JPWO2016047437A1 - X線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
本発明に係る移動型X線撮影装置は、X線高電圧発生部と、X線管装置とを備え、このX線高電圧発生部には、蓄電池と、コンデンサと、このコンデンサに蓄えられた電力を前記蓄電池へ回収する回収部と、を有し、回収部は、コンデンサと直列に配置されたインダクタを含み、このインダクタと、コンデンサとにより構成されるLC回路の共振作用により、コンデンサに蓄積された電力を、蓄電池に回収する。これにより、簡易な構成で移動型X線撮影装置を構成することができる。
Description
本発明は、X線撮影装置に係り、特に蓄電池を電源に用いる移動型X線撮影装置に関する。
蓄電池を電源に用いる移動型のX線撮影装置は、病院内で病室を回診しながらX線写真の撮影を行うことができ、移動が困難な患者の診察を容易にするなどメリットが多いため広く使用されている。
この移動型X線撮影装置で使用する蓄電池は、瞬間的に放出可能な電流が制限されるという特性があり、それによりX線の発生に使用可能な電力が制限される。このため、特許文献1では、蓄電池とX線管との間に大容量のコンデンサを設ける構成とし、蓄電池が直接供給できない瞬間的な大電流を、X線管にコンデンサから供給する。
また特許文献2では、特許文献1のようにコンデンサを備えた構成において、コンデンサで蓄積されている電荷のほとんどが、コンデンサの電圧維持に使用され、結果的に電荷が徐々に失われることにより無効電力が大きくなる問題を解決する技術を提供する。具体的には、蓄電池とコンデンサ間に降圧型DC/DCコンバータを設け、このコンバータによりコンデンサ電圧を降圧して蓄電池に再び充電する方式が開示されている。
しかし、特許文献2のように降圧型DC/DCコンバータを用いる構成では、装置構成や制御が複雑であると共に、コンバータによる効率ロスにより、コンデンサに蓄積された電荷を高効率に回収することができなかった。
よって、本発明の目的は、コンデンサに蓄積された電荷を、より簡易な構成で高効率に蓄電池に回収することができる移動型X線撮影装置を提供することにある。
本発明に係る移動型X線撮影装置は、蓄電池と、X線管装置と、コンデンサと、このコンデンサに蓄えられた電力を前記蓄電池へ回収する回収部と、を有するX線高電圧発生部を備える。そして回収部は、コンデンサと直列に配置されたインダクタを含み、このインダクタと、コンデンサとにより構成されるLC回路の共振作用により、コンデンサに蓄積された電力を、蓄電池に回収する。
本発明は、上記構成により、コンデンサに蓄積された電荷を、簡易な構成で高効率に蓄電池に回収することができる。
本発明に係るX線撮影装置は、X線管装置と、X線高電圧発生部とを備え、このX線高電圧発生部は、電力を蓄積する蓄電池と、前記蓄電池と並列に接続され、前記蓄電池によって充電されて、X線照射時に前記X線管装置へ電力を供給するコンデンサと、このコンデンサに蓄えられた電力を前記蓄電池へ回収する回収部と、を備え、前記回収部は、前記コンデンサと直列に配置されたインダクタを含み、このインダクタと、前記コンデンサとにより構成されるLC回路の共振作用により、前記コンデンサに蓄積された電力を、前記蓄電池に回収することを特徴とする。
また、前記回収部は、前記インダクタの前記コンデンサに接続されている側の端部とは逆側の端部を前記蓄電池に接続するスイッチをさらに含むことを特徴とする。
また、前記スイッチをオンオフする回収制御部をさらに有し、前記回収制御部が、前記スイッチをオンした後、前記LC回路の共振周期の1/2の時間を経過したときにオフすることを特徴とする。
また、前記蓄電池は、複数の蓄電体を直列に接続した構成であり、前記インダクタは、前記蓄電池全体の出力電圧の略1/2の電圧になる前記蓄電体同士の接続部に接続していることを特徴とする。
また、前記複数の蓄電体は偶数個であり、これら偶数個の蓄電体を半分の個数の蓄電体群に分割し、これら二つの蓄電体群の間の接続部に、前記インダクタが接続していることを特徴とする。
また、前記コンデンサと並列に放電部を設け、前記コンデンサに蓄積された電力を、前記蓄電池に回収した後、前記コンデンサの残りの電力を消費するように、前記放電部の断接制御を行う充電制御部を備えることを特徴とする。
また、前記蓄電池と前記コンデンサとの間には、前記蓄電池およびコンデンサと直列に、DC/DCコンバータが配置され、前記DC/DCコンバータは、直列に接続されたコンバータ用インダクタとダイオードとコンバータ用スイッチとを含み、前記回収部の前記インダクタは、前記DC/DCコンバータの前記コンバータ用インダクタを兼用することを特徴とする。
また、前記回収部は、前記DC/DCコンバータの前記ダイオードをバイパスするためのバイパス用スイッチをさらに有することを特徴とする。
また、前記蓄電池は、二以上の蓄電体を直列に接続して構成され、前記充電制御部は、前記コンデンサの電圧に対応して、前記蓄電体のいずれかの間に前記インダクタを接続し、前記コンデンサに蓄積された電力を、前記蓄電池に回収することを特徴とする。
また、前記コンデンサから前記X線管装置へ電力を供給した後、前記コンデンサの電力を回収することなく前記蓄電池によって充電するか、前記コンデンサの電力を前記回収部により回収するかを選択するための、充電・回収選択用回路が、前記コンデンサと前記蓄電池の間に配置されていることを特徴とする。
また、前記充電・回収選択用回路は、並列に配置された、ダイオードと、充電・回収選択用スイッチとを含み、X線照射条件から前記X線照射時の前記コンデンサの電圧低下量を算出し、前記電圧低下量に基づいて、前記充電・回収選択用スイッチを切り替える制御部をさらに有することを特徴とする。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態についてより詳細に説明する。
