JPWO2015151160A1 - 質量分析方法及び質量分析装置 - Google Patents

質量分析方法及び質量分析装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、複数の対象イオンを順に測定する質量分析装置(1)において、前記複数の対象イオンについてそれぞれ、前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する時間に関するイオン飛行時間情報が保存された記憶部(41)と、前記イオン飛行時間情報に基づき、各対象イオンが前記各部に到達するタイミングのずれに応じた時間差で、該各部に印加する電圧を該対象イオンに適した電圧に変更する電圧制御部(42)と、を備えることを特徴とする。

Description

本発明は、極性や質量電荷比が異なる複数のイオンを順に測定する質量分析方法及び質量分析装置に関する。
試料に含まれる様々な成分の定性や定量を行うために、ガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)等のクロマトグラフと、四重極型質量分析計等の質量分析計を組み合わせたクロマトグラフ質量分析装置が広く利用されている(例えば特許文献1)。
クロマトグラフ質量分析装置を用いて食品等の試料中に含まれる複数の残留農薬等の不純物を検査する場合には、検査の目的である複数の残留農薬(目的成分)のそれぞれに対応する1乃至複数のイオン(対象イオン)を設定し、それらを順番に繰り返し検出する選択イオンモニタリング(SIM)測定を行って、各目的成分のマスクロマトグラムを取得する。また、三連四重極型質量分析装置のように、コリジョンセルを挟んで前後に質量フィルタを有する質量分析計では、複数の目的成分にそれぞれ対応するプリカーサイオンとプロダクトイオンの組を1乃至複数組設定しておき、それらを順番に繰り返し検出する多重反応モニタリング(MRM)測定を行って各目的成分のマスクロマトグラムを取得する。
上記測定では、最初の対象イオンの検出に適した所定の電圧を質量分析装置の各部(イオン化部、イオン光学系、質量フィルタ、検出器など)に印加し、最初の対象イオンを一定時間、検出する。続いて、各部に印加する電圧を2番目の対象イオンの検出に適したものに変更し、2番目の対象イオンを一定時間、検出する。こうして全ての対象イオンを順に測定する、1サイクルの測定を繰り返し行うことにより、各対象イオンの検出信号を順次取得する。そして、各対象イオンについて取得した検出信号から目的成分のマスクロマトグラムを得る。
特許第5201220号明細書
検出の対象を1番目の対象イオンから2番目の対象イオンに変更する際には、質量分析装置の各部に印加する電圧を該2番目の対象イオンに適した電圧に変更する。イオン化部において生成された、種々の質量電荷比を有するイオン群が装置の後段に向かって飛行し、質量分離部に到達すると、イオン群の中から2番目の対象イオンに対応する質量電荷比のイオンが質量分離される。質量分離部を通過した2番目の対象イオンは、さらに装置の後段に向かって飛行し、検出器に到達する。質量分析装置の各部に印加する電圧を変更した時点では、2番目の対象イオンはイオン化部や真空導入部あたりに存在しており、検出器には存在しない。イオン化部において生成された2番目の対象イオンが質量分析装置のイオン光学系や質量フィルタ等を順に飛行し、検出器に到達した時点で、はじめて2番目の対象イオンが検出される。即ち、質量分析装置の各部に印加する電圧を変更した後、生成された対象イオンが検出器に到達するまでの間は、イオンの不検出時間(デッドタイム)となっている。
本発明が解決しようとする課題は、極性や質量電荷比が異なる複数の対象イオンを順に検出する質量分析装置において、対象イオンの不検出時間を短縮して質量分析の効率を向上させることである。
上記課題を解決するために成された本発明は、質量分析装置を用いて複数の対象イオンを順に測定する質量分析方法であって、
前記複数の対象イオンのそれぞれが前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する時間に応じたタイミングで該各部に印加する電圧を変更する
ことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置は、複数の対象イオンを順に測定する質量分析装置であって、
a) 前記質量分析装置を構成する各部に対して電圧を出力する電圧出力部と、
