JPWO2015108028A1 - 多段変速機 - Google Patents
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Abstract
自動変速機20は、シングルピニオン式の第1遊星歯車21と、ダブルピニオン式の第2遊星歯車22と、シングルピニオン式の第3遊星歯車23と、シングルピニオン式の第4遊星歯車24と、クラッチC1,C2,C3およびC4と、ブレーキB1およびB2とを含み、クラッチC1からC4並びにブレーキB1およびB2のうち、何れか3つを係合させると共に残余の3つを解放させることにより前進第1速段から前進第9速段および後進段を形成する。
Description
本発明は、車両の原動機から入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機に関する。
従来、この種の多段変速機として、4つのシングルピニオン式の遊星歯車と、4つのクラッチと、2つのブレーキとを含み、第1速段から第9速段までの前進段と後進段とを提供するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような多段変速機では、スプレッド(ギヤ比幅=最低変速段のギヤ比/最高変速段のギヤ比)を大きくするほど、動力の伝達効率すなわち多段変速機が搭載される車両の燃費等や、ドライバビリティすなわち車両の加速性能等をより向上させることができる。
しかしながら、特許文献1に記載された多段変速機では、最低変速段のギヤ比が4.477であると共に最高変速段のギヤ比が0.640であり、スプレッドが6.995となることから、同文献に記載された多段変速機は、車両の燃費やドライバビリティの向上を図るという面で、なお改善の余地を有している。また、特許文献1に記載された多段変速機では、第2遊星歯車(符号16)のキャリヤに対応したクラッチ(符号28)のトルク分担が大きく(およそ3.5倍)、第2遊星歯車(符号16)のキャリヤに対応したクラッチ(符号28)およびブレーキ(符号32)のトルク分担比(トルク分担の最大値/最小値)も大きい(クラッチ28:およそ12倍、ブレーキ32:およそ13倍)。このため、特許文献1に記載された多段変速機では、当該クラッチ(符号28)の軸長または外径を大きくしてトルク容量を確保する必要があり、装置全体の大型化や重量増、当該クラッチにおける引き摺り損失の悪化を招くおそれがある。更に、トルク分担比が大きい上記クラッチおよびブレーキの制御性(油圧制御性)が悪化してしまい、変速性能が低下してしまうおそれもある。
そこで、本発明は、多段変速機が搭載される車両の燃費、ドライバビリティおよび変速性能を向上させると共に、多段変速機を軽量コンパクト化することを主目的とする。
本発明による多段変速機は、入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機において、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する第1遊星歯車と、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する第2遊星歯車と、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第7回転要素、第8回転要素および第9回転要素を有する第3遊星歯車と、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第10回転要素、第11回転要素および第12回転要素を有する第4遊星歯車と、それぞれ前記第1、第2、第3および第4遊星歯車の回転要素の何れかを他の回転要素または静止部材に接続すると共に両者の接続を解除する第1、第2、第3、第4、第5および第6係合要素とを備え、前記第1遊星歯車の前記第2回転要素は、前記出力部材に常時連結され、前記第1遊星歯車の前記第1回転要素と前記第4遊星歯車の前記第10回転要素とは常時連結され、前記第1遊星歯車の前記第3回転要素と前記第3遊星歯車の前記第9回転要素とは常時連結され、前記第2遊星歯車の前記第4回転要素は、前記静止部材に常時接続され、前記第2遊星歯車の前記第5回転要素と前記第4遊星歯車の前記第12回転要素とは常時連結され、前記第2遊星歯車の前記第6回転要素と前記第3遊星歯車の前記第7回転要素とは常時連結され、前記第1係合要素は、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第4遊星歯車の前記第10回転要素と、前記入力部材とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第2係合要素は、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第3回転要素および前記第3遊星歯車の前記第9回転要素と、前記第4遊星歯車の前記第11回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第3係合要素は、前記第3遊星歯車の前記第8回転要素と前記第4遊星歯車の前記第11回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第4係合要素は、前記第4遊星歯車の前記第11回転要素と前記入力部材とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第5係合要素は、前記第2遊星歯車の前記第5回転要素または前記第6回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除し、前記第6係合要素は、前記第3遊星歯車の前記第8回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除することを特徴とする。
このように構成される多段変速機では、第1、第2、第3、第4、第5および第6係合要素のうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、第1速段から第9速段あるいは第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを形成することが可能となる。これにより、スプレッドをより大きくして多段変速機が搭載される車両の燃費を向上させると共に、更に低速段の変速比をより大きくすると共に高速段の変速比をより小さくしてドライバビリティすなわち車両の加速性能等をより向上させることができる。また、この多段変速機では、第1〜第4係合要素のトルク分担を低下させて、第1〜第4係合要素を軽量コンパクト化すると共に第1〜第4係合要素における引き摺り損失の悪化を抑制することが可能となる。更に、第1〜第6係合要素のトルク分担比をより小さくして第1〜第6係合要素の制御性を向上させることができる。従って、本発明による多段変速機では、当該多段変速機が搭載される車両の燃費、ドライバビリティおよび変速性能をより向上させると共に、装置全体を軽量コンパクト化することが可能となる。
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る多段変速機としての自動変速機20を含む動力伝達装置10の概略構成図である。これらの図面に示す動力伝達装置10は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力(トルク)を図示しない左右の後輪(駆動輪)に伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置10は、エンジンから入力軸20iに伝達された動力を変速して出力軸20oに伝達する自動変速機20に加えて、トランスミッションケース(静止部材)11や、発進装置(流体伝動装置)12、オイルポンプ17等を含む。
発進装置12は、上述のような駆動源に連結される入力側のポンプインペラ14pや、自動変速機20の入力軸(入力部材)20iに連結される出力側のタービンランナ14t、ポンプインペラ14pおよびタービンランナ14tの内側に配置されてタービンランナ14tからポンプインペラ14pへの作動油の流れを整流するステータ14s、図示しないステータシャフトより支持されると共にステータ14sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ14o等を有するトルクコンバータを含む。更に、発進装置12は、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバーと自動変速機20の入力軸20iとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するロックアップクラッチ15と、フロントカバーと自動変速機20の入力軸20iとの間で振動を減衰するダンパ機構16とを有する。なお、発進装置12は、ステータ14sを有さない流体継手を含むものであってもよい。
