避けるために、洗浄液の吐出量を減少させて液面到達高さを低下させた方式とする場合、前述の液面揺れや波立ちによって、反応容器2の内壁側面に対する洗浄液の当たり方に偏りやムラが生じる。即ち、洗浄範囲及び洗浄効果にムラが生じる。これにより、工程間で反応容器2内の液体成分が持ち越される原因や、内壁側面に汚れが蓄積する原因となる。
つまり、工程S8のシステム水吐出は、反応容器2のZ方向の洗浄範囲を上限付近まで広げ、且つ、洗浄範囲のばらつきを小さくしつつ、気泡の発生を抑えるような方式で実施されることが望ましい。
[システム水吐出工程(工程S8)]
上記課題に対し、実施の形態1の自動分析装置では、図4のようなシステム水吐出機構400を用いて、図8のように、工程S8で特有の制御を行う。
図8は、実施の形態1で、工程S8の制御の様子を示す。図8の(A)は、反応容器2内にシステム水吐出機構400のシステム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54の下端が挿入され静止した状態を示す。図4の通り、所定の配置状態として、システム水吐出ノズル44の下端が位置Z1、溢れ吸引ノズル54の下端が位置Z2である。システム水吐出ノズル44の下端の開口から洗浄液としてシステム水が吐出されている状態を示す。液面高さ(水位)が例えば位置801にある状態である。溢れ吸引ノズル54は吸引動作が開始されている状態である。システム水吐出ノズル44の下端から下へ出たシステム水は、底面に当たって水平方向への流れとなり、更に、鉛直方向上方への流れとなる。
システム水吐出ノズル44は、下降動作完了時に反応容器2の内底(位置Z0)に近い位置Z1をとれるように、溢れ吸引ノズル54に対して長い形状である。例えば、位置Z1は、内底の位置Z0から、反応容器2の内壁の全体の高さH0の三分の一(図4の位置Zb)以下の位置に規定されている(Z0<Z1≦Zb)。この範囲の位置Z1であれば、十分な効果が得られる。実施の形態1では、特に、位置Z1を、高さH0の四分の一の位置Za以下の、底面に近い位置としている。
図8の(B)は、(A)から吐出が続いて、システム水の液面が、溢れ吸引ノズル54の下端の位置Z2に達して少し越えた状態を示す。液面高さ位置を液面802で示す。反応容器2内には、Z方向下から上への流れが形成されている。制御装置100は、システム水の吐出量が所定量となるように制御する。その吐出量は、液面が溢れ吸引ノズル54の下端の位置Z2に到達する量である。
また、制御装置100は、システム水の吐き出しの流量及び速度を制御して、液面の揺れや波立ちの範囲がある程度までに抑制されるようにする。液面802の液面揺れ範囲803を示し、Z方向で微小な範囲とされる。これにより、上面(位置Zm)からの液体の溢れ出しが防止される。
なお、変形例として、制御装置100は、最初、液面が反応容器2の下部(例えば図5の半分の位置Zcまで)にある状態では、吐き出しの流量及び速度を相対的に速い第1状態に制御してもよい。そして、制御装置100は、液面が反応容器2の上部(例えば位置Zcより上)にある状態、位置Z2に近い付いた状態では、吐き出しの流量及び速度を相対的に遅い第2状態に制御してもよい。この変形例によれば、液面揺れを抑えつつ、工程S8に要する時間をより短くできる。
図8の(C)は、(B)の詳細として、図4と同様の構成であり、システム水吐出ノズル44の下端にカット角による開口410を有する場合を示す。開口410からの液体の主な流れは、溢れ吸引ノズル54の下端の方向に沿っている。実施の形態1での洗浄範囲810を示す。この洗浄範囲810は、反応容器2の上面の近くまである広い範囲であると共に、比較例(図7)の場合よりも均一な範囲となっており、反応容器2の内壁側面の洗浄ムラも微小である。
上記(B)や(C)のように、実施の形態1の機構及び制御では、工程S8で気泡が発生しにくい。また、工程S8で気泡が発生した場合でも、その発生した気泡が剥離や除去される。即ち、その気泡は、反応容器2内の下から上への流れに乗って運ばれ、溢れ吸引ノズル54によって吸引されるか、液面802から外へ出る。そのため、反応容器2内に気泡が残存しにくい。