b) 前記複数の対象イオンのそれぞれが前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する飛行時間に応じたタイミングで該各部に印加する電圧を変更するように、前記電圧出力部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
上記イオン飛行時間情報は、例えば、生成されるイオンの極性及び質量電荷比が既知である標準試料を用いて予備実験を行った結果に基づいて作成することができる。
本発明に係る質量分析装置では、例えば、質量分析装置の上流側に位置するイオン化部に対して所定の電圧を印加した後、イオン化部で生成された測定対象のイオンが、イオン光学系、質量フィルタ、検出器にそれぞれ到達するタイミングに合わせて、これら各部に対して印加する電圧を該測定対象イオンの測定に適した電圧に順次変更していく。これにより、上述した対象イオンの不検出時間を短縮して分析の効率を向上させることができる。
本発明に係る質量分析方法や質量分析装置を用いることにより、極性や質量電荷比が異なる複数の対象イオンを順に検出する質量分析装置において、対象イオンの不検出時間を短縮して分析の効率を向上させることができる。
測定対象イオンの数が多くなると、1サイクルの測定に要する時間が長くなり、各対象イオンの測定間隔が長くなる。その一方、対象イオンの不検出時間が長いと、目的成分がカラムから溶出する間に取得できる対象イオンの検出信号の数(データ点数)が減少して、不十分なデータ点数でマスクロマトグラムのピークを構成せざるを得なくなり、本来のピーク形状を正確に再現することが難しくなる。このような測定では特に分析効率の向上が求められるため、本発明に係る質量分析方法や質量分析装置を好適に用いることができる。
本発明に係る質量分析装置の一実施例の要部構成図。 従来の質量分析装置における電圧印加について説明する図。 本実施例の質量分析装置における電圧印加について説明する図。 従来の質量分析装置における電圧印加について説明する別の図。 本実施例の質量分析装置における電圧印加について説明する別の図。 本実施例における質量分析装置においてイオン不検出時間を短縮した結果を示す図。 イオンの質量電荷比と飛行時間の関係を示す図。
以下、本発明に係る質量分析装置の一実施例である、タンデム四重極型の質量分析装置1について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例の質量分析装置1の要部構成図である。この質量分析装置1は、質量分析部2、電圧出力部3、及び制御部4を備えている。
質量分析部2は、略大気圧であるイオン化室20と、真空ポンプ(図示なし)により真空排気される分析室22を有している。イオン化室20と分析室22の間は頂部に小孔を有するスキマー202で隔てられている。
本実施例の質量分析装置1は、イオン化部として液体試料が導入されるエレクトロスプレーイオン化(ESI)プローブ201を有している。イオン化部は、試料の形態(液体または気体)や特性(化合物の極性など)に応じて、電子イオン化(EI)源や大気圧化学イオン化(APCI)源等のイオン化部に適宜に交換可能である。
分析室22には、多重極イオンガイド(q2)が内部に設置されたコリジョンセル222を挟み、イオンを質量電荷比に応じて分離する前段四重極マスフィルタ(Q1)221と、同じくイオンを質量電荷比に応じて分離する後段四重極マスフィルタ(Q3)223、さらにはイオン検出器224が設置されている。
電圧出力部3は、後述する電圧制御部42からの制御信号に従って、ESIプローブ201、前段四重極マスフィルタ221、コリジョンセル222内のイオンガイド、後段四重極マスフィルタ223、及びイオン検出器224にそれぞれ所定の電圧を印加する。電圧の印加に関する詳細は後述する。
質量分析部2において、電圧出力部3から電圧が印加されたESIプローブ201に到達した液体試料は、電荷が付与された液滴(帯電液滴)となってESIプローブ201の先端から噴霧されイオン化される。生成されたイオンはイオン化室20内部を飛行してスキマー202から分析室22内に入射し、前段四重極マスフィルタ221の長軸方向の空間に導入される。
本実施例の質量分析部2では、SIM測定とMRM測定の両方を行うことができる。
SIM測定では、前段四重極マスフィルタ221と後段四重極マスフィルタ223のいずれか一方において特定の質量電荷比を有するイオンを通過させ、他方では全ての質量電荷比のイオンを通過させ、イオン検出器224により検出する。イオン検出器224は例えばパルスカウント型検出器であり、入射したイオンの数に応じた個数のパルス信号を検出信号として制御部4へと出力する。
