JPWO2017013700A1 - 油入電気機器の異常診断方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、絶縁油としてシリコーン油を用いた油入電気機器の異常診断方法である。前記シリコーン油中に含まれる水素ガス、メタンガス、エタンガスおよびエチレンガスからなる分析ガス群から選択される2種類のガスの濃度比率である第1の濃度比率と、前記分析ガス群から選択される別の2種類のガスの濃度比率である第2の濃度比率とに基づいて、前記油入電気機器の異常を診断する。前記2種類のガスの組み合わせ、および、前記別の2種類のガスの組み合わせは、エチレンガスと水素ガスとの組み合わせ、エタンガスと水素ガスとの組み合わせ、エチレンガスとメタンガスとの組み合わせ、または、メタンガスとエタンガスとの組み合わせである。

Description

本発明は、油入電気機器の異常診断方法に関する。
例えば、車載用(鉄道車両用など)の油入電気機器(変圧器など)においては、安全性を重視して、鉱油より引火点が高く、安全性の高いシリコーン油が絶縁油として用いられる場合がある。
一方、絶縁油として鉱油を用いた油入電気機器については、従来より、機器を停止させることなく、絶縁油中のガス成分の種類や濃度、複数のガス成分間の濃度比率などを指標として、過熱異常等の異常を診断する方法が知られている。
例えば、ある2つのガス成分の比率を横軸とし、別の2つのガス成分の比率を縦軸とする診断図において、エリア分けを行い、測定値に対応するプロットが診断図のどのエリアに入るかで異常診断を行う方法が知られている(例えば、特開2004−200348号公報(特許文献1))。
特開2004−200348号公報
しかし、シリコーン油を使用した油入電気機器の異常診断を行う方法はこれまで検討されていない。また、シリコーン油は鉱油と組成が異なるため、シリコーン油において、放電異常、過熱異常等の異常発生時に生成するガス成分の種類、濃度、複数のガス成分間の濃度比などは、鉱油の場合とは異なる。このため、鉱油を使用した油入電気機器の異常診断方法を、シリコーン油を使用した油入電気機器の異常診断にそのまま用いることは適切でない。
また、特許文献1では、具体的に、測定感度の高いアセチレンガスに対する比率を用いているが、シリコーン油の成分は分解され難く(耐熱性が高く)、分解の最終段階で生じるアセチレンガスはほとんど生じない。このため、測定感度の高いアセチレンガスを用いずに、アセチレンガスよりも測定感度の低いガス成分の比率を用いて異常診断を行わなければならず、診断精度が低下する可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シリコーン油を絶縁油として用いた油入電気機器について、シリコーン油中のガス成分を指標として異常発生の有無を高い精度で診断することのできる油入電気機器の診断方法を提供することを目的とする。
本発明は、絶縁油としてシリコーン油を用いた油入電気機器の異常診断方法である。前記シリコーン油中に含まれる水素ガス、メタンガス、エタンガスおよびエチレンガスからなる分析ガス群から選択される2種類のガスの濃度比率である第1の濃度比率と、前記分析ガス群から選択される別の2種類のガスの濃度比率である第2の濃度比率とに基づいて、前記油入電気機器の異常を診断する。前記2種類のガスの組み合わせ、および、前記別の2種類のガスの組み合わせは、エチレンガスと水素ガスとの組み合わせ、エタンガスと水素ガスとの組み合わせ、エチレンガスとメタンガスとの組み合わせ、または、メタンガスとエタンガスとの組み合わせである。
本発明によれば、シリコーン油を絶縁油として用いた油入電気機器について、シリコーン油中のガス成分を指標として異常発生の有無を高い精度で診断することのできる油入電気機器の診断方法を提供することができる。
実施例1におけるシリコーン油中のガス成分濃度比の分析結果を示すグラフである。 図1に示されるガス成分濃度比の温度依存性に基づいて作成した過熱温度推定診断図の一例である。 図1に示されるガス成分濃度比の温度依存性に基づいて作成した過熱温度推定診断図の別の一例である。 実施例1において、シリコーン油を使用した油入電気機器の過熱異常を模擬した試験系の概略図である。 図1に示す各ガス成分の分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を示すグラフである。 図1に示す各ガス成分の分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を示す別のグラフである。 図1に示す各ガス成分の分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を示す別のグラフである。 図1に示す各ガス成分の分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を示す別のグラフである。 図1に示す各ガス成分の分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を示す別のグラフである。 図1に示す各ガス成分の分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を示す別のグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
