JPWO2015137466A1 - 精子の検査方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

受胎性を反映する簡易な精子の検査方法及び装置を開発することを課題とする。精子集団に対して検査液に懸濁を行って個々の精子の品質指標の値を測定し、精子の品質指標の値に基づき、精子集団を層別化し、層別化された集団の1又は複数の群の品質指標の値に基づいて精子の品質を評価することで、受胎性との相関の高い簡易な精子の検査方法及び装置を提供できる。この基準は、さらに精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフを用いることで、より精度高く受胎性を予測できる。精子の品質指標は、好ましくは精子運動性を用いる。

Description

本発明は、受胎性を予測できる精子の検査方法及び装置、情報処理装置に精子の品質を決定させる制御プログラム、並びに当該制御プログラムをコードするコンピュータ可読媒体に関するものである。
すべての動物の精子において、簡易な方法で受胎性を予測することができることは、労力やコストの面から極めて有用である。例えば、家畜では、効率的に受胎させて産仔を得ることが必要であり、受胎性が保証された精液を供給することは重要なことである。そのような観点から、受胎性を正確に反映した精子の品質評価法の開発が望まれている。
例えば、牛の繁殖においては、我が国では人工授精の普及率がほぼ100%になっているが、その受胎率は年々低下している。乳用種では、1989年の初回授精の受胎率が62.4%、1〜3回授精の受胎率が62.0%であったところ、2011年では初回授精の受胎率が45.6%、1〜3回授精の受胎率が44.4%にまで低下している(非特許文献1:社団法人家畜改良事業団,平成23年受胎調査成績(2013年))。このように受胎率が低下傾向にある現状においては、受胎性が保証された精液を供給することは生産効率の観点から極めて有用なことである。
これまで精子の品質検査では、精子生存率、精子運動率、精子運動性維持率、ミトコンドリア正常率、アクロソーム正常率、精子形態正常率等が検査されている(特許文献1:特許5092149号公報、非特許文献2:Rodriguez−Martinez H.,Reprod Domest Anim.41,Suppl 2,2−10 (2006年))。しかし、これらの検査法と受胎性との相関関係はすべての項目で高いわけではなく、精子の側から受胎性を反映する簡易な指標とはなっていない。これらの検査法と受胎性との相関関係が高くない原因は、雌体内での精子の挙動や受精時の環境を反映した検査法ではないからと考えられる。
卵管膨大部に到達した精子は、雌の排卵時期に運動性が顕著に上昇し、超活性化様運動を示したものが受精できると考えられている(非特許文献3:Suarez SS.,Int J Dev Biol.52(5−6),455−62 (2008年))。そこで、実際に雌体内の条件を反映させた検査法も考案されている(非特許文献4:Hamanoら、日本畜産学会北陸支部会報81,63−68 (2000年))。また、実際に精子を卵子と受精させる体外受精試験を用いて検査することもできる。
特許5092149号公報
社団法人家畜改良事業団,平成23年受胎調査成績(2013年) Rodriguez−Martinez H.,Reprod Domest Anim.41,Suppl 2,2−10 (2006年) Suarez SS.,Int J Dev Biol.52(5−6),455−62 (2008年) Hamanoら、日本畜産学会北陸支部会報81,63−68 (2000年) Kinukawa M.,博士論文,Http://hdl.handle.net/2261/119 (2005年) Guthrieら、Biology of Reproduction 67, 1811−1816 (2002年)
しかしながら、非特許文献4の方法や体外受精試験は、大きな労力やコストが発生するため、すべての供給しようとする精液に対して簡易かつ低コストで検査を行うことは困難である。また、完全に雌体内の環境を模倣した信頼性の高い検査とはいえない。そこで、雌体内での受精環境を体外で簡易に再現し、精子の受胎性を反映する簡易な精子の検査方法及び装置を開発することが望まれている。
本発明は、斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する精子の検査方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、受胎性の判明している精液を用いて、精子の品質検査について鋭意研究を行った結果、精子の品質指標の値が極めて高い精子の割合やその数を判定することで、受胎性と相関が高い精子の品質評価ができた。さらに精子の品質評価の値に基づき、精子集団を層別化し、層別化された集団の1又は複数の群の品質評価の値に基づいて精子の品質を評価することで、受胎性と相関が高い簡易な精子の品質評価ができた。これにより、本発明は、精子の検査方法、精子の検査装置、情報処理装置に精子の品質を決定させる制御プログラム、及び当該制御プログラムをコードする記録媒体に関する。
したがって、本発明は、以下に掲げる構成とした。
本発明の精子の検査方法は、精子集団に対して検査液に懸濁を行って個々の精子の品質指標の値を測定する工程と、前記品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程とを備えることを特徴とする。
また、精子の品質を評価する工程は、品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化し、層別化された集団の1又は複数の群の品質指標の値に基づいて評価することを特徴とする。
また、層別化された集団の品質指標の値が、各集団毎の品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値であることを特徴とする。
また、前記層別化が、品質指標の値に基づいて、品質上位群を選択することを特徴とする。
また、前記層別化が、さらに他の群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位50%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位20%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位10%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位5%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位3%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位1%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位0.5%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位0.3%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群の品質指標の値が、品質上位群における品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値であることを特徴とする。
また、前記精子集団は、生存している精子であることを特徴とする。
また、前記精子集団は、精子運動性が一定の値以上や一定の範囲であることを特徴とする。
また、前記品質指標は、精子運動性の指標であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが6.0〜9.0であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが7.2〜8.2であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが7.4〜7.8であることを特徴とする。
また、前記検査液は、浸透圧が230〜400mmol/kg(mOsm/kg)であることを特徴とする。
また、前記検査液は、33〜43℃に維持することを特徴とする。
また、前記検査液は、36〜40℃に維持することを特徴とする。
また、前記検査液は、緩衝剤、糖及び塩を含むことを特徴とする。
また、前記検査液の緩衝剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸であることを特徴とする。
また、前記検査液の糖は、グルコースであることを特徴とする。
また、前記検査液の塩は、塩化ナトリウムであることを特徴とする。
また、前記検査液は、活性化剤を含むことを特徴とする。
また、前記活性化剤は、プロカイン、カフェイン、及び/又はテオフィリンであることを特徴とする。
また、前記検査液は、負荷剤を含むことを特徴とする。
また、前記負荷剤は、ポリビニルピロリドンK−90であることを特徴とする。
また、前記懸濁の時間は、懸濁直後〜30分間であることを特徴とする。
また、前記精子運動性の指標は、VAP、VCL、ALH及び/又はBCFであることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、1又は複数の群の品質指標の基準値と比較して、精子の品質を決定する工程を含むことを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが150μm/秒以上であることを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが200μm/秒以上であることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、所定の品質指標の基準値を超える精子の割合又は精子数に基づくことを特徴とする。
また、所定の品質指標の基準値が、VCL150μm/秒、175μm/秒、及び200μm/秒からなる群から選ばれる値であることを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが200μm/秒以上であることを特徴とする。
また、精子の割合が1%以上であることを特徴とする。
また、精子の割合が0.7%以上であることを特徴とする。
また、精子の割合が0.3%以上であることを特徴とする。
