本発明は、キャリアアグリゲーションによる通信を行う基地局装置に関する。
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、LTE(Long Term Evolution)の次の通信方式としてLTE−A(LTE−Advanced)の検討が行われている。LTE−Aでは、LTEよりも高速の通信の実現を目指しており、LTEよりも広帯域(例えば、LTEの20MHzの帯域を超える100MHzまでの帯域)をサポートすることが求められている。
そこで、高速かつ大容量の通信を実現するキャリアアグリゲーション(CA)と呼ばれる技術が3GPPにおいて提案されている。CAでは、LTEとの互換性(バックワードコンパチビリティー)を可能な限り維持する目的から、帯域幅が20MHzまでのキャリアを複数まとめて通信を行う。例えば、1セクタあたり20MHzを5セクタ分使用して最大100MHzの帯域幅を確保することが可能である。なお、CAでは、20MHzまでのキャリアを、コンポーネントキャリア(CC)と呼ぶ。
ここでLTEシステムの基地局(eNB)は、端末(UE)を識別するために、C−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)と呼ばれる端末識別IDを管理している。UEとeNBとの接続確立時にRACH(Random−Access CHannel) Procedureの手順を用いて、C−RNTIをeNBからUEに対して割り当て、呼接続中はC−RNTIを用いることでUE毎の独立した通信を可能としている。
C−RNTIは、3GPPの下記非特許文献1の7.1章 RNTI valuesに、セル単位で端末識別IDが1〜65523までとして規定されている。すなわち、LTEシステムでは、UEは一つのセルにしか存在し得ないために、セル単位での定義とされている。セルが異なればC−RNTIの重複が許容されている。
また、下記非特許文献2には、CA(5.5章、7.5章)、C−RNTI(8.1章)、ハンドオーバ(10.1.2.1章)、RACH Procedure(10.1.5章)、Non−Contention based Random Access Procedure(図10.1.5.2−1)に規定されている。また、この非特許文献2には、アップリンク(UL)のRRHをサポートしたCAがデプロイメントシナリオ4として検討されている(Annex J (informative):Carrier Aggregation J.1 Deployment Scenarios)に記載の#4で示されるケース)。
従来技術として、例えば、CAのセルのセルサーチを行うものとして、キャリア検出信号の受信品質に基づいて、セカンダリセルをサーチする技術がある(例えば、下記特許文献1,2参照。)。また、マルチコンポーネント・キャリア・セルにおいて、プライマリセルのセル識別子を用いて、セカンダリセルをサーチする技術(例えば、下記特許文献3参照。)がある。
特開2013−157823号公報
特開2013−222976号公報
特表2011−525327号公報
「3GPP TS 36.321 V10.5.0(2012−03)」,3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Medium Access Control(MAC)protocol specification(Release 10),p45−p46
「3GPP TS 36.300 V10.3.0(2011−03)」,3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA)and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E−UTRAN);Overall description;Stage 2(Release 10),p46,p56−p57,p62,p70−p71,p73
3GPP Release10の仕様以降では、LTE−Aに対するCAの導入により一台のUEが同時に複数のeNBのセルと通信可能とされている。ここで、LTE−A(Rel.10)では、LTE(Rel.8,Rel.9)対応のUEとの互換性を実現するために、C−RNTIの定義はLTEと変わっていない(1〜65523の数値で、かつセル単位)。
LTEのUEは、セルをまたがらずに一つのセルと通信するため、C−RNTIは、セル毎に重複が許容されている。これに対し、LTE−AでCAを行うUEは、同時に複数のセルと接続するために、同時に通信を行う全てのセルについて共通のC−RNTIとする必要がある。ここで、UEが保持可能なC−RNTIは一つである。すなわち、LTEではセルが異なればC−RNTIの重複が許されるが、LTE−Aでは、CAを実施しているセルについては重複が許されないことになる。
ここで、LTE−AにおいてもC−RNTIを確保するためのRACH Procedureは1セル(プライマリセル:Primary cell)だけで実行されるため、上記CA対象の複数セルに渡って共通に使用可能なC−RNTIの割り当てをどのように行うかが課題となるが、現在のところ有効な手法は開示されていない。
現状では、はじめにプライマリセルで確保されたC−RNTIが、CA対象セル(セカンダリセル:Secondary cell)の追加時にも使用可能かをチェックしている。そして、端末との間で必要な帯域に対応した数のCA対象セルが使用中の場合には、再度プライマリセルに対しC−RNTIを変えてリトライを繰り返すことになる。このため、CA対象全ての複数セルで共通に使用可能なC−RNTIを探す処理(RACH Procedure)が多発する虞があり、この場合、CA確立までに非常に時間がかかることになる。
一つの側面では、本発明は、キャリアアグリゲーション確立までの時間を短縮できることを目的とする。
一つの案では、基地局装置は、自装置のセルを含む自装置が管理する複数セルの他の基地局装置それぞれに対する端末の現在の接続状態を示す端末識別IDを逐次取得して更新保持するベースバンド処理部と、前記端末との間でキャリアアグリゲーションによる通信実施の際には、当該キャリアアグリゲーション対象の前記複数セルの前記端末識別IDを前記ベースバンド処理部から取得し、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セル間で使用可能な前記端末識別IDを求める制御部と、を有することを要件とする。
一つの実施形態によれば、キャリアアグリゲーション確立までの時間を短縮できる。
図1は、実施の形態にかかる基地局装置を含む通信装置のシステム構成図である。
図2は、実施の形態にかかる基地局装置の内部構成例を示すブロック図である。
図3は、実施の形態にかかるCA開始および追加決定のタイミングを示すシーケンス図である。
図4は、実施の形態にかかる基地局(eNB)の内部処理を示すシーケンス図である。
図5は、実施の形態にかかるRNTIの検索処理の詳細を示すシーケンス図である。
図6は、空きRNTI算出を説明する図である。
図7は、空きRNTI算出の処理例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(システム構成例)
図1は、実施の形態にかかる基地局装置を含む通信装置のシステム構成図である。図1に示すように、第1の通信エリアCC1(cell#1)は、例えば、マクロセル(あるいはマクロカバレッジ、プライマリセル、CC1(cell#1))と呼ばれ、第2の通信エリアは、例えば、スモールセル(あるいはスモールカバレッジ、セカンダリセル、CC2(cell#2))と呼ばれる。CCは、Component Carrierである。第1の通信エリアと第2の通信エリアとの関係は逆転してもよい。
上述の非特許文献2のように、アップリンク(UL)のRRH102をサポートしたCAが検討されている。これに伴い、図1のように、マクロセルcell#1の配下に1または複数のスモールセルcell#2〜#nがオーバーレイ配置されるケースが考えられる。この場合、端末(UE)111がマクロセルcell#1からスモールセルcell#2内に移動すると、端末(UE)111は、マクロセルcell#1の基地局A(101)と、スモールセルcell#2の基地局B(102)の双方にアクセス可能になる。これにより、端末(UE)111は、マクロセルcell#1と、複数のスモールセルcell#2〜#nとの通信によりCAを行うことができる。
図1に示したように、マクロセル(プライマリセル)cell#1の配下にスモールセル(セカンダリセル)cell#2がオーバーレイ配置される関係にあれば、各セルの呼称は問わない。セルの呼称の一例としては、マクロセル、フェムトセル、ピコセル、マイクロセル等が挙げられる。フェムトセル、ピコセル、およびマイクロセルを、スモールセルと総称してもよい。
マクロセルcell#1とスモールセルcell#2とでは、異なる周波数F1,F2を用いることができる。例えば、スモールセルcell#2で用いられる周波数F2は、マクロセルcell#1で用いられる周波数F1よりも高い。
スモールセルcell#2を形成する第2の基地局装置(基地局B)102は、RRH(Remote Radio Head)とも呼ばれる。これに対し、マクロセルcell#1を形成する第1の基地局装置(基地局A)101は、BTS(Base Transceiver Station)あるいはeNB(evolved Node B)とも呼ばれる。
RRH102は、例えば、トラフィックが集中して発生する場所(ホットスポットとも呼ばれる。)やマクロセルcell#1の不感帯などに配置される。これにより、ホットスポットのトラフィックをRRH102で吸収したり、マクロセルcell#1の不感帯をRRH102で補ったりすることができる。
基地局A(101)と、RRH(102)とは、個別の基地局装置と捉えてもよいし、一つの基地局装置を成すと捉えることもできる。
基地局A(101)は、S1インタフェース等の伝送路103等を通してコア網のEPC(Evolved Packet Core)104と接続している。EPC104は、例えば、PDN(Packet Data Network)GateWay(P−GW)、S−GW(Serving GateWay)、MME(Mobility Management Entity)等で構成されるが、これに限定されない。
