JPWO2016159390A1 - 生体パターン情報処理装置、生体パターン情報処理方法、およびプログラム - Google Patents

生体パターン情報処理装置、生体パターン情報処理方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

生体パターン情報処理装置は、生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得する検出結果取得部と、前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させる表示制御部とを具備する。

Description

本発明は、生体パターン情報処理装置、生体パターン情報処理方法、およびプログラムに関する。
近年、個人を識別するための認証方式の一つとして生体認証が注目されている。指紋等の生体パターンは、年月が経過しても変化しないという特徴があり、認証としての信頼性が高い。一方で、偽指等の偽生体パターンを用いて不正行為が行われる可能性もあり、そのような不正行為を阻止するための技術も開発されている。
例えば、特許文献1に記載された技術は、指の表面に透明な薄膜を付けた偽指を判別しようとする技術である。特許文献1には、撮影した画像に含まれる画素の色を用いて、画像の領域を少なくとも皮膚領域および背景領域を含む複数の領域に分類するとともに、皮膚領域および背景領域のいずれにも分類されない領域の特徴を用いて、指の周辺に異物が存在するか否かを判定する技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、指(生体パターンを有する部位)の周辺の異物を検出することが可能となる。
国際公開第2011/058836号
しかしながら、生体パターン情報を用いた認証に関する不正を防ぐためには、画素の色情報に基づいて異物(例えば、薄膜等)を検出するだけでは不充分なケースも存在する。
例えば、近年では、外科的手術や火傷等により、生体パターン(例えば、指紋)が損傷しているケースが発見されている。このような場合に、予め登録されている生体パターンが損傷していても、正しく照合できるようにすることや、あるいは少なくとも損傷があることを検知することが求められる。また、検知された損傷を、ユーザーに分かりやすく提示することが求められる。
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれた。本発明の目的の一例は、生体パターンが、損傷等により特異な領域を有する場合にも、その特異領域を検知するとともに、検知した特異領域をわかりやすくユーザーに提示することのできる生体パターン情報処理装置、生体パターン情報処理方法、およびプログラムを提供することである。
本発明の一態様による生体パターン情報処理装置は、生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得する検出結果取得部と、前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させる表示制御部とを具備する。
上記の生体パターン情報処理装置において、前記表示制御部は、前記特異領域情報に基づいて、前記特異領域の種類を表示させてもよい。
上記の生体パターン情報処理装置において、前記表示制御部は、前記特異領域の表示と、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域の表示と、前記特異領域および前記特異領域以外の前記生体パターンの領域の両方の表示と、に表示を切り替させてもよい。
上記の生体パターン情報処理装置において、前記表示制御部は、前記特異領域情報に基づいて特異領域のない生体パターン情報に修復された生体パターン情報を取得し、前記修復された生体パターン情報を表示させてもよい。
本発明の一態様による生体パターン情報処理方法は、生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得し、前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させることを含む。
上記の生体パターン情報処理方法は、前記特異領域の情報に基づいて、前記特異領域の種類を表示させることをさらに含んでもよい。
上記の生体パターン情報処理方法は、前記特異領域の表示と、前記特異領域以外の前記生体パターン領域の表示と、前記特異領域と前記特異領域以外の前記生体パターン領域との両方の表示とに、表示を切り替させることをさらに含んでもよい。
上記の生体パターン情報処理方法は、前記特異領域情報に基づいて特異領域のない生体パターン情報に修復された生体パターン情報を取得し、前記修復された生体パターン情報を表示させる、ことをさらに含んでもよい。
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピューターに、生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得し、前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させることを実行させる。
本発明によれば、生体パターンに損傷等の特異領域がある場合に、その特異領域があることをわかりやすくユーザーに提示することができる。つまり、どこに特異領域があるのかをユーザーは容易に判別可能となる。
第1実施形態による生体パターン情報処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。 第2実施形態による生体パターン情報処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。 第2実施形態による特異領域検出部の内部の概略機能構成を示すブロック図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする指紋における異常紋様の例を示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする異常隆線方向を含む指紋画像の例を示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする異常隆線方向を含む指紋画像の例を示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする異常隆線方向を含む指紋画像の例を示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする異常隆線方向を含む指紋画像の例を示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする異常隆線方向を含む指紋画像の例を示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が使用するテンプレートであって、異常隆線方向パターン(櫛型)に対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。 第2実施形態による特異領域検出部が使用するテンプレートであって、異常隆線方向パターン(ω型)に対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。 第2実施形態による特異領域検出部が使用するテンプレートであって、異常隆線方向パターン(X型)に対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする隆線破壊を含む指紋画像の例を概念的に表した概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部の内部で行う方向スムース処理を説明する図であって、方向スムース処理前の隆線方向画像データを模式的に示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部の内部で行う方向スムース処理を説明する図であって、方向スムース処理後の隆線方向画像データを模式的に示す概略図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする指紋の切り取り加工を説明するための概略図であって、切り取り加工前を示す図である。 第2実施形態による特異領域検出部が検出の対象とする指紋の切り取り加工を説明するための概略図であって、切り取り加工後を示す図である。 第3実施形態による生体パターン情報処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。 第3実施形態による特異領域検出部が検出の対象とするZ型手術について説明するための概略図であって、Z型手術を施す前の指紋画像の例を示す。 第3実施形態による特異領域検出部が検出の対象とするZ型手術について説明するための概略図であって、Z型手術を施した後の指紋画像の例を示す。 第3実施形態による修復部の内部の概略機能構成を示すブロック図である。 第3実施形態による修復部により、Z型手術指紋の画像をもとに復元処理を行う方法を示した概略図である。 第3実施形態の変形例による修復部aの概略機能構成を示すブロック図である。 第1から第3実施形態の少なくとも一つによる装置のユーザーインターフェースの例を示す概略図であって、指紋画像を取得する処理に関する。 第1から第3実施形態の少なくとも一つによる装置のユーザーインターフェースの例を示す概略図であって、取得した指紋画像中に特異領域が検出された場合の表示制御に関する。 第1から第3実施形態の少なくとも一つによる装置のユーザーインターフェースの例を示す概略図であって、取得した指紋画像中に特異領域が検出された場合の照合処理の条件の選択に関する。 第1から第3実施形態の少なくとも一つによる装置のユーザーインターフェースの例を示す概略図であって、損傷箇所(特異領域)の修復処理に関する。
