JPWO2018021142A1 - 二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラム - Google Patents

二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018021142A1
JPWO2018021142A1 JP2018529825A JP2018529825A JPWO2018021142A1 JP WO2018021142 A1 JPWO2018021142 A1 JP WO2018021142A1 JP 2018529825 A JP2018529825 A JP 2018529825A JP 2018529825 A JP2018529825 A JP 2018529825A JP WO2018021142 A1 JPWO2018021142 A1 JP WO2018021142A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
greenhouse
carbon dioxide
rate
environmental data
environmental
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018529825A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6692102B2 (ja
Inventor
和宏 富士原
和宏 富士原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Tokyo NUC
Original Assignee
University of Tokyo NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Tokyo NUC filed Critical University of Tokyo NUC
Publication of JPWO2018021142A1 publication Critical patent/JPWO2018021142A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6692102B2 publication Critical patent/JP6692102B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01GHORTICULTURE; CULTIVATION OF VEGETABLES, FLOWERS, RICE, FRUIT, VINES, HOPS OR SEAWEED; FORESTRY; WATERING
    • A01G7/00Botany in general
    • A01G7/02Treatment of plants with carbon dioxide
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01GHORTICULTURE; CULTIVATION OF VEGETABLES, FLOWERS, RICE, FRUIT, VINES, HOPS OR SEAWEED; FORESTRY; WATERING
    • A01G9/00Cultivation in receptacles, forcing-frames or greenhouses; Edging for beds, lawn or the like
    • A01G9/18Greenhouses for treating plants with carbon dioxide or the like

Abstract

二酸化炭素施用支援装置は、植物の育成を行う温室内外の環境を測定し、環境条件を取得し、環境条件のうち、温室内外の二酸化炭素濃度と温室の換気回数と温室内の光強度とに基づいて温室内の植物が行う二酸化炭素の交換速度を算出し、環境条件と二酸化炭素の交換速度とが互いに対応付けられた環境データを生成し、環境データ生成部が過去に生成した環境データのうちから環境条件と類似する類似環境データを取得し、類似環境データと二酸化炭素の交換速度とに基づいて温室内の植物が温室内の二酸化炭素を消費する速度を算出し、温室内の容積と消費する速度と環境条件のうち温室の換気回数とに基づいて、温室内に施用される二酸化炭素の施用速度と消費する速度との関係を推定する。

Description

本発明は、二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラムに関する。
本願は、2016年7月28日に、日本に出願された特願2016−148443号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、植物を育成する温室に二酸化炭素を施用し、植物の育成を促進する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2014−128263号公報
植物が活発に光合成を行う光強度の時間帯には、温室内の温度が上昇しすぎる為、温室の窓を開放する場合がある。温室の窓を開放すると、温室内に二酸化炭素を施用しても、温室内に施用した二酸化炭素の多くは窓から温室外に漏れてしまう。温室を管理する管理者は、植物の生育環境の変化に応じて温室に施用する二酸化炭素の流量を増減させるべきであるが、その流量の合理的な決定方法がないという問題があった。
本発明の課題は、温室内に施用する二酸化炭素の流量を管理者に通知することができる二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラムを提供することにある。
本発明の一態様は、植物の育成を行う温室内外の環境を測定する測定部から、植物が育成される環境条件を取得する環境条件取得部と、前記環境条件取得部が取得する前記環境条件のうち、前記温室内の二酸化炭素濃度と、前記温室外の二酸化炭素濃度と、前記温室の換気回数と、前記温室内の光強度とに基づいて、前記温室内の植物が行う二酸化炭素の交換速度を算出する交換速度算出部と、前記環境条件取得部が取得する前記環境条件と、前記交換速度算出部が算出する前記二酸化炭素の交換速度とが互いに対応付けられた環境データを生成する環境データ生成部と、前記環境データ生成部が過去に生成した前記環境データのうちから、前記環境条件取得部が取得する前記環境条件と類似する環境データを類似環境データとして取得する環境データ取得部と、前記環境データ取得部が取得する前記類似環境データと、前記交換速度算出部が算出する前記二酸化炭素の交換速度とに基づいて、前記温室内の植物が前記温室内の二酸化炭素を消費する速度を算出する消費速度算出部と、前記温室内の容積と、前記吸収速度算出部が算出する前記消費する速度と、前記環境条件取得部が取得する前記環境条件のうち前記温室の換気回数とに基づいて、前記温室内に施用される二酸化炭素の施用速度と前記消費する速度との関係を推定する施用速度推定部とを備える二酸化炭素施用支援装置である。
また、本発明の他の態様は、前記消費速度算出部は、前記交換速度算出部が算出する前記二酸化炭素の交換速度と、前記類似環境データに含まれる前記二酸化炭素の交換速度との相対値に基づいて、前記消費する速度を算出する二酸化炭素施用支援装置である。
また、本発明の他の態様は、前記施用速度推定部は、前記消費速度算出部が算出した前記消費する速度に基づいて、前記植物の状態に関係する値を更に算出する二酸化炭素施用支援装置である。
また、本発明の他の態様は、前記植物の状態に関係する値には、前記植物の生長点を含む茎葉部の伸長の速さを示す茎葉部成長速度、前記植物から蒸散される水分の単位時間あたりの量を示す蒸散速度のうちの少なくとも1つが含まれる二酸化炭素施用支援装置である。
また、本発明の他の態様は、前記環境条件には、前記温室内の飽差の条件、前記温室内の気温の条件、前記植物に供給される給液速度の条件が含まれ、前記施用速度推定部は、更に、前記環境条件のうちから少なくとも1つの条件と前記消費する速度との関係を推定する二酸化炭素施用支援装置である。
本発明の一態様は、コンピュータに、植物の育成を行う温室内外の環境を測定する測定部から、植物が育成される環境条件を取得する環境条件取得ステップと、前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件のうち、前記温室内の二酸化炭素濃度と、前記温室外の二酸化炭素濃度と、前記温室の換気回数と、前記温室内の光強度とに基づいて、前記温室内の植物が行う二酸化炭素の交換速度を算出する呼吸速度算出ステップと、前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件と、前記呼吸速度算出ステップにおいて算出される前記二酸化炭素の交換速度とが互いに対応付けられた環境データを生成する環境データ生成ステップと、前記環境データ生成ステップにおいて過去に生成された前記環境データのうちから、前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件と類似する環境データを類似環境データとして取得する環境データ取得ステップと、前記環境データ取得ステップにおいて取得される前記類似環境データと、前記呼吸速度算出ステップにおいて算出される前記二酸化炭素の交換速度とに基づいて、前記温室内の植物が前記温室内の二酸化炭素を消費する速度を算出する消費速度算出ステップと、前記温室内の容積と、前記消費速度算出ステップにおいて算出される前記消費する速度と、前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件のうち前記温室の換気回数とに基づいて、前記温室内に施用される二酸化炭素の施用速度と前記消費する速度との関係を推定する施用速度推定ステップとを実行させるための二酸化炭素施用支援プログラムである。
本発明によれば、温室内に施用する二酸化炭素の流量を管理者に通知することができる二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラムを提供することができる。