また、基地局A(101)は、例えば標準通信フォーマットであるCPRI(Common Public Radio Interface)形式に従って、伝送路(光ファイバケーブル等)105を介して複数のRRH(1)やRRH(2)に接続される。基地局A(101)とRRH(1)、RRH(2)との接続においては、3GPP標準で規定されるX2インタフェースを介して接続した基地局B(102)を経由してもよい。また、基地局とRRHとの接続は、CPRIに限定されない。
図1において、端末(UE)111が、マクロセルcell#1セルから、マクロセルcell#1とスモールセルcell#2の両方が重なるエリア(図示の例ではスモールセルcell#2のエリア)に移動する場合のCAについて説明する。この場合、端末(UE)111がマクロセルcell#1(プライマリセル)で通信中に、スモールセルcell#2(セカンダリセル)が、CAにより追加されることになる。
(基地局構成例)
図2は、実施の形態にかかる基地局装置の内部構成例を示すブロック図である。図2には、第1の基地局装置(基地局A、eNB)101と、複数の第2の基地局装置に接続された無線部(RRH)または基地局Aに直接CPRIで接続されたRRH(基地局B、RRH)102とを示してある。
基地局A(eNB)101は、伝送路インタフェース(IF)211と、ベースバンド処理部212と、制御部213と、D/A変換部214と、RF処理回路215と、アンテナ216と、を含む。
伝送路IF211は、CPRI形式に従って、伝送路(光ファイバケーブル等)105を介して第2の基地局装置(RRH)102との間で信号を伝送する。
ベースバンド処理部212は、伝送路IF211を介して受信したダウンリンク(DL)の送信信号、およびUE111から受信したアップリンク(UL)の受信信号の信号処理を行う。このベースバンド処理部212は、複数のベースバンド処理部212a〜212nを有する。
ベースバンド処理部212aは、例えば、eNB101のマクロセルcell#1(プライマリセル)でのDLおよびULの信号処理を行う。ベースバンド処理部212b〜212nは、例えば、RRH102のそれぞれに対応して設けられ、セカンダリセル(cell#2〜cell#n)でのDLおよびULの信号処理を行う。このため、ベースバンド処理部212b〜212nは、それぞれ伝送路IF211を介してCPRIにより複数のRRH102(102b〜102n)に接続される。
各ベースバンド処理部212a〜212nは、それぞれRNTI使用状況をデータベース212aa〜212naに格納保持している。
D/A変換部214は、ベースバンド処理部212で処理されたDLのデジタル信号をアナログ信号に変換してRF処理回路215に出力する。また、D/A変換部214は、RF処理回路215から受信したULのアナログ信号をデジタル信号に変換してベースバンド処理部212へ出力する。
RF処理回路215は、D/A変換部214から入力されるDL信号を無線周波数にアップコンバートしてアンテナ216へ出力する。また、RF処理回路215は、アンテナ216で受信したUL信号をダウンコンバートしてD/A変換部214へ出力する。
アンテナ216は、RF処理回路215から入力されたDLの無線信号を空間(UE111)へ放射し、また、空間(UE111)から受信したULの無線信号をRF処理回路215へ出力する。
制御部213は、有線伝送路インタフェース機能部(HWY−IF)223と、基準クロック(CLK)生成部224と、呼処理/回線管理部225と、を含む。HWY−IF223は、EPC104(例えば、コアネットワーク(MME/S−GW)、eNB101を制御する制御装置、他の基地局装置等)との接続インタフェースであり、伝送路103(例えばS1インタフェース)に応じたプロトコル変換等の処理を行う。他のeNB同士を接続するインタフェースは、X2インタフェースと呼ばれる有線接続が一般的に考えられるが、無線接続であってもよい。
基準CLK生成部224は、基準周波数発信器を有し、eNB101が用いる基準クロックを生成する。呼処理/回線管理部225は、無線回線管理、呼制御、BTSの状態管理、状態制御を行う。
呼処理/回線管理部225は、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aを含み、ネットワークレイヤ情報のやり取り等を処理する。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、常に(あるいは所定のタイミングで)各ベースバンド処理部212a〜212nのデータベース212aa〜212naにアクセスして、各セル(cell#1〜cell#n)のRNTI使用状況を取得する。
このRRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RNTI使用状況データベース225bを有している。RNTI使用状況データベース225bは、CA実施の際にCA対象の各セル(cell#1〜cell#n)のRNTI使用状況をデータベース212aa〜212naからそれぞれ取得したRNTIを統合してCAに用いることができるRNTIを更新可能に保持する。
例えば、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、マクロセルの基地局A(101)のセル(cell#1)と同時通信によりCAを行い得るCA対象の他の基地局のRNTI使用状況を取得する。例えば、図1の例では、基地局B(102)であるRRH1、2のRNTI使用状況をX2インタフェース等の伝送路105を介して取得し、RNTI使用状況データベース225bに格納保持する。CA実施時におけるRNTIの算出の詳細構成は後述する。
基地局B(RRH)102(102a〜102n)は、パワーアンプ(PA:Power Amp)231、送受信処理部232、アンテナ233等を含む。送受信処理部232は、RRH102で生成される送信データを無線信号に変換する機能を有する。また、送受信処理部232は、図示しないDA変換器、直交変換器、信号を周波数軸上に展開するアップコンバータ、等を含む。
また、送受信処理部232は、LNA(低雑音増幅器)を有し、アンテナ233からの受信信号を増幅する。また、信号のダウンコンバータや、AD変換器によりサンプリングでデジタルの受信データとして処理する機能を有する。また、送受信処理部232は、eNB101との間の伝送路105を介してCPRIの形式に変換してeNB101との送受信を行うインタフェース部等を含む。
(実施の形態のCAの適用フェーズについて)
図3は、実施の形態にかかるCA開始および追加決定のタイミングを示すシーケンス図である。主に端末(UE)111と基地局A(eNB)101とが通信状態にあり、以降のCAにかかる処理手順を記載してある。基地局B(RRH)102は、基地局A(eNB)101と連携してCAにかかる処理を行う。
以下の説明では、図1に示したように、1台のUE111に対し、複数の基地局A,Bを通信接続するCAの例を説明する。はじめに、eNB101は、Measurement Procedureの手順(ステップS301)により、UE111が送信するMeasurement Report等を受信する。Measurement Reportは、UE111が検出した基地局A,Bの電波強度やセル識別子等のセル情報を含み、基地局Aに報告される。
この後、eNB101は、CA開始/追加等を決定する(ステップS302)。この際、eNB101は、UE111から報告された所定の電波強度を有する(通信品質が良好な)複数の基地局A,Bを用いてCAを行うことを判断する。例えば、図1に示す例では、UE111がRRH102のスモールセルcell#2に位置し、基地局B(RRH)102との通信状態が良好であれば、このRRH102のスモールセルcell#2をセカンダリセル(追加セル)として決定する。
そして、実施の形態では、eNB101は、Handover Procedureの手順(ステップS303)により、CA追加のためにUE111の通信パラメータの変更を行う。
このため、実施の形態では、eNB101は、このHandover Procedureの手順内で、CA対象のセル全てで使用可能なC−RNTIを検索する(詳細は後述する)。この際、eNB101は、CAを行う基地局(図1の例ではeNB101とRRH102)に共通する一つのC−RNTIをUE111に対して割り当てるための空きRNTIの検索を行う。そして、eNB101は、Handover Procedureの手順でUE111に対し、CAで追加が許可されたRRH102の情報と、追加する他のRRH102の情報を通知する(上記共通の一つのC−RNTIの通知を含む)。
この後、UE111が通知されたCA(追加等のRRH102)の情報を許諾すると、eNB101は、Random Access(ステップS304)により、RACH Procedureの手順を実行する。このRandom Accessの手順では、ステップS303のHandover Procedureにより通信パラメータが変更された状態で、eNB101およびRRH102がUE111と接続する処理を行う。
この後の手順では、eNB101およびRRH102は、UE111との間でCAによるデータ通信を行う。
このように、実施の形態では、CAによる無線通信の際、セカンダリセル追加時のC−RNTIの決定は、UE111からのMeasurement Report等を基に、CA制御を主導する一つのeNB101がCA開始/追加を決定する。そして、eNB101は、CA開始/追加の決定後に、Handover Procedureの手順により、CA対象の(セカンダリセル)の基地局(RRH)102にC−RNTIの通知および接続処理を行う。
(実施の形態のeNBの処理について)
図4は、実施の形態にかかる基地局(eNB)の内部処理を示すシーケンス図である。図1に示したように、UE111がRRH102のセル(cell#2)に位置した状態を例に説明する。
