JPWO2018074224A1 - 雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システム - Google Patents

雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システム Download PDF

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Abstract

対象者の周囲の状況も用い、対象者の心理状態を変化させる雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システムを提供する。雰囲気醸成システム1は、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報115を検出し、生体情報115に対応する生体信号を生成する生体センサ10と、生体信号に基づいて、対象者の心理状態を推定する心理状態推定部20と、対象者の周囲の状況を示す周囲情報130を取得する周囲情報取得部30と、心理状態、及び周囲情報130に基づいて、対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定部40と、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者の心理状態の遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供部50とを備える。

Description

本発明は、雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システムに関する。特に、本発明は、対象者の周囲の状況も考慮して対象者の心理に影響を与える雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システムに関する。
従来、生体に関する生体情報を検出する生体情報検出部と、体動に関する体動情報を検出する体動情報検出部と、位置に関する位置情報を検出する位置情報検出部と、生体情報に基づいて感情状態を推定する感情状態推定部と、体動情報又は位置情報の少なくとも一方に基づいて活動状態を推定する活動状態推定部と、感情状態及び活動状態に基づいて嗜好を判定する嗜好判定部と、嗜好の判定に基づいて、視聴を推奨する推奨コンテンツを決定するコンテンツ決定部とを備える画像表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の画像表示システムによれば、ユーザの感情状態や活動状態に応じたコンテンツを推奨することができる。
特開2016−92510公報
しかし、特許文献1に記載されている画像表示システムにおいては、対象となる生体が一個体であり、当該一個体の嗜好のみは判定し得るものの、一個体の嗜好が当該一個体の周囲の状況に応じて変化し得る点を考慮していない。また、特許文献1を含む従来技術は、対象者が存在する空間の「空気」や「雰囲気」を変更させることで、対象者の心理状態を変化させる点について認識していない。
したがって、本発明の目的は、対象者の周囲の状況も用い、対象者の心理状態を変化させる雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システムを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出し、生体情報に対応する生体信号を生成する生体センサと、生体信号に基づいて、対象者の心理状態を推定する心理状態推定部と、対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得部と、心理状態、及び周囲情報に基づいて、対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定部と、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者の心理状態の遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供部とを備える雰囲気醸成システムが提供される。
また、上記雰囲気醸成システムにおいて、心理状態推定部が、対象者に刺激提供部が刺激を与えた後の対象者の心理状態を推定し、心理決定部が、対象者に刺激提供部が刺激を与えた後の対象者の心理状態と周囲情報とに基づいて、遷移後心理状態を再決定することもできる。
また、上記雰囲気醸成システムにおいて、心理決定部が、対象者の特徴を示す特徴情報を更に用い、遷移後心理状態を決定することもできる。
また、上記雰囲気醸成システムにおいて、心理状態が、複数の段階に分けて規定され、心理決定部が、対象者の心理状態を、複数の段階のいずれの段階にするかを決定することもできる。
また、上記雰囲気醸成システムにおいて、刺激提供部が、心理決定部が決定した段階の心理状態に対象者の心理状態が遷移したと心理状態推定部が推定した後において、心理状態推定部が、対象者の心理状態に過剰感を示す状態が含まれていると推定した場合、刺激の程度を軽減することもできる。
また、本発明は上記目的を達成するため、生体センサにおいて、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出し、生体情報に対応する生体信号を生成する生体信号生成工程と、対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得工程と、生体信号に対応する対象者の心理状態、及び周囲情報に基づいて、対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定工程と、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者の心理状態の遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供工程とを備える雰囲気醸成方法が提供される。
また、本発明は上記目的を達成するため、雰囲気醸成システム用の雰囲気醸成プログラムであって、コンピューターに、生体センサにおいて、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出させ、生体情報に対応する生体信号を生成させる生体信号生成機能と、生体信号に基づいて、対象者の心理状態を推定する心理状態推定機能と、対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得機能と、心理状態、及び周囲情報に基づいて、対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定機能と、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者の心理状態の遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供機能とを実現させる雰囲気醸成プログラムが提供される。
また、本発明は上記目的を達成するため、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出し、生体情報に対応する生体信号を生成する生体センサと、生体信号に基づいて、対象者の心理状態を推定する心理状態推定部と、対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得部と、心理状態、及び周囲情報に基づいて、対象者を含む環境の雰囲気を推定する雰囲気推定部とを備える雰囲気推定システムが提供される。
また、上記雰囲気推定システムにおいて、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者を含む環境の雰囲気の、雰囲気推定部が推定した雰囲気からの変化を促す刺激提供部を更に備えることもできる。
また、上記雰囲気推定システムにおいて、心理状態が、複数の段階に分けて規定され、刺激提供部が、環境の雰囲気が雰囲気推定部において推定された環境の雰囲気に変化した後において、心理状態推定部が対象者の心理状態に過剰感を示す状態が含まれていると推定した場合、刺激の程度を軽減することもできる。
本発明に係る雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システムによれば、対象者の周囲の状況も用い、対象者の心理状態を変化させる雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システムを提供できる。
本実施形態に係る雰囲気醸成システムの機能構成ブロック図である。 本実施形態に係る雰囲気醸成システムが備える各格納部のデータ構成図である。 本実施形態に係る雰囲気醸成システムにおける処理のフロー図である。 本実施形態に係る雰囲気推定システムの機能構成ブロック図である。 本実施形態に係る雰囲気推定システムが備える各格納部のデータ構成図である。 本発明の実施の形態に係る雰囲気醸成システム、又は雰囲気推定システムのハードウェア構成図である。
[実施の形態]
<雰囲気醸成システム1の概要>
本実施形態に係る雰囲気醸成システム1は、対象者の心理状態を推定し、推定した心理状態と対象者が存在している場の状況(すなわち、「場の雰囲気」)とに基づいて、対象者の心理状態をどのような心理状態に遷移させることが適切かを決定する。そして、雰囲気醸成システム1は、対象者の心理状態を、決定した心理状態に遷移させることを目的として、所定の刺激を対象者に与えるシステムである。
ここで、「場の雰囲気」(以下、単に「空気」若しくは「雰囲気」という場合がある。)とは、対象者が存在している場の様子や状況を指す。「場の雰囲気」は、例えば、対象者の周囲から対象者に与えられ、対象者の五感で感じとることができる刺激により対象者が感じ取る諸要素から構成されたり、対象者の周囲に存在する他人(複数人の場合も含む)と対象者とのコミュニケーションや、他のオブジェクト(生物に限らず、無生物も含む)と対象者との関係性において決定される情緒的な状況、及び/又は利害関係等の黙示的に表される関係性の諸要素から構成されると考えられる。
人間の心理状態は、当人の心理や行動のみに影響されて変化するとは限らず、当人のバックグラウンド(性別、国籍、年齢等)や当人が存在している「場」(公共の場であるか否か等)、当人の周囲に存在する他人やペット、当人が置かれている環境の状況(時刻、天気、温度、湿度、明るさ、周囲の音の音量、当該音の音質、匂い、振動、及び/又は気体としての空気の流れ等)、更には当人の周囲に存在するオブジェクト(家具、調度品、絵画等の美術品、花、被服、及び/又は建造物等)との相互作用によっても変化すると考えられる。
