以下、本発明による無線基地局装置、基地局セル処理リソース割り当て方法および基地局セル処理リソース割り当てプログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による無線基地局装置および基地局セル処理リソース割り当て方法について説明するが、かかる基地局セル処理リソース割り当て方法をコンピュータにより実行可能な基地局セル処理リソース割り当てプログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、基地局セル処理リソース割り当てプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、複数の基地局セル(RRU:Remote Radio Unitリモート無線ユニット)分のベースバンド信号処理(無線通信処理)を集約化した1ないし複数のベースバンド信号処理モジュール(BBU:Base Band Unitベースバンド信号処理カード)にて行い、処理リソースの共有化を図る無線基地局装置において、RRUとBBUとの間の接続切り替えを行うために配置される接続切り替え部として、RRUまたはBBUの拡張時に、RRUやBBUと同様に、線形に拡張することができる比較的簡単な回路構成で実現することができ、かつ、線形に拡張可能な接続切り替え部を用いた場合であっても、BBUとRRUとの間で接続することができない組み合わせが発生しないように全ての組み合わせの接続を実現する従来の接続切り替え部を用いた場合と同等程度の、処理リソース共有による低消費電力化効果が得られることを、主要な特徴としている。
より具体的には、本発明は、次のような仕組みを備えている。すなわち、複数の基地局セル(RRU)分のベースバンド信号処理(無線通信処理)を集約化したベースバンド信号処理モジュール(BBU)にて行う無線基地局装置において、RRUとBBUとの間の接続切り替えを行う接続切り替え制御部を備え、該接続切り替え制御部は、互いに隣接する3つまたは複数のBBUに限定して接続することが可能な1ないし複数の接続切り替えモジュールを並べて互いに連接した構成とすることを主要な特徴としている。
また、同時に、前述のごとき限定した接続状態を勘案して、BBUへのRRU処理リソース割り当てを行う動作に先立って、稼動をOFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)BBUの候補をあらかじめ決定し、しかる後、決定した当該BBUの候補から距離的に離れたBBUから順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行うことも主要な特徴としている。
そして、優先的に処理割り当てを行ったBBUの処理リソース使用率があらかじめ定めた上限値を超えた場合には、当該BBUからの接続距離が離れた位置にあるRRUに関するRRU処理から順番に優先的に他のBBUに移動させる制御を行い、一方、当該BBUの処理リソース使用率があらかじめ定めた下限値を下回った場合には、逆に、当該BBUからの接続距離が近い位置にあるRRUに関するRRU処理から順番に優先的に当該BBUに対する処理割り当て制御を行うことも主要な特徴としている。
而して、本発明により、次のような効果が得られる。本発明における無線基地局装置は、接続切り替え制御部として、互いに隣接する3つまたは複数のBBUに限定して接続可能な接続切り替えモジュールを並べる構成にしたことにより、RRUまたはBBUを拡張する場合に、RRUやBBUと同様に、接続切り替えモジュールを線形に拡張するだけで対応することができ、接続切り替え制御部を含めて、線形に拡張することが可能な無線基地局装置を実現することができる。
そして、BBUとRRUとの間の接続の組み合わせを限定しながらも、かかる制約条件を考慮して、稼動をOFFにしたいBBUをあらかじめ決定して、決定した当該BBUから距離的に離れたBBUから順番に優先的に処理割り当て制御を行い、かつ、対象BBUに対するRRU処理割り当て制御も、対象BBUからの接続距離を考慮した処理割り当て制御方法とすることにより、接続に限定のない理想的な接続切り替え部を用いた場合とほぼ同等な処理リソース共有化すなわち低消費電力化を実現することができる。
(本発明の実施の形態)
次に、図1ないし図11の各図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、第1の実施の形態においては、本発明における無線基地局装置の一例として、複数の基地局セル(RRU:Remote Radio Unitリモート無線ユニット)分のベースバンド信号処理(無線通信処理)を1ないし複数のベースバンド信号処理モジュール(BBU:Base Band Unitベースバンド信号処理カード)に集約化して、処理リソースの共有化を行う無線基地局装置において、RRUとBBUとの間の接続切り替えを行うために無線基地局装置内に配置される接続切り替え制御部の基本構成と特徴、および、基地局セル処理リソース割り当て方法の動作と特徴とについて詳説する。また、第2の実施の形態においては、接続切り替え制御部として、隣接する5つ(複数)のベースバンド信号処理モジュール(BBU)に接続可能な接続切り替えモジュールを備えた無線基地局装置の構成例について詳説する。さらに、第3の実施の形態においては、ベースバンド信号処理モジュールと基地局セルと接続切り替えモジュールとを、あらかじめ定めた一定の単位でクラスタ化した無線基地局装置の構成例について詳説する。
(第1の実施の形態の構成例)
図1は、本発明の第1の実施の形態における無線基地局装置の全体構成例を示すブロック構成図であり、無線基地局装置として、無線信号処理を集約化してその処理リソースを共有する無線基地局装置の全体構成例を示している。
図1に示す無線基地局装置100は、n(n:自然数)個の基地局セル(RRU:Remote Radio Unitリモート無線ユニット)11〜1nの各無線通信処理を集約して実施するベースバンド処理プール(BBU−pool)20を備え、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内にはk(k:自然数、k≦n)個のベースバンド信号処理カード(BBU:Base Band Unitベースバンド信号処理モジュール)21〜2kを備える。ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内のk個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれは、n個の基地局セル(RRU)11〜1n間における処理リソースの共有を行いながら、例えばLTE−Advancedなどの無線方式のLayer−1処理(ベースバンド信号処理)等を行う。
また、k個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれのRF(Radio Frequency:無線)部側は、接続切り替え制御部30を介して、光ファイバや無線バックホール(フロントホール)などにより、各基地局セル(RRU)11〜1nと接続される。ここで、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20において処理する無線方式は、LTE−Advanced以外の無線方式であっても何ら問題はないし、また、処理するレイヤについてもLayer−1以外のLayer−2等の処理であっても特に問題はない。
そして、接続切り替え制御部30は、k個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれに対応して、k個の接続切り替えモジュール31〜3kを備え、k個の接続切り替えモジュール31〜3kそれぞれを順番に並べて隣同士を互いに連接して構成することを特徴としている。ここで、各接続切り替えモジュール31〜3kは、それぞれ、1つまたは複数の基地局セル(RRU)11〜1nと1つまたは複数のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間の接続を行うことが可能であり、かつ、隣接する接続切り替えモジュールとの間の相互接続が可能な構成としている。例えば、k個の接続切り替えモジュール31〜3kのうち、第i(1≦i≦k)番目の接続切り替えモジュール3iは、隣接する第(i−1)番目の接続切り替えモジュール3(i−1)および第(i+1)番目の接続切り替えモジュール3(i+1)と相互に接続することが可能である。
したがって、n個の基地局セル(RRU)11〜1nのうち、第i番目の接続切り替えモジュール3iに接続された任意の基地局セル(RRU)例えば第j(1≦j≦n)番目の基地局セル(RRU)1jは、当該RRU1jが接続された接続切り替えモジュール3iに対応する第i番目のBBU2iを中心にして、両側に隣接する複数のBBU間すなわち第(i−1)番目のBBU2(i−1)および第(i+1)番目のBBU2(i+1)間において、接続を切り替えることが可能である。
また、無線基地局装置100は、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内のk個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kに対する処理リソース割り当て制御用に、処理リソース割り当て制御部51、トラフィック予測部52、接続情報格納部53等も備えている。
トラフィック予測部52は、処理リソース割り当て制御のために、過去のトラフィック履歴やデータベース等を用いて、次の一定期間におけるトラフィックを予測する部位である。処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52において予測されたトラフィックに基づいて、n個の各基地局セル(RRU)11〜1nのk個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kに対する処理リソース割り当て制御を行う部位である。また、接続情報格納部53には、限定した接続が行われる基地局セル(RRU)11〜1nとベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間の接続情報として、どのRRUがどのBBUに接続することが可能であるかという接続情報が格納されており、処理リソース割り当て制御部51は、必要に応じて、接続情報格納部53の接続情報も参照して、処理リソース割り当て制御を行う。
(第1の実施の形態の動作の説明)
次に、本発明の第1の実施の形態として図1に示した無線帰途局装置100の動作の一例について、図2ないし図7を用いて詳細に説明する。なお、図1に示した無線基地局装置100のベースバンド処理プール(BBU−pool)20内のk個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kにおいては、前述したように、n個の基地局セル(RRU)11〜1n分の、例えばLTE−AdvancedなどのLayer−1処理(ベースバンド信号処理)等の無線通信処理を集約して行っている。
k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kによる処理リソースの共有により、基地局セル(RRU)11〜1n分のそれぞれの基地局セル(RRU)の処理を、k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kのうち、どのベースバンド信号処理カード(BBU)で実施するかを可変とするために、各基地局セル(RRU)11〜1nと各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間の接続切り替えは、接続切り替え制御部30にて実施される。接続切り替え制御部30にて切り替えられた各送受信信号は、光ファイバや無線バックホール(フロントホール)などを介して、互いが接続された状態になった基地局セル(RRU)11〜1nとベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間で送受信される。
