JPWO2015056308A1 - 嵌合構造用の締結部材 - Google Patents

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Abstract

FRP部材などを含む部材同士を強固に締結できる嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体を提供する。挿通部(2)を有する第1部材(1)に挿通されるとともに、荷重(F)が入力・伝達される貫通部材(11,12,13)と、くさび部材(9,21,22,94,95)と押さえ部材(10,19,20)とを組として前記貫通部材に挿通され、前記第1部材における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設される、少なくとも2組の環状部材と、を備え、前記押さえ部材は前記貫通部材に直接または間接に固定され、前記くさび部材は前記押さえ部材と前記第1部材との間に、それぞれに接するように配設され、前記押さえ部材と前記くさび部材の接触面は、断面視して、前記貫通部材の軸に対して90度以外の所定の角度(θ)をなすように構成される。

Description

本発明は、嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体に関する。
近年の国際的な流れとして、各種大型構造体などに使用される金属鋼鈑に代わりうる資材に、高剛性・軽量・高強度の各諸元特性を備えた繊維強化樹脂材(FRP:Fiber Reinforced Plastics)が注目されている。
なかでも、例えば炭素繊維強化樹脂材(CFRP)は、わが国の主要企業が、高度な一体成形技術と組み合わせて、世界全体の生産能力で長年トップシェアを維持するなど、高い国際競争力を有する素材であるが、例えば鉄との比較では、比重は約1/4、比強度(質量比強度)は約10倍という優れた特性を示す。
つまり鉄との対比では、重量は、同じ体積ならわずか1/4・同じ強度ならわずか1割の重さで済み、また強度は、同じ重量なら10倍の強さを確保できる。このためFRP部材は、製品自体の競争力のみならず、日本の産業競争力、ひいては日本経済全体の競争力を強化するための起爆剤(戦略資源)として、大いに有望視されている。
ゆえに、産業・社会インフラを支える企業活動においても、国内外で規模の大小を問わず、FRPの積極的な利活用が経営上の戦略として急速に浸透しつつあり、各種製品の部材に使用・採用される潮流にある。
そのようなFRP構造物は、一体成形して本来の強度・効用を発揮するものと理解されている。しかし、一般には成形のための大型の金型を作るのに数億円オーダーの巨額の費用を要し、例え製作したとしても、その形状のモデルチェンジ(含マイナーチェンジ)など、顧客ニーズに臨機応変に対応することが難しく、金型をいちから作り直さなければならない場合がある。
このため、現実には、一体成形ではなく、一部を金属鋼鈑と代替させて、金属部材とFRP構造物を締結させて使用する場面が非常に多い。締結方法としては接着による締結のほかに、ボルトなどによる機械締結の方法がある。
特許文献1の締結方法では、板状体同士をボルト締結するにあたり、ボルト孔にテーパ状のワッシャを介してボルトの軸力が均一に板材に伝わるように工夫している。
特許文献2の締結方法では、テーパ状のワッシャに加えてばね部材を介してボルト軸力が緩和しないように工夫している。
特許文献3の締結方法では、FRP部材同士を締結する際に、FRP部材を鋼製の板材で挟み、FRP部材との接触面に多数の突起を設けることで、摩擦係数を上げてすべり変形を防止しながらボルトで締結している。
特許文献4の締結方法では、FRP部材を金属製の板でボルト締結する場合のボルト孔の位置を、FRP部材の破壊が起きないような寸法に選択している。
特許文献5では、FRP部材のように傷つきやすいものをボルト締結する場合に、ナットを二重構造にし、互いに回動自由とすることで、締結時にナットが供回りすることを防ぎ、強度信頼性を高くさせている。
特開2004−108497号公報 特開2007−303570号公報 特開平6−026109号公報 特開平6−017487号公報 特開2012−062984号公報
しかしながら、特許文献1〜5のいずれの締結構造によっても、ボルトの軸に直角方向の負荷が加わった場合に、被締結部材間の面圧が増加してより強固な締結状態になることはない。
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、FRP構造物に任意の孔を加工し、その孔にピンあるいはボルトを貫通させてボルトの軸に垂直な方向に荷重が入力された場合においても、被締結部材を圧縮するような力が作用してより強固な締結状態となり、FRP孔部が破壊しないような嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明を適用した嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体は、挿通部を有する第1部材に挿通されるとともに、荷重が入力・伝達される貫通部材と、くさび部材と押さえ部材とを組として前記貫通部材に挿通され、前記第1部材における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設される、少なくとも2組の環状部材と、を備え、前記押さえ部材は前記貫通部材に直接または間接に固定され、前記くさび部材は前記押さえ部材と前記第1部材との間に、それぞれに接するように配設され、前記押さえ部材と前記くさび部材の接触面は、断面視して、前記貫通部材の軸に対して90度以外の所定の角度をなすように構成されることを特徴とする。
本発明によれば、ピンあるいはボルトなどの貫通部材に、軸垂直方向の荷重が作用した場合でも、所定のテーパ角を有した環状部材にFRP部材(第1部材)を強く圧する分力が作用する嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体を提供できる。
本発明のFRP嵌合構造体の全体斜視図である。 図1の要部であるA部およびB部の分解図である。 貫通部材に荷重が伝達されたときの様子を模式的に表した図である。 図1のX−X矢視断面図であり、本発明の第1実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る、力学的なメカニズムを説明する模式図である。 本発明の第2実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第4実施形態に係る、くさびリングの拡大断面図である。 本発明の第5実施形態に係る、くさびリングの拡大断面図である。 本発明の第6実施形態に係る、FRPパイプと金属パイプとの接合部の断面図である。 本発明の第7実施形態に係る、FRPパイプと金属パイプとの接合部の断面図である。 本発明の第8実施形態に係る、FRP板1の平面図(上面図)である。 図12のY−Y矢視断面図である。 本発明の第9実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第10実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第10実施形態の変形例に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第11実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第11実施形態の変形例に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第12実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第12実施形態の変形例に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の第13実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。 本発明の適用例に係る、パワーショベル100の模式図である。 従来の風力発電用風車ブレードを説明する図である。 本発明の適用例に係る、風力発電用風車ブレードの模式図である。 本発明の適用例に係る、風力発電用風車ブレードの斜視図である。 本発明の適用例に係る、風力発電用風車ブレード内部を説明する模式図であり、図24AのZ−Z矢視断面図である。 本発明の適用例に係る、遠心分離機の構成図である。 本発明の適用例に係る、遠心分離機の模式図である。 本発明の適用例に係る、自動車の模式図である。 本発明の適用例に係る、船舶の斜視図である。 本発明の適用例に係る、船舶の模式図である。 本発明の適用例に係る、航空機の模式図である。
以下、本発明の実施形態に係る嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体について、第1部材がFRP部材であるFRP嵌合構造を例に挙げて詳細に説明する。
ここで、FRPの種類は特に問わない。つまり、FRPは炭素繊維CFRP,ガラス繊維GFRP,炭化ケイ素繊維SiCFRP,アルミナ繊維AlFRP,アラミド繊維AFRPであってもよく、これらに限定するものではない。
また、FRP以外の部材同士や、FRP部材と金属部材を組み合わせた締結に関しても、本発明が適用できることは言うまでもない。
説明の便宜上、各図面で共通する部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。模式図は、特徴部分を抜き出して分かりやすく描いたものであり、細かな構成の描写は適宜捨象する場合がある。前後上下左右などの方向軸については、各図の記載によるものとする。
(第1実施形態)
図1は本発明のFRP嵌合構造体の全体斜視図、図2は図1の要部であるA部およびB部の分解図である。この構造体の適用例としての詳細は図22以降で後記するが、例えば、図22に示すパワーショベルであれば、作業腕に相当するブーム101やアーム102の連結部分において、格子構造(グレーチング)を有するFRP板状体1やFRPパイプ16を連結させたい(図22のC部やD部)需要があり、このような部位に対して適用可能である。
まず、図2のA部の構成について説明する(適宜、図1と相互参照)。この部分は、嵌込式の板状体であるFRP板状体1に、貫通部材11である断面視円形状のピンやボルトを通す孔(挿通部)2があけられている。なお、孔(挿通部)2の形状は貫通部材11が貫通可能な任意の形状であればよく、特に限定するものではない。つまり、断面視円形状であってもよいし、断面視U字状の切り欠き溝を有した形状であってもよい。貫通部材11の外周には緩衝保護材としてスリーブ7が挿入される。もしくは、貫通部材11は別体のスリーブ7を外装してなる構成物と考えてもよい。図3のE部は、貫通部材11に、例えば貫通部材11の中心軸に対して垂直方向に荷重が作用して、FRP板状体1が傷つけられ、繊維の破壊が起きてしまった場合の模式図である。スリーブ7は、貫通部材11とFRP板状体1の孔2とが直接接触することを防止し、こうした破壊を起きにくくさせるものである。
