以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ノード装置1000の構成を示すブロック図である。
光ノード装置1000は、光搬送波周波数単位で複数の通信路1400を切替える大粒度切替部1100、通信路1400を介してクライアント信号を送受信する複数の光トランスポンダ装置1200、および制御部1300を有する。
光トランスポンダ装置1200は、クライアント信号の信号帯域を削減する帯域可変部1220を備える。
制御部1300は、大粒度切替部1100と光トランスポンダ装置1200の動作を制御する。すなわち、制御部1300は、複数の通信路1400を切替える契機を検出した際に、大粒度切替部1100と光トランスポンダ装置1200に対して通知を行う。
大粒度切替部1100は、この通知を受け付けたときに、通信路1400を切替える。また、光トランスポンダ装置1200は、この通知を受け付けたときに、帯域可変部1220においてクライアント信号の帯域を削減した信号光を、大粒度切替部1100が切替えた後の通信路1400に送出する。
このような構成とすることにより、本実施形態の光ノード装置1000によれば、通信路1400の切替えを大粒度切替部1100によって行うことができるので、光・電気・光(OEO)変換を介する必要がない。そのため、通信路1400の切替えに伴う消費電力の増大を抑制することができる。
さらに、本実施形態の光ノード装置1000では、光トランスポンダ装置1200が、クライアント信号の信号帯域を削減する帯域可変部1220を備えた構成としている。すなわち、光ネットワークの送受信端において信号光の帯域幅を削減する構成としているので、経由する全ての通信路において信号光の帯域幅を削減することができる。その結果、光ネットワーク全体としての光周波数利用効率を向上させることが可能となる。
なお、制御部1300は、通信路1400における障害を検出した際に、上述の通知を行うこととすることができる。そして、大粒度切替部1100が切替えた後の通信路1400において利用可能な最小光周波数帯域幅の個数である障害時帯域スロット数を、制御部1300が決定する。このとき、光トランスポンダ装置1200は、帯域可変部1220が障害時帯域スロット数に基づいてクライアント信号の帯域を削減した信号光を送出する構成とすることができる。
次に、本実施形態による光通信システムについて説明する。本実施形態による光通信システムは、第1の光ノード装置、第2の光ノード装置、および第1の光ノード装置と第2の光ノード装置を接続する第1の通信路および第2の通信路を有する。ここで、第1の光ノード装置および第2の光ノード装置は、上述した光ノード装置1000の構成と同様である。
本実施形態による光通信システムは、第1の通信路および第2の通信路ごとに利用可能な最小光周波数帯域幅の個数を管理するネットワーク管理部をさらに備えた構成とすることができる。この場合、第1の光ノード装置および第2の光ノード装置がそれぞれ備える制御部は、第1の通信路における障害を検出した際に、大粒度切替部、光トランスポンダ装置、およびネットワーク管理部に対して上述の通知をそれぞれ行う。
そして、ネットワーク管理部は、上述の通知を受け付けたときに、第2の通信路において利用可能な最小光周波数帯域幅の個数である障害時帯域スロット数を、第1の光ノード装置および第2の光ノード装置に通知する。このとき、帯域可変部が障害時帯域スロット数に基づいてクライアント信号の帯域を削減した信号光を、光トランスポンダ装置が第2の通信路に送出する構成とすることができる。
次に、本実施形態による光通信路切替方法について説明する。本実施形態による光通信路切替方法は、まず、複数の通信路を切替える契機を検出した際に、複数の通信路を光搬送波周波数単位で切替える。そして、クライアント信号の帯域を削減した信号光を、切替えた後の通信路に送出する。
また、通信路における障害を検出した際に、複数の通信路を光搬送波周波数単位で切替えることとすることができる。そして、切替えた後の通信路において利用可能な最小光周波数帯域幅の個数である障害時帯域スロット数を決定し、この障害時帯域スロット数に基づいてクライアント信号の帯域を削減した信号光を送出する構成とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の光ノード装置、光通信システム、および光通信路切替方法によれば、基幹系光ネットワークにおいて、消費電力の増大および光ネットワーク全体としての光周波数利用効率の低下を招くことなく、光通信路を切替えることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2A、2Bに、本発明の第2の実施形態に係る光通信システムの構成を示す。
図2A、2Bに示すように、本実施形態の光通信システムは、ネットワーク資源管理部101、可変大粒度ノード装置210−1〜2、可変大粒度ノード装置210−1〜2と接続する運用パス117−1〜2、および予備パス118を有する。ネットワーク資源管理部101がネットワーク管理部に、可変大粒度ノード装置210−1〜2が第1の光ノード装置および第2の光ノード装置に、運用パス117−1〜2が第1の通信路に、予備パス118が第2の通信路に、それぞれ対応する。
可変大粒度ノード装置210−1は、可変大粒度切替装置105−1、帯域可変光トランスポンダ(TPND)107−1〜2、および制御機能部113−1を備える。同様に、可変大粒度ノード装置210−2は、可変大粒度切替装置105−2、帯域可変光トランスポンダ(TPND)107−3〜4、および制御機能部113−2を備える。ここで、可変大粒度切替装置105−1〜2が大粒度切替部に、帯域可変光トランスポンダ(TPND)107−1〜4が第1および第2の光トランスポンダ装置に、制御機能部113−1〜2が第1および第2の制御部に、それぞれ対応する。
ネットワーク資源管理部101と制御機能部113−1〜2との間では、通知信号109−1〜2が送受信される。通知信号109−1〜2には、ネットワーク資源管理情報、運用パス117−1〜2および予備パス118における障害発生時の障害通知、および可変大粒度ノード装置210−1〜2の間の通信確立通知、などが含まれる。
制御機能部113−1は、帯域可変光TPND107−1〜2および可変大粒度切替装置105−1に通知信号109−1を送出する。同様に、制御機能部113−2は、帯域可変光TPND107−3〜4および可変大粒度切替装置105−2に通知信号109−2を送出する。
