JPWO2018101308A1 - エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイス - Google Patents

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Abstract

集電基板と、該集電基板の少なくとも一方の面に形成されたアンダーコート層と、該アンダーコート層上に形成された活物質層とを備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極であって、前記電極を用いて作製したエネルギー貯蔵デバイスを活性化後、完全充電状態から放電深度20%まで放電した前記デバイスの、前記電極における、前記活物質に含まれるリチウム以外の金属原子のK吸収端エネルギーの二次元分布を、10〜50μm角の分解能でX線吸収微細構造解析によって測定し、完全充電状態のK吸収端エネルギーをA、完全放電状態のK吸収端エネルギーをBとして得られるヒストグラムの半値幅が|A−B|÷8.4以下であるエネルギー貯蔵デバイス用電極を提供する。

Description

本発明は、エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイスに関する。
スマートフォンやデジタルカメラ、携帯ゲーム機等の携帯電子機器の小型軽量化や高機能化の要求に伴い、近年、高性能電池の開発が積極的に進められており、充電により繰り返し使用できるリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタをはじめとしたエネルギー貯蔵デバイスの需要が大きく伸びている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、高電圧であり、また充放電時におけるメモリー効果が無いこと等から、現在最も精力的に開発が進められている二次電池である。また、近年の環境問題への取り組みから、電気自動車の開発も活発に進められており、その動力源としての二次電池には、より高い性能が求められるようになってきている。
リチウムイオン二次電池は、リチウムを吸蔵、放出できる正極と負極と、これらの間に介在するセパレータとを容器内に収容し、その中に電解液(リチウムイオンポリマー二次電池の場合は液状電解液のかわりにゲル状又は全固体型の電解質)を満たした構造を有する。正極及び負極は、一般的に、リチウムを吸蔵、放出できる活物質と、主に炭素材料からなる導電材、更にポリマーバインダーを含む組成物を、銅箔やアルミニウム箔等の集電体上に塗布することで製造される。このバインダーは、活物質と導電材、更にこれらと金属箔を接着するために用いられ、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に可溶なフッ素系樹脂や、オレフィン系重合体の水分散体等が市販されている。
前記活物質は、一般的に導電性が低く、正極及び負極といった電極の導電性は、主に電極に含まれる導電材が担っている。一方で、電池の容量を上げるためには、電極に占める活物質の割合を高くする必要がある。そのため、電極内の導電材の割合は少なくなり、電極に流れる電流は、電極内の極一部を介して流れている。活物質及び導電材は、その重量や形状、大きさ、比重等が大きく異なるため、電極は不均一になりやすく、前記電流の流れも不均一となりやすい。
非特許文献1や2は、このような電極の充放電の2次元不均一性の評価を行った例であるが、電極の導電性が低いために、電極の充放電が極めて不均一であることが示されている。このような不均一性は、電極が局所的に充放電をしやすいことを示しており、電池の劣化の原因となると考えられる。このような不均一性を改善するためには、導電助剤の添加量を増やす必要があるが、前述したように、結果として活物質の割合が減ってしまうために、電池の容量が減少する問題があった。
J. Power Sources, 269 (2014) 994-999. J. Power Sources, 229 (2013) 16-21.
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、均一に充放電を行うことができるエネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイスを提供することを目的とする。
本発明者らは、電極の活物質密度を保ったまま充放電を均一に行うという観点から鋭意検討を重ねた結果、集電基板と活物質層との間に導電性のアンダーコート層を備える電極であって、X線吸収微細構造(XAFS)解析を行った場合に所定のX線吸収分布を示す電極を用いることで、均一に充放電を行うことができるエネルギー貯蔵デバイスが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記エネルギー貯蔵デバイス用電極及びエネルギー貯蔵デバイスを提供する。
1.集電基板と、該集電基板の少なくとも一方の面に形成されたアンダーコート層と、該アンダーコート層上に形成された活物質層とを備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極であって、
前記電極を用いて作製したエネルギー貯蔵デバイスを活性化後、完全充電状態から放電深度20%まで放電した前記デバイスの、
前記電極における、前記活物質に含まれるリチウム以外の金属原子のK吸収端エネルギーの二次元分布を、10〜50μm角の分解能でX線吸収微細構造解析によって測定し、
完全充電状態のK吸収端エネルギーをA、完全放電状態のK吸収端エネルギーをBとして得られるヒストグラムの半値幅が|A−B|÷8.4以下
であるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
2.前記完全充電状態から放電深度20%までを、0.5〜50Cで放電する1のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
3.前記活物質が、鉄原子を含むものである1又は2のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
4.前記活物質が、リン酸鉄リチウムである3のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
5.前記アンダーコート層が、導電材を含むものである1〜4のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用電極。
6.前記導電材が、カーボンナノチューブを含むものである5のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
7.前記アンダーコート層が、カーボンナノチューブ分散剤を含むものである6のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
8.前記カーボンナノチューブ分散剤が、トリアリールアミン系高分岐ポリマー又は側鎖にオキサゾリン基を含むビニル系ポリマーである7のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
9.前記アンダーコート層が、マトリックス高分子を含むものである1〜8のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用電極。
10.前記集電基板が、アルミニウム箔又は銅箔である1〜9のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用電極。
11.1〜10のいずれかのエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えるエネルギー貯蔵デバイス。
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極を用いることによって、均一に充放電を行うことができるエネルギー貯蔵デバイスが得られる。
実施例2及び比較例2において測定した、正極のイメージングXAFS画像である。 測定した全領域についての吸収端エネルギーのヒストグラムである。
[エネルギー貯蔵デバイス用電極]
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、集電基板と、この集電基板の少なくとも一方の面に形成されたアンダーコート層と、アンダーコート層上に形成された活物質層とを備える。また、本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、これを用いて作製したエネルギー貯蔵デバイスを活性化後、完全充電状態から放電深度20%まで放電し、前記デバイスの電極における、前記活物質に含まれるリチウム以外の金属原子のK吸収端エネルギーの二次元分布を、10〜50μm角の分解能でXAFS解析によって測定し、完全充電状態のK吸収端エネルギーをA、完全放電状態のK吸収端エネルギーをBとして得られるヒストグラムの半値幅が|A−B|÷8.4以下である。
ここで、本発明において「活性化」とは、0.1〜0.5Cで1〜5サイクル、完全充放電を繰り返すことをいう。