ここで、貫通部材11に、貫通部材11の中心軸に対して垂直方向へ荷重が作用する場合を考えたが、その理由は、FRPパイプ16は、例えば貫通部材11であるピンに点接続されており、負荷/荷重Fの入力は、まず第一に、図3に示すように、貫通部材11であるピンへ行われることになるためである。また、その他の形態として、FRP板状体1から貫通部材11の順で荷重が伝達されるケースも考えられるが、その場合であっても、貫通部材11に荷重Fが伝達されたあとのメカニズムは、本実施形態で説明する内容と全く同様にして考えることができる。
引き続き、図2のA部の説明に戻る。スリーブ7にはネジ溝8(不図示。詳細は後記)が加工され、押さえリング10が嵌合可能となっている。また、押さえリング10はくさびリング9が挟み込み可能となっている。
ここで、例えばスリーブ7のネジ溝8に押さえリング10を嵌合させ、くさびリング9を挟み込んだ状態でFRP板状体1の孔2に挿入する。そして、反対側からも同様に、くさびリング9、押さえリング10の順でFRP板状体1を挟み込み、スリーブ7のネジ溝8に押さえリング10を嵌合させる。そして、最後に貫通部材11を挿入すると、図1のA部に示す組立状態となる。
次に、図2のB部についてであるが、FRPパイプ16の外周面に対して外輪くさびフープ21がはめ込まれ、その上から外輪押さえフープ19が挟み込み可能になっている。図1のB部は、この様にして組み立てた場合の模式図である。
図4は図1のX−X矢視断面図である。
FRP板状体1には円形の孔2があけられ、円筒形状をしたスリーブ7が貫通している。ゆえに、スリーブ7の円筒外周面の半径は、孔2の半径よりも小さなものとなっている。
また、スリーブ7には円形断面をした貫通部材11が貫通している。更に、スリーブ7の外周面にはネジ溝8が加工されている。また、FRP板状体1を挟む形でくさびリング9と押さえリング10が互いに接触して配置されている。つまり、くさび部材9と押さえ部材10とを組として、2組の環状部材を考えたとき、前記環状部材は、前記貫通部材に挿通され、前記FRP板状体(第1部材)1における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設されてなる。
押さえリング10の内周面には、スリーブ7の外周面に彫られたネジ溝8に嵌合するネジ溝8が加工され、これにより、スリーブ7と押さえリング10が完全に嵌合され、相互の位置が固定されている。
また、貫通部材11の中心軸をM、FRP板状体1の厚みの中心軸をNとし、このように座標軸を取った場合の第1象限〜第4象限に対応する領域をそれぞれ、I領域〜IV領域とする。すなわち、右前領域をI領域、左前領域をII領域、左後領域をIII領域、右後領域をIV領域とする。
このとき、I領域は軸Nに対してII領域と線対称構造となっており、同様にして、軸Mに対してIV領域と線対称構造となっている。II領域は軸Nに対してI領域と線対称構造となっており、同様にして、軸Mに対してIII領域と線対称構造となっている。III領域は軸Nに対してIV領域と線対称構造となっており、同様にして、軸Mに対してII領域と線対称構造となっている。IV領域は軸Nに対してIII領域と線対称構造となっており、同様にして、軸Mに対してI領域と線対称構造となるようにして形成される。
以下、I領域について詳述する。その他の領域は別途後述するが、I領域と、左右前後の線対称構造として、順次理解してゆけばよい。
まず、くさびリング9と押さえリング10との接触面(テーパ面)は、スリーブ7、もしくは貫通部材11の中心軸Mに対して、0°より大きく90゜より小さい所定の角度θをなすように構成される(すなわち、0°<θ<90°)。
また、押さえリング10はスリーブ7のネジ溝8に嵌合する形で固定されている。つまり、貫通部材11やスリーブ7が、軸Mに対して直角方向の荷重を受け、その荷重方向に移動しようとする場合に、押さえリング10が、その動きに完全に連動し、同様に荷重方向に移動するように構成されている。
以下、貫通部材11に、例えば、後方へ荷重が入力された例をもとに説明する。しかし、これはあくまで一例であって、環状部材9,10はリング形状であるし、スリーブ7は円筒形状、貫通部材11も円柱形状である。ゆえに、荷重の入力方向に関しては、360°全方位において、構造上の対称性を有していることは言うまでもない。
図5は、例えば図4の貫通部材11に、その軸Mに対して直角方向(後方)に荷重F11が入力された場合の、力学的なメカニズムを説明する模式図である。
このとき、貫通部材11は、荷重である負荷F11を受けて、荷重方向に移動する。すると、貫通部材11の外周面が、ほどなくしてスリーブ7の内周面と当接する。ここで、ほどなくと表現したのは、スリーブ7と貫通部材11の間にある程度の隙間がある場合であって、隙間がほとんどない場合は、荷重とほぼ同時に当接することになるからである。なお、この隙間はスリーブ7を貫通部材11に挿入するための、便宜上の隙間である。
さらに荷重F11の入力が継続すると、貫通部材11は荷重F11に従って、スリーブ7全体を荷重方向である後方に押し下げる。さらに、押さえリング10がネジ溝8を介してスリーブ7に固定されているため、スリーブ7の動きに連動して、押さえリング10も、荷重方向である後方に押し下げられる。
つまり、スリーブ7に固定された押さえリング10は、貫通部材11の軸Mに対して直角方向に入力された荷重F11の向きに移動しようとする(F12)。その際、押さえリング10とくさびリング9の接触面が、傾斜角θ(軸Mとのなす角度θ)を有する傾斜面となるように形成すると、力F12の分力として、くさびリング9がFRP板状体1を圧縮するような方向の分力F13を発生させることが出来るようになる。
次に、II領域について説明する。
II領域は、I領域と軸Nを介して線対称構造に成形されている。ゆえに、例えば貫通部材11に、その軸Mに対して直角方向(後方)に、荷重F11が継続的に入力されると、貫通部材11は荷重F11に従って、スリーブ7全体を荷重方向である後方に押し下げる。さらに、押さえリング10がネジ溝8を介してスリーブ7に固定されているため、スリーブ7の動きに連動して、押さえリング10も、荷重方向である後方に押し下げられる。
つまり、スリーブ7に固定された押さえリング10は、貫通部材11の軸Mに対して直角方向に入力された荷重F11の向きに、移動しようとする(F12)。その際、押さえリング10とくさびリング9の接触面は、傾斜角θ(軸Mとのなす角度θ)を有する傾斜面となるように形成されているので、力F12の分力として、くさびリング9がFRP板状体1を圧縮するような方向の分力F13を発生させることが出来る。
次に、III領域とIV領域について、まとめて説明する。
III,IV領域は、構造上はI領域とそれぞれ点対称性、線対称性を有している。しかし、スリーブ7のネジ溝8に固定されている押さえリング10が受ける力F12の作用方向は、例えば貫通部材11に、その軸Mに対して直角方向(後方)に、荷重F11が継続的に入力される場合は、I領域のF12とまったく同じ向きとなる。
つまり、III領域とIV領域のF12は、I領域のF12とは大きさが等しいのに対して、向きが対称性を有さず、非対称となる。このため、くさびリング9と押さえリング10との接触面(テーパ面)が、スリーブ7、もしくは貫通部材11の中心軸Mに対して、0°より大きく90゜より小さい所定の角度θ(すなわち、0°<θ<90°)をなすように形成されていたとしても、押さえリング10に作用する力F12が、くさびリング9を介して、FRP板状体1を互いに圧縮する分力F13を発生させることはない。
(作用・効果)
第1実施形態の作用・効果を改めてまとめると、以下のようになる。
貫通部材11に、貫通部材11の軸Mに対して直角方向に荷重F11が入力された場合、スリーブ7に固定された押さえリング10は、荷重F11の向きに移動しようとする(F12)。その際、押さえリング10とくさびリング9の接触面(テーパ面)が、傾斜角θ(軸Mとのなす角度θ)を有する傾斜面となるように形成することにより、荷重F11の方向とは逆側の位置にあたるくさびリング9には、力F12の分力として、FRP板状体1を互いに圧縮するような方向の分力F13が作用する。
背景技術で説明した通り、一般にFRPは優れた特性値を示す。しかし、繊維の積層方向に対する圧縮強度は非常に大きいが、繊維の積層方向に直交する方向である、繊維の非積層方向の荷重に対しては脆く、破壊に至りやすい性質を持つ。
それゆえに、なるべくなら一体成形で接合点数を減らしたいが、大規模になればなるほど金型の製作にかかるコストの増加や、モデルチェンジへの柔軟性に欠けるなどのデメリットが表面化し、くしくも使いづらい側面があったことは否定できない。
しかし、そのような性質を持つFRP板状体1に関し、やむを得ず一体成形でなく、1または複数からなるFRPもしくは異種部材同士を締結させる場合であっても、本実施形態の発明を適用すれば、貫通部材11を介して、繊維の非積層方向に入力される荷重F11の一部を、FRP板状体1の繊維の積層方向への圧縮力である、分力F13に変換し、振り替えることができる。
この分力F13は、押さえリング10とくさびリング9とのテーパ面が傾斜角θを有しているために、貫通部材11の荷重変位量が大きくなればなるほど、大きくなる。
このため、貫通部材11の荷重変位量が大きくなればなるほど、くさびリング9は、貫通部材11もしくはスリーブ7が、それ以上荷重F11の方向に変位しないように、互いにFRP板状体1を強力な力で挟み込み、ストッパの機能を果たすようになる。
これにより、FRP板状体1の孔2での、貫通部材11(スリーブ7を挿入するときはスリーブ7)が過度に接触することによる、内周面の破壊を防止でき、より一層、強度の信頼性を向上させることができるという効果を生む。
また、従来はサイズの大型化やコスト増などの諸制約によって、積極的にはFRP部材を用いることがためらわれてきた様な場面においても、FRP部材を分割して、本実施形態の発明に示す嵌合締結とすることにより、素材のFRP部材への転換を促す、起爆剤となる可能性を秘めるものである。
また、スリーブ7と押さえリング10とは、ネジ溝8によるネジ締結の嵌合構造となっているため、ネジ締めの際の締結トルクを調整することにより、締結力の強弱を制御することが出来る。
また、不具合箇所が発生した場合には、従来の溶接による接合では、一端はがして交換しなければならず、大変な作業であったが、締結部分に本実施形態の発明を用いれば、ネジ締結のため、不具合箇所がある部材のみを取り外して交換するといったメインテナンスを、容易に行うことができるという効果も奏する。
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態につき、図6を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図6は第2実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。
図6において、第1実施形態(図4)との相違点は、スリーブ7が廃され、もしくは貫通部材12がスリーブ7と貫通部材11とを一体化するように成っており、さらに、貫通部材12の外周面の一部もしくは全部に、ネジ溝8が加工されていることである。それ以外の構成については第1実施形態と同様である。
押さえリング10の内周面には、貫通部材12の外周面のネジ溝8に嵌合するネジ溝8が加工されている。なお、貫通部材12の円柱形状は、図6ではネジ溝8による押さえリング10との嵌合領域の部分が、貫通部材12の両端部分の径と比較して、拡径されて描かれている。