次に、本発明の複数の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による生体パターン情報処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態による生体パターン情報処理装置1は、生体パターン情報取得部11と、特異領域検出結果取得部12と、表示制御部21とを含む。生体パターン情報取得部11は、以下、情報取得部11と称する場合がある。特異領域検出結果取得部12は、以下、検出結果取得部12と称する場合がある。
情報取得部11は、外部から、生体パターン情報を取得する。生体パターン情報とは、生体パターンを示す情報である。生体パターンとは、例えば、指紋(指紋全体)のパターンであってもよい。
検出結果取得部12は、情報取得部11が取得した生体パターン情報に基づいて検出された、生体パターン情報の特異領域に関する情報(特異領域情報)を取得する。
具体的には、検出結果取得部12は、情報取得部11から渡された生体パターン情報を外部の不図示の特異領域検出部に渡すことにより、特異領域の検出を依頼する。そして、この依頼に基づく特異領域検出結果の情報を検出結果取得部12は受け取る。特異領域検出のための具体的な処理の方法については、後述する。特異領域検出結果取得部が受け取る検出結果の情報は、渡された生体パターン情報における特異領域が有るかないかを示す情報と、特異領域が存在する場合にはその場所(座標等)の情報とを含む。
特異領域とは、生体の一部が損傷していることによる特異な生体パターン情報が存在する領域(損傷箇所)や、生体の表面における皺等により生体パターン情報が歪んでいる領域などである。特異領域においては、生体が元来有していたパターンと異なるパターンが存在している可能性がある。特異領域を生じさせる生体損傷の原因の例は、切り傷、擦り傷などや、火傷や、薬品(例えば、強い酸など)による焼けただれなどである。
特異領域を検出するための具体的方法については、後で、第2実施形態の中で説明する。
表示制御部21は、検出結果取得部12が取得した特異領域についての情報に基づき、特異領域に当たる領域と前記特異領域以外の領域とにそれぞれ異なる表示属性を与えて、前記生体パターン情報を表示するよう制御する。つまり、表示制御部21は、生体パターン情報内に特異領域を含むか否かを表す情報を検出結果取得部12から取得する。また、生体パターン情報内に特異領域が含まれている場合には、表示制御部21は、特異領域の範囲を表す位置情報を検出結果取得部12から取得する。表示制御部21は、制御した結果である画像等の信号を外部に出力する。この画像等の信号を用いて、外部のディスプレイ装置が画像を表示することができる。
表示属性とは、例えば、画面に表示する際の色や、点滅の有無などである。
例えば、表示制御部21は、特異領域とそれ以外の領域とを異なる色で表示するように制御する。その一例として、表示制御部21は、特異領域のみを目立つ色(例えば、赤)で表示して、特異領域以外の領域を普通の色で表示するような制御を行う。
また例えば、表示制御部21は、特異領域のみが点滅し、特異領域以外の領域は点滅しないように表示するような制御を行う。
また例えば、表示制御部21は、特異領域のみについて色を反転(RGB等の原色ごとの輝度値を反転)させて、特異領域以外の領域は反転しないように表示するような制御を行う。
また、表示制御部21が、上記の2つ以上の表示属性を組み合わせて、表示の制御を行うようにしても良い。その一例としては、表示制御部21は、特異領域のみについて特別に目立つ色を用いて、且つ点滅するように表示させる。
表示制御部21による表示制御の具体例については、後で、ユーザーインタフェースの説明においても記載する。
生体パターン情報処理装置1が扱う生体パターン情報の典型的な例は、指紋の情報である。指紋は、手や足の指の表面において隆線によって形成されるパターンである。ヒトの皮膚は、表皮と真皮とが重なって形成されている。表皮は表面側(外側)に存在し、真皮は奥側(内側)に存在する。表皮と真皮とが接する部分に乳頭層と呼ばれる層が存在する。この乳頭層付近において、真皮側に凹凸が存在しており、この凸部が隆線を形成している。隆線の凸部に沿って汗腺孔が並んでいる。この真皮側で形成される隆線のパターンは、そのまま表皮側においても見られる。このパターンが一般的に指紋と呼ばれるものである。表皮が仮に損傷しても、真皮における隆線構造が維持されている限りは、表皮が再生した際には元の真皮側の隆線構造に基づいたパターンが表皮側においても再現されることとなる。
生体パターン情報の別の例は、指紋そのものではなく、指の表面付近における毛細血管や汗腺孔の配置のパターンである。
指紋を取得するための具体的方法は次の通り様々であるが、これらの方法の中から適宜選択して実施可能である。
指紋を取得する方法の第1は、指紋を有する指の表皮をカメラ等で撮像し、その画像の情報を生体パターン情報として取得する方法である。
指紋を取得する方法の第2は、生体に接触するセンサーを用いることよって、指の表面の電気的特性の分布を生体パターン情報として取得する方法である。指の表面の電気的特性は、例えば隆線の形状や、汗腺孔の有無によって、箇所ごとに異なり、そのような特性の2次元的分布をパターン情報として取得可能である。
指紋を取得する方法の第3は、指に付けたインク等の物質を紙等の媒体に転写し、その媒体上に得られた画像を光学的スキャナー等で読み取る方法である。
指紋を取得する方法の第4は、OCT(オプティカル・コヒーレンシー・トモグラフィ,Optical Coherency Tomography)の技術を用いて指(生体)の表面のパターンを取得する方法である。OCTは、観測対象に当てて観測対象から反射される光と、参照光との間の、位相差によって生じる相互の干渉を、光の強度のパターンの画像として取得する方法である。OCTを用いる場合、光の波長を適宜変えることにより、指の表面の情報だけでなく、表面からある程度の深さ(数百マイクロメートルないしは2000マイクロメートル程度の深さ)までの生体内部のパターンの情報をも取得することができる。これにより、表面だけでなく、生体内部のパターンを、生体パターン情報として利用することも可能である。利用し得る生体内部のパターンの情報の例は、真皮における隆線のパターンや、汗腺孔の配置のパターンや、毛細血管の配置のパターン等である。OCTを用いて生体の内部のパターンの情報を取得する場合、例えば、所定の深さの断層ごとの二次元画像の情報として利用する。あるいは、それらの断層ごとの二次元画像を何枚も重ねて得られる三次元の生体パターン情報を利用することもできる。
三次元の情報を含まない場合、指紋の情報は、二次元画像として表される。また、三次元の情報から、ある層についての情報のみを抜き出した場合、その情報は二次元画像として表され得る。以下において、これらの二次元画像を「指紋画像」と呼ぶ場合がある。
以上説明したような生体パターン情報処理装置1によれば、生体パターン情報が特異領域を含む場合に、特異領域とそれ以外の領域とを区別してわかりやすく表示することができる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通の事項については説明を省略する場合があり、以下では第2実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図2は、第2実施形態による生体パターン情報処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態による生体パターン情報処理装置2は、情報取得部11と、検出結果取得部12と、照合部116と、表示制御部121とを含む。また、本実施形態においては、生体パターン情報処理装置2の外部の機能として特異領域検出部61と事前登録生体パターン情報記憶部62が存在する。これらの機能は、それぞれ独立の装置の機能として実現しても良いし、他の装置の一部分の機能として実現しても良い。また、特異領域検出部61と事前登録生体パターン情報記憶部62のいずれか一方または両方を、生体パターン情報処理装置2の内部の機能として実現しても良い。
情報取得部11は、第1実施形態におけるそれと同様の機能を有する。検出結果取得部12は、第1実施形態におけるそれと同様の機能を有する。
照合部116は、情報取得部11が取得した生体パターン情報のうち特異領域以外の領域における生体パターン情報と、事前登録生体パターン情報記憶部62に事前に登録された事前登録生体パターン情報との照合処理を行う。照合部116は、特異領域の有無や特異領域の位置(範囲)に関する情報を、検出結果取得部12から取得する。照合部116は、上記の照合処理を行う際に、位置ずれを許容する度合いである位置ずれ許容度と、不一致を許容する度合いである不一致許容度との、少なくともいずれか一方を可変とすることができる。また、検出結果取得部12が取得した情報により、特異領域が有ることが判明した場合に、照合部116が、上記許容度のいずれか一方または両方を、許容度が大きくなる方向に(つまり、多少の違いがあっても一致しているとみなす度合いが大きくなる方向に)、変えるような調整を行っても良い。
手術や怪我による損傷指紋は、手術や怪我部分(つまり、特異領域)を除く領域は元の指紋の特徴量を維持している。この部分の一致性を検証する事により、手術や怪我をする前の指紋と照合出来る可能性がある。例えば、特徴点照合においては、指紋の隣り合う特徴点(隆線の端点およびまたは分岐点)が一定距離差や一定角度差にあるかどうかをもって、同一の指紋であるかの判定を行っている。手術指紋の場合は縫合時の引っ張りによる形状変化により、この許容度を超えてしまう場合も多い。
そこで、損傷指紋と判定された指紋に対しては、照合時の指紋特徴の位置ずれ許容度や不一致許容度などを標準的な値より緩和させることにより、損傷前の本人指と照合出来る事を特徴とする装置を作ることが可能となる。