はじめに、eNB101は、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aがUE111から送信されるMeasurement Report(D1)を受信し、CAする追加予定セルを決定する(D2)。この際、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、UE111の能力(帯域)等に応じて、このUE111に対するCAを行うセル数(セカンダリセルの追加数)や帯域を決定する。ここでは、例えば、基地局B(RRH)102のスモールセルcell#2をセカンダリセル(追加セル)として決定したとする。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、CA用セル追加ハンドオーバMessageを出力する(D3)。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対してCA開始/追加指示を行う(D31)。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対してCA開始/追加指示を行う(D32)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aと、ベースバンド処理部212a、212bは、RNTI処理を行い、CAのためにcell#1、cell#2で共通する一つの空きRNTIの検索の処理を行う(D4)。
この後、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対して、CA開始/追加応答を行い(D51)、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対して、CA開始/追加応答を行う(D52)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RRC Connection Reconfiguration(D6)により、UE111に対してCA追加に関するRNTI等の情報を通知する。
セカンダリセルの追加や削除、再構成(reconfigure)は、例えば、プライマリセルからUE111に対して制御信号を与えることにより実施される。例えば、eNB101が、セカンダリセルの追加を決定すると、制御プレーンを通じてRRC(Radio Resource Control)シグナリングをUE111へ送信する。RRCシグナリングの一例は、RRC Connection Reconfiguration(D6)のメッセージである。
UE111は、RRCシグナリング(D6)のメッセージを受信すると、CC制御を実施してセカンダリセルとの通信準備処理を開始し、受信したRRCシグナリングに対する応答信号をeNBへ送信する。応答信号の一例は、RRC Connection Reconfiguration Completeメッセージである。
eNB101は、UE111から応答信号を受信すると、セカンダリセルの起動を指示する制御信号をUE111へ送信する。この制御信号は、MACレイヤのコントロールエレメント(MAC CE)として送信できる。なお、eNB101は、MACレイヤにおいて、セカンダリセルをマネージメントすることができる。例えば、セカンダリセルの起動(Activation)や解除(Deactivation)、セカンダリセルでの間欠受信(DRX:Discontinuous Reception)の制御等をMAC CEによって実施可能である。
セカンダリセルの起動を指示するMAC CEを受信したUE111は、セカンダリセルを起動する。なお、セカンダリセルを起動したUE111は、起動したセカンダリセルを解除する時間を計時するタイマをスタートしてもよい。この場合、タイマが満了すると、UE111は、セカンダリセルを自律的に解除する。タイマは、Scell Deactivation timerと称されることがある。
実施の形態では、eNB101(RRCレイヤ処理/アプリケーション部225a)は、UE111に対し、RRC Connection Reconfiguration(D6)による1度だけのハンドオーバで済む。
図5は、実施の形態にかかるRNTIの検索処理の詳細を示すシーケンス図である。図5では、主に図4に示したRNTIの検索の処理(D4)の詳細を示す。
はじめに、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理開始通知)を行う(D31)。ベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理開始通知の応答を行う(D31a)。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理開始通知)を行う(D32)。ベースバンド処理部212bは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理開始通知の応答を行う(D32a)。
次に、この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aと、ベースバンド処理部212a、212bは、RNTI処理を行い、CAのためにcell#1、cell#2で共通する一つの空きRNTIの検索の処理を行う(D4)。
このRNTIの検索処理D4では、はじめに、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、予め設定したRNTI設定のリトライ回数未満であるかを判断する(ステップS501)。RNTI設定のリトライ回数未満であれば(ステップS501:Yes)、以下の処理を実行するが、RNTI設定のリトライ回数以上であれば(ステップS501:No)、RNTIの検索の処理を実行せずに終了する(D51に移行する)。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RNTI使用状況データベース225bにアクセスし(ステップS502)、現在のRNTI使用状況に基づき、空きRNTI算出処理を行う(ステップS503)。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、CAのためにcell#1、cell#2で共通する一つの空きRNTIがあるかを判断する(ステップS504)。空きRNTIがあれば(ステップS504:Yes)、以下の処理を実行するが、共通する一つの空きRNTIがなければ(ステップS504:No)、ステップS501に戻り、リトライ回数を確認する。
そして、リトライ回数未満であれば(ステップS501:Yes)、再度RNTI使用状況データベース225bにアクセスする。この際、例えば同じcellのRNTI情報であっても、他のUEの通信状況は常に変わりRNTI使用状況データベース225bも更新されているので、再度アクセスして得た情報で空きRNTI算出処理を行う。これをリトライ回数分繰り返しても空きRNTIが見つからない場合(ステップS501:No)、NGとしてRNTI検索の処理D4を終了する(D51に移行する)。
次に、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、空きRNTIのうち、今回のCAに用いる一つのRNTIの選択処理を行う(ステップS505)。そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RNTI使用状況データベース225bにアクセスし、選択したRNTIが使用中であることを設定する(ステップS506)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対して、ステップS505で選択した一つのRNTIの予約指示を行う(ステップS507)。
基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aは、現在処理しているRNTIについてデータベース212aaを検索して確認し(ステップS508)、RNTI予約指示されたRNTIで処理できるか応答を行う(ステップS509)。
次に、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aの応答結果がOKの場合には、ステップS505で選択した一つのRNTIを使うことを基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対して予約指示する(ステップS510)。
基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bは、データベース212baを検索し(ステップS511)、指示されたRNTIで処理できるかを判断し、RNTI予約指示に対する応答を行う(ステップS512)。
基地局Bからの応答結果がOKである場合には、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局Aのベースバンド処理部212aに対し、構成変更通知を行う(ステップS513)。構成変更通知では、CAに関するセカンダリセルの追加や削除等の再構成(reconfigure)に関する情報を通知する。
ベースバンド処理部212aは、選択したRNTIに関して、データベース212aaにアクセスし、使用中確定であると設定する。そして、ベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対し構成変更通知に対する応答を行う(ステップS514)。
一方、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局Bからの応答結果がNGの場合には、指示したRNTIを現在、RNTI使用状況データベース225bで使用中とする。また、指示したeNB101(cell#1)のデータベース、あるいはRHH102(cell#2)のデータベース212baにおいても使用予約とされ、RNTIの解放処理を行う(不図示であるが、この場合、ステップS501の設定リトライ回数を確認し、閾値に達していなければ(ステップS501:Yes)、上記同様の処理をRNTIが決定できるまで繰り返す)。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、構成変更通知に対する応答に基づき、RNTI使用状況データベース225bを更新する(ステップS515)。以上により、RNTIの検索処理D4が終了する。