これは、押さえリング10の貫通部材12への組み込みの便宜上の都合であって、径を変径させる必要性は必ずしもない。貫通部材12を、径を変径しないで作成する場合は、ネジ溝8を、貫通部材12の両端から、それぞれ押さえリング10を装着させたい位置(所定の定位置)まで、彫り進めればよい。変径させる場合は、ネジ溝8を切る距離を、これよりも短くすることができる。これにより、製作時間を短縮して、作業効率を向上させることができるとともに、ネジ溝8を彫る刃の摩耗速度を低減させ、刃の交換周期を延命させることで、設備投資費用の抑制に貢献することが可能になる。
本実施形態においても、くさびリング9と押さえリング10との接触面(テーパ面)は、貫通部材12の軸に対して、0°より大きく90゜より小さい所定の角度θをなすように構成される(すなわち、0°<θ<90°)。
また、押さえリング10は貫通部材12に彫られたネジ溝8に嵌合する形で固定されている。つまり、貫通部材12が、その軸に対して直角方向の荷重を受け、その荷重方向に移動しようとする場合に、押さえリング10が、その動きに完全に連動し、同様に荷重方向に移動するように構成されている。
(作用・効果)
このように構成しても、第1実施形態と同様のメカニズムによって、同様の作用・効果を奏することが出来る。
つまり、貫通部材12に、貫通部材12の軸に対して垂直方向に荷重が作用した場合、これに固定された押さえリング10は、貫通部材12の動きに連動して、貫通部材12の軸に対して直角方向である、荷重方向に移動しようとする。
その際、押さえリング10とくさびリング9の間のテーパ面によって、荷重方向と逆側に位置するくさびリング9の間には、互いにFRP板状体1を圧縮するような分力が作用する。
このようにして、本実施形態によっても、ネジ溝8加工付きの貫通部材12の軸垂直方向に作用する荷重の一部が、分力としてFRP板状体1の繊維積層方向の圧縮力に変換される。このため、孔2での破壊が防止でき、強度信頼性が向上する効果を生む。
また、貫通部材12と押さえリング10とは、ネジ締結となっているために、締結力の制御や、メインテナンスを容易に行えるという効果も生む。また、貫通部材12がスリーブ7を介さず、直接押さえリング10に固定されることになるため、部品点数を減らしてコストを低減させるとともに、組立工数を減らし、作業効率を向上させる効果も奏することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態につき、図7を用いて説明する。なお、第1、第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図7は第3実施形態に係る、FRP嵌合構造の断面図である。
図7において、第2実施形態(図6)との相違点は、貫通部材12は円柱形状であったが、貫通部材13は、その中心軸回りが中空として軽量化され、円筒形状となっている部分が異なる。それ以外の部分は、第2実施形態と同様である。
つまり、貫通部材13の外周面の一部もしくは全部には、ネジ溝8が加工されている。そして、FRP板状体1を挟む形でくさびリング9と押さえリング10が配されている。
また、押さえリング10の内周面にはそれぞれ、貫通部材13の外周面のネジ溝8に嵌合するネジ溝8の加工が施される。くさびリング9と押さえリング10が接するテーパ面は、貫通部材13の軸に対して、0°より大きく90゜より小さい所定の角度θをなすように構成される(すなわち、0°<θ<90°)。
また、押さえリング10は貫通部材13に彫られたネジ溝8に嵌合する形で固定されている。つまり、貫通部材13が、その軸に対して直角方向の荷重を受け、その荷重方向に移動しようとする場合に、押さえリング10が、その動きに完全に連動し、同様に荷重方向に移動するように構成されている。
(作用・効果)
このように構成しても、第2実施形態と同様のメカニズムによって、同様の作用・効果を奏することが出来る。
つまり、貫通部材13に、貫通部材13の軸に対して垂直方向に荷重が作用した場合、これに固定された押さえリング10は、貫通部材13の動きに連動して、貫通部材13の軸に対して直角方向である、荷重方向に移動しようとする。
その際、押さえリング10とくさびリング9の間のテーパ面によって、荷重方向と逆側に位置するくさびリング9の間には、互いにFRP板状体1を圧縮するような分力が作用する。
このようにして、本実施形態によっても、ネジ溝8加工付きの貫通部材13の軸垂直方向に作用する荷重の一部が、分力としてFRP板状体1の繊維積層方向の圧縮力に変換される。このため、孔2での破壊が防止でき、強度信頼性が向上する効果を生む。
また、貫通部材13と押さえリング10とは、ネジ締結となっているために、締結力の制御や、メインテナンスを容易に行えるという効果も生む。また、貫通部材13がスリーブ7を介さず、直接押さえリング10に固定されることになるため、部品点数を減らしてコストを低減させるとともに、組立工数を減らし、作業効率を向上させる効果も奏することができる。
更には、貫通部材13は中心軸まわりが中空とされているため、貫通部材13自体の軽量化についても、企図することが出来る。これにより、貫通部材13の材料費を削減することが出来るとともに、構造物全体の重量低減に寄与することが出来る。
(第4実施形態)
本発明の第4の実施形態につき、図8を用いて説明する。
図8は、第4実施形態におけるくさびリング94の断面拡大図であり、例えば図4(第1実施形態)、図6(第2実施形態)、図7(第3実施形態)のくさびリング9などの部分に適用可能となっている。なお、第1〜第3実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態のくさびリング94には、リング周面に沿って、FRP板状体1に接する面側に、複数の突起14が備えられている。このくさびリング94を、例えば図4(第1実施形態)、図6(第2実施形態)、図7(第3実施形態)のくさびリング9と交換して使用する。この際、片側のみのくさびリング9を交換してもよいが、交換するのであれば、両側を交換したほうが、FRP板状体1を圧縮する分力が等しくかかるようになるため、より好適である。
(作用・効果)
本実施形態のくさびリング94を備えた嵌合構造体によっても、貫通部材11,12,13の軸垂直方向にそれぞれ荷重が作用した場合、荷重の一部は、くさびリング94に施された傾きを有するテーパ面によって、FRP板状体1の繊維積層方向への圧縮力に分力される。
このとき、くさびリング94がFRP板状体1の表面をわずかに滑ろうとする力に抗して摩擦力が生じるが、この複数の突起14が、この際の摩擦係数を大きく上昇させる効果を奏する。
そのため、貫通部材11,12,13あるいはスリーブ7が直接FRP板状体1の孔2の内周面に接触するまでの耐荷重を一層大きくすることができる。耐荷重が大きくなればなるほど、テーパ面の傾斜角θによって、繊維積層方向への圧縮分力F13の大きさも大きくなる。
このため、くさびリング94同士がより一層、滑り止めストッパとしての機能を果たし、孔2での局所的な破壊を好適に防止でき、FRP板状体1の強度信頼性をより一層、向上させる効果を生む。
(第5実施形態)
本発明の第5の実施形態につき、図9を用いて説明する。
図9は、第5実施形態におけるくさびリング95の断面拡大図である。図8(第4実施形態)とは、リング周面に備えられた複数の突起14がなく、代わりに摩擦板15が配設されている点が異なる。それ以外の部分については、全て第4実施形態と同様である。なお、第1〜第4実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態のくさびリング95には、リング周面に沿って、FRP板状体1に接する面側に、有機繊維を直交させて織られた布に、エポキシ樹脂を含浸させ、加熱加圧して成形された摩擦板15が固定されている。
有機繊維としては、例えばポリベンゾイミダゾール、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、芳香族ポリアミド、ポリアリレート、芳香族ポリエステルなどで製造される繊維を用いることができる。
これらの有機繊維は、長めの繊維であってもよく、1mmから10mm程度に短く切断したものであってもよい。
第4実施形態と同様に、本実施形態においても、くさびリング95がFRP板状体1の表面をわずかに滑ろうとする力に抗して摩擦力が生じるが、この摩擦板15が、この際の摩擦係数を大きく上昇させる効果を奏する。
そのため、貫通部材11,12,13あるいはスリーブ7が直接FRP板状体1の孔2の内周面に接触するまでの耐荷重を一層大きくすることができる。耐荷重が大きくなればなるほど、テーパ面の傾斜角θによって、繊維積層方向への圧縮分力F13の大きさも大きくなる。
ところで、貫通部材11,12,13に繰返し周期的に過重F11が加わるような状態で、第4実施形態に係るくさびリング94が使用される場合には、FRP板状体1の繊維積層方向の圧縮(面圧)分力である力F13も同期して、周期的に入力のON/OFFが繰り返されることで、突起14による強い摩擦力が、くさびリング94とFRP板状体1の接触面を徐々に摩耗させ、最終的には破壊に至ってしまうおそれがある。
本実施形態によれば、高面圧分力F13作用下で、繰り返し周期的に荷重が加わるような場合においても、突起14よりは摩擦係数が小さく、かつ長期間摩擦係数が安定する有機繊維のFRP摩擦板15を用いることによって、孔2の摩耗破壊を好適に防ぐことができるようになる。
具体的には、第1〜第3実施形態におけるくさびリング9の平滑板の摩擦係数をμ1、第4実施形態におけるくさびリング94の突起14による摩擦係数をμ4、本実施形態におけるくさびリング95の摩擦板15による摩擦係数をμ5とすれば、μ1<μ5<μ4を満たす大小関係にある摩擦係数が理想的である。
このような場合には、くさびリング95同士に作用する圧縮分力F13、およびこれに比例して生ずる摩擦力が強すぎることに起因する、孔2でのFRP板状体1の局所的な破壊をさらに一層、好適に防止でき、FRP板状体1の強度信頼性をより一層、向上させる効果を生む。
(作用・効果)
本実施形態の作用効果について改めてまとめる。本実施形態では、突起14よりは摩擦係数が小さく、かつ長期間摩擦係数が安定する有機繊維のFRP摩擦板15を用いる。
すなわち、第1〜第3実施形態におけるくさびリング9の平滑板の摩擦係数をμ1、第4実施形態におけるくさびリング94の突起14による摩擦係数をμ4、本実施形態におけるくさびリング95の摩擦板15による摩擦係数をμ5とすれば、μ1<μ5<μ4を満たす大小関係にあるFRP摩擦板15を用いる。
これにより、高面圧分力F13作用下で、繰り返し周期的に荷重が加わるような場合においても、孔2の摩耗破壊を好適に防ぐことができるという効果を奏する。
(第6実施形態)
本発明の第6の実施形態につき、図10を用いて説明する。
本実施形態では、例えば第1実施形態における第1部材が、ともに挿通部2を有して互いの前記挿通部が一致するように重ねられた第2部材と第3部材とからなり、貫通部材にはその外周の所定位置に雄ネジが設けられており、押さえ部材と貫通部材との固定部分は、少なくとも一方側が、前記雄ネジに螺合する雌ネジが設けられたナットによりなされるような場合を考える。そこで、例えば第2部材および第3部材が異種同士のパイプ材で、これらを締結するような場合に、荷重入力が貫通部材からではなく、パイプの周面から行われる場合を考える。