帯域可変光TPND107は、図2Cに示すように、帯域可変部106、光送受信装置119、クライアントインターフェース120を備える。光送受信装置119および帯域可変部106は、制御機能部113から制御信号を受信する。帯域可変部106はクライアントインターフェース120に対してトラヒック抑制信号送出の命令123を送出する。
ここで、可変大粒度切替装置105は光搬送波周波数単位で通信路を切替える。すなわち、可変大粒度切替装置105は、基幹伝送通信路の最小光周波数帯域幅以上の粒度で方路の切り替えを実施する装置である。例えば、基幹伝送通信路が波長パスの場合には、最小光周波数帯域幅の粒度は光搬送波周波数グリッドの粒度である。この場合、大粒度切替装置としては帯域可変光クロスコネクト装置が該当する。具体的には例えば、可変大粒度切替装置105は図3に示すように、異なる光帯域スロット数を有する通信路117−1〜4上の通信126−1〜3を異なる方路に切り替える。
次に、本実施形態による光通信システムの動作について詳細に説明する。本実施形態の光通信システムによれば、複数の運用パスにおいて障害が発生した場合であっても、通信途絶を防止しつつ予備パスへの切り替えを実現する障害復旧が可能となる。
まず、図2Aに示した通常動作時における動作について説明する。
ネットワーク資源管理部101は、拠点間通信トラヒック量および光通信システム上で利用可能なネットワーク資源に応じて、二拠点間の通信に利用可能な予め定められた最小光周波数帯域幅(以下、「帯域スロット」と呼ぶ)単位での割当数を決定する。そして、ネットワーク資源管理部101は決定した割当数を制御機能部113−1〜2にそれぞれ通知する。ネットワーク資源管理部101は、例えば図4に示すように、通常動作時および障害発生時における契約帯域スロット数(最低保証帯域スロット数)を拠点間の通信毎に管理する。
可変大粒度ノード装置210−1〜2においては、帯域可変光TPND107−1〜4が備える帯域可変部106が、通知された帯域スロット数に応じてクライアント信号を多重・分離する。そして、帯域可変光TPND107−1〜4を用いて二拠点間の通信を確立する。
通信路に収容可能な最大帯域は、通常、クライアント信号の帯域の合計値以下であるため、帯域可変部106は単なる多重回路または分離回路として機能する。例えば、光トランスポンダの最大帯域が100Gb/sである場合、クライアント信号として10Gb/s信号を10本、または25Gb/s信号を4本、収容可能である。
なお、本実施形態では、1対1で対向する帯域可変光TPND107を用いて一つの運用パスによる通信を実施する場合について説明する。しかしこれに限らず、対向する複数の帯域固定光トランスポンダを集約(アグリゲート)して一つの運用パスによる通信を確立させることとしてもよい。すなわち、帯域スロット数が4個である通信を、帯域スロット数がそれぞれ2個である通信用の帯域固定光トランスポンダを2組用いて行うこととしてもよい。
図2Bに示すように、運用パス117−1〜2において障害が発生した場合、制御機能部113−1〜2からネットワーク資源管理部101に通知信号109−1〜2が送出される。ネットワーク資源管理部101は、予備パス上に収容する複数の運用パスの障害時帯域スロット数の総和が、予備パス用に割り当てられた帯域スロット数以下となるように、トラヒック量や優先度、最低保証帯域スロット数に応じて障害時帯域スロット数を決定する。そして、決定した障害時帯域スロット数を制御機能部113−1〜2に通知する。
帯域可変光TPND107−1〜4が備える帯域可変部106が、障害時帯域スロット数に応じてクライアント信号の帯域を絞り込むことにより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。具体的には、送信側の帯域可変光TPNDの備える帯域可変部106が、クライアントインターフェース120に対してトラヒック抑制信号送出の命令123を送出することにより、クライアント信号のトラヒック抑制を実施する。
図5は、障害発生時における経路切り替え動作を説明するためのシーケンス図である。可変大粒度ノード装置210−1〜2は、障害発生時に障害時帯域スロット単位で経路切り替えを実施する。
可変大粒度ノード装置210−1〜2は、運用パス117−1〜2において障害が発生したことを検知すると、通知信号109をネットワーク資源管理部101に送出する(ステップS115−1)。ネットワーク資源管理部101は、障害発生の通知信号109を受信すると、ネットワーク資源管理テーブル(例えば図4)を参照し、後述する方法により障害時帯域スロット数を決定する(ステップS115−2)。次に、可変大粒度切替装置105−1〜2における切替帯域および接続する迂回通信路を決定する(ステップS115−3〜4)。そして、ネットワーク資源管理部101は、制御機能部113−1〜2に対して障害時設定情報を通知する。
障害時設定情報を受け付けた可変大粒度ノード装置210−1〜2の制御機能部113−1〜2は、可変大粒度ノード装置210−1〜2の各部へ障害時設定情報を通知する(ステップS115−5)。この障害時設定情報に基づいて、帯域可変光TPND107−1〜4が備える帯域可変部106の設定を行う(ステップS115−6)。そして、可変大粒度切替装置105−1〜2の切替帯域を帯域スロットの粒度で設定し(ステップS115−7)、可変大粒度切替装置105−1〜2が接続する通信路を迂回通信路へ切替える(ステップS115−8)。
次に、図6を用いて障害時帯域スロット数の決定方法の一例を説明する。図6は、障害時帯域スロット数の決定方法を説明するためのフローチャートである。
ネットワーク資源管理部101は、図4に示したネットワーク資源管理テーブルの最低保証帯域スロット数を参照する(ステップS111−1)。そして、最低保証帯域スロット数が1以上である通信に対して、最低保証スロット数と同数の帯域スロットを割り当てる(ステップS111−2)。次に、最低保証帯域スロット数がゼロの通信に対して1個分の帯域スロットを割り当てる(ステップS111−3A)。残帯域スロット数がゼロでない場合には、さらに通常時帯域スロット数に基づいて帯域スロット数を決定する(ステップS111−4A)。
予備パスの資源リソース不足により割り当てが失敗した場合(割当が完了:NO)には、First−Fit方式により光周波数帯域を割り当てることができる(ステップS111−3B〜4B)。これに限らず、残帯域スロット数をMost−Used方式、均等割当方式、および予備パスの経路長の長い順で割り当てる方式等に基づいて割り当てることも可能である。