<第一実施形態>
第一実施形態のX線撮影装置について、図1〜図5を用いて説明する。
第一実施形態のX線撮影装置について、図1〜図5を用いて説明する。
第一実施形態のX線撮影装置は、図1に示すように、X線管装置106と、X線高電圧発生部713とを備えている。図2のように、X線高電圧発生部713は、電力を蓄積する蓄電池101と、蓄電池101に並列に接続され、蓄電池101によって充電されて、X線照射時にX線管装置106へ電力を供給するコンデンサ103と、コンデンサ103に蓄えられた電力を蓄電池101へ回収する回収部201と、を備えている。図3(a)のように、回収部201は、コンデンサ103と直列に配置されたインダクタLを含む。
回収部201は、このインダクタLとコンデンサ103とにより構成されるLC回路の共振作用により、コンデンサ103に蓄積された電力を、蓄電池101に回収する。
LC回路の共振作用によりコンデンサに蓄積された電荷を蓄電池に回収することにより、簡易な構成で高効率に電荷を回収することができる。
以下、第一実施形態のX線撮影装置について具体的に説明する。図1は、第一実施形態のX線撮影装置の全体構成の一例であり、移動型X線撮影装置の構成を示している。この移動型X線撮影装置は、車輪部702を有する台車部701と、この台車部701に立設された支柱703と、この支柱703に昇降可能に備えられたアーム部704とを有する。
X線管装置106は、アーム部704の先端に備えられ、被検体にX線を照射する。X線管装置106は、支柱703の軸心回りの回転、アーム部704の昇降およびアーム部704の伸縮により、撮影時に所定の位置に移動される。
X線高電圧発生部713は、台車部701の内部に配置されている。台車部701の内部には、この他、X線高電圧発生部713等を制御する制御部708、制御部708の制御動作のシーケンス等を記憶する記憶部709、X線画像を処理するX線画像処理部710等が配置されている。
また、台車部701の上面には、この移動型X線撮影装置の操作者が、装置を操作するためのコンソール部711や、X線画像処理部710からの画像を表示するディスプレイ712が備えられている。
図2を用いて、X線高電圧発生部713の詳しい構成を説明する。X線高電圧発生部713は、上述した蓄電池101と、これに並列に接続されたコンデンサ103と、コンデンサ103に並列に接続されたインバータ回路とを備えている。コンデンサ103は、上述したように蓄電池101によって充電されて、X線照射時にX線管装置106へ電力を供給する。これにより、蓄電池101のみで供給するよりも大きな電力をX線管装置106に供給することができる。インバータ回路105は、X線管装置106のX線管106aに並列に接続され、X線管106aに電力(管電流および管電圧)を供給する。また、X線高電圧発生部713は、充電制御部110と、回収制御部809と、回転陽極用インバータ107を備えている。
蓄電池101には、電力供給部801と電圧モニタ803が並列に接続されている。電力供給部801は、外部電源706から供給される交流電力を直流電力に変換し、蓄電池101を充電する。電圧モニタ803は、蓄電池101の電圧を検出する。制御部708は、電圧モニタ803の検出した電圧値を受け取って、充電制御部110を制御する。充電制御部110は、蓄電池101に所望の電力が充電されるように蓄電池101の充電を制御する。
蓄電池101とコンデンサ103との間には、スイッチS1が配置されている。回収制御部809は、スイッチS1をオンオフすることにより、蓄電池101からコンデンサ103への充電、および、蓄電池101からインバータ回路105への給電を制御する。
蓄電池101とコンデンサ103の間には、上述した回収部201が配置されている。回収部201は、コンデンサ103に蓄えられた電力を蓄電池101へ回収する。回収部201の詳しい構成は後述する。
コンデンサ103とインバータ回路105の間には、放電回路104がコンデンサ103に並列に接続されている。放電回路104は、コンデンサ103に蓄積した電荷を必要に応じて放電させる回路である。放電回路104は、配置されていなくてもよい。
インバータ回路105とX線管106aとの間には、X線管106aへの供給電圧をモニタするX線管用電圧モニタ807がX線管106aに並列に接続される。
回転陽極用インバータ107は、インバータ回路105とX線管106aとの間に、インバータ回路105に並列に接続されている。回転陽極用インバータ107は、インバータ回路105の出力電力の一部を受け取ってX線管106aの陽極を回転駆動するための電力を生成し、X線管装置106内の陽極回転駆動部(不図示)に供給する。
インバータ回路105は、コンデンサ103の出力直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ部804と、このインバータ部804の出力交流電圧を昇圧・整流・平滑化する高電圧発生部806と、を含む。インバータ部804は、X線管106aに供給する管電圧を発生する。インバータ部804は、制御部708の制御下で、所望の管電圧を発生させるための交流電圧を発生する。インバータ部804は、半導体スイッチと、半導体スイッチに逆並列に接続されたダイオードの組合せを複数用いたインバータ回路である。例えば、特許文献3に記載されているインバータ回路を用いることができる。高電圧発生部806は、変圧器と整流器とを含み、インバータ部804の交流出力を高電圧に変換したのち整流し、直流高電圧(管電圧)を生成する。
インバータ回路105が生成した管電圧は、X線管106aに供給され、X線を発生する。X線は、被検体に対して照射される。なお、制御部708には、2段スイッチ構造の放射スイッチ108が接続されており、操作者による放射スイッチ108の操作に応じて、回転陽極用インバータ107とインバータ部804を動作させて、陽極回転用電力と管電圧をそれぞれ所定のタイミングで発生させる。