デバイスを活性化後、完全充電状態から放電深度20%まで放電するときは、0.5〜50Cで放電することが好ましく、0.5〜10Cで放電することがより好ましく、0.5〜1Cで放電することがより一層好ましい。なお、充電は、0.01〜10Cで充電することが好ましく、0.1〜0.5Cで充電することがより好ましい。
得られたヒストグラムの半値幅は、|A−B|÷8.4以下が好ましく、|A−B|÷8.5以下がより好ましく、|A−B|÷8.6以下がより一層好ましく、|A−B|÷8.7以下が更に好ましく、|A−B|÷8.9以下が最も好ましい。なお、前記半値幅の下限は、特に限定されないが、通常0より大きい値である。
前記半値幅は、活性化後充放電を行っていないデバイスにおいて、該デバイスを完全に充電し、その後放電深度20%まで放電したときの該デバイスの電極をサンプル(以下、1サイクル目のサンプルともいう。)として測定した値であることが好ましい。1サイクル目のサンプルにおける半値幅が前記範囲であれば、均一に充放電ができるため、充放電サイクルを繰り返しても電極が劣化しにくく、寿命の長いデバイスが得られる。
本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極の具体例について以下に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[集電基板]
前記集電基板は、従来、エネルギー貯蔵デバイス用電極の集電基板として用いられているものを使用することができる。例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀及びこれらの合金や、カーボン材料、金属酸化物、導電性高分子等の薄膜を用いることができるが、超音波溶接等の溶接を適用して電極構造体を作製する場合、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀及びこれらの合金からなる金属箔を用いることが好ましい。集電基板の厚みは特に限定されないが、本発明においては、1〜100μmが好ましい。
[アンダーコート層]
前記アンダーコート層は、導電材を含むことが好ましい。前記導電材としては、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、ITO、酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。これらのうち、均一な薄膜を形成するという観点から、CNTが好ましい。
CNTは、一般的に、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法で得られたものでもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT(SWCNT)と、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT(DWCNT)と、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNT(MWCNT)とがあるが、本発明においては、SWCNT、DWCNT、MWCNTをそれぞれ単体で、又は複数を組み合わせて使用できる。コストの観点からは多層CNTが最も有利である。
なお、前記方法でSWCNT、DWCNT又はMWCNTを作製する際には、ニッケル、鉄、コバルト、イットリウム等の触媒金属が残存することがあるため、この不純物を除去するための精製を必要とする場合がある。不純物の除去には、硝酸、硫酸等による酸処理とともに超音波処理が有効である。しかし、硝酸、硫酸等による酸処理ではCNTを構成するπ共役系が破壊され、CNT本来の特性が損なわれてしまう可能性があるため、適切な条件で精製して使用することが望ましい。
本発明で使用可能なCNTの具体例としては、スパーグロス法CNT〔国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構製〕、eDIPS−CNT〔国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構製〕、SWNTシリーズ〔(株)名城ナノカーボン製:商品名〕、VGCFシリーズ〔昭和電工(株)製:商品名〕、FloTubeシリーズ〔CNano Technology社製:商品名〕、AMC〔宇部興産(株)製:商品名〕、NANOCYL NC7000シリーズ〔Nanocyl S.A.社製:商品名〕、Baytubes〔Bayer社製:商品名〕、GRAPHISTRENGTH〔アルケマ社製:商品名〕、MWNT7〔保土谷化学工業(株)製:商品名〕、ハイペリオンCNT〔Hypeprion Catalysis International社製:商品名〕等が挙げられる。
前記アンダーコート層は、前述した導電材と、溶媒とを含む導電材含有組成物(分散液)を用いて作製することが好ましい。
溶媒としては、従来、CNT等の導電材含有組成物の調製に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、水;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール類;n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等の有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。特に、導電材としてCNTを用いる場合、CNTの孤立分散の割合を向上させ得るという点から、水、NMP、DMF、THF、メタノール、イソプロパノールが好ましい。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、前記導電材含有組成物は、必要に応じてマトリックス高分子を含んでもよい。マトリックス高分子としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(P(VDF−HFP))、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン共重合体(P(VDF−CTFE))等のフッ素系樹脂、ポリビニルピロリドン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS)、スチレン−ブタジエンゴム等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート/アジペート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリグルコール酸;変性でんぷん;酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース;キチン、キトサン;リグニン等の熱可塑性樹脂や、ポリアニリン及びその半酸化体であるエメラルジンベース;ポリチオフェン;ポリピロール;ポリフェニレンビニレン;ポリフェニレン;ポリアセチレン等の導電性高分子、更にはエポキシ樹脂;ウレタンアクリレート;フェノール樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等が挙げられる。前記導電材含有組成物においては、溶媒として水を用いることが好適であることから、マトリックス高分子としても水溶性のもの、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、水溶性セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール等が好ましいが、特に、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が好適である。
マトリックス高分子は、市販品として入手することもでき、例えば、アロンA-10H(ポリアクリル酸、東亞合成(株)製、固形分濃度26質量%、水溶液)、アロンA-30(ポリアクリル酸アンモニウム、東亞合成(株)製、固形分濃度32質量%、水溶液)、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、重合度2,700〜7,500)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業(株)製)、アルギン酸ナトリウム(関東化学(株)製、鹿1級)、メトローズ(登録商標)SHシリーズ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業(株)製)、メトローズSEシリーズ(ヒドロキシエチルメチルセルロース、信越化学工業(株)製)、JC-25(完全ケン化型ポリビニルアルコール、日本酢ビ・ポバール(株)製)、JM-17(中間ケン化型ポリビニルアルコール、日本酢ビ・ポバール(株)製)、JP-03(部分ケン化型ポリビニルアルコール、日本酢ビ・ポバール(株)製)、ポリスチレンスルホン酸(Aldrich社製、固形分濃度18質量%、水溶液)等が挙げられる。
