JPWO2018062225A1 - ビフィドバクテリウム属細菌の遺伝子発現用プロモーター - Google Patents

ビフィドバクテリウム属細菌の遺伝子発現用プロモーター Download PDF

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Abstract

ビフィドバクテリウム属細菌中で、遺伝子を効率よく発現することができるプロモーターを提供することを課題とし、TTGNNNモチーフと、該TTGNNNモチーフの下流に配置されたTATANTモチーフとを含むプロモーター、好ましくは、TTGTGCモチーフと、該TTGTGCモチーフの下流11又は17塩基長の位置に配置されたTATAATモチーフを含むプロモーターを、ビフィドバクテリウム属細菌の遺伝子発現用プロモーターとして用いる。

Description

本発明は、TTGNNNモチーフと、該TTGNNNモチーフの下流に配置されたTATANTモチーフとを含む、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)細菌の遺伝子発現用プロモーターや、前記プロモーターと、前記プロモーターの下流に作動可能に連結された遺伝子とを含むベクターを用いて、ビフィドバクテリウム属細菌を形質転換する工程を含む、前記遺伝子を発現するビフィドバクテリウム属細菌を作製する方法に関する。
ビフィドバクテリウム属細菌は、腸内、膣、口腔等の組織に生息する偏性嫌気性細菌の一種である。ビフィドバクテリウム属細菌は、嫌気性細菌であるため、低酸素部位の1つである癌組織においても生存・増殖する。この性質を利用して、シトシン・デアミナーゼ(CD)を発現するベクターを、ビフィドバクテリウム属細菌に形質転換し、かかる形質転換株と、5−フルオロシトシン(5−FC)を用いて癌を治療できることが報告されている(特許文献1、非特許文献1、2)。5−FC自体は、哺乳類の生体内では利用されないため、毒性は低いものの、癌組織中の形質転換株から発現するCD、すなわち、抗腫瘍活性を有する5−フルオロウラシル(5−FU)のプロドラッグ(前駆体)である5−FCを5−FUに変換する酵素により、5−FUに変換されると、癌細胞のタンパク質合成やDNA合成が阻害される。
このような形質転換株を用いた治療において、目的のタンパク質(CD)を効率よく発現させることが、癌治療効果を高める上でも重要である。目的のタンパク質の発現効率を高める手段の1つとして、プロモーターを改変し、プロモーター活性、すなわち、目的のタンパク質をコードするmRNAの転写活性を高めることがある。実際に、様々な細菌種において、プロモーターの改良が行われている(特許文献2〜4)。しかしながら、ビフィドバクテリウム属細菌において、プロモーター活性を向上させたプロモーターについては、これまで報告されていなかった。
特開2002−97144号公報 特開2011−103875号公報 特開2008−212157号公報 特表2015−506693号公報
Nakamura et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 2362-2366(2002) Fujimori et al., Curr. Opin. Drug Discov. Devel., 5, 200-203(2002)
本発明の課題は、ビフィドバクテリウム属細菌中で、遺伝子を効率よく発現することができるプロモーターを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)中で効率よく発現する遺伝子のプロモーターに着目し、かかるプロモーターの2種類のコンセンサス配列(コンセンサス配列1「TTGTGC」、及びコンセンサス配列2「TACAAT」)を見いだした。
また、かかるコンセンサス配列に塩基置換を導入した場合に、プロモーターによる転写活性(プロモーター活性)にどのような影響を及ぼすかについて解析したところ、コンセンサス配列1(TTGTGC)の1番目のヌクレオチド残基(T)、2番目のヌクレオチド残基(T)、及び3番目のヌクレオチド残基(G)、並びに、コンセンサス配列2(TACAAT)の1番目のヌクレオチド残基(T)、2番目のヌクレオチド残基(A)、4番目のヌクレオチド残基(A)、及び6番目のヌクレオチド残基(T)は、特にプロモーター活性向上に必要であることを示すとともに、コンセンサス配列2の3番目のヌクレオチド残基(C)については、Tに置換した方がプロモーター活性は向上することも見いだした。
さらに、上記知見に基づき、天然のプロモーター(ビフィドバクテリウム・ロンガム由来のHU遺伝子プロモーター)を改変して最適化すると、プロモーター活性が向上するかどうかを解析したところ、「TTGNNN」モチーフと、当該モチーフと下流に「TATANT」モチーフを有するプロモーターは、ビフィドバクテリウム属細菌中で高いプロモーター活性(転写活性)を有することや、両モチーフ間の塩基長が、約11塩基長又は17塩基長である場合、特に約17塩基長のときに、プロモーター活性はより高くなることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)細菌の遺伝子発現用プロモーターであって、TTGNNNモチーフと、該TTGNNNモチーフの下流に配置されたTATANTモチーフとを含む、前記プロモーター。
〔2〕ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)であることを特徴とする上記〔1〕に記載のプロモーター。
〔3〕TTGNNNモチーフが、TTGTGCモチーフであり、TATANTモチーフが、TATAATモチーフであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載のプロモーター。
〔4〕TTGNNNモチーフと、TATANTモチーフとの間の長さが、11又は17塩基長であることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のプロモーター。
〔5〕配列番号14に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基、配列番号20に示されるヌクレオチド配列の61〜91番目のヌクレオチド残基、又は配列番号21に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基を含むことを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のプロモーター。
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のプロモーターと、該プロモーターの下流に作動可能に連結された遺伝子とを含むベクターを用いて、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)細菌を形質転換する工程を含むことを特徴とする、前記遺伝子を発現するビフィドバクテリウム属細菌を作製する方法。
〔7〕ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)であることを特徴とする上記〔6〕に記載の方法。
本発明によると、ビフィドバクテリウム属細菌中で、遺伝子を効率よく発現することができるため、例えば、ビフィドバクテリウム属細菌を、固形腫瘍等の嫌気的疾患治療用遺伝子輸送担体として使用し、ミサイル療法を行うときに有用である。