上述した障害時帯域スロット数の設定ルーチン(ステップS111−7)により障害時帯域スロット数の設定が完了する(ステップS111−5)。ネットワーク資源管理部101は可変大粒度ノード装置210−1〜2に障害時帯域スロット数の割当を通知する(ステップS111−6)。
図7に、本実施形態における障害復旧方式によって、障害時帯域スロット数を割り当てた結果を示す。予備パス118の帯域スロット数は4個であるため、最初に運用パス117−1上の通信に対して最低保証スロット数である3個分が割り当てられる。次に、運用パス117−2上の通信に対して予備パス118の残帯域スロットが1個だけ割り当てられる。
帯域スロット数を割り当てる代わりに、割り当てる光周波数帯域を、光周波数帯域幅の絶対値(例えば、35GHzなど)で指定することとしてもよい。これにより、運用パスを収容するための光周波数帯域幅を連続的に可変させることができる。
一般に通信には、サービス内容によって緊急性は高いが少ない帯域で十分な通信や、逆に帯域が確保されることを重視する通信もある。そのため例えば図8に示すように、多重障害に対して、障害の数に応じて運用パスのトラヒックに対する最低保証帯域スロット数を異ならせる契約を行うことも考えられる。この場合、ネットワーク資源管理部101は障害数に応じた最低保証帯域スロット数を制御機能部113−1〜2に通知する。そして、帯域可変光TPND107−1〜4によって、最低保証帯域スロット数に応じた通信帯域に絞り込まれた信号光による通信が行われる。
以上説明したように、本実施形態の光通信システムによれば、運用パスにおいて障害が発生した場合、帯域可変部が障害時帯域スロット数に応じてクライアント信号の帯域を絞り込む。これにより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置が、帯域スロット数に応じて経路の切り替えを行うので、大容量通信に対しても消費電力や装置規模の増大を伴わず、通信途絶を防止することができる。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図9A、9Bに、本発明の第3の実施形態に係る光通信システムの構成を示す。図9Aは本実施形態に係る光通信システムの通常状態における構成を示すブロック図であり、図9Bは障害発生時における構成を示すブロック図である。
本実施形態による光通信システムは、可変大粒度ノード装置214−1〜2を有し、可変大粒度ノード装置214−1〜2が備える制御機能部113−1〜2が通知信号109を直接送受信する構成とした点が、第2の実施形態による光通信システムと異なる。通知信号109には、可変大粒度ノード装置214−1〜2のノード資源管理情報、運用パス117−1〜2および予備パス118における障害発生時の障害通知、および可変大粒度ノード装置214−1〜2間の通信確立の通知などが含まれる。
次に、本実施形態による光通信システムの動作について詳細に説明する。本実施形態の光通信システムによれば、複数の運用パスにおいて障害が発生した場合であっても、通信途絶を防止しつつ予備パスへの切り替えを実現する障害復旧が可能となる。
まず、図9Aに示した通常動作時における動作について説明する。
制御機能部113−1〜2は、可変大粒度ノード装置214−1〜2間の通信トラヒック量および利用可能なネットワーク資源に応じて、二拠点間の通信に利用可能な予め定められた最小光周波数帯域幅単位での割当数を互いに通知する。この最小光周波数帯域幅を、以下では「帯域スロット」と呼ぶ。そして、制御機能部113−1〜2が、可変大粒度ノード装置214−1〜2間の通常動作時および障害発生時における契約帯域スロット数を管理する。帯域可変光TPND107−1〜4が備える帯域可変部106が、通知された帯域スロット数に応じて、クライアント信号を多重・分離する。そして、帯域可変光TPND107−1〜4を用いて二拠点間の通信を確立する。
図9Bに示すように、運用パス117−1〜2において障害が発生した場合、制御機能部113−1〜2は通知信号109を送出する。制御機能部113−1〜2は、予備パス上に収容する複数の運用パスの障害時帯域スロット数の総和が、予備パス用に割り当てられた帯域スロット数以下となるように、トラヒック量や優先度、最低保証帯域スロット数に応じて障害時帯域スロット数を決定する。制御機能部113−1〜2は、第2の実施形態におけるネットワーク資源管理部101が管理するネットワーク資源管理テーブルのうち、可変大粒度ノード装置214−1〜2を通過する通信に関して部分テーブルを構成する。そして、各制御機能部113−1〜2は、この部分テーブルを参照して障害時帯域スロット数を決定する。
帯域可変光TPND107−1〜4が備える帯域可変部106が、障害時帯域スロット数に応じてクライアント信号の帯域を絞り込むことにより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。具体的には、送信側の帯域可変光TPNDの備える帯域可変部106が、クライアントインターフェース120に対してトラヒック抑制信号送出の命令123を送出することにより、クライアント信号のトラヒック抑制を実施する。
図10は、障害発生時における経路切り替え動作を説明するためのシーケンス図である。可変大粒度ノード装置214−1は障害の発生を検知すると、障害通知109を通信相手側の可変大粒度ノード装置214−2に送出する(ステップS116−1)。障害通知109を受信した後に、可変大粒度ノード装置214−1〜2は、それぞれが保持している資源管理テーブルを参照して、帯域使用状況、最低保証帯域スロット数を互いに通知する(ステップS116−2A〜2B)。
可変大粒度ノード装置214−1〜2は、通知された結果に基づいて、障害時帯域スロットの割り当てを決定する(ステップS116−3A〜3B)。次に、可変大粒度切替装置105−1〜2における切替帯域(ステップS116−4A〜4B)、および可変大粒度切替装置105−1〜2が接続する迂回路を決定する(ステップS116−5A〜5B)。
以上の処理ステップによって、障害時帯域スロットの割り当てが成功した場合には、図5に示したステップS115−5以降の手順により可変大粒度ノード装置214−1〜2の各部の設定を実施する(ステップS115−9A〜9B)。それに対して、割り当てに失敗した場合には、図10に示したステップS116−6(S115―2A〜5A、2B〜5B)の手順を再度実行する。これ以降の動作は第2の実施形態による光通信システムにおける場合と同様である。