オイルポンプ17は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、発進装置12のポンプインペラ14pに連結される外歯ギヤ(インナーロータ)、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)等を有するギヤポンプとして構成される。オイルポンプ17は、エンジンからの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して図示しない油圧制御装置へと圧送する。
自動変速機20は、9段変速式の変速機として構成されており、図1に示すように、入力軸20iに加えて、図示しないデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸(出力部材)20oや、自動変速機20(入力軸20iや出力軸20o)の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1遊星歯車21、ダブルピニオン式の第2遊星歯車22、シングルピニオン式の第3遊星歯車23、およびシングルピニオン式の第4遊星歯車24を含む。更に、自動変速機20は、入力軸20iから出力軸20oまでの動力伝達経路を変更するための第1係合要素としてのクラッチC1(第1クラッチ)、第2係合要素としてのクラッチC2(第2クラッチ)、第3係合要素としてのクラッチC3(第3クラッチ)、第4係合要素としてのクラッチC4(第4クラッチ)、第5係合要素としてのブレーキB1(第1ブレーキ)、および第6係合要素としてのブレーキB2(第2ブレーキ)を含む。
本実施形態において、第1〜第4遊星歯車21〜24は、発進装置12すなわちエンジン側(図1における左側)から、第2遊星歯車22、第4遊星歯車24、第3遊星歯車23、第1遊星歯車21という順番で並ぶようにトランスミッションケース11内に配置される。
第1遊星歯車21は、外歯歯車である第1サンギヤ21sと、第1サンギヤ21sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ21rと、それぞれ第1サンギヤ21sおよび第1リングギヤ21rに噛合する複数の第1ピニオンギヤ21pと、複数の第1ピニオンギヤ21pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤ21cとを有する。本実施形態において、第1遊星歯車21のギヤ比λ1(第1サンギヤ21sの歯数/第1リングギヤ21rの歯数)は、例えば、λ1=0.280と定められている。
第2遊星歯車22は、外歯歯車である第2サンギヤ22sと、第2サンギヤ22sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ22rと、それぞれ第2サンギヤ22sに噛合する複数のピニオンギヤ221pと、それぞれ対応するピニオンギヤ221pと第2リングギヤ22rとに噛合する複数のピニオンギヤ222pと、ピニオンギヤ221pおよび222pの組を自転かつ公転自在に複数保持する第2キャリヤ22cとを有する。本実施形態において、第2遊星歯車22のギヤ比λ2(第2サンギヤ22sの歯数/第2リングギヤ22rの歯数)は、例えば、λ2=0.435と定められている。
第3遊星歯車23は、外歯歯車である第3サンギヤ23sと、第3サンギヤ23sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ23rと、それぞれ第3サンギヤ23sおよび第3リングギヤ23rに噛合する複数の第3ピニオンギヤ23pと、複数の第3ピニオンギヤ23pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第3キャリヤ23cとを有する。本実施形態において、第3遊星歯車23のギヤ比λ3(第3サンギヤ23sの歯数/第3リングギヤ23rの歯数)は、例えば、λ3=0.410と定められている。
第4遊星歯車24は、外歯歯車である第4サンギヤ24sと、第4サンギヤ24sと同心円上に配置される内歯歯車である第4リングギヤ24rと、それぞれ第4サンギヤ24sおよび第4リングギヤ24rに噛合する複数の第4ピニオンギヤ24pと、複数の第4ピニオンギヤ24pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第4キャリヤ24cとを有する。本実施形態において、第4遊星歯車24のギヤ比λ4(第4サンギヤ24sの歯数/第4リングギヤ24rの歯数)は、例えば、λ4=0.460と定められている。
図1に示すように、第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cは、自動変速機20の出力軸20oに常時連結(固定)される。また、第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sと第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sとは、連結部材(第1連結要素)214を介して常時連結され、常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。更に、第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rと第3遊星歯車23の第3リングギヤ23rとは、連結部材(第2連結要素)213を介して常時連結され、常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。また、第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cと第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sとは、連結部材(第3連結要素)223を介して常時連結され、常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。更に、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rと第4遊星歯車24の第4リングギヤ24rとは、連結部材(第4連結要素)224を介して常時連結され、常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。また、更に、第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sは、静止部材としてのトランスミッションケース11に常時接続(固定)され、常時静止する。
クラッチC1は、常時連結された第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sと、入力軸20iとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。クラッチC2は、常時連結された第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rおよび第3遊星歯車23の第3リングギヤ23r(連結部材213)と、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。クラッチC3は、第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cと第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。クラッチC4は、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cと入力軸20iとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除するものである。クラッチC1およびC4は、例えば発進装置12と第4遊星歯車24との間に配置され、クラッチC2およびC3は、例えば第1遊星歯車21と第4遊星歯車24との間に配置される。
ブレーキB1は、第2遊星歯車22の固定可能要素である第2キャリヤ22cおよび第3遊星歯車23の固定可能要素である第3サンギヤ23sを静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第2キャリヤ22cおよび第3サンギヤ23sをトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものである。ブレーキB2は、第3遊星歯車23の固定可能要素である第3キャリヤ23cをトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第3キャリヤ23cを静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものである。ブレーキB1は、例えば発進装置12と第4遊星歯車24との間に配置され、ブレーキB2は、例えば第1遊星歯車21と第4遊星歯車24との間に配置される。