また、精子数が1ストローあたり30万精子以上であることを特徴とする。
また、精子数が1ストローあたり10万精子以上であることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線から求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の傾きから求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の係数から求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価する工程は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の切片から求めることを特徴とする。
また、前記精子は、哺乳類の精子であることを特徴とする。
また、前記精子は、牛精子であることを特徴とする。
本発明の精子の検査装置は、検査液に懸濁された精子集団の個々の精子の品質指標の値を測定する精子品質測定手段と、前記品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する精子品質評価手段とを備えることを特徴とする。
また、精子品質評価手段は、品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化し、層別化された集団の1又は複数の群の品質指標の値に基づいて評価することを特徴とする。
また層別化された集団の品質指標の値が、各集団毎の品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値であることを特徴とする。
また、前記層別化が、品質指標の値に基づいて、品質上位群を選択することを特徴とする。
また、前記層別化が、さらに他の群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位50%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位20%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位10%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位5%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位3%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位1%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位0.5%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位0.3%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群の品質指標の値が、品質上位群における品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値であることを特徴とする。
また、前記精子集団は、生存している精子であることを特徴とする。
また、前記精子集団は、精子運動性が一定の値以上や一定の範囲であることを特徴とする。
また、前記品質指標は、精子運動性の指標であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが6.0〜9.0であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが7.2〜8.2であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが7.4〜7.8であることを特徴とする。
また、前記検査液は、浸透圧が230〜400mmol/kg(mOsm/kg)であることを特徴とする。
また、前記検査液は、33〜43℃に維持することを特徴とする。
また、前記検査液は、36〜40℃に維持することを特徴とする。
また、前記検査液は、緩衝剤、糖及び塩を含むことを特徴とする。
また、前記検査液の緩衝剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸であることを特徴とする。
また、前記検査液の糖は、グルコースであることを特徴とする。
また、前記検査液の塩は、塩化ナトリウムであることを特徴とする。
また、前記検査液は、活性化剤を含むことを特徴とする。
また、前記活性化剤は、プロカイン、カフェイン、及び/又はテオフィリンであることを特徴とする。
また、前記検査液は、負荷剤を含むことを特徴とする。
また、前記負荷剤は、ポリビニルピロリドンK−90であることを特徴とする。
また、前記懸濁の時間は、懸濁直後〜30分間であることを特徴とする。
また、前記精子運動性の指標は、VAP、VCL、ALH及び/又はBCFであることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、1又は複数の群の品質指標の基準値と比較して、精子の品質を決定する手段を含むことを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが150μm/秒以上であることを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが200μm/秒以上であることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、所定の品質指標の基準値を超える精子の割合又は精子数に基づくことを特徴とする。
また、所定の品質指標の基準値が、VCL150μm/秒、175μm/秒、及び200μm/秒からなる群から選ばれる値であることを特徴とする。
また、前記所定の品質指標の基準値は、VCLが200μm/秒であることを特徴とする。
また、前記精子の割合が1%以上であることを特徴とする。
また、前記精子の割合が0.3%以上であることを特徴とする。
また、前記精子数が1ストローあたり30万精子以上であることを特徴とする。
また、前記精子数が1ストローあたり10万精子以上であることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから求めることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線から求めることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の傾きから求めることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の係数から求めることを特徴とする。
また、前記精子品質評価手段は、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の切片から求めることを特徴とする。
また、前記精子は、哺乳類の精子であることを特徴とする。
また、前記精子は、牛精子であることを特徴とする。
本発明の制御プログラムは、出力部と、記憶部とを含む情報処理装置に精子の品質を決定させる制御プログラムであって、
検査液中の精子集団における個々の精子の品質指標の値を前記記憶部に記憶し、
前記記憶された品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化し、
当該層別化された集団の品質指標の値に基づき精子の品質を決定し、
精子の品質の結果を前記出力部に出力する
ことを前記情報処理装置に実行させることを特徴とする。
また、前記情報処理装置は、撮像部をさらに有し、以下の:
前記撮像部が経時的に複数枚の画像を取得し、
複数の画像に基づいて前記品質指標を決定することを特徴とする。
また、前記層別化された集団の1又は複数の群の品質指標の値に基づき精子の品質の決定が、さらに以下の:
層別化された集団の品質指標の値から、品質決定値を算出し、
前記品質決定値に基づき精子の品質を決定する
ことを含むことを特徴とする。
また層別化された集団の品質指標の値が、各集団毎の品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値であることを特徴とする。
また、前記層別化された集団として、品質上位群を選択することを特徴とする。
また、前記層別化が、さらに他の群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位50%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位20%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位10%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位5%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位3%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位1%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位0.5%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群は、上位0.3%以内であることを特徴とする。
また、前記品質上位群の品質指標の値が、品質上位群における品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値であることを特徴とする。
また、前記精子集団は、生存している精子であることを特徴とする。
また、前記精子集団は、精子運動性が一定の値以上や一定の範囲であることを特徴とする。
また、前記品質指標は、精子運動性の指標であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが6.0〜9.0であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが7.2〜8.2であることを特徴とする。
また、前記検査液は、pHが7.4〜7.8であることを特徴とする。
また、前記検査液は、浸透圧が230〜400mmol/kg(mOsm/kg)であることを特徴とする。