以上説明したように、本実施形態の光通信システムによれば、運用パスにおいて障害が発生した場合、帯域可変部が障害時帯域スロット数に応じて、クライアント信号の帯域を絞り込む。これにより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置が、帯域スロット数に応じて経路の切り替えを行うので、大容量通信に対しても消費電力や装置規模の増大を伴わず、通信途絶を防止することができる。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図11A、11Bに、本発明の第4の実施形態に係る光通信システムの構成を示す。図11Aは本実施形態に係る光通信システムの通常状態における構成を示すブロック図であり、図11Bは障害発生時における構成を示すブロック図である。
図11A、11Bに示すように、可変大粒度ノード装置212−1〜2は、運用パス117−1〜2および予備パス118と接続している。可変大粒度ノード装置212−1は可変大粒度切替装置105−1および帯域可変光TPND128−1〜3を有する。同様に、可変大粒度ノード装置212−2は可変大粒度切替装置105−2および帯域可変光TPND128−4〜6を有する。
図11Cに、可変大粒度ノード装置212−1〜2が備える帯域可変光TPND128の構成を示す。図11Cに示すように、本実施形態の帯域可変光TPND128は帯域スロット割当設定部127をさらに備えた構成とした点が、第2の実施形態による帯域可変光TPND107と異なる。ここで、帯域スロット割当設定部127は、光送受信装置119に対して信号光の帯域スロット割当を通知する機能を有する。
次に、本実施形態による光通信システムの動作について詳細に説明する。本実施形態の光通信システムによれば、複数の運用パスにおいて障害が発生した場合であっても、通信途絶を防止しつつ予備パスへの切り替えを実現する障害復旧が可能となる。
まず、図11Aに示した通常動作時における動作について説明する。
ネットワーク資源管理部101は、例えば図12に示すようなネットワーク資源管理テーブルを備え、通常動作時および障害発生時における契約帯域スロット数(最低保証帯域スロット数)を拠点間の通信毎に管理する。通常動作時には、二拠点間の通信に必要な帯域スロット数を制御機能部113−1〜2にそれぞれ通知する。帯域スロット割当設定部127は、通知された帯域スロット数に応じて、光送受信装置119の信号光の帯域スロット割当を設定する。そして、帯域可変光TPND128−1〜6を用いて二拠点間の通信を確立する。なお、図11Aに示すように、複数の帯域可変光TPND128−2〜3を用いて、一つの運用パスの通信を確立することとしてもよい。
図11Bに示すように、運用パス117−1〜2において障害が発生した場合、運用パス117−1〜2上の通常時帯域スロットを、運用パス毎に例えば短波長方向に圧縮する。ネットワーク資源管理部101は、障害時帯域スロットの割当を決定し(図12参照)、決定した障害時帯域スロットの割当を制御機能部113−1〜2に通知する。帯域スロット割当設定部127は帯域スロット割当の通知結果に応じて、光送受信装置119における信号光の帯域スロットの割当を実施する。なお、上述の説明では、運用パス上の通信において障害時帯域スロットを短波長方向に圧縮することとしたが、これに限定されることはない。
図13を用いて、最低保証帯域スロット数に応じて障害時帯域スロットを割り当てる手順の一例を説明する。図13は、障害時帯域スロットの割当方法を説明するためのフローチャートである。
ネットワーク資源管理部101は、図12に示したネットワーク資源管理テーブルの最低保証帯域スロット数を参照して、最低保証帯域スロット数が1以上の通信に対して最低保証帯域スロット数と同数の帯域スロット数を割り当てる(ステップS114−1)。
次に、割り当てた帯域スロット数に応じて、予備パス用帯域に連続的に帯域スロットを割り当てる(ステップS114−2A)。このとき、フラグメンテーションの発生などによって、連続した帯域スロットの割り当てに失敗した場合(割当が完了:NO)、断片的な空き帯域スロットに対して非連続的に最低保証帯域スロット数と同数の帯域スロットを割り当てる(ステップS114−2B)。
次に、ネットワーク資源管理部101は可変大粒度ノード装置212−1〜2に帯域スロットの割当を通知する。このとき、帯域可変光TPND128が備える帯域スロット割当設定部127は、予備パス用帯域に信号光の少なくとも一部を非連続的に割り当てる。ここで予備パス用帯域は、可変大粒度切替装置105−1〜2が切替えた後の通信路(予備パス)において利用可能な複数の帯域スロット(最小光周波数帯域幅)からなる。
また、方路制約のない可変大粒度切替装置を用いることにより、可変大粒度切替装置が複数の基幹伝送通信路に接続されている場合に、非連続的な空き光周波数帯域を、それぞれ異なる経路の基幹伝送通信路を介して、二拠点間の通信を確立することとしてもよい。
次に、本実施形態による光通信路切替方法について説明する。本実施形態による光通信路切替方法では、まず、複数の通信路を切替える契機、例えば通信路における障害を検出した際に、複数の通信路を光搬送波周波数単位で切替える。そして、このとき切替えた後の通信路において利用可能な複数の最小光周波数帯域に、信号光の少なくとも一部を非連続で割り当てる。
図14に、本実施形態における障害復旧方式によって、障害時帯域スロット数を割り当てた結果を示す。最初に、最低保証帯域スロット数を参照して割り当てる。予備パス118の帯域スロット数は5個である。帯域可変光TPND128−1と128−4との間の通信124−1に対して障害時帯域スロット数を3個、帯域可変光TPND128−2と128−5との間の通信124−2に対して障害時帯域スロット数を1個だけ割り当てる。次に、帯域可変光TPND128−3と128−6との間の通信124−3に対して予備パス118の残帯域スロットが1個だけ割り当てられる。
このとき、図14に示すように、通信124−2は予備パス118上で4番の帯域スロットに割り当てられる。そのため、通信124−1を短波長方向に圧縮して2番、3番、4番の帯域スロットに連続して割り当てることはできない。そこで、2番、3番の帯域スロットだけを用いて通信124−1を行うこととすると、5番の帯域スロットは未使用状態となる(図14の第3欄(連続割当))ので、光周波数の利用効率が低下してしまう。