照合許容度を緩和した場合、誤って異なる人物を本人と同定してしまうリスクが増大するデメリットが存在する。しかしながら、最終的に同一人物かどうかの判定を、オペレーター等が指紋以外の顔写真等を用いて別途最終確認を行う運用環境においては、このような他人誤一致のリスクも低減する事が出来る。
照合部116による照合処理自体は、既存技術を用いて行うことができる。指紋の照合を行う処理の概略は次の通りである。照合処理のために、照合部116は、入力される指紋画像の特徴を抽出する。その特徴とは、指紋の隆線の方向や、その方向の分布に関する統計値や、隆線のつながり方や、隆線の方向特異点の種類ごとの個数や、特徴点の相互の位置関係や、複数の特徴点を結ぶ直線の向きや、それら直線が互いに成す角度などである。隆線の方向特異点とは、後で説明する真円状コアや、半円状コアや、デルタといった方向特異点である。照合部116は、複数の指紋画像についての上記のような特徴同士を、特徴空間における近さおよびまたは遠さで評価することにより、それら複数の指紋画像が同一であるか否かを判定する。一例では、照合部116は、予めデータベースに登録しておいた指紋画像と、新たに入力された指紋画像について、その特徴を比較し、両画像が一致するか否かを判定する。
このような照合処理において、前記の位置ずれ許容度とは、例えば指紋画像における特徴点の位置の誤差をどの程度許容するかという度合いを表す値である。また、前記の不一致許容度とは、比較対象の2つの指紋画像が完全には一致しないときに、特徴の不一致がどの程度まであっても一致しているとみなすかという度合いを表す値である。不一致許容度は、例えば、特徴空間において適宜定義される距離で表しても良いし、その距離に応じて与えられるペナルティの重さの度合いで表しても良い。
表示制御部121は、第1実施形態における表示制御部21と同様の機能を有する。さらに、表示制御部121は、照合部116による照合結果に応じた表示を行うよう制御する。一例として、表示制御部121は、照合部116による照合の結果、一致が見られる部分を特別な表示属性(例えば、特別な色)で表示する。
特異領域検出部61は、外部から渡された生体パターン情報を分析する処理を行い、その生体パターン情報の中に特異領域が含まれているか否かを判定する。特異領域検出部61は、判定結果として、特異領域が有るかないかを示す情報を出力する。また、特異領域検出部61は、その生体パターン情報の中に特異領域が含まれていた場合には、その位置の情報(領域の範囲を示す位置情報)を出力する。特異領域検出部61による判定処理の詳細については、後述する。
事前登録生体パターン情報記憶部62は、予め登録された生体パターン情報を記憶する。事前登録生体パターン情報記憶部62は、生体パターン情報と、その個人を識別するための識別情報とを関連付けて保持する。また、事前登録生体パターン情報記憶部62が、さらに、上記の識別情報と個人の属性情報とを関連付けて保持するようにしても良い。個人の属性情報の一例は、氏名や、登録された居住地の情報や、個人の法的ステータスに関する情報である。事前登録生体パターン情報記憶部62は、情報を記憶する手段として、例えば、磁気ハードディスク装置や、半導体メモリなどを用いる。
[特異領域検出処理の方法について]
以下において、特異領域検出部61の内部の構成と、特異領域検出処理の方法について説明する。ここで対象とする生体パターン情報は、指紋画像の情報である。
図3は、特異領域検出部61の内部の概略機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、特異領域検出部61は、共通機能群と、異常模様検出機能と、異常隆線方向検出機能と、隆線破壊検出機能と、切り取り加工検出機能とを含んでいる。共通機能群は、隆線方向検出部70と、隆線ピッチ検出部71と、隆線強度検出部72と、方向特異点検出部73とを含む。これらの機能を用いた特異領域検出部61の働きについて、以下で説明する。
特異領域検出部61は、まず、指紋画像のデータを検出結果取得部12から受け取る。
特異領域検出部61は、その共通機能群に含まれる機能を用いて受け取った指紋画像を解析する。具体的には、隆線方向検出部70が、指紋画像内の隆線方向を検出する。また、隆線ピッチ検出部71が、指紋画像内の隆線ピッチを検出する。また、隆線強度検出部72が、指紋画像内の隆線強度を検出する。また、方向特異点検出部73が指紋画像内の方向特異点(singularpoint)を検出する。特異領域検出部61が、隆線方向、隆線ピッチ、隆線強度、方向特異点のすべてではなく、いずれか一つのみを検出するようにしても良い。指紋画像から、これら隆線ピッチ、隆線強度、方向特異点を検出する処理自体は、一般的な指紋認証技術における特徴抽出処理であり、既存技術を用いて行うことができる。
隆線方向とは、隆線が向く方向である。隆線ピッチとは、並行する隆線同士の幅(ある隆線から並行隣接する他の隆線までの距離)である。隆線強度とは、画像から得られる情報として隆線らしさを表す度合いである。方向特異点とは、指紋画像中において、隆線方向が不連続となる部分である。
特異領域検出部61は、最初にガボールフィルター(Gabor filter)を用いて、受け取った指紋画像から、隆線方向、隆線ピッチ、隆線強度を抽出する。具体的には、特異領域検出部61は、指紋画像に含まれる各画素について、方向およびピッチを段階的に変えたガボールフィルターを適用し、それら適用したガボールフィルターの中で最も高い絶対値が得られるフィルターの方向およびピッチを、その画素における隆線の方向およびピッチとみなす。また、特異領域検出部61は、そのときのフィルター適用値の絶対値を、隆線強度として抽出する。
また、特異領域検出部61は、指紋画像における方向特異点を検出する。方向特異点には、デルタと呼ばれる方向形状と、コアと呼ばれる方向形状とが存在する。このうち、コアについては、さらに、真円状のコアと半円状のコアに分類することができる。真円状のコアとは、方向特異点の周囲で隆線が360度回転するコアである。半円状のコアとは、方向特異点の周囲で隆線が180度回転するコアである。方向特異点を検出する方法としては、特異領域検出部61は、既存技術を用いる。一例として、文献[Asker Michel Bazen,”Fingerprint identification:Feature Extraction,Matching,and Database Search”,Twente University Press,2002年]にも、方向特異点を検出する方法が記載されている。特異領域検出部61は、指ごとに、検出した真円状コアと半円状コアとデルタのそれぞれの個数と、またそれら各々の方向特異点の位置(座標)とを、後段での処理のために記憶しておく。また、特異領域検出部61は、方向特異点におけるパターンの方向(例えば、半円状のコアの場合、隆線が開いている側が指の上側か下側か)を検知して、その情報を後段での処理のために記憶しておく。
特異領域検出部61は、上述した既存技術の例に加えて、さらに、他の方式を用いるようにしても良い。特異領域検出部61は、精度向上のために、隆線方向や隆線ピッチ等の抽出誤りを修正するための別の手段を併用するようにしても良い。
次に、特異領域検出部61は、指紋画像における4種類の特異領域を検知するための処理を行う。その4種類とは、(1)異常模様、(2)異常隆線方向、(3)隆線破壊、(4)切り取り加工である。これら4種類の異常を有する指紋の特徴と、その検出方法について、以下に説明する。
((1)異常模様検出)
特異領域検出部61は、異常模様を検出するための機能として、異常模様検出部74を備えている。異常模様検出部74は、上で検出した方向特異点(デルタ、半円状コア、真円状コア)の個数や位置関係に基づいて、異常模様を検出する。正常な指紋画像は、隆線方向のパターンから、4種類の紋様パターンに分類される。その4種類とは、弓状紋、蹄状紋、渦状紋、変体紋である。そして、これらの紋様パターンごとに、方向特異点の個数や位置関係が定まっている。
具体的には、弓状紋においては、コアの個数は0個であり、デルタの個数も0個である。つまり、隆線のカーブは滑らかである。蹄状紋においては、半円状コアの個数は1個であり、デルタの個数は1個以下である。渦状紋においては、円状コアの個数が1個であってデルタの個数が2個以下であるか、または、半円状コアの個数が2個であってデルタの個数が2個以下であるかのいずれかである。変体紋においては、半円状コアの個数が3個であってデルタの個数が3個以下であるか、または、円状コアが1個で半円状コアが1個で且つデルタの個数が3個以下であるかのいずれかである。正常な指紋画像の場合には方向特異点の位置関係にも所定の制約がある。
正常な指紋画像は上記のパターンを有する。異常模様検出部74は、正常な指紋画像には現れ得ない、異常なパターンの画像を、異常紋様として検出する。具体的には、特異領域検出部61は、下記の(A)〜(F)のいずれかの条件に合う場合に、その指紋画像を異常紋様として検知する。
条件(A):円状のコアが2個以上存在する場合
条件(B):半円状のコアが4個以上存在する場合
条件(C):半円状のコアが2個以上存在し、且つ円状のコアが1個以上存在する場合
条件(D):デルタが4個以上存在する場合
条件(E):コアより上部(指先に近い側)にデルタが存在する場合
条件(F):上側が半円状のコアが2個以上存在する場合
つまり、特異領域検出部61は、指紋画像に含まれる隆線の方向特異点を検出し、方向特異点の種類ごとの個数の条件、または方向特異点の種類間の位置関係の条件に基づいて、特異領域を検出する。
指紋においてこれらのような異常紋様が検出される原因の一つは、指に施される外科的処置である。