図3(a)を用いて、回収部201と蓄電池101の構成を説明する。蓄電池101は、所望の電圧を得るために、複数の蓄電体101a〜101lを直列に接続した構成である。蓄電体101a〜101lとしては、例えば、鉛蓄電池をそれぞれ用いることができる。
回収部201は、上述のようにコンデンサ103に蓄えられた電力を蓄電池101へ回収するための回路であり、回収部201は、インダクタLとスイッチS0とを含む。インダクタLの一端は、コンデンサ103の極板のうち蓄電池101の正極に接続されている側の極板側に接続されている。例えば、図3(a)のように、コンデンサ103と蓄電池101の正極とを結ぶ回路の途中に接続されている。一方、インダクタLの他端は、蓄電池101に接続されている。インダクタLの他端と蓄電池101とを結ぶ回路の途中には、スイッチS0が配置されている。スイッチS0は、回収制御部809により、オンオフされる。なお、スイッチS0は、インダクタLとコンデンサ103との間に配置することも可能である。
インダクタLの他端が蓄電池101に接続されている位置は、蓄電池101の全体電圧の1/2の電圧となる蓄電池101内の位置である。例えば蓄電体の極板、もしくは蓄電体と蓄電体とを結ぶ配線にインダクタの他端は接続されている。蓄電池101として、同容量の蓄電体101a、・・・、101lを偶数個(例えば12個)直列接続したものを用いる場合、インダクタLの他端は、蓄電体101a、・・・、101lを半数(6個)ずつの群に分割した二つの蓄電体群の間(蓄電体101fと蓄電体101gの間)に接続される。
制御部708がスイッチS1をオフにし、回収制御部809がスイッチS0をオンにすると、インダクタLと、コンデンサ103と、蓄電池101の半数の蓄電体とにより、直列のLC回路が構成される。これにより、LC共振作用を利用して、コンデンサ103内に蓄えられた電力のほとんどを、蓄電池101に回収できる。よって、コンデンサ103の電力を高効率に蓄電池101に電力を回収することができる。具体的には、回収制御部809が、S0スイッチをオンした後、LC回路の共振周期の1/2の時間を経過したときにオフすることにより、コンデンサ103内に蓄えられた電力のほとんどを、蓄電池101に回収できる。
図3(c)および図4を用いて、第一実施形態のX線高電圧発生部713の制御動作について説明する。図3(c)は、スイッチS1,S0のオンオフとその時のコンデンサ103の電圧等を表す制御動作シーケンスを示し、図4は、制御部708および回収制御部809の制御フローを示す。
操作者は、移動型X線撮影装置を使用する前に、ケーブル707を商用の外部電源706に接続し、蓄電池101を所定の電圧まで充電しておく。図4のように、ステップ1000において、装置の操作者が装置のメインスイッチをオンした場合、制御部708は、記憶部709のプログラムを読み込んで以下のように制御する。
ステップ1001において、制御部708は、操作者が放射スイッチ108の1段目スイッチをオンにするまで待機する。放射スイッチ108の1段目スイッチがオンになると、制御部708は、ステップ1002に進み、回収制御部809へ、S0スイッチをオンにし、S1スイッチをオフのままにするよう指示を出す(t=0)。回収制御部809が、S0スイッチをオンにし、S1スイッチをオフにすることにより、蓄電池101の半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)が回収部201のインダクタLを介してコンデンサ103に直列に接続され、LC共振回路を構成する。これにより、コンデンサ103は、LC共振回路の共振作用によって蓄電体101g〜101lにより充電される。
このLC共振作用による充電を図5を用いて説明する。ここで、蓄電池101全体の電圧をVbとすると、半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)の電圧Vhは、Vb/2である。コンデンサ103の電圧Vcは、図5(a)に示すように、LC共振回路の共振作用により、振幅が徐々に減衰する正弦波を描いて変化し、最初の1周期の最大振幅は、蓄電体群(蓄電体101g〜101l)の電圧Vhの2倍に達する。よって、スイッチS0がオンになってから、共振周期Tの1/2の時間αが経過した時点で、コンデンサ103の電圧Vcは、蓄電体群(蓄電体101g〜101l)の電圧Vhの2倍の電圧Vc=2・Vh=Vbまで充電される。
よって、ステップ1003において、制御部708の制御下で回収制御部809は、スイッチS0がオンになってから、共振周期Tの1/2の時間αが経過したならば、スイッチS0をオフにする(ステップ1004)。これにより、コンデンサ103は、蓄電池101の全体の電圧Vbと等しい電圧まで、半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)によって充電される。
なお、LC回路の共振周期Tは以下の式で表される。
T=2π・(L・C)0.5
ここでLはインダクタLのインダクタンス、Cはコンデンサのキャパシタンスである。
ここでLはインダクタLのインダクタンス、Cはコンデンサのキャパシタンスである。
共振周期Tの1/2の時間αは、上記式を用いて予め計算により求めておき、記憶部709に格納しておく。制御部708は、記憶部709から時間αを読み出して、回収制御部809を制御する。
また、ステップ1004では、制御部708は、回収制御部809へ、スイッチS0をオフにすると同時に、スイッチS1をオンにするよう指示する(t=t2)。これにより、インバータ回路105には、電圧2Vに充電されたコンデンサ103と、電圧2Vの蓄電池101が並列に接続され、両者から電力を供給可能になる。よって、両者の電力を用いてインバータ回路105は、管電圧を生成することができる。