温室の外観構成の一例を示す図である。 二酸化炭素施用支援装置の構成の一例を示す図である。 二酸化炭素施用支援装置の動作の一例を示す流れ図である。 二酸化炭素施用支援装置の動作の一例を示す流れ図である。 記憶部に記憶される環境データの一例を示す図である。 温室内の二酸化炭素濃度と、純光合成速度との関係の一例を示す図である。 類似環境データの純光合成速度に補正を行う場合と、行わない場合との一例を示す図である。 施用速度推定部が推定した二酸化炭素の施用速度の一例を示す図である。 施用速度推定部が推定した二酸化炭素の施用速度の一例を示す図である。 記憶部に記憶された環境データの量と、消費速度算出部が算出する純光合成速度との関係の一例を示す図である。 環境データ取得部が記憶部から取得する類似環境データの許容範囲と、消費速度算出部が算出する純光合成速度との関係の一例を示す図である。
[実施形態]
[温室1の外観構成]
以下、図面を参照して、本発明に係る二酸化炭素施用支援装置の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成部品の個数等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、温室1の外観構成の一例を示す図である。
温室1には、植物NPが植生される。温室1とは、その内部において植物NPを育成する建造物のことである。温室1は、太陽光を受けて内部の植物NPを育成してもよく、人工光によって内部の植物NPを育成してもよい。植物NPは、温室1の環境条件に応じて生育する。具体的には、植物NPは、温室1内の光を受けて、温室1内の二酸化炭素を吸収し、光合成を行う。この一例では、植物NPは、苗の状態の時に温室1内に植生される。なお、植物NPは、苗以外の状態の時に温室1内に植生されてもよい。
温室1は、測定部10と、窓20と、飽差算出装置15と、換気回数算出部16と、二酸化炭素施用制御装置17と、温室情報装置18と、二酸化炭素施用支援装置100とを備える。
測定部10は、温室1の環境条件を測定する。温室1の環境条件には、温室1内の気温、温室1内の光の強さを示す光強度、温室1内の飽差、温室1内外の二酸化炭素濃度及び温室1の換気回数が含まれる。ここで、飽差とは、ある気温における空気中の水蒸気の総量と、既に空気中に含まれる水蒸気の量の差である。換気回数とは、1時間あたりに構造物内に流入する空気量を構造物内の空気容積で除したものである。この一例では、換気回数とは、1時間あたりに温室1内に流入する空気量を温室1内の空気容積で除したものである。具体的には、換気回数とは、空気容積が”500”(m)の温室1内に、1時間あたりに”500”(m)の空気が流入する場合には、換気回数は”1”(h−1)である。
測定部10は、温度センサ11と、光強度センサ12と、屋内二酸化炭素濃度測定センサ13と、屋外二酸化炭素濃度測定センサ14と、飽差算出装置15と、換気回数算出部16とを備える。
温度センサ11は、温室1内の温度を測定する。温度センサ11は、測定した温室1内の温度を二酸化炭素施用支援装置100に対して出力する。具体的には、温度センサ11は、温室1内の気温を測定する。
光強度センサ12は、温室1内の光の強さを測定する。光強度センサ12は、測定した温室1内の光の強さを二酸化炭素施用支援装置100に対して出力する。この一例では、光強度センサ12は、温室1内の日射量を測定する。なお、人工光によって植物を育成する温室の場合、光強度センサ12は人工光の強さを測定してもよい。
屋内二酸化炭素濃度測定センサ13は、温室1内の二酸化炭素濃度を測定する。屋内二酸化炭素濃度測定センサ13は、測定した温室1内の二酸化炭素濃度を二酸化炭素施用支援装置100に対して出力する。
屋外二酸化炭素濃度測定センサ14は、温室1外の二酸化炭素濃度を測定する。屋外二酸化炭素濃度測定センサ14は、測定した温室1外の二酸化炭素濃度を二酸化炭素施用支援装置100に対して出力する。
飽差算出装置15は、温室1内の飽差を算出する。飽差算出装置15は、温室1内の温度と、温室1内の相対湿度とに基づいて、飽差を算出する。飽差算出装置15は、算出した飽差を二酸化炭素施用支援装置100に対して出力する。
換気回数算出部16は、温室1の換気回数を算出する。換気回数測定部16は、換気回数を、水収支法などに基づいて算出する。ここで、水収支法とは、温室1に投入された水分と、温室1から排出された水分とに基づいて、温室1の換気回数を算出する方法である。換気回数算出部16は、測定した換気回数を二酸化炭素施用支援装置100に対して出力する。なお、温室1は、ファン(不図示)などにより換気回数が制御されてもよい。この一例では、換気回数が1である場合について説明する。
窓20は、開閉動作する。窓20が開閉動作すると、温室1内の環境条件が変化する。
具体的には、窓20は開放されると、温室1内の空気が入れ替わる程度が大きくなる。窓20が開放されると、温室1内の温度が、温室1外の温度よりも大きければ、温室1内の温度は下がる。窓20が閉じられると、温室1内の空気は、ほとんど入れ替わらない。窓20が閉じられると、温室1に日光が当たっていれば、温室1内の温度は一般には上昇する。
二酸化炭素施用制御装置17は、二酸化炭素施用支援装置100が算出する二酸化炭素の施用速度に基づいて、温室1内に供給される二酸化炭素の施用速度を制御する。言い換えると、二酸化炭素施用制御装置17は、二酸化炭素施用支援装置100が算出する二酸化炭素の施用速度に基づいて、温室1内に供給される二酸化炭素の量を制御する。
二酸化炭素施用制御装置17は、環境データ生成部109に対して、二酸化炭素施用制御装置17が温室1内に供給する二酸化炭素の施用速度を示す二酸化炭素施用速度CSを出力する。
温室情報装置18とは、温室1に関係する情報が記憶される装置である。この一例では、温室情報装置18には、温室1内の空気容積の情報が記憶される。温室1内の空気容積とは、温室1内の空気の容積である。なお、温室情報装置18に記憶される温室1内の空気容積の情報は、温室1毎のほぼ固定の値として扱ってよい。温室1内の空気容積の情報は、どこに記憶されてもよい。
二酸化炭素施用支援装置100は、季節、天候、時刻などにより変化する温室1内外の環境条件を取得する。二酸化炭素施用支援装置100は、取得した環境条件に基づいて、温室1内の植物NPに適した二酸化炭素の施用速度を推定する。この一例では、二酸化炭素施用支援装置100が推定する二酸化炭素の施用速度とは、温室1内外の環境条件に応じて温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度と温室1内の植物NPの純光合成速度との関係を示す曲線である。以降の説明では、温室1内外の環境条件に応じて温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度と温室1内の植物NPの純光合成速度との関係を示す曲線を、単にCP曲線と記載する場合もある。
二酸化炭素施用支援装置100の詳細は後述する。
次に、図2を参照して、二酸化炭素施用支援装置100の機能構成について説明する。
図2は、二酸化炭素施用支援装置100の構成の一例を示す図である。
二酸化炭素施用支援装置100は、環境条件取得部101と、交換速度算出部108と、環境データ生成部109と、記憶部110と、環境データ取得部111と、消費速度算出部112と、施用速度推定部113と、表示部114とを備える。
環境条件取得部101は、測定部10から、植物NPが育成される環境条件を取得する。環境条件取得部101は、温室1内に植物NPが定植されると、時間間隔を開けて測定部10から環境条件を取得する。
具体的には、環境条件取得部101には、温度取得部102と、光強度取得部103と、飽差取得部104と、屋内二酸化炭素濃度取得部105と、屋外二酸化炭素濃度取得部106と、換気回数取得部107とが含まれる。
温度取得部102は、温度センサ11から、温室1内の温度TVを取得する。温度取得部102は、取得した温室1内の温度TVを、交換速度算出部108と、環境データ生成部109とに対して出力する。
光強度取得部103は、光強度センサ12から、温室1内の光強度LSを取得する。光強度取得部103は、取得した温室1内の光強度LSを、交換速度算出部108と、環境データ生成部109とに対して出力する。
飽差取得部104は、飽差算出装置15から、温室1内の飽差HDを取得する。飽差取得部104は、取得した温室1内の飽差HDを、環境データ生成部109に対して出力する。
屋内二酸化炭素濃度取得部105は、屋内二酸化炭素濃度測定センサ13から、温室1内の二酸化炭素濃度ICDを取得する。屋内二酸化炭素濃度取得部105は、取得した温室1内の二酸化炭素濃度ICDを、交換速度算出部108と、環境データ生成部109とに対して出力する。
屋外二酸化炭素濃度取得部106は、屋外二酸化炭素濃度測定センサ14から、温室1外の二酸化炭素濃度OCDを取得する。屋外二酸化炭素濃度取得部106は、取得した温室1外の二酸化炭素濃度OCDを、交換速度算出部108と、環境データ生成部109とに対して出力する。
換気回数取得部107は、換気回数算出部16から、換気回数VCを取得する。換気回数取得部107は、取得した換気回数VCを交換速度算出部108と、環境データ生成部109と、施用速度推定部113とに対して出力する。
交換速度算出部108は、温室1内の植物NPの二酸化炭素の交換速度PSを算出する。二酸化炭素の交換速度PSとは、温室1内の植物NPが正味に消費又は放出する二酸化炭素の速度である。具体的には、交換速度算出部108は、光強度取得部103から温室1内の光強度LSを取得する。交換速度算出部108は、屋内二酸化炭素濃度取得部105から温室1内の二酸化炭素濃度ICDを取得する。交換速度算出部108は、屋外二酸化炭素濃度取得部106から温室1外の二酸化炭素濃度OCDを取得する。交換速度算出部108は、換気回数取得部107から換気回数VCを取得する。交換速度算出部108は、温室情報装置18から空気容積ACを取得する。