マトリックス高分子の含有量は、特に限定されないが、組成物中に0.0001〜99質量%程度とすることが好ましく、0.001〜90質量%程度とすることがより好ましい。
更に、前記導電材含有組成物は、組成物中での導電材の分散性を高めるため、分散剤を含んでもよい。前記分散剤としては、特に限定されないが、公知のものから適宜選択することができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アクリル樹脂エマルジョン、水溶性アクリル系ポリマー、スチレンエマルジョン、シリコンエマルジョン、アクリルシリコンエマルジョン、フッ素樹脂エマルジョン、EVAエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタン樹脂エマルジョン、国際公開第2014/04280号記載のトリアリールアミン系高分岐ポリマー、国際公開第2015/029949号記載の側鎖にオキサゾリン基を有するビニル系ポリマー等が挙げられる。本発明においては、国際公開第2014/04280号記載のトリアリールアミン系高分岐ポリマー、国際公開第2015/029949号記載の側鎖にオキサゾリン基を有するビニル系ポリマーが好適である。
具体的には、トリアリールアミン類とアルデヒド類及び/又はケトン類とを酸性条件下で縮合重合することで得られ、下記式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を有する高分岐ポリマーが好適に用いられる。
Figure 2018101308
式(1)及び(2)中、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、式(3)〜(7)で表されるいずれかの2価の有機基を表すが、特に、式(3)で表される置換又は非置換のフェニレン基が好ましい。
Figure 2018101308
式(2)〜(7)中、R1〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、若しくは分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルコキシ基、又はカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基若しくはこれらの塩を表す。
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられる。
カルボキシル基、スルホ基、リン酸基及びホスホン酸基の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム、カルシウム等の2族金属塩;アンモニウム塩;プロピルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等の脂肪族アミン塩;イミダゾリン、ピペラジン、モルホリン等の脂環式アミン塩;アニリン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン塩;ピリジニウム塩等が挙げられる。
式(1)及び(2)中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、水素原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、又は式(8)〜(11)で表されるいずれかの1価の有機基を表す。ただし、Z1及びZ2が同時に前記アルキル基となることはない。
Figure 2018101308
式(8)〜(11)中、R39〜R62は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のハロアルキル基、フェニル基、−OR63、−COR63、−NR6364、若しくは−COOR65(式中、R63及びR64は、それぞれ独立して、水素原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のハロアルキル基、又はフェニル基を表し、R65は、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のハロアルキル基、又はフェニル基を表す。)、又はカルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基若しくはこれらの塩を表す。
ここで、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のハロアルキル基としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−ブロモプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、3−ブロモ−2−メチルプロピル基、4−ブロモブチル基、パーフルオロペンチル基等が挙げられる。なお、ハロゲン原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基としては、式(2)〜(7)で例示した基と同様のものが挙げられる。
これらのうち、Z1及びZ2としては、それぞれ独立に、水素原子、2−又は3−チエニル基、式(8)で表される基が好ましく、特に、Z1及びZ2のいずれか一方が水素原子で、他方が、水素原子、2−又は3−チエニル基、式(8)で表される基、特にR41がフェニル基のもの、又はR41がメトキシ基のものがより好ましい。なお、R41がフェニル基の場合、後述する酸性基導入法において、ポリマー製造後に酸性基を導入する手法を用いた場合、このフェニル基上に酸性基が導入される場合もある。前記分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
特に、集電基板との密着性をより向上させることを考慮すると、前記高分岐ポリマーは、式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の少なくとも1つの芳香環中に、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種の酸性基を有するものが好ましく、スルホ基又はその塩を有するものがより好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位を有する高分岐ポリマーは、下記スキーム1に示されるように、例えば、下記式(A)で表されるトリアリールアミン化合物と、例えば下記式(B)で表されるようなアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物とを、酸触媒の存在下で縮合重合して得られる。
Figure 2018101308
(式中、Ar1〜Ar3、Z1及びZ2は、前記と同じ。)
式(2)で表される繰り返し単位を有する高分岐ポリマーは、下記スキーム2に示されるように、式(A)で表されるトリアリールアミン化合物と、アルデヒド化合物として、例えばテレフタルアルデヒド等のフタルアルデヒド類のような下記式(C)で表される二官能化合物とを、酸触媒の存在下で縮合重合して得られる。
Figure 2018101308
(式中、Ar1〜Ar3、及びR1〜R4は、前記と同じ。)
前記縮合重合反応では、トリアリールアミン化合物のアリール基1当量に対し、アルデヒド化合物及び/又はケトン化合物を0.1〜10当量の割合で用いることができる。
前記酸触媒としては、例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸等の鉱酸類;p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物等の有機スルホン酸類;ギ酸、シュウ酸等のカルボン酸類等を用いることができる。酸触媒の使用量は、その種類によって種々選択されるが、通常、トリアリールアミン類100質量部に対し、好ましくは0.001〜10,000質量部、より好ましくは0.01〜1,000質量部、より一層好ましくは0.1〜100質量部である。
前記アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、7−メトキシ−3,7−ジメチルオクチルアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−ブチルアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド等の飽和脂肪族アルデヒド類;アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和脂肪族アルデヒド類;フルフラール、ピリジンアルデヒド、チオフェンアルデヒド等のヘテロ環式アルデヒド類;ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、トリフルオロメチルベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、アセトキシベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、アセチルベンズアルデヒド、ホルミル安息香酸、ホルミル安息香酸メチル、アミノベンズアルデヒド、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N,N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アントリルアルデヒド、フェナントリルアルデヒド等の芳香族アルデヒド類、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド等のアラルキルアルデヒド類等が挙げられる。中でも、芳香族アルデヒド類が好ましい。