本実施形態では、クラッチC1〜C4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(例えば環状部材の両面に摩擦材を貼着することにより構成された摩擦プレートおよび両面が平滑に形成された環状部材であるセパレータプレート)、それぞれ作動油が供給される係合油室および遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)が採用される。また、ブレーキB1およびB2としては、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用される。そして、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2は、図示しない油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。
図2は、自動変速機20における入力軸20iの回転速度(入力回転速度)に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である(ただし、入力軸20iの回転速度を値1とする。以下同様。)。また、図3は、自動変速機20の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を示す作動表である。
図2に示すように、シングルピニオン式の第1遊星歯車21を構成する3つの回転要素、すなわち第1サンギヤ21s、第1リングギヤ21rおよび第1キャリヤ21cは、当該第1遊星歯車21の速度線図(図2における最も左側の速度線図)上でギヤ比λ1に応じた間隔をおいて図中左側から第1サンギヤ21s、第1キャリヤ21c、第1リングギヤ21rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施形態では、第1サンギヤ21sを自動変速機20の第1回転要素とし、第1キャリヤ21cを自動変速機20の第2回転要素とし、第1リングギヤ21rを自動変速機20の第3回転要素とする。従って、第1遊星歯車21は、ギヤ比λ1に応じて順番に並ぶ自動変速機20の第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する。
また、ダブルピニオン式の第2遊星歯車22を構成する3つの回転要素、すなわち第2サンギヤ22s、第2リングギヤ22rおよび第2キャリヤ22cは、当該第2遊星歯車22の速度線図(図2における左から2番目の速度線図)上でギヤ比λ2に応じた間隔をおいて図中左側から第2サンギヤ22s、第2リングギヤ22rおよび第2キャリヤ22cという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施形態では、第2サンギヤ22sを自動変速機20の第4回転要素とし、第2リングギヤ22rを自動変速機20の第5回転要素とし、第2キャリヤ22cを自動変速機20の第6回転要素とする。従って、第2遊星歯車22は、ギヤ比λ2に応じて順番に並ぶ自動変速機20の第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する。
更に、シングルピニオン式の第3遊星歯車23を構成する3つの回転要素、すなわち第3サンギヤ23s、第3リングギヤ23rおよび第3キャリヤ23cは、当該第3遊星歯車23の速度線図(図2における右から2番目の速度線図)上でギヤ比λ3に応じた間隔をおいて図中左側から第3サンギヤ23s、第3キャリヤ23c、第3リングギヤ23rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施形態では、第3サンギヤ23sを自動変速機20の第7回転要素とし、第3キャリヤ23cを自動変速機20の第8回転要素とし、第3リングギヤ23rを自動変速機20の第9回転要素とする。従って、第3遊星歯車23は、ギヤ比λ3に応じて間隔をおいて順番に並ぶ自動変速機20の第7回転要素、第8回転要素および第9回転要素を有する。
また、シングルピニオン式の第4遊星歯車24を構成する3つの回転要素、すなわち第4サンギヤ24s、第4リングギヤ24rおよび第4キャリヤ24cは、当該第4遊星歯車24の速度線図(図2における最も右側の速度線図)上でギヤ比λ4に応じた間隔をおいて図中左側から第4サンギヤ24s、第4キャリヤ24c、第4リングギヤ24rという順番で並ぶ。このような速度線図での並び順に従い、本実施形態では、第4サンギヤ24sを自動変速機20の第10回転要素とし、第4キャリヤ24cを自動変速機20の第11回転要素とし、第4リングギヤ24rを自動変速機20の第12回転要素とする。従って、第4遊星歯車24は、ギヤ比λ4に応じて順番に並ぶ自動変速機20の第10回転要素、第11回転要素および第12回転要素を有する。
そして、自動変速機20では、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2を図3に示すように係合または解放させて上述の第1〜第12回転要素の接続関係を変更することで、入力軸20iから出力軸20oまでの間に前進回転方向に9通りおよび後進回転方向に1通りの動力伝達経路、すなわち第1速段から第9速段の前進段と後進段とを形成することができる。
具体的には、前進第1速段は、クラッチC1,ブレーキB1およびB2を係合させると共に、残余のクラッチC2,C3およびC4を解放させることにより形成される。すなわち、前進第1速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続され、更に、ブレーキB1により第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cおよび第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定されると共に、ブレーキB2により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態(第1〜第4遊星歯車21〜24のギヤ比がλ1=0.280,λ2=0.435,λ3=0.410,λ4=0.460である場合、以下同様)において、前進第1速段におけるギヤ比(入力軸20iの回転速度/出力軸20oの回転速度)γ1は、γ1=4.571となる。更に、前進第1速段の形成時におけるクラッチC1,ブレーキB1およびB2のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第2速段は、クラッチC1,C2およびブレーキB2を係合させると共に、残余のクラッチC3,C4およびブレーキB1を解放させることにより形成される。すなわち、前進第2速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続されると共に、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rおよび第3遊星歯車23の第3リングギヤ23rと、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続され、更に、ブレーキB2により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第2速段におけるギヤ比γ2は、γ2=2.895となる。また、前進第1速段と前進第2速段との間のステップ比は、γ1/γ2=1.579となる。更に、前進第2速段の形成時におけるクラッチC1,C2およびブレーキB2のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第3速段は、クラッチC1,C2およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC3,C4およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第2速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続されると共に、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rおよび第3遊星歯車23の第3リングギヤ23rと、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続され、更に、ブレーキB1により第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cおよび第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第3速段におけるギヤ比γ3は、γ3=2.151となる。また、前進第2速段と前進第3速段との間のステップ比は、γ2/γ3=1.346となる。