本発明者は、上記考察の結果、対象者の心理状態と対象者の周囲の状況とに基づいて対象者の心理状態をどのような心理状態に遷移させるべきかを決定し、決定した心理状態に対象者の心理状態を遷移させるための雰囲気を創造するか、及び/又は所定の刺激を対象者に与えることによって、対象者の心理状態を所定の状態(例えば、対象者にとって好ましい心理状態)に遷移させ得ることを見出した。
なお、対象者にとって「好ましい」心理状態は、対象者の周囲の状況によって変化し得る。例えば、対象者の心理状態が緊張状態である場合、一般的には緊張状態を緩和させた心理状態が好ましいものの、対象者が存在する場所がアミューズメント施設の場合(例えば、お化け屋敷の場合)は、対象者にとって「好ましい」心理状態は、より緊張状態を強めた心理状態であり得る。
<雰囲気醸成システム1の詳細>
図1は、本実施形態に係る雰囲気醸成システムの機能構成の一例を示す。また、図2は、本実施形態に係る雰囲気醸成システムが備える各格納部のデータ構成の一例を示す。
雰囲気醸成システム1は、生体信号を生成する生体センサ10と、生体信号を取得する生体信号取得部12と、生体情報115を格納する生体情報格納部15と、対象者の心理状態を推定する心理状態推定部20と、生体情報115に対応づけて心理状態を示す情報である心理状態情報120を格納する心理状態情報格納部25と、周囲の状況を示す周囲情報130を取得する周囲情報取得部30と、遷移後の心理状態を決定する心理決定部40と、心理状態を示す情報と周囲情報130とに対応づけて所定の心理状態を示す情報を格納する遷移後心理状態情報格納部45と、対象者に刺激を与える刺激提供部50と、刺激内容を示す情報を格納する刺激内容格納部55とを備える。また、雰囲気醸成システム1は、個人を特定する個人特定部60と、対象者の特徴を示す特徴情報105を格納する特徴情報格納部65とを更に備えることもできる。
(生体センサ10)
生体センサ10は、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報115を検出し、生体情報115に対応する生体信号を生成する。生体センサ10は、リアルタイムで変化する対象者の生体情報115をリアルタイムで検出し、リアルタイムで生体信号を生成することもできる。ここで、生体情報115とは、対象者の生命を維持するために営まれる生命活動、生命状態、身体活動、及び/又は精神活動に付随して人体に生じる状態に関する情報である。例えば、生体情報115は、脳波情報、脈波情報、心拍情報、脈拍情報、発汗情報、体温情報、呼吸活動情報、血圧情報、血流速度情報、血流量情報、血中酸素濃度情報、筋電情報、眼電位情報、虹彩情報、瞳孔の開き具合を示す情報、視点情報(視点の位置に関する情報、及び視点の動きに関する情報)、視線の動き情報、音声情報(対象者の声の音量や音質に関する情報、及び/又は単位時間当たりの発話量を示す情報等)、匂い情報(ユーザ自身から発せられる匂いについての情報)、対象者の体の動き等を示す情報であるジェスチャー情報、及び対象者の顔の表情を示す表情情報等からなる群から選択される少なくとも1つの情報である。そして、生体センサ10は、対象者の脳波、脈波、心拍、脈拍、発汗、体温、呼吸活動、血圧、血流速度、血流量、血中酸素濃度、筋電、眼電位、虹彩、瞳孔の開き具合、視点の位置・視点の動き、視線の動き、音声、発話量、匂い、ジェスチャー、及び顔の表情等からなる群から選択される少なくとも1つの生命活動、生命状態、又は動作を生体情報115として検出し、検出した生体情報115に対応する生体信号を生成するセンサである。
生体センサ10の例としては、脳波センサ、脈波センサ、心拍センサ、発汗計、体温計、呼吸センサ、血圧計、血流センサ(血流計)、血中酸素濃度計(パルスオキシメーター)、筋電センサ、眼電位センサ、虹彩センサ、瞳孔センサ、視点・視点の動きを検出する視点センサ、視線センサ、音声検出センサ、匂いセンサ、撮像部と深度センサとマルチアレイマイクロフォンとを含むジェスチャーセンサ、及び顔センサ(表情センサ)等からなる群から選択される少なくとも1つのセンサが挙げられる。なお、ジェスチャーセンサは、加速度センサ、及び/又はジャイロセンサを更に有していてもよい。
また、生体センサ10に、対象者の発言を認識する音声認識機能を含ませることもできる。音声認識機能としては、例えば、音響モデル、及び/又は言語モデルを用いて対象者の発言を生体情報115として検出する機能が挙げられる。なお、音声認識機能を含む生体センサ10を用いる場合、この生体センサ10は、有線若しくは無線によりインターネット等の通信網を介して外部のデータベースに接続し、対象者の発言を解析して、解析結果を生体情報115として検出してもよい。生体センサ10は、生成した生体信号を生体信号取得部12に供給する。
なお、生体センサ10は、例えば、対象者の身体に接触する腕時計やアクセサリー、若しくは携帯電話、スマートフォン等に内蔵することができる。また、生体センサ10は、センシング対象が体温、瞳孔の開き具合、視点の位置・視点の動き、視線の動き、音声、発話量、匂い、ジェスチャー、及び/又は顔の表情等の対象者の外部から取得できる生体情報の場合、対象者を観察できる所定の箇所に設置できる。なお、生体情報がジェスチャーの場合については、例えば、スマートフォン等の情報端末にジェスチャーセンサを内蔵させてもよい。
(生体信号取得部12)
生体信号取得部12は、生体センサ10が生成した生体信号を取得する。生体信号取得部12は、生体センサ10が生体信号を生成した年月日、及び/又は時刻に対応づけて生体信号を取得する。生体信号取得部12は、連続的に生体信号を取得することもできる。また、生体信号取得部12は、処理の負担軽減の観点から、予め定められたサンプリング間隔で生体信号を取得することもできる。生体信号取得部12は、生体信号のノイズを除去するノイズ除去処理、時間的に先の生体信号の値を推定する予測処理、時間周波数解析等を実行する直交変換処理、及び/又は予め定められた周波数成分を抽出若しくは除去するフィルタ処理等の信号処理を生体信号に施してもよい。生体信号取得部12は、取得した生体信号を生体情報格納部15、心理状態推定部20、及び/又は個人特定部60に供給する。
(生体情報格納部15)
生体情報格納部15は、生体信号取得部12が生体信号を取得した日時を示す情報である情報取得日時110に対応づけて、生体情報115を格納する。すなわち、生体情報格納部15は、生体信号に対応する生体情報115を情報取得日時110に対応づけて格納する。また、生体情報格納部15は、対象者個人を一意に識別する個人識別子100に対応づけて生体情報115を格納することもできる。生体情報格納部15は、心理状態推定部20からの働きかけに応じ、格納している情報を心理状態推定部20に供給することができる。
(心理状態推定部20、心理状態情報格納部25)
心理状態推定部20は、生体信号取得部12から受け取った生体信号、又は生体情報格納部15が格納している生体情報115に対応する生体信号に基づいて、対象者の心理状態を推定する。すなわち、心理状態推定部20は、ある生体情報115が取得された場合に対象者がどのような心理状態であるのかを、様々な生体情報115に密接に関連していると考えられている心理状態に基づいて、対象者の心理状態を推定する。なお、心理状態推定部20は、生体情報格納部15から個人識別子100に対応づけて生体情報115を受け取った場合、個人識別子100で識別される対象者ごとに心理状態を推定してもよい。また、心理状態推定部20は、対象者の心理状態をリアルタイムで推定することができる。更に、心理状態推定部20は、生体情報格納部15から情報取得日時110に対応づけて生体情報115を受け取った場合、情報取得日時110に対応する日時における対象者の心理状態を推定することもできる。
例えば、生体情報115と心理状態との関係を予め集積し、統計的に処理したデータを格納する格納部を用意する。そして、心理状態推定部20は、受け取った生体信号に対応する生体情報115に対応づけてこの格納部に格納されている心理状態を示す情報である心理状態情報120を取得する。心理状態推定部20は、取得した心理状態情報120を用い、対象者の心理状態を推定する。すなわち、心理状態推定部20は取得した心理状態情報120が表す心理状態を、対象者の心理状態として推定する。
具体的に、心理状態情報格納部25は、生体情報115と心理状態との関係を予め集積し、統計的に処理したデータを格納する。すなわち、心理状態情報格納部25は、生体情報115に対応づけて心理状態を示す情報である心理状態情報120を格納する。心理状態情報格納部25は、対象者を識別する個人識別子100に対応づけて、生体情報115、及び心理状態情報120を格納してもよい。心理状態情報格納部25が個人識別子100に対応づけて生体情報115、及び心理状態情報120を格納している場合、対象者個人ごとに特徴的な生体情報115に所定の心理状態情報120を対応づけることができるので、心理状態推定部20は、より高精度で対象者個人の心理状態を推定できる。心理状態情報格納部25は、心理状態推定部20からの働きかけに応じ、心理状態推定部20に格納している情報を供給する。
なお、心理状態情報120は、喜怒哀楽等を示す心理状態のみならず、眠気のある状態、覚醒状態、リラックス状態、緊張状態、陽気な状態、陰気な状態、平静な状態、落ち込んだ状態、興味を有する状態、無関心な状態、期待感を有する状態等、人間の様々な心理状態に対応する情報、及び/又はこれらの情報に所定の強度を対応づけた情報である。例えば、心理状態情報120としてリラックス状態の情報としては、リラックスの度合いに応じた複数のリラックス状態の情報を挙げることができる。
また、心理状態を、複数の段階に分けて規定してもよい。更に、心理状態を、複数の互いに異なる性質を有する軸に沿って分類して規定してもよい。「軸」としては、例えば、一軸上において、「陽の心理状態」(例えば、リラックス状態、陽気な状態等)と「陰の心理状態」(例えば、緊張状態、落ち込んだ状態等)とに分類する軸が挙げられる(例えば、一方の方向に「陽の心理状態」を取り、他方の方向に「陰の心理状態」を取る軸が挙げられる。)。また、「軸」として、「快の心理状態」(例えば、快適な状態等)と「不快の心理状態」(例えば、嫌悪感を示す状態や不快な状態等)とを1つの軸に取り、当該軸の垂直方向に「心理状態の強度」を示す軸を取ることもできる。