図4A〜4Cは、指紋における異常紋様の例を示す。図A〜4Cにおいて、丸印で示している箇所は、円状のコアである。また、三角印で示している箇所は、デルタである。図4Aに示す指紋画像の例は、2個の円状コアと、4個のデルタを有している。つまり、この指紋画像は、上記(A)および(D)の条件に該当し、異常紋様を有すると異常模様検出部74によって判定される。図4Bに示す指紋画像の例は、2個の円状コアと4個のデルタを有している。また、図4Bの例においては、2個の円状コアよりも上にデルタが存在している。つまり、この指紋画像は、上記(A)、(D)、および(E)の条件に該当し、異常紋様を有すると異常模様検出部74によって判定される。図4Cに示す指紋画像の例は、2個の円状コアを有している。つまり、この指紋画像は、上記(A)の条件に該当し、異常紋様を有すると異常模様検出部74によって判定される。
異常模様検出部74は、異常な紋様を検知した場合には、その異常の種類(上の(A)から(F)までの条件いずれか)と、その異常に関する方向特異点の位置や種類を出力する。
また、異常模様検出部74は、異常な紋様を検知しなかった場合には、その旨の情報を出力する。
((2)異常隆線方向検出)
特異領域検出部61は、隆線方向の異常なパターンを検出する。異常な隆線方向にもいくつかのパターンがある。典型的な3種類のパターンを、便宜上、櫛型方向パターン、ω型方向パターン、X型方向パターンと呼ぶ。本実施形態では、特異領域検出部61は、櫛型方向パターン、ω型方向パターン、X型方向パターンの、3種類の異常隆線方向を検出する。このような異常な隆線方向のパターンは、指紋表皮の移植手術等を行った場合に、移植した表皮の箇所の境界部分において見られる可能性があることを示す。これらのパターンは、正常な指紋画像では見られない。
図5A〜5Cは、異常隆線方向を含む指紋画像の例を示す。
図5Aは、櫛型方向パターンと呼ばれる異常隆線方向を有する指紋画像の例である。この櫛型の異常隆線方向は、指紋表皮をメスにより切り取り、位置を変えて張り替えるような手術を行った場合に、移植した表皮の境界付近に発生しやすい隆線方向のパターンである。
図5Bは、ω型方向パターンと呼ばれる異常隆線方向を有する指紋画像の例である。このω型の異常隆線方向もまた、指紋表皮をメスにより切り取り、位置を変えて張り替えるような手術を行った場合に、移植した表皮の境界付近に発生しやすい隆線方向パターンである。また、ω型方向パターンは、指紋のアーチ状の部分に刃物等で深い傷を付けてしまった場合にも発生しやすいパターンである。
図5Cは、X型方向パターンと呼ばれる異常隆線方向を有する指紋画像の例である。このX型の異常隆線方向は、皮膚を手術糸等できつく縛った場合に、その縫合部分に発生しやすい隆線方向パターンである。
図6A〜6Cは、異常隆線方向パターンのそれぞれ(櫛型、ω型、X型)に対応するテンプレートを模式的に示した概念図である。
図6Aは、指紋画像における櫛型方向パターンに対応する。
図6Bは、指紋画像におけるω型方向パターンに対応する。
図6Cは、指紋画像におけるX型方向パターンに対応する。
特異領域検出部61は、上記の各異常方向パターンに対応して、櫛型方向パターン検知部75と、ω型方向パターン検知部76と、X型方向パターン検知部77とを内部に備えている。特異領域検出部61は、前述の方法で既に検出している、隆線方向の情報と、隆線強度の情報を用いて、これら各々の異常方向パターンの検出のための処理を行う。
以下に、各々の異常方向パターンの検出のための処理方法を説明する。
櫛型方向パターン検知部75は、与えられた指紋画像に基づいて予め検出した隆線方向および隆線強度のデータを入力として、その指紋画像の櫛型方向パターンらしさを表す度合を算出し、出力する。
具体的には、櫛型方向パターン検知部75は、予め内部のメモリ内に、図6Aに示したような方向パターンを表す櫛型テンプレートデータを保持しておく。その櫛型テンプレートデータとは、櫛型方向パターンを有する指紋画像を基に得られたデータであり、極座標に対応した2次元の配列に格納される。2次元配列である櫛型テンプレートデータTk(i,j)の第1の指標である「i」は、テンプレートデータの中心の周りの変位角に対応する。「i=1,2,・・・,M」である。この「i」は、指紋画像の中心からの全方向である360度を、(360/M)度ずつに刻んだときの、各方向に対応する指標値である。xy直交座標系のx軸の正の方向を0度とし、反時計回りの方向が変位角の正方向である。また、第2の指標である「j」は、指紋画像の中心からの距離に対応する。「j=1,2,・・・,N」である。この「j」は、テンプレートの中心部からの距離に対応する指標値である。そして、Tk(i,j)の各要素の値は、この極座標で表される部分(小領域)における隆線方向を表す2次元ベクトル(単位ベクトル)値である。
櫛型方向パターン検知部75は、与えられた指紋画像中の任意の画素位置(x,y)に対して、テンプレートの回転角度である「t」を変えながら、テンプレート方向Tk(k,t)と画像の円形内の隆線方向の方向ベクトルの内積の和の最大値を計算する。その最大値は、下の式によるEk(x,y)で表される。
Figure 2016159390
上の式(1)において、Id(x,y)は、指紋画像の座標(x,y)における隆線方向を表す単位ベクトルである。Tk(t,i)は、櫛型テンプレート(回転角がt)のi番目の方向である。dx(i)は、テンプレート内のi番目の要素のx座標変位である。dy(i)は、テンプレート内のi番目の要素のy座標変位である。
つまり、この式(1)によって計算されるEk(x,y)の値は、指紋画像の座標(x,y)において、テンプレートを360度回転させたときに、指紋画像とテンプレートとの相関が最も大きくなるとき(tがそのような角度に対応するとき)のその相関値である。
また、このとき、隆線方向(変位角)は、X軸の正方向を0度とし、反時計回りに180度までの範囲の数値として表現する。ただし、実質的には0度方向と180度方向とを同一の方向とみなす必要があるため、X軸正方向(0度の方向)とのなす角が2倍になるように方向ベクトルの角度を変換した上で内積をとることとする。
上に示した式(1)で計算されたEk(x,y)の値は、指紋画像とテンプレートとの方向一致性を表す指標となる。そして、さらに、櫛型方向パターン検知部75は、隆線強度を乗じた櫛型評価値Wk(x,y)を計算する。隆線強度は、指紋らしさを表す。
Figure 2016159390
上の式において、Cは適宜設定される閾値である。つまり、閾値Cは、Ek(x,y)の値がC以下である部分を、ノイズとみなして除去する作用を有する。Is(x,y)は、座標(x,y)を中心とし、テンプレートと同一半径内における隆線強度の平均値である。
つまり、評価値Wk(x,y)は、Ek(x,y)の値から閾値Cを引いて(その結果が負になる場合には、0とする)、さらに座標(x.y)の近傍での隆線強度を乗じた値である。
櫛型方向パターン検知部75は、算出されたこのWk(x,y)の値を、櫛型異常度として出力する。この櫛型異常度は、櫛型方向パターンらしさを表す度合である。
ω型方向パターン検知部76は、予め内部のメモリ内に、図6Bに示したような方向パターンを表すω型テンプレートデータを保持しておく。ω型テンプレートデータのデータ構造自体は、櫛型テンプレートデータのそれと同様である。ω型テンプレートデータは、隆線方向を表すテンプレートデータであり、実際のω型方向パターンを有する指紋画像を基に予め作成される。ω型方向パターン検知部76は、上述した櫛型方向パターン検知部75の計算手順と同様の手順を用いて、与えられた指紋画像と上記ω型テンプレートデータとに基づき、ω型異常度Wo(x,y)を算出する。
X型方向パターン検知部77は、予め内部のメモリ内に、図6Cに示したような方向パターンを表すX型テンプレートデータを保持しておく。X型テンプレートデータのデータ構造自体は、櫛型テンプレートデータのそれと同様である。X型テンプレートデータは、隆線方向を表すテンプレートデータであり、実際のX型方向パターンを有する指紋画像を基に予め作成される。X型方向パターン検知部77は、上述した櫛型方向パターン検知部75の計算手順と同様の手順を用いて、与えられた指紋画像と上記X型テンプレートデータとに基づき、X型異常度Wx(x,y)を算出する。
特異領域検出部61は、櫛型方向パターン検知部75が出力する櫛型異常度Wk(x,y)と、ω型方向パターン検知部76が出力するω型異常度Wo(x,y)と、X型方向パターン検知部77が出力するX型異常度Wx(x,y)のそれぞれの最大値が、所定の閾値を超えるか否かにより、異常隆線方向指紋であるかどうかを判定する。その値が閾値を超える場合には、特異領域検出部61は、指紋画像が異常隆線方向指紋である(即ち、櫛型方向パターン、ω型方向パターン、またはX型方向パターンである)と判定する。それ以外の場合には異常隆線方向指紋ではないと判定する。
別法として、特異領域検出部61は、櫛型方向パターン検知部75が出力する櫛型異常度Wk(x,y)と、ω型方向パターン検知部76が出力するω型異常度Wo(x,y)と、X型方向パターン検知部77が出力するX型異常度Wx(x,y)の各最大値の和が所定の閾値を超えるか否かにより、異常隆線方向指紋であるかどうかを判定してもよい。その値が閾値を超える場合には、特異領域検出部61は、指紋画像が異常隆線方向指紋であると判定する。特異領域検出部61は、それ以外の場合には異常隆線方向指紋ではないと判定する。
つまり、特異領域検出部61は、指紋画像に含まれる部分ごとの隆線方向情報を取得する。また、特異領域検出部61は、隆線方向情報と予め保持する異常隆線方向パターン(櫛型方向パターン、ω型方向パターン、X型方向パターンなど)のテンプレートとの相関に基づいて隆線方向情報が異常隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を求める。さらに、特異領域検出部61は、その評価値が所定の閾値以上である場合にその隆線方向情報に対応する部分を特異領域として検出する。
特異領域検出部61は、異常隆線方向指紋であると判定した場合には、その特異領域の位置の情報を出力する。