また、前記検査液は、33〜43℃に維持することを特徴とする。
また、前記検査液は、36〜40℃に維持することを特徴とする。
また、前記検査液は、緩衝剤、糖及び塩を含むことを特徴とする。
また、前記検査液の緩衝剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸であることを特徴とする。
また、前記検査液の糖は、グルコースであることを特徴とする。
また、前記検査液の塩は、塩化ナトリウムであることを特徴とする。
また、前記検査液は、活性化剤を含むことを特徴とする。
また、前記活性化剤は、プロカイン、カフェイン、及び/又はテオフィリンであることを特徴とする。
また、前記検査液は、負荷剤を含むことを特徴とする。
また、前記負荷剤は、ポリビニルピロリドンK−90であることを特徴とする。
また、前記検査液への精子の懸濁の時間は、懸濁直後〜30分間であることを特徴とする。
また、前記精子運動性の指標は、VAP、VCL、ALH及び/又はBCFであることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、1又は複数の群の品質指標の基準値と比較して、精子の品質を決定することを含むことを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが150μm/秒以上であることを特徴とする。
また、前記品質指標の基準値は、VCLが200μm/秒以上であることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、所定の品質指標の基準値を超える精子の割合又は精子数に基づくことを特徴とする。
また、所定の品質指標の基準値が、VCL150μm/秒、175μm/秒、及び200μm/秒からなる群から選ばれる値であることを特徴とする。
また、前記所定の品質指標の基準値は、VCLが200μm/秒であることを特徴とする。
また、前記精子の割合が1%以上であることを特徴とする。
また、前記精子の割合が0.3%以上であることを特徴とする。
また、前記精子数が1ストローあたり30万精子以上であることを特徴とする。
また、前記精子数が1ストローあたり10万精子以上であることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線から求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の傾きから求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の係数から求めることを特徴とする。
また、前記精子の品質を評価するは、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列した前記グラフの近似線の切片から求めることを特徴とする。
また、前記精子は、哺乳類の精子であることを特徴とする。
また、前記精子は、牛精子であることを特徴とする。
本発明によれば、品質上位群の品質指標の値に基づいた品質決定値により受胎性との相関が高い簡易な精子の検査方法を提供できる。本発明の検査方法によれば、簡易に受胎性を予測できるため、使用する精液を事前に調べることにより、受胎性の高い精子を効率的に供給できるようになる。また、冷蔵又は凍結保存用の希釈液の開発における正確な精子の品質指標とすることができるため、より効率的に開発を進めることができるようになる。
図1は、品質指標となりうる精子運動性の解析に用いるパラメーターを説明する図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る精子の検査装置の構成図である。 図3は、精子の品質を決定するための動作の例を示すフローチャートである。 図4は、検査液のpHを6.0〜9.0の範囲で変更した場合のVCL200μm/秒以上の精子の割合を示すグラフである。値は、平均値で示す(n=4)。pH7.2〜8.2において、推進力が顕著に高い精子を検出することができる。 図5は、検査液の懸濁時間を変更した場合のVCL150μm/秒以上及び200μm/秒以上の精子の割合を示すグラフである。値は、平均値で示す(n=6)。懸濁直後から30分において、推進力が顕著に高い精子を検出することができる。 図6Aは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VAP50μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係を示すグラフである。VAP50μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係は高くない。 図6Bは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL50μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係を示すグラフである。VCL50μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係は高くない。 図6Cは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL100μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係を示すグラフである。VCL100μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係は高くない。 図6Dは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL150μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係を示すグラフである。VCL150μm/秒以上の精子の割合と受胎率との間に相関関係が確認できる。 図6Eは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL200μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係を示すグラフである。VCL200μm/秒以上の精子の割合と受胎率との間に高い相関関係が確認できる。 図7は、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL200μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係を対数近似で示すグラフである。VCL200μm/秒以上の精子の割合と受胎率との間に高い相関関係(r=0.6765、p<0.001)が確認できる。 図8Aは、受胎率の判明している種雄牛29頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎にVCL200μm/秒以上の精子の割合を比較したグラフである。値は、平均値と標準偏差で示す。受胎率が高いものはVCL200μm/秒以上の精子の割合が高いことが確認できる。 図8Bは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎にVCL200μm/秒以上の精子の割合を比較したグラフである。値は、平均値と標準偏差で示す。受胎率が高いものはVCL200μm/秒以上の精子の割合が高いことが確認できる。 図9は、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、1ストロー中のVCL200μm/秒以上の精子の数と受胎率との相関関係を示すグラフである。1ストロー中のVCL200μm/秒以上の精子の数と受胎率との間に高い相関関係(r=0.7306、p<0.001)が確認できる。 図10Aは、受胎率の判明している種雄牛29頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎に1ストロー中のVCL200μm/秒以上の精子の数を比較したグラフである。値は、平均値と標準偏差で示す。受胎率が高いものは1ストロー中のVCL200μm/秒以上の精子の数が多いことが確認できる。 図10Bは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎に1ストロー中のVCL200μm/秒以上の精子の数を比較したグラフである。値は、平均値と標準偏差で示す。受胎率が高いものは1ストロー中のVCL200μm/秒以上の精子の数が多いことが確認できる。 図11Aは、受胎率の判明している種雄牛29頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL値に基づき6の群に分け、各群毎の精子の割合を示すグラフである。値は平均値で示す。低受胎サンプルでは、VCL200μm/秒以上の精子の割合が少なく、100〜150μm/秒の精子の割合が高い。 図11Bは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、VCL値に基づき9の群に分け、各群毎の精子の割合を示すグラフである。値は平均値で示す。受胎率が低くなるとVCL175μm/秒以上の精子の割合が少ない。受胎率40%未満のサンプルでは、VCL75〜150μm/秒の精子の割合が高い。受胎率40%未満及び受胎率40〜55%のサンプルでは、VCL25〜75μm/秒の精子の割合が高い。 図12Aは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎に上位75%の精子のVCL値を降順に並べた値を示したグラフである。値は、平均値で示す。 図12Bは、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎に上位10%の精子のVCL値を降順に並べた値を示したグラフである。値は、平均値で示す。受胎率65%以上の区のみ標準偏差を示す。上位10%以上のVCL値を比較することで、精子の受胎性の評価が可能である。標準偏差を考慮すると、5%、3%以上のVCL値を比較することで、高い精度で精子の受胎性を評価することが可能である。 図13は、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎に全精子のVCL値を降順に並べたグラフに対して3次関数で近似した近似線を示したグラフである。近似線のy切片の値を比較することで、高い精度で精子の受胎性の評価が可能である。 図14は、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、受胎率のカテゴリ毎に全精子のVCL値を降順に並べたグラフに対して直線で近似した近似線を示したグラフである。近似線の傾きの値を比較することで、高い精度で精子の受胎性の評価が可能である。 図15は、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、精子集団を上位8%毎の9の群に分けて重回帰分析を行い、これらの式から算出された推定受胎率と実際の受胎率との相関関係を示したものである。(r=0.7111、P<0.001)。曲線は30頭人工授精を行った場合の95%信頼区間の上下限を示す。 図16は、受胎率の判明している種雄牛40頭の精子に対して、各3ロットの測定を行い、精子集団のVCLの値を5の群に分けて重回帰分析を行い、これらの式から算出された推定受胎率と実際の受胎率との相関関係を示したものである。(r=0.7087、P<0.001)。曲線は30頭人工授精を行った場合の95%信頼区間の上下限を示す。 図17は、新鮮精液及び凍結精液について、VCL200μm/秒以上の精子の割合を示すグラフである。値は、平均値で示す(n=15)。凍結精液は新鮮精液と比較して、有意にVCL200μm/秒以上の精子の割合が低下した(対応のあるt検定、p<0.01)。