更に、陽の心理状態及び陰の心理状態のそれぞれを、複数の段階に分けて規定してもよい。すなわち、陽の心理状態として、最も「陽」である心理状態、中程度の「陽」である心理状態、及び最低度の「陽」である心理状態、並びに最も「陰」である心理状態、中程度の「陰」である心理状態、最低度の「陰」である心理状態というように、段階を分けて規定できる。心理状態情報格納部25は、生体情報115に対応づけて、所定の段階の陽若しくは陰の心理状態を示す心理状態情報120を格納することができる。
ここで、人間の心理状態と各種生体信号若しくは生体信号に対応する生体情報115とは密接な関連性がある。例えば、脳波には、デルタ波、シータ波、アルファ波、ベータ波、又はガンマ波が存在している。そして、人間が極めて眠い心理状態の場合はデルタ波が、眠い心理状態の場合はシータ波が、リラックスしている心理状態の場合はアルファ波が、そして緊張した心理状態の場合はベータ波が脳波信号の主体になる傾向がある。したがって、心理状態推定部20は、受け取った生体信号が、対象者の脳波が主としてアルファ波によって占められていることを示す場合、対象者の心理状態がリラックス状態であると推定できる。
一例として、心理状態情報格納部25は、生体情報115として脳波の種類、及び/又は強度に対応づけて、心理状態情報120として極めて眠い心理状態、眠い心理状態、リラックスしている心理状態、及び緊張した心理状態を示す情報を格納する。そして、心理状態推定部20は、生体信号として脳波信号を受け取った場合、受け取った脳波信号に対応する生体情報115(すなわち、この場合、脳波情報)に対応づけて心理状態情報格納部25に格納されている心理状態情報120を取得する。そして、心理状態推定部20は、取得した心理状態情報120が表す心理状態を、対象者の心理状態であると推定する。
また、心理状態情報格納部25は、例えば、生体情報115として予め定められた心拍数の範囲ごとに、対象者の緊張の度合いを表した情報を心理状態情報120として格納できる(例えば、心拍数が所定値を超える場合には緊張の度合いが高いことを示す心理状態情報120を格納し、心拍数が所定値以下の場合には緊張の度合いが低いことを示す心理状態情報120を格納する。)。あるいは、心理状態情報格納部25は、生体情報115として予め定められた発汗量の範囲ごとに、対象者の緊張の度合いを表した情報を心理状態情報120として格納できる(例えば、発汗量が所定値を超える場合には緊張の度合いが高いことを示す心理状態情報120を格納し、発汗量が所定値以下の場合には緊張の度合いが低いことを示す心理状態情報120を格納する。)。この場合、心理状態推定部20は、上記と同様にして、対象者の心拍数や発汗量に対応する心理状態情報120を心理状態情報格納部25から取得することによって対象者の緊張の度合いを推定(例えば、心拍数や発汗量が所定値を超える場合には緊張の度合いが高く、心拍数や発汗量が所定値以下の場合には緊張の度合いが低いと推定)できる。
また、心理状態情報格納部25は、例えば、生体情報115として予め定められた瞳孔の開き具合ごとに、対象者が認識している対象(例えば、対象者が知覚しているオブジェクト)に、対象者が興味を示している度合いを表した情報を心理状態情報120として格納できる。この場合、心理状態推定部20は、対象者の瞳孔の開き具合に対応する心理状態情報120に基づいて、対象者が認識している対象に対する、当該対象者の興味の度合いを推定できる(例えば、瞳孔の開き具合が所定の度合いを超える場合、興味が強いと推定でき、瞳孔の開き具合が所定の度合い以下の場合、興味が弱いと推定できる。)。
また、生体情報115が対象者の顔の表情を示す情報である場合は、一例として、以下のように対象者の心理状態を推定できる。まず、心理状態情報格納部25は、生体情報115としての顔の表情のパターン、及び/又は顔の筋肉の動きのパターンを示す情報に対応づけて心理状態情報120を格納する。この場合における心理状態情報120は、「喜び、怒り、笑い、悲しみ、困惑、驚き、痛み、焦燥、落ち着き、又は平静等」のいずれかを表す情報である。心理状態推定部20は、受け取った生体信号に対応する生体情報115に対応づけて心理状態情報格納部25に格納されている心理状態情報120を参照して、対象者の心理状態を「喜び、怒り、笑い、悲しみ、困惑、驚き、痛み、焦燥、落ち着き、又は平静等」のいずれかの心理状態に推定できる。
更に、生体情報115が対象者の発言内容を示す情報である場合は、一例として、以下のように対象者の心理状態を推定できる。まず、心理状態情報格納部25は、生体情報115として予め定められたキーワードに対応づけて心理状態情報120を格納する。心理状態推定部20は、受け取った生体信号に対応する生体情報115(この場合、対象者が発した音声に含まれるキーワード)に対応づけて心理状態情報格納部25に格納されている心理状態情報120を参照して、対象者の心理状態を推定する。
このように、心理状態情報格納部25は、様々な生体情報115のそれぞれに、各生体情報115が検出された時における人間の心理状態を示す心理状態情報120を対応づけて格納しているので、心理状態推定部20は、受け取った生体信号に対応する生体情報115をキーとして、対象者の心理状態を推定できる。心理状態推定部20は、推定結果を示す情報を心理決定部40に供給する。
(周囲情報取得部30)
周囲情報取得部30は、対象者の周囲の状況を示す周囲情報130を取得する。周囲情報取得部30は、リアルタイムに周囲情報130を取得することもできる。また、周囲情報取得部30は、生体信号取得部12の生体信号の取得と連動して、生体信号が取得された時点における周囲情報130を取得することができる。この場合、生体信号取得部12は、生体信号の取得に応じ、周囲情報130を取得する指示を周囲情報取得部30に与えてもよい。
本実施形態において、周囲情報130とは、対象者が存在している位置を示す位置情報、周囲情報130を取得する日付を示す日付情報、周囲情報130を取得する時刻を示す時刻情報、天気を示す天気情報、対象者周囲の温度を示す温度情報、対象者周囲の湿度を示す湿度情報、対象者周囲の音の音量・音質等を示す音情報(対象者の周囲に他の人物が存在する場合、他の人物が発する音声の音声情報も含む)、対象者周囲の照度・光量等を示す光情報、対象者周囲の匂いを示す匂い情報、対象者周囲の空気組成を示す空気組成情報、対象者周囲の振動状況を示す振動情報、対象者周囲に人物が存在するか否か及び人物が存在している場合には当該人物が複数であるか否か等を示す他人情報、及び/又は対象者周囲にオブジェクトが存在するか否か及びオブジェクトが存在している場合には当該オブジェクトの種類や動作を示すオブジェクト情報等が含まれる。なお、「対象者周囲」若しくは「対象者の周囲」とは、対象者を含む所定の領域であって、対象者を中心とした予め定められた半径内の領域である。
周囲情報取得部30は、各種の情報取得部を有する。各種の情報取得部としては、位置情報を取得する位置情報取得部(例えば、GPSを用いて構成できる)、日付情報を取得する日付情報取得部、時刻情報を取得する時刻情報取得部、天気情報を取得する天気情報取得部(例えば、温度センサ、湿度センサ、及び光量センサの組合わせにより推定するか、有線若しくは無線によりインターネット等の通信網に接続し、外部のサーバから天気情報を取得できる)、温度情報を取得する温度情報取得部(例えば、温度センサで構成できる)、湿度情報を取得する湿度情報取得部(例えば、湿度センサで構成できる)、音情報を取得する音情報取得部(例えば、マイクロフォンを用いて構成できる)、光情報を取得する光情報取得部(例えば、光センサ、照度センサ等を用いて構成できる)、匂い情報を取得する匂い情報取得部(例えば、匂いセンサにより構成できる)、空気組成情報を取得する空気組成情報取得部(例えば、空気組成を分析する分析器により構成できる)、振動情報を取得する振動情報取得部(例えば、ジェスチャーセンサや振動センサにより構成できる)、他人に関する情報(以下、「他人情報」という)を取得する他人情報取得部(例えば、人感センサや撮像部等を用いて構成できる)、及び/又はオブジェクト情報を取得するオブジェクト情報取得部(例えば、撮像部を用いて対象者の周囲を撮像し、撮像画像に対してオブジェクトマッチングする装置を用いて構成できる)等が挙げられる。
周囲情報取得部30は、対象者を観察できる所定の箇所に設置される。また、位置情報取得部、日付情報取得部、時刻情報取得部、天気情報取得部、温度情報取得部、湿度情報取得部、音情報取得部、光情報取得部、匂い情報取得部、及び/又は振動情報取得部等、小型化や携帯ができる情報取得部については、対象者が身につける身の回り品(例えば、腕時計、携帯電話、スマートフォン、アクセサリー等)に内蔵させることもできる。周囲情報取得部30は、取得した周囲情報130を心理決定部40に供給する。
(心理決定部40、遷移後心理状態情報格納部45)
心理決定部40は、心理状態推定部20から受け取った心理状態情報120、及び周囲情報取得部30から受け取った周囲情報130に基づいて、対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する。具体的に、心理決定部40は、対象者の心理状態、及び周囲情報130が示す対象者の周囲の雰囲気に基づいて、対象者の心理状態をどのような心理状態に遷移させることが好ましいかを決定し、決定した心理状態を遷移後心理状態とする。
例えば、雰囲気醸成システム1は、心理状態情報120と少なくとも1つの周囲情報130とに対応づけて、遷移させるべき心理状態である遷移後の心理状態を示す情報(以下、「遷移後心理状態情報」という。)を格納する遷移後心理状態情報格納部45を備える。心理決定部40は、受け取った心理状態情報120、及び周囲情報130に対応する遷移後心理状態情報140を、この心理状態情報120及び周囲情報130をキーとして遷移後心理状態情報格納部45を検索する。そして、心理決定部40は、ヒットした遷移後心理状態情報140を抽出する。続いて、心理決定部40は、抽出した遷移後心理状態情報140が示す遷移後の心理状態を、対象者の遷移後の心理状態として決定する。なお、遷移後心理状態情報格納部45は、遷移後心理状態情報140を識別する遷移後心理状態識別子145に対応づけて、遷移後心理状態情報140を格納する。
遷移後心理状態情報格納部45は、少なくとも、複数の心理状態情報120と複数の周囲情報130との組み合わせのそれぞれに遷移後心理状態情報140を対応づけて格納する。また、遷移後心理状態情報格納部45は、複数の心理状態情報120と複数の周囲情報130と複数の特徴情報105との組み合わせのそれぞれに遷移後心理状態情報140を対応づけて格納することもできる。なお、遷移後心理状態情報格納部45は、個人識別子100に対応づけて各情報を格納してもよい。また、遷移後心理状態情報140の種類としては、心理状態情報120と同様の情報を挙げられる。