しかし本実施形態では、帯域スロットを非連続的に割り当てることとしている。そのため、2番と3番の帯域スロットに割り当てた通信124−1Aと5番の帯域スロットに割り当てた通信124−1Bによって、通信124−1を行うことができる。すなわち、本実施形態によれば、非連続的に帯域スロットを割り当てることにより、予備パス上に運用パスのトラヒックを連続的に収容するよりも、光周波数の利用効率を向上させることができるという効果が得られる。
また、多重障害の発生時に、障害の数に応じて運用パスの通信に対する最低保証帯域スロット数を異ならせた契約の場合でも、本実施形態による光通信システムは有効である。この場合、ネットワーク資源管理部101は、障害数に応じた最低保証帯域スロット数を制御機能部113−1〜2に通知する。そして、帯域可変光TPND128−1〜6によって、最低保証帯域スロット数に応じた通信帯域に絞り込まれた信号光による通信が行われる。本実施形態による光通信システムは、多重障害の発生時などに、予備パスが他の運用パスと共用されている場合に特に有効である。
以上説明したように、本実施形態の光通信システムによれば、運用パスにおいて障害が発生した場合、非連続的な未使用(空き)光周波数帯域に対してもトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置が経路切り替えを行うので、大容量通信に対しても消費電力や装置規模の増大を伴わず、通信途絶を防止することができる。
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図15A、15Bに、本発明の第5の実施形態に係る光通信システムの構成を示す。図15Aは本実施形態に係る光通信システムの通常状態における構成を示すブロック図であり、図15Bは障害発生時における構成を示すブロック図である。
図15A、15Bに示すように、本実施形態による光通信システムは、光周波数帯域断片化監視部108を備えた構成とした点が、第2の実施形態による光通信システムと異なる。ここで、光周波数帯域断片化監視部108はネットワーク資源管理部101と接続している。
次に、本実施形態による光通信システムの動作について詳細に説明する。本実施形態の光通信システムによれば、複数の運用パスにおいて障害が発生した場合であっても、通信途絶を防止しつつ予備パスへの切り替えを実現する障害復旧が可能となる。
本実施形態の光通信システムにおいては、ネットワーク資源管理部101が管理する基幹系光ネットワークのネットワーク資源状態を、光周波数帯域断片化監視部108が取得する。そして、光周波数帯域断片化監視部108は、光周波数帯域のうち断片化された領域の、割当可能な光周波数帯域に対する割合(フラグメンテーション率)を算出する。
図16A、16Bを用いて、光周波数帯域断片化監視部108が算出するフラグメンテーション率について説明する。
図16Aは、光周波数帯域断片化監視部108によるフラグメンテーション率の算出方法を説明するための図である。割当可能な光周波数帯域を使用スロット範囲数で表わすと、光周波数帯域のうち断片化された領域は、使用スロット範囲数から実際に使用している使用スロット数を引いたスロット数(使用スロット範囲内の未使用スロット数)となる。これより、フラグメンテーション率は、図16Aに示した例では、23.3%(100×(60−46)/60)と算出される。
図16Bに、光ネットワークにおけるフラグメンテーション率の時間変化の一例を示す。図16Bに示すように、光周波数帯域の断片化した領域の割合を示すフラグメンテーション率が或る閾値を超えた場合(図中の時間D)、光周波数帯域断片化監視部108はネットワーク資源管理部101に対して光帯域デフラグメンテーションの実施を要求する。ネットワーク資源管理部101は、波長の割当を変更することが可能な運用パスまたは予備パスについて、光周波数帯域の断片化された領域における光パスを再配置し、連続した領域に集約させる。そして、このときの再設定結果を制御機能部113−1〜2に通知する。制御機能部113−1〜2が再設定結果に基づいて光パス経路の設定を変更することにより、光周波数帯域のデフラグメンテーションが完了する。
上述の説明では、光周波数帯域断片化監視部108は、使用スロット範囲内の未使用スロット数を用いてフラグメンテーション率を算出することとした。これに限らず、光周波数帯域断片化監視部108は、連続する光周波数帯域の帯域幅の頻度分布を光周波数領域の断片化された領域を計る尺度として適用することも可能である。
また、光周波数帯域断片化監視部108が断片化領域の割合に対して複数の閾値を設定することとしてもよい。この場合、光帯域フラグメンテーションを実施する条件は、第1の閾値と第2の閾値の両方を超えたとき、および第1の閾値を超過した時間が予め設定された時間を超えたとき、のいずれか一方を満たす場合とすることができる。
なお、光周波数帯域断片化監視部108は、ネットワーク資源管理部101が管理するネットワーク資源状態を定期的に取得することとしてもよいし、あるいは障害の発生時に動作することとしてもよい。
図17に、本実施形態による光通信システムのネットワーク資源管理部が備える管理テーブルの一例を示す。サービスによっては光帯域デフラグメンテーションにより通信品質が劣化する場合があるので、それを防止するために、光帯域デフラグメンテーションの実施を許可しない通信が存在する。図17に示した例では、帯域可変光TPND128−2と128−4との間の通信に対して、光帯域デフラグメンテーションは許可されない。そのため、光周波数帯域に断片化が生じた場合であっても、4番スロットに割り当てられた光パスは再配置されないことになる。
図18に、本実施形態における障害復旧方式によって、障害時帯域スロットを割り当てた結果を示す。予備パス118の帯域スロット数は5個である。また、帯域可変光TPND128−1と128−3との間の通信124−1に対して、最低保証帯域スロット数は4個であり、帯域可変光TPND128−2と128−4との間の通信124−2に対して、最低保証帯域スロット数は1個である。
ここで、通信124−2は4番スロットに対して割り当て済みであり、光帯域デフラグメンテーションは許可されていない。しかし、本実施形態によれば、帯域可変光TPND128が備える帯域スロット割当設定部127が、予備パス用帯域に信号光の少なくとも一部を非連続で割り当てる。そのため、障害発生時には図18に示すように、1番から3番の帯域スロット(通信124−1A)と5番の帯域スロット(通信124−1B)に非連続的に光周波数帯域を割り当てることができる。これにより、障害発生時においても通信124−1を行うことが可能となる。