本発明は、精子集団の上位の品質指標の値を基準として精子の品質を評価する精子の検査方法、検査装置、情報処理装置に精子の品質を決定させる制御プログラム、並びに当該制御プログラムをコードするコンピュータ可読媒体に関する。以下、本発明に係る精子の検査方法及び装置の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
本発明の精子の検査方法は、以下の工程から構成される。
(1)精子の品質指標の値を測定する工程(S100)
精子集団に対して検査液に懸濁を行って個々の精子の品質指標の値を測定する工程である。
(2)精子の品質を評価する工程(S200)
精子集団の上位の品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程である。
(1)精子の品質指標の値を測定する工程は、さらに以下の:
(1−1)精子の画像を経時的に複数枚取得する工程(S101)
(1−2)複数枚の画像に基づいて精子の品質指標の値を測定する工程(S102)
を含んでもよい。品質指標の値を測定する工程(S100)は、予め取得され、記憶された品質指標の値の読み出しを行う工程(S199)を行うことで、省略することもできる。
(2)精子の品質を評価する工程は、さらに以下の:
(2−1)品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化する工程(S201)
(2−2)層別化された集団の品質指標の値から、品質決定値を算出する工程(S202)
(2−3)品質決定値から精子の品質を決定する工程(S203)
のうちの1以上、好ましくは全てを含む。
品質を評価する工程(2)の後に、(3)任意に精子の品質を出力する工程(S300)を含んでもよい。
本発明の実施の形態1にかかる方法は、精子の検査技師や研究員等により手動で行われてもよいし、検査装置や本発明の制御プログラムをインストールされた情報処理装置により自動的に行われてもよいし、半自動で行われてもよい。
本発明の精子の検査方法に供する精子は、任意の動物由来の精子を用いることができる。動物は、例えば、ヒトを含む任意の哺乳動物、例えば家畜動物、愛玩動物、動物園動物、実験動物が挙げられる。家畜動物として、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等が挙げられる。愛玩動物として、イヌ、ネコ、ウサギ等が挙げられる。動物園動物として、パンダ等の絶滅が恐れられている種等が挙げられる。実験動物として、マウス、ハムスター、ラット、ウニ、ヒトデ等が挙げられる。精子は、精巣、精巣上体、射出精液、幹細胞、精巣幹細胞、iPS細胞、培養細胞等由来の任意の精子を用いることができる。また、精子は、冷蔵保存や凍結保存したものでもよい。好ましくは新鮮精液及び凍結精液であり、人工授精、体外受精、顕微授精等に供される直前の品質が反映される精子である。
精子を取得する方法は、例えば、精巣由来の精子であれば精巣を採取し精子を吸い出す方法等、精巣上体由来の精子であれば精巣上体を採取し精子を吸い出す若しくは掻き出す方法等、射出精液由来の精子であれば雌体内への射精後に回収する方法や電気刺激や人工腟を用いて採取する方法等、幹細胞、精巣幹細胞、iPS細胞、培養細胞であれば細胞培養を行って回収する方法等が挙げられる。取得した精子は、取得直後の精漿に浮遊した状態でも、水溶液等でさらに希釈又は洗浄されていてもよい。
本発明の精子集団は、複数の精子を含むものである。上記の精子を取得する方法で取得した場合は、通常は精子集団として回収される。精子集団は、精子集団の一部を選択又は分取した後のサブ精子集団も含む。サブ精子集団の選択は、例えば精子の品質指標の測定結果から、精子運動解析装置等で測定した精子運動性が一定の値以上や一定の範囲の精子集団、フローサイトメーターやヌクレオカウンター等で測定した生存している精子集団、フローサイトメーターや蛍光顕微鏡等で測定した精子構成蛋白質の品質が一定の値以上や一定の範囲の精子集団等を選択することが挙げられる。サブ精子集団の分取は、例えばフローサイトメーターでX精子若しくはY精子を分取した後の精子集団、スイムアップ法やガラスビーズを用いた方法等で運動精子を分取した後の精子集団等を分取することが挙げられる。一の態様では、精子集団に含まれる精子は生存していることが好ましい。
本発明の品質指標は、精子集団の個々の精子の品質を判定する指標である。品質指標として、例えば、精子運動性、精子生存性、ミトコンドリア活性、アクロソーム正常性、精子形態正常性、レクチン染色や免疫染色等による精子構成蛋白質正常性の評価等の任意の分子生物学的や生化学的に細胞を評価できる指標が挙げられる。これらの品質指標は、通常は精子運動解析装置、高速カメラ、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の顕微鏡、フローサイトメーター、ヌクレオカウンター、ルミノメーター、吸光リーダー、蛍光リーダー、蛍光偏向リーダー、化学発光リーダー等を用いて測定する。
本発明の品質指標は、好ましくは精子運動性を用いる。精子の品質指標としては、例えば、VSL(直線進行速度、μm/秒)、VAP(細胞経路の平均速度、μm/秒)、VCL(前進曲線速度、μm/秒)、ALH(頭部の振幅、μm)、STR(直進性、VSL/VAP)、LIN(直線性、VSL/VCL)及び/又はBCF(頭部の振動数、Hz)といった指標を精子運動解析装置(CASA)や高速カメラ等で測定することができ、撮影時のフレームレートにより各数値が決定される。取得されるフレームレートは任意の数値であってよく、一般的に精子の観察に用いられる10〜2000フレーム/秒の任意のフレームレート、例えば30フレーム/秒、60フレーム/秒、100フレーム/秒、500フレーム/秒、1000フレーム/秒を用いることができる。これらのパラメーターについては、図1に記載されるとともに、非特許文献5(Kinukawa M.,博士論文,Http://hdl.handle.net/2261/119 (2005年))に説明される。精子運動性の指標は、好ましくはVAP、VCL、ALH及び/又はBCFを用いることができる。これらの指標のうち、VAP、VCL、及びALHは、どれも精子運動性に関わっており、その数値については互いに異なるものの、集団の分布に関する限り同じ傾向を有する。本発明で用いられる精子運動性指標のうち、VCLは、実際に精子が移動した軌跡の速度であり、VAPは、軌跡を平滑化して得た経路の速度である。精子運動性の指標として、VAPを用いる場合には例えば100μm/秒以上、VCLを用いる場合には例えばVCL150μm/秒以上、好ましくは200μm/秒以上、ALHを用いる場合には例えば9μm以上、好ましくは12μm以上、BCFを用いる場合には例えば10〜40Hz、好ましくは20〜30Hzを用いる。
本発明の品質指標として精子運動性を用いる場合、精子運動性に関連する品質指標も用いることができる。例えば、精子鞭毛の動き、cAMPやカルシウムといった精子細胞内濃度、ダイニンやアデニル酸シクラーゼ、アデニル酸キナーゼ、蛋白質リン酸化酵素、蛋白質脱リン酸化酵素等の精子構成蛋白質の品質及び量、精子の超活性化と並行して起こる受精能獲得や先体反応に関連する細胞膜性状の変化等も品質指標として挙げられる。
本発明の検査液は、精子集団の個々の精子に対して品質評価ができるものであれば任意の溶液を用いることができる。溶液は、通常は水溶液である。精巣、精巣上体、射出精液、幹細胞、精巣幹細胞、iPS細胞、培養細胞等由来の精子であれば、精子と共に回収された液そのものを検査液として用いることもできる。検査液は、好ましくは緩衝剤、糖及び/又は塩を含む水溶液からなる。さらに好ましくは、この検査液は、子宮、卵管、卵管膨大部等の雌性生殖道環境に存在する液又は模倣する液である。雌性生殖道環境を模倣するとは、精子が雌生殖道内で受精に至るまでの環境やそこに存在する液を模倣することである。例えば、繊毛による水流、子宮頸管粘液や卵子周囲の高粘性環境、卵管液や卵胞液等の成分やpHを模倣した液が挙げられる。
本発明の検査液のpHは、精子の品質評価ができるpHであれば任意のpHであってもよく、通常は6.0〜9.0である。好ましくは7.2〜8.2であり、さらに好ましくは7.4〜8.2である。本発明の検査液における成分濃度は、水溶液のpHが上記範囲となるように決定される。
本発明の検査液の浸透圧は、精子の品質評価ができる浸透圧であれば任意の浸透圧であってもよいが、通常は230〜400mmol/kg(mOsm/kg)である。この範囲は、非特許文献6(Guthrieら、Biology of Reproduction 67, 1811−1816 (2002年))の記載により、精子の運動性を維持できる範囲として特定されている。水溶液の浸透圧は、好ましくは250〜350mmol/kg(mOsm/kg)、さらに好ましくは260〜320mmol/kg(mOsm/kg)である。浸透圧は、溶質の濃度、解離度等から理論値を計算することもできるが、溶液を構成する物質の相互作用等を考慮して、浸透圧計(オズモメーター)を用いて決定される。本発明の検査液における成分濃度は、水溶液の浸透圧が上記範囲となるように決定される。