また、心理決定部40は、対象者の心理状態を陽の心理状態と陰の心理状態とに分類して把握する場合、陽の心理状態若しくは陰の心理状態のいずれにするかを決定する。そして、心理決定部40は、決定した陽若しくは陰の心理状態の複数の段階のいずれの段階に、対象者の心理状態を遷移させることが好ましいかを決定することもできる。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、複数の段階の陽の心理状態、及び複数の段階の陰の心理状態のそれぞれに対応する情報として、遷移後心理状態情報140を格納する。
このように、心理決定部40は、対象者の現在の心理状態と、対象者の現在の周囲の状況とに少なくとも対応づけて遷移後心理状態情報格納部45に格納されている遷移後心理状態情報140を用い、対象者の心理状態をどのような心理状態に遷移させればよいかを決定する。心理決定部40は、遷移後心理状態情報格納部45を参照して決定した遷移後心理状態情報を刺激提供部50に供給する。
(刺激提供部50、刺激内容格納部55)
刺激提供部50は、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者の心理状態の、心理決定部40から受け取った遷移後心理状態情報140が示す遷移後心理状態への遷移を促す。例えば、刺激提供部50は、遷移後心理状態情報140に応じ、対象者の周囲の物理的な状況を変化させること、及び/又は対象者に対して所定の刺激若しくはコンテンツを提供することで、対象者の心理状態の遷移を促す。
ここで、刺激内容格納部55は、対象者に刺激提供部50が与える刺激内容を示す刺激情報150を格納する。刺激内容格納部55は、遷移後心理状態識別子145に対応づけて刺激情報150を格納する。刺激情報150は、対象者の心理状態の遷移後心理状態への遷移を促すために必要な刺激を特定する予め定められた情報である。刺激情報150は、例えば、刺激提供部50を動作若しくは駆動させる制御指令であってよい。刺激提供部50は、心理決定部40から受け取った遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて刺激内容格納部55に格納されている刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を決定し、提供する。
また、心理決定部40においてa)対象者の心理状態を複数の段階のいずれにするかが決定され(心理状態が複数の段階に分けて規定されていることを前提とする)、一度、刺激提供部50から所定の刺激が対象者に提供された後、決定された段階の心理状態に対象者の心理状態が遷移したと心理状態推定部20が推定した場合、又はb)心理決定部40において対象者の心理状態を陽の心理状態若しくは陰の心理状態のいずれにするかが決定されると共に決定された心理状態の複数の段階のいずれの段階にするかが決定され、一度、刺激提供部50から所定の刺激が対象者に提供された後、決定された段階の心理状態に対象者の心理状態が遷移したと心理状態推定部20が推定した場合を想定する。この場合、a)及びb)のいずれの場合においても、刺激提供部50は、対象者の心理状態に過剰感を示す状態が含まれていると心理状態推定部20が推定した場合、刺激の程度を軽減する。例えば、心理決定部40が、a)複数の段階に分けて規定された心理状態のうちの最大の心理状態を遷移後心理状態として決定した場合、又はb)最大の陰の心理状態を遷移後心理状態として決定した場合を想定する。そして、この遷移後心理状態に応じて刺激提供部50が対象者に所定の刺激を与えた後、心理状態推定部20において対象者の心理状態がa)最大の心理状態であるか、又はb)最大の陰の心理状態であると推定されたとする。この場合において、例えば、心理状態推定部20が予め定められた時間以上、a)最大の心理状態、又はb)最大の陰の心理状態が継続していると推定した場合や、いら立ちを示す心理状態を推定した場合等に、心理決定部40は、a)最大の心理状態を当該心理状態の段階より段階を下げた心理状態、若しくはb)最大の陰の心理状態を陽の心理状態側に所定の段階だけ遷移させた心理状態を、次の遷移後心理状態として決定する。そして、刺激提供部50は、この次の遷移後心理状態に対象者の心理状態が遷移するように、対象者に与える刺激を軽減する。
ここで、物理的な状況を変化させるとは、対象者周囲の、光(光量、照度等)、温度、湿度、音(音量、音質等)、匂い、及び/又は振動等を変化させることをいう。刺激提供部50は、例えば、照明、空調器、スピーカー、匂い発生器(芳香発生器)、及び/又は振動発生器等の各種機器を制御して所定の刺激を対象者に与える。
また、「コンテンツ」とは、視覚コンテンツ(例えば、静止画像、動画像、及び/又は所定のパターンで対象者に照射される光(可視光、及び/又は赤外光や紫外光等の可視光を除く光を含む))、聴覚コンテンツ(例えば、人間の可聴域の音声、及び/又は人間の可聴域外の音声を用いて構成される音楽、音声等)、触覚コンテンツ、嗅覚コンテンツ、味覚コンテンツ等である。
なお、雰囲気醸成システム1は、各種機器の動作若しくは駆動を制御する制御情報、及び/又はコンテンツデータを格納するコンテンツ格納部を更に備えることもできる。コンテンツデータとしては、画像データ(静止画データ、及び/又は動画データ)、音声データ、触覚データ、嗅覚データ、及び/又は味覚データのうち少なくとも1つのデータが挙げられる。ここで、コンテンツデータに基づくコンテンツとしては、コンテンツデータによって規定されるコンテンツであって、対象者に知覚可能なコンテンツ、及び/又は対象者の五感によっては実質的に知覚できないものの、物理的に存在するコンテンツが挙げられる。
聴覚コンテンツは、音楽のみならず、人間が話す言葉の音声、ペット等の動物の鳴き声、生活音、電化製品や機械製品等の駆動音、その他の音声を含む。触覚コンテンツは、例えば、対象者の身体に対して圧力や振動、動き等を与えるハプティクスを応用した触覚デバイスを用いることで対象者に触覚を体験させることができる。また、触覚コンテンツは、流体としての空気等を対象者に接触させることで、対象者に触覚を体験させるコンテンツも含んでよい。また、嗅覚コンテンツは、例えば、匂いや芳香を発生する芳香発生装置を用いることで対象者に匂いや芳香を体験させることができる。更に、味覚コンテンツは、例えば、対象者の味蕾に電気刺激等を与えることで所定の味を感じさせる装置を用いることで対象者に味覚を体験させることができる。
これらのコンテンツは、対象者が知覚可能な少なくとも1つの要素を有して構成される。要素としては、色(色相、明度、及び/又は彩度を含む)、画像(画像に含まれるオブジェクトを含む)、音(人間の可聴範囲の音、及び可聴範囲外の音を含む)、匂い、振動、光(可視光、及び可視光を除く光を含む)、触覚、味等が挙げられる。例えば、視覚コンテンツとしての画像(静止画像又は動画像)は、画像に加え、画像に含まれるオブジェクト等、オブジェクトや背景の色、及び/又はオブジェクトや背景に照らされる光等の要素を有して構成される。また、コンテンツとしては、視覚コンテンツ、聴覚コンテンツ、触覚コンテンツ、嗅覚コンテンツ、及び味覚コンテンツ等からなる群から選択される少なくとも2つのコンテンツを組合わせることもできる。
例えば、刺激提供部50は、静止画像、及び/又は動画像を出力する画像出力部、光を照射する光照射部、温度を調節する温度調節部、湿度を調節する湿度調節部、匂いや芳香を発生する芳香発生部、音楽や所定の音を出力する音声出力部、味覚に刺激を与える味覚刺激部、及び触覚に刺激を与える触覚刺激部等からなる群から選択される少なくとも1つの構成要素を有することができる。刺激提供部50は、刺激情報150によって特定される刺激を、これらの少なくとも1つの構成要素を用い、対象者に提供する。
なお、光照射部は、対象者の周囲に光を照射する。光照射部は、光の光量や光が照射される領域の照度等、照射光の波長(可視光、及び/又は赤外光や紫外光等の可視光を除く光を含む)、照射光の照射方向、及び/又は光の出力の仕方(例えば、連続的に出力するパターン、間欠的に出力するパターン等)等を変化させて照射できる。また、空調機を、温度調節部、及び/又は湿度調節部として用いることができる。そして、音声出力部は、遷移後心理状態に誘う音楽、音声、会話音、及び/又は雑音等を出力する。
刺激提供部50は、対象者が存在する領域に設置される。また、味覚コンテンツや触覚コンテンツ等に対応する刺激を対象者に与える場合、刺激提供部50は、対象者の身体に接触する機器に内蔵することができる。
ここで、心理状態推定部20は、刺激提供部50が対象者に刺激を与えた後の対象者の心理状態を推定することもできる。すなわち、刺激提供部50が対象者に刺激を与えた後、生体センサ10は、刺激が与えられた後の対象者の生体信号を生成する。そして、心理状態推定部20は、この生体信号に基づいて、対象者の心理状態を再び推定する。そして、心理状態推定部20は、推定した心理状態を示す心理状態情報120を、心理決定部40に供給する。一方、周囲情報取得部30は、刺激提供部50が対象者に刺激を与えた後(例えば、直後)における周囲情報130を取得して、心理決定部40に供給する。続いて、心理決定部40は、刺激提供部50が対象者に刺激を与えた後の対象者の心理状態と周囲情報とに基づいて、遷移後心理状態を再決定する。そして、刺激提供部50は、再決定された遷移後心理状態に基づいて、対象者に刺激を与える。これにより、雰囲気醸成システム1は、刺激提供部50が対象者に刺激を与えた後、当該刺激により変化した対象者の心理状態に応じ、再び刺激を与えることができる。したがって、雰囲気醸成システム1によれば、対象者の心理状態の、所定の心理状態への遷移をより適切に促すことができる。
ここで、具体的な例を挙げて説明する。
例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「眠い」ことを示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が自宅におり、夜の時間帯であることを示す状況であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、よりリラックスした心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、よりリラックスした心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、照度を落とした照明、テンポの遅い音楽、雨だれの音、及び/又は眠りに適切な温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、光照射部、温度調節部、湿度調節部、及び/又は音声出力部を介し、対象者に照度を落とした照明、テンポの遅い音楽、雨だれの音、及び/又は眠りに適切な温度・湿度等を提供する。