更に、前進第3速段の形成時におけるクラッチC1,C2およびブレーキB1のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第4速段は、クラッチC1,C3およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC2,C4およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第4速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続されると共に、クラッチC3により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cと第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続され、更に、ブレーキB1により第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cおよび第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第4速段におけるギヤ比γ4は、γ4=1,767となる。また、前進第3速段と前進第4速段との間のステップ比は、γ3/γ4=1.217となる。更に、前進第4速段の形成時におけるクラッチC1,C3およびブレーキB1のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第5速段は、クラッチC1,C3およびC4を係合させると共に、残余のクラッチC2,ブレーキB1およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第5速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続されると共に、クラッチC3により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cと第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続され、更に、クラッチC4により第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cが入力軸20iに接続される。本実施形態において、前進第5速段におけるギヤ比γ5は、γ5=1.327となる。また、前進第4速段と前進第5速段との間のステップ比は、γ4/γ5=1.332となる。更に、前進第5速段の形成時におけるクラッチC1,C3およびC4のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第6速段は、クラッチC1,C2およびC4を係合させると共に、残余のクラッチC3、ブレーキB1およびB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第6速段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続されると共に、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rおよび第3遊星歯車23の第3リングギヤ23rと、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続され、更に、クラッチC4により第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cが入力軸20iに接続される。本実施形態において、前進第6速段におけるギヤ比γ6は、γ6=1.000となる。また、前進第5速段と前進第6速段との間のステップ比は、γ5/γ6=1.327となる。更に、前進第6速段の形成時におけるクラッチC1,C2およびC4のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第7速段は、クラッチC2,C3およびC4を係合させると共に、残余のクラッチC1,ブレーキB1およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第7速段の形成に際しては、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rおよび第3遊星歯車23の第3リングギヤ23rと、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続されると共に、クラッチC3により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cと第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続され、更に、クラッチC4により第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cが入力軸20iに接続される。本実施形態において、前進第7速段におけるギヤ比γ7は、γ7=0.829となる。また、前進第6速段と前進第7速段との間のステップ比は、γ6/γ7=1.207となる。更に、前進第7速段の形成時におけるクラッチC2,C3およびC4のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第8速段は、クラッチC2,C4およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC1,C3およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第8速段の形成に際しては、クラッチC2により第1遊星歯車21の第1リングギヤ21rおよび第3遊星歯車23の第3リングギヤ23rと、第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続されると共に、クラッチC4により第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cが入力軸20iに接続され、更に、ブレーキB1により第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cおよび第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第8速段におけるギヤ比γ8は、γ8=0.678となる。また、前進第7速段と前進第8速段との間のステップ比は、γ7/γ8=1.223となる。更に、前進第8速段の形成時におけるクラッチC2,C4およびブレーキB1のトルク分担は、図3に示すとおりである。
前進第9速段は、クラッチC3,C4およびブレーキB1を係合させると共に、残余のクラッチC1,C2およびブレーキB2を解放させることにより形成される。すなわち、前進第9速段の形成に際しては、クラッチC3により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cと第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cとが互いに接続されると共に、クラッチC4により第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cが入力軸20iに接続され、更に、ブレーキB1により第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cおよび第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、前進第9速段におけるギヤ比γ9は、γ9=0.557となる。また、前進第8速段と前進第9速段との間のステップ比は、γ8/γ9=1.217となる。更に、前進第9速段の形成時におけるクラッチC3,C4およびブレーキB1のトルク分担は、図3に示すとおりである。そして、自動変速機20におけるスプレッド(ギヤ比幅=最低変速段である前進第1速段のギヤ比γ1/最高変速段である前進第9速段のギヤ比γ9)は、γ1/γ9=8.210となる。
後進段は、クラッチC1,C4およびブレーキB2を係合させると共に、残余のクラッチC2,C3およびブレーキB1を解放させることにより形成される。すなわち、後進段の形成に際しては、クラッチC1により第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第4遊星歯車24の第4サンギヤ24sが入力軸20iに接続されると共に、クラッチC4により第4遊星歯車24の第4キャリヤ24cが入力軸20iに接続され、ブレーキB2により第3遊星歯車23の第3キャリヤ23cがトランスミッションケース11に対して回転不能に固定される。本実施形態において、後進段におけるギヤ比γrevは、γrev=−2.872となる。また、前進第1速段と後進段との間のステップ比は、|γrev/γ1|=0.628となる。更に、後進段の形成時におけるクラッチC1,C4およびブレーキB1のトルク分担は、図3に示すとおりである。
上述のように、自動変速機20によれば、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の係脱により第1速段から第9速段までの前進段と後進段とを提供することが可能となる。この結果、自動変速機20では、スプレッドをより大きくして(本実施形態では、8.210)特に高車速時の車両の燃費を向上させると共に、更に低速段の変速比をより大きくすると共に高速段の変速比をより小さくして各変速段での加速性能を向上させると共に、ステップ比を適正化(より大きくなるのを抑制)して変速フィーリングを向上させることができる。従って、自動変速機20によれば、当該自動変速機20が搭載される車両の燃費等と、ドライバビリティすなわち車両の加速性能、変速フィーリング等との双方を良好に向上させることが可能となる。