MRM測定では、前段四重極マスフィルタ221において特定の質量電荷比を有するプリカーサイオンを通過させ、コリジョンセル222において該プリカーサイオンをCIDガスと衝突させて開裂し、各種のプロダクトイオンを生成する。そして、後段四重極マスフィルタ223において特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみを通過させてイオン検出器224で検出する。
制御部4は、イオン飛行時間情報が保存された記憶部41を有している。また、機能ブロックとして電圧制御部42を備えている。イオン飛行時間情報とは、質量分析部2のイオン化部201からイオン検出器224に至る各部をイオンが飛行するために要する時間の情報であり、極性と質量電荷比が既知である標準試料を用いた予備測定により作成されて記憶部41に保存されている。制御部4はCPU基板やデジタル基板、アナログ基板などの組み合わせにより構成されており、入力部5、表示部6が接続されている。
本実施例の質量分析装置1は、ESIプローブ201(イオン化部)、前段四重極マスフィルタ221、コリジョンセル222内のイオンガイド、後段四重極マスフィルタ223、イオン検出器224の構成各部に対して電圧を印加する電圧出力部3に対して制御信号を送信する電圧制御部42に特徴を有しているため、この点について詳細に説明する。以下ではMRM測定を例に説明するが、SIM測定においても同様である。
使用者によってMRM測定開始が指示されると、電圧制御部42は測定対象のMRMトランジションとして事前に設定されたプリカーサイオン及びプロダクトイオンの極性及び質量電荷比を、記憶部41に保存されたイオン飛行時間情報と照合し、それらのイオンが装置各部を飛行するために要する時間(飛行時間)を読み出す。そして、この飛行時間に基づいて、ESIプローブ201(イオン化部)に対する電圧印加のタイミングを基準として、他の構成各部に電圧を印加するタイミングのずれを求める。MRM測定開始後に測定の対象イオンを変更する際には、質量分析装置を構成する各部に対してそれぞれ印加する電圧を、上記ずれに応じた時間差で該対象イオンに適した所定の電圧に変更する。
ここで、対象イオンが、ESIプローブ201(イオン化部)から真空導入部(前段四重極マスフィルタ221の入口)に到達するまでに要する時間をt1、前段四重極マスフィルタ221の入口からコリジョンセル222の入口に到達するまでに要する時間をt3、コリジョンセル222の入口から後段四重極マスフィルタ223の入口に到達するまでに要する時間をt2、後段四重極マスフィルタ223の入口からイオン検出器224に到達するまでに要する時間をt4とする。
ESIプローブ201(イオン化部)に印加する電圧を変更するタイミング(時刻)tを0とすると、電圧制御部42は、その他の各部に対し、以下のタイミングで印加する電圧を変更する。
前段四重極マスフィルタ221:t1
コリジョンセル222内のイオンガイド:t1+t3
後段四重極マスフィルタ223:t1+t2+t3
イオン検出器224:t1+t2+t3+t4
上記のように装置の構成各部に対して印加する電圧を変更するタイミングをずらす理由について、2つの例を挙げ、従来の質量分析装置の場合と比較して説明する。なお、以下の説明において本発明の質量分析装置と従来の質量分析装置の構成要素を区別するため、従来の質量分析装置の構成要素の符号は「’」を付して記載する。
最初の例は、対象イオンである1つの正イオンと1つの負イオンを交互に測定し、それらの測定に時間Tずつを割り当てる例である。説明を容易にするため、生成されたイオンがESIプローブ201(イオン化部)から真空導入部(前段四重極マスフィルタ221の入口)に到達するために要する時間t1のみを考慮し、真空導入部からイオン検出器224まで飛行するために要する時間(t2+t3+t4)を0とする。
図2は従来の質量分析装置1’、図3は本実施例の質量分析装置1における電圧の印加について説明する図である。
従来の質量分析装置1’では、測定の対象イオンを負イオンから正イオン(あるいは正イオンから負イオン)に変更する際に、装置を構成する各部に対して印加する電圧を同時に変更するように、電圧制御部42’から電圧出力部3’に制御信号を送信する(図2(a), (c))。電圧制御部42’から電圧出力部3’に対して制御信号が送信されるタイミングtを0とすると、電圧出力部3’での出力電圧の切り換えに要する応答時間δtが経過した後、電圧出力部3’から各部に変更後の電圧が印加される。
イオン化部201’では時間δtが経過した後に変更後の電圧が印加されて正イオンが生成され始める(図2(b))。そして生成された正イオンは時間t1をかけて真空導入部まで飛行する。上述のように、この例では真空導入部からイオン検出器224’までの飛行時間を考慮しないため、正イオンはイオン検出器224’において同時刻に検出され始める。そして、時間Tが経過すると正イオンの測定を終了して、装置の各部に印加する電圧を負イオンの測定に適した電圧に変更する。
