以下、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態におけるケアプラン調整システムを含む介護支援システムの全体構成を示す図である。図2は、本実施形態の介護支援システムにおけるセンサボックスの構成を示す図である。図3は、本実施形態の介護支援システムにおける管理サーバの構成を示す図である。図4は、本実施形態の介護支援システムにおける携帯端末の構成を示す図である。図5は、本実施形態の介護支援システムにおける送信先情報テーブルの構成を示す図である。本明細書中、「介護」とは「看護」も含む概念である。
本実施形態における介護支援システムは、介護対象である被介護者(以下、対象者という)Obの状態を、それぞれ対応するセンサボックスSBにより検知することで対象者Obを見守って、介護を支援する機能有すると共に、対象者Ob毎に決められたケアプランを最適に調整する機能を有するものである。
このような介護支援システムMSは、例えば、図1に示すように、対象者の居室にそれぞれ備えられたセンサボックスSB(SB−1〜SB−4)と、管理サーバSVと、固定端末装置SPと、介護者としての介護士がそれぞれ管理する携帯端末TA(TA−1、TA−2)とを有し、これらは、有線や無線で、LAN(Local Area Network)、電話網およびデータ通信網等の網(ネットワーク、通信回線)NWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWには、通信信号を中継する例えばリピーター、ブリッジ、ルーターおよびクロスコネクト等の中継機が備えられても良い。図1に示す例では、これら複数のセンサボックスSB−1〜SB−4、管理サーバSV、固定端末装置SPおよび複数の携帯端末TA−1、TA−2は、アクセスポイントAPを含む無線LAN(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN等)NWによって互いに通信可能に接続されている。センサボックスSBは、後述するセンサSSと組み合わせて入力装置の一例に相当し、固定端末装置SPおよび携帯端末TAそれぞれは、入力装置を兼ねる端末の一例に相当する。
対象者Obは、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする者や、身体能力の低下等によって介護を必要とする者や、一人暮らしの独居者等である。特に、早期発見と早期対処とを可能にする観点から、対象者Obは、例えば異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合にその発見を必要としている者であることが好ましい。このため、介護支援システムMSは、対象者Obの種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。図1に示す例では、介護支援システムMSは、複数の対象者Obが入居する複数の居室RMや、ナースステーションST等の複数の部屋を備える介護施設の建物に配設されている。
まず、センサボックスSBについて説明する。センサボックスSBは、対象者Obの居室RMの天井や壁等にそれぞれ配置され、ネットワークNWを介して管理サーバSV等と通信する通信機能を備えている。より具体的に、センサボックスSBは、図2に示すように、センサ部11と、SB音入出力部12と、ナースコール入力部13と、SB制御処理部14と、SB通信IF部15と、SB記憶部16とを備える。
センサ部11は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って、対象者Obの状態を検知して、対応する状態データを出力する装置である。本実施形態では、対象者Obの状態としては、対象者Obの起床、離床、転倒、転落および微体動異常であり、これらを検知するために、センサ部11は、例えば、ドップラセンサ111と、カメラ112とを備える。
ドップラセンサ111は、送信波を送信し、物体で反射した前記送信波の反射波を受信し、前記送信波と前記反射波とに基づいてドップラ周波数成分のドップラ信号を出力する体動センサである。前記物体が動いている場合、いわゆるドップラ効果により前記物体の動いている速度に比例して反射波の周波数がシフトするため、送信波の周波数と反射波の周波数とに差(ドップラ周波数成分)が生じる。ドップラセンサ111は、このドップラ周波数成分の信号をドップラ信号として生成し、SB制御処理部14へ出力するものである。前記送信波は、超音波やマイクロ波等であって良いが、本実施形態では、マイクロ波である。マイクロ波は、着衣を透過して対象者Obの体表で反射できるため、対象者Obが衣服を着ていても体表の動きを検知でき、好ましい。
カメラ112は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って、画像(画像データ)を生成する装置である。カメラ112は、監視すべき対象者Obが所在を予定している空間(図1に示す例では居室RM内の空間)を監視可能に配置され、前記空間を撮像対象としてその上方から撮像し、前記撮像対象を俯瞰した画像(画像データ)を生成し、前記撮像対象の画像をSB制御処理部14へ出力する。好ましくは、対象者Ob全体を撮像できる蓋然性が高いことから、カメラ112は、対象者Obが横臥する寝具(例えばベッド等)における、対象者Obの頭部が位置すると予定されている予め設定された頭部予定位置(通常、枕の配設位置)の直上から撮像対象を撮像できるように配設される。センサボックスSBは、このセンサ部11のカメラ112によって、対象者Obを、対象者Obの上方から撮像した画像、好ましくは前記頭部予定位置の直上から撮像した画像を取得する。
このようなカメラ112は、可視光の画像を生成する装置であって良いが、比較的暗がりでも対象者Obを監視できるように、本実施形態では、赤外線の画像を生成する機能を有する。このようなカメラ112は、例えば、本実施形態では、撮像対象における赤外の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記撮像対象における赤外の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力を画像処理することで前記撮像対象における赤外の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタル赤外線カメラである。カメラ112の結像光学系は、本実施形態では、対象者Obの居室RM全体を撮像できる画角を持つ広角な光学系(いわゆる広角レンズ(魚眼レンズを含む))であることが好ましい。また、前記空間を赤外線で照明する赤外線照明装置がさらに設けられても良い。
SB音入出力部12は、SB制御処理部14に接続され、外部の音を取得してセンサボックスSBに入力するための回路であって、SB制御処理部14の制御に従って音を表す電気信号に応じた音を生成して出力するものである。SB音入出力部12は、例えば、音の音響振動を電気信号に変換するマイクロホン等と、音の電気信号を音の音響振動に変換するスピーカ等とを備えて構成される。SB音入出力部12は、外部の音を表す電気信号をSB制御処理部14へ出力し、また、SB制御処理部14から入力された電気信号を音の音響振動に変換して出力する。尚、SB音入出力部12はセンサボックスSB本体と分離でき、SB制御処理部14に無線もしくは有線で接続され、居室内の任意の場所に置かれるようになっていると好ましい。更に、SB音入出力部12をSB制御処理部14に無線で接続する場合、SB音入出力部12内の電池残量をモニタして操作者等に知らせる装置を設けるのが好ましい。又、SB音入出力部12をSB制御処理部14に有線で接続する場合、適切な接続が行われているか否かを操作者等に知らせる装置を設けるのが好ましい。
ナースコール入力部13は、SB制御処理部14に接続された押しボタン式スイッチ等である。居住者がナースコールしたい場合に、ナースコール入力部13が入力操作されると、ナースコールを受け付けた旨を示す電気信号がナースコール入力部13からSB制御処理部14へ出力され、これにより介護士等の携帯端末TAに信号が送信される。このとき、ナースコール入力部13に付随したランプが点灯するなどして、信号送信中であることが分かると好ましい。