(実施形態1)
本実施形態の異常診断方法は、絶縁油としてシリコーン油を用いた油入電気機器について、異常発生の有無を診断する方法である。油入電気機器としては、例えば、コイル絶縁紙が巻きつけられたコイル銅がシリコーン油内に配置された油入電気機器が挙げられ、具体的には変圧器などが挙げられる。なお、車載用(鉄道車両用など)の油入電気機器においては、安全性を重視してシリコーン油が用いられる場合が多いため、本実施形態の診断方法は、車載用の油入電気機器に好適に用いることができる。
本実施形態の異常診断方法では、シリコーン油中に含まれる4種類のガス(水素ガス、メタンガス、エチレンガスおよびエタンガス)が分析対象となる。そして、シリコーン油中に含まれるこれら4種類のガス(分析ガス群)から選択される2種類のガスの濃度比率(第1の濃度比率)と、分析ガス群から選択される別の2種類のガスの濃度比率(第2の濃度比率)とに基づいて、油入電気機器の異常診断を行う。
2種類のガスの組み合わせ、および、別の2種類のガスの組み合せは、エチレンガスと水素ガスとの組み合わせ、エタンガスと水素ガスとの組み合わせ、エチレンガスとメタンガスとの組み合わせ、または、メタンガスとエタンガスとの組み合わせである。
これらは、本発明者らの検討によって、シリコーン油の温度上昇に伴うガス成分濃度比率の変化量が大きいことが判明した4つの組み合わせである。これらの組み合わせのガス成分濃度比率に基づいて異常診断を行うことで、診断誤差を低減でき、高精度の異常診断を行うことが出来る。
第1の濃度比率および第2の濃度比率は、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率、メタンガスに対するエチレンガスの濃度比率、または、エタンガスに対するメタンガスの濃度比率であることが好ましい。
第1の濃度比率および第2の濃度比率の少なくともいずれかは、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、または、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率であることが好ましい。より好ましくは、第1の濃度比率および第2の濃度比率は、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、および、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率である。
具体的な診断方法としては、第1の成分比率を横軸とし、第2の成分比率を縦軸とする診断図において、エリア分けを行い(実施例で説明する図2または図3参照)、第1の成分比率および第2の成分比率の測定値に対応するプロットが診断図のどのエリアに入るかで異常診断を行う。
なお、診断図を作成するに際は、例えば、シリコーン油を用いた油入電気機器の過熱異常を模擬した試験系を構築し、シリコーン油を加熱して、シリコーン油中に溶解したガスの生成挙動を調査する。その調査結果に基づいて、診断図(過熱温度推定診断図)を作成することができる(実施例で説明する図2または図3参照)。そして、シリコーン油入電気機器の油中ガス分析結果を過熱温度推定診断図に適用することで、シリコーン油入電気機器の過熱温度(温度推定値)を推定すると共に、その温度推定値が予め定めた閾値温度を超えている場合は、異常(過熱異常)が発生していると診断することができる。
鉱油を用いた油入電気機器における内部異常は放電と過熱が考えられ、特に重大な内部異常に進展する可能性がある放電で生成するアセチレンガスは、油中ガス分析による内部異常判定で重要な指標ガスとなっている。しかし、シリコーン油は鉱油に比べ耐熱性が高く、アセチレンガスが生成しにくいため、アセチレンガスによるシリコーン油を用いた油入電気機器の内部異常の診断は困難である。このため、広範囲な温度でシリコーン油から生成する水素ガス、メタンガス、エチレンガス、エタンガスの4種類で内部異常を判断できる。
シリコーン油入電気機器の内部異常で生成するガス成分の油中ガス濃度は、異常部の温度以外に、異常継続時間、異常部位面積で異なり、油中ガスの濃度のみで、異常の様相(過熱温度)を推定することは困難である。しかし、油中の複数のガスの濃度比率は、異常部温度に依存し、異常継続時間、異常部位面積には依存しない。このため、異常部温度の評定には、ガス成分の濃度比率を使用することが有効であると考えられる。