なお、光帯域デフラグメンテーションが許可されていない場合に限らず、光帯域デフラグメンテーションを実行した際に、フラグメンテーションを完全に除去できなかった場合においても、本実施形態を適用することが可能である。
以上説明したように、本実施形態による光通信システムは、光周波数帯域断片化監視部108をさらに有する。この光周波数帯域断片化監視部108は、運用パスである第1の通信路および予備パスである第2の通信路の少なくとも一方において利用可能な光周波数帯域に、断片的な未使用周波数領域が発生しているか否かを監視する。そして、未使用周波数領域が発生している場合、光周波数帯域断片化監視部108はネットワーク管理部に集約を指示する。このとき、ネットワーク管理部は、断片的な未使用周波数領域を集約して連続した未使用周波数領域を設定する。帯域可変光TPND128である第1および第2の光トランスポンダ装置は、連続した未使用周波数領域を用いて信号光を送出する。
以上に説明したように、本実施形態の光通信システムによれば、光帯域デフラグメンテーションを実施する光通信システムにおいて運用パス上で障害が発生した場合、非連続的な未使用帯域スロットに対してもトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置が経路切り替えを行うので、大容量通信に対しても消費電力や装置規模の増大を伴わず、通信途絶を防止することができる。
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図19A、19Bに、本発明の第6の実施形態に係る光通信システムの構成を示す。図19Aは本実施形態に係る光通信システムの通常状態における構成を示すブロック図であり、図19Bは障害発生時における構成を示すブロック図である。
図19A、19Bに示すように、可変大粒度ノード装置211−1〜2は、運用パス117−1〜2および予備パス118と接続している。可変大粒度ノード装置211−1は帯域可変光TPND126−1〜2を備える。同様に、可変大粒度ノード装置211−2は帯域可変光TPND126−3〜4を備える。
図19Cに、可変大粒度ノード装置211−1〜2が備える帯域可変光TPND126の構成を示す。図19Cに示すように、本実施形態の帯域可変光TPND126は光スペクトル整形設定部125をさらに備えた構成とした点が、第2の実施形態による帯域可変光TPND107と異なる。ここで、光スペクトル整形設定部125は、光送受信装置119に対して信号光の光スペクトル整形の設定を通知する機能を有する。
次に、本実施形態による光通信システムの動作について詳細に説明する。本実施形態の光通信システムによれば、複数の運用パスにおいて障害が発生した場合であっても、通信途絶を防止しつつ予備パスへの切り替えを実現する障害復旧が可能となる。
まず、図19Aに示した通常動作時における動作について説明する。
ネットワーク資源管理部101は、例えば図20に示すようなネットワーク資源管理テーブルを備え、二拠点間の通信における通常時の通信容量を制御機能部113−1〜2にそれぞれ通知する。光スペクトル整形設定部125は、通知された通信容量に応じて、光送受信装置119の信号光の帯域スロット数および光周波数利用効率の設定パラメータとして例えばロールオフ率を設定する。そして、帯域可変光TPND126−1〜4を用いて二拠点間の通信を確立する。このとき、光スペクトル整形設定部125によって、単位周波数当たりの通信容量、すなわち周波数利用効率を可変することが可能となる。
図19Bに示すように、運用パス117−1〜2において障害が発生した場合、ネットワーク資源管理部101は管理している最低保証通信容量を制御機能部113−1〜2に通知する。光スペクトル整形設定部125は、最低保証通信容量の通知結果に応じて、最低保証通信容量を満たすように光スペクトル整形の設定パラメータ(図20の例では障害時ロールオフ率)を算出し、光送受信装置119に通知する。
光スペクトル整形の設定パラメータの一例として、ナイキストパルスのロールオフ率(r)について説明する。図21に、ロールオフ率rを変化させたときの周波数利用効率の増率(ΔC)の変化を示す。同図では、ロールオフ率が1のときの周波数利用効率を1とした。このとき、ロールオフ率rと周波数利用効率の増率ΔCの関係は次式で与えられる。
ΔC=(1−r)/2+1
ここで、変調方式が偏波多重QPSK(Polarization−Multiplexed Quadrature Phase Shift Keying:PM−QPSK)方式である場合、ロールオフ率が1の場合の周波数利用効率は2bit/s/Hzである。ロールオフ率を0に設定した場合、周波数利用効率は2×1.5=3bit/s/Hzである。したがって、周波数帯域が12.5GHzである単位帯域スロットでは、ロールオフ率を変更することにより、単位帯域スロットに収容可能なトラヒック量は25Gb/sから37.5Gb/sに増大する。
なお、基幹伝送通信路の構成によっては、ロールオフ率を低減することによって通信品質が劣化する場合がある。そのため、基幹系光ネットワークでは予備パス118に経路を割り当てる場合にだけ、ロールオフ率の変更が許容されている。
次に、図22を用いて、障害時帯域スロット数およびロールオフ率を設定する手順の一例を説明する。図22は、障害時帯域スロット数とロールオフ率の設定手順を説明するためのフローチャートである。
光スペクトル整形設定部125は、図20に示した管理テーブルの最低保証通信容量を参照して(ステップS112−1)、この最低保証通信容量を満足する障害時帯域スロット数とロールオフ率を算出し、これに応じた帯域割当を実施する(ステップS112−2)。
次に、余剰の光周波数帯域が存在する場合は、最低保証通信容量がゼロの運用パスに対して、それぞれ1個の帯域スロットを割り当てる(ステップS112−3A)。このとき、最低保証通信容量を割り当てた後の残帯域スロット数が不足した場合(割当が完了:NO)、First−fit方式で帯域スロットを割り当てる(ステップS112−3B)。
さらに、通常時通信容量を満足する帯域スロット数に応じて帯域割当を実施する(ステップS112−4A)。このとき、残帯域スロット数が不足した場合(割当が完了:NO)には、ロールオフ率の設定を変更することにより割り当て済みの光周波数帯域を削減する(ステップS112−4B)。この場合も残帯域スロット数が不足したときには(割当が完了:NO)、First−fit方式で帯域スロットを割り当てることができる(ステップS112−4C)。