なお、パイプは異種同士に限らず、同種同士でもよい。以下ではいずれかのパイプがFRPパイプである場合で説明するが、必ずFRPパイプを含んでいなければならないわけではない。また、第1〜第5実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図10はFRPパイプ16と金属パイプ17との接合部の断面図である。FRPパイプ(第2部材)16は金属パイプ(第3部材)17の外周部に重なる形ではめ合わされている。つまり、FRPパイプ(第2部材)16と金属パイプ(第3部材)17は軸方向が一致するように配設されている。両者の重なり部にはボルト孔18が複数個所、周方向に加工されている。なお、このボルト孔18は後述する外輪くさびフープ21と外輪押さえフープ19、および内輪くさびフープ22と内輪押さえフープ20の各フープ形状に沿うようにして、FRPパイプ16および金属パイプ17の重なり部に、加工されるものである。
FRPパイプ16の外周側には外輪押さえフープ19が設けられ、金属パイプ17の内周側には内輪押さえフープ20がそれぞれ設けられる。
外輪押さえフープ19とFRPパイプ16の間には、外輪くさびフープ21が挿入されており、外輪くさびフープ21と外輪押さえフープ19の接触面(テーパ面)は、貫通部材23の軸に対して、0°より大きく90゜より小さい所定の角度θをなすように構成される(すなわち、0°<θ<90°)。
同様にして、内輪押さえフープ20と金属パイプ17の間には、内輪くさびフープ22が挿入されており、内輪くさびフープ22と内輪押さえフープ20の接触面(テーパ面)は、貫通部材23の軸に対して、0°より大きく90゜より小さい所定の角度θをなすように構成される(すなわち、0°<θ<90°)。
ここで、本実施形態における貫通部材23とは、ボルト孔18に貫通するように設けられている、例えば面圧付与ボルト23のことである。面圧付与ボルト23には、ナット24が嵌合可能にネジ溝8が切られており、これによって、面圧付与ボルト23とナット24が固定されている。また、ナット24を締め上げることにより、外輪押さえフープ19、外輪くさびフープ21、FRPパイプ16、金属パイプ17、内輪くさびフープ22、内輪押さえフープ20に対して、FRPパイプ16や金属パイプ17の径方向外側への、面圧が付与されるように、締結固定されている。
ところで、第1〜第5実施形態においては、押さえ部材(押さえリング10)と貫通部材11〜13は、それぞれ、ネジ溝8を介して嵌合され、相互の位置が完全に固定されていた。しかし、本実施形態においては、押さえ部材(外輪押さえフープ19、内輪押さえフープ20)と貫通部材(面圧付与ボルト23)の接触部分については、固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。
ここで、外力(荷重F)によって、FRPパイプ16と金属パイプ17とが、互いに離れるように、FRPパイプ16,金属パイプ17の軸方向に抜け出るような変形をした場合を考える。このとき、III領域の外輪くさびフープ21とI領域の内輪くさびフープ22がFRPパイプ16,金属パイプ17に作用する荷重に応じて移動しようとする。このとき、傾斜角θを有する接触面(テーパ面)によって、III領域の外輪押さえフープ19には径方向外側への分力が、I領域の内輪押さえフープ20には径方向内側への分力が作用する。
このとき、押さえ部材19,20は、面圧付与ボルト23に嵌合されたナット24によって、それぞれ径方向外側、径方向内側への動きが規制されているため、これらの分力がそのままくさび部材21,22への反力となる。この反力は、FRPパイプ16,金属パイプ17を相互に圧縮する方向に作用する。
(作用・効果)
このように構成しても、第1〜第5実施形態と同様にして、くさび部材21,22に挟まれたFRPパイプ16,金属パイプ17は圧縮力を受け、互いに引き抜けづらくなるという効果を生む。
また、本実施形態の場合は、FRPパイプ16、もしくは金属パイプ17の荷重変位量が大きくなれば大きくなるほど、くさびフープ21,22の追従変位量も大きくなり、傾斜角θのテーパ面によって、FRPパイプ16,金属パイプ17を圧縮する力も大きくなる。その結果、FRPパイプ16,金属パイプ17をずれにくくさせる結果を生む。
(第7実施形態)
本発明の第7の実施形態につき、図11を用いて説明する。
本実施形態においても、パイプは異種同士に限らず、同種同士でもよい。以下ではいずれかのパイプがFRPパイプである場合で説明するが、必ずFRPパイプを含んでいなければならないわけではない。第1〜第6実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図11はFRPパイプ16と金属パイプ17との接合部の断面図である。本実施形態と第6実施形態とは、押さえ部材とナットが一体化され、テーパ付ナット25が貫通部材(面圧付与ボルト)23にネジ溝8を介して嵌合されている点が異なる。また、くさび部材がフープ形状ではなく、リング形状となっている。つまり、貫通部材23を取り巻くようにくさびリング9が配されている。その他の点は第6実施形態と同様である。
つまり、FRPパイプ(第2部材)16は金属パイプ(第3部材)17の外周部に重なる形ではめ合わされている。すなわち、FRPパイプ(第2部材)16と金属パイプ(第3部材)17は軸方向が一致するように配設されている。また、両者の重なり部にはボルト孔18が複数周方向に加工されている。ボルト孔18には面圧付与ボルト23が貫通され、テーパ付ナット25がくさびリング9を介して、面圧付与ボルト23に締結される。
(作用・効果)
本実施形態のように構成しても、第6実施形態と全く同様の効果を奏することが出来る。つまり、例えば外力(荷重F)によって、FRPパイプ16が金属パイプ17から抜けるような変形をした際を考える。
このとき、くさびリング9が軸方向に移動しようとすることで、テーパ付ナット25に施された傾斜面により、くさびリング9に、FRPパイプ16、金属パイプ17を押し付けようとする圧縮力、すなわち、テーパ付ナットから受ける反力が作用する。
これにより、FRPパイプ16は金属パイプ17から引き抜けづらくなるという効果を生む。また、FRPパイプ16の断面が、熱変形や製作時の制約によって、やむを得ず完全な円形でない場合でも、局所的に面圧付与ボルト23で締結している個所には、それぞれ圧縮面圧が発生するため、大型構造物の締結が容易になるという効果も生む。
また、第6実施形態では押さえ部材19,20やくさび部材21,22が、FRPパイプ16,金属パイプ17の周面に沿うフープ形状であったため、FRPパイプ16や金属パイプ17は切断することが出来ず、構造物が大型になればなるほど、運搬などの面で支障があったが、本実施形態の方法によれば、押さえ部材25やくさび部材9は、貫通部材23を取り巻くリング形状であるため、FRPパイプ16,金属パイプ17に関してはやむを得ず切断しても支障が生じないというメリットもある。
(第8実施形態)
本発明の第8の実施形態につき、図12、図13を用いて説明する。なお、第1〜第7実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図12は、本実施形態に係るFRP板状体1の平面図(上面図)であり、図13は、図12のY−Y矢視断面図である(適宜、相互参照)。
本実施形態においては、FRP板状体1には任意の形状の孔2があけられている。孔2を挟む形でくさびプレート3が接している。なお、くさびプレート3はくさび部材であり、かつ後記する貫通部材5のまわりを取り囲む環状部材でもある。
くさびプレート3のFRP板状体1に接していない面は、後記する貫通部材(多角形ピン)5の軸に対して、0°より大きく90゜より小さい所定の傾斜角θをなした面(テーパ面)を有するように加工されている。(すなわち、0°<θ<90°)。
くさびプレート3には押さえプレート4が接している。押さえプレート4の接触面は、くさびプレート3のテーパ面に均一に接するように加工されている。なお、押さえプレート4は押さえ部材であり、かつ後記する貫通部材5のまわりを取り囲む環状部材でもある。
押さえプレート4はFRP板状体1を挟む形で上下方向に二枚用意されており、互いにボルト6の頭部またはナットによって締結されている。
また、押さえプレート4にはその中心部付近に孔が加工され、多角形ピン5がその孔に貫通している。
ここで、貫通部材(多角形ピン)5に、例えば貫通部材(多角形ピン)5の軸に対して垂直方向に荷重が作用した場合を考える。押さえプレート4が貫通部材5から荷重Fを受けることで、押さえプレート4はすべり変形を起こそうとする。つまり、この場合には押さえ部材である押さえプレート4は、上下方向はボルト6の頭部またはナットによって動きが規制されるとともに、荷重方向へはボルト6によって間接的に貫通部材5にきつく固定されているとみなすこともでき、貫通部材である多角形ピン5の動きによって、押さえプレート4が荷重Fの方向に追従して変位する。
この際、III領域とIV領域の押さえプレート4は、上下方向はボルト6の締結によって動きが規制されており、押さえプレート4とくさびプレート3の接触面がテーパにより傾いているため、くさびプレート3を圧縮するような分力が発生する。この分力によって、FRP板状体1が圧縮される。
(作用・効果)
本実施形態によっても、第1〜7実施形態と同様に、貫通部材5に作用する荷重の一部がFRP板状体1の繊維積層方向への圧縮力に変換され、分力される。このため、孔2での破壊が防止でき、強度信頼性が向上する効果を生む。
また、本実施形態によれば、貫通部材5は任意の多角形状であればよい。また、貫通部材5を通す孔2についても、貫通部材が貫通する程度の大きさの孔であれば、任意の形状の孔でよく、必ずしも断面視で正円形になるように成形される必要はない。これにより、多様な形状の貫通部材に対応したFRP板状体1の嵌合締結構造を提供できる。
(第9実施形態)
本発明の第9の実施形態につき、図14を用いて説明する。なお、第1〜第8実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態においては、図4に示す第1実施形態とは、押さえリング10とくさびリング9のテーパ面(接触面)が、貫通部材11の軸となす角度である傾斜角θが逆(すなわち、90°<θ<180°)となっており、いわゆる逆テーパ型となっている点が異なる。その他の構成は第1実施形態と共通である。
(作用・効果)
このように構成しても、第1実施形態と同様の効果を奏することが出来る。但し、図14に示すように、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力は、貫通部材11の荷重方向の先にあるくさびリング9に発生する。この点は、第1実施形態とは逆側となる。
(第10実施形態)
本発明の第10の実施形態につき、図15を用いて説明する。なお、第1〜第9実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態においては、くさびリング9が、FRP板状体1を境に、FRP板状体1に接するようにして片側2組ずつ設けられ、押さえリング10との接触面は、FRP板状体1から見て略山型、あるいは傘型のテーパ面を有して構成されている点が異なる。その他の構成は第1実施形態と共通である。