図1Aは、転写開始点(TSS;Transcriptional Start Sites)におけるヌクレオチド残基(A、C、G、及びT)の出現頻度を解析した結果を示す図である。図1B及びCは、TSSと開始コドンの間の長さ(塩基長)を解析した結果を示す図である。 図2Aは、推定上のビフィドバクテリウム属細菌プロモーターの−35領域及び−10領域を示す図である。図2Bは、ビフィドバクテリウム属細菌プロモーターの−35領域における6塩基長のヌクレオチド残基(図中の1〜6)の出現頻度を解析した結果を示す図である。図2Cは、ビフィドバクテリウム属細菌プロモーターの−10領域における6塩基長のヌクレオチド残基(図中の7〜12)の出現頻度を解析した結果を示す図である。図2Dは、プロモーターのコンセンサス配列について、ビフィドバクテリウム属細菌(B. longum)と大腸菌(E. coli)との間で比較した結果を示す図である。 図3Aは、プラスミドpKO403−TPCTconの模式図である。図3Bは、pKO403−TPCTconのプロモーター領域における2つのコンセンサス配列(「TTGTGC」[コンセンサス配列1]及び「TACAAT」[コンセンサス配列2])に、1塩基置換を導入した場合のプロモーター活性を測定した結果(平均値±2×標準偏差、n=3)を示す図である。図中の「置換部位1〜6」の結果は、図2Aに対応する部位、すなわち、コンセンサス配列1の1〜6番目のヌクレオチド残基(T、T、G、T、G、及びC)を、それぞれA、C、C、A、C、及びAに置換したときの結果を示す。また、図中の「置換部位7〜12」の結果は、図2Aに対応する部位、すなわち、コンセンサス配列2の1〜6番目のヌクレオチド残基(T、A、C、A、A、及びT)を、それぞれG、T、T、G、C、及びAに置換したときの結果を示す。図中の「*」及び「**」は、それぞれ統計学的に有意差(p<0.05、及びp<0.01)があることを示す。 図4Aは、スペーサー長の解析に用いたモチーフ2種(「TTGNNN」、及び「TANNNT」)の模式図である。図4Bは、ビフィドバクテリウム・ロンガム由来の遺伝子130種のプロモーターにおける上記モチーフ2種間のスペーサー長を解析した結果を示す図である。図4Cは、17種類のビフィドバクテリウム属細菌由来のプロモーターにおける、上記モチーフ2種間のスペーサー長を解析した結果(平均値±2×標準偏差、n=17)を示す図である。図中の「**」は、統計学的に有意差(p<0.01)があることを示す。図4Dは、ビフィドバクテリウム・ロンガム(各黒色の棒グラフ)及び大腸菌(E. coli)K−12株(各灰色の棒グラフ)由来のプロモーターにおける上記モチーフ2種間のスペーサー長を解析した結果を示す図である。 HU遺伝子プロモーター中の2つのモチーフ(「TTCGCA」及び「TAGTAT」)や、両モチーフ間のスペーサー長を改変したときのプロモーター活性を測定した結果(平均値±2×標準偏差、n=3)を示す図である。縦軸の「プロモーター活性レベル」は、改変前のHU遺伝子プロモーター(「hup-original」)活性を1としたときの相対値として示す。 ビフィドバクテリウム・ロンガム由来のHU遺伝子プロモーターを含むDNA領域(配列番号18に示されるヌクレオチド配列からなるDNA領域[Hu1])の下流に、作動可能に連結したマウスインターフェロン(mIFN)−γ遺伝子を含むプラスミドベクター(pmIFNg33TL-Hu1)の作製方法を模式的に示す図である。 上記HU遺伝子プロモーターの改変型を含むDNA領域(配列番号14に示されるヌクレオチド配列からなるDNA領域[Hu2])の下流に、作動可能に連結したmIFN−γ遺伝子を含むプラスミドベクター(pmIFNg33TL-Hu2)の作製方法を模式的に示す図である。 プラスミドベクター(pBEshuttle-Hu2a)の作製方法を模式的に示す図である。 プラスミドベクター(pmIFNg)の作製方法を模式的に示す図である。 プラスミドベクター(pmIFNg33)の作製方法を模式的に示す図である。 プラスミドベクター(pmIFNg33-B)の作製方法を模式的に示す図である。 プラスミドベクター(pmIFNg33TL-B)の作製方法を模式的に示す図である。 mIFNg33TL-Hu1形質転換株及びmIFNg33TL-Hu2形質転換株を0〜18時間培養したときの生菌数(図10A)と、培養液中に分泌されたmIFN−γ濃度(図10B)を測定した結果を示す図である。
本発明のプロモーターは、「ビフィドバクテリウム属細菌中で遺伝子を発現するため」という用途が限定された、TTGNNNモチーフ(配列番号1に示されるヌクレオチド配列からなるモチーフ)(以下、「本件モチーフ1」ということがある)と、本件モチーフ1の下流に配置されたTATANTモチーフ(配列番号2に示されるヌクレオチド配列からなるモチーフ)(以下、「本件モチーフ2」ということがある)とを含むプロモーター(以下、「本件プロモーター」ということがある)である。
本明細書において、「遺伝子を発現する」とは、遺伝子のmRNAの発現や、遺伝子のmRNAがコードするタンパク質の発現を意味する。
本明細書において、「プロモーター」とは、RNAポリメラーゼ(好ましくは、RNAポリメラーゼ及び基本転写因子)が結合し、その下流に位置する遺伝子がコードするmRNAの転写を開始させる領域を意味する。本件プロモーターには、通常転写開始点(TSS)が含まれる。
本明細書において、「下流」とは、遺伝子を作動可能となるように本件プロモーターに連結したときに、遺伝子により近い側を意味し、また「上流」とは、遺伝子により遠い側を意味する。
本明細書において、「A」はアデニン残基、「T」はチミン残基、「G」はグアニン残基、及び「C」はシトシン残基をそれぞれ意味し、また、「N」は、「A」、「T」、「G」、及び「C」のうち、任意のヌクレオチド残基を意味する。
本件プロモーターの長さとしては、RNAポリメラーゼ(好ましくは、RNAポリメラーゼ及び基本転写因子)が結合し、RNAポリメラーゼによる転写を開始させるのに十分な長さであればよく、通常20塩基長以上であり、好ましくは22塩基長以上、より好ましくは24塩基長以上、さらに好ましくは26塩基長以上、さらにより好ましくは28塩基長以上、特に好ましくは29塩基長以上、最も好ましくは30塩基長以上である。また、本件プロモーターをベクターにクローニングする場合を考慮すると、本件プロモーターの長さは、通常300塩基長以内であり、好ましくは200塩基長以内、より好ましくは100塩基長以内、さらに好ましくは90塩基長以内、さらにより好ましくは80塩基長以内、特に好ましくは70塩基長以内、特により好ましくは60塩基長以内、最も好ましくは50塩基長以内である。
本件モチーフ1としては、配列番号1に示されるヌクレオチド配列からなるモチーフ、すなわち、プロモーターの上流から順に、T、T、G、N、N、及びN(Nは、A、T、G、又はC)のヌクレオチド配列からなるモチーフであれば特に制限されず、例えば、TTGAGCモチーフ、TTGTCCモチーフ、TTGTGAモチーフ、TTGTGCモチーフ等であってもよいが、TTGTGCモチーフ(配列番号3に示されるヌクレオチド配列からなるもの)が好ましい。