交換速度算出部108は、環境条件取得部101が取得する環境条件のうち、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、温室1外の二酸化炭素濃度OCDと、温室1の換気回数VCと、温室1内の光強度LSとに基づいて、温室1内の植物NPが行う二酸化炭素の交換速度PSを算出する。具体的には、交換速度算出部108は、式(1)に示すザイデルの式から導かれる定常状態における式を用いて、二酸化炭素の交換速度PSを算出する。
Figure 2018021142
ここで、式(1)中のMとは、温室1内の植物NPの二酸化炭素の交換速度PSである。式(1)中のNは、換気回数VCである。式(1)中のVとは、温室1内の空気容積ACである。式(1)中のΔCとは、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、温室1外の二酸化炭素濃度OCDとの差である。
交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSとは、温室1内の光強度LSが植物NPの光合成に適した光の強さを示さない場合(例えば夜間)には、植物NPの暗呼吸速度を示す。ここで、暗呼吸とは、植物NPが二酸化炭素を排出する呼吸である。
交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSとは、温室1内の光強度LSが、植物NPの光合成に適した光の強さを示す場合(例えば昼間)には、植物NPの純光合成速度である。純光合成速度とは、温室1内の植物NPが、温室1内の二酸化炭素濃度ICDに応じて吸収する二酸化炭素の速度である。以下の説明では、純光合成速度を、消費する速度UDと記載することもある。
つまり、交換速度算出部108は、温室1内の光強度LSが示す光強度が、植物NPが光合成可能な強さに達していない場合には、二酸化炭素の交換速度PSを暗呼吸速度として算出する。交換速度算出部108は、温室1内の光強度LSが示す光強度が、植物NPが光合成可能な強さに達している場合には、二酸化炭素の交換速度PSを、純光合成速度として算出する。
なお、交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSは、時刻の情報に基づいて暗呼吸速度と、純光合成速度とを区別してもよい。具体的には、交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSは、太陽が出ている間の時刻を純光合成速度としてもよい。また、交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSは、太陽が沈んでいる間の時刻を、暗呼吸速度としてもよい。
環境データ生成部109は、環境条件取得部101が取得する環境条件と、交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSとが互いに対応付けられた環境データEDを生成する。具体的には、環境データ生成部109は、温度取得部102から温室1内の温度TVを取得する。環境データ生成部109は、光強度取得部103から温室1内の光強度LSを取得する。環境データ生成部109は、飽差取得部104から温室1内の飽差HDを取得する。環境データ生成部109は、屋内二酸化炭素濃度取得部105から温室1内の二酸化炭素濃度ICDを取得する。環境データ生成部109は、屋外二酸化炭素濃度取得部106から温室1外の二酸化炭素濃度OCDを取得する。環境データ生成部109は、換気回数取得部107から換気回数VCを取得する。環境データ生成部109は、二酸化炭素施用制御装置17から、二酸化炭素施用速度CSを取得する。
環境データ生成部109は、温室1内の温度TVと、温室1内の光強度LSと、温室1内の飽差HDと、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、温室1外の二酸化炭素濃度OCDと、換気回数VCと、二酸化炭素施用速度CSと、環境条件を取得した日付及び時刻と、二酸化炭素の交換速度PSとを互いに対応付けて、環境データEDを生成する。
環境データ生成部109は、生成した環境データEDを、記憶部110に記憶させる。環境データ生成部109は、生成した環境データEDを環境データ取得部111に対して出力する。
記憶部110には、環境データ生成部109が生成した環境データEDが記憶される。
環境データ取得部111は、環境データ生成部109が過去に生成した環境データEDのうちから、環境条件取得部101が取得する環境条件EDと類似する環境データを類似環境データSEDとして取得する。類似環境データSEDとは、過去に生成された環境データのうち、施用速度推定部113が二酸化炭素の施用速度ASの推定に用いる環境データEDと値が近い環境データEDのことである。具体的には、環境データ取得部111が類似環境データSEDの選択に用いる環境データEDは、現在の温室1内の環境条件が、日没、大きな気温の変化、曇天、降雨による温室1内の光強度LSの変化などの環境条件が大きく変化する前の環境データEDであればよい。より具体的には、例えば、環境データ取得部111は、直近に生成された環境データEDよりも以前に生成された環境データEDと類似する環境データを、類似環境データSEDとして取得してもよい。環境データ取得部111は、直近に生成された環境データEDよりも以前に生成された環境データEDと類似するデータを類似環境データSEDとして取得する場合には、環境データ生成部109から取得した環境データEDを蓄積し、蓄積された環境データEDに基づいて記憶部110から類似環境データSEDを取得すればよい。
環境データ取得部111は、環境データ生成部109から環境データEDを取得する。
環境データ取得部111は、環境データ生成部109から取得した環境データEDのうち、温室1内の光強度LSと、温室1内の温度TVと、温室1内の飽差HDとのそれぞれが類似する環境データを、記憶部110から類似環境データSEDとして取得する。
具体的には、環境データ取得部111は、環境データ生成部109から取得した環境データEDのうち、温室1内の光強度LSと、温室1内の温度TVと、温室1内の飽差HDとのそれぞれの値が、±25%程度の範囲内に収まる値を類似環境データSEDとして取得する。一例として、環境データ取得部111は、環境データEDのうち、温室1内の光強度LSが”100”、温室1内の温度TVが”20”、温室1内の飽差HDが”30”の場合には、記憶部110に記憶される過去に生成された環境データEDのうちから、温室1内の光強度LSが”75”から”125”、温室1内の温度TVが”15”から”25”、温室1内の飽差HDが”22.5”から”37.5”に収まる環境データを、類似環境データSEDとして取得する。
環境データ取得部111は、環境データ生成部109から取得する環境データEDと、記憶部110から取得する類似環境データSEDとを、消費速度算出部112に対して出力する。
消費速度算出部112は、環境データ取得部111が取得する類似環境データSEDと、交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSとに基づいて、温室1内の植物NPが温室1内の二酸化炭素を消費する速度UDを算出する。消費速度算出部112は、環境データEDの日付の直近の暗呼吸速度と、類似環境データSEDの日付の直近の暗呼吸速度とに基づいて、環境データEDの日付の直近の二酸化炭素を消費する速度UDを補正する。具体的には、消費速度算出部112は、環境データEDの日付の直近の暗呼吸速度が”1”、類似環境データSEDの日付の直近の暗呼吸速度が”0.5”の場合には、類似環境データSEDに含まれる二酸化炭素を消費する速度UDを2倍にする。つまり、消費速度算出部112は、温室1内の植物NPの生育に応じて増加した二酸化炭素を消費する速度UDを、暗呼吸速度の相対値に基づいて補正する。
消費速度算出部112は、上述した補正を、類似環境データSEDに含まれる温室1内の二酸化炭素濃度ICD毎に行う。消費速度算出部112は、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、補正後の温室1内の植物NPが二酸化炭素を消費する速度UDとの関係を算出する。
消費速度算出部112は、算出した温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、二酸化炭素を消費する速度UDとの関係を、施用速度推定部113に対して出力する。
施用速度推定部113は、温室1内の空気容積ACと、消費する速度UDと、環境条件のうち温室1の換気回数VCとに基づいて、温室1内に施用される二酸化炭素の施用速度と温室1内の植物NPが消費する速度UDとの関係を推定する。
施用速度推定部113は、消費速度算出部112から二酸化炭素を消費する速度UDを取得する。施用速度推定部113は、温室情報装置18から空気容積ACを取得する。施用速度推定部113は、換気回数取得部107から換気回数VCを取得する。施用速度推定部113は、消費速度算出部112から取得した二酸化炭素を消費する速度UDと、温室情報装置18から取得した空気容積ACと、換気回数取得部107が取得する換気回数VCとに基づいて、CP曲線を推定する。具体的には、施用速度推定部113は、上述した式(1)から、CP曲線を推定する。
なお、施用速度推定部113は、温室1内に二酸化炭素を施用している場合の類似環境データSEDには、式(2)に示すザイデルの式から導かれる定常状態における式を用いて、CP曲線を推定する。
Figure 2018021142
ここで、式(2)中のMとは、温室1内の植物NPの二酸化炭素の交換速度PSである。式(2)中のNは、換気回数VCである。式(2)中のVとは、温室1内の空気容積ACである。式(2)中のΔCとは、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、温室1外の二酸化炭素濃度OCDとの差である。式(2)中のSとは、二酸化炭素施用制御装置17が施用する二酸化炭素の施用速度である。
施用速度推定部113は、推定したCP曲線を、表示部114に表示させる。
表示部114は、CP曲線を表示する。