なお、これ以降、図15〜図21までの図中の矢印は、貫通部材11に例えばUp方向またはDown方向に荷重Fが作用した場合に、例えば図4の第1実施形態でのI領域およびII領域に相当する領域に存在するくさびリング9、押さえリング10に作用する力を、参考として模式的に描いたものである。実際には、図4の第1実施形態でのIII領域およびIV領域に相当する領域に存在するくさびリング9、押さえリング10にも、同様にして力が作用している。また、Up方向とは、360°のうちでいずれか任意の一方向を意味し、Down方向とは、前記Up方向と逆方向、すなわち前記Up方向と180°反対方向を意味するものとする。
なお、図15ではくさびリング9がFRP板状体1を境に片側あたり2組存在する様子が分かるように、くさびリング9を別々に描いているが、押さえリング10との接触面が変わらないようになっていれば、2組のくさびリング9を合体させて、一体化したテーパリングを用いてもよい。
第1実施形態においては、貫通部材11の軸垂直方向にかかる荷重方向Fとは、逆側に位置するくさびリング9に対して、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力が作用するのみであった。しかし、本実施形態のように構成すれば、貫通部材11の軸垂直方向にかかる荷重の向きに関係なく、常に2組のくさびリング9のうち、どちらかには、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力を発生させることが出来るようになる。
(作用・効果)
この様に構成することで、荷重Fの両側から、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力を作用させることができ、第1実施形態よりも強固に、FRP板状体1を拘束することが出来るという格別の効果を奏することができる。
また、図16は図15の変形例である。
なお、第1〜第10実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図16は、図15とは、くさびリング9と押さえリング10との接触面が、FRP板状体1から見て略谷型、あるいはY型のテーパ面となるようにして構成されている点が異なる。その他の構成は図15と共通である。
なお、図16においても、くさびリング9がFRP板状体1を境に片側あたり2組存在する様子が分かるように、くさびリング9を別々に描いているが、押さえリング10との接触面が変わらないようになっていれば、2組のくさびリング9を合体させて、一体化したテーパリングを用いてもよい。
(作用・効果)
このように構成しても、図15と全く同様の作用・効果を奏することが出来る。つまり、第1実施形態においては、貫通部材11の軸垂直方向にかかる荷重方向Fとは、逆側に位置するくさびリング9に対して、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力が作用するのみであった。しかし、本実施形態のように構成すれば、貫通部材11の軸垂直方向にかかる荷重の向きに関係なく、常に2組のくさびリング9のうち、どちらか一方には必ず、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力を発生させることが出来るようになる。
この様に構成することで、荷重Fの先後両方向から、FRP板状体1を互いに圧縮するような分力を作用させることができ、第1実施形態よりも強固に、FRP板状体1を拘束することが出来るという格別の効果を奏することができる。
(第11実施形態)
本発明の第11の実施形態につき、図17を用いて説明する。なお、第1〜第10実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態においては、図4と比較して、FRP板状体1を境に、片側あたり、断面の形状が等しく径のみが異なるくさびリング9が、FRP板状体1に接するように2組(もしくは、縦の関係を段と呼ぶとすれば2段)備えられている点が異なる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
なお、くさびリング9の数は、この例のように2組に限らない。例えば、N段(複数組)備えるように構成してもよい。
(作用・効果)
この様に構成しても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。更に解説すれば、くさびリングが2段式になったことで、押さえリング10との接触面であるテーパ面も片側あたり2箇所に増える。この結果、くさびリング9がFRP板状体1を圧縮する分力も、片側あたり2箇所から入力(すなわち、2点支持)することができるので、くさびリング9ひとつあたりの面圧を小さくでき、第1実施形態よりも、FRP板状体1の圧縮破壊を防止することができる。
また、図18は図17の変形例である。
なお、第1〜第10実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図18は、図17とは、くさびリング9と押さえリング10との接触面(テーパ面)の傾斜が、逆向き(すなわち、90°<θ<180°)に形成されている点が異なる。その他の構成は図17と共通である。
なお、本変形例においても、くさびリング9の数は、このような2組に限らない。例えば、N組(複数組)備えるように構成してもよい。
なお、これは図14の変形例であって、くさびリング9を、FRP板状体1を境に、片側あたり、断面の形状が等しく径が異なるリング2組(2段)を備えるようにされたものとも見ることができる。
(作用・効果)
このように構成しても、図17や図14と全く同様の作用・効果を奏することが出来る。つまり、くさびリングが2段式になったことで、押さえリング10との接触面であるテーパ面も片側あたり2箇所に増える。
この結果、くさびリング9がFRP板状体1を圧縮する分力も、片側あたり2箇所から入力することができ、図14よりも強固に、FRP板状体1を拘束することが出来るという格別の効果を奏することができる。
(第12実施形態)
本発明の第12の実施形態につき、図19を用いて説明する。なお、第1〜第11実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態(図19)においては、図17の第11実施形態とは、FRP板状体1を境に、片側あたり2組のくさびリングに対応して、押さえリング10が、互いに切り離し可能に構成されている点が異なる。切り離し部分には、ネジ溝8が彫られており、完全に嵌合するようになっている。つまり、本実施形態のそれぞれの押さえリング10は、貫通部材11と直接または間接に固定されている。その他の構成は第11実施形態と同様である。
なお、このくさびリング9、および押さえリング10の数は、この例のように片側あたり2組に限らない。例えば、N段(複数組)備えるように構成してもよい。
(作用・効果)
この様に構成しても、第11実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。更に解説すれば、ネジ溝8によって片側あたり2組のくさびリング9と押さえリング10を切り離し可能にしたことで、テーパ面の傾斜角をそれぞれ別の角度になるように変えて構成してもよい。
この場合、例えばFRP板状体1の孔2近傍にあるくさびリング9には、貫通部材とのテーパ面のなす角度である傾斜角θ2をやや大きめにし、もう一方の環状部材(リング)9,10の接触面(テーパ面)の傾斜角θ1はやや小さめに設計すれば(θ1<θ2)、FRP板状体1の孔2近傍にあるくさびリング9にはFRP板状体1を圧縮する分力がやや弱く働き、もう一方のくさびリング9には分力がやや強めに作用する、というように、作用する分力の大きさをコントロールすることができるようになる。
このように製作すると、FRP板状体1の孔2近傍からの破壊を起きにくくさせるという効果を奏することができる。この場合、他方のくさびリング9ではFRP板状体1に対して強固な面圧を付与可能な構成となっているため、締結強度が足りなくなることはない。
なお、テーパ面の傾斜角θをそれぞれ同じ角度(θ1=θ2)で製作した場合は、第1実施形態(図4)のくさびリング9と押さえリング10をセットでもう一段追加した状態と同じと見ることもできる。また、この場合は、第11実施形態(図17)とまったく同一である。
図20は図19の変形例である。
なお、第1〜第11実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図20は、図19とは、くさびリング9と押さえリング10との傾斜面(テーパ面)と貫通部材11と、のなす角θ1,θ2が、逆向き(すなわち、90°<θ1<180°、90°<θ2<180°)に形成されている点が異なる。その他の構成は図19と共通である。
なお、このくさびリング9、および押さえリング10の数についても、この例のように片側あたり2組に限らない。例えば、N段(複数組)備えるように構成してもよい。
(作用・効果)
この様に構成しても、図19と同様の作用・効果を奏することができる。つまり、ネジ溝8によって片側あたり2組のくさびリング9と押さえリング10を切り離し可能にしたことで、テーパ面の傾斜角をそれぞれ別の角度になるように変えて構成してもよい。
この場合、例えばFRP板状体1の孔2近傍にあるくさびリング9には、貫通部材とのテーパ面のなす角度である傾斜角θ2をやや小さめにし、もう一方の環状部材(リング)9,10の接触面(テーパ面)の傾斜角θ1はやや大きめに設計すれば(θ1>θ2)、FRP板状体1の孔2近傍にあるくさびリング9にはFRP板状体1を圧縮する分力がやや弱く働き、もう一方のくさびリング9には分力がやや強めに作用する、というように、作用する分力の大きさをコントロールすることができるようになる。
このように製作すると、FRP板状体1の孔2近傍からの破壊を起きにくくさせるという効果を奏することができる。この場合、他方のくさびリング9ではFRP板状体1に対して強固な面圧を付与可能な構成となっているため、締結強度が足りなくなることはない。
なお、テーパ面の傾斜角θをそれぞれ同じ角度で製作した場合は、第9実施形態(図14)のくさびリング9と押さえリング10をセットでもう一段追加した状態と同じと見ることもできる。また、この場合は、第11実施形態(図18)とまったく同一である。
(第13実施形態)
本発明の第13の実施形態につき、図21を用いて説明する。なお、第1〜第12実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態は、第10実施形態(図15)のくさびリング9と押さえリング10の組み合わせを、ネジ溝8を介して多段化し、N段(複数組)設けた構成となっている。つまり、本実施形態のそれぞれの押さえリング10は、貫通部材11と直接または間接に固定されている。その他の部分は第10実施形態(図15)と同様である。
(作用・効果)
このように構成しても、第10実施形態と同様の効果を奏することができる。更には、本実施形態の場合はネジ嵌合により多段化しているため、第12実施形態(図19、図20)と同様に、テーパ面の傾斜角をおのおの独立に設定することも容易である。この場合、例えばくさびリング9の位置が、FRP板状体1の孔2近傍から、徐々に距離が離れるに従って、FRP板状体1を圧縮する面圧分力が、グラデーション状に徐々に強くなっていくように設計することも可能である。