本件プロモーターに含まれる(配置される)本件モチーフ1の位置(領域)としては、本件モチーフ2の上流であれば特に制限されないが、−35領域が好ましい。ここで「−35領域」とは、通常転写開始点から上流25〜55塩基長の範囲内(好ましくは25〜50塩基長の範囲内、より好ましくは25〜45塩基長の範囲内、さらに好ましくは25〜40塩基長の範囲内、最も好ましくは30〜40塩基長の範囲内)の部位を意味する。本明細書において、「本件モチーフ1が−35領域に配置される」とは、本件モチーフ1における1〜6番目のヌクレオチド残基、すなわち、T、T、G、N、N、及びNのヌクレオチド残基のいずれかが、−35領域に相当する部位に配置されることを意味する。
本件モチーフ2としては、配列番号2に示されるヌクレオチド配列からなるモチーフ、すなわち、プロモーターの上流から順に、T、A、T、A、N、及びT(Nは、A、T、G、又はC)のヌクレオチド配列からなるモチーフであれば特に制限されず、例えば、TATAATモチーフ、TATATTモチーフ、TATAGTモチーフ、TATACTモチーフであってもよいが、TATAATモチーフ(配列番号4に示されるヌクレオチド配列からなるもの)が好ましい。
本件プロモーターに含まれる(配置される)本件モチーフ2の位置(領域)としては、本件モチーフ1の下流であれば特に制限されないが、−10領域が好ましい。ここで「−10領域」とは、通常転写開始点から上流1〜30塩基長の範囲内(好ましくは3〜24塩基長の範囲内、より好ましくは4〜20塩基長の範囲内、さらに好ましくは6〜16塩基長の範囲内、最も好ましくは8〜13塩基長の範囲内)の部位を意味する。本明細書において、「本件モチーフ2が−10領域に配置される」とは、本件モチーフ2における1〜6番目のヌクレオチド残基、すなわち、T、A、T、A、N、及びTのヌクレオチド残基のいずれかが、−10領域に相当する部位に配置されることを意味する。
本件モチーフ1と、本件モチーフ2との間の長さとしては、RNAポリメラーゼ(好ましくは、RNAポリメラーゼ及び基本転写因子)の本件プロモーターへの結合能や、転写開始に悪影響を及ぼさなければよく、通常10〜20塩基長の範囲内であり、好ましくは10〜14塩基長、又は16〜20塩基長、より好ましくは10〜13塩基長、又は16〜19塩基長、さらに好ましくは11〜12塩基長、又は16〜18塩基長、さらにより好ましくは11〜12塩基長、又は17〜18塩基長である。本明細書において、「本件モチーフ1と、本件モチーフ2との間の長さ」とは、本件モチーフ1における6番目のヌクレオチド残基(N)と、本件モチーフ2における1番目のヌクレオチド残基(T)との間の長さを意味する。例えば、本件モチーフ1と本件モチーフ2との間にヌクレオチド残基が存在しない場合、両モチーフ間の長さは0塩基長である。
本件プロモーターとしては、具体的に、配列番号14に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基、配列番号20に示されるヌクレオチド配列の61〜91番目のヌクレオチド残基、又は配列番号21に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基を含むプロモーターを挙げることができる。
本件プロモーターと、本件プロモーターの下流に作動可能に連結された遺伝子とを含むベクター(以下、「本件ベクター」ということがある)を用いて、ビフィドバクテリウム属細菌を形質転換すると、前記遺伝子を発現するビフィドバクテリウム属細菌を作製することができる。
上記ビフィドバクテリウム属細菌としては、例えば、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)を挙げることができ、ビフィドバクテリウム・ロンガムが好ましい。
上記「本件プロモーターの下流に作動可能に連結された遺伝子」としては、ビフィドバクテリウム属細菌に由来する遺伝子であっても、ビフィドバクテリウム属細菌以外の生物種に由来する遺伝子であってもよい。かかるビフィドバクテリウム属細菌以外の生物種に由来する遺伝子としては、例えば、インターフェロン(IFN)−α、β、γ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン(IL)−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、IL−15、IL−18、IL−27、腫瘍壊死因子(TNF)−α、リンホトキシン(LT)−β、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)等のサイトカイン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)をコードする遺伝子;エンドスタチン、アンジオスタチン等の血管新生抑制物質をコードする遺伝子;5−フルオロウラシルのプロドラッグである5−フルオロシトシンを5−フルオロウラシルに変換する酵素であるシトシン・デアミナーゼをコードする遺伝子;抗体をコードする遺伝子;などを挙げることができる。これら遺伝子には、遺伝子がコードするタンパク質の単離処理等における便宜のため、ヒスチジンタグ等のアフィニティタグをコードするヌクレオチド配列や、遺伝子がコードするタンパク質のビフィドバクテリウム属細菌外への分泌を促進させるため、分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を適宜付加することもできる。
本件ベクターとしては、遺伝子発現効率をさらに高めるために、エンハンサー領域やリボソーム結合領域(RBS;ribosome binding site)の塩基配列(例えば、「AAGGAG」モチーフ、「AAGAAGGATGCTTT」モチーフ)をさらに含むものや、形質転換株のスクリーニングのために、スペクチノマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子(選択マーカー遺伝子)をさらに含むものが好ましい。エンハンサー領域は、通常本件プロモーターの上流に配置され、RBSは、通常本件プロモーターと遺伝子の間に配置される。
形質転換する方法としては、特に制限されず、例えば、カルシウムイオンを用いる方法、一般的なコンピテントセル形質転換法、プロトプラスト形質転換法、エレクトロポレーション法を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
1.ビフィドバクテリウム属細菌のプロモーター解析
1−1 材料と方法
[培養条件]
ビフィドバクテリウム・ロンガムの培養は、MRS(Lactobacilli MRS Broth、Difco社製)培養液中又はMRS寒天培地上、37℃嫌気条件下で行った。
[全RNAの調製及びRNA−seq解析]
ビフィドバクテリウム・ロンガム由来の全RNAの調製と、全RNAを用いたRNA−seqは、以下の手順〔1〕〜〔8〕にしたがって行った。
〔1〕ビフィドバクテリウム・ロンガムを含む培養液48mLを遠心処理(6,500rpm、10分、4℃)し、上清(培養液)を除いた後、500μL TE緩衝液(10mM Tris−HCl[pH8.0]、1mM EDTA)に懸濁し、1mL RNase阻害剤(RNA protect bacteria reagent、Qiagen社製)を加えた。
〔2〕遠心処理(5,000×g、10分、室温)し、上清を除いた後、2mg 細胞壁溶解酵素(Labiase)を溶解した10mM クエン酸ナトリウム溶液(pH4.0)1mLと、1mg プロテアーゼK(和光純薬工業社製)を溶解した100μL TE緩衝液とを加え、10分間室温でインキュベートした。