ステップ1005において、制御部708は、ステップ1002(t=0)から所定の時間(>α)が経過したならば、ステップ1006に進んで回転陽極インバータ107を動作させる(t=t2とt3の間)。これにより、回転陽極インバータ107が動作し、X線管装置106の陽極が回転を開始し、所定の回転数に到達する。
ステップ1007において、制御部708は、回転陽極の回転数が規定の回転数に到達したならば、ステップ1008へ進み、許可信号を出力し、放射スイッチ108の2段目スイッチを操作者が操作できるようにする。また制御部708は、本装置の操作者に、放射スイッチ108の2段目スイッチの操作が可能であることを知らせる表示をディスプレイ712等に表示させる。
ステップ1009において、制御部708は、放射スイッチ108の2段目スイッチが、操作者によりオンされるまで待機し、オンされたならば、ステップ1010へ進み、インバータ回路105に管電圧を生成するよう指示する。インバータ回路105は、管電圧を生成し、X線管106aに供給する。これにより、X線管106aは、X線を被検体に放射する。
上記ステップ1010において、コンデンサ103および蓄電池101からインバータ回路105に電力が供給され、管電圧の生成に用いられる。X線放射後は、コンデンサ103および蓄電池101の電圧は低下しているが、コンデンサ103にはまだ電荷が残存している。この電荷をコンデンサ103に蓄積したままにしておくと、徐々に放電されて無効電力になるため、本実施形態では、X線放射後すぐにコンデンサ103に残存する電荷を蓄電池101に回収する動作を以下のステップ1011〜1013にて行う。なお、図3(c)では、図示の都合上、X線放射後のコンデンサ103の電圧低下を省略して、一定値として示している。
X線放射後、ステップ1011において、制御部708は、回収制御部809へ、S0スイッチをオンにし、S1スイッチをオフにする指示を出す(t=t5)。これにより、蓄電池101の半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)が回収部201のインダクタLを介してコンデンサ103に直列に接続され、再びLC共振回路が構成される。コンデンサ103の電荷は、LC共振の作用によって蓄電体101g〜101lに回収される。
コンデンサ103の電圧Vcと蓄電池101の電圧は等しく、半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)の電圧Vhは、Vc/2である。図5(b)に示すように、LC共振回路の共振作用により、電圧は徐々に減少する正弦波を描いて変化し、最初の1周期の最小値は0[v]となる。よってスイッチS0がオンになってから、共振周期Tの1/2の時間αが経過した時点で、コンデンサ103の電圧Vcはゼロになる。この時点で、コンデンサ103の電荷は、半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)に移動し、半数の蓄電体群(蓄電体101g〜101l)に回収されている。
よって、制御部708は、ステップ1012において、ステップ1011でスイッチS0をオンにしてから時間αが経過したならば、ステップ1013で、回収制御部809にスイッチS0をオフにする指示を出す。なお、所定の時間αは、上述のように予め計算により求め、記憶部709に格納されている。制御部708は、記憶部709から時間αを読み出して、回収制御部809を制御し、S0スイッチをオフにする(図3(c)のt=t7)。そして、ステップ1001に戻り、操作者の放射スイッチ108の1段目スイッチの操作を待つ。
ステップ1013の後に、コンデンサ103を放電回路104に接続するステップを追加することもできる。これにより、コンデンサ103にわずかに電荷が残った場合でもこれを確実に放電することができるため、つぎの充電時にLC共振の作用により、コンデンサ103の電圧Vcを、蓄電体群(蓄電体101g〜101l)の電圧Vhの2倍の電圧Vc=2・Vh=Vbまで充電することができる。なお、ステップ1013の後は、コンデンサ103にはほとんど電荷は残っていないので、放電回路104内の抵抗の抵抗値は、従来の放電回路よりも小さいもので足りる。
上述してきたように、本実施形態では、インダクタLとスイッチS0からなる回収部201を配置したことによって、スイッチS0のオンオフのタイミングを制御するのみで、LC共振による電荷の移動作用を利用して、コンデンサ103に蓄積した電荷を蓄電池101に回収することができる。この回収部201は、インダクタLとスイッチS0からなる簡単な構成であり、しかも、LC共振による電荷の移動は、電荷のロスが少なく、コンデンサ103の電荷を高効率で蓄電池101に回収することができる。
回収部201の回収効率を確認するために、図4のフローの動作においてステップ1010のX線の放射のみを行わず、他の各ステップを実行して、コンデンサ103への充電と蓄電池101への回収を何度も繰り返した。図3(b)に、そのときの、コンデンサ103の電圧Vcと、蓄電池101の電圧Vbの変化を示す。図3(b)のように、本実施形態のX線高電圧発生部713では、コンデンサ103の充電と放電を繰り返しても、コンデンサ103の充電時の電圧Vcは、一定であり、蓄電池101の電位もほとんど変化しないことがわかる。すなわち、コンデンサ103の電荷をほとんど損失なく蓄電池101に回収でき、再びコンデンサ103に充電できることが確認できた。
<比較例>
比較例として、回収部201を備えない従来のX線高電圧発生部の構成を図6(a)に示す。図6(b)、図6(c)は、それぞれ第一実施形態の図3(b)、(c)に対応している。図6(a)のように、比較例のX線高電圧発生部は、回収部201を備えていないため、放電回路104が必須であり、メンテナンス時や、1日の撮影が終了した場合には、コンデンサ103に残存している電荷を放電する。