また、例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「眠い」ことを示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が公的な場所(例えば、対象者の勤め先等)におり、昼の時間帯であることを示す状況であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、覚醒した心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、覚醒した心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、照度を所定値以上にした照明、テンポの速い音楽、柑橘系の匂い、及び/又は覚醒に適切な温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、光照射部、温度調節部、湿度調節部、芳香発生部、及び/又は音声出力部を介し、対象者に照度を所定値以上にした照明、テンポの速い音楽、柑橘系の匂い、及び/又は覚醒に適切な温度・湿度等を提供する。
また、例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「平常心」であることを示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が公的な場所(例えば、図書館)におり、対象者の周囲の状況が静かな状況(例えば、対象者の周囲の音量が予め定められた音量以下である状況)であり、朝から昼の時間帯であることを示す状況であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、集中力が向上した心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、集中力が向上した心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、照度を所定値以上にした照明、クラシック音楽、及び/又は集中力が向上した心理状態に適切な温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、光照射部、温度調節部、湿度調節部、及び/又は音声出力部を介し、対象者に照度を所定値以上にした照明、クラシック音楽、及び/又は集中力が向上した状態に適切な温度・湿度等を提供する。
また、例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「疲労」していることを示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が自宅におり、夜の時間帯であることを示す状況であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、対象者が癒されている心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、対象者が癒されている心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、1/fゆらぎによる照明、クラシック音楽、及び/又は癒しに適切な温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、光照射部、温度調節部、湿度調節部、及び/又は音声出力部を介し、対象者に1/fゆらぎによる照明、クラシック音楽、及び/又は癒しに適切な温度・湿度等を提供する。
また、例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「平常心」であることを示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が映画館等のアミューズメント施設にいることを示す状況であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、高揚した心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、高揚した心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、予め定められたパターンで発光する光、対象者に提供される映像に応じた匂い、及び/又は高揚した心理状態に適切な温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、光照射部、芳香発生部、温度調節部、及び/又は湿度調節部を介し、予め定められたパターンで発光する光、対象者に提供される映像に応じた匂い、及び/又は高揚した心理状態に適切な温度・湿度等を提供する。
更に、例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「焦燥感」を示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者がATM付近におり、周囲に他人がいることを示す状況であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、焦燥感が和らげられた心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、焦燥感が和らげられた心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、気持ちを落ち着かせる音声(例えば、「大丈夫ですよ」等の音声)、対象者を落ち着かせる風、及び/又は焦燥感を和らげるために適切な温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、音声出力部、空調機、及び/又は温度調節部や湿度調節部を介し、気持ちを落ち着かせる音声、対象者を落ち着かせる風、及び/又は焦燥感を和らげるために適切な温度・湿度等を提供する。
また、例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「緊張状態」を示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者がアミューズメント施設のお化け屋敷におり、周囲が暗いことを示す状況(所定値以下の照度である状況)であるとする。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、陰の心理状態を最大にすることを示す遷移後心理状態情報140を格納する。そして、刺激内容格納部55は、この遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、陰の状態が最大の心理状態に遷移させるために適切な刺激として、例えば、緊張感を高める音楽・音、生暖かい風(すなわち、所定の温度・湿度の空気の流れ)、及び/又は緊張感を高める触感等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報150として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報150に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、音声出力部、空調機、及び/又は触覚刺激部を介し、緊張感を高める音楽・音、生暖かい風、及び/又は緊張感を高める触感等を提供する。
(個人特定部60)
個人特定部60は、顔認証、骨格認証、虹彩認証、歩行認証等を用いて対象者を特定する。すなわち、個人特定部60は、生体信号取得部12が取得した生体信号に対応する生体情報115に基づいて対象者を特定する。例えば、個人特定部60は、対象者の顔(顔センサで顔に関する生体情報を取得できる)、対象者の歩き方(ジェスチャーセンサで歩き方に関する生体情報を取得できる)、及び/又は対象者の虹彩(虹彩センサで虹彩に関する生体情報を取得できる)等の生体情報115に基づいて対象者を特定する。
例えば、個人特定部60は、対象者の顔、歩き方、及び/又は虹彩等の生体情報を予め格納したデータベースを用いて対象者を特定できる。ここで、このデータベースに予め格納されていない対象者を特定した場合、個人特定部60は、対象者を一意に識別する個人識別子100を新たに発行し、新たに発行した個人識別子100をこの対象者に対応づける。個人特定部60は、対象者を特定した場合、この対象者に対応づけられている個人識別子100、若しくは新たに対応づけた個人識別子100を特徴情報格納部65に供給する。また、個人特定部60は、対象者を特定した場合、個人識別子100を生体情報格納部15に供給する。この場合、生体情報格納部15は、個人識別子100に対応づけて、個人識別子100で識別される対象者の生体情報115を格納する。
(特徴情報格納部65)
特徴情報格納部65は、個人識別子100に対応づけて、個人識別子100で識別される対象者の特徴を示す特徴情報105を格納する。特徴情報格納部65は、個人識別子100に対応づけて、この個人識別子100で識別される対象者個人を特定する情報である個人特定情報107を格納することもできる。
特徴情報105とは、対象者個人を特徴づける情報であり、例えば、対象者の性別、人種、国籍、年齢、信仰している宗教、会話可能な言語、海外渡航履歴等を示す情報である。また、個人特定情報107とは、対象者の個人情報であり、例えば、住所、氏名、血液型、生年月日、勤務先、役職等を示す情報である。なお、個人特定情報107を特徴情報105に含めてもよい。
特徴情報格納部65は、個人特定部60から個人識別子100を受け取った場合、受け取った個人識別子100に対応づけて特徴情報105が既に格納されているのであれば、この個人識別子100に対応づけられている各種情報を心理決定部40に供給する。一方、受け取った個人識別子100に対応づけて特徴情報105等がいまだ格納されていない場合、特徴情報格納部65は、受け取った個人識別子100を格納すると共に、特徴情報105等は空の状態にしておき、特徴情報105等を後で格納できるようにしておく。