〔3〕1mL TRIzol試薬(Thermo Fisher Scientific社製)を加え、1分間ボルテックスした後、室温で3分間インキュベートした。
〔4〕遠心処理(12,000×g、15分、4℃)し、上清を回収した後、200μLクロロホルムを加え、15秒間ボルテックスし、室温で5分間インキュベートした。
〔5〕遠心処理(12,000×g、15分、4℃)し、上清を回収した後、0.5mLイソプロパノールを加え、室温で10分間インキュベートした。
〔6〕遠心処理(12,000×g、10分、4℃)し、上清を除いた後、75% エタノールを加え、遠心処理(7,500×g、5分、4℃)し、上清を除いた後、RNase不含の水50μLに懸濁した。
〔7〕転写開始点(TSS)を同定するために、Ribo-Zero rRNA Removal Kit(Illumina社製)を用いて、リボソームRNA(rRNA)を分解・除去し、全RNAを調製した。
〔8〕全RNAを用いたRNA−seq解析は、MiSeq Sequencing System(Illumina社製)により使用説明書にしたがって行った。
[プラスミド]
CAT(chloramphenicol acetyltransferase)アッセイに用いる13種類のプラスミドは、Golden Gate法を用いて構築した。具体的には、プロモーターの−35領域及び−10領域に、2つのコンセンサス配列(−35領域における「TTGTGC」モチーフ[以下、便宜上「コンセンサス配列1」ということがある]、及び、−10領域における「TACAAT」モチーフ[以下、便宜上「コンセンサス配列2」ということがある])を含み、かつ、コンセンサス配列1及び2の間に、17塩基長のスペーサー配列(TCACTACAGAGTCGGAC)を含むプロモーター(配列番号5に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基からなるプロモーター)と、かかるプロモーターの下流に、CAT遺伝子(クロラムフェニコール耐性遺伝子)が挿入されたDNA断片とを含むプラスミドpKO403−TPCTcon(表1、図3A)や、pKO403−TPCTconを基にして、コンセンサス配列1及び2に、1塩基置換を導入した12種類のプロモーター(配列番号6〜17に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基からなるプロモーター)を含むプラスミド(pKO403−TPCT1〜12、表1)を構築した。なお、これらプラスミドには、形質転換株のスクリーニング用として、スペクチノマイシン(Sp)耐性遺伝子が挿入されている(図3A)。
表中のヌクレオチド配列は、上流から下流方向のリーディング鎖を示す。ヌクレオチド配列中の2つの下線部は、それぞれプロモーターの−35領域及び−10領域を示す。ヌクレオチド配列中の二重線部は、RBSを示す。ヌクレオチド配列中の四角で囲った部分は、配列番号5に示されるヌクレオチド配列に、1塩基置換を導入した箇所を示す。ヌクレオチド配列中の二重四角で囲った部分は、TSSを示す。
[CATアッセイ]
形質転換株中の各種プラスミドにおけるCAT活性(プロモーター活性)は、各種プラスミドから発現したCATが、アセチルCoAのアセチル基をクロラムフェニコールに転移した結果生じるHS−CoAを定量することにより、測定した。ここで、HS−CoAの定量には、5, 5’-Dithiobis(DTNB)(λmax=325nm)を用い、HS−CoAのチオール基により還元されたDTNB(5-Mercapto-2-nitrobenzoic acid;TNB)(λmax=412nm)の濃度を、波長412nmにおける吸光度(A412)を測定することによりHS−CoAを定量した。具体的な手順〔1〕〜〔5〕を、以下に示す。
〔1〕ビフィドバクテリウム・ロンガムと、各種プラスミド100ngとの混合液50μLを、2mmギャップキュベットに入れ、2.1kV、25μF、200Ω条件下で、エレクトロポレーション(MicroPulser、Bio-Rad社製)を行い、ビフィドバクテリウム・ロンガムにプラスミドを形質転換させた。
〔2〕形質転換株を、75μg/mL スペクチノマイシンを含有するMRS寒天培地上で選択培養した。
〔3〕選択された形質転換株のコロニーを単離し、波長412nmにおける吸光度が0.6になるまでMRS培養液中で培養した。
〔4〕PBS溶液で2回洗浄し、2分間超音波破砕処理を行った後、遠心処理(13,000rpm、5分、4℃)し、上清5μLを回収した。
〔5〕回収した上清と、CATアッセイ溶液(100mM Tris−HCl[pH8.0]、2.5mM DTNB、5mM アセチルCoA、及び0.3%[w/v] クロラムフェニコール)とを96ウェルプレート中で混合し、37℃で5分間インキュベートした後、A412を測定した。なお、コントロールとして、形質転換していない野生株(ビフィドバクテリウム・ロンガム)(図3Bの「WT」)についても同様にA412を測定した。プロモーター活性は、pKO403−TPCTconの形質転換株(図3Bの「PC」)から得られたA412に対する相対値(図3Bの縦軸)として算出した。
1−2 結果
[転写開始点のグローバルな解析]
ビフィドバクテリウム属細菌のプロモーターモチーフを解析する前に、まず転写開始点(TSS)を同定することを試みた。上記[全RNAの調製及びRNA−seq解析]の項目に記載の方法にしたがってRNA配列を読み、ビフィドバクテリウム・ロンガムのゲノムDNA上にマッピングした。その結果、269種類の遺伝子は高い発現が認められた(>700RPKM[Reads Per Kilobase of exon per Million mapped reads])。そのうち、特に顕著な変動が認められた130種類の遺伝子について、TSSを同定したところ、主にアデニン残基(A)又はグアニン残基(G)であることが示された(図1A)。また、かかる130種類のTSSのうち、67%(2/3)は、開始コドン(ATG)から上流100塩基長以内に配置されており(図1B)、46%は、開始コドン(ATG)から上流40塩基長以内に配置されていた(図1C)。
[プロモーターモチーフの同定]
続いて、高発現する遺伝子由来の上記130種類のTSSを基に、プロモーターの−35領域(TSSから上流25〜55塩基長の範囲内)及び−10領域(TSSから上流1〜30塩基長の範囲内)(図2A)におけるモチーフ解析を行った。具体的には、CLC Genomics Workbench(ver. 5.1)(Qiagen社製)のパターン検索機能を用い、上記130種類のTSSの上流55塩基長のDNA領域に対して、隠れマルコフモデル(HMM;hidden Markov model)を適用したところ、−35領域及び−10領域それぞれについて、出現頻度の高い6塩基長のヌクレオチド配列からなるコンセンサス配列(−35領域における「TTGTGC」モチーフ[コンセンサス配列1]、及び、−10領域における「TACAAT」モチーフ[コンセンサス配列2])が同定された(図2B〜D)。
[プロモーター活性の測定]