工程S8でのシステム水の吐出の開始タイミングは、基本的な制御としては、下降動作でシステム水吐出ノズル44の下端が位置Z1まで達した後とする。この配置状態で、システム水吐出ノズル44からのシステム水が、反応容器2の内底から鉛直方向上方へ迫り上がるように吐出する。そのため、気泡が発生しにくい。また、気泡が発生した場合でも、下から上への流れが形成されているため、反応容器2内から気泡を剥離でき、液面802の方向へその気泡を移動させることができる。
工程S8のシステム水の吐出の開始タイミングの制御は、前述の所定の条件を満たしていれば、上記構成に限らず可能であり、例えば、下降動作中としてもよい。具体的には以下である。
図9は、変形例として、システム水吐出ノズル44の下降動作中にシステム水の吐出を開始させる制御例を示す。図9の(A)は、システム水吐出機構400の下降動作中の状態を示し、システム水吐出ノズル44の下端が位置Z1に至る前の状態である。反応容器2の内壁の高さH0が30mmとする。内壁の三分の一の高さの位置Zbが例えば10mmである。吐出開始タイミングの位置を位置Zsとする。位置Zsは、位置Z1よりも高く位置Zb以下の位置(Z1<Zs≦Zb)、例えば位置Zbと同じに規定される。制御装置100は、システム水吐出ノズル44の下端が位置Zbになったタイミングで吐出を開始させる。
図9の(B)は、(A)の下降動作が終了して図4と同様の所定の配置になった状態を示す。システム水吐出ノズル44の下端の位置は位置Z1であり、内底からの距離d1は例えば2mmである。この状態で、既にある程度の液面高さの位置902までシステム水が吐出済みの状態である。この変形例によれば、吐出開始タイミングを早めるので、工程S8に要する時間をより短くでき、処理効率をより高くできる。
また、システム水吐出ノズル44のZ方向の長さは、反応容器2及び溢れ吸引ノズル54との位置関係によって規定される。例えば、図4で、システム水吐出ノズル44の下端から溢れ吸引ノズル54の下端までの距離d2は、反応容器2の高さH0の三分の二以上の長さとして規定される(d2≧H0×2/3)。
システム水吐出ノズル44の先端の形状は、カット角があっても無くてもよい。図8の(B)のようにカット角を持たない形態とする場合、間隔の距離d1としては、最低でも1mm以上を設ける。図4及び図8の(C)のようにカット角(例えば15度)を持つ形態とする場合、同様に間隔の距離d1を設けるが、開口410が生じるので、ノズル先端が内底に接する構成としてもよい。
特に、システム水吐出ノズル44の下端の開口410に、カット角による傾斜面を設ける場合、カット角の傾斜面の方向は、図4等に示すように、溢れ吸引ノズル54の位置を向く方向とする。カット角は、水平面に対して10度以上、例えば15度とする。これにより、システム水吐出ノズル44の下端から溢れ吸引ノズル54の下端の方向への液体の流れが生じる。気泡が発生した場合でも、その流れに沿って気泡を効率良く溢れ吸引ノズル54側に追いやることができる。
[各工程のノズルの高さ位置関係(2)]
図5に戻って説明する。上記下降動作の終了時に、溢れ吸引ノズル54の下端は、反応容器2の上面(位置Zm)の付近の位置Z2に配置された状態となる。位置Z2は、反応容器2の上面の付近の位置として、上面(位置Zm)から高さH0の95%の位置までの範囲内の位置に規定される。工程S8の溢れ吸引ノズル54は、一連の洗浄工程S20における各溢れ吸引ノズル51〜55のうちで、最も高い位置Z2に配置されている。他の工程の溢れ吸引ノズルの下端の位置は、位置z2,z3,z4等であり、位置Z2より低い。工程S8のシステム水の液面の高さ(最大値)を高さh4で示す。高さh4は、溢れ吸引ノズルの下端の位置Z2の付近である。
実施の形態1の吐出方式によって、システム水の吐出中の液面の揺れや波立ちを小さくでき(図8)、そのため、反応容器2の上面の付近のぎりぎりまでシステム水(洗浄液)を迫り上げることが可能である。そのため、上記のように溢れ吸引ノズル54の位置Z2を最も高い位置に設定でき、Z方向に広い洗浄範囲を確保できる。システム水の液面802が達する高さh4に合わせて、溢れ吸引ノズル54の位置Z2が設計されている。位置Z2は、例えば、反応容器2の内底(位置Z0)から距離d4(図4)として29mmの位置であり、上面からは距離d3として1mmの位置であり、高さh4も同程度となる。