ここで、接続切り替え制御部30は、隣接する接続切り替えモジュール同士を相互接続することが可能な状態になるように、隣り合う各接続切り替えモジュール31〜3kを互いに連接した構成としている。図2は、本発明の第1の実施の形態における接続切り替えモジュール31〜3kの構成例を示す模式図であり、各接続切り替えモジュール31〜3kの一構成例として、第i番目(1≦i≦k)の接続切り替えモジュール3iを例にとって、隣接する両側1個ずつの接続切り替えモジュールと相互接続を可能にする構成例を示している。
図2に示す例においては、1つの接続切り替えモジュール3iにはBBU#iの1個との間を接続するベースバンド信号処理モジュール(BBU)用入出力インタフェース、(少なくとも)RRU#j1、RRU#j2、RRU#j3(1≦j1、j2、j3≦k)の3個のRRUとの間を接続するベースバンド信号処理モジュール(BBU)基地局セル(RRU)用入出力インタフェース、両側に隣接する接続切り替えモジュール3(i−1)および接続切り替えモジュール3(i+1)それぞれとの間を相互接続する相互接続用入出力インタフェース、を備えている場合の一例を示している。例えば、該接続切り替えモジュール3iに接続された第i番目のBBU#iの1個のみによって、トラフィックが如何に大きい場合であっても、(少なくとも)任意の3個のRRU、例えば、第j1番目のRRU#j1、第j2番目のRRU#j2、第j3番目のRRU#j3(1≦j1、j2、j3≦k)の3個のRRUに関する無線通信処理を行うことができる場合を想定した構成例を示している。
図2に示す構成例の場合、当該接続切り替えモジュール3iに接続された3個のRRU#j1、RRU#j2、RRU#j3からの第1RRU入力インタフェース1が1系統、両側の隣接接続切り替えモジュール3(i−1)および3(i+1)からの第2RRU入力インタフェース2が2系統、RRU#j1、RRU#j2、RRU#j3から両側の隣接接続切り替えモジュール3(i−1)および3(i+1)に向けた第1RRU出力インタフェース3が2系統、そして、第1RRU入力インタフェース1と第2RRU入力インタフェース2とのそれぞれからの各入力を選択調停する選択回路(図2には図示していない)等から構成される。
各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kの最大処理能力にも依存するが、図2に示す実施例においては、1個のBBU例えばBBU#iに最大9個の基地局セル(RRU)を接続して、処理することが可能である。なお、図2には、RRU側からBBU側への信号の流れのみを図示しており、BBU側からRRU側への逆方向の信号の流れについては記載を割愛している。しかし、実際には、BBU側からRRU側への逆方向の信号の流れもほぼ同様に存在することに留意されたい。
かくのごとく、複数の接続切り替えモジュールを並べて互いに連接して、隣接する両側1個ずつの接続切り替えモジュールと相互接続することにより、各接続切り替えモジュール例えば接続切り替えモジュール#i 3iに接続された任意の基地局セル(RRU)例えばRRU#j1は、当該RRU#j1が接続された接続切り替えモジュール例えば接続切り替えモジュール#i 3iに対応するBBU例えばBBU#iを中心にして、少なくとも、隣接する複数の(図2の例では3個の)BBU間例えばBBU#(i−1)、BBU#i、BBU#(i+1)の3個のBBU間において接続を切り替えることが可能である。
図3は、本発明の第1の実施の形態における接続切り替えモジュール31〜3kの接続構成例を示す接続構成図であり、図1に示すk個の各接続切り替えモジュール31〜3kそれぞれに図2に例示した接続切り替えモジュールを用いた場合の、RRU−BBU間の接続構成例を示している。図3の実施例においては、接続切り替えモジュール31〜3kおよびベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kの個数kが4個(k=4)、基地局セル(RRU)11〜1nの個数nが12個(n=12)の場合を示している。
また、各BBU#1〜BBU#4は、基本的に(トラフィックが大きい場合を想定して)、各BBU#1〜BBU#4それぞれに対応する各接続切り替えモジュール#1〜接続切り替えモジュール#4それぞれに接続された3個分のRRUに関する処理を行う場合を示している。つまり、BBU#1は、RRU#1〜RRU#3の3個分のRRU、BBU#2は、RRU#4〜RRU#6の3個分のRRU、BBU#3は、RRU#7〜RRU#9の3個分のRRU、BBU#4は、RRU#10〜RRU#12の3個分のRRUの処理をそれぞれ行う。
そして、各RRU#1〜RRU#12は、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20のBBU#1〜BBU#4のうち、各RRU#1〜RRU#12ごとにあらかじめ定めた互いに隣接するBBUのいずれかに限定して接続することが可能である。すなわち、各RRU#1〜RRU#12は、それぞれのRRUが接続された接続切り替えモジュール#1〜接続切り替えモジュール#4それぞれに対応して接続されたBBU#1〜BBU#4それぞれを中心にして、少なくとも両側に隣接する2つのBBUも含めた合計3つのBBUのいずれかに選択接続することが可能である。例えば、図3のRRU#4の場合は、接続切り替えモジュール#2に接続されているが、対応して接続されたBBU#2を中心にして、両側に隣接するBBU#1、BBU#3を含め、3つのBBU(BBU#1、BBU#2,BBU#3)のいずれでも選択して接続することが可能である。
そして、例えば、トラフィックが小さい場合には、4つのBBU#1〜BBU#4のうち、任意のBBU例えばBBU#2は、当該BBU#2が対応して接続される接続切り替えモジュール#2を中心にして、隣接する接続切り替えモジュール#1、接続切り替えモジュール#3を含め、3つの接続切り替えモジュール(接続切り替えモジュール#1、接続切り替えモジュール#2、接続切り替えモジュール#3)に接続された最大9個のRRUを接続して処理することが可能な構成とされている。
つまり、例えば、BBU#2の場合には、当該BBU#2に接続されたRRU#4〜RRU#6の3個分、および、両隣の接続切り替えモジュール#1と接続切り替えモジュール#3とのそれぞれに接続されたRRU#1〜RRU#3の3個分とRRU#7〜RRU#9の3個分を合計した最大9個のRRU#1〜#9を接続して処理することが可能である。
次に、図1に示したように、無線基地局装置100は、各BBUにおける処理リソース共有を実施するために、トラフィック予測部52(トラフィック予測機能)によるトラフィック予測結果に基づいて、k個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kへのn個の基地局セル(RRU)11〜1nの処理リソース割り当てを行う処理リソース割り当て制御部51を備えている。
トラフィック予測部52は、あらかじめ定めた或る一定の時間間隔ごとに、日々のトラフィックデータが蓄積されたトラフィックデータベース(各時間間隔ごとの日々のトラフィックの平均値)や、当日のトラフィック履歴(各時間間隔ごとの当日のトラフィックの実績値)などを用いて、n個の基地局セル(RRU)11〜1nごとに、次の前記一定の時間間隔分のトラフィック予測を行う。
また、処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52において予測されたトラフィックに基づいて、k個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれに対するn個の各基地局セル(RRU)11〜1nの処理リソース割り当ての制御を行う。該処理リソース割り当て制御の目的は、低消費電力化を実現するために、処理リソース共有により、できるだけ少ない個数のBBUだけを稼動させ、稼動OFFにすることができるBBU数をできるだけ増やすことにある。
次に、低消費電力化を実現するために処理リソース割り当て制御部51において実施される基地局セル処理リソース割り当ての制御方法の一例について、図4、図6、図7の各制御フローチャートおよび図5の説明図を用いて説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態における処理リソース割り当て制御に関する全体の処理手順の一例を説明するための制御フローチャートである。
本発明の第1の実施の形態における処理リソース割り当て制御においては、図4の制御フローチャートに示すように、最初に、トラフィック予測部52によるトラフィック予測結果と、現在点におけるk個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kの稼動状態とから、処理リソース割り当て制御部51は、次に稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)ベースバンド信号処理カード(BBU)の順番をあらかじめ決定する(ステップS1)。稼動OFFにしたいベースバンド信号処理カード(BBU)の順番を決定したら、次に、処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の順番もあらかじめ決定する(ステップS2)。例えば、処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の順番として、次に稼動をOFFにしたいベースバンド信号処理カード(BBU)から離れたベースバンド信号処理カード(BBU)を優先するように設定する。
ここで、ステップS1およびS2の処理を行う理由は、本発明の第1の実施の形態においては、無線基地局装置100の拡張性を向上させるために、基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間の一部の接続を限定するような接続切り替え制御部30を用いているので、或る特定のRRUから接続することができないBBUへの処理リソース割り当てが行われてしまうことをあらかじめ防止する必要があるためである。
図5は、本発明の第1の実施の形態における処理リソース割り当て制御において次に稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kの順番を決定する仕組みの一例を説明するための説明図であるが、図4の制御フローチャートのステップS1の処理(次に稼動OFFにしたいベースバンド信号処理カード(BBU)の決定方法)の詳細な仕組みのみならず、さらには、ステップS2の処理(処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の決定方法)の詳細な仕組みについてもその一例を説明している。なお、図5の説明図においては、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20のベースバンド信号処理カード(BBU)の個数を、BBU#1〜BBU#8の8個、対応する接続切り替え制御部30の接続切り替えモジュールの個数も接続切り替えモジュール#1〜接続切り替えモジュール#8の8個とし、一方、基地局セル無線部(RRU)10の基地局セル(RRU)の個数を、RRU#1〜RRU#24の24個としている場合を例示している。
ステップS1の処理(次に稼動OFFにしたいベースバンド信号処理カード(BBU)の決定方法)においては、処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52によって予測されたトラフィック量に応じて、基本的には、2のべき乗の間隔ごとに、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)ベースバンド信号処理カード(BBU)を設定する。