コンセンサス配列1又は2に1塩基置換を導入した場合に、プロモーターによる転写活性、すなわち、プロモーター活性にどのような影響を及ぼすかについて、CATアッセイにより解析した。その結果、コンセンサス配列1(TTGTGC)の1〜3番目のヌクレオチド残基、並びに、コンセンサス配列2(TACAAT)の1、2、4、及び6番目のヌクレオチド残基を置換した場合、置換しなかった場合と比べ、プロモーター活性は大幅に低下し、特にコンセンサス配列2の6番目のヌクレオチド残基を置換した場合、バックグランドレベル(図3Bの「WT」)まで低下した(図3B)。一方、コンセンサス配列1(TTGTGC)の4〜6番目のヌクレオチド残基、及びコンセンサス配列2の5番目のヌクレオチド残基を置換した場合、置換しなかった場合と比べ、プロモーター活性はそれほど低下しなかった(図3B)。さらに、コンセンサス配列2(TACAAT)の3番目のヌクレオチド残基(C)をT(チミン)に置換した場合、置換しなかった場合と比べ、プロモーター活性は大幅に上昇した(図3B)。これらの結果は、コンセンサス配列1(TTGTGC)の1番目のヌクレオチド残基(T)、2番目のヌクレオチド残基(T)、及び3番目のヌクレオチド残基(G)、並びに、コンセンサス配列2(TACAAT)の1番目のヌクレオチド残基(T)、2番目のヌクレオチド残基(A)、4番目のヌクレオチド残基(A)、及び6番目のヌクレオチド残基(T)は、特にプロモーター活性向上に必要であることを示すとともに、コンセンサス配列2の3番目のヌクレオチド残基(C)については、Tに置換した方がプロモーター活性は向上することを示している。
2.プロモーターにおけるモチーフ間のスペーサー解析
実施例1で同定したコンセンサス配列間のスペーサー長を解析した。完全なコンセンサス配列、すなわち、コンセンサス配列1及び2を含むプロモーターは、数が少ないことが予想されたので、プロモーター活性の解析結果を基に、プロモーター活性に特に重要なヌクレオチド残基を含む2種類のモチーフ(「TTGNNN」、及び「TANNNT」)(図4A)について、CLC Genomics Workbench(ver. 5.1)(Qiagen社製)を用い、モチーフ間のスペーサーの長さ(塩基長)を解析した。その結果、ビフィドバクテリウム・ロンガム由来の遺伝子130種のプロモーターのうち、46%(60/130)は、上記2種類のモチーフ間のスペーサーが、11又は17塩基長のものであることが示された(図4B)。また、17種類のビフィドバクテリウム属細菌について、スペーサーの長さを解析したところ、同様に11又は17塩基長のスペーサーが主流であることが示された(図4C)。次に、ビフィドバクテリウム・ロンガム及び大腸菌(E. coli)の全遺伝子について、TSSの上流150塩基長のDNA領域のスペーサーの長さを調べたところ、スペーサーは、ビフィドバクテリウム・ロンガムにおいては、11又は17塩基長のものが主流であるのに対して、大腸菌においては、17塩基長のもののみが主流であることがわかった(図4D)。
3.改変したプロモーターの解析
上記実施例1及び2で得られた知見を基に、天然のプロモーターを改変して最適化すると、プロモーター活性が向上するかどうかをCATアッセイにより解析した。CATアッセイに用いるプラスミドは、実施例1の[プラスミド]の項目に記載の方法にしたがって構築した。
具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガム由来のHU遺伝子プロモーターを含むDNA領域(配列番号18に示されるヌクレオチド配列からなるDNA領域、表1)におけるRBSを最適化したもの(配列番号19に示されるヌクレオチド配列からなるDNA領域、表1)を作製した後、HU遺伝子プロモーターの下流に、CAT遺伝子が挿入されたDNA断片とを含むプラスミド「hup-original」(表1)や、プラスミド「hup-original」を基にして、上記HU遺伝子プロモーターの−35領域における「TTCGCA」モチーフを、コンセンサス配列1(「TTGTGC」モチーフ)に置換し、かつ−10領域における「TAGTAT」モチーフを、コンセンサス配列2(TACAAT)を最適化したモチーフ(「TATAAT」モチーフ)に置換したプロモーター(配列番号20に示されるヌクレオチド配列の61〜91番目のヌクレオチド残基からなるプロモーター)を含むプラスミド「hup-optimal-11bp」(表1)や、かかるプラスミド「hup-optimal-11bp」の−35領域及び−10領域間のスペーサーの長さ(11塩基長)を、17塩基長に伸長したプロモーター(配列番号21に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基からなるプロモーター)を含むプラスミド「hup-optimal-17bp」(表1)を構築した。これら3種プラスミドを用い、実施例1の[CATアッセイ]の項目に記載の方法にしたがってプロモーター活性を測定した。
その結果、HU遺伝子プロモーター中の2つのモチーフ(「TTCGCA」及び「TAGTAT」)を、それぞれ「TTGTGC」及び「TATAAT」へ改変すると、天然のHU遺伝子プロモーターと比べ、プロモーター活性が1.87倍上昇することが示された(図5)。また、かかるモチーフの改変に加え、さらに、HU遺伝子プロモーターの−35領域及び−10領域間のスペーサーの長さ(11塩基長)を、17塩基長に伸長させると、天然のHU遺伝子プロモーターと比べ、プロモーター活性が3.22倍上昇することが示された(図5)。これらの結果は、HU遺伝子プロモーターの−35領域における「TTCGCA」モチーフの3〜6番目のヌクレオチド残基を、「GTGC」へ置換し、かつ、−10領域における「TAGTAT」モチーフの3及び4番目のヌクレオチド残基を、それぞれ「T」及び「A」へ置換すると、プロモーター活性が上昇することを示すとともに、HU遺伝子プロモーターの−35領域及び−10領域間のスペーサーの長さ(11塩基長)を、17塩基長に伸長させると、プロモーター活性が上昇することを示している。
実施例1〜3の結果をまとめると、本件プロモーター、すなわち、「TTGNNN」モチーフと、当該モチーフと下流に「TATANT」モチーフを有するプロモーターは、ビフィドバクテリウム属細菌中で高いプロモーター活性(転写活性)を有することを示している。さらに、両モチーフ間の塩基長が、約11塩基長又は17塩基長である場合、特に約17塩基長のときに、プロモーター活性はより高くなることも示している。
4.分泌タンパク質の発現解析
本件プロモーターが、ビフィドバクテリウム属細菌において、分泌タンパク質を効率よく発現させるものであることを確認するために、本件プロモーターの下流にmIFN−γ遺伝子を挿入したmIFN−γ分泌用プラスミドベクターを用いて解析を行った。かかるmIFN−γ分泌用のプラスミドベクターとして、2種類(pmIFNg33TL-Hu1及びpmIFNg33TL-Hu2)を作製した。pmIFNg33TL-Hu1は、Hu1(ビフィドバクテリウム・ロンガム由来のHU遺伝子プロモーターを含むDNA領域[配列番号18のヌクレオチド配列;表1])の下流にmIFN−γ遺伝子を挿入した大腸菌−ビフィズス菌シャトルプラスミドベクターである(図6)。一方、pmIFNg33TL-Hu2は、Hu2(上記HU遺伝子プロモーターの改変型[配列番号14のヌクレオチド配列;表1])の下流に、mIFN−γ遺伝子を挿入した大腸菌−ビフィズス菌シャトルプラスミドベクターである(図7)。
4−1 材料と方法