温室1の管理者は、表示部114に表示されたCP曲線を確認する。管理者は、予め二酸化炭素を施用する効果が見込めると判断する条件を、二酸化炭素施用支援装置100が備える操作部(不図示)を操作して入力しておくことにより、二酸化炭素施用制御装置17に二酸化炭素施用支援装置100が算出した量の二酸化炭素の施用速度の制御を行うようにすることができる。なお、二酸化炭素施用支援装置100は、予め温室1内に対しての二酸化炭素を施用する速度の閾値が定められていてもよい。二酸化炭素施用支援装置100は、予め閾値が定められている場合には、算出した二酸化炭素の施用速度を、閾値に応じて二酸化炭素施用制御装置17に対して出力する。
[二酸化炭素施用支援装置100の環境条件取得動作の概要]
次に、図3を参照して、二酸化炭素施用支援装置100の環境条件取得動作の概要について説明する。
図3は、二酸化炭素施用支援装置100の動作の一例を示す流れ図S1である。
二酸化炭素施用支援装置100が備える環境条件取得部101は、温室1内に植物NPが定植されてから、温室1内の環境条件を取得し始める。光強度取得部103は、光強度センサ12から、温室1内の光強度LSを取得する。光強度取得部103は、光強度センサ12から取得した温室1内の光強度LSを、環境データ生成部109と、交換速度算出部108とに対して出力する(ステップS110)。
温度取得部102は、温度センサ11から、温室1内の温度TVを取得する。温度取得部102は、温度センサ11から取得した温室1内の温度TVを、環境データ生成部109に対して出力する(ステップS120)。
飽差取得部104は、飽差算出装置15から、温室1内の飽差HDを取得する。飽差取得部104は、飽差算出装置15から取得した温室1内の飽差HDを、環境データ生成部109に対して出力する(ステップS130)。
屋外二酸化炭素濃度取得部106は、屋外二酸化炭素濃度測定センサ14から、温室1外の二酸化炭素濃度OCDを取得する。屋外二酸化炭素濃度取得部106は、屋外二酸化炭素濃度測定センサ14から取得した温室1外の二酸化炭素濃度OCDを、環境データ生成部109と、交換速度算出部108とに対して出力する(ステップS140)。
屋内二酸化炭素濃度取得部105は、屋内二酸化炭素濃度測定センサ13から、温室1内の二酸化炭素濃度ICDを取得する。屋内二酸化炭素濃度取得部105は、屋内二酸化炭素濃度測定センサ13から取得した温室1内の二酸化炭素濃度ICDを、環境データ生成部109と、交換速度算出部108とに対して出力する(ステップS150)。
換気回数取得部107は、換気回数算出部16から、換気回数VCを取得する。換気回数取得部107は、換気回数算出部16から取得した換気回数VCを、環境データ生成部109と、交換速度算出部108と、施用速度推定部113とに対して出力する(ステップS160)。
環境データ生成部109は、二酸化炭素施用制御装置17から、二酸化炭素施用速度CSを取得する(ステップS170)。
交換速度算出部108は、光強度取得部103から温室1内の光強度LSを取得する。交換速度算出部108は、屋内二酸化炭素濃度取得部105から温室1内の二酸化炭素濃度ICDを取得する。交換速度算出部108は、屋外二酸化炭素濃度取得部106から温室1外の二酸化炭素濃度OCDを取得する。交換速度算出部108は、換気回数取得部107から換気回数VCを取得する。交換速度算出部108は、上述した式(1)に基づいて、温室1内の植物NPの二酸化炭素の交換速度PSを算出する。交換速度算出部108は、算出した二酸化炭素の交換速度PSを、環境データ生成部109に対して出力する(ステップS180)。
環境データ生成部109は、温度取得部102から温室1内の温度TVを取得する。環境データ生成部109は、光強度取得部103から温室1内の光強度LSを取得する。環境データ生成部109は、飽差取得部104から温室1内の飽差HDを取得する。環境データ生成部109は、屋内二酸化炭素濃度取得部105から温室1内の二酸化炭素濃度ICDを取得する。環境データ生成部109は、屋外二酸化炭素濃度取得部106から温室1外の二酸化炭素濃度OCDを取得する。環境データ生成部109は、換気回数取得部107から換気回数VCを取得する。環境データ生成部109は、交換速度算出部108から二酸化炭素の交換速度PSを取得する。環境データ生成部109は、温度取得部102から取得した温室1内の温度TVと、光強度取得部103から取得した温室1内の光強度LSと、飽差取得部104から取得した温室1内の飽差HDと、屋内二酸化炭素濃度取得部105から取得した温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、屋外二酸化炭素濃度取得部106から取得した温室1外の二酸化炭素濃度OCDと、換気回数取得部107から取得した換気回数VCと、交換速度算出部108から取得した二酸化炭素の交換速度PSとを互いに対応付けた環境データEDを生成する。環境データ生成部109は、生成した環境データEDを記憶部110に記憶させる(ステップS190)。
二酸化炭素施用支援装置100は、流れ図S1の処理を、繰り返し実行する。二酸化炭素施用支援装置100は、流れ図S1の処理を、時間間隔を空けて繰り返し実行する。ここで、流れ図S1の処理を実行する時間間隔とは、数十秒から数十分間隔である。より具体的には、二酸化炭素施用支援装置100は、流れ図S1の処理を時間間隔が10分以下の時間間隔で繰り返し実行する場合には、CP曲線の推定に用いる多くの環境データEDを蓄積することができる。この場合には、二酸化炭素施用支援装置100は、多くの環境データEDに基づく、より正確なCP曲線を推定可能である。
二酸化炭素施用支援装置100は、流れ図S1の処理を数日間以上継続して行い、記憶部110に、環境データEDを蓄積させる。
なお、ステップS110からステップS170までの処理の順番は入れ替えてもよい。
[二酸化炭素施用支援装置100の二酸化炭素施用速度推定動作の概要]
次に、図4を参照して、二酸化炭素施用支援装置100の二酸化炭素施用速度推定動作の概要について説明する。
図4は、二酸化炭素施用支援装置100の動作の一例を示す流れ図S2である。
環境データ生成部109は、環境データ取得部111に対して環境データEDを出力する。環境データ取得部111は、環境データ生成部109から取得する環境データEDと、類似する環境データを類似環境データSEDとして、記憶部110から取得する(ステップS210)。環境データ取得部111は、環境データ取得部111から取得した環境データEDと、記憶部110から取得した類似環境データSEDと、環境データEDの日付の直近の暗呼吸速度と、類似環境データSEDの日付の直近の暗呼吸速度とを、消費速度算出部112に対して出力する。
消費速度算出部112は、環境データ取得部111から、環境データEDと、類似環境データSEDと、環境データEDの日付の直近の暗呼吸速度と、類似環境データSEDの日付の直近の暗呼吸速度とを取得する。消費速度算出部112は、環境データEDの日付の直近の暗呼吸速度と、類似環境データSEDの日付の直近の暗呼吸速度とに基づいて、類似環境データSEDの純光合成速度を補正する。消費速度算出部112は、補正された純光合成速度と、類似環境データSEDに含まれる温室1内の二酸化炭素濃度ICDとの関係を示す二酸化炭素を消費する速度UDを算出する(ステップS220)。
消費速度算出部112は、算出した二酸化炭素を消費する速度UDを、施用速度推定部113に対して出力する。
施用速度推定部113は、消費速度算出部112から二酸化炭素を消費する速度UDを取得する。施用速度推定部113は、換気回数算出部16から換気回数VCを取得する。施用速度推定部113は、温室情報装置18から空気容積ACを取得する。施用速度推定部113は、上述した式(1)から、現在の温室1内の植物NPについてのCP曲線を推定する(ステップS230)。施用速度推定部113は、CP曲線を、表示部114に対して出力する。
表示部114は、施用速度推定部113から、CP曲線を取得する。表示部114は、施用速度推定部113から取得したCP曲線を表示する(ステップS240)。
また、施用速度推定部113は、温室1の管理者が予め二酸化炭素を施用する効果が見込めると判断する条件を設定している場合には、当該条件と算出したCP曲線とに基づいて、温室1内に施用する二酸化炭素の施用速度を算出する。施用速度推定部113は、算出した温室1内に施用する二酸化炭素の施用速度を、二酸化炭素施用制御装置17に対して出力する。二酸化炭素施用制御装置17は、施用速度推定部113から温室1内に施用する二酸化炭素の施用速度を取得する。二酸化炭素施用制御装置17は、施用速度推定部113から取得した量の二酸化炭素の施用速度の制御を行う。
二酸化炭素施用支援装置100は、上述した流れ図S2の処理を、繰り返し行う。
[二酸化炭素施用支援装置100の動作の具体例]
次に、図5から図8を参照して、二酸化炭素施用支援装置100の動作の具体例の一例について説明する。
図5は、記憶部110に記憶される環境データEDの一例を示す図である。
[環境データEDの一例]
記憶部110には、環境データEDが生成された日付と、環境データEDが生成された時刻と、温室1内の光強度LSと、温室1内の温度TVと、温室1内の飽差HDと、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、温室1外の二酸化炭素濃度OCDと、二酸化炭素施用制御装置17が施用する二酸化炭素の施用速度の情報と、二酸化炭素の施用速度と対応する純光合成速度を示す二酸化炭素を消費する速度UDと、換気回数VCとが、互いに対応付けられて記憶される。この一例では、記憶部110には、過去1か月分の5分毎に測定された環境データEDが記憶されている。
具体的には、記憶部110には、4月1日の暗呼吸速度を示す環境データEDと、4月1日の純光合成速度を示す環境データEDとが記憶されている。記憶部110には、4月1日と同様に、4月20日と、4月30日との暗呼吸速度を示す環境データEDと、4月1日の純光合成速度を示す環境データEDとが記憶されている。ここで、4月20日の環境データEDとは、植物NPが成長途中の環境データEDである。4月30日の環境データEDとは、直近の環境データEDである。