すなわち、例えば、図5(A)に示すように、トラフィックが大きい場合には、8個(=23個)間隔で、稼動OFFにしたいBBUを設定する(図5の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#4の1個のBBUを設定する)。また、図5(B)に示すように、トラフィックが中程度の場合には、4個(=22個)間隔で、稼動OFFにしたいBBUを設定する(図5の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#4とBBU#8との2個のBBUを設定する)。また、図5(C)に示すように、トラフィックが小さい場合には、2個(=21個)間隔で、稼動OFFにしたいBBUを設定する(図5の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#2とBBU#4とBBU#6とBBU#8との4個のBBUを設定する)。
さらに、トラフィック予測時点における各ベースバンド信号処理カード(BBU)の稼動状態として、図5(A)の「トラフィック大」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち例えばBBU#4または他のいずれか1つのBBUが稼動OFFの状態)を実現できている場合には、次に、図5(B)の「トラフィック中」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち例えばBBU#4、BBU#8の2つまたは4個間隔で他のいずれか2つのBBUを稼動OFFにする状態)を目指して処理リソース割り当て制御を行う。すなわち、例えば、図5(A)に示すように、BBU#4の1つのBBUが稼動OFFの状態にあった場合には、図5(B)の「Low」に示すように、その次に追加してBBU #8も稼動OFFにすることを目指す。
また、トラフィック予測時点におけるベースバンド信号処理カード(BBU)の稼動状態として、図5(B)の「トラフィック中」のBBU稼動状態を既に実現できている場合には、次に、図5(C)の「トラフィック小」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち例えばBBU#2、BBU#4、BBU#6、BBU#8の4つまたは2個間隔で他のいずれか4つのBBUを稼動OFFにする状態)を目指して処理リソース割り当て制御を行う。すなわち、例えば、図5(B)に示すように、BBU#4、#8の2つのBBUが稼動OFFの状態にあった場合には、図5(C)の「Low」に示すように、その次に追加してBBU#2、#6も稼動OFFにすることを目指す。
次に、ステップS2の処理(処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の決定方法)の仕組みについて、図5を参照しながら説明する。処理リソース割り当て制御部51は、処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の選択順として、稼動OFFにしたいBBU(既に稼動OFFの状態にあるBBUも含む)からできるだけ遠く離れたBBUから順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う。ここで、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)BBUおよび既に稼動OFF状態のBBUが複数存在する場合には、該当するBBUの中間に位置するBBUから順番に処理リソース割り当て制御を行う。
例えば、トラフィック予測部52においてトラフィックが大きいと予測され、図5(A)の「トラフィック大」に記載のように、8個のBBUのうち例えばBBU#4を次に稼動OFFにしたいBBUとして決定した場合、または、BBU#4を稼動OFFの状態に既に設定していた場合には、図5(A)の「High1」に示すように、当該BBU#4から距離的に最も離れているBBU#8から順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う。また、トラフィックが中程度と予測され、図5(B)の「トラフィック中」に記載のように、8個のBBUのうち例えばBBU#4とBBU#8とを次に稼動OFFにしたいBBUとして決定した場合、または、BBU#4とBBU#8とを稼動OFFの状態に既に設定していた場合には、図5(B)の「High1」に示すように、当該BBU#4およびBBU#8から距離的に最も離れたBBUすなわち当該BBU#4およびBBU#8の中間に位置するBBUとなるBBU#2や#6から順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う。
なお、図5(B)の「トラフィック中」に記載のように、稼動OFFにしたいBBUおよび既に稼動OFF状態のBBUが複数存在する場合に、複数の当該BBUから距離的に同じ程度離れたBBUが複数存在している場合には、同じ程度離れた複数のBBUのうち、いずれのBBUから順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行うようにしても良い。また、図5(A)の「トラフィック大」の場合において、BBU#8の次に優先的に処理リソース割り当て制御を行うBBUとして、BBU#1とBBU#7とがBBU#4からの距離が同じ程度であった場合には、BBU#8の次の優先順としてBBU#1、BBU#7のいずれを選択しても構わない。
次に、図4の制御フローチャートの説明に戻って、ステップS3以降の各ステップについて説明する。図4の制御フローチャートに示すように、ステップS2において決定したBBUの処理リソース割り当て制御の制御順にしたがって、優先順の高いBBUから順番に、以下に説明するような処理リソース使用率に関する閾値判定を行う処理を繰り返す。まず、順番に選択した対象BBUに関して、現時点において割り当てられている全RRUのトラフィック予測値から処理リソース使用率を算出し、あらかじめ定めた上限値である閾値Aとの閾値判定を行う(ステップS3)。対象BBUの処理リソース使用率が、上限値である閾値Aを超えていた場合には(ステップS3のYes)、処理リソース不足となる懸念があるため、詳細を後述の図6において説明する割り当て制御処理A(proc.A)を実行して(ステップS5)、対象BBUに既に割り当てられているいずれかのRRU処理を他のBBUに移動させることが可能か否かを判定して、他のBBUにおいて処理可能と判定した場合には、処理可能と判定した他のBBUに当該RRU処理を移動させる処理を実行する。
また、対象BBUの処理リソース使用率が、上限値である閾値Aを超えていない場合には(ステップS3のNo)、次に、あらかじめ定めた下限値である閾値Bとの閾値判定を行う(ステップS4)。対象BBUの処理リソース使用率が、下限値である閾値Bを下回っていた場合には(ステップS4のYes)、対象BBUで他のRRU処理を実行することが可能な処理能力マージンがまだ残っていることを意味するため、詳細を後述の図7において説明する割り当て制御処理B(proc.B)を実行して(ステップS6)、対象BBU以外のBBUに割り当てられているRRU処理であって、まだ、今回の割り当てが決まっていないRRU処理について、当該対象BBUにおいて処理することが可能か否かを判定して、処理可能と判定した場合には、該当するRRU処理を当該対象BBUに割り当てる処理を実行する。
そして、図4の制御フローチャートにおいて、ステップS3〜ステップS6に示すBBUの処理リソース使用率に関する閾値判定処理、割り当て制御処理A(proc.A)や割り当て制御処理B(proc.B)の処理を、ステップS2において決定したBBU順に全てのBBUについて順番に繰り返して実施し、全てのBBUについて処理リソース割り当てが決定したところで、1回分の処理リソース割り当て制御が完了となる。
次に、前述した割り当て制御処理A(proc.A)の処理の詳細を、図6の制御フローチャートを用いて説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態における処理リソース割り当て制御においてベースバンド信号処理カード(BBU)の基地局セル(RRU)処理を他のベースバンド信号処理カード(BBU)に移動させる処理の一例を示す制御フローチャートであり、図4に示したように、対象BBUの処理リソース使用率があらかじめ定めた上限値である閾値Aを超えていた場合に、対象BBUに割り当てられているRRU処理のうち、いずれかのRRU処理を他のBBUに移動させる割り当て制御処理A(proc.A)の処理内容の一例を示している。
図6に示す制御フローチャートにおいて、まず、接続切り替え制御部30の限定接続機能により、任意のRRUから接続することができないBBUへの当該RRUに関するRRU処理リソース割り当て制御を防止するために、対象BBUに割り当てられているRRUのうち、RRU処理を移動させる候補とするRRUの優先順を決定する(ステップA1)。ここで、RRU処理を移動させる候補とするRRUの優先順は、図1に示した接続情報格納部53に格納されているRRU−BBU間の接続情報などを基にして、例えば、対象BBUからの接続距離が遠くにあるRRUから順番の優先順に設定する。そして、ステップA1において決定した優先順にしたがって、対象BBUの処理リソース使用率が、上限値である閾値Aを下回る状態になるまで、以下のRRU処理割り当て制御を繰り返す。
まず、優先順にしたがって選択されたRRUに関して、当該RRUを接続可能なBBUとして、当該RRU周辺において既に稼動しているBBUに対して当該RRU処理割り当てが可能か否かを判定する(ステップA2)。当該RRU周辺の稼動BBUに対して当該RRU処理割り当てが可能な場合、すなわち、該稼動BBUに当該RRU処理を新たに割り当てても、該稼動BBUのリソース使用率が上限である閾値Aを超えない場合は(ステップA2のYes)、当該RRU周辺の該稼動BBUに当該RRU処理を移動させる(ステップA6)。
一方、当該RRU周辺の稼動BBUに対して当該RRU処理割り当てが不可能な場合には(ステップA2のNo)、次に、当該RRUを接続可能なBBUとして、当該RRU周辺においてその時点で稼動OFFとなっているBBUに対して当該RRU処理割り当てが可能か否かを判定する(ステップA3)。当該RRU周辺の稼動OFF状態のBBUに対して当該RRU処理割り当てが可能な場合は(ステップA3のYes)、当該RRU周辺の稼動OFF状態のBBUに当該RRU処理を移動させる(つまり、当該BBUを稼動ONにする)(ステップA7)。
一方、当該RRU周辺の稼動OFF状態のBBU、稼動BBUのいずれにも当該処理割り当てが不可能な場合には(ステップA3のNo)、まだ処理割り当てが決まっていない接続可能なBBUのうち、当該RRUの最も近傍に位置するBBUに、たとえ、処理リソース使用率が上限値である閾値Aを超えていたとしても、当該RRU処理を移動させる(ステップA4)。ここで、ステップA4の処理は、任意のRRUから接続することができないBBUへの処理リソース割り当てを防止するための処理である。
ステップA4、A6、A7の移動処理を実施した後は、移動候補であった当該RRU処理を、当該RRU処理割り当てが可能ないずれかのBBUに移動させた結果として、対象BBUの処理リソース使用状況が変化することになるため、当該対象BBUの処理リソース使用率をあらかじめ定めた上限値である閾値Aと比較する閾値判定処理を再度行う(ステップA5)。当該対象BBUの処理リソース使用率が上限値である閾値Aをまだ超えている場合には(ステップA5のNo)、ステップA1において決定した優先順にしたがって、次の優先順である他のRRUについて、ステップA2〜A4、A6、A7の処理を繰り返す。
一方、当該対象BBUの処理リソース使用率が閾値A以下であった場合には(ステップA5のYes)、当該対象BBUについてRRU処理の処理リソース割り当てを決定して(ステップA8)、当該対象BBUについての処理リソース割り当て制御を完了する。
次に、前述した割り当て制御処理B(proc.B)の処理の詳細を、図7の制御フローチャートを用いて説明する。図7は、本発明の第1の実施の形態における処理リソース割り当て制御においてベースバンド信号処理カード(BBU)に対して割り当て未決定の基地局セル(RRU)処理を割り当てる処理の一例を示す制御フローチャートであり、図4に示したように、対象BBUの処理リソース使用率があらかじめ定めた下限値である閾値Bを下回っていた場合に、対象BBUを含め、BBUに対する処理割り当てがまだ未決定のいずれかのRRU処理を対象BBUに割り当てることが可能か否かを判定し、割り当てが可能な場合には、該RRU処理を対象BBUに割り当てる割り当て制御処理B(proc.B)の処理内容の一例を示している。