実際の指紋データベースに基づいて、上記の各表価値(櫛型異常度、ω型異常度、およびX型異常度)の確率分布で重み付けを行うようにしても良い。これにより、特異領域検出部61による判定精度をさらに高めることができる。
本実施形態では、特異領域検出部61は、櫛型方向パターン検知部75とω型方向パターン検知部76とX型方向パターン検知部77とを内部に備えて、それぞれに対応した異常隆線方向を検出しているが、このような構成に限定されない。これらのうちの一部を省略した構成としても良い。
逆に、その他の方向パターンのテンプレートを備えて、これら3種以外の異常隆線方向を検出するようにしても良い。一例としては、櫛型、ω型、X型の隆線角度を少し変化させたパターンを検出できるような構成としたり、テンプレートの半径を変えたことによる数種類のパターンを検出できるような構成としたりすることも可能である。
前述の、「(1)異常模様検出」として記した、方向特異点の個数や、方向特異点間の位置関係に基づいて特異領域を検出する方法は、指紋全体の鮮明な画像が取れている場合には有効な手法である。それに対して、テンプレートに基づく評価値を用いる本方法((2)異常隆線方向検出)は、指紋のごく一部分のみの画像しか取れていない場合にも特定形状の異常指紋の検知が可能となるという利点がある。
((3)隆線破壊検出)
特異領域検出部61は、また、指紋における隆線の破壊を検出する機能を有する。具体的には、特異領域検出部61は、隆線破壊検出部78を内部に備えている。そして、特異領域検出部61は、前述の方法で既に検出している、隆線方向の情報と、隆線強度の情報を用いて、これら各々の異常方向パターンの検出のための処理を行う。
図7は、隆線破壊を含む指紋画像を概念的に表した例である。図7に示す指紋画像例においては、本来は連続していた隆線の一部が不連続となり、その部分にぶつぶつの模様が存在している。図7中において、楕円形の枠で示している部分が、隆線破壊を含む部分である。このような隆線破壊は、火傷や化学薬品による損傷で生じ得る。
隆線破壊検出部78は、前述の方法で取得した隆線方向画像のデータを取得する。この隆線方向画像のデータは、各画素における隆線方向のデータを含む。そして、隆線破壊検出部78は、広い面積で方向スムース処理を実行する。この方向スムース処理は、ノイズ等の理由によって誤検出された隆線方向を含む指紋画像内の部分を、正しい隆線方向に修正する処理である。方向スムース処理自体は、隆線方向画像データの画素値に対する統計的な処理により実現できる。方向スムース処理は、例えば、一定範囲内の領域の方向成分の最頻値を取ったり、一定範囲内の領域の方向ベクトルの平均を取ったりする処理である。
図8および図9は、上記の方向スムース処理の実例を示すための概略図である。図8は、例えば図7の指紋画像の例について得られた隆線方向画像データである。図7において隆線が破壊されている部分に関して隆線方向は不定な状態である。そのような部分についての隆線方向画像データは、ノイズの影響を受けやすい。これは、検出される隆線の方向が安定しないためである。したがって、図8における中央部分において、隆線方向は一定せずランダムである。図9は、上記の図8の隆線方向画像に対して方向スムース処理を行った結果の画像である。隆線破壊検出部78が広い面積で方向スムース処理を行うことにより、図9に示される滑らかに変化する方向画像を得ることができる。
そして、隆線破壊検出部78は、方向画像内の部分ごとに、初期隆線方向とスムース後の隆線方向との間の角度差を求める。角度(方向)が所定量以上変化している場合、即ち上記角度差の絶対値が所定量以上である場合、隆線破壊検出部78は、この部分を隆線破壊候補領域として抽出する。火傷や薬品による隆線破壊痕以外の部分が隆線破壊候補領域として抽出される場合がある。例えば、年配者などの皺や傷の部分がこれにあたる。このような皺や傷の部分は、火傷や薬品の痕の部分とは異なり、細い線状の形状を持っている。そこで、隆線破壊検出部78は、上で抽出した隆線破壊候補領域に対し、膨張収縮と呼ばれる画像処理を繰り返し実施し、このような線状(あるいは点状)の微細痕跡の除去を行う。
そして隆線破壊検出部78は、最後に、この隆線破壊候補領域に対して、前述の処理により既に得られている隆線強度の総和を計算する事により、隆線破壊検知のための評価値を求め、出力する。そして、特異領域検出部61は、隆線破壊検出部78が出力した隆線破壊の評価値が所定の閾値以上である場合、隆線破壊痕が存在する指紋と判定する。その他の場合には、特異領域検出部61は、その指紋を、隆線破壊痕がない指紋であると判定する。
つまり、特異領域検出部61は、指紋画像に含まれる部分ごとの隆線方向情報を取得する。また、特異領域検出部61は、隆線方向情報の部分ごとにその部分の周辺の部分の隆線方向情報に基づいた方向スムース処理を行うことによってスムース化隆線方向情報を得る。さらに、特異領域検出部61は、隆線方向情報とスムース化隆線方向情報との間の差(の絶対値)が所定の閾値より大きい場合に、その部分に対応する領域を前記特異領域として検出する。
特異領域検出部61は、隆線破壊痕がある指紋であると判定した場合には、その特異領域の位置の情報を出力する。
隆線破壊の中には、火傷や薬品によるケースだけではなく、長年の経年劣化や手を酷使する肉体労働に従事したことによる隆線破壊のケースも存在する。そのような自然な破壊の場合には、特定の部分だけではなく、指紋の隆線全体が破壊される。そのような隆線全体の自然破壊と火傷や薬品による部分破壊(意図的な破壊を含む)とを区別するため、特異傾域検出部61が隆線破壊候補領域以外の指紋部分が高品質な隆線の画像を有するかどうかを判定するようにしても良い。これにより、特定の条件による隆線破壊のみを検出することもできるようになる。
特異領域検出部61が、隆線破壊痕が指紋中心部に存在するか否かをあわせて判定するようにしても良い。指紋中心部は、指紋照合の判定に大きな影響を及ぼす部分であるため、意図的に隆線破壊が行われる場合もある。これにより、特定の箇所の隆線破壊のみを検出することもできるようになる。
((4)切り取り加工検出)
特異領域検出部61は、また、指紋の切り取り加工を検出する機能を有する。具体的には、特異領域検出部61は、切り取り加工検出部79を備えている。切り取り加工検出部79は、次に説明するように、隆線ピッチ(隆線の間隔)の変化に基づいて、入力された指紋画像に関して、切り取り加工の有無を判定する。これは、手術等により切り取り加工された指紋の場合、手術痕周辺の皮膚をひっぱりながら縫合するため、隆線のうちの特定部位のピッチ、また特定方向の隆線のピッチが局所的に変化する場合があるためである。
図10および図11は、指紋の切り取り加工を説明するための概略図である。図10は、切り取り加工前の指紋画像の例を示している。また、図11は、図10に示した指紋に関して切り取り加工した後の指紋画像の例を示している。手術による切り取り加工の一例は、図10の指紋の中央のひし形で示す部分にメスを入れ、内部の表皮を切り取り、横方向に、つまり切り取った前記ひし形を閉じるように左右方向に皮膚を引っ張りながら元のひし形の中央部で縫合する方法である。
この図11のような指紋に変形させる切り取り加工手術を実施した場合、図11の左側にあたる、切り取り方向と垂直な方向の隆線(つまり本例では、左右方向に走る隆線。図11内で「A」で指し示す部分。)は、引っ張りによって隆線ピッチは変化しない。一方で、図11の右側にあたる、切り取り方向と平行方向の隆線(つまり本例では、上下方向に走る隆線。図11内で「B」で指し示す部分。)は隆線ピッチが本来のピッチよりも広がるという特徴が観測される。
切り取り加工検出部79による検出処理の方法は次の通りである。
切り取り加工検出部79は、最初に、切り取り加工が施された傷位置の検出を行う。具体的には、画像中の任意の画素から任意の角度で一定長の線分を生成し、その線分上の両側の線分から一定距離範囲(1〜16画素分)の画像部分の、隆線の方向差および隆線のピッチ差を加算していく。その加算値が最大となる座標(x,y)と角度(t)を、傷位置の候補とする。
次に、切り取り加工検出部79は、傷の両側の所定のサイズの長方形の領域(それぞれ、領域R1および領域R2)に対し、2種類の切り取り加工評価値を計算する。第1の評価値Wc1は、傷と同方向の隆線ピッチが広がっているかどうかを見るための指標である。第2の評価値Wc2は、傷の両側で隆線ピッチが異なっているかどうかを見るための指標である。切り取り加工検出部79は、下の各式により、Wc1およびWc2を計算する。
Figure 2016159390
Figure 2016159390
即ち、評価値Wc1は、領域R1とR2のそれぞれに関して、領域内の隆線方向が「t」と一致している度合いと、領域内の隆線ピッチが指紋全体の隆線ピッチよりも広い度合(指紋全体の隆線ピッチよりも狭い場合は0とする)と、領域内の隆線強度との積を求めたときの、その値が大きいほう(領域R1に関する値または領域R2に関する値)の値である。
また、評価値Wc2は、領域R1とR2における隆線ピッチの差が大きい度合と、隆線強度(領域R1とR2のうちの小さいほうの強度)との積である。
上の式におけるにおける平均方向は、隆線方向検出部70が生成する方向データに関して、隆線強度検出部72が生成する隆線強度による重み付けを用いて加重平均を取ることにより算出される。上の式におけるにおける平均ピッチは、隆線ピッチ検出部71が生成するピッチデータに関して、隆線強度検出部72が生成する隆線強度による重み付けを用いて加重平均を取ることにより算出される。
切り取り加工検出部79が算出する評価値Wc1およびWc2による判定は、傷位置が正しく検出された場合に有効である。しかしながら、指紋によっては、切り取り加工の箇所が不鮮明で、傷位置が明確にはわからないケースも存在する。このようなケースに対応するため、切り取り加工検出部79が検出された傷位置を利用せず、指紋全体で不自然な広ピッチ部分が存在するかどうかを検知する方法を併用する。そのため、以下の評価値Wc3およびWc4を指標として使用する。評価値Wc3は、異常な広ピッチ部分が存在するかどうかを見るための指標である。評価値Wc4は、特定方向のピッチが広がっているかどうかを見るための指標である。切り取り加工検出部79は、下の各式により、Wc3およびWc4を計算する。