また、前記ケトン化合物としては、アルキルアリールケトン、ジアリールケトン類であり、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ジフェニルケトン、フェニルナフチルケトン、ジナフチルケトン、フェニルトリルケトン、ジトリルケトン等が挙げられる。
前記縮合反応は無溶媒でも行えるが、通常溶媒を用いて行われる。溶媒としては反応を阻害しないものであれば全て使用することができ、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらのうち、特に、環状エーテル類が好ましい。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、使用する酸触媒が、例えば、ギ酸のような液状のものであれば、酸触媒に溶媒としての役割を兼ねさせることもできる。
縮合時の反応温度は、通常40〜200℃である。反応時間は反応温度によって種々選択されるが、通常30分間から50時間程度である。
高分岐ポリマーに酸性基を導入する場合、ポリマー原料である、前記トリアリールアミン化合物、アルデヒド化合物、ケトン化合物の芳香環上に予め導入し、これを用いて高分岐ポリマーを製造する方法で導入しても、得られた高分岐ポリマーを、その芳香環上に酸性基を導入可能な試薬で処理する方法で導入してもよいが、製造の簡便さを考慮すると、後者の手法を用いることが好ましい。後者の手法において、酸性基を芳香環上に導入する手法としては、特に制限はなく、酸性基の種類に応じて従来公知の各種方法から適宜選択すればよい。例えば、スルホ基を導入する場合、過剰量の硫酸を用いてスルホン化する手法等を用いることができる。
前記高分岐ポリマーの平均分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)が1,000〜2,000,000が好ましく、2,000〜1,000,000がより好ましい。なお、本発明においてMwは、ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定値(ポリスチレン換算)である。
高分岐ポリマーとして具体的には、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2018101308
一方、側鎖にオキサゾリン基を有するビニル系ポリマー(以下、オキサゾリンポリマーという)としては、式(13)で表されるような、2位に重合性炭素−炭素二重結合含有基を有するオキサゾリンモノマーをラジカル重合して得られる、オキサゾリン環の2位でポリマー主鎖又はスペーサー基に結合した繰り返し単位を有するポリマーであることが好ましい。
Figure 2018101308
式(13)中、Xは、重合性炭素−炭素二重結合含有基を表し、R100〜R103は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。
前記重合性炭素−炭素二重結合含有基としては、重合性炭素−炭素二重結合を含んでいれば特に限定されないが、重合性炭素−炭素二重結合を含む鎖状炭化水素基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の炭素数2〜8のアルケニル基等が好ましい。
ハロゲン原子、分岐構造を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基としては、前記と同様のものが挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、キシリル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルシクロヘキシル基等が挙げられる。
式(13)で表されるオキサゾリンモノマーの具体例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−プロピル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−ブチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−プロピル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−ブチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−プロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−ブチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−プロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−ブチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これらのうち、入手容易性等の点から、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。
また、水系溶媒を用いて導電材含有組成物を調製することを考慮すると、オキサゾリンポリマーは水溶性であることが好ましい。このような水溶性のオキサゾリンポリマーは、式(13)で表されるオキサゾリンモノマーのホモポリマーでもよいが、水への溶解性をより高めるため、前記オキサゾリンモノマーと親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとの少なくとも2種のモノマーをラジカル重合させて得られたものであることが好ましい。
親水性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、アクリル酸2−アミノエチル及びその塩、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール、メタクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、メタクリル酸2−アミノエチル及びその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物が好適である。
また、オキサゾリンポリマーの導電材分散能に悪影響を及ぼさない範囲で、前記オキサゾリンモノマー及び親水性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他のモノマーを併用することができる。その他のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のα−オレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロオレフィン系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるオキサゾリンポリマー製造に用いられるモノマー成分において、オキサゾリンモノマーの含有率は、得られるオキサゾリンポリマーの導電材分散能をより高めるという点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより一層好ましい。なお、モノマー成分におけるオキサゾリンモノマーの含有率の上限値は100質量%であり、この場合は、オキサゾリンモノマーのホモポリマーが得られる。一方、得られるオキサゾリンポリマーの水溶性をより高めるという点から、モノマー成分における親水性官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有率は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がより一層好ましい。また、モノマー成分におけるその他の単量体の含有率は、前述のとおり、得られるオキサゾリンポリマーの導電材分散能に影響を与えない範囲であり、また、その種類によって異なるため一概には決定できないが、5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%の範囲で適宜設定すればよい。
オキサゾリンポリマーの平均分子量は特に限定されないが、Mwが1,000〜2,000,000が好ましく、2,000〜1,000,000がより好ましい。