そして、心理決定部40が特徴情報格納部65から特徴情報を受け取った場合、対象者の特徴を示す特徴情報を更に用い、遷移後心理状態を決定する。この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、少なくとも特徴情報105に更に対応づけて、遷移後心理状態情報140を格納する。
例えば、心理状態情報120が示す心理状態が「空腹」を示す心理状態であり、周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が日本料理のレストランの室内におり、秋の夜の時間帯であることを示す状況であるとする。更に、特徴情報格納部65から受け取った特徴情報105が、対象者が米国人であり、日本訪問が初めてであることを示すとする。
この場合、遷移後心理状態情報格納部45は、心理状態情報120、周囲情報130、及び特徴情報105に対応づけて、期待感を満たす心理状態を示す遷移後心理状態情報140を格納する。心理決定部40は、遷移後心理状態情報格納部45から取得したこの遷移後心理状態情報140を遷移後心理状態に決定する。そして、心理決定部40は、決定した遷移後心理状態情報を刺激提供部50に供給する。刺激提供部50は、この遷移後心理状態情報の遷移後心理状態識別子145に対応づけて刺激内容格納部55に格納されている刺激情報に基づいて対象者に与える刺激を決定する。一例として、刺激内容格納部55は、この場合の刺激情報150として、対象者の周囲に日本風の音である虫の音(例えば、スズムシの鳴き声)、及び涼やかな風(所定の温度・湿度を有し、所定の風速の空気の流れ)を提供することを示す情報を格納する。刺激提供部50は、音声出力部、及び空調装置を制御して、この刺激情報150に対応する状況を対象者の周囲に創り出す。
<雰囲気醸成システム1の処理の流れ>
図3は、本実施形態に係る雰囲気醸成システムにおける処理の流れの一例を示す。
まず、生体センサ10が対象者の生体情報115を検出する(ステップ10。以下、ステップを「S」と表す。)。生体センサ10は、検出した生体情報115に対応する生体信号を生成する(S20)。生体センサ10は、生体信号を生体信号取得部12に供給する。生体信号取得部12は、生体センサ10から生体信号を取得する(S30)。生体信号取得部12は、取得した生体信号を心理状態推定部20に供給する。心理状態推定部20は、生体信号取得部12から受け取った生体信号に対応づけて心理状態情報格納部25に格納されている心理状態情報120を取得する。心理状態推定部20は、心理状態情報120に対応する心理状態を、対象者の心理状態であると推定する(S40)。心理状態推定部20は、推定した心理状態に対応する心理状態情報120を心理決定部40に供給する。
一方、周囲情報取得部30は、対象者周囲の状況に関する情報である周囲情報130を取得する(S50)。周囲情報取得部30は、生体信号取得部12が生体信号を取得した時点における周囲情報130を取得することができる。周囲情報取得部30は、取得した周囲情報130を心理決定部40に供給する。心理決定部40は、少なくとも、心理状態推定部20から受け取った心理状態情報120、及び周囲情報取得部30から受け取った周囲情報130に対応づけて遷移後心理状態情報格納部45に格納されている遷移後心理状態情報140を取得する。心理決定部40は、取得した遷移後心理状態情報140に対応する遷移後心理状態を、対象者の遷移後の心理状態として決定する(S60)。心理決定部40は、決定した心理状態に対応する遷移後心理状態情報140、及び/又はこの遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145を刺激提供部50に供給する。
刺激提供部50は、受け取った遷移後心理状態情報140、及び/又はこの遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて刺激内容格納部55に格納されている刺激情報150を取得する。刺激提供部50は、刺激情報150において規定されている刺激を、画像出力部等の各種の構成要素を制御して、対象者に提供する(S70)。これにより、雰囲気醸成システム1は、対象者の周囲の雰囲気を変化させ、対象者の心理状態の、所定の心理状態への遷移を促す。
続いて、生体センサ10は、刺激が提供された後の対象者の生体情報115を再び検出し(S10)、雰囲気醸成システム1の各構成要素が上記と同様の動作を繰り返す。これにより、雰囲気醸成システム1によれば、変化する対象者の心理状態、及び周囲の状況に応じ、適切な雰囲気を対象者の周囲に構築できる。
<雰囲気推定システム2の詳細>
図4は、本実施形態に係る雰囲気推定システムの機能構成の一例を示す。雰囲気推定システム2は、雰囲気醸成システム1とは、心理決定部40の代わりに雰囲気推定部42を備え、遷移後心理状態情報格納部45の代わりに雰囲気情報格納部47を備える点を除き、雰囲気醸成システム1と略同一の構成及び機能を備える。したがって、相違点を除き、詳細な説明は省略する。また、図5は、本実施形態に係る雰囲気推定システムが備える各格納部のデータ構成の一例を示す。
雰囲気推定システム2は、生体センサ10と、生体信号取得部12と、生体情報格納部15と、心理状態推定部20と、心理状態情報格納部25と、周囲情報取得部30と、対象者周囲の雰囲気を推定する雰囲気推定部42と、心理状態情報120と周囲情報130とに対応づけて所定の雰囲気を示す情報を格納する雰囲気情報格納部47と、刺激提供部50と、刺激内容格納部56とを備える。また、雰囲気推定システム2は、個人特定部60と、特徴情報格納部65とを更に備えることもできる。
(雰囲気推定部42)
雰囲気推定部42は、心理状態推定部20から受け取った心理状態情報120、及び周囲情報取得部30から受け取った周囲情報130に基づいて、対象者を含む環境の雰囲気を推定する。具体的に、雰囲気推定部42は、対象者の心理状態、及び周囲情報130が示す対象者の周囲の状況に基づいて対象者の周囲の雰囲気を推定する。なお、「雰囲気」としては、友好的な雰囲気、敵対的な雰囲気、険悪な雰囲気、陽気な雰囲気、陰気な雰囲気、和やかな雰囲気、緊張感が漂う雰囲気等、様々な雰囲気を挙げることができる。
例えば、雰囲気推定システム2は、心理状態情報120と少なくとも1つの周囲情報130とに対応づけて、雰囲気を示す情報(以下、「雰囲気情報」という。)を格納する雰囲気情報格納部47を備える。心理決定部40は、受け取った心理状態情報120、及び周囲情報130に対応する雰囲気情報147を、この心理状態情報120及び周囲情報130をキーとして雰囲気情報格納部47を検索する。そして、心理決定部40は、ヒットした雰囲気情報147を抽出する。続いて、心理決定部40は、抽出した雰囲気情報147が示す雰囲気を、対象者周囲の雰囲気として決定する。なお、雰囲気情報格納部47は、雰囲気情報147を識別する雰囲気情報識別子149に対応づけて、雰囲気情報147を格納する。雰囲気情報格納部47は、少なくとも、複数の心理状態情報120と複数の周囲情報130との組み合わせのそれぞれに雰囲気情報147を対応づけて格納する。
このように、心理決定部40は、対象者の現在の心理状態と、対象者の現在の周囲の状況とに少なくとも対応づけて雰囲気情報格納部47に格納されている雰囲気情報147を用い、対象者の周囲の雰囲気を推定する。心理決定部40は、雰囲気情報格納部47を参照して推定した雰囲気情報147を刺激提供部50に供給する。
刺激提供部50は、対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者に与え、対象者を含む環境の雰囲気の、雰囲気推定部42が推定した雰囲気からの変化を促す。例えば、刺激提供部50は、雰囲気情報147に応じ、対象者の周囲の物理的な状況を変化させること、及び/又は対象者に対して所定のコンテンツを提供することで、対象者の周囲の雰囲気の遷移を促す。
ここで、刺激内容格納部56は、刺激提供部50が対象者に与える刺激内容を示す刺激情報152を格納する。刺激内容格納部56は、雰囲気情報識別子149に対応づけて刺激情報152を格納する。刺激情報152は、対象者の周囲の雰囲気の、所定の雰囲気への遷移を促すために必要な刺激を特定する予め定められた情報である。刺激情報152は、例えば、刺激提供部50を動作若しくは駆動させる制御指令である。刺激提供部50は、心理決定部40から受け取った雰囲気情報識別子149に対応づけて刺激内容格納部56に格納されている刺激情報152に基づいて、対象者に与える刺激を決定し、提供する。
例えば、心理状態推定部20において推定された心理状態情報120が示す心理状態が「怒り」を示し、周囲情報取得部30が取得した周囲情報130が示す周囲の状況が、対象者が他の人間の近傍におり、対象者周囲の音量が所定値以上であること示す状況であるとする。この場合、雰囲気情報格納部47は、これらの心理状態情報120及び周囲情報130に対応づけて、「険悪状態」を示す雰囲気情報147を格納する。そして、刺激内容格納部56は、この雰囲気情報147の雰囲気情報識別子149に対応づけて、和やかな雰囲気に遷移させるために適切な刺激として、例えば、精神状態を落ち着かせる映像、精神状態を落ち着かせる音楽、及び/又は精神状態を落ち着かせる温度・湿度等を提供することを刺激提供部50に指示する情報を刺激情報152として格納する。刺激提供部50は、この刺激情報152に基づいて、対象者に与える刺激を提供する。例えば、刺激提供部50は、画像出力部、音声出力部、及び/又は温度調節部・湿度調節部を介し、対象者の周囲に精神状態を落ち着かせる映像、精神状態を落ち着かせる音楽、及び/又は精神状態を落ち着かせる温度・湿度等を提供する。
なお、雰囲気推定システム2においても心理状態を複数の段階に分けて規定することや、複数の互いに異なる性質を有する軸に沿って心理状態を分類して規定することができる。この場合、雰囲気推定システム2は、雰囲気醸成システム1と同様に、対象者周囲に提供する所定の刺激を、対象者の心理状態に応じて軽減できる。すなわち、対象者の心理状態が複数の段階に分けて規定されている場合、刺激提供部50が一度、刺激を提供した後に、環境の雰囲気が雰囲気推定部42において推定された環境の雰囲気に変化した場合であって、心理状態推定部20が対象者の心理状態に過剰感を示す状態や嫌悪感を示す状態が含まれていると推定した場合、刺激提供部50は、刺激の程度を軽減することができる。
このように雰囲気推定システム2は、対象者周囲の雰囲気を推定し、推定した雰囲気を対象者にとって良好な雰囲気に変化させるように、対象者周囲に所定の刺激を提供することができる。なお、雰囲気推定システム2の刺激提供部50は、雰囲気推定部42が推定した雰囲気が対象者にとって良好な雰囲気である場合、対象者周囲に刺激を与えなくてもよい。