Figure 2016159390
Figure 2016159390
Wc4の式において、Dmは、平均ピッチが最大となる方向である。
即ち、評価値Wc3は、指紋全体の中で隆線ピッチが広い箇所(指紋全体の平均の1.5倍のピッチを基準においている)の比率を表し、且つ、隆線強度を加味した比率の値である。
評価値Wc4は、指紋全体の中で特定の隆線の方向(平均ピッチが最大となる方向)におけるピッチの広さの比率を表し、且つ、隆線強度を加味した比率の値である。
最後に、切り取り加工検出部79は、以上説明した4種類の評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4を出力する。そして、特異領域検出部61は、これらの評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4のそれぞれの値が所定の閾値以上であるか否かにより、指紋画像に切り取り加工が含まれているかどうかを判定する。また、特異領域検出部61は、これらの評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4のそれぞれに予め定めた重みを掛けて、加重平均(重み付き平均)を求め、その加重平均値が所定の閾値以上であるか否かにより、指紋画像に切り取り加工が含まれているかどうかを判定するようにしても良い。
つまり、特異領域検出部61は、指紋画像に含まれる部分ごとの隆線方向情報および隆線ピッチ情報を取得する。また、特異領域検出部61は、隆線方向情報および隆線ピッチ情報に基づいて、指紋画像内において隣接する領域間での隆線方向の差と隆線ピッチの差とが大きいほど大きな値となる評価値を求める。さらに、特異領域検出部61は、評価値が所定の閾値より大きい場合に、隣接する領域が切り取り加工による特異領域であるとして検出する。
特異領域検出部61は、切り取り加工がある指紋であると判定した場合には、その特異領域の位置の情報を出力する。
一般的に、正常な指紋において、指紋下部の末節付近の水平方向(指の短手方向)の隆線のピッチは、他の部位における隆線ピッチよりも広くなる傾向が見られる事が知られている。これに基づき、上述した処理において、指紋の下部であって隆線が水平方向となる領域を、上記の評価値Wc1、Wc2、Wc3、Wc4の計算から除外するようにしても良い。切り取り加工検出部79がこのように評価値を計算することにより、判定精度をより一層高めることが可能となる。
指紋を採取される者が本人認証を望まないようなケースでは、意図的に指紋を捻りながら押捺する場合も存在する。このような場合においても、捻りによる引っ張りにより、指紋の特定領域および特定方向のピッチが広がる傾向が見られる。傷位置を用いない評価値Wc3、Wc4は、捻り等の作用が加えられた、認証に適さない状態で押捺された指紋を検出する目的においても使用することができる。
この第2実施形態の構成により、生体パターン情報処理装置2は、検出結果取得部12が取得した情報に基づき、特異領域の有無に応じた照合処理を行うことが可能となる。また、特異領域の位置に応じた照合処理を行うことが可能となる。
[変形例]
第2実施形態の変形例として、表示制御部121が、受け取った特異領域の情報に基づいて、特異領域の種類を表示するよう制御する。特異領域の種類とは、例えば、上で述べた指紋の異常模様、異常隆線方向、隆線破壊、切り取り加工などといった異常の種類である。具体的には、本変形例による表示制御部121は、指紋画像を表示する領域の近傍において、損傷痕の種類の情報(パターン情報)を付加情報として表示する。一例としては、表示制御部121は、指紋画像内において検出された特異領域の箇所に吹き出し矢印を表示し、その吹き出しの中に損傷痕の種類を示す文字を表示する。また、他の例では、表示制御部121は、指紋画像内において検出された特異領域の箇所に損傷痕の種類を示すマークあるいはアイコン等を表示する。
この変形例のように構成することにより、ユーザーが、実際の指紋を目視で確認する際にどういうパターンの特異領域であるかを知ることができる。したがって、ユーザーに誤認が生じにくい。
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。前述の実施形態と共通の事項については説明を省略する場合があり、以下では本実施形態に特有の事項を中心に説明する。
図12は、第3実施形態による生体パターン情報処理装置の概略機能構成を示すブロック図である。図12に示すように、第3実施形態による生体パターン情報処理装置3は、情報取得部11と、検出結果取得部12と、修復部214と、照合部116と、表示制御部121とを含む。
情報取得部11、検出結果取得部12、照合部116、表示制御部121のそれぞれは、第1および第2実施形態における各機能と同様の機能を有する。第3実施形態による生体パターン情報処理装置3の特徴は、修復部214を備えている点である。
修復部214は、情報取得部11が取得した生体パターン情報のうち特異領域に含まれる生体パターン情報について、その特異領域で生じた生体パターン情報の損傷を修復する。
そして、本実施形態における照合部116は、修復部214によって修復された生体パターン情報については、特異領域以外の領域であるとみなして、照合処理を行う。
次に、修復部214による処理の詳細について説明する。修復部214は、「Z型手術」と呼ばれる手術によって生じた特異領域の指紋を修復する処理を行う。Z型手術とは、指紋表皮にZ字状にメスを入れ、そのZ状の切断によって生じた2つの三角形部分の皮膚を入れ替えた上で再び縫合する手術である。このような手術が行われた場合、指紋特徴量の位置的変化が起こるため、そのままでは手術前の指紋との照合が困難ないしは不可能となる。
図13および図14は、Z型手術について説明するための、指紋画像の例を示す概略図である。図13は、Z型手術を施す前の画像を示している。また、図14は、Z型手術を施した後の画像を示している。上述したような、Z状の切開によって生じる2つの三角形の皮膚を入れ替えて縫合したことにより、図14に示す指紋画像は、通常ではあり得ないパターンを有する。
図14に示す指紋画像は、異常な指紋である。修復部214は、Z型手術によって生じた図14に示すような指紋画像を修復し、即ち画像を加工する処理を行い、元の(手術前の)図13に指紋画像に戻すための処理を行う。
図15は、修復部214の内部の概略機能構成を示すブロック図である。図15に示すように、修復部214は、損傷部位検出部91と、Z型手術指紋復元部92とを内部に含む。
以下、修復部214による処理の方法について説明する。
損傷部位検出部91は、指紋画像から手術が施された痕跡の部分を検知し、その異常度を画像として表した異常度画像を出力する。一例として、異常度画像は、異常度を画像における濃淡で表す。
損傷部位検出部91は、異常度として、前述の特異領域検出部61が算出する櫛型評価値Wk(x,y)や、ω型評価値Wo(x,y)や、X型評価値Wx(x,y)のいずれかを用いる。損傷部位検出部91は、特異領域検出部61からこれら各種の評価値を受け取るようにしても良いし、損傷部位検出部91自身が同様の方法によりこれら各種の評価値を算出するようにしても良い。また、損傷部位検出部91は、その他の評価値(例えば、既に述べた、方向変化やピッチ変化の度合を表す値)を異常度として用いても良い。損傷部位検出部91は、これらの各種評価値にそれぞれ重みを付けて平均をとった加重平均値を異常度として用いても良い。そして、損傷部位検出部91は、ここに述べた異常度のいずれかを用いた異常度画像を作成する。
Z型手術指紋復元部92は、指紋画像と、上記損傷部位検出部91によって作成された異常度画像の2つの画像を入力とし、加工後の指紋復元画像を出力とする。
具体的には、最初にZ型手術指紋復元部92は、異常度画像に対してハフ変換を適用する。このハフ変換により、Z型手術指紋復元部92は、異常度画像中の直線成分を検出する。そして、Z型手術指紋復元部92は、異常度の高い部分(異常度の濃淡画像として表されている場合には濃い部分)が直線状に並んでいる3本の直線成分(第1候補から第3候補まで)を検出する。これら第1候補から第3候補までの3本の直線成分が指紋上で「Z」字状の形状をなす場合、Z型手術指紋復元部92は、その指紋がZ型加工されていると判定する。
Z型手術指紋復元部92は、第1候補から第3候補までの3本の直線成分が「Z」字状の形状をなすか否かについて判定するため、下記の条件(1)から条件(3)までを用いる。「Z」字状であると判定されるための条件は、下記の条件(1)から条件(3)までがすべて成り立つことである。ただし、条件(1)から条件(3)では、第1候補から第3候補である3本の直線成分を、直線(線分)A,B,Cと表す。
条件(1):互いの向き(角度)が最も近い2本の直線A,Bが並行に近い。具体的には、直線Aと直線Bの向きの差が15度以内であって、且つ、直線AとBとが画像範囲内において交差しない。
条件(2):A,B以外の直線Cが、画像範囲内において、直線AおよびBのそれぞれと、向き(角度)の差が20度以上且つ60度以下で交わる。
条件(3):直線(線分)A,B,C上の異常度画像の画素値の平均値が、各線分とも(3本とも)、所定の閾値以上である。
図16は、Z型手術指紋の復元の方法を説明するための概略図である。入力された指紋画像がZ型手術による指紋であると判定された場合、Z型手術指紋復元部92は、以下に述べる方法(過程(1)から過程(6)まで)により、手術前の画像を復元し、得られた手術前画像を出力する。図16上では、上記の判定の際に検出した異常値画像内の直線成分の3本の候補(直線A,B,C)を示している。また図16は、下記の復元手順において用いる点D,E,F,Gを示している。