SB通信IF部15は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って通信を行うための通信回路である。SB通信IF部15は、SB制御処理部14から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この介護支援システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介して管理サーバSV等へ送信する。又、SB通信IF部15は、ネットワークNWを介して管理サーバSV等から通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータをSB制御処理部14が処理可能な形式のデータに変換してSB制御処理部14へ出力する。なお、SB通信IF部15は、さらに、例えば、携帯電話通信網、WiFi規格、Bluetooth(登録商標)規格、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格およびUSB(Universal Serial Bus)規格等の規格を用い、外部機器との間でデータの入出力を行うインターフェース回路を備えても良い。
SB記憶部16は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って、各種のプログラムおよび各種のデータを記憶する回路である。前記各種のプログラムには、例えば、対象者Obに対する監視に関する情報処理を実行する監視処理プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記監視処理プログラムには、所定のイベント(事象)が生じた場合に外部に通知する通知処理プログラム、カメラ112で撮像した画像(動画)を、その画像を要求した固定端末装置SPや携帯端末TAへ配信する処理プログラム、および、SB音入出力部12等を用いることで固定端末装置SPや携帯端末TAとの間で音声通話を行うナースコール処理プログラム等が含まれる。前記各種のデータには、カメラ112で撮像した動画のデータや、ドップラセンサ111により取得した微体動データ等の状態データの他、各プログラムを実行する上で必要なデータや、対象者Obを監視する上で必要なデータ等が含まれる。SB記憶部16は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、SB記憶部16は、前記プログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるSB制御処理部14のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
SB制御処理部14は、ナースコールを受け付け、動画を生成し、対象者Obにおける予め設定された所定の行動を検知するための回路である。SB制御処理部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。SB制御処理部14は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、センサ制御部(SB制御部)141、行動検知処理部142、通知処理部143、ストリーミング処理部144およびナースコール処理部145を機能的に備える。
SB制御部141は、センサボックスSBの全体制御を司るものである。
行動検知処理部142は、センサ部11の出力に基づいて対象者Obにおける、予め設定された所定のイベントを検知するものである。本実施形態では、上述したように、前記所定のイベントは、対象者Obの起床、離床、転倒、転落および微体動異常であり、行動検知処理部142は、センサ部11の出力に基づいて対象者Obにおける起床、離床、転倒、転落および微体動異常をイベントとして検知し、通知処理部143へ通知する。行動検知処理部142は、センサ部11の出力に基づいて対象者Obの起床、離床、転倒、転落および微体動異常を分別して検知できる。例えば、行動検知処理部142は、センサ部11のカメラ112によって取得した画像から対象者Obの人体領域として動体領域を抽出し、この抽出した動体領域の縦横比から対象者Obの姿勢(例えば立位、座位および横臥等)を判断し、この検出した動体領域の位置を検出し、これら判断、検出した対象者Obの姿勢および位置に基づいて前記起床、離床、転倒および転落の別を判断する。また、行動検知処理部142は、ベッド領域内で横臥姿勢から座位姿勢への移行を検知した場合、起床と判断し、起床のイベント(起床イベント)が発生したと判断する。更に、行動検知処理部142は、ベッド領域内からベッド領域外へ座位姿勢から立位姿勢への移行を検知した場合、離床と判断し、離床のイベント(離床イベント)が発生したと判断する。また、行動検知処理部142は、ベッド領域内からベッド領域外への移行であってベッド領域外での横臥姿勢を検知した場合、転落と判断し、転落のイベント(転落イベント)が発生したと判断する。また例えば、行動検知処理部142は、ベッド領域外で座位姿勢や立位姿勢から横臥姿勢への移行を検知した場合、転倒と判断し、転倒のイベント(転倒イベント)が発生したと判断する。また、行動検知処理部142は、センサ部11のドップラセンサ111によって対象者Obの呼吸動作に伴う胸部の体動(胸部の上下動)を検出し、その胸部の体動における周期の乱れや予め設定された閾値以下である前記胸部の体動における振幅を検知すると、前記微体動異常と判断し、微体動異常のイベント(微体動異常イベント)が発生したと判断する。行動検知処理部142は、記憶された対象者の日常行動に基づいて判断する機能を有し、記憶した正常な行動とは異なる行動をとったとき、或いは記憶した認知症等による行動をとったときなど、異常イベントが発生したと判断して、後述するように携帯端末TAに通知するようにしても良い。尚、行動検知処理部142の判断基準(判断アルゴリズム)は、全てのセンサボックスSBで統一されていることが好ましい。これにより、居住者が変っても判断基準を変える必要がなくなり、手間がかからない。但し、センサボックスSB毎に行動検知処理部142の判断基準をカスタマイズできるようにしてもよい。
ナースコール処理部145は、ナースコール入力部13で入力操作を受け付けた場合に、イベント、より具体的にはナースコールの操作(ナースコールイベント)を通知処理部143へ通知するものである。そして、ナースコール処理部145は、SB通信IF部15およびネットワークNWを介して、固定端末装置SPまたは携帯端末TAとの間で音声通話を可能にするものである。
センサボックスSBは、対象者Obの身体に関する諸値を検出する入力装置としてのセンサSSに対して無線通信可能に接続され、センサSSで検出した諸値を、SB通信IF部15を介して管理サーバSVに送信する機能を有する。ここで、対象者Obの身体に関する諸値とは、例えば対象者Obの体温、血中濃度、心拍数、血圧、室温/湿度等であり、検出時刻と共にセンサボックスSBに送信される。センサSSは、対象者Obに常時装着されていても良いし、検出時のみ介護士が装着するようにしても良い。更に、例えばトイレの入口に人感センサを設置し、対象者Obの入退出時間を検出することで、排泄の種別及び時間を検出して、センサボックスSBに送信することもできる。
通知処理部143は、ナースコール入力部13によるナースコールイベントと、センサ部11で対象者Obにおける所定の行動を検知した所定のイベント(本実施形態では、起床、離床、転倒、転落の各イベント)がセンサボックスSBで生じた場合に、外部に通知するものである。より具体的には、通知処理部143は、生じたイベントの種別を表す情報(本実施形態ではナースコールイベント、或いは所定の検知イベント(起床、離床、転倒、転落及び微体動異常を識別する情報、すなわち所定の状態を分類してその種類を示す情報)と、前記対象者Obを検知しているセンサボックスSBを特定し識別するための識別子情報とからなる通知信号を生成し、SB通信IF部15からネットワークNWを介して管理サーバSVへ送信する。又、外部よりリクエスト(状態データリクエスト信号の送信)があれば、通知処理部143は、画像データ等の状態データを収容した通信信号を生成し、SB通信IF部15からネットワークNWを介して管理サーバSVへ送信する。