また、自動変速機20では、6つの係合要素、すなわちクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2のうち、何れか3つを係合させると共に残余の3つを解放させることにより前進第1速段から前進第9速段および後進段が形成される。これにより、例えば6つのクラッチやブレーキのうちの2つを係合させると共に残余の4つを解放させることにより複数の変速段を形成する変速機に比べて、変速段の形成に伴って解放される係合要素の数を減らすことができる。この結果、変速段の形成に伴って解放された係合要素における部材間の僅かな接触に起因した引き摺り損失を低減させて、自動変速機20における動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより一層向上させることが可能となる。
更に、自動変速機20では、図3に示すように、クラッチC1〜C4のトルク分担をおよそ1.9倍以下にまで低下させることができるので、当該クラッチC1〜C4の軸長または外径を小さくして装置全体を軽量コンパクト化すると共に、クラッチC1〜C4における引き摺り損失の悪化を抑制することが可能となる。また、自動変速機20では、クラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2のトルク分担比(トルク分担の最大値/最小値)をおよそ8倍以下にまで低下させることができるので、それぞれに要求されるトルク容量が大きく変化した際の作動油の供給量や供給速度の切替を容易かつ速やかに実行することが可能となり、クラッチC1〜C4およびブレーキB1,B2の油圧制御性をより向上させることができる。この結果、自動変速機20では、変速性能をより向上させると共に、装置全体を軽量コンパクト化することが可能となる。
また、第1、第3および第4遊星歯車21,23,24をシングルピニオン式の遊星歯車とすることで、これらを例えばダブルピニオン式の遊星歯車とした場合に比べて、第1、第3および第4遊星歯車21,23,24における回転要素間の噛み合い損失を低減させて自動変速機20における動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより向上させると共に、部品点数を削減して自動変速機20の重量増を抑制しつつ組立性を向上させることが可能となる。
なお、自動変速機20において、ブレーキB1は、前進第1速、第3速、第4速、第8速および第9速の形成時に係合されて、第2遊星歯車22の3つの回転要素、すなわち第2サンギヤ22s、第2リングギヤ22rおよび第2キャリヤ22cのすべての回転を停止させる(静止させる)ものである。従って、ブレーキB1は、図4に示す動力伝達装置10Bの自動変速機20Bに含まれるもののように、第2キャリヤ22c(第6係合要素)に代わる第2遊星歯車22の固定可能要素としての第2リングギヤ22r(第5回転要素)を静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第2リングギヤ22rをトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものであってもよい。
図5は、本発明の更に他の実施形態に係る多段変速機としての自動変速機20Cを含む動力伝達装置10Cの概略構成図である。同図に示す動力伝達装置10Cは、前輪駆動車両の前部に横置きに搭載される図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力(トルク)を図示しない左右の前輪(駆動輪)に伝達可能なものである。動力伝達装置10Cの自動変速機20Cは、上述の自動変速機20を前輪駆動車両用に改変したものに相当する。また、図6に、本発明の他の実施形態に係る多段変速機としての自動変速機20Dを含む動力伝達装置10Dを示す。同図に示す動力伝達装置10Dも、前輪駆動車両の前部に横置きに搭載される図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力(トルク)を図示しない左右の前輪(駆動輪)に伝達可能なものである。動力伝達装置10Dの自動変速機20Dは、上述の自動変速機20Bを前輪駆動車両用に改変したものに相当する。
これらの自動変速機20C,20Dでは、第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cが出力部材としてのカウンタドライブギヤ41に常時連結される。自動変速機20C,20Dから出力部材としてのカウンタドライブギヤ41に伝達された動力(トルク)は、カウンタドライブギヤ41に加えて、当該カウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ42、カウンタシャフト43を介してカウンタドリブンギヤ42に連結されたドライブピニオンギヤ(ファイナルドライブギヤ)44、ドライブピニオンギヤ44に噛合するデフリングギヤ(ファイナルドリブンギヤ)45を含むギヤ列40と、デフリングギヤ45に連結されたデファレンシャルギヤ50と、ドライブシャフト51とを介して左右の前輪に伝達される。このように、本発明による多段変速機は、前輪駆動車両に搭載される変速機として構成されてもよい。
図7は、本発明の更に他の実施形態に係る多段変速機としての自動変速機20Eを含む動力伝達装置10Eの概略構成図である。
図7に示す自動変速機20Eは、上述の自動変速機20においてダブルピニオン式の第2遊星歯車22をシングルピニオン式の第2遊星歯車22Eで置き換えたものに相当する。すなわち、第2遊星歯車22Eは、外歯歯車である第2サンギヤ22sと、第2サンギヤ22sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ22rと、それぞれ第2サンギヤ22sおよび第2リングギヤ22rに噛合する複数の第2ピニオンギヤ22pと、複数の第2ピニオンギヤ22pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤ22cとを有する。第2遊星歯車22Eのギヤ比λ2(第2サンギヤ22sの歯数/第2リングギヤ22rの歯数)は、例えば、λ2=0.520と定められている。
また、自動変速機20Eの第1、第3および第4遊星歯車21,23および24は、何れも自動変速機20等と同様のシングルピニオン式の遊星歯車である。第1遊星歯車21のギヤ比λ1(第1サンギヤ21sの歯数/第1リングギヤ21rの歯数)は、例えば、λ1=0.280である。また、第3遊星歯車23のギヤ比λ3(第3サンギヤ23sの歯数/第3リングギヤ23rの歯数)は、例えば、λ3=0.420である。更に、第4遊星歯車24のギヤ比λ4(第4サンギヤ24sの歯数/第4リングギヤ24rの歯数)は、例えば、λ4=0.510である。
図7に示すように、第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sは、静止部材としてのトランスミッションケース11に常時接続(固定)され、常時静止する。また、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rは、連結部材(第3連結要素)223を介して第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sに常時連結され、当該第3サンギヤ23sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。更に、第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cは、連結部材(第4連結要素)224を介して第4遊星歯車24の第4リングギヤ24rに常時連結され、当該第4リングギヤ24rと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。また、ブレーキB2は、常時連結された第2遊星歯車22のリングギヤ(第2リングギヤ)および第3遊星歯車23の第3サンギヤ23sをトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に両者を静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転自在に解放する。