工程S8のシステム水(洗浄液)の吐出量は、溢れ吸引ノズル54の位置Z2に到達する量であり、且つ、過剰な流量によって吐出時の液面揺れ等がある程度までに抑制される量とする。例えば、その吐出量は、反応容器2の容積の97〜110%の範囲内の値に規定される。制御装置100は、流量調整部を用いてその吐出量を調整、制御する。
溢れ吸引ノズル54の位置Z2(距離d4)及び連結されているシステム水吐出ノズル44の位置Z1(距離d1)は、制御装置100からの制御に基づいて、到達させたい水位(高さh4)に応じて、所定の範囲内で変更されてもよい。なお、変形例として、洗浄機構におけるシステム水吐出ノズル44と溢れ吸引ノズル54は、連結構造に限らず可能であり、それらのノズルの上下移動及び下端位置を独立に制御する構成としてもよい。
実施の形態1の工程S8では、工程S2,S4,S6の吐出方式(図7の比較例)とは異なり、反応容器2の内底や液面に、ノズルから吐出されたシステム水が打ちつけられることが無いため、液面の揺れや波立ちが抑制される(図8)。したがって、液面の揺れが波立ちによる水位のばらつきを気にすることなく、溢れ吸引ノズル54の位置Z2に対応した、ほぼ理論値通りの液面802の高さ及び洗浄範囲810を確保することができる。実施の形態1で、工程S8における、個々の反応容器2の個体差等に応じた水位のばらつき(液面揺れ範囲803)は、例えば1mm以下に抑えることができる。
工程S8では、システム水の所定量の吐出が完了するまで、上昇動作を行わないように制御される。制御装置100は、システム水の吐出の完了後のタイミングで、システム水吐出ノズル44及び溢れ吸引ノズル54を含むシステム水吐出機構400の上昇動作を開始させる。工程S8では、気泡が発生した場合の気泡を溢れ吸引ノズル54で吸い切ってから、及びシステム水(洗浄液)の液面の動きが安定してから、各ノズルを引き抜くように上昇動作が制御される。工程S8では、他の工程のノズルと比較して、ノズルが液体に浸漬しているZ方向の範囲が広い。そのため、工程S8で浸漬状態からノズルを引き抜く際に、システム水吐出ノズル44に付着した液体の落下や飛び散りが無いようにしなければならない。即ち、その液体落下等による反応容器2の上面からの溢れ出しや、内壁側面への液体付着等を避ける必要がある。そのため、実施の形態1の自動分析装置では、工程S8の上昇動作のタイミング等を適切に制御する。詳しくは以下の制御例のように上昇動作が制御される。
図10は、実施の形態1で、上昇動作の制御例に関して示す。図10の(A)は、反応容器2の形状及び容積について示す。例えば、反応容器2の内壁における幅W0を3.4mmとし、光路長L0を5.6mmとし、高さH0を30mmとする。概略的に、反応容器2の容積は、3.4×5.6×30mmである。また、システム水吐出ノズル44等の各ノズルの径R(前述のW1,W2)を、例えば1.5mmとする。
図10の(B)は、前述のシステム水吐出機構400の各ノズルの所定の位置Z1,Z2の状態を示し、システム水吐出ノズル44がシステム水に浸漬された状態、上昇開始の第1時点の状態を示す。ここでは液面802の高さ位置は位置Z2と同じとする。
図10の(C)は、上昇途中の第2時点を示し、ちょうどシステム水吐出ノズル44の下端が液面1101から離脱した時点を示す。位置Z1から液面1101までの距離を距離Dで示す。
システム水吐出ノズル44の上昇による引き抜きの際に、システム水に浸漬していたシステム水吐出ノズル44の体積の分、システム水の液面が低下することを考慮する。本例では液面1101から液面1102のように低下している。その考慮に基づいて、上昇によってシステム水吐出ノズル44が液面1102から離脱するまでの距離Dが計算される。