図6は、本発明の実施の形態に係る雰囲気醸成システム、又は雰囲気推定システムのハードウェア構成の一例を示す。
本実施の形態に係る雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2は、CPU1500と、グラフィックコントローラ1520と、RandomAccessMemory(RAM)、Read−OnlyMemory(ROM)及び/又はフラッシュROM等のメモリ1530と、データを記憶する記憶装置1540と、記録媒体からデータを読み込み及び/又は記録媒体にデータを書き込む読込み/書込み装置1545と、データを入力する入力装置1560と、外部の通信機器とデータを送受信する通信インターフェース1550と、CPU1500とグラフィックコントローラ1520とメモリ1530と記憶装置1540と読込み/書込み装置1545と入力装置1560と通信インターフェース1550とを互いに通信可能に接続するチップセット1510とを備える。なお、CPU1500等の構成要素は、1つ以上のCPU等であって、複数のCPU等を含んで構成することもできる。
チップセット1510は、メモリ1530と、メモリ1530にアクセスして所定の処理を実行するCPU1500と、外部の表示装置の表示を制御するグラフィックコントローラ1520とを相互に接続することにより、各構成要素間のデータの受渡しを実行する。CPU1500は、メモリ1530に格納されたプログラムに基づいて動作して、各構成要素を制御する。グラフィックコントローラ1520は、メモリ1530内に設けられたバッファ上に一時的に蓄えられた画像データに基づいて、画像を所定の表示装置に表示させる。
また、チップセット1510は、記憶装置1540と、読込み/書込み装置1545と、通信インターフェース1550とを接続する。記憶装置1540は、雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2のCPU1500が使用するプログラムとデータとを格納する。記憶装置1540は、例えば、フラッシュメモリである。読込み/書込み装置1545は、プログラム及び/又はデータを記憶している記憶媒体からプログラム及び/又はデータを読み取って、読み取ったプログラム及び/又はデータを記憶装置1540に格納する。読込み/書込み装置1545は、例えば、通信インターフェース1550を介し、インターネット上のサーバ等の情報処理装置から所定のプログラムを取得して、取得したプログラムを記憶装置1540に格納する。
通信インターフェース1550は、通信ネットワークを介して外部の装置とデータの送受信を実行する。また、通信インターフェース1550は、通信ネットワークが不通の場合、通信ネットワークを介さずに外部の装置とデータの送受信を実行することもできる。そして、タブレット、マイク等の入力装置1560は、所定のインターフェースを介してチップセット1510と接続する。
記憶装置1540に格納される雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2用のプログラムは、インターネット等の通信ネットワーク、又は磁気記録媒体、光学記録媒体等の記録媒体を介して記憶装置1540に提供される。そして、記憶装置1540に格納された雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2用のプログラムは、CPU1500により実行される。なお、記録媒体を用いることで、コンピューターに雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2用のプログラムをインストールできる。プログラムを格納している記録媒体は、CD−ROMやDVD等の非一過性の記録媒体であってよい。すなわち、本実施形態に係る雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2用のプログラムは、非一過性の記録媒体に格納できる。
雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2により実行される雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2用のプログラムは、CPU1500に働きかけて、雰囲気醸成システム1又は雰囲気推定システム2を、図1から図5にかけて説明した生体センサ10、生体信号取得部12、生体情報格納部15、心理状態推定部20、心理状態情報格納部25、周囲情報取得部30、心理決定部40、雰囲気推定部42、遷移後心理状態情報格納部45、雰囲気情報格納部47、刺激提供部50、刺激内容格納部55、刺激内容格納部56、個人特定部60、及び/又は特徴情報格納部65として機能させる。
(実施の形態の効果)
本実施形態に係る雰囲気醸成システム1は、対象者の心理状態、及び対象者周囲の状況に応じ、対象者の心理の、所定の心理への遷移のための刺激を対象者に適切に与えることができる。これにより、雰囲気醸成システム1によれば、対象者周囲の雰囲気に応じ、対象者の心理の、適切な心理への遷移を促すことができる。
また、本実施形態に係る雰囲気推定システム2は、対象者の心理状態、及び対象者周囲の状況に基づいて、対象者周囲の雰囲気を推定できる。そして、雰囲気推定システム2は、当該雰囲気を所定の雰囲気に変えることができる。したがって、雰囲気推定システム2によれば、対象者周囲の雰囲気を対象者にとって良好な雰囲気に遷移させることができるので、対象者の心理に良好な影響を与えることができる。
以下、本実施形態に係る雰囲気醸成システム1の応用例を説明する。
<例1>
例1に係る雰囲気醸成システム1は、対象者の身体の動きに応じ、対象者周囲の雰囲気を変更することで、対象者の心理状態の遷移後心理状態への遷移を促す。すなわち、例1においては、対象者の身体の動きに応じ、映像、音、及び光等からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者が存在する領域に提供することで、対象者周囲の雰囲気を変更し、対象者の心理状態の遷移を促す。
具体的に、生体センサ10は、対象者の身体の動きとしてジェスチャー情報に対応する生体信号を生成する。生体信号取得部12は、ジェスチャー情報に対応する生体信号を取得する。心理状態推定部20は、この生体信号に対応する生体情報115に対応づけて心理状態情報格納部25に格納されている心理状態情報120を取得する。この場合、心理状態情報格納部25は、一例として、生体情報115としての活発な動きに対応するジェスチャー情報に対応づけて、「陽気」を示す心理状態情報120を格納し、生体情報115としてのゆっくりとした動きに対応するジェスチャー情報に対応づけて、「落着き」を示す心理状態情報120を格納する。
心理状態推定部20は対象者の心理状態を推定し、推定した心理状態に対応する心理状態情報を心理決定部40に供給する。また、周囲情報取得部30は、対象者周囲の周囲情報として、対象者周囲の照度、及び/又は音量等を示す情報を取得する。心理決定部40は、心理状態推定部20から受け取った心理状態情報120と、周囲情報取得部30から受け取った周囲情報130とに対応づけて遷移後心理状態情報格納部45に格納されている遷移後心理状態情報140を取得する。
例えば、遷移後心理状態情報格納部45は、心理状態情報120として「陽気」を示す情報と、周囲情報130として対象者の周囲の照度が所定値以下であるか、音量が所定値以下を示す情報とに対応づけて、「明るく、活発な心理状態」を遷移後心理状態情報140として格納する。また、遷移後心理状態情報格納部45は、心理状態情報120として「落着き」を示す情報と、周囲情報130として対象者の周囲の照度が所定値を超えるか、音量が所定値を超えることを示す情報とに対応づけて、「平穏な心理状態」を遷移後心理状態情報140として格納する。心理決定部40は、遷移後心理状態情報格納部45に格納されている遷移後心理状態情報140を取得して、取得した遷移後心理状態情報140を遷移後心理状態として決定する。
そして、刺激提供部50は、心理決定部40から決定した遷移後心理状態の遷移後心理状態識別子145を取得する。例えば、刺激内容格納部55は、「明るく、活発な心理状態」を示す遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、対象者の周囲に活発な内容の映像、陽気な音楽、及び明るい光からなる群から選択される少なくとも1つの要素から構成される刺激を提供することを示す情報を刺激情報150として格納する。また、刺激内容格納部55は、「平穏な心理状態」を示す遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、対象者の周囲に安らぎを与える映像、穏やかな音楽、及び明るさを絞った光(例えば、所定値以下の照度の照明を照射する)からなる群から選択される少なくとも1つの要素から構成される刺激を刺激情報150として格納する。
刺激提供部50は、この遷移後心理状態識別子145に対応づけて刺激内容格納部55に格納されている刺激情報150を取得する。刺激提供部50は、刺激情報150に対応する刺激を対象者に提供する。この場合、刺激提供部50としての画像出力部、音声出力部、及び光照射部を制御して、刺激情報150に対応する刺激を対象者に提供する。これにより、雰囲気醸成システム1は、対象者の身体の動きに応じ、対象者の心理状態を所定の心理状態に遷移させ得る雰囲気を、対象者周囲に醸成することができる。
<例2>
例2に係る雰囲気醸成システム1は、対象者と対象者を除く他の人物との関係性に応じ、対象者周囲の雰囲気を変更することで、対象者及び他の人物との関係性が良好な心理状態であることを示す遷移後心理状態への遷移を促す。すなわち、例2においては、対象者と他の人物とが存在している場の雰囲気に応じ、映像、音、光、及び/又は温度・湿度等からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を対象者が存在する領域に提供することで、対象者周囲の雰囲気を変更し、対象者の心理状態の遷移を促す。