図8に自動変速機20Eの各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を表した作動表を示し、図9に自動変速機20Eにおける入力軸20iの回転速度(入力回転速度)に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図を示す。自動変速機20Eは、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2のうちの何れか3つを図8に示すように選択的に係合させることにより、図9に示すように、第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを提供する。これにより、自動変速機20Eにおいても、当該自動変速機20Eが搭載される車両の燃費、ドライバビリティおよび変速性能をより向上させると共に、装置全体を軽量コンパクト化することが可能となる。更に、第1から第4遊星歯車21,22E,23および24のすべてをシングルピニオン式の遊星歯車とすることで、第1から第4遊星歯車21,22E,23および24における回転要素間の噛み合い損失を低減させて自動変速機20Eにおける動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより向上させると共に、部品点数をより削減して自動変速機20Eの重量増を抑制しつつ組立性を向上させることが可能となる。
なお、上述の自動変速機20〜20Eにおいて、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の少なくとも何れかは、ドグクラッチあるいはドグブレーキといった噛み合い係合要素とされてもよい。例えば、自動変速機20〜20Eでは、前進第1速段から前進第6速段の形成に際して連続して係合されるクラッチC1や、前進第5速段から前進第9速段の形成に際して連続して係合されるクラッチC4、前進第1速段および前進第2速段の形成に際して連続して係合されると共に、後進段の形成に際して係合されるブレーキB2として、ドグクラッチあるいはドグブレーキを採用してもよい。また、自動変速機20,20Bおよび20Eにおいて、第1〜第4遊星歯車21〜24等におけるギヤ比λ1〜λ4は、上記説明において例示されたものに限られるものではない。更に、自動変速機20〜20Eにおいて、第1、第3および第4遊星歯車21,23,24の少なくとも何れかをダブルピニオン式の遊星歯車としてもよい。また、自動変速機20B,20Cおよび20Dにおいても、ダブルピニオン式の第2遊星歯車22をシングルピニオン式の第2遊星歯車で置き換えて、自動変速機20Eと同様のギヤ比を採用してもよい。
以上説明したように、本発明による多段変速機は、入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機において、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する第1遊星歯車と、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する第2遊星歯車と、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第7回転要素、第8回転要素および第9回転要素を有する第3遊星歯車と、ギヤ比に応じて順番に並ぶ第10回転要素、第11回転要素および第12回転要素を有する第4遊星歯車と、それぞれ前記第1、第2、第3および第4遊星歯車の回転要素の何れかを他の回転要素または静止部材に接続すると共に両者の接続を解除する第1、第2、第3、第4、第5および第6係合要素とを備え、前記第1遊星歯車の前記第2回転要素は、前記出力部材に常時連結され、前記第1遊星歯車の前記第1回転要素と前記第4遊星歯車の前記第10回転要素とは常時連結され、前記第1遊星歯車の前記第3回転要素と前記第3遊星歯車の前記第9回転要素とは常時連結され、前記第2遊星歯車の前記第4回転要素は、前記静止部材に常時接続され、前記第2遊星歯車の前記第5回転要素と前記第4遊星歯車の前記第12回転要素とは常時連結され、前記第2遊星歯車の前記第6回転要素と前記第3遊星歯車の前記第7回転要素とは常時連結され、前記第1係合要素は、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第4遊星歯車の前記第10回転要素と、前記入力部材とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第2係合要素は、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第3回転要素および前記第3遊星歯車の前記第9回転要素と、前記第4遊星歯車の前記第11回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第3係合要素は、前記第3遊星歯車の前記第8回転要素と前記第4遊星歯車の前記第11回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第4係合要素は、前記第4遊星歯車の前記第11回転要素と前記入力部材とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、前記第5係合要素は、前記第2遊星歯車の前記第5回転要素または前記第6回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除し、前記第6係合要素は、前記第3遊星歯車の前記第8回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除することを特徴とする。
このように構成される多段変速機では、第1、第2、第3、第4、第5および第6係合要素のうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、第1速段から第9速段あるいは第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを形成することが可能となる。これにより、スプレッドをより大きくして多段変速機が搭載される車両の燃費を向上させると共に、更に低速段の変速比をより大きくすると共に高速段の変速比をより小さくしてドライバビリティすなわち車両の加速性能等をより向上させることができる。また、この多段変速機では、第1〜第4係合要素のトルク分担を低下させて、第1〜第4係合要素を軽量コンパクト化すると共に第1〜第4係合要素における引き摺り損失の悪化を抑制することが可能となる。更に、第1〜第6係合要素のトルク分担比をより小さくして第1〜第6係合要素の制御性を向上させることができる。従って、本発明による多段変速機では、当該多段変速機が搭載される車両の燃費、ドライバビリティおよび変速性能をより向上させると共に、装置全体を軽量コンパクト化することが可能となる。
また、本発明による多段変速機では、次のように第1から第6係合要素を係合させることにより、第1速段から第9速段までの前進段と後進段とを形成することができる。すなわち、前進第1速段は、第1係合要素、第5係合要素および第6係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第2速段は、第1係合要素、第2係合要素および第6係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第3速段は、第1係合要素、第2係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第4速段は、第1係合要素、第3係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第5速段は、第1係合要素、第3係合要素および第4係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第6速段は、第1係合要素、第2係合要素および第4係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第7速段は、第2係合要素、第3係合要素および第4係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第8速段は、第2係合要素、第4係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第9速段は、第3係合要素、第4係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。また、後進段は、第1係合要素、第4係合要素および第6係合要素を係合させることにより形成される。
これにより、例えば6つの係合要素のうちの2つを係合させると共に残余の4つを解放させることにより複数の変速段を形成する変速機に比べて、変速段の形成に伴って解放される係合要素の数を減らすことができる。この結果、変速段の形成に伴って解放された係合要素における引き摺り損失を低減させて、多段変速機における動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより一層向上させることが可能となる。