尚、後述する梯子チャートの動作では用いないが、ストリーミング処理部144は、ネットワークNWおよびSB通信IF部15を介して固定端末装置SPまたは携帯端末TAからストリーミング動画の配信の要求があった場合に、この要求のあった固定端末装置SPまたは携帯端末TAへ、センサ部11のカメラ112で生成した動画(例えばライブの動画)をストリーミング再生でSB通信IF部15およびネットワークNWを介して配信するものである。
図1には、一例として、4個の第1ないし第4センサボックスSB−1〜SB−4が示されており、第1センサボックスSB−1は、対象者Obの一人であるAさんOb−1の居室RM−1に配設され、第2センサボックスSB−2は、対象者Obの一人であるBさんOb−2の居室RM−2に配設され、第3センサボックスSB−3は、対象者Obの一人であるCさんOb−3の居室RM−3に配設され、そして、第4センサボックスSB−4は、対象者Obの一人であるDさんOb−4の居室RM−4に配設されている。
このようなセンサボックスSBでは、その稼働を始めると、センサ部11は、所定のフレームレートで所在空間を上方から撮像して生成した画像およびドップラ信号をSB制御処理部14へ出力する。SB制御処理部14の行動検知処理部142は、所定の時間おきに、これら画像およびドップラ信号に基づいて対象者Obにおける所定の行動の有無を検知し、前記所定の行動を検知イベントとして検知すると、その検知イベントの種別を含めて検知イベントを通知処理部143へ通知する。通知処理部143は、前記検知イベントの通知を受けると、通知信号をSB通信IF部15から管理サーバSVへ送信する。
尚、後述する梯子チャートの動作では用いないが、ナースコール処理部145は、ナースコール入力部13で入力操作を受け付けると、ナースコールの受付イベントを通知処理部143へ通知する。通知処理部143は、前記受付イベントの通知を受けると、通知信号をSB通信IF部15から管理サーバSVへ送信する。管理サーバSVは、ナースコールが生じた居室を担当する介護士の持つ携帯端末TAに、ナースコールが生じたことを通知する。
次に、中央制御装置としての管理サーバSVについて説明する。図1において、管理サーバSVは、ネットワークNWを介して他のセンサボックスSBと、固定端末SPと、携帯端末TAとに独立して通信する通信機能を備えている。管理サーバSVは、センサボックスSBから通知を受けて、イベントが生じた居室を担当する介護士の持つ携帯端末TA、及び/又は固定端末装置SPに情報を提供する機能、更にケアプランを記憶し、携帯端末TAから入力されたケアデータを受信し、ケアデータに基づいてケアプランを修正する機能を有する。このような管理サーバSVは、例えば、図3に示すように、SV制御処理部21と、SV記憶部22と、SV通信IF部23とを備える。
SV通信IF部23は、SB通信IF部15と同様に、SV制御処理部21に接続され、SV制御処理部21の制御に従って通信を行うための通信デバイスである。SV通信IF部23は、SV制御処理部21から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この介護支援システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介してセンサボックスSB等へ送信する。SV通信IF部23は、ネットワークNWを介してセンサボックスSB等から通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータをSV制御処理部21が処理可能な形式のデータに変換してSV制御処理部21へ出力する。
SV記憶部22は、SV制御処理部21に接続され、SV制御処理部21の制御に従って、各種のプログラムおよび各種のデータやケアプランを記憶する回路である。前記各種のプログラムには、例えば、クライアント(本実施形態では固定端末装置SPおよび携帯端末TA等)の要求に応じたデータを前記クライアントに提供するサーバプログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種のデータには、対象者Obに対する監視に関する監視情報、イベントの通知先に関する通知先情報等の、上述の各プログラムを実行する上で必要なデータや、対象者Obを監視する上で必要なデータ等が含まれる。SV記憶部22は、SB記憶部16と同様に、例えばROMやEEPROM等を備える。そして、SV記憶部22は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるSV制御処理部21のワーキングメモリとなるRAM等を含む。
SV記憶部22は、通知先情報を記憶する通知先情報記憶部221を備える。通知先情報記憶部221は、イベントの通知先に関する通知先情報を記憶する。前記通知先情報は、センサボックスSBから通知信号を受信した場合に、この受信した通知信号に収容されたイベントを通知する通知先を表す情報である。前記通知先情報は、例えば、本実施形態では、通知信号を送信した送信元のセンサボックスSBと、センサボックスSBから受信した通知信号を送信する携帯端末TAとの対応関係を表す情報であり、例えば、図5に示すようにテーブル形式で通知先情報記憶部221に記憶されている。この図5に示す通知先情報テーブル41は、通知信号の送信元であるセンサボックスSBの通信アドレスを登録する通知元アドレスフィールド411と、通知イベント情報として、対象者がこの状態になった場合に通知する通知イベントフィールド412と、前記通知元アドレスフィールド411に登録されたセンサボックスSBの通信アドレスに対応付けられ前記通信アドレスを持つ前記センサボックスSBから受信した通知信号に収容されたイベントを通知する携帯端末TAの通信アドレスを登録する通知先アドレスフィールド413とを備え、センサボックスSBごとにレコードを持つ。なお、センサボックスSBの通信アドレスは、前記センサIDとされて良く、また、通知元アドレスフィールド411は必ずしも設ける必要はないが、設ける場合にはセンサボックスSBを配設した部屋番号が登録されても良い。また、携帯端末TAの通信アドレスは、携帯端末TAを特定し識別するための端末識別子(端末ID)とされて良く、また、通知先アドレスフィールド413には、携帯端末TAを持つ例えば介護士名等の監視者の名前が登録されても良い。通知イベントフィールド412における通知イベントの項目(通知イベント情報)は、センサボックスSBが設置された居室の対象者OBに応じて、管理サーバSV側から設定可能である。図5の例では、Aさん及びBさんの場合には、転倒、転落のイベントが生じたら通知すべきであり、Cさんの場合には、転倒、転落、起床のイベントが生じたら通知すべきであり、Dさんの場合には、転倒、転落、起床、離床が生じたら通知すべきであることを意味している。例えば、対象者の状態(起床後は殆ど問題がないので、対応が不要と判断できる人、そうでない人がいること)、過去の対応情報(過去に離床と入床を数回繰り返し習慣があるので、1回の離床では対応が不要と判断できる人がいること)などの理由で、対象者に応じて通知イベントを分けることが望ましい。
SV制御処理部21は、センサボックスSBから通知を受けて、受けた通知を固定端末装置SPおよび対応する携帯端末TAそれぞれへ転送する回路である。SV制御処理部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。
SV制御処理部21のSV制御部211は、管理サーバSVの全体制御を司るものである。
なお、管理サーバSVは、図3に破線で示すように、必要に応じて、さらにSV制御処理部21に接続され例えば各種コマンドや各種データ等を入力するサーバ入力部(SV入力部)24、SV入力部24で入力された各種コマンドや各種データおよび対象者Obに対する監視に関する情報等を出力するサーバ出力部(SV出力部)25、および、外部機器との間でデータの入出力を行うサーバインターフェース部(SVIF部)26等を備えても良い。このような管理サーバSVは、例えば、通信機能付きのコンピュータによって構成可能である。