本発明の検査液には、所望のpHを達成するものであれば、任意の緩衝剤を含めることができる。緩衝剤として、中性付近に緩衝作用を持つ緩衝剤であれば任意のものを選択でき、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、メス、ヘペス、テス、トリシン等のグッド緩衝剤、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液等が挙げられる。また、所望のpHを達成するため酸又は塩基を用いることができる。好ましくは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及びクエン酸を用いる。より具体的には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの濃度は好ましくは50〜300mMであり、さらに好ましくは75〜200mMである。クエン酸濃度は好ましくは20〜100mMであり、さらに好ましくは25〜75mMである。
本発明の検査液には、精子のエネルギー源となる物質であれば、任意の糖やエネルギー源を含めることができる。糖やエネルギー源として、例えば、グルコース、キシロース、ラムロース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、メリビオース、ラフィノース、メレチロース、スタキオース、デキストリン、N−アセチル−D−グルコサミン、D−グルクロン酸、ATP、ADP等が挙げられる。好ましくは、グルコースを用いる。グルコース濃度は5mM〜100mMであり、好ましくは10mM〜50mMである。
本発明の検査液には、浸透圧を調節する目的で用いるのであれば、任意の塩を含めることができる。塩として、例えば、塩化物塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、アミノ酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩等を用いることができる。好ましくは、塩化物塩を用いる。より好ましくは、塩化ナトリウムを用いることができる。具体的に、塩化ナトリウム濃度は50〜200mMであり、好ましくは50〜150mMであり、さらに好ましくは50〜100mMである。
本発明の検査液には、精子を活性化させる活性化剤等の任意の生物活性物質を含めることができる。生物活性物質として、例えば、カルシウム、マグネシウム、セレン、亜鉛、カテキン、カフェイン、テオフィリン、ペントキシフィリン、プロカイン、リドカイン、ブピバカイン、イミダゾール、ピルビン酸ナトリウム、ハイポタウリン、ポリフェノール、L−グルタミン、SOD、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、フラボノイド、スペルミン、βカロテン、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオンレダクターゼ、カタラーゼ、カルニチン、アルブミン、トランスフェリン、セルロプラスミン、グルコースホスフェートDデヒドロゲナーゼ、コレステロール、脂肪酸、ホスファチジルコリン、ATP等が挙げられる。活性化剤等を検査液に含めることで、精子の運動性等を活性化し、精子の品質評価の値を際立たせて評価することができる。例えば、通常はプロカインであれば0.1〜40mM、カフェインであれば0.1〜40mM、テオフィリンであれば0.1〜40mMである。
本発明の検査液には、粘性等によって精子の運動性に負荷を与える目的で任意の負荷剤を含めることができる。負荷剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、フィコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ゼラチン等を用いることができる。好ましくは、ポリビニルピロリドンK−90を用いる。具体的に、ポリビニルピロリドンK−90濃度は0.5〜16%(W/V)であり、好ましくは1〜8%(W/V)である。
本発明の検査液には、細菌の繁殖を防ぐ目的で任意の抗生物質を含めることができる。抗生物質として、例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、ジベカシン等が挙げられる。さらに、検査液の調製には、細菌の繁殖を防ぐため滅菌操作を含めることができる。滅菌操作として、例えば、孔径0.2μmや0.45μmフィルターでの処理、オートクレーブ等が挙げられる。
精子に対して本発明の検査液に懸濁を行うには、検査液を移すことができれば任意の方法を用いることができる。例えば、手動ピペット、自動ピペット、ディスペンサー等を用いて行うことができる。
精子に対して本発明の検査液に懸濁を行う時間は、精子の品質指標の値を測定できる時間であれば任意の時間であってもよい。例えば、精子運動性を評価する場合は、通常は懸濁直後〜6時間であり、好ましくは懸濁直後〜3時間であり、さらに好ましくは懸濁直後〜1時間であり、特に好ましくは懸濁直後〜30分である。
精子に対して本発明の検査液で懸濁を行う際の温度は、精子の品質指標の値を測定できる温度であれば任意の温度であってもよい。通常は、インキュベータ装置等を用いて、0〜50℃の範囲で測定をすることができる。好ましくは、精子の由来する動物の体温付近の温度である25〜45℃、さらに好ましくは33〜43℃、特に好ましくは36〜40℃を維持して測定する。
本発明の精子の品質を評価する工程では、品質指標の値に基づき、精子集団を層別化することが含まれる。層別化とは、精子の品質指標の値に基づき2以上の集団へと分類することをいう。集団数は任意に選択できるが、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10の集団に分類することができる。層別化のための基準は、使用する品質指標の値に基づき任意に選択することができ、各群毎に精子の割合や精子数が一定数になるように選択されてもよいし、適宜数値を設定して分類してもよい。例えば、精子集団での品質指標の値が上位20%毎、上位10%毎、上位5%毎、上位3%毎、上位1%毎といった形で精子集団を層別化することができるし、例えば精子集団での品質指標の値が上位80%以内、上位50%以内、上位30%以内、上位10%以内、上位20〜80%、上位10〜50%、上位1〜5%というように、任意の範囲で層別化することができる。別の態様では、精子集団での品質指標の値を基準に層別化することもできる。例えば、品質指標がVCLである場合、200μm/秒以上、100μm/秒以上、175〜200μm/秒、150〜200μm/秒、100〜150μm/秒、0〜75μm/秒といった範囲で層別化することができる。このように層別化された各集団のうち、全ての群における品質指標の値から、品質決定値を算出することもできるし、各集団のうち、任意に選択された1以上の群の品質指標の値から算出することもできる。一の態様では、層別化された各集団のうち、品質上位群の品質指標の平均値、中央値、又は最頻値から、品質決定値を算出することができる。
本発明の精子集団の上位群の品質指標の値とは、上記の精子を取得する方法で取得した精子であれば、通常は精子の品質指標の値が精子集団内の良い方から50%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内、さらに好ましくは3%以内、さらに好ましくは1%以内、さらに好ましくは0.3%以内の値である。特に好ましくは、精子の品質指標の個々の精子の値を順に配列して求めたグラフからこれらの値を予測する。精子集団は、検査液に懸濁した全精子であってもよいし、一定の領域に存在する精子を任意に選択してもよい。ただし、上位の尺度は、精子集団によって任意に変更できるものである。例えば、精子集団の一部を選択又は分取した後のサブ精子集団であれば、射出精液等から取得した精子集団のより上位の品質指標の値を有する精子を選択的に取得している場合もあるため、精子集団の全精子の値を用いることもある。
品質指標の値に基づいて精子の品質を評価するとは、品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化し、層別化された集団の品質指標の値から、品質決定値を決定し、品質決定値から品質を決定することである。品質決定値は、以下の:
(1)層別化された集団の品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値;
(2)層別化された集団において所定の品質指標の基準値を超える又は一定の範囲の基準値の精子の割合又は精子数;及び
(3)層別化された集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから得られる近似線、切片、係数又は傾きからなる群から選択される。(1)〜(3)は各々組み合わせることもできる。品質決定値を、精子集団のサンプル間同士で比較してもよいし、予め受胎性などの精子の品質と相関が示された品質指標の基準値と比較するか、又は予め受胎性が判明している複数の精液を用いて計算された推定式にあてはめることで、精子の品質を評価することができる。
上記(1)〜(3)の品質決定値を用いて、精子の品質を決定する方法を具体的に説明する。
(1)品質決定値が、層別化された集団の品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値である場合
一例として、品質指標がVCLであり、層別化された集団のうち、品質上位群として10%を選択するが、品質指標及び層別化された集団が、これらのものに限られることを意図するものはない。品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程は、以下のように行われる:
品質指標の値(VCL)に基づき精子集団の上位10%の品質上位群を選択し;
品質上位群の品質指標の値(VCL)の平均値、中央値、又は最頻値を算出し;
VCLの平均値、中央値、又は最頻値に基づき、精子の品質を決定する。