過程(1):直線Aと直線Cの交点をDとし、直線Cと直線Bの交点をEとする。
過程(2):上記交点Eから直線A上におろした垂線の足(その垂線と直線Aとの交点)を点Fとする。
過程(3):上記交点Dから直線B上におろした垂線の足(その垂線と直線Bとの交点)を点Gとする。
過程(4):入力画像のうち三角形FDE(第1多角形)に囲まれる部分を、出力画像の三角形FGE上に、アフィン変換により複写する。
過程(5):入力画像のうち三角形DEG(第2多角形)に囲まれる部分を、出力画像の三角形DFG上に、アフィン変換により複写する。
過程(6):上記の過程(4)および(5)で複写した部分以外の領域は、入力画像から出力画像にそのまま複写する。
つまり、修復部214は、指紋画像に含まれる部分ごとの隆線方向情報と、予め保持する異常隆線方向パターンのテンプレートとの相関に基づいて隆線方向情報が異常隆線方向パターンを有する度合いを表す評価値を前記部分ごとに求め、指紋画像内における評価値の直線成分を抽出する。また、修復部214は、それら直線成分に基づいて定まる第1多角形および第2多角形に含まれる指紋画像を相互に入れ替える(ただし、入れ替え先の多角形の形状が元の多角形の形状と異なる場合には、適宜、アフィン変換等により形状を調整する)ことにより損傷を修復する。
上記の手法において用いた点FおよびGは、必ずしも実際の手術における切り取り部分と完全に一致する保証はないが、上記過程(4)および(5)でそれぞれ用いた2つの三角形FGE上および三角形DFG上の指紋画像の特徴量は、手術前の指紋の位置に近づくことが期待できる。つまり、修復部214のこの修復処理により、照合部116における事前登録生体パターン情報との照合が成功する可能性が高まる。
また、修復部214は、加工部分が鮮明な手術指紋を扱う場合においては、変形部分の線分DFと線分DEの境界で画像マッチング(隆線同士のマッチング)を行う事により、加工の起点となる点Fの座標位置を補正するようにしても良い。同様に、変形部分の線分EGと線分EDの境界で画像マッチングを行う事により、加工の起点となる点Gの座標位置を補正してもよい。
[修復部の変形例1]
修復部214の処理を、次のような変形例で実施しても良い。
前述の切り取り加工検出部79によって計算される評価値Wc1およびWc2に基づいて、入力される指紋画像が切り取り加工損傷を含むものであると判定された場合について説明する。この場合、修復部214は、検出された傷の広ピッチ側のサイドで、広ピッチとなっている矩形領域を検出し、その領域幅と矩形内ピッチ変化差分との積を算出し、これを切り取り部分の幅であると推定する。これにより図11の画像の検出矩形領域内に対して、図10の中心部のひし形状の領域を空白部分として挿入するような画像変形を施すことにより、ひし形外部の指紋周辺部を復元することが可能となる。
[修復部の変形例2]
修復部214のさらなる変形例として、下に説明する修復部214aを用いるようにして実施しても良い。本変形例による修復部214aは、変形等によって手術前の指紋を復元するのではなく、指紋の加工が行われている部分を除外し、加工が行われていない部分のみを抽出し、抽出された結果を復元画像として出力する。つまり、修復部214aは、手術等によって加工されていない部分を切り出す。
図17は、本変形例による修復部214aの概略機能構成を示すブロック図である。図17に示すように、本変形例による修復部214aは、損傷部位検出部93と、損傷部位除去部94とを含む。
損傷部位検出部93が有する機能の一例は、上で述べた損傷部位検出部91の機能と同様である。損傷部位検出部93がさらに、異常広ピッチ領域を検出する機能を備えたり、隆線損傷領域を検出する機能(前述の隆線破壊検出部78と同様の機能)を備えたりするようにしても良い。これらにより、異常度画像の情報を加味して損傷部位を検出することができる。
損傷部位除去部94は、損傷部位検出部93により生成された異常度画像を元に、下に列挙する方式(方式(1)から方式(4)まで)のいずれかにより、損傷部位として除外する除外領域を決定する。さらに、損傷部位除去部94は、指紋画像の中における除外領域を背景色で塗りつぶした上で、その画像を出力する。
方式(1):異常度が所定の閾値以上の領域と、その近傍の16画素以内(この「16」という値を別の値に設定変更できるようにしても良い)を、除外領域とする。
方式(2):異常度が所定の閾値以上の領域を抽出し、画像の膨張収縮処理により異常領域の内部の領域も含めて除外領域とする。
方式(3):異常度が所定の閾値以上の領域を異常領域とし、その異常領域から最も距離の離れた指紋位置を検出する。また、その位置から隆線方向および隆線ピッチが連続的に変化する(異常な不連続がない)所定距離以内の領域を有効領域とする。そして、その有効領域以外の部分を除外領域とする。
方式(4):異常度が所定の閾値以上の領域を異常領域とし、その異常領域から最も距離が離れた指紋位置を検出する。また、その位置を中心とする円であってその位置から異常領域までの距離を半径する円の外を除外領域とする。
つまり、修復部214aは、特異領域に基づいて定められる除外領域の指紋画像の情報を全体の指紋画像から除去することによって損傷を修復する。
上記の方式(1)から(4)までのうちの方式を採用するかは、例えば、外部から与えるパラメーターにより制御可能とする。別法として、方式(4)を最優先で適用し、その結果として照合処理に必要な指紋画像の領域(広さ)を得られない場合には方式(3)を適用し、以下同様に、方式(2)、方式(1)の順で適用するようにしても良い。
Z型手術指紋復元部92による処理は特定の方法の手術による損傷指紋のみに対応しているが、はっきりした手術痕が見られない場合には元の手術前指紋を復元できない可能性がある。そのような場合においても、損傷部位除去部94を用いた方法で指紋の加工が行われている部分を除外する事により、加工前の本人指紋と照合できるという利点がある。
本変形例による場合にも、修復部214aは、損傷部の情報を除去するという意味において、情報取得部11が取得した生体パターン情報のうち特異領域に含まれる生体パターン情報について、前記特異領域で生じた生体パターン情報の損傷を修復する場合の一例である。
修復部214(またはその変形例)による処理(Z型手術指紋の手術前の状態への復元や、損害部位を除外する処理)は、必ずしも手術前の指紋を正確に復元することを保証しない。例えば、手術履歴のない指の正常な指紋を、誤判定により手術ありと判定してしまい、加工してしまう場合もあり得る。しかし、例えば、修復部214(またはその変形例)による加工前の指紋画像と加工後の指紋画像の両方を、照合部116が事前登録生体パターン情報記憶部62(指紋データベース)と照合することにより、認証率低下のリスクを低くすることが可能である。加工前後の両方の指紋画像を事前登録生体パターン情報記憶部62と照合する場合には、どちらか一方の指紋画像が事前登録生体パターンと一致した場合に、事前登録生体パターンとの一致と見なせる。
また、修復部214(またはその変形例)による処理の結果、復元処理後の指紋画像が、他人の指紋と一致してしまうリスクも存在する。しかし、その一致のみをもって最終判断とせず、オペレーター等が指紋以外の手段(一例として、顔写真等)用いて別途の確認を行うように運用すれば、そのような他人誤一致のリスクも低くすることができる。
この第3実施形態の構成により、生体パターン情報処理装置3は、検出結果取得部12が取得した情報に基づき、修復部214(またはその変形例)が生体パターン情報の修復を行うため、修復後の生体パターン情報を用いた照合処理を行うことが可能となる。
[装置のユーザーインターフェース]
次に、上述した各実施形態(第1実施形態から第3実施形態まで、およびその変形例)による装置のユーザーインターフェースについて説明する。
図18は、指紋画像を取得する際のユーザーインターフェースを示す概略図である。図18の左側に示す画面は、指紋取得前の表示状態である。この画面(ウィンドウ)は、「指紋取得」、「表示切替」、「修復」、「照合」といったボタンを有している。ユーザーによって「指紋取得」のボタンが押下される(具体的には、ポインティングデバイスであるマウスを用いたクリック操作など)と、外部の指紋取得手段が指紋を読み取り、情報取得部11がその指紋画像を読み取る。そして、図18の右側の画面(ウィンドウ)に示すように、生体パターン情報処理装置(1,2,3)は、読み取った指紋をウィンドウ内の左側の領域に表示する。また、照合部116がこの指紋と予め登録されていた指紋との照合処理を行う。そして、一致する指紋があった場合、このウィンドウの右側の領域には、一致した指紋の画像と、その指紋を有する個人識別情報(個人IDあるいは氏名)が表示される。図18では、一致した指紋に該当する個人の顔写真と、一致した指の種類(「右手人差し指」)も表示されている。
図18で説明したユーザーインターフェースのうち、照合処理に関連する部分は、第1実施形態には含まれない。また、生体パターン情報の損傷部分の修復処理に関連する部分は、第1実施形態にも第2実施形態にも含まれない。
図19は、取得した指紋画像中に特異領域が検出された場合のユーザーインターフェースを示す概略図である。図19上段に示す画面においてユーザーによって「指紋取得」のボタンが押下されると、図19下段左側に示す画面に遷移する。
図19においては、矢印A1は、損傷箇所がある場合にメッセージを表示することを示している。矢印A2は、損傷箇所がない場合にそのまま指紋を表示することを示している。後述のように、後述のように、図19の部分(a1)の画面は、指紋画像と損傷箇所とを表示する場合の画面である(ただし、損傷箇所がない場合には損傷箇所は表示されない)。図19の部分(b1)の画面は、損傷箇所のみを表示する場合の画面である。図19の部分(c1)の画面は、指紋画像のみを表示する場合の画面である。