本発明で使用可能なオキサゾリンポリマーは、前記モノマーを従来公知のラジカル重合にて合成することができるが、市販品として入手することもでき、そのような市販品としては、例えば、エポクロス(登録商標)WS-300((株)日本触媒製、固形分濃度10質量%、水溶液)、エポクロスWS-700((株)日本触媒製、固形分濃度25質量%、水溶液)、エポクロスWS-500((株)日本触媒製、固形分濃度39質量%、水/1−メトキシ−2−プロパノール溶液)、Poly(2-ethyl-2-oxazoline)(Aldrich社製)、Poly(2-ethyl-2-oxazoline)(Alfa Aesar社製)、Poly(2-ethyl-2-oxazoline)(VWR International社製)等が挙げられる。なお、溶液として市販されている場合、そのまま使用しても、目的とする溶媒に置換してから使用してもよい。
前記導電材含有組成物における、導電材と分散剤との混合比率は、質量比で1,000:1〜1:100程度とすることができる。
分散剤の濃度は、導電材を溶媒に分散させ得る濃度であれば特に限定されないが、組成物中、0.001〜30質量%程度とすることが好ましく、0.002〜20質量%程度とすることがより好ましい。
導電材の濃度は、目的とするアンダーコート層の目付量や、要求される機械的、電気的、熱的特性等において変化するものであり、また、少なくとも導電材の一部が孤立分散し、適切な目付量でアンダーコート層を作製できる限り任意であるが、組成物中、0.0001〜30質量%程度とすることが好ましく、0.001〜20質量%程度とすることがより好ましく、0.001〜10質量%程度とすることがより一層好ましい。
なお、前記導電材含有組成物は、用いる分散剤と架橋反応を起こす架橋剤や、自己架橋する架橋剤を含んでいてもよい。これらの架橋剤は、使用する溶媒に溶解することが好ましい。
トリアリールアミン系高分岐ポリマーの架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、これらのポリマー系架橋剤等が挙げられる。これら架橋剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、具体的には、CYMEL(登録商標)、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メチロール化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メチロール化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メチロール化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、メトキシメチル化チオ尿素、メチロール化チオ尿素等の化合物、及びこれらの化合物の縮合体が挙げられる。
オキサゾリンポリマーの架橋剤としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、スルフィン酸基、エポキシ基等のオキサゾリン基との反応性を有する官能基を2個以上有する化合物であれば特に限定されないが、カルボキシル基を2個以上有する化合物が好ましい。なお、薄膜形成時の加熱や、酸触媒の存在下で前記官能基が生じて架橋反応を起こす官能基、例えば、カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩等を有する化合物も架橋剤として用いることができる。
オキサゾリン基と架橋反応を起こす化合物の具体例としては、酸触媒の存在下で架橋反応性を発揮する、ポリアクリル酸やそのコポリマー等の合成高分子及びカルボキシメチルセルロースやアルギン酸といった天然高分子の金属塩、加熱により架橋反応性を発揮する、前記合成高分子及び天然高分子のアンモニウム塩等が挙げられる。特に、酸触媒の存在下や加熱条件下で架橋反応性を発揮するポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸リチウム、ポリアクリル酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、カルボキシメチルセルロースアンモニウム等が好ましい。
このようなオキサゾリン基と架橋反応を起こす化合物は、市販品として入手することもでき、そのような市販品としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製、重合度2,700〜7,500)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業(株)製)、アルギン酸ナトリウム(関東化学(株)製、鹿1級)、アロンA-30(ポリアクリル酸アンモニウム、東亞合成(株)製、固形分濃度32質量%、水溶液)、DN-800H(カルボキシメチルセルロースアンモニウム、ダイセルファインケム(株)製)アルギン酸アンモニウム((株)キミカ製)等が挙げられる。
自己架橋する架橋剤としては、例えば、ヒドロキシ基に対するアルデヒド基、エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基やアルコキシ基、カルボキシル基に対するアルデヒド基、アミノ基、イソシアネート基やエポキシ基、アミノ基に対するイソシアネート基やアルデヒド基等の、互いに反応する架橋性官能基を同一分子内に有している化合物や、同じ架橋性官能基同士で反応するヒドロキシ基(脱水縮合)、メルカプト基(ジスルフィド結合)、エステル基(クライゼン縮合)、シラノール基(脱水縮合)、ビニル基、アクリル基等を有している化合物等が挙げられる。自己架橋する架橋剤の具体例としては、酸触媒の存在下で架橋反応性を発揮する多官能アクリレート、テトラアルコキシシラン、ブロックイソシアネート基を有するモノマー及びヒドロキシ基、カルボン酸、アミノ基の少なくとも1つを有するモノマーのブロックコポリマー等が挙げられる。
このような自己架橋する架橋剤は、市販品として入手することもでき、そのような市販品としては、例えば、多官能アクリレートでは、A-9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、新中村化学工業(株)製)、A-GLY-9E(Ethoxylated glycerine triacrylate(EO9mol)、新中村化学工業(株)製)、A-TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業(株)製)等が挙げられ、テトラアルコキシシランでは、テトラメトキシシラン(東京化成工業(株)製)、テトラエトキシシラン(東横化学(株)製)等が挙げられ、ブロックイソシアネート基を有するポリマーでは、エラストロンシリーズE-37、H-3、H38、BAP、NEW BAP-15、C-52、F-29、W-11P、MF-9、MF-25K(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
これら架橋剤の添加量は、使用する溶媒、使用する基材、要求される粘度、要求される膜形状等により変動するが、分散剤に対し、0.001〜80質量%、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.05〜40質量%である。これら架橋剤は、自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、分散剤と架橋反応を起こすものであり、分散剤中に架橋性置換基が存在する場合はこれらの架橋性置換基により架橋反応が促進される。
本発明では、架橋反応を促進するための触媒として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物、及び/又は2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤を添加することができる。
触媒の添加量は、導電材分散剤に対し、0.0001〜20質量%、好ましくは0.0005〜10質量%、より好ましくは0.001〜3質量%である。
前記導電材含有組成物の調製法は、特に限定されないが、例えば、CNT等の導電材及び溶媒、並びに必要に応じて用いられる分散剤、マトリックスポリマー及び架橋剤を任意の順序で混合して調製することができる。
この際、混合物を分散処理することが好ましく、この処理により、CNT等の導電材の分散割合をより向上させることができる。分散処理としては、機械的処理である、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いる湿式処理や、バス型やプローブ型のソニケータを用いる超音波処理が挙げられる。これらのうち、ジェットミルを用いた湿式処理や超音波処理が好ましい。
分散処理の時間は任意であるが、1分間から10時間程度が好ましく、5分間から5時間程度がより好ましい。この際、必要に応じて加熱処理を施しても構わない。なお、架橋剤及び/又はマトリックス高分子を用いる場合、これらは、分散剤、CNT等の導電材及び溶媒からなる混合物を調製した後から加えてもよい。
前記導電材含有組成物を前記集電基板の少なくとも一方の面に塗布し、これを自然又は加熱乾燥し、アンダーコート層を形成することができる。この際、導電材含有組成物を集電基板の面全体に塗布し、アンダーコート層を集電基板面全面に形成することが好ましい。なお、本発明において、集電基板の少なくとも一方の面にアンダーコート層を形成したものを、アンダーコート箔ともいう。