[pBEshuttle-Hu2aの作製]
pmIFNg33TL-Hu2の作製に用いたpBEshuttle-Hu2aは、野生型Huプロモーター及びRBS領域を含むビフィズス菌・大腸菌シャトルプラスミドベクターであるpBEshuttle(国際公開2011/093465号パンフレットの参考例4)を用いて、2段階に分けて作製した。概要を図8に示す。まず、第1段階では、プラスミドベクターpBEshuttleを基に、pBEshuttleに含まれるHU遺伝子の上流断片361塩基長のプロモーター領域及びRBS領域配列を、HU遺伝子の上流側218塩基長とHu2とからなるDNA断片に置換し、pBEshuttle-Hu2を作製した。次に、第2段階では、pBEshuttle-Hu2から、HU遺伝子の上流側218塩基長のDNA断片を除去し、pBEshuttle-Hu2aを作製した。これら第1段階及び第2段階のより詳細な操作手順を、以下に示す。
[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]
<PCR増幅>
PCR産物(PCR−A3及びPCR−B3;表2)の調製は、表2及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して行った。具体的には、PCR用の0.2mLチューブに、鋳型DNA1ng、2.5μMのプライマー(フォワードプライマー及びリバースプライマー)各1.6μL、及びPrimeSTAR HS(Premix)(タカラバイオ社製)10μLを加え、0.1×TE緩衝液(1mM Tris−HCl、0.1mM EDTA、pH7.5)にて20μLに調整した。なお、各プライマーは、PCR産物の末端15塩基長が、次工程のIn-Fusion反応において連結する隣接PCR産物の末端15塩基長と同配列になるよう設計した。PCR条件は、PrimeSTAR HS(Premix)の製品説明書に従った。伸長反応時間は、1000塩基長あたり1分を目安とした。PCR産物(PCR−A3及びPCR−B3)の一部を、適切な濃度のアガロースゲルにて、100Vで電気泳動し、予想サイズ(それぞれ88及び3809塩基長)であることを確認するとともに、その濃度を見積った。
<In-Fusion反応>
PCR産物PCR−A3とPCR−B3とを、In-Fusion反応により結合させ、In-Fusion反応液1とした。具体的には、0.2mLチューブに、PCR産物(PCR−A3及びPCR−B3)、5×In-Fusion HD Emzyme Premix(タカラバイオ社製)2μL、及びCloning Enhancer(タカラバイオ社製)1μLを加え、0.1×TE緩衝液にて10μLに調整し、37℃にて15分後、50℃で15分間の反応処理を、サーマルサイクラ―を用いて行った。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液1の一部を用いて、大腸菌HST16CRコンピテントセル(タカラバイオ社製)の形質転換を行った。形質転換方法は、大腸菌HST16CRコンピテントセルの製品説明書に従った。形質転換後の大腸菌懸濁液を、75μg/mLスペクチノマイシン含有LB寒天培地に塗布し、37℃にて一晩静置培養してコロニー(形質転換体1)を形成させた。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体1のコロニーを、75μg/mLスペクチノマイシン含有LB液体培地に植菌し、37℃にて一晩振とう培養した。この培養液よりQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を使用してプラスミドベクターを抽出した。抽出したプラスミドベクター(pBEshuttle-Hu2)の一部を用いて全長ヌクレオチド配列を決定し、デザインした配列と一致することを確認した。
[第2段階;pBEshuttle-Hu2aの作製]
<PCR増幅>
PCR産物(PCR−A4及びPCR−B4;表3)の調製は、表3及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物PCR−A4とPCR−B4とを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液2とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液2の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体2)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体2の培養、並びに上記形質転換体2からのプラスミドベクター(pBEshuttle-Hu2a)の抽出、及びかかるプラスミドベクターの全長ヌクレオチド配列の確認は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
[pmIFNg33TL-Bの作製]
pmIFNg33TL-Hu1及びpmIFNg33TL-Hu2の作製に用いたpmIFNg33TL-Bは、4段階に分けて作製した。概要を図9−1〜図9−4に示す。まず、第1段階では、pBEshuttleに、ヒスチジンが6つ連なったタグ(His×6;以下、単に「ヒスチジンタグ」ということがある)が融合したmIFN−γをコードするヌクレオチド配列を挿入し、pmIFNgを作製した(図9−1)。次に、第2段階では、pmIFNgに、ビフィズス菌での分泌用シグナル配列(SP/Linker)を挿入し、pmIFNg33を作製した(図9−2)。次いで、第3段階では、pmIFNg33のHuプロモーターを、P30プロモーターに変更し、pmIFNg33-Bを作製した(図9−3)。続いて、第4段階では、pmIFNg33-Bよりヒスチジンタグをコードするヌクレオチド配列を除去し、pmIFNg33TL-Bを作製した(図9−4)。これら第1〜4段階のより詳細な操作手順を、以下に示す。
[第1段階;pmIFNgの作製]
<PCR増幅>
mIFN−γ(NCBI Reference Sequence:NP_032363)の成熟タンパク質である23番目のヒスチジン残基(His)〜153番目のセリン残基(Ser)からなるアミノ酸配列(His23-Ser153)をコードするヌクレオチド配列を、ビフィドバクテリウム・ロンガムのコドンに最適化し、さらに、His23-Ser153のカルボキシル(C)末端にヒスチジンタグが融合するように、ヒスチジンタグをコードするヌクレオチド配列を付加し、DNA断片(mIFNg in pUC57)を合成した(GenScript社に受託)。
PCR産物(ベクター1及びインサート1;表4)の調製は、表4及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物ベクター1とインサート1とを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液3とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液3の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体3)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体3の培養、並びに上記形質転換体3からのプラスミドベクター(pmIFNg)の抽出、及びかかるプラスミドベクターの全長ヌクレオチド配列の確認は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