比較例として、回収部201を備えない従来のX線高電圧発生部の構成を図6(a)に示す。図6(b)、図6(c)は、それぞれ第一実施形態の図3(b)、(c)に対応している。図6(a)のように、比較例のX線高電圧発生部は、回収部201を備えていないため、放電回路104が必須であり、メンテナンス時や、1日の撮影が終了した場合には、コンデンサ103に残存している電荷を放電する。
比較例の図6(a)のX線高電圧発生部の動作について、図7を用いて説明する。第一実施形態の図4のフローと同様の動作については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。ステップ1001において、操作者が放射スイッチの1段目スイッチをオンにした場合、制御部708は、ステップ2002に進み、S1スイッチをオンにし、S2スイッチをオフのままにする指示を出す(t=0)。S1スイッチをオン、S2スイッチをオフにすることで、蓄電池101の全体がコンデンサ103に並列に接続され、コンデンサ103の電圧Vcが、蓄電池101の電圧Vbまで充電される。これにより、コンデンサ106と蓄電池101の両方からインバータ回路105に電力を供給可能になる。
ステップ2003において、充電に必要な規定時間が経過したならば、ステップ1006〜1010を行い、X線管106aの陽極を回転させ、放射スイッチ108の2段目スイッチが操作されたタイミングでX線を放射する。
上記動作を繰り返し、1日のX線放射が完了した場合や、メンテナンスを行う場合には、ステップ2009に進み、制御部708は、S1スイッチをオフにし、S2スイッチをオンにする指示を出す(t=t6)。これにより、コンデンサ103は放電回路104と接続され、コンデンサ103の電圧Vcは0ボルトになる。
比較例では、コンデンサ103に蓄積した電荷を回収しないため、放射を行わない期間に電荷は徐々に放電され、無効電力となる。また、放電回路104で放電させた場合にもコンデンサ103に蓄積した電荷は無効電力が生じる。例えば、図7のフローの動作においてステップ1010のX線の放射のみを行わず、他の各ステップを実行して、コンデンサ103への充電と放電回路104での放電を何度も繰り返させた場合、図6(b)のように、蓄電池101の電圧Vbは、コンデンサ103の充電および放電のたびに低下し、それにともないコンデンサ103の充電時の電圧Vcも低下した。すなわち、コンデンサ103の充電および放電のそれぞれで無効電力が発生することが確認された。
<第二実施形態>
第二実施形態の移動型X線撮影装置について図8、図9を用いて説明する。
第二実施形態の移動型X線撮影装置について図8、図9を用いて説明する。
図8(a)に示したように、第二実施形態に係る移動型X線撮影装置のX線高電圧発生部713は、蓄電池101とコンデンサ103との間に、昇圧型DC/DCコンバータ401が配置されている。第二実施形態では、回収部201のインダクタLとして、昇圧型DC/DCコンバータ401のコンバータ用インダクタL2を兼用して用いる。
昇圧型DC/DCコンバータ401は、蓄電池101の出力電圧よりも高い電圧までコンデンサ103を充電する。
昇圧型DC/DCコンバータ401は、直列に接続されたコンバータ用インダクタL2とダイオードDとコンバータ用スイッチS6とを、蓄電池101とコンデンサ103に並列に接続した構成である。コンバータ用スイッチS6をオフにすることにより、インダクタL2とダイオードDは、蓄電池101とコンデンサ103とに直列に接続される。このような構成により、スイッチS6をオンにすると、コンバータ用インダクタL2に電流が流れエネルギーが蓄積される。その後スイッチS6をオフにすると、コンバータ用インダクタL2のエネルギーが、ダイオードDを介してコンデンサ103に流れ、コンデンサ103が充電される。よって、スイッチS6のオンオフを繰り返すことにより、蓄電池101の電圧Vb以上の電圧Vcにコンデンサ103が充電される。
コンバータ用インダクタL2は、回収部201のインダクタを兼用する。また、回収部201は、DC/DCコンバータのダイオードDをバイパスするように配置されたバイパス用スイッチS7を有する。さらに、回収部201は、コンバータ用インダクタL2の蓄電池101側の端部を、複数の蓄電体からなる蓄電池101内のいずれかの極板、もしくは蓄電体間の接続部に接続するためのスイッチ群403をさらに備えている。スイッチ群403は、スイッチS1と並列に配置され、回収制御部809は、昇圧型DC/DCコンバータ401の昇圧条件、すなわちコンデンサ103の電圧Vcに応じて、スイッチS1もしくはスイッチ群403のいずれかを選択する。これにより、コンデンサ103の電圧Vcの1/2の電圧となる位置にインダクタL2を接続し、電荷の回収効率を最適化する。他の構成は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
第二実施形態のX線高電圧発生部713の動作について図9のフローおよび図8(b),(c)の制御動作シーケンスを用いて説明する。なお、図9のフローにおいて、第一実施形態の図4のフローと同一のステップについては、同一の符号を付し、説明を省略する。
ステップ1000および1001において、装置の操作者が、装置のメインスイッチをオンにした後、制御部708は、操作者が放射スイッチ108の1段目スイッチをオンにするまで待機する。操作者が1段目スイッチをオンにした場合、制御部708は、ステップ3002に進み、回収制御部809により、図8(b)、(c)のように、スイッチS1をオンにし、スイッチS6のオンオフを繰り返し、蓄電池101の電圧Vb以上の所望の電圧までコンデンサ103の電圧Vcを充電する。このとき、スイッチS7およびスイッチ群403は、オフのままにする。昇圧条件は、スイッチS6のオンオフの回数によって制御される。図8(b)は、コンデンサ103の電圧Vcが蓄電池101の全体の電圧Vbの2倍まで昇圧されて充電された状態を示し、図8(c)は、コンデンサ103の電圧Vcが蓄電池101の全体の電圧Vbの1倍で充電された状態を示している。