また、前記第1遊星歯車は、第1サンギヤと、第1リングギヤと、それぞれ前記第1サンギヤおよび前記第1リングギヤに噛合する複数の第1ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第2遊星歯車は、第2サンギヤと、第2リングギヤと、互いに噛合すると共に一方が前記第2サンギヤに他方が前記第2リングギヤに噛合する2つのピニオンギヤの組を自転かつ公転自在に複数保持する第2キャリヤとを有するダブルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第3遊星歯車は、第3サンギヤと、第3リングギヤと、それぞれ前記第3サンギヤおよび前記第3リングギヤに噛合する複数の第3ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第3キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第4遊星歯車は、第4サンギヤと、第4リングギヤと、それぞれ前記第4サンギヤおよび前記第4リングギヤに噛合する複数の第4ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第4キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第1回転要素は、前記第1サンギヤであってもよく、前記第2回転要素は、前記第1キャリヤであってもよく、前記第3回転要素は、前記第1リングギヤであってもよく、前記第4回転要素は、前記第2サンギヤであってもよく、前記第5回転要素は、前記第2リングギヤであってもよく、前記第6回転要素は、前記第2キャリヤであってもよく、前記第7回転要素は、前記第3サンギヤであってもよく、前記第8回転要素は、前記第3キャリヤであってもよく、前記第9回転要素は、前記第3リングギヤであってもよく、前記第10回転要素は、前記第4サンギヤであってもよく、前記第11回転要素は、前記第4キャリヤであってもよく、前記第12回転要素は、前記第4リングギヤであってもよい。
このように、第1、第3および第4遊星歯車をシングルピニオン式の遊星歯車とすることで、第1、第3および第4遊星歯車における回転要素間の噛み合い損失を低減させて多段変速機における動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより向上させると共に、部品点数を削減して多段変速機の重量増を抑制しつつ組立性を向上させることが可能となる。
更に、本発明による多段変速機では、次のように第1から第6係合要素を係合させることにより、第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを形成することができる。すなわち、前進第1速段は、第1係合要素、第5係合要素および第6係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第2速段は、第1係合要素、第2係合要素および第6係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第3速段は、第1係合要素、第2係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第4速段は、第1係合要素、第3係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第5速段は、第1係合要素、第2係合要素および第3係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第6速段は、第1係合要素、第3係合要素および第4係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第7速段は、第1係合要素、第2係合要素および第4係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第8速段は、第2係合要素、第3係合要素および第4係合要素を係合させることにより形成される。更に、前進第9速段は、第2係合要素、第4係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。また、前進第10速段は、第3係合要素、第4係合要素および第5係合要素を係合させることにより形成される。更に、後進段は、第1係合要素、第4係合要素および第6係合要素を係合させることにより形成される。
これにより、例えば6つの係合要素のうちの2つを係合させると共に残余の4つを解放させることにより複数の変速段を形成する変速機に比べて、変速段の形成に伴って解放される係合要素の数を減らすことができる。この結果、変速段の形成に伴って解放された係合要素における引き摺り損失を低減させて、多段変速機における動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより一層向上させることが可能となる。
また、前記第1遊星歯車は、第1サンギヤと、第1リングギヤと、それぞれ前記第1サンギヤおよび前記第1リングギヤに噛合する複数の第1ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第2遊星歯車は、第2サンギヤと、第2リングギヤと、それぞれ前記第2サンギヤおよび前記第2リングギヤに噛合する複数の第2ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第3遊星歯車は、第3サンギヤと、第3リングギヤと、それぞれ前記第3サンギヤおよび前記第3リングギヤに噛合する複数の第3ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第3キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第4遊星歯車は、第4サンギヤと、第4リングギヤと、それぞれ前記第4サンギヤおよび前記第4リングギヤに噛合する複数の第4ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第4キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であってもよく、前記第1回転要素は、前記第1サンギヤであってもよく、前記第2回転要素は、前記第1キャリヤであってもよく、前記第3回転要素は、前記第1リングギヤであってもよく、前記第4回転要素は、前記第2サンギヤであってもよく、前記第5回転要素は、前記第2キャリヤであってもよく、前記第6回転要素は、前記第2リングギヤであってもよく、前記第7回転要素は、前記第3サンギヤであってもよく、前記第8回転要素は、前記第3キャリヤであってもよく、前記第9回転要素は、前記第3リングギヤであってもよく、前記第10回転要素は、前記第4サンギヤであってもよく、前記第11回転要素は、前記第4キャリヤであってもよく、前記第12回転要素は、前記第4リングギヤであってもよい。
このように、第1から第4遊星歯車のすべてをシングルピニオン式の遊星歯車とすることで、第1から第4遊星歯車における回転要素間の噛み合い損失を低減させて多段変速機における動力の伝達効率すなわち車両の燃費をより向上させると共に、部品点数をより削減して多段変速機の重量増を抑制しつつ組立性を向上させることが可能となる。
更に、前記出力部材は、デファレンシャルギヤを介して車両の後輪に連結される出力軸であってもよい。すなわち、本発明による多段変速機は、後輪駆動車両に搭載される変速機として構成されてもよい。
また、前記出力部材は、車両の前輪に連結されたデファレンシャルギヤに動力を伝達するギヤ列に含まれるカウンタドライブギヤであってもよい。すなわち、本発明による多段変速機は、前輪駆動車両に搭載される変速機として構成されてもよい。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本発明は、多段変速機の製造産業等において利用可能である。
Claims (7)
- 入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機において、
ギヤ比に応じて順番に並ぶ第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する第1遊星歯車と、
ギヤ比に応じて順番に並ぶ第4回転要素、第5回転要素および第6回転要素を有する第2遊星歯車と、
ギヤ比に応じて順番に並ぶ第7回転要素、第8回転要素および第9回転要素を有する第3遊星歯車と、
ギヤ比に応じて順番に並ぶ第10回転要素、第11回転要素および第12回転要素を有する第4遊星歯車と、
それぞれ前記第1、第2、第3および第4遊星歯車の回転要素の何れかを他の回転要素または静止部材に接続すると共に両者の接続を解除する第1、第2、第3、第4、第5および第6係合要素とを備え、
前記第1遊星歯車の前記第2回転要素は、前記出力部材に常時連結され、
前記第1遊星歯車の前記第1回転要素と前記第4遊星歯車の前記第10回転要素とは常時連結され、
前記第1遊星歯車の前記第3回転要素と前記第3遊星歯車の前記第9回転要素とは常時連結され、
前記第2遊星歯車の前記第4回転要素は、前記静止部材に常時接続され、
前記第2遊星歯車の前記第5回転要素と前記第4遊星歯車の前記第12回転要素とは常時連結され、
前記第2遊星歯車の前記第6回転要素と前記第3遊星歯車の前記第7回転要素とは常時連結され、
前記第1係合要素は、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第1回転要素および前記第4遊星歯車の前記第10回転要素と、前記入力部材とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