算出された平均値、中央値、又は最頻値は、予め受胎性との相関が示された品質指標の基準値、例えば200μm/秒、175μm/秒、150μm/秒などと比較することで、その精子集団の受胎性を決定することができる。また、算出されたVCLの平均値、中央値、又は最頻値を、予め受胎性と、上位10%の品質上位群のVCLの平均値、中央値、又は最頻値との関係を示す推定式と当てはめることにより、精子の品質を決定することができる。
(2)品質決定値が、層別化された集団において所定の品質指標の基準値を超える又は一定の範囲の基準値の精子の割合又は精子数である場合
一例として、品質指標としてVCLを選択し、品質指標の基準値として200μm/秒を選択するが、品質指標及び基準値がこれらのものに限られることを意図するものはない。品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程は、以下のように行われる:
品質指標の値(VCL)の基準値(200μm/秒)を超える品質指標の値(VCL)を有する品質上位群を選択し;
品質上位群の精子数又は精子の割合を算出し;
精子数又は精子の割合に基づき、精子の品質を決定する。
算出された精子数又は精子の割合は、予め受胎性との相関が示された精子数又は精子の割合と比較することで、その精子集団の受胎性を決定することができる。また、精子数又は精子の割合を、予め受胎性が判明している複数の精液を用いて計算された精子数又は精子の割合と、受胎性との推定式に当てはめることで、その精子集団の受胎性を決定することができる。
(3)品質決定値が、層別化された集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから得られる近似線、切片、係数又は傾きである場合
一例として、品質指標がVCLであり、品質上位群として10%を選択するが、品質指標や上位群をこれらのものに限定することを意図するものではない。品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程は、以下のように行われる:
品質指標の値(VCL)に基づき精子集団の上位10%の品質上位群を選択し;
品質上位群の品質指標の値(VCL)を昇順または降順に配列し、Y軸に品質指標の値、X軸に順位をプロットして得られたグラフの近似線、切片、係数又は傾きを算出し;
近似線、切片、係数又は傾きに基づき、精子の品質を決定する。切片、係数又は傾きは近似線から求めることもできる。なおX軸とY軸へのプロットは逆にプロットしてもよい。近似線は、精子の品質指標の個々の精子の値を順に配列した場合に、概形を把握するための式であり、例えば線形近似、多項式近似、指数近似、対数近似、累乗近似、移動平均、漸近線、接線等が挙げられる。順に配列するとは、個々の精子の値を昇順又は降順に配置することをいい、品質上位群、例えば上位30%以上、好ましくは上位20%以上、より好ましくは上位10%以上、さらにより好ましくは上位8%以上の精子を配列して、近似線を求めることができる。近似線は、主に最小二乗法等の統計学的手法を用いて回帰分析を行って回帰式を算出し、直線、関数、対数、指数、シグモイド曲線等で表す。このような近似線を用いることで、受胎性の予測値を出すことができる。また、予測値は、近似線の切片、係数又は傾きを用いて出すこともできる。さらに、例えば、VCLとALHといった複数の品質指標を基準として用いる場合には、重回帰分析等の多変量解析を行って受胎性の推定式を算出することができる。
上述の通り、(1)から(3)において用いられる層別化された集団は、品質上位群について検討されてもよいし、品質上位群における品質指標の値の検討ののちに、別の群における品質指標の値の検討を加味することもできる。また、別の態様では、品質上位群のみならず、別の群における品質指標の値に基づいて、品質決定値を算出することができる。1の群において品質指標の値に基づいて品質決定値の算出後に、別の群において品質指標の値に基づいて品質決定値を算出する場合、品質決定値は、上記(1)〜(3)に用いられる同一の品質決定値を用いることもできるし、異なる品質決定値を用いることもできる。複数の群における品質指標の値に基づき、品質決定値を算出する例を以下に説明する。
(1)品質決定値が、層別化された集団の品質指標の値の平均値、中央値、又は最頻値である場合
一例として、品質指標がVCLであり、層別化された精子集団として品質指標の値が上位80%を10%毎に区切った群を選択するが、品質指標及び精子集団の各群が、これらのものに限られることを意図するものはない。品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程は、以下のように行われる:
品質指標の値(VCL)に基づき精子集団での上位80%の品質上位群を10%毎に区切って8個の群を選択し;
8個の群毎の品質指標の値(VCL)の平均値、中央値、又は最頻値を算出し;
各々のVCLの平均値、中央値、又は最頻値に基づき、精子の品質を決定する。
算出された各々の平均値、中央値、又は最頻値は、予め受胎性との相関が示された品質指標の基準値、例えば200μm/秒、175μm/秒、150μm/秒などと比較することで、その精子集団の受胎性を決定することができる。また、算出されたVCLの平均値、中央値、又は最頻値を、予め受胎性と、精子集団の全体を10%毎に区切った8個の群のVCLの平均値、中央値、又は最頻値との関係を示す推定式や重回帰分析等の多変量解析を行って出した推定式を用いて、精子の品質を決定することができる。
(2)品質決定値が、層別化された集団において所定の品質指標の値の基準値を超える又は一定の範囲の基準値の精子の割合又は精子数である場合
一例として、品質指標としてVCLを選択し、層別化の基準値が200μm/秒以上、150〜200μm/秒、100〜150μm/秒、50〜100μm/秒の場合を選択するが、品質指標及び層別化の基準値がこれらのものに限られることを意図するものはない。品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程は、以下のように行われる:
品質指標の値(VCL)の基準値を200μm/秒以上、150〜200μm/秒、100〜150μm/秒、50〜100μm/秒に区切って4個の群を選択し;
4個の群毎の精子数又は精子の割合を算出し;
各々の精子数又は精子の割合に基づき、精子の品質を決定する。
算出された精子数又は精子の割合は、予め受胎性との相関が示された精子数又は精子の割合と比較することで、その精子集団の受胎性を決定することができる。また、精子数又は精子の割合を、予め受胎性が判明している複数の精液を用いて計算された精子数又は精子の割合と、受胎性との近似線や重回帰分析等の多変量解析を行って出した推定式に当てはめることで、その精子集団の受胎性を決定することができる。
(3)品質決定値が、層別化された集団において精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列して求めた1又は複数のグラフから得られる近似線、切片、係数又は傾きである場合
一例として、品質指標がVCLであり、層別化された精子集団として品質指標の値が上位80%を10%毎に区切った場合を選択するが、品質指標及び精子集団の各群をこれらのものに限定することを意図するものではない。品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程は、以下のように行われる:
品質指標の値(VCL)に基づき精子集団での上位80%の品質上位群を10%毎に区切って8個の群を選択し;
8個の群毎の品質指標の値(VCL)を昇順または降順に配列し、Y軸に品質指標の値、X軸に順位をプロットして得られたグラフの近似線、切片、係数又は傾きを算出し;
近似線、切片、係数又は傾きに基づき、精子の品質を決定する。切片、係数又は傾きは近似線から求めることもできる。なおX軸とY軸へのプロットは逆にプロットしてもよい。近似線は、精子の品質指標の個々の精子の値を順に配列した場合に、概形を把握するための式であり、例えば線形近似、多項式近似、指数近似、対数近似、累乗近似、移動平均、漸近線、接線等が挙げられる。順に配列するとは、個々の精子の値を昇順又は降順に配置することをいう。近似線は、主に最小二乗法等の統計学的手法を用いて回帰分析を行って回帰式を算出し、直線、関数、対数、指数、シグモイド曲線等で表す。さらに、例えば、VCLとALHといった複数の品質指標を基準として用いる場合には、重回帰分析等の多変量解析を行って推定式を算出することができる。このようにして算出された推定式を、予め受胎性と、精子集団の全体を10%毎に区切った8個の群との関係を示す推定式や、さらに重回帰分析等の多変量解析を行って出した推定式を用いて、精子の品質を決定することができる。
実施の形態2.
本発明の精子の検査装置の構成を図2に示す。精子の検査装置10は、精子の品質指標の値を測定する精子品質測定部11(精子品質測定手段)、測定したデータや演算処理の指示等を与える入力部12(入力手段)、測定したデータや演算処理結果等を記憶する記憶部13(記憶手段)、測定した精子の品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する精子品質評価部14(精子品質評価手段)、精子品質の評価結果を出力する出力部15(出力手段)を主に備えている。
精子品質測定部11は、実施の形態1で説明した精子の品質指標の値を測定する工程を行う。精子品質測定部11は、検査液に懸濁された精子集団の個々の精子の品質指標の値を測定するための構成部位である。具体的に、精子品質測定部11は、精子運動解析装置、高速カメラ、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡、偏光顕微鏡、蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の顕微鏡、フローサイトメーター、ヌクレオカウンター、ルミノメーター、吸光リーダー、蛍光リーダー、蛍光偏向リーダー、化学発光リーダー等の機能を有し、精子集団に対して個々の精子の品質指標の値を測定する測定手段である。精子品質測定部11は、精子の検査装置10とは別に構成されていてもよく、測定したデータ等をネットワークや記憶媒体を用いて入力部12を介して入力してもよい。
入力部12は、インターフェイス等であり、キーボード、マウス等の操作部も含む。これにより、入力部12は、精子品質測定部11で測定したデータ、精子品質評価部14で行う演算処理の指示等を入力することができる。また、入力部12は、例えば精子品質測定部11が外部にある場合は、操作部とは別に、測定したデータ等をネットワークや記憶媒体を介して入力することができるインターフェイス部を含んでもよい。