自動分析装置は、液面からノズルが離脱するまでは低速の上昇動作を行い、液面からノズルが離脱した以降では高速の上昇動作を行うように制御する。即ち、制御装置100は、上昇開始の第1時点から、離脱の第2時点までの第1期間に対応したZ方向の範囲Q1では、システム水吐出機構400の上昇動作の速度を、相対的に低速な第1上昇速度とするように制御する。制御装置100は、第2時点から以降の第2期間に対応したZ方向の範囲Q2では、システム水吐出機構400の上昇動作の速度を、相対的に高速な第2上昇速度とするように制御する。例えば、第1上昇速度は、通常のノズル下降動作の速度に比べて低速な速度と規定される。例えば、第2上昇速度は、通常のノズル下降動作の速度に比べて高速な速度、例えば機構として可能な最大速度に設定される。なお、上昇動作の際には、加速度を持たせるようにしてもよい。詳しくは、図11のように規定される。
範囲Q1に対応した距離Dは、以下のように計算できる。前述の底面の隙間の距離d1を距離Eとする。前述の溢れ吸引ノズル54(液面1101)までの距離d4を距離Fとする。距離E,Fは設計値である。変化前後の液面1101と液面1102との高さの差分を距離Gとする。距離Dは、距離E,F,Gを用いて、式(1)として、D=F−G−Eである。また、システム水に浸漬しているシステム水吐出ノズル44の部分の体積をV[μL]とする。式(2)として、V=R×π×(F−E)である。システム水吐出ノズル44の引き抜き後の高さの変化量である距離Gは、式(3)として、G=V/(L0×W0)である。上記式(1)〜(3)から、距離Dが得られる。
図11で、範囲Q1の第1上昇速度は、例えば、第2上昇速度の三分の二以下の速度として規定される。範囲Q1の第1上昇速度は、一定速度に制御されるか、もしくは、範囲Q2の第2上昇速度へと加速するように制御されてもよい。システム水吐出ノズル44の下端が距離Dを過ぎた範囲Q2では、第2上昇速度として最高速度で上昇される。上記上昇動作の制御によって、システム水吐出ノズル44に付着する液体の絶対量及びばらつきを低減でき、前述の液体落下や飛び散り等による液面揺れ等を防止できると共に、上昇動作に要する時間を短くできる。
[溢れ吸引ノズルの制御]
実施の形態1の変形例として、工程S8の溢れ吸引ノズル54の吸引のタイミングは、以下のように制御されてもよい。前述のように、溢れ吸引の開始タイミングの基本的な制御としては、下降動作の開始時としたが、これに限らず可能であり、下降後の静止状態からの開始としてもよい。図12は、変形例における溢れ吸引タイミング制御例を示す。図12の(A)は、工程S8で、システム水吐出機構400の下降動作によって、各ノズルが前述の所定の位置に配置されている状態を示す。制御装置100は、下降動作時には、まだ溢れ吸引ノズル54の吸引動作を開始させない。制御装置100は、(A)の静止状態(もしくは前述の下降動作中)でシステム水の吐出を開始させる。制御装置100は、吐出開始時点から所定時間の経過後の時点、または前述の所定の吐出量のうちの一部の所定量の吐出後の時点で、溢れ吸引ノズル54の吸引動作を開始させる。図12の(B)は、その溢れ吸引ノズルの吸引動作の開始の時点の状態を示す。本例では、液面の高さ1201が、前述の高さH0の半分の位置Zcになった状態である。この時点で、溢れ吸引ノズル54からの吸引が開始されている。
[各工程のノズルの高さ位置関係(3)]
図5に戻って、工程S9以降について説明する。
(9)工程S9のシステム水の吸引は、システム水吸引ノズル45を用いて、工程S1と同様の構成で実施される。
(10)工程S10は、システム水吐出ノズル46及び溢れ吸引ノズル55を含むシステム水吐出機構を用いて、自動分析装置の構成に応じて、前述の工程S8の方式、もしくは工程S2,S4,S6と同様の方式でシステム水の吐出が行われる。実施の形態1では、工程S2,S4,S6と同様の方式を用いる場合を示す。即ち、工程S10での各ノズルの高さ位置は、工程S8のそれとは異なっている。
図6に示すように、工程S10の時には、工程S8及び工程S9の動作によって、反応容器2内の洗剤成分が極めて少ない状態になっている。そのため、工程S10では、殆ど気泡が発生しないと見込まれ、また、気泡が発生する場合でも工程S8の時よりも少ない量しか発生しないと見込まれる。また、工程S10のタイミングでは、洗浄液成分の殆どが前の工程でシステム水で置換されている状態となっている。そのため、工程S10は、工程S8が洗浄及び濯ぎの役割であるのに対して、洗剤成分の入念な濯ぎが主な役割である。そのため、工程S10では、工程S8の時ほど、厳密な水位到達範囲(洗浄範囲)の制御は必要無い。したがって、工程S10では、工程S2,S4,S6と同様の吐出方式を適用できる。工程S10での溢れ吸引ノズル55の下端の位置を、底面からの高さh5で示す。システム水吐出ノズル46の下端の位置は、溢れ吸引ノズル55の下端から少し下の位置とされ、底面からの高さh6で示す。