この場合、イオン検出器224’では時刻t=δt+t1〜Tの間、正イオンが検出される(図2(d))。つまり、正イオンの測定に割り当てられた時間Tのうち、時間δt+t1がイオンの不検出時間となる。
これに対し、本実施例の質量分析装置1では、イオンがイオン化部201から真空導入部まで飛行する時間を考慮する。即ち、イオン化部201に印加する電圧を変更したあと、時間t1経過してから他の各部に対して印加する電圧を変更する(図3(a), (c))。これは、イオン化部201に対しては時刻t=0〜Tを正イオンの測定に割り当て、他の構成各部に対しては時刻t=t1〜T+t1を正イオンの測定に割り当てることに相当する。
このように構成各部に印加する電圧を変更するタイミングに時間差を設定すると、イオン検出器224で正イオンが検出される時刻tはt=δt+t1〜t1+Tとなる(図3(b), (d))。つまり、正イオンの測定に割り当てられた時間Tの中で、イオンの不検出時間を電圧応答時間δtのみに短縮することができる。換言すれば、イオンが装置内部を飛行するために要する時間に起因するイオンの不検出時間t1を解消することができる。
次の例は、以下に示す2種類のMRMトランジションを、交互に時間Tずつ測定する例である。
トランジション1:プリカーサイオンA(m/z=1500)、プロダクトイオンa(m/z=700)
トランジション2:プリカーサイオンB(m/z=500)、プロダクトイオンb(m/z=200)
ここでも、説明を容易にするため、コリジョンセルの通過に要するイオンの飛行時間t2のみを考慮し、その他の構成各部の飛行に要する時間(t1+t3+t4)は考慮しない。図4は従来の質量分析装置1’、図5は本実施例の質量分析装置1における電圧の印加について説明する図である。
上述したように、従来の質量分析装置1’では、測定対象をトランジション2からトランジション1に変更する際、装置を構成する各部に対して印加する電圧を同時に変更するように、電圧制御部42’から電圧出力部3’に制御信号を送信する(図4(a), (c))。電圧制御部42’から電圧出力部3’に制御信号を送信する時刻tを0とすると、イオン検出器224’では、時刻t=δt+t2〜Tの間、トランジション1のプロダクトイオンaが検出される(図4(b), (d))。つまり、トランジション1の測定時間に割り当てた時間Tのうち、δt+t2がイオンの不検出時間となる。
一方、本実施例の質量分析装置1では、プリカーサイオンAがコリジョンセル内で開裂して生成されたプロダクトイオンaがコリジョンセル222の内部を飛行するために要する時間t2を考慮した時間差を設定する。つまり、Q1系(Q1(221)及びその前段に位置する各部)に印加する電圧を変更(V2→V1)したあと、時間t2経過してからQ3系(Q3(223)及びその後段に位置する各部)に対して印加する電圧(V2"→V1")を変更する(図5(a), (c))。これは、Q1系に対しては時刻t=0〜Tの間をトランジション1の測定に割り当て、Q3系に対しては時刻t=t2〜T+t2の間をトランジション1の測定に割り当てることに相当する。
このように構成各部に印加する電圧を変更する時間に時間差を設定すると、イオン検出器224では、時刻t=δt+t2〜t2+Tの間、プロダクトイオンaが検出される(図5(b), (d))。つまり、トランジション1の測定に割り当てた時間Tの中で、イオンの不検出時間を電圧応答時間δtのみに短縮することができる。換言すれば、プリカーサイオンAがコリジョンセル222で開裂してプロダクトイオンaを生成し、そのイオンがコリジョンセル222の内部を飛行するために要する時間に起因するイオンの不検出時間t2をなくすことができる。
本実施例の質量分析装置1を用いてイオンの不検出時間を短縮した結果を図6(a)に示す。従来の質量分析装置1’では、図6(b)に示すように電圧応答時間2.5msとイオン飛行時間2.5msの和である5msがイオンの不検出時間になっているのに対し、本実施例の質量分析装置1では、これを電圧応答時間2.5msのみに短縮できることが分かる。
上記のイオン飛行時間情報は、イオンの質量電荷比を問わず一律にイオンの飛行時間を設定してもよいが、イオンの質量電荷比に応じた飛行時間を設定しておくことが好ましい。これにより、イオンが装置内部を飛行する時間に起因するイオンの不検出時間を一層精度良く短縮することができる。