前記第2係合要素は、常時連結された前記第1遊星歯車の前記第3回転要素および前記第3遊星歯車の前記第9回転要素と、前記第4遊星歯車の前記第11回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
前記第3係合要素は、前記第3遊星歯車の前記第8回転要素と前記第4遊星歯車の前記第11回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
前記第4係合要素は、前記第4遊星歯車の前記第11回転要素と前記入力部材とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
前記第5係合要素は、前記第2遊星歯車の前記第5回転要素または前記第6回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除し、
前記第6係合要素は、前記第3遊星歯車の前記第8回転要素を前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除することを特徴とする多段変速機。 - 請求項1に記載の多段変速機において、
前記第1係合要素、前記第5係合要素および前記第6係合要素の係合により前進第1速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第6係合要素の係合により前進第2速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第3速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第3係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第4速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第3係合要素および前記第4係合要素の係合により前進第5速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第4係合要素の係合により前進第6速段が形成され、
前記第2係合要素、前記第3係合要素および前記第4係合要素の係合により前進第7速段が形成され、
前記第2係合要素、前記第4係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第8速段が形成され、
前記第3係合要素、前記第4係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第9速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第4係合要素および前記第6係合要素の係合により後進段が形成されることを特徴とする多段変速機。 - 請求項1または2に記載の多段変速機において、
前記第1遊星歯車は、第1サンギヤと、第1リングギヤと、それぞれ前記第1サンギヤおよび前記第1リングギヤに噛合する複数の第1ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第2遊星歯車は、第2サンギヤと、第2リングギヤと、互いに噛合すると共に一方が前記第2サンギヤに他方が前記第2リングギヤに噛合する2つのピニオンギヤの組を自転かつ公転自在に複数保持する第2キャリヤとを有するダブルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第3遊星歯車は、第3サンギヤと、第3リングギヤと、それぞれ前記第3サンギヤおよび前記第3リングギヤに噛合する複数の第3ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第3キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第4遊星歯車は、第4サンギヤと、第4リングギヤと、それぞれ前記第4サンギヤおよび前記第4リングギヤに噛合する複数の第4ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第4キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第1回転要素は、前記第1サンギヤであり、前記第2回転要素は、前記第1キャリヤであり、前記第3回転要素は、前記第1リングギヤであり、
前記第4回転要素は、前記第2サンギヤであり、前記第5回転要素は、前記第2リングギヤであり、前記第6回転要素は、前記第2キャリヤであり、
前記第7回転要素は、前記第3サンギヤであり、前記第8回転要素は、前記第3キャリヤであり、前記第9回転要素は、前記第3リングギヤであり、
前記第10回転要素は、前記第4サンギヤであり、前記第11回転要素は、前記第4キャリヤであり、前記第12回転要素は、前記第4リングギヤであることを特徴とする多段変速機。 - 請求項1に記載の多段変速機において、
前記第1係合要素、前記第5係合要素および前記第6係合要素の係合により前進第1速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第6係合要素の係合により前進第2速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第3速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第3係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第4速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第3係合要素の係合により前進第5速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第3係合要素および前記第4係合要素の係合により前進第6速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第2係合要素および前記第4係合要素の係合により前進第7速段が形成され、
前記第2係合要素、前記第3係合要素および前記第4係合要素の係合により前進第8速段が形成され、
前記第2係合要素、前記第4係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第9速段が形成され、
前記第3係合要素、前記第4係合要素および前記第5係合要素の係合により前進第10速段が形成され、
前記第1係合要素、前記第4係合要素および前記第6係合要素の係合により後進段が形成されることを特徴とする多段変速機。 - 請求項1または4に記載の多段変速機において、
前記第1遊星歯車は、第1サンギヤと、第1リングギヤと、それぞれ前記第1サンギヤおよび前記第1リングギヤに噛合する複数の第1ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第2遊星歯車は、第2サンギヤと、第2リングギヤと、それぞれ前記第2サンギヤおよび前記第2リングギヤに噛合する複数の第2ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第3遊星歯車は、第3サンギヤと、第3リングギヤと、それぞれ前記第3サンギヤおよび前記第3リングギヤに噛合する複数の第3ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第3キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第4遊星歯車は、第4サンギヤと、第4リングギヤと、それぞれ前記第4サンギヤおよび前記第4リングギヤに噛合する複数の第4ピニオンギヤを自転自在かつ公転自在に保持する第4キャリヤとを有するシングルピニオン式の遊星歯車であり、
前記第1回転要素は、前記第1サンギヤであり、前記第2回転要素は、前記第1キャリヤであり、前記第3回転要素は、前記第1リングギヤであり、
前記第4回転要素は、前記第2サンギヤであり、前記第5回転要素は、前記第2キャリヤであり、前記第6回転要素は、前記第2リングギヤであり、
前記第7回転要素は、前記第3サンギヤであり、前記第8回転要素は、前記第3キャリヤであり、前記第9回転要素は、前記第3リングギヤであり、
前記第10回転要素は、前記第4サンギヤであり、前記第11回転要素は、前記第4キャリヤであり、前記第12回転要素は、前記第4リングギヤであることを特徴とする多段変速機。 - 請求項1から5の何れか一項に記載の多段変速機において、
前記出力部材は、デファレンシャルギヤを介して車両の後輪に連結される出力軸であることを特徴とする多段変速機。 - 請求項1から5の何れか一項に記載の多段変速機において、
前記出力部材は、車両の前輪に連結されたデファレンシャルギヤに動力を伝達するギヤ列に含まれるカウンタドライブギヤであることを特徴とする多段変速機。
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