記憶部13は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等のメモリ装置、ハードディスクドライブ等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置などを有する。記憶部13は、精子品質測定部11で測定したデータ、入力部12から入力された指示、精子品質評価部14で行った演算処理結果等の他、情報処理装置の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベースなどを記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD−ROM、DVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能なカーン型記録媒体や、インターネットを介してインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部13にインストールされる。
精子品質評価部14は、実施の形態1で説明した精子の品質を評価する工程を行う。精子品質評価部14は、精子集団の上位の品質指標の値を基準として精子の品質を評価するための構成部位である。このために、記憶部13に記憶しているプログラムに従って、精子品質測定部11で測定され記憶部13に記憶されたデータに対して、各種の演算処理を実行する。演算処理は、精子品質評価部14に含まれるCPUによりおこなわれる。このCPUは、精子品質測定部11、入力部12、記憶部13、及び出力部15を制御する機能モジュールを含み、各種の制御を行うことができる。これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェアなどで構成されてもよい。
出力部15は、液晶ディスプレイ等の表示装置、プリンタ等の出力手段も含む。精子品質評価部14で演算処理を行った結果である精子品質の評価結果の値、受胎性指標値、予測受胎率等で出力する。
以下に実施例を挙げて、本発明の精子の検査方法及び装置を具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術分野において通常の変更をすることができる。
実施例1.検査液のpHの検討
一般社団法人家畜改良事業団で繋養の種雄牛の射出精液を用いて作製した凍結精液を常法に従って融解し、1000万精子に対して2000rpm、室温、5分間で遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に対して140.6mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(和光純薬工業)、45.3mMのクエン酸(和光純薬工業)、16.7mMのグルコース(和光純薬工業)、79.2mMの塩化ナトリウム(和光純薬工業)、2mMの塩化カルシウム(和光純薬工業)、0.3%(w/v)のBSA(和光純薬工業)、650U/mlのペニシリンGカリウム(万有製薬)、0.7mg(力価)/mlのストレプトマイシン(明治製薬)、pHを6.0〜9.0まで0.2刻みになるよう1N水酸化ナトリウム又は1N塩酸を用いて調製した検査液を250μl添加した。そして、38℃で10分間インキュベーションを行った。4%(w/v)のポリビニルピロリドンK−90(和光純薬工業)を添加した各々のpHの上記検査液を等量混合し、予め38℃に温めた厚さ20μmのスライドチャンバー(Leja)に滴下し、1/60秒の撮像速度で精子運動解析装置Ceros(Hamilton Thorne)を用いて測定した。
測定を行った結果を図4に示す。pH6.0〜8.6の範囲で測定は可能であり、pH7.2〜8.2の範囲で高推進力を有する精子を検出することができた。最も高推進力を示す精子の割合が高かったのは、pH7.6であった。
実施例2.懸濁時間の検討
一般社団法人家畜改良事業団で繋養の種雄牛の射出精液を用いて作製した凍結精液を常法に従って融解し、1000万精子に対して2000rpm、室温、5分間で遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に対してpH7.6に調整した実施例1に記載の検査液を250μl添加した。38℃でインキュベーションを行った。懸濁直後(0)、10、30、60分間経過後、4%(w/v)のポリビニルピロリドンK−90を添加した上記検査液を等量混合し、実施例1に記載の方法で測定した。
図5に、VCL150μm/秒以上及び200μm/秒以上の精子の割合(%)を示す。懸濁直後〜30分において、高推進力を有する精子を検出することができた。
実施例3.精子の受胎性の検出
受胎率の判明している一般社団法人家畜改良事業団で繋養の種雄牛(n=29又は40)の射出精液を用いて作製した凍結精液を常法に従って融解し、1000万精子に対して2000rpm、室温、5分間で遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に対して実施例2に記載の検査液を250μl添加した。そして、38℃で10分間インキュベーションを行った。4%(w/v)のポリビニルピロリドンK−90を添加した上記検査液を等量混合し、実施例1に記載の方法で測定した。従来の検査例である精子運動性の指標は、凍結融解後の精子について精子運動解析装置を用いて38℃においてVAP50μm/秒以上の精子の割合(%)で示した。
VAP50μm/秒以上の精子の割合を図6Aに示す。従来の精子運動性の指標は、受胎率との相関関係は認められなかった。次に、VCLのカットオフ値を変えて測定を行った結果を図6B〜Eに示す。VCL50μm/秒以上の精子の割合を図6Bに、VCL100μm/秒以上の精子の割合を図6Cに、VCL150μm/秒以上の精子の割合を図6Dに、VCL200μm/秒以上の精子の割合を図6Eに示す。受胎率が40%以下の低受胎サンプルでは、カットオフ値が高くなるに従って、精子の割合が減少することが確認できた。そのため、カットオフ値を高くして、より高推進力を示す精子を検出することによって、受胎性が予測できることが判明した。
図7に、VCL200μm/秒以上の精子の割合と受胎率との相関関係について対数近似を用いて計算した結果を示す。VCL200μm/秒以上の精子の割合は、受胎率と高い相関関係が確認できた。この予測式から、VCL200μm/秒以上の精子の割合が0.3%以下であると顕著な低受胎が予測され、0.7%以下であると受胎率50%を下回ることが予測された。図8A及びBに、VCL200μm/秒以上の精子の割合と受胎率のカテゴリ毎の比較を示す。受胎率が高い群であるほど、VCL200μm/秒以上の精子の割合が上昇した。
図9に、1ストローあたりのVCL200μm/秒以上の精子の数と受胎率との相関関係について対数近似を用いて計算した結果を示す。VCL200μm/秒以上の精子の数は、受胎率と高い相関関係が確認できた。この予測式から、1ストローあたりVCL200μm/秒以上の精子の数が10万以下であると顕著な低受胎が予測され、30万以下であると受胎率40%を下回ることが予測された。図10A及びBに、VCL200μm/秒以上の精子の数と受胎率のカテゴリ毎の比較を示す(図10A:n=29;図10B:n=40)。受胎率が高い群であるほど、VCL200μm/秒以上の精子の数が上昇した。
凍結融解後の全精子に対する各VCLの速度のカテゴリ毎のヒストグラムを図11に示した(図11A:n=29;図11B:n=40)。低受胎精液では、VCL200μm/秒以上の精子の割合は顕著に低く、VCL100〜150μm/秒の精子の割合は高かった。各VCLの速度のカテゴリ毎の構成も加味することによって、より信頼性の高い精子の受胎性の検出ができた。
図11Bの結果から、(1)VCL150μm/秒以上では、受胎率が高いとその割合が高かった。(2)VCL75〜150μm/秒では、受胎率40%未満の区で正常な受胎率の牛よりも割合が高かった。このことは、顕著な低受胎牛は、VCLが中間的な精子の割合が高いことが示された。(3)VCL25〜75μm/秒では、受胎率が低いとその割合が高かった。このことは、受胎が低い牛では、VCLが低い精子の割合が高いことが示された。(4)VCLヒストグラムのピークは、概ね受胎率65%以上の区では125〜175μm/秒、受胎率55〜65%の区では50〜150μm/秒、受胎率40〜55%の区では50〜75μm/秒に位置し、受胎率が高いほどピークの値は高い傾向があった。一方、受胎率40%未満の区と受胎率40〜55%の区を比較すると、VCLが低い0〜75μm/秒の割合は同様であったが、受胎率40%未満の区では75〜150μm/秒でその割合が最も高いことが特徴であった。総じて、受胎率が高いとVCLが高い精子の割合が高く、受胎率が低いとVCLが低い精子の割合が低く、さらに、顕著な低受胎牛のVCLでは、中間的な精子の割合が高かった。このように受胎率のカテゴリ毎に精子集団の構成に特徴があることが示された。
実施例4.全精子のVCL値を降順に並べた値の検討
受胎率の判明している一般社団法人家畜改良事業団で繋養の種雄牛(n=40)の射出精液を用いて作製した凍結精液を常法に従って融解し、1000万精子に対して2000rpm、室温、5分間で遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に対して実施例2に記載の検査液を250μl添加した。そして、38℃で10分間インキュベーションを行った。4%(w/v)のポリビニルピロリドンK−90を添加した上記検査液を等量混合し、実施例1に記載の方法で測定した。受胎率65%以上(10頭)、55〜65%(10頭)、55%以下(10頭)、低受胎牛(受胎率40%未満:10頭)について、各3ロット測定した。
図12Aは、縦軸にVCL値、横軸に精子集団内の上位75%までを降順で表示した結果を示す。受胎率の区毎に精子集団の構成に特徴があることが示された。
図12Bは、縦軸にVCL値、横軸に精子集団内の上位10%までを降順で表示し、受胎率65%以上の区は標準偏差を表示した結果を示す。上位0.3〜6%のVCL値は、受胎率65%以上、55〜65%、40〜55%において、受胎率40%未満の低受胎牛の値を上回っていた。このことから、上位0.3〜6%の任意の値のVCL値を比較することで受胎率を予測できた。また、上位3%、2%、1%、0.5%、0.3%以上といったより上位のVCL値を比較することで、より精度高く受胎性を予測できた。