一方、工程S10の状態では、反応容器2内に界面活性剤成分が殆ど無くなっていることで、システム水(洗浄液)の表面張力が大きくなる。そのため、工程S10では、吐出終了後にシステム水吐出ノズル46を引き抜く際に、システム水吐出ノズル46の先端周りに洗浄液の液滴が生じやすい。そして、システム水吐出ノズル46の先端からその液滴が液面に落下する可能性がある。
更に、反応容器洗浄機構17は、前述のように、複数の工程の複数のノズルに対して、一部の動作部分や要素が共有される構成であり、それにより装置の小型化や低価格化等の利点を実現している。その代わり、この構成では、個々のノズル毎に動作を細かく設定することが難しいという不利点がある。例えば、前述のように、工程S8のシステム水吐出ノズル44の上昇動作が規定されたとする。反応容器洗浄機構17において、工程S10のシステム水吐出ノズル46と、工程S8のシステム水吐出ノズル44とでは、上端側の一部が機構に共通に接続されている構成である。それらのノズルの下端は、予め規定された高さ関係を持つように設計されている。即ち、それらのノズルは、ほぼ同一の上下動作が行われる。一方のノズルが上昇、他方のノズルが下降、といった独立した動作は、そのための専用の機構を追加しない限りできない。
工程S10のノズルと工程S8のノズルとが連動で上昇動作する。その際、液面からノズル下端が引き抜かれる際に、前述の問題が生じないようにする必要がある。その条件を満たすように、工程S10では、工程S8と同様の方式、あるいは工程S2等と同様の方式が適用される。また、工程S10では、工程S2等のノズル高さ位置よりも高い位置になるように、システム水吐出ノズル46及び溢れ吸引ノズル55の高さ位置が規定されてもよい。工程S10のシステム水吐出ノズル46の下端の位置(高さh6)は、反応容器2の内底から比較的高く上面に近い位置、例えば工程S2の各ノズルの高さ位置よりも高い位置に設定される。高さh6は例えば26mmとされる。溢れ吸引ノズル55の下端の位置(高さh5)も、比較的高い位置とされる。高さh5は例えば28mmとされる。この設定で、吐出時に液面に揺れ等がある程度生じたとしても、上面からの溢れ出しが生じないようにされる。
(11)工程S11は、システム水吸引ノズル47を用いて、工程S1と同様の構成で実施される。
(12)工程S12は、ブランク用システム水吐出ノズル48を用いて、ブランク用システム水が規定量で吐出される。工程S12は、規定量の吐出であるため、溢れ吸引ノズルは無い。工程S12では、反応容器2の内底(位置Z0)から規定の高さ(例えば1mm)の位置で、ブランク用システム水吐出ノズル48の下端からシステム水の吐出が行われる。
(13)工程S13では、前述のように、分光光度計18を用いて、ブランク吸光度が測定される。
(14)工程S14は、システム水吸引ノズル49を用いて、工程S1と同様の構成で実施される。
(15)工程S15は、吸引チップ56が取り付けられた吸引ノズル(残水吸引ノズル)50を含むチップ吸引機構を用いて、チップ吸引が行われる。このチップ吸引機構及び工程S15は、公知技術を適用できる。吸引チップ56は、樹脂等で構成されており、例えば長方体(ブロック)の形状を有し、内部に吸引のための流路を有する。吸引ノズル50の流路と吸引チップ56の流路はつながっている。吸引チップ56のX方向及びY方向の幅は、反応容器2の内壁の幅よりもやや小さい幅である。それにより、チップ吸引時に、吸引チップ56と反応容器2の内壁との間に、所定の間隔の流路が形成される。その流路を通じて、反応容器2内の残存液体が効率的に吸引される。前の工程S14までによって反応容器2の内壁の例えば四隅等に液体が残存していた場合でも、工程S15で吸引される。これにより、反応容器2は、洗浄及び濯ぎの完了状態となり、液体が残存していない高気密の状態となる。
[効果等]