以上のステップにより障害時帯域スロット数およびロールオフ率の設定が完了する(ステップS112−5)。光スペクトル整形設定部125は、ここで求めた障害時帯域スロット数と、光周波数利用効率の設定パラメータであるロールオフ率を光送受信装置119に通知する(ステップS112−6)。
図23に、本実施形態における障害復旧方式によって、障害時帯域スロット数と障害時ロールオフ率を設定した結果を示す。予備パス118の帯域スロット数は4個である。最初に運用パス117−1上の通信124−1に対して、障害時帯域スロット数を3個、障害時ロールオフ率として0.85を割り当てる。これにより、障害時の通信容量が80Gb/sであり、光スペクトル整形を実施した通信124−1を収容する。次に、運用パス117−2上の通信124−2に対して、障害時帯域スロット数を1個、障害時ロールオフ率として1を割り当てる。以上により、予備パス118に通信124−1と通信124−2を収容することができる。
上述の説明では、光スペクトル整形設定部125を用いて光スペクトル整形を実施することにより、光周波数利用効率を変化させることとした。しかし、これに限らず、変調方式を可変にすること、または直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)信号光のサブキャリア数を変更すること、などにより光周波数利用効率を変更することとしてもよい。
上述したように、本実施形態による可変大粒度ノード装置211である光ノード装置が備える光トランスポンダ装置(帯域可変光TPND126)は、光スペクトル整形設定部125を含む光周波数利用効率設定部と、光送受信装置119を備える。光周波数利用効率設定部は、光周波数利用効率の設定パラメータを算出する。そして、光送受信装置はこの設定パラメータに対応した光周波数利用効率で信号光を送出する。
以上説明したように、本実施形態の光通信システムでは、運用パスにおいて障害が発生した場合、障害時帯域スロット数に応じて、最低保証通信容量を満たすようにロールオフ率を設定する。そして、このときのロールオフ率に基づいて、帯域可変部106がクライアント信号の帯域を絞り込む。これにより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置が帯域スロット数に応じて経路切り替えを行うので、大容量通信に対しても消費電力や装置規模の増大を伴わず、通信途絶を防止することができる。
上述した各実施形態においては、可変大粒度ノード装置210を二拠点にそれぞれ配置して拠点間通信を行うこととした。しかし、これに限らず、図24A、24Bに示すように、可変大粒度ノード装置210をメッシュ状に配置し、それぞれの可変大粒度ノード装置間を基幹伝送通信路によって接続した光通信システムの構成としてもよい。ここで、図24Aは通常状態における光通信システムの構成を示し、図24Bは障害発生時における構成を示す。なお、可変大粒度ノード装置210の配置形状はメッシュ状に限らず、リング状またはツリー状などのノード配置であっても適用可能である。
図24Bに示すように、二拠点間通信用の帯域可変光TPND107−1〜4を備えた可変大粒度ノード装置210−1〜2と直接接続されていない基幹伝送通信路において、2箇所で障害119−1〜2が発生した場合について説明する。帯域可変光TPND107−1〜4が備える帯域可変部106は、ネットワーク資源管理部101からのネットワーク資源情報に基づいて、クライアント信号の帯域を絞りこむ。これにより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置105−3〜8が、迂回基幹伝送通信路に接続を切り替えることによって、予備パス118上での通信を確立することができる。
以上説明したように、多数のノードから構成される光通信システムであっても、上述した各実施形態によれば、運用パスにおいて障害が発生した場合、帯域可変部は障害時帯域スロット数に応じてクライアント信号の帯域を絞り込む。これより、障害時帯域スロット数に応じた帯域にトラヒックを収容することが可能となる。このとき、可変大粒度切替装置が帯域スロット数に応じて経路切り替えを行うので、大容量通信に対しても消費電力や装置規模の増大を伴わず、通信途絶を防止することができる。
また、上述した各実施形態においては、運用パス上の障害発生を検出したことを契機として複数の通信路を切替えることとしたが、これに限らない。例えば、光通信システムにおいて新規に拠点間通信を確立する場合に、新規の帯域スロットの設定要求(割り込み要求)が発生したことを契機として通信路を切替えることとしてもよい。すなわち、運用パスの帯域リソースに制限があり、新規通信向けの割当帯域スロット数が不足する場合がある。このとき、上述した各実施形態によれば、既存の運用パスの割当帯域を最低保証帯域に絞りこむことにより、割り当てが可能な帯域スロットを捻出することが可能である。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2013年12月25日に出願された日本出願特願2013−267089を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)光搬送波周波数単位で複数の通信路を切替える大粒度切替部と、前記通信路を介してクライアント信号を送受信する複数の光トランスポンダ装置と、前記大粒度切替部と前記光トランスポンダ装置の動作を制御する制御部、とを有し、前記光トランスポンダ装置は、前記クライアント信号の信号帯域を削減する帯域可変部を備え、前記制御部は、前記複数の通信路を切替える契機を検出した際に、前記大粒度切替部と前記光トランスポンダ装置に対して通知し、前記大粒度切替部は、前記通知を受け付けたときに、前記通信路を切替え、前記光トランスポンダ装置は、前記通知を受け付けたときに、前記帯域可変部において前記クライアント信号の帯域を削減した信号光を、前記大粒度切替部が切替えた後の前記通信路に送出する光ノード装置。
(付記2)前記制御部は、前記通信路における障害を検出した際に、前記通知を行い、前記大粒度切替部が切替えた後の前記通信路において利用可能な最小光周波数帯域幅の個数である障害時帯域スロット数を決定し、前記光トランスポンダ装置は、前記帯域可変部が前記障害時帯域スロット数に基づいて前記クライアント信号の帯域を削減した信号光を送出する付記1に記載した光ノード装置。