図13は、縦軸にVCL値、横軸に精子集団内の上位10%までを降順で表示し、3次関数で近似して近似線を計算した結果を示す。3次関数のy切片は受胎率65%以上、55〜65%、40〜55%の正常牛において各々216.57、216.93、213.04であり、受胎率40%未満では200.23であり、低受胎牛は低い値を示した。図14は、縦軸にVCL値、横軸に精子集団内の上位20%までを降順で表示し、直線で近似して近似線を計算した結果を示す。直線の傾きは受胎率65%以上、55〜65%、40〜55%の正常牛において各々−347.4、−395.13、−421.62であり、受胎率40%未満の低受胎牛では−307.04であり、顕著な低受胎サンプルでは緩やかな傾きを示した。このことから、近似線のy切片や傾きを用いることで、より精度高く受胎性を予測できることが判明した。
実施例5.精子集団の構成を反映した精子の受胎性の検出
受胎率の判明している一般社団法人家畜改良事業団で繋養の種雄牛(n=40)の射出精液を用いて作製した凍結精液を常法に従って融解し、1000万精子に対して2000rpm、室温、5分間で遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に対して実施例2に記載の検査液を250μl添加した。そして、38℃で10分間インキュベーションを行った。4%(w/v)のポリビニルピロリドンK−90を添加した上記検査液を等量混合し、実施例1に記載の方法で測定した。層別化された集団の1又は複数の群の品質指標の値に基づいて評価する。
凍結精液1ロットの精子集団におけるVCLの値が上位72%の精子に対して、上位0〜8、8〜16、16〜24、24〜32、32〜40、40〜48、48〜56、56〜64、64〜72%の上位8%毎の9の群に分けて各々についてVCLの値を算出し、受胎率の判明している種雄牛40頭を用いて重回帰分析を行った。図15は、縦軸に重回帰分析から得られた推定式から算出された推定受胎率、横軸に実際の受胎率を表示し、直線で近似した結果を示す。層別化された精子集団の複数の群の品質指標の値に基づいて評価することにより、実際の受胎率との間に高い相関関係が認められた。
凍結精液1ロットの精子集団におけるVCLの値を0〜75μm/秒、75〜150μm/秒、150〜175μm/秒、175〜200μm/秒、200μm/秒以上の5の群に分けて各々について精子の割合を算出し、受胎率の判明している種雄牛40頭を用いて重回帰分析を行った。図16は、縦軸に重回帰分析から得られた推定式から算出された推定受胎率、横軸に実際の受胎率を表示し、直線で近似した結果を示す。層別化された精子集団の複数の群の品質指標の値に基づいて評価することにより、実際の受胎率との間に高い相関関係が認められた。
実施例6.新鮮精液及び凍結精液の比較
一般社団法人家畜改良事業団で繋養の種雄牛から採取した新鮮射出精液及び常法に従って融解した凍結精液について、1000万精子に対して2000rpm、室温、5分間で遠心分離を行い、上清を除去した後、沈殿に対して実施例2に記載の検査液を250μl添加した。そして、38℃で10分間インキュベーションを行った。4%(w/v)のポリビニルピロリドンK−90を添加した上記検査液を等量混合し、実施例1に記載の方法で測定した。
VCL200μm/秒以上の精子の割合を図17に示す。新鮮精液及び凍結精液の双方で測定が可能であり、凍結精液で有意にVCL200μm/秒以上の精子の割合が低下した。このことから、凍結精液作製時の希釈液等の技術開発において、精子の品質指標として用いることができることが確認できた。
本発明の精子の検査方法は、精子の品質指標の値が極めて高い精子の割合や数を判定することで、受胎率との相関が高い精子の評価を得ることができるため、生産現場から高品質の精子の供給を行うことができる。また、受胎性を反映した精子の供給を行うことができるため、例えばフィールドでの牛人工授精による受胎性の向上も期待できる。

Claims (26)

  1. 精子集団に対して検査液に懸濁を行って個々の精子の品質指標の値を測定する工程、
    前記精子の品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化する工程、及び
    層別化された集団の1又は複数の群の品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する工程
    を備えることを特徴とする精子の検査方法。
  2. 前記層別化された集団のうち、品質上位群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする、請求項1に記載の精子の検査方法。
  3. 前記層別化された集団のうち、さらに他の群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする、請求項2に記載の精子の検査方法。
  4. 前記品質指標は、精子運動性の指標であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の精子の検査方法。
  5. 前記検査液は、pHが7.2〜8.2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の精子の検査方法。
  6. 前記検査液は、負荷剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の精子の検査方法。
  7. 前記懸濁の時間は、懸濁直後〜30分間であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の精子の検査方法。
  8. 前記精子の品質を評価する工程が、1又は複数の群の品質指標の基準値と比較して、精子の品質を決定する工程を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の精子の検査方法。
  9. 前記精子の品質を評価する工程が、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから求める工程を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の精子の検査方法。
  10. 検査液に懸濁された精子集団の個々の精子の品質指標の値を測定する精子品質測定手段と、前記精子の品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化する層別化手段と、層別化された精子集団の品質指標の値に基づいて精子の品質を評価する精子品質評価手段とを備えることを特徴とする精子の検査装置。
  11. 前記精子品質評価手段が、前記層別化された集団のうち、品質上位群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする、請求項10に記載の精子の検査方法。
  12. 前記精子品質評価手段が、前記層別化された集団のうち、さらに他の群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする、請求項11に記載の精子の検査方法。
  13. 前記品質指標は、精子運動性の指標であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の精子の検査装置。
  14. 前記検査液は、pHが7.2〜8.2であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の精子の検査装置。
  15. 前記検査液は、負荷剤を含むことを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の精子の検査装置。
  16. 前記懸濁の時間は、懸濁直後〜30分間であることを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載の精子の検査装置。
  17. 前記精子品質評価手段が、1又は複数の群の品質指標の基準値と比較して、精子の品質を決定する、請求項10〜16のいずれか一項に記載の精子の検査装置。
  18. 前記精子品質評価手段が、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから求めることを特徴とする請求項10〜17のいずれか一項に記載の精子の検査装置。
  19. 出力部と、記憶部とを含む情報処理装置に精子の品質を決定させる制御プログラムであって、
    精子集団における個々の精子の品質指標の値を前記記憶部に記憶し、
    前記記憶された品質指標の値に基づき、前記精子集団を層別化し、
    当該層別化された集団の品質指標の値に基づき精子の品質を決定し、
    精子の品質の結果を前記出力部に出力する
    ことを前記情報処理装置に実行させることを特徴とする、前記制御プログラム。
  20. 前記情報処理装置は、撮像部をさらに有し、
    前記撮像部が複数枚の経時的画像を取得し、
    複数の画像に基づいて前記品質指標を決定する
    ことを特徴とする、請求項19に記載の制御プログラム。
  21. 前記精子の品質を決定が、前記層別化された集団のうち、品質上位群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする、請求項19又は20に記載の制御プログラム。
  22. 前記精子の品質を決定が、前記層別化された集団のうち、さらに他の群の品質指標の値に基づいて、精子の品質を評価することを特徴とする、請求項21に記載の制御プログラム。
  23. 前記品質指標は、精子運動性の指標であることを特徴とする請求項19〜22のいずれか一項に記載の制御プログラム。
  24. 前記精子の品質を評価するが、1又は複数の群の品質指標の基準値と比較して、精子の品質を決定することを含む、請求項19〜23のいずれか一項に記載の制御プログラム。
  25. 前記精子の品質を評価するが、前記精子集団の個々の精子における品質指標の値を順に配列したグラフから求めることを含む、請求項19〜24のいずれか一項に記載の制御プログラム。
  26. 請求項19〜25のいずれか一項に記載の制御プログラムをコードするコンピュータ可読媒体。
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