より具体的には、記憶部110には、日付が”4/1”と、時刻が”0:00”と、温室1内の光強度LSが”0”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”15”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.08”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”450”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”440”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”−0.4”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられて記憶されている。
記憶部110には、日付が”4/1”と、時刻が”10:00”と、温室1内の光強度LSが”930”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”29.0”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.58”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”650”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”444”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”30.1”(L min−1)と、純光合成速度が”1.2”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられて記憶されている。
同様に、記憶部110には、5分後と、10分後とのデータが記憶されている。
記憶部110には、日付が”4/20”と、時刻が”0:00”と、温室1内の光強度LSが”0”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”17”(℃)と、温室1内の飽差HDが”1.88”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”470”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”440”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”−0.75”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられて記憶されている。
記憶部110には、日付が”4/20”と、時刻が”13:00”と、温室1内の光強度LSが”924”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”32.1”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.02”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”639”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”440”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”2.1”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられて記憶されている。
同様に、記憶部110には、5分後と、10分後とのデータが記憶されている。
記憶部110には、日付が”4/30”と、時刻が”0:00”と、温室1内の光強度LSが”0”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”19”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.30”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”432”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”444”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”−1.0”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられて記憶されている。
記憶部110には、日付が”4/30”と、時刻が”10:00”と、温室1内の光強度LSが”920”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”32.1”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.00”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”441”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”445”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”3.0”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられて記憶されている。
環境データ取得部111が、日付が”4/30”と、時刻が”0:00”と、温室1内の光強度LSが”920”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”32.1”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.00”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”441”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”445”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”3.0”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられた環境データEDを取得し、記憶部110から類似環境データSEDを取得する許容範囲を、”±1”(%)にする場合について説明する。この場合には、環境データ取得部111は、記憶部110から、温室1内の温度TVが”910.8”から”929.2”までの範囲、かつ、温室1内の光強度LSが”31.779”から”32.421”までの範囲、かつ、温室1内の飽差HDが”19.8”から”20.2”までの間のデータを持つ環境データEDを、類似環境データSEDとして取得する。
言い換えると、環境データ取得部111が、日付が”4/30”と、時刻が”10:00”と、温室1内の光強度LSが”920”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”32.1”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.00”(kPa)と、温室1内の二酸化炭素濃度ICDが”441”(mol mol−1)と、温室1外の二酸化炭素濃度OCDが”455”(mol mol−1)と、二酸化炭素施用速度が”0”(L min−1)と、純光合成速度が”3.0”(mol s−1)と、換気回数が”1”(h−1)とが互いに対応付けられた環境データEDを取得し、記憶部110から類似環境データSEDを取得する許容範囲を、”±1”(%)にする場合について説明する。この場合には、環境データ取得部111は、記憶部110から、温室1内の温室1内の光強度LSが”910.8”(μmol m−2−1)から”929.2”(μmol m−2−1)までの範囲、かつ、温室1内の温度TVが”31.779”(℃)から”32.421”(℃)までの範囲、かつ、温室1内の飽差HDが”19.8”(kPa)から”20.2”(kPa)までの間のデータを持つ環境データEDを、類似環境データSEDとして取得する。
図5に示す一例では、”±1”(%)の範囲内に収まる過去の環境データEDは、日付が”4/20”、時刻が”13:00”の環境データEDである。環境データ取得部111は、日付が”4/20”、時刻が”13:00”の環境データEDを、類似環境データSEDとして取得する。
また、”±1”(%)の範囲内に収まらない過去の環境データEDの一例は、日付が”4/20”、時刻が”13:05”の環境データEDである。日付が”4/20”、時刻が”13:05”の環境データEDは、温室1内の光強度LSと、温室1内の飽差HDとが範囲内に収まっていない。このため、環境データ取得部111は、日付が”4/20”、時刻が”13:05”の環境データEDを選択しない。
[温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、純光合成速度との関係の算出]
次に、図6及び図7を参照して、消費速度算出部112が算出する二酸化炭素を消費する速度UDについて説明する。
図6は、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、純光合成速度との関係の一例を示す図である。
消費速度算出部112は、環境データEDと、類似環境データSEDとを環境データ取得部111から取得する。消費速度算出部112は、環境データ取得部111から取得した類似環境データSEDに含まれる温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、純光合成速度との関係に基づいて、環境データEDが示す環境条件下での植物NPの二酸化炭素を消費する速度UDを算出する。