固定端末装置SPは、ナースステーションSTに設置されており、ネットワークNWを介して管理サーバSV等と通信する通信機能、所定の情報を表示する表示機能、および、所定の指示やデータを入力する入力機能等を備え、管理サーバSVや携帯端末TAに与える所定の指示やデータを入力したり、センサボックスSBで得られた検知結果や画像を表示したりすることによって、介護支援システムMSのユーザインターフェース(UI)として機能する機器である。このような固定端末装置SPは、例えば、通信機能付きのコンピュータによって構成可能である。固定端末装置SPは、センサボックスSBが設置された全ての居室において、センサボックスSBの機能を通じて居室内の状態を把握できるようになっていると好ましい。
次に、携帯端末TAについて説明する。携帯端末TAは、ネットワークNWを介して管理サーバSV等と通信する通信機能、所定の情報を表示する表示機能、所定の指示や,対象者Obに関する諸データ(詳細は後述)を含むケアデータを入力する入力機能、および、音声通話を行う通話機能等を備え、管理サーバSVやセンサボックスSBに与える所定の指示やデータを入力し、前記所定のイベントがセンサボックスSBで生じた場合に前記所定のイベントの通知を受け、センサボックスSBとの間で通話し、センサボックスSBで生成された動画を表示し、管理サーバSVから送信されたケアプランに関する情報や必要なリコメンド信号又はアラート信号を、視覚又は聴覚を通じて介護士に提示するための機器である。
このような携帯端末TAは、本実施形態では、例えば、図4に示すように、TA制御処理部31と、TA記憶部32と、TA通信IF部33と、TA音入出力部34と、TA入力部35と、TA表示部36と、TAIF部37とを備える。
TA音入出力部34は、TA制御処理部31に接続され、外部の音を取得して携帯端末TAに入力するためのデバイスであって、TA制御処理部31の制御に従って音を表す電気信号に応じた音を生成して出力するものである。TA音入出力部34は、SB音入出力部12と同様に、例えば、音響振動を電気信号に変換するマイクロホン等と、音の電気信号を音の音響振動に変換するスピーカ等とを備えて構成される。TA音入出力部34は、外部の音を表す電気信号をTA制御処理部31へ出力し、また、TA制御処理部31から入力された電気信号を音の音響振動に変換して出力する。
TA入力部35は、TA制御処理部31に接続され、例えば、所定の操作を受け付け、携帯端末TAに入力するデバイスであり、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。前記所定の操作には、例えば、ログインするためのIDの入力操作や、通知されたナースコールに対応する応答操作や、動画の要求操作や、通知された対象者Obに対する例えば救命、看護、介護および介助等の対応を実行する意思がある旨(復旧)の入力操作等の、監視する上で必要な各種操作等が含まれる。加えて、TA入力部35は、ケアプランに従い、介護士が対象者Obに関する諸データを入力することができる。諸データとしては、例えば、見た目の体調、食事の摂取量及び摂取時間、水分の摂取量及び摂取時刻、服薬の種類及び服薬時刻、排泄種別及び排泄時刻等である。
情報の提示部であるTA表示部36は、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って、TA入力部35から入力された所定の操作内容、および、介護支援システムMSによって監視されている対象者Obに対する監視に関する前記監視情報(例えばセンサボックスSBで生じたイベントや対象者Obの画像等)等、更には管理サーバSVから送信されたケアプランに関する情報や必要なリコメンド信号又はアラート信号を可視化するデバイスであり、例えばLCDおよび有機ELディスプレイ等の表示装置である。そして、本実施形態では、TA入力部35およびTA表示部36はタッチパネルから構成されている。この場合において、TA入力部35は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力デバイスである。このタッチパネルでは、TA表示部36の表示面上に位置入力デバイスが設けられ、TA表示部36に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、例えば介護士等のユーザ(監視者)が、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力デバイスによってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として携帯端末TAに入力される。
TAIF部37は、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行うデバイスであり、例えば、携帯電話通信網、WiFi規格、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。
TA通信IF部33は、SB通信IF部15と同様に、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って通信を行うための通信デバイスである。TA通信IF部33は、TA制御処理部31から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この介護支援システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介して管理サーバSV等へ送信する。TA通信IF部33は、ネットワークNWを介して管理サーバSV等から通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータをTA制御処理部31が処理可能な形式のデータに変換してTA制御処理部31へ出力する。
TA記憶部32は、SB記憶部16と同様に、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って、各種のプログラムおよび各種のデータを記憶する回路である。前記各種のプログラムには、表示に関する動作を処理する表示処理プログラム等が含まれる。前記各種のデータでは、TA表示部36に表示される画面情報等の各データが含まれる。TA記憶部32は、例えばROMやEEPROM等を備える。TA記憶部32は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるTA制御処理部31のワーキングメモリとなるRAM等を含む。そして、TA記憶部32は、上述の各情報を記憶するために、機能的に表示画面記憶部321を備えている。
表示画面記憶部321は、TA制御処理部31における後述の表示処理部3121の制御に従って、TA表示部36に表示するための画面情報を記憶するものである。
TA制御処理部31は、情報を処理するための回路である。TA制御処理部31は、SB制御処理部14と同様に、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。TA制御処理部31は、制御処理プログラムが実行されることによって、TA制御部311およびTA処理部312を機能的に備え、TA処理部312は、表示処理部3121を機能的に備える。
TA制御部311は、携帯端末TAの全体制御を司るものである。
表示処理部3121は、TA表示部36の表示に関する動作を処理するものである。より具体的には、表示処理部3121は、必要に応じてTA表示部36に動画を表示する。
このような携帯端末TAは、例えば、いわゆるタブレット型コンピュータやスマートフォンや携帯電話機等の、持ち運び可能な通信端末装置によって構成可能である。
次に、実施形態における介護支援システムの動作について説明する。図6は、本実施形態の介護支援システムにおけるイベント検出動作を示す梯子チャート図である。図7は、本実施形態の携帯端末の表示画面の例を示す図である。
このような構成の介護支援システムMSでは、起動されると、センサボックスSBでは、その制御処理プログラムの実行によって、SB制御処理部14には、SB制御部141、行動検知処理部142,通知処理部143、ストリーミング処理部144およびナースコール処理部145が機能的に構成され、管理サーバSVでは、その制御処理プログラムの実行によって、SV制御処理部21には、SV制御部211が機能的に構成され、そして、携帯端末TAでは、その制御処理プログラムの実行によって、TA制御処理部31には、TA制御部311、表示処理部3121を機能的に備えるTA処理部312が機能的に構成される。