その後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理終了通知)を行う(D51)。ベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理終了通知の応答を行う(D51a)。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理終了通知)を行う(D52)。ベースバンド処理部212bは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理終了通知の応答を行う(D52b)。
上記処理において、RNTIの検索処理D4にかかる時間T、すなわち、1回のリトライは、例えば、5msecである。これは、基地局A(eNB101)内部の処理だけでCA対象の複数セルのRNTIを検索できることに基づく。
(空きRNTI算出を説明する図)
図6は、空きRNTI算出を説明する図である。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aが実行する図5のステップS503に示した空きRNTI算出処理について説明する。
各ベースバンド部212a〜212nは、データベース212aa〜212na上でセル(cell#1〜cell#n)のRNTIの使用状況を保持している。図6の(a)に示すように、実施の形態では、各セル(cell#1〜cell#n)は、RNTIの端末識別ID、例えば1〜65523について、それぞれ1ビットで使用状態の識別子をRNTIの使用可否情報として付与する。例えば、使用RNTIにはビット「1」を設定し、未使用RNTIにはビット「0、あるいはビットを立てない」状態で管理する。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、空きRNTI算出処理の処理タイミング(ステップS503)において、UE111が使用するセルに共通の一つのCA用セルの空きRNTIを算出する。
例えば、図1に示すようにcell#1でUE111が通信中にcell#2をセカンダリセルとして追加する場合を例に説明する。この場合、図6の(b)に示すように、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、データベース212aa、212baにアクセスしてCAを行う2つのcell#1、cell#2の全データ(それぞれ65523ビットのテーブル)を取得する。そして、これら2つのcell#1とcell#2の全データに対し、同じ端末識別ID毎の論理和(or)を求める。
RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、この論理和の結果を図6(c)に示すCA用払い出し用空きRNTI領域603としてRNTI使用状況データベース225bに一時的に保持し、これをもとにRNTI選択処理(図5のステップS505)を行う。
図7は、空きRNTI算出の処理例を示すフローチャートである。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aが行う処理について説明する。はじめに、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、ベースバンド部212aのデータベース212aaにアクセスし、cell#1で現在通信中のRNTIの使用可否情報を取得する(ステップS701)。
次に、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、追加予定cell#2のベースバンド部212bのデータベース212baにアクセスし、cell#2のRNTIの使用可否情報を取得する(ステップS702)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、これら2つのcell#1とcell#2の全データに対し、同じ端末識別ID毎の論理和(or)を求める(ステップS703)。
この後、さらに追加予定の他のcellがあるかを判断し(ステップS704)、追加があれば(ステップS704:Yes)、ステップS702に戻り、追加予定のcellのRNTIの使用可否情報を取得し論理和を求める。
ステップS704において、追加cellがない(全てのセル追加が終わった)場合には(ステップS704:No)、UE111がCAで使用を予定しているセル全てで共通に使用できる一つのRNTIが取得できる(ステップS705)。
上記空きRNTI算出の処理によれば、CA対象セル同士の同じ端末識別IDの論理和演算で簡単にCA対象の全セルの空きRNTIを検索することができる。この際、1ビットの単純論理和演算で済むため、CA対象の全セルの空きRNTIを高速に算出できる。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、ベースバンド処理部212に比して処理速度が低速である。
しかし、論理和演算で得られた空きRNTI領域603(テーブル)に対して1度の検索を行うだけでCA対象の全セルの空きRNTIを高速に検索できる。これにより、処理速度が低速なRRCレイヤ処理/アプリケーション部225aであっても、短時間で効率的に空きRNTIを検索できるようになる。短時間で効率的に空きRNTIを検索できることにより、各セルで常に変化するRNTIの使用状態に対し、1度の検索だけで実際に使用できるRNTIを得る確立を高めることができリトライ回数を削減できる。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは空きRNTIの検索の処理負担を軽減できる。
以上説明した実施の形態によるRNTIの決定にかかる処理時間について説明する。実施の形態によれば、図3に示したCA追加の決定(ステップS302)の後、Handover Procedureの手順(ステップS303)の処理工程内だけで、RNTIを設定することができる。すなわち、eNB101は、RNTI決定をUE111との通信接続を不要としてeNB101内部で処理できる。この場合、図5に示したRNTIの検索処理D4にかかる時間Tは5msecで済む。また、仮にリトライが5回発生しても25msecの処理時間でCA用のRNTIを取得できる。
これに対し、既存の方式では、セカンダリセルをサーチするために、図3のHandover Procedureの手順(ステップS303)と、Random Access(ステップS304)の手順を実行してRNTIを設定することになる。この場合、各セルからCA用のRNTIを1度で取得できずeNB101がUE111との間でのリトライ(ハンドオーバ)を繰り返す毎に、ステップS303とステップS304の処理で120msec程度の時間を費やす。仮にリトライが5回発生した場合には600msecの処理時間がかかってしまう。このように、実施の形態によれば、既存の方式に比して高速かつ効率的に空きRNTIを検索できるようになる。
LTEでは、待受け(アイドル)からセルに在圏して通信状態となる遷移が100ms以下に規格されていたが、LTE−Aでは待受けから通信状態が50ms以下とより厳しく規定され、短いlatencyが求められている。この規定についても実施の形態であれば、LTE−Aの要求条件を満たし、LTE−AでのCA確立手順までの処理を簡略化でき、CA確立までの時間を大幅に短縮できる。
101 基地局A(eNB)
102 基地局B(RRH)
103,105 伝送路
111 端末(UE)
211 伝送路IF
212(212a〜212n) ベースバンド処理部
212aa〜212na データベース
213 制御部
214 D/A変換部
215 RF処理回路
216,233 アンテナ
225 呼処理/回線管理部
225a RRCレイヤ処理/アプリケーション部
225b RNTI使用状況データベース
231 パワーアンプ
232 送受信処理部
本発明は、キャリアアグリゲーションによる通信を行う基地局装置に関する。
3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、LTE(Long Term Evolution)の次の通信方式としてLTE−A(LTE−Advanced)の検討が行われている。LTE−Aでは、LTEよりも高速の通信の実現を目指しており、LTEよりも広帯域(例えば、LTEの20MHzの帯域を超える100MHzまでの帯域)をサポートすることが求められている。
そこで、高速かつ大容量の通信を実現するキャリアアグリゲーション(CA)と呼ばれる技術が3GPPにおいて提案されている。CAでは、LTEとの互換性(バックワードコンパチビリティー)を可能な限り維持する目的から、帯域幅が20MHzまでのキャリアを複数まとめて通信を行う。例えば、1セクタあたり20MHzを5セクタ分使用して最大100MHzの帯域幅を確保することが可能である。なお、CAでは、20MHzまでのキャリアを、コンポーネントキャリア(CC)と呼ぶ。
ここでLTEシステムの基地局(eNB)は、端末(UE)を識別するために、C−RNTI(Cell Radio Network Temporary Identifier)と呼ばれる端末識別IDを管理している。UEとeNBとの接続確立時にRACH(Random−Access CHannel) Procedureの手順を用いて、C−RNTIをeNBからUEに対して割り当て、呼接続中はC−RNTIを用いることでUE毎の独立した通信を可能としている。
C−RNTIは、3GPPの下記非特許文献1の7.1章 RNTI valuesに、セル単位で端末識別IDが1〜65523までとして規定されている。すなわち、LTEシステムでは、UEは一つのセルにしか存在し得ないために、セル単位での定義とされている。セルが異なればC−RNTIの重複が許容されている。