ステップ3003において、制御部708は、記憶部709に記憶されている規定時間が経過したならば、第一実施形態と同様に、ステップ1006〜1010を行って、陽極を回転させ、許可信号を出力し、放射スイッチ108の2段目スイッチが操作者によって操作されたならば、X線を放射する。ただし、第二の実施形態では、放射時の電力は、コンデンサ103のみからインバータ回路105に供給される。
X線放射が終了したならば、回収部201によりコンデンサ103に残存する電荷を蓄電池101に回収する。すなわち、ステップ3009において、制御部708は、電圧モニタ803の検出したコンデンサ103の電圧Vcを受け取り、その1/2の電圧となる位置にインダクタL2を接続するスイッチをスイッチS1およびスイッチ群403の中から選択する。
例えば、コンデンサ103の電圧Vcが、蓄電池101の電圧Vbの2倍である場合、制御部708はスイッチS1を選択し、電圧(電位)Vbの位置にインダクタL2を接続する。これにより、図8(b)のように、スイッチS1は、継続してオン状態が維持される。
また、例えば、コンデンサ103の電圧Vcが、蓄電池101の電圧Vbと等しい場合には、その半分の電圧(電位)Vb/2となる蓄電体の極板にインダクタL2を接続するスイッチをスイッチ群403から選択して、図8(c)のようにオンにする。
同時に制御部708は、ステップ3010で、スイッチS6をオフ、スイッチS7をオンにするよう回収制御部809に指示を出す。これにより、ダイオードDがバイパスされ、インダクタL2とコンデンサ103と蓄電池101によりLC回路が構成され、LC共振の作用により、コンデンサ103の電荷が、蓄電池101に回収される(t=t3)。
LC共振の周期Tの1/2の時間が経過したならば、ステップ3009で選択したスイッチをオフにする。これにより、コンデンサ103の電圧Vcがゼロになり、コンデンサ103の電荷が蓄電池101に回収される。このときのLC共振の作用は、第一実施形態と同じである。
その後、ステップ1001に戻り、操作者の1段目SWの指示を待つ。
このように第二実施形態は、昇圧型DC/DCコンバータ401を用いてコンデンサ103を充電するX線高電圧発生部713の場合であっても、高効率にコンデンサ103の電荷を蓄電池101に回収することができる。また、回収部201のインダクタとして、昇圧型DC/DCコンバータ401内のインダクタL2を兼用することができるので、回路構成が簡単である。
<第三実施形態>
第三実施形態に係る移動型X線撮影装置を図10、図11を用いて説明する。図10(a)のように、第三実施形態では、X線高電圧発生部713のS1スイッチとコンデンサ103との間に、ダイオード501と充電・回収選択用スイッチであるスイッチS8を並列接続した回路を備えている。ダイオード501の向きは、蓄電池101からコンデンサ103を充電する際の電流の向きとは逆向きである。スイッチS8は、回収部201のインダクタLに接続されている。インダクタLは、第二実施形態と同様に、選択用スイッチ群403を介して、複数の蓄電体からなる蓄電池101内のいずれかの極板、もしくは蓄電体間の接続部に接続される構成である。
第三実施形態に係る移動型X線撮影装置を図10、図11を用いて説明する。図10(a)のように、第三実施形態では、X線高電圧発生部713のS1スイッチとコンデンサ103との間に、ダイオード501と充電・回収選択用スイッチであるスイッチS8を並列接続した回路を備えている。ダイオード501の向きは、蓄電池101からコンデンサ103を充電する際の電流の向きとは逆向きである。スイッチS8は、回収部201のインダクタLに接続されている。インダクタLは、第二実施形態と同様に、選択用スイッチ群403を介して、複数の蓄電体からなる蓄電池101内のいずれかの極板、もしくは蓄電体間の接続部に接続される構成である。
第一の実施形態では、X線放射後にすぐにコンデンサ103に残存した電荷を蓄電池101に回収したが、X線放射により、コンデンサ103の電圧VcがdVc低下した場合、蓄電池101からコンデンサ103に電荷を供給して、コンデンサ103を再充電することも可能である。コンデンサ103を再充電する場合、電荷Qが移動すると、dVc*Q/2がジュール熱として消費される。そのため、第三実施形態では、X線放射量が予め定めた閾値より小さい場合には、コンデンサ103の電圧低下量dVcも小さいため、電荷を回収することなく、蓄電池101からコンデンサ103に再充電する(図10(b))。
コンデンサ103の電荷を回収して0ボルトにしてから再充電するよりも、dVcだけを充電する方が、ジュール熱による電力消費が小さくなるためである。一方、X線放射量が閾値以上である場合は、コンデンサ103の電圧低下量dVcが大きいため、コンデンサ103に残存した電荷を一旦蓄電池101に回収し、その後再充電する(図10(c))。これにより、電荷移動によるジュール熱による損失まで含めて、損失する電力を低減し、省電力化を図る。
第三実施形態のX線高電圧発生部713の動作を図11を用いて説明する。第一および第二実施形態と同様の動作には、同じ符号を付して説明を省略する。
ステップ1000において、装置のメインスイッチがオンにされた後、ステップ4001において、制御部708は、X線放射条件の設定を、コンソール部711やディスプレイ712を介して操作者から受け付ける。設定するX線放射条件は、例えば管電圧や管電流、X線放射時間、繰り返し撮影の有無などである。
ステップ1001において、操作者が放射スイッチ108の1段目スイッチをオンにした場合、制御部708は、ステップ4003に進み、スイッチ群403のうち、Vb/2の電位の位置のスイッチをオンにし、S1スイッチをオフ、S8スイッチをオフにする(t=0)。これにより、第一実施形態と同様LC回路の共振作用で、コンデンサ103の電圧を蓄電池101の全体の電圧Vbと同電圧まで充電する。