上記のように、実施の形態1の自動分析装置によれば、洗浄機構に関して、反応容器の洗浄範囲のばらつき等を抑制でき、ブランク値測定等への影響を抑制でき、洗浄性能及びブランク値測定性能を維持または高めることができる。実施の形態1によれば、ブランク値の測定時の劣化や異常を回避でき、個々の反応容器の容積のばらつきやサイクル毎の流量の変化等にも依存せずに、反応容器の洗浄効果を均一に近付けることができる。
上記のように、実施の形態1では、一連の洗浄工程において、最も気泡が発生しやく洗浄範囲のばらつき等が生じやすい工程S8において、特有のシステム水吐出機構400を用いて特有の制御を行う。システム水吐出ノズル44の下端は、前述の位置Z1に規定される。反応容器の下部の位置Z1のノズルからシステム水を吐出するように制御される。これにより、液面の揺れ等が抑制でき、高さ方向の洗浄範囲が均一にでき、気泡の発生が抑制できる。また、吐出完了までシステム水吐出ノズル44の上昇動作をしないように制御され、溢れ吸引ノズル54の位置Z2が一定に保持される。これにより、液面の揺れ等の抑制と共に、システム水が競り上がる位置を反応容器2の個体差等にも依らずに均一にできる。且つ、気泡が発生した場合でもその気泡が効率的に溢れ吸引ノズル54に引き込まれて除去できる。また、システム水吐出ノズル44の洗浄液への浸漬状態からの引き抜き動作が液面の水位の変化に合わせて制御される。これにより、システム水吐出ノズル44に付着する液体の落下や飛び散りを防ぎ、液面を安定化させ、溢れ出し等を防止できる。これにより、実施の形態1によれば、気泡等による光学測定精度の劣化を防止でき、即ち光学測定精度を向上でき、分析の信頼性を向上でき、安定した運用が実現できる。
実施の形態1の変形例として、反応容器洗浄機構17において、各工程で、ノズルやポンプ等を共有せずに独立制御する構成としてもよい。その場合、装置小型化や低価格化の面では不利になる代わりに、より高度な制御によって高性能を実現できる。
以上、本発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
2…反応容器、44…システム水吐出ノズル、54…溢れ吸引ノズル、400…システム水吐出機構。

Claims (12)

  1. 光学測定及び反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置であって、
    前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、
    前記反応容器内に液体を吐出するための吐出ノズルを含み、前記吐出ノズルを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吐出する、吐出機構と、
    前記反応容器内の前記液体の溢れ分を吸引するための溢れ吸引ノズルを含み、前記溢れ吸引ノズルを鉛直方向上下に移動させて前記溢れ分を吸引する、溢れ吸引機構と、
    を有し、
    前記制御装置は、前記光学測定の工程の前に設けられた前記洗浄の工程のうち、洗剤を用いた工程よりも後で、ブランク値測定工程よりも前にある液体吐出工程において、前記吐出機構の下降動作によって、前記吐出ノズルの下端を、前記反応容器内の高さ方向の下部の第1位置に配置し、かつ、前記溢れ吸引機構の下降動作によって、前記溢れ吸引ノズルの下端を、前記反応容器内の高さ方向の上部の第2位置に配置した第1状態で、前記吐出ノズルからの前記液体の吐出、及び前記溢れ吸引ノズルからの前記溢れ分の吸引、を行うように制御する、
    自動分析装置。
  2. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記第1位置は、前記反応容器の内底から前記反応容器の内壁高さの3分の1の位置までの第1範囲内の位置である、
    自動分析装置。
  3. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記第2位置は、前記反応容器の上面の付近の位置として、前記反応容器の上面から内壁高さの95%の位置までの範囲内の位置であり、前記洗浄の工程の全工程のうちで最も高い位置である、
    自動分析装置。