また、下記非特許文献2には、CA(5.5章、7.5章)、C−RNTI(8.1章)、ハンドオーバ(10.1.2.1章)、RACH Procedure(10.1.5章)、Non−Contention based Random Access Procedure(図10.1.5.2−1)に規定されている。また、この非特許文献2には、アップリンク(UL)のRRHをサポートしたCAがデプロイメントシナリオ4として検討されている(Annex J (informative):Carrier Aggregation J.1 Deployment Scenarios)に記載の#4で示されるケース)。
従来技術として、例えば、CAのセルのセルサーチを行うものとして、キャリア検出信号の受信品質に基づいて、セカンダリセルをサーチする技術がある(例えば、下記特許文献1,2参照。)。また、マルチコンポーネント・キャリア・セルにおいて、プライマリセルのセル識別子を用いて、セカンダリセルをサーチする技術(例えば、下記特許文献3参照。)がある。
特開2013−157823号公報
特開2013−222976号公報
特表2011−525327号公報
「3GPP TS 36.321 V10.5.0(2012−03)」,3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA);Medium Access Control(MAC)protocol specification(Release 10),p45−p46
「3GPP TS 36.300 V10.3.0(2011−03)」,3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E−UTRA)and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E−UTRAN);Overall description;Stage 2(Release 10),p46,p56−p57,p62,p70−p71,p73
3GPP Release10の仕様以降では、LTE−Aに対するCAの導入により一台のUEが同時に複数のeNBのセルと通信可能とされている。ここで、LTE−A(Rel.10)では、LTE(Rel.8,Rel.9)対応のUEとの互換性を実現するために、C−RNTIの定義はLTEと変わっていない(1〜65523の数値で、かつセル単位)。
LTEのUEは、セルをまたがらずに一つのセルと通信するため、C−RNTIは、セル毎に重複が許容されている。これに対し、LTE−AでCAを行うUEは、同時に複数のセルと接続するために、同時に通信を行う全てのセルについて共通のC−RNTIとする必要がある。ここで、UEが保持可能なC−RNTIは一つである。すなわち、LTEではセルが異なればC−RNTIの重複が許されるが、LTE−Aでは、CAを実施しているセルについては重複が許されないことになる。
ここで、LTE−AにおいてもC−RNTIを確保するためのRACH Procedureは1セル(プライマリセル:Primary cell)だけで実行されるため、上記CA対象の複数セルに渡って共通に使用可能なC−RNTIの割り当てをどのように行うかが課題となるが、現在のところ有効な手法は開示されていない。
現状では、はじめにプライマリセルで確保されたC−RNTIが、CA対象セル(セカンダリセル:Secondary cell)の追加時にも使用可能かをチェックしている。そして、端末との間で必要な帯域に対応した数のCA対象セルが使用中の場合には、再度プライマリセルに対しC−RNTIを変えてリトライを繰り返すことになる。このため、CA対象全ての複数セルで共通に使用可能なC−RNTIを探す処理(RACH Procedure)が多発する虞があり、この場合、CA確立までに非常に時間がかかることになる。
一つの側面では、本発明は、キャリアアグリゲーション確立までの時間を短縮できることを目的とする。
一つの案では、基地局装置は、自装置のセルを含む自装置が管理する複数セルの他の基地局装置それぞれに対する端末の現在の接続状態を示す端末識別IDを逐次取得して更新保持するベースバンド処理部と、前記端末との間でキャリアアグリゲーションによる通信実施の際には、当該キャリアアグリゲーション対象の前記複数セルの前記端末識別IDを前記ベースバンド処理部から取得し、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セル間で使用可能な前記端末識別IDを求める制御部と、を有することを要件とする。
一つの実施形態によれば、キャリアアグリゲーション確立までの時間を短縮できる。
図1は、実施の形態にかかる基地局装置を含む通信装置のシステム構成図である。
図2は、実施の形態にかかる基地局装置の内部構成例を示すブロック図である。
図3は、実施の形態にかかるCA開始および追加決定のタイミングを示すシーケンス図である。
図4は、実施の形態にかかる基地局(eNB)の内部処理を示すシーケンス図である。
図5は、実施の形態にかかるRNTIの検索処理の詳細を示すシーケンス図である。
図6は、空きRNTI算出を説明する図である。
図7は、空きRNTI算出の処理例を示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(システム構成例)
図1は、実施の形態にかかる基地局装置を含む通信装置のシステム構成図である。図1に示すように、第1の通信エリアCC1(cell#1)は、例えば、マクロセル(あるいはマクロカバレッジ、プライマリセル、CC1(cell#1))と呼ばれ、第2の通信エリアは、例えば、スモールセル(あるいはスモールカバレッジ、セカンダリセル、CC2(cell#2))と呼ばれる。CCは、Component Carrierである。第1の通信エリアと第2の通信エリアとの関係は逆転してもよい。
上述の非特許文献2のように、アップリンク(UL)のRRH102をサポートしたCAが検討されている。これに伴い、図1のように、マクロセルcell#1の配下に1または複数のスモールセルcell#2〜#nがオーバーレイ配置されるケースが考えられる。この場合、端末(UE)111がマクロセルcell#1からスモールセルcell#2内に移動すると、端末(UE)111は、マクロセルcell#1の基地局A(101)と、スモールセルcell#2の基地局B(102)の双方にアクセス可能になる。これにより、端末(UE)111は、マクロセルcell#1と、複数のスモールセルcell#2〜#nとの通信によりCAを行うことができる。
図1に示したように、マクロセル(プライマリセル)cell#1の配下にスモールセル(セカンダリセル)cell#2がオーバーレイ配置される関係にあれば、各セルの呼称は問わない。セルの呼称の一例としては、マクロセル、フェムトセル、ピコセル、マイクロセル等が挙げられる。フェムトセル、ピコセル、およびマイクロセルを、スモールセルと総称してもよい。
マクロセルcell#1とスモールセルcell#2とでは、異なる周波数F1,F2を用いることができる。例えば、スモールセルcell#2で用いられる周波数F2は、マクロセルcell#1で用いられる周波数F1よりも高い。
スモールセルcell#2を形成する第2の基地局装置(基地局B)102は、RRH(Remote Radio Head)とも呼ばれる。これに対し、マクロセルcell#1を形成する第1の基地局装置(基地局A)101は、BTS(Base Transceiver Station)あるいはeNB(evolved Node B)とも呼ばれる。
RRH102は、例えば、トラフィックが集中して発生する場所(ホットスポットとも呼ばれる。)やマクロセルcell#1の不感帯などに配置される。これにより、ホットスポットのトラフィックをRRH102で吸収したり、マクロセルcell#1の不感帯をRRH102で補ったりすることができる。
基地局A(101)と、RRH(102)とは、個別の基地局装置と捉えてもよいし、一つの基地局装置を成すと捉えることもできる。
基地局A(101)は、S1インタフェース等の伝送路103等を通してコア網のEPC(Evolved Packet Core)104と接続している。EPC104は、例えば、PDN(Packet Data Network)GateWay(P−GW)、S−GW(Serving GateWay)、MME(Mobility Management Entity)等で構成されるが、これに限定されない。
また、基地局A(101)は、例えば標準通信フォーマットであるCPRI(Common Public Radio Interface)形式に従って、伝送路(光ファイバケーブル等)105を介して複数のRRH(1)やRRH(2)に接続される。基地局A(101)とRRH(1)、RRH(2)との接続においては、3GPP標準で規定されるX2インタフェースを介して接続した基地局B(102)を経由してもよい。また、基地局とRRHとの接続は、CPRIに限定されない。
図1において、端末(UE)111が、マクロセルcell#1セルから、マクロセルcell#1とスモールセルcell#2の両方が重なるエリア(図示の例ではスモールセルcell#2のエリア)に移動する場合のCAについて説明する。この場合、端末(UE)111がマクロセルcell#1(プライマリセル)で通信中に、スモールセルcell#2(セカンダリセル)が、CAにより追加されることになる。
(基地局構成例)
図2は、実施の形態にかかる基地局装置の内部構成例を示すブロック図である。図2には、第1の基地局装置(基地局A、eNB)101と、複数の第2の基地局装置に接続された無線部(RRH)または基地局Aに直接CPRIで接続されたRRH(基地局B、RRH)102とを示してある。
基地局A(eNB)101は、伝送路インタフェース(IF)211と、ベースバンド処理部212と、制御部213と、D/A変換部214と、RF処理回路215と、アンテナ216と、を含む。
伝送路IF211は、CPRI形式に従って、伝送路(光ファイバケーブル等)105を介して第2の基地局装置(RRH)102との間で信号を伝送する。