図7に示す制御フローチャートにおいて、まず、図6の場合と同様、接続切り替え制御部30の限定接続機能により、任意のRRUから接続することができないBBUへの当該RRUに関するRRU処理の処理リソース割り当て制御を防止するために、対象BBUも含め、BBUに対する処理割り当てがまだ未決定のRRU処理のうち、RRU処理を割り当てる候補とするRRUの優先順を決定する(ステップB1)。ここで、RRU処理を割り当てる候補とするRRUの優先順は、図1に示した接続情報格納部53に格納されているRRU−BBU間の接続情報などを基にして、例えば、対象BBUからの接続距離が近くにあるRRUから順番の優先順に設定する。そして、ステップB1において決定した優先順にしたがって、対象BBUの処理リソース使用率が、下限値である閾値Bを上回る状態になるまで、以下のRRU処理割り当て制御を繰り返す。
まず、優先順に従って選択されたRRUに関して、当該RRUを接続可能な対象BBUに対して当該RRU処理割り当てが可能か否かを判定する(ステップB2)。対象BBUに対して当該RRU処理割り当てが可能な場合、すなわち、該対象BBUに当該RRU処理を新たに割り当てても、該対象BBUのリソース使用率が上限である閾値Aを超えない場合は(ステップB2のYes)、該対象BBUに当該RRU処理を移動させて、該対象BBUに当該RRU処理を割り当てる(ステップB3)。
ここで、該対象BBUに当該RRU処理を移動させて割り当てても、該対象BBUのリソース使用率が下限値である閾値B以上にまだ達しなかった場合には(ステップB4のNo)、あるいは、ステップB2において該対象BBUのリソース使用率が上限である閾値Aを超えて、該対象BBUに対して当該RRU処理割り当てが不可能な場合には(ステップB2のNo)、ステップB1において決定した優先順にしたがって、次の優先順である他のRRUについて、ステップB2〜B4の処理を繰り返す。
一方、該対象BBUに当該RRU処理を移動させると、該対象BBUのリソース使用率が下限値である閾値B以上になった場合(ステップB4のNo)、あるいは、全候補RRUについて処理リソース割り当て制御が終了した場合は、該対象BBUについてのRRU処理リソース割り当てを決定して(ステップB5)、該対象BBUについて処理リソース割り当て制御を完了する。
以上に詳細に説明したように、本発明の第1の実施の形態においては、RRU−BBU間の接続切り替え制御を行う接続切り替え制御部30として、隣接する接続切り替えモジュール間の相互接続インタフェースを有する接続切り替えモジュール31〜3kを1ないし複数並べる構成にして、RRUからの接続関係を、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内の全てのベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kではなく、隣接するBBUのみに限定したことにより、接続切り替え制御部30の回路規模の膨大化を防止することが可能である。
すなわち、RRU−BBU間の全ての接続組み合わせを実現する理想的な接続切り替え制御部の場合には、接続切り替え制御部として「RRU数×BBU数」というそれぞれの個数の乗算に比例する規模が必要となる。一方、本発明の第1の実施の形態においては、接続切り替え制御部30の規模を「接続RRU数(図2に示した例においては9個)×BBU数」に比例する規模に制限することができ、接続切り替え制御部をBBU数にほぼ線形な回路規模に抑えることができる。したがって、本発明の第1の実施の形態においては、トラフィックの増大化に伴って、RRUやBBUを増強しようとした場合に、接続切り替えモジュールもBBU数に応じてほぼ線形に拡張することが可能であり、高い拡張性を確保することができるという利点が得られる。
また、拡張性向上のために、前述のように、RRU−BBU間の接続関係を限定した構成であっても、本発明の第1の実施の形態においては、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)BBUをあらかじめ決定しておき、かかる稼動OFF対象のBBUから距離的に離れた位置にあるBBUから順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う基地局セル処理リソース割り当て方法を採用している。さらに、本発明の第1の実施の形態においては、対象BBUの処理リソース使用率があらかじめ定めた上限値の閾値Aを超える場合には、対象BBUから接続距離が離れた位置にあるRRUから順番に優先的にRRU処理の他のBBUへの転出制御を行い、また、対象BBUの処理リソース使用率があらかじめ定めた下限値の閾値Bを下回る場合には、対象BBUに接続距離が近い位置にあるRRUから順番に優先的にRRU処理の転入制御を行うような基地局セル処理リソース割り当て方法を採用している。
而して、RRU−BBU間の接続関係を限定した構成であっても、RRU−BBU間を全ての接続組み合わせで接続することが可能な理想的な接続切り替え制御部を用いた場合とほぼ同等の処理リソース共有(並びに低消費電力化)を実現することが可能であるという利点が得られる。その理由は、本発明の第1の実施の形態における基地局セル処理リソース割り当て方法として、任意のBBUに対してできるだけ接続距離が近いRRUから順番にRRU処理リソースを割り当てる仕組みを採用しているためであり、任意のRRUに関するRRU処理を接続関係がないBBUに対して割り当てるような状況が生じることを未然に防止することが可能な仕組みを実現しているためである。
(第2の実施の形態の構成例)
次に、本発明の第2の実施の形態における無線基地局装置の構成例について、図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の第2の実施の形態における無線基地局装置の全体構成例を示すブロック構成図であり、無線基地局装置として、第1の実施の形態の図1の場合と同様、無線信号処理を集約化してその処理リソースを共有する無線基地局装置の全体構成例を示している。ただし、本第2の実施の形態の図8に示す無線基地局装置101においては、第1の実施の形態の図1の場合の接続切り替え制御部30の構成とは異なり、各接続切り替えモジュール41〜4kを最後の接続切り替えモジュール4kと先頭の接続切り替えモジュール41との間も含めリング状に相互に接続可能な構成にし、さらに、各基地局セル(RRU)を、隣接する5つのベースバンド信号処理カード(BBU)に対して接続可能な構成にしている。
図8に示す無線基地局装置101は、第1の実施の形態の図1の場合と同様、n(n:自然数)個の基地局セル(RRU:Remote Radio Unitリモート無線ユニット)11〜1nの各無線通信処理を集約して実施するベースバンド処理プール(BBU−pool)20を備え、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内にはk(k:自然数、k≦n)個のベースバンド信号処理カード(BBU:Base Band Unitベースバンド信号処理モジュール)21〜2kを備える。ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内のk個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれは、n個の基地局セル(RRU)11〜1n間における処理リソースの共有を行いながら、例えばLTE−Advancedなどの無線方式のLayer−1処理(ベースバンド信号処理)等を行う。
また、第1の実施の形態の図1の場合と同様、k個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれのRF(Radio Frequency:無線)部側は、接続切り替え制御部40を介して、光ファイバや無線バックホール(フロントホール)などにより、各基地局セル(RRU)11〜1nと接続される。ここで、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20において処理する無線方式は、LTE−Advanced以外の無線方式であっても何ら問題はないし、また、処理するレイヤについてもLayer−1以外のLayer−2等の処理であっても特に問題はない。
また、無線基地局装置101は、第1の実施の形態の図1の場合と同様、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20内のk個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kに対する処理リソース割り当て制御用に、処理リソース割り当て制御部51、トラフィック予測部52、接続情報格納部53等も備えている。
なお、接続切り替え制御部40は、第1の実施の形態の図1の場合の接続切り替え制御部30と同様に、k個の接続切り替えモジュール41〜4kを並べて(連接して)構成し、各接続切り替えモジュール41〜4kは、それぞれ、1つまたは複数の基地局セル(RRU)11〜1nと1つまたは複数のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間の接続を行うことが可能あり、かつ、隣接する接続切り替えモジュールとの間の相互接続が可能な構成としている。
しかし、接続切り替え制御部40は、第1の実施の形態の図1の場合の接続切り替え制御部30とは異なり、最後の接続切り替えモジュール4kと先頭の接続切り替えモジュール41との間でも相互接続可能なリング型の接続構成を採用している点に特徴がある。例えば、k個の接続切り替えモジュール41〜4kのうち、第i(1≦i≦k)番目の接続切り替えモジュール4iは、隣接する第(i−1)番目の接続切り替えモジュール4(i−1)および第(i+1)番目の接続切り替えモジュール4(i+1)と相互に接続することが可能であるが、i=1の先頭の接続切り替えモジュール41の場合や、i=kの最後の接続切り替えモジュール4kの場合には、リング状に隣り合う接続切り替えモジュールとして、それぞれ、最後の接続切り替えモジュール4kや先頭の接続切り替えモジュール41との間も相互に接続することが可能である。
また、第1の実施の形態においては、k個の各接続切り替えモジュール31〜3kは、それぞれ、両側に隣接する1個ずつの接続切り替えモジュールとの間で相互接続することが可能であったが、本第2の実施の形態においては、相互接続個数を拡張して、両側に隣接する2個ずつの接続切り替えモジュールとの間で相互接続することが可能な構成としている。
したがって、本第2の実施の形態においては、n個の基地局セル(RRU)11〜1nのうち、第i番目の接続切り替えモジュール4iに接続された任意の基地局セル(RRU)例えば第j(1≦j≦n)番目の基地局セル(RRU)1jは、当該RRU1jが接続された接続切り替えモジュール4iに対応する第i番目のBBU2iを中心にして、両側に隣接する2個ずつのBBU間すなわち第(i−2)番目のBBU2(i−2)、第(i−1)番目のBBU2(i−1)、第(i+1)番目のBBU2(i+1)および第(i+2)番目のBBU2(i+2)間において、接続を切り替えることが可能である。
なお、第1の実施の形態にて示したような、両側に1個ずつの接続切り替えモジュールとの間で相互結合可能な構成の場合であっても、本第2の実施の形態の場合と同様に、最後の接続切り替えモジュール4kと先頭の接続切り替えモジュール41との間をリング状に接続(連接)することが可能であることに留意されたい。
(第2の実施の形態の動作の説明)
次に、本発明の第2の実施の形態として図8に示した無線帰途局装置101の動作の一例について、図9および図10を用いて詳細に説明する。なお、図8に示した無線基地局装置101のベースバンド処理プール(BBU−pool)20内のk個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kにおいては、前述したように、第1の実施の形態と同様、n個の基地局セル(RRU)11〜1n分の、例えばLTE−AdvancedなどのLayer−1処理(ベースバンド信号処理)等の無線通信処理を集約して行っている。