ステップ1003において、制御部708は、記憶部709に記憶されている規定時間が経過するまで待機する。この規定時間は第一実施形態と同様のLC回路の共振周期Tの1/2の時間である。規定時間が経過すると制御部708は、ステップ3004に進み、回収制御部809へ、スイッチ群403をオフ、スイッチS1をオン、スイッチS8をオンにする指示を出す(t=t2)。これにより、コンデンサ103の電圧Vcが、蓄電池101の全体の電圧Vbで保持される。
この後、ステップ1005〜1009を行って、第一実施形態と同様に制御部708は、陽極を回転させ、許可信号を出力し、放射スイッチ108の2段目スイッチのオンを操作者から受け付ける。
2段目スイッチがオンされたならば、ステップ4011において、制御部708は、ステップ4001で操作者が入力したX線放射条件に基づいて、X線放射によるコンデンサ103の電圧低下量dVcを計算する。求めた電圧低下量dVcが閾値よりも大きいかどうか判定し、閾値よりも小さい場合、ステップ4020へ進み、X線放射後にコンデンサ103を蓄電池101から再充電する動作を以下のように行う。
すなわち、ステップ4020において、制御部708は、回収制御部809により、スイッチS8およびスイッチS1がオン、スイッチ群403がオフのまま、ステップ4021において、X線を放射させる。これにより、スイッチS8がオンのため、ダイオード501はバイパスされ、第一実施形態の回路と同様の回路で、コンデンサ103および蓄電池101からインバータ回路105に電力が供給され、X線が放射される。このとき、コンデンサ103の電圧は、dVcだけ下がる。スイッチS8およびS1がオンとなっているため、蓄電池101から蓄電池101の電圧Vbまでコンデンサ103は再充電される。
ステップ4022において、制御部708は、このあとX線の放射を繰り返すかどうかを、操作者から設定されたX線放射条件を参照して判断する。繰り返しがある場合、ステップ4020へもどり、再度X線の放射を行う。X線の放射がない場合、ステップ4023へ進み、コンデンサ103に残った電荷を回収する。
ステップ4023において、制御部708は、回収制御部809を介して、スイッチ群403のいずれかをオンにし、スイッチS8およびS1をオフにする。スイッチ群403のいずれを選択するかは、第二実施形態の図9のステップ3009と同様にコンデンサ103の電圧をモニタして行う。
これにより、回収部201を介して、コンデンサ103と蓄電池101とが接続され、LC共振作用により、コンデンサ103の電荷が蓄電池101へ回収される。ステップ4024において、制御部708は、記憶部709に記憶されている規定時間(LC回路の共振周期Tの1/2)が経過したならば、制御部708は、ステップ4025へ進み、回収制御部809を介して、スイッチ403およびスイッチS1をオフにする。これにより、コンデンサ103に残存していた電荷は、高効率で蓄電池101に回収され、コンデンサ103の電圧Vcはゼロになる。そして、ステップ4001に戻る。
一方、ステップ4011で、コンデンサ103の電圧低下量dVcが閾値以上に大きい場合は、コンデンサ103の電圧低下が大きく、再充電するよりも、一旦、回収部201により蓄電池101へ電荷を回収した方が、ジュール熱による損失が小さいため、ステップ4030へ進む。
ステップ4030において、制御部708は、回収制御部809を介して、スイッチS8をオフにし、スイッチS1がオン、スイッチ群403がオフのまま、ステップ4031において、X線を放射させる。ダイオード501の向きは充電の際の電流の向きとは逆向きため、コンデンサ103からインバータ回路105への電流の供給は妨げない。また、X線放射後、コンデンサ103の電圧はdVc低下するが、スイッチS8がオフの状態であるので、ダイオード501を介して蓄電池101に接続されており、ダイオード501の向きが充電の際の電流の向きとは逆向きであるので、コンデンサ103は蓄電池101から充電されることがなく、コンデンサ103の電圧はX線の放射により下がった状態を継続する。
ステップ4032において、制御部708は、回収制御部809へ、スイッチ群403のいずれかを選択してオンにし、S1スイッチをオフにする指示を出す。スイッチS8はオフのままである。スイッチ群403のいずれを選択するかは、第二実施形態の図9のステップ3009と同様にコンデンサ103の電圧をモニタして行う。
これにより、コンデンサ103は、回収部201を介して蓄電池101と接続され、LC共振の作用により、コンデンサ103の電力が蓄電池101へ回収される(t=t5)。ステップ4033において、記憶部709に記憶されている規定時間(共振周期Tの1/2)が経過したならば、ステップ4034へ進み、制御部708は、回収制御部809を介して、スイッチ群403をオフにし、S1スイッチをオフのままにする(t=t7)。これにより、コンデンサ103に残存していた電荷は、高効率で蓄電池101に回収され、コンデンサ103の電圧Vcはゼロになる。
その後、ステップ4035において、制御部708は、回収制御部809へ、再びスイッチ群403のうち、蓄電池101のVb/2の電位の極板に接続するスイッチを選択してオンにし、スイッチS1およびS8はオフのままにすると、ステップ4003と同様に、LC共振作用により、コンデンサ103が再び充電される。ステップ4036において、制御部708は、記憶部709に記憶されている規定時間(共振周期Tの1/2)が経過したならば、ステップ4037へ進み、スイッチ403をオフにし、スイッチS1およびS8をオンにする。これにより、コンデンサ103の電圧Vcは、蓄電池101の電圧Vbまで充電され、その電圧が維持される。