ベースバンド処理部212は、伝送路IF211を介して受信したダウンリンク(DL)の送信信号、およびUE111から受信したアップリンク(UL)の受信信号の信号処理を行う。このベースバンド処理部212は、複数のベースバンド処理部212a〜212nを有する。
ベースバンド処理部212aは、例えば、eNB101のマクロセルcell#1(プライマリセル)でのDLおよびULの信号処理を行う。ベースバンド処理部212b〜212nは、例えば、RRH102のそれぞれに対応して設けられ、セカンダリセル(cell#2〜cell#n)でのDLおよびULの信号処理を行う。このため、ベースバンド処理部212b〜212nは、それぞれ伝送路IF211を介してCPRIにより複数のRRH102(102b〜102n)に接続される。
各ベースバンド処理部212a〜212nは、それぞれRNTI使用状況をデータベース212aa〜212naに格納保持している。
D/A変換部214は、ベースバンド処理部212で処理されたDLのデジタル信号をアナログ信号に変換してRF処理回路215に出力する。また、D/A変換部214は、RF処理回路215から受信したULのアナログ信号をデジタル信号に変換してベースバンド処理部212へ出力する。
RF処理回路215は、D/A変換部214から入力されるDL信号を無線周波数にアップコンバートしてアンテナ216へ出力する。また、RF処理回路215は、アンテナ216で受信したUL信号をダウンコンバートしてD/A変換部214へ出力する。
アンテナ216は、RF処理回路215から入力されたDLの無線信号を空間(UE111)へ放射し、また、空間(UE111)から受信したULの無線信号をRF処理回路215へ出力する。
制御部213は、有線伝送路インタフェース機能部(HWY−IF)223と、基準クロック(CLK)生成部224と、呼処理/回線管理部225と、を含む。HWY−IF223は、EPC104(例えば、コアネットワーク(MME/S−GW)、eNB101を制御する制御装置、他の基地局装置等)との接続インタフェースであり、伝送路103(例えばS1インタフェース)に応じたプロトコル変換等の処理を行う。他のeNB同士を接続するインタフェースは、X2インタフェースと呼ばれる有線接続が一般的に考えられるが、無線接続であってもよい。
基準CLK生成部224は、基準周波数発信器を有し、eNB101が用いる基準クロックを生成する。呼処理/回線管理部225は、無線回線管理、呼制御、BTSの状態管理、状態制御を行う。
呼処理/回線管理部225は、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aを含み、ネットワークレイヤ情報のやり取り等を処理する。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、常に(あるいは所定のタイミングで)各ベースバンド処理部212a〜212nのデータベース212aa〜212naにアクセスして、各セル(cell#1〜cell#n)のRNTI使用状況を取得する。
このRRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RNTI使用状況データベース225bを有している。RNTI使用状況データベース225bは、CA実施の際にCA対象の各セル(cell#1〜cell#n)のRNTI使用状況をデータベース212aa〜212naからそれぞれ取得したRNTIを統合してCAに用いることができるRNTIを更新可能に保持する。
例えば、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、マクロセルの基地局A(101)のセル(cell#1)と同時通信によりCAを行い得るCA対象の他の基地局のRNTI使用状況を取得する。例えば、図1の例では、基地局B(102)であるRRH1、2のRNTI使用状況をX2インタフェース等の伝送路105を介して取得し、RNTI使用状況データベース225bに格納保持する。CA実施時におけるRNTIの算出の詳細構成は後述する。
基地局B(RRH)102(102a〜102n)は、パワーアンプ(PA:Power Amp)231、送受信処理部232、アンテナ233等を含む。送受信処理部232は、RRH102で生成される送信データを無線信号に変換する機能を有する。また、送受信処理部232は、図示しないDA変換器、直交変換器、信号を周波数軸上に展開するアップコンバータ、等を含む。
また、送受信処理部232は、LNA(低雑音増幅器)を有し、アンテナ233からの受信信号を増幅する。また、信号のダウンコンバータや、AD変換器によりサンプリングでデジタルの受信データとして処理する機能を有する。また、送受信処理部232は、eNB101との間の伝送路105を介してCPRIの形式に変換してeNB101との送受信を行うインタフェース部等を含む。
(実施の形態のCAの適用フェーズについて)
図3は、実施の形態にかかるCA開始および追加決定のタイミングを示すシーケンス図である。主に端末(UE)111と基地局A(eNB)101とが通信状態にあり、以降のCAにかかる処理手順を記載してある。基地局B(RRH)102は、基地局A(eNB)101と連携してCAにかかる処理を行う。
以下の説明では、図1に示したように、1台のUE111に対し、複数の基地局A,Bを通信接続するCAの例を説明する。はじめに、eNB101は、Measurement Procedureの手順(ステップS301)により、UE111が送信するMeasurement Report等を受信する。Measurement Reportは、UE111が検出した基地局A,Bの電波強度やセル識別子等のセル情報を含み、基地局Aに報告される。
この後、eNB101は、CA開始/追加等を決定する(ステップS302)。この際、eNB101は、UE111から報告された所定の電波強度を有する(通信品質が良好な)複数の基地局A,Bを用いてCAを行うことを判断する。例えば、図1に示す例では、UE111がRRH102のスモールセルcell#2に位置し、基地局B(RRH)102との通信状態が良好であれば、このRRH102のスモールセルcell#2をセカンダリセル(追加セル)として決定する。
そして、実施の形態では、eNB101は、Handover Procedureの手順(ステップS303)により、CA追加のためにUE111の通信パラメータの変更を行う。
このため、実施の形態では、eNB101は、このHandover Procedureの手順内で、CA対象のセル全てで使用可能なC−RNTIを検索する(詳細は後述する)。この際、eNB101は、CAを行う基地局(図1の例ではeNB101とRRH102)に共通する一つのC−RNTIをUE111に対して割り当てるための空きRNTIの検索を行う。そして、eNB101は、Handover Procedureの手順でUE111に対し、CAで追加が許可されたRRH102の情報と、追加する他のRRH102の情報を通知する(上記共通の一つのC−RNTIの通知を含む)。
この後、UE111が通知されたCA(追加等のRRH102)の情報を許諾すると、eNB101は、Random Access(ステップS304)により、RACH Procedureの手順を実行する。このRandom Accessの手順では、ステップS303のHandover Procedureにより通信パラメータが変更された状態で、eNB101およびRRH102がUE111と接続する処理を行う。
この後の手順では、eNB101およびRRH102は、UE111との間でCAによるデータ通信を行う。
このように、実施の形態では、CAによる無線通信の際、セカンダリセル追加時のC−RNTIの決定は、UE111からのMeasurement Report等を基に、CA制御を主導する一つのeNB101がCA開始/追加を決定する。そして、eNB101は、CA開始/追加の決定後に、Handover Procedureの手順により、CA対象の(セカンダリセル)の基地局(RRH)102にC−RNTIの通知および接続処理を行う。
(実施の形態のeNBの処理について)
図4は、実施の形態にかかる基地局(eNB)の内部処理を示すシーケンス図である。図1に示したように、UE111がRRH102のセル(cell#2)に位置した状態を例に説明する。
はじめに、eNB101は、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aがUE111から送信されるMeasurement Report(D1)を受信し、CAする追加予定セルを決定する(D2)。この際、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、UE111の能力(帯域)等に応じて、このUE111に対するCAを行うセル数(セカンダリセルの追加数)や帯域を決定する。ここでは、例えば、基地局B(RRH)102のスモールセルcell#2をセカンダリセル(追加セル)として決定したとする。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、CA用セル追加ハンドオーバMessageを出力する(D3)。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対してCA開始/追加指示を行う(D31)。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対してCA開始/追加指示を行う(D32)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aと、ベースバンド処理部212a、212bは、RNTI処理を行い、CAのためにcell#1、cell#2で共通する一つの空きRNTIの検索の処理を行う(D4)。