本実施形態の診断方法を実施するためには、まず、油入電気機器内の絶縁油中の溶存ガスを含むガス(試料ガス)を抽出する必要がある。絶縁油から試料ガスを抽出する方法としては、例えば、密閉容器(あるいは密閉型の油入電気機器)内の油を攪拌し、密閉容器の上部空間(ヘッドスペース)に揮発した試料ガスを採取する方法、密閉容器内に収容した油の上部空間に真空空間を生成させて、油を真空空間に噴射させる方法、または、油に対してアルゴンガス等の不活性ガスによるバブリングを行うことで試料ガスを抽出する方法が挙げられる。
なお、油中ガス分析にあわせて、内部共存材料やシリコーン油の経年劣化の影響を把握するため、油入電気機器の内部に使用される材料の調査、シリコーン油の特性測定などを事前調査として行ってもよい。
本実施形態では、2つの指標を用いる場合について説明したが、上記の2つの指標に加えてさらに別の指標を追加して診断を行うことも本実施形態の診断方法に包含される。例えば、合計3つの指標を用いる場合、3次元的な診断図を作成し、その診断図から異常診断を行うことが考えられる。
(ガス分析装置)
以下、本発明の異常診断方法において、ガス成分の分析に用いることのできるガス分析装置の一例について説明する。
ガス分析装置は、主に、試料ガスを流すガス流路と、被測定成分の吸収帯のいずれかの波長を含む波長範囲の光を検出する光学検出システムとを備える。
光学検出システムは、基本的構成として、流路と接続されたガスセル、ガスセル内の分析ガスに光を照射する光源、および、分析ガスを透過した光を検出する光学検出器を含む。ただし、光学検出器は、分析ガスを透過した光だけでなく、分析ガスで反射された光などを検出するものであってもよい。なお、光学検出器の代わりに、TID(熱伝導度型検出器)、FID(水素炎イオン化型検出器)などを用いてもよい。
光学検出器で検出された光の強度等を基に、ガス成分の有無による光透過率の変化量等を求めることで、予め作成した検量線等を用いて各ガス成分の濃度を測定することができる。
光学検出システムは、ガス流路の途中に設けられたガスセルに導入されたガスに対して、光学的分析を行う。ガス流路へ導入されるガスは、通常は、絶縁油から採取された試料ガスと、該試料ガスをガスセル等へ導入するためのキャリアガスとを含む混合ガスである。キャリアガスとしては、特に限定されないが、特別のガスの供給を必要とせずに容易に供給できる点で、大気中の空気を用いることが好ましい。ただし、キャリアガスを用いずに、試料ガスのみをガス流路に導入してもよい。
なお、絶縁油(シリコーン油)中に含まれる複数種のガス成分を個別に測定するためには、例えば、ガス分離カラムを用いることができる。すなわち、試料ガス(油入電気機器内の絶縁油が収容された室の上部空間から採取したガスなど)を、先にガス分離カラム等に流し、物理的または化学的に各々のガス成分に分離した状態でガスセル等に導入することで、各々のガス成分の濃度を測定することができる。ガス分離カラムは、試料ガスを通過させることで、被測定成分毎の通過時間の違いを利用して、各々の被測定成分を分離するための器具である。ガス分離カラムとしては、ガスクロマトグラフ法に用いられる種々公知の分離カラム等を使用することができ、分析対象となる被測定成分の種類に応じて適宜選択される。
光源は、被測定成分の吸収帯を含む光を放射できるものであれば特に限定されないが、被測定成分の吸収帯に対応した光が赤外光である場合は、赤外光源であることが好ましい。赤外光源から放射される赤外光は、中赤外光(波長:約3〜5μm)であることがより好ましい。
例えば、試料ガス中に複数の被測定成分が含まれ、被測定成分の吸収帯が互いに近接しているような場合において、個々の被測定成分を測定するためには、他の被測定成分の吸収帯と重ならない波長の光のみを検出する必要がある。このために、光源と光学検出器との間に、所望の波長範囲の光だけを透過し、それ以外の光を透過しない光学フィルタを設けてもよい。また、光源として、所望の波長範囲の光だけを放射し、それ以外の光を放射しない光源(狭帯域光源)を用いてもよい。狭帯域光源としては、例えば、LED光源が挙げられる。なお、検出感度を上げるために、検出する光の波長が被測定成分の最大吸収波長を含んでいることが好ましい。
なお、絶縁油中のガスの分析方法としては、上記のように(1)油入電気機器(変圧器)に搭載された分析装置で測定する方法(オンライン)だけでなく、(2)油入電気機器の下部から絶縁油を採取して、別の場所に設置された分析装置で測定を行う方法(オフライン)を用いることもできる(例えば、電協研、第65巻第1号、「電力用変圧器改修ガイドライン」、第II編 第2章 2−2〜2−5参照)。上記(1)の分析方法では、オンラインで遂次、測定結果を監視できるため、過熱異常を早期に診断できる利点がある。ただし、一般的には、上記(2)の分析方法が多く用いられており、より感度および精度の高い分析を行うことが可能である。