また、本実施形態では貫通部材11の軸垂直方向にかかる荷重Fの方向を問わず、荷重Fの手前側、後ろ側両方に、常にFRP板状体1を圧縮する分力がかかる。このため、例えばFRP板状体1の孔2近傍のような破壊に弱いポイントはやさしく労わりつつ、孔2から離れるに従い、破壊に強い部分は徐々に強めにFRP板状体1を圧縮する分力が作用するようにすることが容易である。
このようにすれば、例えばFRP板状体1の特殊形状などの事情に合わせて、きめ細やかな分力制御により、FRP板状体1などの部材をいたわりながら、より一層、強固に確実に、拘束することができる。
(適用例)
以下、本発明の第1〜第13実施形態の適用例につき、具体的な作用・効果を交えながら説明する。なお、以下は少なくとも本発明が適用可能と考えられる構造体のうち、具体的な適用部位に関する例示の一部に過ぎず、本発明の適用範囲を、これらの例示の構造体の範囲に限定するものでないことは言うまでもない。
すなわち、本発明の第1〜第13実施形態に記載の嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体とは、少なくとも、以下で説明するパワーショベル、風力発電用風車ブレード、遠心分離機、自動車、船舶、航空機に関する嵌合構造用の締結部材、嵌合構造、および嵌合構造用の締結部材を具備した構造体を全て含むものである。
つまり、以下の例示は、本発明の権利範囲が非常に広範囲に及ぶことを示す一例である。本発明の適用範囲を、これらの例示の範囲に限定的に解することはあってはならない。
(適用例1)
図22はパワーショベル100の斜視図である。
パワーショベル100は、FRPパイプ16やFRP板状体1を用いたオールFRP製の電動ショベルであるが、素材はFRPパイプ16や金属板、金属パイプやFRP板状体1、金属パイプや金属板などの組み合わせから成っていてもよい。また、電動ショベルでなく、従来の油圧ショベルであってもよいことは言うまでもない。また、車輪はキャタピラ104でなく、ゴム製のタイヤであってもよい。
本適用例において、例えば作業腕に相当するブーム101部分やアーム102部分の端部(連結部分)が、それぞれFRPパイプ16とFRP板状体1を組合せた構造になっている。
具体的には、例えばブーム101とアーム102の連結部分は軽量化のためにFRP板状体1のグレーチング(格子構造)を有して成り(適宜、図1・図2や、図22を参照)、図22のC部に示すとおり、孔2に貫通部材11が通され、貫通部材11に、ブーム101側やアーム102側へ延設されたFRPパイプ16が点接続される構造となっている。これにより、パワーショベル100の稼動時には、FRPパイプ16を介して、貫通部材11に荷重Fが入力されることになる。
同様に、例えばアーム102と先端バスケット103の連結部分は、軽量化のためにFRP板状体1のグレーチング(格子構造)を有して成り、図22のD部に示すとおり、孔2に貫通部材11が通され、貫通部材11に、アーム102側へ延設されたFRPパイプ16が点接続される構造となっている。これにより、パワーショベル100の稼動時には、FRPパイプ16を介して、貫通部材11に荷重Fが入力されることになる。
ここで、ブーム101とアーム102の連結部分や、先端バケット103とアーム102の連結部分にFRP板状体1を格子状に組み合わせたグレーチングを設けているのは、これらの部位は荷重Fの入力によって、変形が複雑になることが予想されるため、グレーチングとすることで、FRP板状体1の繊維積層方向の高強度特性を利用し、剛性を上げるためである。
また、変形状態が比較的均一な部分には、例えばFRPパイプ16を使用するなどして、FRPの軽量化特性を活かし、極力軽量化を図っている。
また、パワーショベル100の機体に使用されるFRPの種類については、荷重条件や腐食環境条件に合わせて、例えば炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、炭化ケイ素繊維強化樹脂(SiCFRP)、アルミナ繊維強化樹脂(AlFRP)、アラミド繊維強化樹脂(AFRP)などから適宜選択すればよい。何らこれらに限定するものでもない。
例えば、このような部位に、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。もしくは、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を、適宜組み合わせて適用してもよい。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング94,95を用いてもよい。
本適用例によれば、パワーショベル100の剛性を上げながら、軽量化を図ることができる。また、軽量化によって、消費電力を低減し、バッテリーの消耗時間を延ばすことができる。これにより、例えば1日あたりの機体の稼働時間を長く見積もることができ、作業効率を向上させることができるという効果を奏する。
また、電動式のパワーショベル100ではなく、内燃機関を有する従来の油圧ショベルであったとしても、高剛性化とともに、軽量化されているため、低燃費稼動が可能となり、燃料代を節約し、また、給油スパンを長く見積もることができるなどの効果を奏する。
また、従来であれば、オールFRP製にしようとすれば一体成形のための金型製作だけで数億円という巨額の費用を要し、パワーショベル100をモデルチェンジしようにも、巨大な金型をいちから作り直さなければならず、臨機応変に変えることができなかった。
しかし、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用すれば、大型のFRP部材を分割し、もしくは最初から小パーツとしてFRP部材を製作し、組立工程でそれらを確実に締結することができるので、圧倒的な可搬性を提供できる可能性を秘める。
また、予め小パーツとしてFRP部材を組み込む形にしておけば、モデルチェンジしたい部位のみを取り外し、交換することができるので、モデルチェンジ需要にも、低コストで高剛性を堅持しながら、商機を捉えて、迅速果断・臨機応変に対応することができる。
更には、産業機械であるため、稼働中に損傷を負い、修理が必要になる場合があるが、この場合においても、従来のショベルであれば、まず損傷を追った部位の溶接を溶かし、剥がして修理して再溶接するといった作業工程が必要となり、膨大な時間と設備を要し、修理やメインテナンスが容易ならざる作業となっていた。
しかし、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用すれば、損傷が発生した部位のみの部材の交換が可能であり、接着剤や溶接などを用いた結合ではないため、これらの修理やメインテナンスを容易に行うことができるという効果も奏する。
(適用例2)
本発明の他の適用例につき、図23A、図23Bを用いて説明する。
図23Aは従来の風力発電用風車の風車ブレード200の斜視図、図23Bは本発明を適用した場合の、風力発電用風車の風車ブレード200の斜視図である。
図23Aに示す通り、これまでにも風車ブレード200にFRPブレード201を搭載したものは既に実用化されている。ハブ202と、FRPブレード201との連結部分は、ハブ202に設けられたフランジ(不図示)によるフランジ締結と、FRPブレード201に設けられたブレード取り付けボルト203によるボルト締結を組み合わせて使用している。
しかし、従前例によれば、ブレード取り付けボルト203は、FRPブレード201繊維の非積層方向に荷重がかかって、貫通部材を通すための孔2近傍から破壊に至るケースを防ぐため、やむを得ず、FRPブレード201の回転方向と直交する方向に平行になるように、取り付けされているのが現状である。
しかし、これでは、FRPブレード201の回転時に、FRPブレード201に作用する遠心力と、ブレード取り付けボルト203の向きが同じ方向となってしまう。つまり、遠心力でFRPブレード201が引き抜ける方向と同じ方向に、ブレード取り付けボルト203を埋め込んで使用していることになり、ボルト締結部分は遠心力に対してほとんど意味を成さず、事実上はフランジ締結のみとなっていると言える。
そこで、図23Bに示す通り、FRPブレード201と、ハブ202との連結部分において、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用する。例えば、第6もしくは第7実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング94,95を用いてもよい。
すなわち、例えば本発明の外輪押さえフープ19、外輪くさびフープ21、貫通部材23を用いるなどして締結すれば、フランジレスに設計でき、ハブ202自体を軽量化することができる。
これにより、ハブ202とFRPブレード201からなる風車ブレード200に作用する遠心力の大きさを低減し、FRPブレード201を保護することができるようになる。
また、貫通部材23に、遠心力による引き抜き負荷が作用しないので、従前例よりもより強固に締結することができるようになる。また、強度が必要なハブ202部分には、強度の高い金属部材を用いるなど、異種部材を適宜組み合わせて用いることも容易である。
更には、稼動中にFRPブレード201が、例えば強風や落雷、洋上風力であれば潮風による腐食、波浪、津波などの自然界の外的営力(不可抗力)を受け、損傷してしまった場合においても、その交換は接着剤などを用いた接合ではないために、容易に行うことができるという効果を奏する。
(適用例3)
本発明の他の適用例につき、図24A、図24Bを用いて説明する。
図24Aは、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用した、風力発電機用風車のFRPブレード201の斜視図であり、図24Bは、図24Aの、Z−Z矢視断面の模式図である。
本適用例においては、風力発電用風車ブレード200の外表面をFRP外皮204とし、内側に金属製の支柱205を組み込み、ブレード剛性を補う構成となっている。
このとき、金属製の支柱205と、FRP外被204を締結する方法として、従来は接着剤を用いて、両者を接着させていた。このため、太陽熱の日較差(日差)や、洋上や沿岸地域に設置された風車群は潮風などの影響も受け、徐々に接着力が弱くなったり、腐食がおきたりし、最終的にははがれてしまうという問題があった。
また、ハブ202とFRPブレード201とのフランジ締結などの影響で、取り外しが難しく、このため事前検査が困難で、ブレードが吹き飛ぶなどの事故が起きてはじめて、内部の劣化状態が判明することがあり、社会問題となっていた。
ここで、金属製の支柱205と、FRP外被204を締結する方法として、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用する。例えば、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。もしくは、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を、適宜組み合わせて適用してもよい。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング94,95を用いてもよい。
すなわち、本発明の実施形態に対応するくさび部材9,21,22,94,95、押さえ部材10,19,20、貫通部材11,12,13,23を適宜選択、もしくは組み合わせることにより、締結することができる。