k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kによる処理リソースの共有により、基地局セル(RRU)11〜1n分のそれぞれの基地局セル(RRU)の処理を、k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kのうち、どのベースバンド信号処理カード(BBU)で実施するかを可変とするために、各基地局セル(RRU)11〜1nと各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間の接続切り替えは、接続切り替え制御部40にて実施される。接続切り替え制御部40にて切り替えられた各送受信信号は、光ファイバや無線バックホール(フロントホール)などを介して、互いに接続された状態になった基地局セル(RRU)11〜1nとベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間で送受信される。
ここで、本第2の実施の形態における接続切り替え制御部40の特徴として、前述のように、隣接する両側2個ずつの接続切り替えモジュール同士を相互接続することが可能な状態になるように、隣り合う2個先まで各接続切り替えモジュール41〜4kを互いに連接した構成としている。さらに、最後の接続切り替えモジュール4kと先頭の接続切り替えモジュール41とを相互接続可能とするリング型の構成としている。図9は、本発明の第2の実施の形態における接続切り替えモジュール41〜4kの構成例を示す模式図であり、各接続切り替えモジュール41〜4kの一構成例として、第i番目(1≦i≦k)の接続切り替えモジュール4iを例にとって、隣接する両側2個ずつの接続切り替えモジュールと相互接続を可能にする構成例を示している。
図9に示す例においては、第1の実施の形態の図2の場合と同様、1つの接続切り替えモジュール4iにはBBU#iの1個との間を接続するベースバンド信号処理モジュール(BBU)用入出力インタフェース、(少なくとも)RRU#j1、RRU#j2、RRU#j3(1≦j1、j2、j3≦k)の3個のRRUとの間を接続する基地局セル(RRU)用入出力インタフェース、両側に隣接する2個ずつの接続切り替えモジュール4(i−2)、4(i−1)、4(i+1)、4(i+2)それぞれと相互接続を行う相互接続用入出力インタフェース、を備えている場合の例を示している。すなわち、該接続切り替えモジュール4iに接続された第i番目のBBU#iの1個のみによって、トラフィックが如何に大きい場合であっても、(少なくとも)任意の3個のRRU、例えば、第j1番目のRRU#j1、第j2番目のRRU#j2、第j3番目のRRU#j3(1≦j1、j2、j3≦k)の3個のRRUを処理することができる場合を想定した構成例を示している。
図9に示す構成例の場合、当該接続切り替えモジュール4iに接続された3個のRRU#j1、RRU#j2、RRU#j3からの第1RRU入力インタフェース1が1系統、両側2個ずつの隣接接続切り替えモジュール4(i−2)、4(i−1)、4(i+1)および4(i+2)からの第2RRU入力インタフェース2が4系統、RRU#j1、RRU#j2、RRU#j3から両側2個ずつの隣接接続切り替えモジュール4(i−2)、4(i−1)、4(i+1)および4(i+2)に向けた第1RRU出力インタフェース3が4系統、そして、第1RRU入力インタフェース1と第2RRU入力インタフェース2とのそれぞれからの各入力を選択調停する選択回路(図9には図示していない)等から構成される。
各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kの最大処理能力にも依存するが、図9に示す実施例においては、1個のBBU例えばBBU#iに最大15個の基地局セル(RRU)を接続して、処理することが可能である。なお、図9には、RRU側からBBU側への信号の流れのみを図示しており、BBU側からRRU側への逆方向の信号の流れについては記載を割愛している。しかし、実際には、BBU側からRRU側への逆方向の信号の流れもほぼ同様に存在することに留意されたい。
かくのごとく、複数の接続切り替えモジュールを並べて互いに連接して、隣接する両側2個ずつの接続切り替えモジュールと相互接続することにより、各接続切り替えモジュール例えば接続切り替えモジュール#i 4iに接続された任意の基地局セル(RRU)例えばRRU#j1は、当該RRU#j1が接続された接続切り替えモジュール例えば接続切り替えモジュール#i 4iに対応するBBU例えばBBU#iを中心にして、少なくとも隣接する複数の(図9の例では4個の)BBU間も含めた複数のBBU間例えばBBU#(i−2)、BBU#(i−1)、BBU#i、BBU#(i+1)、BBU#(i+2)の5個のBBU間において接続を切り替えることが可能である。
図10は、本発明の第2の実施の形態における接続切り替えモジュール41〜4kの接続構成例と、次に稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)ベースバンド信号処理カード(BBU)の順番を決定する仕組みの一例とを説明するための説明図である。図10の実施例においては、接続切り替え制御部40の接続切り替えモジュール41〜4kの個数kが、接続切り替えモジュール#1〜接続切り替えモジュール#8の8個(k=8)、および、対応して接続するベースバンド処理プール(BBU−pool)20のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kの個数kも、BBU#1〜BBU#8の8個(k=8)とし、一方、基地局セル(RRU)11〜1nの個数nを、RRU#1〜RRU#24の24個(n=24)とし、かつ、8個の各接続切り替えモジュール41〜48それぞれには図9に例示した接続切り替えモジュールを用いている場合を示している。
また、各BBU#1〜BBU#8は、基本的に(トラフィックが大きい場合を想定して)、各BBU#1〜BBU#8それぞれに対応する各接続切り替えモジュール#1〜接続切り替えモジュール#8それぞれに接続された3個分のRRUに関する処理を行う場合を示している。つまり、BBU#1は、RRU#1〜RRU#3の3個分のRRU、BBU#2は、RRU#4〜RRU#6の3個分のRRU、…、BBU#7は、RRU#19〜RRU#21の3個分のRRU、BBU#8は、RRU#22〜RRU#24の3個分のRRUの処理をそれぞれ行う。
そして、各RRU#1〜RRU#24は、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20のBBU#1〜BBU#8のうち、各RRU#1〜RRU#24ごとにあらかじめ定めた互いに隣接ずるBBUのいずれかに限定して接続することが可能である。すなわち、各RRU#1〜RRU#24は、それぞれのRRUが接続された接続切り替えモジュール#1〜接続切り替えモジュール#8それぞれに対応して接続されたBBU#1〜BBU#8それぞれを中心にして、少なくとも両側に隣接する4つのBBUも含めた合計5つのBBUのいずれかに選択接続することが可能である。例えば、図10のRRU#4の場合は、接続切り替えモジュール#2に接続されているが、対応して接続されたBBU#2を中心にして、リング状に隣接する両側2つずつのBBU#8、BBU#1、BBU#3、BBU#4を含め、5つのBBU(BBU#8、BBU#1、BBU#2,BBU#3、BBU#4)のいずれでも選択して接続することが可能である。
そして、例えば、トラフィックが小さい場合には、8つのBBU#1〜BBU#8のうち、任意のBBU例えばBBU#2は、当該BBU#2が対応して接続される接続切り替えモジュール#2を中心にして、リング状に隣接する接続切り替えモジュール#8、接続切り替えモジュール#1、接続切り替えモジュール#3、接続切り替えモジュール#4を含め、5つの接続切り替えモジュール(接続切り替えモジュール#8、接続切り替えモジュール#1、接続切り替えモジュール#2、接続切り替えモジュール#3、接続切り替えモジュール#4)に接続された最大15個のRRUを接続して処理することが可能な構成とされている。
つまり、例えば、BBU#2の場合には、当該BBU#2に接続されたRRU#4〜RRU#6の3個分、および、両隣の接続切り替えモジュール#1と接続切り替えモジュール#3とのそれぞれに接続されたRRU#1〜RRU#3の3個分とRRU#7〜RRU#9の3個分、さらに、リング状に2つ先の隣になる接続切り替えモジュール#8と接続切り替えモジュール#4とのそれぞれに接続されたRRU#22〜RRU#24の3個分とRRU#10〜RRU#12の3個分を合計した最大15個のRRU#1〜#12、RRU#22〜#24を接続して処理することが可能である。
次に、図8に示したように、無線基地局装置101は、第1の実施の形態の無線基地局装置100と同様、各BBUにおける処理リソース共有を実施するために、トラフィック予測部52(トラフィック予測機能)によるトラフィック予測結果に基づいて、k個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kへのn個の基地局セル(RRU)11〜1nの処理リソース割り当てを行う処理リソース割り当て制御部51を備えている。
トラフィック予測部52は、あらかじめ定めた或る一定の時間間隔ごとに、日々のトラフィックデータが蓄積されたトラフィックデータベース(各時間間隔ごとの日々のトラフィックの平均値)や、当日のトラフィック履歴(各時間間隔ごとの当日のトラフィックの実績値)などを用いて、n個の基地局セル(RRU)11〜1nごとに、次の前記一定の時間間隔分のトラフィック予測を行う。
また、処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52において予測されたトラフィックに基づいて、k個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれに対するn個の各基地局セル(RRU)11〜1nの処理リソース割り当ての制御を行う。該処理リソース割り当て制御の目的は、第1の実施の形態においても説明したように、低消費電力化を実現するために、処理リソース共有により、できるだけ少ない個数のBBUだけを稼動させ、稼動OFFにすることができるBBU数をできるだけ増やすことにある。
次に、本第2の実施の形態において、低消費電力化を実現するために処理リソース割り当て制御部51において実施される処理リソース割り当ての制御の一例について、図10の説明図を用いてさらに説明する。なお、本第2の実施の形態における処理リソース割り当て制御の全体処理手順の流れは、第1の実施の形態と基本的には同じであり、第1の実施の形態の図4の制御フローチャートに示した手順と同じである。ただし、本第2の実施の形態における特有の制御動作として、前述したように、接続切り替えモジュール41〜4kの構成が、両側2個ずつの隣接する接続切り替えモジュールに相互接続が可能な構成であり、また、最後の接続切り替えモジュール4kと先頭の接続切り替えモジュール41との間のリング接続も可能としているため、任意の1つのBBUにおいてより多くのRRU処理の処理リソース共有が可能である点を考慮した制御となっている。
したがって、例えば、第1の実施の形態として図4に示した処理リソース割り当て制御フローチャートのステップS1において、稼動OFFにしたいBBUの順番を決定する際に、本第2の実施の形態においては、より多くの稼動OFF対象BBUを設定することが可能である。
図10の説明図には、前述したように、本第2の実施の形態における、次に稼動OFFにしたいBBUを決定する仕組みについても示している。本第2の実施の形態においては、最大で隣接する5つの接続切り替えモジュールに接続されたRRUをいずれか1つのBBUに選択接続することが可能な構成になっている。そのため、図10の説明図においては、第1の実施の形態の動作を示した図5の場合の「トラフィック大」、「トラフィック中」、「トラフィック小」として記載したBBU稼動状態のケースの他に、さらに追加して、「トラフィック極小」として記載したBBU稼動状態のケースも実現することができる。