[第2段階;pmIFNg33の作製]
<PCR増幅>
PCR産物(ベクター2及びインサート2;表5)の作製は、表5及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物ベクター2とインサート2とを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液4とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液4の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体4)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体4の培養、並びに上記形質転換体4からのプラスミドベクター(pmIFNg33)の抽出、及びかかるプラスミドベクターのヌクレオチド配列の確認は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。なお、pmIFNg33のヌクレオチド配列の確認は、mIFN−γ発現カセット領域についてのみ実施した。
[第3段階;pmIFNg33-Bの作製]
<PCR増幅>
PCR産物(ベクター3及びインサート3;表6)の調製は、表6及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物ベクター3とインサート3とを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液5とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液5の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体5)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体5の培養、並びに上記形質転換体5からのプラスミドベクター(pmIFNg33-B)の抽出、及びかかるプラスミドベクターのヌクレオチド配列の確認は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。なお、pmIFNg33-Bのヌクレオチド配列の確認は、mIFN−γ発現カセット領域についてのみ実施した。
[第4段階;pmIFNg33TL-Bの作製]
<PCR増幅>
PCR産物(PCR−A及びPCR−B;表7)の調製は、表7及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物PCR−AとPCR−Bとを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液6とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液6の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体6)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体6の培養、並びに上記形質転換体6からのプラスミドベクター(pmIFNg33TL-B)の抽出、及びかかるプラスミドベクターのヌクレオチド配列の確認は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。なお、pmIFNg33TL-Bのヌクレオチド配列の確認は、mIFN−γ発現カセット領域についてのみ実施した。
[pmIFNg33TL-Hu1の作製]
<PCR増幅>
PCR産物(PCR−A1及びPCR−B1;表8)の調製は、表8及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物PCR−A1とPCR−B1とを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液7とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液7の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体7)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体7の培養、並びに上記形質転換体7からのプラスミドベクター(pmIFNg33TL-Hu1)の抽出、及びかかるプラスミドベクターのヌクレオチド配列の確認は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。なお、pmIFNg33TL-Hu1のヌクレオチド配列の確認は、mIFN−γ発現カセット領域についてのみ実施した。
[pmIFNg33TL-Hu2の作製]
<PCR増幅>
PCR産物(PCR−A2及びPCR−B2;表9)の調製は、表9及び10に示す鋳型DNAとプライマーセット(フォワードプライマー及びリバースプライマー)を使用して、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。
<In-Fusion反応>
PCR産物PCR−A2とPCR−B2とを、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って結合させ、In-Fusion反応液8とした。
<大腸菌の形質転換>
In-Fusion反応液8の一部を用いた大腸菌HST16CRの形質転換体(形質転換体8)の作製は、上記[第1段階;pBEshuttle-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って行った。なお、コロニー形成させる条件は、37℃にて一晩を、30℃にて2日間にかえて行った。
<プラスミドベクターの抽出及びヌクレオチド配列の確認>
上記形質転換体8のコロニーを、75μg/mLスペクチノマイシン含有LB液体培地に植菌し、30℃にて一晩静置培養した。この培養液よりQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を使用してプラスミドベクターを抽出した。抽出したプラスミドベクターを含む溶液1μLを鋳型として、プライマーセット(Primer 11及びPrimer 20;表10)及びPrimeSTAR HS(Premix)(タカラバイオ社製)を用いたPCRを行い、mIFN−γ発現カセット領域を増幅した。PCR条件は、PrimeSTAR HS(Premix)の製品説明書に従った。得られたPCR産物5μLに、ExoSAP-IT(Thermo Fisher Scientific社製)2μLを添加、混合し、37℃にて15分間反応後、80℃にて15分間反応させた。この反応液を鋳型として、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)にてシーケンス反応を行い、mIFN−γ発現カセット領域のヌクレオチド配列を確認した。
[ビフィドバクテリウム・ロンガムへの形質転換法]