ステップ4038において、制御部708は、このあとX線の放射を繰り返すかどうかを、操作者から設定されたX線放射条件を参照して判断する。繰り返しがある場合、ステップ4030へもどり、再度X線の放射を行う。X線の放射がない場合、ステップ4023へ進み、コンデンサ103に残った電荷を回収する。
ステップ4011で用いる閾値としては、コンデンサ103に残った電荷を回収することなく再充電する場合の電荷移動によるジュール熱と、電荷を一旦回収して電圧をゼロにして再充電する場合の電荷移動によるジュール熱とが等しくなるような電圧低下量dVcに設定されている。
第三実施形態によれば、電荷移動によるジュール熱まで考慮して、ジュール熱が小さくなるように、コンデンサ103に残った電荷を一旦回収して再充電するか、回収せずに再充電するかを決定するため、無効電力をより小さくすることができ、X線撮影装置の電力利用効率の向上が図られる。
101 蓄電池、103 コンデンサ、104 放電回路、105 インバータ回路、106 X線管、107 回転陽極用インバータ、201 回収部、401 DC/DCコンバータ、403 スイッチ群、701 台車部、702 車輪部、703 支柱、704 アーム部、706 外部電源、707 ケーブル、708 制御部、709 記憶部、710 X線画像処理部、711 コンソール部、712 ディスプレイ、713 X線高電圧発生部、801 電力供給部、803 コンデンサ用電圧センサ、804 インバータ部、806 高電圧発生部、807 電圧センサ、809 回収制御部
Claims (11)
- X線管装置と、X線高電圧発生部とを備え、
このX線高電圧発生部は、電力を蓄積する蓄電池と、前記蓄電池と並列に接続され、前記蓄電池によって充電されて、X線照射時に前記X線管装置へ電力を供給するコンデンサと、このコンデンサに蓄えられた電力を前記蓄電池へ回収する回収部と、を備え、
前記回収部は、前記コンデンサと直列に配置されたインダクタを含み、このインダクタと、前記コンデンサとにより構成されるLC回路の共振作用により、前記コンデンサに蓄積された電力を、前記蓄電池に回収することを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記回収部は、前記インダクタの前記コンデンサに接続されている側の端部とは逆側の端部を前記蓄電池に接続するスイッチをさらに含むことを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項2に記載のX線撮影装置において、
前記スイッチをオンオフする回収制御部をさらに有し
前記回収制御部が、
前記スイッチをオンした後、前記LC回路の共振周期の1/2の時間を経過したときにオフすることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項3に記載のX線撮影装置において、
前記蓄電池は、複数の蓄電体を直列に接続した構成であり、
前記インダクタは、前記蓄電池全体の出力電圧の略1/2の電圧になる前記蓄電体同士の接続部に接続していることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項4に記載のX線撮影装置において、
前記複数の蓄電体は偶数個であり、これら偶数個の蓄電体を半分の個数の蓄電体群に分割し、これら二つの蓄電体群の間の接続部に、前記インダクタが接続していることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記コンデンサと並列に放電部を設け、
前記コンデンサに蓄積された電力を、前記蓄電池に回収した後、前記コンデンサの残りの電力を消費するように、前記放電部の断接制御を行う充電制御部を備えることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記蓄電池と前記コンデンサとの間には、前記蓄電池およびコンデンサと直列に、DC/DCコンバータが配置され、
前記DC/DCコンバータは、直列に接続されたコンバータ用インダクタとダイオードとコンバータ用スイッチとを含み、
前記回収部の前記インダクタは、前記DC/DCコンバータの前記コンバータ用インダクタを兼用することを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項7に記載のX線撮影装置において、
前記回収部は、前記DC/DCコンバータの前記ダイオードをバイパスするためのバイパス用スイッチをさらに有することを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項6に記載のX線撮影装置において、
前記蓄電池は、二以上の蓄電体を直列に接続して構成され、
前記充電制御部は、前記コンデンサの電圧に対応して、前記蓄電体のいずれかの間に前記インダクタを接続し、
前記コンデンサに蓄積された電力を、前記蓄電池に回収することを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項1に記載のX線撮影装置において、
前記コンデンサから前記X線管装置へ電力を供給した後、前記コンデンサの電力を回収することなく前記蓄電池によって充電するか、前記コンデンサの電力を前記回収部により回収するかを選択するための、充電・回収選択用回路が、前記コンデンサと前記蓄電池の間に配置されていることを特徴とするX線撮影装置。 - 請求項10に記載のX線撮影装置において、
前記充電・回収選択用回路は、並列に配置された、ダイオードと、充電・回収選択用スイッチとを含み、
X線照射条件から前記X線照射時の前記コンデンサの電圧低下量を算出し、前記電圧低下量に基づいて、前記充電・回収選択用スイッチを切り替える制御部をさらに有することを特徴とするX線撮影装置。
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