介護支援システムMSの動作について説明するが、ナースコールイベントについては省略する。携帯端末TAでは、例えば介護士等のログイン操作を受け付けると、携帯端末TAは、TA処理部312によって、自機宛の通信信号を待ち受ける待受け画面をTA表示部36に表示する。この待受け画面は、例えば、図7(a)に示すように、メニューバーを表示するメニューバー領域611と、待ち受け中であることを表すメッセージ(例えば「未対応通知はありません」)、日付や現在時刻、当該携帯端末TAにログインしているユーザ名(介護士)などを表示する待受けメイン領域612とを備える。このような待受け画面を表示すると、携帯端末TAは、TA制御部311によって、TA通信IF部33で通信信号の受信を待つ。
センサボックスSBは、図6のステップS101において、SB制御部141によって、所定のフレームレートに応じたサンプリング周期でセンサ部11のドップラセンサ111の出力データをサンプリングするとともにカメラ112で画像データを取得し、不図示のリングバッファに記憶しつつ、行動検知処理部142によって、このサンプリングおよび取得したドップラセンサ111の出力データおよびカメラ112の画像データを解析する。この解析の結果、ステップS102で、センサボックスSBはSB制御部141が所定のイベント(起床、離床、転倒、転落および微体動異常)を検出しない場合には、フローをステップS101へと戻して検知動作を続行する。一方、SB制御部141が所定のイベントを検出したときは、ステップS103で、センサボックスSBはイベント前後の画像データ及び/又は微体動データを、リングバッファから切り出してSB記憶部16に記憶する。尚、例えば固定端末SPを介して設定した時間帯に限り、センサボックスSBの検知動作を中断させることもできる。又、例えば固定端末SPを介して、センサボックスSB内のプログラムを変更することもできる。
更にセンサボックスSBは、通知処理部143によって、どの種類の通知イベントが発生したかを示すイベント情報と、通信アドレスを含む通知信号を、ネットワークNWを介して管理サーバSVへ送信する(C11)。かかる通知信号は、対象者の画像データを含まないので情報量が少ない。
このような通知信号がセンサボックスSBから送信されると、管理サーバSVは、ステップS104で、通知信号に含まれている情報を、通知先情報記憶部221に記憶されている通知先情報テーブル41と照合して、送信元の通信アドレスに対応する送信先の通信アドレスから居住者が誰か(ここではBさん)を判断し、更に、通知信号のイベント情報から、その居住者(Bさん)に対応する通知イベントの種類(ここでは転倒又は転落)に該当するかを判断する。そして、受信した通知信号のイベント情報が通知イベントを示している場合には、管理サーバSVは端末への通知を行うことを決定する。一方、受信した通知信号のイベント情報が通知イベントを示していない場合(Bさんの場合、起床又は離床)、管理サーバSVは端末への通知を行わないことを決定し、次の通知信号を待ち受ける。
管理サーバSVが、端末への通知を決定した場合、通知先情報記憶部221に記憶されている通知先情報テーブル41と照合して、送信元の通信アドレスに対応する送信先の通信アドレスから、送信先の携帯端末TAを選定する。より具体的には、管理サーバSVは通知先情報記憶部221に記憶されている通知先情報テーブル41において、通知元アドレスフィールド411に、前記受信した通知信号の送信元の通信アドレスを登録しているレコードにおける通知先アドレスフィールド413に登録されている通知先の通信アドレスを取り出す。例えば、RM−2号室に配設された通信アドレス「192.168.10.121」を持つセンサボックスSB−2からの通知信号を受信した場合には、この通知信号の送信元の通信アドレス「192.168.10.121」を登録している2行目のレコードにおける通知先アドレスフィールド413に登録されている通知先の3個の通信アドレス「192.168.10.25」、「192.168.10.26」、「192.168.10.27」が取り出される。なお、この例では、通信アドレス「192.168.10.25」は、介護士NAさんが持つ携帯端末TA−1に付与された通信アドレスであり、通信アドレス「192.168.10.26」は、介護士NBさんが持つ携帯端末TA−2に付与された通信アドレスであり、そして、通信アドレス「192.168.10.27」は、図略の介護士NCさんが持つ携帯端末TA−3に付与された通信アドレスである。
そして、管理サーバSVは、RM−2号室で転倒又は転落が生じた情報を含む通知信号(イベント信号)を、選定した携帯端末TA−1〜TA−3及び固定端末SPへ送信する(C12)。
このような通知信号が管理サーバSVから送信されると、携帯端末TAは、TA処理部312によってTA表示部36の画面表示を、例えば図7(b)に示すものに切り替える。このとき、提示部としてのTA音入出力部34を介して、音や音声などの出力(例えば「RM−2号室で転落発生」などの音声メッセージ)を行ったり、或いは振動等により介護士に通知信号の受信を知らせても良い。
図7(b)に示す例では、メイン領域612に、イベントが生じた居室名(RM−2号室、すなわち通知を送信したセンサボックスに関する情報)と,当該居室の居住者の氏名(B様)と、転倒又は転落を示すアイコンIC1(すなわちイベント信号(通知)を受信したことを示す情報)と、通知時間と現在との時間差(0分)が表示される(ステップS105)。同時に、メイン領域612に、ボタンB1(対応する),B2(話す),B3(記憶映像を見る)、B4(ライブ映像を見る)が表示される。
ここで、介護士がボタンB3又はB4にタッチすると、携帯端末TAのTA入力部35が反応し、ステップS106で、TA制御部311が画像のリクエストがなされたと判断して、TA通信IF部からネットワークNWを介して管理サーバSVにリクエスト信号(状態データリクエスト信号)が送信される(C13)。ここでリクエスト信号には、要求種別(記憶映像又はライブ映像)が含まれる。管理サーバSVは、リクエスト信号を中継して対象となるセンサボックスSBに送信する。尚、リクエスト信号は、直接センサボックスSBに送信されても良い。
リクエスト信号を受信したセンサボックスSBは、ステップS107で、リクエスト信号中の要求種別を判別する。介護士がボタンB3をタッチした場合、携帯端末TAから、記憶画像を要求するリクエスト信号が出力されるので、管理サーバSVを介してこれを受信したセンサボックスSBが記憶映像を要求されていると判断して、ステップS109でSB記憶部16から画像データを読み出して、SB通信IF部15からネットワークNWを介して管理サーバSVに送信する(C14)。或いは、介護士がボタンB4をタッチした場合、携帯端末TAから、ライブ映像を要求するリクエスト信号が出力されるので、管理サーバSVを介してこれを受信したセンサボックスSBがライブ映像を要求されていると判断し、ステップS108で、カメラ112で撮像してなるライブ映像をエンコードして、SB通信IF部15からネットワークNWを介して管理サーバSVに送信する(C14)。ライブ映像はリングバッファから切り出されても良い。管理サーバSVは、画像データを中継してリクエスト信号を送信した携帯端末TAに送信する。尚、画像データは、直接携帯端末TAに送信されても良い。
画像データを受信した携帯端末TAは、TA処理部312によってTA表示部36の画面表示を、例えば図7(c)に示すものに切り替える。記憶映像を要求した図7(c)に示す例では、メイン領域612に、RM−2号室で転倒した前後のBさんの画像(映像)IMGが表示されるので、かかる画像IMGを見た介護士は、すぐに対応すべき状態か否かを判断することができる。又、画像IMGを見ただけでは判断できない場合、介護士がボタンB2をタッチすることで、センサボックスSBのSB音入出力部12を介して、Bさんと介護士とが直接会話できるため、状況を正確に判断することができる。又、ライブ映像を要求した場合、携帯端末TAに表示される画像は、現在のストリーミング画像である。上記の例では、携帯端末TAに通知信号を送信するようにしているが、及び/又は固定端末SPに通知信号を送信するようにしても良い。尚、画像のリクエストは、通知信号にかかわらず任意で行うことができる。