本発明では、アンダーコート箔と後述する金属タブとを、箔のアンダーコート層部分で超音波溶接等の溶接によって効率よく接合させるため、集電基板の一面あたりのアンダーコート層の目付量を0.1g/m2以下、好ましくは0.09g/m2以下、より好ましくは0.05g/m2未満とする。
一方、アンダーコート層の機能を担保して優れた特性の電池を再現性よく得るため、集電基板の一面あたりのアンダーコート層の目付量を好ましくは0.001g/m2以上、より好ましくは0.005g/m2以上、より一層好ましくは0.01g/m2以上、更に好ましくは0.015g/m2以上とする。
また、アンダーコート層の厚みは、前記目付量を満たす限り特に限定されないが、溶接効率及び得られるデバイスの内部抵抗を低減することを考慮すると、0.01〜10μmが好ましく、0.02〜5μmがより好ましく、0.03〜1μmがより一層好ましい。
本発明におけるアンダーコート層の目付量は、アンダーコート層の面積(m2)に対するアンダーコート層の質量(g)の割合であり、アンダーコート層がパターン状に形成されている場合、当該面積はアンダーコート層のみの面積であり、パターン状に形成されたアンダーコート層の間に露出する集電基板の面積を含まない。
アンダーコート層の質量は、例えば、アンダーコート箔から適当な大きさの試験片を切り出し、その質量W0を測定し、その後、アンダーコート箔からアンダーコート層を剥離し、アンダーコート層を剥離した後の質量W1を測定し、その差(W0−W1)から算出する、又は予め集電基板の質量W2を測定しておき、その後、アンダーコート層を形成したアンダーコート箔の質量W3を測定し、その差(W3−W2)から算出することができる。
アンダーコート層を剥離する方法としては、例えばアンダーコート層が溶解、又は膨潤する溶剤に、アンダーコート層を浸漬させ、布等でアンダーコート層をふき取る等の方法が挙げられる。
目付量は、公知の方法で調整することができる。例えば、塗布によりアンダーコート層を形成する場合、アンダーコート層を形成するための塗工液(導電材含有組成物)の固形分濃度、塗布回数、塗工機の塗工液投入口のクリアランス等を変えることで調整できる。目付量を多くしたい場合は、固形分濃度を高くしたり、塗布回数を増やしたり、クリアランスを大きくしたりする。目付量を少なくしたい場合は、固形分濃度を低くしたり、塗布回数を減らしたり、クリアランスを小さくしたりする。
導電材含有組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、スリットコート法、ロールコート法、フレキソ印刷法、転写印刷法、刷毛塗り、ブレードコート法、エアーナイフコート法等が挙げられる。これらのうち、作業効率等の点から、インクジェット法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法が好適である。
加熱乾燥する場合の温度も任意であるが、50〜200℃程度が好ましく、80〜150℃程度がより好ましい。
[活物質層]
前記活物質としては、従来、エネルギー貯蔵デバイス用電極に用いられている各種活物質を用いることができる。例えば、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池の場合、正極活物質としてリチウムイオンを吸着・離脱可能なカルコゲン化合物又はリチウムイオン含有カルコゲン化合物、ポリアニオン系化合物、硫黄単体及びその化合物等を用いることができる。
このようなリチウムイオンを吸着離脱可能なカルコゲン化合物としては、例えばFeS2、TiS2、MoS2、V26、V613、MnO2等が挙げられる。
リチウムイオン含有カルコゲン化合物としては、例えばLiCoO2、LiMnO2、LiMn24、LiMo24、LiV38、LiNiO2、LixNiy1-y2(ただし、Mは、Co、Mn、Ti、Cr、V、Al、Sn、Pb、及びZnから選ばれる少なくとも1種以上の金属元素を表し、0.05≦x≦1.10、0.5≦y≦1.0)等が挙げられる。
ポリアニオン系化合物としては、例えばリン酸鉄リチウム(LiFePO4)等が挙げられる。硫黄化合物としては、例えばLi2S、ルベアン酸等が挙げられる。
一方、前記負極を構成する負極活物質としては、アルカリ金属、アルカリ合金、リチウムイオンを吸蔵・放出する周期表4〜15族の元素から選ばれる少なくとも1種の単体、酸化物、硫化物、窒化物、又はリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料を使用することができる。
アルカリ金属としては、Li、Na、K等が挙げられ、アルカリ金属合金としては、例えば、Li−Al、Li−Mg、Li−Al−Ni、Na−Hg、Na−Zn等が挙げられる。
リチウムイオンを吸蔵放出する周期表4〜15族の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の単体としては、例えば、ケイ素やスズ、アルミニウム、亜鉛、砒素等が挙げられる。
同じく酸化物としては、例えば、スズケイ素酸化物(SnSiO3)、リチウム酸化ビスマス(Li3BiO4)、リチウム酸化亜鉛(Li2ZnO2)、リチウム酸化チタン(Li4Ti512)等が挙げられる。
同じく硫化物としては、リチウム硫化鉄(LixFeS2(0≦x≦3))、リチウム硫化銅(LixCuS(0≦x≦3))等が挙げられる。
同じく窒化物としては、リチウム含有遷移金属窒化物が挙げられ、具体的には、LixyN(M=Co、Ni、Cu、0≦x≦3、0≦y≦0.5)、リチウム鉄窒化物(Li3FeN4)等が挙げられる。
リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な炭素材料としては、グラファイト、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、カーボンナノチューブ、又はこれらの焼結体等が挙げられる。
前記活物質層の厚みは、電池の容量と抵抗のバランスを考慮すると、10〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましく、20〜100μmがより一層好ましい。
本発明で用いる活物質としては、XAFS測定の感度の観点から、重原子を含むものが好ましい。なお、本発明において重原子とは、スカンジウムより重い金属原子のことをいう。前記活物質としては、鉄、ニッケル、鉛、チタン、マンガン、コバルト、スズ、クロム、バナジウム、亜鉛、ルテニウム等の重原子を含むものが好ましい。これらのうち、鉄原子を含むものが好ましく、リン酸鉄リチウムがより好ましい。
活物質層は、以上で説明した活物質、バインダーポリマー及び必要に応じて溶媒を含む電極スラリーを、アンダーコート層上に塗布し、自然又は加熱乾燥して形成することができる。
活物質層の形成部位は、用いるデバイスのセル形態等に応じて適宜設定すればよく、アンダーコート層の表面全部でもその一部でもよいが、ラミネートセル等に使用する目的で、金属タブと電極とを超音波溶接等の溶接により接合した電極構造体として用いる場合には、溶接部を残すためアンダーコート層の表面の一部に電極スラリーを塗布して活物質層を形成することが好ましい。特に、ラミネートセル用途では、アンダーコート層の周縁を残したそれ以外の部分に電極スラリーを塗布して活物質層を形成することが好適である。
バインダーポリマーとしては、公知の材料から適宜選択して用いることができ、例えば、PVdF、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、P(VDF−HFP)、P(VDF−CTFE)、ポリビニルアルコール、ポリイミド、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、CMC、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアニリン等の導電性高分子等が挙げられる。
なお、バインダーポリマーの添加量は、活物質100質量部に対し、0.1〜20質量部、特に、1〜10質量部が好ましい。
溶媒としては、前記導電材含有組成物で例示した溶媒が挙げられ、これらの中からバインダーの種類に応じて適宜選択すればよいが、PVdF等の非水溶性のバインダーの場合はNMPが好適であり、PAA等の水溶性のバインダーの場合は水が好適である。
なお、前記電極スラリーは、導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケル等が挙げられる。
電極スラリーの塗布方法としては、前述した導電材含有組成物と同様の手法が挙げられる。また、加熱乾燥する場合の温度も任意であるが、50〜400℃程度が好ましく、80〜150℃程度がより好ましい。
また、電極は、必要に応じてプレスすることができる。プレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やロールプレス法が好ましい。ロールプレス法でのプレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3ton/cmが好ましい。