本件発明者が、質量電荷比が異なる各種イオンが四重極フィルタの飛行に要する時間について調査した結果、図7に示すように、質量電荷比が大きいイオンほど飛行時間が長くなることが分かった。このような情報を用いることによって、イオン飛行時間情報を、イオンの質量電荷比とイオンの飛行時間とを関連づけた情報とすることができる。
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
上記実施例では、質量分析装置1のイオン化部201、前段四重極マスフィルタ221、後段四重極マスフィルタ223、イオン検出器224に印加する電圧を変更するタイミングをずらす例を説明したが、これらのうちの一部に印加する電圧を変更するタイミングのみを変更するようにしてもよい。例えば、特にイオンの飛行に時間を要するイオン化部201から真空導入部への飛行時間や、コリジョンセル222の内部を飛行する時間のみを考慮した構成を採ることができる。
また、上記実施例ではタンデム四重極型の質量分析装置としたが、四重極マスフィルタを1つだけ有する質量分析装置や、プリカーサイオンを複数回開裂させるイオントラップを備えMS分析を実行可能な質量分析装置についても上記同様の構成を用いることができる。
1…質量分析装置
2…質量分析部
20…イオン化室
201…ESIプローブ
202…スキマー
22…分析室
221…前段四重極マスフィルタ
222…コリジョンセル
223…後段四重極マスフィルタ
224…イオン検出器
3…電圧出力部
4…制御部
41…記憶部
42…電圧制御部
5…入力部
6…表示部
上記課題を解決するために成された本発明は、質量分析装置を用いて複数の対象イオンを順に測定する質量分析方法であって、
前記複数の対象イオンのそれぞれが前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する時間に応じたタイミングで該各部に印加する電圧を当該対象イオンの前に測定したイオンの測定に適した電圧から当該対象イオンの測定に適した電圧に変更する
ことを特徴とする。
また、上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置は、複数の対象イオンを順に測定する質量分析装置であって、
a) 前記質量分析装置を構成する各部に対して電圧を出力する電圧出力部と、
b) 前記複数の対象イオンのそれぞれが前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する飛行時間に応じたタイミングで該各部に印加する電圧を当該対象イオンの前に測定したイオンの測定に適した電圧から当該対象イオンの測定に適した電圧に変更するように、前記電圧出力部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。

Claims (6)

  1. 質量分析装置を用いて複数の対象イオンを順に測定する質量分析方法であって、
    前記複数の対象イオンのそれぞれが前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する時間に応じたタイミングで該各部に印加する電圧を変更する
    ことを特徴とする質量分析方法。
  2. 前記飛行時間が、イオンの質量電荷比と関連づけられていることを特徴とする請求項1に記載の質量分析方法。
  3. 前記複数の対象イオンに、少なくとも1種類の正イオンと少なくとも1種類の負イオンの両方が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の質量分析装置。
  4. 複数の対象イオンを順に測定する質量分析装置であって、
    a) 前記質量分析装置を構成する各部に対して電圧を出力する電圧出力部と、
    b) 前記複数の対象イオンのそれぞれが前記質量分析装置を構成する各部を飛行するために要する飛行時間に応じたタイミングで該各部に印加する電圧を変更するように、前記電圧出力部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  5. 前記飛行時間に関する情報が、イオンの質量電荷比とイオンの飛行時間とを関連づけた情報として保存された記憶部
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の質量分析装置。
  6. 前記複数の対象イオンに、少なくとも1種類の正イオンと少なくとも1種類の負イオンの両方が含まれていることを特徴とする請求項4または5に記載の質量分析装置。
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