尚、ステップS105で表示されたアイコンIC1を見た介護士が、イベントが生じたRM−2号室に近い場所にいるときは、画像を見ることなく直ちに駆けつけることができる。従って、そのような場合、介護士がボタンB1をタッチすることで、固定端末SPに、介護士が直接対応する旨の情報が送信されることとなる。ボタンB1をタッチすることで、通知信号を送信されたその他の携帯端末TA及び/又は固定端末SPにおいて、通知信号に応じた表示が解除されて図7(a)の表示に戻るか、或いは「担当介護士、対応中」の表示がなされると好ましい。
次に、介護支援システムMSを用いたケアプラン調整方法について説明する。図8は、ケアプラン調整方法を実現するための梯子チャートである。図9は、管理サーバSV内で行われるデータ解析及びケアプラン修正ルーチンを示す図である。尚、図8に示す動作は、図6に示す動作と並行して実行されると好ましい。ここで、ケアプランとは、介護される対象者自らが行う自律行為の回数とタイミング、対象者が摂取すべき摂取物の量と摂取タイミング、対象者の身体に関する値を収集するタイミング、及び介護士が対象者に対して行う介護行為の回数とタイミングの少なくとも1つを定めたものをいう。対象者自らが行う自律行為の例としては、起床、就寝、散歩、リハビリ、排泄,入浴などがあり、対象者が摂取すべき摂取物の例としては、食事、おやつ、薬、水分などがあり、対象者の身体に関する値の例としては、体温、血中酸素濃度、心拍数、血圧,呼吸数(ドップラセンサで検出可能)などがあり、介護士が対象者に対して行う介護行為の例としては、寝たきりの際の体位チェンジ、食事介助、排泄介助、歩行介助などがある。以上が実行されたとき或いは測定されたとき、当該行為の内容及び測定値とその実行時間とをケアデータとして、介護士の手入力により端末TA或いは測定したセンサから管理サーバSVに送信される。
図8のステップS201において、介護士は端末TAを介して、担当する対象者の諸データを入力する。入力された対象者の諸データは、端末TAからネットワークNWを介して管理サーバSVに送信される(C21)。一方、ステップS202で、センサボックスSBに対象者の身体に関する諸値が入力されたとき、センサボックスSBから、入力された対象者の身体に関する諸値が、ネットワークNWを介して管理サーバSVに送信される(C22)。対象者の諸データ及び対象者の身体に関する諸値を含むケアデータを受信した管理サーバSVは、ステップS203で、データ解析及びケアプラン修正ルーチンを実行し、必要に応じて点線で示すようにアラート信号(後述)を端末TAに送信し、ケアプランの修正案を作成する。データ解析及びケアプラン修正ルーチンの詳細は後述する。
管理サーバSVは、入力されたケアデータに応じて作成されるケアプランの修正案を含む情報を、対象者を担当する介護士が管理する端末TA(又は固定端末)に送信し(C23)、これと並行して、ステップS204で対象者の諸データ及び対象者の身体に関する諸値をデータベース化する。一方、ケアプランの修正案を含む情報を受信した端末TAでは、ステップS205でケアプランの修正案を表示する。
ステップS206で、修正案を許可する権限を持つ介護士等による端末TAへの入力により、ケアプランの修正案に基づきケアプランの更新が許可されなければ、端末TAは管理サーバSVからの新たな送信を待つ。一方、ステップS206で、ケアプランの更新が許可された場合、許可信号が端末TAから管理サーバSVに送信されるので、ステップS207で、管理サーバSVはケアプランの修正案を新たなケアプランとして更新し、更新したケアプランを含む情報を端末TAに送信する。
次に、管理サーバSVで行われるデータ解析及びケアプラン修正ルーチンの内容を説明する。尚、図9に示す内容は、図8のステップS204,S207の動作を含んでいる。図9のステップS301で、端末TAから本日最終確認の情報が入力されていないと判断すれば、ステップS302で管理サーバSVは、対象者に応じて識別された状態で端末TA等からケアデータとして入力された対象者の諸データ及び対象者の身体に関する諸値を解析する。解析するに当たっては蓄積量も考慮する。具体的には、摂取量等の1日の中間目標、総合目標、累積ペースに基づく予想目標、単位時間当たりの目標などが解析される。ここで、トータルの目標量又は目標タイミングとは、1日の内の中間目標、総合目標、累積ペースに基づく予想目標等をいう。
管理サーバSVは、ステップS303で、各対象者に応じて、解析した結果を現在のケアプランと照らし合わせ、ケアプランの内容からズレが生じていないと判断した場合、ステップS301へとフローを戻す。
一方、ステップS303で、解析した結果と現在のケアプランの内容にずれが生じていると判断した場合、管理サーバSVは、ステップS304で、解析結果が既定条件に合致するか否か、すなわち目標量又は目標タイミングに対してズレ量が閾値以内か否かを判断する。その結果、ズレ量が閾値以内であると判断した場合、管理サーバSVはステップS301へとフローを戻す。
これに対し、ステップS304で、ズレ量が閾値を超えていると判断した場合、管理サーバSVは、続くステップS305で、解析した対者を担当する介護士の端末TAに、いずれのデータ又は値がケアプランに対してずれているかの情報と共に、トータルの目標量又は目標タイミングに近づける為に、以降に対象者が実行することで収集されるべきケアデータの補完案(決められたケアプランとのズレを抑えるための推奨量など)を演算作成し、このケアデータの補完案と共に、アラート信号を送信する。これを受信した端末TAでは、アラート信号を表示することで介護士の注意が喚起され、また提示されたケアデータの補完案に基づいてケアプランとのズレを抑えるためには、どのように対処すべきかがわかり、介護士の負担が軽減される。
更に、ステップS301で、端末TAから本日最終確認の情報が入力されたと判断すれば、ステップS306で、管理サーバSVは、解析結果を申し送り事項として、次の日に担当する介護士の端末TAへと送信する。また管理サーバSVは、ステップS307で、対象者の諸データ及び対象者の身体に関する諸値を、解析結果と共にデータベース化する。かかるデータベースには、端末TAから必要に応じてアクセスできる。データベース内のデータを解析した結果、対象者の健康診断が必要だと判断した場合、管理サーバSVは、端末TAに対象者の健康診断を促すアドバイス等の情報を送信できる。
管理サーバSVは、ステップS308で、ケアデータの解析に基づいて、より対象者に適したケアプランの修正案を作成して、かかる修正案を含む情報を端末TAに送信し、ステップS309で、端末TAから許可信号を受信してケアプランを更新する。これにより、引き継ぐ次の介護士は、更新したケアプランに応じて対象者を適切に介護できる。但し管理サーバSVは、許可信号を受信しなければ、現在のケアプランを変更しない。
図10〜12は、施設スケジュールと、対象者毎のケアプラン例と、端末からの入力データと、端末へのアラートを時系列的に示す図である。図13は、端末TAの表示例を示すものであるが、図7に示す機能と同様なものは説明を省略する。以下、ケアプラン更新の事例について説明する。尚、管理サーバSVには、図10〜12に示すように、施設スケジュールと、対象者毎のケアプラン内容が予め記憶されているものとする。
(ケア事例1)
ケア開始前に、対象者としてのYさんを担当するシフトとして、介護士NAが端末TA−1(図1参照)からシステムにログインする。端末TA−1には、図10に示すYさんのケアプラン(管理サーバSVからダウンロードしたもの)が記憶されているものとする。より具体的には、Yさんのケアプランによれば、1日に水分を1000cc(トータルの目標量)とることとされ、また水分補給のタイミングは、8時/10時/12時/15時/18時である。更にYさんは、朝食後に薬A,夕食後に薬Bを服薬することになっている。
8時になると、端末TA−1に記憶されたケアプランに基づいて、そのメイン領域612に、図13(a)に示すように、「現在の時刻」と、「目標補給水分量(200cc)」と、「水分補給量の入力欄」と「数字キー」が表示される。8時の朝食に合わせて、Yさんが補給した水分量が100ccであったときは、介護士NAは、メイン領域612に表示された数字キーで、水分補給量100と手入力し、送信ボタンB5を操作することで、端末TA−1から管理サーバSVへと、実水分補給量100ccのデータが入力時刻と共に送信される。