この後、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対して、CA開始/追加応答を行い(D51)、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対して、CA開始/追加応答を行う(D52)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RRC Connection Reconfiguration(D6)により、UE111に対してCA追加に関するRNTI等の情報を通知する。
セカンダリセルの追加や削除、再構成(reconfigure)は、例えば、プライマリセルからUE111に対して制御信号を与えることにより実施される。例えば、eNB101が、セカンダリセルの追加を決定すると、制御プレーンを通じてRRC(Radio Resource Control)シグナリングをUE111へ送信する。RRCシグナリングの一例は、RRC Connection Reconfiguration(D6)のメッセージである。
UE111は、RRCシグナリング(D6)のメッセージを受信すると、CC制御を実施してセカンダリセルとの通信準備処理を開始し、受信したRRCシグナリングに対する応答信号をeNBへ送信する。応答信号の一例は、RRC Connection Reconfiguration Completeメッセージである。
eNB101は、UE111から応答信号を受信すると、セカンダリセルの起動を指示する制御信号をUE111へ送信する。この制御信号は、MACレイヤのコントロールエレメント(MAC CE)として送信できる。なお、eNB101は、MACレイヤにおいて、セカンダリセルをマネージメントすることができる。例えば、セカンダリセルの起動(Activation)や解除(Deactivation)、セカンダリセルでの間欠受信(DRX:Discontinuous Reception)の制御等をMAC CEによって実施可能である。
セカンダリセルの起動を指示するMAC CEを受信したUE111は、セカンダリセルを起動する。なお、セカンダリセルを起動したUE111は、起動したセカンダリセルを解除する時間を計時するタイマをスタートしてもよい。この場合、タイマが満了すると、UE111は、セカンダリセルを自律的に解除する。タイマは、Scell Deactivation timerと称されることがある。
実施の形態では、eNB101(RRCレイヤ処理/アプリケーション部225a)は、UE111に対し、RRC Connection Reconfiguration(D6)による1度だけのハンドオーバで済む。
図5は、実施の形態にかかるRNTIの検索処理の詳細を示すシーケンス図である。図5では、主に図4に示したRNTIの検索の処理(D4)の詳細を示す。
はじめに、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理開始通知)を行う(D31)。ベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理開始通知の応答を行う(D31a)。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理開始通知)を行う(D32)。ベースバンド処理部212bは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理開始通知の応答を行う(D32a)。
次に、この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aと、ベースバンド処理部212a、212bは、RNTI処理を行い、CAのためにcell#1、cell#2で共通する一つの空きRNTIの検索の処理を行う(D4)。
このRNTIの検索処理D4では、はじめに、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、予め設定したRNTI設定のリトライ回数未満であるかを判断する(ステップS501)。RNTI設定のリトライ回数未満であれば(ステップS501:Yes)、以下の処理を実行するが、RNTI設定のリトライ回数以上であれば(ステップS501:No)、RNTIの検索の処理を実行せずに終了する(D51に移行する)。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RNTI使用状況データベース225bにアクセスし(ステップS502)、現在のRNTI使用状況に基づき、空きRNTI算出処理を行う(ステップS503)。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、CAのためにcell#1、cell#2で共通する一つの空きRNTIがあるかを判断する(ステップS504)。空きRNTIがあれば(ステップS504:Yes)、以下の処理を実行するが、共通する一つの空きRNTIがなければ(ステップS504:No)、ステップS501に戻り、リトライ回数を確認する。
そして、リトライ回数未満であれば(ステップS501:Yes)、再度RNTI使用状況データベース225bにアクセスする。この際、例えば同じcellのRNTI情報であっても、他のUEの通信状況は常に変わりRNTI使用状況データベース225bも更新されているので、再度アクセスして得た情報で空きRNTI算出処理を行う。これをリトライ回数分繰り返しても空きRNTIが見つからない場合(ステップS501:No)、NGとしてRNTI検索の処理D4を終了する(D51に移行する)。
次に、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、空きRNTIのうち、今回のCAに用いる一つのRNTIの選択処理を行う(ステップS505)。そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、RNTI使用状況データベース225bにアクセスし、選択したRNTIが使用中であることを設定する(ステップS506)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対して、ステップS505で選択した一つのRNTIの予約指示を行う(ステップS507)。
基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aは、現在処理しているRNTIについてデータベース212aaを検索して確認し(ステップS508)、RNTI予約指示されたRNTIで処理できるか応答を行う(ステップS509)。
次に、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aの応答結果がOKの場合には、ステップS505で選択した一つのRNTIを使うことを基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対して予約指示する(ステップS510)。
基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bは、データベース212baを検索し(ステップS511)、指示されたRNTIで処理できるかを判断し、RNTI予約指示に対する応答を行う(ステップS512)。
基地局Bからの応答結果がOKである場合には、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局Aのベースバンド処理部212aに対し、構成変更通知を行う(ステップS513)。構成変更通知では、CAに関するセカンダリセルの追加や削除等の再構成(reconfigure)に関する情報を通知する。
ベースバンド処理部212aは、選択したRNTIに関して、データベース212aaにアクセスし、使用中確定であると設定する。そして、ベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対し構成変更通知に対する応答を行う(ステップS514)。
一方、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局Bからの応答結果がNGの場合には、指示したRNTIを現在、RNTI使用状況データベース225bで使用中とする。また、指示したeNB101(cell#1)のデータベース、あるいはRHH102(cell#2)のデータベース212baにおいても使用予約とされ、RNTIの解放処理を行う(不図示であるが、この場合、ステップS501の設定リトライ回数を確認し、閾値に達していなければ(ステップS501:Yes)、上記同様の処理をRNTIが決定できるまで繰り返す)。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、構成変更通知に対する応答に基づき、RNTI使用状況データベース225bを更新する(ステップS515)。以上により、RNTIの検索処理D4が終了する。
その後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局A(eNB101、cell#1)のベースバンド処理部212aに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理終了通知)を行う(D51)。ベースバンド処理部212aは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理終了通知の応答を行う(D51a)。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、基地局B(RRH102、cell#2)のベースバンド処理部212bに対してCA開始/追加指示(ここではCAの処理終了通知)を行う(D52)。ベースバンド処理部212bは、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aに対してCAの処理終了通知の応答を行う(D52b)。
上記処理において、RNTIの検索処理D4にかかる時間T、すなわち、1回のリトライは、例えば、5msecである。これは、基地局A(eNB101)内部の処理だけでCA対象の複数セルのRNTIを検索できることに基づく。
(空きRNTI算出を説明する図)