上記[pmIFNg33TL-Hu1の作製]及び[pmIFNg33TL-Hu2の作製]の項目に記載の方法に従って作製したプラスミドベクター(pmIFNg33TL-Hu1及びpmIFNg33TL-Hu2)を、ビフィドバクテリウム・ロンガムにそれぞれ形質転換し、mIFNg33TL-Hu1形質転換株及びmIFNg33TL-Hu2形質転換株を作製した。具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガムのコンピテントセル80μLに、上記プラスミドベクターを氷上にて適量加え混合した後、BMキュベット(2mmギャップ、BM機器社製)に移した。これをエレクトロポレーション装置(ジーンパルサーII、Bio-Rad社製)にセットし、2kV、25μF、200Ω条件下で、エレクトロポレーションを行った。その後、予め37℃にて温めたIMR調整培地(IMR液体培地800μL及びアスコルビン酸・システイン液[財団法人日本ビフィズス菌センター、光岡 知足、ビフィズス菌の研究、54頁]50μLの混合液、用時調製)850μLを、エレクトロポレーション後のキュベット内に即座に添加し、ネジ蓋付マイクロチューブに回収した。チューブの蓋を緩めた状態で脱酸素・炭酸ガス発生剤(アネロパック・ケンキ、三菱ガス化学社製、以下同様)とともに密閉容器に入れ、37℃にて約3.5時間保温した後、75μg/mLスペクチノマイシン含有IMR寒天培地に塗布し、脱酸素・炭酸ガス発生剤とともに密閉容器に入れ、37℃にて2〜3日間培養してコロニー(mIFNg33TL-Hu1形質転換株及びmIFNg33TL-Hu2形質転換株)を形成させた。
[ビフィドバクテリウム・ロンガムにおけるmIFN−γ分泌レベルの評価]
<培養方法>
細胞培養用フラスコ(フィルターキャップ付、25cm、Thermo Scientific社製)に、MRS培地(ベクトンディッキンソン社製)10mL、アスコルビン酸・システイン液100μL、及び75mg/mLスペクチノマイシン溶液10μLを添加し、75μg/mLスペクチノマイシン含有MRSC液体培地を調製した。かかる液体培地に、mIFNg33TL-Hu1形質転換株及びmIFNg33TL-Hu2形質転換株をそれぞれ植菌し、脱酸素・炭酸ガス発生剤(アネロパック・ケンキ、三菱ガス化学社製)とともに密閉容器に入れ、37℃で24時間、前培養した。本培養用培地は、DMEM培地18mL(Ref: 12320-032、Thermo Fisher Scientific社製)、MRS培地2mL、及びアスコルビン酸・システイン液100μLを混合した培地を37℃で一晩保温し、使用直前に、75mg/mLスペクチノマイシン溶液20μLを添加することにより調製した。各形質転換株を含む前培養液100μLを、調製した本培養用培地に植菌し、脱酸素・炭酸ガス発生剤とともに密閉容器に入れ、37℃で本培養した。本培養開始後、8時間、10時間、12時間、及び18時間が同時となるように、前培養の開始時間を調整した。
<mIFN−γ濃度及び生菌数の測定>
各時間培養後の本培養液の一部を用いて、培養上清中のmIFN−γ濃度と、ビフィドバクテリウム・ロンガムの生菌数を測定した。mIFN−γ濃度は、本培養液の一部を、マイクロチューブ(タンパク質低吸着性、住友ベークライト社製)に移し、遠心分離(15,000rpm、10分、4℃)し、上清を回収後、Mouse IFN-γ Quantikine ELISA Kit(R&D Systems社製)を用いて測定した(図10B)。生菌数測定は、各時間培養後の本培養液を、嫌気性希釈液(財団法人日本ビフィズス菌センター、光岡 知足、ビフィズス菌の研究、308頁)にて適宜希釈した後、BL寒天培地3枚に100μLずつ塗布した。これら寒天培地を、脱酸素・炭酸ガス発生剤とともに密閉容器に入れ、37℃にて3日間培養し、コロニーを形成させた。コロニー数を計測し、式(生菌数[CFU/mL]=平均コロニー数×希釈率×10[1mLあたりに換算])を基に、生菌数を算出した(図10A)。
4−2 結果
各培養時間におけるmIFNg33TL-Hu1形質転換株及びmIFNg33TL-Hu2形質転換株の生育性は、ほぼ同等であり、培養10〜12時間で定常期となった(図10A)。一方、各形質転換株が定常期となった培養12時間後のmIFN−γ濃度を測定すると、mIFNg33TL-Hu2形質転換株におけるmIFN−γ濃度は、217ng/mLであり、mIFNg33TL-Hu1形質転換株におけるmIFN−γ濃度(70ng/mL)と比べ、3.1倍高かった(図10B)。同様に、培養18時間後のmIFN−γ濃度を測定すると、mIFNg33TL-Hu2形質転換株におけるmIFN−γ濃度は、235ng/mLであり、mIFNg33TL-Hu1形質転換株におけるmIFN−γ濃度(73ng/mL)と比べ、約3.2倍高かった(図10B)。これらの結果は、ビフィドバクテリウム属細菌において、Hu2、すなわち、野生型HU遺伝子プロモーターの改変型である本件プロモーターは、野生型HU遺伝子プロモーターと比べ、分泌タンパク質(mIFN−γ)の発現効率が少なくとも3倍以上高いことを示している。
本発明は、癌に対するミサイル療法に資するものである。

Claims (7)

  1. ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)細菌の遺伝子発現用プロモーターであって、
    TTGNNNモチーフと、
    該TTGNNNモチーフの下流に配置されたTATANTモチーフと
    を含む、前記プロモーター。
  2. ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)であることを特徴とする請求項1に記載のプロモーター。
  3. TTGNNNモチーフが、TTGTGCモチーフであり、
    TATANTモチーフが、TATAATモチーフであることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロモーター。
  4. TTGNNNモチーフと、TATANTモチーフとの間の長さが、11又は17塩基長であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロモーター。
  5. 配列番号14に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基、配列番号20に示されるヌクレオチド配列の61〜91番目のヌクレオチド残基、又は配列番号21に示されるヌクレオチド配列の61〜97番目のヌクレオチド残基を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロモーター。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプロモーターと、該プロモーターの下流に作動可能に連結された遺伝子とを含むベクターを用いて、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)細菌を形質転換する工程を含むことを特徴とする、前記遺伝子を発現するビフィドバクテリウム属細菌を作製する方法。
  7. ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
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