図19下段左側に示す画面の左側の領域においては、指紋画像が表示されている。このとき、検出結果取得部12が取得した情報により、前記指紋画像が特異領域を含んでいることが検知される。そして、図19下段左側の画面においては、指紋画像の中の特異領域が、その他の領域とは異なる表示属性で表示されている。本ケースでは、具体的には、表示制御部(21,121)が、特異領域とその他の領域とを異なる色で表示するように制御している。つまり、この画面(部分(a1)の画面)では、指紋画像と損傷箇所の両方が表示されている。
特異領域を点滅表示としても良い。また、特異領域の色をその他の領域と異ならせ、且つ特異領域のみを点滅表示としても良い。
この指紋画像に特異領域(指紋の損傷箇所)が含まれていることが判明したため、生体パターン情報処理装置は、ポップアップ画面を表示させる(矢印A1)。そのポップアップ画面には、「指紋画像中に損傷箇所があります。別の指で指紋を再取得しますか?」というメッセージが表示される。この状況においては、ユーザーは、「はい(Y)」または「いいえ(N)」いずれかを選択できるようになっている。
図19下段左側の画面に戻って説明を続ける。前記画面において「表示切替」ボタンが押下されると、図19下段真中の画面(部分(b1)の画面)に遷移する。図19下段真中の画面では、その左側の領域に、損傷箇所(特異領域)のみが表示されており、指紋画像は表示されていない。
図19下段真中の画面において「表示切替」ボタンが押下されると、図19下段右側の画面(部分(c1)の画面)に遷移する。図19下段右側の画面では、その左側の領域に指紋画像のみが表示されており、損傷箇所(特異領域)を示す情報は表示されていない。
図19下段右側の画面において「表示切替」ボタンが押下されると、図19下段左側の画面に遷移(復帰)する。
つまり、表示切替ボタンにより、「指紋画像+損傷箇所(特異領域)」と、「損傷箇所(特異領域)のみ」と、「指紋画像のみ」との画面を、順次切り替え可能である。
つまり、表示制御部は、特異領域と特異領域以外の領域のいずれか一方の表示、及び特異領域と特異領域以外の領域の両方の表示を切り替えて表示するよう制御する。
このような切替表示の制御を行うことにより、ユーザーは、特異領域だけを確認することで、目視で損傷痕か否かを判別することができるようになる。
図20は、取得した指紋画像中に特異領域が検出された場合に、照合処理の仕方をユーザーが選択できるようにしたユーザーインターフェースを示す概略図である。
図20においては、矢印A3は、損傷箇所がある場合にメッセージを表示することを示している。後述のように、図20の部分(a2)の画面は、種類(1−1)、すなわち、照合条件なしの場合の画面である。図20の部分(b2)の画面は、種類(1−2)、すなわち、損傷箇所除外なしの場合の画面である。図20の部分(c2)の画面は、種類(1−3)、すなわち、不一致許容度緩和の場合の画面である。
図20上段左側の画面(ウィンドウ)は、図19上段左側の画面と同様である。
図20に示すユーザーインターフェースでは、取得した指紋画像に損傷箇所(特異領域)が検出された場合に、ユーザーは、3種類の動作の中から適切な動作を選択することができる。その3種類とは、次の種類(1−1)〜(1−3)の通りである。
種類(1−1): そのまま照合を行う(照合条件なし)。
種類(1−2): 損傷していないと推定される部分のみを抽出し、その部分だけの情報で照合を行う(損傷箇所除外)。
種類(1−3): 照合時の指紋特徴の位置ずれ許容度や不一致許容度などを緩和させて照合を行う(許容度緩和)。
これらのうち、ユーザーが選択した条件で、照合部116は照合処理を行う。
損傷箇所はあるが、照合処理の結果として一致した指紋が見つかった場合、一致した情報の背景色を変えて強調するようにする。またその際、上記3通りの条件のうちのどの条件の照合で一致が見つかったかを表示する(例えば、「照合条件:損傷箇所除外」、あるいは、「照合条件:不一致許容度緩和」など)。
図20で説明したユーザーインターフェースは、照合処理を行わない第1実施形態には無関係である。
図21は、損傷箇所(特異領域)の修復処理に関するユーザーインターフェースを示す概略図である。
図21上段左側の画面に表示されている指紋は、損傷箇所(特異領域)を含んでいる。ユーザーは「修復」ボタンを押下することができる。この状況においてポップアップ画面上に「損傷箇所の修復を行います。損傷箇所をクリックしてください。」というメッセージが表示される。ユーザーが「OK」のボタンを押下すると、その損傷箇所を修復する処理が実行される。前述の通り、損傷箇所周辺の隆線の方向に基づき、損傷箇所の修復を自動的に行うこともできる。
図21下段左側の画面は、修復処理後の表示例である。この状況でユーザーが「照合」ボタンを押すことにより、照合部116は、修復後の指紋画像を用いて、照合処理を行う。
予め登録された指紋の中に一致するものが見つかった場合には、図21下段右側の画面のように、一致した指紋画像と、個人識別情報とが表示される。個人識別情報と共に顔写真が表示されるようにしても良い。
つまり、表示制御部は、特異領域の情報に基づいて特異領域のない生体パターン情報に修復した生体パターン情報を取得し、表示するよう制御する。
これにより、ユーザーは、修復された画像を目視して確認することができるようになる。
図21で説明したユーザーインターフェースは、修復処理を前提としており、第1実施形態や第2実施形態には無関係である。
上述した実施形態および変形例による生体パターン情報処理装置の機能をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、この装置の機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含む。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
前記の各実施形態を、次のような変形例として実施しても良い。即ち、認証部は、特異領域検出結果取得部が取得した生体パターン情報の特異領域(損傷箇所)の情報に基づき、生体パターン情報取得部が取得した生体パターン情報が特異領域を含むと判断される場合、その生体パターン情報以外の認証用情報を用いた認証処理を行う。具体的には、生体パターン情報である指紋が特異領域を含むことが判明した場合には、指紋画像以外の認証手段(顔認識による認証や、静脈パターン認識による認証など)を用いるようにする。生体パターン情報処理装置が、このような認証部を備えるようにする。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
この出願は、2015年3月31日に出願された日本国特願2015−074424を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
本発明は、指紋照合を利用した社会システムに利用可能である。
1,2,3 生体パターン情報処理装置
11 生体パターン情報取得部
12 特異領域検出結果取得部
21,121 表示制御部
61 特異領域検出部
62 事前登録生体パターン情報記憶部
91,93 損傷部位検出部
92 Z型手術指紋復元部
94 損傷部位除去部
116 照合部
214,214a 修復部

Claims (9)

  1. 生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得する検出結果取得部と、
    前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させる表示制御部と、
    を具備する生体パターン情報処理装置。
  2. 前記表示制御部は、前記特異領域情報に基づいて、前記特異領域の種類を表示させる請求項1に記載の生体パターン情報処理装置。
  3. 前記表示制御部は、前記特異領域の表示と、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域の表示と、前記特異領域および前記特異領域以外の前記生体パターンの領域の両方の表示と、に表示を切り替させる請求項1又は2に記載の生体パターン情報処理装置。
  4. 前記表示制御部は、前記特異領域情報に基づいて特異領域のない生体パターン情報に修復された生体パターン情報を取得し、前記修復された生体パターン情報を表示させる請求項1から3までのいずれか一項に記載の生体パターン情報処理装置。
  5. 生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得し、
    前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させる、
    ことを含む生体パターン情報処理方法。
  6. 前記特異領域の情報に基づいて、前記特異領域の種類を表示させることをさらに含む請求項5に記載の生体パターン情報処理方法。
  7. 前記特異領域の表示と、前記特異領域以外の前記生体パターン領域の表示と、前記特異領域と前記特異領域以外の前記生体パターン領域との両方の表示とに、表示を切り替させることをさらに含む請求項5又は6に記載の生体パターン情報処理方法。
  8. 前記特異領域情報に基づいて特異領域のない生体パターン情報に修復された生体パターン情報を取得し、
    前記修復された生体パターン情報を表示させる、
    ことをさらに含む請求項5から7までのいずれか一項に記載の生体パターン情報処理方法。
  9. コンピューターに、
    生体パターンを示す生体パターン情報に基づいて検出された、前記生体パターンに含まれる特異領域を示す特異領域情報を取得し、
    前記取得された特異領域情報に基づき、前記特異領域以外の前記生体パターンの領域とは異なる表示属性で、前記特異領域を表示させる、
    ことを実行させるためのプログラム。
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