(実施例1)
シリコーン油を絶縁油として用いた油入電気機器の内部で発生する(局部)過熱状態を模擬するために、試験容器21の内部にヒータ31を設置し、シリコーン油1の加熱を行った(図4参照)。なお、試験容器21はコンサベータ22を備えており、ヒータ31には交流電源32から電力が供給される。
ヒータ31とシリコーン油1の温度を、それぞれ温度計41と温度計42で測定した。温度計41,42の測定を基にヒータ31の加熱を管理し、シリコーン油1の温度が400℃、500℃、600℃および700℃となるように維持した。なお、シリコーン油の熱分解によって生成したガス成分を均一に溶解させるために、撹拌子5によってシリコーン油1を撹拌した。各温度で10分間加熱した後、シリコーン油1を着脱可能な採油用注射器6で採取した。
採取したシリコーン油について、シリコーン油中に溶解したガス成分を不活性ガスのバブリングにより抽出し、抽出したガス成分を検出器(TCD)を搭載したガスクロマトグラフで測定することで、シリコーン油中に含まれる4種類のガス成分(水素ガス、メタンガス、エタンガスおよびエチレンガス)の濃度測定を行った。
シリコーン油中の各ガス成分の濃度測定値から、表1に示すA〜Fのガス成分の組合せについての各温度における濃度比を算出した分析結果を図1に示す。また、各ガス成分の組合せの分析結果について、最小二乗法により求めた回帰直線を図5〜図10に示し、それらの回帰式を表1に示す。なお、表1のkは、回帰式をy=aekx(eは自然対数の底であり、aおよびkは定数である)と表したときの定数kを意味し、図5〜図10のようにy軸を対数表示したときの傾きに相当する。
図1および表1に示される結果から、
(1)エチレンガスと水素ガスとの組み合わせ(エチレンガス/水素ガス:水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率)、
(2)エタンガスと水素ガスとの組み合わせ(エタンガス/水素ガス:水素ガスに対するエタンガスの濃度比率)、
(3)エチレンガスとメタンガスとの組み合わせ(エチレンガス/メタンガス:メタンガスに対するエチレンガスの濃度比率)、および、
(4)メタンガスとエタンガスとの組み合わせ(メタンガス/エタンガス:エタンガスに対するメタンガスの濃度比率)
の場合は、ガス成分濃度比率とシリコーン油の温度との間には相関関係があることが分かる。また、上記の(1)から(4)の順で、シリコーン油の温度上昇に伴うガス成分濃度比率の変化量が大きい((1)が最も変化量が大きい)ことが分かる。
なお、
(5)エチレンガスとエタンガスとの組み合わせ(エチレンガス/エタンガス:エタンガスに対するエチレンガスの濃度比率)、および、
(6)メタンガスとエタンガスとの組み合わせ(メタンガス/エタンガス:エタンガスに対するメタンガスの濃度比率)
については、上記(1)〜(4)の2種類のガスの組み合わせ(ガス成分比率)と比べて、シリコーン油の温度上昇に伴うガス成分濃度比の変化量が小さかった。したがって、上記(5)および(6)の2種類のガスの組み合わせ(ガス成分比率)は、シリコーン油を用いた油入電気機器の異常診断に用いるには適していないと考えられる。
以上の結果から、本発明の異常診断方法のように、上記(1)〜(4)の2種類のガスの組み合わせ(ガス成分比率)に基づいて、シリコーン油を用いた油入電気機器の異常診断を行えば、高い精度の診断が可能であると考えられる。
なお、図1の結果の元となった各ガス成分の測定値を表2に示す。
図2および図3に、図1に示されるガス成分濃度比の温度依存性に基づいて作成した診断図(過熱温度推定診断図)の例を示す。図2の診断図は、上記(1)のエチレンガス/水素ガスの濃度比率(横軸)と、上記(2)のエタンガス/水素ガスの濃度比率(縦軸)とに基づいて作成されたものである。また、図3の診断図は、上記(3)のエチレンガス/メタンガスの濃度比率(横軸)と、上記(4)のメタンガス/エタンガスの濃度比率(縦軸)とに基づいて作成されたものである。
図2および図3において、領域I(A)は、シリコーン油の温度が300℃以下の場合に発生するガス成分の濃度比に相当する領域である。また、領域II(B〜D)は、シリコーン油の温度が300℃超700℃以下の場合に発生するガス成分の濃度比に相当する領域である。
各ガス成分の濃度比が、この領域IIのうち「領域D」に入っている場合に、過熱異常等が発生していると判断することができる。領域II(領域B〜Dのいずれか)に入っている場合に異常が発生していると判断するよりも、より確実に異常が発生していると判断できる。