具体的に、生体センサ10は、対象者の心拍情報、発汗情報、体温情報、及び音声情報等からなる群から選択される少なくとも1つに対応する生体信号を生成する。生体信号取得部12は、生体センサ10から生体信号を取得する。心理状態推定部20は、この生体信号に対応する生体情報115に対応づけて心理状態情報格納部25に格納されている心理状態情報120を取得する。この場合、心理状態情報格納部25は、一例として、所定値以上の心拍数に対応する心拍情報、所定量以上の発汗量を示す発汗情報、所定温度以上の体温情報、及び所定値以上の音量の音声情報からなる群から選択される少なくとも1つに対応する生体情報115に対応づけて「ストレス状態」を示す心理状態情報120を格納し、所定値未満の心拍数に対応する心拍情報、所定量未満の発汗量を示す発汗情報、所定温度未満の体温情報、及び所定値未満の音量の音声情報からなる群から選択される少なくとも1つに対応する生体情報115に対応づけて「落着き」を示す心理状態情報120を格納する。
心理状態推定部20は対象者の心理状態を推定し、推定した心理状態に対応する心理状態情報を心理決定部40に供給する。また、周囲情報取得部30は、対象者周囲の周囲情報として、対象者周囲に他の人間が存在するか否かを示す情報、及び対象者周囲の音量を示す情報を取得する。心理決定部40は、心理状態推定部20から受け取った心理状態情報120と、周囲情報取得部30から受け取った周囲情報130とに対応づけて遷移後心理状態情報格納部45に格納されている遷移後心理状態情報140を取得する。
例えば、遷移後心理状態情報格納部45は、心理状態情報120として「ストレス状態」を示す情報と、周囲情報130として対象者の周囲に他の人間が存在し、対象者周囲の音量が所定値以上であることを示す情報に対応づけて「穏やかでリラックスした心理状態」を遷移後心理状態情報140として格納する。また、遷移後心理状態情報格納部45は、心理状態情報120として「落着き」を示す情報と、周囲情報130として対象者の周囲に他人が存在し、対象者周囲の音量が所定値以上であることを示す情報に対応づけて「陽気な心理状態」を遷移後心理状態情報140として格納する。心理決定部40は、遷移後心理状態情報格納部45に格納されている遷移後心理状態情報140を取得して、取得した遷移後心理状態情報140を遷移後心理状態として決定する。
そして、刺激提供部50は、心理決定部40から決定した遷移後心理状態の遷移後心理状態識別子145を取得する。例えば、刺激内容格納部55は、「穏やかでリラックスした心理状態」を示す遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、対象者の周囲に青若しくは紫系統の色、若しくは映像、緊張感を和らげる音楽、及び/又は緊張感を和らげる音(例えば、猫の鳴き声)等からなる群から選択される少なくとも1つの要素から構成される刺激を提供することを示す情報を刺激情報150として格納する。また、刺激内容格納部55は、「陽気な心理状態」を示す遷移後心理状態情報140の遷移後心理状態識別子145に対応づけて、対象者の周囲に赤若しくは黄系統の色、若しくは映像、及び気持ちを快活にさせる音楽等からなる群から選択される少なくとも1つの要素から構成される刺激を刺激情報150として格納する。
刺激提供部50は、この遷移後心理状態識別子145に対応づけて刺激内容格納部55に格納されている刺激情報150を取得する。刺激提供部50は、刺激情報150に対応する刺激を対象者に提供する。この場合、刺激提供部50としての画像出力部、及び/又は音声出力部を制御して、刺激情報150に対応する刺激を対象者に提供する。これにより、雰囲気醸成システム1は、対象者の周囲の雰囲気に応じ、対象者の心理状態を所定の心理状態に遷移させ得る雰囲気を、対象者周囲に醸成することができる。例えば、雰囲気醸成システム1は、対象者と他の人間との間に険悪な雰囲気が存在している場合、険悪な雰囲気を和らげること、及び対象者と他の人間との間に友好な雰囲気がある場合、より友好さを増加させる雰囲気を醸成できる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。更に、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品とのような複数の部分に分割されて適用されるようにすることもできる。
1 雰囲気醸成システム
2 雰囲気推定システム
10 生体センサ
12 生体信号取得部
15 生体情報格納部
20 心理状態推定部
25 心理状態情報格納部
30 周囲情報取得部
40 心理決定部
42 雰囲気推定部
45 遷移後心理状態情報格納部
47 雰囲気情報格納部
50 刺激提供部
55、56 刺激内容格納部
60 個人特定部
65 特徴情報格納部
100 個人識別子
105 特徴情報
107 個人特定情報
110 情報取得日時
115 生体情報
120 心理状態情報
130 周囲情報
140 遷移後心理状態情報
145 遷移後心理状態識別子
147 雰囲気情報
149 雰囲気情報識別子
150、152 刺激情報
1500 CPU
1510 チップセット
1520 グラフィックコントローラ
1530 メモリ
1540 記憶装置
1545 読込み/書込み装置
1550 通信インターフェース
1560 入力装置

Claims (10)

  1. 対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出し、前記生体情報に対応する生体信号を生成する生体センサと、
    前記生体信号に基づいて、前記対象者の心理状態を推定する心理状態推定部と、
    前記対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得部と、
    前記心理状態、及び前記周囲情報に基づいて、前記対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定部と、
    前記対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を前記対象者に与え、前記対象者の前記心理状態の前記遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供部と
    を備える雰囲気醸成システム。
  2. 前記心理状態推定部が、前記対象者に前記刺激提供部が前記刺激を与えた後の前記対象者の心理状態を推定し、
    前記心理決定部が、前記対象者に前記刺激提供部が前記刺激を与えた後の前記対象者の心理状態と前記周囲情報とに基づいて、前記遷移後心理状態を再決定する請求項1に記載の雰囲気醸成システム。
  3. 前記心理決定部が、前記対象者の特徴を示す特徴情報を更に用い、前記遷移後心理状態を決定する請求項1又は2に記載の雰囲気醸成システム。
  4. 前記心理状態が、複数の段階に分けて規定され、
    前記心理決定部が、前記対象者の前記心理状態を、前記複数の段階のいずれの段階にするかを決定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の雰囲気醸成システム。
  5. 前記刺激提供部が、前記心理決定部が決定した前記段階の心理状態に前記対象者の前記心理状態が遷移したと前記心理状態推定部が推定した後において、前記心理状態推定部が、前記対象者の前記心理状態に過剰感を示す状態が含まれていると推定した場合、前記刺激の程度を軽減する請求項4に記載の雰囲気醸成システム。
  6. 生体センサにおいて、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出し、前記生体情報に対応する生体信号を生成する生体信号生成工程と、
    前記対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得工程と、
    前記生体信号に対応する前記対象者の心理状態、及び前記周囲情報に基づいて、前記対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定工程と、
    前記対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を前記対象者に与え、前記対象者の前記心理状態の前記遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供工程と
    を備える雰囲気醸成方法。
  7. 雰囲気醸成システム用の雰囲気醸成プログラムであって、
    コンピューターに、
    生体センサにおいて、対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出させ、前記生体情報に対応する生体信号を生成させる生体信号生成機能と、
    前記生体信号に基づいて、前記対象者の心理状態を推定する心理状態推定機能と、
    前記対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得機能と、
    前記心理状態、及び前記周囲情報に基づいて、前記対象者の遷移後の心理状態である遷移後心理状態を決定する心理決定機能と、
    前記対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を前記対象者に与え、前記対象者の前記心理状態の前記遷移後心理状態への遷移を促す刺激提供機能と
    を実現させる雰囲気醸成システム用の雰囲気醸成プログラム。
  8. 対象者の生命活動、生命状態、及び動作のうち少なくとも1つを含む生体情報を検出し、前記生体情報に対応する生体信号を生成する生体センサと、
    前記生体信号に基づいて、前記対象者の心理状態を推定する心理状態推定部と、
    前記対象者の周囲の状況を示す周囲情報を取得する周囲情報取得部と、
    前記心理状態、及び前記周囲情報に基づいて、前記対象者を含む環境の雰囲気を推定する雰囲気推定部と
    を備える雰囲気推定システム。
  9. 前記対象者が知覚可能な刺激、及び知覚不可能な刺激からなる群から選択される少なくとも1つの刺激を前記対象者に与え、前記対象者を含む前記環境の雰囲気の、前記雰囲気推定部が推定した雰囲気からの変化を促す刺激提供部
    を更に備える請求項8に記載の雰囲気推定システム。
  10. 前記心理状態が、複数の段階に分けて規定され、
    前記刺激提供部が、前記環境の雰囲気が前記雰囲気推定部において推定された前記環境の雰囲気に変化した後において、前記心理状態推定部が前記対象者の前記心理状態に過剰感を示す状態が含まれていると推定した場合、前記刺激の程度を軽減する請求項9に記載の雰囲気推定システム。
JP2018546235A 2016-10-21 2017-10-03 雰囲気醸成システム、雰囲気醸成方法、雰囲気醸成プログラム、及び雰囲気推定システム Pending JPWO2018074224A1 (ja)

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