このように構成すると、取り外しが容易となるため、メインテナンスがしやすくなる。また、接着剤を用いないので、はがれる可能性を圧倒的に減らすことができる。
また、風車ブレード200を軽量高剛性にすることができるので、例えば風車の直径サイズを大型化して、より確実に風を捕らえ、発電効率を上げることが可能になるというメリットもある。
(適用例4)
本発明の他の適用例につき、図25A、図25Bを用いて説明する。
図25Aは、遠心分離機300の従来の概略構造を説明する断面図である。また、図25Bは、遠心分離機300の回転胴305部分にFRP円筒310を用い、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用した場合の模式図である。
図25Aに示すように、一般に遠心分離機300は、軸受301、上部抜出管302、仕切板303、供給管304、回転胴305、下部抜出管306、モータ307などから成り、ケーシング308と呼ばれる外装部材で覆う構成となっている(詳しくは、日本原子力学会HP:http://www.aesj.or.jp/~recycle/nfctxt/nfctxt_3-2.pdf第4頁参照)。
遠心分離の仕組みは、重い成分と軽い成分からなる、例えばUFなどの混合ガスを供給管304から供給し、モータ307によって、上下の軸受301を介して回転胴305を可能な限り高速で回転させる。このとき回転胴305内部で生じる循環向流309の流れを仕切板303で規制するなどしながら、遠心力で混合ガスを軽い成分と重い成分に分離し、それぞれ上部および下部に設けられた抜出管302,306から分離されたガスを抜出す。
ここで、図25Bに示すように、回転胴305部分をFRP円筒310と金属製回転部311に分けることを考える。その理由は、FRP部材を用いて回転胴305自体を軽量化したいため、また、金属製回転部311は荷重がかかる部分のために、信頼性の観点から金属製としたいためである。
すると、この連結部分において、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することが可能である。例えば、第6もしくは第7実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング94,95を用いてもよい。
つまり、本発明の実施形態に対応するくさび部材9,21,22,94,95、押さえ部材10,19,20、貫通部材11,12,13,23を適宜選択、もしくは組み合わせることにより、締結することができる。
このように構成すると、回転胴305の胴円筒部分が軽量高剛性のFRP円筒310に代わることで、回転速度をより一層、高速化することができる。これにより、混合ガスの分離性能を上げ、極めて高い濃度に濃縮された分離生成物を得ることができる。
また、FRP円筒310を高速回転させようとすればする程、イナーシャと呼ばれる慣性モーメントが生じ、締結部分で互いにずれようとする現象が見られるが、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用していれば、互いにずれようとすればするほど、逆に円筒面をきつく圧縮する分力が作用し、きつく締まるため、より一層、好適にホールドすることができる。
(適用例5)
本発明の他の適用例につき、図26を用いて説明する。
図26は、自動車400の屋根(ルーフ)をFRP化し、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用した場合の適用例である。
図26に示す通り、従来の金属製のルーフと代えて、FRPルーフ401をシャシ402のフレーム403と締結する場合にも、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することが可能である。例えば、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。もしくは、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を、適宜組み合わせて適用してもよい。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング9を用いてもよい。
つまり、本発明の実施形態に対応するくさび部材9,21,22,94,95、押さえ部材10,19,20、貫通部材11,12,13,23を適宜選択、もしくは組み合わせることにより、締結することができる。
このように構成すると、車体重量を軽量化できるので、トルクウェイトレシオやパワーウェイトレシオの各数値を目に見えて向上させることになる。その結果、加減速性能やコーナリング性能といったクルマの運動性能を、飛躍的に高めることができるという効果を奏する。また、1kmあたりの燃料消費量を低減させ、好燃費化を達成できる。
また、万が一操縦者が運転操作を誤るなどして、車両が180°横転し、FRPルーフ401に、車体402の荷重がかかったとしても、高強度剛性により、ルーフが曲がって車室内の空間を圧迫するといった事態も防ぐことができる。このとき、衝撃荷重で横ずれしようとすればするほど逆に締結部分が締まるという効果も奏する。
(適用例6)
本発明の他の適用例につき、図27A、図27Bを用いて説明する。
図27Aは、本適用例に係る、船舶の斜視図である。図27Bは、船体部にFRPが用いられている船舶について、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用した場合の模式図である。
図27Aに示す船舶500は、主船体部が例えば船首部分、中央部分、船尾部分などのように、3分割に分割可能に構成され、組み立てやすいように、それぞれがモジュール化されてなる。これら主船体部はオールFRPで成形され、FRP部材が本来有する軽量かつ高剛性能や、地球の地磁気によって船体が磁化しないようにする消磁性能などを、活かす構成となっている。
従来であれば、このような大きな艦船であって、例えば掃海活動を目的とするものは、FRP一体成形用の金型が大型化して高コスト化するなどの理由で、FRP部材を積極的には使用しづらい側面があった。このため、消磁性能を優先させるために、敢えて鋼鈑製ではなく木製として建造されたものもあった。
しかし、ここで、主船体部をFRPモジュールで構成し、締結部分に、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することを考える。例えば、図27Bに示すように、船首モジュール501、中央モジュール502、船尾モジュール503の各締結部分において、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。もしくは、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を、適宜組み合わせて適用してもよい。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング94,95を用いてもよい。
つまり、本発明の実施形態に対応するくさび部材9,21,22,94,95、押さえ部材10,19,20、貫通部材11,12,13,23を適宜選択、もしくは組み合わせて締結させる。
すると、金型サイズの制約を設計段階で考慮しなくてよくなるため、モジュールの分割数、すなわち各モジュールサイズを任意に設計できるなど、設計の自由度が飛躍的に高まる。また、木材に代えてFRP部材を積極的に導入することによる、FRP部材が本来有している基本特性を存分に享受することができる。
また、メインテナンスに関しても、例えば外洋の公海上で活動中に船体を修理する必要性が生じた場合には、ネジ締結のため、損傷を受けたモジュールのみを取り外し、新たなモジュールを装着するなどして、機動性の高い応急修理が可能となる。
なお、本発明の適用対象となる船舶は、小型船から大型船にいたるまで、その船体サイズを問うものではない。但し、図27Aに示すような大型艦であれば、排水量が大きくなるため、船底部分が受ける浮力(外力)の入力が大きくなったり、広範囲にFRP部材を用いることによる軽量化のスケールメリットが出やすくなったりする傾向があるため、なお一層、好適である。
つまり、より大型船で外力の入力が大きくなればなるほど、FRPモジュール同士が互いにずれようとするが、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用すれば、ずれようとすればするほど、逆に締結部分が締まるという効果を奏する。また、FRP部材の積極導入による軽量化で、燃費性能向上への寄与率が高まる。また、消磁性能が求められる船舶に対しては、消磁性能も同時に享受することができる。これにより、例えば船体が微弱な磁場を発して相手に探知されてしまうといった事態を防ぐことができる。
(適用例7)
本発明の他の適用例につき、図28を用いて説明する。
図28は、胴体部にFRPが用いられている航空機について、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用する場合の模式図である。
図28に示すように、航空機600の機体の胴体部分は、複数に分割されたFRPモジュールを互いに嵌合することで構成されている。
ここで、モジュールとモジュールの締結部分に、本発明の第1〜第13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することを考える。例えば、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を適用することができる。もしくは、第1〜第3、第8〜13実施形態に係るFRP嵌合構造を、適宜組み合わせて適用してもよい。このとき、第4もしくは第5実施形態に記載のくさびリング94,95を用いてもよい。
つまり、本発明の実施形態に対応するくさび部材9,21,22,94,95、押さえ部材10,19,20、貫通部材11,12,13,23を適宜選択、もしくは組み合わせて締結させる。
このように構成すると、航空機に求められる高い剛性を維持しながら、軽量化を達成できる。これにより、例えば航続距離を飛躍的に伸ばしたり、給油スパンを伸ばしたりすることができる。
また、非常に姿勢制御が困難な飛行状態、すなわち、機体がきりもみ状態などの異常姿勢下にある場合であっても、機体が横G(外力)を受ければ受けるほど、逆に締結部分が締まるという効果を奏する。また、船舶同様に設計の自由度が高まり、FRP部材の積極導入による、FRP部材が本来有する基本性能を存分に享受することができるようになる。
上記した実施形態は本発明を分かりやすくするために詳細に説明したものであり、必ずしも、説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成の一部もしくは全てを加えることも可能である。
また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
具体的には、例えば第3実施形態の貫通部材13は、第2実施形態の貫通部材12を中空として構成したものであるが、第1実施形態の貫通部材11を中空として構成することもできる。
同様にして、例えば第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態それぞれに、第8〜第13実施形態のいずれかの構成を組み合わせることが可能であり、更には、そのそれぞれに追加して、第4もしくは第5実施形態に記載の突起や摩擦板をくさび部材に備える構成とすることも可能である。