同様に、8時半になると、端末TA−1に記憶されたケアプランに基づいて、そのメイン領域612に、図13(b)に示すように、「薬Aの服薬」が表示されるので、Yさんが薬Aを服薬したことを確認した介護士NAは、その後ろのチェックボックスをタップしてチェックマークをつけ、送信ボタンB5を操作することで、端末TA−1から管理サーバSVへと、Yさんが薬Aを服薬したことが入力時刻と共に送信される。
ケアプランに従い検温の時間である10時になると、例えば介護士NAが装着した体温計よりYさんの体温が測定され、その測定値(36℃)が検温時刻と共にセンサボックスSBから管理サーバSVに送信される。又、ケアプランによる水分補給時である10時に、Yさんが補給した水分量が150ccであったときは、介護士NAの手入力により、端末TA−1から管理サーバSVへと、実水分補給量150ccのデータが入力時刻と共に送信される。
更にケアプランによる水分補給時である12時に、Yさんが補給した水分量が150ccであったときは、介護士NAの手入力により、端末TA−1から管理サーバSVへと、実水分補給量150ccのデータが入力時刻と共に送信される。
管理サーバSVは入力データを解析した結果、12時時点で、Yさんの合計水分補給量が400ccであり、この時点での水分補給目標量は600ccであり、中間閾値として目標の90%を下回っていると判断して、端末TA−1に「水分不足注意!」のアラート信号を送信する。また、管理サーバSVは現時点で、中間目標となる水分補給量600ccに対して、100cc補給が未達であると演算し、その不足分を補うケアデータの補完案を作成し、以降の「水分補給目標量を各250cc」と変更して、端末TA−1に送信することができる。かかるアラート信号とケアデータの補完案を受信した端末TA−1は、メイン領域612に、図13(c)に示すように「水分不足注意!」の警告表示(警報提示)と,15時、18時の水分補給目標250ccの表示を行う。この表示を見た介護士NAは、Yさんの水分補給量が不足していることが分かり、これを補うように水分補給を促すことができる。このとき、「水分不足注意!」のアラート信号及びケアデータの補完案は、管理サーバSVから全ての介護士の端末へと送信され、介護士全員でYさんの水分補給を注視するようにしてもよい。
更にケアプランによる水分補給時である15時に、Yさんが補給した水分量が350ccであったときは、介護士NAの手入力により、端末TA−1から管理サーバSVへと、実水分補給量350ccのデータが入力時刻と共に送信される。15時時点で、Yさんの合計水分補給量が750ccであり、この時点での水分補給目標量は800ccであり、中間閾値として目標の90%を上回ったと判断して、端末TA−1にアラート解除信号を送信する。これを受信した端末TA−1は、表示されていた警告表示を消去する。又、この時点で、管理サーバSVは、ケアデータの補完案を元に戻すことができる。それに応じて端末TA−1の表示が消去される。
更にケアプランによる水分補給時である18時に、Yさんが補給した水分量が170ccであったときは、介護士NAの手入力により、端末TA−1から管理サーバSVへと、実水分補給量170ccのデータが入力時刻と共に送信される。
18時半に、Yさんが薬Bを服薬したことを確認した介護士NAの手入力で、端末TA−1から管理サーバSVへと、Yさんが薬Bを服薬したことが入力時刻と共に送信される。その後、Yさんのケアについて最終確認を行った介護士NAは、端末TA−1を操作することで、端末TA−1から管理サーバSVへと最終確認を行った旨の信号を送信する。
最終確認の信号を受信した管理サーバSVは、Yさんの本日の合計水分補給量が920ccであり、1日の水分補給目標量は1000ccであるから、総合閾値である95%を下回り、水分不足が生じていると判断し、次の日のケアプランについて、水分補給目標量を各時240ccと増大させた修正案を作成し、それを含む情報を端末TA−1へと送信する。かかる情報に基づく端末TA−1の表示を見た介護士NA(又は管理者やグループリーダー)は、修正案が許可できるか否かを判定し、許可できる場合には端末TA−1から許可信号を送信する。
端末TA−1から許可する旨の信号が出力され、これを受信した管理サーバSVは、変更したケアプランを、次の日にYさんを担当する介護士NBの端末TA−2へと送信すると共に、申し送り事項として「Yさんが水分不足の傾向がある」ことを示す情報を端末TA−2へと送信する。管理サーバSVは、許可する信号を受信しなければ、現在のケアプランを変更しない。管理サーバSVに入力された全てのデータ、アラートの有無、新たなケアプランはデータベース化され、正式なケア記録として担当介護士を管理する管理者やグループリーダーの承認を経て保存される。また、次の日、介護士NAからYさんの介護を引き継ぐ介護士NB(及び/又は施設の管理者やグループリーダー等)が端末TA−2からシステムにログインすることで、図13(d)に示すように、かかる申し送り事項が画面表示され、介護士NAから書面等で引き継ぎを行わなくても、介護士NBはYさんが水分不足の傾向があることがわかる。又、介護士NBと同じグループに属する介護士等の端末にも,申し送り事項が表示されれば、これをグループ全員で共有できる。
(ケア事例2)
ケア開始前に、対象者としてのYさんを担当するシフトとして、介護士NAが端末TA−1(図1参照)からシステムにログインする。端末TA−1には、図11に示すXさんのケアプラン(管理サーバSVからダウンロードしたもの)が記憶されているものとする。より具体的には、Xさんのケアプランによれば、1日に食事を1000Kcal(トータルの目標量)とることとされている。更に、Xさんは、昼食後に薬Cを服薬することになっている。
8時になると、端末TA−1に記憶されたケアプランに基づいて、実摂取カロリーの入力画面が表示されるので、Xさんが摂取したカロリーが300Kcalであったときは、介護士NAは手入力することで、端末TA−1から管理サーバSVへと、実摂取カロリー300Kcalのデータが入力時刻と共に送信される。
ケアプランに従い検温の時間である10時になると、例えば介護士NAが装着した体温計よりXさんの体温が測定され、その測定値(36℃)が検温時刻と共にセンサボックスSBから管理サーバSVに送信される。尚、Xさんの体温が例えば37℃以上であった場合、管理サーバSVは端末TA−1に体温上昇を示すアラート信号を送信し、端末TA−1に警告表示(不図示)表示させることで,介護士NAの注意を喚起するようにしても良い。
12時になると、端末TA−1に記憶されたケアプランに基づいて、実摂取カロリーの入力画面が表示されるので、Xさんが摂取したカロリーが400Kcalであったときは、介護士NAは手入力することで、端末TA−1から管理サーバSVへと、実摂取カロリー400Kcalのデータが入力時刻と共に送信される。この時点で、Xさんの合計摂取カロリー(700Kcal)が目標摂取カロリー(650Kcal)に対して中間閾値である110%以内であるので、管理サーバSVはアラート信号を出すことはない。但し、この時点で、管理サーバSVは、Xさんの合計摂取カロリーが目標摂取カロリーを50Kcal上回っていると判断し、夕食のカロリーを50cal減らすというケアデータの補完案を作成して、端末TA−1に送信することもできる。
一方、12時半(目標タイミング)を過ぎても、端末TA−1から管理サーバSVへと、Xさんが薬Cを服薬したことが送信されなかった場合、管理サーバSVは、Xさんの薬C飲み忘れが発生したと判断して、「Xさんが薬C飲み忘れ」のアラート信号を送信する。このとき、管理サーバSVからの信号によりセンサボックスSBを介して、「Xさん、薬Cを飲みましょう」と音声アナウンスを自動的に行っても良い。かかるアラート信号を受信した端末TA−1は、「Xさんが薬C飲み忘れ」の警告表示を行うので、介護士AはXさんが薬Cを飲み忘れていた場合、飲むことを促すことができる。Xさんが薬Cを飲んだ場合、それを確認した介護士NAの手入力で、端末TA−1から管理サーバSVへと、Xさんが薬Cを服薬したことが入力時刻と共に送信される。これに応じて管理サーバSVは、飲み忘れがなくなったと判断して、端末TA−1にアラート解除信号を送信する。これを受信した端末TA−1は、表示されていた警告表示を消去する。