(付記3)前記光トランスポンダ装置は、帯域スロット割当設定部を備え、前記帯域スロット割当設定部は、前記大粒度切替部が切替えた後の前記通信路において利用可能な複数の最小光周波数帯域幅に、前記信号光の少なくとも一部を非連続で割り当てる付記1または2に記載した光ノード装置。
(付記4)前記光トランスポンダ装置は、光周波数利用効率設定部と、光送受信装置を備え、前記光周波数利用効率設定部は、光周波数利用効率の設定パラメータを算出し、前記光送受信装置は、前記設定パラメータに対応した光周波数利用効率で前記信号光を送出する付記1から3のいずれか一項に記載した光ノード装置。
(付記5)第1の光ノード装置と、第2の光ノード装置と、前記第1の光ノード装置と前記第2の光ノード装置を接続する第1の通信路および第2の通信路、とを有し、前記第1の光ノード装置および前記第2の光ノード装置は、光搬送波周波数単位で前記第1の通信路と前記第2の通信路を切替える第1および第2の大粒度切替部と、前記第1の通信路および前記第2の通信路を介してクライアント信号を送受信する第1および第2の光トランスポンダ装置と、前記第1および前記第2の大粒度切替部と前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置の動作を制御する第1および第2の制御部、とをそれぞれ有し、前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置は、前記クライアント信号の信号帯域を削減する第1および第2の帯域可変部をそれぞれ備え、前記第1および前記第2の制御部は、前記第1の通信路から前記第2の通信路に切替える契機を検出した際に、前記第1および前記第2の大粒度切替部と前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置に対して通知し、前記第1および前記第2の大粒度切替部は、前記通知を受け付けたときに、前記第1の通信路から前記第2の通信路に切替え、前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置は、前記通知を受け付けたときに、前記第1および前記第2の帯域可変部において前記クライアント信号の帯域を削減した信号光を、前記第1および前記第2の大粒度切替部が切替えた前記第2の通信路に送出する光通信システム。
(付記6)前記第1の通信路および前記第2の通信路ごとに利用可能な最小光周波数帯域幅の個数を管理するネットワーク管理部をさらに有し、前記第1および前記第2の制御部は、前記第1の通信路における障害を検出した際に、前記第1および前記第2の大粒度切替部、前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置、および前記ネットワーク管理部に対して前記通知をそれぞれ行い、前記ネットワーク管理部は、前記通知を受け付けたときに、前記第2の通信路において利用可能な最小光周波数帯域幅の個数である障害時帯域スロット数を、前記第1の光ノード装置および前記第2の光ノード装置に通知し、前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置は、前記第1および前記第2の帯域可変部が前記障害時帯域スロット数に基づいて前記クライアント信号の帯域を削減した信号光を、前記第2の通信路に送出する付記5に記載した光通信システム。
(付記7)光周波数帯域断片化監視部をさらに有し、前記光周波数帯域断片化監視部は、前記第1の通信路および前記第2の通信路の少なくとも一方において利用可能な光周波数帯域に、断片的な未使用周波数領域が発生しているか否かを監視し、前記未使用周波数領域が発生している場合、前記ネットワーク管理部に集約を指示し、前記ネットワーク管理部は、断片的な前記未使用周波数領域を集約して連続した未使用周波数領域を設定し、前記第1および前記第2の光トランスポンダ装置は、前記連続した未使用周波数領域を用いて前記信号光を送出する付記6に記載した光通信システム。
(付記8)複数の通信路を切替える契機を検出した際に、前記複数の通信路を光搬送波周波数単位で切替え、クライアント信号の帯域を削減した信号光を、前記切替えた後の前記通信路に送出する光通信路切替方法。
(付記9)前記通信路における障害を検出した際に、前記複数の通信路を光搬送波周波数単位で切替え、前記切替えた後の前記通信路において利用可能な最小光周波数帯域幅の個数である障害時帯域スロット数を決定し、前記障害時帯域スロット数に基づいて前記クライアント信号の帯域を削減した信号光を送出する付記8に記載した光通信路切替方法。
(付記10)前記切替えた後の前記通信路において利用可能な複数の最小光周波数帯域幅に、前記信号光の少なくとも一部を非連続で割り当てる付記8または9に記載した光通信路切替方法。
(付記11)前記大粒度切替部が切替えた後の前記通信路は複数の迂回通信路を有し、前記光トランスポンダ装置は、前記複数の迂回通信路のそれぞれの光周波数帯域を用いて、前記信号光を送出する付記1から4のいずれか一項に記載した光ノード装置。
(付記12)前記光周波数利用効率の設定パラメータは、前記信号光の光周波数スペクトルの形状を可変するパラメータである付記4に記載した光ノード装置。
(付記13)前記光周波数利用効率の設定パラメータは、前記信号光の変調方式を可変するパラメータである付記4に記載した光ノード装置。
(付記14)前記光周波数利用効率の設定パラメータは、前記信号光が直交周波数分割多重信号光である場合のサブキャリア数を変更するパラメータである付記4に記載した光ノード装置。
(付記15)前記ネットワーク管理部は、通信路の障害状態に応じた複数の帯域削減量を管理し、前記第1および前記第2の帯域可変部は、前記複数の帯域削減量に応じて、削減する信号帯域を変更する付記6または7に記載した光通信システム。
(付記16)前記ネットワーク管理部は、予め設定された通信路の優先度を管理し、前記第1および前記第2の帯域可変部は、前記通信路の優先度に応じて、削減する信号帯域を変更する付記6、7、および15のいずれか一項に記載した光通信システム。
(付記17)前記信号光の光周波数利用効率の設定パラメータを算出し、前記設定パラメータに対応した光周波数利用効率で前記信号光を送出する付記8または9に記載した光通信路切替方法。
(付記18)前記切替えた後の前記通信路に、少なくとも、前記通信路における最小光周波数帯域を割り当てる付記8、9、および17のいずれか一項に記載した光通信路切替方法。