また、例えば第6実施形態、または第7実施形態に、第10〜第13実施形態のいずれかの構成を組み合わせることが可能であり、更には、そのそれぞれに追加して、第4もしくは第5実施形態に記載の突起や摩擦板をくさび部材に備える構成とすることもできる。
また、第6実施形態および第7実施形態は、第2部材16がFRPパイプ、第3部材17が金属パイプの場合で説明したが、第2部材16が金属パイプ、第3部材17がFRPパイプの場合であっても、本論と同様にして議論ができる。また、FRPパイプ(第2部材)16は金属パイプ(第3部材)17の外周部に重なる形ではめ合わされているとしたが、内周部に重なる場合でも、本論と同様にして議論ができる。
1 FRP板状体、FRP、FRP部材、第1部材
2 孔,挿通部
3 くさびプレート,くさび部材,環状部材
4 押さえプレート,押さえ部材,環状部材
5 多角形ピン,貫通部材
7 スリーブ
8 ネジ溝
9 くさびリング、環状部材、くさび部材
10 押さえリング、環状部材、押さえ部材
11 ピン、貫通部材
12 ピン、貫通部材
13 ピン、貫通部材
14 突起
15 摩擦板
16 FRPパイプ、FRP部材、第2部材、第3部材
17 金属パイプ、第2部材、第3部材
19 外輪押さえフープ、押さえ部材
20 内輪押さえフープ、押さえ部材
21 外輪くさびフープ、くさび部材
22 内輪くさびフープ、くさび部材
23 面圧付与ボルト、貫通部材
24 ナット
25 テーパつきナット、押さえ部材
94 くさびリング、環状部材、くさび部材
95 くさびリング、環状部材、くさび部材
100 パワーショベル
101 ブーム
102 アーム
103 先端バスケット
104 キャタピラ
200 風車ブレード
201 FRPブレード
202 ハブ
203 ブレード取付ボルト
204 FRP外皮
205 金属製の支柱
300 遠心分離機
301 軸受
302 上部抜出管
303 仕切板
304 供給管
305 回転胴
306 下部抜出管
307 モータ
308 ケーシング
309 循環向流
310 FRP円筒
311 金属製回転部
400 自動車
401 FRPルーフ
402 シャシ、車体
403 フレーム
500 船舶
501 船首モジュール
502 中央モジュール
503 船尾モジュール
600 航空機
A〜E、G 要部
M、N 対称軸
θ、θ1、θ2 角度、傾斜角、テーパ角
F、F11〜F13 荷重、負荷、力、外力、横G
本発明は、嵌合構造用の締結部材に関する。
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、FRP構造物に任意の孔を加工し、その孔にピンあるいはボルトを貫通させてボルトの軸に垂直な方向に荷重が入力された場合においても、被締結部材を圧縮するような力が作用してより強固な締結状態となり、FRP孔部が破壊しないような嵌合構造用の締結部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明を適用した嵌合構造用の締結部材は、挿通部を有する第1部材に挿通されるとともに、荷重が入力・伝達される貫通部材と、くさび部材と押さえ部材とを組として前記貫通部材に挿通され、前記第1部材における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設される、少なくとも2組の環状部材と、を備え、前記押さえ部材は前記貫通部材に直接または間接に固定され、前記くさび部材は前記押さえ部材と前記第1部材との間に、それぞれに接するように配設され、前記押さえ部材と前記くさび部材の接触面は、断面視して、前記貫通部材の軸に対して90度以外の所定の角度をなすように構成され、前記第1部材は、ともに前記挿通部を有する第2部材と第3部材とが互いの前記挿通部が一致するように重ねられた部材であり、前記貫通部材は、その外周の所定位置に雄ネジが設けられており、前記固定は、少なくとも一方側が、前記雄ネジに螺合する雌ネジが設けられたナットによりなされ、前記第2部材および前記第3部材は軸方向が一致するように配設された円筒部材であり、前記くさび部材は前記第2部材または前記第3部材の外周、および内周にそれぞれ接する外輪、および内輪のくさびフープまたはくさびリングであり、前記押さえ部材は前記ナットと一体または別体で構成され、前記くさび部材と接するように配設された外輪、および内輪の押さえフープまたは押さえリングであることを特徴とする。
本発明によれば、ピンあるいはボルトなどの貫通部材に、軸垂直方向の荷重が作用した場合でも、所定のテーパ角を有した環状部材にFRP部材(第1部材)を強く圧する分力が作用する嵌合構造用の締結部材を提供できる。
以下、本発明の実施形態に係る嵌合構造用の締結部材について、第1部材がFRP部材であるFRP嵌合構造を例に挙げて詳細に説明する。
(適用例)
以下、本発明の第1〜第13実施形態の適用例につき、具体的な作用・効果を交えながら説明する。なお、以下は少なくとも本発明が適用可能と考えられる構造体のうち、具体的な適用部位に関する例示の一部に過ぎず、本発明の適用範囲を、これらの例示の構造体の範囲に限定するものでないことは言うまでもない。
すなわち、本発明の第1〜第13実施形態に記載の嵌合構造用の締結部材とは、少なくとも、以下で説明するパワーショベル、風力発電用風車ブレード、遠心分離機、自動車、船舶、航空機に関する嵌合構造用の締結部材を全て含むものである。
つまり、以下の例示は、本発明の権利範囲が非常に広範囲に及ぶことを示す一例である。本発明の適用範囲を、これらの例示の範囲に限定的に解することはあってはならない。

Claims (15)

  1. 挿通部を有する第1部材に挿通されるとともに、荷重が入力・伝達される貫通部材と、
    くさび部材と押さえ部材とを組として前記貫通部材に挿通され、前記第1部材における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設される、少なくとも2組の環状部材と、
    を備え、
    前記押さえ部材は前記貫通部材に直接または間接に固定され、
    前記くさび部材は前記押さえ部材と前記第1部材との間に、それぞれに接するように配設され、
    前記押さえ部材と前記くさび部材の接触面は、断面視して、前記貫通部材の軸に対して90度以外の所定の角度をなすように構成される
    ことを特徴とする、嵌合構造用の締結部材。
  2. 前記第1部材の面方向の強度は、前記貫通部材および前記環状部材の強度よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  3. 前記第1部材は、繊維強化複合樹脂材(FRP部材)であることを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  4. 前記貫通部材は、軸方向に垂直な断面が円形であり、円柱形状を有してなることを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  5. 前記貫通部材は、別体のスリーブを外装して、またはスリーブと一体化されて構成され、前記第1部材に挿通されることを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  6. 前記貫通部材は、中心軸まわりが中空として軽量化され、円筒形状を有してなることを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  7. 前記第1部材は、ともに前記挿通部を有する第2部材と第3部材とが互いの前記挿通部が一致するように重ねられた部材であり、
    前記貫通部材は、その外周の所定位置に雄ネジが設けられており、
    前記固定は、少なくとも一方側が、前記雄ネジに螺合する雌ネジが設けられたナットによりなされること
    を特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  8. 前記第2部材および前記第3部材は軸方向が一致するように配設された円筒部材であり、
    前記くさび部材は前記第2部材または前記第3部材の外周、および内周にそれぞれ接する外輪、および内輪のくさびフープまたはくさびリングであり、
    前記押さえ部材は前記ナットと一体または別体で構成され、前記くさび部材と接するように配設された外輪、および内輪の押さえフープまたは押さえリングである
    ことを特徴とする、請求項7に記載の嵌合構造用の締結部材。
  9. 前記第2部材および前記第3部材のいずれか一方は、繊維強化複合樹脂パイプ(FRPパイプ)であることを特徴とする、請求項8に記載の嵌合構造用の締結部材。
  10. 前記くさび部材、および前記押さえ部材は、それぞれ板状のくさびプレート、および押さえプレートであることを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  11. 前記くさび部材は、前記第1部材を境に、前記第1部材に接するように片側あたり2組ずつ設けられ、前記押さえ部材との接触面は、前記第1部材から見て略山型、あるいは略谷型のテーパ面を有して構成されることを特徴とする、請求項1に記載の嵌合構造用の締結部材。
  12. 前記くさび部材には、複数の突起が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の嵌合構造用の締結部材。
  13. 前記くさび部材には、有機繊維を含んでなる樹脂製の摩擦板が固定されていることを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の嵌合構造用の締結部材。
  14. 荷重が入力・伝達される貫通部材と、
    前記貫通部材が挿通される挿通部を有する第1部材と、
    くさび部材と押さえ部材とを組として前記貫通部材に挿通され、前記第1部材における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設される、少なくとも2組の環状部材と、
    を備え、
    前記押さえ部材は前記貫通部材に直接または間接に固定され、
    前記くさび部材は前記押さえ部材と前記第1部材との間に、それぞれに接するように配設され、
    前記押さえ部材と前記くさび部材の接触面は、断面視して、前記貫通部材の軸に対して90度以外の所定の角度をなして構成される
    ことを特徴とする嵌合構造。
  15. 1または複数の箇所に、
    挿通部を有する第1部材に挿通されるとともに、荷重が入力・伝達される貫通部材と、
    くさび部材と押さえ部材とを組として前記貫通部材に挿通され、前記第1部材における前記挿通部を一方側の組と他方側の組とで挟むように配設される、少なくとも2組の環状部材と、
    を備え、
    前記押さえ部材は前記貫通部材に直接または間接に固定され、
    前記くさび部材は前記押さえ部材と前記第1部材との間に、それぞれに接するように配設され、
    前記押さえ部材と前記くさび部材の接触面は、断面視して、前記貫通部材の軸に対して90度以外の所定の角度をなすように構成される嵌合構造用の締結部材
    を具備したことを特徴とする構造体。
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