[エネルギー貯蔵デバイス]
本発明のエネルギー貯蔵デバイスは、前述したエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えたものであり、より具体的には、少なくとも一対の正負極と、これら各極間に介在するセパレータと、電解質とを備えて構成され、正負極の少なくとも一方が、前述したエネルギー貯蔵デバイス用電極から構成される。
本発明のエネルギー貯蔵デバイスとしては、例えば、リチウムイオン二次電池、ハイブリッドキャパシタ、リチウム二次電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の各種エネルギー貯蔵デバイスが挙げられる。
このエネルギー貯蔵デバイスは、電極として前述したエネルギー貯蔵デバイス用電極を用いることにその特徴があるため、その他のデバイス構成部材であるセパレータや、電解質等は、公知の材料から適宜選択して用いることができる。
セパレータとしては、例えば、セルロース系セパレータ、ポリオレフィン系セパレータ等が挙げられる。電解質としては、液体、固体のいずれでもよく、また水系、非水系のいずれでもよいが、本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極は、非水系電解質を用いたデバイスに適用した場合にも実用上十分な性能を発揮させ得る。
非水系電解質としては、電解質塩を非水系有機溶媒に溶かしてなる非水系電解液が挙げられる。電解質塩としては、4フッ化ホウ酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のリチウム塩;テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルトリエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムパークロレート等の4級アンモニウム塩、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド等のリチウムイミド等が挙げられる。
非水系有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類等が挙げられる。
エネルギー貯蔵デバイスの形態は特に限定されず、円筒型、扁平巻回角型、積層角型、コイン型、扁平巻回ラミネート型、積層ラミネート型等の従来公知の各種形態のセルを採用することができる。
コイン型に適用する場合、前述した本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極を、所定の円盤状に打ち抜いて用いればよい。例えば、リチウムイオン二次電池は、コインセルのワッシャーとスペーサーが溶接されたフタに、所定形状に打ち抜いたリチウム箔を所定枚数設置し、その上に、電解液を含浸させた同形状のセパレータを重ね、更に上から、活物質層を下にして本発明のエネルギー貯蔵デバイス用電極を重ね、ケースとガスケットを載せて、コインセルかしめ機で密封して作製することができる。
積層ラミネート型に適用する場合、活物質層がアンダーコート層表面の一部に形成された電極における、アンダーコート層が形成され、かつ、活物質層が形成されていない部分(溶接部)で金属タブと溶接して得られた電極構造体を用いればよい。この場合、電極構造体を構成する電極は一枚でも複数枚でもよいが、一般的には、正負極とも複数枚が用いられる。正極を形成するための複数枚の電極は、負極を形成するための複数枚の電極板と、一枚ずつ交互に重ねることが好ましく、その際、正極と負極の間には前述したセパレータを介在させることが好ましい。
金属タブは、複数枚の電極の最も外側の電極の溶接部で溶接しても、複数枚の電極のうち、任意の隣接する2枚の電極の溶接部間に金属タブを挟んで溶接してもよい。金属タブの材質は、一般的にエネルギー貯蔵デバイスに使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、ニッケル、アルミニウム、チタン、銅等の金属;ステンレス、ニッケル合金、アルミニウム合金、チタン合金、銅合金等の合金等が挙げられる。これらのうち、溶接効率を考慮すると、アルミニウム、銅及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含んで構成されるものが好ましい。金属タブの形状は、箔状が好ましく、その厚さは0.05〜1mm程度が好ましい。
溶接方法は、金属同士の溶接に用いられる公知の方法を用いることができ、その具体例としては、TIG溶接、スポット溶接、レーザー溶接、超音波溶接等が挙げられるが、前述したように、前記アンダーコート層は、超音波溶接に特に適した目付量とされているため、超音波溶接にて電極と金属タブとを接合することが好ましい。
超音波溶接の手法としては、例えば、複数枚の電極をアンビルとホーンとの間に配置し、溶接部に金属タブを配置して超音波をかけて一括して溶接する手法や、電極同士を先に溶接し、その後、金属タブを溶接する手法等が挙げられる。
本発明では、いずれの手法でも、金属タブと電極とが前記溶接部で溶接されるだけでなく、複数枚の電極同士も、アンダーコート層が形成され、かつ、活物質層が形成されていない部分で互いに超音波溶接されることになる。溶接時の圧力、周波数、出力、処理時間等は、特に限定されず、用いる材料やアンダーコート層の目付量等を考慮して適宜設定すればよい。
以上のようにして作製した電極構造体を、ラミネートパックに収納し、前述した電解液を注入した後、ヒートシールすることでラミネートセルが得られる。
このようにして得られたエネルギー貯蔵デバイスは、金属タブと、一枚又は複数枚の電極とを備えて構成される電極構造体を少なくとも一つ有し、電極が、集電基板と、この集電基板の少なくとも一方の面に形成されたアンダーコート層と、このアンダーコート層の表面の一部に形成された活物質層とを有し、電極が複数枚用いられている場合、それらが、アンダーコート層が形成され、かつ、活物質層が形成されていない部分で互いに超音波溶接されているとともに、電極のうちの少なくとも一枚が、アンダーコート層が形成され、かつ、活物質層が形成されていない部分で金属タブと超音波溶接されているという構成を備えたものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。なお、使用した測定装置、及び試薬は以下のとおりである。
(1)プローブ型超音波照射装置(分散処理)
装置:Hielscher Ultrasonics社製UIP1000
(2)ワイヤーバーコーター(薄膜作製)
装置:(株)エスエムテー製PM-9050MC
(3)充放電測定装置(二次電池評価)
装置:北斗電工(株)製HJ1001SD8
(4)マイクロメーター(バインダー、活性層の膜厚測定)
装置:(株)ミツトヨ製IR54
(5)ホモディスパー(電極スラリーの混合)
装置:T.K.ロボミックス(ホモディスパー2.5型(φ32)付き)(プライミクス(株)製)
(6)薄膜旋回型高速ミキサー(電極スラリーの混合)
装置:プライミクス(株)製フィルミクス40型
(7)自転・公転ミキサー(電極スラリーの脱泡)
装置:(株)シンキー製あわとり錬太郎ARE-310
(8)ロールプレス装置(電極の圧縮)
装置:宝泉(株)製超小型卓上熱ロールプレス機HSR-60150H
(9)走査電子顕微鏡(SEM)
装置:日本電子(株)JSM-7400F
[1]アンダーコート箔の製造
[製造例1]
分散剤として下記式で表されるPTPA-PBA-SO3H0.50gを、分散媒である2−プロパノール43g及び水6.0gに溶解させ、この溶液へMWCNT(Nanocyl社製NC7000、外径10nm)0.50gを添加した。なお、PTPA-PBA-SO3Hは、国際公開第2014/042080号の合成例2と同様の手法で合成した。この混合物に、プローブ型超音波照射装置を用いて室温(およそ25℃)で30分間超音波処理を行い、沈降物がなくMWCNTが均一に分散した黒色のMWCNT含有分散液を得た。
得られたMWCNT含有分散液50gに、ポリアクリル酸(PAA)を含む水溶液であるアロンA-10H(東亞合成(株)製、固形分濃度25.8質量%)3.88gと2−プロパノール46.12gとを加えて攪拌し、アンダーコート液Aを得た。
アンダーコート液Aを、集電基板であるアルミ箔(厚み15μm)にワイヤーバーコーター(松尾産業(株)製OSP30、ウェット膜厚30μm)で均一に展開後、120℃で20分乾燥してアンダーコート層を形成し、アンダーコート箔Aを作製した。アンダーコート箔を裂いて、SEMにより断面を観察したところ、アンダーコート層の厚みは約250nmであった。
Figure 2018101308
[2]リン酸鉄リチウム(LFP)を活物質に用いた電極及びリチウムイオン二次電池の製造
[実施例1]