18時になると、端末TA−1に記憶されたケアプランに基づいて、実摂取カロリーの入力画面が表示されるので、Xさんが摂取したカロリーが400Kcalであったときは、介護士NAは手入力することで、端末TA−1から管理サーバSVへと、実摂取カロリー400Kcalのデータが入力時刻と共に送信される。
18時半に、Xさんが嘔吐した場合、介護士NAはXさんが嘔吐したという情報を、管理サーバSVへと送信する。その後、Xさんのケアについて最終確認を行った介護士NAは、端末TA−1を操作することで、端末TA−1から管理サーバSVへと最終確認を行った旨の信号を送信する。
最終確認の信号を受信した管理サーバSVは、1日の目標摂取カロリーは1000Kcalであるのに対し、Xさんの本日の合計摂取カロリーが1100Kcalで過多となり、その結果、嘔吐が発生したと判断し、次の日のケアプランについて、目標摂取カロリーを900Kcalと減少させた修正案を作成し、それを含む情報を端末TA−1へと送信する。かかる情報に基づく端末TA−1の表示を見た介護士NA(又は管理者やグループリーダー)は、修正案が許可できるか否かを判定し、許可できる場合には端末TA−1から許可信号を送信する。
端末TA−1から許可する旨の信号が出力され、これを受信した管理サーバSVは、変更したケアプランを、次の日にXさんを担当する介護士NBの端末TA−2へと送信すると共に、申し送り事項として「Xさんが摂取カロリー過多であり、嘔吐した」ことを示す情報を端末TA−2へと送信する。管理サーバSVは、許可する信号を受信しなければ、現在のケアプランを変更しない。管理サーバSVに入力された全てのデータ、アラートの有無、新たなケアプランはデータベース化され、正式なケア記録として担当介護士を管理する管理者やグループリーダーの承認を経て保存される。また次の日、介護士NB(及び/又は施設の管理者やグループリーダー等)が端末TA−2からシステムにログインすることで、かかる申し送り事項が画面表示され、介護士NAから書面等で引き継ぎを行わなくても、介護士NBはXさんが摂取カロリー過多であることがわかる。又、介護士NBと同じグループに属する介護士等の端末にも,申し送り事項が表示されれば、これをグループ全員で共有できる。
(ケア事例3)
ケア開始前に、対象者としてのZさんを担当するシフトとして、介護士NAが端末TA−1(図1参照)からシステムにログインする。端末TA−1には、図12に示すZさんのケアプラン(管理サーバSVからダウンロードしたもの)が記憶されているものとする。より具体的には、Zさんのケアプランによれば、1日の排泄回数が8回とされている。更に、Zさんは、朝食後に薬A,夕食後に薬Bを服薬することになっている。尚、排泄のチェックは、専用トイレの入口に配置された人感センサ(不図示)がZさんの通過を判別して、排泄回数をカウントし、センサボックスSBを介して管理サーバSVに送信するものとする。また、排泄が小便か大便かは、Zさんの専用トイレの入室時刻と退室時刻の時間差で判別するものとする。
10時に、例えば介護士NAが装着した体温計よりZさんの体温が測定され、その測定値(36℃)が検温時刻と共にセンサボックスSBから管理サーバSVに送信される。Zさんは薬A,Bの飲み忘れはない。よって、これらの入力データを受信した管理サーバSVから、アラート信号は送信されないこととなる。
一方、Zさんの1日の排泄回数は、5:30,6:45,8:45,10:30,12:45,13:45,14:55,16:00,19:00,21:00,1:00の合計11回であった。6回目(13:45)の時点で、管理サーバSVは排泄頻度が高すぎるとして、「Zさんの排泄回数注意!」のアラート信号を送信することができる。排泄回数が少ない場合も、同様にアラート信号を送信できる。かかるアラート信号を受信した端末TA−1は、「Zさんの排泄回数注意!」の警告表示を行う。これを見た介護士NAはZさんの様子を見に行き、また直接会話した結果、特に異常がないと判断した場合、「体調に特に異常なし」と端末TA−1に手入力すると、Zさんの体調が特に異常なしとの情報が端末TA−1から管理サーバSVに送信され、これと同時に「Zさんの排泄回数注意!」の警告表示が消去される。尚、この時点で、介護士NAがZさんの体調異常を発見した場合、医師や看護師等に連絡することで迅速に対処することができる。
管理サーバSVは、ケアプランで定められた1日の排泄回数を上回っているが、様子見と判断して、本日はケアプランの修正案を作成せず、次の日にZさんを担当する介護士NBの端末TA−2に、申し送り事項として「Zさんが排泄回数若干多い」ことを示す情報を端末TA−2へと送信する。管理サーバSVに入力された全てのデータ、アラートの有無、新たなケアプランはデータベース化され、正式なケア記録として担当介護士を管理する管理者やグループリーダーの承認を経て保存される。
更に管理サーバSVは、Zさんの排泄回数を3日間測定して(10回、12回、11回)、その平均をとったところ11回であったと判断すれば、次の日のケアプランについて、排泄回数を11回に変更した修正案を作成し、それを含む情報を端末へと送信する。かかる情報に基づく端末TA−1の表示を見た介護士NA(又は管理者やグループリーダー)は、修正案が許可できるか否かを判定し、許可できる場合には端末TA−1から許可信号を送信する。
端末から許可する旨の信号が出力され、これを受信した管理サーバSVは、変更したケアプランを、次の日にZさんを担当する介護士(及び/又は施設の管理者やグループリーダー等)の端末へと送信する。管理サーバSVは、許可する信号を受信しなければ、現在のケアプランを変更しない。
例えば対象者が薬Dを服薬した後に、転倒したり、部屋内を歩き回ったり、呼吸が乱れたりした場合には、これをセンサボックスSBで検出し、薬D服薬の際の注意事項として、管理サーバSVに送信し記録することもできる。又、転倒した場合の連絡は、状況に応じて担当する介護士の他、管理者やナースに対して行っても良い。又、認知症を患った対象者が居室外へ出たときは、センサボックスSBがこれを判断し、管理サーバSVを介して担当する介護士や、施設の受付或いは警備員等の端末TAに警報信号を発しても良い。
又、対象者の自律的行為に応じて動作し、ケアデータを出力する入力装置としては、トイレに設けた人感センサ以外にも、以下のものがある。具体的には、対象者が摂取した水分量を入力する入力装置として、冷蔵庫の扉や電動ポットのスイッチにセンサをつけておき、対象者が水分補給のため、冷蔵庫の扉を開けたり電動ポットのスイッチを操作したことに応じて、かかる場合の平均的摂取量を管理サーバに送信するようにしても良い。
アラート信号を受信した端末TAは、緊急性のある事案と、緊急性のない事案とに分けて、着信音を変えても良い。又、緊急性のある事案の場合、管理サーバSVはかかりつけの医師や看護師、家族等にメールで自動送信するようにしても良い。対象者は手入力でケアデータを入力しているが、音声入力でケアデータを入力しても良い。また管理サーバSVは、服薬後に対象者が嘔吐することが多かったり、或いは午後に測定した体温や血圧が安定しないことを、端末TAからの入力で解析した場合、服薬や測定の時間(目標タイミング)をずらしたり、服薬を複数回に分けて一回の量(目標量)を減らすなど、ケアプランの修正案を提案することもできる。或いは管理サーバSVは介護士が対象者の体位チェンジを午後に行うケアプランの場合、昼寝している対象者を度々起こしてしてしまうという問題があることを端末TAからの入力で解析した場合、対象者が起きていることが多い午前中に体位チェンジの時間(目標タイミング)をずらすように、ケアプランの修正案を提案することもできる。
更に、センサボックスSBから送信された画像データに基づいて、管理サーバSVが解析した結果、対象者の徘徊、危険行動、不穏行動などが生じたと判断した場合、これをデータベースに記録すると共に、頻繁に生じるのであれば、介護士の見回りを増やすようケアプランの修正案を作成しても良いし、更には施設の職員や警備員の管理する端末にアラート信号を送信することで、対象者が一人で外出してしまうことなどを未然に防止できる。
本発明は、明細書に記載の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施形態や技術思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施形態は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。