具体的には、消費速度算出部112は、横軸に類似環境データSEDに含まれる温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、縦軸に温室1内の植物NPの純光合成速度との関係を示すグラフを生成する。より具体的には、消費速度算出部112は、直近の暗呼吸速度と、類似環境データSEDが記録された日の直近の暗呼吸速度との相対値を算出する。消費速度算出部112は算出した相対値に基づいて、類似環境データSEDに含まれる純光合成速度を補正する。消費速度算出部112は、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、縦軸に温室1内の植物NPの純光合成速度との関係を示すグラフに、補正した後の純光合成速度をプロットする。
消費速度算出部112は、環境データ取得部111が取得した全ての類似環境データSEDに含まれる純光合成速度に対して補正を終えるまで、処理を繰り返す。
消費速度算出部112は、補正後の純光合成速度の各値を、回帰分析する。消費速度算出部112は、補正後の純光合成速度を回帰分析した結果、図6に示す回帰線L1を算出する。
なお、上述した説明では、消費速度算出部112は、温室1内の二酸化炭素濃度ICDと、縦軸に温室1内の植物NPの純光合成速度との関係を示すグラフに基づいて二酸化炭素を消費する速度UDを算出する場合について説明したが、説明のための一例であり、消費速度算出部112はグラフにプロットする必要はない。消費速度算出部112は、補正後の純光合成速度と、二酸化炭素濃度とに基づいて回帰分析を行えばよい。
次に、図7を参照して、消費速度算出部112が、類似環境データSEDの純光合成速度に対して補正を行う場合と行わない場合と違いについて説明する。
図7は、類似環境データSEDの純光合成速度に補正を行う場合と、行わない場合との一例を示す図である。
図7(a)は、暗呼吸速度から算出される相対値に基づく補正を行い算出された純光合成速度の一例である。
図7(b)は、補正を行なわずに、類似環境データSEDに含まれる純呼吸速度をそのままプロットした場合の一例である。
図7(a)と、図7(b)とを比較すると、補正を行った図7(a)は、実測した純光合成速度と近似した純光合成速度が得られることがわかる。
[CP曲線の推定]
次に、施用速度推定部113が推定するCP曲線について説明する。
図8は、施用速度推定部113が推定したCP曲線の一例を示す図である。
図8には、二酸化炭素施用支援装置100が、温室1内の環境情報を取得して18日目のある時刻での、施用速度推定部113が推定したCP曲線の一例を示す図である。
図8は、温室1内の光強度LSが”200”(μmol m−2−1)及び記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲は”±50”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”25”(℃)及び記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲は”±5”(℃)と、温室1内の飽差HDが”1.5”(kPa)及び記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲は”±1.0”(kPa)との環境条件に合う類似環境データSEDから算出したCP曲線である。
図9は、施用速度推定部113が推定したCP曲線の一例を示す図である。
図9には、二酸化炭素施用支援装置100が、温室1内の環境情報を取得して18日目のある時刻での、施用速度推定部113が推定したCP曲線の一例を示す図である。
図9は、温室1内の光強度LSが”300”(μmol m−2−1)及び記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲は”±50”(μmol m−2−1)と、温室1内の温度TVが”30”(℃)及び記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲は”±5”(℃)と、温室1内の飽差HDが”2.0”(kPa)及び記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲は”±1.0”(kPa)との環境条件に合う類似環境データSEDから推定したCP曲線である。
図8に示す回帰線L2と図9に示す回帰線L3とを比較すると、図9に示す環境の方が、二酸化炭素施用による植物NPの純光合成速度増加の効果が高いことがわかる。温室1の管理者は、回帰線の形状に基づいて、温室1内に二酸化炭素の施用速度を決定する条件を入力することになる。
[環境データEDと、CP曲線の推定精度との関係]
ここまでは、二酸化炭素施用支援装置100が、CP曲線を算出する動作の一例について説明した。
次に、図10から図11を参照して、記憶部110に記憶された環境データEDの量と、二酸化炭素施用支援装置100が推定する純光合成速度の精度との関係について説明する。
図10は、記憶部110に記憶された環境データEDの量と、消費速度算出部112が算出する純光合成速度との関係の一例を示す図である。
図10(a)には、記憶部110に、7日分の環境データEDが記憶された場合に、消費速度算出部112が算出する純光合成速度の一例を示す。
図10(b)には、記憶部110に、12日分の環境データEDが記憶された場合に、消費速度算出部112が算出する純光合成速度の一例を示す。
図10(c)には、記憶部110に、17日分の環境データEDが記憶された場合に、消費速度算出部112が算出する純光合成速度の一例を示す。
消費速度算出部112は、記憶部110に蓄積された環境データEDが多いほど、正確な純光合成速度を算出することができる。
図11は、環境データ取得部111が記憶部110から取得する類似環境データSEDの許容範囲と、消費速度算出部112が算出する純光合成速度との関係の一例を示す図である。
図11(a)には、記憶部110から、温室1内の光強度LSの許容範囲を”±10”に設定して、類似環境データSEDを取得した結果に基づいて、消費速度算出部112が算出する純光合成速度の一例を示す。
図11(b)には、記憶部110から、温室1内の光強度LSの許容範囲を”±50”に設定して、類似環境データSEDを取得した結果に基づいて、消費速度算出部112が算出する純光合成速度の一例を示す。
図11(c)には、記憶部110から、温室1内の光強度LSの許容範囲を”±300”に設定して、類似環境データSEDを取得した結果に基づいて、消費速度算出部112が算出する純光合成速度の一例を示す。
消費速度算出部112は、許容範囲が狭いほど正確な純光合成速度を算出することができる。この場合には、記憶部110には、十分な環境データEDが蓄積されているとよい。環境データ取得部111が取得する類似環境データSEDの許容範囲を狭める場合には、記憶部110に十分な環境データEDが蓄積されていないと、環境データ取得部111が取得する類似環境データSEDの数が少なくなる。消費速度算出部112は、類似環境データSEDが少ないと、精度よく純光合成速度を算出できない場合がある。
以上、説明したように、二酸化炭素施用支援装置100は、環境条件取得部101と、交換速度算出部108と、環境データ生成部109と、環境データ取得部111と、消費速度算出部112と、施用速度推定部113とを備える。
環境条件取得部101は、温室1に備えられる測定部10から、温室1内外の環境条件を取得する。交換速度算出部108は、環境条件取得部101が取得する環境条件と、温室1の空気容積ACとに基づいて、温室1内の植物NPの二酸化炭素の交換速度PSを算出する。二酸化炭素の交換速度PSとは、植物NPの純光合成速度と、暗呼吸速度とである。交換速度算出部108は、温室1内の光強度LSに基づいて、温室1内の植物NPが行う暗呼吸速度と、純光合成速度とを算出する。
環境データ生成部109は、環境条件取得部101が取得する環境条件と、交換速度算出部108が算出する二酸化炭素の交換速度PSとを関連付けて環境データEDとして記憶部110に記憶させる。環境データ取得部111は、環境データ生成部109が生成する環境データEDに、類似する環境データEDを、記憶部110から類似環境データSEDとして取得する。消費速度算出部112は、環境データ取得部111が取得した環境データEDと、類似環境データSEDとに基づいて、環境データEDを取得した時点の温室1内の植物NPが二酸化炭素を消費する速度UDを算出する。ここで、消費速度算出部112は、二酸化炭素を消費する速度UDを、植物NPの直近の暗呼吸速度と、植物NPの過去の暗呼吸速度との相対値に基づく補正を行うことにより算出する。
施用速度推定部113は、消費速度算出部112が算出する二酸化炭素を消費する速度UDに基づいて、CP曲線を推定する。
つまり、施用速度推定部113は、温室1内外の環境条件に応じた二酸化炭素施用速度に対する純光合成速度の曲線を算出する。また、施用速度推定部113は、算出したCP曲線をグラフにして表示部114に表示させる。これにより、温室1の管理者は、CP曲線が示すグラフの形状から温室1内に二酸化炭素を施用する速度を決定するための条件を入力することになる。例えば、温室1が備える窓20が、温室1内の環境を調整する為に開放されたとしても、二酸化炭素施用支援装置100は、植物の生育環境の変化による二酸化炭素の消費効率の変化に基づいて、消費効率に応じた量の二酸化炭素を温室内に施用する二酸化炭素の施用速度を、管理者が入力した条件に従い自動的に逐次推定できる。
なお、ここまでは、施用速度推定部113は推定した二酸化炭素の施用速度ASを、CP曲線によって表示する場合について説明した。施用速度推定部113が、推定した二酸化炭素の施用速度ASは、曲線に限られない。施用速度推定部113は、推定したCP曲線の傾きの程度又はCP曲線の逐次変化などに基づいて、言葉、数値、又は図表などによって表示してもよい。
なお、上述した二酸化炭素施用支援装置100は、記憶部110を備えなくてもよい。この場合には、二酸化炭素施用支援装置100は、ネットワークに接続された別の装置や、サーバなどに環境データEDを記憶させればよい。