なお、図1に示されるように、第1の濃度比率および第2の濃度比率は、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率(エチレンガス/水素ガス)、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率(エタンガス/水素ガス)、メタンガスに対するエチレンガスの濃度比率(エチレンガス/メタンガス)、または、エタンガスに対するメタンガスの濃度比率(メタンガス/エタンガス)を異常診断の指標とすることが好ましい。これらの比率の分子と分母を逆にした比率を異常診断の指標とすることもできるが、シリコーン油の温度と反比例の関係になり、診断図の目盛りが図2および図3のままでは見づらくなったり、見やすくするためには診断図の目盛りの順序を逆にしたりする必要がある。このため、上記の図1に示されるような濃度比率を指標とすることが便利である。
より高精度な診断を行うためには、上記の好ましい濃度比率のうちでも、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率(エチレンガス/水素ガス)、または、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率(エタンガス/水素ガス)を指標として異常診断を行うことが望ましいと考えられる。
なお、これらの指標から選択される2つの指標(第1の濃度比率および第2の濃度比率)を用いて診断を行うことで、1つの指標を用いるよりも、異常が発生していると診断させた場合に実際に異常が発生している確率が高まり、診断の精度を高めることができる。
特に、図2に示されるように、第1の濃度比率および第2の濃度比率が、シリコーン油の温度上昇に伴う変化量が特に大きい2つのガス成分濃度比率(水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、および、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率)である場合に、診断の精度を高めることができると考えられる。
ただし、水素ガスは、過熱異常などの異常発生とは関係なく、例えば、絶縁油に酸化防止剤として添加されるトリアゾール誘導体(Irgamet:登録商標)、油入電気機器の内部共存材料などからも経時的に発生することがあるため、水素ガスを指標とすることが正確な診断を行う上で望ましくない場合も考えられる。このような場合には、水素ガスを指標とせず、図3に示されるように、第1の濃度比率および第2の濃度比率を、水素ガスを含まないガス成分濃度比率(メタンガスに対するエチレンガスの濃度比率、および、エタンガスに対するメタンガスの濃度比率)とすることにより、高精度な異常発生の診断を行うことができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シリコーン油、21 試験容器、22 コンサベータ、31 ヒータ、32 交流電源、41,42 温度計、5 撹拌子、6 採油用注射器。

Claims (5)

  1. 絶縁油としてシリコーン油を用いた油入電気機器の異常診断方法であって、
    前記シリコーン油中に含まれる水素ガス、メタンガス、エタンガスおよびエチレンガスからなる分析ガス群から選択される2種類のガスの濃度比率である第1の濃度比率と、前記分析ガス群から選択される別の2種類のガスの濃度比率である第2の濃度比率とに基づいて、前記油入電気機器の異常を診断し、
    前記2種類のガスの組み合わせ、および、前記別の2種類のガスの組み合わせは、エチレンガスと水素ガスとの組み合わせ、エタンガスと水素ガスとの組み合わせ、エチレンガスとメタンガスとの組み合わせ、または、メタンガスとエタンガスとの組み合わせであることを特徴とする、異常診断方法。
  2. 前記第1の濃度比率および前記第2の濃度比率は、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率、メタンガスに対するエチレンガスの濃度比率、または、エタンガスに対するメタンガスの濃度比率である、請求項1に記載の異常診断方法。
  3. 前記第1の濃度比率および前記第2の濃度比率の少なくともいずれかは、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、または、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率である、請求項2に記載の異常診断方法。
  4. 前記第1の濃度比率および前記第2の濃度比率は、水素ガスに対するエチレンガスの濃度比率、および、水素ガスに対するエタンガスの濃度比率である、請求項3に記載の異常診断方法。
  5. 第1の成分比率を横軸とし、第2の成分比率を縦軸とする診断図において、エリア分けを行い、第1の成分比率および第2の成分比率の測定値に対応するプロットが診断図のどのエリアに入るかで異常診断を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異常診断方法。
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