なお、本第2の実施の形態においても、図4のステップS1の処理(次に稼動OFFにしたいBBUの決定方法)において、稼動OFFにしたいBBUを決定する方法については、第1の実施の形態の場合と同様に、図8の処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52によって予測されたトラフィック量に応じて、基本的には、2のべき乗の間隔ごとに、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)ベースバンド信号処理カード(BBU)を選択して設定する。
すなわち、例えば、図10(A)に示すように、トラフィックが大きい場合には、8個(=23個)間隔で、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)BBUを設定する(図10の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#4の1個を設定する)。また、図10(B)に示すように、トラフィックが中程度の場合には、4個(=22個)間隔で、稼動OFFにしたいBBUを設定する(図10の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#4とBBU#8との2個を設定する)。また、図10(C)に示すように、トラフィックが小さい場合には、2個(=21個)間隔で、稼動OFFにしたいBBUを設定する(図10の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#2とBBU#4とBBU#6とBBU#8との4個を設定する)。
さらに、本第2の実施の形態に特有のケースとして、図10(D)に示すように、トラフィックが極小の場合には、稼動ONになるBBUが4個(=22個)間隔になるように、稼動OFFにしたいBBUを設定する(図10の例の場合には、8個のBBUのうち例えばBBU#2とBBU#3とBBU#4とBBU#6とBBU#7とBBU#8との6個を稼動OFFにしたいBBUとして設定する)。本第2の実施の形態においてかくのごとき設定が可能になった理由は、第1の実施の形態においては、各RRU#1〜RRU#24は、隣接する3つのBBUまでしか接続することができなかったが、本第2の実施の形態においては、隣接する5つのBBUまで接続することが可能な構成となったため、隣接する3つのBBUを全て稼動OFFにすることができるようになったためである。
さらに、トラフィック予測時点における各ベースバンド信号処理カード(BBU)の稼動状態として、図10(A)の「トラフィック大」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち例えばBBU#4または他のいずれか1つのBBUが稼動OFFの状態)を実現できている場合には、次に、図10(B)の「トラフィック中」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち例えばBBU#4、BBU#8の2つまたは4個間隔で他のいずれか2つのBBUを稼動OFFにする状態)を目指して処理リソース割り当て制御を行う。すなわち、例えば、図10(A)に示すように、BBU#4の1つのBBUが稼動OFFの状態にあった場合には、図10(B)の「Low」に示すように、その次に追加してBBU#8も稼動OFFにすることを目指す。
また、トラフィック予測時点におけるベースバンド信号処理カード(BBU)の稼動状態として、図10(B)の「トラフィック中」のBBU稼動状態を既に実現できている場合には、次に、図10(C)の「トラフィック小」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち例えばBBU#2、BBU#4、BBU#6、BBU#8の4つまたは2個間隔で他のいずれか4つのBBUを稼動OFFにする状態)を目指して処理リソース割り当て制御を行う。すなわち、例えば、図10(B)に示すように、BBU#4、#8の2つのBBUが稼動OFFの状態にあった場合には、図10(C)の「Low」に示すように、その次に追加してBBU#2、BBU#6も稼動OFFにすることを目指す。
また、トラフィック予測時点におけるベースバンド信号処理カード(BBU)の稼動状態として、図10(C)の「トラフィック小」のBBU稼動状態を既に実現できている場合には、次に、図10(D)の「トラフィック極小」に記載のBBU稼動状態(8個のBBUのうち稼動ONのBBUが4個間隔になるように他のいずれか6つのBBUを稼動OFFにする状態)を目指して処理リソース割り当て制御を行う。すなわち、例えば、図10(C)に示すように、BBU#2、BBU#4、BBU#6、BBU#8の4つのBBUが稼動OFFの状態にあった場合には、図10(D)の「Low」に示すように、その次に追加してBBU#3、BBU#7も稼動OFFにすることを目指す。
なお、本第2の実施の形態における図4のステップS2の処理(処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の決定方法)の仕組みについては、第1の実施の形態の場合と同様である。処理リソース割り当て制御部51は、処理リソース割り当て制御を行うベースバンド信号処理カード(BBU)の選択順として、稼動OFFにしたいBBU(既に稼動OFFの状態にあるBBUも含む)からできるだけ遠く離れたBBUから順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う。ここで、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)BBUおよび既に稼動OFF状態のBBUが複数存在する場合には、該当するBBUの中間に位置するBBUから順番に処理リソース割り当て制御を行う。
例えば、トラフィック予測部52においてトラフィックが大きいと予測され、図10(A)の「トラフィック大」に記載のように、8個のBBUのうち例えばBBU#4を次に稼動OFFにしたいBBUとして決定した場合、または、BBU#4を稼動OFFの状態に既に設定していた場合には、図10(A)の「High1」に示すように、当該BBU#4から距離的に最も離れているBBU#8から順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う。また、トラフィックが中程度と予測され、図10(B)の「トラフィック中」に記載のように、8個のBBUのうち例えばBBU#4とBBU#8とを次に稼動OFFにしたいBBUとして決定した場合、または、BBU#4とBBU#8とを稼動OFFの状態に既に設定していた場合には、図10(B)の「High1」に示すように、当該BBU#4およびBBU#8から距離的に最も離れたBBUすなわち当該BBU#4およびBBU#8の中間に位置するBBUとなるBBU#2や#6から順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行う。
なお、図10(B)の「トラフィック中」に記載のように、稼動OFFにしたいBBUおよび既に稼動OFF状態のBBUが複数存在する場合に、複数の当該BBUから距離的に同じ程度離れたBBUが複数存在している場合には、同じ程度離れた複数のBBUのうち、いずれのBBUから順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行うようにしても良い。また、図10(A)の「トラフィック大」の場合において、BBU#8の次に優先的に処理リソース割り当て制御を行うBBUとして、BBU#1とBBU#7とがBBU#4からの距離が同じ程度であった場合には、BBU#8の次の優先順としてBBU#1、BBU#7のいずれを選択しても構わない。
(第3の実施の形態の構成例)
次に、本発明の第3の実施の形態における無線基地局装置の構成例について、図11を参照しながら説明する。図11は、本発明の第3の実施の形態における無線基地局装置の全体構成例を示すブロック構成図であり、無線基地局装置として、第1の実施の形態の図1の場合と同様、無線信号処理を集約化してその処理リソースを共有する無線基地局装置の全体構成例を示している。ただし、本第3の実施の形態の図11に示す無線基地局装置102においては、第1の実施の形態の図1の場合の接続切り替え制御部30の構成とは異なり、k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとn個の基地局セル(RRU)11〜1nとを任意に定めた一定の単位でクラスタ化して、該クラスタ化に応じて、接続切り替え制御部70も一部クラスタ化して、処理リソース制御を行う場合の構成例に示している。
図11に示す無線基地局装置102は、第1の実施の形態の図1の場合と同様、n(n:自然数)個の基地局セル(RRU:Remote Radio Unitリモート無線ユニット)11〜1nの各無線通信処理を集約して実施するベースバンド処理プール(BBU−pool)90を備え、ベースバンド処理プール(BBU−pool)90内にはk(k:自然数、k≦n)個のベースバンド信号処理カード(BBU:Base Band Unitベースバンド信号処理モジュール)21〜2kを備える。ベースバンド処理プール(BBU−pool)90内のk個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれは、n個の基地局セル(RRU)11〜1n間における処理リソースの共有を行いながら、例えばLTE−Advancedなどの無線方式のLayer−1処理(ベースバンド信号処理)等を行う。
また、第1の実施の形態の図1の場合と同様、k個(1個ないし複数個)のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれのRF(Radio Frequency:無線)部側は、接続切り替え制御部70を介して、光ファイバや無線バックホール(フロントホール)などにより、各基地局セル(RRU)11〜1nと接続される。ここで、ベースバンド処理プール(BBU−pool)90において処理する無線方式は、LTE−Advanced以外の無線方式であっても何ら問題はないし、また、処理するレイヤについてもLayer−1以外のLayer−2等の処理であっても特に問題はない。
ただし、本第3の実施の形態に特有の構成として、ベースバンド処理プール(BBU−pool)90内の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kは、あらかじめ任意に定めた一定の単位でクラスタ化されていて、例えば、第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91、第2信号処理カードクラスタ(第2BBUクラスタ)92等を備えている。そして、例えば、ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜23は第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91に含まれ、ベースバンド信号処理カード(BBU)24〜2kは第2信号処理カードクラスタ(第2BBUクラスタ)92に含まれる。
同様に、基地局セル(RRU)11〜1nもあらかじめ任意に定めた単位でクラスタ化された形となっており、例えば、第1基地局セルクラスタ(第1RRUクラスタ)10A、第2基地局セルクラスタ(第2RRUクラスタ)10B等を備えている。そして、例えば、基地局セル(RRU)11〜15は第1基地局セルクラスタ(第1RRUクラスタ)10Aに含まれ、基地局セル(RRU)16〜1nは第2基地局セルクラスタ(第2RRUクラスタ)10Bに含まれる。