上述した実施例では、温室1内の植物NPを1回植生し、植物NPを収穫するまでの間に、環境データEDを取得し、CP曲線を算出する方法について説明した。なお、二酸化炭素施用支援装置100は、同一の温室1において、同一種類の植物NP、同一量の植物NPを繰り返し植生する場合には、過去の環境データEDの一部を流用してCP曲線を推定してもよい。環境データEDを流用可能な場合には、現在の環境における環境データEDを流用しないでCP曲線を推定する場合には不十分な量の環境データEDであっても、適切な二酸化炭素の施用速度ASを推定することができる。
また、上述した実施例では、二酸化炭素施用支援装置100は、図8又は図9に示すCP曲線を推定する構成について説明したが、これに限られない。施用速度推定部113は、消費速度算出部112が算出する二酸化炭素を消費する速度UDに基づいて、植物NPの状態に関係する値を更に算出してもよい。具体的には、施用速度推定部113は、CP曲線の縦軸に示される純光合成速度に基づいて算出されるパラメータを縦軸にして推定してもよい。例えば、施用速度推定部113は、温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度と温室1内の植物NPの成長の程度との関係を推定してもよい。成長の程度とは、植物NPの生長点を含む茎葉部の伸長の程度を示す茎葉部伸長速度や、植物NPの茎の増大の程度を示す茎増大速度である。また、施用速度推定部113は、温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度と、温室1内の植物NPの蒸散速度との関係を推定してもよい。蒸散速度とは、植物NPから大気中へ放出される水蒸気の単位時間当たりの蒸散量である。この一例では、植物NPから温室1内へ放出される水蒸気の単位時間当たりの蒸散量である。
なお、上述した成長の程度は、不図示の撮像装置によって温室1内のある植物NPの所定の生長点が撮像された撮像画像に更に基づいて算出する。所定の生長点が撮像された撮像画像には、茎頂部成長点を含む茎葉部の形態が撮像される。茎頂部成長点とは、主茎の先端にある生長点である。
撮像装置は、温室1内の植物NPの所定の生長点を、時間間隔をあけて、複数の撮像画像を生成する。施用速度推定部113は、撮像装置が生成した撮像画像を取得する。施用速度推定部113は、撮像装置から取得した複数の撮像画像に基づいて、植物NPの茎葉部伸長速度や茎の径の増大速度を解析する。また、施用速度推定部113は、解析した茎葉部成長速度に基づいて、植物NPに与える肥料成分の量を算出してもよい。施用速度推定部113が、解析した茎葉部成長速度に基づいて植物NPに与える肥料成分の量を算出する場合には、記憶部110には、予め茎葉部成長速度に応じた肥料成分の種類や量を示す肥料成分情報が記憶される。
以下の説明では、植物NPがトマトの株の場合について説明する。撮像装置は、トマトの主茎の生長点を、時間間隔をあけて複数撮像する。トマトの主茎の生長点は、主茎の先端から20〜30(cm)の範囲にある。施用速度推定部113は、植物NPが光合成を開始する時刻に撮像された撮像画像と、植物NPが光合成を終了する時刻に撮像された撮像画像とに、基づいて、主茎の生長点の成長の程度を示す茎葉部伸長速度や、茎増大速度を解析する。一般に、トマトの成長の程度を示す主茎の伸長速度や、主茎の径(太さ)は、与えられた肥料成分の成分や量に応じて変化する。主茎の伸長速度や、主茎の径の増大速度がわかると、数日間の生育環境条件が適切であったか否かがわかる。
施用速度推定部113は、撮像画像に撮像されたトマトの株の主茎の径の増大速度に応じて、現在のトマト株の成長の程度を判定する。施用速度推定部113は、判定したトマトの株の成長の程度と、記憶部110に記憶された肥料成分情報とに基づいて、温室1内のトマトの株に与える肥料成分の成分や量を算出する。
上述したように、施用速度推定部113は、植物NPの成長の程度に基づいて、植物NPに与える肥料成分の量を算出することにより、温室1内の植物NP肥料成分成長(繁殖器官以外の部位の成長)と生殖成長(生殖器官の成長)とのバランスを評価し、現時点での望ましいバランスになるよう生育環境条件を推定することができる。つまり、二酸化炭素施用支援装置100は、環境データEDと、植物NPの撮像画像とに基づいて、温室1内の植物NPに供給する肥料成分の量を適切に推定できる。なお、上述した説明では、植物NPの種類が、トマトの株の場合について説明したが、トマトの株は一例であって、これに限られない。
また、施用速度推定部113は、更に、温室1内の他の環境条件のうちから少なくとも1つの条件と二酸化炭素を消費する速度UDとの関係を推定してもよい。温室1内の他の環境条件とは、温室1内の飽差HD、温室1内の温度TV又は、植物NPへの給液速度などである。具体的には、施用速度推定部113は、CP曲線の横軸に示される温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度UDを、温室1内の他の環境条件にしてもよい。つまり、施用速度推定部113は、純光合成速度と、温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度以外の環境条件との関係を推定してもよい。
この場合には、施用速度推定部113は、環境データ取得部111が取得した環境データEDと、類似環境データSEDとに基づいて、植物NPの直近の暗呼吸速度と、植物NPの過去の暗呼吸速度との相対値に基づく補正を行うことにより、環境データEDを取得した時点の温室1内の植物NPの純光合成速度と、温室1内の植物NPに施用する二酸化炭素施用速度以外の環境条件との関係を推定する。
これにより、施用速度推定部113は、CP曲線が示す純光合成速度と二酸化炭素施用速度との関係に限られず、温室1内の植物NPを成育させる環境の制御に用いられる情報を推定することができる。
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
なお、上述の二酸化炭素施用支援装置100は内部にコンピュータを有している。そして、上述した装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
1…温室、10…測定部、11…温度センサ、12…光強度センサ、13…屋内二酸化炭素濃度測定センサ、14…屋外二酸化炭素濃度測定センサ、15…飽差算出装置、16…換気回数測定部、17…二酸化炭素施用制御装置、18…温室情報装置、20…窓、100…二酸化炭素施用支援装置、114…表示部、101…環境条件取得部、102…温度取得部、103…光強度取得部、104…飽差取得部、105…屋内二酸化炭素濃度取得部、106…屋外二酸化炭素濃度取得部、107…換気回数取得部、108…交換速度算出部、109…環境データ生成部、110…記憶部、111…環境データ取得部、112…消費速度算出部、113…施用速度推定部、TV…温室内の温度、LS…温室内の光強度、HD…温室内の飽差、ICD…温室内の二酸化炭素濃度、OCD…温室外の二酸化炭素濃度、VC…換気回数、AC…空気容積、ED…環境データ、SED…類似環境データ、UD…二酸化炭素を消費する速度、AS…二酸化炭素の施用速度

Claims (6)

  1. 植物の育成を行う温室内外の環境を測定する測定部から、植物が育成される環境条件を取得する環境条件取得部と、
    前記環境条件取得部が取得する前記環境条件のうち、前記温室内の二酸化炭素濃度と、前記温室外の二酸化炭素濃度と、前記温室の換気回数と、前記温室内の光強度とに基づいて、前記温室内の植物が行う二酸化炭素の交換速度を算出する交換速度算出部と、
    前記環境条件取得部が取得する前記環境条件と、前記交換速度算出部が算出する前記二酸化炭素の交換速度とが互いに対応付けられた環境データを生成する環境データ生成部と、
    前記環境データ生成部が過去に生成した前記環境データのうちから、前記環境条件取得部が取得する前記環境条件と類似する環境データを類似環境データとして取得する環境データ取得部と、
    前記環境データ取得部が取得する前記類似環境データと、前記交換速度算出部が算出する前記二酸化炭素の交換速度とに基づいて、前記温室内の植物が前記温室内の二酸化炭素を消費する速度を算出する消費速度算出部と、
    前記温室内の容積と、前記消費速度算出部が算出する前記消費する速度と、前記環境条件取得部が取得する前記環境条件のうち前記温室の換気回数とに基づいて、前記温室内に施用される二酸化炭素の施用速度と前記消費する速度との関係を推定する施用速度推定部と
    を備える二酸化炭素施用支援装置。
  2. 前記消費速度算出部は、
    前記交換速度算出部が算出する前記二酸化炭素の交換速度と、前記類似環境データに含まれる前記二酸化炭素の交換速度との相対値に基づいて、前記消費する速度を算出する
    請求項1に記載の二酸化炭素施用支援装置。
  3. 前記施用速度推定部は、前記消費速度算出部が算出した前記消費する速度に基づいて、前記植物の状態に関係する値を更に算出する
    請求項2に記載の二酸化炭素施用支援装置。
  4. 前記植物の状態に関係する値には、前記植物の茎頂部生長点を含む茎葉部の伸長の速さを示す茎葉部成長速度、前記植物から蒸散される水分の単位時間あたりの量を示す蒸散速度のうちの少なくとも1つが含まれる
    請求項3に記載の二酸化炭素施用支援装置。
  5. 前記環境条件には、前記温室内の飽差の条件、前記温室内の気温の条件、前記植物に供給される給液速度の条件が含まれ、
    前記施用速度推定部は、更に、前記環境条件のうちから少なくとも1つの条件と前記消費する速度との関係を推定する
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の二酸化炭素施用支援装置。
  6. コンピュータに、
    植物の育成を行う温室内外の環境を測定する測定部から、植物が育成される環境条件を取得する環境条件取得ステップと、
    前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件のうち、前記温室内の二酸化炭素濃度と、前記温室外の二酸化炭素濃度と、前記温室の換気回数と、前記温室内の光強度とに基づいて、前記温室内の植物が行う二酸化炭素の交換速度を算出する呼吸速度算出ステップと、