  4. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記制御装置は、前記第1状態で、前記吐出ノズルから、前記液体を、液面が前記第2位置に達するように、前記反応容器の容積の97〜110%の範囲内の所定量を吐出させる、
    自動分析装置。
  5. 請求項2記載の自動分析装置において、
    前記制御装置は、前記下降動作の際、前記吐出ノズルの下端が前記第1位置に達する前の、前記第1範囲内の位置にある時点から、前記液体の吐出を開始させる、
    自動分析装置。
  6. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記制御装置は、前記第1状態で前記吐出及び前記吸引を停止させた後、前記吐出機構の上昇動作によって、前記吐出ノズルの下端を、前記反応容器内から引き抜き、かつ、前記溢れ吸引機構の上昇動作によって、前記溢れ吸引ノズルの下端を、前記反応容器内から引き抜くように制御する、
    自動分析装置。
  7. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記制御装置は、前記上昇動作の際、前記吐出ノズルの下端が前記液体の液面から離脱するまでの第1期間では第1上昇速度にし、前記吐出ノズルの下端が前記液体の液面から離脱した後の第2期間では前記第1上昇速度に対して相対的に高速な第2上昇速度に制御する、
    自動分析装置。
  8. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記制御装置は、前記吐出ノズルからの前記液体の吐出が開始された時点以降で、前記液体の液面が前記第2位置に達する前の時点で、前記溢れ吸引ノズルの吸引を開始させる、
    自動分析装置。
  9. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記吐出ノズルと前記溢れ吸引ノズルとが連結されており、一体的に移動が制御される、
    自動分析装置。
  10. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記吐出ノズルの下端の開口は、10度以上のカット角による傾斜面を持ち、
    前記傾斜面の方向は、前記溢れ吸引ノズルの下端の位置を向いた方向である、
    自動分析装置。
  11. 請求項1記載の自動分析装置において、
    前記反応容器として複数の反応容器が円周に配列され、回転動作が制御されるディスク機構を有し、
    前記ディスク機構の円周上における所定の位置に、前記洗浄の工程のための洗浄機構が配置されており、他の所定の位置に、前記光学測定の工程のための機構が配置されている、
    自動分析装置。
  12. 光学測定及び反応容器の洗浄を行う機能を備える自動分析装置における自動分析方法であって、
    前記自動分析装置は、
    前記光学測定及び前記洗浄を含むシーケンスを制御する制御装置と、
    前記反応容器内に液体を吐出するための吐出ノズルを含み、前記吐出ノズルを鉛直方向上下に移動させて前記液体を吐出する、吐出機構と、
    前記反応容器内の前記液体の溢れ分を吸引するための溢れ吸引ノズルを含み、前記溢れ吸引ノズルを鉛直方向上下に移動させて前記溢れ分を吸引する、溢れ吸引機構と、
    を有し、
    前記自動分析装置で実行されるステップとして、
    前記制御装置が、前記光学測定の工程の前に設けられた前記洗浄の工程のうち、洗剤を用いた工程よりも後で、ブランク値測定工程よりも前にある液体吐出工程において、前記吐出機構の下降動作によって、前記吐出ノズルの下端を、前記反応容器内の高さ方向の下部の第1位置に配置し、かつ、前記溢れ吸引機構の下降動作によって、前記溢れ吸引ノズルの下端を、前記反応容器内の高さ方向の上部の第2位置に配置した第1状態にするステップと、前記第1状態で、前記吐出ノズルからの前記液体の吐出、及び前記溢れ吸引ノズルからの前記溢れ分の吸引、を行うように制御するステップと、
    を有する、自動分析方法。
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