また、接続切り替え制御部70のうち、一部は、第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91、第2信号処理カードクラスタ(第2BBUクラスタ)92等のBBUクラスタごとに対応してクラスタ化されている。例えば、図11においては、第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91に対応して、接続切り替えモジュール#1 41〜#3 43の3個を内蔵する接続切り替えモジュールクラスタ71を備えている。なお、接続切り替え制御部70内の残りの接続切り替えモジュールについては、第1および第2の実施の形態と同様、ベースバンド信号処理カード(BBU)ごとに対応して備えられ、例えば、図11においては、ベースバンド信号処理カード(BBU)24〜2kそれぞれに対応して接続切り替えモジュール44〜4kが備えられている。そして、隣接する接続切り替えモジュール間は、第2の実施の形態と同様、リング状の相互接続が可能な構成となっている(あるいは、第1の実施の形態と同様の相互接続が可能な構成としても良い)。
また、無線基地局装置102は、第1の実施の形態の図1および第2の実施の形態の図8の場合と同様、ベースバンド処理プール(BBU−pool)90内のk個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kに対する処理リソース割り当て制御用に、処理リソース割り当て制御部51、トラフィック予測部52、接続情報格納部53等も備えている。さらに、本第3の実施の形態に特有の構成として、上位レイヤにて各基地局セル(RRU)11〜1nのON/OFF制御を可能にするために、各基地局セル(RRU)11〜1nのON/OFF情報を格納する基地局セルON/OFF情報格納部54も新たに追加して備えている。
(第3の実施の形態の動作の説明)
次に、本発明の第3の実施の形態として図11に示した無線基地局装置102の動作の一例について詳細に説明する。なお、図11に示した無線基地局装置102のベースバンド処理プール(BBU−pool)90内のk個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kにおいては、前述したように、第1の実施の形態と同様、n個の基地局セル(RRU)11〜1n分の、例えばLTE−AdvancedなどのLayer−1処理(ベースバンド信号処理)等の無線通信処理を集約して行っている。
k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kによる処理リソースの共有により、基地局セル(RRU)11〜1n分のそれぞれの基地局セル(RRU)の処理を、k個のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kのうち、どのベースバンド信号処理カード(BBU)で実施するかを可変とするために、各基地局セル(RRU)11〜1nと各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間の接続切り替えは、接続切り替え制御部70にて実施される。接続切り替え制御部70にて切り替えられた各送受信信号は、光ファイバや無線バックホール(フロントホール)などを介して、接続された状態になった基地局セル(RRU)11〜1nとベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kとの間で送受信される。
ここで、本第3の実施の形態における無線基地局装置102の特徴として、前述のように、ベースバンド処理プール(BBU−pool)90内の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kはあらかじめ任意に定めた一定の単位でクラスタ化されており、同様に、基地局セル(RRU)11〜1nについてもあらかじめ任意に定めた単位でクラスタ化されている。
したがって、接続切り替え制御部70についても、第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91、第2信号処理カードクラスタ(第2BBUクラスタ)92等の信号処理カードクラスタ(BBUクラスタ)ごとに対応させて、例えば、第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91に対応させて、接続切り替えモジュールクラスタ71を構成しても良いし、単体のベースバンド信号処理カード(BBU)24〜2kごとに対応させて、接続切り替えモジュール44〜4kを構成するようにしても良い。そして、信号処理カードクラスタ(BBUクラスタ)ごとの接続切り替えモジュールクラスタ71については、単純に、単体のベースバンド信号処理カード(BBU)ごとの単体の接続切り替えモジュール41〜43を連接しただけの限定された接続が可能な構成としても良いし、あるいは、例えば第1信号処理カードクラスタ(第1BBUクラスタ)91内のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜23に関するBBU−RRU間について全ての接続組み合わせを実現可能とするような構成としても良い。
なお、本第3の実施の形態においても、接続切り替え制御部70の接続切り替えモジュールクラスタ71内の各接続切り替えモジュールおよび単体の各接続切り替えモジュール44〜4kは、第2の実施形態の図9(あるいは、第1の実施の形態の図2)に示した構成と同様、少なくとも、相互接続用入出力インタフェース(第2RRU入力インタフェース2、第1RRU出力インタフェース3)により、隣接する両側2個ずつ(あるいは両側1個ずつ)の接続切り替えモジュールと互いに連接した構成からなっている。したがって、基地局セル(RRU)11〜1nのうち、いずれの基地局セル(RRU)においても、当該基地局セル(RRU)が接続された接続切り替えモジュールに対応するベースバンド信号処理カード(BBU)を中心にして、少なくとも隣接する4つ(あるいは2つ)以上の信号処理カードも含めた合計5つ(あるいは3つ)以上のベースバンド信号処理カード(BBU)に接続することを可能としている。
次に、図11に示したように、無線基地局装置102は、第1の実施の形態の無線基地局装置100と同様、各BBUにおける処理リソース共有を実施するために、トラフィック予測部52(トラフィック予測機能)によるトラフィック予測結果に基づいて、k個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kへのn個の基地局セル(RRU)11〜1nの処理リソース割り当てを行う処理リソース割り当て制御部51を備えている。
トラフィック予測部52は、あらかじめ定めた或る一定の時間間隔ごとに、日々のトラフィックデータが蓄積されたトラフィックデータベース(各時間間隔ごとの日々のトラフィックの平均値)や、当日のトラフィック履歴(各時間間隔ごとの当日のトラフィックの実績値)などを用いて、n個の基地局セル(RRU)11〜1nごとに、次の前記一定の時間間隔分のトラフィック予測を行う。
また、処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52において予測されたトラフィックに基づいて、k個の各ベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kそれぞれに対するn個の各基地局セル(RRU)11〜1nの処理リソース割り当ての制御を行う。該処理リソース割り当て制御の目的は、第1の実施の形態においても説明したように、低消費電力化を実現するために、処理リソース共有により、できるだけ少ない個数のBBUだけを稼動させ、稼動OFFにすることができるBBU数をできるだけ増やすことにある。
次に、本第3の実施の形態において、低消費電力化を実現するために処理リソース割り当て制御部51において実施される処理リソース割り当ての制御の一例についてさらに説明する。なお、本第3の実施の形態においても、処理リソース割り当て制御の全体処理手順の流れは、第1の実施の形態と基本的には同じであり、第1の実施の形態の図4の制御フローチャートに示した手順と同じである。ただし、本第3の実施の形態における特有の制御動作として、前述したように、上位レイヤにおいて各基地局セル(RRU)11〜1nのON/OFF制御が行われることを想定し、上位レイヤから通知されてくる基地局セル(RRU)ON/OFF情報を基地局セルON/OFF情報格納部54に格納して、処理リソース割り当ての制御を行う際に、参照するようにしている。
つまり、処理リソース割り当て制御部51は、トラフィック予測部52から通知されるトラフィック結果や接続情報格納部53に格納されているRRU−BBU間接続情報の他に、さらに、上位レイヤから通知されてきて、基地局セルON/OFF情報格納部54に格納されている基地局セル(RRU)ON/OFF情報も用いて、処理リソース割り当て制御を行う。
なお、トラフィック予測部52においてトラフィック予測を行う際についても、基地局セルON/OFF情報格納部54に格納されている基地局セル(RRU)ON/OFF情報も参照して、トラフィック予測が行われる。トラフィック予測部52において予測されたトラフィック予測結果は、処理リソース割り当て制御部51に通知されて、処理リソース割り当て制御を行う図4の制御フローチャートのステップS1の処理に反映される。
処理リソース割り当て制御部51は、基地局セルON/OFF情報格納部54に格納されている基地局セル(RRU)ON/OFF情報の参照結果として、例えば、稼動中の基地局セル(RRU)11〜1nのいずれかがOFFになっていることを検知した場合には、当該基地局セル(RRU)に関するRRU処理リソースが割り当てられていたベースバンド信号処理カード(BBU)から当該RRU処理リソース割り当てを事前に削除した上で、第1の実施の形態の図4の制御フローチャートに示した処理リソース割り当て制御を行う。結果的には、図4のステップS1に示したトラフィック予測結果による稼動OFF対象のベースバンド信号処理カード(BBU)順の決定結果および図4のステップS3、S4に示した各対象ベースバンド信号処理カード(BBU)の処理リソース使用率の算出結果に影響を及ぼすことになる。
一方、処理リソース割り当て制御部51が、基地局セルON/OFF情報格納部54に格納されている基地局セル(RRU)ON/OFF情報の参照結果として、例えば、稼動OFF状態にあった基地局セル(RRU)11〜1nのいずれかが稼動ON状態になっていることを検知した場合には、当該基地局セル(RRU)が接続可能であって、かつ、稼動ON状態のベースバンド信号処理カード(BBU)が存在する場合には、稼動ON状態のベースバンド信号処理カード(BBU)のうち、当該基地局セル(RRU)の接続距離が最も近傍の位置にあるベースバンド信号処理カード(BBU)に対して、一旦、当該基地局セル(RRU)に関する仮の処理リソース割り当てを行った上で、第1の実施の形態の図4の制御フローチャートに示した処理リソース割り当て制御を行う。
なお、当該基地局セル(RRU)に関する仮の処理リソースを割り当てたことによって、当該ベースバンド信号処理カード(BBU)の処理リソース使用率があらかじめ定めた上限値の閾値Aを超えるような状況になる場合であっても、あるいは、当該基地局セル(RRU)が接続可能であって、かつ、稼動ON状態のベースバンド信号処理カード(BBU)が存在していなかった場合であっても、同様に、当該基地局セル(RRU)が接続可能であって、かつ、当該基地局セル(RRU)の接続距離が最も近いベースバンド信号処理カード(BBU)に仮の処理リソース割り当てを行った上で、図4に示した処理リソース割り当て制御を行う。その理由は、当該基地局セル(RRU)の接続距離が最も近いベースバンド信号処理カード(BBU)に一旦処理リソース割り当てを行うことによって、当該基地局セル(RRU)から接続関係がないベースバンド信号処理カード(BBU)に処理リソース割り当てが必要となるようなケースを未然に防止することができるためである。
(第1、第2、第3の実施の形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本発明の各実施の形態においては、以下のような効果を期待することができる。