    前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件と、前記呼吸速度算出ステップにおいて算出される前記二酸化炭素の交換速度とが互いに対応付けられた環境データを生成する環境データ生成ステップと、
    前記環境データ生成ステップにおいて過去に生成された前記環境データのうちから、前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件と類似する環境データを類似環境データとして取得する環境データ取得ステップと、
    前記環境データ取得ステップにおいて取得される前記類似環境データと、前記呼吸速度算出ステップにおいて算出される前記二酸化炭素の交換速度とに基づいて、前記温室内の植物が前記温室内の二酸化炭素を消費する速度を算出する消費速度算出ステップと、
    前記温室内の容積と、前記消費速度算出ステップにおいて算出される前記消費する速度と、前記環境条件取得ステップにおいて取得される前記環境条件のうち前記温室の換気回数とに基づいて、前記温室内に施用される二酸化炭素の施用速度と前記消費する速度との関係を推定する施用速度推定ステップと
    を実行させるための二酸化炭素施用支援プログラム。
JP2018529825A 2016-07-28 2017-07-20 二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラム Active JP6692102B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016148443 2016-07-28
JP2016148443 2016-07-28
PCT/JP2017/026279 WO2018021142A1 (ja) 2016-07-28 2017-07-20 二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018021142A1 true JPWO2018021142A1 (ja) 2019-05-09
JP6692102B2 JP6692102B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=61016208

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018529825A Active JP6692102B2 (ja) 2016-07-28 2017-07-20 二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6692102B2 (ja)
WO (1) WO2018021142A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6956839B1 (ja) * 2020-09-29 2021-11-02 ソフトバンク株式会社 二酸化炭素吸収量推定システム及び方法
CN114740712B (zh) * 2021-12-21 2023-10-17 百倍云(浙江)物联科技有限公司 一种面向碳中和的温室二氧化碳净吸收调控方法
CN115443838A (zh) * 2022-10-11 2022-12-09 合肥创农生物科技有限公司 一种室内环境的植物气体自平衡系统

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4941127A (ja) * 1972-09-07 1974-04-17
JPH0866126A (ja) * 1994-08-30 1996-03-12 Iseki & Co Ltd 温室の制御装置
JP2005065602A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Esd:Kk 温室制御システムおよび温室制御方法
JP2014128263A (ja) * 2012-11-28 2014-07-10 National Agriculture & Food Research Organization 二酸化炭素施用制御装置、二酸化炭素施用装置、二酸化炭素施用方法およびプログラム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4941127A (ja) * 1972-09-07 1974-04-17
JPH0866126A (ja) * 1994-08-30 1996-03-12 Iseki & Co Ltd 温室の制御装置
JP2005065602A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 Esd:Kk 温室制御システムおよび温室制御方法
JP2014128263A (ja) * 2012-11-28 2014-07-10 National Agriculture & Food Research Organization 二酸化炭素施用制御装置、二酸化炭素施用装置、二酸化炭素施用方法およびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
WO2018021142A1 (ja) 2018-02-01
JP6692102B2 (ja) 2020-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3179319B1 (en) Method for irrigation planning and system for its implementation
Arif et al. Estimation of soil moisture in paddy field using artificial neural networks
JP6132269B2 (ja) 植物育成装置
Suleiman et al. Evaluation of FAO-56 crop coefficient procedures for deficit irrigation management of cotton in a humid climate
JP6506444B2 (ja) 二酸化炭素施用システム、二酸化炭素制御装置、二酸化炭素施用方法およびプログラム
JP6692102B2 (ja) 二酸化炭素施用支援装置及び二酸化炭素施用支援プログラム
KR102342392B1 (ko) 작물의 수분스트레스 진단을 이용한 관개 시스템 및 방법
JP2016052264A (ja) 水耕栽培装置
Li et al. Relationships between carbon fluxes and environmental factors in a drip-irrigated, film-mulched cotton field in arid region
JP2022133359A (ja) 情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
Chun et al. Methane mitigation for flooded rice paddy systems in South Korea using a process-based model
Kitamura et al. Interannual variability of net ecosystem production for a broadleaf deciduous forest in Sapporo, northern Japan
CN115455086A (zh) 一种灌区农业灌溉用水量的估算方法及系统
JP2018007630A (ja) 栽培支援装置
JP2019050820A5 (ja)
CN114365682A (zh) 一种设施栽培土壤水分预测方法、装置及电子设备
JP7295565B2 (ja) 生育環境制御プログラム、生育環境制御方法及び生育環境制御装置
Xie et al. Irregular precipitation events in control of seasonal variations in CO2 exchange in a cold desert-shrub ecosystem in northwest China
Su et al. A greenhouse climate model for control design
CN105444677A (zh) 一种基于图象技术测定棉花株高的方法及系统
CN111983141B (zh) 一种基于碳酸氢根离子利用能力制定作物灌水策略的方法
Chai et al. The relative controls of temperature and soil moisture on the start of carbon flux phenology and net ecosystem production in two alpine meadows on the Qinghai-Tibetan Plateau
Li et al. CO2 balance of a commercial closed system with artificial lighting for producing lettuce plants
KR20120095756A (ko) 도시 농장 제어 시스템에서의 식물 생장 제어 장치 및 방법
JP2019120606A (ja) 測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181212

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200331

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6692102

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250