図6は、空きRNTI算出を説明する図である。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aが実行する図5のステップS503に示した空きRNTI算出処理について説明する。
各ベースバンド部212a〜212nは、データベース212aa〜212na上でセル(cell#1〜cell#n)のRNTIの使用状況を保持している。図6の(a)に示すように、実施の形態では、各セル(cell#1〜cell#n)は、RNTIの端末識別ID、例えば1〜65523について、それぞれ1ビットで使用状態の識別子をRNTIの使用可否情報として付与する。例えば、使用RNTIにはビット「1」を設定し、未使用RNTIにはビット「0、あるいはビットを立てない」状態で管理する。
そして、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、空きRNTI算出処理の処理タイミング(ステップS503)において、UE111が使用するセルに共通の一つのCA用セルの空きRNTIを算出する。
例えば、図1に示すようにcell#1でUE111が通信中にcell#2をセカンダリセルとして追加する場合を例に説明する。この場合、図6の(b)に示すように、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、データベース212aa、212baにアクセスしてCAを行う2つのcell#1、cell#2の全データ(それぞれ65523ビットのテーブル)を取得する。そして、これら2つのcell#1とcell#2の全データに対し、同じ端末識別ID毎の論理和(or)を求める。
RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、この論理和の結果を図6(c)に示すCA用払い出し用空きRNTI領域603としてRNTI使用状況データベース225bに一時的に保持し、これをもとにRNTI選択処理(図5のステップS505)を行う。
図7は、空きRNTI算出の処理例を示すフローチャートである。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aが行う処理について説明する。はじめに、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、ベースバンド部212aのデータベース212aaにアクセスし、cell#1で現在通信中のRNTIの使用可否情報を取得する(ステップS701)。
次に、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、追加予定cell#2のベースバンド部212bのデータベース212baにアクセスし、cell#2のRNTIの使用可否情報を取得する(ステップS702)。
この後、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、これら2つのcell#1とcell#2の全データに対し、同じ端末識別ID毎の論理和(or)を求める(ステップS703)。
この後、さらに追加予定の他のcellがあるかを判断し(ステップS704)、追加があれば(ステップS704:Yes)、ステップS702に戻り、追加予定のcellのRNTIの使用可否情報を取得し論理和を求める。
ステップS704において、追加cellがない(全てのセル追加が終わった)場合には(ステップS704:No)、UE111がCAで使用を予定しているセル全てで共通に使用できる一つのRNTIが取得できる(ステップS705)。
上記空きRNTI算出の処理によれば、CA対象セル同士の同じ端末識別IDの論理和演算で簡単にCA対象の全セルの空きRNTIを検索することができる。この際、1ビットの単純論理和演算で済むため、CA対象の全セルの空きRNTIを高速に算出できる。RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは、ベースバンド処理部212に比して処理速度が低速である。
しかし、論理和演算で得られた空きRNTI領域603(テーブル)に対して1度の検索を行うだけでCA対象の全セルの空きRNTIを高速に検索できる。これにより、処理速度が低速なRRCレイヤ処理/アプリケーション部225aであっても、短時間で効率的に空きRNTIを検索できるようになる。短時間で効率的に空きRNTIを検索できることにより、各セルで常に変化するRNTIの使用状態に対し、1度の検索だけで実際に使用できるRNTIを得る確立を高めることができリトライ回数を削減できる。また、RRCレイヤ処理/アプリケーション部225aは空きRNTIの検索の処理負担を軽減できる。
以上説明した実施の形態によるRNTIの決定にかかる処理時間について説明する。実施の形態によれば、図3に示したCA追加の決定(ステップS302)の後、Handover Procedureの手順(ステップS303)の処理工程内だけで、RNTIを設定することができる。すなわち、eNB101は、RNTI決定をUE111との通信接続を不要としてeNB101内部で処理できる。この場合、図5に示したRNTIの検索処理D4にかかる時間Tは5msecで済む。また、仮にリトライが5回発生しても25msecの処理時間でCA用のRNTIを取得できる。
これに対し、既存の方式では、セカンダリセルをサーチするために、図3のHandover Procedureの手順(ステップS303)と、Random Access(ステップS304)の手順を実行してRNTIを設定することになる。この場合、各セルからCA用のRNTIを1度で取得できずeNB101がUE111との間でのリトライ(ハンドオーバ)を繰り返す毎に、ステップS303とステップS304の処理で120msec程度の時間を費やす。仮にリトライが5回発生した場合には600msecの処理時間がかかってしまう。このように、実施の形態によれば、既存の方式に比して高速かつ効率的に空きRNTIを検索できるようになる。
LTEでは、待受け(アイドル)からセルに在圏して通信状態となる遷移が100ms以下に規格されていたが、LTE−Aでは待受けから通信状態が50ms以下とより厳しく規定され、短いlatencyが求められている。この規定についても実施の形態であれば、LTE−Aの要求条件を満たし、LTE−AでのCA確立手順までの処理を簡略化でき、CA確立までの時間を大幅に短縮できる。
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)自装置のセルを含む自装置が管理する複数セルの他の基地局装置それぞれに対する端末の現在の接続状態を示す端末識別IDを逐次取得して更新保持するベースバンド処理部と、
前記端末との間でキャリアアグリゲーションによる通信実施の際には、当該キャリアアグリゲーション対象の前記複数セルの前記端末識別IDを前記ベースバンド処理部から取得し、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セル間で使用可能な前記端末識別IDを求める制御部と、を有することを特徴とする基地局装置。
(付記2)前記ベースバンド処理部は、前記複数セルのそれぞれで前記端末識別ID毎の現在の前記端末の使用状態の有無を1ビットで設定したテーブルを更新保持し、
前記制御部は、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セルからそれぞれ前記端末識別IDの前記テーブルを取得し、互いのテーブルの前記端末識別ID毎のビット論理和により、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セル間で使用可能な前記端末識別IDを求めることを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記3)前記ベースバンド処理部は、前記制御部により求められたキャリアアグリゲーション対象の前記複数セルに関する前記端末識別IDを前記端末に通知することを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記4)前記ベースバンド処理部は、自装置のマクロセルに対する端末の現在の接続状態を示す端末識別IDと、当該マクロセルに含まれるスモールセルに対する端末の現在の接続状態を示す端末識別IDと、をそれぞれのデータベースに更新保持することを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
(付記5)前記制御部は、キャリアアグリゲーションによる通信実施の際には、当該キャリアアグリゲーション対象の前記複数セルの前記ベースバンド処理部の前記データベースからそれぞれ前記端末識別IDのテーブルを取得し、互いのテーブルの前記端末識別ID毎のビット論理和を求めた結果をRNTI使用状況データベースに格納保持することを特徴とする付記4に記載の基地局装置。
(付記6)前記制御部は、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セルからそれぞれ前記端末識別IDの前記テーブルを取得し、前記複数セルのうち一対のセルのテーブルの前記端末識別ID毎のビット論理和を求めることを、前記複数セルについて繰り返し実行して、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セル間で使用可能な前記端末識別IDを求めることを特徴とする付記2に記載の基地局装置。
(付記7)前記制御部は、ハンドオーバの処理手順の中で基地局装置内の前記ベースバンド処理部とのやり取りにより、キャリアアグリゲーション対象の前記複数セル間で使用可能な前記端末識別IDを求めることを特徴とする付記1に記載の基地局装置。
101 基地局A(eNB)
102 基地局B(RRH)
103,105 伝送路
111 端末(UE)
211 伝送路IF
212(212a〜212n) ベースバンド処理部
212aa〜212na データベース
213 制御部
214 D/A変換部
215 RF処理回路
216,233 アンテナ
225 呼処理/回線管理部
225a RRCレイヤ処理/アプリケーション部
225b RNTI使用状況データベース
231 パワーアンプ