活物質としてLFP(TATUNG FINE CHEMICALS社製)17.3g、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)のNMP溶液(12質量%、(株)クレハ、KFポリマーL#1120)12.8g、導電助剤としてアセチレンブラック0.384g及びNMP9.54gを、ホモディスパーにて3,500rpmで5分間混合した。次いで、薄膜旋回型高速ミキサーを用いて周速20m/秒で60秒の混合処理をし、更に自転・公転ミキサーにて2,200rpmで30秒脱泡することで、電極スラリー(固形分濃度48質量%、LFP:PVdF:AB=90:8:2(質量比))を作製した。
得られた電極スラリーを、アンダーコート箔Aに均一(ウェット膜厚200μm)に展開後、80℃で30分、次いで120℃で30分乾燥してアンダーコート層上に活物質層を形成し、更にロールプレス機で圧着することで、活物質層の厚み50μmの電極を作製した。
得られた電極を、直径13mmの円盤状に打ち抜き、質量を測定した後、100℃で8時間真空乾燥し、アルゴンで満たされたグローブボックスに移した。
HS型試験セル(宝泉(株))に直径15mm、厚さ0.2mmのリチウム箔を設置し、その上に、電解液(キシダ化学(株)製、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1(体積比)、電解質であるリチウムヘキサフルオロホスフェートを1mol/L含む)を染み込ませた、直径16mmに打ち抜いたセパレータ(セルガード(株)製、2500)を一枚重ねた。更に上から、活物質を塗布した面を下にして電極を重ねた。更に電解液を0.2mL滴下したのち、HS型試験セルを封止し、その後24時間静置し、試験用のリチウムイオン二次電池Aとした。
[比較例1]
アンダーコート層を形成しない無垢のアルミ箔を用いた以外は、実施例1と同様にして電極を作製し、これを用いて試験用のリチウムイオン二次電池Bを作製した。
[3]リチウムイオン二次電池の評価
[実施例2、比較例2]
実施例1及び比較例1で作製したリチウムイオン二次電池A及びBについて、充放電測定装置を用いて0.5C(LFPの容量を170mAh/gとした。)、カットオフ電圧4.50V−2.00V、室温にて4サイクル充放電を行い活性化した後、0.5Cで完全充電状態とし、更に0.5Cで放電深度20%まで放電した。
得られたリチウムイオン二次電池をグローブボックス内で解体し、取り出した正極をジエチルカーボネートで洗浄、乾燥させたのち、アルミニウムのラミネート袋に封入し、これを活性化後1サイクル目のイメージングXAFS用のサンプルとした。
また、実施例1及び比較例1と同様の手法で、それぞれ3つずつリチウムイオン二次電池を作製し、充放電測定装置を用いて0.5C(LFPの容量を170mAh/gとした。)、カットオフ電圧4.50−2.00V、室温にて5サイクル充放電を行い活性化した。続いて、0.5Cで完全充電、5Cで完全放電を1サイクル行い、更に0.5Cで完全充電、5Cで放電深度20%まで放電したサンプルを、2サイクル目のサンプルとした。また、活性化後、0.5Cで完全充電、5Cで完全放電を3サイクル行い、更に0.5Cで完全充電、5Cで放電深度20%まで放電したサンプルを、4サイクル目のサンプルとした。また、活性化後、0.5Cで完全充電、5Cで完全放電を5サイクル行い、更に0.5Cで完全充電、5Cで放電深度20%まで放電したサンプルを、6サイクル目のサンプルとした。これらのサンプルについて、前記と同様にイメージングXAFS用のサンプルを作製した。
イメージングXAFS測定は、立命館大学SRセンターBL−4で実施した。測定は、透過配置でX線用二次元検出器を透過強度モニターとして用いた。入射X線強度は、イオンチャンバーにより測定した。空間分解能は26μmであった。1回の測定で観測できる領域は13mm×3mmであり、直径13mmの電極全体での反応を把握するため、各試料について3か所の測定を実施した。測定エネルギー範囲は鉄のK吸収端付近(7,076〜7,181eV)とし、得られた各エネルギーの透過像から各素子で吸収スペクトルを算出し、試料上の位置に対応する検出器の素子ごとに化学状態の判別を行った。化学状態の判別には鉄のK吸収端エネルギーを用い、LiFePO4及びFePO4を標準試料として用いた。LiFePO4の吸収端エネルギーは7118.6eV、FePO4の吸収端エネルギーは7123.6eVであった。なお、FePO4の吸収端エネルギーは完全充電状態のK吸収端エネルギーに相当し、LiFePO4の吸収端エネルギーは完全放電状態のK吸収端エネルギーに相当する。
前記解体後の正極のイメージングXAFS画像を図1に、測定した全領域についての吸収端エネルギーのヒストグラムを図2に、更に、図2から求めたヒストグラムの半値幅を表1に示す。
Figure 2018101308
図1に示すように、実施例1で作製した、集電基板としてアンダーコート箔を用いたリチウムイオン二次電池では、活物質に含まれる鉄の価数の表面分布は極めて平坦であり、充放電が均一に進行していることがわかった。一方、比較例1で作製した、集電基板として無垢のアルミ箔を用いたリチウムイオン二次電池では、スポット状の反応チャンネルが観測され、充放電が不均一に進行していることがわかった。
更に、図2に示すように、実施例1で作製した、集電基板としてアンダーコート箔を用いたリチウムイオン二次電池では、サイクルを繰り返してもヒストグラムが広がらなかったのに対し、比較例1で作製した、集電基板として無垢のアルミ箔を用いたリチウムイオン二次電池では、ヒストグラムが広がっていた。表1に示したヒストグラムの半値幅では、無垢のアルミ箔を用いたリチウムイオン二次電池では、初期のヒストグラムの半値幅が0.60eVと大きく、サイクルを繰り返すごとに、半値幅が大きくなっていったが、アンダーコート箔を用いたリチウムイオン二次電池では、初期のヒストグラムの半値幅が0.56eVと小さく、サイクルを繰り返しても半値幅は大きく変わらなかった。これは、無垢のアルミ箔を用いた場合においては、初期の充放電反応が不均一であるために、サイクルを繰り返すと不均一性が大きくなり、電池の劣化につながるのに対し、アンダーコート箔を用いた場合においては、初期の充放電反応が均一であるために、サイクルを繰り返しても均一性が維持され、寿命が長い電池となった。すなわち、アンダーコート箔を用い、活性化後、完全充電状態から放電深度20%まで放電するサイクルの1サイクル目における半値幅を|A−B|÷8.4以下とすることで、寿命の長いリチウムイオン二次電池が得られることがわかった。

Claims (11)

  1. 集電基板と、該集電基板の少なくとも一方の面に形成されたアンダーコート層と、該アンダーコート層上に形成された活物質層とを備えるエネルギー貯蔵デバイス用電極であって、
    前記電極を用いて作製したエネルギー貯蔵デバイスを活性化後、完全充電状態から放電深度20%まで放電した前記デバイスの、
    前記電極における、前記活物質に含まれるリチウム以外の金属原子のK吸収端エネルギーの二次元分布を、10〜50μm角の分解能でX線吸収微細構造解析によって測定し、
    完全充電状態のK吸収端エネルギーをA、完全放電状態のK吸収端エネルギーをBとして得られるヒストグラムの半値幅が|A−B|÷8.4以下
    であるエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  2. 前記完全充電状態から放電深度20%までを、0.5〜50Cで放電する請求項1記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  3. 前記活物質が、鉄原子を含むものである請求項1又は2記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  4. 前記活物質が、リン酸鉄リチウムである請求項3記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  5. 前記アンダーコート層が、導電材を含むものである請求項1〜4のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  6. 前記導電材が、カーボンナノチューブを含むものである請求項5記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  7. 前記アンダーコート層が、カーボンナノチューブ分散剤を含むものである請求項6記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  8. 前記カーボンナノチューブ分散剤が、トリアリールアミン系高分岐ポリマー又は側鎖にオキサゾリン基を含むビニル系ポリマーである請求項7記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  9. 前記アンダーコート層が、マトリックス高分子を含むものである請求項1〜8のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  10. 前記集電基板が、アルミニウム箔又は銅箔である請求項1〜9のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載のエネルギー貯蔵デバイス用電極を備えるエネルギー貯蔵デバイス。
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