第1の効果は、複数の基地局セル(RRU)11〜1n分の無線通信処理を集約する無線基地局装置100〜102において、接続切り替え制御部30、40、70の回路規模を低減することにより、装置小規模化や低消費電力化を実現することができることである。
その理由は、本発明の各実施の形態における無線基地局装置100〜102においては、接続切り替え制御部30、40、70として、基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間の接続を限定した接続切り替えモジュール31〜3k、41〜4kを複数並べて連接したり、あるいは、第3の実施の形態の接続切り替えモジュールクラスタ71のように一部クラスタ化したりして構成しているので、基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間の理想的な全ての接続組み合わせを実現する従来の接続切り替え部に比べて、その回路規模を大幅に削減することができるためである。
つまり、理想的な全ての接続組み合わせを実現する場合は、「RRU数×BBU数」など、それぞれの個数の乗算に比例するような回路規模となるのに対し、本発明の各実施の形態における接続切り替え制御部30、40、70の場合は、「(限定したRRU数)×BBU数」など、BBUの個数のみに線形に比例するような回路規模に抑えることができる。ここで、「限定したRRU数」とは、第1の実施の形態の場合は9個、第2の実施の形態の例の場合は15個などであり、あらかじめ任意に設定した一定の値である。
そして、かくのごとき回路規模削減による装置小規模化および低消費電力化の効果に関しては、今後トラフィックが増大し、より多くの基地局セル(RRU)やベースバンド信号処理カード(BBU)を集約化しようとする場合に、理想的な全ての接続組み合わせを実現しようとして指数的に回路規模が増加してしまう従来の接続切り替え制御部に比し、特に顕著になることは言うまでもない。
なお、各接続切り替えモジュール31〜3k、41〜4kは、基本的には、第1、第2の実施の形態のように、ベースバンド信号処理カード(BBU)ごとに備えることを基本とするが、第3の実施の形態の接続切り替えモジュールクラスタ71のように、信号処理カードクラスタ(BBUクラスタ)の単位ごとに対応して構成するようにしても、前述の効果には何ら影響を与えない。すなわち、全ての接続切り替えモジュールを均一の構成にして拡張することが可能な装置アーキテクチャとすることを基本とするものの、場合によっては、第1、第2、第3の実施の形態に示したそれぞれの接続切り替えモジュール31〜3k、41〜4kや接続切り替えモジュールクラスタ71の構成が混在するような装置アーキテクチャであっても何ら問題はない。
第2の効果は、複数の基地局セル(RRU)11〜1n分の無線通信処理を集約する無線基地局装置100〜102において、トラフィック増大等に対応するために、装置を拡張しようとする場合に、基地局セル無線部10の基地局セル(RRU)11〜1nや、ベースバンド処理プール(BBU−pool)20、90のベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kだけでなく、接続切り替え制御部30、40、70の接続切り替えモジュール31〜3k、41〜4kも含めて、必要な分だけ線形に拡張可能であり、拡張性が向上することである。
その理由は、本発明の実施の形態における無線基地局装置100〜102においては、接続切り替え制御部30、40、70として、基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間の接続を限定し、第1、第2の実施の形態のように、隣接する接続切り替えモジュールとの相互接続インタフェースを備えた接続切り替えモジュール31〜3k、41〜4kを、複数並べて連接したり、第3の実施の形態の接続切り替えモジュールクラスタ71のように、内部で階層的に連接したりして構成しているので、接続切り替えモジュール31〜3k、41〜4kも、基地局セル(RRU)11〜1nやベースバンド信号処理カード(BBU)21〜2kと同様に、例えば、拡張する「BBU数」に応じて線形に拡張すれば良いためである。
次に、本第2の効果に関し、従来技術における問題点を図12の説明図を用いて説明する。図12は、従来の基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間の全ての接続組み合わせを実現する理想的な例えばクロスバ型のような接続切り替え部を用いた場合における問題点を説明するための説明図である。ここで、理想的な構成の接続切り替え部の場合は、「RRU数×BBU数」の全ての接続が必要となるため、RRU1個あるいはBBU1個を拡張する場合であっても、既存のRRU数やBBU数に依存した拡張が必要となる。
例えば、図12(A)に示すように、基地局セル(RRU)の個数Mが、RRU#1〜RRU#4の4個、ベースバンド信号処理カード(BBU)の個数NがBBU#1〜BBU#3の3個の間の全ての接続組み合わせを実現する理想的なクロスバ(相互結合網)型の接続切り替え部Aを用いていた場合に、RRU#5およびBBU#4を1個ずつ増設しようとした場合には、図12(B)に示すように、「M(=5)×N(=4)」の全ての接続組み合わせを実現するためには、接続切り替え部Aを接続切り替え部Bに変更することになり、接続切り替え部全体を変更する必要が生じて、拡張性が低くなるという問題がある。
あるいは、図12(C)に示すように、全ての接続組み合わせの実現は諦めて、既存の基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間の全ての接続組み合わせを実現する接続切り替え部Aはそのままにして、増設したRRU#5−BBU#4間のみを接続するための専用の接続切り替え部Cを別途追加することも、場合によっては、適用可能である。しかし、図12(C)の場合、増設するBBU#4と既存のBBU#1〜#3との間は、処理リソースの共有ができなくなるという問題が生じる。
これに対して、本発明の各実施の形態においては、図2や図9に示した接続切り替えモジュールを、基地局セル(RRU)やベースバンド信号処理カード(BBU)の増設に応じて、必要とする個数分だけ、接続切り替えモジュールを接続切り替え制御部30、40、70に追加するだけで、既存の設備との処理リソース共有も可能な形で増設することが可能であるという利点がある。
第3の効果は、複数の基地局セル(RRU)11〜1n分の無線通信処理を集約する無線基地局装置100〜102において、接続制限がある接続切り替え制御部30、40、70を用いた場合であっても、理想的な接続切り替え部を用いた場合とほぼ同等の処理リソース共有を実現することができ、ほぼ同等の低消費電力化効果が得られることである。
その理由は、本発明の各実施の形態における基地局セル処理リソース割り当て方法においては、稼動OFFにしたい(すなわち、稼動をオフ状態に設定しようとする)ベースバンド信号処理カード(BBU)をあらかじめ決定して、該稼動OFF対象のベースバンド信号処理カード(BBU)から距離的に離れたベースバンド信号処理カード(BBU)から順番に優先的に処理リソース割り当て制御を行うことにしたためである。さらに、割り当て対象ベースバンド信号処理カード(BBU)の処理リソース使用率があらかじめ定めた上限値の閾値Aを超える場合には、当該割り当て対象ベースバンド信号処理カード(BBU)から距離的に離れたベースバンド信号処理カード(BBU)から順番に優先的に割り当て転出制御を行い、また、処理リソース使用率があらかじめ定めた下限値の閾値Bを下回る場合には、当該割り当て対象ベースバンド信号処理カード(BBU)の近傍に位置するベースバンド信号処理カード(BBU)から順番に優先的に割り当て転入制御を行うような処理リソース割り当て制御としたためである。
而して、基地局セル(RRU)−ベースバンド信号処理カード(BBU)間を全ての接続組み合わせで接続可能とする理想的な接続切り替え制御部を用いた場合と、ほぼ同等の処理リソース共有と低消費電力化とを実現することができる。
具体的には、基地局セル処理リソース割り当て方法として、任意のベースバンド信号処理カード(BBU)に対してできるだけ接続距離が近い基地局セル(RRU)から順番に処理を割り当てる方法になっているためであり、任意の基地局セル(RRU)の処理を接続関係がないベースバンド信号処理カード(BBU)に割り当てようとすることを未然に防止することができるような方法を採用しているためである。
また、もう一つの理由として、稼動OFFにしたいベースバンド信号処理カード(BBU)をあらかじめ意識しながら、当該ベースバンド信号処理カード(BBU)から距離的に離れたベースバンド信号処理カード(BBU)から順番にRRU処理リソースの割り当てを行うことにより、稼動ON状態の設定が予定されている残りのベースバンド信号処理カード(BBU)にできるだけ多くのRRU処理を割り当てることができ、稼動OFFにしたいベースバンド信号処理カード(BBU)を実際に稼動OFF状態に設定することが可能な確率を高くすることができるためである。
図13には、本発明の実施の形態における基地局セル処理リソース割り当て方法と従来の基地局セル処理リソース割り当て方法との、処理リソース共有効果について説明するための模式図を示しており、隣接する両側1個ずつに接続限定された接続切り替え部を用いた場合の処理リソース共有効果について示している。図13(A)には、前記非特許文献1に記載の従来の基地局セル処理リソース割り当て方法を適用した場合を示し、図13(B)には、本発明の第1の実施の形態における基地局セル処理リソース割り当て方法を適用した場合を示している。また、図13に示す例においては、ベースバンド信号処理カード(BBU)の消費電力の内訳の仮定として、図示しているように、稼動ONの場合には常時必要な消費電力(負荷非依存部分)が30%であり、稼動率(処理リソース使用率)に比例する消費電力(負荷依存部分)が70%であるものと仮定する。また、BBU#1〜BBU#4それぞれにおけるRRU処理のトラフィックが、90%、100%、100%、30%の状態から90%、30%、100%、30%の状態に変化したものと仮定する。
前記非特許文献1に記載されたような従来の処理割り当て手法の場合、ベースバンド信号処理カード(BBU)処理順や基地局セル(RRU)処理順を特に意識していないため、図13(A)に示すように、BBU#2の稼動率30%のうち10%に該当するRRU処理はBBU#1に移動させることができるものの、BBU#2の残りの稼動率20%およびBBU#4の稼動率30%のRRU処理をリソース共有しようとしても、それぞれのRRU処理に該当する基地局セル(RRU)は、隣接する両側1個ずつには含まれていない離れた位置にあるベースバンド信号処理カード(BBU)に接続することができなく、当該基地局セル(RRU)に関する処理を移動させることができない。
したがって、処理リソース共有を十分に行うことができず、4個のベースバンド信号処理カード(BBU)が全て稼動状態になってしまう。この結果、図13(A)に示すように、全ベースバンド信号処理カード(BBU)が稼動ON状態になる結果として、消費電力は74%となる。
一方、本発明の実施の形態における処理リソース割り当て手法においては、ベースバンド信号処理カード(BBU)処理順や基地局セル(RRU)処理順を意識しているため、図13(B)に示すように、BBU#3の稼動率100%のうち33%に該当するRRU処理をBBU#2に移動させ、さらに、BBU#4のBBU#2の稼動率30%に該当する全ての処理をBBU#3に移動させて、BBU#4を稼動OFFの状態に設定することができる。
したがって、図13(B)に示すように、全ベースバンド信号処理カード(BBU)のうち、稼動ON状態はBBU#1〜BBU#3の3個になる結果として、消費電力は66%となり、理想的な接続切り替え部を用いた場合と同等の低消費電力効果が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
この出願は、2014年8月28日に出願された日本出願特願2014−174067を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。